(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記リン系酸化防止剤(B)が、少なくとも一般式(1)で表される化合物を含み、該一般式(1)で表される化合物の量が、リン系酸化防止剤(B)全量の20〜100質量%である、請求項3又は4に記載の芳香族ポリカーボネート樹脂組成物。
前記リン系酸化防止剤(B)が、少なくとも2種の化合物を含み、その少なくとも2種の化合物のうちの1種が、一般式(1)で表される化合物であり、該一般式(1)で表される化合物の量が、リン系酸化防止剤(B)全量の20〜90質量%である、請求項3又は4に記載の芳香族ポリカーボネート樹脂組成物。
前記芳香族ポリカーボネート樹脂(A)100重量部に対して、さらに、エポキシ化合物(F)を、0.001〜0.2質量部含有する、請求項1〜9のいずれか1項に記載の芳香族ポリカーボネート樹脂組成物。
前記エポキシ化合物(F)が、3’,4’−エポキシシクロヘキシルメチル−3,4−エポキシシクロヘキサンカルボキシレートを含有する、請求項10に記載の芳香族ポリカーボネート樹脂組成物。
熱安定剤、酸化防止剤、着色剤、離型剤、軟化剤、帯電防止剤及び衝撃性改良剤を含有する群から選択される少なくとも1種を更に含有する、請求項1〜11のいずれか1項に記載の芳香族ポリカーボネート樹脂組成物。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下に、実施の形態を詳細に説明する。ただし、必要以上に詳細な説明は省略する場合がある。例えば、既によく知られた事項の詳細説明や実質的に同一の構成に対する重複説明を省略する場合がある。これは、以下の説明が不必要に冗長になるのを避け、当業者の理解を容易にするためである。
【0013】
なお、発明者らは当業者が本発明を充分に理解するために以下の説明を提供するのであって、これらによって請求の範囲に記載の主題を限定することを意図するものではない。
【0014】
本発明の実施形態の芳香族ポリカーボネート樹脂組成物は、芳香族ポリカーボネート樹脂(A)、リン系酸化防止剤(B)、脂肪酸エステル(C)および特定の芳香族化合物(D)を含有し、必要に応じて、ポリエーテル誘導体(E)、エポキシ化合物(F)及び/又はその他の成分等を含有することができる。
【0015】
本発明の実施形態において、「芳香族ポリカーボネート樹脂(A)」は、芳香族化合物に基づくポリカーボネート樹脂であって、本発明が目的とする芳香族ポリカーボネート樹脂組成物を得ることができる限り特に制限されることはない。そのような芳香族ポリカーボネート樹脂として、例えば、種々のジヒドロキシジアリール化合物とホスゲンとを反応させるホスゲン法、又はジヒドロキシジアリール化合物とジフェニルカーボネート等の炭酸エステルとを反応させるエステル交換法によって得られる重合体を例示できる。代表例は、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン(ビスフェノールA)から製造されたポリカーボネート樹脂を含有する。
【0016】
前記ジヒドロキシジアリール化合物として、ビスフェノールAの他に、例えば、ビス(4−ヒドロキシフェニル)メタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ブタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)オクタン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)フェニルメタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル−3−メチルフェニル)プロパン、1,1−ビス(4−ヒドロキシ−3−第三ブチルフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−ブロモフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3、5−ジブロモフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジクロロフェニル)プロパン等のビス(ヒドロキシアリール)アルカン類;1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロペンタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン等のビス(ヒドロキシアリール)シクロアルカン類;4,4’−ジヒドロキシジフェニルエーテル、4,4’−ジヒドロキシ−3,3’−ジメチルジフェニルエーテル等のジヒドロキシジアリールエーテル類;4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルフィド等のジヒドロキシジアリールスルフィド類;4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルホキシド、4,4’−ジヒドロキシ−3,3’−ジメチルジフェニルスルホキシド等のジヒドロキシジアリールスルホキシド類;4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルホン、4,4’−ジヒドロキシ−3,3’−ジメチルジフェニルスルホン等のジヒドロキシジアリールスルホン類を例示できる。これらは単独で又は組み合わせて使用できる。これらの他にも、ピペラジン、ジピペリジルハイドロキノン、レゾルシン、4,4’−ジヒドロキシジフェニル等を組み合わせて使用することができる。
【0017】
さらに、前記ジヒドロキシジアリール化合物と、例えば以下に示す3価以上の芳香族化合物とを組み合わせて使用してもよい。
【0018】
前記3価以上のフェノール化合物として、例えば、フロログルシン、4,6−ジメチル−2,4,6−トリ−(4−ヒドロキシフェニル)−ヘプテン、2,4,6−ジメチル−2,4,6−トリ−(4−ヒドロキシフェニル)−ヘプタン、1,3,5−トリ−(4−ヒドロキシフェニル)−ベンゾール、1,1,1−トリ−(4−ヒドロキシフェニル)−エタン及び2,2−ビス−[4,4−(4,4´−ジヒドロキシジフェニル)−シクロヘキシル]−プロパン等を例示できる。
【0019】
芳香族ポリカーボネート樹脂(A)の粘度平均分子量は、10000〜100000であることが好ましく、12000〜30000であることがより好ましい。なお、このような芳香族ポリカーボネート樹脂(A)を製造する際には分子量調節剤、触媒等を必要に応じて使用することができる。
【0020】
本発明の実施形態におけるリン系酸化防止剤(B)は、本発明が目的とする芳香族ポリカーボネート樹脂組成物を得られる限り特に制限されることはないが、下記亜リン酸エステル構造を有する亜リン酸エステル化合物を含有することが好ましい。
【化2】
【0021】
本発明の実施形態の芳香族ポリカーボネート樹脂組成物は、リン系酸化防止剤(B)が、下記式(1)で表される亜リン酸エステル化合物、下記式(2)で表される亜リン酸エステル化合物、下記式(3)で表される亜リン酸エステル化合物及び下記式(4)で表される亜リン酸エステル化合物から選択される少なくとも1種以上の化合物を含有することが好ましい。リン系酸化防止剤(B)は、脂肪酸エステル(C)および後述する特定芳香族化合物(D)とともに作用し、得られるポリカーボネート樹脂組成物の本来有する耐熱性、機械的強度等の特性を損なうことなく、熱安定性に優れ、光線透過率が高く、しかも成形加工された0.3mm程度の薄型の成形品(導光板)が光源照射等による高温条件下に長期に亘り暴露された場合でも、透明性の低下(白濁又は着色を生じ難い)を少なくする成分である。
