(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6674548
(24)【登録日】2020年3月10日
(45)【発行日】2020年4月1日
(54)【発明の名称】非外傷性カップリングおよびそれを使用するカテーテル
(51)【国際特許分類】
A61M 39/12 20060101AFI20200323BHJP
A61M 25/00 20060101ALI20200323BHJP
A61B 5/0408 20060101ALI20200323BHJP
A61B 5/0478 20060101ALI20200323BHJP
A61B 5/0492 20060101ALI20200323BHJP
A61B 18/14 20060101ALI20200323BHJP
【FI】
A61M39/12
A61M25/00 506
A61B5/04 300J
A61B5/04 300N
A61B18/14
【請求項の数】18
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2018-530583(P2018-530583)
(86)(22)【出願日】2016年11月9日
(65)【公表番号】特表2019-503216(P2019-503216A)
(43)【公表日】2019年2月7日
(86)【国際出願番号】US2016061032
(87)【国際公開番号】WO2017127147
(87)【国際公開日】20170727
【審査請求日】2018年10月22日
(31)【優先権主張番号】62/280,159
(32)【優先日】2016年1月19日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】511177374
【氏名又は名称】セント・ジュード・メディカル,カーディオロジー・ディヴィジョン,インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000110
【氏名又は名称】特許業務法人快友国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】リンダ ケー. ネメック
(72)【発明者】
【氏名】ネイル ディ. ホーキンソン
(72)【発明者】
【氏名】ライアン ヘンドリックソン
(72)【発明者】
【氏名】マシュー エル. ノッヘンムス
【審査官】
菊地 牧子
(56)【参考文献】
【文献】
国際公開第2004/045697(WO,A1)
【文献】
国際公開第2007/002179(WO,A2)
【文献】
特開2011−224364(JP,A)
【文献】
特開平07−204280(JP,A)
【文献】
特表2011−528420(JP,A)
【文献】
国際公開第2009/135887(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61M 25/00
A61M 39/10 − 39/18
A61B 5/0408
A61B 5/0478
A61B 5/0492
A61B 18/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
カテーテルであって、
第1の直径を有する近位シャフトと、
前記第1の直径と異なる第2の直径を有する遠位シャフトと、
前記近位シャフトを前記遠位シャフトに連結するカップリングであって、中空内部を有しており、遠位部分および近位部分を含む前記カップリングと、
前記近位シャフトの遠位部分内に配置される中空コアを有するセンサと、を備え、
前記遠位シャフトの近位部分は、前記カップリングの遠位端を通り、前記カップリングの前記中空内部に挿入され、
前記カップリングの前記近位部分は、前記近位シャフトの遠位端を通り、前記近位シャフト内に挿入され、
前記カップリングの前記近位部分は、前記センサの前記中空コア内および前記近位シャフトの前記遠位部分内に挿入される、カテーテル。
【請求項2】
前記カップリングの前記近位部分は、
前記センサの前記中空コア内に挿入するのに十分に小さい外径を有する第1のサブ部分と、
前記近位シャフトの前記遠位部分内に挿入するのに十分に小さく、前記センサの前記中空コア内に挿入するには大き過ぎる外径を有する第2のサブ部分と、を備え、
前記第2のサブ部分は、前記第1のサブ部分の遠位側に位置している、請求項1に記載のカテーテル。
【請求項3】
前記カップリングの外径は、前記近位シャフトの前記遠位端に隣接する点よりも前記カップリングの前記遠位端で小さい、請求項1または2に記載のカテーテル。
