(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明の概要について、
図7を用いて説明する。
図7は、本発明における制御装置およびそれを備える巻上機の構成の一例を表したブロック図である。電磁ブレーキを用いる電動巻上機において、電動機707は、インバータ704、開閉器702を介して三相電源701に接続される。開閉器702は、操作部703からの操作入力により開閉され、閉じた場合に三相電源701からの電力をインバータ704と電流制御部706に供給する。
【0015】
インバータ704は、電動機707を駆動する。インバータ制御部709は、操作部703から受けた巻上または巻下動作等の操作指令の入力を受けてインバータ704に周波数制御信号を出力し、インバータ704による電動機707の駆動を制御する。
【0016】
インバータ制御部709は、操作部703からの操作指令を受けると、スイッチ制御部705にスイッチ制御信号を出力する。スイッチ制御部705は、スイッチ制御信号を受けると、電流制御部706に電流をブレーキ708に供給するように制御する。このように、電流制御部706は、スイッチ制御部705によりブレーキ708への電流の供給を制御される。インバータ制御部709は、電流制御部706が電流を供給しているかどうかについて、電流の有無を検出する。
【0017】
ブレーキ708は、電流が供給されると、電動機707の回転を開放する。ブレーキは、電流の供給が止めると電動機の回転を抑制する。通常、操作部703からインバータ制御部709への操作入力がない状態では、インバータ制御部709はスイッチ制御部705にスイッチ制御信号を出力しないので、電流制御部706はブレーキ708に電流を供給しない。そのため、操作がない場合、ブレーキ706は電動機707の回転を抑制した状態にある。
【0018】
ここで、電流制御部706として、例えばリレーを用いた場合、そのリレーが溶着してしまうと、操作指令の有無に関係なくブレーキ708に電流が供給されてしまう。この場合、ブレーキ708は、電動機707の回転を開放した状態にあるので、巻上機は吊荷を保持することができず、吊荷が落下してしまう可能性がある。
【0019】
本発明では、インバータ制御部709がスイッチ制御信号および周波数制御信号を出力していないにもかかわらず、電流供給部706がブレーキに供給している電流を検出した場合に、インバータ制御部709は開閉器702を開いてブレーキ708への電流の供給を止める。すなわち、インバータ制御部709は、スイッチ制御信号の出力の有無、周波数制御信号の出力の有無、電流制御部706の電流の有無、に基づいてブレーキへの電流の供給を止める。
【0020】
これにより、リレーの溶着が起こった場合でも、それを検出し、吊荷の落下を防止することができる。また、本発明では、インバータ電動巻上機に通常搭載される構成を用いるので、新たな構成を追加することなく、吊荷の落下を防止することができる。さらに、インバータ制御部709の周波数制御信号の出力の有無に関する情報を用いることで、巻上機が停止している状態において溶着の有無を判断できるので、巻上機が動作中に誤作動により電流の供給が止まってしまうことを防止することができる。
【0021】
なお、本明細書内において、説明の簡単のためにリレーという表現を用いるが、リレーに限定されるものではなく、リレーを含め電界効果トランジスタなどの接点であればよい。また、本明細書内において、リレーを開く、および、閉じるという表現は、接点をオフにする、および、オンにするという意味にとらえてもよい。ここで、接点をオンにした状態とは、2つの端子が電気的に接続されることをいう。一方接点をオフにした状態とは、2つの端子が電気的に非接続であることをいう。
【0022】
なお、上記の概念はスイッチング素子について説明したが、押下されることによって接点が接続される押しボタン等のスイッチも同様の概念である。
【0023】
なお、常閉接点とはノーマリークローズとも呼ばれ、操作がない状態で接点同士が接触される状態であり電気的に接続される状態を維持するものである。操作がある状態には、接点同士の電気的に非接続の状態となるものをいう。
【0024】
以下、本発明にかかる各実施例について、図面を用いて説明する。
【実施例1】
【0025】
図1を用いて本実施例のインバータ式クレーン装置について説明する。
図1は、インバータ式クレーン装置の全体構図を表す斜視図である。
【0026】