【0022】
リン系酸化防止剤(B)は、例えば、下記式(1)で表される化合物を含有することが好ましい。
【0023】
式(1):
【化3】
(式中、R
1は、炭素数1〜20のアルキル基を示し、aは、0〜3の整数を示す)
【0024】
前記式(1)において、R
1は、炭素数1〜20のアルキル基であるが、さらには、炭素数1〜10のアルキル基であることが好ましい。
【0025】
式(1)で表される化合物としては、例えば、トリフェニルホスファイト、トリクレジルホスファイト、トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)フォスファイト、トリスノニルフェニルホスファイト等が挙げられる。これらの中でも、特にトリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)フォスファイトが好適であり、例えば、BASF社製のイルガフォス168(「イルガフォス」はビーエーエスエフ ソシエタス・ヨーロピアの登録商標)として商業的に入手可能である。
【0026】
リン系酸化防止剤(B)は、例えば、下記式(2)で表される化合物を含有することが好ましい。
【0027】
式(2):
【化4】
(式中、R
9及びR
10は、それぞれ独立して、炭素数1〜20のアルキル基又はアルキル基で置換されていてもよいアリール基を示し、b及びcは、それぞれ独立して、0〜3の整数を示す。)
【0028】
式(2)で表される化合物としては、例えば、ビス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ペンタエリスリトールジフォスファイト、フェニルビスフェノールAペンタエリスリトールジフォスファイト等が挙げられる。ビス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ペンタエリスリトールジフォスファイトは、ADEKA社製、商品名「アデカスタブPEP−24G」として商業的に入手可能である。(株)ADEKA製のアデカスタブPEP−36(「アデカスタブ」は登録商標)が商業的に入手可能である。
【0029】
リン系酸化防止剤(B)は、例えば、下記式(3)で表される化合物を含有することが好ましい。
【0030】
式(3):
【化5】
(式中、R
2、R
3、R
5及びR
6は、それぞれ独立して、水素原子、炭素数1〜8のアルキル基、炭素数5〜8のシクロアルキル基、炭素数6〜12のアルキルシクロアルキル基、炭素数7〜12のアラルキル基又はフェニル基を示す。R
4は、水素原子又は炭素数1〜8のアルキル基を示す。Xは、単結合、硫黄原子又は式:−CHR
7−(ここで、R
7は、水素原子、炭素数1〜8のアルキル基又は炭素数5〜8のシクロアルキル基を示す)で表される基を示す。Aは、炭素数1〜8のアルキレン基又は式:*−COR
8−(ここで、R
8は、単結合又は炭素数1〜8のアルキレン基を示し、*は、酸素側の結合手であることを示す)で表される基を示す。Y及びZは、いずれか一方がヒドロキシル基、炭素数1〜8のアルコキシ基又は炭素数7〜12のアラルキルオキシ基を示し、もう一方が水素原子又は炭素数1〜8のアルキル基を示す。)
【0031】
式(3)において、R
2、R
3、R
5及びR
6は、それぞれ独立して、水素原子、炭素数1〜8のアルキル基、炭素数5〜8のシクロアルキル基、炭素数6〜12のアルキルシクロアルキル基、炭素数7〜12のアラルキル基又はフェニル基を示す。
【0032】
ここで、炭素数1〜8のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、i−ブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基、t−ペンチル基、i−オクチル基、t−オクチル基、2−エチルヘキシル基等が挙げられる。炭素数5〜8のシクロアルキル基としては、例えば、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基等が挙げられる。炭素数6〜12のアルキルシクロアルキル基としては、例えば、1−メチルシクロペンチル基、1−メチルシクロヘキシル基、1−メチル−4−i−プロピルシクロヘキシル基等が挙げられる。炭素数7〜12のアラルキル基としては、例えば、ベンジル基、α−メチルベンジル基、α,α−ジメチルベンジル基等が挙げられる。
【0033】
前記R
2、R
3及びR
5は、それぞれ独立して、炭素数1〜8のアルキル基、炭素数5〜8のシクロアルキル基又は炭素数6〜12のアルキルシクロアルキル基であることが好ましい。特に、R
2及びR
5は、それぞれ独立して、t−ブチル基、t−ペンチル基、t−オクチル基等のt−アルキル基、シクロヘキシル基又は1−メチルシクロヘキシル基であることが好ましい。特に、R
3は、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、i−ブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基、t−ペンチル基等の炭素数1〜5のアルキル基であることが好ましく、メチル基、t−ブチル基又はt−ペンチル基であることがさらに好ましい。
【0034】
前記R
6は、水素原子、炭素数1〜8のアルキル基又は炭素数5〜8のシクロアルキル基であることが好ましく、水素原子、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、i−ブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基、t−ペンチル基等の炭素数1〜5のアルキル基であることがさらに好ましい。
【0035】
式(3)において、R
4は、水素原子又は炭素数1〜8のアルキル基を示す。炭素数1〜8のアルキル基としては、例えば、前記R
2、R
3、R
5及びR
6の説明にて例示したアルキル基が挙げられる。特に、R
4は、水素原子又は炭素数1〜5のアルキル基であることが好ましく、水素原子又はメチル基であることがさらに好ましい。
【0036】
式(3)において、Xは、単結合、硫黄原子又は式:−CHR
7−で表される基を示す。ここで、式:−CHR
7−中のR
7は、水素原子、炭素数1〜8のアルキル基又は炭素数5〜8のシクロアルキル基を示す。炭素数1〜8のアルキル基及び炭素数5〜8のシクロアルキル基としては、例えば、それぞれ前記R
2、R
3、R
5及びR
6の説明にて例示したアルキル基及びシクロアルキル基が挙げられる。特に、Xは、単結合、メチレン基、又はメチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、i−ブチル基、t−ブチル基等で置換されたメチレン基であることが好ましく、単結合であることがさらに好ましい。
【0037】
式(3)において、Aは、炭素数1〜8のアルキレン基又は式:*−COR
8−で表される基を示す。炭素数1〜8のアルキレン基としては、例えば、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基、ペンタメチレン基、ヘキサメチレン基、オクタメチレン基、2,2−ジメチル−1,3−プロピレン基等が挙げられ、好ましくはプロピレン基である。また、式:*−COR
8−におけるR
8は、単結合又は炭素数1〜8のアルキレン基を示す。R
