(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
分子接着剤(M)を含む分子接着剤層、単層構造を有する第1の熱可塑性樹脂層、及び単層構造又は多層構造を有する第2の熱可塑性樹脂層をこの順で有し、前記分子接着剤層と第2の熱可塑性樹脂層が、それぞれ使用時における最外層を構成する接合用積層体であって、
前記分子接着剤(M)が、アミノ基、アジド基、メルカプト基、イソシアネート基、ウレイド基及びエポキシ基からなる群から選ばれる少なくとも1種の反応性基(Zα)と、シラノール基、及び加水分解反応によりシラノール基を生成させる基からなる群から選ばれる少なくとも1種の反応性基(Zβ)とを有する化合物であり、
前記第1の熱可塑性樹脂層は、少なくとも、分子接着剤層と接する側の表面に、前記分子接着剤(M)の反応性基(Zα)と化学結合を形成し得る反応性部分構造(Zγ)を有する熱可塑性樹脂(P1)を含むものであり、
前記第1の熱可塑性樹脂層のヒートシール可能温度がTh1、前記第2の熱可塑性樹脂層のヒートシール可能温度がTh2であるときに、Th1>Th2である接合用積層体。
前記分子接着剤(M)が有する反応性基(Zα)が、アミノ基、メルカプト基、イソシアネート基、ウレイド基及びエポキシ基からなる群から選ばれる少なくとも1種であり、熱可塑性樹脂(P1)が有する反応性部分構造(Zγ)が、ヒドロキシ基、カルボキシ基、アルデヒド基、及びアミノ基からなる群から選ばれる少なくとも1種である、又は、
前記分子接着剤(M)が有する反応性基(Zα)が、アジド基であり、熱可塑性樹脂(P1)が有する反応性部分構造(Zγ)が、炭素−炭素単結合、炭素−炭素二重結合、及び炭素−水素単結合からなる群から選ばれる少なくとも1種である、請求項1に記載の接合用積層体。
前記第2の熱可塑性樹脂層は、少なくとも分子接着剤層とは逆側の表面に、オレフィン系樹脂、シクロオレフィン系樹脂、アクリル系樹脂、オレフィン−酢酸ビニル系樹脂、オレフィン系アイオノマー樹脂、及びポリエステル樹脂からなる群から選ばれる少なくとも1種を含むものである、請求項1〜5のいずれかに記載の接合用積層体。
被着体(I)/接合用積層体(A)と接合用積層体(B)由来の層/被着体(II)、の層構造を有する接合構造体の製造方法であって、請求項7〜9のいずれかに記載の方法を使用して、被着体(I)と被着体(II)を接合することを特徴とする、接合構造体の製造方法。
被着体(I)と被着体(II)が、それぞれ独立して、金属、無機物、及び熱硬化性樹脂からなる群から選ばれる少なくとも1種を、少なくとも被接着面に含むものである、請求項10に記載の接合構造体の製造方法。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明を、1)接合用積層体、2)2つの被着体を接合する方法、及び、3)接合構造体の製造方法、に項分けして詳細に説明する。
【0022】
1)接合用積層体
本発明の接合用積層体は、分子接着剤(M)を含む分子接着剤層、単層構造を有する第1の熱可塑性樹脂層、及び単層構造又は多層構造を有する第2の熱可塑性樹脂層をこの順で有し、前記分子接着剤層と第2の熱可塑性樹脂層が、それぞれ使用時における最外層を構成する接合用積層体であって、前記分子接着剤(M)が、アミノ基、アジド基、メルカプト基、イソシアネート基、ウレイド基及びエポキシ基からなる群から選ばれる少なくとも1種の反応性基(Zα)と、シラノール基、及び加水分解反応によりシラノール基を生成させる基からなる群から選ばれる少なくとも1種の反応性基(Zβ)とを有する化合物であり、前記第1の熱可塑性樹脂層は、少なくとも、分子接着剤層と接する側の表面に、前記分子接着剤(M)の反応性基(Zα)と化学結合を形成し得る反応性部分構造(Zγ)を有する熱可塑性樹脂(P
1)を含むものであり、前記第1の熱可塑性樹脂層のヒートシール可能温度がT
h1、前記第2の熱可塑性樹脂層のヒートシール可能温度がT
h2であるときに、T
h1>T
h2である接合用積層体である。
【0023】
〔分子接着剤層〕
分子接着剤層は、第1の熱可塑性樹脂層上に直接隣接する層である。
分子接着剤層は、接合用積層体の使用時において、最外層の一方を構成する層である。
分子接着剤層は、被着体との接着に用いられる。
【0024】
分子接着剤層は、分子接着剤(M)を用いて形成された層であって、分子接着剤(M)を含むものである。すなわち、接合用積層体中の分子接着剤層は、分子接着剤(M)(反応性基が残存しているもの)と分子接着剤(M)の反応生成物(反応性基の構造が変化したもの)の少なくとも一方を含むものである。
【0025】
分子接着剤(M)は、アミノ基、アジド基、メルカプト基、イソシアネート基、ウレイド基及びエポキシ基からなる群から選ばれる少なくとも1種の反応性基(Zα)と、シラノール基、及び加水分解反応によりシラノール基を生成させる基からなる群から選ばれる少なくとも1種の反応性基(Zβ)とを有する化合物である。なお、反応性基(Zα)の「アミノ基」には、無置換アミノ基、モノ置換アミノ基、ジ置換アミノ基、1級アンモニウム基、2級アンモニウム基、3級アンモニウム基、4級アンモニウム基が含まれるものとする。
【0026】
分子接着剤(M)中の反応性基(Zα)は、第1の熱可塑性樹脂層中の熱可塑性樹脂(P
1)の反応性部分構造(Zγ)と化学結合を形成し得るものである。
接合用積層体においては、この化学結合により、分子接着剤(M)は第1の熱可塑性樹脂層の表面に化学的に固定されると考えられる。このときの化学結合としては、共有結合、水素結合、イオン結合、分子間力等が挙げられるが、共有結合が好ましい。
【0027】
分子接着剤(M)中の反応性基(Zβ)は、接合用積層体を被着体と接着する際に、主に、被着体との間で化学結合を形成する際に利用される。したがって、接合用積層体は、これらの基との反応性が高い基を表面に有する被着体に対して好ましく用いられる。
【0028】
加水分解反応によりシラノール基を生成させる基としては、Si−X
1で表される部分構造を有する基が挙げられる。X
1としては、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、イソプロポキシ基等の炭素数1〜10のアルコキシ基;フッ素原子、塩素原子、臭素原子等のハロゲン原子;等の加水分解性基が挙げられる。
【0029】
分子接着剤(M)としては、下記式(1)で示される化合物が挙げられる。
【0031】
(R
1は、反応性基(Zα)、又は、反応性基(Zα)を1以上有する1価の基(ただし、反応性基(Zα)そのものを除く。)を表し、Gは2価の有機基を表し、Xは、ヒドロキシ基、炭素数1〜10のアルコキシ基又はハロゲン原子を表し、Yは、炭素数1〜20の炭化水素基を表す。aは、1〜3の整数を表す。)
【0032】
R
1の反応性基(Zα)を1以上有する1価の基としては、例えば、下記式(2)〜(4)で表される基が挙げられる。
【0034】
式(2)〜(4)中、*は、Gとの結合手を表す。
R
2は、炭素数1〜10の2価の炭化水素基、好ましくは炭素数2〜6の2価の炭化水素基を表す。R
2の2価の炭化水素基としては、エチレン基、トリメチレン基、プロピレン基等のアルキレン基;o−フェニレン基、m−フェニレン基、p−フェニレン基等のアリーレン基;が挙げられる。
【0035】
R
3、R
4は、それぞれ独立に、水素原子、又は炭素数1〜20の炭化水素基を表し、水素原子、又は炭素数1〜10の炭化水素基が好ましい。
R
3、R
4の炭化水素基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、イソブチル基、t−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基、n−ノニル基、n−デシル基等のアルキル基;ビニル基、1−プロペニル基、2−プロペニル基、イソプロペニル基、3−ブテニル基、4−ペンテニル基、5−ヘキセニル基等のアルケニル基;エチニル基、プロパルギル基、ブチニル基等のアルキニル基;フェニル基、1−ナフチル基、2−ナフチル基等のアリール基;等が挙げられる。
【0036】
Zは、単結合、又は、−N(R
7)−、で表される2価の基を表す。R
7は、水素原子、又は炭素数1〜20の炭化水素基を表す。R
7の炭化水素基としては、R
3、R
4の炭化水素基として示したものと同様のものが挙げられる。
R
5、R
6は、それぞれ独立に、反応性基(Zα)又は前記式(2)で示される基(この場合、式(2)中、*は、芳香環を構成する炭素原子との結合手を表す。)を表す。
【0037】
