(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下に、本発明に係る飲料供給機及び飲料供給機の注出装置の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。尚、この実施形態によりこの発明が限定されるものではない。
【0013】
[実施形態]
本発明に係る飲料供給機及び飲料供給機の注出装置の実施形態の1つを
図1から
図8に基づいて説明する。
【0014】
図1の符号1は、本実施形態の飲料供給機を示す。この飲料供給機1は、供給機本体10と、この供給機本体10の飲料品を利用者に提供する注出装置20と、を備える。
【0015】
供給機本体10は、飲料品が充填された飲料容器11を保持又は収容し、その飲料容器11の飲料品を注出装置20に供給するものである。飲料容器11とは、飲料水等の飲料品を収容する入れ物のことである。この飲料容器11は、例えば容器内の飲料品が使い果たされた際に、飲料品が充填された新たな物に交換して、供給機本体10に保持又は収容される。本実施形態の飲料供給機1は、供給機本体10の上方で飲料容器11が保持されるものとして例示している。
【0016】
本実施形態の供給機本体10は、飲料容器11から流入してきた飲料品を温めたり冷やしたりして利用者に提供する。このため、この供給機本体10には、その筐体12の内部に保温容器13Aと保冷容器13Bを設けている。保温容器13Aは、例えば、加熱装置(図示略)を備えており、利用者等が設定した所定温度に温めた状態で飲料品(温水等)を収容する。また、保冷容器13Bは、例えば、冷却装置(図示略)を備えており、利用者等が設定した所定温度に冷やした状態で飲料品(冷水等)を収容する。供給機本体10には、飲料容器11から流入してきた飲料品を保温容器13Aと保冷容器13Bに分配する分配供給路14が設けられている。更に、供給機本体10は、保温容器13Aに接続され、その容器内の温かい飲料品が排出される第1排出路15Aと、保冷容器13Bに接続され、その容器内の冷たい飲料品が排出される第2排出路15Bと、を備えている。これらの保温容器13A等は、フロントパネル12a等の複数の外装部材で覆われて筐体12の内部に収容されている。
【0017】
ここで、供給機本体10には、利用者が注出装置20から飲料品を注出する際に使用する注出室16が設けられている。この例示の注出室16は、方体状の空間であり、フロントパネル12aに設けた矩形の開口12a
1と、この開口12a
1に対向する後壁16a等の複数の壁部と、によって形成される。注出装置20は、この注出室16に配置される。この例示では、注出装置20として、温かい飲料品を注ぎ出すことが可能な第1注出装置20Aと、冷たい飲料品を注ぎ出すことが可能な第2注出装置20Bと、が注出室16に設けられている。例えば、図示しないが、後壁16aからは、第1排出路15Aの先端の雄螺子部又は第1排出路15Aに連通させた部材の先端の雄螺子部と、第2排出路15Bの先端の雄螺子部又は第2排出路15Bに連通させた部材の先端の雄螺子部と、が注出室16に向けて突出させられている。第1注出装置20Aは、後述するように、内部流路34の内周面に雌螺子部35aを有しており、その内部流路34と第1排出路15Aとが連通するよう当該第1排出路15Aの雄螺子部に螺着される。これと同様に、第2注出装置20Bは、内部流路34の内周面に雌螺子部35aを有しており、その内部流路34と第2排出路15Bとが連通するよう当該第2排出路15Bの雄螺子部に螺着される。それぞれの雄螺子部は、注出室16の後壁16aの壁面に対して直交させている。
【0018】
第1注出装置20Aと第2注出装置20Bは、それぞれ異なるものを用いてもよく、互いに同等のものを用いてもよい。本実施形態では、説明の便宜上、第1注出装置20Aと第2注出装置20Bとが同等のものであるとして以下に具体的に説明する。但し、後述するロック解除釦63の色彩については、例えば、温かい飲料品用の第1注出装置20Aを赤とし、冷たい飲料品用の第2注出装置20Bを青とするなど、適宜変更してもよい。
