(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
昇降路に沿って移動可能なかごに接続された索条が巻き掛けられるシーブに対して機械的に繋がる回転体であって、シーブと連動して回転する回転体と、回転体に対して接離可能に設けられるライニングと、ライニングを回転体に押し付ける力又はライニングを回転体から離間させる力を発揮させるアクチュエータとを備え、アクチュエータは、一方向に移動可能に設けられた可動鉄心と、可動鉄心の周囲に配置されるコイルと、可動鉄心及びコイルを覆うケーシングと、一方向におけるケーシングの外面に対して間隔をあけて対向する対向部を有し且つケーシングに対して着脱可能に固定された取付部材と、ケーシング内で可動鉄心に対して連結され、ライニングを回転体に押し付ける力又はライニングを回転体から離間させる力を生じさせるように、ライニングに対して直接的又は間接的に接続される作動軸であって、一方向に移動可能にケーシングに挿通され且つ対向部の外方に延在する作動軸と、対向部とケーシングの外面との間に配置される緩衝部材と、対向部と緩衝部材との間及びケーシングと緩衝部材との間の少なくとも何れか一方に配置される規制部材であって、作動軸に固定され且つ対向部とケーシングの外面との間で一方向に移動可能に配置される規制部材とを備え、一方向におけるケーシングの内面と可動鉄心との最大間隔は、対向部とケーシングの外面との間における規制部材の一方向の移動寸法より広く且つ規制部材における一方向の移動寸法と一方向における緩衝部材の厚み寸法との合計よりも小さい、エレベータ用ブレーキ装置。
第一端部と第二端部とを有し且つ第一端部と第二端部との間にライニングが取り付けられるレバーであって、第一端を支点にして回転可能に設けられたレバーと、レバーの回転中心と直交する方向に該レバーを付勢する第一付勢部材であって、レバーを介してライニングを回転体に押し付ける第一付勢部材とを更に備え、規制部材は、緩衝部材とケーシングの外面との間に配置され、アクチュエータは、ケーシングの外面と規制部材とに挟まれた第二付勢部材であって、規制部材をケーシングから離間させる方向に付勢する第二付勢部材を備え、コイルが励磁された状態で、作動軸がレバーの第二端部を付勢し、ライニングを回転体から離間させる、請求項1に記載のエレベータ用ブレーキ装置。
【背景技術】
【0002】
エレベータは、利用者等を収容可能に構成されたかごであって、複数の階層を有する建物等の構造物に設けられた昇降路に沿って上下動可能に設けられたかごと、かごを昇降路に沿って移動させる駆動装置と、駆動装置の動作を制動するエレベータ用ブレーキ装置(以下、単にブレーキ装置という)とを備える(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
駆動装置は、かごに繋がる索条と、索条が巻き掛けられるシーブと、回転子を有するモータであって、シーブが回転子に直接的又は間接的に接続されるモータとを備える。
【0004】
ブレーキ装置には、駆動装置に組み込まれたものや、駆動装置から独立したものがあるが、何れもシーブの回転を制動する。具体的には、
図7及び
図8に示す如く、ブレーキ装置100は、シーブSvに対して同心で連結される回転体101と、回転体101に対して接離可能に設けられたライニング102と、回転体101に対するライニング102の押し付け及び引き離しの少なくとも何れか一方を行うアクチュエータ103とを備える。
【0005】
かかるアクチュエータ103は、
図9に示す如く、一方向に移動可能に設けられた可動鉄心104と、可動鉄心104の周囲に配置されるコイル105と、可動鉄心104及びコイル105を覆うケーシング106と、ケーシング106内で可動鉄心104に対して同心で連結され且つケーシング106から突出した作動軸107とを備える。
【0006】
この種のアクチュエータ103において、作動軸107は、一方向において第一端と該第一端の反対側の第二端とを有する。作動軸107の第一端は、可動鉄心104に連結され、作動軸107の第二端は、例えば、回転レバーLv(
図7及び
図8参照)を介してライニング102に対して作動的に接続される。
【0007】
これにより、この種のアクチュエータ103では、コイル105の磁界発生に伴って可動鉄心104が一方向に移動したときに、回転体101に対してライニング102を押し付ける力及び引き離す力の少なくとも何れか一方の力を作動軸107が生じさせる。
【0008】
なお、一般的には、ブレーキ装置100は、停電時においても回転体101を介してシーブSvの回転を制動可能とすべく、回転体101に対するライニング102の押し付けるための付勢部材(一般的には、圧縮コイルバネ:
図7参照)Sを備えることが多く、この場合においては、アクチュエータ103の作動軸107は、回転体101に対してライニング102を引き離す力を生じさせる。
【0009】
ところで、この種のアクチュエータ103において、作動軸107が可動鉄心104よりも小径に設定され、作動軸107の周囲における可動鉄心104の端面がケーシング106の内面と対向する。
【0010】
これに伴い、この種のアクチュエータ103においては、可動鉄心104が一方向に移動したときに、可動鉄心104の端面がケーシング106の内面に直接衝突する態様となる。そのため、この種のアクチュエータ103においては、可動鉄心104の端面とケーシング106の内面との間に、可動鉄心104とケーシング106との直接的な衝突を防止する(衝突に伴う衝突音が発生することを抑制する)ための緩衝部材108が配置される。
