特許第6674444号(P6674444)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6674444放射性物質の輸送および/または保管のためのバスケット
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6674444
(24)【登録日】2020年3月10日
(45)【発行日】2020年4月1日
(54)【発明の名称】放射性物質の輸送および/または保管のためのバスケット
(51)【国際特許分類】
   G21F 5/012 20060101AFI20200323BHJP
   G21F 9/36 20060101ALI20200323BHJP
   G21F 5/10 20060101ALI20200323BHJP
   G21C 19/32 20060101ALI20200323BHJP
【FI】
   G21F5/012
   G21F9/36 501G
   G21F9/36 501J
   G21F5/10 N
   G21C19/32 040
   G21C19/32 110
【請求項の数】16
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2017-506303(P2017-506303)
(86)(22)【出願日】2015年8月10日
(65)【公表番号】特表2017-523428(P2017-523428A)
(43)【公表日】2017年8月17日
(86)【国際出願番号】EP2015068331
(87)【国際公開番号】WO2016023849
(87)【国際公開日】20160218
【審査請求日】2018年7月30日
(31)【優先権主張番号】1457789
(32)【優先日】2014年8月13日
(33)【優先権主張国】FR
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】514312343
【氏名又は名称】テーエヌ アンテルナシオナル
(74)【代理人】
【識別番号】110001416
【氏名又は名称】特許業務法人 信栄特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ドラジュ,オリヴィエ
(72)【発明者】
【氏名】ロジェ,クリストフ
【審査官】 村川 雄一
(56)【参考文献】
【文献】 特開2005−208062(JP,A)
【文献】 特開2013−174603(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2005/0220255(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G21C19/00−19/50;23/00
G21F1/00−9/36
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
核燃料集合体などの放射性物質の輸送および/または保管パッケージングのためのバスケット(1)であって、
二つの反対向きの側面(81,85)を有する少なくとも一つの壁体(80,82,84)を含む少なくとも一つの内部仕切り(6,8)と、
少なくとも一つの周囲仕切り(10)と、
を含み、
前記内部仕切り(6,8)が、前記放射性物質を収容することを目的とする二つの同じセル(2)を少なくとも部分的に各側で画定して、前記周囲仕切り(10)が前記内部仕切り(6,8)とともに前記セル(2)の画定に関与し、
前記周囲仕切り(10)が、前記少なくとも一つの壁体(80,82,84)の一端部を受容する少なくとも一つのハウジング(100)を含み、前記ハウジング(100)が、二つの反対向きのハウジング側面(102,106)と、前記二つの反対向きのハウジング側面(102,106)を結合する底部(104)と、を含む、
バスケットにおいて、
前記バスケット(1)は、締結手段(9)を含み、
前記締結手段(9)は、前記壁体側面(81,85)の少なくとも一方を前記ハウジング側面(102,106)の少なくとも一方に押圧する、バスケット(1)。
【請求項2】
前記内部仕切り(6,8)が、所定の間隔により隔離されている二つの平行な壁体(82,84)を含み、前記壁体(82,84)の各々が外部側面(81)と内部側面(85)とを有し、前記締結手段(9)は、前記外部側面(81)の少なくとも一方または前記内部側面(85)の少なくとも一方前記ハウジング側面(102,106)の一方に押圧する、請求項1に記載のバスケット(1)。
