(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6674826
(24)【登録日】2020年3月11日
(45)【発行日】2020年4月1日
(54)【発明の名称】電池集電体用アルミニウム合金箔およびその製造方法
(51)【国際特許分類】
C22C 21/00 20060101AFI20200323BHJP
C22F 1/04 20060101ALI20200323BHJP
H01M 4/66 20060101ALI20200323BHJP
C22F 1/00 20060101ALN20200323BHJP
【FI】
C22C21/00 M
C22C21/00 A
C22F1/04 K
H01M4/66 A
!C22F1/00 622
!C22F1/00 630A
!C22F1/00 630K
!C22F1/00 661C
!C22F1/00 682
!C22F1/00 683
!C22F1/00 685Z
!C22F1/00 691B
!C22F1/00 691C
!C22F1/00 694A
【請求項の数】3
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2016-77586(P2016-77586)
(22)【出願日】2016年4月7日
(65)【公開番号】特開2017-186630(P2017-186630A)
(43)【公開日】2017年10月12日
【審査請求日】2019年3月6日
(73)【特許権者】
【識別番号】000176707
【氏名又は名称】三菱アルミニウム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100091926
【弁理士】
【氏名又は名称】横井 幸喜
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 貴史
【審査官】
鈴木 毅
(56)【参考文献】
【文献】
特開2002−038233(JP,A)
【文献】
特開2001−288525(JP,A)
【文献】
特開平03−120332(JP,A)
【文献】
特開昭63−020103(JP,A)
【文献】
国際公開第01/04369(WO,A1)
【文献】
小林保夫,アルミニウムはく,軽金属,軽金属学会,1982年 6月30日,Vol.32, No.6,第325-334頁
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C22C 21/00 − 21/18
C22F 1/04 − 1/057
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
Fe:0.7質量%以上1.5質量%以下、Si:0.15質量%以上0.5質量%以下、を含有し、残部がAlと不可避不純物からなる組成を有し、前記不可避不純物中で、Mnが0.05質量%以下、Cuが0.001質量%未満であり、厚さが5〜20μmで、引張強さが190MPa以上、伸びが4.2%以上であり、100〜200℃×30分〜10時間の熱処理を行った場合でも、伸びが3.8%以上であることを特徴とする電池集電体用アルミニウム合金箔。
【請求項2】
Fe:0.7質量%以上1.5質量%以下、Si:0.15質量%以上0.5質量%以下、Cu:0.001質量%以上0.05質量%以下を含有し、残部がAlと不可避不純物からなる組成を有し、前記不可避不純物中で、Mnが0.05質量%以下であり、厚さが5〜20μmで、引張強さが190MPa以上、伸びが4.2%以上であり、100〜200℃×30分〜10時間の熱処理を行った場合でも、伸びが3.8%以上であることを特徴とする電池集電体用アルミニウム合金箔。
【請求項3】