【0011】
そのため、可動鉄心104の端面とケーシング106の内面との最大間隔(所謂、磁気ギャップの寸法)Gは、可動鉄心104の移動量(ストローク量)Lと緩衝部材108の厚みTとの合計以上になる。すなわち、可動鉄心104の端面とケーシング106の内面との間に緩衝部材108が存在するため、その緩衝部材108の厚みTの分、可動鉄心104の端面とケーシング106の内面との間隔Gを広げる(磁気ギャップの寸法Gを大きくする)必要がある。
【0012】
これに伴い、従来のアクチュエータ103では、可動鉄心104を移動させるための電磁力を大きくしなければならないため、可動鉄心104の径が大きくなる。その結果、全体のサイズが大きくなってしまう。
【0013】
また、この種のアクチュエータ103では、作動が繰り返されることで緩衝部材108が劣化してしまうため、緩衝部材108の交換が必要となる。しかし、従来のアクチュエータ103では、緩衝部材108がケーシング106内にあるため、緩衝部材108の交換作業が煩雑である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の一実施形態について、添付図面を参照しつつ説明する。
【0021】
図1に示す如く、エレベータ1は、利用者等を収容可能に構成されたかご2であって、複数の階層Fを有する建物等の構造物に設けられた昇降路Rに沿って上下動可能に設けられたかご2と、かご2を昇降路Rに沿って移動させる駆動装置3と、駆動装置3の動作を制動するエレベータ用ブレーキ装置(以下、単にブレーキ装置という)4とを備える。
【0022】
駆動装置3は、かご2に繋がる索条30と、索条30が巻き掛けられるシーブ31と、回転子(
図1において図示しない)を有するモータ32であって、シーブ31が回転子に直接的又は間接的に接続されるモータ32とを備える。モータ32は、一方向(横方向)に延びる軸線周りで回転子を回転自在に支持するモータハウジング320を備える。本実施形態に係るモータ32において、回転子の一部は、モータハウジング320の横方向の一方側で露出している。
【0023】
図2及び
図3に示す如く、ブレーキ装置4は、シーブ31に対して機械的に繋がる回転体40であって、シーブ31と連動して回転する回転体40と、回転体40に対して接離可能に設けられるライニング41と、ライニング41を回転体40から離間させる力を生じさせるアクチュエータ42とを備える。
【0024】
具体的には、本実施形態のブレーキ装置4は、回転体40と、回転体40を回転可能に支持するフレーム43と、ライニング41と、ライニング41が取り付けられるキャリパー44と、第一端と第二端とを有し、且つ第一端と第二端との間にキャリパー44が取り付けられるレバー45であって、第一端を支点にして回転可能にフレーム43に支持されたレバー45と、レバー45の回転中心と直交する方向に該レバー45を付勢する第一付勢部材46であって、レバー45を介してライニング41を回転体40に押し付ける第一付勢部材46と、アクチュエータ42とを備える。
【0025】
回転体40は、円筒ドラム状の本体部400を備える。本体部400の外周面は、平滑面状にされた制動面である。本実施形態において、回転体40は、モータ32の回転子の一部が兼用されている。すなわち、モータ32の回転子におけるモータハウジング320から露出した部分が回転体40(本体部400)として兼用されている。これに伴い、シーブ31が回転体40(モータ32の回転子)に対して同心で連結されている。
【0026】
フレーム43は、回転体40を回転自在に支持する。本実施形態において、モータ32の回転子の一部を回転体40とするため、モータハウジング320がブレーキ装置4のフレーム43に兼用されている。
【0027】
このように、モータ32の回転子がブレーキ装置4の回転体40に兼用されるとともに、モータハウジング320がブレーキ装置4のフレーム43に兼用されるに伴い、本実施形態に係るブレーキ装置4は、駆動装置3と一体になっている。すなわち、本実施形態において、モータ32がブレーキ付モータとされている。
【0028】
本実施形態において、
図2に示す如く、フレーム43には、レバー45に対して第一付勢部材46を連携させる連携部材430が取り付けられている。連携部材430は、第一端部と第二端部とを有する軸部430aと、軸部430aの第一端部に連結された頭部430bとを含む。
【0029】
軸部430aの第二端側は、フレーム43に埋め込み固定されている。本実施形態において、連携部材430は、軸部430aの少なくとも第二端部側にネジ溝を有するボルトであり、該軸部430aの第二端部がフレーム43に対して螺入されている。これにより、軸部430aの第一端側がフレーム43から横方向に突出している。なお、軸部430aの第二端部側には、フレーム43に圧接させるロックナット(採番しない)が螺合されている。これにより、連携部材(ボルト)430は、フレーム43に対して緩み止めされている。
【0030】
本実施形態において、フレーム43には、二つの連携部材430が取り付けられる。二つの連携部材430は、回転体40の中心を通って横方向に延びる横中心線CL2よりも上方に位置する。二つの連携部材430は、回転体40の中心を通って上下方向に延びる縦中心線CL1を基準に対称的に配置される。
【0031】
