(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
成分(a)が、少なくとも1種の不飽和ニトリルおよび少なくとも1種の共役ジエンの繰り返し単位に加えて、1種またはそれ以上の、カルボン酸もしくはカルボン酸エステルの形態にある他の共重合性モノマー、またはこれらの混合物を含む、請求項1または2に記載の加硫可能な組成物。
成分(c)として、DIN ISO 787/9に従って水中(水中5重量%)で測定して11.3±0.7のpH、DIN ISO 787/2に従って測定して5.5±1.5の揮発性成分含量、かつISO 9277に従って測定して65±15の(BET)表面積を有する、アルミノケイ酸ナトリウムが使用される、請求項1〜5のいずれか一項に記載の加硫可能な組成物。
成分(d)として、ジクミルペルオキシド、tert−ブチルクミルペルオキシド、ビス(tert−ブチルペルオキシイソプロピル)ベンゼン、ジ−tert−ブチルペルオキシド、2,5−ジメチルヘキサン 2,5−ジヒドロペルオキシド、2,5−ジメチルヘキシ−3−イン 2,5−ジヒドロペルオキシド、ジベンゾイルペルオキシド、ビス(2,4−ジクロロベンゾイル)ペルオキシド、tert−ブチルペルベンゾエート、ブチル 4,4−ジ(tert−ブチルペルオキシ)バレレート、または1,1−ビス(tert−ブチルペルオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサンが使用される、請求項1〜8のいずれか一項に記載の加硫可能な組成物。
【背景技術】
【0002】
ガスケットにおける水素化ニトリルゴムに対して、高温および低温に対する抵抗性と同時に高い耐油性も示すことが要求されている。耐老化性のニトリルゴム、特に水素化ニトリルゴムには、規格のEN 549の種々の要件を満たし、そして低い膨潤係数を有しているだけではなく、低い高温圧縮永久歪みの値、および175℃での強い高温老化抵抗性、特に硬度の安定性および破断時伸びの安定性も有している、といった特殊な要求が存在している。
【0003】
加硫物の性質は、その加硫可能な組成物の構成成分の相互作用に依存する。決定的な因子は、主成分としての水素化ニトリルゴムだけではなく、特に同時に使用されている充填剤である。補強性(reinforcing)および非補強性(non−reinforcing)を有する多くの鉱物質および合成の充填剤が存在している。
【0004】
当業者の理解するところであるが、「補強(reinforcement)」という用語は、すべてのゴム−充填剤の相互作用の全部を意味していて、それは、未架橋の状態だけでなく、架橋された状態における物理的性質に明らかに表れる。
【0005】
補強性(活性)充填剤は、ゴムマトリックスとの相互作用を介して、粘弾性的性質を変化させる。それは、ゴムの粘度を高めて、加硫物の破壊挙動、たとえば破断時伸び、引き裂き抵抗性、および摩耗性を改良する。
【0006】
補強用フィラーの例は、特定のカーボンブラック、高比表面積を有する沈降シリカ、および高比表面積を有するヒュームドシリカである。しかしながら、もっとも多く使用されている充填剤は、カーボンブラックである。
【0007】
非補強性(不活性)充填剤は、ゴムマトリックスを希釈する。これは、ある種の性質、たとえば、破壊エネルギー(すなわち、応力−歪み曲線の積分値)を損なう効果を有するが、たとえば加工性やガス透過性などの他の性質には好ましい影響を与える可能性もある(非特許文献1)。非補強性フィラーが圧縮永久歪みを改良することが可能であるのは、文献からも公知である。
【0008】
水中5重量%の溶液の形態にある充填剤は、特徴的なpHを有している。このpHを使用して、酸性充填剤と塩基性充填剤との間の区別をすることができる。
【0009】
(特許文献1)の8および9ページ、表1および2には、以下のものを含むゴム組成物(実施例1〜7および比較例2および3)が開示されている:水素化ニトリルゴム(HNBR)、鉱物質充填剤(炭酸カルシウム)、さらなる鉱物質充填剤(Carplex 1120;湿式法シリカ)、金属酸化物(ZnO)(ここで、その金属は、元素周期律表の第2族からのものである)、およびペルオキシド化合物(Peroxymon F−40)。表1中の実施例の中には、HNBR、塩基性ケイ酸ナトリウム、少なくとも40重量%のシリケート(SiO
2)および少なくとも10重量%の酸化アルミニウム(Al
2O
3)を含む、10m
2/gよりも小さい比表面積(N
2表面積)を有する鉱物質充填剤、およびペルオキシド化合物から作られた組成物の開示はまったくない。
【0010】
(特許文献2)の7ページ、パラグラフ[0057]には、以下のものを含むゴム組成物(例I)が開示されている:水素化ニトリルゴム(HNBR)、鉱物質充填剤(Kieselgur Celite 281、比表面積1.5m
2/g、90.0重量%のSiO
2および4.0重量%のAl
2O
3を含む)、活性充填剤(Vulcasil)、およびペルオキシド化合物(Perkadox 14/40)。その鉱物質充填剤には、10重量%未満のAl
2O
3しか含まれていない。「Vulcasil」の定義が開示されていない。
【0011】
(特許文献3)の24ページには、以下のものを含む実施例21および22が含まれている:水素化ニトリルゴム(HNBR)、鉱物質充填剤(Satintone SP−33 Kaolin Clay)、pH7のシリケート(SiO
2)(Hi−SIL 233)、およびペルオキシド化合物(Vulcup 40KE)。塩基性ケイ酸ナトリウムを含んだ組成物は、開示されていない。
【0012】
塩基性ケイ酸ナトリウムを使用することは、原理的には公知である。塩基性シリケートは、DIN ISO 787/9に従って測定して、水中(水中5重量%)で7よりも高いpHを有している。塩基性ケイ酸ナトリウムの例は、アルミノケイ酸ナトリウム(たとえば、Vulkasil(登録商標)A1、Zeolex(登録商標)23、HM500)である。
【0013】
(特許文献4)の48および51ページには、以下のものを含む実施例14〜16が開示されている:水素化ニトリルゴム(HNBR)、鉱物質充填剤(Celite、比表面積1.5m
2/g;90.0重量%のSiO
2および4.0重量%のAl
2O
3)、シリケート(Vulkasil A1(塩基性ケイ酸ナトリウム);Coupsil VP 6508(オルガノシランコーティングを用いた表面変性沈降シリカ);Vulkasil N)、およびペルオキシド化合物(1,3−ビス−(tert−ブチルペルオキシ−イソプロピル)−ベンゾール、Perkadox 14−40;Perkadox 14s)。
【0014】