インバータ式クレーン装置100はクレーンフック1、ワイヤーロープ2、巻上用誘導電動機3、巻上用装置4、横行用誘導電動機5、横行用装置6、横行用ガーダー7、走行用誘導電動機8、走行用装置9、走行用ガーダー10、巻上・横行用制御装置11、入力装置13(操作部)などから構成される。
【0027】
インバータ式クレーン装置100はクレーンフック1に取付けられた荷物を、入力装置13からの動作指令を取込んだ巻上・横行用制御装置11により巻上用誘導電動機3を制御することによって、巻上用装置4によりワイヤーロープ2を巻上、巻下することでZ方向(Z方向、−Z方向の矢印を示す。)即ち、上下方向に荷物を移動する。また、X方向(X方向、−X方向の矢印を示す。)には、入力装置13からの動作指令を取込んだ巻上・横行用制御装置11により横行用誘導電動機5を制御することによって横行用装置6が横行用ガーダー7に沿ってX方向に移動する。また、Y方向(Y方向、−Y方向の矢印で示す。)には、入力装置13からの動作指令(操作指令)を取込んだ走行用制御装置12により走行用誘導電動機8を制御することによって走行用装置9が走行用ガーダー10に沿ってY方向に移動する。
【0028】
次に巻上・横行用制御装置11内の巻上側の構成および本実施例に関する落下防止動作について
図2〜3を用いて説明する。
【0029】
図2は、本実施例における巻上・横行用制御装置の巻上部に関する回路構成の一例である。
図3は、本実施例における巻上・横行用制御装置の制御フローの一例である。
【0030】
巻上・横行用制御装置11は、インバータ制御部14、巻上用インバータ15、ブレーキ用リレーコイル16a(スイッチ制御部)、ブレーキ用リレー16b(電流制御部)、を備える。巻上用インバータ15は、主電源開閉器Mを介して三相電源に電気的に接続されている。
【0031】
巻上用インバータ15は、誘導電動機3に電気的に接続され、誘導電動機の駆動をする。主電源開閉器Mは、主電源用リレーコイル18a、主電源用リレー18bを有する。主電源用リレー18bは、主電源用リレーコイル18aにより駆動され、主電源用リレーコイル18aが通電しているときは閉じられて巻上・横行用制御装置11へ電力を供給し、主電源用リレーコイル18aが通電されていない場合は開き巻上・横行用制御装置11への電力(電流)供給を遮断する。
【0032】
主電源用リレーコイル18aは、三相電源のうち一相とインバータ制御部14との間で電気的に接続されるように設けられている。また、主電源用リレーコイル18aは、インバータ制御部14によって開閉が制御される常閉接点20を介して入力装置13に電気的に接続されている。入力装置13は、三相電源の主電源用リレーコイル18aと接続されている相以外の二相のうちいずれか一相に電気的に接続される。なお、本実施例においては、常閉接点20はインバータ制御部14内に設けている例を説明しているが、常閉接点20はインバータ制御部14外に独立して設けてもよい。
【0033】
入力装置13では、電力供給動作をした場合に、入力装置内の電力供給部の接点が閉じる。これにより、インバータ制御部14に搭載された常閉接点20を介して主電源用リレーコイル18aに通電されて主電源用リレー18bが閉じ、巻上・横行用制御装置11は電力の供給を得る。
【0034】
巻上用誘導電動機3は、巻上・横行用制御装置11に格納されたインバータ制御部14により制御される。即ち、インバータ制御部14は、入力装置13から所定の操作指令を受けると、巻上用インバータ15から必要な周波数、電圧、電流を巻上用誘導電動機3に加えるように制御し、巻上誘導電動機3を駆動させる。
【0035】
インバータ制御部14は、巻上用インバータ15の制御と同時に、常開接点19を閉じることによりブレーキ用リレーコイル16aに通電する。ブレーキ用リレーコイル16aの一端は、巻上用インバータ15へ電気的に接続されている三相のうちいずれか一相とインバータ制御部14を介して接続され、その他端は、上記一端が接続された相以外の二相のいずれかにインバータ制御部14をかいして接続される。
【0036】
ブレーキ用リレーコイル16aは、ブレーキ用リレー16bの開閉を駆動制御する。ブレーキ用リレー16bは、ブレーキ用リレーコイル16aが通電している場合に閉じられ、ブレーキ用リレーコイル16aが通電していない場合に開かれる。ブレーキ用リレーコイル16aへの通電は、インバータ制御部14により開閉の駆動制御がされる常開接点19の開閉により制御される。このように、ブレーキ用リレーコイル16aと常開接点19は、ブレーキ用リレー16bの開閉を制御するスイッチ制御部として機能する。
