(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して説明する。本明細書では、便宜上、投光レンズの光軸(主軸)の方向を前後方向として説明するが、本発明による光電スイッチの使用時における姿勢を限定するものではない。
【0025】
<光電スイッチ1>
図1は、本発明の実施の形態による光電スイッチ1の一構成例を示した平面図であり、色判別方式の光電スイッチ1が示されている。図中の(a)には、筐体10の前面が示され、(b)には、筐体10の右側面が示されている。
図2は、
図1の光電スイッチ1をA−A切断線により切断した場合の切断面を示した断面図である。
図3は、
図1の光電スイッチ1をB−B切断線により切断した場合の切断面を示した断面図である。
図2及び
図3には、矢印により示した方向から切断面を見た場合が示されている。
図4は、
図1の光電スイッチ1を展開して示した斜視図である。
図5は、
図4の光学モジュール32を展開して示した斜視図である。
【0026】
光電スイッチ1は、検出光を投光し、検出領域からの反射光を受光してワーク判定を行い、ワーク判定の結果に基づいて検出信号を生成する検出装置である。ワーク判定は、ワーク表面の色を判別して行われ、ワークの良否、ワークの有無等を示す検出信号が出力される。
【0027】
この光電スイッチ1は、筐体10、絶縁フィルム31、光学モジュール32、メイン基板33及びシールドシート34により構成される。筐体10は、回路素子、光学部品等を収容するための直方体形状のケーシングであり、筐体本体10a及び本体カバー10bからなる。
【0028】
筐体本体10aは、右側面が開口した箱体であり、絶縁フィルム31、光学モジュール32、メイン基板33及びシールドシート34がこの順序で収容される。本体カバー10bは、筐体本体10aの開口を塞ぐ側板であり、筐体本体10aに取り付けられる。筐体本体10a及び本体カバー10bは、高熱伝導性材料により形成される。高熱伝導性材料は、高い熱伝導性を有する材料であり、放熱性に優れる。
【0029】
例えば、筐体本体10a及び本体カバー10bは、樹脂などに比べて熱伝導率が高い金属を用いて形成される。この光電スイッチ1では、亜鉛ダイカスト製の筐体10が用いられている。筐体本体10aには、投受光窓11、表示灯12、操作キー13,14及び取付穴15と、配線ケーブル16の引出部と、表示パネル18とが設けられている。
【0030】
検出光は、筐体本体10aの前面に設けられた投受光窓11から出射し、検出領域からの反射光が投受光窓11に入射する。投受光窓11は、筐体本体10aに形成された矩形状の開口であり、当該開口を塞ぐ透明板からなる保護カバー17が取り付けられている。
【0031】
表示灯12は、ワーク判定の結果に応じて点灯するLED(Light Emitting Diode:発光ダイオード)インジケータであり、筐体本体10aの上面の前端に配設されている。操作キー13は、ワーク判定用の基準色を指定する際に使用される押下式のセットキーであり、筐体本体10aの上面に配設されている。
【0032】
操作キー14は、ワーク判定用の閾値を指定する際に使用される押下式の方向キーであり、アップキー及びダウンキーにより構成される。アップキーを操作することにより、数値をインクリメントすることができ、ダウンキーを操作することにより、数値をデクリメントすることができる。操作キー14は、筐体本体10aの背面に配設されている。
【0033】
取付穴15は、光電スイッチ1を工場設備や建屋に固定するためのネジ穴であり、筐体本体10aの右側面に設けられている。配線ケーブル16は、筐体10内の回路素子に電力を供給するための電源ケーブルと、制御用信号や検出信号を伝送するための信号ケーブルとにより構成される。配線ケーブル16の引出部は、筐体本体10aの背面、底面(下面)及び左側面の3面による角部(コーナー)に配置されている。
【0034】
表示パネル18は、ワーク判定用の閾値や一致度を表示する表示装置であり、筐体本体10aの背面に配設されている。例えば、表示パネル18は、7セグメント表示器である。なお、表示パネル18には、LCD(Liquid Crystal Display:液晶ディスプレイ)などのアクティブマトリクス駆動方式の表示装置を用いても良い。
【0035】
絶縁フィルム31は、電気絶縁性を有し、筐体本体10aの側壁に沿って配置されるシート状のシールド部材である。この絶縁フィルム31は、回路素子を筐体10から電気的に絶縁する樹脂製のフィルムであり、左側の側壁に密着させて配置される。
【0036】
絶縁フィルム31は、熱伝導性が高い方が好ましいが、厚みが0.5mm程度を下回れば、熱伝導性を特に考慮しなくても熱抵抗は低く、より好ましくは厚みが0.1mm程度であれば、絶縁フィルム31を介して筐体10へ放熱することができる。なお、絶縁フィルム31に代えて熱伝導性及び絶縁性が高い絶縁物を介在させ、放熱性と電気絶縁性の両立をさせることもできる。
【0037】
<光学モジュール32>
光学モジュール32は、投光基板20、発光素子21a,21b、スリット22、投光レンズ23a,23b、受光基板40、PDユニット41、受光レンズ42、光学ベースフレーム320、放熱板321、スペーサ322及び熱伝導部材323により構成される。光学ベースフレーム320は、光学部品及び回路基板を支持する支持部材である。
【0038】
発光素子21a及び21bは、検出光を生成する投光用光源である。この発光素子21a及び21bは、いずれも色相が異なる2以上の色成分を含む白色光を検出光として生成するLED(Light Emitting Diode:発光ダイオード)であり、それぞれが矩形状の半導体チップからなり、共通の投光基板20に面実装されている。発光素子21a及び21bは、左右方向に配列され、間隔を空けた状態で投光基板20に固定されている。投光基板20は、投光用の回路素子が設けられた回路基板である。この投光基板20は、発光素子21a及び21bの発光面を前方に向けた状態で光学ベースフレーム320に固定される。