【請求項4】
前記カップリングの前記遠位部分は、ドーム形状部を備える、請求項3に記載のカテーテル。
【請求項5】
前記カップリングの前記遠位部分は、円錐台形状部を備える、請求項3に記載のカテーテル。
【請求項6】
前記カップリングの前記近位部分の最大外径は、前記カップリングの前記遠位部分の最大外径よりも小さい、請求項1から5の何れか一項に記載のカテーテル。
【請求項7】
前記カップリングの前記中空内部は、前記遠位シャフトの前記近位部分に当接する当接面を含む、請求項1から6の何れか一項に記載のカテーテル。
【請求項8】
前記カップリングは、前記遠位シャフトを前記近位シャフト内に同軸方向に位置決めする、請求項1から7の何れか一項に記載のカテーテル。
【請求項9】
前記カップリングの外面は、複数のリブを備える、請求項1から8の何れか一項に記載のカテーテル。
【請求項10】
前記カップリングは、透明なポリマー材料を備える、請求項1から9の何れか一項に記載のカテーテル。
【請求項11】
前記遠位シャフトは、固定された曲率半径を有する少なくとも部分的なループに形成される、請求項1から10の何れか一項に記載のカテーテル。
【請求項12】
前記遠位シャフトは、可変の曲率半径を有する少なくとも部分的なループに形成される、請求項1から10の何れか一項に記載のカテーテル。
【請求項13】
カテーテルを製造する方法であって、
第1の直径を有する近位シャフト、前記第1の直径と異なる第2の直径を有する遠位シャフト、中空内部を有するカップリング、および、中空コアを有するセンサを提供する工程と、
前記遠位シャフトの近位部分を、前記カップリングの遠位端を通して、前記カップリングの前記中空内部に挿入する工程と、
前記カップリングの近位部分を前記センサの前記中空コア内に挿入する工程と、
前記カップリングの前記近位部分および前記センサを、前記近位シャフトの遠位端を通して、前記近位シャフト内に挿入する工程と、
前記遠位シャフトを前記カップリングに固定する工程と、
前記近位シャフトを前記カップリングに固定する工程と、を備える方法。
【請求項14】
前記カップリングの前記中空内部は、内部当接面を含み、
前記遠位シャフトの前記近位部分を、前記カップリングの前記遠位端を通して、前記カップリングの前記中空内部に挿入する前記工程は、前記遠位シャフトの近位端が前記内部当接面に当接するまで、前記遠位シャフトの前記近位部分を、前記カップリングの前記中空内部に前進させる工程をさらに備える、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記カップリングの外面は、外部当接面を含み、
前記カップリングの前記近位部分および前記センサを、前記近位シャフトの前記遠位端を通して、前記近位シャフト内に挿入する前記工程は、前記近位シャフトの前記遠位端が前記外部当接面に当接するまで、前記カップリングの前記近位部分を前記近位シャフト内に前進させる工程をさらに備える、請求項13又は14に記載の方法。
【請求項16】
前記遠位シャフトを前記カップリングに固定する前記工程および前記近位シャフトを前記カップリングに固定する前記工程の少なくとも一方は、紫外線硬化接着剤を使用する工程を備える、請求項13から15の何れか一項に記載の方法。
【請求項17】
第1のシャフトセグメントを第2のシャフトセグメントに固定するための非外傷性カップリングであって、
前記非外傷性カップリングは、中空コアを有するセンサを固定するためのものであり、
前記第1のシャフトセグメントおよび前記第2のシャフトセグメントは、異なる外径を有し、
前記カップリングは、
外面を有する近位部分と、
遠位部分であって、前記近位部分が前記遠位部分に交わる点から前記遠位部分の遠位先端にテーパする外面を有する前記遠位部分と、を備え、
前記近位部分の前記外面は、複数のリブを含み、
前記近位部分の外径は、前記第1のシャフトセグメントの内径および前記センサの内径以下であり、
前記近位部分は、前記センサの前記中空コア内に挿入されるように構成されており、
前記近位部分が前記遠位部分に交わる点での前記遠位部分の外径は、前記第1のシャフトセグメントの外径に略等しく、
少なくとも前記遠位部分は、前記カップリングの内部空洞を画定し、
前記カップリングの前記内部空洞の直径は、前記第2のシャフトセグメントの外径以上である、カップリング。
【請求項18】
前記カップリングは、透明なポリマー材料を備える、請求項17に記載のカップリング。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願への相互参照
