特許第6674570号(P6674570)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6674570
(24)【登録日】2020年3月10日
(45)【発行日】2020年4月1日
(54)【発明の名称】無人飛行体用給電システム
(51)【国際特許分類】
   H02J 50/20 20160101AFI20200323BHJP
   B64C 39/02 20060101ALI20200323BHJP
   B64D 27/24 20060101ALI20200323BHJP
   B64C 13/18 20060101ALI20200323BHJP
   B64F 1/36 20170101ALI20200323BHJP
   G05D 1/10 20060101ALI20200323BHJP
   B64F 3/02 20060101ALN20200323BHJP
【FI】
   H02J50/20
   B64C39/02
   B64D27/24
   B64C13/18 H
   B64F1/36
   G05D1/10
   !B64F3/02
【請求項の数】5
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2019-30327(P2019-30327)
(22)【出願日】2019年2月22日
【審査請求日】2019年2月22日
(73)【特許権者】
【識別番号】000232807
【氏名又は名称】三菱ロジスネクスト株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000475
【氏名又は名称】特許業務法人みのり特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】甲斐 絢介
【審査官】 右田 勝則
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許出願公開第2018/0141453(US,A1)
【文献】 国際公開第2018/150678(WO,A1)
【文献】 特開2017−088358(JP,A)
【文献】 特開2017−093216(JP,A)
【文献】 特表2014−500827(JP,A)
【文献】 特開2017−036102(JP,A)
【文献】 特開2018−148522(JP,A)
【文献】 特開2007−135335(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02J 50/20
B64C 13/18
B64C 39/02
B64D 27/24
B64F 1/36
G05D 1/10
B64F 3/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
無人飛行体用給電システムであって、
運搬作業を行う無人飛行体と、前記無人飛行体に給電する無人給電車と、を備え、
前記無人飛行体は、
自機の飛行を制御する飛行制御部と、
前記運搬作業に係る荷を保持する荷保持部と、
無線送電された電力を受電する受電部と、
前記受電部によって受電された電力を蓄電する蓄電池と、
給電させるため、自機位置を前記無人給電車に送信し、前記無人給電車を呼び出す呼出部と、
前記無人給電車に停止信号を送信して給電を停止させる停止信号送信部と、を有し、
前記荷を保持するとき、前記呼出部によって前記無人給電車を呼び出して前記荷を保持している間給電させ、前記荷を保持しなくなると、停止信号送信部によって前記停止信号を送信し前記無人給電車に給電を停止させ、
前記無人給電車は、
前記無人飛行体に呼び出されると、受信した前記無人飛行体の位置に基づいて前記無人飛行体のもとに向かうための走行装置と、
呼び出した前記無人飛行体に無線送電する送電部と、を有し、
前記無人飛行体に呼び出されると、前記無人飛行体に追従しながら無線送電することにより給電する
ことを特徴とする給電システム。
【請求項2】
無人飛行体用給電システムであって、
運搬作業を行う無人飛行体と、前記無人飛行体に給電する無人給電車と、を備え、
前記無人飛行体は、
