特許第6674732号(P6674732)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6674732
(24)【登録日】2020年3月11日
(45)【発行日】2020年4月1日
(54)【発明の名称】飲料組成物及び熱中症予防剤
(51)【国際特許分類】
   A23L 2/38 20060101AFI20200323BHJP
   A23L 2/52 20060101ALI20200323BHJP
   A23L 2/02 20060101ALI20200323BHJP
   A61K 33/00 20060101ALN20200323BHJP
   A61K 33/06 20060101ALN20200323BHJP
   A61P 3/00 20060101ALN20200323BHJP
【FI】
   A23L2/38 B
   A23L2/00 F
   A23L2/02 A
   !A61K33/00
   !A61K33/06
   !A61P3/00
【請求項の数】2
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2014-168265(P2014-168265)
(22)【出願日】2014年8月21日
(65)【公開番号】特開2016-42812(P2016-42812A)
(43)【公開日】2016年4月4日
【審査請求日】2017年5月15日
【審判番号】不服2019-3404(P2019-3404/J1)
【審判請求日】2019年3月12日
(73)【特許権者】
【識別番号】596126465
【氏名又は名称】アサヒ飲料株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106002
【弁理士】
【氏名又は名称】正林 真之
(72)【発明者】
【氏名】田中 正平
【合議体】
【審判長】 村上 騎見高
【審判官】 櫛引 智子
【審判官】 齊藤 真由美
(56)【参考文献】
【文献】 武政睦子、「市販飲料類のナトリウム、カリウム、カルシウムおよびマグネシウム含有量の実態について」、川崎医療福祉学会誌、日本、2008.発行、Vol.18, No.1、pp.305−314
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A23L 2/00-35/00
A61K 33/00-33/44
A61K 9/08
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(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
甘味料、果汁、クエン酸、ナトリウム、マグネシウム、カルシウム及びカリウムを含み、
前記ナトリウムの含有量が飲料100mlあたり35mg以上50mg以下であり、
前記マグネシウムの含有量が飲料100mlあたり0.7mg以上5.5mg以下であり、
前記カルシウムの含有量が飲料100mlあたり1.22mg以上2.4mg以下であり、
前記カリウムの含有量が飲料100mlあたり5.80mg以上7.10mg以下であり、
前記マグネシウムの含有量に対する前記カリウムの含有量の比であるカリウム/マグネシウムが1.4以上8.2以下であり、
前記カルシウムの含有量に対する前記カリウムの含有量の比であるカリウム/カルシウムが3.0以上4.9以下であり、
無水クエン酸換算酸度が飲料100mlあたり0.1g以上0.5g以下である量であ
可溶性固形分の含有量が飲料に対して4質量%以上15質量%以下であり、
pHが4.0以下である、
嗜好性に優れたスポーツ飲料組成物。
【請求項2】
前記ナトリウムの含有量が飲料100mlあたり35mg以上45mg以下である、請求
項1記載の嗜好性に優れたスポーツ飲料組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、飲料組成物及び熱中症予防剤に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、ミネラルの補給を目的として、スポーツ飲料等のミネラルを含む飲料組成物が多数開発されている。