【0037】
なお、本実施例においては、常開接点19がインバータ制御部14内に設けた例を説明しているが、常開接点19はインバータ制御部14外に設けても良い。
【0038】
誘導電動機用ブレーキ17の両端それぞれは、ブレーキ用リレー16bを介して、常開接点19が接続された各相に電気的に接続されている。誘導電動機用ブレーキ17は、ブレーキ用リレー16bが閉じることで通電され、巻上用誘導電動機3の回転抑制を解除する。これにより、インバータ制御部14は、巻上用インバータ15を介して巻上用誘導電動機3を制御して、クレーンフック1に取付けられた荷物をZ方向に移動させることができる。
【0039】
一方、荷物をZ方向に移動させない場合、すなわち、荷物を一定の位置で維持する場合には、インバータ制御部14は、常開接点19を開いてブレーキ用リレーコイル16aへの通電を止める。ブレーキ用リレーコイル16aへの通電がない場合、ブレーキ用リレー16bは開くので、誘導電動機用ブレーキ17は無通電状態となり、巻上用誘導電動機3をロックしてその回転を抑制することができる。
【0040】
つまり、常開接点19は常に開いているので、通常巻上用誘導電動機3は誘導電動機用ブレーキ17にロックされた状態であるが、インバータ制御部14が常開接点19を閉じることで、誘導電動機用ブレーキ17は開放され、巻上用誘導電動機3が駆動して巻上・巻下動作をすることができる。
【0041】
図2に示すように、インバータ制御部14は、ブレーキ用リレー16bの2次側と電気的に接続され、ブレーキ用リレー16bの通電状態を検出する。電流を検出する方法としては、例えば電流センサで電流値を検出する方法があるが、これに限定されるものではない。
【0042】
なお、通電状態を検出する箇所は、ブレーキ用リレー16bに限定されるものではなく、誘導電動機用ブレーキ17の通電状態を検出できる箇所であればよい。
【0043】
インバータ制御部14は、入力装置13から巻上または巻下の操作指令の入力を受けた場合、ブレーキ用リレーコイル16aに電流を流すために、常開接点19を閉じるように信号を出力する。インバータ制御部14は、この信号を出力している場合に、ブレーキ用リレーコイル16aが通電状態であると判断(検出)する。
【0044】
これにより、ブレーキ用リレーコイル16aに流れる電流を検出するための電流検出器が不要となるので、製造コスト削減ができる。また、電流検出器が故障してブレーキ用リレーコイル16aの電流が検出できないとなった場合により起こり得る不具合を防ぐことができる。
【0045】
インバータ制御部14は、入力装置13から巻上または巻下の操作指令の入力を受けた場合、巻上用インバータ15に特定の周波数で巻上用誘導電動機3を駆動させるように周波数制御信号を巻上用インバータ15に出力する。これにより、巻上用誘導電動機は、吊荷の巻上又は巻下をすることができる。
【0046】
インバータ制御部14は、これら検出したブレーキ用リレーコイル16aの通電状態およびブレーキ用リレー16bを開く信号の出力の有無に加え、周波数制御信号の出力の有無に基づいて、常閉接点20の開閉を駆動制御する。常閉接点20の開閉を駆動制御の判断に周波数制御信号の出力の有無の情報を加えることで、巻上または巻下動作を阻害することなく、より高精度にブレーキ用リレー16bの溶着を検出することができる。
【0047】
常閉接点20が開くと、巻上・横行用制御装置11と三相電源の間にある主電源開閉器Mの主電源用リレーコイル18aへの通電を遮断する。主電源用リレーコイル18aは通電状態でない場合、主電源用リレー18bを開き、電源から巻上・横行用制御装置11への電力の供給を遮断する。これにより、巻上・横行用制御装置11に異常が発生した場合に、誘導電動機用ブレーキ17の通電を遮断して巻上用誘導電動機3の駆動を抑制し、吊荷の落下を防止することができる。
【0048】
次に、本実施例の制御フローの一例について
図3を用いて述べる。
図3は、実施例1における吊荷の自由落下を防止する制御フローである。
【0049】
巻上・横行用制御装置11が正常動作時においては、ブレーキ用リレーコイル16aが無通電状態である場合、ブレーキ用リレー16bは閉じないため2次側に通電されない。しかし、上述したように、誘導電動機用ブレーキ17は無通電時に巻上用誘導電動3をロックし、通電時に開放する。