【0019】
注出装置20は、
図2及び
図3に示すように、筐体30を備える。筐体30は、硬質の合成樹脂材料等から成形される。本実施形態の筐体30は、本体31と第1蓋部材32と第2蓋部材33とに大別される。
【0020】
本体31は、第1筒部31Aと第2筒部31Bとを有する。第1筒部31Aと第2筒部31Bは、各々円筒状に形成し、それぞれの軸線方向を交差させた状態で一体成形している。本実施形態の第1筒部31Aと第2筒部31Bは、第2筒部31Bの軸線方向における途中(中央部分等)でそれぞれの内部空間を連通させるように、それぞれの軸線方向を直交させた状態で第1筒部31Aの一端を第2筒部31Bの外壁部に一体化している。本実施形態の本体31においては、第1筒部31Aの内部空間から成る流路(以下、「第1内部流路」という。)34aと、第2筒部31Bの内部空間から成る流路(以下、「第2内部流路」という。)34bと、によって、供給機本体10から送られてきた飲料品が流入する流路(以下、「内部流路」という。)34が形成される。
【0021】
この本体31は、第1内部流路34aと供給機本体10の排出路(第1排出路15Aや第2排出路15B)とを連通させるように、その排出路の雄螺子部に第1筒部31Aの他端を螺着させる。このため、第1筒部31Aの他端における第1内部流路34aの内壁面には、その排出路の雄螺子部に螺合する雌螺子部35aを備えた螺子部材35が設けられている。雌螺子部35aは、第1内部流路34aの内壁面と同心上に配置される。従って、この本体31を含む筐体30は、第1筒部31Aの軸線周りに回転させることで、第1筒部31Aの軸線方向に沿って進行しながら供給機本体10側に螺着されていく。これにより、筐体30は、注出室16の後壁16aの壁面に対して、第1筒部31Aの軸線方向が直交するように取り付けられる。
【0022】
第2筒部31Bは、両端を開口させている。この例示の第2筒部31Bは、その一方の円形の開口に同心の第3筒部31Cを有している。第3筒部31Cは、内径及び外径共に第2筒部31Bよりも小径の円筒状に形成し、第2筒部31Bの一方の開口から突出させた状態で当該第2筒部31Bに一体成形している。この第3筒部31Cは、内部流路34(第2内部流路34b)に連通するものであり、突出側の開口を飲料品の注出口36として使用する。筐体30は、その注出口36が下方を向くように供給機本体10に取り付けられる。
【0023】
これに対して、第2筒部31Bにおける他方の円形の開口には、その開口を塞ぐように第1蓋部材32が取り付けられている。第1蓋部材32は、開口を塞ぐ円盤部32aと、この円盤部32aの周縁から直交方向に突出させた円筒状の筒部と、を有しており、その筒部の内周面側において第2筒部31Bの他端に嵌合させる。
【0024】
更に、第2筒部31Bは、第2内部流路34bを間に挟んだ第1筒部31Aとは逆側の外壁部に第4筒部31Dを有する。第4筒部31Dは、後述するロック機構60が挿入される円筒状の部位であり、その第2筒部31Bの外壁部から突出させる。この第4筒部31Dは、その内部空間を第2内部流路34bに連通させている。その第2筒部31Bの外壁部からは、更に第5筒部31Eが突出させられている。第5筒部31Eは、第4筒部31Dを外周面側から覆う円筒状の部位であり、同心上に配置されている。第5筒部31Eにおける突出側の円形の開口には、その開口を塞ぐように第2蓋部材33が取り付けられている。第2蓋部材33は、その開口を塞ぐ円盤部と、この円盤部の周縁から直交方向に突出させた円筒状の筒部と、を有しており、その筒部の内周面側において第5筒部31Eに嵌合させる。
【0025】
