(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記導電部は、前記バスバーに基端部が接続され前記複数の磁性体コアの間において前記延設方向に直交する方向に向かって延設される第1導電部と、前記バスバーに基端部が接続され前記延設方向において前記複数の磁性体コアのうちの少なくとも1つを間に挟んで前記第1導電部とは反対側に設けられ前記第1導電部と平行な方向に向かって延設される第2導電部と、前記第1導電部及び前記第2導電部の各々の先端部を互いに接続し前記グランド端子に接続される連結部とを有し、
前記複数の磁性体コアの少なくとも1つは、前記第1導電部、前記第2導電部、前記連結部、及び前記バスバーに囲まれて構成される挿通孔に挿通され、
前記モールド部は、前記容量部、前記第1導電部、前記第2導電部、及び前記連結部をモールドする第1モールド部と、前記バスバーの少なくとも一部、前記第1モールド部、及び前記複数の磁性体コアをモールドする第2モールド部とを有することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の出力ノイズ低減装置。
前記導電部は、前記バスバーに基端部が接続され前記複数の磁性体コアの間に挿通され先端部に前記グランドに接続される第1グランド端子を有する第1導電部と、前記バスバーに基端部が接続され前記延設方向において前記複数の磁性体コアのうちの少なくとも1つを間に挟んで前記第1導電部とは反対側に設けられ先端部に前記グランドに接続される第2グランド端子を有する第2導電部と、を有することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の出力ノイズ低減装置。
【発明を実施するための形態】
【0019】
(第1実施形態)
以下、本発明の一実施形態について、図面を参照しながら説明する。
図1は、本願の出力ノイズ低減装置の一例としてフィルタモジュール10を示しており、スイッチング電源15の接続点Xにフィルタモジュール10を接続した回路図を示している。スイッチング電源15は、アルミダイカスト製などの金属製筐体17に収納されている。
【0020】
まず、
図1を用いてフィルタモジュール10に関する電気的な作用効果を説明する。スイッチング電源15は、例えば、車載用の電源であり、ハイブリッド車あるいは電気自動車等が備えるメインバッテリー(不図示)から供給される駆動系の電源電圧VIN(例えば、DC244Vなど)の電圧値を降圧し、補機バッテリー19への電力供給を行う降圧型のスイッチング電源である。補機バッテリー19は、オーディオ機器、エアコン機器、照明機器などの車内電装機器に電源電圧(例えば、DC14Vなど)を供給する。
【0021】
スイッチング電源15は、電源電圧VINと接地電位GNDとの間に、パワートランジスタTとダイオードDとが直列に接続されている。スイッチング電源15は、パワートランジスタTとダイオードDと間の接続点Xから電力を供給する。スイッチング電源15は、パワートランジスタTのゲート端子に印加されるスイッチング信号SWに基づいて、所定のスイッチング周波数fでパワートランジスタTのオンオフ制御を行う。
【0022】
フィルタモジュール10は、入力端子VIと出力端子VOとの間に、コンデンサC0、チョークコイルL1、及びコンデンサC1が接続されたπ型のフィルタモジュールとして構成されている。フィルタモジュール10は、入力端子VIと出力端子VOとを結ぶ出力電圧の経路にチョークコイルL1が設けられている。チョークコイルL1は、入力側の接続点と接地電位GNDとの間にコンデンサC0が接続され、出力側の接続点と接地電位GNDとの間にコンデンサC1が接続さている。
【0023】
スイッチング電源15の接続点Xとフィルタモジュール10の入力端子VIとの間には、コイルL0が接続されている。パワートランジスタTのオン期間は、電源電圧VINからコイルL0に電力が供給され、コイルL0に電磁エネルギーが蓄積される。蓄積されたエネルギーは、パワートランジスタTのオフ期間に、ダイオードDからの電流によりフィルタモジュール10のコンデンサC0を含む出力側に放出される。スイッチング電源15では、これらの動作が所定のスイッチング周波数fで繰り返して行われる。
【0024】
スイッチング電源15において、負荷電流に応じた電流は、パワートランジスタT、あるいはダイオードDを介して接続点Xに向かってスイッチング周波数fで交互に流れる。これにより、電源電圧VIN及び接地電位GNDの間において、負荷電流に応じた電流は、スイッチング周波数fで断続して流れ、変動が生ずる。また、接続点Xの電位は、電源電圧VINと接地電位GNDとの間でスイッチング周波数fに応じて交互に切り替わる。従って、スイッチング電源15において、スイッチング動作による電流変動と電圧変動とは、スイッチング周波数f及びその高調波周波数のスイッチングノイズを発生させるノイズ源となる場合がある。こうしたスイッチングノイズは、例えば、信号経路や接地配線を介して回り込む伝導性ノイズや容量結合など空間を介して伝搬する誘導性ノイズとして入力端子VIに伝搬する虞がある。
【0025】
上記したように、本実施形態のフィルタモジュール10は、コイルL0を介して接続点Xに接続されている。フィルタモジュール10は、スイッチング電源15の動作に起因したスイッチング周波数fやその高調波周波数のノイズを低減する。ここで、スイッチング電源15におけるスイッチング周波数fは、出力電力の定格や回路を構成する素子の仕様などに応じて定められる。例えば、車載用のスイッチング電源では、数100kHzで動作するものがある。この場合、スイッチング周波数fやその高調波周波数が、車載AMラジオの周波数帯域(500〜1700kHz前後)に重なる虞がある。これに対し、本実施形態のフィルタモジュール10は、接続点Xに接続され、これらの帯域のノイズが後段の機器に伝搬するのを抑制できる。