Gの2価の有機基としては、置換基を有する、又は無置換の炭素数1〜20のアルキレン基、置換基を有する、又は無置換の炭素数2〜20のアルケニレン基、置換基を有する、又は無置換の炭素数2〜20のアルキニレン基、置換基を有する、又は無置換の炭素数6〜20のアリーレン基;等が挙げられる。
【0038】
Gの炭素数1〜20のアルキレン基としては、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、トリメチレン基、テトラメチレン基、ペンタメチレン基、ヘキサメチレン基等が挙げられる。
Gの炭素数2〜20のアルケニレン基としては、ビニレン基、プロペニレン基、ブテニレン基、ペンテニレン基等が挙げられる。
Gの炭素数2〜20のアルキニレン基としては、エチニレン基、プロピニレン基等が挙げられる。
Gの炭素数6〜20のアリーレン基としては、o−フェニレン基、m−フェニレン基、p−フェニレン基、2,6−ナフチレン基、1,5−ナフチレン基等が挙げられる。
【0039】
前記アルキレン基、アルケニレン基、及びアルキニレン基の置換基としては、フッ素原子、塩素原子等のハロゲン原子;メトキシ基、エトキシ基等のアルコキシ基;メチルチオ基、エチルチオ基等のアルキルチオ基;メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基等のアルコキシカルボニル基;等が挙げられる。
【0040】
前記アリーレン基の置換基としては、シアノ基;ニトロ基;フッ素原子、塩素原子、臭素原子等のハロゲン原子;メチル基、エチル基等のアルキル基;メトキシ基、エトキシ基等のアルコキシ基;メチルチオ基、エチルチオ基等のアルキルチオ基;等が挙げられる。
これらの置換基は、アルキレン基、アルケニレン基、アルキニレン基及びアリーレン基等の基において任意の位置に結合していてよい。また、同一若しくは相異なって複数個の置換基がアルキレン基等の基に結合していてもよい。
【0041】
Xの炭素数1〜10のアルコキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、イソプロポキシ基等が挙げられる。
Xのハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子等が挙げられる。
Yの炭素数1〜20の炭化水素基としては、R
3、R
4の炭化水素基として示したものと同様のものが挙げられる。
【0042】
分子接着剤(M)の具体例としては、次のものが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−アミノプロピルジメトキシメチルシラン、3−アミノプロピルジエトキシメチルシラン、[3−(N,N−ジメチルアミノ)プロピル]トリメトキシシラン、[3−(フェニルアミノ)プロピル]トリメトキシシラン、トリメチル[3−(トリエトキシシリル)プロピル]アンモニウムクロリド、トリメチル[3−(トリメトキシシリル)プロピル]アンモニウムクロリド等のR
1がアミノ基である分子接着剤;
【0043】
(11−アジドウンデシル)トリメトキシシラン、(11−アジドウンデシル)トリエトキシシラン等のR
1がアジド基である分子接着剤;
【0044】
3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリエトキシシラン、3−メルカプトプロピルジメトキシメチルシラン等のR
1がメルカプト基である分子接着剤;
【0045】
3−(トリメトキシシリル)プロピルイソシアネート、3−(トリエトキシシリル)プロピルイソシアネート等のR
1がイソシアネート基である分子接着剤;
【0046】
3−ウレイドプロピルトリメトキシシラン、3−ウレイドプロピルトリエトキシシラン等のR
1がウレイド基である分子接着剤;
【0047】
3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン等のR
1がエポキシ基である分子接着剤;
【0048】
3−(2−アミノエチルアミノ)プロピルトリメトキシシラン、3−(2−アミノエチルアミノ)プロピルトリエトキシシラン、3−(2−アミノエチルアミノ)プロピルジメトキシメチルシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、下記式(5)〜(13)で示される化合物等のR
1が反応性基(Zα)を1以上有する1価の基である分子接着剤;
【0050】
分子接着剤(M)は、1種単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
これらの化合物の中で、式(1)で示される化合物としては、R
1が式(4)で示される基である化合物が好ましく、式(5)〜(13)で示される化合物がより好ましく、式(5)〜(10)で示される化合物がさらに好ましい。
これらの化合物は、R
1にトリアジン環を有する。トリアジン環を有する分子接着剤(M)は、第1の熱可塑性樹脂層上により効率よく固定される傾向がある。
【0051】
分子接着剤(M)としては、シランカップリング剤として公知の化合物を用いることができる。また、R
1が式(4)で示される基である化合物は、WO2012/046651号、WO2012/043631号、WO2013/186941号等に記載の方法に従って合成することができる。
【0052】
分子接着剤層は、分子接着剤(M)以外の成分を含有するものであってもよい。分子接着剤(M)以外の成分としては、触媒等が挙げられる。
触媒は、反応性基(Zα)の種類に応じて適宜選択して用いることができる。
【0053】
分子接着剤層中の分子接着剤(M)の含有量は、接着に関与しない成分が含まれると、分子接着剤層の接着力が低下することから、分子接着剤層全体を基準として、50質量%以上であることが好ましく、70質量%以上100質量%以下であることがより好ましく、90質量%以上100質量%以下であることがさらに好ましく、100質量%が特に好ましい。
【0054】
分子接着剤層の厚さは、200nm以下が好ましく、150nm以下がより好ましく、100nm以下がさらに好ましく、50nm以下が特に好ましい。また分子接着剤層の厚さは、0.5nm以上が好ましく、1nm以上がより好ましい。
【0055】
〔第1の熱可塑性樹脂層〕
第1の熱可塑性樹脂層は、分子接着剤層に隣接する層であって、分子接着剤(M)を固定する役割を担う層である。
第1の熱可塑性樹脂層は、単層構造を有する。
第1の熱可塑性樹脂層は、組成が均一であってもよいし、組成が均一でなくてもよい。例えば、第1の熱可塑性樹脂層は、層の表面付近に特定の成分を多く含有し、層の表面付近の組成と層の内部の組成が異なっていてもよい。
【0056】
第1の熱可塑性樹脂層は、少なくとも、分子接着剤層と接する側の表面に、前記分子接着剤(M)の反応性基(Zα)と化学結合を形成し得る反応性部分構造(Zγ)を有する熱可塑性樹脂(P
1)を含むものである。すなわち、接合用積層体中の第1の熱可塑性樹脂層は、熱可塑性樹脂(P
1)(反応性部分構造(Zγ)が残存しているもの)と熱可塑性樹脂(P
1)の反応生成物(反応性部分構造(Zγ)が変化したもの)の少なくとも一方を含むものである。
なお、「分子接着剤層と接する側の表面に熱可塑性樹脂(P
1)を含む」とは、分子接着剤層を形成する前の段階において、第1の熱可塑性樹脂層の表面に熱可塑性樹脂(P
1)が露出している状態を表すものである。
分子接着剤層を形成する前の段階において、第1の熱可塑性樹脂層の表面に熱可塑性樹脂(P
1)が露出していることにより、熱可塑性樹脂(P
1)の反応性部分構造(Zγ)は、分子接着剤(M)の反応性基(Zα)と効率よく反応することができる。
【0057】
熱可塑性樹脂(P
1)としては、オレフィン系樹脂、シクロオレフィン系樹脂、アクリル系樹脂、オレフィン−酢酸ビニル系樹脂、オレフィン系アイオノマー樹脂、ポリエステル樹脂等が挙げられる。
【0058】
オレフィン系樹脂としては、低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、エチレン−プロピレン共重合体、ポリプロピレン、プロピレン−α−オレフィン共重合体、ポリ(4−メチル−1−ペンテン)等が挙げられる。
【0059】
シクロオレフィン系樹脂としては、シクロオレフィンの付加重合体、シクロオレフィンとα−オレフィンとの共重合体、ノルボルネン系単量体の開環重合体等が挙げられる。
シクロオレフィンとしては、シクロペンテン、シクロオクテン、ノルボルネン系単量体等が挙げられる。
α−オレフィンとしては、エチレン、プロピレン等が挙げられる。
【0060】
アクリル系樹脂としては、(メタ)アクリル系単量体の単独重合体、(メタ)アクリル系単量体の共重合体、(メタ)アクリル系単量体と、これと共重合可能な単量体との共重合体が挙げられる。