注出装置20は、内部流路34を注出口36に対して開放又は閉塞させる開閉機構40を備える。本実施形態の開閉機構40は、内部流路34における第2内部流路34bに収容され、その第2内部流路34bを開放又は閉塞させることによって、この第2内部流路34bの飲料品を注出口36に供給したり、その飲料品の注出口36への供給を遮断したりする。この開閉機構40は、第2内部流路34bを注出口36に対して開放又は閉塞させる弁体41を備える。この例示の注出装置20においては、第2内部流路34bの軸線方向に沿って往復移動できるように弁体41を配置し、第3筒部31Cにおける第2内部流路34b側の周縁を弁座31C
1として利用する。開閉機構40は、その弁座31C
1に対する弁体41の軸線方向における位置に応じて、内部流路34を開放又は閉塞し、注出口36と第2内部流路34bとの間を連通させたり、この間を遮断させたりする。弁体41は、第2筒部31Bの軸線方向に往復移動可能な主体部41Aと、この主体部41Aに取り付けられ、主体部41Aと弁座31C
1との間に介在させたシール部材41Bと、で構成されている。この弁体41においては、その往復移動方向が内部流路34の開閉方向となる。主体部41Aは、第2筒部31B(第2内部流路34b)の軸線方向に延在する柱体であり、硬質の合成樹脂材料等で成形されている。一方、シール部材41Bは、閉弁時に弁座31C
1に当接可能な環状体であり、主体部41Aと一体になって往復移動する。このシール部材41Bは、閉弁時の注出口36からの飲料品の漏れを防ぐべく、弾性を有する合成樹脂材料等で成形されている。
【0026】
開閉機構40は、その弁体41が一端に取り付けられた軸部材42を備える。軸部材42は、硬質の合成樹脂材料等で成形されている。軸部材42は、第2筒部31B(第2内部流路34b)の軸線方向に延在させた軸状の主体部(以下、「軸部」という。)42aを有する部材であり、その軸線方向(つまり弁体41の開閉方向)へと往復移動させることができる。その軸部42aの軸線方向における一端には、弦巻バネ等の弾性部材43Aを介して弁体41の主体部41Aが取り付けられる。例えば、この軸部42aの一端には、保持部42bが設けられており、その保持部42bを介して弾性部材43Aの一端が固定される。このため、軸部材42は、弾性部材43Aの発生させる力に応じて、弁体41に対して軸線方向に相対移動したり、弁体41と共に軸線方向に往復移動したりすることができる。弾性部材43Aは、利用者が閉塞操作時(つまり弁体41を閉弁動作させるための閉弁操作時)に軸部材42を弁座31C
1側へと動かすことで圧縮させ、弁体41と軸部材42との間に圧縮力に応じた反力を作用させ、弁体41のシール部材41Bを弁座31C
1に押し付ける。一方、この弾性部材43Aは、利用者が開放操作時(つまり弁体41を開弁動作させるための開弁操作時)に軸部材42を閉塞操作時とは逆向きに動かすことで、弁体41と軸部材42との間に引張り力を発生させ、弁体41のシール部材41Bを弁座31C
1から引き離す。
【0027】
ここで、第2内部流路34bには、軸部材42の保持部42bと第1蓋部材32の円盤部32aとの間に弦巻バネ等の弾性部材43Bを設けている。弾性部材43Bは、閉弁時であると開弁時であるとに拘わらず圧縮させられており、保持部42bと円盤部32aとの間に圧縮力に応じた反力を作用させる。そして、この弾性部材43Bは、弾性部材43Aよりもバネ定数を大きくして、同一変化量であれば、弾性部材43Aよりも大きな圧縮力を発生させるように形成する。このため、この弾性部材43Bは、閉塞状態(つまり弁体41が第2内部流路34bを閉塞させている閉弁状態)のときに、軸部材42に対して弁体41側に向けた軸線方向の押圧力を発生させ、この閉塞状態を維持させる。また、この弾性部材43Bは、円盤部32aとの間で軸部材42を弁体41に押し付ける方向の力を発生させているので、閉塞操作時における利用者の後述する操作レバー50の操作力を緩和させることができる。
【0028】