本出願は、2016年1月19日に出願された米国特許仮出願第62/280,159号の利益を主張し、それを、本明細書に完全に記載されている場合と同様に参照により本明細書に組み込む。
【0002】
本開示は、電気生理学的調査など、医療処置において使用するためのカテーテルに関する。詳細には、本開示は、等しくない寸法の2つのシャフトを連結するために使用できる非外傷性カップリングに関する。
【背景技術】
【0003】
カテーテルは、ほんのいくつかの例を挙げると、診断、治療、および切除処置など、ますます数が増え続ける処置に使用される。通常、カテーテルは、患者の血管系を通して、例えば、患者の心臓内の部位など目標とする部位へと操作される。
【0004】
典型的な電気生理学的カテーテルは、細長いシャフトと、そのシャフトの遠位端に1つまたは複数の電極と、を含む。電極は、アブレーション、診断、または同様のものに対して使用することができる。これらの電極は、カテーテルシャフトの全周に延びるリング電極であることが多い。
【0005】
電気生理学的カテーテルの1つの特定の用法は、心臓の心房領域、特に肺静脈をマッピングすることであり、それは、心房性細動の発生点または発生中心であることが多い。このような電気生理学マッピングカテーテルは、通常、カテーテルシャフトの長手方向軸に対して一般に直交する平面内に向けられた少なくとも部分的なループ形状をその遠位端に有しており、それにより、ループは肺静脈口を囲むことができる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
さらに、シャフトのより近位の細長い領域は、より遠位の領域(例えば、少なくとも部分的なループに形成される部分)よりも大きな直径を有することが多い。したがって、より大きな直径の近位のシャフトから、より小さな直径の遠位のシャフトに移行することが必要になる。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本明細書ではカテーテルが開示され、カテーテルは、第1の直径を有する近位シャフトと、第1の直径と異なる第2の直径を有する遠位シャフトと、近位シャフトを遠位シャフトに連結するカップリングであって、中空内部を有しており、遠位部分および近位部分を含むカップリングと、を含み、遠位シャフトの近位部分は、カップリングの遠位端を通り、カップリングの中空内部に挿入され、カップリングの近位部分は、近位シャフトの遠位端を通り、近位シャフト内に挿入される。
【0008】
実施形態では、カテーテルはまた、近位シャフトの遠位部分内に配置される中空コアを有するセンサを含み、カップリングの近位部分は、センサの中空コア内および近位シャフトの遠位部分内に挿入される。カップリングの近位部分は、センサの中空コア内に挿入するのに十分に小さい外径を有する第1のサブ部分と、近位シャフトの遠位部分内に挿入するのに十分に小さく、センサの中空コア内に挿入するには大き過ぎる外径を有する第2のサブ部分とを含むことができ、第2のサブ部分は、第1のサブ部分の遠位側に位置される。
【0009】
本開示の態様によれば、カップリングの外径は、近位シャフトの遠位端に隣接する点よりも、カップリングの遠位端で小さい。例えば、カップリングの遠位部分は、ドーム形状部および/または円錐台形状部を含むことができる。
【0010】
本開示の他の態様によれば、カップリングの近位部分の最大外径は、カップリングの遠位部分の最大外径よりも小さい。
【0011】
カップリングの中空内部は、遠位シャフトの近位部分に当接する当接面を含むことができ、それは、遠位シャフトのカップリング内の前進を望ましい深さで停止させる。カップリングは、遠位シャフトを、近位シャフト内で同軸方向に配置できるようにすることも考慮される。
【0012】
実施形態では、カップリングの外面は、複数のリブを含む。カップリングはまた、例えば、カップリング内の遠位シャフトの視覚化を容易にするために、透明なポリマー材料で作製されることもできる。
【0013】
遠位シャフトは、少なくとも部分的なループに形成され得る。ループの曲率半径は、固定または可変のものとすることができる。
【0014】
本明細書では、カテーテルを製造する方法がまた開示され、方法は、第1の直径を有する近位シャフト、第1の直径と異なる第2の直径を有する遠位シャフト、および中空内部を有するカップリングを提供する工程と、遠位シャフトの近位部分を、カップリングの遠位端を通してカップリングの中空内部に挿入する工程と、カップリングの近位部分を、近位シャフトの遠位端を通して近位シャフト内に挿入する工程と、遠位シャフトをカップリングに固定する工程と、近位シャフトをカップリングに固定する工程と、を含む。
