(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下に、本発明に係る実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施形態によりこの発明が限定されるものではない。また、下記実施形態における構成要素には、当業者が置換可能かつ容易なもの、あるいは実質的に同一のものが含まれる。
【0016】
[実施形態]
図1は、実施形態に係る車両表示装置の概略構成を示す正面図である。
図2は、実施形態に係る車両表示装置の概略構成を示す部分断面図である。
図3は、実施形態に係る装飾部品製造方法の流れを説明するフローチャートである。
図4、
図5、
図6、
図7、
図8、
図9、
図10は、実施形態に係る装飾部品製造方法の流れを説明する模式図である。
【0017】
本実施形態に係る樹脂装飾部品1は、
図1、
図2に示すように、車両に搭載される車両表示装置100に適用される。車両表示装置100は、いわゆる車載メータを構成するものであり、例えば、車両のダッシュボードに設けられたインストルメントパネルに搭載され、車両の運転に供される情報として当該車両に関する種々の情報を表示する。車両表示装置100は、車両に関する情報を表示する表示部101と、表示部101を含む当該車両表示装置100の各部に組み込まれた樹脂装飾部品1とを備える。そして、車両表示装置100は、樹脂装飾部品1の表面の模様を所定の方法で成形することで、適正に生産性を確保したものである。
【0018】
なお、
図1に示す車両表示装置100の幅方向とは、典型的には、この車両表示装置100が適用される車両の車幅方向に相当する。以下の説明では、車両表示装置100の幅方向において、当該車両表示装置100の前面に向かって左側(
図1中左側)を幅方向左側、向かって右側(
図1中右側)を幅方向右側という場合がある。また、
図2に示す車両表示装置100の奥行き方向とは、典型的には、この車両表示装置100が適用される車両の前後方向に相当する。また、車両表示装置100の前面側とは、車両の運転席と対面する側であり、典型的には、当該運転席に座った運転者によって視認される側である。一方、車両表示装置100の背面側とは、奥行き方向において前面側とは反対側であり、典型的には、インストルメントパネルの内部に収容される側である。
【0019】
表示部101は、車両に関する種々の情報を表示するものである。ここでは、表示部101は、一例として、車両に関する情報として、車速を表示する速度計102、走行用動力源の出力回転数を表示する回転計103、シフトポジションを表示するシフト表示部104、方向指示器(ウインカ)の動作状態を表すターン表示部105、積算走行距離を表す積算走行距離表示部106等を含んで構成される。表示部101は、車両表示装置100の各部を収容する筐体107内に配置されると共に各種情報の表示面が奥行き方向前面側に露出する。筐体107は、樹脂材料等によって構成される。筐体107は、例えば、奥行き方向背面側に配置される背面ケース108と、背面ケース108の奥行き方向前面側に配置される中間ケース109と、中間ケース109の奥行き方向前面側に配置される見返し110とを含んで構成され、これらによって区画される空間部内に表示部101が配置される。そして、筐体107は、見返し110に形成される開口110a(
図2参照)を介して各表示部101の表示面が奥行き方向前面側に露出する。表示部101は、筐体107内において、速度計102が幅方向右側に配置される一方、回転計103が幅方向左側に配置され、さらに、シフト表示部104、ターン表示部105、及び、積算走行距離表示部106がこれらの間に配置される。
【0020】
例えば、
図2に示すように、速度計102は、筐体107内に配置される配線板111に内機112が固定される。内機112は、指針113の駆動源であるモータ112aを含んで構成され、当該モータ112aから指針113の回転軸114が突設される。回転計103も速度計102とほぼ同様の構成である。見返し110は、配線板111や内機112等を覆い、上記のように開口110aから各表示部101(速度計102、回転計103、シフト表示部104、ターン表示部105、積算走行距離表示部106等)の表示面を奥行き方向前面側に露出させる。なお、車両表示装置100は、当該表示部101の奥行き方向前面側が筐体107に取り付けられる透明カバーによって保護されている。
【0021】
樹脂装飾部品1は、車両表示装置100において、奥行き方向前面側に露出し運転者を含む乗員の視界にはいりうる部分の化粧部材となるものである。樹脂装飾部品1は、例えば、表示部101、ここでは、速度計102、回転計103等に組み込まれる各文字板115に適用される。文字板115は、速度計102、回転計103等において見返し110の開口110aから奥行き方向前面側に露出する表示面を構成するものである。文字板115は、指針113によって指し示される目盛の装飾、当該目盛に対応して付された計測値に関する様々な図柄、記号、文字列(表示する物理量の単位「km/h」、「×1000r/min」等の文字列、車速を表す「0」、「20」等の複数の文字列、回転数を表す「0」、「1」等の複数の文字列)等の装飾を含んで構成される。以下、速度計102の文字板115を例に挙げて説明するが、回転計103の文字板115についてもこれと同様の構成である。