【0039】
放熱板321は、発光素子21a,21bなどの回路素子において発生した熱を放熱させるためのヒートシンク部材であり、高熱伝導性材料により形成される。例えば、放熱板321は、アルミニウム製の金属製プレートにより構成される。この放熱板321は、投光基板20の背面と対向するように配置される。なお、放熱板321は、熱伝導性の高い部材であれば金属製プレートに限られず、例えば、熱伝導性樹脂により形成されても良い。投光基板20には、放熱板321に形成された取付穴に対応する位置に貫通孔が形成されており、放熱板321は、投光基板20との間にスペーサ322を挟み込み、かつ、投光基板20を挟み込んだ状態で、光学ベースフレーム320に固定される。
【0040】
スペーサ322は、電気絶縁性を有する高熱伝導性樹脂からなり、投光基板20の背面と放熱板321の前面とに接触する平板状の熱伝導部材である。スペーサ322は、好ましくは、ゴム、エラストマ、ゲル状体等の凹凸面や曲面への密着追従性が高い部材で形成され、投光基板20の背面と放熱板321の前面とに密着し、高い放熱性を実現する。例えば、スペーサ322は、電気絶縁性及び熱伝導性のシリコーンやアクリル樹脂のゴム、エラストマ、又は、ゲル状体からなる。
【0041】
熱伝導部材323は、高熱伝導性樹脂からなるブロック状の部材であり、筐体本体10aの側壁と放熱板321との間に配置される。この熱伝導部材323は、上下方向に延びる平板からなる。例えば、スペーサ322及び熱伝導部材323は、シリコーンゴムにより形成される。放熱板321が金属製である場合、熱伝導部材323は、電気絶縁性を有することが好ましい。なお、絶縁フィルム31を設けない場合、熱伝導部材323は、電気絶縁性を有することが好ましい。
【0042】
熱伝導部材323は、好ましくは、ゴム、エラストマ、ゲル状体等の凹凸面や曲面への密着追従性が高い部材で形成され、筐体本体10aの側壁に配置される絶縁フィルム31と放熱板321とに密着し、高い放熱性を実現する。例えば、熱伝導部材323は、電気絶縁性及び熱伝導性のシリコーンやアクリル樹脂のゴム、エラストマ、又は、ゲル状体からなる。なお、絶縁フィルム31を設けない場合、熱伝導部材323は、筐体本体10aの側壁と放熱板321とに密着する。
【0043】
スリット22は、発光素子21a,21bの発光面よりも小さい開口を有する平板状の光学部品であり、当該開口が発光素子21a,21bの発光面と対向するように配置されている。このスリット22は、発光素子21aに対向する位置と発光素子21bに対向する位置とにそれぞれ貫通孔が形成された金属製のプレートからなり、プレート表面が黒色処理され、或いは、プレート表面に黒色の塗膜が形成されている。好ましくは、スリット22は、プレート表面が艶消しの黒色処理され、又は、プレート表面に艶消しの黒色の塗膜が形成されている。このスリット22では、貫通孔によって開口が構成される。例えば、スリット22は、ステンレススチールにより形成される。スリット22の開口は、円形又は矩形である。スリット22は、光学ベースフレーム320に固定される。
【0044】
投光レンズ23a及び23bは、いずれもスリット22の開口を通過した検出光を検出領域に集光させる光学部品であり、光学ベースフレーム320に固定されている。発光素子21a、スリット22及び投光レンズ23aは、白色光からなる検出光を生成する発光素子21aを点灯させることにより、2以上の特定波長に対応する第1検出光を第1検出領域に向けて投光する第1投光手段である。一方、発光素子21b、スリット22及び投光レンズ23bは、白色光からなる検出光を生成する発光素子21bを点灯させることにより、第1検出光と同じ2以上の特定波長に対応する第2検出光を第2検出領域に向けて投光する第2投光手段である。特定波長は、色判別に用いる色成分である。
【0045】
投光レンズ23aの光軸と投光レンズ23bの光軸とは、略平行である。また、投光レンズ23a及び23bとスリット22との間の投光空間は、光学ベースフレーム320に設けられた隔壁24によって仕切られている。第1投光手段及び第2投光手段が共通の筐体10内に収容されるため、光電スイッチ1の設置が容易である。
【0046】
PDユニット41は、検出領域からの反射光を2以上の特定波長に対応して選択的に受光し、特定波長ごとの受光量にそれぞれ対応する2以上の受光信号を生成する受光素子ユニットであり、2以上のPD(Photo Diode:フォトダイオード)により構成される。このPDユニット41は、PDが受光基板40上に2次元的に配列された多分割PDユニットである。例えば、各PDは、12×24のマトリクス状に配列される。
【0047】
受光基板40は、受光用の回路素子が設けられた回路基板である。この受光基板40は、PDユニット41の受光面を前方に向けた状態で光学ベースフレーム320に固定されている。受光レンズ42は、検出領域からの反射光をPDユニット41の受光面に結像させる光学部品である。この受光レンズ42は、光軸が投光レンズ23a,23bの光軸と交差するように上方へ傾けた状態で配置される。受光用の光学部品及び回路素子は、投光用の光学部品及び回路素子よりも下側に配置される。
【0048】
前述した絶縁フィルム31は、筐体本体10aと光学モジュール32との間に配置される。熱伝導部材323は、絶縁フィルム31と放熱板321とに接触させた状態で配置される。
【0049】
メイン基板33は、演算回路などの回路素子が設けられた回路基板である。このメイン基板33は、回路形成面を本体カバー10b側に向けた状態で光学ベースフレーム320に取り付けられる。メイン基板33は、一方の面のみが回路形成面であっても良く、両面が回路形成面であっても良い。
