(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の技術では、熱交換器の内部でのスケールの堆積を検出するための専用のファウリングセンサを設ける必要があり、製品の大型化や製造コストの上昇を招いている。ファウリングセンサ等の専用のセンサを設けることなく、熱交換器の内部でのスケールの堆積を検出することが可能な技術が期待されている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本明細書は、燃料の燃焼によって水を加熱する燃焼式水加熱装置を開示する。その燃焼式水加熱装置は、燃料を燃焼させて燃焼ガスを生成するバーナと、内部を通過する水と外部を通過する燃焼ガスとの間で熱交換する熱交換器と、熱交換器で熱交換した後の燃焼ガスを排気ガスとして排出する排気管と、排気管を流れる排気ガスの温度を排気温度として検出する排気温度検出手段と、排気管の閉塞の程度を検出する閉塞程度検出手段と、排気温度と、排気管の閉塞の程度に基づいて、熱交換器の内部にスケールが堆積しているか否かを判定するスケール堆積判定手段を備えている。
【0006】
熱交換器の内部にスケールが堆積すると、熱交換器の伝熱性が低下するため、排気温度は上昇する。そこで、上記の燃焼式水加熱装置では、排気温度に基づいて、熱交換器の内部にスケールが堆積しているか否かを判定する。なお、排気温度は、熱交換器の内部にスケールが堆積した場合だけでなく、排気管の閉塞の進行によっても、上昇する。このため、排気温度に基づいてスケールの堆積判定を行なう場合には、排気管の閉塞の進行に伴う排気温度の上昇の影響を除去する必要がある。そこで、上記の燃焼式水加熱装置では、排気温度と、排気管の閉塞の程度に基づいて、熱交換器の内部にスケールが堆積しているか否かを判定する。排気管の閉塞の程度の検出に関しては、専用のセンサを用いることなく、燃焼式水加熱装置が通常備えているセンサ等を用いた種々の検出方法が、従来から知られている。上記の燃焼式水加熱装置によれば、ファウリングセンサ等の専用のセンサを設けることなく、熱交換器の内部でのスケールの堆積を検出することができる。
【0007】
上記の燃焼式水加熱装置は、スケール堆積判定手段が、排気温度が上限排気温度を超える場合に、熱交換器の内部にスケールが堆積していると判定するように構成されており、上限排気温度が、排気管の閉塞の程度が高い場合に、排気管の閉塞の程度が低い場合に比べて、
高く設定され
る。
【0008】
上記の燃焼式水加熱装置によれば、排気管の閉塞の進行に伴う排気温度の上昇の影響を受けること無く、熱交換器の内部にスケールが堆積しているか否かを正確に判定することができる。
【0009】
上記の燃焼式水加熱装置は、上限排気温度が、バーナの燃焼量に基づいて設定されるように構成することができる。
【0010】
排気温度は、バーナの燃焼量が変化すると、それに応じて変化する。上記の燃焼式水加熱装置では、上限排気温度を、バーナの燃焼量に基づいて設定することで、熱交換器の内部にスケールが堆積しているか否かを、より正確に判定することができる。
【0011】
上記の燃焼式水加熱装置は、スケール堆積判定手段の判定結果の履歴を記憶する記憶手段をさらに備えており、上限排気温度が、過去に熱交換器の内部でのスケールの堆積が検出されている場合に、過去に熱交換器の内部でのスケールの堆積が検出されていない場合に比べて、低く設定されるように構成することができる。
【0012】
燃焼式水加熱装置に供給される水の水質は、燃焼式水加熱装置が使用される地域ごとに異なっている。スケールが堆積しやすい水が供給される地域で燃焼式水加熱装置が使用される場合には、スケールの堆積を速やかに検出して、スケールの除去処理を速やかに行なうことが好ましい。上記の燃焼式水加熱装置では、過去に熱交換器の内部でのスケールの堆積が検出されている場合には、その後のスケール堆積判定における上限排気温度を低く設定して、スケールの堆積が検出されやすいようにしている。このような構成とすることによって、スケールが堆積しやすい水が供給される地域で燃焼式水加熱装置が使用される場合に、スケールの堆積を速やかに検出して、スケールの除去処理を速やかに行なうことができる。