8を示す炭素数1〜8のアルキレン基としては、例えば、前記Aの説明にて例示したアルキレン基が挙げられる。R
8は、単結合又はエチレン基であることが好ましい。また、式:*−COR
8−における*は、酸素側の結合手であり、カルボニル基がフォスファイト基の酸素原子と結合していることを示す。
【0038】
式(3)において、Y及びZは、いずれか一方がヒドロキシル基、炭素数1〜8のアルコキシ基又は炭素数7〜12のアラルキルオキシ基を示し、もう一方が水素原子又は炭素数1〜8のアルキル基を示す。炭素数1〜8のアルコキシ基としては、例えば、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、t−ブトキシ基、ペンチルオキシ基等が挙げられる。炭素数7〜12のアラルキルオキシ基としては、例えば、ベンジルオキシ基、α−メチルベンジルオキシ基、α,α−ジメチルベンジルオキシ基等が挙げられる。炭素数1〜8のアルキル基としては、例えば、前記R
2、R
3、R
5及びR
6の説明にて例示したアルキル基が挙げられる。
【0039】
式(3)で表される化合物としては、例えば、2,4,8,10−テトラ−t−ブチル−6−〔3−(3−メチル−4−ヒドロキシ−5−t−ブチルフェニル)プロポキシ〕ジベンゾ〔d,f〕〔1,3,2〕ジオキサホスフェピン、6−[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロポキシ]−2,4,8,10−テトラ−t−ブチルジベンゾ[d,f][1,3,2]ジオキサホスフェピン、6−[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロポキシ]−4,8−ジ−t−ブチル−2,10−ジメチル−12H−ジベンゾ[d,g][1,3,2]ジオキサホスホシン、6−[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシ]−4,8−ジ−t−ブチル−2,10−ジメチル−12H−ジベンゾ[d,g][1,3,2]ジオキサホスホシン等が挙げられる。これらの中でも、特に光学特性が求められる分野に、得られる芳香族ポリカーボネート樹脂組成物を用いる場合には、2,4,8,10−テトラ−t−ブチル−6−〔3−(3−メチル−4−ヒドロキシ−5−t−ブチルフェニル)プロポキシ〕ジベンゾ〔d,f〕〔1,3,2〕ジオキサホスフェピンが好適であり、例えば、住友化学(株)製のスミライザーGP(「スミライザー」は登録商標)として商業的に入手可能である。
【0040】
リン系酸化防止剤(B)は、例えば、下記式(4)で表される化合物を含有することが好ましい。
【0042】
(式中、R
11〜R
18は、それぞれ独立に、炭素数1〜3のアルキル基またはアルケニル基を示す。R
11とR
12、R
13とR
14、R
15とR
16、R
17とR
18とは、互いに結合して環を形成していても良い。R
19〜R
22は、それぞれ独立に、水素原子または炭素数1〜20のアルキル基を示す。d〜gは、それぞれ独立して、0〜5の整数である。X
1〜X
4は、それぞれ独立に、単結合または炭素原子を示す。X
1〜X
4が単結合である場合、R
11〜R
22のうち、当該単結合に繋がった官能基は一般式(4)から除外される)
【0043】
式(4)で表される化合物の具体例としては、例えばビス(2,4−ジクミルフェニル)ペンタエリスリトールジフォスファイトが挙げられる。これは、Dover Chemical社製、商品名「Doverphos(登録商標) S−9228」、ADEKA社製、商品名「アデカスタブPEP−45」(ビス(2,4−ジクミルフェニル)ペンタエリスリトールジフォスファイト)として商業的に入手可能である。
【0044】
前記リン系酸化防止剤(B)が、一般式(1)で表される化合物を含むことが好ましい。該一般式(1)で表される化合物の量が、リン系酸化防止剤(B)全量の20〜100質量%であり得、30〜100質量%であることが好ましく、40〜100質量%であることがより好ましい。
【0045】
前記リン系酸化防止剤(B)が、一般式(1)及び(2)で表される亜リン酸エステル化合物から選択される少なくとも1種以上の化合物を含有することが好ましい。
【0046】
下記のことから選択される少なくとも1を満たすことが好ましい。
前記式(1)で表される亜リン酸エステル化合物が、トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)フォスファイトを含有すること;及び
前記式(2)で表される亜リン酸エステル化合物が、3,9−ビス(2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェノキシ)−2,4,8,10−テトラオキサ−3,9−ジホスファスピロ[5,5]ウンデカンを含有すること。
【0047】
前記リン系酸化防止剤(B)が、少なくとも2種の化合物を含み、その少なくとも2種の化合物のうちの1種が、一般式(1)で表される化合物であることが好ましい。この場合、該一般式(1)で表される化合物の量が、リン系酸化防止剤(B)全量の20〜90質量%であることが好ましく、30〜80質量%であることがより好ましく、40〜70質量%であることが特に好ましい。
【0048】
リン系酸化防止剤(B)の量は、芳香族ポリカーボネート樹脂(A)100重量部に対して、0.01〜0.1重量部であり、0.04〜0.1重量部であることが好ましく、0.04〜0.08重量部がより好ましい。リン系酸化防止剤(B)の量が0.01重量部未満の場合は、光線透過率及び色相の向上効果が不充分である。逆にリン系酸化防止剤(B)の量が0.1重量部を超える場合も、光線透過率及び色相の向上効果が不充分である。
【0049】
脂肪酸エステル(C)は、リン系酸化防止剤(B)及び後述する特定芳香族化合物(D)とともに作用し、得られるポリカーボネート樹脂組成物の本来有する耐熱性、機械的強度等の特性を損なうことなく熱安定性に優れ、光線透過率が高く、しかも成形加工された0.3mm程度の薄型の成形品(導光板)が光源照射等による高温条件下に長期に亘り暴露された場合でも、透明性の低下(白濁又は着色を生じ難い)を少なくする成分である。
【0050】
例えば、芳香族ポリカーボネート樹脂組成物から成形される光学用成形品が光源(LED光源等)によって長期間光照射されることによる熱劣化(白濁又は着色)が効果的に防止される。光学用成形品は、炎天下等過酷な条件下で及び/又は光照射を長時間受け続けると、当該成形品表面の温度が上昇することがあり、芳香族ポリカーボネート樹脂組成物に含まれる芳香族ポリカーボネート樹脂(A)の熱劣化が少しずつ進行し得る。更に、樹脂組成物中の脂肪酸エステル(C)が次第に変性し得、通常の光学用成形品に用いられる芳香族ポリカーボネート樹脂組成物に期待される透明性(輝度又は光透過性)を損ない、成形品表面に白濁又は着色(淡〜濃着色)現象が生じ得る場合がある。
【0051】
本願発明者らは、この課題に鑑み,鋭意検討した結果、脂肪酸エステル(C)の変性等の劣化やそれに起因する着色を抑止する化合物として、次式の特定芳香族化合物(D)が特に効果的であり、特定芳香族化合物(D)を芳香族ポリカーボネート樹脂組成物を得るための溶融混練前に添加することにより、成形品中での脂肪酸エステル(C)の劣化を抑止して白濁又は着色(淡〜濃着色)現象を低減又は緩和できることを着想し本発明を完成した。
式:
【化7】
【0052】
脂肪酸エステル(C)としては、通常の脂肪族カルボン酸とアルコールとの縮合化合物を用いることができる。