【0050】
シールドシート34は、静電的、磁気的又は電磁的なシールド性能を有するシート状のシールド部材である。このシールドシート34は、筐体10内の回路素子を静電的、磁気的又は電磁的に絶縁するシートであり、メイン基板33と本体カバー10bとの間に配置される。シールドシート34は、電気絶縁性を有する樹脂性のフィルムで覆われていても良い。
【0051】
図6は、
図1の光電スイッチ1の動作の一例を模式的に示した説明図であり、図中の(a)には、検出光2a及び2bをワークWに向けて投光する投光光学系を上方から見た様子が示され、(b)には、ワークW上に形成される投光スポットSPa及びSPbが示されている。
【0052】
発光素子21a及び21bは、補色の関係にある2以上の色の光を混ぜることによって白色光を生成する白色LEDである。例えば、発光素子21a及び21bは、青色光を放射する半導体素子層と、蛍光体を有する蛍光体層とを積層した積層体により構成される。蛍光体層は、透光性の樹脂又はガラスにより蛍光体が固定されており、蛍光体は、半導体素子層の放射光によって励起され、青色光よりも波長が長い光、例えば、黄色光を発する。
【0053】
検出光2a及び2bは、いずれも青色光及び黄色光が混ざり合った混合光であり、赤色、緑色及び青色の3つの特定波長の色成分を含む。例えば、検出光2a及び2bは、互いにスペクトルが一致し、光量も同程度である。なお、検出光2a及び2bのスペクトルは、必ずしも一致させる必要はない。例えば、光電スイッチ1は、検出光2a及び2bのスペクトルの違いを予め測定し、その測定結果を補正情報として記憶し、色情報を取得する際に、当該補正情報を利用してスペクトルの不一致を補正するスペクトル補正手段を有するような構成であっても良い。また、検出光2a及び2bの光量は、必ずしも一致させる必要はない。例えば、光電スイッチ1は、検出光2a及び2bの光量の違いを予め測定し、その測定結果を補正情報として記憶し、色情報を取得する際に、当該補正情報を利用して光量の不一致を補正する光量補正手段を有するような構成であっても良い。
【0054】
スリット22は、発光素子21a及び21bと投光レンズ23a及び23bとの間に配置される。例えば、スリット22は、発光素子21a及び21bの近傍に配置される。発光素子21a及び21bの発光面から出射される検出光のうち、周縁部の光は、スリット22によって遮断される。スリット22の開口を通過した検出光は、投光レンズ23a及び23bによって屈折作用を受け、ワークWを含む検出領域に投光スポットSPa及びSPbとして結像する。スリット22は、光量を絞るのではなく、スリット部の像を投光スポットSPa及びSPbとして結像させることにより、光量ムラ及び色ムラが無く、輪郭が明瞭なスポットが得られる。
【0055】
投光スポットSPaは、検出光2aに対応し、投光レンズ23aによるスリット22の像である。一方、投光スポットSPbは、検出光2bに対応し、投光レンズ23bによるスリット22の像である。
【0056】
発光素子21a、スリット22及び投光レンズ23aの光軸と発光素子21b、スリット22及び投光レンズ23bの光軸とは、略平行であり、投光レンズ23a及び23bの焦点位置付近では、投光スポットSPa及びSPbが重複せずに互いに離間している。このため、投光レンズ23a及び23bの焦点位置付近では、ワークWまでの距離WDが変動しても、投光スポットSPa及びSPbの位置や間隔の変化は十分に小さい。
【0057】
特に、投光スポットSPa及びSPbが互いに近傍に形成される場合、色目の差異が小さく、ワークW上のラベル、組付け部品、レジマークRM等を検出する際に、ワークWの色褪せ、ワークWの製造ロット間における色目のバラツキ、ワーク表面の汚れの付着、搬送装置のばたつきの影響を低減させることができる。
【0058】
図7は、光電スイッチ1の運用形態の一例を示した説明図であり、ワークWが長尺方向に搬送されるシート状の部材であり、ワークWに印刷されたレジマークRMを検出する場合が示されている。この図では、紙面の上下方向に搬送されるワークWが描画されている。
【0059】
図中の(a)には、レジマークRMの通過領域に位置決めされた一方の投光スポットSPがレジマークRMの存在しない位置に形成されている状態が示されている。この場合、光電スイッチ1は、オフ状態である。一方、図中の(b)には、レジマークRMが投光スポットSPの直下を通過している状態が示されている。この場合、光電スイッチ1は、オン状態である。
【0060】
一方の投光スポットSPは、レジマークRMの通過領域に配置され、他方の投光スポットSPは、レジマークRMの非通過領域に配置される。レジマークRMの検出は、投光スポットSPを順次に形成した際の各受光結果を解析し、一方の投光スポットからの反射光の色情報と他方の投光スポットからの反射光の色情報との色差が一定レベル以上であるか否かを判別することによって行われる。
【0061】
従来の光電スイッチでは、色情報を予め登録された基準色と比較してレジマークRMの有無を判別するため、ワーク表面の色目が基準色登録時の色目と変化していれば、検出精度が低下してしまうという問題があった。
【0062】
これに対し、本実施の形態では、レジマークRMの通過領域に対応する色情報と非通過領域に対応する色情報とを比較してレジマークRMの有無を判別するため、ワーク表面の色目の変化の影響を受け難い。つまり、投光スポットSPa及びSPb間で色差が十分であれば、ワークWの色褪せ、ワークWの製造ロット間における色目のバラツキ、ワーク表面の汚れの付着、搬送装置のばたつき等に影響されることなく、レジマークRMを正しく検出することができる。
【0063】
図8は、