【請求項3】
前記締結手段(9)が、
第1挟持面と呼ばれる、前記壁体(80,82,84)が押圧される前記ハウジング側面(102,106)と、
前記第1挟持面(102,106)に対向する第2挟持面と、
の間に、前記内部仕切り(6,8)の前記壁体端部(80,82,84)の挟持歪みを発生させる、請求項1または2に記載のバスケット(1)。
【請求項4】
前記少なくとも一つの壁体(80,82,84)の前記端部が、両方のハウジング側面(102,106)との機械的接触状態にあることにより前記ハウジング(100)に挟持される、請求項1から3のいずれか一項に記載のバスケット(1)。
【請求項5】
前記周囲仕切り(10)が、前記バスケット(1)の内向きの配向を持って前記セル(2)の画定に関与する内面(17)を含み、前記ハウジング側面(102,106)の少なくとも一方が前記内面(17)と直交するように前記ハウジング(100)が前記内面(17)に開口する、請求項1から4のいずれか一項に記載のバスケット(1)。
【請求項6】
前記バスケット(1)の横断面における、少なくとも一つの壁体の厚さ(107)と前記ハウジング側面の一方と接触している壁体側面の表面長(105)との比の値が0.2と1の間である、請求項1から5のいずれか一項に記載のバスケット(1)。
【請求項7】
前記周囲仕切り(10)の高さの少なくとも3/4で、好ましくは実質的に前記バスケット(1)の全高にわたって、前記内部仕切り(6,8)が前記周囲仕切り(10)との機械的接触状態にある、請求項1から6のいずれか一項に記載のバスケット(1)。
【請求項8】
積重ね係合構造セット(6a,8a)により形成される複数の内部仕切り(6,8)を含む、請求項1から7のいずれか一項に記載のバスケット(1)。
【請求項9】
前記バスケット(1)の高さに沿って互いに離間するとともに、他の締結要素(90)の値から独立する値を持つ締結力(F1)を各々が加えるように構成されている複数の締結要素(90)を前記締結手段(9)が含む、請求項1から8のいずれか一項に記載のバスケット(1)。
【請求項10】
前記締結手段(9)が、前記バスケット(1)の外側から締結/締結解除されるように構成されている、請求項1から9のいずれか一項に記載のバスケット(1)。
【請求項11】
前記締結手段(9)が、ネジ(92)と、前記ネジ(92)と協働するように構成されているナット(96)と、を含む、請求項1から10のいずれか一項に記載のバスケット(1)。
【請求項12】
前記締結手段(9)が少なくとも一つの顎部(94)を含み、前記顎部(94)が前記ナット(96)により隔離付勢されて、前記壁体側面(81)の少なくとも一方を前記ハウジング側面(102)の少なくとも一方に押圧する、請求項1から11のいずれか一項に記載のバスケット(1)。
【請求項13】
前記締結手段(9)が少なくとも一つの第1傾斜面(97)を含み、前記周囲仕切り(10)または前記壁体端部(80,82,84)が、前記第1傾斜面(97)に対して相補的であって前記第1傾斜面(97)に支持されるように構成されている少なくとも一つの第2傾斜面(95)を含む、請求項1から12のいずれか一項に記載のバスケット(1)。
【請求項14】
前記所定の間隔に配置される少なくとも一つの弾性締結要素(98)を前記締結手段(9)が含み、前記弾性締結要素(98)が、前記外部側面(81)の少なくとも一方を前記ハウジング側面(102,106)の一方に押圧する傾向を有する、請求項2に従属するという点で請求項2から9のいずれか一項に記載のバスケット(1)。
【請求項15】
パッケージングと、前記パッケージングを密閉する蓋体と、を含み、請求項1から14のいずれか一項に記載のバスケット(1)を前記パッケージングが収容する、核燃料集合体などの放射性物質のための輸送および/または保管パック。
【請求項16】
前記締結手段(9)と前記壁体側面(81,85)が押圧される前記ハウジング側面(102,106)との間に前記壁体(80,82,84)が配置されるように、前記壁体側面(81,85)の少なくとも一方を前記ハウジング側面(102,106)の少なくとも一方に押圧するステップを、前記壁体(80,82,84)の前記端部を前記ハウジング(100)で受容するステップの後に含む、請求項1から13のいずれか一項に記載のバスケット(1)の組立方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、放射性物質を保管および/または輸送するための保管装置に関する。より詳しく記すと、本発明は、好ましくは放射性の核燃料集合体を輸送および/または保管するための保管装置に関する。