【0053】
前記脂肪族カルボン酸としては、飽和又は不飽和の、モノカルボン酸、ジカルボン酸、トリカルボン酸等が挙げられる。なお、該脂肪族カルボン酸には、脂環式カルボン酸も含まれる。これらの中でも、炭素数6〜36の、モノカルボン酸及びジカルボン酸が好ましく、炭素数6〜36の飽和モノカルボン酸がさらに好ましい。カルボン酸の炭素数は、8〜32であることが好ましく、10〜28であることがより好ましく、12〜24であることが特に好ましい。
【0054】
前記脂肪族カルボン酸の具体例としては、例えば、パルミチン酸、ステアリン酸、吉草酸、カプロン酸、カプリン酸、ラウリン酸、アラキジン酸、ベヘン酸、リグノセリン酸、セロチン酸、メリシン酸、テトラトリアコンタン酸、モンタン酸、グルタル酸、アジピン酸、アゼライン酸等が挙げられる。
【0055】
前記アルコールとしては、飽和又は不飽和の、一価アルコール及び多価アルコールが挙げられ、これらのアルコールは、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、アリール基等の置換基を有していてもよい。これらの中でも、炭素数30以下の飽和アルコールが好ましく、炭素数30以下の、脂肪族飽和一価アルコール及び脂肪族飽和多価アルコールがさらに好ましい。なお、脂肪族アルコールには、脂環式アルコールも含まれる。アルコールの炭素数は、26以下であることが好ましく、22以下であることがより好ましい。
【0056】
前記アルコールの具体例としては、例えば、オクタノール、デカノール、ドデカノール、テトラデカノール、ステアリルアルコール、ベヘニルアルコール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、グリセリン、ペンタエリスリトール、2,2−ジヒドロキシペルフルオロプロパノール、ネオペンチレングリコール、ジトリメチロールプロパン、ジペンタエリスリトール等が挙げられる。
【0057】
脂肪酸エステル(C)は、炭素数6〜36の、脂肪族モノカルボン酸及び脂肪族ジカルボン酸と、炭素数30以下の、脂肪族飽和一価アルコール及び脂肪族飽和多価アルコールとのエステルを含むことが好ましく、炭素数8〜32の、脂肪族モノカルボン酸と、炭素数26以下の、脂肪族飽和多価アルコールとのエステルを含むことがより好ましく、炭素数10〜28の脂肪族モノカルボン酸と、炭素数22以下の脂肪族飽和多価アルコールとのエステルを含むことがより好ましくい。
【0058】
脂肪酸エステル(C)の具体例としては、例えば、ベヘニルベヘネート、オクチルドデシルベヘネート、ステアリルステアレート、グリセリンモノパルミテート、グリセリンモノステアレート、グリセリンモノオレート、グリセリンジステアレート、グリセリントリステアレート、ペンタエリスリトールモノパルミテート、ペンタエリスリトールモノステアレート、ペンタエリスリトールジステアレート、ペンタエリスリトールトリステアレート、ペンタエリスリトールテトラステアレート等が挙げられ、これらは単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。これらの中でも、グリセリンモノステアレート、ペンタエリスリトールジステアレート等のステアリン酸エステルが好適であり、例えば、理研ビタミン(株)製のリケマールS−100A(商品名)や日油(株)製のユニスターH476DP(「ユニスター」は登録商標)が商業的に入手可能である。
【0059】
前記脂肪酸エステル(C)の量は、ポリカーボネート樹脂(A)100重量部に対して0.01〜0.5重量部であり、0.03〜0.5重量部であることが好ましく、0.05〜0.2重量部であることがより好ましい。脂肪酸エステル(C)の量が0.01重量部未満の場合は、黄変を抑制し、色相を向上させる効果が不充分である。逆に脂肪酸エステル(C)の量が0.5重量部を超える場合も、色相の向上効果が不充分となってしまう。
【0060】
本発明の実施形態の芳香族ポリカーボネート樹脂組成物は、芳香族ポリカーボネート樹脂(A)、リン系酸化防止剤(B)、脂肪酸エステル(C)及び下記式で表される芳香族化合物(D)を含み、必要に応じてポリエーテル誘導体(E)、エポキシ化合物(F)及び/又はその他の添加剤を含有してよい芳香族ポリカーボネート樹脂組成物であって、これにより得られる芳香族ポリカーボネート樹脂組成物の本来有する耐熱性、機械的強度等の特性を損なうことなく、熱安定性に優れ、光線透過率が高く、しかも成形加工された0.3mm程度の薄型の成形品(導光板)が光源照射等による高温条件下に長期に亘り暴露された場合でも、透明性の低下が少なく(白濁又は着色を生じ難い)なる。
式:
【化8】
【0061】
例えば、芳香族ポリカーボネート樹脂組成物から成形される光学用成形品が光源(LED光源等)によって長期間光照射されることによる熱劣化(白濁又は着色)が効果的に防止される。光学用成形品は、炎天下等過酷な条件下で及び/又は光照射を長時間受け続けると、当該成形品表面の温度が上昇することがあり、脂肪酸エステル(C)や必要に応じたポリエーテル誘導体(E)が熱による影響で変成し芳香族ポリカーボネート樹脂組成物に含まれる芳香族ポリカーボネート樹脂(A)の熱劣化が少しずつ進行し得る。
【0062】
本願発明者らは、この課題に鑑み,鋭意検討した結果、脂肪酸エステル(C)や必要に応じたポリエーテル誘導体(E)の変性等の劣化を抑止する化合物として、上式の特定芳香族化合物(D)が特に効果的であり、特定芳香族化合物(D)を予め添加するか、あるいは芳香族ポリカーボネート樹脂組成物を得るための溶融混練前に添加することにより、成形品中での脂肪酸エステル(C)や必要に応じたポリエーテル誘導体(E)の劣化を抑止して白濁又は着色(淡〜濃着色)現象を低減又は緩和できることを着想し本発明を完成した。
【0063】
本発明の実施形態で使用される特定芳香族化合物(D)の量は、芳香族ポリカーボネート樹脂(A)100重量部に対して、0.0001以上0.05重量部未満であり、0.0005重量部以上0.003重量部以下が好ましい。芳香族化合物(D)の量が0.0001重量部未満の場合は、白濁又は着色の抑止効果が不充分である。逆に芳香族化合物(C)の量が0.05重量部以上の場合、光学成形体に要求される高水準の光線透過率及び色相を達成できない場合があるため望ましくない。
【0064】
本発明の実施形態において、更に、上記の通り、必要に応じてポリエーテル誘導体(E)を含有することができる。ポリエーテル誘導体とは、ポリエーテル化合物の誘導体であって、本発明が目的とする芳香族ポリカーボネート樹脂組成物を得ることができる限り、特に限定されるものではない。そのようなポリエーテル誘導体は、代表例として、下記式(5)で表されるポリエーテル誘導体を含有する。
【0065】
式(5):
RO−(X−O)m(Y−O)n−R’
(式中、RおよびR’は、各々独立して水素原子又は炭素数1〜30のアルキル基を示し、Xは、炭素数2〜4の直鎖アルキレン基又は分岐アルキレン基を、Yは、炭素数2〜5の直鎖アルキレン基又は分岐アルキレン基を示し、XとYは同一であっても異なっていても良く、m及びnは、各々独立して、3〜60を示し、m+nは6〜120を示す。)
式(5)で表されるポリエーテル誘導体の重量平均分子量は、500〜8000であることが好ましく、1000〜4000であることがより好ましい。
式(5)で表されるポリエーテル誘導体は、市販品を使用することができる。
【0066】
式(5)で表されるポリエーテル誘導体は、下記式(5−1)であることが好ましい。
下記式(5−1):
RO−(X−O)m(Y−O)n−R’