【0026】
次に、フィルタモジュール10の形状・構造に関して説明する。
図2は、
図1に示すフィルタモジュール10の斜視図を示している。
図3は、
図2におけるフィルタモジュール10のモールド部23(後述する第2モールド部52のみ)を取り除いた状態を示している。
【0027】
図2及び
図3に示すように、フィルタモジュール10は、バスバー21と、モールド部23と、リードフレーム25と、磁性体コア27等を有している。バスバー21は、一方向に延設された矩形板状に形成されている。以下の説明では、
図2及び
図3に示すように、バスバー21の延設方向を前後方向、前後方向に垂直で板状のバスバー21の平面に沿った方向を左右方向、前後方向及び左右方向に垂直でバスバー21の平面に垂直な方向を上下方向と称して説明する。
【0028】
バスバー21は、
図1に示す入力端子VIと出力端子VOとを繋ぐ出力電圧の経路を構成する。バスバー21は、上方から見た場合に、前後方向に延びる略長方形状に形成されている(
図4参照)。バスバー21は、例えば、タフピッチ銅やアルミ等の金属材料で形成されている。バスバー21には、前方側(
図2及び
図3おける左側)の端部に、上下方向から見た場合に矩形状をなしている端子部31が形成されている。端子部31には、上下方向に貫通した円形の接続孔31Aが形成されている。この端子部31は、
図1の入力端子VIを構成し、コイルL0に接続された接続端子に対してボルト等によって接続孔31Aを締結させ電気的に接続される。
【0029】
また、バスバー21には、後方側(
図2及び
図3における右側)の端部に、上下方向から見た場合に矩形状をなしている端子部32が形成されている。端子部32には、上下方向に貫通した円形の接続孔32Aが形成されている。この端子部32は、
図1の出力端子VOを構成し、金属製筐体17外の補機バッテリー19に接続ケーブル等を介して接続される。モールド部23は、端子部31,32を除くバスバー21の全体を覆うように形成されている。モールド部23は、上下方向に薄い略箱型形状をなしている。モールド部23の材料としては、例えば、エポキシ樹脂、不飽和ポリエステルなどの熱硬化性樹脂やPBT、PPSなどの熱可塑性樹脂を用いることができる。
【0030】
図4は、
図3の分解斜視図を示している。
図4に示すように、バスバー21には、前後方向において、端子部31,32との間にコア取付部33が形成されている。コア取付部33は、左右方向の幅を一定としながら前後方向に沿って延設された板状をなしている。コア取付部33の左右方向の幅は、端子部31,32に比べて狭くなっている。
【0031】
リードフレーム25は、複数(本実施形態では5つ)の固定部41と、グランド端子部43,44等を有している。リードフレーム25は、例えば、金属平板に対する打ち抜き加工等によって形成される。複数の固定部41は、前後方向に沿って並設されている。固定部41の各々は、コア取付部33の上面33Aに対して固定されている。固定部41を上面33Aに固定する方法としては、例えば、溶接による方法(プロジェクション溶接、スポット溶接、超音波溶接等)を用いることができる。また、固定方法は、溶接に限らず、半田付けによる方法、導電性の接着剤等を用いる方法、ボルト等による締結方法でもよい。
【0032】
グランド端子部43,44の各々は、固定部41に対して左右方向の外側に配置されている。固定部41の各々と左側のグランド端子部43、及び固定部41の各々と右側のグランド端子部44を接続する部分は、モールド部23の第1モールド部51によってモールドされている。モールド部23は、
図4に示す第1モールド部51と、第1モールド部51及び磁性体コア27をモールドする第2モールド部52(
図2参照)とで構成されている(
図2参照)。
【0033】
図5は、リードフレーム25の上面図であって、
図4に示す第1モールド部51を取り除いた状態を示している。リードフレーム25は、上記した複数の固定部41、グランド端子部43,44の他に、接続部45,46を有している。リードフレーム25は、左右方向における中点を通り、前後方向に沿った直線に対して対称な構造をなしている。従って、以下の説明では、主にリードフレーム25の左側の構造を説明し、右側の構造の説明を適宜省略する。
【0034】
リードフレーム25は、導電性の良好な金属材料(例えば黄銅、銅等)で形成されている。固定部41の各々は、溶接部41Aと、延設部41B,41Cとを有している。溶接部41Aは、上下方向から見た場合に略円形をなしており、上記したコア取付部33の上面33Aに溶接等によって固定される。
【0035】
延設部41Bは、円形の溶接部41Aにおける左側の外周部分から径方向外側に向かって延設されている。延設部41Bは、左右方向に沿って延設され、上下方向から見た場合に、左右方向に長い略長方形状をなしている。接続部45は、上下方向から見た場合に、左右方向に長い略長方形状をなしている。
【0036】
左側の接続部45は、固定部41の延設部41Bに対応して5個設けられている。同様に、右側の接続部46は、固定部41の延設部41Cに対応して5個設けられている。接続部45の各々は、チップコンデンサ61が実装されることで延設部41Bと連結されている。接続部45と延設部41Bとは、左右方向の間に所定の幅のスリットを設けて離間した状態で配置されている。チップコンデンサ61は、接続部45と延設部41Bとの間のスリットを跨がるようにして配置されている。チップコンデンサ61は、一方の端子が延設部41Bの左側端部に接続され、他方の端子が接続部45の右側端部に接続されている。延設部41B及び接続部45は、チップコンデンサ61を実装した状態で、第1モールド部51(
