(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6674660
(24)【登録日】2020年3月11日
(45)【発行日】2020年4月1日
(54)【発明の名称】ベース付きランプユニット
(51)【国際特許分類】
H01K 1/46 20060101AFI20200323BHJP
H05B 3/06 20060101ALI20200323BHJP
H05B 3/02 20060101ALI20200323BHJP
H05B 3/44 20060101ALI20200323BHJP
【FI】
H01K1/46 Z
H05B3/06 A
H05B3/02 A
H05B3/44
【請求項の数】5
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2016-79539(P2016-79539)
(22)【出願日】2016年4月12日
(65)【公開番号】特開2017-191673(P2017-191673A)
(43)【公開日】2017年10月19日
【審査請求日】2019年3月12日
(73)【特許権者】
【識別番号】000102212
【氏名又は名称】ウシオ電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106862
【弁理士】
【氏名又は名称】五十畑 勉男
(72)【発明者】
【氏名】寺尾 勇哉
【審査官】
関口 英樹
(56)【参考文献】
【文献】
特開2004−259645(JP,A)
【文献】
特開2014−099259(JP,A)
【文献】
特開2011−165484(JP,A)
【文献】
特開2009−043650(JP,A)
【文献】
特開2006−302522(JP,A)
【文献】
特開2000−149880(JP,A)
【文献】
米国特許第06583541(US,B1)
【文献】
実開昭51−020161(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F21V19/00−19/06
H01K1/00−13/06
H05B3/02−3/18
3/40−3/82
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数本の棒状ランプの封止部が、共通のベースに設けられた複数の封止部挿入孔に嵌合されて前記棒状ランプが並列配置されるとともに、
前記棒状ランプへの給電線が、前記封止部挿入孔と直交する給電線挿入孔から挿入され、
前記封止部から突出する外部リードが、前記ベースを貫通して形成された溶接孔内部において、前記給電線に接続されてなるベース付ランプユニットにおいて、
前記給電線には板状の給電端子が取り付けられており、該給電端子は前記溶接孔内で、挿入した位置から回動した位置で該溶接孔と係合して引き抜け防止され、前記棒状ランプの外部リードは前記給電端子に溶接接合されてなることを特徴とするベース付きランプユニット。
【請求項2】
前記給電線は、前記複数の棒状ランプに共通した給電線であって、該給電線に取り付けられた給電端子に、前記複数の棒状ランプの外部リードが共通して接合されていることを特徴とする請求項1に記載のベース付きランプユニット。
【請求項3】
前記ベースには複数の給電線挿入孔が形成され、
前記給電線は、複数の棒状ランプにそれぞれ対応して複数本設けられていて、前記給電線挿入孔からそれぞれ挿入されており、当該給電線の各々に給電端子が取り付けられ、前記棒状ランプの外部リードの各々が個別に前記給電端子に接合されていることを特徴とする請求項1に記載のベース付きランプユニット。
【請求項4】
前記給電線挿入孔には、その孔軸方向に沿って前記溶接孔にまで至る溝部が形成されており、前記給電線に取り付けられた給電端子が、該溝部で挿入可能とされていることを特徴とする請求項1に記載のベース付きランプユニット。
【請求項5】
前記溶接孔が共通する1つの溶接孔であることを特徴とする請求項1に記載のベース付きランプユニット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は複数本の棒状ランプを備えてなるベース付きランプユニットに関するものであり、特に、ベース内でランプの外部リードに給電線を溶接接合してなるベース付きランプユニットに係わるものである。
【背景技術】
【0002】
従来、複写機、レーザービームプリンタなどのトナー定着用加熱光源として用いられるフィラメントランプにおいては、その両端の封止部内の金属箔に、フィラメントの両端の内部リードと、発光管外に導出される外部リードとを接続してピンチシールするものが一般的に多用されていて、該ピンチシールによる封止部はベースによって保持されている。
そして、出力アップのためにランプを複数本備えたランプユニットが使用されており、特開2014−099259号公報(特許文献1)に見られるように、前記複数本のランプが共通する1つのベースに取り付けられる構造が知られている。
【0003】
図9にその全体構造が示され、
図10にその部分拡大構造が示されている。
図9において、ベース付きランプユニットは2本の棒状ランプ20、20を備えている。
図10に示すように、棒状ランプ20は、長尺な発光管21の両端に封止部22が形成されており、その発光管21の内部には、図示しないフィラメントが管軸と一致するように配置されている。
そして、前記発光管21の両端の封止部22内には、金属箔23が埋設されていて、この金属箔23に溶接された外部リード24が外部に突出している。
