【実施例】
【0015】
(まくらぎについて)
図1および
図2に示すように、実施例のまくらぎ用パッド20が底部10aに固定されるまくらぎ10は、コンクリート製で、左右方向が長手となる細長で、左右方向と直交する短手方向での断面形状が台形をなすブロック体である。まくらぎ10は、左右に離間した一対のレール固定部14,14を備え、両レール固定部14,14の上部には、各レールL,Lの基部両側に係着するレール固定具16(
図2参照)が配設されている。そして、まくらぎ10の底部10aには、まくらぎ10に作用する衝撃や振動を吸収するまくらぎ用パッド20が固定される。なお、まくらぎ10は、ピアノ線や鋼棒等の芯材が埋設されている(図示省略)。
【0016】
(まくらぎ用パッド)
まくらぎ10の底部10aに固定されるまくらぎ用パッド20は、
図1〜
図4に示すように、所要厚のパッド本体22と、該パッド本体22の上面22aに配設されたアンカー部材24とを備える。また、まくらぎ用パッド20は、パッド本体22の下面22bに、保護体28を備えている。そして、まくらぎ用パッド20は、アンカー部材24がまくらぎ10の底部10aに機械的に係着されることで、該まくらぎ10から剥離し難く固定されるようになっている。なお、実施例では、左右に分離した2つのまくらぎ用パッド20,20が、該まくらぎ10の底部10aに並べて固定されている。
【0017】
(パッド本体)
パッド本体22は、
図3および
図4に示すように、適宜の弾力性を有する板状部材である。パッド本体22は、レールL,L上を通過する電車や列車の荷重がまくらぎ10を介して加わって加圧されても圧潰または破損しない強度を備えていると共に、電車や列車の通過によりまくらぎ10に作用する衝撃や振動を吸収し得る衝撃・振動吸収性能を備えている。ここで、パッド本体22は、エチレンプロピレンジエンゴム(EPDM)やウレタン等の発泡体からなり、実施例では、発泡原料としてポリウレタンを所定の発泡倍率に発泡成形したウレタンフォームであり、適度の柔軟性および弾力性を有している。
【0018】
パッド本体22は、
図1に示すように、まくらぎ10の底部10aにおいて、当該まくらぎ用パッド20が固定される部位の輪郭形状より一回り小さい相似形をなす輪郭形状に形成されている。そして、パッド本体22は、まくらぎ10の底部10aから側外方へはみ出さないように該底部10aに固定される。これにより、マルチプルタイタンパー(MTT)による砂利の突き固め作業時に、タイタンパーがパッド本体22に引っ掛かって該パッド本体22が破損するのを防止し得る。また、まくらぎ10の品質検査時に、該まくらぎ10へのまくらぎ用パッド20の埋設量を確認することも可能である。
【0019】
(保護体)
保護体28は、パッド本体22の下面22b全体を被覆する輪郭形状に形成されたシート状の部材である。保護体28は、まくらぎ10により加圧されたパッド本体22が砂利道床50に敷設された砂利に強く押し付けられた際に、該砂利がパッド本体22の底部に食い込むのを防止して該パッド本体22を保護し得るようになっている。また、保護体28は、砂利道床50の砂利の食い込みを許容するようになっており、まくらぎ10に作用する衝撃や振動による該砂利の動きを規制し得るようになっている。ここで、実施例の保護体28は、合成樹脂(ポリプロピレン(PP)やポリエチレン(PE)等)製の不織布から構成されており、パッド本体22の下面22bに接着剤により接着されている。
【0020】
(アンカー部材)
アンカー部材24は、
図3および
図4に示すように、所謂「面ファスナー」を用いることができる。すなわち、アンカー部材24は、パッド本体22の外面である上面22aに固定される基部30と、該基部30の上面から突出して、まくらぎ10の底部10aに埋設される複数の係着突起32とを備えている。
【0021】
(基部)
基部30は、パッド本体22より薄く形成され、該パッド本体22の上面22aの全体を被覆するシート状の部材である。そして、基部30は、撓み変形が可能となっており、パッド本体22の弾性変形に追従した変形可能となっている。また、基部30は、その上面30aがアルカリ性を示す生コンクリートに接触するようになるので、耐アルカリ性を有する合成樹脂(例えば、ポリエチレンテレフタラート(PET)、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレン(PE)、ポリアミド等)を材質とするものが採用される。ここで、実施例の基部30は、所要太さの耐アルカリ性を有する合成樹脂製の糸を織って形成された布材であり、具体的には、250デニール(直径=0.18mm程度)のポリエチレンテレフタラート製の糸を織ったもので、厚さが1〜2mmであり、織った糸の間に多数の小孔が形成された構成となっている。