ライニング41は、回転体40の本体部400の外周面に沿うように円弧状に形成される。本実施形態のブレーキ装置4は、二つのライニング41,41を備える。二つのライニング41,41は、縦中心線CL1を基準に対称に配置される。
【0032】
本実施形態において、ブレーキ装置4は、二つのライニング41,41を備えるに伴い、二つのキャリパー44,44を備える。二つのキャリパー44,44のそれぞれは、ライニング41の取り付けられる取付面440であって、一方向における一端部に設けられた取付面440と、レバー45に対して回転自在に連結される枢着部441であって、一方向における他端部に設けられた枢着部441とを有する。
【0033】
本実施形態において、ブレーキ装置4は、二つのライニング41,41(二つのキャリパー44,44)を備えるに伴い、二つのレバー45,45を備える。二つのレバー45,45は、回転体40を挟んで配置される。すなわち、二つのレバー45,45のそれぞれは、縦中心線CL1を基準に対称に配置される。
【0034】
二つのレバー45,45のそれぞれの第一端部は、横中心線CL2よりも下方の位置でフレーム43に枢着されている。二つのレバー45,45のそれぞれの第二端部は、アクチュエータ42(後述する作動軸424:
図4参照)と対向している。本実施形態において、二つのレバー45,45のそれぞれの第二端部には、横方向に進退可能に螺合された調整ネジ450であって、作動軸424と対向する調整ネジ450が設けられる。
【0035】
二つのレバー45,45のそれぞれの第一端部と第二端部との間の中途部には、対応するキャリパー44の枢着部441が回転自在に連結される。
【0036】
二つのレバー45,45のそれぞれの連携部材430(軸部430a)と対向する部位には、連携部材430の軸部430aを挿通させる貫通穴451が設けられる。貫通穴451は、段付き穴であり、ハウジング43側が反対側(外側)よりも小径になっている。すなわち、貫通穴451は、外側を向いて開放する大径部451aと、大径部451aよりも小径の小径部451bであって、大径部451aと連続し、ハウジング43側に向いて開放する小径部451bとを有する。大径部451aは、第一付勢部材46の一部を収容可能に形成される。
【0037】
第一付勢部材46は、レバー45をフレーム43側に付勢する。より具体的に説明すると、本実施形態において、第一付勢部材46には、一方向に弾性変形可能な圧縮コイルバネが採用される。
【0038】
第一付勢部材46は、一方向に第一端と第二端とを有する。第一付勢部材46の第一端側は、レバー45の貫通穴451(大径部451a)に収容されている。これに伴い、連携部材430の軸部430aは、第一付勢部材46の中央を通っている。
【0039】
これにより、第一付勢部材46は、レバー45と連携部材430の頭部430bとに挟まれることで、弾性変形し(圧縮され)、自身の復元力をレバー45に作用させている。すなわち、第一付勢部材46は、レバー45を介してライニング41を回転体40に押し付けている。
【0040】
これに伴い、アクチュエータ42は、ライニング41を回転体40から離間させる力を生じさせる。
【0041】
具体的に説明すると、
図4に示す如く、アクチュエータ42は、一方向に移動可能に設けられた可動鉄心420と、可動鉄心420の周囲に配置されるコイル421と、可動鉄心420及びコイル421を覆うケーシング422と、一方向におけるケーシング422の外面に対して間隔をあけて対向する対向部423aを有し且つケーシング422に対して着脱可能に固定された取付部材423と、ケーシング422内で可動鉄心420に対して連結され、ライニング41を回転体40から離間させる力を生じさせるように、ライニング41に対して直接的又は間接的に接続される作動軸424であって、一方向に移動可能にケーシング422に挿通され且つ対向部423aの外方に延在する作動軸424と、対向部423aとケーシング422の外面との間に配置される緩衝部材425と、ケーシング422と緩衝部材425との間に配置される規制部材426であって、作動軸424に固定され且つ対向部423aとケーシング422の外面との間で一方向に移動可能に配置される規制部材426とを備える。
【0042】
また、本実施形態において、アクチュエータ42は、ケーシング422の外面と規制部材426とに挟まれた第二付勢部材427であって、規制部材426をケーシング422から離間させる方向に付勢する第二付勢部材427を備える。
【0043】
本実施形態において、アクチュエータ42は、一方向に並ぶ二つの作動部42a,42bを有する。二つの作動部42a,42bは、単一(共通)のケーシング422とされる。二つの作動部42a,42bのそれぞれは、可動鉄心420、コイル421、取付部材423、及び作動軸424を備える。本実施形態において、二つの作動部42a,42bのそれぞれは、第二付勢部材427をさらに備える。
【0044】
二つの作動部42a,42bは、縦中心線CL1を基準に対称的に配置される。すなわち、一方の作動部42aの可動鉄心420及びコイル421は、共通のケーシング422の一方向の一端側の領域内に配置され、他方の作動部42bの可動鉄心420及びコイル421は、共通のケーシング422の一方向の他端側の領域内に配置される。これに伴い、二つの作動部42a,42bの作動軸424は、ケーシング422から相反する方向に突出し、対応するレバー45の第二端部(調整ネジ450)と対向している。
【0045】
可動鉄心420は、磁性材料で構成される。本実施形態において、可動鉄心420は、一方向に中心を有する円柱体である。これに伴い、可動鉄心420は、一方向の両側に円形状の端面を有する。すなわち、可動鉄心420は、円形状の両端面を有する。