自機の飛行を制御する飛行制御部と、
前記運搬作業に係る荷を保持する荷保持部と、
無線送電された電力を受電する受電部と、
前記受電部によって受電された電力を蓄電する蓄電池と、
給電させるため、自機位置を前記無人給電車に送信し、前記無人給電車を呼び出す呼出部と、
前記無人給電車が前記自機に追従可能な所定の飛行経路を記憶している記憶部と、を有し、
前記無人給電車は、
前記無人飛行体に呼び出されると、受信した前記無人飛行体の位置に基づいて前記無人飛行体のもとに向かうための走行装置と、
呼び出した前記無人飛行体に無線送電する送電部と、を有し、
前記無人給電車は、前記無人飛行体に呼び出されると、前記無人飛行体に追従しながら無線送電することにより給電し、
前記飛行制御部は、前記無人飛行体が前記無人給電車によって追従および無線送電されながら飛行するとき、前記無人飛行体を前記所定の飛行経路に沿って飛行させる
ことを特徴とする給電システム。
【請求項3】
無人飛行体用給電システムであって、
運搬作業を行う無人飛行体と、前記無人飛行体に給電する無人給電車と、を備え、
前記無人飛行体は、
自機の飛行を制御する飛行制御部と、
前記運搬作業に係る荷を保持する荷保持部と、
無線送電された電力を受電する受電部と、
前記受電部によって受電された電力を蓄電する蓄電池と、
給電させるため、自機位置を前記無人給電車に送信し、前記無人給電車を呼び出す呼出部と、を有し、
前記無人給電車は、
前記無人飛行体に呼び出されると、受信した前記無人飛行体の位置に基づいて前記無人飛行体のもとに向かうための走行装置と、
呼び出した前記無人飛行体に無線送電する送電部と、を有し、
前記無人飛行体に呼び出されると、前記無人飛行体に追従しながら無線送電することにより給電し、
前記無人飛行体は、運搬する前記荷の重量が所定重量以上のときにのみ前記無人給電車に給電させる
ことを特徴とする給電システム。
【請求項4】
前記無人飛行体は、前記無人給電車によって追従および無線送電されながら飛行するとき、前記自機の飛行高度と、給電時における所定の飛行高度とを比較する高度比較部をさらに有し、
前記飛行制御部は、前記無人飛行体が前記無人給電車によって追従および無線送電されながら飛行するとき、前記高度比較部が比較した結果に基づいて、前記無人飛行体の飛行高度が前記所定の飛行高度になるように前記無人飛行体の飛行高度を制御する
ことを特徴とする請求項に記載の給電システム。
【請求項5】
前記無人飛行体は、前記無人給電車によって追従および無線送電されながら飛行するとき、前記自機の飛行速度と、給電時における所定の飛行速度とを比較する速度比較部をさらに有し、
前記飛行制御部は、前記無人飛行体が前記無人給電車によって追従および無線送電されながら飛行するとき、前記速度比較部が比較した結果に基づいて、前記無人飛行体の飛行速度が前記所定の飛行速度になるように前記無人飛行体の飛行速度を制御する
ことを特徴とする請求項1または2に記載の給電システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
運搬作業を行う無人飛行体に給電する無人飛行体用給電システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、屋外または屋内において運搬作業を行う無人飛行体が開発されてきた(例えば、特許文献1参照)。特許文献1に記載の無人飛行体は、ホバリング可能であるとともに自律飛行可能である。この無人飛行体は、把持装置を装着し、装着した把持装置によって荷を吸着し、荷とともに移動して運搬作業を行う。この無人飛行体は、空中を飛行するので運搬車よりも移動速度が速く、運搬作業を行うのに適している。
【0003】
ところで、無人飛行体は、蓄電容量が少なく、運搬作業を長時間連続して行うことができない。そこで、例えば、特許文献2に記載のピッキングシステムには、複数の無人飛行体が運搬作業に向けて待機する出発部に無人飛行体を給電する給電手段が設けられている。複数の無人飛行体は、この出発部において運搬作業の合間に給電されることにより、運搬作業を行う際に電力不足になることを防止している。
【0004】