(メタ)アクリル系単量体としては、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−プロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル酸エステル;(メタ)アクリル酸;等が挙げられる。
(メタ)アクリル系単量体と共重合可能な単量体としては、エチレン;スチレン、α−メチルスチレン、クロロスチレン等の芳香族ビニル単量体;アクリロニトリル、メタクリロニトリル等のシアノ基含有エチレン性不飽和単量体;(メタ)アクリルアミド、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、N−ブトキシメチル(メタ)アクリルアミド等の(メタ)アクリルアミド系単量体;等が挙げられる。
本明細書において、「(メタ)アクリル酸」は、「アクリル酸又はメタクリル酸」を意味する。また「(メタ)アクリル酸エステル」、「(メタ)アクリル」、「(メタ)アクリレート」等の同様の記載についても同じである。
【0061】
オレフィン−酢酸ビニル系樹脂としては、エチレン−酢酸ビニル共重合体等が挙げられる。
【0062】
オレフィン系アイオノマー樹脂としては、オレフィン系単量体由来の繰り返し単位とカルボキシ基含有単量体由来の繰り返し単位とを有する共重合体と、この共重合体鎖間を結びつけるイオン架橋を有する樹脂が挙げられる。
オレフィン系単量体としては、エチレン、プロピレン等が挙げられる。
カルボキシ基含有単量体としては、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、無水マレイン酸、マレイン酸モノメチルエステル、マレイン酸モノエチルエステル等が挙げられる。
【0063】
オレフィン系アイオノマー樹脂のイオン架橋は、カルボキシ基含有単量体のカルボキシ基が脱プロトン化して生成したカルボキシレートイオンと、金属イオンで構成される。
金属イオンとしては、ナトリウム(I)イオン、カリウム(I)イオン、リチウム(I)イオン、カルシウム(II)イオン、マグネシウム(II)イオン、亜鉛(II)イオン、銅(I)イオン、銅(II)イオン、コバルト(II)イオン、コバルト(III)イオン、ニッケル(II)イオン、マンガン(II)イオン、アルミニウム(III)イオン等が挙げられる。
【0064】
ポリエステル樹脂としては、多価カルボン酸と多価アルコールの重縮合反応により得られるものが挙げられる。
多価カルボン酸としては、テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、コハク酸、アジピン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、デカン酸、1、4−シクロヘキサンジカルボン酸、1、4−ナフタレンジカルボン酸、2、6−ナフタレンジカルボン酸、1、8−ナフタレンジカルボン酸、トリメリット酸等が挙げられる。
多価アルコールとしては、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、1,5−ペンタンジオール、ネオペンチルグリコール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、1、2−ヘキサンジオール、1、6−ヘキサンジオール、1、9−ノナンジオール、1、4−シクロヘキサンジメタノール、ジエチレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール、トリメチロールプロパン、グリセリン等が挙げられる。
【0065】
ポリエステル樹脂の中では、非晶性ポリエステル樹脂がより好ましい。非晶性ポリエステル樹脂とは、DSC(示差走査熱量測定)により、明確な、結晶化又は結晶融解ピークを示さないポリエステル樹脂をいう。
非晶性ポリエステル樹脂としては、グリコール変性ポリエチレンテレフタレート(PETG)、グリコール変性ポリ(1,4−シクロヘキサンジメチレンテレフタレート)(PCTG)、酸変性ポリ(1,4−シクロヘキサンジメチレンテレフタレート)(PCTA)等が挙げられる。
【0066】
熱可塑性樹脂(P
1)は、1種単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0067】
熱可塑性樹脂(P
1)は、分子接着剤(M)の反応性基(Zα)と化学結合を形成し得る反応性部分構造(Zγ)を有するものである。
熱可塑性樹脂(P
1)が反応性部分構造(Zγ)を有することで、分子接着剤(M)を効率よく固定することができる。
【0068】
熱可塑性樹脂(P
1)が有する反応性部分構造(Zγ)としては、ヒドロキシ基、カルボキシ基、アルデヒド基、アミノ基、炭素−炭素単結合、炭素−炭素二重結合、炭素−水素単結合等が挙げられる。後述するように、これらは、分子接着剤(M)中の反応性基(Zα)に合わせて適宜選択することができる。
【0069】
熱可塑性樹脂(P
1)が、ヒドロキシ基、カルボキシ基、アルデヒド基、アミノ基等の官能基を反応性部分構造(Zγ)として有する熱可塑性樹脂(P
1’)である場合、熱可塑性樹脂(P
1’)中のこれらの反応性部分構造(Zγ’)は、公知の方法により形成することができる。
【0070】
例えば、重合反応を行う際に、ヒドロキシ基、カルボキシ基、アルデヒド基、アミノ基等の官能基を有する単量体を用いることにより、反応性部分構造(Zγ’)を有する熱可塑性樹脂(P
1’)を製造することができる。また、これらの単量体を使用せずに重合反応を行って得られた重合体に、無水マレイン酸変性等の変性処理を施したりすることにより、反応性部分構造(Zγ’)を有する熱可塑性樹脂(P
1’)を製造することができる。
これらの方法により得られた熱可塑性樹脂(P
1’)を成形材料として用いることで、第1の熱可塑性樹脂層を効率よく形成することができる。
【0071】
また、熱可塑性樹脂(P
1’)を含まない熱可塑性樹脂層を形成した後、その熱可塑性樹脂層に対して表面処理を施すことにより、その層の表面にヒドロキシ基やカルボキシ基を生じさせてもよい。すなわち、この表面処理を施すことにより、この熱可塑性樹脂層は、第1の熱可塑性樹脂層に必要な要件を充足することになる。
表面処理としては、ヒドロキシ基やカルボキシ基を生じさせるものであれば特に限定されない。表面処理としては、コロナ処理、プラズマ処理、紫外線照射処理、電子線照射処理、オゾン処理、エキシマ紫外線処理、酸処理、及び塩基処理等が挙げられる。
これらの表面処理は、公知の方法に従って行うことができる。
【0072】
第1の熱可塑性樹脂層は、分子接着剤層との密着性を阻害しない限り、熱可塑性樹脂(P
1)以外の成分を含有していてもよい。
熱可塑性樹脂(P
1)以外の成分としては、紫外線吸収剤、光安定剤、酸化防止剤、帯電防止剤、スリップ剤、アンチブロッキング剤、着色剤等が挙げられる。
これらの含有量は目的に合わせて適宜決定することができる。
【0073】
第1の熱可塑性樹脂層中の熱可塑性樹脂(P
1)の含有量は、通常50〜100質量%、好ましくは80〜100質量%である。
【0074】
第1の熱可塑性樹脂層の厚さは、通常5〜150μmであり、10〜120μmが好ましく、15〜80μmがより好ましい。
第1の熱可塑性樹脂層の厚さが5μm以上であることで、熱溶着工程における加熱により分子接着剤層の性能が低下するのを十分に抑制することができる。また、第1の熱可塑性樹脂層の厚さが80μm以下であることで、接合部(被着体同士の間)を薄くすることができる。
【0075】
第1の熱可塑性樹脂層のヒートシール可能温度は、通常100〜200℃、好ましくは120〜180℃である。
第1の熱可塑性樹脂層のヒートシール可能温度が100℃以上であることで、熱溶着する際に、第1の熱可塑性樹脂層の形状が変化するのを抑制することができる。また、第1の熱可塑性樹脂層のヒートシール可能温度が200℃以下であることで、熱溶着時に分子接着剤層に与える影響を抑えることができる。
第1の熱可塑性樹脂層のヒートシール可能温度は、熱可塑性樹脂の種類、熱可塑性樹脂の分子量、熱可塑性樹脂の含有量、添加剤の種類、添加剤の含有量、第1の熱可塑性樹脂層の結晶化度、第1の熱可塑性樹脂層の密度等の影響を受ける特性である。
したがって、例えば、用いる熱可塑性樹脂を決定した後、添加剤の種類や量を調整することにより、目的のヒートシール可能温度を有する第1の熱可塑性樹脂層を形成することができる。
【0076】
〔第2の熱可塑性樹脂層〕
