(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
そのような真空ポンプと関連する課題は、真空の効果的な発生を実現するために周囲環境から空洞を密閉することである。そのため、本発明の課題は、周囲環境からの空洞の密閉形態を強化するとともに、空洞内に真空を効果的に発生させることができる前記の形式の真空ポンプを提示することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この課題は、特に、ロータが中心シャフトの偏心部品を半径方向に対して包囲する、請求項1の特徴を有する前記の形式の真空ポンプによって解決される。
【0009】
このロータは、好ましくは、空洞内の固定位置に配置されて、その回転軸の周りを回転可能なだけである。この空洞内に延びる回転可能な中心シャフトは、必ずしも空洞の幾何学的中心を通って延びる必要が無く、むしろ中心シャフトの回転軸がロータの回転軸からずらされた形で、中心シャフトが空洞の多少とも中心位置を通って延びれば、それで十分であり、本発明に基づくことである。中心シャフトには、中心シャフトの回転軸からずらされた偏心部品が配備されている。それは、主軸、中心軸、回転軸又は偏心部品との係合点が中心シャフトの回転軸からずらされていることを意味する。この羽根部材が、中心シャフトの回転時に駆動可能であるか、或いは中心シャフトが、任意選択により羽根を駆動して、ロータの回転時に駆動可能であるように、この羽根部材は、偏心部品を用いて、中心シャフトと連結されている。この中心シャフトと羽根部材の連結形態は、中心シャフトから羽根部材又はその逆に力を伝達する作用点を規定する。
【0010】
本発明では、ロータが、中心シャフトの偏心部品を半径方向に対して包囲する。言い換えると、偏心部品は、ロータ内に包み込まれている。中心シャフトの回転軸がロータの回転軸からずらされており、偏心部品が、中心シャフトに偏心的に配備されているので、回転時に、偏心部品は、ロータに対して相対的に往復運動する。ロータが偏心部品を半径方向に対して包囲する場合、ロータは、中心シャフトも半径方向に対して包囲する。そのため、中心シャフトが空洞内を延びる通路も、ロータによって半径方向に対して包囲される。従って、空洞に対してロータを密閉すればそれで十分であり、ロータと空洞の筐体により形成される内周壁との間で画定される空洞内には、中心シャフト用の追加の隙間、スロット又は通路は無い。偏心部品がロータにより半径方向に対して包囲されるとの事実のために、偏心部品は、中心シャフトとロータの回転時に、ロータの「外側」では動かない。そのため、追加の密閉箇所を省略することができて、真空ポンプの全体的な密閉形態が強化される。
【0011】
上述した発明の更なる実施例及び発展形態は従属請求項に記載されている。
【0012】
好ましい第一の実施形態では、ロータは、ほぼ円筒形の
ロータ壁を備えて、内側空間を画定し、中心シャフトの前記の偏心部品は、中心シャフトの回転時に、ロータの半径方向に往復運動する。従って、偏心部品、中心シャフト及び偏心部品と羽根部材の間の連結部も、このロータの内側空間内に配置され、そのため、ロータ内に包み込まれている。
【0013】
この
ロータ壁は、如何なる好適な形状にもすることができる。好ましくは、この
ロータ壁は、ほぼ円筒形の形状である。それは、密閉構成をより簡単にする。好ましくは、空洞を画定する筐体は、ほぼ平坦な底面とほぼ平坦な上面、及びこれらの底面と上面を接続する周囲壁を有する。この底面は、好ましくは、ケーシングと一体的なものとすることが可能な底板により構成される。この上面は、好ましくは、カバープレートとすることが可能な端板により構成される。このロータは、好ましくは、底面から上面にまで延びて、これらに対して密閉される。中心シャフトの偏心部品が、ロータの半径方向に往復運動して、ロータの内側空間内に配置されるとの事実のために、底面と上面に対してロータを密閉する必要が有るだけであり、従って、真空ポンプの強化された密閉構成が提供される。
【0014】
更に、ロータの内側空間の内径が、偏心部品の中心軸とロータの回転軸の最大オフセットの少なくとも二倍であるのが好ましい。この偏心部品の中心軸とロータの回転軸の最大オフセットは、ロータの固定された回転軸に対して相対的な偏心部品の最大行程として解釈することもできる。従って、ロータの内側空間がこの実施形態に基づく内径を有する場合、偏心部品が、従って、羽根部材と偏心部品の間の連結部が、ロータ内に持続的に配置されて、密閉する必要の有る追加の連結箇所が空洞内に無いことが保証される。これは、更に、真空ポンプの密閉形態を改善して、真空を効果的に発生させることとなる。
【0015】
別の好ましい実施形態では、中心シャフト及び/又はロータの回転時に、羽根部材がロータの半径方向にスライド可能であるように、ロータ壁は、半径方向の互いに逆側の第一と第二の位置に第一と第二のスロットを有する。これらの第一と第二のスロットは、羽根部材用の案内部を形成する。好ましくは、羽根部材は、これらのスロットを用いてのみロータと連結される。羽根部材は、好ましくは、例えば、密着した関係により、或いは弾力的なリップ部、ゴム性のリップ部又はその同等物などの追加の密閉手段を用いて、これらのスロットの所でロータに対して密閉される。
【0016】
中心シャフト、ロータ及び羽根部材が、能動的に互いに連結されるのが、特に好ましい。従って、これら三つの主要な可動部品、即ち、偏心部品を配備された中心シャフト、ロータ及び羽根部材は、常に互いに幾何学的に定義された関係を有する。そのため、中心シャフト、ロータ及び羽根部材の間の能動的な連結だけに基づき、羽根部材を駆動して動かすことが可能であり、空洞の内周壁を用いて羽根部材を案内する必要は無い。従って、羽根部材は、必ずしも壁に接触する必要はない。そのため、真空ポンプの摩擦損失を除去することができる。更に、羽根部材が壁により案内されず、それが、羽根部材と内周壁の間の損失を低減させることとなるので、羽根部材と空洞の内周壁の間の密閉を改善することが可能となる。
【0017】