【0004】
図9に詳細が示されるように、これらの2本のランプ20、20は、共通する1つのベース30によって保持されている。ベース30にはランプ20、22の封止部22、22を受容する封止部挿入孔31、31が形成されていて、前記封止部22がこの封止部挿入孔31内に挿入されることによってランプ20が位置決めされて保持されている。一方このベース30には、前記封止部挿入孔31と直交して給電線挿入孔32が形成されていて、2本の給電線40、40が挿入されている。
更に、このベース30には、前記封止部挿入孔31、31と直交するように溶接孔33、33が貫通して形成されていて、
図10に示すように、この溶接孔33内部において各ランプ20の封止部22から突出する外部リード24と、各給電線40の先端の接続端子41とが溶接されているものである。
【0005】
この従来技術によれば、給電線を棒状ランプの長手方向に対して直交する方向に導出することで、ランプユニット全体の長さを抑えることができるものである。
しかしながら、このような構成では、ランプの封止部に負荷が掛かりやすいという問題がある。
即ち、封止部から導出される外部リードに対して給電線はこれと直交する方向で接続されているために、給電線に引張力が働くと、外部リードを介して封止部にせん断応力が直接的に加わってしまう。このランプの構成上、封止部はせん断応力に対しての耐性が弱いため、最悪の場合、封止部が破損してしまうことも懸念される。そのため、このような装置構成においては、封止部の機械的強度を高めることが必要であった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2014−099259号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
複数本の棒状ランプの封止部が、共通のベースに設けられた複数の封止部挿入孔に嵌合されて前記棒状ランプが並列配置されるとともに、前記棒状ランプへの給電線が、前記封止部挿入孔と直交する給電線挿入孔から挿入され、前記封止部から突出する外部リードが、前記ベースを貫通して形成された溶接孔内部において、前記給電線に接続されてなるベース付ランプユニットにおいて、給電線に引張力が作用しても、外部リードに直接的に当該引張力が作用することがなく、封止部にせん断応力が作用することを回避した構造を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、この発明のベース付きランプユニットでは、
前記給電線には板状の給電端子が取り付けられており、該給電端子は前記溶接孔内で、挿入した位置から回動した位置で該溶接孔と係合して引き抜け防止され、前記棒状ランプの外部リードは前記給電端子に溶接接合されてなることを特徴とする。
また、前記給電線は、前記複数の棒状ランプに共通した給電線であって、該給電線に取り付けられた給電端子に、前記複数の棒状ランプの外部リードが共通して接合されていることを特徴とする。
【0009】
また、前記ベースには複数の給電線挿入孔が形成され、前記給電線は、複数の棒状ランプにそれぞれ対応して複数本設けられていて、前記給電線挿入孔からそれぞれ挿入されており、当該給電線の各々に給電端子が取り付けられ、前記棒状ランプの外部リードの各々が個別に前記給電端子に接合されていることを特徴とする。
また、前記給電線挿入孔には、その孔軸方向に沿って前記溶接孔にまで至る溝部が形成されており、前記給電線に取り付けられた給電端子が、該溝部で挿入可能とされていることを特徴とする。
また、前記溶接孔が共通する1つの溶接孔であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
この発明によれば、給電線に板状の給電端子を取り付け、これを共通のベースに設けた給電線挿入孔から挿入し、溶接孔内において、該給電端子を回動して溶接孔と係合し、その状態でランプの外部リードを給電端子に溶接接合することで、給電線に引張力が作用しても、給電端子の溶接孔との係合により外部リードに直接的にこの引張力が及ぶことがなく、ランプの封止部にせん断応力が発生することがないという効果を奏するものである。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本発明のベース付きランプユニットの一部斜視図。
【
図4】
図2(A)のA−A断面における給電線の挿入説明図。
【
図5】
図2(A)のB−B断面図で、(A)は給電線のみを挿入した図、(B)はランプと給電線を組み込んだ断面図。
【
図6】
図2(A)のC−C断面図で、ランプと給電線を組み込んだ断面図。
【
図7】他の実施例によるベースの斜視図(A)、ランプと給電線を組み込んだB−B断面図(B)。
【発明を実施するための形態】
【0012】
図1はこの発明に係るベース付きランプユニットの一部の斜視図であって、2本の棒状ランプ10、10が、その両端部で共通するベース1に保持されている。後に詳述するように、これらのランプ10、10が保持されたベース1には、その一側面に複数の(この例では2つの)封止部挿入孔2、2が形成されていて、前記ランプ10、10の各々が挿入されている。
一方、ベース1の他の側面には、給電線挿入孔3が形成されていて、複数のランプ10に共通する給電線15がこの給電線挿入孔3から挿入され、ベース1内部で前記ランプ10に接続されている。
【0013】
ベース1について以下に詳述する。
図2(A)は左方斜視図、
図2(B)は右方斜視図であり、
図3(A)は、