この軸部材42の軸部42aは、軸線方向における他端を筐体30の外部に突出させる。この例示では、第1蓋部材32の円盤部32aに貫通孔を形成し、その貫通孔から軸部42aの他端を筐体30の外部に突出させている。このため、第2内部流路34bには、軸部材42における軸部42aや保持部42bの軸線周りを覆いつつ当該軸部材42に嵌合される環状部を一端に有し、かつ、第2筒部31Bの他端と第1蓋部材32の円盤部32aとの間に挟持された環状部を他端に有するシール部材44を設ける。そのシール部材44は、主に円盤部32aの貫通孔と第2内部流路34bとの連通を防ぐ仕切り部材であり、軸部材42の動きに応じて伸縮できるように、弾性を有する合成樹脂材料等で成形されている。弾性部材43Bは、このシール部材44と第1蓋部材32との間に配置している。
【0029】
注出装置20においては、その筐体30の外部に突出させた軸部42aの他端に、操作レバー50を取り付ける。操作レバー50は、利用者が操作して開閉機構40を作動させるための部材であり、硬質の合成樹脂材料等で成形される。この操作レバー50は、軸部材42(軸部42a)の他端側から一端側に向けて延出させ、その延出先に利用者が操作する力点部を設けたレバー本体51と、レバー本体51における軸部材42(軸部42a)の他端側に一体化され、その他端に対して回転軸45を介して回動自在に取り付けた支持体52と、を備える。支持体52は、レバー本体51に一体成形されている。
【0030】
レバー本体51は、支持体52を起点にして延出させた第1延在部51Aを有する(
図2)。第1延在部51Aは、第1筒部31Aと第2筒部31Bのそれぞれの軸線方向に対する直交方向で、かつ、筐体30の外方に向けて当該筐体30よりも外側まで延出させた板状部である。レバー本体51には、その直交方向における一方に向けて支持体52の後述する一方の側壁部52Aから延出させた一方の第1延在部51Aと、その直交方向における他方に向けて支持体52の後述する他方の側壁部52Aから延出させた他方の第1延在部51Aと、が設けられている。それぞれの第1延在部51Aは、後述する閉塞時レバー位置にて、支持体52の回転軸45よりも第1筒部31Aの他端側(つまり注出室16の後壁16a側)に配置している。
【0031】
レバー本体51は、更に、それぞれの第1延在部51Aの延出先の端部から各々延出させた第2延在部51Bを有する。第2延在部51Bは、閉塞時レバー位置にて、第1筒部31Aの軸線方向に沿い、かつ、第1筒部31Aの他端側(注出室16の後壁16a側)に向けて延出させた板状部である。この第2延在部51Bは、第2筒部31Bよりも第1筒部31Aの他端側まで延出させる。
【0032】
レバー本体51は、更に、それぞれの第2延在部51Bの延出先の端部から各々延出させた第3延在部51Cを有する。それぞれの第3延在部51Cは、筐体10を間に挟みつつ、軸部材42の他端側から一端側に向けて延出させた棒状部である。本実施形態の第3延在部51Cは、閉塞時レバー位置にて、注出口36よりも第1筒部31Aの他端側で、かつ、その注出口36よりも下方側まで延出させている。この第3延在部51Cは、第2筒部31Bの軸線方向と平行に延在させたものでもよく、延出先に向かうに連れて第1筒部31Aの他端側から一端側へと傾斜させたものでもよい。本実施形態では、後者を採用している。
【0033】
レバー本体51は、それぞれの第3延在部51Cの延出先の端部同士を連結させる板状の連結部51Dを有する。連結部51Dは、利用者が操作する力点部となる。利用者は、例えば、コップの口を注出口36の下方に配置した状態で、そのコップごと連結部51Dを押すことによって、開閉機構40の弁体41を開弁動作させ、その注出口36から飲料品をコップの中に注出させる。このため、その連結部51Dにおけるコップとの当接側には、弾性を有する合成樹脂材料等で矩形に成形された保護部材53を取り付けている。
【0034】
支持体52は、第1蓋部材32の円盤部32aの外壁面(以下、「被対向部」という。)32a
1に対向する部位を有するものであり、軸部材42に対する回動状態に応じて被対向部32a
1に対向する部位が変わるように形成する。この支持体52においては、弾性部材43A,43Bの作用によって、被対向部32a
1に対向する部位が当該被対向部32a