【0022】
樹脂装飾部品1として構成される文字板115は、奥行き方向前面側の面が表示面を構成する。ここでは、文字板115は、全体として、略円形状に形成される。文字板115は、略円形の中心軸線C1を含む領域に軸孔116が形成される。軸孔116は、速度計102の指針113の回転軸114が貫通する孔であり、文字板115を奥行き方向に貫通する。軸孔116は、中心軸線C1を中心とした略円形状に形成される。
【0023】
そして、本実施形態の樹脂装飾部品1として構成される文字板115は、樹脂を金型としての成形金型200(
図4等参照)の成形面201(
図4等参照)によって成形することで表面に複数の転写溝2が転写されたものである。そして、この文字板115は、当該表面に転写された複数の転写溝2の一部によって所定の領域に模様(例えば、放射目付模様3)による装飾が施されているものである。ここで、樹脂装飾部品1として構成される文字板115の表面とは、それぞれにおける奥行き方向前面側の面、すなわち、車両の運転席と対面する側の面であり、典型的には、運転席に座った運転者等によって視認される側の面である。また、成形金型200の成形面201は、文字板115の表面を成形する面である。
【0024】
文字板115は、合成樹脂が成形金型200(
図4等参照)によって一体成形することで、全体が略円形状に一体で形成される。文字板115は、成形金型200の表面の形状に応じて表面に複数の転写溝2が形成される。つまり、文字板115は、合成樹脂を成形金型200によって一体成形する際に、当該成形金型200の成形面201(
図4等参照)に形成された複数の溝202(
図4等参照)が当該文字板115の表面に転写されることで転写溝2が形成される。
【0025】
そして、本実施形態の成形面201に形成された複数の溝202は、成形金型200の表面において種々の目付模様(ここでは、成形面側放射目付模様203(
図5等参照))を形成し、これにより、文字板115の表面に転写された複数の転写溝2は、文字板115の表面において種々の目付模様(ここでは、放射目付模様3)を形成する。本実施形態の文字板115は、一例として、表面において、中心軸線C1を中心とした略円環状の領域に複数の転写溝2によっていわゆる放射目付模様3が施されている。言い換えれば、成形金型200は、成形面201に複数の溝202によって放射目付模様3と同様の成形面側放射目付模様203(
図5等参照)が施されている。放射目付模様3、成形面側放射目付模様203は、複数の転写溝2、複数の溝202がそれぞれ予め設定される基準点(例えば、中心軸線C1上の点、成形金型200の成形面201において中心軸線C1に相当する線上の点)、あるいはその近傍から外側に向けて放射状に延在することで形成される模様であり、旭光模様とも呼ばれる場合がある。
【0026】
ところで、本実施形態の成形金型200の成形面201に形成される溝202は、
図5等に示すように、第1溝204と、上記成形面側放射目付模様203を構成する第2溝205とを含んで構成されており、文字板115の表面に転写される転写溝2は、
図9等に示すように、第1溝204が転写された第1転写溝4と、第2溝205が転写されたものであり放射目付模様3を構成する第2転写溝5とを含んで構成される。またさらに、本実施形態の文字板115を構成する合成樹脂は、
図10等に示すように、表面に溝202が転写されることで転写溝2が形成される光硬化樹脂6と、基材8を形成する光透過樹脂7とを含んで構成される。本実施形態の樹脂装飾部品1として構成される文字板115は、これらの構成と共に、以下で説明する製造方法を採用することにより、適正に生産性を向上させている。
【0027】
以下、
図3のフローチャート、及び、
図4、
図5、
図6、
図7、
図8、
図9、
図10の模式的な断面図を参照して、樹脂装飾部品1として構成される文字板115の製造方法である装飾部品製造方法、及び、樹脂装飾部品1として構成される文字板115の詳細な構成について具体的に説明する。以下で説明する装飾部品製造方法は、作業員が種々の装置、機器、治具等を用いて手作業で行うものとして説明するが、これに限らず、例えば、種々の製造装置によって自動で実行するものであってもよい。
【0028】
まず、作業員は、第1溝形成工程として、