図4参照)によってモールドされ互いの位置を固定されている。チップコンデンサ61は、例えば、半田付けによって延設部41B及び接続部45の上面に表面実装される。チップコンデンサ61は、延設部41B及び接続部45に対して表面実装されることによって、リードを省略して接続距離を短くしてESL(等価直列インダクタンス)やESR(等価直列抵抗)の低減が図られている。
【0037】
グランド端子部43は、連結部43Aと、締結板部43Bとを有している。連結部43Aは、接続部45の位置に合わせて前後方向に沿って延設された板状をなしている。従って、連結部43Aの前端部は、5つの接続部45のうち、最も前方側の接続部45の左側に位置している。同様に、連結部43Aの後端部は、5つの接続部45のうち、最も後方側の接続部45の左側に位置している。
【0038】
接続部45の各々は、チップコンデンサ62が実装されることで連結部43Aと連結されている。換言すれば、グランド端子部43は、連結部43Aを介してすべての接続部45及び固定部41と電気的に接続されている。接続部45の各々と連結部43Aとは、左右方向の間に所定の幅のスリットを設けて離間した状態で配置されている。チップコンデンサ62は、接続部45と連結部43Aとの間のスリットを跨がるようにして配置されている。チップコンデンサ62は、一方の端子が接続部45の左側端部に接続され、他方の端子が連結部43Aの右側端部に接続されている。接続部45及び連結部43Aは、チップコンデンサ62を実装した状態で、第1モールド部51(
図4参照)によってモールドされ互いの位置を固定されている。チップコンデンサ62は、チップコンデンサ61と同様に、接続部45及び連結部43Aに対して表面実装されている。
【0039】
締結板部43Bは、連結部43Aの前後方向における中央部から左側に向かって延設されている。締結板部43Bは、前後方向の幅を一定としながら左側に向かって形成され、左側の外周部分が円弧状に形成されている。締結板部43Bの前端部は、前後方向に沿って並ぶ5つの接続部45のうち、前方から2番目の接続部45の位置に対応している。また、締結板部43Bの後端部は、後方から2番目の接続部45の位置に対応している。従って、グランド端子部43の前後方向の幅は、3つの接続部45を並べた長さに対応している。なお、上記した締結板部43Bの大きさ、位置、形状は、一例であり、適宜変更可能である。例えば、締結板部43Bの前後方向の幅は、5つの接続部45の全てと左右方向で対向する大きさでもよい。
【0040】
締結板部43Bの左側部分には、上下方向に向かって貫通した円形の締結孔43Cが形成されている。また、
図2に示すように、モールド部23の第2モールド部52には、締結孔43Cの位置に合わせた開口52Aが形成されている。グランド端子部43の一部は、開口52Aから露出している。グランド端子部43は、締結孔43Cに挿通した締結部材(ボルトなど)を、金属製筐体17の被螺合部(図示略)に締結することで金属製筐体17に対して固定される。締結部材は、開口52Aから露出したグランド端子部43の一部と接触し、電気的に接続される。
【0041】
図5に示すように、リードフレーム25の右側部分は、左側部分と同様に構成されている。延設部41Cは、チップコンデンサ64を介して接続部46に接続されている。接続部46は、チップコンデンサ65を介してグランド端子部44の連結部44Aに接続されている。グランド端子部44の締結板部44Bは、締結孔44Cに挿通した締結部材を、金属製筐体17の被螺合部に締結することで金属製筐体17に対して固定される。
【0042】
従って、
図2に示すフィルタモジュール10は、第2モールド部52によってモールドされた状態で、グランド端子部43,44に挿通した締結部材によって金属製筐体17に固定される。リードフレーム25は、締結部材を介して金属製筐体17と電気的に接続され、金属製筐体17から接地電位GNDを供給される。これにより、バスバー21に固定した固定部41と左側のグランド端子部43との間には、合計で10個のチップコンデンサ61,62が実装された状態となる。この10個のチップコンデンサ61,62は、直列接続される2つのチップコンデンサ61,62を1組として、5組のチップコンデンサ61,62が並列に実装されている。同様に、固定部41と右側のグランド端子部44との間には、合計で10個のチップコンデンサ64,65が実装された状態となる。チップコンデンサ61,62,64,65は、
図1に示すコンデンサC1,C0を構成する。本実施形態のチップコンデンサ61,62,64,65は、同一の大きさの静電容量となっている。
【0043】
また、
図5に示すように、リードフレーム25には、固定部41、接続部45、及び連結部43Aで囲まれた部分に挿通孔71が形成されている。同様に、リードフレーム25には、固定部41、接続部46及び連結部44Aで囲まれた部分に挿通孔72が形成されている。挿通孔71,72は、上下方向から見た場合に、左右方向に長い略長方形状をなしている。
【0044】
図6は、
図3の上面図を示している。
図3に示すように、第1モールド部51は、モールド突出部54,55と、モールド連結部57,58とを有している。モールド突出部54は、延設部41Bの一部、接続部45、及びチップコンデンサ61,62(