【0022】
(係着突起)
係着突起32は、
図3および
図4に示すように、基部30に基端が支持されると共に、該基部30から立ち上がった細長の線状をなしている。そして、係着突起32は、その頭部に、基部30から立ち上がる脚部34よりも該係着突起32の立ち上がり方向と交差する方向へ延出する係着部36を備えている。すなわち、係着突起32は、基部30から立ち上がった線状の脚部34と、この脚部34の先端に連なって形成され、該脚部34の立ち上がり方向と交差する方向へ延出する係着部36とを備えている。また、係着突起32は、その全体がアルカリ性を示す生コンクリートに埋設するようになるので、耐アルカリ性を有する合成樹脂(例えばポリプロピレン(PP)、ポリエチレン(PE)等)を材質とするものが採用される。ここで、実施例の係着突起32は、基部30とは別体に形成された線状材であり、具体的には、600デニール(直径=0.27mm程度)のポリプロピレン製の線状材から形成され、長手方向と交差する短手方向で破断した断面形状が略円形となっている。実施例の係着突起32は、前述した合成樹脂製の線状材を、その両端を基部30の上面30a側から下面側へ挿通させると共に再び上面30a側へ挿通させることで、該線状材における該基部30の上面30aから立ち上がった部分により構成される。すなわち、基部30に挿通させた1本の当該線状材から、2つの係着突起32,32が形成されている。
【0023】
アンカー部材24は、
図3および
図4に示すように、2方向以上の立ち上がり方向で複数の係着突起32が配設されている。すなわち、実施例の係着突起32は、脚部34が基部30の上面30aから垂直上方へ立ち上がった姿勢のものや、脚部34が基部30の上面30aから前後左右の適宜方向へ斜めに立ち上がった姿勢のものがある。また、係着突起32は、基部30の上面30aから、脚部34が真っ直ぐに立ち上がったものや、脚部34の全体が湾曲したり該脚部34の中途部で曲がった状態で立ち上がったもの等がある。なお、基部30の上面30aから斜めに立ち上がった係着突起32は、生コンクリートに差し込まれる際に基部30の上面30a側へ倒れ込むことを防止することを勘案すると、基部30の上面30aに対する脚部34の立ち上がり角度が45°より大きい(垂直に近い)ことがことが望ましい。従って、実施例では、係着突起32の立ち上がり角度が60°以上とされ、生コンクリートに差し込まれる際に基部30の上面30aへ倒れ込むことが防止されるよう構成されている。
【0024】
また、係着突起32は、その立ち上がり方向の長さ(以降「立ち上がり長さ」という)H(
図3参照)が、2.5〜7.5mmの範囲となっている。係着突起32の立ち上がり長さHをこの範囲とするのは、係着部36がまくらぎ10に適切に係着されると共に、生コンクリートへの差し込み時に脚部34が変形しないようにするためである。ここで、係着突起32の立ち上がり長さHは、脚部34の根元(基部30の上面30a)から係着部36の頂部(先細りとなった先端)までの長さである。すなわち、基部30の上面30aから垂直に立ち上がると共に脚部34が真っ直ぐな係着突起32であれば、垂直方向における脚部34の根元から係着部36の頂部までの長さを指す。また、基部30の上面30aから傾いて立ち上がると共に脚部34が真っ直ぐな係着突起32であれば、傾斜姿勢に沿った方向における脚部34の根元から係着部36の頂部までの長さを指す。また、基部30の上面30aから垂直に立ち上がると共に脚部34が曲がった係着突起32であれば、脚部34を垂直方向に真っ直ぐにした状態における脚部34の根元から係着部36の頂部までの長さを指す。更に、基部30の上面30aから傾いて立ち上がると共に脚部34が曲がった係着突起32であれば、脚部34を傾斜姿勢に沿った方向へ真っ直ぐにした状態における脚部34の根元から係着部36の頂部までの長さを指す。なお、実施例では、係着突起32の立ち上がり長さHを、4.0mm程度に設定してある。
【0025】
各係着突起32の係着部36は、脚部34の立ち上がり方向における頂部が先細り形状となっている。具体的に、係着部36は、脚部34の立ち上がり方向における頂部が半球形状となっている。また、係着部36は、脚部34を挟んで対称形状となっている。実施例では、脚部34の外周方向全周に亘り、該脚部34の立ち上がり方向と交差する方向へ均等に延出している。ここで、係着部36の最大幅D(実施例では最大径)(