【0003】
例えば、特許文献1には、塩化ナトリウム、クエン酸ナトリウム、グルコン酸ナトリウム、及びアスコルビン酸ナトリウムから選択される1又は2以上のナトリウム塩由来の、0.005〜0.1重量%のナトリウムと、果汁とを含む飲料組成物が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2013−94125号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、近年、熱中症が社会的な問題となっていることから、熱中症対策としてミネラルを補給するために、例えば、上記特許文献1に記載されるような飲料組成物を利用することが考えられる。しかしながら、ミネラルを十分補給することを目的として、飲料組成物に多くナトリウムを含有すると、塩味や雑味が強くなってしまい、嗜好性の点で十分でない。
【0006】
本発明は、以上の実情に鑑みてなされたものであり、飲料100mlあたり31mg以上74mg以下のナトリウムを含有し、かつ、嗜好性に優れる飲料組成物及び熱中症予防剤を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、飲料100mlあたり31mg以上74mg以下のナトリウムを含有する飲料組成物に、所定のミネラルを所定量配合することで、嗜好性が損なわれにくいことを見出し、本発明を完成するに至った。より具体的には、本発明は以下のようなものを提供する。
【0008】
(1)本発明は、ナトリウム、マグネシウム及びカリウムを含み、前記ナトリウムの含有量が飲料100mlあたり31mg以上74mg以下であり、前記マグネシウムの含有量に対する前記カリウムの含有量の比であるカリウム/マグネシウムが1.4以上8.2以下である、飲料組成物である。
【0009】
(2)また、本発明は、カルシウムをさらに含み、前記カルシウムの含有量に対する前記カリウムの含有量の比であるカリウム/カルシウムが3.0以上4.9以下である、(1)に記載の飲料組成物である。
【0010】
(3)また、本発明は、前記カリウムの含有量が飲料100mlあたり5.80mg以上7.10mg以下である、(1)又は(2)に記載の飲料組成物である。
【0011】
(4)また、本発明は、甘味料及び/又は果汁をさらに含み、可溶性固形分の含有量が飲料に対して4質量%以上である、(1)から(3)いずれかに記載の飲料組成物である。
【0012】
(5)また、本発明は、飲料100mlあたりの無水クエン酸換算酸度が0g以上0.6g以下である、(1)から(4)いずれかに記載の飲料組成物である。
【0013】
(6)また、本発明は、前記ナトリウムの含有量が飲料100mlあたり40mg以上である、(1)から(5)のいずれかに記載の飲料組成物からなる熱中症予防剤である。
【発明の効果】
【0014】
本発明によると、飲料100mlあたり31mg以上74mg以下のナトリウムを含有し、かつ、嗜好性に優れる飲料組成物及び熱中症予防剤を提供できる。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の具体的な実施形態について詳細に説明するが、本発明は以下の実施形態に何ら限定されるものではなく、本発明の目的の範囲内において、適宜変更を加えて実施することができる。なお、説明が重複する箇所については、適宜説明を省略する場合があるが、発明の要旨を限定するものではない。
【0016】
<飲料組成物>
本発明の飲料組成物は、ナトリウム、マグネシウム及びカリウムを含み、ナトリウム含有量が飲料100mlあたり31mg以上74mg以下であり、マグネシウムの含有量に対するカリウムの含有量の比であるカリウム/マグネシウムが3.0以上4.9以下である。本明細書において、「飲料組成物」は、飲料そのものに限らず、液体に溶かして飲料にする粉末飲料等、飲料を構成するための成分を含有する物質も包含する包括概念であるものとする。
【0017】
〔ナトリウム〕
本発明の飲料組成物中のナトリウムの含有量は、飲料100mlあたり31mg以上74mg以下であれば、特に限定されないが、熱中症予防効果と高い嗜好性との両方を考慮すると、飲料100mlあたり35.0mg以上55.0mg以下であることが好ましく、飲料100mlあたり40.0mg以上50.0mg以下であることがより好ましい。