1に当接している。例えば、支持体52は、その外観を方体等の多面体形状に形成し、回動方向に沿う複数の外壁面が被対向部32a
1に対向する部位となるようにしてもよい。但し、本実施形態の支持体52は、軸部42aの他端を間に挟んで互いに対向させた2枚の板状の側壁部52Aと、それぞれの側壁部52Aを連結させる板状の連結部52Bと、を有する断面コの字状に形成している。
【0035】
2枚の側壁部52Aは、回転軸45を介して軸部42aの他端に回動自在に取り付けられている。それぞれの側壁部52Aは、その回転軸45の軸線方向に見て、互いに同一の多角形形状に形成する。尚、側壁部52Aにおけるそれぞれの辺は、必ずしも直線状である必要はなく、曲率半径の大きい緩やかな曲線であってもよい。連結部52Bは、それぞれの側壁部52Aにおける同一形状の辺同士を繋ぐものであり、回転軸45の軸線方向に延在させている。この連結部52Bは、閉塞時レバー位置にて、支持体52の内方側の壁面が被対向部32a
1に対向するよう配置されている。
【0036】
注出装置20は、誤操作等による飲料品の注出を防ぐためのロック機構60を備える。ロック機構60は、利用者のロック解除操作の有無に応じて動作形態が変わるものである。このロック機構60は、ロック解除操作をしなければ、開閉機構40の弁体41の開弁動作を禁止させる。一方、このロック機構60は、ロック解除操作をすることで、その弁体41の開弁動作を許容する。
【0037】
例えば、本実施形態のロック機構60は、弁体41の開弁動作を止めることが可能な軸部材(以下、「ロック軸部材」という。)61を備える。そのロック軸部材61は、硬質の合成樹脂材料等で円柱状に成形され、第4筒部31Dの内部空間に互いの軸線方向を合わせて挿通される。つまり、ロック軸部材61は、自らの軸線方向を弁体41の開閉方向(往復移動方向)に直交させて配置する。このロック軸部材61は、その第4筒部31Dを介して、筐体30の外方と内方(第2内部流路34b側)とに突出させて配置する。第2内部流路34bでは、弁体41に形成されている貫通孔41aにロック軸部材61を挿通させる。その貫通孔41aは、弁体41の開閉方向に直交させた孔である。この貫通孔41aの内方には、その内壁面から弁体41の開閉方向に向けて突出させた突出部41bを設けている。一方、ロック軸部材61には、その突出部41bの挿入が可能な溝部61aを設けている。
【0038】
ロック機構60は、そのロック軸部材61における筐体30の外方側の端部に設けた鍔部61bと第4筒部31Dの突出側の端面との間に弦巻バネ等の弾性部材62を設けている。弾性部材62は、その間で常に圧縮力を発生させている圧縮バネであり、その圧縮力に応じた反力によって、ロック軸部材61を自らの軸線方向における筐体30の外方側に押動している。ロック軸部材61は、第4筒部31Dに対する所定位置での弾性部材62からの反力によって、溝部61aの壁面が突出部41bの壁面に係止されるので、この所定位置で筐体30の外方側への移動が止まる。その際、弁体41においては、溝部61aの壁面から突出部41bの壁面に対して押圧力が作用している。ロック機構60においては、操作レバー50が開放操作されて弁体41に開弁方向の力が作用していたとしても、その押圧力で弁体41が開弁方向に動かないように、弾性部材62の特性を設定する。このため、このロック機構60は、ロック軸部材61が所定位置の場合、ロック状態となり、操作レバー50が開放操作されたとしても、弁体41の開弁方向への動きを止めることができる。尚、この例示では、ロック状態で操作レバー50が開放操作されたときに、軸部材42が弁体41に対して相対移動する。
【0039】