図3参照)は、コンクリート製のまくらぎ10に対して適切な係着が得られることと、生コンクリートに対する係着突起32の適切な差し込みがなされることを勘案すると、0.6〜1.1mmの範囲が好ましい。但し、係着部36の最大幅Dは、脚部34の太さに応じて設定される。なお、実施例では、脚部34の直径が600デニール(0.27mm)であるので、各係着突起32の係着部36の最大径Dを、0.8mm程度に設定している。従って、係着部36の脚部34から半径方向への延出幅は、脚部34に全周に亘って0.265mm程度となっている。
【0026】
(配設数)
また、各係着突起32は、
図3および
図4に示すように、基部30の上面において所要の間隔をおいて配設されており、立ち上がり方向が異なっていても互いの係着部36が接触しないようになっている。実施例では、
図4に示すように、各係着突起32が、基部30の前後方向へ等間隔で整列すると共に左右方向へ等間隔で整列するよう配設されている。ここで、基部30に対する各係着突起32の単位面積当りの配設数は、コンクリート製のまくらぎ10に固定したパッド本体22の適切な剥離強度が得られることと、各係着突起32の間に生コンクリートが適切に入り込むようにすることを勘案すると、後述する試験結果から、8〜62本/cm
2の範囲が好ましい。従って、実施例では、基部30に対する係着突起32の配設数を17本/cm
2程度としている。
【0027】
前述したアンカー部材24は、予め成形したパッド本体22の上面22aに接着剤により基部30を接着することで、該パッド本体22に固定される。すなわち、接着剤が、パッド本体22のウレタンフォームに含浸して硬化すると共に、基部30を形成する糸および係着突起32を形成する線状材の該基部30の下面に露出した部分に含浸して硬化することで、アンカー部材24は、パッド本体22に埋設されずに該パッド本体22に強固に接着される。これにより、パッド本体22とアンカー部材24とは、まくらぎ10により加圧されたり、該まくらぎ10に衝撃や振動が付与されても剥離し難くなっている。なお、パッド本体22をウレタンフォームとする場合には、成形型にアンカー部材24をセットしたもとでパッド本体22を発泡成形することで、ポリウレタンの接着力を利用してアンカー部材24をパッド本体22の上面22aに接着することも可能である。
【0028】
従って、アンカー部材24は、基部30および係着突起32の一部がパッド本体22に埋設した状態でパッド本体22に固定されない構成であるので、パッド本体22は、その全体が有効な弾性変形領域となっている。これにより、パッド本体22は、レールL,L上を通過する電車や列車によりまくらぎ10が衝撃を受けたり振動した際に、該衝撃や振動を好適に吸収し得る衝撃・振動吸収性能を備えている。また、アンカー部材24の基部30が、パッド本体22の弾性変形に追従して変形可能となっているので、該アンカー部材24がパッド本体22の衝撃・振動吸収性能に影響を及ぼさない。
【0029】
まくらぎ用パッド20は、まくらぎ10を成形する生コンクリートの硬化前に、アンカー部材24の各係着突起32を生コンクリートに差し込み、この状態で生コンクリートを硬化させることで、まくらぎ10に配設される。
【0030】
従って、実施例のまくらぎ用パッド20は、アンカー部材24の基部30が、パッド本体22の上面22aに固定された後に該パッド本体22の弾性変形に追従して変形するよう構成されているので、アンカー部材24によりパッド本体22の衝撃・振動吸収性能に影響を及ぼさず、パッド本体22は、厚みを大きくすることなく好適な衝撃・振動吸収性能が発揮される。そして、アンカー部材24の基部30および係着突起32がパッド本体22に埋設されず、該係着突起32が完全に露出するよう構成されているので、特に係着突起32をパッド本体22の衝撃・振動吸収性能に影響を及ぼさないよう柔らかくする必要がなく、まくらぎ10を成形する生コンクリートに対する該係着突起32の埋設不良が防止されて、まくらぎ10に固定したまくらぎ用パッド20の剥離強度が低下し難い。また、まくらぎ10を成形する生コンクリートに対する係着突起32の埋設不良を防止するために該係着突起32を硬くしても、係着突起32がパッド本体22の衝撃・振動吸収性能に影響を及ぼさない。
【0031】