図5参照)をモールドしている部分であり、左右方向に長く、前後方向に薄い直方体形状をなしている。モールド突出部54は、接続部45等の位置に合わせて形成され、合計で5つ形成されている。モールド連結部57は、連結部43A(
図5参照)をモールドしている部分であり、前後方向に長く、左右方向に薄い直方体形状をなしている。第1モールド部51は、5つのモールド突出部54の左側端部をモールド連結部57によって連結することによって、上下方向から見た場合に、右側に向かって突出する櫛歯形状をなしている。上記した挿通孔71は、前後方向で隣り合う2つのモールド突出部54、モールド連結部57、及びバスバー21によって囲まれて構成されている。
【0045】
同様に、モールド突出部55の各々は、接続部46等をモールドしている。モールド突出部55の各々の右側端部は、連結部44A(
図5参照)をモールドするモールド連結部58によって連結されている。5つのモールド突出部55及びモールド連結部58は、上下方向から見た場合に、左側に向かって突出する櫛歯形状をなしている。上記した挿通孔72は、前後方向で隣り合う2つのモールド突出部55、モールド連結部58、及びバスバー21によって囲まれて構成されている。
【0046】
また、
図4に示すように、磁性体コア27は、4つのU型コア81と、1つの棒型コア83とを有している。複数のU型コア81は、同一形状をなし、前後方向から見た場合に、上方側に開口を有する略U字形状をなしている。U型コア81は、前後方向に所定の厚みをもった板状をなしている。磁性体コア27の材料としては、例えば、ソフトフェライト等の磁性材料を用いることができる。本実施形態の4つのU型コア81は、同一の大きさのインダクタンスとなっている。
【0047】
U型コア81は、底部81Aと、2つの突出部81B,81Cとを有している。底部81Aは、U型コア81の下端部において左右方向に沿って形成された板状をなしている。突出部81Bは、底部81Aの左側端部における上側の端面から上方に向かって延設された板状をなしている。突出部81Bは、底部81Aと一体成形されている。突出部81Bは、上記した第1モールド部51のモールド突出部54等で構成された挿通孔71に下方から挿通されている。
【0048】
同様に、突出部81Cは、底部81Aの右側端部における上側の端面から上方に向かって延設された板状をなしている。突出部81Cは、底部81Aと一体成形されている。突出部81Cは、上記した第1モールド部51のモールド突出部55等で構成された挿通孔72に下方から挿通されている。
【0049】
図3に示すように、突出部81B及び突出部81Cは、挿通孔71,72から上方に突出した状態で第2モールド部52(
図2参照)によって固定されている。棒型コア83は、前後方向に長い直方体形状をなしている。棒型コア83は、挿通孔71,72内に固定された4つのU型コア81の開口部分に挿入されている。また、
図4に示す突出部81B,81Cの左右方向の幅W1は、
図6に示すように、モールド連結部57の内側端面(右側端面)からモールド連結部58の内側端面(左側端面)までの距離に比べて若干小さい大きさとなっている。また、突出部81B,81Cの各々の左右方向の幅W2は、挿通孔71,72に比べて若干小さい大きさとなっている。
【0050】
また、突出部81B,81Cの各々の前後方向の幅W3は、前後方向で隣り合う2つのモールド突出部54,55間の距離に比べて若干小さい大きさとなっている。従って、突出部81B,81Cは、挿通孔71,72に挿入されることで、外周面を挿通孔71,72に近接又は接触させた状態となる。U型コア81は、突出部81B,81Cを挿通孔71,72に挿入した状態では、前後方向及び左右方向の移動を第1モールド部51によって規制される。また、突出部81B,81Cは、第1モールド部51によって移動を規制されることで、左右方向における内側に配置されたコア取付部33及び棒型コア83と離間した位置に保持される。
【0051】
棒型コア83は、固定された4つのU型コア81のうち、最も前方側のU型コア81と対向する位置から、最も後方側のU型コア81に対向する位置まで形成されている。換言すれば、本実施形態の磁性体コア27は、所定の幅W3(厚み)で同一形状に分割(スライス)したU型コア81を前後方向に並べて、その複数のU型コア81の開口に直方体形状の棒型コア83を挿入して構成されている。また、フィルタモジュール10は、分割したU型コア81間に、同一の静電容量のチップコンデンサ61,62,64,65(
図5参照)を配置することで、π型のフィルタ回路を多段に配置した構成となっている。
【0052】
図4に示すように、5つのモールド突出部54のうち、最も前方側のものと、最も後方側のものとの2つを除く、当該2つのモールド突出部54の間に挟まれた3つのモールド突出部54には、段差部54Aが形成されている。段差部54Aは、各モールド突出部54の右側端部における上端部に形成されている。同様に、5つのモールド突出部55のうち、前後方向で挟まれた3つのモールド突出部55には、段差部55Aが形成されている。段差部55Aは、各モールド突出部55の左側端部における上端部に形成されている。段差部54A,55Aは、モールド突出部54,55の各々の上面側から下方に向かって凹設して形成されている。棒型コア83は、この段差部54A,55A上に載置される。棒型コア83は、段差部54A,55Aによって左右方向及び下方への移動が規制されている。
【0053】
図7は、
図3に示すフィルタモジュール10の前面図を示している。
図6及び