別の好ましい実施形態では、中心シャフトは、羽根部材とロータの回転角の二倍の回転角で回転する。従って、例えば、中心シャフトが180°の角度だけ回転した場合、羽根部材とロータは、90°の角度だけ回転する。そのため、中心シャフトは、ロータ及び羽根部材の二倍速く回転する。この中心シャフトとロータの間の伝達は、中心シャフト上の偏心部品を用いて羽根部材を中心シャフトと連結して、中心シャフトの回転軸をロータの回転軸からずらし、中心シャフト上の偏心部品を用いて羽根部材の作用点を中心シャフトの回転軸からずらすことを規定する部品の特別な連結形態と幾何学的特性に基づき行なわれる。従って、中心シャフトの速度の半分でロータと羽根を回転させることが可能となる。それは、例えば、中心シャフトが出力速度の速い電気モータを用いて駆動される場合に有益である。多くの用途では、羽根部材のより遅い回転が、所望の真空を提供するのに十分である。駆動シャフトを構成する中心シャフトと羽根部材の間に伝達部を組み込むことは、真空ポンプの可動部品に対する負荷及び応力を低減せて、真空ポンプの寿命を向上させることとなる。他方において、駆動部材としてロータを使用して、そのロータを電気モータ、ベルトドライブ又はその同等物に直接連結することも可能である。その場合、羽根部材が駆動モータの出力速度で、そのため、従来技術において共通の真空ポンプと同様に回転する。従って、本発明の真空ポンプは、伝達部を備えた、或いは伝達部を備えていない両方の用途において、特定の使用形態の特定の要件に応じて使用することができる。
【0018】
真空ポンプの別の好ましい実施形態では、中心シャフトに対して相対的な偏心部品の半径方向の最外点は、(a)羽根部材の縦方向面上の第一の回転位置と、(b)羽根部材の縦方向面から遠い第二の回転位置とに位置し、この第一の回転位置では、羽根部材の一つの先端だけがロータから突き出て、この第二の回転位置では、両方の先端がロータからほぼ同じ距離だけ突き出る。好ましくは、第三の回転位置は、又もや第一の回転位置に対応し、第四の回転位置は第二の回転位置に対応する。前述した通り、偏心部品は、好ましくは、ロータの回転時に、ロータ内を半径方向にストローク形態で往復運動する。そのため、羽根部材が偏心部品に係合しているので、羽根部材もロータに対して相対的にストローク形態で動く。言い換えると、偏心部品は、羽根部材用のクランクのように動作する。羽根部材は、羽根部材をクランク回転させる偏心部品のストロークにより、ロータの半径方向に動かされ、その結果、真空ベーンポンプの空洞内の可変動作室が作り出される。
【0019】
そのような実施形態では、更に、偏心部品と羽根部材の間の力の作用点における駆動力の方向が、(a)第一の回転位置で、羽根部材の面に対してほぼ直角であり、(b)第二の回転位置で、羽根部材の面に対してほぼ平行であることが好ましい。従って、中心シャフトを駆動シャフトとして使用する実施形態と関連して述べた時の、羽根部材の羽根の一つの先端だけがロータから突き出る第一の回転位置では、駆動力の方向がロータに対して接線方向であり、羽根部材からロータへの力の伝達が最大値となり、ロータの半径方向における羽根部材の運動速度がゼロに等しい。羽根部材の両方の先端がロータからほぼ同じ距離だけ突き出る第二の回転位置では、力の作用点における駆動力の方向は、羽根部材の面に対してほぼ平行となり、従って、羽根部材からロータへの力の伝達が最小値になると同時に、ロータの半径方向における羽根部材の運動速度が最大値になる。
【0020】
別の特に好ましい実施形態では、偏心部品は、中心シャフト上のカムとして構成され、羽根部材は、中心中空被筒を有し、羽根部材は、この被筒を用いてカムの周りに設置される。好ましくは、偏心部品を構成するカムは、断面が円形のほぼ円筒形である。好ましくは、偏心部品を構成するカムは、中心シャフトよりも大きな直径を有する。従って、偏心部品と羽根部材の中空被筒の間の接触面は、単一部品の間での力の伝達を改善することとなる。更に、そのような構成は、部品の構成を安定して著しく強固にし、それは、又もや真空ポンプの密閉形態を改善するとともに、真空を効果的に発生させることとなる。そのような実施形態では、カムの中心軸は羽根部材の作用点と同じである。
【0021】
この被筒の互いに逆側で半径方向に突き出た、中空被筒上の第一と第二の羽根を有する単一のワンピース羽根部材として構成された羽根部材が特に好ましい。一方において、そのような羽根部材は製造し易い。他方において、単一のワンピースとして羽根部材を構成した場合、羽根と中空被筒の間の接続箇所が不要となり、羽根部材の構造をより強固に、より安定させることとなり、それは、又もや周囲環境から真空ポンプを密閉するのに有益である。
【0022】
この形式の別の好ましい実施形態では、カムは、中心シャフトに沿って第一の軸方向位置から第二の軸方向位置にまで延びて、第一と第二の位置の両方が空洞内に位置する。好ましくは、第一と第二の位置の両方が、ロータ内にも位置する。従って、偏心部品全体が、空洞内に配置され、好ましくは、ロータ内に配置され、それは、密閉形態を改善することとなる。偏心部品は、クランクのように、或いはロータに対して相対的にストローク形態で動き、従って、この部品が完全に空洞内に、好ましくは、ロータ内に収容されるとの事実のために、空洞内に延びる中心シャフトだけが、シールを配備されるが、偏心部品自体には配備されない。
【0023】
別の好ましい実施形態では、中心シャフトの終端部がロータの互いに逆側から、好ましくは、空洞の互いに逆側から突き出るように、中心シャフトがロータを通って、好ましくは、空洞を通って延びる。好ましくは、中心シャフトは、空洞の底面と上面を通って延びる。好ましくは、中心シャフト用の少なくとも一つのベアリングが空洞の底部に配備され、中心シャフト用の少なくとも一つのベアリングが空洞の上部に配備される。従って、中心シャフトは、偏心部品の互いに逆の両側のベアリング内に設置することができ、偏心部品と羽根部材の運動により発生する力を筐体に伝達することができる。それは、構造を安定させて強固にするとともに、密閉形態が更に強化される。
【0024】
更に、ロータの回転軸に対して相対的な中心シャフトの回転軸のオフセットが中心シャフトの回転軸に対して相対的な羽根部材の作用点のオフセットとほぼ同じであることが好ましい。それは、可動部品を好適に適合させるとともに、正しい運動を提供する。