【背景技術】
【0002】
保管「バスケット」または「ラック」とも呼ばれるこのような保管装置は、放射性核燃料集合体の輸送および/または保管のためこれが内側に載置される複数のセルを有する。燃料集合体は特に、エネルギー源として使用されなくなると原子力発電所からその保管または処理施設へ移動される。
【0003】
このバスケットタイプは高温にさらされる。しかし、バスケットを構成する構造要素の機械的特徴は温度とともに劣化するので、バスケットでの温度上昇を制限して、その機械的強度が非変形目標試験でのいわゆる自重落下と適合することを保証するため、バスケットに格納されている放射性集合体により発生される熱束を外部へ除去する必要がある。
【0004】
このようなバスケットでは、主として内部仕切りの長手方向に沿って延在するネジを締結することにより、周囲仕切りが内部仕切りに装着される。すると内部仕切りは、実質的には内部仕切りのエッジで周囲仕切りとの熱接触状態にある。
【0005】
バスケットからの熱除去を改良するため、内部仕切りと周囲仕切りとの間の熱接触エリアを増大すると有益である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、先行技術の解決法に見られる問題を少なくとも部分的に解決することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
これに関して、本発明の目的の一つは、核燃料集合体などの放射性物質の輸送および/または保管パッケージングのためのバスケットを提供することである。バスケットは、少なくとも一つの内部仕切りと、少なくとも一つの周囲仕切りと、を含む。周囲仕切りは、内部仕切りの周囲に横向きに配置される。内部仕切りは、二つの反対向きの側面を有する少なくとも一つの壁体を含む。
【0008】
内部仕切りは、放射性物質を収容することを目的とする二つの同じセルを、そのいずれかの側で少なくとも部分的に画定し、周囲仕切りは、内部仕切りとともにセルの画定に関与する。
【0009】
周囲仕切りは、少なくとも一つの壁体の一端部を受容する少なくとも一つのハウジングを含み、ハウジングは、二つの反対向きのハウジング側面と、ハウジング側面の両方を結合する底部と、を含む。
【0010】
本発明によれば、壁体側面の少なくとも一方をハウジング側面の少なくとも一方に押圧するように構成されている締結手段を、バスケットが含む。
【0011】
少なくとも一つの内部仕切り壁体とハウジングの側面の少なくとも一方との側方接触は、内部仕切りと、内部仕切りが装着されている周囲仕切りとの間の熱接触エリアを増大させる。
【0012】
その結果、バスケットの良好な熱除去が行われ、このようにして、これを構成する構造要素の中の温度が低下する。ゆえにこの熱除去の改良により、バスケットの機械的強度が高められる。
【0013】
壁体エッジがハウジング底部との熱的および機械的接触状態にもある時には、バスケットからの熱除去はさらに増進される。
【0014】
本発明は、互いに組み合わされるか組み合わされない以下の特徴のうち一つ以上を任意で含みうる。
【0015】
放射性物質のタイプに応じて、内部仕切りは、間隔により隔離された二つの平行な壁体を含み、壁体の各々が外部側面と内部側面とを有し、内部/外部側面の少なくとも一方が締結手段によりハウジング側面の一方に押圧されるように構成されている。
【0016】
内部仕切り端部が、二つの別々の隔離ハウジングに受容される二つの壁体を含む場合には、壁体側面の各々が反対向きのハウジング側面の一方との熱的および機械的接触状態にあることが好ましい。
【0017】
第1挟持面と呼ばれる、内部仕切り壁体が押圧されるハウジング側面と、第1挟持面と対向する第2挟持面との間で内部仕切り壁体端部の挟持歪みを締結手段が発生させると、有利である。
【0018】
内部仕切りが挟持されると、内部仕切りと周囲仕切りとの間の熱交換が増進される。
【0019】
特定の実施形態によれば、両方のハウジング側面との機械的接触状態にあることにより、少なくとも一つの壁体の端部がハウジングで挟持される。
【0020】
有利な実施形態によれば、バスケットの内向きに配向されてセルの画定に関与する内面を周囲仕切りが含み、ハウジング側面の少なくとも一方がこの内面に直交するようにハウジングは内面に開口している。
【0021】