しかしながら、この無人飛行体は、運搬作業の合間に出発部に戻り給電するので、出発部と運搬作業場所との間での移動を繰り返すことになる。このことは、無人飛行体の稼働効率の観点から好ましくないので問題であった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2018−114822号公報
【特許文献2】特開2018−016435号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
そこで、本発明が解決しようとする課題は、無人飛行体を給電場所に移動させずに給電することができる無人飛行体用給電システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明に係る無人飛行体用給電システムは、
運搬作業を行う無人飛行体と、前記無人飛行体に給電する無人給電車と、を備え、
前記無人飛行体は、
自機の飛行を制御する飛行制御部と、
前記運搬作業に係る荷を保持する荷保持部と、
無線送電された電力を受電する受電部と、
前記受電部によって受電された電力を蓄電する蓄電池と、
給電させるため、自機位置を前記無人給電車に送信し、前記無人給電車を呼び出す呼出部と、
前記無人給電車に停止信号を送信して給電を停止させる停止信号送信部と、を有し、
前記荷を保持するとき、前記呼出部によって前記無人給電車を呼び出して前記荷を保持している間給電させ、前記荷を保持しなくなると、停止信号送信部によって前記停止信号を送信し前記無人給電車に給電を停止させ、
前記無人給電車は、
前記無人飛行体に呼び出されると、受信した前記無人飛行体の位置に基づいて前記無人飛行体のもとに向かうための走行装置と、
呼び出した前記無人飛行体に無線送電する送電部と、を有し、
前記無人飛行体に呼び出されると、前記無人飛行体に追従しながら無線送電することにより給電する、ことを特徴とする。
【0008】
上記課題を解決するために、本発明に係る無人飛行体用給電システムは、
無人飛行体用給電システムであって、
運搬作業を行う無人飛行体と、前記無人飛行体に給電する無人給電車と、を備え、
前記無人飛行体は、
自機の飛行を制御する飛行制御部と、
前記運搬作業に係る荷を保持する荷保持部と、
無線送電された電力を受電する受電部と、
前記受電部によって受電された電力を蓄電する蓄電池と、
給電させるため、自機位置を前記無人給電車に送信し、前記無人給電車を呼び出す呼出部と、
前記無人給電車が前記自機に追従可能な所定の飛行経路を記憶している記憶部と、を有し、
前記無人給電車は、
前記無人飛行体に呼び出されると、受信した前記無人飛行体の位置に基づいて前記無人飛行体のもとに向かうための走行装置と、
呼び出した前記無人飛行体に無線送電する送電部と、を有し、
前記無人給電車は、前記無人飛行体に呼び出されると、前記無人飛行体に追従しながら無線送電することにより給電し、
前記飛行制御部は、前記無人飛行体が前記無人給電車によって追従および無線送電されながら飛行するとき、前記無人飛行体を前記所定の飛行経路に沿って飛行させる、ことを特徴とする。
【0009】
上記課題を解決するために、本発明に係る無人飛行体用給電システムは、
運搬作業を行う無人飛行体と、前記無人飛行体に給電する無人給電車と、を備え、
前記無人飛行体は、
自機の飛行を制御する飛行制御部と、
前記運搬作業に係る荷を保持する荷保持部と、
無線送電された電力を受電する受電部と、
前記受電部によって受電された電力を蓄電する蓄電池と、
給電させるため、自機位置を前記無人給電車に送信し、前記無人給電車を呼び出す呼出部と、を有し、
前記無人給電車は、
前記無人飛行体に呼び出されると、受信した前記無人飛行体の位置に基づいて前記無人飛行体のもとに向かうための走行装置と、
呼び出した前記無人飛行体に無線送電する送電部と、を有し、
前記無人飛行体に呼び出されると、前記無人飛行体に追従しながら無線送電することにより給電し、
前記無人飛行体は、運搬する前記荷の重量が所定重量以上のときにのみ前記無人給電車に給電させる、ことを特徴とする。
【0010】
上記給電システムは、好ましくは、