【0013】
上記の燃焼式水加熱装置は、バーナに空気を供給する給気管と、給気管からバーナに空気を送るとともに、排気管へ排気ガスを送るファンと、ファンの駆動電流を検出する電流検出手段をさらに備えており、閉塞程度検出手段が、ファンの駆動電流に基づいて、排気管の閉塞の程度を検出するように構成することができる。
【0014】
排気管の閉塞の程度が高い場合、排気管の閉塞の程度が低い場合に比べて、ファンが空回りをしやすくなり、ファンの駆動電流は低減する。そこで、上記の燃焼式水加熱装置では、ファンの駆動電流に基づいて、排気管の閉塞の程度を検出する。専用のセンサを用いることなく、燃焼式水加熱装置が通常備えているセンサを用いて、排気管の閉塞の程度を検出することができる。
【0015】
あるいは、上記の燃焼式水加熱装置は、バーナに配置された高温熱電対をさらに備えており、バーナが全一次空気バーナであって、閉塞程度検出手段が、高温熱電対の検出信号に基づいて、排気管の閉塞の程度を検出するように構成することができる。
【0016】
バーナが全一次空気バーナである場合、排気管の閉塞の程度が高いときは、排気管の閉塞の程度が低いときに比べて、バーナの火炎が短くなり、バーナに配置された高温熱電対の検出信号が増大する。そこで、上記の燃焼式水加熱装置では、高温熱電対の検出信号に基づいて、排気管の閉塞の程度を検出する。専用のセンサを用いることなく、燃焼式水加熱装置が通常備えているセンサを用いて、排気管の閉塞の程度を検出することができる。
【0017】
あるいは、上記の燃焼式水加熱装置は、バーナの噴射口から所定距離を隔てて配置された燃焼炎サーミスタをさらに備えており、バーナがブンゼンバーナであって、閉塞程度検出手段が、燃焼炎サーミスタの検出信号に基づいて、排気管の閉塞の程度を検出するように構成することができる。
【0018】
バーナがブンゼンバーナである場合、排気管の閉塞の程度が高いときは、排気管の閉塞の程度が低いときに比べて、バーナの火炎が長くなり、バーナの噴射口から所定距離を隔てて配置された燃焼炎サーミスタの検出信号が増大する。そこで、上記の燃焼式水加熱装置では、燃焼炎サーミスタの検出信号に基づいて、排気管の閉塞の程度を検出する。専用のセンサを用いることなく、燃焼式水加熱装置が通常備えているセンサを用いて、排気管の閉塞の程度を検出することができる。
【発明を実施するための形態】
【0020】
図1に示すように、燃焼式水加熱装置の一実施形態に係る給湯装置1は、給湯装置本体2と、給湯装置本体2を遠隔操作するためのリモコン4とにより構成されている。給湯装置本体2は主に、燃焼室6と、バーナ8と、燃料ガス供給管10と、ファン12と、給気管14と、排気管16と、熱交換器18と、入水管20と、出湯管22と、バイパス管24と、制御装置26を備えている。
【0021】
燃焼室6の内部には、バーナ8と、熱交換器18が配置されている。熱交換器18は、バーナ8の上方に配置されている。本実施例のバーナ8は、全一次空気バーナである。他の実施形態では、バーナ8は、ブンゼンバーナであってもよい。バーナ8は、燃焼量の異なる3つの燃焼部(第1燃焼部8a,第2燃焼部8b,第3燃焼部8c)により構成され、これらの燃焼部の組合せによって複数段の燃焼量範囲が設定できるようになっている。バーナ8には、燃料ガス供給管10により燃料ガスが供給される。バーナ8は、燃料ガス供給管10から供給される燃料ガスを燃焼させて、燃焼ガスを生成する。燃焼ガスは、熱交換器18の外部を通過する際に、熱交換器18の内部を通過する水との熱交換によって、水を加熱する。
【0022】