請求項1または2に記載の組成を有するアルミニウム合金に、400〜520℃で4〜16時間保持する均質化処理を行い、その後の冷間圧延で、途中での中間焼鈍は行わないか、またはバッチ焼鈍方式で300〜450℃で3〜6時間保持する中間焼鈍を行って、最終冷間圧延率を98.3%以上にして冷間圧延を行って、厚さ5〜20μmであり、引張強さが190MPa以上、伸びが4.2%以上であり、100〜200℃×30分〜10時間の熱処理を行った場合でも、伸びが3.8%以上である電池集電体用アルミニウム合金箔を得ることを特徴とする電池集電体等アルミニウム合金箔の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、電池集電体用アルミニウム合金箔およびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、リチウムイオン電池の高容量化を目的として、電極集電体であるアルミ箔や銅箔、そしてセパレータの薄肉化が要求されている。正極の集電体として使用されるアルミ箔は薄肉化される事で、電池製造ライン中での破断を生じやすくなる。その為アルミ箔を薄肉化する際は、破断を抑制する為高強度化や高伸び化が求められるのが一般的である。
電池の電極製造中には集電体に熱が加わる工程があり、例えばリチウムイオン電池の製造では、電極スラリーを集電体に塗布した後に100〜200℃程度で熱乾燥を行うのが一般的である。特許文献1や特許文献2では、低温熱処理時に箔の強度が低下し、電池製造工程中に不具合が生じる事を防ぐため、熱処理後の箔の強度を確保する内容を提案している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許5798128号明細書
【特許文献2】特開2014−114480号公報
【特許文献3】特開2014−47367号公報
【特許文献4】特開2012−224927号公報
【非特許文献】
【0004】
【非特許文献1】浅野 他,軽金属,64(2014),279p−284p
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし我々はアルミ箔に関して化学成分や製造工程によっては、低温熱処理時に伸びが極端に低下する現象を見出した。極端に伸びが低下した箔は脆く、電極製造工程中の例えば熱乾燥後のプレス工程等で破断するリスクが高まる為、電極集電体には熱乾燥後でも伸びが高い事が重要である。
このアルミニウム箔における低温熱処理での伸び低下現象について、我々は化学成分としてFeがある程度添加されている場合に顕著に生じる事を発見した。例えば特許文献3や特許文献4にある通り、高伸びを意識した文献は結晶粒の微細化添加元素としてFeを意図して添加しているが、このような箔は低温熱処理時に伸びが極端に低下してしまう可能性が高い。
【0006】
そもそもの現象であるアルミニウム箔の低温熱処理時の伸び低下に関して、明確なメカニズムは未だ明らかとなっていない。箔のように高い冷間圧延で製作した材料中では、SiはもとよりAlマトリックス中での拡散速度の小さいFeも低温熱処理で拡散や析出を生じる事が知られている。非特許文献1では、FeやSiの粒界への偏析が伸び低下の要因であるとの報告もあり、低温熱処理後のミクロ組織にFeやSiが何らかの影響を及ぼしていると推測される。
【0007】
非特許文献1においては、FeやSiの積極的な添加は、熱処理時のアルミニウム箔の伸び低下を助長するとも受け取れるが、我々は高伸びを達成する為にFeを一定以上添加しつつ、Siを添加した材料で低温熱処理時の伸び低下を大幅に抑制出来る事を見出した。またFeやSiの析出を促進するような熱処理を行う事で、低温熱処理時の伸び低下を特に抑制できる。
【0008】
本願発明は、上記事情を背景としてなされたものであり、強度と伸びの特性に優れた電池集電体用アルミニウム合金箔を提供することを目的の一つとする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の電池集電体用アルミニウム合金箔は、 Fe:0.7質量%以上1.5質量%以下、Si:0.15質量%以上0.5質量%以下を含有し、残部がAlと不可避不純物からなる組成を有し、
前記不可避不純物中で、Mnが0.05質量%以下、Cuが0.001質量%未満であり、厚さが5〜20μmで、引張強さが190MPa以上、
伸びが
4.2%以上で
あり、100〜200℃×30分〜10時間の熱処理を行った場合でも、伸びが3.8%以上であることを特徴とする。
【0010】
第2の形態の電池集電体用アルミニウム合金箔の発明は、
Fe:0.7質量%以上1.5質量%以下、Si:0.15質量%以上0.5質量%以下、Cu:0.001質量%以上0.05質量%以下を含有し、残部がAlと不可避不純物からなる組成を有し、前記不可避不純物中で、Mnが0.05質量%以下であり、厚さが5〜20μmで、引張強さが190MPa以上、伸びが4.2%以上であり、100〜200℃×30分〜10時間の熱処理を行った場合でも、伸びが3.8%以上であることを特徴とする。