(式中、RおよびR’は、各々独立して水素原子又は炭素数1〜30のアルキル基を示し、Xは、炭素数2〜4の直鎖アルキレン基を、Yは、炭素数2〜5の分岐アルキレン基を示し、m及びnは、各々独立して、3〜60を示し、m+nは8〜90を示す。)
式(5−1)で表されるポリエーテル誘導体の重量平均分子量は、500〜8000であることが好ましく、1000〜4000であることがより好ましい。
式(5−1)で表されるポリエーテル誘導体は、市販品を使用することができる。
【0067】
式(5)で表されるポリエーテル誘導体は、下記式(5−2)であることが好ましい。
下記式(5−2):
RO−(X−O)m(Y−O)n−R’
(式中、RおよびR’は、各々独立して水素原子又は炭素数1〜30のアルキル基を示し、Xは、炭素数2〜4の直鎖アルキレン基を、Yは、炭素数2〜5の直鎖アルキレン基を示し、XとYは同一であっても異なっていても良く、m及びnは、各々独立して、3〜60を示し、m+nは6〜100を示す。)
式(5−2)で表されるポリエーテル誘導体の重量平均分子量は、500〜8000であることが好ましく、1000〜4000であることがより好ましい。
式(5−2)で表されるポリエーテル誘導体は、市販品を使用することができる。
【0068】
式(5)で表されるポリエーテル誘導体は、下記式(5−3)であることが好ましい。
下記式(5−3):
RO−(X−O)m(Y−O)n−R’
(式中、RおよびR’は、各々独立して水素原子又は炭素数1〜30のアルキル基を示し、Xは、炭素数2〜4の分岐アルキレン基を、Yは、炭素数2〜5の分岐アルキレン基を示し、XとYは同一であっても異なっていても良く、m及びnは、各々独立して、3〜60を示し、m+nは6〜120を示す。)
式(5−3)で表されるポリエーテル誘導体の重量平均分子量は、500〜8000であることが好ましく、1000〜4000であることがより好ましい。
式(5−3)で表されるポリエーテル誘導体は、市販品を使用することができる。
【0069】
式(5)で表されるポリエーテル誘導体は、下記式(6)で表されるポリエーテル誘導体、式(7)で表されるポリエーテル誘導体、式(8)で表されるポリエーテル誘導体、式(9)で表されるポリエーテル誘導体、式(10)で表されるポリエーテル誘導体、式(11)で表されるポリエーテル誘導体、式(12)で表されるポリエーテル誘導体、式(13)で表されるポリエーテル誘導体及び式(14)で表されるポリエーテル誘導体を含有する群から選択される少なくとも1種を含有することが好ましい。
【0070】
式(5−1)で表されるポリエーテル誘導体は、下記式(6)で表されるポリエーテル誘導体、式(7)で表されるポリエーテル誘導体、式(8)で表されるポリエーテル誘導体、式(9)で表されるポリエーテル誘導体及び式(10)で表されるポリエーテル誘導体を含有する群から選択される少なくとも1種を含有することが好ましい。
【0071】
式(5−2)で表されるポリエーテル誘導体は、式(11)で表されるポリエーテル誘導体及び式(12)で表されるポリエーテル誘導体を含有する群から選択される少なくとも1種を含有することが好ましい。
【0072】
式(5−3)で表されるポリエーテル誘導体は、式(13)で表されるポリエーテル誘導体及び式(14)で表されるポリエーテル誘導体を含有する群から選択される少なくとも1種を含有することが好ましい。
【0073】
式(6):
HO−(CH
2CH
2CH
2CH
2O)m(CH(CH
3)CH
2O)n−H
(式中、m及びnは、各々独立して、3〜60を示し、m+nは、8〜90を示す。)
【0074】
式(6)で表されるポリエーテル誘導体として、テトラメチレングリコールユニットとプロピレングリコールユニットからなる変性グリコールが好適である。そのようなポリエーテル誘導体として、市販品を使用することができ、例えば、日油(株)製、ポリセリンDCB−1000(重量平均分子量1000)、ポリセリンDCB−2000(重量平均分子量2000)、ポリセリンDCB−4000(重量平均分子量4000)、ポリセリン60−2000H(重量平均分子量2000)等を利用できる。
式(6)で表されるポリエーテル誘導体の重量平均分子量は、500〜8000であることが好ましく、1000〜4000であることがより好ましい。
【0075】
式(7):
HO−(CH
2CH
2CH
2CH
2O)m(CH
2CH
2CH(CH
3)CH
2O)n−H
(式中、m及びnは、各々独立して、3〜60を示し、m+nは、8〜90を示す。)
【0076】
式(7)で表されるポリエーテル誘導体として、テトラメチレングリコールユニットと2−メチルテトラメチレングリコールユニットからなる変性グリコールが好ましい。そのようなポリエーテル誘導体として、市販品を使用することができ、例えば、保土谷化学工業(株)製のPTG−L1000(重量平均分子量1000)、PTG−L2000(重量平均分子量2000)、又はPTG−L3000(重量平均分子量3000)等を利用できる。
式(7)で表されるポリエーテル誘導体の重量平均分子量は、500〜8000であることが好ましく、1000〜4000であることがより好ましい。
【0077】
式(8):
HO−(CH
2CH
2O)m(CH(CH
3)CH
2O)n−H
(式中、m及びnは、各々独立して、3〜60を示し、m+nは、8〜90を示す。)
【0078】
式(8)で表されるポリエーテル誘導体として、エチレングリコールユニットとプロピレングリコールユニットからなる変性グリコールが好ましい。そのようなポリエーテル誘導体として、市販品を使用することができ、例えば、日油(株)製、ユニルーブ50DE−25(重量平均分子量1750)、ユニルーブ75DE−25(重量平均分子量1400)等を使用できる。
式(8)で表されるポリエーテル誘導体の重量平均分子量は、500〜8000であることが好ましく、1000〜4000であることがより好ましい。
【0079】
式(9):
RO−(CH
2CH
2CH
2CH
2O)m(CH(CH
3)CH
2O)n−H
(式中、Rは炭素数1〜30のアルキル基を示し、m及びnは、各々独立して、3〜60を示し、m+nは、8〜90を示す。)
【0080】
式(9)で表されるポリエーテル誘導体として、テトラメチレングリコールユニットとプロピレングリコールユニットからなり、片末端ブチル基又は片末端ステアリル基の変性グリコールが好適である。そのようなポリエーテル誘導体として、市販品を使用することができ、例えば、日油(株)製、ポリセリンBC−1000(片末端ブチル基、重量平均分子量1000)、ポリセリンSC−1000(片末端ステアリル基、重量平均分子量1000)等を使用できる。
式(9)で表されるポリエーテル誘導体の重量平均分子量は、500〜8000であることが好ましく、1000〜4000であることがより好ましい。
【0081】
式(10):
RO−(CH
2CH
2O)m(CH(CH
3)CH
2O)n−H
(式中、Rは炭素数1〜30のアルキル基を示し、m及びnは、各々独立して、3〜60を示し、m+nは、8〜90を示す。)
【0082】
式(10)で表されるポリエーテル誘導体として、エチレングリコールユニットとプロピレングリコールユニットからなり、片末端ブチル基又は片末端ステアリル基の変性グリコールが好適である。そのようなポリエーテル誘導体として、市販品を使用することができ、例えば、日油(株)製、ユニルーブ50MB−11(片末端ブチル基、重量平均分子量1000)、ユニルーブ50MB−26(片末端ブチル基、重量平均分子量2000)、ユニルーブ50MB−72(片末端ブチル基、重量平均分子量3000)、ユニルーブ10MS−250KB(片末端ステアリル基、重量平均分子量2000)等を利用できる。