図3のPDユニット41の受光面を示した図であり、受光面に形成される受光スポットRa及びRbが模式的に示されている。図中には、距離WDを3段階で異ならせた場合の受光スポットRa及びRbがそれぞれ描画されている。
【0064】
PDユニット41の受光面は、上下方向に長い矩形状である。受光スポットRaは、検出光2aのワークWによる反射光3に対応し、受光レンズ42による投光スポットSPaの像である。この受光スポットRaは、受光面の左側に形成されている。一方、受光スポットRbは、検出光2bのワークWによる反射光3に対応し、受光レンズ42による投光スポットSPbの像である。受光スポットRbは、受光面の右側に形成されている。
【0065】
受光スポットRa及びRbは、距離WDに対応する位置に形成される。この例では、距離WDが遠いほど、受光面の上寄りに受光スポットRa及びRbが形成されている。また、距離WDが遠いほど、受光スポットRa及びRbの径が小さくなっている。なお、この例では、距離WDにかかわらず、受光スポットRa及びRbが、PDユニット41の受光面内に収まるように形成されているが、距離WDが近い場合に、受光スポットRa及びRbが、受光面からはみ出して形成されるようにしても良い。この様に構成することにより、距離WDが変化したことによる受光量の変動が緩和される。
【0066】
図9は、
図1の光電スイッチ1内の機能構成の一例を示したブロック図である。この光電スイッチ1は、主制御部100、投光駆動部101a,101b、発光素子21a,21b、カラーフィルタ102、PDユニット41、アンプ部103、メモリ104、電源部105、入出力部106、表示部107及び操作部108により構成される。
【0067】
主制御部100は、投受光を制御し、受光信号に基づいてワーク判定を行う。投光駆動部101a及び101bは、主制御部100の指示に基づいて、発光素子21a及び21bをそれぞれ駆動する。例えば、主制御部100は、投光駆動部101a及び101bに指示する投光量を制御する。投光量は、受光素子からの受光量に基づいて、受光量が一定の範囲内に収まるように制御される。
【0068】
反射率の高いワークの場合、受光量が相対的に大きくなるため、主制御部100は、受光量に基づいて投光駆動部101a及び101bに相対的に小さい投光量を指示する。一方、反射率の低いワークの場合、受光量が相対的に小さくなるため、主制御部100は、受光量に基づいて投光駆動部101a及び101bに相対的に大きい投光量を指示する。また、投光駆動部101a及び101bは、主制御部100の投光量指示と投光タイミング指示とに基づいて、発光素子21a及び21bをパルス駆動する。発光素子21a及び21bがパルス駆動される場合、発光素子21a及び21bのパルス発光量を図示しないモニタPDで測定し、測定されるパルス発光量が所定の目標値と一致するように投光駆動部101a及び101bが制御されても良い。この場合、主制御部100は、目標値を調整することで発光素子21a及び21bの発光量を調整することができる。また、主制御部100は、発光素子21a及び21bを交互に繰り返し点灯させる。
【0069】
検出光2a及び2bは、それぞれ投光レンズ23a及び23bを介し、検出領域に向けて出射される。検出領域からの反射光3は、受光レンズ42を介してカラーフィルタ102及びPDユニット41に入射される。
【0070】
カラーフィルタ102は、2次元位置に応じて特定波長の色成分の光を選択的に透過させる光学部品であり、PDユニット41の受光面上に配置される。このカラーフィルタ102では、赤色、緑色及び青色の3つの特定波長のいずれかをそれぞれ選択的に透過させるRフィルタ領域、Gフィルタ領域及びBフィルタ領域がマトリクス状に配置される。Rフィルタ領域、Gフィルタ領域及びBフィルタ領域は、いずれも微小な矩形領域からなり、多数の受光素子(PD)に対応づけて形成される。
【0071】
PDユニット41は、第1検出領域からの反射光3を受光して第1受光信号を生成し、第2検出領域からの反射光3を受光して第2受光信号を生成する。アンプ部103は、PDユニット41の各受光素子から入力される受光信号を増幅して主制御部100へ出力する増幅器ユニットである。このアンプ部103は、ゲインを切り替えることができる。受光信号は、特定波長の色成分ごとに増幅して主制御部100へ出力される。アンプ部103のゲインは、主制御部100による発光素子21a及び21bの発光量の調整と同様に、受光素子からの受光量を表す受光信号に基づいて、受光量が一定の範囲内に収まるように主制御部100により制御される。主制御部100は、受光信号に基づいてアンプ部103のゲインと発光素子21a及び21bの発光量の両方を制御するようにしても良い。
【0072】
メモリ104には、ワーク判定用の閾値、基準色の色情報などが保持される。電源部105は、配線ケーブル16を介してコントローラなどの外部機器に接続され、主制御部100の制御に基づいて、主制御部100や投光駆動部101a,101bに直流電源を供給する。入出力部106は、配線ケーブル16を介してコントローラなどの外部機器に接続され、制御用信号を受信して主制御部100へ出力し、主制御部100から入力された検出信号を外部機器へ送信する。
【0073】
表示部107は、主制御部100の制御に基づいて、ワーク判定用の閾値、一致度、色差等を表示パネル18に表示する。操作部108は、操作キー13及び14の押下操作に基づいて、操作信号を生成し、主制御部100へ出力する。
【0074】
<主制御部100>
図10は、
図9の主制御部100の構成例を示したブロック図である。この主制御部100は、投光制御部110、色情報取得部111、基準色記憶部112、取込指示受付部113、一致度算出部114、検出信号生成部115、補正量算出部116及びモード切替部117により構成される。