燃料ガス供給管10の上流側の端部には、燃料ガス供給源(図示せず)に連通する燃料ガス供給口10aが設けられている。燃料ガス供給管10には、上流側から順に、元ガス電磁弁28、ガス比例弁30、切替ガス電磁弁32a,32b,32cが設けられている。元ガス電磁弁28を開弁した状態で、切替ガス電磁弁32a,32b,32cを開弁することによって、対応する第1燃焼部8a,第2燃焼部8b,第3燃焼部8cに燃料ガスが供給される。バーナ8の近傍には、バーナ8に点火するための点火プラグ34と、バーナ8の燃焼炎を検知するフレームロッド36と、バーナ8の温度を検出する高温熱電対35が設けられている。点火プラグ34は、イグナイタ38に接続されている。フレームロッド36は、バーナ8の噴射口の近傍に配置されている。高温熱電対35は、バーナ8に配置されている。なお、バーナ8がブンゼンバーナである場合には、
図2に示すように、高温熱電対35の代わりに、バーナ8の燃焼炎の温度を検出する燃焼炎サーミスタ37が設けられていてもよい。この場合、燃焼炎サーミスタ37は、バーナ8の噴射口から所定距離を隔てて配置される。
【0023】
燃焼室6の内部には、給気管14を介して、バーナ8の燃焼のための空気が供給される。給気管14の上流側の端部には、給湯装置本体2の外部から空気を取り込む給気口14aが設けられている。ファン12は、給気口14aを介して給気管14に空気を取り込むとともに、給気管14の空気を燃焼室6の内部に向けて送り出す。給気管14のファン12の近傍には、燃焼室6に送られる空気の温度を検出する給気温度センサ40が設けられている。また、ファン12には、ファン12の駆動電流を検出する電流センサ12aが設けられている。
【0024】
燃焼室6の内部において、熱交換器18と熱交換した後の燃焼ガスは、排気ガスとして排気管16に送り出される。排気管16の下流側の端部には、給湯装置本体2の外部に排気ガスを排出する排気口16aが設けられている。排気管16の排気口16aの近傍には、排気口16aを介して給湯装置本体2の外部に排出される排気ガスの温度を検出する排気温度センサ42が設けられている。
【0025】
給気管14の給気口14aの近傍と、排気管16の排気口16aの近傍では、給気管14と排気管16は二重管構造となっており、排気管16が給気管14の内部に収容されている。このため、給気口14aを介して給気管14に流れ込む空気が、排気口16aを介して排気管16から排出される排気ガスの間で、熱交換が行われる。これにより、排気口16aを介して給湯装置本体2の外部に排出される排気ガスを冷却して、環境への負荷を低減することができるとともに、給気口14aを介して給気管14に流れ込む空気を予熱して、給湯装置1のエネルギー効率を向上することができる。
【0026】
熱交換器18の入口18aには入水管20が接続されており、熱交換器18の出口18bには出湯管22が接続されている。入水管20の上流側の端部には、水道管などの給水源(図示せず)に連通する入水口20aが設けられている。出湯管22の下流側の端部には、台所や洗面所などの給湯箇所(図示せず)に連通する出湯口22aが設けられている。水道水は、入水口20aを介して入水管20に流れ込み、入水管20から熱交換器18へ流れ、熱交換器18を通過する際に加熱される。そして、熱交換器18で加熱された後の温水は、熱交換器18から出湯管22へ流れ、出湯口22aを介して出湯管22から送り出される。
【0027】
バイパス管24は、熱交換器18をバイパスするように、入水管20と出湯管22を接続している。バイパス管24には、バイパス管24の開度を調節するバイパスサーボ弁44が設けられている。バイパスサーボ弁44がバイパス管24の開度を調整することで、バイパス比(入水管20から熱交換器18を通過して出湯管22に流れる水の流量に対する、入水管20からバイパス管24を通過して出湯管22に流れる水の流量の比率)を調整することができる。
【0028】
入水管20には、入水管20に供給される水の流量(=出湯管22からの出湯流量)を検知する流量センサ46と、入水管20に供給される水の流量を調節する水量調整弁48とが設けられている。出湯管22には、熱交換器18の出口付近の温水の温度を検知する缶体温度センサ50と、出湯管22から出湯口22aに供給される温水の温度を検知する出湯温度センサ52が設けられている。熱交換器18には、2個の過熱防止素子(バイメタルスイッチ54及び温度ヒューズ56)が設けられている。