【0025】
特に好ましい実施形態では、ロータは、空洞の底板及び/又は端板に対してロータを軸支するための少なくとも一つのベアリングジャーナルを有する。この底板は、好ましくは、空洞の底面を構成し、この端板は、好ましくは、空洞の上面を構成する。一般的に、底板は筐体と一体的に構成することができる。この端板は、筐体と別個にして、ネジ等により筐体に固定されるカバーとして構成することができる。これらのベアリングジャーナルは、好ましくは、ロータの回転軸と同軸に配置された、リング又はリングセグメント形状の突起として構成される。そのようなベアリングジャーナルは、製造し易く、回転速度が速い間でもロータの安定した軸支形態を提供する。それに代わって、ベアリングジャーナルは、ロータの軸方向端部における突起として配備された少なくとも二つのリングセグメントとして構成される。例えば、これらのリングセグメントは、羽根部材用のスロットが開いたままに保持され、その結果、ロータへの羽根部材の取付が簡単で容易な手法で可能となるように配置することができる。
【0026】
そのような実施形態では、更に、ベアリングジャーナルが底板及び/又は端板のベアリングに収容されるのが好ましい。そのようなベアリングは、ローラ又は針軸受として構成することができる。このベアリングを摩擦軸受、特に、乾燥摩擦軸受として構成するのが、特に好ましい。そのようなベアリングは、PEEKのような乾燥摩擦材料を組み入れることができ、一方において、ベアリングジャーナルに対して、そのため、ベアリングに収容されたロータに対して厳格な許容誤差を提供し、他方において、底板及び/又は端板に対するロータの密閉手段としての役割を同時に果たす。
【0027】
別の好ましい実施形態では、羽根部材の先端、特に、羽根部材の第一と第二の端部における第一と第二の羽根の第一と第二の先端は、これらの先端と空洞の内周壁の間に距離を残して、空洞のこの内周壁に沿って動かされる。従って、これらの先端は、空洞の内周壁に沿って非接触形態で動かされる。そのため、羽根の先端と内周壁の間に摩擦が発生せず、それは、磨耗を低減して、効率を一層向上させることとなる。好ましくは、この距離は、全長に渡って一定に保たれる。好ましくは、この距離は、ゼロ及び1.5mmに近い範囲内であり、特に、1mm以下、更には、特に、0.8mm、0.6mm、0.5mm、0.3mm、0.2mmである。この距離を内周壁の特定の地点で拡大又は縮小することも可能であり、好ましい。従って、回転中の羽根及び羽根の先端における負荷を羽根部材の特定の回転位置に応じて制御することができる。
【0028】
この空洞の内周壁は、好ましくは、ロータの回転軸に対して直角の横断面が円形でない形状、特に、円のコンコイド形状である。コンコイド形状は、羽根、偏心部品及びロータが前述した形態で互いに能動的に連結されている場合、これらの特に前述した動きに良く適合する。これらの部品が、そのように互いに能動的に連結されている場合、回転中の羽根の先端が円のコンコイドを描き、従って、それに対応して空洞の内周壁が構成されている場合、例えば、羽根の先端と内周壁の間に0.8mmの一定の隙間を組み入れることができる。
【0029】
別の実施構成では、ロータは、空洞の底板及び/又は端板に対して、ほぼ液密に密閉される。ロータが端板及び底板のベアリングに収容されたベアリングジャーナルを備えている場合、この実施形態に基づく密閉手段としての役割を同時に果たす摩擦軸受が提供される。しかし、例えば、Oリング、半径方向のシャフト密閉リング又はそれ以外の好適な密閉部材などの追加の密閉手段を組み入れることも同様に可能であり、好ましい。
【0030】
別の好ましい実施形態では、羽根部材の先端及び/又は羽根部材の第一と第二の側面部は、空洞に対して羽根部材を密閉するための密閉手段を有する。そのため、一つの代替形態では、この密閉手段は、羽根部材の先端にだけ、従って、羽根と空洞の内周壁の間にだけ配備される。一つの代替形態では、羽根部材の第一と第二の側面部、従って、それぞれ底板及び/又は端板に近い羽根部材の部分だけが密閉手段を配備される。別の代替形態では、羽根部材の先端と側面部が密閉手段を配備される。そのような密閉手段は、好ましくは、内周壁及び/又は底板・端板と接触して、内周壁及び/又は底板・端板に対して羽根部材を液密に密閉するとともに、好ましくは、空洞内に形成され、羽根部材の羽根により分割された動作室を液密に分離するために使用される。そのような密閉手段は、真空ポンプ内で真空を発生させる能力を向上させるために使用される。
【0031】
第一の発展形態では、これらの密閉手段は、少なくとも羽根部材の三つの側面に配置されて、羽根部材の回転方向に曲げられた、空洞壁と接触するリップ部を備えた圧力変形シールを有する。これらの少なくとも三つの側面は、好ましくは、上述した側面部と羽根の先端であり、従って、これらの密閉手段は、羽根と底板、端板及び内周壁の間に配置される。この圧力変形シールのリップ部は、羽根部材の回転方向に曲げられており、そのため、このリップ部と羽根部材の間の空洞を少なくとも部分的に形成する。そのため、回転する羽根部材を用いて空洞から押し出された流体が、このリップ部と羽根部材の間の空洞に入って、更に、このリップ部を空洞壁に対して押し付ける。これは、密閉形態を強固で効果的にする。特に、空洞の内周壁から一定の距離を開けて延びるリップ部と組み合わせると、この特別な形式の密閉手段は、内周壁に沿った羽根の案内に起因する力が密閉手段とリップ部に作用しないが、リップ部自体の弾性圧力と羽根の回転により空洞から押し出された流体の追加圧力だけがリップ部に作用して、空洞壁にリップ部を押し付けるので好ましい。そのため、そのような密閉手段は適応性が有り、リップ部は、空洞内の圧力が上昇した場合、より強く壁に押し付けられ、空洞内の圧力が低下した場合、より弱く押し付けられる。
【0032】
