(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記基板は、ポリエチレンテレフタレート、ポリイミド、ポリスチレンまたはシリコンウェハーで構成されることを特徴とする請求項1に記載の有・無機ハイブリッドフィルム。
前記陰イオン交換する段階は、溶媒に硝酸ナトリウムを添加して、硝酸ナトリウム溶液を製造する段階と、前記硝酸ナトリウム溶液に前記層状二重水酸化物を添加し、分散させて、懸濁液を形成する段階と、前記懸濁液を機械的に撹拌しつつ反応させて、陰イオン交換が行われるようにする段階と、反応が行われた懸濁液を遠心分離して上澄み液を除去し、層状二重水酸化物を選択的に分離させる段階と、を含むことを特徴とする請求項6に記載の有・無機ハイブリッドフィルムの製造方法。
前記溶媒は、エタノールと蒸留水が混合された溶液であり、前記硝酸ナトリウム溶液は、硝酸ナトリウムが0.5〜3Mのモル濃度を有し、前記陰イオン交換は、前記懸濁液に窒素ガス(N2)を注入しつつ撹拌して行うことを特徴とする請求項7に記載の有・無機ハイブリッドフィルムの製造方法。
前記(d)段階は、前記(c)段階で得た層状二重水酸化物をホルムアミド溶液に添加した後、超音波機器を利用して層状二重水酸化物を分散させ、機械的に撹拌して、前記層状二重水酸化物の層と層間が剥離されてナノシート形態を有する二次元板状の二重水酸化物が含有されたコロイド溶液を形成する段階を含み、前記(f)段階は、前記負電荷性高分子電解質層が形成された基板を前記コロイド溶液に担持し、乾燥して、前記正電荷性二次元板状の二重水酸化物層を形成する段階を含むことを特徴とする請求項3に記載の有・無機ハイブリッドフィルムの製造方法。
前記ホルムアミド溶液に界面活性剤と両性物質をさらに添加し、前記界面活性剤は、リン脂質およびドデシル硫酸ナトリウムよりなる群から選択された1種以上の物質を含み、前記両性物質は、ポリ(メタクリル酸)、ポリ(2−(エチルアミノ)エチルポリ(アリルアミン)、ポリ(メタクリル酸)、N−イソプロピルアクリルアミド、N−(3−アミノプロピル)メタクリルアミド、アリルアミン、アクリルアミド、(ジメチルアミノ)エチルメタクリレートおよびテトラヒドロピラニルメタクリレートよりなる群から選択された1種以上の物質を含むことを特徴とする請求項9に記載の有・無機ハイブリッドフィルムの製造方法。
前記第1前駆体は、前記前駆体反応溶液で10〜200mMのモル濃度を有し、前記第2前駆体は、前記前駆体反応溶液で5〜100mMのモル濃度を有し、前記加水分解剤は、前記前駆体反応溶液で50〜1000mMのモル濃度を有することを特徴とする請求項3に記載の有・無機ハイブリッドフィルムの製造方法。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明が解決しようとする課題は、高い縦横比を有する二次元板状の二重水酸化物を基盤とし、水分透過および酸素透過に対する抑制が可能であり、負電荷性高分子電解質層と正電荷性二次元板状の二重水酸化物層の順次積層が複数回繰り返して多層構造を有する有・無機ハイブリッドフィルムおよびその製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、基板の上部に負電荷性高分子電解質層と正電荷性二次元板状の二重水酸化物層が交互に積層されている構造を有し、前記負電荷性高分子電解質層と正電荷性二次元板状の二重水酸化物層の順次積層が複数回繰り返して多層構造を有し、前記二次元板状の二重水酸化物層は、下記化学式1で表現される物質で構成され、
[化学式1]
[M
2+1−xM
3+x(OH)
2][A
n−]
x/n
前記M
2+は、Mg
2+、Ni
2+、Co
2+およびZn
2+よりなる群から選択された1種以上の2価金属イオンであり、前記M
3+は、Al
3+およびFe
3+よりなる群から選択された1種以上の3価金属イオンであり、前記A
n−は、ナイトレートおよびクロリドよりなる群から選択された1種以上の陰イオンであることを特徴とする有・無機ハイブリッドフィルムを提供する。
【0008】
前記二次元板状の二重水酸化物層は、厚さ1〜25nmのナノシート形態を有する二次元板状の二重水酸化物で構成され得る。
【0009】
前記負電荷性高分子電解質層は、ポリアクリル酸、ポリ(ソジウムスチレン4−スルホネート)、ポリアクリルアミド、ポリ(3−ヘキシルチオフェン)−2,5−ジイルおよびポリアクリロニトリル、ポリ[ジソジウム2,5−ビス(3−スルホナトプロポキシ)−1,4−フェニレン−alt−1,4−フェニレン]よりなる群から選択された1種以上の高分子電解質で構成され得る。
【0010】
前記基板は、ポリエチレンテレフタレート、ポリイミド、ポリスチレンまたはシリコンウェハーで構成され得る。
【0011】
また、本発明は、(a)蒸留水に第1前駆体としての[M
2+][A
n−]
2/n、第2前駆体としての[M
3+][A
n−]