図4に示すように、成形金型200の成形面201に、後工程(第2溝形成工程(ステップST2))で施す複数の第2溝205より微細な複数の第1溝204を形成する(ステップST1)。この第1溝形成工程は、成形面201に第2溝205を形成することに先立って、成形面201の素地表面をあらすための工程に相当する。成形金型200は、種々の金属によって構成される。成形金型200は、例えば、アルミニウム、ステンレス等によって構成される。ここでは、成形金型200は、ステンレスによって構成されるものとして説明する。複数の第1溝204は、当該ステンレスによって構成される成形金型200の表面に設けられる。より詳細には、複数の第1溝204は、成形金型200において、略円形状に形成される文字板115の各部を成形する成形面201に形成される。つまり、文字板115を成形する成形金型200は、成形面201に、文字板115の各部を成形する部分と共に複数の第1溝204が形成される。成形金型200は、当該成形金型200の成形面201の形状情報等を含む加工情報に基づいて種々の加工機械を用いて文字板115の各部に対応した基本的な形状が形成され、その後、成形面201に複数の第1溝204が形成される。
【0029】
ここで、複数の第1溝204は、第1溝形成工程(ステップST1)で成形金型200の成形面201に形成される溝であり、後述する成形面側放射目付模様203を構成する複数の第2溝205(
図5参照)より微細に形成される。ここでは、複数の第1溝204は、単位面積当たりの密度が複数の第2溝205より高くなるように形成されることで、複数の第2溝205より微細に形成されるものである。さらに言えば、複数の第1溝204は、典型的には、隣接する第1溝204同士のピッチのうちの最大ピッチが隣接する第2溝205同士のピッチのうちの最小ピッチより狭くなるように構成され、また、最大深さが複数の第2溝205の最大深さより浅くなるように形成されることで、単位面積当たりの密度が複数の第2溝205より高くなるように形成され、これにより、複数の第2溝205より微細に形成されるものである。ここで、第1溝204、第2溝205のピッチとは、典型的には、それぞれ、隣接する第1溝204、第2溝205のボトム間の距離、又はピーク間の距離に相当する。また、第1溝204、第2溝205の最大深さとは、典型的には、それぞれ、ピーク(高い方の頂点)に対するボトムの深さのうちの最大のものに相当する。複数の第1溝204は、上記のように第2溝205より微細に形成されることで、後述する成形面側放射目付模様203を構成する第2溝205同士の間に少なくとも1つが介在するように形成される。言い換えれば、複数の第1溝204は、成形面側放射目付模様203を構成する第2溝205同士の間に少なくとも1つが介在するように微細に形成される。
【0030】
また、本実施形態の複数の第1溝204は、成形面側放射目付模様203を構成し当該模様に応じた方向性を有する複数の第2溝205とは異なり、一定の方向性を有さないランダムな溝として形成されることが好ましい。ここでは、複数の第1溝204は、成形面201に薬品を塗布しエッチング処理を施すことによって一定の方向性を有さないランダムな溝として形成される。
【0031】
次に、作業員は、第2溝形成工程として、
図5に示すように、成形金型200の成形面201に、複数の第1溝204とは異なる溝であって成形面側放射目付模様203を構成する複数の第2溝205を形成する(ステップST2)。この第2溝形成工程は、成形面201に成形面側放射目付模様203を実際に構成する第2溝205を形成する模様付けのための工程に相当する。複数の第2溝205は、第1溝204と同様に、当該ステンレスによって構成される成形金型200の表面に設けられる。より詳細には、複数の第2溝205は、成形金型200において、略円形状に形成される文字板115の各部を成形する成形面201に形成される。つまり、文字板115を成形する成形金型200は、成形面201において、文字板115の各部を成形する部分に複数の第1溝204が形成された後に、当該部分に重ねて複数の第2溝205が形成される。
【0032】
ここで、複数の第2溝205は、第2溝形成工程(ステップST2)で成形金型200の成形面201に形成される溝であり、第1溝形成工程(ステップST1)で形成された複数の第1溝204の方が微細となるように形成される。ここでは、複数の第2溝205は、単位面積当たりの密度が複数の第1溝204より低くなるように形成されることで、複数の第1溝204の方が微細となるように形成される。さらに言えば、複数の第2溝205は、上述とは逆に典型的には、隣接する第2溝205同士のピッチのうちの最小ピッチが隣接する第1溝204同士のピッチのうちの最大ピッチより広くなるように構成され、また、最大深さが複数の第1溝204の最大深さより深くなるように形成されることで、単位面積当たりの密度が複数の第1溝204より低くなるように形成され、これにより、複数の第1溝204の方が微細となるように形成される。つまり、複数の第2溝205は、上記のように第1溝204の方が微細となるように形成されることで、当該第2溝205同士の間に少なくとも1つの第1溝204が介在するように形成される。言い換えれば、複数の第2溝205は、当該第2溝205同士の間に少なくとも1つの第1溝204が介在するように形成される。
【0033】
