(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【背景技術】
【0002】
従来、使用者が複数の保持形態のうちから任意の形態を選択することにより、複数種類の動作を行う玩具が知られている(例えば、特許文献1参照)。
特許文献1に記載の玩具は、全体として剣の柄部分に斧が設けられた形状の主玩具体と、指に装着することができる指輪状の副玩具体とを有する。主玩具体は、副玩具体が発生する磁気を感知して剣演出モードと、斧演出モードとが切り替えられる。
【0003】
すなわち、使用者が副玩具体を装着した手で柄部分を把持すると、主玩具体は副玩具体からの磁気を検出して剣演出モードとなる。この状態で、主玩具体の柄部分に設けられた第1ボタンを押すことにより第1の演出(音声、光等)が再生される。
一方、使用者が剣の鍔部分よりも刃側を把持すると、主玩具体は副玩具体からの磁気を検出して斧演出モードとなる。この状態で、主玩具体の刃部分に設けられた第2ボタンを押すことにより第2の演出が再生される。
【発明を実施するための形態】
【0012】
[本発明の実施の形態]
図1は本発明の実施形態である動作玩具の全体構成を第1把持部側から見た斜視図であり、
図2はリンク構造の構成及び動作を示す正面図である。なお、以下の説明においては、
図1において上方向を「上」、下方向を「下」、手前方向を「前」、奥側方向を「後」と示すこととする。
【0013】
本実施形態において、動作玩具10は、細長い板状の本体20を有している。本体20の下部には、下方に向かって厚さが減少するように剣先を模した刃先部21が形成されており、上端部には、一定幅の峰部22が形成されている。本体20は、峰部22、峰部22の下方に設けられた左右両側面23、23、左右両側面23、23から下方に向かって厚さが減少するように形成された刃先部21を備える。なお、本体20の左右両側面23、23の上部には、両側面23、23から内側に凹んだガイド部24が、長手方向に沿って設けられている。
【0014】
本体20の長手方向 (連続方向)に沿った一端側(
図1中左端部を言い、「先端側」ともいう。)には、第1把持部30が本体20の延長線上に設けられている。第1把持部30は、使用者が手Hで握る(
図3参照)ことが可能な把持部材31を有する。把持部材31は、峰部22側において本体20の峰部22の延長線上よりも上側に屈曲して設けられている。一方、第1把持部30における刃先21側(下側)には、本体20の刃先21の延長線上よりも下側に屈曲して刃先21を延長した延長刃32が設けられている。
【0015】
延長刃32の先端(前端)は、先端側に向かって次第に把持部材31の先端に近づくように湾曲した剣先33が形成されている。これにより、把持部材31と延長刃32との間には、空間Sが形成され、使用者が手Hにより把持部材31を掴むことが可能である。なお、把持部材31及び延長刃32も、軽量化の観点から本体20と同様に中空に形成されるのが望ましい。
【0016】
本体20の峰部22の他端側(
図1中右端部を言い、「後端側」ともいう。)には、鍔を模した鍔部25が形成されており、鍔部25に対して本体20の峰部22と反対側(後側)には、第2把持部40が設けられている。第2把持部40は、使用者が手Hで握ることが可能である(
図4参照)。また、鍔部25及び第2把持部40の内側は中空に形成されており、本体20の内部空間と第2把持部40の内部空間とは、鍔部25を挟んで連続している。なお、第2把持部40には、第2把持部40の内部空間に連続する開口部41が設けられている。
【0017】
第2把持部40の後端側には、動作部50が設けられている。動作部50は、略C字形状をした第1腕部(挟持片)51及び第2腕部(挟持片)52を有しており、第1腕部51の凹部513と第2腕部52の凹部523が対向するように配置されている。第1腕部51及び第2腕部52は、各基端部を本体20の連続方向に対して略直交する支軸53、53(
図2参照)を中心として回動可能に軸支されており、第1腕部51及び第2腕部52を閉じた状態では、第1腕部51の先端面(一端部)511と、第2腕部52の先端面(一端部)521は、接触するようになっている。