好ましくは、バスケットの横断面における、少なくとも一つの壁体の厚さと、ハウジング側面の一方との壁体側面接触面の長さとの比の値は、0.2と1の間である。両方の壁体側面がハウジング側面との接触状態にある時には、1に等しい比がやはり有利である。
【0022】
別の有利な実施形態によれば、周囲仕切りの高さの少なくとも3/4で、好ましくは実質的にバスケットの全高にわたって、内部仕切りが周囲仕切りとの機械的接触状態にある。
【0023】
別の特定実施形態によれば、バスケットは、積重ね係合構造要素により形成される複数の内部仕切りを含む。
【0024】
締結手段は、好ましくは、バスケットの高さに沿って互いに離間した複数の締結要素を含む。締結要素は、好ましくは、他の締結要素の値から独立する値を持つ締結力を各々が加えるように構成されている。
【0025】
高さに沿って離間した複数の締結要素は、実質的にバスケットの全高にわたって延在する単一部材として設けられた内部仕切りと周囲仕切りとの機械的および熱的接触を特に容易にする。
【0026】
他方、積重ね係合構造要素により内部仕切りが形成される時には、バスケットの全高にわたって互いに離間した複数の締結要素も興味深い。実際に、これにより、締結要素は、積重ね係合構造要素に生じうる膨張差と生じうる製造および組立公差とをはるかに簡単に補正することを可能にする。
【0027】
バスケットの外側から締結/締結解除されるように締結手段が構成されると、有利である。バスケット組立/分解作業が特に容易となる。
【0028】
一つの特定実施形態によれば、締結手段は、ネジと、ネジと協働するように構成されたナットと、を含む。このようにして、締結手段は簡易構造のものであって、内部仕切りを周囲仕切りに装着するのにも使用されうる。
【0029】
有利な実施形態によれば、締結手段は、少なくとも一つの顎部を含み、壁体側面の少なくとも一方をハウジング側面の少なくとも一方に押圧するため、顎部はナットにより隔離付勢される。
【0030】
締結手段は、好ましくは少なくとも一つの第1傾斜面を含み、周囲仕切りまたは壁体端部は、第1傾斜面と相補的であって第1傾斜面に支持されるように構成されている少なくとも一つの第2傾斜面を含む。締結エリアの増大は、ハウジングでの壁体の側方押圧を容易にする。
【0031】
有利な実施形態によれば、締結手段は、上に定義された間隔に配置される少なくとも一つの弾性締結要素を含み、弾性締結要素は、外部側面の少なくとも一方をハウジング側面の少なくとも一方に押圧する傾向を有する。
【0032】
本発明はまた、核燃料集合体などの放射性物質を輸送および/または保管するためのパックに関しており、このパックは、パッケージングと、パッケージングを密閉する蓋体と、を含み、パッケージングは上に定義されたバスケットを収容する。
【0033】
本発明はまた、上に定義されたバスケットの組立方法に関し、締結手段と、壁体側面が押圧されるハウジング側面との間に壁体が配置されるように、壁体側面の少なくとも一方をハウジング側面の少なくとも一方に押圧するステップを、壁体端部をそのハウジングに受容する先行ステップの後に含む。
【図面の簡単な説明】
【0034】
添付図面を参照して、純粋に示唆的であっていかなる点でも限定の目的はない例示的実施形態の説明を読むと、本発明がより良く理解されるだろう。
図1】本発明の好適な第一実施形態による、放射性物質を輸送/保管するためのバスケットの部分的概略分解図である(締結手段は不図示)。
図2】本発明の好適な第二実施形態による、放射性物質を輸送/保管するためのバスケットの部分的概略分解図である(締結手段は不図示)。
図3】周囲仕切りハウジングへの内部仕切りの締結を示す、第一または第二実施形態によるバスケットの部分的概略横断面図である。
図4図3の周囲仕切りの部分的概略斜視図である。
図5】周囲仕切りハウジングへの内部仕切りの締結を示す、図3の代替的実施形態の部分的概略図である。
図6】周囲仕切りハウジングへの内部仕切りの締結を示す、図3の別の代替的実施形態の部分的概略図である。
図7】周囲仕切りハウジングへの内部仕切りの締結を示す、図5の代替的実施形態の部分的概略図である。
図8】周囲仕切りハウジングへ内部壁体の締結を示す、図3のまた別の代替的実施形態の部分的概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0035】
異なる図の同一、類似、または同等の部品には、一つの図から他の図への切り換えを容易にするように同じ参照番号が付けられている。
【0036】