第2の熱可塑性樹脂層は、第1の熱可塑性樹脂層に隣接する層であって、接合用積層体の使用時において、最外層の一方を構成する層である。なお、第1の熱可塑性樹脂層と第2の熱可塑性樹脂層の間には、接着剤層が存在していてもよい。
後述するように、第2の熱可塑性樹脂層は、他の接合用積層体の第2の熱可塑性樹脂層との熱溶着に用いられる。
【0077】
第2の熱可塑性樹脂層は、単層構造を有していてもよいし、多層構造を有していてもよい。第2の熱可塑性樹脂層が単層構造を有する場合の第2の熱可塑性樹脂層や、第2の熱可塑性樹脂層が多層構造を有する場合のそれぞれの層は、組成が均一であってもよいし、組成が均一でなくてもよい。例えば、これらの層は、層の表面付近に特定の成分を多く含有し、層の表面付近の組成と層の中心部の組成が異なっていてもよい。
【0078】
第2の熱可塑性樹脂層は、少なくとも第1の熱可塑性樹脂層とは逆側の表面に、比較的低温で溶融し、かつ、短時間で固化し得る熱可塑性樹脂(以下、「熱可塑性樹脂(P
2)」ということがある。)を含むことが好ましい。
第1の熱可塑性樹脂層とは逆側の表面に熱可塑性樹脂(P
2)を含むことで、他の接合用積層体の熱可塑性樹脂層と熱溶着する際に、その工程を効率よく行うことができる。
「第1の熱可塑性樹脂層とは逆側の表面に熱可塑性樹脂(P
2)を含む」とは、第1の熱可塑性樹脂層とは逆側の表面に熱可塑性樹脂(P
2)が露出していることをいう。
【0079】
熱可塑性樹脂(P
2)としては、オレフィン系樹脂、シクロオレフィン系樹脂、アクリル系樹脂、オレフィン−酢酸ビニル系樹脂、オレフィン系アイオノマー樹脂、ポリエステル樹脂等が挙げられる。
これらの熱可塑性樹脂の具体例としては、熱可塑性樹脂(P
1)として示したものと同様のものが挙げられる。
熱可塑性樹脂(P
2)は、1種単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0080】
第2の熱可塑性樹脂層は、熱溶着性を阻害しない限り、熱可塑性樹脂(P
2)以外の成分を含有していてもよい。
熱可塑性樹脂(P
2)以外の成分としては、紫外線吸収剤、光安定剤、酸化防止剤、帯電防止剤、スリップ剤、アンチブロッキング剤、着色剤等が挙げられる。
これらの含有量は目的に合わせて適宜決定することができる。
【0081】
第2の熱可塑性樹脂層が単層構造を有するものであるとき、第2の熱可塑性樹脂層としては、熱可塑性樹脂(P
2)を含有する均一な層や、少なくとも、第1の熱可塑性樹脂層とは逆側の表面に熱可塑性樹脂(P
2)を含む不均一な層が挙げられる。
単層構造を有する第2の熱可塑性樹脂層中の熱可塑性樹脂(P
2)の含有量は、通常50〜100質量%、好ましくは80〜100質量%である。
単層構造を有する第2の熱可塑性樹脂層の厚さは、通常5〜150μmであり、10〜120μmが好ましく、15〜80μmがより好ましい。
単層構造を有する第2の熱可塑性樹脂層の厚さが5μm以上であることで、熱溶着を十分に行うことができる。また、この第2の熱可塑性樹脂層の厚さが150μm以下であることで、接合部(被着体同士の間)を薄くすることができる。
【0082】
第2の熱可塑性樹脂層が多層構造を有するものであるとき、第2の熱可塑性樹脂層としては、第1の熱可塑性樹脂層とは逆側の最外層(多層構造を有する第2の熱可塑性樹脂層の2つの最外層のうち、第1の熱可塑性樹脂層と接していない方の最外層)が、第1の熱可塑性樹脂層とは逆側の表面に熱可塑性樹脂(P
2)を含む、多層構造の層が挙げられる。
多層構造を有する第2の熱可塑性樹脂層においては、第1の熱可塑性樹脂層とは逆側の最外層に含まれる熱可塑性樹脂(P
2)の含有量は、その最外層全体を基準として、通常50〜100質量%、好ましくは80〜100質量%である。
多層構造を有する第2の熱可塑性樹脂層全体の厚さは、通常3〜150μmであり、10〜120μmが好ましく、15〜80μmがより好ましい。
多層構造を有する第2の熱可塑性樹脂層全体の厚さが3μm以上であることで、熱溶着を十分に行うことができる。また、この第2の熱可塑性樹脂層の厚さが150μm以下であることで、接合部(被着体同士の間)を薄くすることができる。
多層構造を有する第2の熱可塑性樹脂層において、その層数は特に限定されない。多層構造を有する第2の熱可塑性樹脂層の層数は、通常2〜10であり、2〜5が好ましい。
【0083】
第2の熱可塑性樹脂層のヒートシール可能温度は、通常50〜180℃、好ましくは70〜150℃である。
第2の熱可塑性樹脂層のヒートシール可能温度が50℃以上であることで、常温での取り扱い性が良好となる。また、第2の熱可塑性樹脂層のヒートシール可能温度が180℃以下であることで、本発明の接合用積層体を使用する際、第2の熱可塑性樹脂層同士の層間を強固に接着することができ、2つの被着体をより強固に接合することができる。
第2の熱可塑性樹脂層のヒートシール可能温度は、第1の熱可塑性樹脂層のヒートシール可能温度の調整方法と同様の方法により、調整することができる。
なお、第2の熱可塑性樹脂層が多層構造を有するものであるとき、第2の熱可塑性樹脂層のヒートシール可能温度とは、第1の熱可塑性樹脂層とは逆側の最外層のヒートシール可能温度のことをいう。
【0084】
〔接合用積層体〕
接合用積層体は、第1の熱可塑性樹脂層と第2の熱可塑性樹脂層で構成された積層体(以下において、「積層体(η)」と表すことがある。)の第1の熱可塑性樹脂層上に、直接、分子接着剤層を形成することにより製造することができる。
【0085】
例えば、
図1に示すように、第1の熱可塑性樹脂層(1)及び第2の熱可塑性樹脂層(2)で構成された積層体(3)の第1の熱可塑性樹脂層(1)上に、直接、分子接着剤層(4)を形成することにより、接合用積層体(5)が得られる。
上記のように、積層体(3)においては、第1の熱可塑性樹脂層(1)は、分子接着剤層(4)と接する側の表面(6)に熱可塑性樹脂(P
1)を含む。さらに、積層体(3)の第2の熱可塑性樹脂層(2)は、第1の熱可塑性樹脂層(1)とは逆側の表面(7)に熱可塑性樹脂(P
2)を含むことが好ましい。
【0086】
積層体(η)の製造方法は特に限定されない。
例えば、熱可塑性樹脂(P
1)を含有するペレットと、熱可塑性樹脂(P
2)を含有するペレットをそれぞれ溶融し、これらを多層ダイから同時に押出して得られた共押出多層フィルムを、積層体(η)として用いることができる。
また、熱可塑性樹脂(P
1)を含有する樹脂フィルムと、熱可塑性樹脂(P
2)を含有する樹脂フィルムを貼合して得られた多層フィルムを、積層体(η)として用いることができる。
【0087】
また、熱可塑性樹脂(P
1)を含有する第1の熱可塑性樹脂層(樹脂フィルム)上に、熱可塑性樹脂(P
2)を含有する塗布液を塗布し、得られた塗膜を乾燥して第2の熱可塑性樹脂層を形成したり、熱可塑性樹脂(P
2)を含有する第2の熱可塑性樹脂層(樹脂フィルム)上に、熱可塑性樹脂(P
1)を含有する塗布液を塗布し、得られた塗膜を乾燥して第1の熱可塑性樹脂層を形成したりすることにより得られた多層フィルムを、積層体(η)として用いることができる。
【0088】
これらの中でも、第1の熱可塑性樹脂層と第2の熱可塑性樹脂層の間の層間剥離が生じにくいことから、共押出多層フィルムを積層体(η)として用いることが好ましい。
【0089】
なお、本明細書においては、まだ他の層が形成されていない状態の樹脂フィルムについても、「第1の熱可塑性樹脂層」や「第2の熱可塑性樹脂層」と表現することがある。
【0090】
積層体(η)を製造する際には、第1の熱可塑性樹脂層のヒートシール可能温度が第2の熱可塑性樹脂層のヒートシール可能温度よりも高くなるように、それぞれの層の成分を決定する。
すなわち、本発明の接合用積層体は、第1の熱可塑性樹脂層のヒートシール可能温度がT
h1、第2の熱可塑性樹脂層のヒートシール可能温度がT
h2であるときに、T
h1>T
h2である。
後述するように、2つの被着体を本発明の接合用積層体を用いて接合する場合、第1の熱可塑性樹脂層のヒートシール可能温度を第2の熱可塑性樹脂層のヒートシール可能温度よりも高くすることで、分子接着剤層に悪影響を与えることなく、熱溶着工程を行うことができる。
【0091】
分子接着剤層を形成する際に用いる分子接着剤(M)は、その反応性基(Zα)と、第1の熱可塑性樹脂層中の熱可塑性樹脂(P
1)の反応性部分構造(Zγ)との組み合わせを考慮して、適宜選択することができる。
なかでも、反応性基(Zα)と反応性部分構造(Zγ)は、下記の要件(Q1)を満たすことが好ましい。
要件(Q1):
分子接着剤(M)が有する反応性基(Zα)が、アミノ基、メルカプト基、イソシアネート基、ウレイド基及びエポキシ基からなる群から選ばれる少なくとも1種であり、前記熱可塑性樹脂(P