図5及び
図6に示す如く、可動鉄心420の一方の端面には、作動軸424を連結するための穴420aが設けられる。この穴420aは、可動鉄心420と同心である。
【0046】
コイル421は、環状のボビン421aと、ボビン421aに巻き付けられた導線421bとを含む。ボビン421aには、可動鉄心420が一方向で移動可能に挿通される。これに伴い、ボビン421aの内径は、可動鉄心420の外径に応じて設定される。
【0047】
本実施形態において、ボビン421aの外周には、全周に亘って溝(採番しない)が設けられている。導線421bは、ボビン421aの溝内で必要な巻き数で巻回される。ボビン421aは、ケーシング422(後述するケーシング本体422a:
図4参照))に対して同心で収納可能に形成される。
【0048】
これに伴い、ボビン421aの外径は、ケーシング本体422aの内径に応じで設定される。コイル421は、
図4に示す如く、可動鉄心420の可動域Aのうちの一方向における一方側(作動軸424がケーシング422から突出する側)にずれた位置に配置される。
【0049】
具体的には、一方向におけるコイル421のサイズは、一方向における可動鉄心420の可動域Aの寸法よりも短く設定される。そして、コイル421は、可動鉄心420の可動域Aの中央位置よりも自身の励磁によって可動鉄心420を移動させる側に偏って配置される。なお、可動鉄心420の可動域Aとは、可動鉄心420自身の存在する領域A1と、この領域A1と一方向で隣り合う領域A2であって、可動鉄心420の移動を許容する領域(自身が移動できるスペース)A2とを合わせた領域である。
【0050】
ケーシング422は、自身の中心の延びる方向に開放端を有する筒状のケーシング本体422aと、開放端を閉じる閉塞体422bとを備える。ケーシング本体422aには、ボビン421aが同心で収容される。すなわち、ケーシング本体422aの内径は、ボビン421aの外径に応じて設定される。
【0051】
本実施形態において、ケーシング本体422aは、自身の中心の延びる方向の一方側及び他方側に開放端を有する。すなわち、ケーシング本体422aの両端が開放している。これに伴い、閉塞体422bは、ケーシング本体422aの両端に取り付けられる。すなわち、ケーシング422は、二つの閉塞体422b,422bを備え、一方の閉塞体422bは一方側の開放端を閉じ、他方の閉塞体422bは他方の開放端を閉じる。
【0052】
二つの閉塞体422b,422bのそれぞれは、
図5及び
図6に示す如く、ケーシング本体422aの中心と同心の貫通穴47を有する。貫通穴47の穴径は、作動軸424の外径に応じて設定される。本実施形態において、貫通穴47は、段付き穴である。すなわち、貫通穴47は、ケーシング本体422a内に向けて開放する小径穴47aと、ケーシング本体422a内とは反対側に向けて開放し且つ小径穴47aよりも大径の大径穴47bとを含む。小径穴47aの穴径は、作動軸424の外径に応じて設定され、大径穴47bの穴径は、第二付勢部材427の外径に応じて設定される。
【0053】
本実施形態において、共通のケーシング422が二つの作動部42a,42bに兼用されるに伴い、
図4に示す如く、中心線の延びる方向のケーシング本体422aの一方側の領域及び該一方側の開放端を閉じる閉塞体422bが一方の作動部42aの可動鉄心420及びコイル421を収容する(包囲する)ケーシング422とされ、中心線の延びる方向のケーシング本体422aの他方側の領域及び該他方側の開放端を閉じる閉塞体422bが他方の作動部42bの可動鉄心420及びコイル421を収容する(包囲する)ケーシング422とされる。
【0054】
図5及び
図6に示す如く、取付部材423は、対向部423aと、対向部423aをケーシング422の外面に対して一定間隔をあけて維持させる間隔維持部423bとを備える。対向部423aは、閉塞体422bにおける貫通穴47(大径穴47b)の周囲の全周域と対向するように環状に形成される。すなわち、対向部423aは、閉塞体422bの貫通穴47と同心の貫通穴48を有する。本実施形態において、対向部423aは、プレートに形成される。これに伴い、対向部423aは、第一面と該第一面の反対側の第二面とを有し、第一面を閉塞体422b側に向けている。
【0055】
間隔維持部423bは、対向部423aの周囲に接続される。本実施形態において、間隔維持部423bは、対向部423aの周囲全周に接続される。すなわち、間隔維持部423bは、環状に形成され、対向部423aと同心で該対向部423aの外周に接続される。
【0056】
間隔維持部423bは、対向部423aの第一面から一方向に突出している。これにより、間隔維持部423bが閉塞体422bの外面に当接した状態で、閉塞体422bに固定される(本実施形態においては、ネジ止めされる)ことで、対向部423aを閉塞体422bに対して一定間隔で維持させる。
【0057】
ここで、対向部423aと閉塞体422bとの間隔Dは、一方向における可動鉄心420の移動量Lと、一方向における緩衝部材425の厚みTaと、一方向における規制部材426の厚みTbとの合計寸法以上に設定される。本実施形態においては、一方向における可動鉄心420の移動量Lと、一方向における緩衝部材425の厚みTaと、一方向における規制部材426の厚みTbとの合計寸法に対して微小な余裕代α1を加えた寸法に設定される。
【0058】