式(10)で表されるポリエーテル誘導体の重量平均分子量は、500〜8000であることが好ましく、1000〜4000であることがより好ましい。
【0083】
式(11):
HO−(CH
2CH
2CH
2CH
2O)m(CH
2CH
2O)n−H
(式中、m及びnは、各々独立して、3〜60を示し、m+nは、8〜90を示す。)
【0084】
式(11)で表されるポリエーテル誘導体として、テトラメチレングリコールユニットとエチレングリコールユニットからなる変性グリコールが好ましい。そのようなポリエーテル誘導体として、市販品を使用することができ、例えば、日油(株)製、ポリセリンDC3000E(重量平均分子量3000)、ポリセリンDC1800E(重量平均分子量1800)等を使用できる。
式(11)で表されるポリエーテル誘導体の重量平均分子量は、500〜8000であることが好ましく、1000〜4000であることがより好ましい。
【0085】
式(12):
HO−(CH
2CH
2CH
2CH
2O)p−H
(式中、pは、6〜100を示す。)
【0086】
式(12)で表されるポリエーテル誘導体として、ポリテトラメチレングリコールが好ましい。そのようなポリエーテル誘導体として、市販品を使用することができ、例えば、保土谷化学工業(株)製のPTG−650SN(重量平均分子量650)、PTG−850SN(重量平均分子量850)、PTG−1000SN(重量平均分子量1000)、PTG−1400SN(重量平均分子量1400)、PTG−2000SN(重量平均分子量2000)、又はPTG−2900(重量平均分子量2900)等を使用できる。
式(12)で表されるポリエーテル誘導体(ポリテトラメチレングリコール)の重量平均分子量は、500〜8000であることが好ましく、1000〜4000であることがより好ましい。
【0087】
式(13):
式:HO−(CH(CH
3)CH
2O)q−H
(式中、qは、7〜120を示す。)
【0088】
式(13)で表されるポリエーテル誘導体として、ポリプロピレングリコールが好ましい。そのようなポリエーテル誘導体として、市販品を使用することができ、例えば、ダウケミカル製ポリグリコールP2000P(重量平均分子量2000)、日油(株)製、ユニオールD−1000(重量平均分子量1000)、ユニオールD−2000(重量平均分子量2000)、ユニオールD−4000(重量平均分子量4000)等を使用できる。
式(13)で表されるポリエーテル誘導体(ポリプロピレングリコール)の重量平均分子量は、500〜8000であることが好ましく、1000〜4000であることがより好ましい。
【0089】
式(14):
HO−(CH(C
2H
5)CH
2O)r−H
(式中、rは、6〜100を示す。)
【0090】
式(14)で表されるポリエーテル誘導体として、ポリブチレングリコールが好ましい。そのようなポリエーテル誘導体として、市販品を使用することができ、例えば、日油(株)製、ユニオールPB−500(重量平均分子量500)、ユニオールPB−1000(重量平均分子量1000)、ユニオールPB−2000(重量平均分子量2000)等を使用できる。
式(14)で表されるポリエーテル誘導体(ポリブチレングリコール)の重量平均分子量は、500〜8000であることが好ましく、1000〜4000であることがより好ましい。
【0091】
前記一般式(5)で表されるポリエーテル誘導体は、概ね耐熱性が高く該ポリエーテル誘導体を配合した芳香族ポリカーボネート樹脂組成物を高温で成形した成形品は、輝度や光線透過率が高い。
【0092】
また、本発明にて使用されるポリエーテル誘導体(E)は、適度な親油性を有することから、芳香族ポリカーボネート樹脂(A)との相溶性にも優れるので、該ポリエーテル誘導体(B)を配合した芳香族ポリカーボネート樹脂組成物から得られる成形品の透明性を低下させることがなく光線透過率及び色相の向上を期待できる。このようなポリエーテル誘導体(B)の重量平均分子量は、500〜8000であることが好ましく1000〜4000であることがより好ましい。
【0093】
ポリエーテル誘導体(E)の量は、芳香族ポリカーボネート樹脂(A)100重量部に対して、例えば0.1〜2.0重量部であり、0.3〜1.8重量部であることが好ましい。ポリエーテル誘導体の量が0.1〜2.0重量部の場合、光線透過率及び色相を適切に向上し得る。
【0094】
本発明に使用するポリエーテル誘導体(E)のCPR(単位:無次元)(Controlled Polymerization Rate、ポリエーテル誘導体中の塩基性物質の量を示す指標:JIS K−1557 6.8準拠)は2.0以下であることが好ましく、より好ましくは、CPRは1.0以下である。吸着剤による精製処理後にCPRがこのような範囲となるよう調整したポリエーテル誘導体は、ポリカーボネート樹脂との相溶性により優れるとともに分解や劣化が防止されて貯蔵安定性により優れる。例えば、ポリセリンDCB2000(CPR1.0未満)、ポリセリン60−2000H(CPR1.0未満)、PTG−1000SN(CPR1.0未満)等となっている。
【0095】
本発明に使用するポリエーテル誘導体(E)のpHは、5.0〜7.5未満であることが好ましく、より好ましくは、6.0〜7.0未満である。市販のポリエーテル誘導体のpHは保存状態等により変化することもあるが、概ね、5.0〜7.5未満に調整したポリエーテル誘導体は、分解や劣化が防止されて貯蔵安定性により優れ、得られるポリカーボネート樹脂組成物の色相により悪影響を与えない。例えば、ポリセリンDCB2000(pH6.7)、ポリセリン60−2000H(pH6.8)、PTG−1000SN(pH6.7)等となっている。
【0096】
以上の成分に加えて、本発明の実施形態の芳香族ポリカーボネート樹脂組成物へは、さらに、エポキシ化合物(F)を含有することができる。芳香族ポリカーボネート樹脂組成物が、さらに、エポキシ化合物(F)を含有する場合、光学成形品に求められる優れた光学特性を維持向上させつつ、得られる芳香族ポリカーボネート樹脂組成物からなる成形品の初期光学特性を劣化させず、使用状況に起因する劣化やエージング劣化などの劣化を防止することが出来る。
【0097】
エポキシ化合物(F)は、少なくとも1つのエポキシ基を分子内に有し、本発明が目的とする芳香族ポリカーボネート樹脂組成物を得られる限り、特に制限されることはない。エポキシ化合物(F)は、例えば、3’,4’−エポキシシクロヘキシルメチル−3,4−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート、エポキシ化大豆油、ε−カプロラクトン変性 3',4'−エポキシシクロヘキシルメチル 3,4−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート、エポキシ基含有アクリル・スチレン系ポリマー、2,2−ビス(4−ヒドロキシシクロヘキシル)プロパン−ジグリシジルエーテル等を含有することができる。エポキシ化合物(F)は、3’,4’−エポキシシクロヘキシルメチル−3,4−エポキシシクロヘキサンカルボキシレートを含有することが好ましい。
【0098】
本発明の実施形態の芳香族ポリカーボネート樹脂組成物は、芳香族ポリカーボネート樹脂(A)100質量部に対して、エポキシ化合物(F)を、0.001〜0.2質量部含有することが好ましく、0.002〜0.1質量部含有することがより好ましく、0.005〜0.05質量部含有することが特に好ましい。