【0015】
カップリングの中空内部は、内部当接面を含むことができ、したがって、遠位シャフトの近位部分を、カップリングの遠位端を通してカップリングの中空内部に挿入する工程は、遠位シャフトの近位端が内部当接面に当接するまで、遠位シャフトの近位部分を、カップリングの中空内部に前進させる工程を含むことができる。同様に、カップリングの外面は、外部当接面を含むことができ、したがって、カップリングの近位部分を、近位シャフトの遠位端を通して近位シャフト内に挿入する工程は、近位シャフトの遠位端が外部当接面に当接するまで、カップリングの近位部分を近位シャフト内に前進させる工程を含むことができる。
【0016】
本開示の態様によれば、製造方法はまた、中空コアを有するセンサを提供する工程と、カップリングの近位部分をセンサの中空コア内に挿入する工程と、カップリングの近位部分およびセンサを、近位シャフトの遠位端を通して近位シャフト内に挿入する工程とを含む。
【0017】
遠位シャフト、カップリング、および近位シャフトは、例えば、紫外線硬化接着剤を用いて、互いに固定されることができる。
【0018】
別の態様では、本開示は、第1のシャフトセグメントを、第1のシャフトセグメントと異なる外径を有する第2のシャフトセグメントに固定するための非外傷性カップリングを提供する。カップリングは、複数のリブを含む外面を有する近位部分であって、近位部分の外径が第1のシャフトセグメントの内径以下である近位部分と、遠位部分であって、近位部分が遠位部分と交わる点から遠位部分の遠位先端にテーパする外面を有しており、近位部分が遠位部分と交わる点での遠位部分の外径が第1のシャフトセグメントの外径に略等しい遠位部分と、を含み、少なくとも遠位部分は、カップリングの内部空洞を画定し、カップリングの内部空洞の直径は、第2のシャフトセグメントの外径以上である。カップリングは、透明なポリマー材料を含み得ることが考慮される。
【0019】
本発明の、前述のおよび他の態様、特徴、細部、有用性、ならびに利点は、以下の説明および特許請求の範囲を読み、添付図面を検討することにより明らかになろう。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1-2】例示的な電気生理学的カテーテルを示す図である。
【
図3】本開示のいくつかの実施形態による電気生理学的カテーテルの一部の拡大図である。
【
図4】本開示の態様による遠位シャフト、近位シャフト、カップリング、およびセンサの組立体を示す図である。
【
図5A】本明細書で開示されるカップリングの実施形態の斜視図である。
【
図6】本明細書で開示される遠位シャフト、近位シャフト、カップリング、およびセンサの簡略化された横断面の組立図である。
【
図7】本明細書で開示されるカップリングの別の実施形態の横断面図である。
【
図8】本明細書で開示されるカップリングのさらに別の実施形態の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
説明のために、本開示のいくつかの実施形態は、心臓の電気生理学的調査に利用される電気生理学的カテーテルを参照して本明細書で説明される。しかしながら、本教示は、他の状況においても同様に良好に適用され得ることを理解されたい。
【0022】
ここで図を参照すると、
図1および
図2は、本開示の態様による電気生理学的(「EP」)カテーテル10の2つの実施形態を示している。EPカテーテル10は、カテーテル本体12を含み、カテーテル本体12は、次いで、近位シャフト14、遠位シャフト16、および本明細書で論ずるように近位シャフト14と遠位シャフト16とを連結するカップリング18を含む。いくつかの実施形態では、カテーテル本体12は管状である(例えば、それは、その中を通る少なくとも1つの管腔を画定する)。
図1および
図2に示されるように、近位シャフト14、遠位シャフト16、およびカップリング18の相対的な長さは、単に例示的なものに過ぎず、本開示の趣旨および範囲から逸脱することなく変わり得ることも理解されたい。当然ながら、カテーテル本体12の全長は、患者の体内で意図された目的地に到達するのに十分な長さであるべきである。
【0023】