また、本実施形態の複数の第2溝205は、成形面側放射目付模様203を構成し当該模様に応じた方向性を有して形成される。ここでは、複数の第2溝205は、成形面201を研磨具によって研磨することで成形面側放射目付模様203に応じた方向性を有して形成される。第2溝205は、例えば、所定の軌道で駆動するルータの先端に設けられた砥石等の研磨具によって、成形面201を所望の模様、ここでは、放射状の成形面側放射目付模様203の方向に沿って研磨することで、成形面側放射目付模様203を構成するように方向性を有して形成される。ここで用いる砥石等の研磨具は、第2溝205の最小ピッチが第1溝204の最大ピッチより広く、第2溝205の最大深さが第1溝204の最大深さより深く、単位面積当たりの密度が複数の第1溝204より低くなり、第2溝205同士の間に少なくとも1つの第1溝204が介在するように、当該第2溝205を形成することが可能な粗さ、仕様等であればよい。
【0034】
次に、作業員は、光硬化樹脂塗布工程として、
図6に示すように、成形面201に樹脂装飾部品1を構成する樹脂として光硬化樹脂6を塗布する(ステップST3)。光硬化樹脂6は、露光することで硬化する樹脂であり、より詳細には、露光することで硬化度が変化する樹脂である。光硬化樹脂6は、例えば、紫外線を照射することで硬化するUV(Ultraviolet、紫外線)硬化インクを用いることができ、例えば、所望の文字板115の色彩に応じて、白色インク、着色インク、透明インク等を適宜用いることができる。ここでは、光硬化樹脂6は、透明のUV硬化インクを用いる。この光硬化樹脂塗布工程(ステップST3)では、光硬化樹脂6は、比較的に硬化度が低く流動性が高い未硬化の状態で成形面201に塗布され、成形面201上に当該未硬化の光硬化樹脂6による液体層を形成する。これにより、光硬化樹脂6は、流動性が高く優れた転写性(言い換えれば、成形面201の形状に対する追従性)を確保することが可能となる。
【0035】
次に、作業員は、基材設置工程として、
図7に示すように、光硬化樹脂塗布工程(ステップST3)にて成形面201に塗布された光硬化樹脂6上に、樹脂装飾部品1を構成する樹脂として光を透過する光透過樹脂7によって形成された基材8を設置する(ステップST4)。光透過樹脂7によって形成された基材8は、例えば、光を透過する透明生地のポリカーボネート製シートを用いることができる。作業員は、板状に形成された基材8を成形面201に塗布された光硬化樹脂6上に載置させる。
【0036】
次に、作業員は、露光転写工程として、
図8に示すように、基材8を成形面201側に押圧しながら光硬化樹脂6に対して露光し光硬化樹脂6を硬化させ、光硬化樹脂6を成形面201によって成形することで光硬化樹脂6の表面に複数の第1溝204、及び、複数の第2溝205を転写する(ステップST5)。光硬化樹脂6に対して露光する光源としては、光硬化樹脂6に紫外線を照射可能な発光素子であるUV−LED(Light Emitting Diode)300を用いることができる。UV−LED300は、基材8を挟んで、成形面201上に塗布された光硬化樹脂6と対向する位置に配置される。UV−LED300から照射される紫外線を含む光は、光透過樹脂7によって形成された基材8を透過し、成形面201上に塗布された光硬化樹脂6に照射される。UV硬化インクによって構成される光硬化樹脂6は、紫外線が照射され露光されることで硬化し、このとき、基材8と共に成形面201側に押圧されながら成形面201によって成形されることで表面に複数の第1溝204、及び、成形面側放射目付模様203を構成する複数の第2溝205が転写される。樹脂装飾部品1として構成される文字板115は、当該成形金型200の成形面201に形成された第1溝204、第2溝205が表面に転写されることで、複数の第1転写溝4、及び、放射目付模様3を構成する第2転写溝5が成形される。
【0037】
次に、作業員は、離型工程として、
図9に示すように、複数の第1溝204、複数の第2溝205に応じた第1転写溝4、第2転写溝5が形成された光硬化樹脂6の表面と成形金型200の成形面201とを境界として、成形金型200を光硬化樹脂6側から外し離型する(ステップST6)。上述の光硬化樹脂塗布工程(ステップST3)、基材設置工程(ステップST4)、露光転写工程(ステップST5)、及び、離型工程(ステップST6)は、樹脂を成形面201によって成形することで表面に複数の第1溝204、及び、複数の第2溝205が転写された樹脂装飾部品1を成形する成形工程に相当する。
【0038】
次に、作業員は、印刷工程として、
図10に示すように、基材8の裏面(光硬化樹脂6とは反対側の面)に接するように暗色系のインク、例えば、黒インク9を印刷する(ステップST7)。樹脂装飾部品1として構成される文字板115は、基材8の裏面に黒インク9によって、上記図柄、記号、文字列等に対応した形状が中抜きされた印刷が施されることで、上記図柄、記号、文字列等が描かれる。以上で、装飾部品製造方法を終了する。
【0039】
上記の装飾部品製造方法によって製造される樹脂装飾部品1として構成される文字板115は、