そして、実施例のまくらぎ用パッド20は、パッド本体22の上面に配設されたアンカー部材24の係着突起32が、その頭部において、線状の脚部34の先端に連なって設けられた係着部36が該脚部34の立ち上がり方向と交差する方向へ延出して、コンクリート製のまくらぎ10に埋設されると該係着部36が該まくらぎ10に機械的に引っ掛かる構成であるから、まくらぎ10に埋設された係着突起32が該まくらぎ10から抜脱し難くすることができる。しかも、係着部36は、脚部34を挟んで対称形状をなし、脚部34の外周方向の全周に亘って均等に延出しているので、まくらぎ用パッド20がまくらぎ10の底部10aの面方向へずらす外力が作用しても、まくらぎ10に対する係着突起32の好適な係着状態が維持される。すなわち、まくらぎ用パッド20は、係着突起32がまくらぎ10に機械的に係着される構成であるので、まくらぎ10が衝撃を受けたり振動しても、まくらぎ用パッド20を該まくらぎ10から剥離し難くすることができる。
【0032】
アンカー部材24は、係着突起32における係着部36の頂部を、脚部34の立ち上がり方向に先細り形状となる半球形状としたので、当該係着突起32が生コンクリートにスムーズに差し込まれて埋設されるようになる。従って、係着突起32が生コンクリートに差し込まれる際に、脚部34が撓んだり座屈変形し難い。また、係着突起32が基部30の上面へ倒れて生コンクリートに差し込まれなくなる不都合が回避され、係着突起32の埋設不良による剥離強度の低下を防止し得る。
【0033】
また、基部30の上面30aからの立ち上がり方向を2方向以上にずらして配設された係着突起32が、まくらぎ10に対して異なる方向を向いて埋設されるよう構成されているので、まくらぎ10に対して底部10aの面方向へアンカー部材24が移動し難くなる。また、まくらぎ10に対するアンカー部材24の係着強度が高められるので、まくらぎ10に固定したまくらぎ用パッド20を、より剥離し難くすることができる。
【0034】
また、アンカー部材24は、基部30に対する係着突起32の単位面積当りの配設数を適正化して、隣接する係着突起32が離間配置されている。これにより、まくらぎ10を成形する生コンクリートに係着突起32が差し込まれた際に、隣接する係着突起32の間に生コンクリートが適切に入り込むよう構成されている。従って、まくらぎ10は、各係着突起32の外面全体に接触した状態に構成されるので、まくらぎ10に対する係着突起32の適切な係着状態が形成され、まくらぎ用パッド20をまくらぎ10から剥離し難くすることができる。
【0035】
(試験について)
本願発明者は、異なる立ち上がり長さHの係着突起32を備えた8種類のアンカー部材24の試験体1〜8を準備して、まくらぎ用パッド20用としてのアンカー部材24の可否について試験を実施した。この試験では、
図5に示すように、(a)係着突起32の形状安定性、(b)まくらぎ10に対する剥離強度、(c)生コンクリートに対する係着突起32の差し込み、について確認した。なお、試験体1〜8の条件は、表1に示す。ここで、係着突起32の係着部36の形状は、実施例で例示したものと同じで、脚部34の立ち上がり方向における頂部が先細りとなると共に、脚部34の外周方向全周に亘り、該脚部34の立ち上がり方向と交差する方向へ均等に延出した半球形状である。また、係着部36の最大幅は、該係着部36の最大径である。
【0036】
(a)係着突起32の形状安定性
係着突起32を、水分を含む生コンクリートに差し込み、差し込んだ直後に、該係着突起32の脚部34や係着部36が、水分やコンクリートの成分により変形するか否かを、目視により確認した。
(b)まくらぎ10に対する剥離強度
まくらぎ10に対する剥離強度は、パッド本体22の上面22aに配設した試験体の係着突起32を生コンクリートに挿入して、1週間程度の該生コンクリートが硬化期間の経過後に、次に示す試験方法で行った。なお、まくらぎ10に対するまくらぎ用パッド20の配設態様は、アンカー部材24の全体がコンクリートに埋設されると共に、パッド本体22の上面側が1mmだけコンクリートに埋設された状態とする。そして、剥離強度が100N/50mm以上を良(○)とした。
(c)生コンクリートに対する係着突起32の差し込み
係着突起32を、生コンクリートに差し込む際に、差し込み時の抵抗や、係着部36が該生コンクリート内の砂利や芯材等に当たることにより、脚部34が座屈変形または撓み変形して埋設不良が生じたか否かを、目視により確認した。
【0037】
(剥離強度の試験方法について)