カテーテル本体12は、通常、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)管材(例えば、TEFLON(登録商標)ブランドの管材)など、生体適合性のあるポリマー材料で作製されている。当然ながら、フッ化エチレンプロピレン共重合体(FEP)、パーフルオロアルコキシエチレン(PFA)、ポリフッ化ビニリデン、エチレンテトラフルオロエチレン共重合体、および他のフルオロポリマーなど他のポリマー材料が用いられてもよい。カテーテル本体12に適したさらなる材料は、これらに限定されないが、ポリアミドベースの熱可塑性エラストマー(すなわち、PEBAX(登録商標)のようなポリエーテルブロックアミド)、ポリエステルベースの熱可塑性エラストマー(例えば、HYTREL(登録商標))、熱可塑性ポリウレタン(例えば、PELLETHANE(登録商標)、ESTANE(登録商標))、イオン性熱可塑性エラストマー、官能化熱可塑性オレフィン、およびそれらの任意の組合せを含む。一般に、カテーテル本体12に適した材料はまた、これらに限定されないが、ポリアミド、ポリウレタン、ポリエステル、官能化ポリオレフィン、ポリカーボネート、ポリスルホン、ポリイミド、ポリケトン、液晶ポリマー、およびそれらの任意の組合せを含む様々な熱可塑性物質から選択されてもよい。カテーテル本体12のデュロメータは、その長さに沿って変化してもよいこともまた考慮される。一般に、カテーテル本体12の基本構造は、当業者によく知られたものであり、したがって、本開示を理解するのに必要な範囲を除いて、本明細書でさらに詳細に論じないものとする。
【0024】
図3で分かるように、遠位シャフト16は、少なくとも部分的なループ内に予め配置され得る。このループ形状は、遠位シャフト16を、例えば、肺静脈口の形状に一致させることを可能にする。部分的なループは、本教示と整合性のあるEPカテーテル10の意図された、または望ましい用法に応じて、いくつかの形状をとることができる。したがって、
図3で示されたループ形状は、単に例示的なものに過ぎないことを理解されたい。
【0025】
図3はまた、遠位領域16は、そこに配置された複数の電極20を含み得ることを示している。電極20は、リング電極またはEPカテーテル10の特定の用途に適した任意の他の電極であってもよい。例えば、EPカテーテル10が、非接触電気生理学的調査で使用されるものである場合、電極20は、本明細書に完全に記載されている場合と同様に参照により本明細書に組み込まれる、2009年7月2日に出願された米国特許出願第12/496,855号に記載されるように構成することができる。当然ながら、検出目的(例えば、心臓マッピングおよび/または診断)用として働くことに加えて、電極20は、治療目的(例えば、心臓アブレーションおよび/またはペーシング)に用いられてもよい。
【0026】
図3は、近位シャフト14の外径が、遠位シャフト16の外径と異なることをさらに示している。例えば、近位シャフト14の外径は、8フレンチ(0.104インチ)とすることができ、遠位シャフト16の外径は、4フレンチ(0.052インチ)とすることができる。したがって、カップリング18は、近位シャフト14を遠位シャフト16に固定するが、以下でさらに詳細に論ずるように、一方の外径から他方の外径へと非外傷性の移行部を提供する。これはまた、
図4に詳しく示されている。
【0027】
図1および
図2を再度参照すると、ハンドル22は、カテーテル本体12に連結されている。ハンドル22は、例えば、本明細書に完全に記載されている場合と同様に参照により本明細書に組み込まれる、米国特許第8,369,923号に記載されているように、カテーテル本体12の反りを制御するための適切な作動器(例えば、
図1の作動器24a、
図2の作動器24b)を含む。電気生理学的カテーテルに接続して使用される様々なハンドル、およびそれらに関連する作動器が知られており、したがって、ハンドル22を、本明細書でさらに詳細に説明しないものとする。
【0028】
いくつかの実施形態では、遠位シャフト16のループの曲率半径は固定されてもよいが、例えば、様々な年齢の患者の肺静脈口の変化する寸法に合うように曲率半径が調整可能であってもよいことも考慮される。このさらなる制御は、例えば、遠位シャフト16のループの曲率半径を変えるように適合された駆動ワイヤの使用に提供されてもよい。このような駆動ワイヤに適切な材料の1つは、ステンレス鋼であるが、本開示の趣旨および範囲から逸脱することなく、他の材料を使用することもできる。
【0029】
いくつかの実施形態では、駆動ワイヤの一端(例えば、遠位端)は、カテーテル本体12の先端に連結(例えば、電極20の最も遠位の先端電極に結合)されてもよく、駆動ワイヤの他端(例えば、近位端)は、ハンドル22上の作動器(例えば、親指スライダ)に連結されてもよい。したがって、例えば、親指スライダを近位方向に摺動させることにより、駆動ワイヤを張力のかかった状態にすることができ、それにより、遠位シャフト16のループの曲率半径を変えることができる。
