特許第6674810号(P6674810)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6674810
(24)【登録日】2020年3月11日
(45)【発行日】2020年4月1日
(54)【発明の名称】容器詰め食品及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
   A23L 3/00 20060101AFI20200323BHJP
   A23L 29/281 20160101ALI20200323BHJP
   A23L 7/10 20160101ALI20200323BHJP
   A23L 23/00 20160101ALI20200323BHJP
【FI】
   A23L3/00 101C
   A23L29/281
   A23L7/10 B
   A23L7/10 102
   A23L23/00
【請求項の数】4
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2016-63026(P2016-63026)
(22)【出願日】2016年3月28日
(65)【公開番号】特開2017-175925(P2017-175925A)
(43)【公開日】2017年10月5日
【審査請求日】2018年12月10日
(73)【特許権者】
【識別番号】000000228
【氏名又は名称】江崎グリコ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000796
【氏名又は名称】特許業務法人三枝国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】東口 智子
【審査官】 川合 理恵
(56)【参考文献】
【文献】 特開平07−067591(JP,A)
【文献】 特開平10−113132(JP,A)
【文献】 特開昭62−000245(JP,A)
【文献】 特開昭62−100272(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A23L 3/00
A23L 7/10
A23L 23/00
A23L 29/281
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
乳蛋白と穀類を含む加熱調理された容器詰め食品であって、ゼラチンをさらに含み、容器詰めされる食品がリゾット、粥、雑炊、チーズ餅又はスープであり、質量比で穀類:乳蛋白=100:1〜1:2であり、質量比でゼラチン:乳蛋白=20:1〜1:2であり、ゼラチンは前記容器詰め食品に固形分として質量で0.3〜10%含まれ、乳蛋白は前記容器詰め食品に固形分として質量で0.05〜20%含まれ、穀類は前記容器詰め食品に乾燥固形分として質量で0.5〜35%含まれる、容器詰め食品。
【請求項2】
ゼラチンが魚由来のゼラチンである、請求項1に記載の容器詰め食品。
【請求項3】
容器がパウチであり、食品が加熱又は加熱殺菌された食品である、請求項1又は2に記載の容器詰め食品。
【請求項4】
穀類、乳蛋白及びゼラチンを含む調味液を容器に充填し、加熱又は加熱殺菌し、密封する工程を含む、請求項1〜3のいずれかに記載の容器詰め食品の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、容器詰め食品及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
穀類を含む加熱調理された容器詰め食品は、加熱による穀類の崩れや団塊化が問題となる。
【0003】
特許文献1は、レトルト後により粘度の下がる澱粉を使用することにより飯粒の崩れや団塊化を抑制する方法を開示する。
【0004】
特許文献2は、レトルト処理されたチーズソース、チーズ米飯を用いたおにぎりを開示する。
【0005】
特許文献1のように、レトルト後に粘度の下がる澱粉を添加すると、調味液の乳化が壊れ、外観及び風味的に品質が低下する問題がある。
【0006】
特許文献2に記載されるような、チーズなどの乳蛋白を含むレトルト製品は、レトルト容器の内面に付着しやすい欠点がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特許第3236711号公報
【特許文献2】特開平06-113739号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、乳蛋白と穀類を含む製品を加熱又は加熱殺菌したときの、穀類の容器内側への付着及び団塊化を防止することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、以下の容器詰め食品及びその製造方法を提供するものである。
項1. 乳蛋白と穀類を含む加熱調理された容器詰め食品であって、ゼラチンをさらに含む容器詰め食品。
項2. 質量比で穀類:乳蛋白=100:1〜1:2である、項1に記載の容器詰め食品。
項3. 質量比でゼラチン:乳蛋白=20:1〜1:2である、項1に記載の容器詰め食品。
項4. 容器詰めされる食品がリゾット、麺又は穀類入り食品である、項1〜3のいずれか1項に記載の容器詰め食品。
項5. ゼラチンが魚由来のゼラチンである、項1〜4のいずれか1項に記載の容器詰め食品。
項6. 容器がパウチであり、食品が加熱又は加熱殺菌された食品である、項1〜4のいずれか1項に記載の容器詰め食品。
項7. 穀類、乳蛋白及びゼラチンを含む調味液を容器に充填して密封する工程を含む容器詰め食品の製造方法。
項8. 前記調味液を容器に充填し、加熱又は加熱殺菌する工程を含む、項7に記載の容器詰め食品の製造方法。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、1食完結型で穀類の団塊化・容器内面への穀類の付着のない容器詰め食品が手軽に喫食できる。
【0011】
乳蛋白0.05g/100g以上の調味液を用いて穀類を配合し加熱殺菌すると、穀類の団塊化・容器内面へ穀類が付着するが、本発明によれば、穀類の団塊化・容器内面への穀類の付着がない高品質な穀類入り容器詰め食品を提供することができる。