好ましい代替形態では、これらの密閉手段は、羽根の先端及び/又は第一と第二の側面部における窪み内に部分的に配置されたフローティングシールを有する。このフローティングシールは、例えば、少なくとも部分的に窪み内に配置されたエラストマー材料又はゴム材料のストリップとして構成することができる。このフローティングシールは、如何なる接着材料等によっても羽根に固定されず、むしろ羽根部材の面の方向に動くことができるように、窪み内に設置されるだけである。従って、羽根部材の回転速度が上昇した場合、遠心力が窪みから僅かにフローティングシールを動かして、内周壁に接触させ、より強固な密閉形態をより確実に実現する。従って、そのようなフローティングシールは、羽根部材の回転速度に応じた適応性の有る密閉性能を提供することができる。更に、このフローティングシールの先端に磨耗が生じた場合でも、フローティングシールは、相対的な動きのために内周壁と接触することができる。
【0033】
別の第三の代替形態では、これらの密閉手段は、好ましくは、圧力作動式シールを有し、密閉部材が、羽根部材の先端及び/又は第一と第二の側面部における窪み内に少なくとも部分的に配置され、この窪みは、羽根内に形成された圧力通路と通じている。そのような圧力作動式シールの一般的な構成は、フローティングシールの構成に匹敵する。しかし、フローティングシールと異なり、圧力作動式シールでは、密閉部材が配置された窪み又は溝が圧力通路と通じている。そのような圧力通路は、空洞内の圧力が上昇した場合に、密閉手段を窪みから更に引き出して、空洞壁と接触させるための窪みの部分を備えた、羽根の正面、即ち、運動方向を向いた羽根の面と繋がる管路として構成することができる。そのため、そのような密閉構成は、空洞内の圧力に応じて密閉の強さを調整する。
【0034】
羽根部材での三つの異なる密閉方式を互いに別個に説明したが、これらの異なる二つ又は三つの方式の組合せも好ましい。例えば、フローティングシールは、圧力変形シールに基づくリップ部を備えることができる。それに代わって、羽根の側面部と比較して異なる方式が、羽根のリップ部に使用される。
【0035】
真空ポンプの別の好ましい実施形態では、中心シャフトは、駆動シャフトであり、真空ポンプを駆動するための駆動モータと連結される。そのような駆動モータは、中心シャフトと直に連結された電気モータ、ベルトドライブを介して中心シャフトと連結された電気モータ又は燃焼エンジンのシャフト、例えば、カムシャフトと連結された中心シャフトなどの真空ポンプを駆動するのに適した如何なる駆動部としても構成することができる。中心シャフトが駆動シャフトであり、駆動モータと連結されている場合、上述した回転速度の変速が行なわれる。従って、中心シャフトが駆動シャフトである場合、羽根部材が駆動シャフトの速度の半分で回転する。そのような構成におけるロータは、受動的であり、羽根部材とのロータの連結によってのみ駆動される。
【0036】
代替形態では、ロータは、駆動ロータとして構成されて、真空ポンプを駆動するための駆動モータと連結される。この代替形態では、ロータだけが駆動され、中心シャフトは受動的である。前述した通り、そのような構成では、駆動速度の変速は行なわれず、ロータと羽根も、駆動モータの出力シャフトと同じ速度で回転する。そのような構成では、ロータのベアリングジャーナルは、更に、ロータと一体的な駆動シャフトを構成するために、ロータから延びると規定することができる。
【0037】
ここで、より完璧に本発明を理解するために、添付図面を参照して、本発明を詳しく説明する。この詳細な記述は、本発明の好ましい実施形態として考えられるものを図解して、説明する。勿論、本発明の技術思想から逸脱すること無く、様々な修正と形状又は細部の変更を容易に実施できることを理解すべきである。そのため、本発明がここに図示され、説明される厳密な形状及び細部に限定されず、ここで開示するとともに、請求項に記載した本発明の全体を下回る何ものにも限定されないことを意図している。更に、本発明を開示する明細書、図面、請求項に記載された特徴は、単独で、或いは組み合せて考えられる本発明の更なる発展形態にとって重要である。特に、請求項の如何なる符号も、本発明の範囲を限定するものと解釈してはならない。「有する」との用語は、それ以外の構成要素又は工程を排除するものではない。「一つの」との用語は複数を排除しない。「一定数の」項目との用語は、数「1」、即ち、単一の項目と、「2」、「3」、「4」などの更なる数をも含む。
【発明を実施するための形態】
【0039】
図1によると、真空ポンプ1は、駆動モータ2と接続され、真空ポンプ1の筐体4は、駆動モータ2の筐体6と一体的に構成されている。この実施形態では、駆動モータ2は、ロータ・ステータ形式の電気モータとして構成され、ロータ8は、駆動シャフト10と連結されている。カバー5が筐体4に固定されている。
【0040】
真空ポンプ1の筐体4は、接続部12を用いて、駆動モータ2用の電気接続部15を有するフレーム14に設置されている。駆動モータ2の筐体6も、接続部16を用いてフレーム14に設置されている。従って、駆動モータ2の筐体6と真空ポンプ1の筐体4は、そのため、真空ポンプ1自体も、フレーム14から取り外すことが可能である。
【0041】
真空ポンプ1の筐体4は、更に、カバー5により閉鎖されたモータ2に対して相対的に筐体4の遠端に有る空洞18を画定している。この空洞18は、
図1には図示されていない入口と出口を有する。この空洞18内には、空洞18内における回転駆動運動する駆動可能な羽根部材20が配備されている。この羽根部材20は、各羽根26,28の三つの側面の周りに配置された密閉手段22,24を備えている(
図12〜17も参照)。
【0042】
この真空ポンプ1は、更に、ロータ30を有し、そのロータの一部だけを
図1で見ることができる。このロータ30は、以下において、特に、
図3と
図11を参照して、より詳しく述べる。このロータ30は、二つのベアリング32,34に収容され、その一方のベアリング32は、筐体4の底部に配置され、他方のベアリング34は、カバー5により形成される空洞18の端板に収容されている。
【0043】
更に、
図1を参照すると、空洞18内に延びる回転可能な中心シャフト40が真空ポンプ1に配備されている。この実施形態による中心シャフト40は、電気駆動モータ2の駆動シャフト10と連結されており、そのため、駆動シャフトとしての役割を果たす。偏心部品42が中心シャフト40に配備されて、それと一体的に構成されている。羽根部材20が、偏心部品42を用いて中心シャフト40と連結されている。