(特許文献5)には、加硫可能な組成物の中での以下のものの使用が開示されている:ブタジエン−アクリロニトリル−アクリレートコポリマー、架橋剤としての有機ペルオキシド、加硫助剤としての金属酸化物、および補強用フィラーとしての塩基性ケイ酸ナトリウム。しかしながら、その文献には、以下のものを含む加硫可能な組成物は開示されていない:水素化ニトリルゴム、塩基性ケイ酸ナトリウム、ペルオキシド化合物、および少なくとも40重量%のシリケート(SiO
2)および少なくとも10重量%の酸化アルミニウム(Al
2O
3)を含む、10m
2/gよりも小さい比表面積(N
2表面積)を有する鉱物質充填剤。
【0015】
(特許文献6)には、以下のものを含む実施例1(14ページ)および比較例2(18ページ)が開示されている:水素化ニトリルゴム(HNBR)、鉱物質充填剤(MgO、Maglit;ZnO、Kadox)、塩基性ケイ酸ナトリウム(Zeolex 23)、およびペルオキシド化合物(Vulcup 40KE)。少なくとも40重量%のシリケート(SiO
2)および少なくとも10重量%の酸化アルミニウム(Al
2O
3)を含む、10m
2/gよりも小さい比表面積(N
2表面積)を有する鉱物質充填剤を含む組成物は、開示されていない。
【0016】
従来技術の文献のいずれにおいても、少なくとも40重量%のシリケート(SiO
2)および少なくとも10重量%の酸化アルミニウム(Al
2O
3)を含む、10m
2/gよりも小さい比表面積(N
2表面積)を有する鉱物質充填剤と、塩基性ケイ酸ナトリウムとを組み合わせた、水素化ニトリルゴムの加硫可能な組成物は開示されていない。
【発明を実施するための形態】
【0024】
好ましい加硫可能な組成物は、以下のものを含むものである:
(a)100重量部の少なくとも1種の水素化ニトリルゴム、
(b)50〜100重量部、好ましくは60〜90重量部の、成分(b)の全量を規準にして少なくとも40重量%のシリケート(SiO
2)および少なくとも10重量%の酸化アルミニウム(Al
2O
3)を含む、10m
2/gよりも小さい比表面積(N
2表面積)を有する少なくとも1種の鉱物質充填剤、
(c)5〜50重量部、好ましくは10〜30重量部の、水中(水中5重量%)で、DIN ISO 787/9に従って測定して、7よりも高いpHを有する、少なくとも1種の塩基性ケイ酸ナトリウム、および
(d)1〜20重量部、好ましくは2〜10重量部の、少なくとも1種のペルオキシド化合物。
【0025】
以下のものを含む加硫可能な組成物が特に好ましい:
(a)100重量部の少なくとも1種の水素化ニトリルゴム、
(b)50〜100重量部、好ましくは60〜90重量部の、成分(b)の全量を規準にして50〜60重量%、好ましくは55重量%のSiO
2および35〜45重量%、好ましくは41重量%のAl
2O
3を含み、水中(水中5重量%)でDIN ISO 787/9に従って測定して6.5±0.5のpHを有し、そしてISO 9277に従って測定して8.5m
2/gの(BET)表面積を有する、焼成カオリン、
(c)5〜50重量部、好ましくは10〜30重量部の、水中(水中5重量%)でDIN ISO 787/9に従って測定して11.3±0.7のpHを有し、DIN ISO 787/2に従って測定して5.5±1.5の揮発性成分含量を有し、そしてISO 9277に従って測定して65±15の(BET)表面積を有する、アルミノケイ酸ナトリウム、
(d)1〜20重量部、好ましくは2〜10重量部の、少なくとも1種のペルオキシド化合物、好ましくはジクミルペルオキシド、tert−ブチルクミルペルオキシド、ビス(tert−ブチルペルオキシイソプロピル)ベンゼン、ジ−tert−ブチルペルオキシド、2,5−ジメチルヘキサン2,5−ジヒドロペルオキシド、2,5−ジメチルヘキシ−3−イン2,5−ジヒドロペルオキシド、またはジベンゾイルペルオキシド。
【0026】
本発明の加硫可能な組成物のまた別な特徴は、製造された加硫物が、以下のような性質を有していることである:
・ DIN ISO 850 PartAに従って測定して、175℃で168時間貯蔵した後で、45%よりも低い高温圧縮永久歪みの値、
・ DIN 53508に従って測定して、175℃で168時間貯蔵した後で、10%以下の硬度の変化、および
・ DIN 53508に従って測定して、175℃で168時間貯蔵した後で、35%未満の破断時伸びの変化。
【0027】
本発明の加硫可能な組成物には、成分(a)として、少なくとも1種の水素化ニトリルゴムが含まれる。
【0028】
水素化ニトリルゴム:
本出願の目的においては、水素化ニトリルゴム(HNBR)は、少なくとも1種の共役ジエンと、少なくとも1種のα,β−不飽和ニトリルモノマーと、場合によっては他の共重合性モノマーとの、コポリマーおよび/またはターポリマーであるが、ここで、その共重合されたジエン単位が、完全に、またはある程度まで水素化されている。
【0029】
本出願の目的においては、「水素化(hydrogenation)」または「水素化された(hydrogenated)」という用語は、ニトリルゴムの中に元から存在していた二重結合の、少なくとも50%、好ましくは少なくとも85%、特に好ましくは少なくとも95%が反応したということを意味している。
【0030】
α,β−不飽和ニトリルとしては、いかなる公知のα,β−不飽和ニトリルでも使用することができるが、好ましいのは、(C
3〜C
5)−α,β−不飽和ニトリルたとえば、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、エタクリロニトリル、またはそれらの混合物である。特に好ましいのは、アクリロニトリルである。
【0031】
共役ジエンは各種のタイプのものであってよい。(C
4〜C
6)共役ジエンを使用するのが好ましい。1,3−ブタジエン、イソプレン、2,3−ジメチルブタジエン、ピペリレン、またはそれらの混合物が特に好ましい。特に好ましいのは、1,3−ブタジエンおよびイソプレン、それらの混合物である。極めて特に好ましいのは1,3−ブタジエンである。
【0032】
水素化ニトリルゴムの中の、共役ジエンとα,β−不飽和ニトリルとの比率は、広く変化させることができる。共役ジエン、または共役ジエンを合計したものの比率は、全ポリマーを基準にして、通常は40〜90重量%の範囲、好ましくは50〜80重量%の範囲である。α,β−不飽和ニトリル、またはα,β−不飽和ニトリルを合計したものの比率は、全ポリマーを基準にして、通常は10〜60重量%の範囲、好ましくは20〜50重量%の範囲である。追加のモノマーとして使用することが可能な量は、全ポリマーを基準にして0.1〜40重量%の範囲、好ましくは1〜30重量%の範囲である。この場合、共役ジエンもしくはジエンおよび/またはα,β−不飽和ニトリルの相当する比率を、その追加のモノマーの比率で置き換えるが、それぞれの場合において、モノマー全部の比率を合計して100重量%とする。