【0029】
制御装置26は、マイコンや揮発性メモリ、不揮発性メモリ等により構成された電子ユニットである。制御装置26には、電流センサ12a、高温熱電対35(または燃焼炎サーミスタ37)、フレームロッド36、給気温度センサ40、排気温度センサ42、流量センサ46、缶体温度センサ50、出湯温度センサ52、バイメタルスイッチ54及び温度ヒューズ56の検知信号が入力される。また、制御装置26、ファン12、元ガス電磁弁28、ガス比例弁30、切替ガス電磁弁32a,32b,32c、イグナイタ38、水量調整弁48、及びバイパスサーボ弁44の動作を制御する。
【0030】
リモコン4は、制御装置26に接続されている。リモコン4は、給湯装置1の使用者に給湯装置本体2の設定状態、運転状態等を報知する報知手段(図示せず)と、給湯装置1の使用者から各種の入力操作を受け入れる入力手段(図示せず)を備えている。
【0031】
給湯装置1が行なう給湯運転について説明する。台所や洗面所などの給湯箇所への通水が開始されると、入水口20aから出湯口22aへの通水が開始される。制御装置26は、流量センサ46で検出される流量が所定の給湯開始流量を超えると、ファン12を駆動するとともに、元ガス電磁弁28および切替ガス電磁弁32a,32b,32cを開いて、イグナイタ38によって点火プラグ34に放電させて、バーナ8の点火を行なう。フレームロッド36によってバーナ8の点火が確認されると、制御装置26は、出湯温度センサ52により検知される出湯管22からの給湯温度が、リモコン4で設定されている給湯設定温度となるように、ファン12の回転数、ガス比例弁30の開度、及び切替ガス電磁弁32a,32b,32cの開閉を制御して、バーナ8の燃焼量を調節する。さらに、制御装置26は、入水管20への給水量が多過ぎて給湯設定温度での給湯ができないときに、水量調整弁48により入水管20への給水量を制限する。また、制御装置26は、使用者が断続的に温水を使用する際に、給湯温度の変動を抑制するために、バイパスサーボ弁44によりバイパス比を調節する。制御装置26は、流量センサ46で検出される流量が所定の給湯終了流量を下回ると、元ガス電磁弁28および切替ガス電磁弁32a,32b,32cを閉じて、バーナ8の消火を行なうとともに、ファン12を停止させる。
【0032】
入水管20に供給される水道水が硬水である場合、給湯装置1を継続して使用していると、熱交換器18の内部にスケールが堆積していく。熱交換器18の内部にスケールが堆積すると、熱交換器18の内部を水が流れにくくなり、水の流路抵抗が増大する。また、熱交換器18の内部にスケールが堆積すると、熱交換器18の伝熱性が低下して、給湯設定温度まで水を加熱するためにバーナ8で必要な燃焼量が増大してしまう。このため、熱交換器18の内部にスケールが堆積した場合には、速やかにその旨を使用者に報知して、熱交換器18の内部のスケールを除去することが好ましい。そこで、本実施例の給湯装置1は、給湯運転を行っている間に、
図3に示すスケール堆積判定処理を行なう。
【0033】
ステップS2では、制御装置26は、バーナ8の燃焼量に基づいて、上限排気温度を設定する。上限排気温度は、熱交換器18の内部にスケールが堆積していない場合の排気温度より高い温度に設定される。上限排気温度は、例えば、熱交換器18の内部にスケールが堆積していない場合の排気温度に、所定温度幅(例えば20℃)を加算した温度に設定される。熱交換器18の内部にスケールが堆積していない場合の排気温度は、バーナ8の燃焼量から特定することができる。バーナ8の燃焼量は、ガス比例弁30の開度と、切替ガス電磁弁32a,32b,32cの開閉から、特定することができる。このため、例えば、制御装置26は、上限排気温度を、ガス比例弁30の開度と、切替ガス電磁弁32a,32b,32cの開閉を引数とする関数を用いて、算出することができる。ステップS2の後、処理はステップS4へ進む。