1)が有する反応性部分構造(Zγ)が、ヒドロキシ基、カルボキシ基、アルデヒド基、及びアミノ基からなる群から選ばれる少なくとも1種である、又は、
分子接着剤(M)が有する反応性基(Zα)が、アジド基であり、前記熱可塑性樹脂(P
1)が有する反応性部分構造(Zγ)が、炭素−炭素単結合、炭素−炭素二重結合、及び炭素−水素単結合からなる群から選ばれる少なくとも1種である。
【0092】
本発明の接合用積層体においては、分子接着剤(M)の反応性基(Zα)と、熱可塑性樹脂(P
1)の反応性部分構造(Zγ)が化学結合を形成することにより、分子接着剤(M)は、第1の熱可塑性樹脂層に固定されていると考えられる。
上記の要件(Q1)を満たすことで、この化学結合を効率よく形成できると考えられる。
【0093】
反応性基(Zα)が、アミノ基、メルカプト基、イソシアネート基、ウレイド基及びエポキシ基からなる群から選ばれる少なくとも1種である場合、反応性基(Zα)と反応性部分構造(Zγ)の好ましい組み合わせ〔反応性基(Zα)/反応性部分構造(Zγ)〕としては、(アミノ基/ヒドロキシ基)、(アミノ基/カルボキシ基)、(イソシアネート基/ヒドロキシ基)、(イソシアネート基/カルボキシ基)、(ヒドロキシ基/カルボキシ基)等が挙げられる。
【0094】
なお、反応性基(Zα)が、アジド基である場合、後述するように光が照射されることによりアジド基が活性化される。この場合、反応中間体であるナイトレンは、炭素−炭素単結合、炭素−炭素二重結合、炭素−水素単結合と反応し得るため、熱可塑性樹脂(P
1)の反応性部分構造(Zγ)としては、炭素−炭素単結合、炭素−炭素二重結合、及び炭素−水素単結合からなる群から選ばれる少なくとも1種が好ましく用いられる。
熱可塑性樹脂であれば、通常、炭素−炭素単結合、炭素−炭素二重結合、炭素−水素単結合の少なくともいずれかを含有する。したがって、アジド基を有する分子接着剤(M)を用いる場合、熱可塑性樹脂(P
1)の種類は特に限定されない。
【0095】
分子接着剤層の形成方法は特に限定されない。例えば、分子接着剤(M)を含有する分子接着剤溶液を調製し、この溶液を第1の熱可塑性樹脂層上に塗布し、次いで、得られた塗膜の乾燥処理や、分子接着剤(M)を第1の熱可塑性樹脂層に固定する処理を行うことにより、分子接着剤層を形成することができる。
【0096】
分子接着剤溶液を調製する際に用いる溶媒は特に限定されない。溶媒としては、メタノール、エタノール、イソプロパノール、エチレングリコール、ジエチレングリコール等のアルコール系溶媒;アセトン、メチルエチルケトン等のケトン系溶媒;酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル系溶媒;塩化メチレン等の含ハロゲン化合物系溶媒;ブタン、ヘキサン等の脂肪族炭化水素系溶媒;テトラヒドロフラン、ブチルエーテル等のエーテル系溶媒;ベンゼン、トルエン等の芳香族化合物系溶媒;N,N−ジメチルホルムアミド、N−メチルピロリドン等のアミド系溶媒;水;等が挙げられる。
これらは1種単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0097】
分子接着剤溶液中の分子接着剤(M)の濃度は特に限定されない。その濃度は、好ましくは0.005〜1.000mol/L、より好ましくは0.050〜0.500mol/Lである。分子接着剤(M)の濃度を0.005mol/L以上とすることで、分子接着剤層を第1の熱可塑性樹脂層上に効率よく形成することができる。また1.000mol/L以下とすることで分子接着剤溶液の意図しない反応を抑制することができ、溶液の安定性に優れる。
【0098】
分子接着剤溶液の塗布方法としては特に限定されず、公知の塗布方法を使用することができる。塗布方法としては、例えば、スピンコート法、スプレーコート法、バーコート法、ナイフコート法、ロールナイフコート法、ロールコート法、ブレードコート法、ディップコート法、カーテンコート法、ダイコート法、グラビアコート法等が挙げられるが、バーコート法、グラビアコート法が好ましい。
【0099】
分子接着剤溶液を塗布した後は、通常、得られた塗膜を乾燥するために、自然乾燥や乾燥機構への投入による乾燥処理が必要となる。これらの中でも、乾燥機構への投入による乾燥処理を行うことが生産性の向上の観点から好ましい。当該乾燥機構としては、例えば、エアーオーブンといったバッチ式の乾燥機構、並びにヒートロール、ホットエアースルー機構(開放式の乾燥炉内を被乾燥体が移動、通過しながら、送風を受けつつ加熱・乾燥される設備等)といった連続式の乾燥機構等が挙げられる。なお、これら乾燥機構の一部としても用いることができる装置、例えば、高周波加熱、オイルヒーター等の熱媒循環式ヒーター、及び遠赤外線式ヒーター等のヒーター自体も乾燥機構として用いることができる。これらの中でも生産性の向上の観点からホットエアースルー機構が好ましい。
当該乾燥機構で調整される乾燥温度は、通常20〜250℃、好ましくは25〜200℃、より好ましくは30〜150℃、特に好ましくは35〜120℃である。乾燥時間は、通常1秒から120分、好ましくは10秒から10分、より好ましくは20秒から5分、特に好ましくは30秒から3分である。
【0100】
分子接着剤層を形成する際は、通常、分子接着剤(M)を第1の熱可塑性樹脂層に固定する処理(以下、固定処理ということがある。)が行われる。固定処理は、分子接着剤(M)の反応性基(Zα)の特性に応じて適宜選択することができる。通常は、分子接着剤(M)を第1の熱可塑性樹脂層上に塗布することにより化学結合が生成し、加熱することにより化学結合の生成が促進するため、加熱処理を行うことが生産性の向上の観点から好ましい。加熱温度は、通常40〜250℃、好ましくは60〜200℃、より好ましくは80〜120℃である。加熱時間は、通常1秒から120分、好ましくは1〜60分、より好ましくは1〜30分である。
加熱方法としては特に限定されず、上述の乾燥機構と同様の機構及び装置を用いることができる。
【0101】
アジド基のように、反応性基(Zα)が光反応性を有する場合、固定処理としては光照射処理が行われる。照射する光としては、通常、紫外線が用いられる。この場合は、乾燥処理の後に固定処理を行うことが、反応性基(Zα)と反応性基(Zγ)との反応性を向上させる観点から好ましい。
紫外線の照射は、水銀ランプ、メタルハライドランプ、紫外線LED、無電極ランプ等の光源を使用した紫外線照射装置を用いて行うことができる。
光照射処理の処理条件は、目的の光反応を行うことができる限り、特に限定されない。
【0102】
分子接着剤層を形成する際は、分子接着剤溶液の塗布と乾燥処理と固定処理とを複数回繰り返し行ってもよい。
【0103】
2)2つの被着体を接合する方法
本発明の2つの被着体を接合する方法は、2つの接合用積層体を使用して、被着体(I)と被着体(II)とを接合する方法であって、前記2つの接合用積層体が、それぞれ独立して、本発明の接合用積層体であり、第1の接合用積層体を、分子接着剤(M
A)を含む分子接着剤層(A−M)、単層構造を有する第1の熱可塑性樹脂層(A−1)、及び単層構造又は多層構造を有する第2の熱可塑性樹脂層(A−2)をこの順で有する接合用積層体(A)と表し、第2の接合用積層体を、分子接着剤(M
B)を含む分子接着剤層(B−M)、単層構造を有する第1の熱可塑性樹脂層(B−1)、及び単層構造又は多層構造を有する第2の熱可塑性樹脂層(B−2)をこの順で有する接合用積層体(B)と表したときに、
以下の工程(L1)〜(L3)を含む工程群と、工程(M1)〜(M3)を含む工程群と、工程(N1)、(N2)を含む工程群と、から選ばれるいずれかの工程群を行うことを特徴とする、被着体(I)と被着体(II)とを接合する方法である。
工程(L1):接合用積層体(A)の分子接着剤層(A−M)と被着体(I)とを接着する工程
工程(L2):接合用積層体(B)の分子接着剤層(B−M)と被着体(II)とを接着する工程
工程(L3):工程(L1)で得られた積層体の第2の熱可塑性樹脂層(A−2)と、工程(L2)で得られた積層体の第2の熱可塑性樹脂層(B−2)とを熱溶着する工程
工程(M1):接合用積層体(A)の第2の熱可塑性樹脂層(A−2)と、接合用積層体(B)の第2の熱可塑性樹脂層(B−2)とを熱溶着する工程
工程(M2):工程(M1)で得られた積層体の分子接着剤層(A−M)と被着体(I)とを接着する工程
工程(M3):工程(M2)で得られた積層体の分子接着剤層(B−M)と被着体(II)とを接着する工程
工程(N1):接合用積層体(A)の第2の熱可塑性樹脂層(A−2)と、接合用積層体(B)の第2の熱可塑性樹脂層(B−2)が対向する配置で、被着体(I)、接合用積層体(A)、接合用積層体(B)、被着体(II)を、この順に重ねる工程