図10に示すように、表面(車両の運転席と対面する側の面)側から順に、光硬化樹脂6、光透過樹脂7によって形成された基材8、及び、黒インク9の3層構造を構成する。第1層目の光硬化樹脂6は、成形金型200の成形面201によって成形されることで、成形面201の第1溝204、第2溝205が転写され、複数の第1転写溝4、及び、放射目付模様3を構成する第2転写溝5が形成される層である。第2層目の光透過樹脂7によって形成された基材8は、表面側に第1層目の光硬化樹脂6が被着され、裏面側に第3層目の黒インク9が被着される基礎部を構成する層である。第3層目の黒インク9は、上記図柄、記号、文字列等が描かれる層である。文字板115は、黒インク9によって車両情報に関する図柄、記号、文字列等の中抜きされた部分が光を透過する部分となり、例えば、背面側に設けられた光源が点灯することで、文字板115の奥行き方向背面側から光が照射され、各中抜きされた部分において当該照射された光が透過され、これにより、中抜きされた部分に応じた図柄、記号、文字列等が点灯表示される。一方、文字板115は、光源が消灯されることで、各中抜きされた部分に応じた図柄、記号、文字列等が消灯される。そして、文字板115は、光硬化樹脂6の表面側に入射した光が第2転写溝5で反射することで、運転者等が視認可能な放射目付模様3が形成され、第2転写溝5で反射しなかった光は黒インク9による平坦な面に吸収される。
【0040】
以上で説明した装飾部品製造方法によれば、成形金型200の成形面201に複数の第1溝204を形成する第1溝形成工程(ステップST1)と、第1溝形成工程(ステップST1)の後に、成形面201に複数の第1溝204とは異なる溝であって成形面側放射目付模様203を構成する複数の第2溝205を形成する第2溝形成工程(ステップST2)と、第2溝形成工程(ステップST2)の後に、樹脂を成形面201によって成形することで表面に複数の第1溝204、及び、複数の第2溝205が転写された樹脂装飾部品1(文字板115)を成形する成形工程(ステップST3、ST4、ST5、ST6)とを含み、複数の第1溝204は、複数の第2溝205より微細である。また、以上で説明した車両表示装置100によれば、車両に関する情報を表示する表示部101と、上記の装飾部品製造方法によって製造された樹脂装飾部品1(文字板115)を備える。
【0041】
したがって、上記の装飾部品製造方法、樹脂装飾部品1(文字板115)、及び、車両表示装置100は、成形金型200の成形面201に第1溝204、第2溝205を順次形成した上で、当該成形面201によって樹脂を成形することで表面に複数の第1溝204、複数の第2溝205が転写された当該樹脂装飾部品1(文字板115)を成形することができる。これにより、上記の装飾部品製造方法、樹脂装飾部品1(文字板115)、及び、車両表示装置100は、例えば、樹脂装飾部品1に対して模様を直接加工するような場合と比較して品質のバラツキを低減し生産性を向上することができる。例えば、上記の装飾部品製造方法、樹脂装飾部品1(文字板115)、及び、車両表示装置100は、樹脂装飾部品1を1つ1つ機械加工するような場合と比較して作業工数を抑制し製造コストを抑制することができる。
【0042】
この場合、上記の装飾部品製造方法、樹脂装飾部品1(文字板115)、及び、車両表示装置100は、成形面201の第2溝205が転写されることで形成される第2転写溝5によって、表面に放射目付模様3を施すことができる。そして、上記の装飾部品製造方法、樹脂装飾部品1(文字板115)、及び、車両表示装置100は、成形面201の第1溝204が転写されることで形成される微細な第1転写溝4によって、成形面側放射目付模様203に応じた放射目付模様3が形成されていない部分に入射した光を散乱させることで当該放射目付模様3を構成する第2転写溝5が形成されていない部分の光沢を抑制することができるので、第2転写溝5によって構成される放射目付模様3を視認させやすくすることができる。つまり、上記の装飾部品製造方法、樹脂装飾部品1(文字板115)、及び、車両表示装置100は、第1溝204が転写されることで形成される微細な第1転写溝4によって、例えば、放射目付模様3以外の素地の部分を艶消しし、顔映り等を抑制した上で、第2転写溝5によって構成される放射目付模様3を視認しやすくすることができ、これにより、視認者に対して与える質感を適正に確保することができる。
【0043】
また、上記の装飾部品製造方法、樹脂装飾部品1(文字板115)、及び、車両表示装置100は、成形面201に対して先に第1溝204を形成した後に第2溝205を形成しているので、第2溝205によって構成される成形面側放射目付模様203のエッジをシャープに形成することができる。これにより、上記の装飾部品製造方法、樹脂装飾部品1(文字板115)、及び、車両表示装置100は、第2溝205が転写されることで形成される第2転写溝5によって構成される放射目付模様3のエッジもシャープに形成することができ、放射目付模様3をより視認しやすくすることができるので、模様を直接加工するような場合により近い質感を実現することができる。
【0044】
以上の結果、上記の装飾部品製造方法、樹脂装飾部品1(文字板115)、及び、車両表示装置100は、表面に放射目付模様3を構成する転写溝2が設けられた構成において、適正に生産性を向上することができる。
【0045】