【0075】
投光制御部110は、アンプ部103から入力される受光信号に基づいて、投光駆動部101a及び101bを制御し、発光素子21a及び21bによる投光量を調整する。例えば、反射光3の受光量が一定レベルを上回った場合に、投光量を下げる一方、反射光3の受光量が当該一定レベルを下回った場合に、投光量を上げて元の状態に戻す制御が行われる。
【0076】
また、投光制御部110は、アンプ部103からの受光信号に基づいて、アンプ部103のゲインを切り替える。例えば、反射光3の受光量が一定レベルを上回った場合に、アンプ部103のゲインを下げる一方、反射光3の受光量が当該一定レベルを下回った場合に、アンプ部103のゲインを上げて元の状態に戻す制御が行われる。この様な投光量制御は、RGBのいずれかの受光量に基づいて行われる。或いは、RGBの各受光量を組み合わせて得られるパラメータに基づいて行われる。投光制御部110では、発光素子21a及び21bを交互に繰り返し点灯させる。
【0077】
色情報取得部111は、2以上の特定波長にそれぞれ対応する2以上の受光信号に基づいて、少なくとも2つの特定波長の受光量を比較して色情報を取得し、基準色として基準色記憶部112内に格納し、或いは、一致度算出部114へ出力する。取得される色情報は、3色の受光量レベルに基づいて定められる。例えば、赤色光の受光量レベルをR
1、緑色光の受光量レベルをG
1、青色光の受光量レベルをB
1とし、受光量の和をM
k=R
k+G
k+B
kとすれば、3色の受光量レベルの比率r
k=R
k/M
k,g
k=G
k/M
k,b
k=B
k/M
kを用いた組(r
1,g
1,b
1)により色が表される。色情報(r
1,g
1,b
1)は、周期的に繰り返し取得される。
【0078】
この光電スイッチ1では、投光スポットSPaからの反射光3に対応する色情報(r
1a,g
1a,b
1a)と、投光スポットSPbからの反射光3に対応する色情報(r
1b,g
1b,b
1b)とが交互に繰り返し取得される。色情報(r
1a,g
1a,b
1a)は、第1受光信号に基づいて取得される第1色情報である。一方、色情報(r
1b,g
1b,b
1b)は、第2受光信号に基づいて取得される第2色情報である。
【0079】
取込指示受付部113は、操作部108からの操作信号に基づいて、基準色の取込指示を受け付け、色情報取得部111に色情報の取込を指示する。色情報取得部111は、取込指示受付部113の指示に基づいて、色情報(r
0,g
0,b
0)を取得し、基準色の色情報として基準色記憶部112内に格納する。基準色記憶部112には、取込指示受付部113の取込指示に従って取得された第1色情報(r
0a,g
0a,b
0a)及び第2色情報(r
0b,g
0b,b
0b)がそれぞれ第1基準色及び第2基準色として保持される。
【0080】
一致度算出部114は、色情報取得部111により取得された色情報(r
1a,g
1a,b
1a)、(r
1b,g
1b,b
1b)又は基準色記憶部112に登録された基準色の色情報(r
0,g
0,b
0)に基づいて、一致度Cを算出し、検出信号生成部115へ出力する。一致度Cは、色の一致の度合いを示すパラメータであり、比較対象の色がワーク判定の基準として登録された色にどれだけ類似しているのかが定量的に評価される。
【0081】
例えば、一致度Cは、0以上999以下の整数を用いて表される。この場合、一致度Cの上限は999であり、比較対象の色が基準色と完全に一致していれば、一致度Cは999である。なお、一致度Cは、1以上1000以下の整数を用いて表しても良い。この場合、一致度Cの上限は1000であり、比較対象の色が基準色と完全に一致していれば、一致度Cは1000である。
【0082】
表示部107は、一致度算出部114により算出された一致度Cを表示パネル18に表示する。なお、色情報として、各色の受光量レベルの比率であるr
k,g
k,b
kの組(r
k,g
k,b
k)を例示したが、本発明では、色情報の構成をこれに限らない。例えば、赤色光の受光量レベル、緑色光の受光量レベル、青色光の受光量レベルの組(R
k,G
k,B
k)を色情報としても良い。また、RGB表色系に限られず、Lab等の表色系に基づく各色成分の値からなる組を色情報としても良い。
【0083】
検出信号生成部115は、一致度算出部114により算出された一致度Cを予め定められた判定閾値Cdと比較してワーク判定を行い、検出信号を生成して入出力部106へ出力する。検出信号は、ワーク判定の結果に基づいて生成される。運転モードでは、色情報が新たに取得されるごとに、一致度Cが算出され、ワーク判定が行われる。
【0084】
モード切替部117は、操作部108からの操作信号に基づいて、運転時の動作モードをチューニングフリーモード、マッチングモード及び1スポットモードのいずれかに切り替える。
【0085】
チューニングフリーモードは、2つの投光スポットSPa及びSPb間の色差に基づいてワーク判定を行う差分モードであり、基準色の登録を必要としない動作モードである。チューニングフリーモードでは、投光スポットSPaからの反射光3に対応する色情報(r
1a,g
1a,b
1a)と投光スポットSPbからの反射光3に対応する色情報(r
1b,g
1b,b
1b)とを比較して両色情報の一致度Cが求められる。色差は、この一致度Cから求められ、判定閾値Cdと比較することにより、ワーク判定が行われる。
【0086】
一方、マッチングモードは、2つの色情報(r
1a,g
1a,b
1a)及び(r
1b,g
1b,b
1b)を予め登録された基準色の色情報(r
0a,g
0a,b
0a)及び(r
0b,g
0b,b
0b)とそれぞれ比較してワーク判定を行う動作モードである。マッチングモードでは、取込指示受付部113の取込指示に従って第1色情報(r