図1は、燃料集合体を輸送および/または保管するためのパッケージング(不図示)における放射性核燃料集合体のための保管装置1を表している。以下の説明で、保管装置1はバスケットと呼ばれる。バスケット1は、ヘッドプレート3と底部(不図示)とを含む。
【0037】
図1および2を参照すると、バスケット1は複数の隣接セル2を含み、セルの各々はバスケットの長手軸線4に沿って延在している。セル2は方形断面のものである。各々が方形断面の燃料集合体を受容できる。しかし、燃料集合体および/またはセル2は、六角形状など、他の形状を取ってもよい。
【0038】
セル2は、互いに並置されるように設けられている。セルは複数の仕切り6,8,10から成る。仕切り6,8,10は、第1の内部仕切り6のセットと、第2の内部仕切り8のセットとともに、バスケットの長手軸線4について内部仕切り6,8の周囲に径方向に配置される周囲仕切り10のセットによりそれぞれ画定される三つの別々の仕切りセットに分配される。
【0039】
仕切り6,8,10は、幾つかのセル2に共通している。これに関して、内部仕切り6,8は概して、当の内部仕切り6,8の各側に配置される幾つかのセル2の画定に関与することに言及しておく。仕切り6,8は、セル2を隔離することを目的とする一つ以上の壁体80,82,84を含む。これらの壁体80,82,84は、基本的にプレートの形状である。
【0040】
内部壁体6,8は、方形断面のセル2を形成するため、互いに平行かつ垂直に配置されるように互いに組み付けられる。第1内部仕切り6は、その間の第2内部仕切り8と同じように、互いに平行に配置されている。また、第1内部仕切り6は、第2内部仕切り8に対して実質的に垂直になるように組み付けられる。周囲仕切り10は、バスケット1の周囲でセル2を密閉するように内部仕切り6,8に装着される。
【0041】
言い換えると、内部仕切り6,8は、セル2を画定する四つの平面状側面のうち少なくとも三つを構成するのである。周囲仕切り10の内面17の各々は、セル2を画定する四つの平面状側面のうちおそらく一つを形成する。
【0042】
これらの内面17は、バスケット1の周囲に配置されるとともにバスケット1の外側を画定する周囲仕切り10の外面19と反対向きの、バスケット1の内向きの配向を持つ。パッケージング(不図示)の円形空洞に対するバスケット1の挿入/取り出しを容易にするように、外面19は好ましくは円弧である。
【0043】
第一実施形態をより具体的に参照すると、内部仕切り6,8は、それが画定するセル2の全長に各々が延在するように、単一部材として製作される。同様にして、周囲仕切り10は、それが画定するセル2の全長に各々が延在するように、単一部材として製作される。
【0044】
図2を具体的に参照すると、セル2は、切欠きを備える複数の構造アセンブリ6a,8aから成り、バスケットの長手軸線4に平行な積重ね方向11に積み重ねられる。積重ね方向11は、保管装置の底部からバスケットヘッドプレートまで延在する。積重ね方向11はバスケット高とも呼ばれる。
【0045】
第1方向13に沿った平行な構造アセンブリ6aの積重ねは、第1内部仕切り6を形成する。第2方向15に沿った平行な構造アセンブリ8aの積重ねは、第2内部仕切り8を形成する。
【0046】
方向11,13,15は、互いに直交している。切欠き構造アセンブリ6a,8aはこうして、垂直に係合している。
【0047】
構造アセンブリ6a,8aは、それが装着された少なくとも二つの反対向きの周囲仕切り10の間に延在する。第二実施形態において、周囲仕切り10は単一部材として製作される。代替的には、複数の積重ね構造アセンブリにより各周囲仕切り10が製作されるようにすることも大いに検討に値する。
【0048】
図3および4は、第一または第二実施形態による、バスケット1の周囲仕切り10のハウジングへの内部仕切り6,8の一方の締結を表している。
【0049】
内部仕切り6,8は、所定の間隔により隔離される二つの平行な壁体82,84を含む。壁体82,84は好ましくは同一である。壁体82,84の各々は、外部側面81と内部側面85とを有するため、外部側面81と内部側面85とは壁体82,84の各側にある。例えば、間隔eの内側で内部側面85に支持されるスペーサ(不図示)によって、間隔eが一定に保たれる。
【0050】
内部仕切り6,8の端部は、周囲仕切り10に設けられて、仕切り82,84を収容する二つのハウジング100を含む凹部101に収容される。
【0051】