3/nおよび加水分解剤を混合して、前駆体反応溶液を形成する段階と、(b)前記前駆体反応溶液をオートクレーブに入れ、水熱反応させる段階と、(c)前記水熱反応によって形成された層状二重水酸化物を選択的に分離させる段階と、(d)前記層状二重水酸化物が収容された極性溶媒で前記層状二重水酸化物の層と層間を剥離して、ナノシート形態を有する正に荷電した二次元板状の二重水酸化物が含有されたコロイド溶液を形成する段階と、(e)基板の表面に負電荷性高分子電解質水溶液をコートして、負電荷性高分子電解質層を形成する段階と、(f)前記負電荷性高分子電解質層の上部に正に荷電した二次元板状の二重水酸化物が含有されたコロイド溶液をコートして、正電荷性二次元板状の二重水酸化物層を形成する段階とを含み、前記負電荷性高分子電解質水溶液をコートして、負電荷性高分子電解質層を形成し、その上部に荷電された二次元板状の二重水酸化物が含有されたコロイド溶液をコートして、正電荷性二次元板状の二重水酸化物層を形成する過程を複数回繰り返して多層構造で形成し、
前記二次元板状の二重水酸化物層は、下記化学式1で表現される物質で構成され、
[化学式1]
[M
2+1−xM
3+x(OH)
2][A
n−]
x/n
前記M
2+は、Mg
2+、Ni
2+、Co
2+およびZn
2+よりなる群から選択された1種以上の2価金属イオンであり、前記M
3+は、Al
3+およびFe
3+よりなる群から選択された1種以上の3価金属イオンであり、前記A
n−は、ナイトレートおよびクロリドよりなる群から選択された1種以上の陰イオンであることを特徴とする有・無機ハイブリッドフィルムの製造方法を提供する。
【0012】
前記二次元板状の二重水酸化物層は、厚さ1〜25nmのナノシート形態を有する二次元板状の二重水酸化物で構成され得る。
【0013】
前記負電荷性高分子電解質水溶液は、ポリアクリル酸、ポリ(ソジウムスチレン4−スルホネート)、ポリアクリルアミド、ポリ(3−ヘキシルチオフェン)−2,5−ジイルおよびポリアクリロニトリル、ポリ[ジソジウム2,5−ビス(3−スルホナトプロポキシ)−1,4−フェニレン−alt−1,4−フェニレン]よりなる群から選択された1種以上の高分子電解質を含むことができる。
【0014】
前記負電荷性高分子電解質水溶液は、pHが7〜11の範囲であることが好ましい。
【0015】
前記基板は、ポリエチレンテレフタレート、ポリイミド、ポリスチレンまたはシリコンウェハーで構成され得る。
【0016】
前記(c)段階の後に、前記(d)段階の前に、前記層状二重水酸化物の層間に存在するCO
3−イオンをNO
3−イオンに陰イオン交換する段階をさらに含むことができる。
【0017】
前記陰イオン交換する段階は、溶媒に硝酸ナトリウムを添加して、硝酸ナトリウム溶液を製造する段階と、前記硝酸ナトリウム溶液に前記層状二重水酸化物を添加し、分散させて、懸濁液を形成する段階と、前記懸濁液を機械的に撹拌しつつ反応させて、陰イオン交換が行われるようにする段階と、反応が行われた懸濁液を遠心分離して上澄み液を除去し、層状二重水酸化物を選択的に分離させる段階とを含むことができる。
【0018】
前記溶媒は、エタノールと蒸留水が混合された溶液であってもよい。
【0019】
前記硝酸ナトリウム溶液は、硝酸ナトリウムが0.5〜3Mのモル濃度を有することが好ましい。
【0020】
前記陰イオン交換は、前記懸濁液に窒素ガス(N
2)を注入しつつ撹拌して行うことが好ましい。
【0021】
前記(d)段階は、前記(c)段階で得た層状二重水酸化物をホルムアミド溶液に添加した後、超音波機器を利用して層状二重水酸化物を分散させ、機械的に撹拌して、前記層状二重水酸化物の層と層間が剥離されてナノシート形態を有する二次元板状の二重水酸化物が含有されたコロイド溶液を形成する段階を含むことができる。
【0022】
前記(f)段階は、前記負電荷性高分子電解質層が形成された基板を前記コロイド溶液に担持し、乾燥して、前記正電荷性二次元板状の二重水酸化物層を形成する段階を含むことができる。
【0023】
前記ホルムアミド溶液に界面活性剤と両性物質をさらに添加することができる。
【0024】
前記界面活性剤は、リン脂質(phospholipid)およびドデシル硫酸ナトリウム(sodium dodecylsulfate)よりなる群から選択された1種以上の物質を含むことができる。
【0025】
前記両性物質は、ポリ(メタクリル酸)、ポリ(2−(エチルアミノ)エチルポリ(アリルアミン)、ポリ(メタクリル酸)、N−イソプロピルアクリルアミド、N−(3−アミノプロピル)メタクリルアミド、アリルアミン、アクリルアミド、(ジメチルアミノ)エチルメタクリレートおよびテトラヒドロピラニルメタクリレートよりなる群から選択された1種以上の物質を含むことができる。
【0026】
前記第1前駆体と前記第2前駆体は、前記前駆体反応溶液で1:1〜3:1のモル濃度の比率を有することが好ましい。
【0027】
前記第1前駆体は、前記前駆体反応溶液で10〜200mMのモル濃度を有することが好ましい。
【0028】
前記第2前駆体は、前記前駆体反応溶液で5〜100mMのモル濃度を有することが好ましい。
【0029】
前記加水分解剤は、前記前駆体反応溶液で50〜1000mMのモル濃度を有することが好ましい。
【0030】
前記第1前駆体は、Mg(NO
3)
2、MgCl
2、Ni(NO
3)
2、NiCl
2、CoCl
2、Zn(NO
3)
2およびCo(NO
3)
2よりなる群から選択された1種以上の物質を含むことができる。
【0031】
前記第2前駆体は、Al(NO
3)
3、AlCl
3およびFe(NO
3)
3よりなる群から選択された1種以上の物質を含むことができる。
【0032】
前記加水分解剤は、ヘキサメチレンテトラアミン、ウレア、NaOH、KOHおよびNH
4OHよりなる群から選択された1種以上の物質を含むことができる。
【発明の効果】
【0033】