図7に示すように、棒型コア83は、段差部54A,55Aに載置された状態では、バスバー21から上方に離間した位置に配置されている。また、底部81Aは、バスバー21から下方に離間した位置に配置されている。また、U型コア81の突出部81B及び突出部81Cは、左右方向において、コア取付部33との間に所定の隙間を設けて配置されている。このため、磁性体コア27は、U型コア81と棒型コア83とでバスバー21を取り囲むように配置され、且つ、バスバー21との間に所定の隙間を間に設けて配置されている。磁性体コア27は、バスバー21を挿通して、内側面とバスバー21とを対向させて配置することにより、チョークコイルL1(
図1参照)を構成する。
【0054】
また、棒型コア83の左右方向の幅W4(
図4参照)は、左右方向における突出部81B,81C間の距離に比べて若干短い距離となっている。このため、棒型コア83は、突出部81B,81Cの各々との左右方向の間にギャップ85を設けて配置されている。換言すれば、磁性体コア27は、2つのギャップ85によって、棒型コア83とU型コア81とに分割されている。ギャップ85は、いわゆるコアギャップであり、磁性体コア27の周方向に向かう磁路の一部を不連続としている。磁性体コア27は、ギャップ85の幅、例えば、棒型コア83の左右方向の幅を変更することによって磁気抵抗が調整され磁気飽和の発生を防止することが可能となる。また、フィルタモジュール10は、磁性体コア27のギャップ85の幅を調整して磁気飽和を抑制することにより、ノイズ成分の除去に必要なチョークコイルL1のインダクタンスを確保することが可能となる。なお、磁性体コア27は、所定の透磁率のスペーサをギャップ85内に挿入し、ギャップ85から発生する漏れ磁束の抑制を図った構成でもよい。
【0055】
<フィルタ特性の向上について>
上記したように、本実施形態のフィルタモジュール10は、同一形状に分割したU型コア81の前後方向の間に、同一の静電容量のチップコンデンサ61,62,64,65を配置して、π型のフィルタ回路を多段に配置した構成となっている。次に、この多段に構成したフィルタモジュール10と、多段に構成せず、且つ合計のインダクタンス及びキャパシタンスを同一値としたフィルタモジュールとのフィルタ特性の比較結果について説明する。
図8は、上記した条件でシミュレーションを実施し、確認されたフィルタ特性のグラフを示している。
【0056】
図8の縦軸は、バスバー21を流れる出力電圧に電導するノイズの減衰に関する挿入損失を示している。横軸は、周波数を示している。また、実線で示す波形101は、本実施形態のフィルタモジュール10に対応する多段に構成した場合のシミュレーション結果を示している。また、破線で示す波形102(図中における「π型フィルタ」)は、第1比較例のフィルタモジュールのシミュレーション結果を示している。また、一点鎖線で示す波形103(図中における「π型フィルタ」)は、第2比較例のフィルタモジュールのシミュレーション結果を示している。第1及び第2比較例のフィルタモジュールは、例えば、磁性体コア27を分割せずに1つで構成し、且つ、磁性体コア27の合計のインダクタンスの値と同一値のインダクタンスを有する磁性体コアを備えている。この磁性体コアの前後方向の幅は、例えば、
図4に示すU型コア81の4つ分(幅W3×4)の幅を有している。
【0057】
また、本実施形態のフィルタモジュール10では、バスバー21とグランドとの間に、合計で10個のチップコンデンサ61,62が実装されている。この10個のチップコンデンサ61,62は、直列接続される2つのチップコンデンサ61,62を1組として、5組のチップコンデンサ61,62が並列に接続されている。同様に、バスバー21とグランドとの間には、5組のチップコンデンサ64,65が並列に接続されている。
【0058】
これに対し、第1比較例のフィルタモジュールには、例えば、1つにまとめた磁性体コアの前段に1組のチップコンデンサ61,62及び1組のチップコンデンサ64,65が並列に接続されている。また、第1比較例のフィルタモジュールには、例えば、1つにまとめた磁性体コアの後段に4組のチップコンデンサ61,62及び4組のチップコンデンサ64,65が並列に接続されている。また、第2比較例のフィルタモジュールには、例えば、1つにまとめた磁性体コアの前段に2組のチップコンデンサ61,62及び2組のチップコンデンサ64,65が並列に接続されている。また、第2比較例のフィルタモジュールには、例えば、1つにまとめた磁性体コアの後段に3組のチップコンデンサ61,62及び3組のチップコンデンサ64,65が並列に接続されている。このため、第1及び第2比較例のフィルタモジュールは、本実施形態のフィルタモジュール10と合計で同一値の静電容量となるチップコンデンサ61,62,64,65をコアとグランドとの間に並列に接続している。
【0059】
図8に示すように、3つの波形101〜103は、ともに約100kHz付近から約300kHzに向かって挿入損失が徐々に増大している。第1及び第2比較例の波形102,103は、約300kHzで最も挿入損失が大きくなり、その後徐々に挿入損失が小さくなっている。一方で、波形101(本実施形態)は、約300kHz以降もさらに挿入損失が増大し、400kHz〜500kHzの間で最も挿入損失が大きくなっている。また、100kHzから300kHzぐらいまでの波形101の傾きは、第1及び第2比較例の波形102,103に比べて急峻となっている。従って、特定の周波数帯域(例えば、数100kHz等のAM帯域)において、本実施形態の構成では、ノイズを抑制する高い効果が現れているものと考えることができる。
【0060】