図1では、更に三つの軸AR,AS,AEが図示されている。ARは、ロータの回転軸を表す。ASは、中心シャフト40の回転軸を表し、AEは、偏心部品42の中心軸を表し、この中心軸は、この実施形態では、羽根部材20の作用点と同じである。
図1から理解できる通り、中心シャフト40の回転軸ASは、ロータの回転軸ARからずらされており、羽根部材20の作用点を規定する軸AEは、中心シャフト40の回転軸ASからずらされている。
【0044】
図1の実施形態では、中心シャフト40は、空洞18を通って延びて、ロータ30の互いに逆の両側から突き出ている(
図5も参照)。中心シャフト40の駆動モータ2と逆側の終端部には、回転時に中心シャフト40に配備された偏心部品42により引き起こされる不均衡を補償するための釣合い錘35が配備されている。
【0045】
図1による真空ポンプ1の断面X−Xに沿った横断面を図示する
図2を参照すると、真空ポンプ1は、空洞18を画定する筐体4を有する。この空洞18は、内周壁19を有する。この空洞18は、羽根部材20を用いて、二つの動作室44,46に分割されている。この羽根部材20は、中心中空被筒21を有する単一のワンピース部品20として構成されており、その中空被筒から、二つの羽根26,28が互いに逆方向に突き出ている(
図3も参照)。これらの羽根26,28は、対称的な形状で構成され、半径方向に測った長さが同じである。この中心中空被筒21を用いて、羽根部材20が、
図2では見ることができない中心シャフト40に配備された偏心部品42と連結されている。ロータ30は、このロータの回転軸ARに対して直角の面に沿って切断されている(
図1を参照)。このロータ30は、ほぼ円筒形の外形を画定するロータ壁36を有する。このロータ壁36は、更に、内側空間38を画定し、この空間内には、偏心部品42が、そのため羽根部材20の中空被筒21と(
図2では見ることができない)中心シャフトも配置されている。従って、ロータ30は、中心シャフト40の偏心部品42を半径方向に対して包囲している。そのため、偏心部品42、偏心部品42と羽根部材20の連結部及び中心シャフト40もロータ30内に包み込まれている。偏心部品42の半径方向における最外点は、符号43で表示されている。それは、中心シャフト40の中心軸ASに対して半径方向の距離が最大となる点である。
【0046】
このロータ30は、互いに逆側に二つのスロット48,50を有し、それらのスロットを通って、羽根26,28がロータ30から外側に延びており、従って、羽根部材20は、ロータ30に対して相対的に半径方向に動くことが可能である。これらのスロット48,50を用いて、ロータ30と羽根部材20は、共通に回転するように互いに連結されている。
【0047】
更に、
図2から分かる通り、羽根26,28の先端は、空洞18の内周壁19と接触する密閉手段22,24を配備されている。このロータ30は、空洞18の側面部に配備されており、従って、ロータ壁36は、そこで見える通り、空洞18の内周壁19と一点で密着した関係に有る。
図2では、この接触点が最も上の位置に有る。このロータ30は、空洞18内の固定位置に置かれており、その回転軸ARの周りを回転可能なだけである(
図1を参照)。
【0048】
偏心部品42、偏心部品42と中空被筒21の間の連結部及び中心シャフト40自体がロータ30により半径方向に対して包囲されており、従って、内側空間38内に包み込まれているとの事実のために、接続線、スロット、或いは例えば、中心シャフト40用の開口部52などの開口は、真空ポンプ1の動作時に、そのような接続線、スロット又は開口部の上を前記の羽根26,28が動いた時に漏れを引き起こす可能性の有る、ロータ壁36と空洞18の内周壁19の間の空間内における底板54には存在しない。
【0049】
図3を参照すると、真空ポンプ1の主要な可動部品の組立図が図示されている。
図3の図面による筐体4は、図面例を用いて図示されているだけであり、実際には異なる外形を有する。
【0050】
図3によると、筐体4は、内周壁19を有する空洞18を画定する。この筐体4と一体的に、底板54が配備されている。それに対応する端板56が、
図3に対してカバー5の裏側に配備されている。この底板54は、ベアリング32(
図1を参照)とロータ30のベアリングジャーナル60を収容するのに適合した円形の窪み58を有する。更に、この窪んだ部分58内には、中心シャフト40を空洞18内に延ばすための開口部52が設けられている。
【0051】
図3から理解できる通り、壁36を備えたロータ30は、この開口部52を囲んでいる、従って、包囲しており、その際、周囲環境に対する空洞18の密閉形態が強化されている。
【0052】
ロータ30は、窪み58と係合するのに適合した第一のベアリングジャーナル60の他に、端板56に形成されたベアリング34内に収容されるのに適合した第二のベアリングジャーナル62を有する。従って、ロータ30は、互いに逆側の二つのベアリング32,34内に収容されて、安定した配置と空洞18の効果的な密閉形態を提供することができる。このロータ30は、更に、開口部64を有し、その開口部を通って、中心シャフト40の終端延長部66が突き出ており、カバー5に形成されたベアリング68と係合することができる。この終端部66には、釣合い錘35を固定することができる。
【0053】
図4と
図5は、
図3の真空ポンプ1を組立状態で図示している。そこに見える通り、中心シャフト40は、空洞18を通って延びており、その際、中心シャフト40の底部65が底板54内の開口部52を通って延びた後、中心シャフト40の中央部が羽根部材20の中空被筒21を通過して、中心シャフト40の終端部66がカバー5内に突き出ており、そのカバーには、ベアリング68が収容されている。そのため、中心シャフト40は、空洞18の互いに逆側の二つのベアリング52,68に収容されている。
【0054】