【0018】
厚生労働省から出された熱中症対策マニュアルを受け、2012年清涼飲料工業会から熱中症対策飲料のガイドラインとして、「ナトリウム濃度として、少なくとも、飲料100mlあたり40〜80mgを含有する清涼飲料」が出された。そのため、熱中症対策飲料として宣伝、広告するには、上記ガイドラインの基準を満たす必要があるが、上記基準を満たそうとすると、ナトリウム濃度が高いため、塩味や雑味が強くなり、嗜好性を損ねる。
【0019】
しかしながら、本発明の飲料組成物は、多くのナトリウムを含有する飲料組成物に、所定のミネラルを所定量配合するものであるため、ナトリウムの含有量が飲料100mlあたり40mg以上であっても、嗜好性に優れる。
【0020】
〔マグネシウム〕
本発明の飲料組成物中のマグネシウムの含有量は、特に限定されないが、多くのナトリウムを含有する場合であっても高い嗜好性を有することから、飲料100mlあたり0.7mg以上5.5mg以下であることが好ましい。中でも、塩味をより改善できる点で、1.0mg以上4.5mg以下であることがより好ましく、加えて、飲みやすさをより改善できる点で、1.5mg以上3.5mg以下であることがさらに好ましい。
【0021】
〔カリウム〕
本発明の飲料組成物中のカリウムの含有量は、特に限定されないが、多くのナトリウムを含有する場合であっても高い嗜好性を有することから、飲料100mlあたり5.8mg以上7.2mg以下であることが好ましい。中でも、塩味をより改善できる点で、5.95mg以上7.0mg以下であることがより好ましく、加えて、飲みやすさをより改善できる点で、6.0mg以上6.6mg以下であることがさらに好ましい。
【0022】
ところで、本発明において、マグネシウム及びカリウムの含有量は特に限定されるものでないが、マグネシウムの含有量に対するカリウムの含有量の比であるカリウム/マグネシウムの値は、1.4以上8.2以下である。カリウム/マグネシウムは、1.4以上8.2以下であれば特に限定されないが、高い嗜好性が得られることから、1.5以上7.0以下であることが好ましく、1.6以上5.0以下であることがより好ましく、1.8以上3.0以下であることがさらに好ましい。
【0023】
〔カルシウム〕
また、必須の態様ではないが、多くのナトリウムを含有する場合であっても高い嗜好性を有することから、本発明の飲料組成物は、カルシウムをさらに含むのが好ましい。飲料組成物中のカルシウムの含有量は、特に限定されないが、飲料100mlあたり1.22mg以上2.4mg以下であることが好ましい。中でも、塩味をより改善できる点で、1.3mg以上2.1mg以下であることがより好ましく、加えて、飲みやすさをより改善できる点で、1.4mg以上1.9mg以下であることがさらに好ましい。
【0024】
また、よりいっそう高い嗜好性が得られることから、カルシウムの含有量に対するカリウムの含有量の比であるカリウム/カルシウムの値は、3.0以上4.9以下であることが好ましく、3.1以上4.5以下であることがより好ましく、3.2以上4.0以下であることがさらに好ましく、3.3以上3.8以下であることが最も好ましい。
【0025】
〔甘味料及び/又は果汁〕
必須の態様ではないが、飲料組成物の後味、すっきり感、塩味、飲みやすさのバランスがよくなり、嗜好性が向上する点で、本発明の飲料組成物は、甘味料及び/又は果汁をさらに含むことが好ましい。
【0026】
甘味料の種類は特に限定されるものでなく、天然甘味料であってもよいし、合成甘味料であってもよい。天然甘味料の例として、糖類(ぶどう糖、麦芽糖、果糖ぶどう糖液糖、砂糖等)、蜂蜜、水飴等のほか、糖アルコール(エリスリトール、マルチトール、キシリトール、ソルビトール等)、羅漢果抽出物、グリセリン等が挙げられる。合成甘味料の例として、アスパルテーム、アセスルファムカリウム、スクラロース、サッカリン等が挙げられる。
【0027】