本発明の有・無機ハイブリッドフィルムは、高い縦横比を有する二次元板状の二重水酸化物を基盤とし、負電荷性高分子電解質層と正電荷性二次元板状の二重水酸化物層の順次積層が複数回繰り返して多層構造を有する。
【0034】
本発明の有・無機ハイブリッドフィルムによれば、水分透過およびガス透過に対する抑制が可能である。高い縦横比を有する二次元板状の二重水酸化物を使用して有・無機ハイブリッドフィルムを製作する場合、一般的な無機粒子を使用する時よりも水分気体分子が通過する時に拡散距離を非常に上昇させることができ、水分または気体遮断特性が向上する。
【0035】
本発明によれば、柔軟な基板に適用可能であり、水分および酸素気体との接触を遮断して、有機電子材料などの寿命を増加させることができる。
【発明を実施するための形態】
【0037】
以下、添付の図面を参照して本発明による好ましい実施例を詳細に説明する。しかし、以下の実施例は、この技術分野における通常の知識を有する者に本発明が十分に理解されるように提供されるものであって、様々な他の形態で変形され得、本発明の範囲が下記に記述される実施例に限定されるものではない。
【0038】
以下、「ナノ」というのは、ナノメートル(nm)単位のサイズとして1nm以上且つ1μm未満のサイズを意味するものを使用し、「ナノシート」というのは、厚さがナノであるシートを意味するものを使用する。
【0039】
本発明の好ましい実施例による有・無機ハイブリッドフィルムは、基板の上部に負電荷性高分子電解質層と正電荷性二次元板状の二重水酸化物層が交互に積層されている構造を有し、前記負電荷性高分子電解質層と正電荷性二次元板状の二重水酸化物層の順次積層が複数回繰り返して多層構造を有し、前記二次元板状の二重水酸化物層は、下記化学式1で表現される物質で構成される。
[化学式1]
[M
2+1−xM
3+x(OH)
2][A
n−]
x/n
前記M
2+は、Mg
2+、Ni
2+、Co
2+およびZn
2+よりなる群から選択された1種以上の2価金属イオンであり、前記M
3+は、Al
3+およびFe
3+よりなる群から選択された1種以上の3価金属イオンであり、前記A
n−は、ナイトレートおよびクロリドよりなる群から選択された1種以上の陰イオンである。
【0040】
前記二次元板状の二重水酸化物層は、厚さ1〜25nmのナノシート形態を有する二次元板状の二重水酸化物で構成され得る。
【0041】
前記負電荷性高分子電解質層は、ポリアクリル酸、ポリ(ソジウムスチレン4−スルホネート)、ポリアクリルアミド、ポリ(3−ヘキシルチオフェン)−2,5−ジイルおよびポリアクリロニトリル、ポリ[ジソジウム2,5−ビス(3−スルホナトプロポキシ)−1,4−フェニレン−alt−1,4−フェニレン]よりなる群から選択された1種以上の高分子電解質で構成され得る。
【0042】
前記基板は、ポリエチレンテレフタレート、ポリイミド、ポリスチレンまたはシリコンウェハーで構成され得る。
【0043】
本発明の好ましい実施例による有・無機ハイブリッドフィルムの製造方法は、(a)蒸留水に第1前駆体である[M
2+][A
n−]
2/n、第2前駆体である[M
3+][A
n−]
3/nおよび加水分解剤を混合して、前駆体反応溶液を形成する段階と、(b)前記前駆体反応溶液をオートクレーブに入れ、水熱反応させる段階と、(c)前記水熱反応によって形成された層状二重水酸化物を選択的に分離させる段階と、(d)前記層状二重水酸化物が収容された極性溶媒で前記層状二重水酸化物の層と層間を剥離して、ナノシート形態を有する正に荷電した二次元板状の二重水酸化物が含有されたコロイド溶液を形成する段階と、(e)基板の表面に負電荷性高分子電解質水溶液をコートして、負電荷性高分子電解質層を形成する段階と、(f)前記負電荷性高分子電解質層の上部に正に荷電した二次元板状の二重水酸化物が含有されたコロイド溶液をコートして、正電荷性二次元板状の二重水酸化物層を形成する段階とを含む。
前記負電荷性高分子電解質水溶液をコートして、負電荷性高分子電解質層を形成し、その上部に荷電された二次元板状の二重水酸化物が含有されたコロイド溶液をコートして、正電荷性二次元板状の二重水酸化物層を形成する過程を複数回繰り返して多層構造で形成し、前記二次元板状の二重水酸化物層は、下記化学式1で表現される物質で構成される。
[化学式1]
[M
2+1−xM
3+x(OH)
2][A
n−]
x/n
前記M
2+は、Mg
2+、Ni
2+、Co
2+およびZn
2+よりなる群から選択された1種以上の2価金属イオンであり、前記M
3+は、Al
3+およびFe
3+よりなる群から選択された1種以上の3価金属イオンであり、前記A
n−は、ナイトレートおよびクロリドよりなる群から選択された1種以上の陰イオンである。
【0044】
前記二次元板状の二重水酸化物層は、厚さ1〜25nmのナノシート形態を有する二次元板状の二重水酸化物で構成され得る。
【0045】
前記負電荷性高分子電解質水溶液は、ポリアクリル酸、ポリ(ソジウムスチレン4−スルホネート)、ポリアクリルアミド、ポリ(3−ヘキシルチオフェン)−2,5−ジイルおよびポリアクリロニトリル、ポリ[ジソジウム2,5−ビス(3−スルホナトプロポキシ)−1,4−フェニレン−alt−1,4−フェニレン]よりなる群から選択された1種以上の高分子電解質を含むことができる。
【0046】
前記負電荷性高分子電解質水溶液は、pHが7〜11の範囲であることが好ましい。
【0047】
前記基板は、ポリエチレンテレフタレート、ポリイミド、ポリスチレンまたはシリコンウェハーで構成され得る。