【0050】
そのため、ブレーキ用リレー16bの接点が溶着した場合、インバータ制御部14が巻上用誘導電動機3の駆動制御を停止すると同時にブレーキ用リレーコイル16aへの通電を止めたとしても、誘導電動機用ブレーキ17は通電され続けるため、巻上誘導電動機3の回転はすぐに抑制されず吊荷が自由落下してしまう。
【0051】
ここで、
図3に示すように、インバータ制御部14は、入力装置13から巻下または巻上指令により、周波数制御信号を出力しているか否かを判断(S301)し、周波数制御信号を出力している場合、常開接点19を閉じてブレーキ用リレーコイル16aに通電し、ブレーキ用リレーコイルaが通電状態と判断して周波数制御信号の有無の検出に戻る。
【0052】
一方、周波数制御信号を出力していない場合、インバータ制御部14は、常開接点19を閉じる信号を出力しないので、ブレーキ用リレーコイルaは無通電状態であると判断して、ブレーキ用リレー16bの通電状態を検出(S302)する。ブレーキ用リレー16bが通電していない場合、正常と判断し操作指令の検出に戻る。一方、ブレーキ用リレー16bが通電している場合、リレーの接点の溶着が発生しているとして異常と判断(S303)し、常閉接点20を開き三相電源からの電力供給を遮断する。
【0053】
これにより、誘導電動機用ブレーキ17が巻上用誘導電動機3の回転が抑制され、吊荷が自由落下することなく安全に巻上機を停止させることができる。
【0054】
なお、S301における判断を、巻上または巻下の操作信号の入力の有無についての判断をすることにしても、本実施例の効果を得ることができる。この場合、操作信号の入力がある場合には、再び操作指令の有無についての判断に戻り、操作信号の入力がない場合には、S302に進むようにする。この点については、以降の実施例についても同様である。
【0055】
以上、本実施例によれば、ブレーキ用リレー16bの溶着を高精度に検出し、巻上又は巻下動作を阻害することなく、巻上機の吊荷の落下を防止することができる。
【実施例2】
【0056】
次に、
図4、5を用い、本実施例における吊荷の自由落下を防止する機能について説明する。
【0057】
図4は、本実施例における装置の構成図の一例である。本実施例の回路構成は、
図2に示した実施例1における回路図と同様であるので、重複する部分については説明を省略する。本実施例は、
図4に示すように、実施例1にエンコーダ21(回転検出部)を加えたものであるが、
図2の回路図としては図示していない。
【0058】
エンコーダ21は、誘導電動機3の回転数を検出し、検出した信号をインバータ制御部14に出力する。エンコーダ21による誘導電動機3の回転数は、例えば誘導電動機3の回転をパルス信号として検出する。エンコーダ21は、検出したパルス信号をインバータ制御部14に出力する。また、エンコーダ21は、誘導電動機3の回転方向を検出する。
【0059】
インバータ制御部14は、エンコーダ21から入力された信号に基づき、誘導電動機3が回転しているか否かを判断する。インバータ制御部14は、入力装置13から巻上又は巻下などの操作信号が入力されていない状態で誘導電動機3が回転していると判断した場合、常閉接点20を開く。
【0060】
なお、インバータ制御部14での誘導電動機3が回転しているか否かの判断は、エンコーダ21で検出した誘導電動機3の回転が所定の回転数を超えるか否かによって行ってもよい。この場合、インバータ制御部14は、例えばエンコーダ21から検出したパルス信号の数が所定の値より大きくなった場合に、誘導電動機3が回転していると判断するとよい。
【0061】
図5は、本実施例における吊荷の自由落下を防止する制御フローの一例である。
図5に示すように、インバータ制御部14は、入力装置13からの巻上または巻下の操作指令により、周波数制御信号を出力しているか否かを判断(S401)する。周波数制御信号を出力している場合、周波数制御信号の有無の検出に戻る。
【0062】
一方、周波数制御信号を出力していない場合、エンコーダ21からのパルス信号により誘導電動機3の回転を検出(S402)する。エンコーダ21から得られるパルス信号により巻上用誘導電動機3の回転を一定の回転数以上を検出した場合、巻上用誘導電動機3の自転と判断(S403)し、常閉接点20を開き三相電源からの電力供給を遮断する。
【0063】
その結果、誘導電動機用ブレーキ17は巻上誘導電動機3の回転を抑制し、吊荷の自由落下を防止し、巻上機を安全に停止させることができる。