果汁の種類も特に限定されるものでなく、例えば、バナナ果汁、リンゴ果汁、ブドウ果汁、イチゴ果汁、メロン果汁、リンゴ果汁、マンゴー果汁、マスカット果汁、ホワイトグレープ果汁、レモン果汁、ライム果汁、ミカン果汁、グレープフルーツ果汁、ユズ果汁等が挙げられる。中でも、より飲料組成物の味のバランスが良好となり、嗜好性が向上する点で、ホワイトグレープ果汁、ユズ果汁、レモン果汁を使用するのが好ましい。
【0028】
〔可溶性固形分〕
可溶性固形分の含有量は、特に限定されないが、可溶性固形分の含有量が多いほど、飲料組成物の後味、すっきり感、塩味、飲みやすさのバランスがよくなり、嗜好性が向上する。そのため、本発明の飲料組成物中の可溶性固形分の含有量は、好ましくは4質量%以上であり、より好ましくは5質量%以上であり、さらに好ましくは6質量%以上である。
【0029】
他方、可溶性固形分の含有量が多すぎると、甘みが強くなりすぎ、飲料組成物のすっきり感が低下し、嗜好性を損ねる可能性がある。飲料組成物の嗜好性を損ねるのを防止する観点から、可溶性固形分の含有量は、飲料に対して15質量%以下であることが好ましく、10質量%以下であることがより好ましい。
【0030】
本明細書において「可溶性固形分」とは、飲料組成物中の可溶性固形分全体の濃度を糖用屈折計で測定した値をいい、「Brix」を指す。具体的には、本明細書において、可溶性固形分とは、デジタル屈折計RX−5000α(株式会社アタゴ製)20℃で測定したときの値をいうものとする。
【0031】
〔無水クエン酸換算酸度〕
本明細書において、「無水クエン酸換算酸度」とは、果汁飲料の日本農林規格(JAS)法にしたがった無水クエン酸換算酸度濃度をいう。酸度の単位はw/v%である。より詳しくは、本明細書において、「無水クエン酸換算酸度」とは、平沼自動滴定装置COM−1700(平沼産業株式会社製)を用い、JAS法にしたがい、サンプルを0.1mol/L水酸化ナトリウム溶液でpH8.1まで滴定したときの滴定量から算出したときのサンプル100ml中の有機酸量をいう。
【0032】
飲料組成物の無水クエン酸換算酸度は、特に限定されないが、飲料組成物の後味、すっきり感、塩味、飲みやすさのバランスがよくなる点で、飲料100mlあたり0g以上0.6g以下であることが好ましく、0.1g以上0.5g以下であることがより好ましく、0.2g以上0.4g以下であることがさらに好ましく、0.31g以上0.35g以下であることが最も好ましい。
【0033】
〔pH〕
飲料組成物のpHは、特に限定されないが、飲料組成物の酸味が強くなることで、飲料組成物の後味、すっきり感、塩味、飲みやすさのバランスが良好となる。このため、本発明の飲料組成物のpHは、4.0以下が好ましく、3.7以下がより好ましく、3.5以下がさらに好ましい。また、飲料組成物のpHの下限も特に限定されず、例えば、3.0以上にすることができる。本明細書において、pHは、pHメーターHM−30R(東亜ディーケーケー株式会社製)を用いて測定したときの値である。
【0034】
〔他の原材料〕
飲料組成物の原材料は、特に限定されるものではない。例えば、香料、酸味料(無水クエン酸等)のほか、安定剤(ペクチン、大豆多糖類等)、増粘剤(タマリンドガム等)、乳化剤(ショ糖脂肪酸エステル等)、乳(牛乳、脱脂粉乳等)、pH調整剤等を任意に使用できる。
【0035】
〔飲料組成物の種類〕
飲料組成物の種類は特に限定されるものでなく、例えば、炭酸飲料、果汁飲料、スポーツ飲料、水、茶飲料等であってもよい。また、飲料は、ノンアルコール飲料であってもよいし、アルコール飲料であってもよい。中でも、ミネラル分の補給に適する点で、スポーツ飲料として使用するのが好ましい。
【0036】
〔容器〕
飲料組成物を収容する容器は、飲料組成物を密閉できるものであれば特に限定されるものでなく、ペットボトルであってもよいし、缶、瓶等であってもよい。
【0037】
〔飲料組成物の製造方法〕
本発明の飲料組成物は、常法にしたがって製造することができる。
【0038】
<熱中症予防剤>
本発明の熱中症予防剤は、ナトリウムの含有量が飲料100mlあたり40mg以上である上記飲料組成物からなる。ナトリウムの含有量が飲料100mlあたり40mg以上であり、厚生労働省から出された熱中症対策マニュアル、及び清涼飲料工業会から熱中症対策飲料のガイドラインに沿っているため、本発明の製剤は、熱中症予防に好適である。
【0039】
<嗜好性に優れる理由>