【0033】
本発明の加硫可能な組成物に適したこれらの水素化ニトリルゴムの製造は、当業者が十分に慣れているものである。
【0034】
文献(たとえば、Houben−Weyl,Mehoden der Organischen Chemie[Methods of Organic Chemistry],Vol.14/1、Georg Thieme Verlag, Stuttgart,1961)では、上述のモノマーを重合させることによるニトリルゴムの初期の製造法が詳しく説明されている。
【0035】
それに続けて、上述のニトリルゴムを水素化させて水素化ニトリルゴムとすることは、当業者公知の方法で実施することができる。
【0036】
ニトリルゴムの水素化を実施することは、原理的には、均一系または不均一系の水素化触媒を使用することにより可能である。
【0037】
国際公開第A−01/77185号パンフレットに記載されているように、たとえば、均一系触媒、たとえばWilkinson触媒として知られている触媒((PPh
3)
3RhCl)、またはその他の触媒を使用して、水素との反応をさせることが可能である。ニトリルゴムを水素化させるためのプロセスは、公知である。通常、触媒としてロジウムまたはチタンが使用されるが、白金、イリジウム、パラジウム、レニウム、ルテニウム、オスミウム、コバルト、または銅を、金属の形か、または好ましくは金属化合物の形のいずれかで使用することもまた可能である(たとえば、米国特許第A3,700,637号明細書、独国特許出願公開第A−25 39 132号明細書、欧州特許出願公開第A−134 023号明細書、独国特許出願公開第OS−35 41 689号明細書、独国特許出願公開第OS−35 40 918号明細書、欧州特許出願公開第A−298 386号明細書、独国特許出願公開第OS−35 29 252号明細書、独国特許出願公開第OS−34 33 392号明細書、米国特許第A−4,464,515明細書、および米国特許第A−4,503,196号明細書を参照)。
【0038】
均一相水素化のために好適な触媒および溶媒は、以下において記述されており、また、独国特許出願公開第A−25 39 132号明細書および欧州特許出願公開第A−0 471 250号明細書からも公知である。
【0039】
たとえば選択的水素化は、ロジウム含有触媒の存在下で実施することができる。たとえば次の一般式の触媒を使用することが可能である。
(R
1mB)
lRhX
n
式中、
R
1は、同一であるかまたは異なっていて、C
1〜C
8アルキル基、C
4〜C
8シクロアルキル基、C
6〜C
15アリール基、またはC
7〜C
15アラルキル基であり、
Bは、リン、ヒ素、硫黄、またはスルホキシド基S=Oであり、
Xは、水素またはアニオン、好ましくはハロゲン、特に好ましくは塩素または臭素であり、
lは、2、3、または4であり、
mは、2または3であり、かつ
nは、1、2または3、好ましくは1または3である。
【0040】
好適な触媒は、塩化トリス(トリフェニルホスフィン)ロジウム(I)、塩化トリス(トリフェニルホスフィン)ロジウム(III)、および塩化トリス(ジメチルスルホキシド)ロジウム(III)、さらにはテトラキス(トリフェニルホスフィン)ロジウム水素化物、式((C
6H
5)
3P)
4RhH、およびそれに対応するトリフェニルホスフィンが完全またはある程度まで、トリシクロヘキシルホスフィンによって置換された化合物である。少量の触媒を使用することができる。好適な量は、ポリマーの重量を基準にして、0.01〜1重量%の範囲、好ましくは0.03〜0.5重量%の範囲、特に好ましくは0.1〜0.3重量%の範囲である。
【0041】
通常、その触媒は、式R
1mB(ここで、R
1、mおよびBは先にその触媒に関連して特定された意味合いを有する)の配位子である助触媒と共に使用することが推奨される。好ましいのは、mが3であり、Bがリンであって、残基のR
1は、同一であるかまたは異なっていてよい。ここでの助触媒が、トリアルキル、トリシクロアルキル、トリアリール、トリアラルキル、ジアリールモノアルキル、ジアリールモノシクロアルキル、ジアルキルモノアリール、ジアルキル−モノシクロアルキル、ジシクロアルキルモノアリール、またはジシクロアルキルモノアリール残基を有しているのが好ましい。
【0042】
助触媒の例は、たとえば米国特許第A−4,631,315号明細書に見出される。好適な助触媒はトリフェニルホスフィンである。助触媒の使用量は、水素化されるニトリルゴムの重量を基準にして、好ましくは0.3〜5重量%の範囲、特に好ましくは0.5〜4重量%の範囲である。さらに、ロジウム含有触媒の助触媒に対する重量比が、1:3〜1:55の範囲であればさらに好ましく、1:5〜1:45の範囲であれば特に好ましい。助触媒の使用量は、水素化されるニトリルゴム100重量部を規準にして、好適には0.1〜33重量部、好ましくは0.5〜20重量部、極めて特に好ましくは1〜5重量部であるが、特には、水素化されるニトリルゴム100重量部を規準にして、2重量部より多くかつ5重量部より少ない。
【0043】
これらの水素化の実施は当業者には公知であり、たとえば米国特許第A−6,683,136号明細書に記載されている。通常の方法においては、水素を使用し、溶媒たとえばトルエンまたはモノクロロベンゼン中、100℃〜150℃の範囲の温度、50bar〜150barの範囲の圧力で、2時間〜10時間かけて、水素化対象のニトリルゴムを処理する。
【0044】
相当するカルボキシル化ニトリルゴムを水素化することによって水素化カルボキシル化ニトリルゴムを製造するのに不均一系触媒を使用する場合には、パラジウムベースの担持触媒が通常使用される。
【0045】
使用される水素化ニトリルゴム(a)のムーニー粘度(ML1+4、100℃で測定)、または複数の水素化ニトリルゴム(a)が使用されるのなら、全部の水素化ニトリルゴム(a)を合計した混合物のムーニー粘度は、10〜120の範囲、好ましくは15〜100の範囲である。この場合、ムーニー粘度は、ASTM標準D 1646に従って測定する。
【0046】
本発明の水素化ニトリルゴムは、10%以下、好ましくは7%以下、特に好ましくは1%以下の残存二重結合(RDB)含量を有している。
【0047】
本発明の加硫可能な組成物において使用可能な水素化ニトリルゴムのガラス転移温度は、−15℃未満、好ましくは−20℃未満、特に好ましくは−25℃未満である。
【0048】