【0018】
なお、第1腕部51の先端面511及び第2腕部52の先端面521に、それぞれ凹凸512、522(
図2参照)を設けて互いにかみ合うようにすることにより、第1腕部51及び第2腕部52を閉じた際に、確実に物を把持することができる。また、各凹部513、523の内面にも凹凸や突起等の滑り止め514、524(
図2参照)を設けることにより、凹部513、523で物を確実に挟持することもできる。
【0019】
また、本体20の峰部22側には、動作部50を動作させるための操作部60が、ガイド部24に沿って往復移動(
図1中矢印A参照)可能に設けられている。操作部60は、断面コ字形状を呈しており、前端及び後端にストッパ61が設けられている。これにより、使用者の手Hは、前後のストッパ61間に位置するとともに、前後にずれるのを防止することができる。なお、操作部60を操作することにより、動作部50の第1腕部51及び第2腕部52を開閉させるためのリンク機構70を動かすことが可能である。
【0020】
図2に示すように、リンク機構70は、動作部50と操作部60とを連結し、連動させるための機構であり、本体20の内部空間(峰部22、鍔部25、第2把持部40の内部空間)を貫通して設けられている。リンク機構70は、動作部50と接続された第1連結部(リンクロッド)71と、操作部60と接続された第2連結部(リンクロッド)72を有する。
【0021】
第1連結部71及び第2連結部72は板状部材であり、高さ方向中央付近に、長手方向に沿って長円形状の切欠き711、721が設けられている。各切欠き711、721には、本体20の内面や第2把持部40の内面に設けられているガイドピン73が遊嵌されている。このため、ガイドピン73が切欠き711、721の前後端面に当接する範囲で、第1連結部71及び第2連結部72は本体20の長手方向沿って移動可能となっている。なお、第1連結部71及び第2連結部72は、断面L字形状や厚さが薄い箱状など様々な形状のものを用いることができる。
【0022】
第1連結部71の後端部(動作部50側)には、上向きに上支持台712が設けられ、下向きに下支持台713が設けられている。上支持台712の上端部には、上連結アーム714の前端部が軸支され、上連結アーム714の後端部は第1腕部51において支軸53よりも上側に軸支されている。同様に、下支持台713の下端部には、下連結アーム715の前端部が軸支され、下連結アーム715の後端部は第2腕部52において支軸53よりも下側に軸支されている。
【0023】
第1連結部71の前端部上側(第2連結部72側の上部)には、第1連結部71の移動を規制する移動規制部材74が設けられている。なお、移動規制部材74の上端部は、第2把持部40に設けられている開口部41から露出している(
図1参照)。使用者が第2把持部40を把持すると、開口部41から露出した移動規制部材74が同時に把持されて第1連結部71の移動が規制され、それに連動して第2連結部72の移動が規制され、動作部50の動作を規制することができる。つまり、使用者が第2把持部40を把持したとき、移動規制部材74によって、第1連結部71、第2連結部72、動作部50の移動および動作を阻止することが可能である。
【0024】
第1連結部71と第2連結部72とは、間に回動軸751を中心として回動する回動アーム75を介して接続されている。回動アーム75の一端(下端)には第1連結部71の前端部が回動可能に連結されており、回動アーム75の他端(上端)には第2連結部72の後端部が回動可能に連結されている。また、第2連結部72の前端部には、操作部60が取り付けられている。操作部60は、本体20の上側に設けられており、ガイド部24に沿って前後方向へ往復移動可能となっている。
【0025】
次に、リンク機構70の動作について説明する。
図2に示すリンク機構70では、操作部60が後端位置にあり、ガイドピン73は切欠き721の前端部に当接している。この状態では、動作部50の第1腕部51と第2腕部52が離反した開状態となっている。この状態において、操作部60を前方へ移動させると(