【0048】
前記(c)段階の後に、前記(d)段階の前に、前記層状二重水酸化物の層間に存在するCO
3−イオンをNO
3−イオンに陰イオン交換する段階をさらに含むことができる。
【0049】
前記陰イオン交換する段階は、溶媒に硝酸ナトリウムを添加して硝酸ナトリウム溶液を製造する段階と、前記硝酸ナトリウム溶液に前記層状二重水酸化物を添加し、分散させて、懸濁液を形成する段階と、前記懸濁液を機械的に撹拌しつつ反応させて、陰イオン交換が行われるようにする段階と、反応が行われた懸濁液を遠心分離して上澄み液を除去し、層状二重水酸化物を選択的に分離させる段階とを含むことができる。
【0050】
前記溶媒は、エタノールと蒸留水が混合された溶液であってもよい。
【0051】
前記硝酸ナトリウム溶液は、硝酸ナトリウムが0.5〜3Mのモル濃度を有することが好ましい。
【0052】
前記陰イオン交換は、前記懸濁液に窒素ガス(N
2)を注入しつつ撹拌して行うことが好ましい。
【0053】
前記(d)段階は、前記(c)段階で得た層状二重水酸化物をホルムアミド溶液に添加した後、超音波機器を利用して層状二重水酸化物を分散させ、機械的に撹拌して、前記層状二重水酸化物の層と層間が剥離されてナノシート形態を有する二次元板状の二重水酸化物が含有されたコロイド溶液を形成する段階を含むことができる。
【0054】
前記(f)段階は、前記負電荷性高分子電解質層が形成された基板を前記コロイド溶液に担持し、乾燥して、前記正電荷性二次元板状の二重水酸化物層を形成する段階を含むことができる。
【0055】
前記ホルムアミド溶液に界面活性剤と両性物質をさらに添加することができる。
【0056】
前記界面活性剤は、リン脂質およびドデシル硫酸ナトリウムよりなる群から選択された1種以上の物質を含むことができる。
【0057】
前記両性物質は、ポリ(メタクリル酸)、ポリ(2−(エチルアミノ)エチルポリ(アリルアミン)、ポリ(メタクリル酸)、N−イソプロピルアクリルアミド、N−(3−アミノプロピル)メタクリルアミド、アリルアミン、アクリルアミド、(ジメチルアミノ)エチルメタクリレートおよびテトラヒドロピラニルメタクリレートよりなる群から選択された1種以上の物質を含むことができる。
【0058】
前記第1前駆体と前記第2前駆体は、前記前駆体反応溶液で1:1〜3:1のモル濃度の比率を有することが好ましい。
【0059】
前記第1前駆体は、前記前駆体反応溶液で10〜200mMのモル濃度を有することが好ましい。
【0060】
前記第2前駆体は、前記前駆体反応溶液で5〜100mMのモル濃度を有することが好ましい。
【0061】
前記加水分解剤は、前記前駆体反応溶液で50〜1000mMのモル濃度を有することが好ましい。
【0062】
前記第1前駆体は、Mg(NO
3)
2、MgCl
2、Ni(NO
3)
2、NiCl
2、CoCl
2、Zn(NO
3)
2およびCo(NO
3)
2よりなる群から選択された1種以上の物質を含むことができる。
【0063】
前記第2前駆体は、Al(NO
3)
3、AlCl
3およびFe(NO
3)
3よりなる群から選択された1種以上の物質を含むことができる。
【0064】
前記加水分解剤は、ヘキサメチレンテトラアミン、ウレア、NaOH、KOHおよびNH
4OHよりなる群から選択された1種以上の物質を含むことができる。
【0065】
以下、本発明の好ましい実施例による有・無機ハイブリッドフィルムをより具体的に説明する。
【0066】
図1は、本発明の好ましい実施例による有・無機ハイブリッドフィルムの構造を示す図である。
【0067】
図1を参照する。本発明の好ましい実施例による有・無機ハイブリッドフィルムは、基板10の上部に負電荷性高分子電解質層20と正電荷性二次元板状の二重水酸化物層30が交互に積層されている構造を有し、前記負電荷性高分子電解質層20と正電荷性二次元板状の二重水酸化物層30の順次積層が複数回繰り返して多層構造を有する。
【0068】
前記二次元板状の二重水酸化物層30は、下記化学式1で表現される物質で構成される。
[化学式1]
[M
2+1−xM
3+x(OH)
2][A
n−]
x/n
前記M
2+は、Mg
2+、Ni
2+、Co
2+およびZn
2+よりなる群から選択された1種以上の2価金属イオンであり、前記M
3+は、Al
3+およびFe
3+よりなる群から選択された1種以上の3価金属イオンであり、前記A
n−は、ナイトレートおよびクロリドよりなる群から選択された1種以上の陰イオンである。
【0069】
前記二次元板状の二重水酸化物層30は、厚さ1〜25nmのナノシート形態を有する二次元板状の二重水酸化物で構成され得る。
【0070】
前記負電荷性高分子電解質層20は、ポリアクリル酸、ポリ(ソジウムスチレン4−スルホネート)、ポリアクリルアミド、ポリ(3−ヘキシルチオフェン)−2,5−ジイルおよびポリアクリロニトリル、ポリ[ジソジウム2,5−ビス(3−スルホナトプロポキシ)−1,4−フェニレン−alt−1,4−フェニレン]よりなる群から選択された1種以上の高分子電解質で構成され得る。
【0071】
前記基板10は、ポリエチレンテレフタレート、ポリイミド、ポリスチレンまたはシリコンウェハーで構成され得る。
【0072】
以下、本発明の好ましい実施例による有・無機ハイブリッドフィルムの製造方法をより具体的に説明する。
【0073】