剥離強度の試験方法は、「JIS K6854−1:1999接着剤−はく離接着強さ試験方法」を参考にした。試験体1〜8は、50mm(幅)×200mm(長さ)のサイズとした。各試験体1〜8は、長手方向における一方の端部側に幅50mmのつかみ代を設け、50mm×150mmの範囲をコンクリートに圧着して24時間養生させた。その後、引っ張り用治具でつかみ代部分を厚み方向から挟んだもとで、3mm/minの剥離速度で90度剥離を行い、ロードセル(荷重センサ)により引張荷重を測定した。そして、剥離強度は、引っ張り開始初期の荷重ピーク値から50mm剥離させた間の荷重の平均値をとったものである。
【0038】
【表1】
【0039】
表1に、試験体1〜8の試験結果を示す。試験体3〜7は、剥離強度が100N/50mm以上の条件を満たすと共に、係着突起32の形状安定性の条件および生コンクリートへの差し込みの条件を満たすことが確認できた。従って、試験体3〜7は、まくらぎ用パッド20のアンカー部材24として適している。
【0040】
試験体1および2は、係着突起32の形状安定性の条件および生コンクリートへの差し込みの条件は満たすものの、剥離強度が100N/50mm以上の条件を満たさないことが確認できた。従って、試験体1および2は、まくらぎ用パッド20のアンカー部材24として適していない。
【0041】
試験体8は、係着突起32の形状安定性の条件および剥離強度が100N/50mm以上の条件は満たすものの、生コンクリートへの差し込みの条件は満たさないことが確認できた。従って、試験体8は、まくらぎ用パッド20のアンカー部材24として適していない。
【0042】
(変更例)
本発明は、前述の実施例の構成に限定されず、以下のようにも変更することも可能である。
(1)アンカー部材の係着突起は、先端に形成される係着部が、脚部の立ち上がり方向における頂部が半球形状をなすものに限定されず、脚部の立ち上がり方向と交差する方向へ延出した形状で、脚部の立ち上がり方向において頂部が先細り形状をなすものであれば、様々な形状とすることができる。例えば、係着部は、先端が尖った円錐形状や角錐形状、截頭錐形状、前端が球面をなす砲弾形状等であってもよい。また、係着突起は、脚部の先端に連なって設けられた部分を湾曲または屈曲させたフック形状(側面視で、逆J形状や、逆レ形状)であってもよい。
(2)アンカー部材の係着部は、脚部を挟んで対称形状とする場合、該脚部の立ち上がり方向の先端側から見た形状がI形状、X形状、H形状等であってもよい。
(3)アンカー部材の係着部は、脚部を挟んで非対称な形状であってもよく、脚部の外周方向における一部の範囲において、該脚部の立ち上がり方向と交差する方向へ延出するものでもよい。
(4)アンカー部材の基部を形成する糸は、実施例の250デニールのものに限らず、200〜300デニールのものが採用可能である。
(5)アンカー部材における係着突起の立ち上がり長さは、実施例の4.0mmに限らず、2.5〜7.5mmの範囲で設定することが可能である。
(6)アンカー部材の係着突起を形成する線状材は、実施例の600デニールのものに限らず、300〜3000デニールのものが採用可能であり、高い剥離強度を必要とする場合は、600〜3000デニールのものを採用するのが望ましい。なお、太い線状材を使用する場合は、係着部の脚部からの延出幅を大きくするのが望ましい。
(7)基部の上面における係着突起の単位面積当りの配設数は、実施例の17本/cm
2に限らず、8〜62本/cm
2の範囲で変更することが可能である。
(8)係着突起は、基部の上面において、前後方向および左右方向へ等間隔に配設されていなくてもよい。
(9)係着突起は、1本の線状材から1つの係着突起が形成されるものであってもよい。
(10)アンカー部材の基部は、糸を織って形成した布材に限らず、薄肉かつ平滑に成形された成樹脂製のシート材や、多数の小孔を有する網状に一体成形されたものであってもよい。
(11)アンカー部材は、基部と係着突起とが一体成形された単一の部材として構成してもよい。
(12)アンカー部材および保護体を、パッド本体を発泡成形する成形型内に対向した状態でセットし、該アンカー部材と保護体との間でポリウレタンを発泡させることで、硬化する前のポリウレタンの一方の面にアンカー部材の基部を接触させると共に、該ポリウレタンの他方の面に保護体を接触させ、ポリウレタンの接着力を利用してパッド本体の上面にアンカー部材を接着固定すると共に該パッド本体の下面に保護体を接着固定するようにしてもよい。
(13)パッド本体は、ポリウレタンフォームに限らず、ポリスチレンフォームやポリエチレンフォーム等の各種発泡材や、合成ゴムや天然ゴムを主成分とした加硫ゴム等から形成されたものであってもよい。