【0030】
遠位シャフト16のループの曲率半径を変化させるための別の例示的な機構は、米国特許第7,606,609号に記載されており、本明細書に完全に記載されている場合と同様に参照により本明細書に組み込まれる。
【0031】
カップリング18の第1の実施形態は、
図5Aの斜視図及び
図5Bの横断面図に示されている。
図5Aおよび
図5Bに示されるように、カップリング18は、中空内部28を含む。本明細書で使用される場合、「中空内部」という用語は、内部に少なくとも1つの空洞部があることを意味し、「中空コア」という用語は、本開示では同義語的に使用される。この空洞部は、
図5Aおよび
図5Bにおいて、実質的に一定の直径を有する状態でカップリング18の全長に亘って延びるように示されているが、「中空」という用語は、そのように限定されることを意図していない。したがって、空洞部の直径は、カップリング18の長さに沿って変化することができ、本開示の意味に含まれる「中空」であるとみなされることができる。
【0032】
カップリング18は、遠位部分30および近位部分32を含む。
図6の簡略化された組立図で示されるように、カップリング18の遠位部分30は、遠位シャフト16を受け入れる(例えば、遠位シャフト16の近位部分34が、カップリング18の遠位端36を通り、カップリング18の中空内部28に挿入される)。同様に、カップリング18の近位部分32は、近位シャフト14内に受け入れられる(例えば、カップリング18の近位部分32は、近位シャフト14の遠位端38を通り、近位シャフト14内に挿入される)。
【0033】
図5A、
図5B、および
図6はまた、カップリング18の外径がその長さに沿って変化することを示している。具体的には、カップリング18の外径は、カップリング18のうちの近位シャフト14の遠位端38に隣接する点よりもカップリング18の遠位端36で小さい。すなわち、カップリング18の遠位部分30は、その遠位端36の方向にテーパしており、実施形態では、
図5A、
図5B、および
図6に示されるように、ドーム形状を含むことができる。他の実施形態では、
図7に示されるように、カップリング18の遠位部分30は、円錐台形状を含むことができる。
【0034】
本開示の態様によれば、カップリング18の近位部分32の最大外径は、カップリング18の遠位部分30の最大外径より小さい。遠位部分30が近位部分32と交わる位置(例えば、カテーテル10が組み立てられるとき、近位シャフト14の遠位端38に隣接する点)でのカップリング18の遠位部分30の外径は、近位シャフト14への滑らかな移行を容易にするために、近位シャフト14の外径と略等しいことがさらに考慮される。したがって、例えば、近位シャフト14が8フレンチの外径を有する場合、カップリング18の遠位部分30がその近位部分32に移行する位置でのカップリング18の外径はまた、約8フレンチとすることができる。しかしながら、遠位部分30のテーパ形状と、遠位部分30、近位部分32、および近位シャフト14の相対的な直径との組合せ(例えば、
図4で示される)により提供される滑らかな、非外傷性の移行に悪影響を与えることなく、これらの外径に約8%の差が存在することが可能である。
【0035】
図6および
図7に示されるように、カップリング18の近位部分32は、当接面40を含むことができる。当接面40は、カップリング18の中空内部28に遠位シャフト16が前進することを停止させる。すなわち、遠位シャフト16は、遠位シャフト16の近位部分34が当接面40に当接するまで、カップリング18の中空内部28に前進する(
図6参照)。
【0036】
カップリング18の近位部分32の外面はまた、1つまたは複数のリブ42を含むことができる。リブ42は、例えば、カップリング18を近位シャフト14に取り付けるために使用される接着剤を用いてメカニカルロックを生成することにより、カップリング18と近位シャフト14の間の接合性を高めることができる。
【0037】
図8は、カテーテル本体12に沿った追加のセンサ44(
図4および
図6で示される)の位置決めを容易にするように構成されるカップリング18のさらなる実施形態を示している。
図8に示されたカップリング18の実施形態では、カップリング18の近位部分32は、第1のサブ部分46および第2のサブ部分48を含む。第1のサブ部分46は、センサ44の中空コア内に挿入するのに十分に小さい外径を有する結果、例えば、第1および第2のサブ部分46、48の間の移行部における面50(遠位シャフト16が当接する当接面40の反対側とすることができる)に当接するまで、センサ44は前進する。