【0012】
リゾットを例に挙げれば、外食では、チーズリゾット・トマトクリームリゾット・ビスククリームリゾットのような乳製品を使用したリゾットが多数提供されている。一方でレトルトおかゆは多数上市されているものの、その中身は、梅粥・塩粥など食欲のない時に喫食するようないわゆるおかゆであったり、鮭雑炊・参鶏湯のように和中メニューである。無菌米飯+レトルトビスククリーム・チーズクリームや冷凍クリームパスタ等はあるが、米と乳蛋白を含む調味液を合わせて容器詰め雑炊・リゾットにすることが難しい為か一食完結型の洋風レトルト又はチルド雑炊・リゾットは上市されていない。しかしながら、本発明によれば、これらリゾットは、容器に付着せず、米の団塊化も起こらないので容易に商品化できる。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本明細書において、穀類としては雑穀(アワ、ヒエ、キビ、ハト麦、オーツ麦、大豆、小豆、キヌア、そばなど)、米,粥,餅,スナック,シリアル,中華麺,パスタ,うどん,そば,インスタントラーメン,餃子の皮、シュウマイの皮などが挙げられる。好ましい穀類は、米、かゆ、餅であり、より好ましくは米である。
【0014】
穀類は、本発明の容器詰め食品に乾燥固形分として質量で0.5〜35%程度配合される。
【0015】
乳蛋白としては、カゼイン蛋白質、ホエイ蛋白質が挙げられる。
【0016】
乳蛋白は、乳蛋白自体を使用してもよく、チーズ、牛乳、クリーム、クリームパウダー、全粉乳、脱脂粉乳、濃縮乳、無糖練乳、加糖練乳乳、加糖粉乳、ホエイ、バターなどとして容器詰め食品に配合することができる。
【0017】
乳蛋白は、本発明の容器詰め食品に固形分として質量で0.05〜20%程度配合される。
【0018】
ゼラチンは、ウシ、ブタ、ニワトリ、魚などに由来するゼラチンが挙げられ、魚由来のゼラチンが穀類の団塊化、パウチ内面への穀類の付着を最も効果的に抑制できるので好ましい。
【0019】
ゼラチンは、本発明の容器詰め食品に固形分として質量で0.3〜10%程度配合される。
【0020】
容器詰めされる食品としては、リゾット、麺、穀類入り食品が挙げられ、リゾットが好ましい。リゾットとしては、チーズリゾット、トマトクリームリゾット、ビスククリームリゾットが挙げられる。麺としては、パスタ、ラザニア、うどん,そば,ラーメン、インスタントラーメンなどが挙げられ、パスタが好ましい。穀類入り食品としては、粥(ミルク粥、チーズ粥など)、雑炊、チーズ餅、スープ(穀類やシュウマイの皮、餃子の皮餅などが入ったチーズスープ、ミルクスープなど)等が挙げられる。
【0021】
容器詰め食品には、チルド食品、レトルト食品、缶詰が包含される。
【0022】
容器としては、チルド食品やレトルト食品では樹脂製の透明パウチ・レトルトパウチ、缶詰では金属性の缶などが挙げられる。
【0023】
容器詰め食品は、容器に乳蛋白質、穀類、ゼラチン、調味液を配合して密封し、加熱殺菌することにより製造することができる。調味液には、水、食塩、砂糖、醤油、みそ、デンプン、香辛料、デキストリン、ブイヨン、酵母エキス、にんにく、しょうが、畜肉(牛肉、豚肉、鶏肉)、野菜(トマト、ピーマン、たまねぎ、にんじん、ジャガイモ、大根、白菜、ごぼうなど)、しいたけ、シメジ、まいたけなどのキノコ類、酸味料(クエン酸など)、大豆多糖類、乳化剤(グリセリン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステルなど)、植物油(菜種油、ごま油、大豆油、コーン油など)などが挙げられる。調味液は粘度は3Pa・s(BL粘度計、NO3ローター、12rpm、30秒後、測定温度60℃)以下が望ましい。また、調味液に対する乾燥穀物の比率は、質量で1/4以下であることが望ましい。
【0024】
本発明の容器詰め食品において、穀類と乳蛋白の好ましい質量比は、穀類:乳蛋白=200:1〜1:5程度、好ましくは100:1〜1:2 程度、より好ましくは50:1〜1:1程度である。また、ゼラチンと乳蛋白の質量比は、ゼラチン:乳蛋白=20:1〜1:5程度、好ましくは20:1〜1:2程度、より好ましくは10:1〜1:1程度である。尚、穀類質量は全て乾燥状態の質量である。ゼラチン量が少なすぎると、穀物が団塊化・レトルトパウチ内面に付着する傾向があり、ゼラチンが多すぎるとゼラチン特有の匂いがしたり、ぷるぷるした物性となり、設定品質から離れてしまう。
【実施例】
【0025】
以下、本発明を実施例及び比較例を用いてより詳細に説明する。
実施例1〜20及び比較例1〜10
表1又は表2に記載された比率で乳蛋白を含む原料(チェダーチーズパウダーの場合、乳蛋白は30%、脱脂粉乳の場合、乳蛋白は34.2%、パルメザンチーズパウダーの場合、乳蛋白は34.2%として計算)、ゼラチン、デキストリン、大豆多糖類、乳化剤、架橋・エーテル化・酸化処理を施されているワキシーコーンスターチ(ヒドロキシプロピルリン酸架橋澱粉(レトルト加熱殺菌時に粘度低下するタイプ))及び必要に応じ調味料等を配合し、水を加えて90℃まで加熱撹拌溶解後、重量合わせをした調味液と米を加えて250gとしたものをレトルトパウチ(PET/AL/CPP)に入れ、122℃で25分間(Fo値10以上)レトルト殺菌、80℃30分加熱して各々チーズリゾットを得た。尚、80℃30分加熱の場合は、米ではなく炊飯米を米の2.5倍量使用した。
【0026】
得られたチーズリゾットを開封し、パウチの出口を下に向けて内容物を別の容器に出して、パウチの内面の付着状況、内容物中の団塊化の状況を観察した。結果を表3に示す。殺菌条件が80℃30分の場合では、122℃25分の場合より加熱による調味液の褐変や米のパウチ内面への付着や団塊化は若干少ない傾向にあったものの、表3の通り同様の結果であった。
【0027】
【表1】
【0028】
【表2】
【0029】
【表3】
【0030】
表3の結果に示すように、ゼラチンを所定量配合することで、米の団塊化、レトルトパウチへの付着が抑制されることが明らかになった。