【0099】
本発明の実施形態の芳香族ポリカーボネート樹脂組成物は、芳香族ポリカーボネート樹脂(A)100質量部に対してエポキシ化合物(F)を、0.001〜0.2質量部含有する場合、光学成形品に求められる優れた光学特性を維持向上させつつ、得られる芳香族ポリカーボネート樹脂組成物からなる成形品の初期光学特性(積算透過率および黄色度)を向上させ、使用状況に起因する劣化やエージング劣化などの劣化を防止することが出来る。
【0100】
さらに、実施の形態に係る芳香族ポリカーボネート樹脂組成物には、本発明における効果を損なわない範囲で、例えば、熱安定剤、他の酸化防止剤、着色剤、離型剤、軟化剤、帯電防止剤、衝撃性改良剤等の各種添加剤、芳香族ポリカーボネート樹脂(A)以外のポリマー等が適宜配合されていてもよい。
【0101】
実施の形態に係る芳香族ポリカーボネート樹脂組成物へは、例えば、得られる芳香族ポリカーボネート樹脂組成物の耐候性をより向上させる成分である紫外線吸収剤を、芳香族ポリカーボネート樹脂組成物を成形して得られる成形品の用途に応じて適宜用いることができる。
【0102】
紫外線吸収剤としては、例えば、ベンゾトリアゾール系化合物、トリアジン系化合物、ベンゾフェノン系化合物、シュウ酸アニリド系化合物等の、ポリカーボネート樹脂に通常配合される紫外線吸収剤を、単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0103】
ベンゾトリアゾール系化合物としては、例えば、ベンゾトリアゾール系化合物としては、2−(2−ヒドロキシ−5−t−オクチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(3−tert−butyl−2−hydroxy−5−methylphenyl)−5−chloro−2H−benzotriazole、2−(3,5−di−tert−pentyl−2−hydroxyphenyl)−2H−benzotriazole、2−(2H−benzotriazole−2−yl)−4−methyl−6−(3,4,5,6−tetrahydrophthalimidylmethyl)phenol、2−(2−hydroxy−4−octyloxyphenyl)−2H−benzotriazole、2−(2−hydroxy−5−tert−octylphenyl)−2H−benzotriazole、2−[2’−hydroxy−3,5−di(1,1−dimethylbenzyl)phenyl]−2H−benzotriazole、2,2’−Methylenbis[6−(2H−benzotriazol−2−yl)4−(1,1,3,3−tetramethylbutyl)phenol]などが挙げられる。なかでも、特に、2−(2−ヒドロキシ−5−t−オクチルフェニル)ベンゾトリアゾール等が好適であり、例えば、BASF社製のTINUVIN 329(TINUVINは登録商標)、シプロ化成(株)製のシーソーブ709、ケミプロ化成(株)製のケミソーブ79等が商業的に入手可能である。
【0104】
トリアジン系化合物としては、例えば、2,4−ジフェニル−6−(2−ヒドロキシフェニル−4−ヘキシルオキシフェニル)1,3,5−トリアジン、2−[4,6−ビス(2,4−ジメチルフェニル)−1,3,5−トリアジン−2−イル]−5−(オクチルオキシ)フェノール、2−(4,6−ジフェニル−1,3,5−トリアジン−2−イル)−5−[(ヘキシル)オキシ]フェノール等が挙げられ、例えば、BASF社製のTINUVIN 1577等が商業的に入手可能である。
【0105】
シュウ酸アニリド系化合物としては、例えば、クラリアントジャパン(株)製のSanduvor VSU等が商業的に入手可能である。
ベンゾフェノン系化合物としては、例えば、2、4−dihydroxybenzophenone、2−hydroxy−4−n−octoxybenzophenoneなどが挙げられる。
【0106】
紫外線吸収剤の量は、芳香族ポリカーボネート樹脂(A)100重量部に対して0〜1.0重量部であり、0〜0.5重量部であることが好ましい。紫外線吸収剤の量が1.0重量部を超える場合は、得られる芳香族ポリカーボネート樹脂組成物の初期の色相が低下するおそれがある。また、紫外線吸収剤の量が0.1重量部以上の場合は、特に、芳香族ポリカーボネート樹脂組成物の耐候性をより向上させる効果が大きく奏される。
【0107】
本発明の実施形態の芳香族ポリカーボネート樹脂組成物は、芳香族ポリカーボネート樹脂(A)、リン系酸化防止剤(B)、脂肪酸エステル(C)及び特定芳香族化合物(D)を混合し、必要に応じて、ポリエーテル誘導体(E)、エポキシ化合物(F)、前記各種添加剤、及び芳香族ポリカーボネート樹脂(A)以外のポリマー等を混合する製造方法を例示することができる。本発明が目的とする芳香族ポリカーボネート樹脂組成物を得ることができる限り、その製造方法は特に制限されることはなく、各成分の種類及び量を適宜調整することができる。成分の混合方法も特に制限されることはなく、例えば、タンブラー、及びリボンブレンダー等の公知の混合機にて混合する方法や、押出機にて溶融混練する方法を例示できる。これらの方法により、芳香族ポリカーボネート樹脂組成物のペレットを容易に得ることができる。特定芳香族化合物(D)は、溶融混練前に混合してもよいし、予め脂肪酸エステル(C)やポリエーテル誘導体(E)に添加又は混合してもよい。
【0108】
前記のごとく得られる芳香族ポリカーボネート樹脂組成物のペレットの形状及び大きさには特に限定がなく、一般的な樹脂ペレットが有する形状及び大きさであればよい。例えば、ペレットの形状としては、楕円柱状、円柱状等が挙げられる。ペレットの大きさとしては、長さが2〜8mm程度であることが好適であり、楕円柱状の場合、断面楕円の長径が2〜8mm程度、短径が1〜4mm程度であることが好適であり、円柱状の場合、断面円の直径が1〜6mm程度であることが好適である。なお、得られたペレット1つずつがこのような大きさであってもよく、ペレット集合体を形成する全てのペレットがこのような大きさであってもよく、ペレット集合体の平均値がこのような大きさであってもよく、特に限定はない。
【0109】
本発明の実施形態の光学用成形品は、上記の芳香族ポリカーボネート樹脂組成物を成形して得ることができる。
【0110】
本発明が目的とする光学成形品を得ることができる限り、光学成形品の製造方法は特に限定されることはなく、例えば、公知の射出成形法、圧縮成形法等により芳香族ポリカーボネート樹脂組成物を成形する方法が挙げられる。
【0111】
本発明に係る光学用成形品は、例えば、導光板、面発光体材料、導光フィルム、車両用ライトガイド、銘板等として好適である。
【0112】
以上のように、本発明の例示として、実施の形態を説明した。しかしながら、本発明における技術は、これに限定されず、適宜、変更、置き換え、付加、省略などを行った実施の形態にも適用可能である。
【実施例】
【0113】
以下に、本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に制限されるものではない。なお、特にことわりがない限り、「部」及び「%」はそれぞれ重量基準である。
【0114】
原料として以下のものを使用した。
1.芳香族ポリカーボネート樹脂(A):
ビスフェノールAと塩化カルボニルとから合成されたポリカーボネート樹脂
粘度平均分子量:15000、住化ポリカーボネート(株)製のSDポリカ 200−80(商品名)、「SDポリカ」は住化ポリカーボネート(株)の登録商標、以下「PC」又は(A1)ともいう