【0038】
第1のサブ部分46の遠位にある第2のサブ部分48は、近位シャフト14内に挿入するのに十分に小さい外径であり、センサ44の中空コア内に挿入するには大き過ぎる外径を有する。第2のサブ部分48(したがって近位部分32)は面52で終わりとなり、面52は、組立中に、カップリング18が近位シャフト14内に前進することを制限する。
【0039】
代替的に、カップリング18は、その中に挿入されるカップリング18を有することなく、1つまたは複数のセンサ44を位置決めするための基準面として働くこともできる。
【0040】
実施形態では、カップリング18は、透明なポリマー材料で作製されることができる。透明なポリマー材料を使用することにより、カップリング18を遠位シャフト16に連結する紫外線硬化接着剤を使用することができる。それはまた、遠位シャフト16が、カップリング18内に適正に位置決めされることを視覚的に確認することを容易にする。当然ながら、他の実施形態では、カップリング18を、半透明または不透明にすることもできる。
【0041】
カテーテル本体12の組立は、
図6を参照して理解されることができる。遠位シャフト16は、カップリング18の遠位端36を通り、遠位シャフト16の近位部分34がカップリング18の近位部分32内の当接面40に到達するまで、カップリング18の中空内部28に挿入される。
【0042】
任意に、中空コアのセンサ44は、例えば、センサ44が面50に当接するまで、カップリング18の近位部分32の第1のサブ部分46の上に嵌合することができる。カップリング18の近位部分32(および存在する場合、センサ44)は、次いで、近位シャフト14の遠位端38を通り、例えば、近位シャフト14の遠位端38が面52に当接するまで、近位シャフト14内に挿入されることができる。
【0043】
さらに、カップリング18は、近位シャフト14、センサ44(存在する場合)、および遠位シャフト16の間の同軸方向の位置合せを容易にする。望ましい位置合せが達成されると、様々な構成要素は、例えば、紫外線硬化接着剤を使用することにより、互いに固定されることができる。
【0044】
本発明のいくつかの実施形態がある程度の特定性を用いて上記で述べられてきたが、当業者であれば、本発明の趣旨または範囲から逸脱することなく、開示された実施形態に対して、数多くの変更を行うことも可能である。
【0045】
例えば、いくつかの例示的な実施形態が、単一のカップリング18を参照して上記で記載されてきたが、カップリング18はまた、カテーテル10の組立中に共に結合される複数の構成部分を含み得ることも考慮される。
【0046】
すべての方向的な参照(例えば、上側、下側、上方向、下方向、左、右、左方向、右方向、上部、底部、上、下、垂直、水平、時計方向、および反時計方向など)は、本発明の読者の理解を助けるための識別目的で使用されるに過ぎず、特に、本発明の位置、方向付け、または使用に関して限定を行うものではない。結合参照(例えば、取り付けられる、結合される、接続される、および同様のものなど)は、広く解釈されるべきであり、要素の接続と要素間の相対運動の間に中間的な部材を含むことができる。したがって、結合参照は、必ずしも、2つの要素が直接的に接続される、また互いに固定関係にあることを暗示するものではない。
【0047】
上記の記述に含まれる、または添付図面で示されるすべての内容は、例示的なものに過ぎず、限定するものではないと解釈すべきであるように意図されている。細部または構造における変更は、添付の特許請求の範囲で定義される本発明の趣旨から逸脱することなく行うことができる。
以下の項目は、国際出願時の特許請求の範囲に記載の要素である。
(項目1)
カテーテルであって、
第1の直径を有する近位シャフトと、
前記第1の直径と異なる第2の直径を有する遠位シャフトと、
前記近位シャフトを前記遠位シャフトに連結するカップリングであって、中空内部を有しており、遠位部分および近位部分を含む前記カップリングと、を備え、
前記遠位シャフトの近位部分は、前記カップリングの遠位端を通り、前記カップリングの前記中空内部に挿入され、
前記カップリングの前記近位部分は、前記近位シャフトの遠位端を通り、前記近位シャフト内に挿入される、カテーテル。
(項目2)
前記近位シャフトの遠位部分内に配置される中空コアを有するセンサをさらに備え、
前記カップリングの前記近位部分は、前記センサの前記中空コア内および前記近位シャフトの前記遠位部分内に挿入される、項目1に記載のカテーテル。
(項目3)
前記カップリングの前記近位部分は、