本実施形態において、作動軸424は、一方向に延びる第一軸体424aと、一方向に延びる第二軸体424bであって、第一軸体424aに対して同心で連結される第二軸体424bとを含む。第一軸体424aは、一方向に第一端部及び該第一端部の反対側の第二端部と有する。第一軸体424aは、段付き軸である。すなわち、第一軸体424aは、第一端部側に大径軸部424cを有し、第二端部側に大径軸部424cよりも小径な小径軸部424dを有する。第一軸体424aの第二端部にはネジ溝が設けられている。すなわち、第一軸体424aの第二端部は、雄ネジである。
【0059】
第一軸体424aは、第一端部が可動鉄心420の穴420aに嵌入された状態で、可動鉄心420に対して同心で連結される。第一軸体424aの大径軸部424cの外径は、閉塞体422bの貫通穴47(小径穴47a)の穴径に応じて設定される。
【0060】
第二軸体424bの外径は、対向部423aの貫通穴48の穴径に応じて設定される。第二軸体424bは、一方向に第一端面と第二端面とを有する。第二軸体424bの第一端面には、第一軸体424aの第二端部(小径軸部424dに設けられた雄ネジ)と螺合するネジ穴(採番しない)が設けられている。これにより、第二軸体424bは、第一軸体424aと同心で連結される。
【0061】
緩衝部材425は、弾性変形可能なゴムや樹脂等で成型される。本実施形態において、緩衝部材425は、ゴム製である。緩衝部材425は、シート状或いは板状に形成される。緩衝部材425の厚みTaは、必要な衝撃吸収力を有する厚みに設定される。
【0062】
本実施形態において、緩衝部材425は、厚み方向から見て環状である。緩衝部材425の内径は、対向部423aの貫通穴48の穴径と略同径である。緩衝部材425の外径は、間隔維持部423bの内径よりも小径である。本実施形態において、緩衝部材425は、対向部423aに対して同心で貼り付けられている。
【0063】
規制部材426は、ケーシング422(閉塞体422b)と緩衝部材425との間に配置される。本実施形態において、規制部材426は、第一軸体424aの小径軸部424dと螺合する第二軸体424bと第一軸体424aの大径軸部424cとに挟まれることで、作動軸424に固定される。
【0064】
より具体的に説明すると、本実施形態の規制部材426は、円環状のプレートである。規制部材426の内径は、第一軸体424aの小径軸部424dの外径に応じて設定される。規制部材426の外径は、間隔維持部423bの内径よりも小径である。規制部材426が円環状に形成されるに伴い、規制部材426には、第一軸体424aの小径軸部424dが挿通される。この状態において、小径軸部424d(第一軸体424aの第二端部)と螺合する第二軸体424bを締め付けることで、第二軸体424bの第一端面と、第一軸体424aの小径軸部424dと大径軸部424cとの境界にある端面とに挟まれている。
【0065】
本実施形態において、第二付勢部材427は、圧縮コイルバネである。第二付勢部材427は、閉塞体422bの貫通穴47における大径穴47bに収容される。第二付勢部材427は、一方向に第一端と第二端とを有し、大径穴47bに収容された状態で第一端が閉塞体422bの外面から突出させる。これに伴い、第二付勢部材427は、規制部材426を付勢する。すなわち、第二付勢部材427は、常時圧縮状態になっており、規制部材426を対向部423a側に向けて付勢している。
【0066】
コイル421の励磁に伴って一方向に移動できる状態にある可動鉄心420の端面と閉塞体422bとの間隔(最大間隔)Gは、可動鉄心420の移動寸法(必要な移動量)L以上で且つ可動鉄心420の移動量(必要な移動量)Lと緩衝部材425の厚み(厚み寸法)Taとの合計寸法よりも小さくなるように設定されている。本実施形態において、第二付勢部材427が規制部材426に押されることで圧縮されている状態で、ケーシング422内にある可動鉄心420の端面と閉塞体422bとの間隔(最大間隔)Gが、可動鉄心420の移動量L以上で且つ可動鉄心420の移動量Lと緩衝部材425の厚みTaとの合計寸法よりも小さくなるように設定されている。
【0067】
具体的には、コイル421の励磁に伴って可動鉄心420が一方向に移動できる状態(第二付勢部材427が規制部材426に押されることで圧縮している状態)で、ケーシング422内にある可動鉄心420の端面と閉塞体422bとの間隔(最大間隔)Gが、可動鉄心420の移動量Lと微小な余裕代α2との合計寸法になるように設定される。ここでの余裕代α2は、対向部423aと閉塞体422bとの間隔Dに反映される余裕代α1以上である。
【0068】
本実施形態において、規制部材426が緩衝部材425に衝突することによって、可動鉄心420と閉塞体422bとの衝突を回避すべく、可動鉄心420の端面と閉塞体422bとの最大間隔Gに反映される余裕代α2は、対向部423aと閉塞体422bとの間隔Dに反映される余裕代α1よりも大きい。また、規制部材426が緩衝部材425に衝突することによって、可動鉄心420と閉塞体422bとの衝突を回避すべく、可動鉄心420の端面と閉塞体422bとの最大間隔Gに反映される余裕代α2は、対向部423aと閉塞体422bとの間隔Dに反映される余裕代α1と、緩衝部材425の厚みTaとの合計寸法よりも小さい。
【0069】