このタイプの水素化ニトリルゴム(a)は、ある程度は市場で入手することが可能ではあるが、すべての場合において、当業者による文献に見出すことができる製造プロセスによって手に入れることができる。水素化ニトリルゴムの例は、全面的もしくは部分的に水素化された、20〜50重量%の範囲のアクリロニトリル含量を有するニトリルゴムである(LANXESS Deutschland GmbH製のTherban(登録商標)シリーズおよび日本ゼオン(株)製のZetpol(登録商標)シリーズ)。水素化ブタジエン/アクリロニトリル/アクリレートポリマーの例は、LANXESS Deutschland GmbH製のTherban(登録商標)LTシリーズたとえば、Therban(登録商標)LT 2157およびTherban(登録商標)LT 2007である。カルボキシル化水素化ニトリルゴムの一例は、LANXESS Deutschland GmbH製のTherban(登録商標)XTシリーズである。低ムーニー粘度、したがって加工性が改良された水素化ニトリルゴムの例は、Therban(登録商標)ATシリーズからの製品、たとえばTherban(登録商標)AT 3404である。
【0049】
その水素化ニトリルゴムには、少なくとも1種の不飽和ニトリルの繰り返し単位および少なくとも1種の共役ジエンの繰り返し単位に加えて、カルボン酸またはカルボン酸エステルの形態にある、1種またはそれ以上のその他の共重合性モノマーが含まれていてよい。それらはさらに、水素化カルボキシル化ニトリルゴム(略してHXNBR)である。
【0050】
好適な共重合性カルボン酸は、α,β−位に不飽和を有する、3〜18個のC原子を有するモノカルボン酸またはジカルボン酸、およびそれらのエステルである。好ましいα,β−不飽和カルボン酸は、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、フマル酸、マレイン酸、クロトン酸、およびそれらの混合物である。
【0051】
3〜18個のC原子を有するα,β−不飽和カルボン酸のエステルには、好ましくは、上述のカルボン酸アルキルエステルおよびアルコキシアルキルエステルが含まれる。3〜18個のC原子を有するα,β−不飽和カルボン酸の好ましいエステルは、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、アクリル酸2−エチルヘキシル、およびアクリル酸オクチル、ならびに、1〜8個の繰り返しエチレングリコール単位を有するPEG(メタ)アクリレートである。好ましいアルコキシアルキルエステルは、アクリル酸メトキシエチルおよびアクリル酸エトキシエチル、ならびにそれらの混合物である。
【0052】
好ましいエステルは、α,β−エチレン性不飽和ジカルボン酸のモノエステル、たとえば以下のものである:
・ アルキルエステル、特にC
4〜C
18−アルキルエステル、好ましくはn−ブチルエステル、tert−ブチルエステル、n−ペンチルエステル、または、n−ヘキシルエステル、特に好ましくはマレイン酸モノ−n−ブチル、フマル酸モノ−n−ブチル、シトラコン酸モノ−n−ブチル、イタコン酸モノ−n−ブチル;
・ アルコキシアルキルエステル、特にC
4〜C
18−アルコキシアルキルエステル、好ましくはC
4〜C
12−アルコキシアルキルエステル、
・ ヒドロキシアルキルエステル、特にC
4〜C
18−ヒドロキシアルキルエステル、好ましくはC
4〜C
12−ヒドロキシアルキルエステル、
・ シクロアルキルエステル、特にC
5〜C
18−シクロアルキルエステル、好ましくはC
6〜C
12−シクロアルキル、より好ましくはマレイン酸モノシクロペンチル、マレイン酸モノシクロヘキシル、マレイン酸モノシクロヘプチル、フマル酸モノシクロペンチル、フマル酸モノシクロヘキシル、フマル酸モノシクロヘプチル、シトラコン酸モノシクロペンチル、シトラコン酸モノシクロヘキシル、シトラコン酸モノシクロヘプチル、イタコン酸モノシクロペンチル、イタコン酸モノシクロヘキシル、およびイタコン酸モノシクロヘプチル、
・ アルキルシクロアルキルエステル、特にC
6〜C
12−アルキルシクロアルキルエステル、好ましくはC
7〜C
10−アルキルシクロアルキル、特に好ましくはマレイン酸モノメチルシクロペンチルおよびマレイン酸モノエチルシクロヘキシル、フマル酸モノメチルシクロペンチルおよびフマル酸モノエチルシクロヘキシル、シトラコン酸モノメチルシクロペンチルおよびシトラコン酸モノエチルシクロヘキシル;イタコン酸モノメチルシクロペンチルおよびイタコン酸モノエチルシクロヘキシル、
・ アリールエステル、特にC
6〜C
14−アリールモノエステル、好ましくはマレイン酸モノアリール、フマル酸モノアリール、シトラコン酸モノアリール、またはイタコン酸モノアリール、特に好ましくはマレイン酸モノフェニルもしくはマレイン酸モノベンジル、フマル酸モノフェニルもしくはフマル酸モノベンジル、シトラコン酸モノフェニルもしくはシトラコン酸モノベンジル、イタコン酸モノフェニルもしくはイタコン酸モノベンジル、またはそれらの混合物、
・ 不飽和ポリカルボン酸ポリアルキルエステル、たとえばマレイン酸ジメチル、フマル酸ジメチル、イタコン酸ジメチル、またはイタコン酸ジエチル;または
・ アミノ基を含むα,β−エチレン性不飽和カルボン酸エステル、たとえばアクリル酸ジメチルアミノメチルまたはアクリル酸ジエチルアミノエチル。
【0053】
HXNBRポリマーの中の、共役ジエンとα,β−不飽和ニトリルとの比率は、広く変化させることができる。共役ジエン、または共役ジエンを合計したものの比率は、全ポリマーを基準にして、通常は40〜90重量%の範囲、好ましくは55〜75重量%の範囲である。α,β−不飽和ニトリル、またはα,β−不飽和ニトリルを合計したものの比率は、全ポリマーを基準にして、通常は9.9〜60重量%、好ましくは15〜50重量%である。追加のモノマーの存在量は、全ポリマーを基準にして、0.1〜40重量%、好ましくは1〜30重量%である。それぞれの場合において、モノマー全部の比率を合計して100重量%とする。
【0054】
したがって、その水素化カルボキシル化ニトリルゴムは、少なくとも1種の不飽和ニトリル、少なくとも1種の共役ジエン、さらには少なくとも1種の、カルボキシ基を含むか、および/またはカルボキシレート基を含むターモノマーをベースとした水素化カルボキシル化ニトリルゴムHXNBRである。ここで、そのXNBRの中に元々存在していた二重結合の少なくとも50%は飽和されている。
【0055】
好適なHXNBRの例は、以下のものから製造されたXNBRをベースとする水素化カルボキシル化ニトリルゴムである:ブタジエン、ならびにアクリロニトリル、ならびにアクリル酸および/またはメタクリル酸;および/またはフマル酸および/またはマレイン酸;および/または、フマル酸および/またはマレイン酸のメチル、エチル、プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、n−ヘキシルおよび/または2−エチルヘキシルヘミエステル;および/または、アクリル酸および/またはメタクリル酸のメチル、エチル、プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、n−ヘキシルおよび/または2−エチルヘキシルエステル。