図2は、本発明の好ましい実施例による有・無機ハイブリッドフィルムの製造方法を説明するために示す図である。
【0074】
図2を参照する。層状二重水酸化物を製造するために、蒸留水に第1前駆体としての[M
2+][A
n−]
2/nと、第2前駆体としての[M
3+][A
n−]
3/nおよび加水分解剤を混合して、前駆体反応溶液を形成する。
【0075】
前記第1前駆体としての[M
2+][A
n−]
2/nにおいて、前記M
2+は、Mg
2+、Ni
2+、Co
2+およびZn
2+よりなる群から選択された1種以上の2価金属イオンであり、前記A
n−は、ナイトレートおよびクロリドよりなる群から選択された1種以上の陰イオンであってもよい。例えば、前記第1前駆体は、Mg(NO
3)
2、MgCl
2、Ni(NO
3)
2、NiCl
2、CoCl
2、Zn(NO
3)
2、Co(NO
3)
2、これらの混合物などであってもよい。
【0076】
前記第2前駆体としての[M
3+][A
n−]
3/nにおいて、前記M
3+は、Al
3+およびFe
3+よりなる群から選択された1種以上の3価金属イオンであり、前記A
n−は、ナイトレートおよびクロリドよりなる群から選択された1種以上の陰イオンであってもよい。前記第2前駆体は、Al(NO
3)
3、AlCl
3、Fe(NO
3)
3、これらの混合物などであってもよい。
【0077】
前記第1前駆体と前記第2前駆体は、前記前駆体反応溶液で1:1〜3:1のモル濃度の比率を有することが好ましい。前記第1前駆体は、前記前駆体反応溶液で10〜200mMのモル濃度を有し、前記第2前駆体は、前記前駆体反応溶液で5〜100mMのモル濃度を有することが好ましい。
【0078】
前記加水分解剤は、水酸化反応を助ける役割をする。前記加水分解剤は、ヘキサメチレンテトラアミン(Hexamethylenetetramine;HMTA)、ウレア、NaOH、KOHおよびNH
4OHよりなる群から選択された1種以上の物質であってもよい。前記加水分解剤は、前記前駆体反応溶液で10〜1000mMのモル濃度を有することが好ましい。
【0079】
前記前駆体反応溶液が収容された容器をオートクレーブに入れ、水熱反応させる。前記水熱反応によって層状二重水酸化物(Layered Double Hydroxide;LDH)が形成される。
【0080】
前記層状二重水酸化物は、下記化学式1で表現され得る。
【0081】
[化学式1]
[M
2+1−xM
3+x(OH)
2][A
n−]
x/n
【0082】
前記M
2+は、Mg
2+、Ni
2+、Co
2+およびZn
2+よりなる群から選択された1種以上の2価金属イオンであり、前記M
3+は、Al
3+およびFe
3+よりなる群から選択された1種以上の3価金属イオンであり、前記A
n−は、ナイトレートおよびクロリドよりなる群から選択された1種以上の陰イオンであってもよい。
【0083】
層状二重水酸化物(Layered Double Hydroxide;LDH)は、2次元の金属水酸化物からなる構造体であって、2価または3価金属イオンと水酸化イオンで構成された八面体構成単位からなる。前記2価金属イオンは、Mg
2+、Ni
2+、Co
2+およびZn
2+よりなる群から選択された1種以上の金属イオンであってもよく、前記3価金属イオンは、Al
3+およびFe
3+よりなる群から選択された1種以上の金属イオンであってもよい。2次元金属水酸化物は、任意的に分布している3価金属イオンの存在によって全体的に正電荷を帯びる。
【0084】
層状二重水酸化物は、水熱合成方法で合成され得、水溶液内の負電荷分子と静電気的引力によって正電荷金属水酸化物と陰イオン分子が交互に存在する層状構造を有する。層状二重水酸化物は、金属水酸化物を構成する前駆体金属イオンと水酸化反応のための加水分解剤で構成された水溶液内で水熱合成方法で合成され、温度、圧力、前駆体の濃度、加水分解剤の種類および濃度、陰イオンの種類および濃度変数によって層状二重水酸化物の形状が決定される。
【0085】
前記水熱反応は、前記前駆体反応溶液をオートクレーブに入れ、100℃以上の温度(例えば、100〜180℃)で1〜72時間行うことが好ましい。前記水熱反応後に前記オートクレーブを常温まで徐々に冷却させることが好ましい。
【0086】
前記水熱反応によって形成された層状二重水酸化物(Layered Double Hydroxide;LDH)を選択的に分離させる。例えば、前記反応容器内に沈殿している反応物を選択的に分離させるために遠心分離を実施し、前記遠心分離後に上澄み液を除去する。
上澄み液が除去された結果物に蒸留水、エタノールなどを投入して洗浄し、遠心分離を実施した後に、上澄み液を除去する過程を少なくとも1回実施した後、オーブンで乾燥して、バルク形態の層状二重水酸化物(LDH)を得る。
【0087】
バルク形態の層状二重水酸化物(LDH)の層間に存在するCO
3−イオンを陰イオン交換反応を通じてNO
3−イオンに交換する。陰イオン交換を通じて層状二重水酸化物(LDH)の層間間隔が広くなり得、これによって、層状二重水酸化物(LDH)の剥離が容易になりえる。前記陰イオン交換は、次のような方法で行われ得る。
【0088】
溶媒に硝酸ナトリウムを添加して硝酸ナトリウム溶液を製造し、これに前記層状二重水酸化物を入れて分散させて懸濁液を形成する。前記溶媒は、エタノールと蒸留水が混合された溶液であってもよい。前記硝酸ナトリウム溶液は、0.5〜3M程度のモル濃度を有することが好ましい。