本発明の飲料組成物及び熱中症予防剤が嗜好性に優れる理由は、以下のように推察される。
【0040】
ナトリウムを一定量以上含有させると、ナトリウム由来のヌメリを伴う「塩味(えんみ)」を生じてしまう。しかし、本発明の飲料組成物は、ナトリウムとマグネシウムとを所定量含有することで、様々な味が混じった複雑な味を得ることができ、その得られる味が塩味をマスキングすることで嗜好性が向上すると推察される。また、カルシウムを更に所定量飲料組成物に含有させることで、味の複雑さが増し、さらに嗜好性が向上すると推察される。
【実施例】
【0041】
<実施例及び比較例>
〔飲料の調製〕
【表1】
【0042】
表1において、各成分は、以下のとおりである。
糖類:果糖ぶどう糖液糖:75°Bx(日本食品化工株式会社)
果汁:ホワイトグレープ透明果汁:冷凍濃縮ホワイトグレープ果汁(伊藤忠商事株式会社)
酸味料:無水クエン酸(丸善薬品産業株式会社)
クエン酸三ナトリウム(丸善薬品産業株式会社)
【0043】
常法にしたがい、表1に示す組成で実施例1〜3及び比較例1〜3に係る飲料調合液を調製した。水以外の各成分を混合した後、最終的に1000mlになるよう水を加えて調合した。これらの飲料調合液を93℃で15秒間殺菌した後、500ml入り透明PETボトルに充填し、密栓した。そして、PETボトルを水冷して、実施例及び比較例に係る飲料を得た。
【0044】
〔可溶性固形分、無水クエン酸換算酸度及びpH〕
まず、各飲料調合液の可溶性固形分(Brix)、pH及び酸度を測定した。
可溶性固形分は、デジタル屈折計RX−5000α(株式会社アタゴ製)を用いて20℃で測定したときの値(単位:%)である。
無水クエン酸換算酸度は、平沼自動滴定装置COM−1700(平沼産業株式会社製)を用い、JAS法にしたがい、サンプルを0.1mol/L水酸化ナトリウム溶液でpH8.1まで滴定したときの滴定量から算出したときのサンプル100ml中の有機酸量である。
pHは、pHメーターHM−30R(東亜ディーケーケー株式会社製)を用いて測定したときの値である。
可溶性固形分、無水クエン酸換算酸度及びpHの結果を表2に示す。
【0045】
【表2】
【0046】
〔官能評価〕
実施例1〜3及び比較例1〜3に係る飲料を熟練したパネラーに試飲させ、それぞれの評価項目(「後味の好み」、「すっきり感の好み」、「塩味の好み」、「飲みやすさの好み」、「後味の強さ」、「塩味の強さ」、「雑味の強さ」、「塩味由来のぬめり感の強さ」)について1〜5の5段階で点数をつけた。
【0047】
「後味の好み」、「すっきり感の好み」、「塩味の好み」、「飲みやすさの好み」の評価基準は、平均点が5である場合を「◎」とし、平均点が4以上5未満である場合を「○」とし、平均点が3以上4未満である場合を「△」とし、平均点が3未満である場合を「×」とした。
【0048】
「後味の強さ」、「塩味の強さ」、「雑味の強さ」、「塩味由来のぬめり感の強さ」の評価基準は、平均点が4以上である場合を「+++」とし、平均点が3以上4未満である場合を「++」とし、平均点が3未満である場合を「+」とした。
【0049】
評価結果を表3に示す。
【0050】
【表3】
【0051】
ナトリウム、マグネシウム及びカリウムを含み、マグネシウムの含有量に対する前記カリウムの含有量の比であるカリウム/マグネシウムが1.4以上8.2以下である飲料は、ナトリウムの含有量が飲料100mlあたり31mg以上74mg以下であったとしても、カリウム/マグネシウムが1.4以上8.2以下の範囲にない飲料と比較して、「後味の強さ」、「塩味の強さ」、「雑味の強さ」、「塩味由来のぬめり感の強さ」が抑制され、さらに、「後味の好み」、「すっきり感の好み」、「塩味の好み」、「飲みやすさの好み」が向上し、味のバランスがよくなり、総合評価が高いことが確認された(実施例及び比較例)。
【0052】
中でも、カリウム/マグネシウムが1.5以上7.0以下であると、塩味をより改善でき(実施例2及び3)、カリウム/マグネシウムが1.8以上3.0以下であると、飲みやすさをさらに改善できることが確認された(実施例2)。これは、複数のミネラルから様々な味が得られることにより、塩味がマスキングされ、嗜好性が向上したためであると考えられる。