前記無人飛行体が、前記無人給電車によって追従および無線送電されながら飛行するとき、前記自機の飛行高度と、給電時における所定の飛行高度とを比較する高度比較部をさらに有し、
前記飛行制御部は、前記無人飛行体が前記無人給電車によって追従および無線送電されながら飛行するとき、前記高度比較部が比較した結果に基づいて、前記無人飛行体の飛行高度が前記所定の飛行高度になるように前記無人飛行体の飛行高度を制御する。
【0012】
上記給電システムは、好ましくは、
前記無人飛行体が、前記無人給電車によって追従および無線送電されながら飛行するとき、前記自機の飛行速度と、給電時における所定の飛行速度とを比較する速度比較部をさらに有し、
前記飛行制御部は、前記無人飛行体が前記無人給電車によって追従および無線送電されながら飛行するとき、前記速度比較部が比較した結果に基づいて、前記無人飛行体の飛行速度が前記所定の飛行速度になるように前記無人飛行体の飛行速度を制御する。
【発明の効果】
【0014】
本発明に係る無人飛行体用給電システムは、無人飛行体を給電場所に移動させずに給電することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】一実施形態に係る給電システムを示す概略側面図である。
図2】AおよびBは無人飛行体を示し、Aは上から見た斜視図であり、Bは下から見た斜視図であり、Cは受電部を示す下面図である。
図3図1の給電システムを示すブロック図である。
図4】Aは荷を保持していないときの無人飛行体の動作を示す概略上面図であり、Bは給電時の無人飛行体および無人給電車の動作を示す概略上面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、図を参照しつつ、本発明に係る無人飛行体用給電システムの一実施形態について説明する。
【0017】
図1は、本実施形態に係る給電システムを示す概略側面図である。無人飛行体1は、屋内において荷Wを運搬する。無人給電車3は、無人飛行体1に呼び出されると、無人飛行体1に追従しながら無線送電することにより給電する。
【0018】
<無人飛行体>
図2AおよびBに示すように、無人飛行体1は、円板状の本体10と、本体10の側面から水平に延在する4本のアーム12と、4本のアーム12の先端側それぞれに設けられたモータ13と、モータ13に設けられた回転翼14と、本体10の上面に設けられた略八角柱状の上部ユニット15と、本体10の下面に設けられた2つのスキッド16と、2つのスキッド16の間に設けられた荷保持部17と、荷保持部17の下面に設けられた受電部18と、を有する。
【0019】
上部ユニット15には、無人飛行体1の位置を検出するためのカメラ15aおよび照明部15bが設けられている。天井C全体には、無人飛行体1の位置を認識するためのマーカ(図示略)が複数設けられている。照明部15bが無人飛行体1の上方を照射し、カメラ15aが照明部15bによって照らされたマーカを含む天井Cを撮像して上方画像を生成する。
【0020】
荷保持部17は、運搬作業に係る荷Wを保持する。荷保持部17は、荷Wが載置される載置面を有するが単なる一例であって、荷Wを保持することができれば、その構成を特に限定されない。
【0021】
図2Cに示すように、受電部18は、複数のレクテナ18aによって構成されている。レクテナ18aは、無人給電車3から送信されたマイクロ波を受信して直流電流に変換する。
【0022】
図3に示すように、無人飛行体1は、蓄電池20と、制御装置21と、高度センサ(図示略)と、速度センサ(図示略)と、通信手段(図示略)と、をさらに有する。
【0023】
蓄電池20は、受電部18に電気的に接続されている。蓄電池20は、レクテナ18aによって変換された直流電流を蓄電するとともに、モータ13に電力を供給する。蓄電池20は、鉛蓄電池またはアルカリ蓄電池でもよい。
【0024】
制御装置21は、飛行制御部210と、記憶部211と、自機位置検出部212と、呼出部214と、高度比較部215と、速度比較部216と、停止信号送信部217と、を有する。
【0025】
飛行制御部210は、各モータ13の回転数を制御することにより、無人飛行体1のホバリングを可能にするとともに、無人飛行体1の飛行方向、飛行高度および飛行速度を制御する。