【0012】
本発明の電池集電体用アルミニウム合金箔の製造方法の発明は、 請求項1または2に記載の組成を有するアルミニウム合金に、400〜520℃で4〜16時間保持する均質化処理を行い、その後の冷間圧延で、途中での中間焼鈍は行わないか、またはバッチ焼鈍方式で300〜450℃で3〜6時間保持する中間焼鈍を行って、最終冷間圧延率を98.3%以上にして冷間圧延を行
って、厚さ5〜20μmであり、引張強さが190MPa以上、伸びが4.2%以上であり、100〜200℃×30分〜10時間の熱処理を行った場合でも、伸びが3.8%以上である電池集電体用アルミニウム合金箔を得ることを特徴とする。
【0013】
以下に、本発明で規定した技術的事項について説明する。
・Fe:0.7〜1.5%
Feは結晶粒を微細化し、箔の強度と伸びを向上させることのできる元素である。またSiと共に添加することで、低温熱処理時の伸びの低下を抑制出来る。Fe含有量が0.7%未満では、伸び値が低く、且つSiと共に添加しても伸び向上が殆ど見られない。Fe含有量が1.5%を超えると、Al−Fe系、Al−Fe−Si系晶出物が粗大化し、ピンホールや、圧延時の破断、伸びの低下が生じる。このため、Fe含有量を上記範囲に定める。なお、同様の理由でFe含有量の下限を1.0%、上限を1.4%とするのが望ましい。
【0014】
・Si:0.15〜0.5%
Siは箔の強度を高める為に添加されることもあるが、その効果はCuやMn、Mgに比べ小さく、添加し過ぎるとAl−Fe−Si系の粗大な晶出物生成のリスクが高まる。粗大な晶出物は箔のピンホールや圧延中の破断に繋がるため、通常は積極的に添加されるものではない。しかし一定量以上のFeと共に添加する事で、圧延後の伸びを向上させ、さらに低温熱処理時の伸び低下抑制も効果を発揮する。Si含有量が0.15%未満では、上述の伸びに対する効果が薄く、0.5%を超えると鋳造時に形成される粗大な晶出物によりピンホールや、圧延時の破断、伸びの低下が生じる。このため、Si含有量を上記範囲に定める。なお、同様の理由でSi含有量の下限を0.2%、上限を0.35%とするのが望ましい。
【0015】
・Mnの含有量を0.05%以下に規制
MnはFeと同様に結晶粒を微細化する効果があり、箔の伸び向上には有効な元素である。ただしMnは熱処理時の転位移動を妨げ、アルミニウム箔の回復・再結晶を阻害する。この材料の回復を抑制する影響が原因であるかどうかは定かではないが、Mnを添加する事で低温熱処理時の伸びの低下が極めて顕著になる。このため、不可避不純物としてMnを含有する場合、その含有量を0.05%以下に規制する事でこの伸びの低下を抑制するのが望ましい。さらに、上限を0.02%とするのが一層望ましい。
【0016】
・Cu:0.001%〜0.05%
Cuは箔の強度を向上させることのできる元素であり、所望により含有させる。0.001%未満の場合、含有しても強度向上にほとんど寄与しない。ただし0.05%を超えて含有すると、圧延後の伸びの低下を招き、且つ強度が高くなりすぎ圧延が困難となる。所望によりCuを含有させる場合、Cu含有量を上記範囲に定める。なお、Cuを積極的に含有しない場合、不可避不純物として0.001%未満でCuを含有するものであってもよい。
【0017】
・圧延後の引張強さ190MPa以上
、伸びが
4.2%以上
引張強さを190MPa以上、伸び
4.2%以上とする事で電池製造ライン中での破断を抑制出来る。尚、伸びについては箔の厚さによって値が変わる為、厚さが12μm以上であれば同じ合金であっても伸びは高くなる。
上記特性は、低温熱処理を行った後でも維持されるのが望ましい。
低温熱処理を含む電池製造工程中での伸び低下が抑制されることで、電池特性に対して箔の高い伸び特性を生かす事が出来る。また最低で
も伸び値が
3.8%以上に保たれる事で、製造工程途中での破断を抑制出来る。
低温熱処理としては、100〜200℃×10時間を基準とすることができる。ただし、低温熱処理の条件がこれに限定されるものではなく、例えば100〜200℃で30分〜10時間の処理を示すことができる。温度が100℃未満では乾燥など所望の効果が不十分又は遅過ぎるため、通常の工程では採用されない。一方200℃を超える処理は、箔の軟化が急激に起こるため、同様に採用不可である。また通常、低温熱処理ラインでは箔コイル全体の特性均一化のため30分以上の処理がなされる。なお10時間を超える処理は、スラリー乾燥など所望の効果が飽和するため、非経済的であり現実的でない。