利用者は、そのロック機構60のロック状態を解除するために、ロック軸部材61を所定位置から筐体30の内方側に向けて軸線方向に押動する。このため、ロック機構60は、そのロック軸部材61を筐体30の外方側から内方側へと軸線方向に押動する操作釦(以下、「ロック解除釦」という。)63を備える。ロック解除釦63は、一端が閉塞された円筒状に硬質の合成樹脂材料等で成形され、第5筒部31Eの円盤部に設けた開口を塞ぐよう第5筒部31Eと同心上に配置される。ロック解除釦63は、第5筒部31Eに対して軸線方向に相対移動し得るよう配置される。利用者は、ロック解除操作を行う際に、そのロック解除釦63を筐体30の内方側へと押動する。これにより、このロック機構60においては、ロック解除釦63における円板状の閉塞部の内壁面がロック軸部材61の鍔部61bを直接又は間接的に押動し、溝部61aの壁面と突出部41bの壁面との間に発生していた押圧力を減少させていきながら、ロック状態が解除される。注出装置20においては、操作レバー50が開放操作されている場合、その押圧力の減少と共に弁体41が弁座31C
1から離れていく。
【0040】
ここで、ロック機構60には、ロック軸部材61の外周面に形成した穴部に対して径方向に沿って出入りすることが可能な方体状の係止部64が設けられている。その係止部64は、ロック状態のとき(ロック軸部材61が所定位置のとき)に第4筒部31Dの内部空間の内壁面に対して押圧力を作用させるものである。その押圧力は、ロック軸部材61の穴部内に設けた弦巻バネ等の弾性部材65によって発生させる。軸部材42には、その係止部64が第2内部流路34bに入り込まないように係止することによって、ロック軸部材61を所定位置から第2内部流路34b側に移動させない(つまりロック状態を解除させない)ようにする突出部42cが設けられている。
【0041】
その突出部42cは、軸部材42の往復移動方向において、保持部42bからロック軸部材61に向けて突出させたものである。この突出部42cの突出側の端部は、ロック軸部材61の軸線方向において、ロック状態のときに係止部64の第2内部流路34b側の壁面に対向させる。これにより、ロック機構60においては、利用者がロック解除釦63を筐体30の内方側に押動しようとしても、係止部64が突出部42cに係止されるので、ロック軸部材61を所定位置から第2内部流路34b側に動かすことができず、ロック状態が解除されない。一方、このロック機構60においては、操作レバー50が開放操作されている場合、係止部64が突出部42cに係止されないので、利用者がロック解除釦63を筐体30の内方側に押動すると、ロック軸部材61が所定位置から第2内部流路34b側に移動し、そのロック軸部材61の移動と共に弁体41の突出部41bが溝部61aから抜け出て、ロック状態が解除される。その際、この注出装置20においては、弁体41が軸部材42によって引き上げられて開弁する。そのロック解除状態において、係止部64は、ロック状態のときよりもロック軸部材61の穴部から飛び出ており、そのままでは第4筒部31Dに係止されて、ロック軸部材61がロック状態の位置まで戻らないようになっている。その際、突出部42cの突出側の端面は、係止部64の頂面(第4筒部31Dの内壁面に押圧力を加える部分)に対向している。このため、このロック機構60においては、利用者がロック解除釦63から手を放し、操作レバー50が閉塞操作されたときに、その突出部42cの端面が係止部64を穴部に押し戻すので、弾性部材62によってロック軸部材61が所定位置まで押動され、弁体41の突出部41bが溝部61aに挿入されて、再びロック状態となる。
【0042】
ところで、この注出装置20において、操作レバー50は、筐体30に対する位置を次のように切り替えることができる。例えば、本実施形態の操作レバー50は、少なくとも
図4に示す閉塞時レバー位置と
図5に示す開放時レバー位置との間での切り替え操作を行うことができる。
【0043】
閉塞時レバー位置とは、弁体41が内部流路34を閉塞している閉弁時の操作レバー50の位置のことであり、利用者が操作レバー50を操作していないときの位置を表している。支持体52は、操作レバー50が閉塞時レバー位置のときに第1蓋部材32の被対向部32a
1に対向する第1対向部52aを有している。その第1対向部52aは、それぞれの側壁部52Aにおける双方の或る1つの辺によって形成される。