【0034】
ステップS4では、制御装置26は、過去にスケールの堆積を検出したことがあるか否かを判断する。本実施例では、制御装置26は、
図3のスケール堆積判定処理を行なう度に、その判定結果を不揮発性メモリに記憶していく。このため、制御装置26は、不揮発性メモリに記憶されたスケール堆積判定処理の判定結果の履歴から、過去にスケールの堆積を検出したことがあるか否かを判断することができる。過去にスケールの堆積を検出したことがある場合(YESの場合)、処理はステップS6へ進む。
【0035】
ステップS6では、制御装置26は、ステップS2で設定された上限排気温度を、例えば所定温度幅(例えば10℃)だけ、低減させる。ステップS6の後、処理はステップS8へ進む。
【0036】
ステップS8では、制御装置26は、排気管16が閉塞しているか否かを判断する。本実施例では、排気管16の閉塞の程度が極めて高く、排気管16の閉塞解消の処理が必要である場合に、制御装置26は、排気管16が閉塞していると判断する。
【0037】
排気管16の閉塞の程度は、種々の方法によって検出することができる。例えば、排気管16の閉塞の程度が高くなると、排気管16の閉塞の程度が低い場合に比べて、ファン12が空回りしやすくなり、同じ回転数でファン12を回転させる際のファン12の駆動電流が低下する。従って、制御装置26は、ファン12の回転数と、電流センサ12aが検出する電流値に基づいて、排気管16の閉塞の程度を検出することができる。
【0038】
また、排気管16の閉塞の程度が高くなると、排気管16の閉塞の程度が低い場合に比べて、バーナ8の火炎の様子が変化する。例えば、
図1に示すように、バーナ8が全一次空気バーナである場合には、排気管16の閉塞の程度が高くなると、排気管16の閉塞の程度が低い場合に比べて、バーナ8の火炎が短くなる。このため、排気管16の閉塞の程度が高くなると、排気管16の閉塞の程度が低い場合に比べて、高温熱電対35の検出信号が増大する。従って、制御装置26は、高温熱電対35の検出信号に基づいて、排気管16の閉塞の程度を検出することができる。あるいは、
図2に示すように、バーナ8がブンゼンバーナである場合には、排気管16の閉塞の程度が高くなると、排気管16の閉塞の程度が低い場合に比べて、バーナ8の火炎が長くなる。このため、排気管16の閉塞の程度が高くなると、排気管16の閉塞の程度が低い場合に比べて、燃焼炎サーミスタ37の検出信号が増大する。従って、制御装置26は、燃焼炎サーミスタ37の検出信号に基づいて、排気管16の閉塞の程度を検出することができる。
【0039】
図3のステップS8における排気管16の閉塞判定は、上記の何れかの方法によって行なうことができる。排気管16の閉塞の程度が極めて高く、排気管16が閉塞したと判断された場合(YESの場合)、処理はステップS16へ進む。ステップS16では、制御装置26は、リモコン4を介して、使用者に排気管16が閉塞していることを報知する。ステップS16の後、処理はステップS14へ進む。ステップS14では、制御装置26は、給湯装置1を異常終了する。この後、使用者によって排気管16の閉塞解消の処置が行われ、リモコン4を介して閉塞解消処置完了が入力されると、制御装置26は、給湯装置1を通常の状態に復帰させる。
【0040】
ステップS8で、排気管16が閉塞していないと判断された場合(NOの場合)、処理はステップS9へ進む。ステップS9では、制御装置26は、排気管16の閉塞の程度に応じて、上限排気温度を調整する。排気管16の閉塞の程度が高い場合には、排気管16の閉塞の程度が低い場合に比べて、排気温度が高くなる。このため、排気温度からスケール堆積を判定する際には、排気管16の閉塞の程度が排気温度に及ぼす影響を除去する必要がある。例えば、制御装置26は、排気管16の閉塞の程度に応じた係数(例えば0.9〜1.1の範囲の係数であって、排気管16の閉塞の程度が高いほど、係数の値は大きい)を、上限排気温度に乗算することによって、上限排気温度を調整する。ステップS9の後、処理はステップS10へ進む。