そして、コイル421の励磁に伴って可動鉄心420が一方向に移動できる状態(第二付勢部材427が規制部材426に押されることで圧縮している状態)おいて、規制部材426と閉塞体422bとの間隔が余裕代α1と同一又は略同一の間隔で維持されるように、規制部材426の取り付け位置が設定されている。すなわち、第二付勢部材427が規制部材426に押されることで圧縮している状態において、規制部材426と緩衝部材425との間隔が可動鉄心420の移動量Lと同一になるように、規制部材426の取り付け位置が設定されている。
【0070】
本実施形態に係るエレベータ1(ブレーキ装置4)は、以上の通りである。次に、本実施形態に係るエレベータ1(ブレーキ装置4)の作動について説明する。
【0071】
まず、エレベータ1の運転(かご2の昇降)が停止している状態について説明する。かご2が停止している状態においては、ブレーキ装置4は、シーブ31の回転を制動(規制)している。
【0072】
具体的には、アクチュエータ42のコイル421は通電状態にされておらず、第一付勢部材46が作用させる付勢力によって、レバー45及び該レバー45に取り付けられたキャリパー44が回転体40(本体部400)側に傾動し、該キャリパー44に取り付けられたライニング41が回転体40(本体部400)の外周面に押し付けられる。本実施形態においては、レバー45、キャリパー44及びライニング41が、回転体40を挟んで一対設けられているため、回転体40(本体部400)は、一対のライニング41によって挟まれ、回転が規制される。
【0073】
そして、この状態からかご2を昇降させる場合には、駆動装置3のモータ32の起動と対応するようにブレーキ装置4による回転体40に対する制動が解除される。
【0074】
具体的には、アクチュエータ42のコイル421(二つの作動部42a,42bのコイル421)が通電状態にされる。そうすると、各作動部42a,42bにおいて、コイル421が励磁され、コイル421に作用する磁界が可動鉄心420を一方向に移動させようとする。そして、可動鉄心420を移動させようとする一方向の力が、第一付勢部材46によって付勢されたレバー45を押し返すことのできる力になると、可動鉄心420が一方向に移動し、作動軸424も一方向に移動する。これに伴い、作動軸424(第二軸体424b)が調整ネジ450を介してレバー45を押し、レバー45を回転体40から離間する側に傾倒させ、ライニング41を回転体40(本体部400)から離間させる。これにより、回転体40の制動が解除される。従って、回転体40に連結されたシーブ31が、該回転体40に連結されたモータ32の駆動を受けて回転し、かご2を昇降させる。
【0075】
本実施形態に係るアクチュエータ42は、対向部423aと規制部材426との間に緩衝部材425が配置されているため、上述の如く、各作動部42a,42bにおける可動鉄心420が一方向に移動し、その移動量Lが必要量になると、規制部材426が緩衝部材425と衝突することになるが、その衝突が緩衝部材425によって吸収されるため、衝突音の発生はない。
【0076】
そして、昇降中のかご2を停止する場合には、駆動装置3のモータ32(シーブ31)の回転を停止させ、かご2を所望の階層Fで停止させる。これに併せ、アクチュエータ42のコイル421に対する給電が停止される。そうすると、第一付勢部材46が作用させる付勢力によって、レバー45及び該レバー45に取り付けられたキャリパー44が回転体40(本体部400)側に傾動し、該キャリパー44に取り付けられたライニング41が回転体40(本体部400)の外周面に押し付けられる。本実施形態においては、レバー45、キャリパー44及びライニング41が、回転体40を挟んで一対設けられているため、回転体40(本体部400)は、一対のライニング41によって挟まれ、回転が規制される(ロックされる)。
【0077】
本実施形態に係るアクチュエータ42は、第二付勢部材427が最も圧縮された状態において、閉塞体422bと規制部材426との間隔が余裕代α1と同一又は略同一の間隔で維持されるように、規制部材426の取り付け位置が設定されているため、レバー45によって作動軸424及び可動鉄心420が一方向に移動しても、閉塞体422bと規制部材426とが衝突することがなく、衝突音の発生はない。
【0078】
以上のように、ブレーキ装置4は、昇降路Rに沿って移動可能なかご2に接続された索条30が巻き掛けられるシーブ31に対して機械的に繋がる回転体40であって、シーブ31と連動して回転する回転体40と、回転体40に対して接離可能に設けられるライニング41と、ライニング41を回転体40から離間させる力を発揮させるアクチュエータ42とを備え、アクチュエータ42は、一方向に移動可能に設けられた可動鉄心420と、可動鉄心420の周囲に配置されるコイル421と、可動鉄心420及びコイル421を覆うケーシング422と、一方向におけるケーシング422の外面に対して間隔をあけて対向する対向部423aを有し且つケーシング422に対して着脱可能に固定された取付部材423と、ケーシング422内で可動鉄心420に対して連結され、ライニング41を回転体40から離間させる力を生じさせるように、ライニング41に対して直接的又は間接的に接続される作動軸424であって、一方向に移動可能にケーシング422に挿通され且つ対向部423aの外方に延在する作動軸424と、対向部423aとケーシング422の外面との間に配置される緩衝部材425と、ケーシング422と緩衝部材425との間に配置される規制部材426であって、作動軸424に固定され且つ対向部423aとケーシング422の外面との間で一方向に移動可能に配置される規制部材426とを備え、一方向におけるケーシング422の内面と可動鉄心420との最大間隔(磁気ギャップの寸法)Gは、対向部423aとケーシング422の外面との間における規制部材426の一方向の移動寸法(移動量L)より広く且つ規制部材426における一方向の移動寸法(移動量L)と一方向における緩衝部材425の厚み寸法(厚みTa)との合計よりも小さい。