前記懸濁液を機械的に撹拌しつつ反応させると、陰イオン交換が行われる。前記陰イオン交換は、前記懸濁液に窒素ガス(N
2)を注入しつつ撹拌して行うことが好ましい。反応が行われた懸濁液を遠心分離して上澄み液を除去した後、蒸留水、エタノールなどを利用してさらに遠心分離を通じて洗浄し、層状二重水酸化物を選択的に分離させた後、乾燥する。
【0089】
前記層状二重水酸化物の層と層間を剥離して、ナノシート形態を有する二次元板状の二重水酸化物を形成する。合成された層状二重水酸化物は、剥離を通じてさらに縦横比を上昇させることができる。前記剥離は、層状二重水酸化物の層と層間に極性溶媒をインターカレーションさせ、物理的な力を加えて(例えば超音波処理して)行うことが好ましい。
【0090】
前記極性溶媒は、ホルムアミド等であってもよい。前記ホルムアミドは、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、フェニルエチルホルムアミドおよびヒドロキシエチルホルムアミドよりなる群から選択された1種以上の物質を含むことができる。
【0091】
前記極性溶媒とともに界面活性剤および両性物質をインターカレーションさせることもできる。
【0092】
前記界面活性剤は、リン脂質およびドデシル硫酸ナトリウムよりなる群から選択された1種以上の物質を含むことができる。
【0093】
前記両性物質は、ポリ(メタクリル酸)、ポリ(2−(エチルアミノ)エチルポリ(アリルアミン)(PAH)、ポリ(メタクリル酸)(PMAA)、N−イソプロピルアクリルアミド(NIPAm)、N−(3−アミノプロピル)メタクリルアミド、アリルアミン(AA)、アクリルアミド(AAm)、(ジメチルアミノ)エチルメタクリレート(DMAEMA)およびテトラヒドロピラニルメタクリレート(THPMA)よりなる群から選択された1種以上の物質を含むことができる。
【0094】
前記剥離は、次のように行うことができる。前記層状二重水酸化物をホルムアミド溶液に入れ、超音波機器(超音波洗浄器)を利用して分散させ、機械的に撹拌する。前記撹拌しつつ窒素ガス(N
2)を注入することもできる。前記過程を通じてきれいなコロイド溶液が形成される。
前記層状二重水酸化物の層と層間が剥離され、ナノシート形態を有する二次元板状の二重水酸化物が形成される。前記コロイド溶液には、層状二重水酸化物が剥離されてナノシート形態で形成された二次元板状の二重水酸化物が含有されている。前記コロイド溶液に含有された二次元板状の二重水酸化物は、全体的に正に荷電した状態となっている。
【0095】
有・無機ハイブリッドフィルムを製造するために基板10を準備する。前記基板10は、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリイミド(PI)、ポリスチレン(PS)、シリコンウェハー等であってもよい。前記基板は、エタノールなどで表面を洗浄して使用することが好ましい。
【0096】
負電荷性高分子電解質水溶液を前記基板10の表面にコートして、負電荷性高分子電解質層20を形成する。
【0097】
負電荷性高分子電解質は、ポリアクリル酸、ポリ(ソジウムスチレン4−スルホネート)、ポリアクリルアミド、ポリ(3−ヘキシルチオフェン)−2,5−ジイル、ポリアクリロニトリル、ポリ[ジソジウム2,5−ビス(3−スルホナトプロポキシ)−1,4−フェニレン−alt−1,4−フェニレン]、これらの混合物などであってもよい。
【0098】
前記コートは、ディップコート、スピンコート、ドロップキャスト、スプレーコート、インクジェット、レイヤーバイレイヤー工程などを利用することができる。
【0099】
前記負電荷性高分子電解質水溶液は、pHが7〜11の範囲であることが好ましい。前記負電荷性高分子電解質は、中性または塩基性(pH8〜)の状態で負に荷電した状態となっており、分散が長時間維持され得る。
一定のコート平坦面を得るためにpH7〜11の範囲でpHを調節して、前記負電荷性高分子電解質水溶液をコートすることが好ましい。前記負電荷性高分子電解質は、前記負電荷性高分子電解質水溶液に0.05〜5重量%含有されることが好ましい。
【0100】
一例として、pHが7〜11に調整された0.05〜5wt%の負電荷性高分子電解質水溶液に基板を浸漬した後に取り出し、蒸留水などに浸漬して洗浄し、乾燥し、負電荷性高分子電解質層20を形成することができる。このような過程を通じて、基板10の表面は、負電荷性高分子電解質層20でコートされる。
【0101】
基板10の表面に形成された負電荷性高分子電解質層20の上部に正に荷電した二次元板状の二重水酸化物が含有されたコロイド溶液をコートして、正電荷性二次元板状の二重水酸化物層30を形成する。前記コートは、ディップコート、スピンコート、ドロップキャスト、スプレーコート、インクジェット、レイヤーバイレイヤー工程などを利用することができる。
一例として、負電荷性高分子電解質層20が形成された基板10を正に荷電した二次元板状の二重水酸化物が含有されたコロイド溶液に浸漬した後に取り出し、蒸留水などに浸漬して洗浄し、乾燥して、正電荷性二次元板状の二重水酸化物層30を形成することができる。このような過程を通じて、基板の表面にコートされた負電荷性高分子電解質層20の上部に正に荷電した二次元板状の二重水酸化物がコートされる。断面構造を見れば、基板の上部に負電荷性高分子電解質層20と正電荷性二次元板状の二重水酸化物層30が順次に積層されている構造を有する。