偏心部品42は、中心シャフト40上のカムとして構成されている。この実施形態では、中心シャフト40と偏心部品42は、例えば、鋳造又はブロック材料からの切削、旋削により一体的に構成されている。このカムは、中心シャフト40に沿って第一の軸方向位置41Aから第二の軸方向位置41Bにまで延びている。中心シャフト40と偏心部品42の両方は、円形の横断面を有し、一般的には、円筒形のシャフト部分として構成されている。この偏心部品42の直径は、中心シャフト40の直径の約2倍である。
図3〜
図5を合わせると容易に分かる通り、ロータ30の回転軸ARは、中心シャフト40の回転軸ASからずらされるとともに、偏心部品42により画定される円筒形部分の中心軸AEである偏心部品42の中心軸AEは、中心シャフト40の回転軸ASからずらされている。そのため、中心シャフト40が回転すると、偏心部品42の中心軸AEは、中心シャフト40の回転軸ASの周りを回転する。
【0055】
例えば、鋳造又はブロック材料からの切削により、単一のワンピースの羽根部材として構成された羽根部材20は、偏心部品42の周りに設置された中空被筒21を用いてのみ中心シャフト40と連結されている。この中空被筒21の内径は、偏心部品42の外径とほぼ一致し、従って、羽根部材20は、中心シャフト40と連結された場合、偏心部品42の周りを自由に回転することができる。更に、この羽根部材20は、ロータ30と連結されており、その際、羽根26,28は、ロータ30に設けられたスロット48,50内に設置されている。ロータ30が、ベアリングジャーナル60,62を用いて、窪んだ部分58,59内に収容されるとともに、中心シャフト40が開口部52,68内に収容されているとの事実のために、ロータ30と中心シャフト40の両方は固定位置に保持される。従って、全ての可動部品、即ち、ロータ30、羽根部材20、中心シャフト40及び偏心部品42は、能動的に互いに連結されており、
図6a〜
図6dを参照して、より詳しく説明する通り、中心シャフト40の回転時に、ロータ30が回転させられる、或いはその逆である。
【0056】
図6a〜
図6dは、動作中の可動部品の動きを図示している。中心シャフト40の一回転時に、如何にしてロータ30が回転するのか、如何にして羽根部材20が動くのかが図示されている。主要な部品は、
図6aに符号により表示されており、
図6b〜
図6dでは、図面を簡略化するために、それらの符号は省略されている。しかし、
図6b〜
図6dは、
図6aと同じ部品を図示しているが、ここで説明する通り、異なる回転位置で図示していると理解されたい。
【0057】
ロータ30、中心シャフト40及び羽根部材20は、これらの部品の回転位置を表す矢印の形の標識I1,I2,I3を付与されている。
図6aでは、三つの標識I1,I2,I3の全てが
図6aの底部を向いており、従って、時計と比較すると、三つの標識I1,I2,I3の全てが6時の位置を向いている。
【0058】
ここで、例えば、中心シャフト40が、その回転軸ASの周り(
図5も参照)を時計回りの方向に約90°回転すると、中心シャフト40に形成された偏心部品42が約90°回転するとともに、偏心部品42の中心軸AEが、従って、偏心部品42の作用点が、6時の位置から9時の位置にまで約90°の円形セグメント上を動く。羽根部材20は偏心部品42と係合しており、その際、中心中空被筒21が偏心部品42の周りに設置されているので、偏心部品42の中心軸AEと一致する羽根部材20の作用点も、9時の位置に動かされる。しかし、羽根部材20は、自由に動くことができないが、スロット58,60を用いてロータ30と能動的に連結されている(
図4と
図5も参照)ので、羽根部材20は、回転せずに、
図6aの向きの羽根に対して直角の方向に動くことができない。そのため、羽根部材20とロータ30は、
図6bで標識I2,I3により表示されている通り、一緒に約45°回転させられる。従って、真空ポンプ1は、第一の回転位置P1(
図6aを参照)から中間位置PI(
図6bを参照)にまで動かされる。
【0059】
中心シャフト40が、更に、180°の位置に回転する(
図6cを参照)と、標識I1が12時の位置を向いて、又もや偏心部品42の中心軸AEと一致する羽根部材20の作用点は、更に、中心シャフト40の回転軸ASの周りを回転し、従って、羽根部材20とロータ30の両方は、約90°回転し、その結果、標識I2,I3が9時の位置を向くこととなる。ここで、真空ポンプ1は第二の回転位置P2となる。
【0060】
図6aと
図6cを比較すると分かる通り、中心シャフト40に対して相対的な偏心部品42の半径方向の最外点は、羽根部材20の縦方向面上の第一の回転位置P1と羽根部材20の縦方向面から遠い第二の回転位置P2とに位置している。この第一の回転位置P1では、羽根部材20の一方の先端だけがロータ30から突き出ており、この第二の回転位置P2では、両方の先端が、ロータ30からほぼ同じ距離だけ突き出ている。
【0061】
更に、力の印加点における駆動力Fの方向は、第一の回転位置P1では、羽根部材20の面に対してほぼ直角であり、第二の回転位置P2では、羽根部材20の面に対してほぼ平行である。
【0062】
最後に、中心シャフト40が360°の一回転だけ回転した場合(
図6dを参照)、羽根部材20とロータ30は、
図6dで標識I1,I2,I3により表示されている通り、約180°の半回転だけ回転する。ここで、真空ポンプは、第三の位置P3となり、又もや羽根部材20の一方の先端だけがロータ30から突き出る。従って、本発明の真空ポンプ1は、中心シャフト40と羽根部材20の回転間の伝達形態を組み入れている。この羽根部材20は、常に中心シャフト40の回転角の半分だけ、従って、半分の速度で回転する。これは、偏心部品42、並びに偏心部品42と中心シャフト40及びロータ30の間のずれ、従って、羽根部材20と中心シャフト40及びロータ30の間のずれによるものである。回転時に、羽根部材20は、中心シャフト40に対して相対的に回転し、羽根部材20の中心中空被筒21は、偏心部品42の外面をスライドする。そのため、一種の摩擦軸受が偏心部品42と羽根部材20の中心中空被筒21の間に配備されている。
【0063】
ここで、
図7〜
図9を参照して、真空ポンプ1の幾何学的特性を詳しく説明する。