図2において二点鎖線で表示、矢印A1参照)、操作部60が取り付けられている第2連結部72が前方へ移動する(矢印B1参照)。このとき、ガイドピン73が切欠き721に沿って相対的に後方へ移動する。これにより、第2連結部72の後端部に連結されている回動アーム75が、反時針方向へ回動する(矢印C1参照)。
【0026】
回動アーム75が回動すると、回動アーム75の下端部に連結されている第1連結部71が後方へ移動するので(矢印D1参照)、第1連結部71の後端部に取り付けられている上連結アーム714及び下連結アーム715が後方へ移動する(矢印E1参照)。これにより、第1腕部51及び第2腕部52が、支軸53を中心として互いに接近する方向に回動して閉じるので(矢印F1参照)、第1腕部51及び第2腕部52の協働によって物を掴むことができる。
【0027】
一方、上述した閉状態において操作部60を後方へ移動させると(
図2において実線で表示、矢印A2参照)、操作部60が取り付けられている第2連結部72が後方へ移動する(矢印B2参照)。これにより、第2連結部72の後端部に連結されている回動アーム75が、時針方向へ回動する(矢印C2参照)。
【0028】
回動アーム75が時針方向へ回動すると、回動アーム75の下端部に連結されている第1連結部71が前方へ移動するので(矢印D2参照)、第1連結部71の後端部に取り付けられている上連結アーム714及び下連結アーム715が前方へ移動する(矢印E2参照)。これにより、第1腕部51及び第2腕部52が、支軸53を中心として互いに離反する方向へ回動して開く(矢印F2参照)ので、第1腕部51及び第2腕部52は把持している物を解放する。
【0029】
次に、動作玩具10を用いた遊戯動作について説明する。
図3には、動作玩具10をマジックハンドとして用いる場合が示されている。動作玩具10をマジックハンドとして用いる場合には、使用者は一方の手H1(ここでは、例えば右手)で第1把持部30の把持部材31を把持する。同時に、他方の手H2(ここでは、左手)で操作部60を把持して、左手H2を前後にスライドさせる。
【0030】
図3に示す状態では、操作部60は後端に位置しており、動作部50の第1腕部51及び第2腕部52は離反した開状態である。この状態で、第1腕部51と第2腕部52との間に物を置き、操作部60を引いて前進(
図3中矢印A参照)させると、第1腕部51及び第2腕部52が接近する方向へ回動して閉じる(
図3中二点鎖線参照)ので、物を把持することができる。一方、把持している物を解放する場合には、左手H2を後方へ移動させて操作部60を後方へ移動させると、第1腕部51及び第2腕部52が離反する方向へ回動して開くので、物を解放することができる。
【0031】
本実施形態に係る動作玩具10では、動作部50は、略C字状に形成された一対の第1腕部51及び第2腕部52を有しており、第1腕部51及び第2腕部52は、互いに凹部513、523が対向するように配置されている。そして、それぞれの先端面511、521が、支軸53を中心として互いに近接離反するように回動可能となっている。このため、それぞれの先端面511、521を接近させることにより物を掴んだり、それぞれの先端面511、521を離反させることにより掴んだ物を放すことができ、マジックハンドとして用いることができる。
【0032】
また、
図4には、動作玩具10を剣玩具として用いる場合が示されている。動作玩具10を剣玩具として用いる場合には、使用者は一方の手H1(ここでは、例えば右手)で第2把持部40を把持する。このとき、同時に移動規制部材74を把持するので、移動規制部材74は前後方向の移動が阻止される(
図2参照)。これにより、移動規制部材74が取り付けられている第1連結部71も移動が規制され、動作部50は動作しない。
【0033】
なお、動作玩具10を剣玩具として用いる場合には、操作部60を前端に移動させ、動作部50の第1腕部51及び第2腕部52を閉じた状態としておくと剣らしくなるので好ましい。また、動作部50を閉状態にしておくと、動作玩具10を剣玩具として振り回したときに、第1腕部51及び第2腕部52がガタつくことを防止できる。