【0026】
記憶部211は、マーカを含む天井C全体の画像(以下、単に「天井画像」という)を位置情報とともに予め記憶している。
【0027】
自機位置検出部212は、カメラ15aが撮像した上方画像と、天井画像とを照合し、天井画像中のいずれの位置に上方画像が存在するのかを探索するテンプレートマッチングを行う。自機位置検出部212は、テンプレートマッチングの結果に基づいて無人飛行体1の水平方向の位置を検出する。さらに、自機位置検出部212は、高度センサによって無人飛行体1の高度を検出する。
【0028】
呼出部214は、給電させるため、無人飛行体1の位置を無人給電車3に送信し、無人給電車3を呼び出す。本実施形態では、無人飛行体1は、荷Wを保持するときのみ無人給電車3に給電させる。
【0029】
その理由としては、無人飛行体1は、通常、荷Wを保持していないときには、無人給電車3よりも飛行速度が速いため、無人給電車3に追従させながら給電させることが難しい。しかしながら、無人給電車3を無人飛行体1に追従させるために無人飛行体1の飛行速度を制限すると、無人飛行体1の運搬効率を下げることになる。そこで、無人飛行体1は、荷Wを保持し荷Wの重量により飛行速度が遅くなったときのみ無人給電車3に給電させることにより、無人飛行体1の飛行速度の制限を比較的抑えつつ無人給電車3に追従させることができる。これにより、無人飛行体1は、運搬作業の効率を維持しつつ無人給電車3に給電させることができる。
【0030】
したがって、呼出部214は、無人飛行体1が荷Wを保持するときのみ無人給電車3を呼び出す。なお、呼び出された無人給電車3が無人飛行体1のもとに到着するまで時間を要することから、呼出部214は、無人飛行体1が荷Wを保持する少し前に無人給電車3を呼び出してもよい。
【0031】
記憶部211は、さらに給電時における無人飛行体1の所定の飛行高度および所定の飛行速度を記憶している。マイクロ波による給電効率は、送電側と受電側との距離に依存する。そこで、無人飛行体1と当該無人飛行体1に追従する無人給電車3との距離を一定範囲内に保ちマイクロ波による給電効率を高く保持することができるように、給電時における無人飛行体1の飛行高度および飛行速度が予め定められている。したがって、所定の飛行高度は、後述する送電部38よりもやや高い高度に定められている。また、所定の飛行速度は、無人給電車3の走行速度と同じか、やや遅く定められている。
【0032】
高度比較部215は、高度センサによって検出された無人飛行体1の高度と、所定の飛行高度とを比較し、その比較結果を飛行制御部210に出力する。
【0033】
速度比較部216は、速度センサによって検出された無人飛行体1の飛行速度と所定の飛行速度とを比較し、その比較結果を飛行制御部210に出力する。
【0034】
飛行制御部210は、高度比較部215および速度比較部216による比較結果に基づいて、給電時における無人飛行体1の飛行高度および飛行速度を所定の飛行高度および所定の飛行速度になるよう制御する。
【0035】
記憶部211は、さらに運搬情報を記憶する。運搬情報には、荷取位置および荷置位置が含まれている。また、記憶部211は、さらに無人飛行体1の給電時の所定の飛行経路(以下、「給電用飛行経路」という)を記憶している。給電用飛行経路は、無人給電車3が無人飛行体1を追従することができるよう倉庫内のレイアウトと無人給電車3の走行特性とに基づいて、予め定められている。
【0036】
飛行制御部210は、給電時における無人飛行体1が給電用飛行経路を飛行するよう無人飛行体1の飛行方向を制御する。
【0037】
停止信号送信部217は、無人飛行体1が荷Wを保持しなくなると、無人給電車3に停止信号を送信して給電を停止させる。無人飛行体1は、給電が停止されると、給電用飛行経路から通常の飛行経路に移行する。
【0038】
<無人給電車>
図1および図3に示すように、無人給電車3は、本体30と、自車位置検出部32と、蓄電池34と、走行装置36と、飛行体検出部37と、送電部38と、通信手段(図示略)と、を備える。
【0039】