図7に図示された真空ポンプ1の拡大図を参照されたい。
図7の底面の拡大図では、筐体4が省略され、ロータ30を見た図面では、偏心部品42と羽根部材20を有する中心シャフト40が、底面から、そのため、
図1に図示された駆動モータ2から見た形で図示されている。この実施形態では、ロータ30は、下方のベアリングジャーナル60a,60bを有し、このベアリングジャーナルは、ロータ30の下方端部から突き出た、一般的には、円形のセグメントの形の二つのリムとして構成されている。この羽根部材20は、中心シャフト40上に形成された偏心部品42の周りに羽根部材20を設置するために用いられる中心中空被筒21と、この中心中空被筒21から突き出た二つの羽根26,28とを有する。二つの羽根26,28は、密閉手段22,24を配備されており、ロータを貫通する、ロータ内のスロット48,50を用いてロータ30と連結されている。
図7では、筐体4と内周壁19は図示されていない。
図7からは、空洞18だけを理解できる。符号70により、密閉手段22,24を介して回転中の羽根部材20により作り出される軌道の軌跡が図示されている。この軌跡70はコンコイド形状である。一般的に、
図7に図示された真空ポンプ1は、
図4、
図2及び
図6aに図示されたのと同様の6時の位置に有る。
【0064】
図8には、同じ真空ポンプ1が図示されているが、羽根部材20とロータ30は、反時計周りの方向に角度Gだけ僅かに回転している。更に、
図8では、見易くするために、
図7に表示された幾つかの符号が省略されている。しかし、ロータ30の回転軸AR、中心シャフト40の回転軸AS及び同時に羽根部材20の作用点である偏心部品42の中心軸AEの三つの軸が表示されている。更に、ロータ30の回転軸ARと中心シャフト40の回転軸ASの間の偏心オフセットe1及び中心シャフト40の回転軸ASと偏心部品42の中心軸AEの間の偏心オフセットe2が表示されている。更に、
図7に図示された6時の位置と
図8に図示された偏心部品42及びロータ30の回転位置の間の測度である角度Gと、中心シャフト40の前記の回転位置である角度Tとが表示されている。一つの羽根の理論的な長さが、従って、羽根部材20の作用点(即ち、偏心部品42の中心軸AE)と密閉手段24の先端P(
図7を参照)の間の長さが符号Lにより表示されている。
【0065】
図9は、
図8に示された幾何学的関係をグラフで図示している。角度G及びTと偏心オフセットe1,e2が
図8に図示された回転位置に基づき示されている。別の幾何学的特性が角度G及びTを参照して示されている。
【0066】
図8と
図9から導き出すことが可能な数学的関係は次の通りである。
tanG = e・sinT/(e+e・cosT) 式1
tanG = sinT/(1+cosT) 式2
sinG/cosG = sinT/(1+cosT) 式3
sinG・(1+cosT) = sinT・cosG 式4
sinG+sinG・cosT = sinT・cosG 式5
sinG = sinT・cosG−sinG・cosT 式6
【0067】
以下は、三角法の恒等式である。
sin(u−v)=sinu・cosv−cosu・sinv 式7
【0068】
u=T及びG=Vに対して、恒等式は、次の通りとなる。
sin(T−G)=sinT・cosG−cosT・sinG 式8
【0069】
式6と式8から、次の通りとなる。
sinG = sin(T−G) 式9
【0070】
関数sinは、2π毎に反復する周期を有する。第一の解は、以下の場合に得られる。
G = T−G 式10
2G = T 式11
G = T/2 式12
これは、ロータの角度Gが常に偏心角度の半分であることを意味するので重要である。
【0071】
更に、
図10と
図11を参照して、より詳しくロータ30を説明する。このロータ30は、羽根部材20を案内するための互いに逆側の二つのスロット48,50を備えたほぼ円筒形の壁36を有する(
図4と
図7も参照)。
図10によると、ロータ30は、これら二つのスロット48,50の面に対して直角の面に沿って切断されており、その結果、
図10では、スロット48が見える。ロータ30は、空洞18内に設置されており、一点で、
図10では、最も上の点で、空洞18の内周壁19と接触している。このロータ30は、更に、ほぼリングセグメントとして構成され、ロータ30の壁36の底部から軸方向に突き出る二つのリム60a,60bとして構成された第一のベアリングジャーナル60を有する。このベアリングジャーナル60は、筐体4と一体的に構成された、空洞18の底板54内の窪んだ部分58と係合するのに適合している。この窪んだ部分58内には、ベアリングジャーナル60a,60bと係合するように、ベアリング32が配置されている。このベアリング32は、ロータ壁36とベアリングジャーナル60a,60bの間で画定されるエッジ72a,72bに適合するように横断面が長方形のPEEK製リングとして構成されている。
【0072】
この第二のベアリングジャーナル62は、一般的に、第一のベアリングジャーナル60a,60bの互いに逆側のロータ壁36から突き出たリング形状の板として構成されている。この第二のベアリングジャーナル62は、端板56を規定するカバー5内に形成された窪んだ部分59と係合するのに適合している。このカバー5と筐体4の間には、筐体4に対してカバー5を密閉するためのOリング74が、筐体4内に形成された溝76内に配置されている。この第二のベアリングジャーナル62は、横断面がほぼ長方形のPEEK製リングとして構成されたベアリング34と係合している。第二のベアリングジャーナル62が貫通穴64を有するリング形状の板として構成されるとの事実のために、このベアリングジャーナル62は、恒常的にベアリング34と接触し、このベアリングも、隙間、溝等の無い形で連続しており、従って、筐体4とカバー5に対してロータ30を密閉する役割を同時に果たしている。
【0073】
ここで、
図12〜
図17は、羽根部材20用の密閉手段の異なる実施形態を図示している。