さらに、本実施形態の波形101では、約400kHzで約−115dBまで挿入損失が増大し、第1及び第2比較例の波形102,103に比べて顕著なノイズ低減効果が得られていることを確認できる。ここで、波形101〜103の形状、即ち、フィルタ特性は、様々な要因によって変更される。例えば、チョークコイルL1の前段に接続されたコンデンサC0(
図1参照)を構成するチップコンデンサ61等の組数は、第1比較例の場合が1組、第2比較例の場合が2組となる。一方で、本実施形態の波形101の場合、個々のチョークコイルL1の前段が1組であるため、個々のチップコンデンサ61等の容量が比較例と同一であっても共振周波数が大きくなったと考えられる。共振周波数が大きくなったことで波形101は、第1及び第2比較例の波形102,103に比べて高周波側へシフトしたものと考えられる。
【0061】
また、チップコンデンサ61等とグランドとの導電経路が、容量部ごとに形成され並列化されることでフィルタモジュール10全体のESL(等価直列インダクタンス)が小さくなり、また並列化してフィルタの次数が増加したことにより、波形が急峻になったものと考えられる。その結果、挿入損失が大きくなり、フィルタ特性が改善されたものと考えられる。
【0062】
なお、
図8に示す波形は、シミュレーション結果の一例である。本実施形態のフィルタモジュール10では、インダクタンスやキャパシタンスの大きさ等を変更することによって、ノイズの抑制を図りたい周波数帯域を所望の周波数帯域(例えば、FM帯域等)に変更することが可能である。これにより、本実施形態のフィルタモジュール10は、
図8に示す周波数帯域とは別の周波数帯域においても、顕著なフィルタ特性の改善を図ることが可能である。
【0063】
因みに、上記実施形態において、フィルタモジュール10は、出力ノイズ低減装置の一例である。リードフレーム25は、導電部の一例である。接続部45,46及び延設部41B,41Cは、第1導電部及び第2導電部の一例である。連結部43A,44Aは、連結部の一例である。チップコンデンサ61,62,64,65は、容量部の一例である。
【0064】
以上、詳細に説明したように、本願に開示される第1実施形態のフィルタモジュール10においてリードフレーム25の接続部45等は、バスバー21とグランド端子部43,44とを接続する。この接続部45等の一部は、バスバー21を囲む複数のU型コア81によって挟まれている。フィルタモジュール10は、接続部45に接続したチップコンデンサ61等と、複数のU型コア81とでπ型のフィルタ回路を構成し、バスバー21を伝達する出力電圧に混入するノイズを低減する。このような構成では、磁性体コア27を分割し、チップコンデンサ61等(容量部)とグランドとの導電経路を並列化することで、回路全体のESLの低減やフィルタ次数の増加を図り、バスバー21を流れる出力電圧に電導するノイズの挿入損失を大きくすることができる。このため、複数のU型コア81や棒型コア83のインダクタンスを合計した値と同一値のインダクタンスを有するコアを1つの部材で構成した場合に比べて、フィルタ特性を向上することができる。結果として、同一体積の磁性体コアを用いたとしてもフィルタ特性を向上させることができ、装置の小型化を図りつつ、効果的にノイズの低減を図ることができる。特に、自動車分野では、車内の居住空間を確保する観点や、燃費向上のため自動車の軽量化を図る観点から、限られたスペースの中で、この種のフィルタモジュール10の小型化が望まれている。このため、当該フィルタモジュール10を、自動車の電源設備等のフィルタ装置として用いることは、極めて有効である。
【0065】
また、モールド部23は、複数のU型コア81や棒型コア83、リードフレーム25の一部(接続部45等)及びチップコンデンサ61等をモールドして、バスバー21と一体化している。これにより、フィルタ特性を向上するために分割した複数のU型コア81等をバスバー21と一体化することで、フィルタモジュール10の取り付け作業の際に、コアの位置ずれ等が発生するのを抑制することができる。従って、本実施形態のフィルタモジュール10では、フィルタ特性の向上及び小型化を図りつつ、組み付け性の向上も図っている。
【0066】
また、磁性体コア27は、4つのU型コア81の開口部に棒型コア83を挿入して構成されている。このような構成では、バスバー21の一部にリードフレーム25を固定した後に、U型コア81等をバスバーに取り付けることができるため、製造工程の順序の自由度や、設計の自由度を向上できる。また、4つのU型コア81で棒型コア83を共用することで、部材点数の削減を図ることができる。
【0067】
また、リードフレーム25には、固定部41、接続部45、及び連結部43Aで囲まれた部分に挿通孔71が形成されている(
図5参照)。この挿通孔71は、第1モールド部51によってモールドされ、前後方向で隣り合う2つのモールド突出部54、モールド連結部57、及びバスバー21によって囲まれて構成されている(
図6参照)。そして、U型コア81は、挿通孔71に下方から挿入される。これにより、4つのU型コア81や棒型コア83のバスバー21に対する装着位置を明確にし、取り付け性の向上を図っている。また、挿通孔71に挿通されたU型コア81は、装着位置がずれた場合に、第1モールド部51に接触し移動が規制され、位置ずれが防止される。第2モールド部52は、挿通孔71に挿通されたU型コア81を第1モールド部51やバスバー21等とモールドして一体化する。これにより、挿通孔71に挿入し位置ずれを防止しながらU型コア81をバスバー21等と固定することができる。
【0068】
(第2実施形態)
次に、本発明のフィルタモジュールの第2実施形態について説明する。