【0115】
2.リン系酸化防止剤(B):
2−1.以下の式で表される、トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)フォスファイト
【化9】
[BASF社製のイルガフォス168(商品名)、以下(B1)ともいう]
【0116】
2−2.以下の式で表される、ビス(2,
6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリスリトールジフォスファイト(IUPAC名:3,9−ビス(2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェノキシ)−2,4,8,10−テトラオキサ−3,9−ジホスファスピロ[5,5]ウンデカン)
【化10】
[ADEKA製のアデカスタブPEP−36(商品名)、以下(B2)ともいう]
【0117】
3.脂肪酸エステル(C):
グリセリンモノステアレート
リケマールS−100A
(商品名、理研ビタミン(株)製、以下「GM」又は(C1)という)
【0118】
4.芳香族化合物(D):
3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシトルエン
[和光純薬工業(株)製、以下(D1)ともいう]
5.ポリエーテル誘導体(E):
5−1.テトラメチレングリコールユニットとプロピレングリコールユニットからなる変性グリコール(ランダム共重合)
重量平均分子量:2000、日油(株)製のポリセリンDCB−2000(商品名)、以下(E1)ともいう。
【0119】
5−2.エチレングリコールユニットとプロピレングリコールユニットからなる変性グリコール(ランダム共重合)
重量平均分子量:1750、日油(株)製のユニルーブ50DE−25(商品名)、以下(E2)という。
【0120】
5−3.ポリテトラメチレングリコール
重量平均分子量:1000、保土谷化学工業(株)製のPTG−1000SN(商品名)、以下(E3)ともいう
6.エポキシ化合物(F)
3’,4’−エポキシシクロヘキシルメチル−3,4−エポキシシクロヘキシルカルボキシレート
[(株)ダイセル化学工業製のセロキサイド2021P(商品名)、以下(F1)ともいう]
【0121】
(実施例1〜11及び比較例1〜5)
前記各原料を、表1〜表2に示す割合にて一括してタンブラーに投入し、10分間乾式混合した後、二軸押出機((株)日本製鋼所製、TEX30α)を用いて、溶融温度220℃にて溶融混練し、実施例1〜11及び比較例1〜5の各々の芳香族ポリカーボネート樹脂組成物のペレットを得た。
なお、実施例及び比較例で得られたペレットはいずれも、ほぼ楕円柱状であり、ペレット100個からなる集合体は、各々長さの平均値が約5.1mm〜約5.4mm、断面楕円の長径の平均値が約4.1mm〜約4.3mm、短径の平均値が約2.2mm〜約2.3mmであった。
【0122】
得られたペレットを用い、以下の方法にしたがって、各評価用試験片を作製して評価に供した。その結果を表1〜2に示す。
【0123】
(試験片の作製方法)
得られたペレットを120℃で4時間以上乾燥した後、射出成形機(ファナック(株)製、ROBOSHOT S2000i100A)を用い、成形温度280℃、金型温度80℃にて、JIS K 7139「プラスチック−試験片」にて規定の多目的試験片A型(全長168mm×厚さ4mm)を作製した。この試験片の端面を切削し、切削端面について、樹脂板端面鏡面機(メガロテクニカ(株)製、プラビューティーPB−500)を用いて鏡面加工した。
【0124】
(積算透過率の評価方法)
分光光度計((株)日立製作所製、UH4150)に長光路測定付属装置を設置し、光源として50Wハロゲンランプを用いて、光源前マスク5.6mm×2.8mm、試料前マスク6.0mm×2.8mmを使用した状態で、波長380〜780nmの領域で1nm毎の、試験片各々の分光透過率を、試験片の全長方向について測定した。測定した分光透過率を積算し、十の位を四捨五入することにより、各々の積算透過率を求めた。なお、積算透過率が32000以上を良好(表中、◎で示す)、32000未満30000以上を使用可(表中、○で示す)、30000未満を不良(表中、×で示す)とした。
【0125】
(黄色度の評価方法)
積算透過率の評価方法において測定した分光透過率に基づき、標準光源D65を用い、10度視野にて各々の黄色度(以下、YI)を求めた。なお、YIが12以下を良好(表中、◎で示す)、12を超え、13以下を使用可(表中、○で示す)、13を超えると不良(表中、×で示す)とした。
【0126】
(成形品の加熱試験評価)
上記で作製した試験片をエスペック社製イナートオーブンIPHH−201Mの中に設置し、200℃、72時間、加熱試験を行った。
次に、各試験片の表面を目視で観察した。以下の基準により、加熱試験後の状態を評価した。結果を表1〜表3に示す。
◎:無色透明である。
○:透明であり、使用可であるが、わずかに着色がある。
×:不透明である又は濃い着色がある。
【0127】
表1〜表2に、各実施例及び比較例の原料及び配合割合、評価結果を併せて示す。
【0128】
【表1】
【0129】
【表2】
【0130】
実施例1〜11の芳香族ポリカーボネート樹脂組成物は、芳香族ポリカーボネート樹脂(A)、リン系酸化防止剤(B)、脂肪酸エステル(C)及び特定芳香族化合物(D)を含み、必要に応じてポリエーテル誘導体(E)、エポキシ化合物(F)を、各々特定の割合で含有する。したがって、該芳香族ポリカーボネート樹脂組成物から成形された試験片は、積算透過率が高く、黄色度が小さく、かつ加熱試験後の劣化も殆ど無い。
【0131】
そして、このような芳香族ポリカーボネート樹脂組成物を成形した成形品は、黄色度が小さく色相に優れ、しかも加熱試験後の劣化も殆ど無い。
【0132】
これに対して、比較例1〜5の芳香族ポリカーボネート樹脂組成物を成形した成形品は、輝度、色相、加熱試験後の結果の少なくともいずれかに劣った。
【0133】
以上のように本発明における技術の例示として実施の形態を説明した。そのために詳細な説明を提供した。
【0134】
したがって、詳細な説明に記載された構成要素の中には、課題解決のために必須な構成要素だけでなく、上記技術を例示するために、課題解決のためには必須でない構成要素も含まれ得る。そのため、それらの必須ではない構成要素が詳細な説明に記載されていることをもって、直ちに、それらの必須ではない構成要素が必須であるとの認定をするべきではない。
【0135】
また、上述の実施の形態は、本発明における技術を例示するためのものであるから、特許請求の範囲またはその均等の範囲において種々の変更、置き換え、付加、省略などを行うことができる。
【課題】ポリカーボネート樹脂が本来有する耐熱性、機械的強度等の特性が損なわれることがなく、熱安定性に優れ、光線透過率が高く、しかも得られる成形品を加熱した場合でも光線透過率に優れる芳香族ポリカーボネート樹脂組成物を提供する。
【解決手段】芳香族ポリカーボネート樹脂(A)、リン系酸化防止剤(B)、脂肪酸エステル(C)及び特定の芳香族化合物(D)を含有する芳香族ポリカーボネート樹脂組成物であって、芳香族ポリカーボネート樹脂(A)100重量部に対してリン系酸化防止剤(B)を、0.01〜0.1重量部、脂肪酸エステル(C)を0.01〜0.5重量部、および特定の芳香族化合物(D)を0.0001重量部以上0.05重量部未満含有することを特徴とする、芳香族ポリカーボネート樹脂組成物。