さらに、上記の装飾部品製造方法、樹脂装飾部品1(文字板115)、及び、車両表示装置100によれば、複数の第1溝204は、最大深さが複数の第2溝205の最大深さより浅い。したがって、上記の装飾部品製造方法、樹脂装飾部品1(文字板115)、及び、車両表示装置100は、複数の第1溝204が転写されることで形成される微細な第1転写溝4の最大深さを、複数の第2溝205が転写されることで形成される第2転写溝5の最大深さより浅くすることができるので、第2転写溝5によって構成される放射目付模様3を第1転写溝4より目立たせることができる。この結果、上記の装飾部品製造方法、樹脂装飾部品1(文字板115)、及び、車両表示装置100は、第2転写溝5によって構成される放射目付模様3をさらに視認しやすくすることができる。
【0046】
さらに、上記の装飾部品製造方法、樹脂装飾部品1(文字板115)、及び、車両表示装置100によれば、複数の第1溝204は、方向性を有さず、複数の第2溝205は、成形面側放射目付模様203に応じた方向性を有する。したがって、上記の装飾部品製造方法、樹脂装飾部品1(文字板115)、及び、車両表示装置100は、複数の第1溝204が転写されることで形成される微細な第1転写溝4を、方向性を有さない溝として形成することができ、複数の第2溝205が転写されることで形成される第2転写溝5を、放射目付模様3に応じた方向性を有する溝として形成することができる。この結果、上記の装飾部品製造方法、樹脂装飾部品1(文字板115)、及び、車両表示装置100は、第1転写溝4をより目立ちにくくすることができる一方、第2転写溝5によって構成される放射目付模様3をより目立たせることができる。
【0047】
ここでは、上記の装飾部品製造方法、樹脂装飾部品1(文字板115)、及び、車両表示装置100によれば、複数の第1溝204は、成形面201に薬品を塗布することで形成され、複数の第2溝205は、成形面201を研磨具によって研磨することで形成される。これにより、上記の装飾部品製造方法、樹脂装飾部品1(文字板115)、及び、車両表示装置100は、複数の第1溝204、ひいては複数の第1転写溝4を、方向性を有さない溝として形成することができる一方、複数の第2溝205、ひいては複数の第2転写溝5を、方向性を有する溝として形成することができる。
【0048】
さらに、上記の装飾部品製造方法によれば、成形工程(ステップST3、ST4、ST5、ST6)は、第2溝形成工程(ステップST2)の後に、成形面201に樹脂装飾部品1を構成する樹脂として露光することで硬化する光硬化樹脂6を塗布する光硬化樹脂塗布工程(ステップST3)と、光硬化樹脂塗布工程(ステップST3)の後に、成形面201に塗布された光硬化樹脂6上に、樹脂装飾部品1を構成する樹脂として光を透過する光透過樹脂7によって形成された基材8を設置する基材設置工程(ステップST4)と、基材設置工程(ステップST4)の後に、基材8を成形面201側に押圧しながら光硬化樹脂6に対して露光し光硬化樹脂6を硬化させ、光硬化樹脂6を成形面201によって成形することで光硬化樹脂6の表面に複数の第1溝204、及び、複数の第2溝205を転写する露光転写工程(ステップST5)とを含む。
【0049】
つまり、樹脂装飾部品1(文字板115)、及び、車両表示装置100によれば、上記の装飾部品製造方法によって、光を透過する光透過樹脂7によって形成された基材8と、基材8上に設けられ露光することで硬化する光硬化樹脂6と、光硬化樹脂6に対して露光し光硬化樹脂6を硬化させながら当該光硬化樹脂6を成形金型200の成形面201によって成形することで、成形面201に形成された複数の第1溝204が光硬化樹脂6の表面に転写されることによって形成される第1転写溝4と、光硬化樹脂6に対して露光し光硬化樹脂6を硬化させながら当該光硬化樹脂6を成形面201によって成形することで、成形面201に形成された複数の第1溝204とは異なる溝であって成形面側放射目付模様203を構成する複数の第2溝205が光硬化樹脂6の表面に転写されることによって形成される第2転写溝5とを備えるものとして構成される。
【0050】
したがって、上記の装飾部品製造方法、樹脂装飾部品1(文字板115)、及び、車両表示装置100は、光硬化樹脂6の流動性が高く優れた転写性(言い換えれば、成形面201の形状に対する追従性)を確保した状態で、光硬化樹脂6の表面に複数の第1溝204、及び、複数の第2溝205を転写し、第1転写溝4、及び、第2転写溝5を形成することができる。この結果、上記の装飾部品製造方法、樹脂装飾部品1(文字板115)、及び、車両表示装置100は、成形面201に形成された複数の第1溝204、及び、成形面側放射目付模様203を構成する第2溝205を、樹脂装飾部品1(文字板115)を構成する光硬化樹脂6の表面に忠実に転写し、複数の第1転写溝4、及び、放射目付模様3を構成する第2転写溝5を精度よく形成することができる。
【0051】
なお、上述した本発明の実施形態に係る装飾部品製造方法、樹脂装飾部品、及び、車両表示装置は、上述した実施形態に限定されず、特許請求の範囲に記載された範囲で種々の変更が可能である。
【0052】