図9は、第2実施形態のフィルタモジュール10Aの斜視図であって、モールド部23(第1モールド部51及び第2モールド部52)を取り除いた状態を示している。また、上記した第1実施形態のフィルタモジュール10では、チップコンデンサ62,65を連結部43A,44Aで互いに連結し、共通端子であるグランド端子部43,44に接続する構成であった。これに対し、第2実施形態のフィルタモジュール10Aは、チップコンデンサ62,65を、それぞれ金属製筐体17(グランド)に接続するためのグランド端子部111,112を有する点で、上記した第1実施形態と異なっている。
【0069】
なお、以下の説明では、第1実施形態と同様の構成については、同一符号を付し、その説明を適宜省略する。また、フィルタモジュール10Aは、フィルタモジュール10と同様に、左右方向で対称な構成となっている。このため、以下の説明では、右側(グランド端子部111側)の構造を主に説明し、左側(グランド端子部112側)の構造の説明については適宜省略する。また、
図9に示す内壁17Aは、
図1に示す金属製筐体17内に収納されたフィルタモジュール10Aを配置する位置における金属製筐体17の一部を示している。
【0070】
フィルタモジュール10Aのグランド端子部111(第1導電部及び第2導電部の一例)は、5つのチップコンデンサ65の各々に対応して設けられている。グランド端子部111は、板状をなし、上下方向に延設される第1延長端子部111Aと、左右方向に延設される第2延長端子部111Bと、締結板部111C(第1グランド端子及び第2グランド端子の一例)とを有している。第1延長端子部111Aの上端部は、チップコンデンサ65の右側の端子に接続されている。第1延長端子部111Aは、チップコンデンサ65と接続される上端部から下方に向かって屈曲し、前後方向の幅を一定としながら上下方向に沿って形成されている。
【0071】
第2延長端子部111Bは、第1延長端子部111Aの下端部に連続して形成され、右側に向かって屈曲している。第2延長端子部111Bは、前後方向の幅を一定としながら左右方向に沿って形成されている。従って、グランド端子部111は、前方向から見た場合に、略L字形状をなしている。締結板部111Cは、第2延長端子部111Bの右側の先端部に形成されている。締結板部111Cは、ボルト等(図示略)を挿通するための挿通孔を有している。フィルタモジュール10Aは、締結板部111Cに挿通されたボルト等によって金属製筐体17の内壁17Aに対して固定され、グランドが供給される。各チップコンデンサ65に接続された合計で5つのグランド端子部111の各々は、前後方向において所定の間隔を間に設けて並設されている。フィルタモジュール10Aは、各グランド端子部111,112を介して、金属製筐体17からグランドが供給される。
【0072】
第2実施形態のフィルタモジュール10Aでは、グランド端子部111の締結板部111Cをバスバー21等の下方に配置することで、例えば、フィルタモジュール10Aを収納する金属製筐体17の内壁17Aに締結板部111Cを近接させて配置することができる。ここで、第1実施形態のフィルタモジュール10では、グランド端子部43,44の締結板部43B,44B、連結部43A,44A、接続部45,46等を、バスバー21及びチップコンデンサ61,62と同一平面上に配置する構成であった。例えば、第1実施形態のフィルタモジュール10では、モールド部23の下面を内壁17Aに当接させて配置すると、グランド端子部43,44は、内壁17Aから上方に離間した位置となる。このため、金属製筐体17には、例えば、締結孔43C,44Cに挿通したボルトを螺合する部分として、内壁17Aから上方に向かって突出するボス部等を形成する必要がある。あるいは、内壁17Aとグランド端子部43,44との上下方向の距離を維持するために、グランド端子部43,44と内壁17Aとの間にボルトを挿通するカラー部材を配置する必要が生じる。
【0073】
これに対し、第2実施形態のフィルタモジュール10Aでは、締結板部111Cをバスバー21等の下方に配置することで、上下方向において締結板部111Cと内壁17Aとを近接して配置し、ボス部等を用いることなく、内壁17Aに良好に固定することが可能となる。なお、第2実施形態のグランド端子部111,112の形状は一例であり、適宜変更可能である。例えば、複数のグランド端子部111の各々を、下方に向かって屈曲させずに、左右方向に沿って形成してもよい。この場合、複数のグランド端子部111は、バスバー21と同一平面上に配置される。また、例えば、グランド端子部111,112の一部、又は全部を導電性弾性体で形成し、グランド接地する構成でもよい。
【0074】
また、第1実施形態のフィルタモジュール10は、5つのチップコンデンサ62を1つの締結板部43Bと接続するための連結部43Aを有する。この場合、フィルタモジュール10は、例えば、外部からの衝撃等によって外力が付与されると、共通部分である締結板部43Bに応力が集中することとなる。このため、締結板部43Bは、応力が集中することで、変形等する虞がある。
【0075】
これに対し、第2実施形態のフィルタモジュール10Aでは、チップコンデンサ65の各々をグランドと接続するためのグランド端子部111を設けることで、外力等に起因した応力を分散させ、グランド端子部111の変形等を抑制することができる。また、フィルタモジュール10Aでは、締結板部111Cの各々を内壁17A(グランド)と接続、又は未接続とすることで、バスバー21とグランド間との全体の静電容量値(フィルタ特性)を調整することができる。
【0076】
なお、本願に開示される技術は上記実施形態に限定されるものではなく、趣旨を逸脱しない範囲内での種々の改良、変更が可能であることは言うまでもない。