0a,g
0a,b
0a)及び第2色情報(r
0b,g
0b,b
0b)が取得され、基準色として基準色記憶部112内に格納される。色情報(r
0a,g
0a,b
0a)は、投光スポットSPaからの反射光3に対応する第1色情報である。一方、色情報(r
0b,g
0b,b
0b)は、投光スポットSPbからの反射光3に対応する第2色情報である。
【0087】
また、マッチングモードでは、現在の色情報(r
1a,g
1a,b
1a)を基準色の色情報(r
0a,g
0a,b
0a)と比較して両色情報の一致度Caが求められるとともに、現在の色情報(r
1b,g
1b,b
1b)を基準色の色情報(r
0b,g
0b,b
0b)と比較して両色情報の一致度Cbが求められる。ワーク判定は、一致度Ca及びCbを判定閾値Cad及びCbdとそれぞれ比較することによって行われる。
【0088】
例えば、一致度Ca及びCbがいずれも判定閾値Cad及びCbdを上回った場合に、光電スイッチ1は、オン状態に遷移する。一方、一致度Ca及びCbがいずれも判定閾値Cad及びCbd以下となった場合に、光電スイッチ1は、オフ状態に遷移する。
【0089】
或いは、判定閾値Cad及びCbdは、共通の値Cdであり、一致度Ca及びCbのいずれか低い方が判定閾値Cdを上回った場合に、光電スイッチ1は、オン状態に遷移する。一方、一致度Ca及びCbのいずれか低い方が判定閾値Cd以下となった場合に、光電スイッチ1は、オフ状態に遷移する。
【0090】
或いは、一致度Ca及びCbがいずれも判定閾値Cad及びCbdを上回った場合に、光電スイッチ1は、オン状態に遷移する一方、一致度Ca又はCbのいずれかが判定閾値Cad又はCbd以下となった場合に、光電スイッチ1は、オフ状態に遷移する。判定閾値Cad及びCbdや上述した様な状態遷移の条件は、マッチングパラメータとして予め設定される。
【0091】
1スポットモードは、色情報(r
1a,g
1a,b
1a)又は(r
1b,g
1b,b
1b)のいずれか一方を対応する基準色の色情報と比較してワーク判定を行う動作モードである。1スポットモードでは、現在の色情報(r
1a,g
1a,b
1a)又は(r
1b,g
1b,b
1b)を基準色の色情報(r
0a,g
0a,b
0a)又は(r
0b,g
0b,b
0b)と比較して両色情報の一致度Cが求められる。ワーク判定は、一致度Cを判定閾値Cdと比較することによって行われる。
【0092】
なお、チューニングフリーモードでは、投光スポットSPa及びSPbのうち、一方の投光スポットからの反射光3の受光量が一定レベル以下であれば、その色情報は黒色であるものとして処理される。マッチングモード及び1スポットモードでは、投光スポットSPa及びSPbのうち、一方の投光スポットからの反射光3の受光量が一定レベル以下であれば、エラーが生じたものとして処理される。
【0093】
取込指示受付部113は、操作部108からの操作信号に基づいて、補正用色情報の取込指示を受け付け、色情報取得部111に色情報の取込を指示する。補正量算出部116は、チューニングフリーモードにおいて、取込指示受付部113の取込指示に従って取得された第1色情報(r
2a,g
2a,b
2a)及び第2(r
2b,g
2b,b
2b)に基づいて、色差のゼロ点を調整するための補正量を求める。
【0094】
例えば、受光量比率r
2a,g
2a及びb
2aが受光量比率r
2b,g
2b及びb
2bとそれぞれ一致するように、補正係数k
ra,k
ga及びk
baが求められる。また、受光量の和(総受光量)M
2a=(R
2a+G
2a+B
2a)がM
2b=(R
2b+G
2b+B
2b)と一致するように、補正係数Kaが求められる。
【0095】
投光光学系や受光光学系の温度特性や経時変化により、投光スポットSPa及びSPb間の色差が変化する場合がある。この様な場合に、マスターワーク、例えば、白色ワークを用いて投光スポットSPa及びSPb間の色差がゼロになるように、受光量が補正される。なお、受光量R
2a,G
2a,B
2a,R
2b,G
2b及びB
2b自体を補正するような構成であっても良い。
【0096】
検出信号生成部115は、補正量による補正後の色情報(r
1a,g
1a,b
1a)及び(r
1b,g
1b,b
1b)に基づいて、ワーク判定を行う。すなわち、一致度算出部114は、現在の色情報r
1a,g
1a及びb
1aに対し、補正係数k
ra,k
ga及びk
baをそれぞれ乗算することにより、補正後の色情報(r
1a,g
1a,b
1a)を求め、色情報(r
1b,g
1b,b
1b)と比較することにより、一致度Cを算出する。検出信号生成部115は、この一致度Cから色差を求めて判定閾値Cdと比較することにより、ワーク判定を行う。
【0097】
この様に色情報を補正することにより、第1投光手段及び第2投光手段間で光源の色目が変化し、或いは、第1検出領域からの反射光3を受光する受光素子と第2検出領域からの反射光3を受光する受光素子との間で特性にバラツキがある場合であっても、色差が調整されるため、検出精度の低下を抑制することができる。
【0098】
図11のステップS101〜S104は、
図9の光電スイッチ1における色差のゼロ点調整時の動作の一例を示したフローチャートである。図中には、チューニングフリーモード時に、操作キー13に対する押下操作を検知した後の処理手順が示されている。
【0099】
まず、主制御部100は、現在の受光量R
2a,G
2a,B
2a,R
2b,G
2b,B
2bを順次に読み込み、色成分ごとの受光量比率r
k,g
k,b
kからなる色情報(r
2a,g
2a,b
2a)及び(r
2b,g
2b,b
2b)を取得する(ステップS101,S102)。
【0100】
次に、主制御部100は、取得した色情報(r