【0044】
開放時レバー位置とは、弁体41が内部流路34を開放している開弁時の操作レバー50の位置のことであり、利用者が保護部材53を介してコップで操作レバー50を押動操作(開放操作)しているときの位置を表している。支持体52は、操作レバー50の閉塞時レバー位置から開放時レバー位置への開放操作時に、回転軸45に対する偏心位置で被対向部32a
1に当接して支点となる支点部52bを有している(
図3)。その支点部52bは、開放操作時に、作用点部としての回転軸45を開弁方向に軸部材42と共に移動させることで内部流路34を開放させる部位である。この支点部52bは、それぞれの側壁部52Aにおける第1対向部52aを成す辺の一方の端部側に、隅部として形成される。
【0045】
更に、本実施形態の操作レバー50は、閉塞時レバー位置と
図6に示すメンテナンス時レバー位置との間での切り替え操作を行うこともできる。メンテナンス時レバー位置とは、注出装置20(筐体30)の供給機本体10に対する着脱作業(螺着作業等)を行う際の操作レバー50の位置のことである。具体的には、螺着作業時の筐体30の進行方向(つまり第1筒部31Aの軸線方向)又は当該進行方向を基準とした所定範囲内の方向にレバー本体51の第3延在部51Cの延在方向を一致させた位置のことである。換言するならば、メンテナンス時レバー位置とは、例えば第1筒部31Aを軸線方向に投影した当該軸線方向の延長線上の円柱状の仮想領域を設定し、その仮想領域内にレバー本体51の第3延在部51Cの全て又は殆どを存在させるよう操作レバー50を操作した位置のことである。更に換言するならば、メンテナンス時レバー位置とは、第1筒部31Aを軸線周りに回転させた際に、供給機本体10や他方の注出装置20に操作レバー50を接触させない位置のことである。
【0046】
本実施形態の支持体52は、操作レバー50が閉塞時レバー位置から開放操作時とは逆向きに操作されたときに被対向部32a
1に対向する第2対向部52cと第3対向部52dとを有している(
図3)。つまり、その第2対向部52cと第3対向部52dは、それぞれの側壁部52Aにおいて、第1対向部52aから見て支点部52bとは逆側に形成されている。第3対向部52dは、第1対向部52aと第2対向部52cとの間に形成する。この例示では、第1対向部52aを成す辺の支点部52bとは逆側で連接している辺を第3対向部52dとして形成し、この第3対向部52dを成す辺の第1対向部52aとは逆側で連接している辺を第2対向部52cとして形成する。
【0047】
第2対向部52cは、被対向部32a
1に対向する支持体52の部位が第1対向部52aから第2対向部52cに切り替わるまでの間、軸部材42又は当該軸部材42に連動する部材から筐体30の内部空間の内壁面に対して押圧力が加わらない形状に形成する。このため、この支持体52においては、第3対向部52dについても、軸部材42又は当該軸部材42に連動する部材から筐体30の内部空間の内壁面に対して押圧力が加わらない形状に形成する。ここで、軸部材42に連動する部材とは、弾性部材43Bやシール部材44、弁体41等のことをいう。筐体30の内部空間の内壁面とは、内部流路34の内壁面のことをいう。
【0048】
第3対向部52dは、操作レバー50がメンテナンス時レバー位置のときに被対向部32a
1に対向するように形成する。つまり、この第3対向部52dは、被対向部32a
1に対向しているときに、供給機本体10に対する螺着作業時の筐体30の進行方向(第1筒部31Aの軸線方向)又は当該進行方向を基準とした上記の所定範囲内の方向にレバー本体51の第3延在部51Cの延在方向が一致するように形成する。これにより、操作レバー50は、第3対向部52dが被対向部32a
1に対向する位置まで回動させることによって、注出装置20の螺着作業時に、レバー本体51を供給機本体10や他方の注出装置20に接触させない位置で保持することができる。このため、この注出装置20は、供給機本体10に対する螺着作業が容易になり、メンテナンス性を向上させることができる。