【0056】
水素化カルボキシル化ニトリルゴムは、各種の経路で得ることが可能である。
【0057】
たとえば、HNBRを、カルボキシル基を含む化合物にグラフトさせることも可能である。
【0058】
それらはさらに、カルボキシル化ニトリルゴム(XNBR)を水素化させることによっても得ることができる。このタイプの水素化カルボキシル化ニトリルゴムは、たとえば国際公開第A−01/77185号パンフレットに記載されている。
【0059】
少なくとも1種の水素化ニトリルゴム(a)と共に、他のエラストマー(e)を存在させることもまた可能である。その他のエラストマー(e)は、水素化ニトリルゴムに対して、1:5から5:1までの重量比で存在する。
【0060】
成分(b)−非補強性鉱物質充填剤
本発明の加硫可能な組成物には、成分(b)として、少なくとも1種の非補強性鉱物質充填剤を含む。
【0061】
本発明の目的においては、「非補強性(non−reinforcing)」という用語は、10m
2/gよりも小さい比表面積(N
2表面積)を有する充填剤を意味している。非補強性鉱物質充填剤の比表面積を表すためにここで述べた数値は、BET値、すなわち、DIN−ISO 9277に従って測定した値である。
【0062】
成分(b)は、成分(b)の全量を規準にして、少なくとも40重量%のシリケート(SiO
2)および少なくとも10重量%の酸化アルミニウム(Al
2O
3)を含む、10m
2/gよりも小さい比表面積(N
2表面積)を有する、鉱物質充填剤である。
【0063】
成分(b)は、好ましくは、成分(b)の全量を規準にして、少なくとも40重量%のシリケート(SiO
2)および少なくとも10重量%の酸化アルミニウム(Al
2O
3)を含む、10m
2/gよりも小さい比表面積(N
2表面積)を有する、焼成カオリンである。
【0064】
好ましい成分(b)の例は、SILFIT(登録商標) Z 91(Hoffmann Mineralから市販)である。SILFIT Z 91は、天然産の、非晶質および潜晶質(crypto−crystalline)シリカと層状のカオリナイトとの集塊物で、熱処理にかけたものである。SILFIT Z 91は、8m
2/gの表面積(BET)を有し、86重量%のSiO
2および13重量%のAl
2O
3を含み、pHが6,5である。
【0065】
成分(b)が、40〜70重量%のSiO
2および30〜60重量%のAl
2O
3を含み、pHが6.0〜7.0±0.5であり、かつ(BET)表面積が8〜9m
2/gである焼成カオリンであれば、さらに好ましい。
【0066】
成分(b)が、50〜60重量%のSiO
2および35〜45重量%のAl
2O
3を含み、pHが6.4〜6.6±0.5であり、かつ(BET)表面積が8.3〜8.7m
2/gである焼成カオリンであれば、特に好ましい。
【0067】
成分(b)が、50〜60重量%、好ましくは55重量%のSiO
2、35〜45重量%、好ましくは41重量%のAl
2O
3を含み、pHが6.5±0.5であり、かつ(BET)表面積が8.5m
2/gである焼成カオリンであれば、極めて特に好ましい。極めて特に好ましい成分(b)の一例は、焼成カオリンのPolestar(登録商標)200R(Imerysから市販)である。Polestar(登録商標)200Rは、微粉砕したカオリンを、1000℃を超える温度にまで加熱することにより製造される。
【0068】
本発明の加硫可能な組成物中における成分(b)の存在量は、100部の水素化ニトリルゴム(a)を規準にして、好ましくは50〜100重量部、特に好ましくは60〜90重量部である。
【0069】
成分(c)−塩基性ケイ酸ナトリウム
本発明の加硫可能な組成物には、少なくとも1種の塩基性ケイ酸ナトリウム(c)が含まれる。
【0070】
本発明の目的においては、「塩基性ケイ酸ナトリウム」という用語は、DIN ISO 787/9に従い、5重量%水溶液中で測定して、7よりも高いpHを有する、ナトリウム含有シリケートを意味している。
【0071】
成分(c)は、DIN ISO 787/9に従い、5%水溶液中で測定して、7より高いpH、好ましくは8より高いpH、特に好ましくは8より高く12までのpH、極めて特に好ましくは10.5〜12の間のpHを有する、塩基性ケイ酸ナトリウムである。7より高いpHを有する塩基性シリケートの一例は、LANXESSから商標Vulkasil(登録商標)A1として得ることが可能な、アルミノケイ酸ナトリウムである。
【0072】
成分(c)は、好ましくは8より高いpHを有する塩基性ケイ酸ナトリウムであって、以下のものからなる群より選択される:アルミノケイ酸ナトリウム、オルトケイ酸ナトリウム(Na
4SiO
4)、メタケイ酸ナトリウム(Na
2SiO
3)、二ケイ酸二ナトリウム(Na
2Si
2O
5)、三ケイ酸ナトリウム(Na
2Si
3O
7)、特に好ましくはアルミノケイ酸ナトリウム。
【0073】
成分(c)が、アルミノケイ酸ナトリウムであれば特に好ましい。
【0074】
特に好ましい成分(c)の一例は、商標Zeolex(登録商標)23(Huberから市販)で、pHが10、比表面積(BET)が80のアルミノケイ酸ナトリウムである。
【0075】
成分(c)が、DIN ISO 787/9に従って水中(水中5重量%)で測定して11.3±0.7のpH、DIN ISO 787/2に従って測定して5.5±1.5の揮発性成分含量、かつISO 9277に従って測定して65±15の(BET)表面積を有する、アルミノケイ酸ナトリウムであれば、極めて特に好ましい。極めて特に好ましい成分(c)の一例は、商標Vulkasil(登録商標)A1(LANXESSから市販)のアルミノケイ酸ナトリウムである。
【0076】
本発明の加硫可能な組成物の中に存在させる成分(c)の量は、100重量部の水素化ニトリルゴム(a)を規準にして、好ましくは5〜50重量部、特に好ましくは10〜30重量部である。
【0077】
成分(b)対成分(c)の重量比は、20:1から1:1まで、好ましくは10:1から2:1まで、特に好ましくは5:1から3:1までである。
【0078】
成分(d)−ペルオキシド化合物
成分(d)として、少なくとも1種のペルオキシド化合物を架橋剤として使用する。
【0079】