【0079】
すなわち、アクチュエータ42は、一方向に移動可能に設けられた可動鉄心420と、可動鉄心420の周囲に配置されるコイル421と、可動鉄心420及びコイル421を覆うケーシング422と、一方向におけるケーシング422の外面に対して間隔をあけて対向する対向部423aを有し且つケーシング422に対して着脱可能に固定された取付部材423と、ケーシング422内で可動鉄心420に対して連結され、一方向に移動可能にケーシング422に挿通され且つ対向部423aの外方に延在する作動軸424と、対向部423aとケーシング422の外面との間に配置される緩衝部材425と、ケーシング422と緩衝部材425との間に配置される規制部材426であって、作動軸424に固定され且つ対向部423aとケーシング422の外面との間で一方向に移動可能に配置される規制部材426とを備え、一方向におけるケーシング422の内面と可動鉄心420との最大間隔(磁気ギャップの寸法)Gは、対向部423aとケーシング422の外面との間における規制部材426の一方向の移動寸法Lより広く且つ規制部材426における一方向の移動寸法Lと一方向における緩衝部材425の厚みTa寸法との合計よりも小さく設定され、作動軸424は、昇降路Rに沿って移動可能なかご2に接続された索条30が巻き掛けられるシーブ31に対して機械的に繋がる回転体40に対して接離可能に設けられるライニング41を回転体40から離間させる力を生じさせるように、ライニング41に対して直接的又は間接的に接続可能である。
【0080】
上記構成によれば、一方向におけるケーシング422の内面と可動鉄心420との最大間隔(所謂、磁気ギャップの寸法)Gが、対向部423aとケーシング422の外面との間における規制部材426の一方向の移動寸法Lより広く且つ規制部材426における一方向の移動寸法Lと一方向における緩衝部材425の厚みTa寸法との合計よりも小さく設定されるため、一方向におけるケーシング422の内面と可動鉄心420との最大間隔(所謂、磁気ギャップの寸法)Gは、必要最小限になる。
【0081】
すなわち、ケーシング422の内面と可動鉄心420との間に緩衝部材425が存在しないため、その分、磁気ギャップGが小さくなる。これに伴い、可動鉄心420及びコイル421を小さくできるため、全体サイズのサイズアップを抑えることができる。また、緩衝部材425がケーシング422に対して着脱可能な取付部材423の対向部423aとケーシング422との間に配置されるため、ケーシング422を分解することなく、取付部材423を取り外すことで、緩衝部材425を交換することもできる。
【0082】
本実施形態のブレーキ装置4は、第一端部と第二端部とを有し且つ第一端部と第二端部との間にライニング41が取り付けられるレバー45であって、第一端を支点にして回転可能に設けられたレバー45と、レバー45の回転中心と直交する方向に該レバー45を付勢する第一付勢部材46であって、レバー45を介してライニング41を回転体40に押し付ける第一付勢部材46とを更に備え、規制部材426は、緩衝部材425とケーシング422の外面との間に配置され、アクチュエータ42は、ケーシング422の外面と規制部材426とに挟まれた第二付勢部材427であって、規制部材426をケーシング422から離間させる方向に付勢する第二付勢部材427を備え、コイル421が励磁された状態で、作動軸424がレバー45の第二端部を付勢し、ライニングを回転体40から離間させる。
【0083】
上記構成によれば、第一付勢部材46の付勢力がレバー45を介してライニング41を回転体40に押し付ける力として作用するため、コイル421に対する給電の可否に関係なく、回転体40を介してシーブ31を制動することができる。そして、かご2を昇降させる状態(エレベータ1に給電できる状態)において、アクチュエータ42のコイル421が励磁される(給電される)ことで、回転体40の制動を解除できる。
【0084】
また、アクチュエータ42は、ケーシング422の外面と規制部材426とに挟まれた第二付勢部材427であって、規制部材426をケーシング422から離間させる方向に付勢する第二付勢部材427を備えるため、第一付勢部材46の付勢力の作用で傾倒するレバー45が作動軸424を押したときに、第二付勢部材427の付勢力が規制部材426の移動に対抗するため、規制部材426とケーシング422との干渉を抑制又は防止される。
【0085】
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で適宜変更を加え得ることは勿論である。
【0086】
例えば、上記実施形態において、ブレーキ装置4が駆動装置3に組み込まれたが、これに限定されない。例えば、駆動装置3のモータ32とブレーキ装置4とが独立した構成とされてもよい。この場合、駆動装置3において、シーブ31がモータ32の回転子(出力軸)に直接連結され、ブレーキ装置4の回転体40がシーブ31に対して同心で連結されてもよい。また、ブレーキ装置4において、フレーム430がモータハウジング320から独立した構成にされるとともに、回転体40を回転自在に支持するように構成され、この回転体40がシーブ31とモータ32の回転子とを連結したものであってもよい。また、モータ32の回転子と、ブレーキ装置4の回転体40とが独立した部材とされ、モータ32の回転子にブレーキ装置4の回転体40が同心で連結されてもよい。