【0049】
本実施形態の注出装置20は、そのような第2対向部52cを支持体52が有していないと仮定した場合、操作レバー50が閉塞時レバー位置から開放操作時とは逆向きに操作され続けたときに、軸部材42又は当該軸部材42に連動する部材から筐体30の内部空間の内壁面に対して押圧力が加わり、例えばメンテナンス時レバー位置のまま又はメンテナンス時レバー位置よりも少し動かした状態で操作レバー50がそれ以上動かなくなる(
図7)。その際には、支持体52に新たな支点部52eが生じると共に、その押圧力が作用する部分が作用点部となる。このため、操作レバー50が更に同じ向きに操作され続けたときには、その押圧力によって第1蓋部材32が外れたりするなどの注出装置20の耐久性の低下を引き起こしてしまう可能性があり、また、耐久性の低下等に伴って、ロック機構60がロック状態であるにも拘わらず、飲料品を外部に漏らしてしまう可能性がある。つまり、その押圧力は、注出装置20にとって無用な荷重といえる。
【0050】
しかしながら、本実施形態の注出装置20は、上述したような第2対向部52cや第3対向部52dを支持体52が有しているので、操作レバー50が閉塞時レバー位置から開放操作時とは逆向きに操作され続けたときに、そのような無用な荷重となる押圧力を発生させることなく、被対向部32a
1に対向する支持体52の部位を第1対向部52aから第2対向部52cへと切り替えながら操作レバー50を動かすことができる(
図8)。換言するならば、本実施形態の注出装置20は、無用な荷重となる押圧力を発生させることなく、操作レバー50の回動範囲を拡張することができる。従って、この注出装置20は、操作レバー50が設計時の意図に反した方向へと操作されたとしても、各部に無用な荷重が作用しないので、耐久性を低下させてしまう事態を回避することができ、また、飲料品の外部への漏れも回避することができる。
【0051】
ここで、操作レバー50は、第2対向部52cと被対向部32a
1とが対向している状態から更に操作されてしまう可能性もある。このため、第2対向部52cは、被対向部32a
1に対向する支持体52の部位が第2対向部52cに切り替わった後、更に操作レバー50が切り替え中と同じ方向に操作された場合、軸部材42又は当該軸部材42に連動する部材から筐体30の内部空間の内壁面に対して押圧力が加わる前にレバー本体51を供給機本体10に当接させるよう形成することが望ましい。本実施形態の第2対向部52cは、その押圧力が加わる前にレバー本体51をフロントパネル12aに当接させる(
図8)。これにより、本実施形態の注出装置20は、無用な荷重となる押圧力の発生を可能な限り抑えることができるので、耐久性の低下や飲料品の外部への漏れを適切に回避することができる。
【0052】
尚、本実施形態の注出装置20では、操作レバー50が開放時レバー位置から更に押されていった場合にも、第2対向部52cを支持体52が有していない場合と同様の事象が起こり得る。しかしながら、本実施形態の注出装置20では、操作レバー50が開放時レバー位置から更に押されたときに、操作レバー50が注出室16の後壁16aに接触して、これ以上の操作レバー50の回動が規制されるので、耐久性の低下を引き起こす事態が回避される。但し、そのような後壁16aを有していない場合には、第2対向部52cと同様の対向部を支持体52に形成して、耐久性の低下を図ることが望ましい。その対向部とは、一方の端部側に支点部52bが形成されたもののことである。
【0053】
以上示したように、本実施形態の飲料供給機1及び飲料供給機1の注出装置20は、利用者の操作レバー50に対する誤操作に伴う耐久性の低下を抑えることができる。そして、このために、この飲料供給機1及び飲料供給機1の注出装置20は、ロック機構60が作動している(ロック状態になっている)にも拘わらず、誤操作によって飲料品が外部に漏れ出てしまうという事態を回避することができる。