ペルオキシド化合物(d)としては、たとえば以下のペルオキシド化合物が好適である:ビス(2,4−ジクロロベンゾイル)ペルオキシド、ジベンゾイルペルオキシド、ビス(4−クロロベンゾイル)ペルオキシド、1,1−ビス(tert−ブチルペルオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、tert−ブチルペルベンゾエート、2,2−ビス(tert−ブチルペルオキシ)ブテン、4,4−ジ−tert−ブチルペルオキシノニルバレレート、ジクミルペルオキシド、2,5−ジメチル−2,5−ジ(tert−ブチルペルオキシ)ヘキサン、tert−ブチルクミルペルオキシド、1,3−ビス(tert−ブチルペルオキシイソプロピル)ベンゼン、ジ−tert−ブチルペルオキシド、および2,5−ジメチル−2,5−ジ(tert−ブチルペルオキシ)ヘキシン、tert−ブチルヒドロペルオキシド、過酸化水素、メチルエチルケトンペルオキシド、ラウロイルペルオキシド、デカノイルペルオキシド、3,5,5−トリメチルヘキサノイルペルオキシド、ジ(2−エチルヘキシル)ペルオキシジカーボネート、ポリ(tert−ブチルペルオキシカーボネート)、エチル3,3−ジ(tert−ブチルペルオキシ)ブチレート、エチル3,3−ジ(tert−アミルペルオキシ)ブチレート、n−ブチル4,4−ジ(tert−ブチルペルオキシ)バレレート、2,2−ジ(tert−ブチルペルオキシ)ブタン、1,1−ジ(tert−ブチルペルオキシ)シクロヘキサン、3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、1,1−ジ(tert−アミルペルオキシ)シクロヘキサン、tert−ブチルペルオキシベンゾエート、tert−ブチルペルオキシアセテート、tert−ブチルペルオキシ−3,5,5−トリメチルヘキサノエ−ト、tert−ブチルペルオキシイソブチレート、tert−ブチルペルオキシ−2−エチルヘキサノエ−ト、tert−ブチルペルオキシピバレート、tert−アミルペルオキシピバレート、tert−ブチルペルオキシネオデカノエート、クミルペルオキシネオデカノエート、3−ヒドロキシ−1,1−ジメチルブチルペルオキシネオデカノエート、tert−ブチルペルオキシベンゾエート、tert−ブチルペルオキシアセテート、tert−アミルペルオキシ−3,5,5−トリメチルヘキサノエ−ト、tert−ブチルペルオキシイソブチレート、tert−ブチルペルオキシ−2−エチルヘキサノエ−ト、クミルペルオキシネオデカノエート、3−ヒドロキシ−1,1−ジメチルブチルペルオキシネオデカノエート、2,5−ジメチル−2,5−ジ(tert−ブチルペルオキシ)ヘキシン(3−ジ−tert−アミル)ペルオキシド、2,5−ジメチル−2,5−ジ(tert−ブチルペルオキシ)ヘキサン、tert−アミルヒドロペルオキシド、クメンヒドロペルオキシド、2,5−ジメチル−2,5−ジ(ヒドロペルオキシ)ヘキサン、ジイソプロピルベンゼンモノヒドロペルオキシド、およびカリウムペルオキソジスルフェート。
【0080】
本発明の加硫可能な組成物の少なくとも1種のペルオキシド化合物が、有機ペルオキシドであれば好ましく、以下のものであれば特に好ましい:ジクミルペルオキシド、tert−ブチルクミルペルオキシド、ビス(tert−ブチルペルオキシイソプロピル)ベンゼン、ジ−tert−ブチルペルオキシド、2,5−ジメチルヘキサン2,5−ジヒドロペルオキシド、2,5−ジメチルヘキシ−3−イン2,5−ジヒドロペルオキシド、ジベンゾイルペルオキシド、ビス(2,4−ジクロロベンゾイル)ペルオキシド、tert−ブチルペルベンゾエート、ブチル4,4−ジ(tert−ブチルペルオキシ)バレレート、および/または1,1−ビス(tert−ブチルペルオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン。
【0081】
本発明の加硫可能な組成物の中に存在させる成分(d)の量は、100重量部の水素化ニトリルゴム(a)を規準にして、好ましくは1〜20重量部、特に好ましくは2〜10重量部である。
【0082】
その加硫可能な組成物には、他のゴム添加剤をさらに含むことも可能である。慣用されるゴム添加剤としては、たとえば以下のものが挙げられる:本発明の成分(a)の定義からは外れているポリマー、充填剤活性化剤、オイル、特にプロセスオイルまたはエクステンダーオイル、可塑剤、加工助剤、加硫促進剤、多官能架橋剤、老化遅延剤、オゾン亀裂防止剤、酸化防止剤、離型剤、スコーチ防止剤、その他の安定剤および抗酸化剤、染料、有機および無機繊維を含めた繊維、および繊維パルプ、加硫活性化剤、ならびに追加の重合性モノマー、ダイマー、トリマーまたはオリゴマー。
【0083】
使用することが可能な充填剤活性化剤としては、特に、たとえば以下のような有機シランが挙げられる:ビニルトリメチルオキシシラン、ビニルジメトキシメチルシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリス(2−メトキシエトキシ)シラン、N−シクロヘキシル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、トリメチルエトキシシラン、イソオクチルトリメトキシシラン、イソオクチルトリエトキシシラン、ヘキサデシルトリメトキシシラン、または(オクタデシル)メチルジメトキシシラン。その他の充填剤活性化剤は、たとえば、トリエタノールアミン、または74〜10 000g/molの分子量を有するエチレングリコールのような表面活性物質である。充填剤活性化剤の量は、100重量部の水素化ニトリルゴム(a)を規準にして、通常0.5〜10重量部である。
【0084】
使用することが可能な老化防止剤は、特に、ペルオキシド加硫の際に、最低限可能な数のフリーラジカルを捕捉するようなものである。それらは、特に、オリゴマー化させた2,2,4−トリメチル−1,2−ジヒドロキノリン(TMQ)、スチレン化ジフェニルアミン(DDA)、オクチル化ジフェニルアミン(OCD)、または4−もしくは5−メチルメルカプトベンゾイミダゾールの亜鉛塩(ZMB2)である。これらと共に使用することが可能なその他の化合物は、公知のフェノール系老化防止剤たとえば立体障害フェノール、またはフェニレンジアミンをベースとする老化防止剤である。上述の老化防止剤を組み合わせて使用することもまた可能である。
【0085】
老化防止剤の通常使用される量は、100重量部の水素化ニトリルゴム(a)を規準にして、0.1〜5重量部、好ましくは0.3〜3重量部である。
【0086】
使用することが可能な離型剤としては、以下のものが挙げられる:飽和もしくはある程度不飽和の脂肪酸およびオレイン酸、またはそれらの誘導体(脂肪酸エステル、脂肪酸塩、脂肪族アルコール、または脂肪酸アミドの形態)、ならびに、金型の表面に塗布することが可能なその他の製品、たとえば、低分子量シリコーンをベースとする製品、フルオロポリマーをベースとする製品、さらにはフェノール樹脂をベースとする製品。