【0102】
負電荷性高分子電解質層20と正電荷性二次元板状の二重水酸化物層30が順次に積層されている基板10に負電荷性高分子電解質水溶液をコートして、前記正電荷性二次元板状の二重水酸化物層30の上部に負電荷性高分子電解質層20を形成する。前記コートは、ディップコート、スピンコート、ドロップキャスト、スプレーコート、インクジェット、レイヤーバイレイヤー工程などを利用することができる。
前記負電荷性高分子電解質水溶液は、pHが7〜11の範囲であることが好ましい。負電荷性高分子電解質は、前記負電荷性高分子電解質水溶液に0.05〜5重量%含有されることが好ましい。前記負電荷性高分子電解質は、ポリアクリル酸、ポリ(ソジウムスチレン4−スルホネート)、ポリアクリルアミド、ポリ(3−ヘキシルチオフェン)−2,5−ジイル、ポリアクリロニトリル、ポリ[ジソジウム2,5−ビス(3−スルホナトプロポキシ)−1,4−フェニレン−alt−1,4−フェニレン]、これらの混合物などであってもよい。
一例として、pHが7〜11に調整された0.05〜5wt%の負電荷性高分子電解質水溶液に負電荷性高分子電解質層20と正電荷性二次元板状の二重水酸化物層30が順次に積層されている基板を浸漬した後に取り出し、蒸留水などに浸漬して洗浄し、乾燥して、前記正電荷性二次元板状の二重水酸化物層30の上部に負電荷性高分子電解質層20を形成することができる。このような過程を通じて、基板10の表面は、負電荷性高分子電解質層20、正電荷性二次元板状の二重水酸化物層30および負電荷性高分子電解質層20が順次に積層されている構造を有する。
【0103】
負電荷性高分子電解質層20、正電荷性二次元板状の二重水酸化物層30および負電荷性高分子電解質層20が順次に積層されている基板10の上部に正に荷電した二次元板状の二重水酸化物が含有されたコロイド溶液をコートして、正電荷性二次元板状の二重水酸化物層30を形成する。前記コートは、ディップコート、スピンコート、ドロップキャスト、スプレーコート、インクジェット、レイヤーバイレイヤー工程などを利用することができる。
一例として、負電荷性高分子電解質層20、正電荷性二次元板状の二重水酸化物層30および負電荷性高分子電解質層20が順次に積層されている基板10を正に荷電した二次元板状の二重水酸化物が含有されたコロイド溶液に浸漬した後に取り出し、蒸留水などに浸漬して洗浄し、乾燥して、正電荷性二次元板状の二重水酸化物層30を形成することができる。断面構造を見れば、基板10の上部に負電荷性高分子電解質層20、正電荷性二次元板状の二重水酸化物層30、負電荷性高分子電解質層20および正電荷性二次元板状の二重水酸化物層30が順次に積層されている構造を有する。
【0104】
以後、負電荷性高分子電解質水溶液をコートして、負電荷性高分子電解質層20を形成し、その上部に正に荷電した二次元板状の二重水酸化物が含有されたコロイド溶液をコートして、正電荷性二次元板状の二重水酸化物層30を形成する過程を少なくとも1回以上さらに行うこともできる。
【0105】
前述したように、負電荷性高分子電解質水溶液をコートして、負電荷性高分子電解質層20を形成し、その上部に正に荷電した二次元板状の二重水酸化物が含有されたコロイド溶液をコートして、正電荷性二次元板状の二重水酸化物層30を形成する過程を複数回繰り返して多層構造の有・無機ハイブリッドフィルムを製作することができる。
【0106】
以下、本発明による実験例を具体的に提示するが、下記に提示する実験例によって本発明が限定されるものではない。
【0107】
水熱合成を利用して層状二重水酸化物を製造するために、蒸留水に0.04M硝酸マグネシウム(Mg(NO
3)
2)、0.02M硝酸アルミニウム(Al(NO
3)
3)および0.05Mヘキサメチレンテトラミン(HMTA)を混合した溶液25mlを50ml容量のテフロン(登録商標)容器に入れ、150℃で24時間オートクレーブで反応させた。24時間後、反応させた溶液を取り出して遠心分離機を利用して遠心分離して上澄み液を除去し、蒸留水3回、およびエタノール1回で遠心分離を行った後、上澄み液を除去して洗浄した。遠心分離後に残っている沈殿物を80℃オーブンに入れて乾燥させて、バルク形態の層状二重水酸化物を収得した。
【0108】
層状二重水酸化物が形成される反応式を下記の反応式1〜反応式7に示した。
【0109】
[反応式1]
(NH
2)
2CO+H
2O→CO
2+2NH
3
【0110】
[反応式2]
NH
3+H
2O→NH
4++OH
−
【0111】
[反応式3]
CO
2+OH
−→CO
32−
【0112】
[反応式4]
2Al
3++6OH
−→2Al(OH)
3
【0113】
[反応式5]
2Al(OH)
3→2AlO(OH)+2H
2O
【0114】
[反応式6]
2Al(OH)
3+4Mg
2++CO
32−+6OH
−→Mg
4Al
2(OH)
12CO
3
【0115】
[反応式7]
2AlO(OH)+4Mg
2++CO
32−+6OH
−+2H
2O→Mg
4Al
2(OH)
12CO
3
【0116】
図3は、実験例によって製造されたバルク形態の層状二重水酸化物を示す走査電子顕微鏡(SEM)写真である。
【0117】
このように製造されたバルク形態の層状二重水酸化物層間に存在するCO
3−イオンを陰イオン交換反応を通じてNO
3−イオンに交換した。陰イオン交換は、次のように行った。
【0118】