【0087】
上記実施形態のブレーキ装置4において、回転体40が円筒ドラム状の本体部400を備え、ライニング41を本体部400の外周面(制動面)に対して接離するようにしたが、これに限定されない。例えば、回転体40がディスク状の本体部400を備え、ライニング41を本体部400の側面に対して接離する所謂ディスクブレーキ装置であってもよい。この場合、アクチュエータ42は、ライニング41の移動方向(回転体40に対する接離方向)と作動軸424の移動方向とを対応させた状態で配置され、作動軸424は、ライニング41に対して作動的に(直接的又は間接的に)接続される。
【0088】
上記実施形態において、ブレーキ装置4が二つのライニング41,41を備えるに伴い、これに対応するレバー45及びキャリパー44も二つずつ備えるとともに、アクチュエータ42が二つの作動部42a,42bを備えたが、これに限定されない。例えば、ブレーキ装置4が一つのライニング41を備える場合、アクチュエータ42は、一つの作動部42a,42bを備えたものであってもよい。すなわち、アクチュエータ42は、コイル421、可動鉄心420、ケーシング422、作動軸424、取付部材423、及び緩衝部材425のそれぞれを一つずつ備えたものであってもよい。
【0089】
また、上記実施形態において、ブレーキ装置4が二つのライニング41,41を備えるに伴い、単一のアクチュエータ42が二つの作動部42a,42bを備えたが、これに限定されない。例えば、ブレーキ装置4は、コイル421、可動鉄心420、ケーシング422、作動軸424、取付部材423、及び緩衝部材425のそれぞれを一つずつ有するアクチュエータ42を二つ備え、その二つのアクチュエータ42がライニング41に対応して配置されてもよい。
【0090】
上記実施形態において、アクチュエータ42の作動軸424がレバー45を介してライニング41を回転体40から離間させるようにしたが、これに限定されない。例えば、アクチュエータ42の作動軸424が他の機械的な構成(例えば、リンク機構)と連携し、該機械的な構成を介してライニング41を回転体40から離間させる、或いはライニング41を回転体40に押し付けるようにしてもよい。
【0091】
この場合、機械的な構成との関係で、アクチュエータ42は、作動軸424を一方向のうちの他方側(ケーシング422内に進入する側)に移動するときの力で、ライニング41を回転体40から離間させる、或いはライニング41を回転体40に押し付けるようにしてもよい。
【0092】
すなわち、上記実施形態において、アクチュエータ42の作動軸424が一方向のうちの一方側(ケーシング422から突出する側)に移動するときの力により、ライニング41を回転体40から離間させたが、これに限定されない。例えば、アクチュエータ42の作動軸424が一方向のうちの他方側(ケーシング422に進入する側)に移動するときの力により、ライニング41を回転体40から離間させる、或いは、ライニング41を回転体40に押し付けるようにしてもよい。
【0093】
この場合、アクチュエータ42のコイル421は、可動鉄心420の可動域Aのうちの一方向における他方側(作動軸424のケーシング422内に対して引き込む側)にずれた位置に配置される。また、規制部材426とケーシング422(閉塞体422b)との間に緩衝部材425が配置される。これにより、作動時(コイル421の励磁に伴って作動軸424がケーシング422側に引き込まれたとき)の衝突音の発生を抑えることができる。
【0094】
上記実施形態において、アクチュエータ42の作動軸424が、レバー45を介して間接的にライニング41に接続されたが、これに限定されない。例えば、アクチュエータ42の作動軸424がライニング41(実際的にはキャリパー44)に直接接続され、コイル421の励磁に伴う作動軸424(可動鉄心420)の移動により、ライニング41を回転体40から離間させる、或いはライニング41を回転体40に押し付けるようにしてもよい。
【0095】
また、アクチュエータ42は、ライニング41を回転体40に押し付ける力及びライニング41を回転体40から離間させる力の両方を生じさせるようにしてもよい。すなわち、アクチュエータ42は、一方向に間隔をあけて配置される二つのコイル421であって、可動鉄心420の可動域Aに対応して配置される二つのコイル421を備えてもよい。このようにすれば、二つのコイル421に対する給電が切り替えられることで、作動軸424が一方向に往復動可能となる。この場合、取付部材423の対向部423aと規制部材426との間、及び規制部材426とケーシング422との間のそれぞれに、緩衝部材425を配置することで作動時の衝突音の発生を抑えることができる。
【0096】
なお、非常時(停電時)の安全性を考慮すれば、回転体40を制動するための(回転体40にライニング41を押しつける力を生じさせるための構成)は、給電の影響を受けることのない機械的なもの(上記実施形態のように付勢部材(圧縮コイルバネ)等を備えた機械的なもの)で構成するか、非常用としての機械的なものと常用としてのアクチュエータ42とを併用可能に構成し、給電可能な常態において、アクチュエータ42によって回転体40の制動を解除する(回転体40からライニング41を離間させる力を生じさせる)ことが好ましいことは勿論である。