前記センサの前記中空コア内に挿入するのに十分に小さい外径を有する第1のサブ部分と、
前記近位シャフトの前記遠位部分内に挿入するのに十分に小さく、前記センサの前記中空コア内に挿入するには大き過ぎる外径を有する第2のサブ部分と、を備え、
前記第2のサブ部分は、前記第1のサブ部分の遠位側に位置している、項目2に記載のカテーテル。
(項目4)
前記カップリングの外径は、前記近位シャフトの前記遠位端に隣接する点よりも前記カップリングの前記遠位端で小さい、項目1に記載のカテーテル。
(項目5)
前記カップリングの前記遠位部分は、ドーム形状部を備える、項目4に記載のカテーテル。
(項目6)
前記カップリングの前記遠位部分は、円錐台形状部を備える、項目4に記載のカテーテル。
(項目7)
前記カップリングの前記近位部分の最大外径は、前記カップリングの前記遠位部分の最大外径よりも小さい、項目1に記載のカテーテル。
(項目8)
前記カップリングの前記中空内部は、前記遠位シャフトの前記近位部分に当接する当接面を含む、項目1に記載のカテーテル。
(項目9)
前記カップリングは、前記遠位シャフトを前記近位シャフト内に同軸方向に位置決めする、項目1に記載のカテーテル。
(項目10)
前記カップリングの外面は、複数のリブを備える、項目1に記載のカテーテル。
(項目11)
前記カップリングは、透明なポリマー材料を備える、項目1に記載のカテーテル。
(項目12)
前記遠位シャフトは、固定された曲率半径を有する少なくとも部分的なループに形成される、項目1に記載のカテーテル。
(項目13)
前記遠位シャフトは、可変の曲率半径を有する少なくとも部分的なループに形成される、項目1に記載のカテーテル。
(項目14)
カテーテルを製造する方法であって、
第1の直径を有する近位シャフト、前記第1の直径と異なる第2の直径を有する遠位シャフト、および、中空内部を有するカップリングを提供する工程と、
前記遠位シャフトの近位部分を、前記カップリングの遠位端を通して、前記カップリングの前記中空内部に挿入する工程と、
前記カップリングの近位部分を、前記近位シャフトの遠位端を通して、前記近位シャフト内に挿入する工程と、
前記遠位シャフトを前記カップリングに固定する工程と、
前記近位シャフトを前記カップリングに固定する工程と、を備える方法。
(項目15)
前記カップリングの前記中空内部は、内部当接面を含み、
前記遠位シャフトの近位部分を、前記カップリングの遠位端を通して、前記カップリングの前記中空内部に挿入する前記工程は、前記遠位シャフトの近位端が前記内部当接面に当接するまで、前記遠位シャフトの前記近位部分を、前記カップリングの前記中空内部に前進させる工程をさらに備える、項目14に記載の方法。
(項目16)
前記カップリングの外面は、外部当接面を含み、
前記カップリングの近位部分を、前記近位シャフトの遠位端を通して、前記近位シャフトに挿入する前記工程は、前記近位シャフトの前記遠位端が前記外部当接面に当接するまで、前記カップリングの前記近位部分を前記近位シャフト内に前進させる工程をさらに備える、項目14に記載の方法。
(項目17)
中空コアを有するセンサを提供する工程と、
前記カップリングの前記近位部分を前記センサの前記中空コア内に挿入する工程と、
前記カップリングの前記近位部分および前記センサを、前記近位シャフトの前記遠位端を通して、前記近位シャフト内に挿入する工程と、をさらに備える、項目14に記載の方法。
(項目18)
前記遠位シャフトを前記カップリングに固定する前記工程および前記近位シャフトを前記カップリングに固定する前記工程の少なくとも一方は、紫外線硬化接着剤を使用する工程を備える、項目14に記載の方法。
(項目19)
第1のシャフトセグメントを第2のシャフトセグメントに固定するための非外傷性カップリングであって、
前記第1のシャフトセグメントおよび前記第2のシャフトセグメントは、異なる外径を有し、
前記カップリングは、
外面を有する近位部分と、
遠位部分であって、前記近位部分が前記遠位部分に交わる点から前記遠位部分の遠位先端にテーパする外面を有する前記遠位部分と、を備え、
前記近位部分の前記外面は、複数のリブを含み、
前記近位部分の外径は、前記第1のシャフトセグメントの内径以下であり、
前記近位部分が前記遠位部分に交わる点での前記遠位部分の外径は、前記第1のシャフトセグメントの外径に略等しく、
少なくとも前記遠位部分は、前記カップリングの内部空洞を画定し、
前記カップリングの前記内部空洞の直径は、前記第2のシャフトセグメントの外径以上である、カップリング。
(項目20)
前記カップリングは、透明なポリマー材料を備える、項目19に記載のカップリング。