以上の説明では、樹脂装飾部品1は、表示部101を構成する速度計102、回転計103に組み込まれる文字板115に適用されるものとして説明したがこれに限らず、車両表示装置100において、奥行き方向前面側に露出し運転者を含む乗員の視界にはいりうる部分の他の化粧部材に適用されてもよい。樹脂装飾部品1は、見返し110や速度計102、回転計103等の周りに設けられる環状化粧部材(リング部材)等に適用されてもよい。
【0053】
以上の説明では、光透過樹脂7によって形成された基材8は、例えば、光を透過する透明生地のポリカーボネート製シートを用いるものとして説明したが、これに限らず、光を透過する透明生地の樹脂材であれば他のものでもよい。
【0054】
以上の説明では、樹脂装飾部品1として構成される文字板115、成形金型200は、第2溝205、第2転写溝5によって成形面側放射目付模様203、放射目付模様3が施されているものとして説明したがこれに限らず、他の模様、例えば、いわゆる、成形面側スピン目付模様、スピン目付模様が施されていてもよい。成形面側スピン目付模様、スピン目付模様は、複数の第2溝、第2転写溝が予め設定される基準点(例えば、中心軸線C1上の点、成形金型200の成形面201において中心軸線C1に相当する線上の点)を中心として同心円環状、あるいは、渦巻き環状に延在することで形成される模様である。また、上記模様はいわゆるヘアライン等であってもよい。
【0055】
以上の説明では、複数の第1溝204、複数の第1転写溝4は、複数の第2溝205、複数の第2転写溝5とは異なり、方向性を有さないランダムな溝として形成されるものとして説明したがこれに限らず、ヘアライン、スピン目付模様、放射目付模様等のように方向性を有していてもよい。この場合、複数の第1溝204は、薬品ではなく、例えば、第2溝205を形成する砥石より細かい砥石(研磨具)を用いて形成されてもよい。
【0056】
これらの場合であっても、上記の装飾部品製造方法、樹脂装飾部品1(文字板115)、及び、車両表示装置100は、表面に放射目付模様3を構成する転写溝2が設けられた構成において、適正に生産性を向上することができる。
【0057】
[実施例]
図11は、実施例に係る文字板の光沢評価試験における光沢度について説明する模式図である。
図12は、実施例に係る文字板の光沢評価試験の結果を示す図である。以下、
図11、
図12を参照して樹脂装飾部品1として構成される文字板115の光沢評価試験について説明する。
【0058】
本光沢評価試験では、以上で説明した実施形態に係る樹脂装飾部品1として構成される文字板115を成形するための成形面を有する成形金型を複数種類作製し、当該各成形金型を用いて複数の文字板115を実際に作製して表面の光沢度を測定し評価した。
【0059】
「実施例1」は、成形面に一方向に方向性を有するヘアライン状の第1溝204を形成した後、相対的に粗い砥石(研磨具)を用いて成形面を研磨し第2溝205を形成した成形金型を用いて成形したものである。
【0060】
「実施例2」は、成形面に一方向に方向性を有するヘアライン状の第1溝204を形成した後、「実施例1」と同等の砥石を用いて「実施例1」より相対的に早い研磨速度で、かつ、「実施例1」と同等の研磨時間、研磨回数で成形面を研磨し第2溝205を形成した成形金型を用いて成形したものである。
【0061】
「実施例3」は、成形面に一方向に方向性を有するヘアライン状の第1溝204を形成した後、「実施例1」と同等の砥石を用いて「実施例1」の4分の1程度の研磨時間で、かつ、「実施例1」と同等の研磨速度、研磨回数で成形面を研磨し第2溝205を形成した成形金型を用いて成形したものである。
【0062】
「実施例4」は、成形面に一方向に方向性を有するヘアライン状の第1溝204を形成した後、「実施例1」と同等の砥石を用いて「実施例1」の8分の1程度の研磨回数で、かつ、「実施例1」と同等の研磨速度、研磨時間で成形面を研磨し第2溝205を形成した成形金型を用いて成形したものである。
【0063】
「実施例5」は、成形面に一方向に方向性を有するヘアライン状の第1溝204を形成した後、「実施例1」と同等の砥石を用いて「実施例1」の2分の1程度の研磨回数で、かつ、「実施例1」と同等の研磨速度、研磨時間で成形面を研磨し第2溝205を形成した成形金型を用いて成形したものである。
【0064】
「実施例6」は、成形面に一方向に方向性を有するヘアライン状の第1溝204を形成した後、「実施例1」と同等の砥石を用いて「実施例1」の4分の1程度の研磨回数で、かつ、「実施例1」と同等の研磨速度、研磨時間で成形面を研磨し第2溝205を形成した成形金型を用いて成形したものである。
【0065】
「実施例7」は、成形面に方向性を有さないランダムな第1溝204を形成した後、「実施例1」と同等の砥石を用いて「実施例1」と同等の研磨速度、研磨時間、研磨回数で成形面を研磨し第2溝205を形成した成形金型を用いて成形したものである。
【0066】
「実施例8」は、成形面に方向性を有さないランダムな第1溝204を形成した後、「実施例1」と同等の砥石を用いて「実施例1」より相対的に早い研磨速度、「実施例1」の2分の1程度の研磨回数で、かつ、「実施例1」と同等の研磨時間で成形面を研磨し第2溝205を形成した成形金型を用いて成形したものである。