例えば、第1実施形態のフィルタモジュール10では、連結部43Aによって、5つのチップコンデンサ62を1つの締結板部43Bに接続する構成であったがこれに限らない。例えば、リードフレーム25は、複数のチップコンデンサ62を別々に、金属製筐体17と接続するためのグランド端子部43を備えてもよい。
【0077】
また、上記実施形態では、複数のU型コア81は、1つの棒型コア83を共用する構成であったが、これに限らない。例えば、棒型コア83を、各U型コア81の位置や形状に合わせて複数個に分割した構成でもよい。
また、磁性体コア27は、ギャップ85を備えない構成でもよい。例えば、磁性体コア27は、複数の環状のコアを前後方向に沿って所定の間隔を間に設けて配置した構成でもよい。
【0078】
また、上記実施形態では、フィルタモジュール10は、前後方向においてチップコンデンサ61等とU型コア81を交互に配置したが、これに限らない。例えば、フィルタモジュール10は、複数の接続部45のうち、任意の接続部45からチップコンデンサ61,62を取り外した構成でもよい。また、例えば、フィルタモジュール10は、複数のU型コア81のうち、任意のU型コア81を取り外した構成でもよい。このように選択的にチップコンデンサ61,62やU型コア81を取り外すことで、フィルタモジュール10は、π型に限らず、L型やT型のフィルタ回路を構成することができる。また、フィルタモジュール10は、外観としては同一形状であっても、チップコンデンサ61やU型コア81の数を変更し、インダクタンスとキャパシタンスの常数を変更してフィルタ特性の調整を行うことが可能となる。
また、上記実施形態では、バスバー21とグランドとの間に、2つのチップコンデンサ(例えば、チップコンデンサ61,62)を直列に接続する構成であったが、これに限らない。例えば、フィルタモジュール10は、バスバー21とグランドとの間に、1又は3以上のチップコンデンサを接続する構成でもよい。
また、上記実施形態では、チップコンデンサ61,62,64,65は、バスバー21を間に挟んで左右方向で対称な配置となっていたが、非対称な配置でもよい。
また、チップコンデンサ61,62,64,65は、互いに異なる大きさの静電容量の素子でもよい。この場合、フィルタモジュール10は、バスバー21に対して異なる共振周波数のフィルタ回路が複数取り付けられることで、フィルタ特性の調整を図ることが可能となる。
【0079】
また、本願における容量部は、チップコンデンサに限らず、電界コンデンサやフィルムコンデンサなどでもよく、これらを組み合わせて構成してもよい。
また、上記実施形態では、固定部41やU型コア81を、前後方向において等間隔に配置したが、異なる間隔で配置してもよい。
また、上記実施形態では、複数のU型コア81は、同一の幅のギャップ85を備えたが、異なる幅のギャップ85を備える構成でもよい。
【0080】
また、上記実施形態では、U字形状のU型コア81と、直方体形状の棒型コア83とを組み合わせて磁性体コア27を構成したが、磁性体コア27の形状等は、これに限らない。
図9は、別例の磁性体コア27Aの斜視図を示している。
図9に示すように、磁性体コア27Aは、2つのU型コア81を上下方向で反転して配置し、互いに対向させて環状のコアを構成している。また、2つのU型コア81は、上下方向においてギャップ85を間に挟んで配置されている。このギャップ85は、左右方向において、バスバー21(
図4参照)や連結部43A(
図5参照)等と対向する位置となる。また、ギャップ85は、前後方向において接続部45やチップコンデンサ61(
図5参照)等と対向する位置となる。このような構成では、例えば、ギャップ85からの漏れ磁束に起因した電磁誘導によって、連結部43A等に誘導電流を発生させる。また、この誘導電流を、連結部43Aをグランド(グランド端子部44等)に向かって流れるノイズ電流の流れる向きとは逆方向の向きに発生させることで、ノイズ電流の一部又は全部を相殺することが可能となる。その結果、誘導電流によって相殺される分だけ余分に、ノイズ電流をグランドに向けて流すことが許容され、ノイズをより低減することが可能となる。
【0081】
また、上記実施形態において、磁性体コア27の材料は、ソフトフェライトに限らず、センダストやアモルファス磁性合金を用いてもよい。
また、上記実施形態では、接地電位GNDを供給するためにリードフレーム25と金属製筐体17とをボルト等の締結部材によって接続したがこれに限らない。例えば、リードフレーム25と金属製筐体17とをリード配線で接続して接地電位GNDを供給してもよい。あるいは、リードフレーム25の一部を延設して金属製筐体17に直接固定してもよい。
また、上記実施形態では、チップコンデンサ61等を、リードフレーム25に実装したが、これに限らない。例えば、チップコンデンサ61等を樹脂基板に実装し、当該樹脂基板をバスバー21やグランド端子部43等に接続してもよい。
また、固定部41とバスバー21との固定方法は、溶接に限らず、螺合や、かしめによって固定する方法でもよい。
また、第1モールド部51と第2モールド部52とは、同一の材料でもよく、異なる材料でもよい。
また、上記実施形態では、フィルタモジュール10を、金属製筐体17内に収納したが、これに限らず、出力電圧の伝達経路の任意の位置に変更することができる。例えば、フィルタモジュール10を、金属製筐体17の外周面に取り付けてもよい。
また、上記実施形態における各部材の形状や数等は、一例であり、適宜変更可能である。例えば、バスバー21は、板状に限らず、円柱形状でもよい。また、モールド部23は、リードフレーム25の全体をモールドせずに、一部のみをモールドする構成でもよい。