工程(N2):工程(N1)で得られたものを加熱して、分子接着剤層(A−M)と被着体(I)との接着と、分子接着剤層(B−M)と被着体(II)との接着と、第2の熱可塑性樹脂層(A−2)と第2の熱可塑性樹脂層(B−2)との熱溶着を同時に行う工程
【0104】
接合用積層体(A)は、分子接着剤(M
A)を含む分子接着剤層(A−M)、第1の熱可塑性樹脂層(A−1)、及び第2の熱可塑性樹脂層(A−2)をこの順で有する接合用積層体である。
本発明の接合方法において、接合用積層体(A)は、被着体(I)との接着に利用される。
【0105】
接合用積層体(B)は、分子接着剤(M
B)を含む分子接着剤層(B−M)、第1の熱可塑性樹脂層(B−1)、及び第2の熱可塑性樹脂層(B−2)をこの順で有する接合用積層体(B)である。
本発明の接合方法において、接合用積層体(B)は、被着体(II)との接着に利用される。
【0106】
接合用積層体(A)と接合用積層体(B)は同じものであってもよいし、異なるものであってもよい。
【0107】
接合用積層体(A)の第2の熱可塑性樹脂層(A−2)が、第1の熱可塑性樹脂層(A−1)とは逆側の表面に熱可塑性樹脂(P
2)(以下において、第2の熱可塑性樹脂層(A−2)に含まれる熱可塑性樹脂(P
2)を、「熱可塑性樹脂(P
2A)」と表すことがある。)を含むものであり、接合用積層体(B)の第2の熱可塑性樹脂層(B−2)が、第1の熱可塑性樹脂層(B−1)とは逆側の表面に熱可塑性樹脂(P
2)(以下において、第2の熱可塑性樹脂層(B−2)に含まれる熱可塑性樹脂(P
2)を、「熱可塑性樹脂(P
2B)」と表すことがある。)を含むものである場合、熱可塑性樹脂(P
2A)(第2の熱可塑性樹脂層(A−2)が2種以上の熱可塑性樹脂(P
2A)を含むときは含有量が一番多いもの)と熱可塑性樹脂(P
2B)(第2の熱可塑性樹脂層(B−2)が2種以上の熱可塑性樹脂(P
2B)を含むときは含有量が一番多いもの)は同じものであることが好ましい。熱可塑性樹脂(P
2A)と熱可塑性樹脂(P
2B)が同じものであることで、2つの被着体をより強固に接合することができる。
【0108】
熱可塑性樹脂(P
2A)(第2の熱可塑性樹脂層(A−2)が2種以上の熱可塑性樹脂(P
2A)を含むときは含有量が一番多いもの)と熱可塑性樹脂(P
2B)(第2の熱可塑性樹脂層(B−2)が2種以上の熱可塑性樹脂(P
2B)を含むときは含有量が一番多いもの)が異なる場合、これらの熱可塑性樹脂が結晶性樹脂のときは、これらの融点の差が小さいことが好ましい。融点が近い熱可塑性樹脂(P
2A)と熱可塑性樹脂(P
2B)を組み合わせて用いることで、熱溶着をより効率よく行うことができる。
熱可塑性樹脂(P
2A)の融点と熱可塑性樹脂(P
2B)の融点の差は、好ましくは40℃以下、より好ましくは20℃以下であり、特に好ましくは0℃である。
【0109】
熱可塑性樹脂(P
2A)(第2の熱可塑性樹脂層(A−2)が2種以上の熱可塑性樹脂(P
2A)を含むときは含有量が一番多いもの)と熱可塑性樹脂(P
2B)(第2の熱可塑性樹脂層(B−2)が2種以上の熱可塑性樹脂(P
2B)を含むときは含有量が一番多いもの)が異なる場合、これらのハンセン溶解度パラメータの相互作用距離Raが小さいことが好ましい。ハンセン溶解度パラメータの相互作用距離Raが近い熱可塑性樹脂(P
2A)と熱可塑性樹脂(P
2B)を組み合わせて用いることで、熱溶着をより効率よく行うことができる。
熱可塑性樹脂(P
2A)のと熱可塑性樹脂(P
2B)のハンセン溶解度パラメータの相互作用距離Raは、好ましくは10以下、より好ましくは4.5以下である。
本発明においてハンセン溶解度パラメータの相互作用距離Raは以下の式より導き出されるものである。
【0111】
前記式中、δD
Aは、熱可塑性樹脂(P
2A)のハンセン溶解度パラメータの分散成分、δD
Bは、熱可塑性樹脂(P
2B)のハンセン溶解度パラメータの分散成分、δP
Aは、熱可塑性樹脂(P
2A)のハンセン溶解度パラメータの極性成分、δP
Bは、熱可塑性樹脂(P
2B)のハンセン溶解度パラメータの極性成分、δH
Aは、熱可塑性樹脂(P
2A)のハンセン溶解度パラメータの水素結合成分、δH
Bは、熱可塑性樹脂(P
2B)のハンセン溶解度パラメータの水素結合成分を表す。
【0112】
本発明の接合方法においては、接合用積層体(A)の分子接着剤層(A−M)は、被着体(I)との接着に利用され、接合用積層体(B)の分子接着剤層(B−M)は、被着体(II)との接着に利用される。
【0113】
分子接着剤層(A−M)と被着体(I)との間の接着や、分子接着剤層(B−M)と被着体(II)との間の接着は、通常、分子接着剤(M
A)又は(M
B)中の反応性基(Zβ)が、被着体(I)又は被着体(II)を構成する化合物中の官能基と反応し、化学結合が形成することにより行われる。
したがって、通常、被着体(I)又は被着体(II)としては、反応性基(Zβ)との反応性を有する基をその表面に有するものが用いられる。
【0114】
そのような被着体としては、表面に金属を含む部材、表面に無機物を含む部材、表面にシリコーン樹脂を含む部材等が挙げられる。
金属としては、アルミニウム、クロム、マンガン、鉄、コバルト、ニッケル、銅、亜鉛、銀、金等が挙げられる。
無機物としては、ガラス、無機酸化物(ガラスを除く)等が挙げられる。
これらの部材に対しては表面処理を施してもよい。表面処理により、ヒドロキシ基やカルボキシ基等が生じた部材は、被着体としてより好適に用いられる。
また、表面処理技術を利用することで、表面に熱可塑性樹脂や熱硬化性樹脂を含む部材も被着体として利用することができる。
表面処理としては、コロナ処理、プラズマ処理、紫外線照射処理、電子線照射処理、オゾン処理、エキシマ紫外線処理、酸処理、及び塩基処理等が挙げられる。これらの表面処理は、公知の方法に従って行うことができる。
また被着体の表面に、必要に応じてプライマー層を設けてもよい。
【0115】
〔工程(L1)〜(L3)を含む工程群〕
工程(L1)〜(L3)を含む工程群の各工程を
図2に示す。
工程(L1)においては、分子接着剤層(A−M)(8)、第1の熱可塑性樹脂層(A−1)(9)、及び第2の熱可塑性樹脂層(A−2)(10)を有する接合用積層体(A)(11)の分子接着剤層(A−M)(8)と、被着体(I)(12)とを接着し、積層体(13)を得る〔
図2(a)〕。
【0116】
工程(L1)は、例えば、加熱プレス機、オートクレーブ装置、真空貼合機、三次元真空加熱成形機(TOM成形機)、加熱ラミネート装置等を用いて行うことができる。
【0117】
工程(L1)において線圧をかける場合、その圧力は、通常0.1〜5N/mm、好ましくは0.2〜3N/mm、より好ましくは0.3〜1N/mmである。
工程(L1)において面圧をかける場合、その圧力は、通常0.1〜10MPa、好ましくは0.2〜5MPa、より好ましくは0.3〜3MPa、さらに好ましくは0.4〜1MPaである。
【0118】
工程(L1)における接着温度は、通常40〜200℃、好ましくは50〜170℃、より好ましくは60〜140℃である。
工程(L1)の処理時間は、通常1秒から1時間、好ましくは5秒から30分、より好ましくは10秒から10分である。
【0119】
工程(L2)においては、分子接着剤層(B−M)(14)、第1の熱可塑性樹脂層(B−1)(15)、及び第2の熱可塑性樹脂層(B−2)(16)を有する接合用積層体(B)(17)の分子接着剤層(B−M)(14)と、被着体(II)(18)とを接着し、積層体(19)を得る〔
図2(b)〕。
工程(L2)は、工程(L1)と同様の方法、同様の条件により行うことができる。
【0120】
工程(L3)においては、工程(L1)で得られた積層体(13)の第2の熱可塑性樹脂層(A−2)(10)と、工程(L2)で得られた積層体(19)の第2の熱可塑性樹脂層(B−2)(16)とを熱溶着し、接合構造体(20)を得る〔
図2(c)〕。
【0121】
工程(L3)は、例えば、加熱プレス機、オートクレーブ装置、真空貼合機、三次元真空加熱成形機(TOM成形機)、加熱ラミネート装置等を用いて行うことができる。
工程(L3)において線圧をかける場合、その圧力は、通常0.1〜5N/mm、好ましくは0.2〜3N/mm、より好ましくは0.3〜1N/mmである。
工程(L3)において面圧をかける場合、その圧力は、通常0.05〜10MPa、好ましくは0.1〜5MPa、より好ましくは0.2〜3MPaである。
【0122】
工程(L3)における熱溶着温度は、通常50〜230℃、好ましくは60〜200℃、より好ましくは80〜170℃である。