エタノールと蒸留水が1:1の体積比で混合された溶媒80mlに硝酸ナトリウムを添加して1.5M硝酸ナトリウム溶液を製造し、これに前記層状二重水酸化物100mgを入れて分散させて、懸濁液を形成した。
【0119】
前記懸濁液に窒素ガス(N
2)を注入しつつ24時間機械的に撹拌して反応させた。反応が行われた懸濁液を3000rpmで10分間遠心分離して上澄み液を除去した後、蒸留水およびエタノールを利用してそれぞれ3回、1回遠心分離を通じて洗浄した。
【0120】
遠心分離を通じて残っている層状二重水酸化物を空気中および常温条件で乾燥した。
【0121】
層状二重水酸化物を剥離するために乾燥された層状二重水酸化物50mgをホルムアミド溶液100mlに入れ、超音波機器(超音波洗浄器)を利用して10分間分散させた後、窒素ガス(N
2)を注入しつつ48時間機械的に撹拌した。前記過程を通じて、きれいなコロイド溶液が形成された。
層状二重水酸化物は、層と層間が剥離され、ナノシート形態を有する。前記コロイド溶液には、層状二重水酸化物が剥離されてナノシート形態で形成された二次元板状の二重水酸化物が含有されている。前記コロイド溶液に含有された二次元板状の二重水酸化物は、全体的に正に荷電した状態となっている。
【0122】
図4は、実験例によって製造された二次元板状の二重水酸化物が含有されているコロイド溶液を示す写真である。
【0123】
図5は、実験例によって層状二重水酸化物を剥離して形成した二次元板状の二重水酸化物の様子を示す走査電子顕微鏡(SEM)写真である。
【0124】
図5を参照する。層状二重水酸化物の層と層間が剥離されてナノシート形態を有することを観察することができた。二次元板状の二重水酸化物は、層状二重水酸化物が剥離されてナノシート形態を有する。
【0125】
図6は、実験例によって製造された層状二重水酸化物として剥離する前の層状二重水酸化物の厚さプロファイルを示す図である。
【0126】
図7は、実験例によって製造された層状二重水酸化物を剥離して形成した二次元板状の二重水酸化物の厚さプロファイルを示す図である。
【0127】
図6および
図7を参照する。剥離する前の層状二重水酸化物は、200〜500nmの厚さを有することを確認することができた。層状二重水酸化物を剥離して形成した二次元板状の二重水酸化物は、25nm以下の厚さを有することを確認することができた。
【0128】
有・無機ハイブリッドフィルムを製造するために、エタノールにより表面が洗浄されたポリエチレンテレフタレートフィルムを基板として使用した。
【0129】
pH10に調整された0.5wt%のポリアクリル酸水溶液にポリエチレンテレフタレートフィルムを5分間浸漬した後に取り出し、蒸留水に浸漬して3回洗浄し、乾燥した。前記乾燥は、80℃の真空オーブンで行った。このような過程を通じて、ポリエチレンテレフタレートフィルムの表面は、負電荷性ポリアクリル酸層でコートされる。
【0130】
負電荷性ポリアクリル酸層が表面に形成されたポリエチレンテレフタレートフィルムを正に荷電した二次元板状の二重水酸化物が含有されたきれいなコロイド溶液に5分間浸漬した後に取り出し、蒸留水に浸漬して3回洗浄して乾燥した。前記乾燥は、80℃の真空オーブンで行った。
このような過程を通じて、ポリエチレンテレフタレートフィルムの表面にコートされた負電荷性ポリアクリル酸層の上部に正に荷電した二次元板状の二重水酸化物がコートされる。断面構造を見れば、ポリエチレンテレフタレートフィルムの上部に負電荷性ポリアクリル酸層と正電荷性二次元板状の二重水酸化物層が順次に積層されている構造を有する。
【0131】
負電荷性ポリアクリル酸層と正電荷性二次元板状の二重水酸化物層が順次に積層されているポリエチレンテレフタレートフィルムをさらにpH10に調整された0.5wt%のポリアクリル酸水溶液に5分間浸漬した後に取り出し、蒸留水に浸漬して3回洗浄し、乾燥した。前記乾燥は、80℃の真空オーブンで行った。
このような過程を通じて、ポリエチレンテレフタレートフィルムの表面は、負電荷性ポリアクリル酸層、正電荷性二次元板状の二重水酸化物層および負電荷性ポリアクリル酸層が順次に積層されている構造を有する。
【0132】
負電荷性ポリアクリル酸層、正電荷性二次元板状の二重水酸化物層および負電荷性ポリアクリル酸層が順次に積層されているポリエチレンテレフタレートフィルムを正に荷電した二次元板状の二重水酸化物が含有されたきれいなコロイド溶液に5分間浸漬した後に取り出し、蒸留水に浸漬して3回洗浄して乾燥した。前記乾燥は、80℃の真空オーブンで行った。このような過程を通じて、ポリエチレンテレフタレートフィルムの表面は、負電荷性ポリアクリル酸層、正電荷性二次元板状の二重水酸化物層、負電荷性ポリアクリル酸層および正電荷性二次元板状の二重水酸化物層が順次に積層されている構造を有する。
【0133】
前述した方法のようにpH10に調整された0.5wt%のポリアクリル酸水溶液に浸漬した後、洗浄および乾燥し、その結果物を正に荷電した二次元板状の二重水酸化物が含有されたきれいなコロイド溶液に浸漬した後、洗浄および乾燥する過程を3回さらに行うことで、多層構造の有・無機ハイブリッドフィルムを製作した。
【0134】
図8は、実験例によって製造された有・無機ハイブリッドフィルムを示す走査電子顕微鏡(SEM)写真である。
【0135】
以上、本発明の好ましい実施例により詳細に説明したが、本発明は、前記実施例に限定されるものではなく、当該分野における通常の知識を有する者によって様々な変形が可能である。