2a,g
2a,b
2a)及び(r
2b,g
2b,b
2b)に基づいて、受光量比率を補正するための比率補正値、すなわち、補正係数k
ra,k
ga,k
baをそれぞれ決定する(ステップS103)。
【0101】
次に、主制御部100は、現在の受光量R
2a,G
2a,B
2a,R
2b,G
2b,B
2bに基づいて、総受光量を補正するための受光量補正値、すなわち、補正係数Kaを決定する(ステップS104)。主制御部100は、補正係数k
ra,k
ga,k
ba及びKaをゼロ点調整用のパラメータとして記憶する。
【0102】
図12のステップS201〜S206は、
図9の光電スイッチ1における運転時の動作の一例を示したフローチャートであり、動作モードがチューニングフリーモードである場合が示されている。運転中は、ステップS201からステップS206までの処理手順が周期的に繰り返される。
【0103】
まず、主制御部100は、現在の受光量R
1a,G
1a,B
1a,R
1b,G
1b,B
1bを順次に読み込み、色成分ごとの受光量比率r
k,g
k,b
kからなる色情報(r
1a,g
1a,b
1a)及び(r
1b,g
1b,b
1b)を取得する(ステップS201,S202)。このとき、主制御部100は、補正係数k
ra,k
ga,k
ba及びKaを用いて、色情報(r
1a,g
1a,b
1a)を補正する。
【0104】
次に、主制御部100は、取得した色情報(r
1a,g
1a,b
1a)及び(r
1b,g
1b,b
1b)に基づいて、両色情報の一致度Cを算出し、色差に変換する(ステップS203,S204)。具体的には、補正後の色情報(r
1a,g
1a,b
1a)に対する色情報(r
1b,g
1b,b
1b)の一致度Cが算出される。
【0105】
次に、主制御部100は、算出した色差を判定閾値Cdと比較することによってワーク判定を行い、その判定結果を出力する(ステップS205,S206)。具体的には、色差が判定閾値Cdを上回っていれば、オン状態が選択される。一方、色差が判定閾値Cd以下である場合には、オフ状態が選択される。
【0106】
図13のステップS301〜S304は、
図9の光電スイッチ1における基準色登録時の動作の一例を示したフローチャートである。図中には、マッチングモード時に、操作キー13に対する押下操作を検知した後の処理手順が示されている。
【0107】
まず、主制御部100は、現在の受光量R
0a,G
0a,B
0a,R
0b,G
0b,B
0bを順次に読み込み、色成分ごとの受光量比率r
k,g
k,b
kからなる色情報(r
0a,g
0a,b
0a)及び(r
0b,g
0b,b
0b)を取得する(ステップS301,S302)。
【0108】
次に、主制御部100は、現在の色情報(r
0a,g
0a,b
0a)及び(r
0b,g
0b,b
0b)を基準色として登録する(ステップS303)。次に、主制御部100は、受光量のバラツキ又は受光量比率のバラツキに基づいて、判定閾値Cad及びCbdや状態遷移の条件等のマッチングパラメータを設定する(ステップS304)。
【0109】
図14のステップS401〜S406は、
図9の光電スイッチ1における運転時の動作の一例を示したフローチャートであり、動作モードがマッチングモードである場合が示されている。運転中は、ステップS401からステップS406までの処理手順が周期的に繰り返される。
【0110】
まず、主制御部100は、現在の受光量R
1a,G
1a,B
1a,R
1b,G
1b,B
1bを順次に読み込み、色成分ごとの受光量比率r
k,g
k,b
kからなる色情報(r
1a,g
1a,b
1a)及び(r
1b,g
1b,b
1b)を取得する(ステップS401,S402)。
【0111】
次に、主制御部100は、取得した色情報(r
1a,g
1a,b
1a)及び(r
1b,g
1b,b
1b)を基準色の色情報(r
0a,g
0a,b
0a)及び(r
0b,g
0b,b
0b)とそれぞれ比較して、両色情報の一致度Ca及びCbを算出する(ステップS403)。
【0112】
次に、主制御部100は、算出した一致度Ca及びCbのうち、低い方の一致度をマッチング値として選択し(ステップS404)、判定閾値Cdと比較することによってワーク判定を行い、その判定結果を出力する(ステップS405,S406)。具体的には、マッチング値が判定閾値Cdを上回っていれば、オン状態が選択される。一方、マッチング値が判定閾値Cd以下である場合には、オフ状態が選択される。
【0113】
本実施の形態によれば、検出光2a及び2bを順次に投光させて取得される色情報(r
1a,g
1a,b
1a)及び(r
1b,g
1b,b
1b)に基づいてワーク判定を行うため、(r
1a,g
1a,b
1a)又は(r
1b,g
1b,b
1b)のいずれか一方のみでワーク判定を行う場合に比べ、検出精度を向上させることができる。
【0114】
特に、チューニングフリーモードを選択すれば、投光スポットSPa及びSPb間の色目の差異が検知されるため、ワークW上のラベル、組付け部品、レジマークRM等を検出する際に、ワークWの色褪せ、ワークWの製造ロット間における色目のバラツキ、光電スイッチ1の光学面への汚れの付着、搬送装置のばたつきの影響を低減させることができる。また、色情報(r
1a,g
1a,b
1a)及び(r
1b,g
1b,b
1b)から一致度Cを求めるため、ワーク判定に先立って基準色を登録する必要がない。例えば、検出対象が色柄のバリエーションが豊富な包装用フィルム等のシート状部材に印刷されたレジマークである場合、段取り替えによりレジマークの色が色柄のバリエーションに応じて変わることがある。この様なケースであっても、チューニングフリーモードであれば基準色の登録が不要であるため、段取り替えに対応することが容易である。