工程(L3)の処理時間は、通常1秒から1分、好ましくは3〜30秒である。
【0123】
工程(L1)〜(L3)を含む工程群を行う場合、工程(L1)において、接合用積層体(A)の分子接着剤層(A−M)と被着体(I)とを接着する際の温度がT
L1、工程(L2)において、接合用積層体(B)の分子接着剤層(B−M)と被着体(II)とを接着する際の温度がT
L2、工程(L3)において、第2の熱可塑性樹脂層(A−2)と第2の熱可塑性樹脂層(B−2)とを熱溶着する際の温度がT
L3であり、接合用積層体(A)の第1の熱可塑性樹脂層(A−1)のヒートシール可能温度がT
h1A、第2の熱可塑性樹脂層(A−2)のヒートシール可能温度がT
h2Aであり、接合用積層体(B)の第1の熱可塑性樹脂層(B−1)のヒートシール可能温度がT
h1B、第2の熱可塑性樹脂層(B−2)のヒートシール可能温度がT
h2Bであるときに、下記式(E−1)と式(E−2)のいずれも満たし、かつ、下記式(E−3)と式(E−4)の少なくとも一方を満たすことが好ましい。
【0125】
式(E−1)を満たすことで、工程(L1)における、接合用積層体(A)の第1の熱可塑性樹脂層(A−1)の変形が抑制される。
式(E−2)を満たすことで、工程(L2)における、接合用積層体(B)の第1の熱可塑性樹脂層(B−1)の変形が抑制される。
【0126】
式(E−3)と式(E−4)の少なくとも一方を満たすことで、接合用積層体(A)の第2の熱可塑性樹脂層(A−2)と接合用積層体(B)の第2の熱可塑性樹脂層(B−2)とを効率よく熱溶着することができる。
接合用積層体(A)の第2の熱可塑性樹脂層(A−2)と接合用積層体(B)の第2の熱可塑性樹脂層(B−2)とをより効率よく熱溶着することができることから、式(E−3)と式(E−4)のいずれも満たすことがより好ましい。
【0127】
〔工程(M1)〜(M3)を含む工程群〕
工程(M1)〜(M3)を含む工程群の各工程を
図3に示す。
工程(M1)においては、分子接着剤層(A−M)(21)、第1の熱可塑性樹脂層(A−1)(22)、及び第2の熱可塑性樹脂層(A−2)(23)を有する接合用積層体(A)(24)の第2の熱可塑性樹脂層(A−2)(23)と、分子接着剤層(B−M)(25)、第1の熱可塑性樹脂層(B−1)(26)、及び第2の熱可塑性樹脂層(B−2)(27)を有する接合用積層体(B)(28)の第2の熱可塑性樹脂層(B−2)(27)とを熱溶着し、積層体(29)を得る〔
図3(a)〕。
工程(M1)は、工程(L3)と同様の方法、同様の条件により行うことができる。
【0128】
工程(M2)においては、工程(M1)で得られた積層体(29)の分子接着剤層(A−M)(21)と被着体(I)(30)とを接着し、積層体(31)を得る〔
図3(b)〕。
工程(M3)においては、工程(M2)で得られた積層体(31)の分子接着剤層(B−M)(25)と被着体(II)(32)とを接着し、接合構造体(33)を得る〔
図3(c)〕。
【0129】
工程(M2)、工程(M3)は、それぞれ、工程(L1)と同様の方法、同様の条件により行うことができる。
なお、工程(M2)と工程(M3)は同時に行ってもよい。例えば、被着体(I)と工程(M1)で得られた積層体と被着体(II)とをこの順で重ね、このものに対して圧着処理を行うことにより、工程(M2)と工程(M3)を同時に行うことができる。
【0130】
〔工程(N1)、(N2)を含む工程群〕
工程(N1)、(N2)を含む工程群の各工程を
図4に示す。
工程(N1)においては、分子接着剤層(A−M)(34)、第1の熱可塑性樹脂層(A−1)(35)、及び第2の熱可塑性樹脂層(A−2)(36)を有する接合用積層体(A)(37)の第2の熱可塑性樹脂層(A−2)(36)と、分子接着剤層(B−M)(38)、第1の熱可塑性樹脂層(B−1)(39)、及び第2の熱可塑性樹脂層(B−2)(40)を有する接合用積層体(B)(41)の第2の熱可塑性樹脂層(B−2)(40)が対向する配置で、被着体(I)(42)、接合用積層体(A)(35)、接合用積層体(B)(41)、被着体(II)(43)を、この順に重ねる〔
図4(a)〕。
【0131】
工程(N2)においては、工程(N1)で得られたもの(44)を加熱して、分子接着剤層(A−M)と被着体(I)との接着と、分子接着剤層(B−M)と被着体(II)との接着と、第2の熱可塑性樹脂層(A−2)と第2の熱可塑性樹脂層(B−2)との熱溶着を同時に行い、接合構造体(45)を得る〔
図4(b)〕。
【0132】
工程(N2)は、例えば、加熱プレス機、オートクレーブ装置、真空貼合機、三次元真空加熱成形機(TOM成形機)、加熱ラミネート装置等を用いて行うことができる。
【0133】
工程(N2)において線圧をかける場合、その圧力は、通常0.1〜5N/mm、好ましくは0.2〜3N/mm、より好ましくは0.3〜1N/mmである。
工程(N2)において面圧をかける場合、その圧力は、通常0.1〜10MPa、好ましくは0.2〜5MPa、より好ましくは0.3〜3MPa、さらに好ましくは0.4〜1MPaである。
【0134】
工程(N2)における熱溶着温度は、通常50〜230℃、好ましくは60〜200℃、より好ましくは80〜170℃である。
工程(N2)の処理時間は、通常1秒から1時間、好ましくは5秒から30分、より好ましくは10秒から10分である。
【0135】
工程(N1)、(N2)を含む工程群を行う場合、接合用積層体(A)の第1の熱可塑性樹脂層(A−1)のヒートシール可能温度がT
h1A、第2の熱可塑性樹脂層(A−2)のヒートシール可能温度がT
h2Aであり、接合用積層体(B)の第1の熱可塑性樹脂層(B−1)のヒートシール可能温度がT
h1B、第2の熱可塑性樹脂層(B−2)のヒートシール可能温度がT
h2Bであり、工程(N2)において、熱溶着する際の温度がT
N2であるときに、下記式(E−5)と式(E−6)の少なくとも一方を満たすことが好ましい。
【0137】
式(E−5)と式(E−6)の少なくとも一方を満たすことで、接合用積層体(A)の第2の熱可塑性樹脂層(A−2)と接合用積層体(B)の第2の熱可塑性樹脂層(B−2)とを効率よく熱溶着することができる。
接合用積層体(A)の第2の熱可塑性樹脂層(A−2)と接合用積層体(B)の第2の熱可塑性樹脂層(B−2)とをより効率よく熱溶着することができることから、式(E−5)と式(E−6)のいずれも満たすことがより好ましい。
【0138】
被着体(I)と被着体(II)とを接合する際は、前記工程(L1)〜(L3)を含む工程群、又は、前記工程(N1)、(N2)を含む工程群を行うことが好ましい。
前記工程(L1)〜(L3)を含む工程群においては、熱溶着処理を行う前に、分子接着剤層と被着体との接着処理が行われる。したがって、分子接着剤層と被着体との接着処理を、熱溶着処理に伴う熱可塑性樹脂層の熱変形が生じていない状態で行うことができるため、分子接着剤層と被着体とをより強固に接着することができる。
【0139】
前記工程(N1)、(N2)を含む工程群においては、分子接着剤層と被着体との接着処理と熱可塑性樹脂層同士の熱溶着処理が同時に行われる。したがって、2つの被着体をより効率よく接合することができる。
【0140】
3)接合構造体の製造方法
本発明の接合構造体の製造方法は、被着体(I)/接合用積層体(A)と接合用積層体(B)由来の層/被着体(II)、の層構造を有する接合構造体の製造方法であって、本発明の接合方法を使用して、被着体(I)と被着体(II)を接合することを特徴とする。
【0141】
本発明の製造方法によれば、被着体(I)と被着体(II)が、接合用積層体を介して強固に接合されてなる接合構造体が得られる。
【0142】
被着体(I)と被着体(II)としては、2つの被着体を接合する方法の発明の中で示したものを用いることができる。
これらの中でも、被着体(I)及び被着体(II)としては、それぞれ独立して、金属、無機物、及び熱硬化性樹脂からなる群から選ばれる少なくとも1種を、少なくとも被接着面に含むものが好ましい。
【0143】
被着体が熱可塑性樹脂で形成された被接着面を有するものである場合、本発明の接合用積層体を使用しなくても、被着体同士を直接熱溶着して接合することができることがある。
一方、被着体の被接着面に、金属、無機物、又は熱硬化性樹脂が存在する場合、この方法によりこれらの被着体を強固に接合することは困難である。
【0144】
本発明の接合構造体の製造方法は、本発明の接合用積層体を用いるものである。したがって、本発明の接合構造体の製造方法によれば、被着体の被接着面に、金属、無機物、又は熱硬化性樹脂が存在する場合であっても、これらの被着体が強固に接合されてなる接合構造体を得ることができる。