図2のX矢視図、
図3(B)は
図2のY矢視図であり、
図4〜
図6は、それぞれ
図2(A)のA−A断面図、B−B断面図、C−C断面図である。
ベース1の一側面には、ランプ10の本数に対応した複数の封止部挿入孔2、2が形成され、他側面には前記封止部挿入孔2と直交するように給電線挿入孔3が形成されている。この実施例では、棒状ランプ10は2本であり、従って封止部挿入孔2は2つ形成されている。また、給電線15は、2本のランプ10に共通する1本の給電線であって、従って、給電線挿入孔3は1つのみ形成されている。
【0014】
更に、ベース1には、前記封止部挿入孔2や給電線挿入孔3と直交してベース1を貫通する溶接孔4、4が形成されている。この実施例においては、この溶接孔4もそれぞれがランプ10に対応して2つ形成されている。
そして、
図3〜6に示すように、前記封止部挿入孔2も給電線挿入孔3もともに、溶接孔4にまで貫通して形成されている。
【0015】
前記封止部挿入孔2は、全体として前方部2aと後方部2bの2段形状であって、前方部2aは、ランプ10の封止部11の形状に則した形状とされており、この例では封止部11が略長方形状であり、前方部2aもまた略長方形状である。そして、
図5に最もよく示されるように、封止部挿入孔2の後方部2bは、ランプ10の外部リード12が挿入される円形形状とされていて前記溶接孔4にまで貫通している。
この形状により、
図5(B)および
図6に示すように、ランプ10の封止部11が封止部挿入孔2に挿入されたとき、封止部11は前記前方部2aと後方部2bの段差部において当接して軸方向の位置決めがなされる。
【0016】
一方、
図3、4に示すように、前記給電線挿入孔3には、上下2箇所にキー溝状の溝部5、5が形成されていて、この溝部5も前記溶接孔4に至るまで形成されている。この溝部5は、後述するように、給電線15の先端に取り付けられた給電端子16がここを介して挿入されるものである。
【0017】
上記構成におけるランプ10の外部リード12と給電線15との接合作業を
図4〜6に基づいて説明する。
図4に示すように、給電線15の先端に取り付けられた板状の給電端子16を給電線挿入孔3の溝部5に挿入する(A)。給電端子16が溶接孔4内に挿入されたら(B)、給電線15と給電端子16を回動させる(C)。これにより給電端子16は溝部5から外れ、その後端部が溶接孔4の内表面と係合し、その引き抜きが防止される。
次いで、その姿勢で、
図5に示すように、ランプ10の封止部11を封止部挿入孔2に挿入して、外部リード12を給電端子16上に位置させる。
次いで、
図6に示すように、溶接孔4の上下から図示しない溶接治具を挿入して、外部リード12と給電端子16を溶接接合する。
【0018】
上記作業により、給電線15の先端の給電端子16が、溶接孔4内で挿入位置から回動して溶接孔4と係合した状態で外部リード12と接合されるので、給電線15に引張力が作用するようなことがあっても、その引張力がランプ10の外部リード12に作用することがなく、封止部11にダメージを与えることがない。
なお、上記においては、給電線挿入孔3は、溝部5を有し、これを利用して給電端子16を挿入するものとしたが、これに限られず、開口径が給電端子16を挿入できる径と、これより小さな径とを有する形状であればよく、例えば、楕円形状断面として、その長径部を利用して給電端子を挿入し、これを回動して、短径部を利用して溶接孔内で係合して引き抜き防止し、その姿勢でランプの外部リードと溶接接合するものであってもよい。
【0019】
以上の実施例では、複数本のランプに対して、共通する給電線1本を接続するものを示したが、ランプに個別に給電線を接続するものであってもよい。
その例が
図7に示されていて、給電線挿入孔3、3が、ベース1の両側から形成されていて、それぞれが溶接孔4、4にまで貫通している。給電線15にはそれぞれ給電端子16が取り付けられており、この給電端子16がそれぞれ溶接孔4、4内において回動して、その後端部が該溶接孔4に係合している。
当然のことながら、これらの給電端子16、16は、それぞれランプ10、10の外部リード12、12に溶接接合されている。
【0020】
上記の実施例では、溶接孔はランプ毎に形成されているものを示したが、
図8に示す例では、溶接孔4は複数のランプに共通する1つの溶接孔のものが示されている。こうすることで、溶接孔4の開口面積を大きくすることができ、作業の容易性が確保される。なお、この例でも、給電線は共通給電線であっても、あるいは、ランプ毎の給電線であってもよい。
ただ、
図1〜7の実施例のように、個別に溶接孔を設けたものとの比較においては、ベースの強度が弱くなることがあり、状況に応じた使い分けをすることが必要である。
【0021】
上記のように、本発明によれば、ベースに複数の封止部挿入孔と、該封止部挿入孔と直交する給電線挿入孔が形成されるとともに、これらと直交する方向にベースを貫通する溶接孔とを形成し、給電線に取り付けられた板状の給電端子が前記溶接孔内で、挿入した位置から回動した位置で該溶接孔と係合して引き抜け防止され、その姿勢で棒状ランプの外部リードが前記給電端子に溶接接合されていることにより、給電線に引張力が作用しても、外部リードに直接的にこの引張力が及ぶことがなく、ランプの封止部にせん断応力が発生することがないものである。
【符号の説明】
【0022】
1 ベース
2 封止部挿入孔
2a 前方部
2b 後方部
3 給電線挿入孔
4 溶接孔
5 溝部
10 棒状ランプ
11 封止部
12 外部リード
15 給電線
16 給電端子