【0087】
混合物構成成分として使用される離型剤の量は、100重量部の水素化ニトリルゴム(a)を規準にして、0.2〜10重量部、好ましくは0.5〜5重量部である。
【0088】
本発明の組成物において、抗酸化剤を使用するのが望ましい。常用される抗酸化剤の例としては、以下のものが挙げられる:p−ジクミルジフェニルアミン(Naugard(登録商標)445)、Vulkanox(登録商標)DDA(スチレン化ジフェニルアミン)、Vulkanox(登録商標)ZMB2(メチルメルカプトベンズイミダゾールの亜鉛塩)、Vulkanox(登録商標)HS(重合化1,2−ジヒドロ−2,2,4−トリメチルキノリン)、およびIrganox(登録商標)1035(チオジエチレンビス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシ)ヒドロシンナメート、またはチオジエチレンビス(3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート)。
【0089】
その他の可能性としては、米国特許第A−4,826,721号明細書の教示に従った、ガラス製の補強系を用いた加硫物の補強、さらには芳香族ポリアミド(アラミド(登録商標))を用いた補強が挙げられる。
【0090】
好ましい実施態様においては、本発明の加硫可能な組成物には、以下のものが含まれる:
a)100重量部の少なくとも1種の水素化ニトリルゴム、
b)50〜100重量部、好ましくは60〜90重量部の、成分(b)の全量を規準にして少なくとも40重量%のシリケート(SiO
2)および少なくとも10重量%の酸化アルミニウム(Al
2O
3)を含む、10m
2/gよりも小さい比表面積(N
2表面積)を有する少なくとも1種の鉱物質充填剤、
c)5〜50重量部、好ましくは10〜30重量部の、少なくとも1種の塩基性ケイ酸ナトリウム、
d)1〜20重量部、好ましくは2〜10重量部の、少なくとも1種のペルオキシド化合物、好ましくはジクミルペルオキシド、tert−ブチルクミルペルオキシド、ビス−(tert−ブチル−ペルオキシ−イソプロピル)ベンゼン、ジ−tert−ブチルペルオキシド、2,5−ジメチルヘキサン2,5−ジヒドロペルオキシド、2,5−ジメチルヘキシ−3−イン2,5−ジヒドロペルオキシド、またはジベンゾイルペルオキシド、
e)0〜200重量部、好ましくは0〜100重量部の、少なくとも1種の慣用されるゴム添加剤。
【0091】
特に好ましい実施態様においては、本発明の加硫可能な組成物には、以下のものが含まれる:
(a)100重量部の少なくとも1種の水素化ニトリルゴム、
(b)60〜90重量部の、成分(b)の全量を規準にして50〜60重量%、好ましくは55重量%のSiO
2および35〜45重量%、好ましくは41重量%のAl
2O
3を含み、水中(水中5重量%)でDIN ISO 787/9に従って測定して6.5±0.5のpHを有し、かつISO 9277に従って測定して8.5m
2/gの(BET)表面積を有する、少なくとも1種の焼成カオリン、
(c)10〜30重量部の、水中(水中5重量%)でDIN ISO 787/9に従って測定して11.3±0.7のpHを有し、DIN ISO 787/2に従って測定して5.5±1.5の揮発性成分含量を有し、かつISO 9277に従って測定して65±15(BET)表面積を有する、少なくとも1種のアルミノケイ酸ナトリウム、
(d)2〜10重量部の、少なくとも1種のペルオキシド化合物、好ましくはジクミルペルオキシド、tert−ブチルクミルペルオキシド、ビス(tert−ブチルペルオキシイソプロピル)ベンゼン、ジ−tert−ブチルペルオキシド、2,5−ジメチルヘキサン2,5−ジヒドロペルオキシド、2,5−ジメチルヘキシ−3−イン2,5−ジヒドロペルオキシド、またはジベンゾイルペルオキシド、
(e)0〜100重量部の、少なくとも1種の慣用されるゴム添加剤。
【0092】
本発明はさらに、上述の本発明の加硫可能な組成物を製造するためのプロセスも提供し、そこでは、成分(a)、(b)、(c)および(d)すべてが混合される。これは、当業者には公知の装置および混合機器を使用して実施することができる。
【0093】
成分を相互に混合していく場合の順序は、根本的に重要という訳ではなく、その都度、利用可能な混合設備に適するように選択すればよい。
【0094】
この場合の成分(a)、(b)、(c)および(d)の混合は、必要とされる温度に合わせて、ゴム工業において汎用される、典型的な混合系で実施することができる。以下のものを使用することが可能である:i)ミキシングロールまたはインターナルミキサーの形態の、バッチ運転ができる混合設備、およびさらにはii)たとえば混合エクストルーダーのような、連続運転の混合設備。
【0095】
特にうまくいくことが判明した方法においては、成分(a)、(b)、(c)および(d)の混合を、規定された約30℃〜40℃の混合機温度で実施するが、その理由は、この場合、ゴム−加工産業で汎用される上述の混合設備を使用すると、良好な混合を達成するに十分な高い剪断力を加えることが可能となるからである。
【0096】
別な方法として、適切な設備の中で、より高い温度で混合を実施することも可能である。特定の場合においては、成分(a)、(b)および(c)を混合することから開始し、ペルオキシド化合物(d)の混ぜ込みは、その作業の最後になるまでしないということが必要となることもあり得る。たとえば、その混合設備において、ノズルの最後の部分で、その混合物を基材の上または型の中に排出する直前に、この混ぜ込みを実施することができる。
【0097】
本発明の成分を混合した後では、その加硫可能な組成物は、実際には、たとえば「スキン(skin)」として知られている形態、フィードストリップ、もしくはフィードスラブ、または、ペレットもしくは粒状物の形態で得られる。これらは次いで、型の中で圧縮されるか、または射出成形され、使用したペルオキシド化合物に適した、好適な条件下で架橋される。
【0098】
本発明はさらに、加硫物を製造するためのプロセスも提供するが、そこでは、上述のタイプの本発明の加硫可能な組成物を、加硫にかける、すなわち、エネルギーの注入、特に熱処理にかける。
【0099】
そのエネルギーは、加硫可能な組成物において選択されたペルオキシド化合物(d)のタイプにより必要とされる、熱エネルギーまたは放射線エネルギーの形で加えることが可能である。
【0100】
熱処理の手段による加硫製品の製造は、適切な型の中で、慣用される方法で、好ましくは120℃〜200℃、特に好ましくは140℃〜180℃の範囲の温度に本発明の加硫可能な組成物を曝露させることにより実施される。
【0101】