自車位置検出部32は、公知のレーザ誘導方式によって無人給電車3の位置を検出するが単なる一例であって、無人給電車3の位置を検出する方式は、特に限定されない。自車位置検出部32は、レーザスキャナ321および解析部(図示略)を有する。レーザスキャナ321は、本体30の上部に設けられている。レーザスキャナ321は、水平方向に360度回転しながらレーザを送信し、屋内の所定箇所に複数配置された反射板によって反射されたレーザを受信する。解析部は、レーザスキャナ321の送受信の方向を解析することにより複数の反射板と無人給電車3との位置関係を特定し、この位置関係に基づいて無人給電車3の位置を検出する。
【0040】
蓄電池34は、送電部38に電力を供給する。蓄電池34は、鉛蓄電池またはアルカリ蓄電池でもよい。
【0041】
走行装置36は、動力部(図示略)と、車輪360と、操舵部361と、を有する。無人給電車3は、動力部の動力によって車輪360を回転させて走行する。操舵部361は、無人給電車3の位置および無人飛行体1の位置に基づいて、無人給電車3が無人飛行体1を追従することができるように車輪360を操舵する。動力部は、例えば、蓄電池34によって担われてもよいし、別の蓄電池で構成されていてもよい。無人給電車3は、呼出部214によって呼び出されると、走行装置36によって受信した無人飛行体1のもとに向かい無人飛行体1に追従する。
【0042】
飛行体検出部37は、上カメラ371および解析部(図示略)を有する。上カメラ371は、本体30の上部に設けられている。上カメラ371は、無人給電車3の周囲を撮像し、周囲画像を生成する。解析部は、周囲画像に基づいて、無人飛行体1およびその位置を検出する。
【0043】
送電部38は、無人給電車3の上部に設けられている。送電部38は、無人給電車3が無人飛行体1のもとに到着すると、飛行体検出部37によって検出された無人飛行体1の位置にマイクロ波を送信することにより、無人飛行体1に無線送電する。送電部38は、フェーズドアレイアンテナによって構成されていてもよいが、単なる一例であってこれに限定されない。
【0044】
無人給電車3は、停止信号送信部217から停止信号を受信すると、無人飛行体1に対する追従および無線送電を停止する。
【0045】
<給電方法>
次に、図4を参照して、倉庫内における給電システムの給電方法について具体的に説明する。図4AおよびBは、倉庫内における無人飛行体1および無人給電車3の動作の一例を示す概略上面図である。倉庫には、荷載置部を有する複数の棚5が、それぞれ設置されている。
【0046】
図4Aの無人飛行体1は、荷Wを保持しておらず、現在位置から荷取位置P1に向かって移動するところなので、給電用飛行経路D2ではなく、最短距離である通常の飛行経路D1に沿って移動する。このように、無人飛行体1は、棚5の上方を飛行して荷取位置P1に向かうので、棚5を迂回するよりも早く移動することができる。
【0047】
図4Bに示すとおり、無人飛行体1は、荷取位置P1に到着すると、荷Wを受け取る。このとき、無人飛行体1は、給電させるため、呼出部214によって自機位置を無人給電車3に送信し無人給電車3を呼び出す。
【0048】
無人給電車3は、無人飛行体1に呼び出されると、走行装置36によって無人飛行体1のもとに向かう。無人給電車3は、無人飛行体1のもとに到着し、飛行体検出部37によって無人飛行体1を検出すると、送電部38によって無人飛行体1に無線送電する。無人給電車3は、そのまま無人飛行体1に追従しながら無線送電する。
【0049】
無人飛行体1は、荷Wを保持し、かつ、飛行制御部210によって飛行高度および飛行速度を所定の飛行高度および飛行速度に制御しつつ、給電用飛行経路D2に沿って棚5を迂回しながら荷取位置P1から荷置位置P2まで飛行する。これにより、無人給電車3が、無人飛行体1から離されることなく追従することができる。無人給電車3は、好ましくは、無人飛行体1の真下に位置するよう無人飛行体1に追従する。この位置関係によれば、受電部18と送電部38が正対状態となり送信されたマイクロ波が効率よく受電部18に吸収されるので、給電効率を高めることができる。
【0050】