内部仕切り6,8の平行壁体82,84の各々の端部は、周囲仕切り10のハウジング100の一つに受容される。これらのハウジング100の各々は、二つの反対向きの平行側面102,106を含む。ハウジング側面102,106は、底部104でつなげられている。ハウジング100は周囲仕切り10の内面17に通じているため、ハウジング側面102,106は内面17に直交している。内面17と内部仕切り6,8とは、内部仕切り6,8の各側に二つの連続セル2を画定する。
【0052】
壁体82,84の各々の外部側面81は、締結手段9によりハウジング側面102,106の一方に押圧される。外部側面81は、内部仕切り6,8と周囲仕切り10との熱接触を促進するように、ハウジング側面102,106に対して相補的な形状を有する。図3の実施形態では、内部仕切り6,8の端部のハウジング側面102,106は互いに平行である。
【0053】
図4をより具体的に参照すると、締結手段9は、バスケット1の高さに沿って互いから離間した複数の締結要素90を含む。各締結手段90は、ネジ92と、ネジ92と協働するナット96と、を含む。ネジは、外面19を通過する周囲仕切り10の穴91に収容されている。このようにして、ネジ92のヘッドに作用することにより、締結要素90はバスケット1の外側からネジ結合/解除されうる。ナット96が二つの顎部(jaw)94の間に配置されるため、顎部94はナット96とネジ92とにより隔離付勢されて、壁体側面81をハウジング側面102に押圧する。
【0054】
より正確に記すと、ナット96は二つの第1傾斜面97を有し、周囲壁体10は、第1傾斜面97に対する相補形状を持つ二つの第2傾斜面95を各顎部94に含む。第1傾斜面97および第2傾斜面95は、その間の機械的接触エリアを最大にして、ハウジング100への内部仕切り6,8の壁体82,84の側方締結を促進するように、互いに支持されることを意図したものである。
【0055】
締結要素90の各々は、ネジ92およびナット96に加えられる張力に応じて、他の締結要素90の値から独立した値を持つ横締結力Fを加える。このようにして、締結要素90は、内部仕切り6,8および/または周囲仕切り10に生じうる膨張差と生じうる製造および組立公差とをはるかに容易に補正することを可能にする。
【0056】
この目的のため、バスケット1の高さに沿って互いから離間している独立した締結要素90は特に、実質的には、例えば周囲仕切り10の高さの少なくとも3/4であるバスケット1の全高にわたって、内部仕切り6,8と周囲仕切り10との機械的および熱的接触を設けることを可能にする。
【0057】
図3および4の実施形態において、顎部94は、特に押出し加工により周囲仕切り1との単一部材として形成される。このようにして、内部仕切り壁体82,84は、少なくともハウジングの両方の反対向きの側面102,106において、周囲壁体10との熱的接触状態にある。壁体82,84は、このようにしてハウジング100に挟持される。すると、ハウジング100の第1側面102は、各壁体82,84の第1挟持面を形成し、ハウジング100の第2側面106は、この壁体82,84の第2挟持面を形成する。
【0058】
内部仕切り6,8と締結要素90とは、壁体82,84に平行であって軸線93を通過する平面の平面対称性により実質的に対称的である。
【0059】
加えて、第1傾斜面97は外面19に対して傾斜している。これにより、壁体82,84の各々は、当該のハウジング100の底部104との接触状態にある。図3および4の実施形態の締結要素90は、内部仕切り6,8を周囲仕切り10に装着するための唯一の手段である。
【0060】
代替的に、各顎部94は、壁体内部側面85の残りから突出するように、壁体82,84の一方との単一部材として形成されるか、壁体82,84の一方に装着されてもよい。これらの代替的実施形態は、顎部94のより迅速な機械加工を可能にするという利点をおそらく有する。
【0061】
他方、周囲壁体10および/または締結要素90に装着される内部仕切り6,8も平面対称性を有していない。
【0062】
さらに代替的に、第1傾斜面97は、内面17に向かって互いに接近する反対向きの傾斜のものである。
【0063】
代替例として、壁体82,84の各々のエッジとハウジング底部104との間の間隙が設けられて、特にバスケット1に生じうる膨張差および/または方向93に沿ってバスケット1が受ける可能性のある衝撃が補正されることを可能にする。しかし、外部側面81とハウジング面102との唯一の熱接触と、内部側面85とハウジングの側面106とに生じうる熱接触とは、概して、内部仕切り6,8と周囲仕切り10との熱交換をさせるのに充分である。この目的のため、図3または図8に表されているバスケット1の横断面と例えば図2の横面Pにおける、壁体82,84の各々の厚さ107と外部側面81とハウジング側面102,106の一方との接触面の長さ105との比の値が、0.2と1の間であると、概して充分である。