【0067】
「実施例9」は、成形面に方向性を有さないランダムな第1溝204を形成した後、「実施例1」と同等の砥石を用いて「実施例1」の4分の1程度の研磨回数で、かつ、「実施例1」と同等の研磨速度、研磨時間で成形面を研磨し第2溝205を形成した成形金型を用いて成形したものである。
【0068】
「実施例10」は、成形面に方向性を有さないランダムな第1溝204を形成した後、「実施例1」より細かい砥石を用いて「実施例1」と同等の研磨速度、研磨時間、研磨回数で成形面を研磨し第2溝205を形成した成形金型を用いて成形したものである。
【0069】
「実施例11」は、成形面に方向性を有さないランダムな第1溝204を形成した後、「実施例1」より細かい砥石を用いて「実施例1」の2分の1程度の研磨回数で、かつ、「実施例1」と同等の研磨速度、研磨時間で成形面を研磨し第2溝205を形成した成形金型を用いて成形したものである。
【0070】
「実施例12」は、成形面に方向性を有さないランダムな第1溝204を形成した後、「実施例1」より細かい砥石を用いて「実施例1」の4分の1程度の研磨回数で、かつ、「実施例1」と同等の研磨速度、研磨時間で成形面を研磨し第2溝205を形成した成形金型を用いて成形したものである。
【0071】
さらにここでは、第1溝204を形成していない鏡面仕上げの成形面に、「実施例1」と同等の砥石を用いて「実施例1」と同等の研磨速度、研磨時間、研磨回数で成形面を研磨し第2溝205を形成した成形金型を用いて文字板も成形し、これを「比較例1」とした。
【0072】
光沢評価試験は、上記の「比較例1」、「実施例1〜12」を評価対象として下記の要領で行った。すなわち、ここでは、
図11に示すように、光源301と受光器302を備えた光沢計303を用いて「比較例1」、「実施例1〜12」の表面(測定表面)の光沢度Gv、Gpを測定した。光沢とは、物の表面に当たった光が正反射する属性であり、その程度を表す量を光沢度Gv、Gpという。光沢度Gv、Gpは、相対的に高いほど当該表面における反射率が相対的に高くなり相対的に光沢があるように見えることを表す一方、相対的に低いほど当該表面における反射率が相対的に低くなり相対的に光沢がなくマットに見えることを表す。光沢度Gvは、「比較例1」、「実施例1〜12」の表面に形成された第2転写溝5に沿った方向と直交する方向における光沢度である。一方、光沢度Gpは、「比較例1」、「実施例1〜12」の表面に形成された第2転写溝5に沿った方向における光沢度である。光沢度Gv、Gpは、光源301が発する光を「比較例1」、「実施例1〜12」の表面に対して入射角θiで入射させ、当該表面に対して反射角θrで反射させて受光器302によって反射率として測定される。光沢度Gv、Gpは、日本工業規格(JIS規格)で定められ、屈折率1.567のガラス表面において入射角θi=60°であって反射角θr=60°の場合に、反射率10%を光沢度100%とする。また、入射角θi=20°であって反射角θr=20°の場合に、反射率5%を光沢度100%とする。一般に、光沢度Gv、Gpの高いものは、入射角θiと反射角θrとを小さい角度で測定し、光沢度Gv、Gpの低いものは、入射角θiと反射角θrとを大きい角度で測定する傾向にある。ここでは、入射角θi=反射角θr=60°の場合の光沢度Gv、Gpである「60°Gv」、「60°Gp」と、入射角θi=反射角θr=20°の場合の光沢度Gv、Gpである「20°Gv」、「20°Gp」とを測定した。また、光沢度Gv、Gpを測定する光沢計303としては、『タスコジャパン株式会社製 ハンディ光沢計 グロスチェッカー TMS724/TMS701』を用いた。光沢度Gv、Gpは、「比較例1」、「実施例1〜12」それぞれの表面において3箇所で5回ずつ測定し、
図12には測定された数値範囲を示した。
【0073】
光沢評価試験の結果、
図12からも明らかなように、第1溝204が形成されていない鏡面仕上げの成形面で成形された「比較例1」と比較して、第1溝204が形成された成形面で成形された「実施例1〜12」の「60°Gv」、「60°Gp」、「20°Gv」、「20°Gp」の各数値の方が相対的に低く、「実施例1〜12」において、放射目付模様3を構成する第2転写溝5が形成されていない部分の光沢が抑制され、放射目付模様3が視認しやすくなっていることが明らかである。なお、「実施例1〜12」の放射目付模様3を目視で確認したところ、「実施例1〜12」の中でも、第1溝204が方向性を有さないランダムな溝として形成された成形面で成形された「実施例7〜12」は、第1転写溝4をより目立ちにくくすることができ、第2転写溝5によって構成される放射目付模様3がより目立ちやすく視認しやすくなっていることが確認された。さらには、「実施例7〜12」の中でも、相対的に粗い砥石(研磨具)を用いて成形面を研磨した「実施例7〜9」は、第2転写溝5の深さが相対的に深い傾向にあり、放射目付模様3がさらに目立ちやすく視認しやすくなっていることが確認された。