【0041】
ステップS10では、制御装置26は、排気温度センサ42で検出される排気温度が上限排気温度を超えるか否かを判断する。排気温度が上限排気温度以下の場合(NOの場合)、処理はステップS2へ戻る。排気温度が上限排気温度を超える場合(ステップS10でYESの場合)、処理はステップS12へ進む。
【0042】
ステップS12では、制御装置26は、リモコン4を介して、使用者に熱交換器18にスケールが堆積していることを報知する。ステップS12の後、処理はステップS14へ進む。ステップS14では、制御装置26は、給湯装置1を異常終了する。この後、使用者によって熱交換器18のスケール除去の処置が行われ、リモコン4を介してスケール除去処置完了が入力されると、制御装置26は、給湯装置1を通常の状態に復帰させる。
【0043】
以上のように、本実施例の給湯装置1は、燃料ガスの燃焼によって水を加熱する燃焼式水加熱装置である。給湯装置1は、燃料ガスを燃焼させて燃焼ガスを生成するバーナ8と、内部を通過する水と外部を通過する燃焼ガスとの間で熱交換する熱交換器18と、熱交換器18で熱交換した後の燃焼ガスを排気ガスとして排出する排気管16と、排気管16を流れる排気ガスの温度を排気温度として検出する排気温度センサ42と、排気管16の閉塞の程度を検出し、排気温度と、排気管16の閉塞の程度に基づいて、熱交換器18の内部にスケールが堆積しているか否かを判定する制御装置26(閉塞程度検出手段およびスケール堆積判定手段の一例である)を備えている。
【0044】
熱交換器18の内部にスケールが堆積すると、熱交換器18の伝熱性が低下するため、排気温度は上昇する。そこで、本実施例の給湯装置1では、排気温度に基づいて、熱交換器18の内部にスケールが堆積しているか否かを判定する。なお、排気温度は、熱交換器18の内部にスケールが堆積した場合だけでなく、排気管16の閉塞の進行によっても、上昇する。このため、排気温度に基づいてスケールの堆積判定を行なう場合には、排気管16の閉塞の進行に伴う排気温度の上昇の影響を除去する必要がある。そこで、本実施例の給湯装置1では、排気温度と、排気管16の閉塞の程度に基づいて、熱交換器18の内部にスケールが堆積しているか否かを判定する。排気管16の閉塞の程度の検出に関しては、専用のセンサを用いることなく、燃焼式水加熱装置が通常備えているセンサ等を用いて行なうことができる。本実施例の給湯装置1によれば、ファウリングセンサ等の専用のセンサを設けることなく、熱交換器18の内部でのスケールの堆積を検出することができる。
【0045】
本実施例の給湯装置1は、制御装置26(スケール堆積判定手段の一例である)が、排気温度が上限排気温度を超える場合に、熱交換器18の内部にスケールが堆積していると判定する(
図3のステップS10参照)ように構成されており、上限排気温度が、排気管16の閉塞の程度が高い場合に、排気管16の閉塞の程度が低い場合に比べて、低く設定される(
図3のステップS9参照)ように構成されている。
【0046】
上記の給湯装置1によれば、排気管16の閉塞の進行に伴う排気温度の上昇の影響を受けること無く、熱交換器18の内部にスケールが堆積しているか否かを正確に判定することができる。
【0047】
本実施例の給湯装置1は、上限排気温度が、バーナ8の燃焼量に基づいて設定される(
図3のステップS2参照)ように構成されている。
【0048】
排気温度は、バーナ8の燃焼量が変化すると、それに応じて変化する。本実施例の給湯装置1では、上限排気温度を、バーナ8の燃焼量に基づいて設定することで、熱交換器18の内部にスケールが堆積しているか否かを、より正確に判定することができる。
【0049】