【0115】
また、マッチングモードを選択すれば、第1検出領域に対する色判別と第2検出領域に対する色判別とを組み合わせてワーク判定を行うことができる。このため、第1検出領域及び第2検出領域間で所定の色差を有するワークW上の部位等を検出することができる。例えば、切断位置やラベルの貼付位置にレジマークRMが印刷されていなくても、所定の色差を有する部位であれば、光電スイッチ1によって検出することができる。
【0116】
なお、本実施の形態では、色情報を取得してワーク判定を行う場合の例について説明したが、本発明は、ワーク判定方法をこれに限定するものではない。例えば、検出領域からの反射光3の受光量に基づいてワーク判定を行うような構成であっても良い。この場合、検出信号生成部115は、第1検出領域からの反射光3及び第2検出領域からの反射光3にそれぞれ対応する第1受光量及び第2受光量の少なくとも1つの色成分に基づいて、ワーク判定を行う。
【0117】
また、本実施の形態では、投光スポットSPa及びSPbの間隔やサイズが焦点位置付近において概ね一定である場合に例について説明したが、本発明は、投光光学系の構成をこれに限定するものではない。例えば、投光光学系が、投光スポットSPa及びSPbの間隔、各投光スポットSPa及びSPbのサイズ(スポット径)、又は、検出光2a及び2b間の光軸の角度を調整するための調整機構を有するような構成であっても良い。
【0118】
また、本実施の形態では、2つの発光素子21a及び21bを時分割で順に点灯させることにより、検出光2a及び2bが時分割で順に投光される場合の例について説明したが、本発明は、1つの発光素子からの光を分割して検出光2a及び2bを得るような構成にも適用することができる。
【0119】
また、本実施の形態では、第1投光手段及び第2投光手段が、それぞれ発光素子21a,21b、スリット22及び投光レンズ23a及び23bを有する場合の例について説明したが、本発明は第1投光手段及び第2投光手段の構成をこれに限定するものではない。例えば、発光素子21a及び21bとして共通の発光素子を用いても良い。また、投光レンズ23a及び23bとして共通の投光レンズを用いても良い。また、本発明による光電スイッチ1では、第1投光手段及び第2投光手段にスリット22を必ずしも設ける必要はなく、発光素子と投光レンズとの間に光ファイバ等の導光部材を設けるような構成であっても良い。また、発光素子としてレーザ等の点光源を用いることにより、スリット22を不要とする構成であっても良い。
【0120】
また、本実施の形態では、第1投光手段からの第1検出光と、第2投光手段からの第2検出光とに対応して共通の受光手段が設けられる場合の例を示したが、本発明は受光手段の構成をこれに限定するものではない。例えば、第1投光手段からの第1検出光と、第2投光手段からの第2検出光のそれぞれに対応するPDユニットを設けるようにしても良く、この場合、投光レンズは第1投光手段からの第1検出光と、第2投光手段からの第2検出光のそれぞれに対応させて別々に設けても良く、或いは、共通の投光レンズを設けても良い。
【0121】
また、本実施の形態では、ワークWからの反射光3を受光して色情報を取得し、ワークWの色目に基づいてワーク判定を行う場合の例について説明したが、本発明はワーク判定の方法をこれに限定するものではない。例えば、投光光学系及び受光光学系に偏光フィルタを用いて反射光3から正反射成分を除去するような構成であっても良い。偏光フィルタを用いて正反射成分を除去することにより、投光用光源の色目の変化に影響されることなく、ワークWの色目を正しく判別することができる。
【0122】
また、本実施の形態では、一致度Cが3色の受光量レベルの比率r
k,g
k,b
kに基づいて算出される場合の例について説明したが、本発明は、一致度Cの算出方法をこれに限定するものではない。3色の受光量レベルの比率r
k,g
k,b
kと受光量の和M
kとに基づいて一致度Cを求めるような構成であっても良い。この様な一致度Cを用いることにより、有彩色のワークだけでなく、色相や彩度が同程度であって明度だけが大きく変化する様なワーク、特に、白黒の濃淡を有する様な無彩色のワークを正しく検出することができる。
【0123】
また、本実施の形態では、操作キー13の押下操作に基づいて、補正用色情報や基準色の取込指示が入力される場合の例について説明したが、本発明は、補正用色情報及び基準色の取込を指示する方法をこれに限定するものではない。例えば、コントローラなどの外部機器から入力されるタイミング信号又はトリガ信号に基づいて、補正用色情報又は基準色の色情報を取り込むような構成であっても良い。
【0124】
また、本実施の形態では、色相が異なる2以上の色成分を含む白色光を検出光として用いる場合の例について説明したが、本発明は、投光用光源をこれに限定するものではない。例えば、赤色光、緑色光及び青色光をそれぞれ生成する3つの発光素子を投光用光源として備え、各発光素子を時分割で順に点灯させることにより、赤色、緑色及び青色の3つの特定波長に対応する検出光を検出領域に向けて投光するような構成であっても良い。また、赤色光、緑色光及び青色光の3つの発光素子を同時に点灯させることにより、赤色光、緑色光及び青色光が混ざり合った白色光からなる検出光を投光するような構成であっても良い。
【0125】
また、本実施の形態では、PDユニット41を用いて反射光3を受光する場合の例について説明したが、本発明は、受光手段の構成をこれに限定するものではない。例えば、反射光3を赤色、緑色及び青色の3つの色成分に分光する分光器と、各色成分を受光する3つの受光素子とを受光手段として備えるような構成であっても良い。或いは、赤色、緑色及び青色の検出光を時分割で順に投光する場合には、1つの受光素子を受光手段として備えるような構成であっても良い。