【実施例】
【0145】
以下、実施例を挙げて本発明を更に詳細に説明する。但し、本発明は、以下の実施例になんら限定されるものではない。
各例中の部及び%は、特に断りのない限り、質量基準である。
【0146】
〔多層フィルムの各層のヒートシール可能温度の測定〕
多層フィルム(1)〜(5)の各層のヒートシール可能温度は、以下の方法により求めた。
多層フィルム(25mm×150mm)を2枚用意し、同じ成分の層が対向するようにこれらを重ね、0.2MPaで1秒の条件でこれらを熱溶着して試験片を得た。このとき、熱溶着温度を5℃間隔(例えば、140℃、145℃、150℃)で変え、複数の試験片を得た。
得られた試験片のそれぞれについて23℃、湿度50%(相対湿度)の環境下で、引張試験機(株式会社エー・アンド・デイ製、製品名「テンシロン万能材料試験機」)を用いて300mm/分の条件でT型剥離試験を行い、それぞれの接着強度を測定した。
接着強度が5N/25mm以上の試験片の中で、熱溶着温度が一番低い試験片の熱溶着温度を「ヒートシール可能温度」とした。
【0147】
〔製造例1〕
2種類のポリプロピレンを成形材料として用いて、共押出し法により、「第1の熱可塑性樹脂層〔ポリプロピレン(PP)厚さ60μm〕/第2の熱可塑性樹脂層〔ポリプロピレン(PP)厚さ50μm〕」の層構造の多層フィルム(1)を得た。得られた多層フィルム(1)について、それぞれの層のヒートシール可能温度を測定したところ、第1の熱可塑性樹脂層のヒートシール可能温度は170℃、第2の熱可塑性樹脂層のヒートシール可能温度は145℃であった。
【0148】
〔製造例2、5〕
第1表に記載の成形材料を使用したこと以外は、製造例1と同様にして多層フィルム(2)、(5)を得た。
【0149】
〔製造例3〕
2種類のポリエチレンと、ナイロンを成形材料として用いて、共押出法により、「第1の熱可塑性樹脂層〔ポリエチレン(PE)厚さ25μm〕/第2の熱可塑性樹脂層〔ナイロン(Ny)厚さ30μm/ポリエチレン(PE)厚さ25μm〕」の層構造の多層フィルム(3)を得た。得られた多層フィルム(3)について、それぞれの層のヒートシール可能温度を測定したところ、第1の熱可塑性樹脂層のヒートシール可能温度は140℃、第2の熱可塑性樹脂層(ポリエチレン層)のヒートシール可能温度は100℃であった。
【0150】
〔製造例4〕
ポリエステル系接着剤を用いて、ポリエチレンフィルムとエチレン・酢酸ビニル共重合樹脂フィルムとをドライラミネートし、「第1の熱可塑性樹脂層〔ポリエチレン(PE)厚さ100μm〕/第2の熱可塑性樹脂層〔エチレン・酢酸ビニル共重合樹脂(EVA)厚さ50μm〕」の層構造の多層フィルム(4)を得た。得られた多層フィルム(4)について、それぞれの層のヒートシール可能温度を測定したところ、第1の熱可塑性樹脂層のヒートシール可能温度は140℃、第2の熱可塑性樹脂層のヒートシール可能温度は110℃であった。
【0151】
多層フィルム(1)〜(5)の詳細を第1表に示す。
なお、第1表中、樹脂成分名は以下のように略記した。
ポリプロピレン:PP
ポリエチレン:PE
ナイロン:Ny
エチレン−酢酸ビニル共重合樹脂:EVA
【0152】
【表1】
【0153】
〔製造例6〕
WO2012/046651号に記載の方法に従って、6−(3−トリエトキシシリルプロピル)アミノ−1,3,5−トリアジン−2,4−ジアジド(前記式(10)で示される化合物、第2表中、「PTES」と記載する。)を含有する分子接着剤溶液(溶媒:エタノール、濃度0.1g/L)を得た。
【0154】
〔製造実施例1〕
以下の方法により、多層フィルム(1)を用いて接合用積層体(1)を製造した。
多層フィルム(1)の第1の熱可塑性樹脂層に対して、コロナ処理機(信光電気計測株式会社製、製品名「コロナ・スキャナー ASA−4」、出力電圧;9kV(表面電圧)、発振周波数:20kHz)にてコロナ照射を行った。次いで、コロナ照射を行った面に、製造例6で得られた分子接着剤溶液をマイヤーバー(12番)で塗布し、得られた塗膜を80℃で60秒乾燥させた。
次いで、紫外線照射装置(ヘレウス株式会社製、製品名「ライトハンマー 10 MARK II」、光源:水銀ランプ)を用いて、この塗膜に紫外線を照射することにより固定処理を行い、分子接着剤層と、第1の熱可塑性樹脂層及び第2の熱可塑性樹脂層(多層フィルム(1))からなる接合用積層体(1)を得た。
なお、紫外線照射条件は、照度84mW/cm
2、光量29mJ/cm
2とし、当該照度及び光量は照度・光量計(EIT社製、製品名「UV Power Puck II」)を用いてUVCの領域の照度および光量を測定した。
【0155】
〔製造実施例2〜4、製造比較例1〕
製造実施例1において、多層フィルム(1)に代えて、それぞれ、第2表に記載の多層フィルム(2)〜(5)を使用したこと以外は、製造実施例1と同様にして、接合用積層体(2)〜(5)を得た。
【0156】
製造実施例1〜4、製造比較例1で得た接合用積層体(1)〜(5)の詳細を第2表に示す。
【0157】
【表2】
【0158】
〔実施例1〕
製造実施例1で得た接合用積層体(1)(10mm×10mm)2枚と、被着体〔プラズマ処理したガラス板(30mm×70mm×2mm)〕2枚を用意した。
接合用積層体(1)の分子接着剤層がガラス板のプラズマ処理面に対向するように、接合用積層体(1)と被着体(ガラス板)を重ね、これを100℃、0.5MPa(面圧)の条件で5分間熱圧着して、被着体/分子接着剤層/第1の熱可塑性樹脂層/第2の熱可塑性樹脂層からなる積層体を得た。
この操作とは別に、残りの接合用積層体(1)と被着体を用いて同様の操作を行い、もう1つの積層体を得た。
次いで、得られた2つの積層体の第2の熱可塑性樹脂層同士を、145℃、0.5MPa(面圧)の条件で10秒間熱圧着して、接合構造体を得た。
【0159】
〔実施例2〕
製造実施例2で得た接合用積層体(2)(10mm×10mm)2枚と、被着体〔プラズマ処理したガラス板(30mm×70mm×2mm)〕2枚を用意した。
2つの接合用積層体(2)の各分子接着剤層がガラス板のプラズマ処理面に対向するように、かつ、2つの接合用積層体(2)の第2の熱可塑性樹脂層が互いに対向するように、被着体、接合用積層体(2)、接合用積層体(2)、被着体をこの順に重ね、このものを145℃、0.5MPa(面圧)の条件で5分間熱圧着して、接合構造体を得た。
【0160】
〔実施例3、4、比較例1〕
第3表に記載の接合用積層体、及び製造条件を用いたことを除き、実施例2と同様にして接合構造体を得た。
【0161】
〔比較例2〕
製造例1で得た多層フィルム(1)(10mm×10mm)2枚と、被着体〔プラズマ処理したガラス板(30mm×70mm×2mm)〕2枚を用意した。
2つの多層フィルム(1)のヒートシール可能温度が170℃の層が、それぞれ、ガラス板のプラズマ処理面に対向するように、かつ、2つの多層フィルム(1)のヒートシール可能温度が145℃の層が互いに対向するように、被着体、多層フィルム(1)、多層フィルム(1)、被着体をこの順に重ね、このものを145℃、0.5MPa(面圧)の条件で5分間熱圧着して、接合構造体を得た。
【0162】
〔接着強度の測定〕
実施例1〜4、比較例1、2で得た接合構造体を試験片として用いて、万能引張試験機(インストロン社製、インストロン5581)にて、引張速度50mm/分の条件で接着強度を測定した。さらに、試験終了後に試験片の状態を観察した。結果を第3表に示す。
なお、比較例2においては、被着体と多層フィルムが十分に接着しておらず、接着強度を測定することができなかった。
【0163】
〔形状変化評価〕
実施例1〜4、比較例1、2で得た接合構造体を試験片として用いて、熱圧着した後の接合用積層体の浸み出しを目視で確認し、以下の基準で評価した。
A:接合用積層体の変形による端部の浸み出しが目視で確認できなかった。
F:接合用積層体の変形による端部の浸み出しが目視で確認できた。
【0164】
【表3】
【0165】
第3表から、以下のことが分かる。
実施例1〜4においては、接着強度の測定後の試験片には、接合用積層体由来の層内での破壊や、接合用積層体由来の層と被着体との界面での破壊は生じていない。したがって、実施例1〜4においては、2つの被着体が強固に接合されていることが分かる。
一方、比較例1において用いた接合用積層体は、第1の熱可塑性樹脂層のヒートシール可能温度と、第2の熱可塑性樹脂層のヒートシール可能温度が同じである。このため、熱圧着時に変形が生じた。
また、比較例2においては、被着体と多層フィルムが十分に接着していない。したがって、この方法ではガラス板を接合することは困難である。