本発明の加硫可能な組成物の架橋の際には、ペルオキシド化合物(d)が、使用した水素化ニトリルゴム(a)の間および内部でフリーラジカル架橋を起こさせる。
【0102】
本発明はさらに、本発明の加硫可能な組成物を架橋、すなわち加硫させることによって得られる加硫物も提供する。
【0103】
本発明はさらに、それらの加硫物の、ガスケット、ベルト、ロールカバー、ホース、およびケーブルとしての使用も提供する。
【実施例】
【0104】
ゴム組成物の製造、加硫、および特性解析
使用した主な混合設備は、Troester製(WNU3)の直径200mmのロールを備えたミキシングロール系で、ロール温度は30℃に冷却した。この系に水素化ニトリルゴム(a)を仕込み、その他の成分全部を、(b)、次いで(c)、次いで(d)の順で添加した(以下の成分表参照)。この場合、ロールの回転速度とフリクション比を調節して、安定なスキンが得られるようにした。約5分間の混合時間がすんだら、混合を停止し、ロールから製品を、スキンの形で取り出した。次いでこのスキンを、熱盤プレスの中、180℃で15分かけて加硫させた。
【0105】
使用した成分:
Therban(登録商標)LT2007:アクリレート含有水素化ニトリルゴム、ACN含量:21±1.5重量%、ムーニー粘度ML1+4@100℃:74±10MU、残存二重結合含量:0.9%以下。この水素化ニトリルゴムは、LANXESS Deutschland GmbHから市販されている。
Therban(登録商標)LT3607:水素化ニトリルゴム、ACN含量:36±1.5重量%、ムーニー粘度ML1+4@100℃:66±7MU、残存二重結合含量:0.9%以下。この水素化ニトリルゴムは、LANXESS Deutschland GmbHから市販されている。
Polestar(登録商標)200R:焼成カオリン、Imerys製、55重量%のSiO
2、41重量%のAl
2O
3を含み、pH:6.5±0.5、(BET)表面積:8.5m
2/g。
Vulkasil(登録商標)A1:アルミノケイ酸ナトリウム、LANXESS製、DIN ISO 787/9に従って水中(水中5重量%)で測定して11.3±0.7のpH、DIN ISO 787/2に従って測定して5.5±1.5の揮発性成分含量、かつISO 9277に従って測定して65±15の(BET)表面積。
Perkadox(登録商標)14−40:ジ(tert−ブチルペルオキシイソプロピル)ベンゼン、シリカ上、40%担持、Akzo Nobel Polymer Chemicals BVから市販。
N990:カーボンブラック、Orion Engineered Carbon製。
Uniplex(登録商標)546:トリメリット酸トリオクチル(TOTM)、LANXESS Deutschland GmbHから市販。
Maglite(登録商標):酸化マグネシウム、CP Hallから市販。
Luvomaxx(登録商標)CDPA:4,4’−ビス−(1,1−ジメチルベンジル)−ジフェニルアミン、Lehmann and Vossから入手可能。
Vulkanox(登録商標)ZMB2/C5:4−および5−メチル−2−メルカプトベンゾチアゾールの亜鉛塩、LANXESS Deutschland GmbHから市販。
Silquest(登録商標)RC1:オルガノシラン、Momentive Performance Materialsから市販。
TAIC:トリアリルイソシアヌレート、70%マスターバッチ、Kettlitz Chemie GmbH & Co KGから市販。
活性酸化亜鉛:酸化亜鉛、LANXESS Deutschland GmbHから市販。
TRIM:トリメチロールプロパントリメタクリレート、70%マスターバッチ、Kettlitz Chemie GmbH & Co KGから市販。
【0106】
表の中に記載されている量の「phr」はすべて、ゴム100部あたりの部数を意味している。少なくとも1種の水素化ニトリルゴムも含めて、エラストマー成分の全部を合計したものが100phrに相当する。
【0107】
架橋密度は、Moving Die Rheometer(MDR 2000E)を用い、角度0.5度、振動数1.7Hzを使用し、180℃で、30分かけて測定した。
【0108】
引張試験のために、加硫可能な混合物を180℃で加硫させることによって、2mmのシートを作成した。前記シートからダンベルの形状の試験サンプルを打ち抜き、ASTM D2240−81に従って、引張強度および伸びを測定した。
【0109】
硬度は、ASTM D2240−81に従い、硬度計を用いて測定した。
【0110】
圧縮永久歪みは、DIN ISO 850 PartAに従って測定した。
【0111】
加硫物の老化挙動は、DIN 53508に従って測定した。
【0112】
実施例1〜4:以下の表1〜4中での本発明の実施例はすべて、それぞれの実施例番号の後に*印をつけて区別してある。
【0113】
【表1】
【0114】
本発明の組成物2
*および4
*には、水素化ニトリルゴム(成分(a))およびペルオキシド化合物(成分(d))に加えてさらに、少なくとも40重量%のシリケート(SiO
2)および少なくとも10重量%の酸化アルミニウム(Al
2O
3)を含む、10m
2/gよりも小さい比表面積(N
2表面積)を有する鉱物質充填剤(成分(b))および塩基性ケイ酸ナトリウム(成分(c))の両方が含まれている。
【0115】
【表2】
【0116】
完全に水素化されたアクリレート含有ニトリルゴムを含む、本発明の組成物2
*は、補強用フィラーとしてカーボンブラックのみを含む組成物(比較例5参照)よりは低い破断時伸びを有している。
【0117】
完全に水素化されたニトリルゴムを含む、本発明の組成物4
*は、補強用フィラーとしてカーボンブラックのみを含む組成物(比較例6参照)よりは低い破断時伸びを有している。
【0118】
【表3】
【0119】
本発明のゴム組成物2
*および4
*は、成分(b)および(c)を含まない比較例の加硫物1および3よりは低い高温圧縮永久歪みの値(175℃/168時間)を有している。本発明のゴム組成物2
*および4
*のいずれもが、45%よりも低い高温圧縮永久歪みの値を有している。
【0120】
次いで、DIN 53508に従って、175℃で7日間(168時間)かけて老化させることにより、すべての加硫物の老化挙動を調べた。
【0121】
次いで、23℃の試験温度で、表4に記載されている数値を求めた。
【0122】
【表4】
【0123】
一連の実験から分かったことは、本発明により製造された加硫物、すなわち加硫ゴム組成物2
*および4
*は、高圧圧縮永久歪みの点、および長時間の加熱空気老化試験の後の耐老化性(特に破断時伸びΔEBおよび硬度ΔH)の点において、比較例の加硫物1および3よりも顕著に優れている。