無人飛行体1は、荷置位置P2に到着し荷置位置P2に荷Wを置くと、停止信号送信部217によって停止信号を無人給電車3に送信し、無人給電車3による給電を停止させる。次いで、無人飛行体1は、次の運搬作業のために通常の飛行経路によって次の荷取位置に向かう。
【0051】
このように、給電システムは、無人飛行体1が無人給電車3を呼び出し運搬作業中に給電させるので、給電のために無人飛行体1を給電場所に移動させることがない。しかも、無人飛行体1は、荷Wを保持しているときにのみ無人給電車3に給電させるので、給電中の飛行速度の制限を比較的抑えることができる。このため、無人飛行体1の運搬作業の効率が高く保持される。
【0052】
以上、本発明に係る給電システムの一実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではない。
【0053】
(1)無人飛行体1が自機位置を検出する方法は、特に限定されない。例えば、SLAM(Simultaneous Localization And Mapping)技術によって、無人飛行体1の位置を検出してもよい。
【0054】
(2)自機位置検出部212がカメラ15aの撮像した上方画像からマーカを認識できるのであれば、照明部15bは、無人飛行体1に設けられていなくてもよい。
【0055】
(3)受電部18は、無人給電車3によって送信されたマイクロ波を効率的に受電できるのであれば、本体10に設けられてもよく、設けられる位置を特に限定されない。
【0056】
(4)飛行体検出部37は、無人飛行体1を検出するためのレーダをカメラの代わりに有していてもよいし、またはカメラとともに有していてもよい。
【0057】
(5)無人給電車3は、無人飛行体1から受信した無人飛行体1の位置に基づいてマイクロ波を送信できるのであれば、飛行体検出部37を有していなくてもよい。この場合、呼出部214は、無人給電車3を呼び出した後も継続して無人給電車3に無人飛行体1の位置を送信する。送電部38は、受信した無人飛行体1の位置に基づいて無人飛行体1に無線送電し、走行装置36は、受信した無人飛行体1の位置に基づいて無人飛行体1に追従する。
【0058】
(6)無人飛行体1は、運搬する荷Wの重量が所定重量以上のときにのみ無人給電車3に給電させてもよい。無人飛行体1は、軽量の荷Wを運搬するときには、飛行速度を維持することができ、かつ、電力も比較的消費しにくい。このため、無人飛行体1は、軽量の荷Wを運搬するときには、通常の飛行状態で飛行した方が運搬効率を高く維持することができるからである。この場合、無人飛行体1は、荷Wの重量を運搬情報から認識するか荷Wの重量を量り荷Wの重量を認識する重量認識部をさらに有し、運搬する荷Wの重量が所定の重量以上のときにのみ、呼出部214によって無人給電車3を呼び出す。
【符号の説明】
【0059】
1 無人飛行体
10 本体
12 アーム
13 モータ
14 回転翼
15 上部ユニット
16 スキッド
17 荷保持部
18 受電部
18a レクテナ
20 蓄電池
21 制御装置
210 飛行制御部
211 記憶部
212 自機位置検出部
214 呼出部
215 高度比較部
216 速度比較部
217 停止信号送信部
3 無人給電車
30 本体
32 自車位置検出部
321 レーザスキャナ
34 蓄電池
36 走行装置
360 車輪
361 操舵部
37 飛行体検出部
371 上カメラ
38 送電部
C 天井
W 荷
【要約】
【課題】無人飛行体を給電場所に移動させずに給電することができる給電システムを提供する。
【解決手段】無人飛行体用給電システムは、運搬作業を行う無人飛行体1と、無人飛行体1に給電する無人給電車3と、を備える。無人飛行体1は、飛行制御部と、運搬作業に係る荷を保持する荷保持部と、無線送電された電力を受電する受電部18と、受電部18によって受電された電力を蓄電する蓄電池と、給電させるため、自機位置を無人給電車3に送信し、無人給電車3を呼び出す呼出部と、を有する。無人給電車3は、無人飛行体1に無線送電する送電部38、を有する。無人給電車3は、無人飛行体1に呼び出されると、受信した無人飛行体1の位置に基づいて無人飛行体1のもとに向かい、無人飛行体1に無線送電する。
【選択図】図1
図1
図2
図3
図4