【0064】
さらなる代替例として、バスケット1は、内部仕切り6,8を周囲仕切り10に装着するための手段(不図示)を含み、締結手段9は、内部仕切り6,8が周囲仕切り10に少なくとも部分的に装着されると、ハウジング側面102,106の少なくとも一方に壁体80,82,84を押圧することにのみ使用される。
【0065】
図5は、図3および4の代替的実施形態を表しており、内部仕切り6,8は単一壁体80を含む。この単一壁体80は、二つの反対向きの側面81と、これらの側面の両方を結合するエッジ83と、を含む。内部仕切り6,8の端部を収容する凹部101は、単一壁体80の端部を収容する単一ハウジング100を含む。エッジ83は、ハウジング100の底部104から離れて配置されている。
【0066】
内部仕切り6,8の外部側面81は、単一顎部94を有する締結要素9によりハウジング側面102,106に押圧される。顎部94は例えば、周囲仕切り10とともに押出し加工により単一部材として形成される。この顎部94は、ナットハウジング99に受容されたナット96と協働するネジ92により、壁体80に横向きに締結される。ナットハウジング99は、内面17と局所的に直交するように内面17に通じている。
【0067】
図6の代替実施形態は、バスケット1の横断面で二つの締結要素90を含むという点で、図3および4のものと区別される。他方、締結要素90はハウジング100に少なくとも部分的に受容され、締結要素90には顎部94が設けられていない。内部仕切り6,8の端部を受容する凹部101は、周囲仕切り10の中間壁体108により互いに隔離されている二つのハウジング100を含む。壁体82,84の各々は、ハウジング側壁体106により形成される第1挟持面と、ナット96とそれが締結している壁体82,84との接触面により形成される第2挟持面109との間に挟持される。
【0068】
締結要素90の各々は、ネジ92と、ネジ92と協働するナットと、を含む。ネジ穴91は、ハウジング底部104でハウジング100に通じている。ナット96は、第2挟持面109に沿って壁体82,84の外面81により支持されることにより、ハウジング100に配置される。ナット96は、第1傾斜面97を備え、第2傾斜面95は、第1ハウジング側面102を形成する。第2傾斜面95は、内面17に通じるように周囲仕切り10に直接切り込まれ、90°と異なる角度を内面17とともに形成する。
【0069】
図3および4の実施形態と同様に、第1方向13または第2方向15である内部仕切り6,8の長手方向の配向を持つ締結力Fで、ネジ92が締結される。これにより、ナット96は、壁体82,84の内部側面85を第2ハウジング側面106に押圧するように、壁体82,84の外部側面81に締結横力Fを直接加える。
【0070】
内部仕切りの壁体82,84の間の間隔eは、壁体82,84の内部側面85に支持された横空隙86により、そして二つの連続ハウジング100の間に配置された周囲仕切り10の部分により、一定に保たれる。
【0071】
図7の代替的実施形態は、締結要素90が少なくとも部分的にハウジング100に設けられている点と、締結要素90がナットも顎部も包含しないという点で、図5の実施形態と異なっている。凹部101は、プッシャ96を部分的に収容する単一ハウジング100を含み、壁体80は、第1ハウジング側面102により形成される第1挟持面と、プッシャ96と壁体80との接触面である第2挟持面109との間に挟持される。
【0072】
壁体80は、エッジ83によりつなげられる二つの反対向きの外部側面81を含む。締結要素90は、バスケット1の外側からアクセス可能なヘッドを持つネジ92と、外部側面81の一方を第1ハウジング側面102に押圧することを目的とするプッシャ96と、を含む。プッシャ96があるため、壁体の他の外部側面81は第2ハウジング側面106と機械的および熱的接触状態にない。ネジ92は、ハウジング100に通じている周囲仕切り10の陥凹部99に少なくとも部分的に配置されているプッシャ96に支持される。壁体エッジ83は、ハウジング底部104から離れて配置されている。
【0073】