【0034】
本実施形態に係る動作玩具10では、本体20の連続方向に沿った前側に第1把持部30が設けられ、第1把持部30よりも後側に設けられた操作部60よりもさらに他端側に第2把持部40が設けられている。また、第2把持部40よりも後側には動作部50が設けられており、動作部50は、操作部60の操作に連動して動作する。そして、使用者により第2把持部40が把持された際には、本体20に対する操作部60の移動が規制されるようになっている。
【0035】
また、本実施形態に係る動作玩具10では、操作部60及び動作部50を連結する第1連結部71及び第2連結部72を有し、第2把持部40に設けられた開口部41から第1連結部71の一部である移動規制部材74が露出している。これにより、第2把持部40を把持したときには、同時に移動規制部材74も把持されるため、第1連結部71及び第2連結部72の移動を規制し、本体20に対する操作部60の移動を規制することが可能である。
【0036】
本実施形態に係る動作玩具において、第2把持部40を把持して剣玩具として使用する場合には、動作部50を操作する操作部60の移動を規制することが可能であるため、第1腕部51及び第2腕部52が開閉してバタつき邪魔になることを防ぐことが可能である。
【0037】
また、本実施形態に係る動作玩具において、第1把持部30を把持したときには、操作部60の操作により動作部50を動作させることができるマジックハンドとして用いることが可能である。一方、第2把持部40を把持したときには、操作部60の移動が規制され、動作部50の第1腕部51及び第2腕部52の動作が規制された剣玩具として用いることが可能である。
【0038】
本実施形態に係る動作玩具によると、第1把持部30を把持した場合と、第2把持部40を把持した場合とで、それぞれ異なる遊びを提供することができ、興趣性の高い動作玩具を提供することが可能である。
【0039】
また、本実施形態に係る動作玩具によると、動作玩具10をマジックハンドとして用いる場合には、使用者が第1把持部30を把持した状態で操作部60を操作するため、第2把持部40開口部41から露出する移動規制部材74の動作を阻害することなく、動作部50である第1腕部51及び第2腕部52を開閉することができる。
【0040】
また、本実施形態では、動作玩具10を剣玩具として用いる場合(第2把持部を把持して使用する場合)において、第2把持部40に設けられた開口部41および移動規制部材74は、使用者の掌(例えば、右手H1)が開口部41から露出している移動規制部材74に接する位置に配置されている。このような位置に配置することにより、使用者の指の腹を移動規制部材74に接触させて移動規制部材74の移動を規制する場合に比較して、移動規制部材74を確実に押さえ付けることが可能であり、第1連結部71や第2連結ロッド72の移動を確実に規制することができる。
【0041】
本実施形態の動作玩具によると、複数の把持部(第1把持部30及び第2把持部40)を有する新たな動作玩具10を提供することができる。なお、本発明の動作玩具10は、前述した実施形態に限定されるものでなく、適宜な変形,改良等が可能である。例えば、前述した実施形態においては、本体20が直線状の剣の場合について説明したが、L字形状や湾曲している場合にも同様に適用できる。また、第1把持部、操作部、第2把持部、動作部等の配置は、本実施形態の配置に限定されず、例えば、第1把持部と操作部の位置を入れ替えることも可能である。
【0042】
また、前述した実施形態においては、動作部50が、第1腕部51と第2腕部52とが開閉することにより、離れた位置にある物を把持するマジックハンドである場合を説明したが、これに限るものではない。例えば、ナイフが飛び出す飛び出しナイフや、矢が飛び出す弓や、刃を回転させて穴をあけるドリルや、複数の銃身を回転させて弾を発するガトリング銃等にも適用できる。また、動作部50の動作に応じて、操作部も回転操作やトリガー操作可能な構造などに適宜変更することが可能である。このようにしても、前述した実施形態と同様の作用、効果を得ることができる。