【0064】
なお、巻上用誘導電動機3の回転の検出には、エンコーダ21以外でも回転を検出できるセンサであればいずれであってもよい。また、巻上用誘導電動機3の自転の判断には、回転数ではなく、回転している時間を検出し、所定の時間を超えた場合に自転と判断するようにしてもよい。
【0065】
以上、本実施例によれば、巻下または巻上の操作指令を受けていなくても、ブレーキ用リレー16bの溶着に加えてその他の原因に起因した何らかの異常により誘導電動機用ブレーキ17が作動していないことも検出できるので、巻上機をより安全に停止し、自動的に吊荷の落下を防止することができる。
【実施例3】
【0066】
次に、
図4、6を用いて本実施例における暴走防止機能について説明する。
【0067】
本実施例における回路構成、および、巻上・横行用制御装置11を含む装置構成は実施例2と同様であるので、重複する部分については説明を省略する。
【0068】
巻上機において、動作異常の原因の一つに、誤配線等により操作指令した回転方向(例えば巻上方向)と逆側の方向(例えば巻下げ方向)に誘導電動機3が回転してしまうことがある。本実施例では、そのような暴走を防止する機能により、巻上機を安全に停止し、吊荷の自由落下を防止する。
【0069】
インバータ制御部14は、入力装置13から入力された巻上又は巻下の操作指令とエンコーダ21で検出する誘導電動機3の回転の方向とに基づいて、誘導電動機3が操作指令により指示した回転方向と同じ方向に回転しているか否か判断する。インバータ制御部14は、誘導電動機3が操作指令により指示した方向と逆方向に回転していると判断した場合、常閉接点19を開く。
【0070】
これにより、三相電源からの電力の供給が遮断され、誘導電動機用ブレーキ17が作動することで、巻上機を安全に停止することができる。
【0071】
図6は、本実施例における吊荷の自由落下を防止する制御フローの一例である。
図6に示すように、インバータ制御部14は、入力装置13からの巻上または巻下の操作指令により、周波数制御信号を出力しているか否かを判断(S501)する。周波数制御信号を出力していない場合、周波数制御信号の有無の検出に戻る。
【0072】
一方、周波数制御信号を出力している場合、インバータ制御部14は、ブレーキ用リレーコイル16aに通電し、ブレーキ用リレー16bを閉じることにより誘導電動機用ブレーキ17を開放して巻上用誘導電動機3を駆動させる。インバータ制御部14は、エンコーダ21から得られるパルス信号により巻上用誘導電動機3の回転を検出(S502)する。
【0073】
インバータ制御部は、検出した回転が操作指令とは逆方向の回転を一定の回転数以上検出した場合、入力操作との逆転を判断(S503)し、常閉接点20を開き三相電源からの電力供給を遮断する。これにより、ブレーキ用リレー16bへの通電が遮断され、誘導電動機用ブレーキ17は巻上用誘導電動機3の回転を抑制し、巻上機を安全に停止させることができる。
【0074】
以上、本実施例によれば、巻上・横行用制御装置11に異常が発生し、巻上機が暴走しても、巻上機を安全に停止させ、吊荷の自由落下を防止することができる。
【0075】
なお、本発明は上記した実施例に限定されるものでなく、様々な変形例が含まれる。
例えば、上記した実施例は本発明を分かりやすく説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。また、ある実施例の構成の一部を他の実施例に置き換えることが可能であり、また、ある実施例の構成に他の実施例の構成を加えることも可能である。また、各実施例の構成の一部について、他の構成の追加・削除・置換することが可能である。
【0076】
また、上記の各構成、機能、処理部、処理手段等は、それらの一部又は全部を、例えば集積回路で設計する等によりハードウェアで実現してもよい。また、上記の各構成、機能等は、プロセッサがそれぞれの機能を実現するプログラムを解釈し、実行することによりソフトウェアで実現してもよい。各機能を実現するプログラム、テーブル、ファイル等の情報は、メモリや、ハードディスク、SSD(Solid State Drive)等の記録装置、または、ICカード、SDカード、DVD等の記録媒体に置くことができる。
【0077】
また、制御線や情報線は説明に必要と考えられるものを示しており、製品上必ずしも全ての制御線や情報線を示しているとは限らない。実際には殆ど全ての構成が相互に接続されていると考えてもよい。