本実施例の給湯装置1は、制御装置26が、制御装置26(スケール堆積判定手段の一例である)の判定結果の履歴を記憶する不揮発性メモリ(記憶手段の一例である)を備えており、上限排気温度が、過去に熱交換器18の内部でのスケールの堆積が検出されている場合に、過去に熱交換器18の内部でのスケールの堆積が検出されていない場合に比べて、低く設定される(
図3のステップS4、S6参照)ように構成されている。
【0050】
給湯装置1に供給される水の水質は、給湯装置1が使用される地域ごとに異なっている。スケールが堆積しやすい水が供給される地域で給湯装置1が使用される場合には、スケールの堆積を速やかに検出して、スケールの除去処理を速やかに行なうことが好ましい。本実施例の給湯装置1では、過去に熱交換器18の内部でのスケールの堆積が検出されている場合には、その後のスケール堆積判定における上限排気温度を低く設定して、スケールの堆積が検出されやすいようにしている。このような構成とすることによって、スケールが堆積しやすい水が供給される地域で給湯装置1が使用される場合に、スケールの堆積を速やかに検出して、スケールの除去処理を速やかに行なうことができる。
【0051】
本実施例の給湯装置1は、バーナ8に空気を供給する給気管14と、給気管14からバーナ8に空気を送るとともに、排気管16へ排気ガスを送るファン12と、ファン12の駆動電流を検出する電流センサ12aをさらに備えており、制御装置26(閉塞程度検出手段の一例である)が、ファン12の駆動電流に基づいて、排気管16の閉塞の程度を検出するように構成することができる。
【0052】
排気管16の閉塞の程度が高い場合、排気管16の閉塞の程度が低い場合に比べて、ファン12が空回りしやすくなり、ファン12の駆動電流は低減する。そこで、上記のように、ファン12の駆動電流に基づいて、排気管16の閉塞の程度を検出することで、専用のセンサを用いることなく、排気管16の閉塞の程度を検出することができる。
【0053】
あるいは、本実施例の給湯装置1は、バーナ8に配置された高温熱電対35をさらに備えており、バーナ8が全一次空気バーナであって、制御装置26(閉塞程度検出手段の一例である)が、高温熱電対35の検出信号に基づいて、排気管16の閉塞の程度を検出するように構成することができる。
【0054】
バーナ8が全一次空気バーナである場合、排気管16の閉塞の程度が高いときは、排気管16の閉塞の程度が低いときに比べて、バーナ8の火炎が短くなり、バーナ8に配置された高温熱電対35の検出信号が増大する。上記のように、高温熱電対35の検出信号に基づいて、排気管16の閉塞の程度を検出することによって、専用のセンサを用いることなく、排気管16の閉塞の程度を検出することができる。
【0055】
あるいは、本実施例の給湯装置1は、バーナ8の噴射口から所定距離を隔てて配置された燃焼炎サーミスタ37をさらに備えており、バーナ8がブンゼンバーナであって、制御装置26(閉塞程度検出手段の一例である)が、燃焼炎サーミスタ37の検出信号に基づいて、排気管16の閉塞の程度を検出するように構成することができる。
【0056】
バーナ8がブンゼンバーナである場合、排気管16の閉塞の程度が高いときは、排気管16の閉塞の程度が低いときに比べて、バーナ8の火炎が長くなり、バーナ8の噴射口から所定距離を隔てて配置された燃焼炎サーミスタ37の検出信号が増大する。上記のように、燃焼炎サーミスタ37の検出信号に基づいて、排気管16の閉塞の程度を検出することによって、専用のセンサを用いることなく、排気管16の閉塞の程度を検出することができる。
【0057】
以上、各実施例について詳細に説明したが、これらは例示に過ぎず、特許請求の範囲を限定するものではない。特許請求の範囲に記載の技術には、以上に例示した具体例を様々に変形、変更したものが含まれる。
【0058】
本明細書または図面に説明した技術要素は、単独であるいは各種の組合せによって技術的有用性を発揮するものであり、出願時の請求項記載の組合せに限定されるものではない。また、本明細書または図面に例示した技術は、複数目的を同時に達成するものであり、そのうちの一つの目的を達成すること自体で技術的有用性を持つものである。