図12では、中心中空被筒21と、この中心中空被筒21の互いに逆側から突き出た二つの羽根26,28とを備えた羽根部材20が図示されている。二つの密閉手段22,24は、それぞれ羽根26,28から取り外された分解図で図示されている。これらの羽根26,28は、羽根26,28の三つの側面26a,26b,26c,28a,28b,28cに沿って延びる溝78,80を有する。これらの密閉手段22,24は、一般的にU字形状であり、溝78,80に設置されて、羽根26,28と係合するのに適合している。これらの最も外側26b,28bは、空洞18の内周壁19と密着した関係で動く羽根の先端を構成する。
【0074】
図13は、横断面に沿った羽根の先端と密閉手段22の断面図を図示している。この実施形態による密閉手段22は、本体82とこの本体82から延びるリップ部84とを備えた圧力変形シールとして構成されている。この本体は、溝78内に設置されるのに適合しており、羽根26,28の面と揃うように、ほぼ溝78全体を塞いでいる。このリップ部84は柔軟であり、本体82から先ずは中心中空被筒21から離れるように半径方向に延びた後、片側に、即ち、羽根部材20の動く方向に曲げられている。そのため、このリップ部84は、リップ部84と本体82の間の空洞86を画定し、羽根部材20の回転中に流体を空洞18内に導入することが可能であり、従って、例えば、
図13の左側の圧力が
図13の右側よりも高い場合に、リップ部84が空洞18の内周壁19に押し付けられ、そのため、密閉効果を向上させる。
【0075】
図14は、圧力変形シールの代替構成を図示している。同じ部分及び同様の部分は、
図13と同じ符号で表示されており、その限りにおいて、
図13の記述を参照する。
図13の圧力変形シールに対して、
図14の圧力変形シール22は、リップ部84と同じ厚さの本体82を有する。この本体82は、この実施形態(
図14)では、スロットとして構成された溝78内に設置されている。
図14による密閉手段22は、製造がより簡単になるとの利点を有するが、スロット78内に密閉手段22を設置する方が、
図13に図示された、幅のより広い溝78内に設置するよりも難しい。
【0076】
図12、
図13及び
図14による密閉手段22がそれぞれ一つの単一部品として構成される一方、
図15〜
図17による密閉手段22,24は別個の部品として構成されている。
図15は、又もや一つの中心中空被筒21と二つの羽根26,28を備えた羽根部材20を図示している。又もや同じ部分及び同様の部分は、同じ符号で表示されており、その限りにおいて、
図12〜
図14及びこれらの図と関連する上記の記述を参照する。
【0077】
各羽根26,28は、又もや三つの側面26a,26b,26c及び28a,28b,28cに沿って延びる溝78,80を有する。これらの密閉手段22,24は、それぞれ溝78,80と係合するのに適合した三つの部材22a,22b,22c,24a,24b,24cから構成されている。上記の密閉構成(
図12〜
図14を参照)と異なり、
図15と
図16は圧力作動式シールを図示している。そのため、溝78が圧力通路88に繋がるとともに、溝80が圧力通路90に繋がっている。これは、密閉手段22の各セグメント、即ち、セグメント22a,22b,22c及びセグメント24a,24b,24cと溝78,80の底との間に、
図15及び
図16で圧力通路88により図示されている通り、羽根26,28の側面と繋がった空洞が構成されていることを意味する。従って、例えば、
図16の右側の圧力が
図16の左側よりも高い場合、流体が、圧力通路88に導入されて、セグメント22bを溝78から羽根26の半径方向に押し出して、空洞18の内周壁19と係合させ、従って、空洞壁19、底及び端板54,56に対する羽根26,28の密閉形態を強化することとなる。そのため、各セグメントが、それぞれの空洞の壁19,54,56と係合するために互いに独立して動くことができるように、そのような実施形態による密閉手段22,24を三つのセグメント22a,22b,22c,24a,24b,24cから構成するのが有利である。
【0078】
図17では、別の代替形態として、固定シールが図示されている。この
図17によるシール22は、羽根の先端26bの溝78内に配置された先端セグメント22bを有する。このセグメント22bは、接着剤を用いて、或いは締りばめによって、この溝内に固定することができる。
【0079】
最後に、
図18〜
図20は、真空ポンプ1の別の一般的な実施形態を図示しており、この実施形態では、真空ポンプは、電気駆動モータ2と接続されていない。
図18、
図19及び
図20の真空ポンプ1は、例えば、
図1に図示された真空ポンプ1と同様の筐体4を有する。更に、この真空ポンプ1は、ネジ92を用いて筐体4に固定された、筐体4内の空洞18を閉鎖するカバー5を有する。この空洞18内には、ロータ30、羽根部材20及び中心シャフト40が配備されており、中心シャフト40は、
図1〜
図9を参照して、より詳しく記述されている通りの偏心部品42を有する。
【0080】
第一の実施形態と異なり、この中心シャフト40は、筐体4から突き出た底端シャフト65を有する。この底端シャフト65には、ベルトドライブから中心シャフト40に駆動力を伝達するためのプーリー94が固定されている。そのため、この実施形態による中心シャフト40は、駆動シャフトとして動作する。空洞18の逆側のカラー形状である、筐体4の終端部96では、更に、シャフト終端部65が、半径方向のシャフトシール98を用いて密閉されている。この半径方向のシャフトシール98は、カラー96内の内溝97と係合する内側スナップリング99を用いて位置を保持されている。カラー96と空洞18の間に配置された筐体4の部分は、中心シャフト40用の摩擦軸受100を構成している。同じ手法により、シャフトの上部66(
図5も参照)は、カバー5における各摩擦軸受102内に収容されている。そのため、中心シャフト40は、偏心部品42の互いに逆側の二つのベアリング100,102内に収容されている。
【0081】
図20は、
図18と19による真空ポンプ1の組立図を図示している。
図3の上記の記述も参照されたい。
図20では、同じ部分及び同様の部分は、同じ符号で表示されており、その限りにおいて、
図3の上記の記述も参照する。