図8は、締結要素90がネジ、ナット、または顎部を含まないという点で図3および4の実施形態とは区別される、本発明の別の代替例を表している。他方、締結要素90は周囲仕切り10から離れて配置されている。最後に、内部仕切り6,8の両方の壁体82,84は単一ハウジング100に受容されている。この単一ハウジング100は凹部101を形成し、壁体82,84の両方の外部側面81はそれぞれ、第1ハウジング側面102と第2ハウジング側面106とに押圧されている。
【0074】
内部壁体6,8の端部と締結要素90とは、軸線93を通る平面対称性により対称である。この図に表されている締結要素90は、弾性締結要素98と、弾性締結要素98の応力要素920と、を含み、応力要素920は、締結要素98が内部側面85の間に保持されることも可能にする。
【0075】
弾性締結要素98は、例えばバネ鋼が曲げられた弾性ワッシャのセットの形を取る。ワッシャセットは間隔eに配置され、それが互いを隔離付勢する内部側面81によって支持されている。壁体82,84の外部側面81はこうして、横力Fでハウジング側面102,106に押圧されている。
【0076】
応力要素920は、壁体の内部側面81の間に挿入されうるように弾性締結要素98を押圧することを目的とする。他方、応力要素920は弾性締結要素98を隔離状態で付勢するのにも使用されるため、弾性締結要素98は内部側面85を互いから充分に離間させて、外部側面81をハウジング側面102,106に押圧する。
【0077】
バスケット1は、以下に記載の方法により組み立てられる。バスケットの中央セル2を形成するように、内部仕切り6,8が予め互いに装着される。続いて、バスケット1の周囲セル2を横向きに密閉するように、周囲仕切り10が内部仕切り6,8に組み付けられる。内部仕切り6,8の壁体側面81,85の少なくとも一方を凹部のハウジング面102,106の少なくとも一方に押圧することにより、内部仕切り6,8の端部の各々が当該の凹部101に収容される。
【0078】
底部とヘッドプレート3とは、バスケットの高さ11の各側におけるバスケット1の仕切りすべての保持に寄与し、ヘッドプレートによりバスケットとの取り扱いも可能となる。
【0079】
以下、図3〜8を参照して、内部仕切り6,8と周囲仕切り10との組立方法をより詳しく説明する。
【0080】
内部仕切り6,8の壁体80,82,84の両端部が最初に、当該のハウジング100に受容される。すると端部の一方に配置された締結要素9が、壁体80の側面81,85の少なくとも一方をハウジング側面102,106の少なくとも一方に押圧する。このようにして、壁体80,82,84は、このハウジング側面102,106と締結手段9との間に配置される。
【0081】
内部仕切り6,8が二つの壁体82,84を含む場合には、締結手段9がハウジング側面102,106の少なくとも一方にこれらの壁体82,84を押圧する前に、両方の壁体82,84が最初にハウジング100に受容されることが好ましい。
【0082】
加えて、少なくとも一つの壁体80,82,84の側面81,85の少なくとも一方の、対応するハウジング側面102,106への押圧を締結手段9が保証する前に、内部仕切り6,8が少なくとも部分的に周囲仕切り10に装着されうる。
【0083】
壁体80,82,84が締結手段9によりハウジング側面102,106の少なくとも一方に締結される前に、第1方向13に沿った、または第2方向15に沿ったものである内部仕切り6,8の伸長方向に沿って、壁体80,82,84が摺動されうる。この摺動は、例えば、バスケット1の膨張差の補正、および/またはバスケット1が受ける衝撃の受容を可能にする。
【0084】
言うまでもないが、本発明の開示範囲を逸脱することなく、当業者により、上述した本発明に様々な変形が加えられてもよい。
【符号の説明】
【0085】
1 バスケット
2 セル
3 ヘッドプレート
4 長手軸線
6,8 内部仕切り
6a,8a 構造アセンブリ
9 締結手段
10 周囲仕切り
11 積重ね方向
13 第1方向
15 第2方向
17 内面
19 外面
80,82,84 壁体
81 外部側面
83 エッジ
85 内部側面
86 横空隙
90 締結要素
91 穴
92 ネジ
93 軸線
94 顎部
95 第2傾斜面
96 ナット/プッシャ
97 第1傾斜面
98 弾性締結要素
99 ナットハウジング/陥凹部
100 ハウジング
101 凹部
102 ハウジング側面
104 底部
105 表面長
106 ハウジング側面
107 厚さ
108 中間壁体
109 第2挟持面
920 応力要素
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8