【0018】
・アルミニウム合金箔の製造方法
前記組成を有するアルミニウム合金を半連続鋳造法や連続鋳造法にて鋳造し、得られた鋳塊を400〜520℃で4〜16時間の均質化処理を行う。温度400℃未満や4時間未満の保持では、FeやSi等が十分に析出せず、低温熱処理時の箔の伸び低下が大きくなる。また520℃を超える高温だとFeやSiの固溶量が大きくなり、やはり低温熱処理時の伸び低下を招く。
【0019】
本合金は圧延性が良く冷間圧延途中で中間焼鈍を行う必要はないが、Cuを多く含むなど圧延性が低下する場合は、冷間圧延途中で中間焼鈍を負荷しても良い。中間焼鈍はコイルを炉に投入し一定時間保持するバッチ焼鈍(Batch Annealing)と、連続焼鈍ライン(Continuous Annealing Line、以下CAL焼鈍という)により材料を急加熱・急冷する2種類の方式がある。本発明では必ずバッチ焼鈍を採用し、300〜450℃で3〜6時間の保持を実施する。CAL焼鈍の場合、均質化処理で析出させたFeやSi等が再固溶してしまい、低温熱処理時の箔の伸び低下を招くことを確認している。
【0020】
最終冷間圧延率を98.3%以上とする。アルミニウム合金は圧延を行うだけで結晶粒が分断し微細化することが知られている(grain subdivision)。圧延率が高いほど結晶粒の微細化が進むため、冷間圧延時の最終冷間圧延率を98.3%以上とすることでより高い伸び特性を得ることができる。ここでの最終冷間圧延とは、圧延工程中の中間焼鈍を行った厚みから最終厚みまでの冷間圧延を指し、中間焼鈍を行わない場合は、熱間圧延後の板厚から最終厚みまでの冷間圧延とする。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、強度に優れ、なおかつ伸び特性に優れる電池集電体用アルミニウム箔を得ることができる。
【発明を実施するための形態】
【0022】
本発明の組成としたアルミニウム合金は常法により溶製することができ、既知の半連続鋳造法や連続鋳造圧延法を採用することができる。
半連続鋳造により得られる鋳塊は、所望により均質化処理を行うことができる。均質化処理をする場合、均質温度400〜520℃、保持時間4〜16時間に制御することが望ましい。これにより、鋳造時の合金元素の偏析を解消し、組織を均一化することで薄箔の圧延により好適な状態とすることができる。
均質温度が400℃未満であると、局部的な偏析を解消しきれないおそれがあり、不均一な加工硬化により圧延が困難になる。一方、均質温度が520℃を超えると、局部溶解が起こる場合がある。このため、均質温度は400〜520℃が望ましい。均質時間は、4時間未満ではその効果が十分でなく、やはり不均一な加工硬化により圧延が困難になる。一方、16時間を超えると、析出物が肥大化し、圧延時に破断しやすくなる。このため、均質時間は、4〜16時間とするのが望ましい。
【0023】
その後、熱間圧延を行ってアルミニウム合金材を得る。熱間圧延は常法により行うことができるが、仕上り温度を200〜290℃にするのが望ましく、240〜280℃にするのが一層望ましい。
【0024】
上記アルミニウム合金材は、冷間圧延に供され、中間焼鈍を経て、再度冷間圧延、最終冷間圧延が行われる。中間焼鈍は、バッチ式焼鈍炉または連続焼鈍炉を使用し常法により行うことができる。また、本実施形態では、中間焼鈍は行わないものとしてもよい。
中間焼鈍を行う場合、バッチ焼鈍方式で行われ、300〜450℃で3〜6時間保持して行われる。
最終冷間圧延率は98.3%以上が望ましい。
冷間圧延、最終冷間圧延を経て、厚さが5〜20μmであるアルミニウム合金箔を得ることができる。該アルミニウム合金箔は、Cuを積極添加しない場合、引張強度が190MPa以上である。また、箔の厚さ12μmにおいて伸びが4.0%以上である。
なお、圧下率は、熱処理後の圧下率を示しており、冷間圧延中に中間焼鈍を行うのであれば中間焼鈍時の板厚が、行わないのであれば熱間圧延時の板厚が出発材となる。
【0025】
得られたアルミニウム合金箔は、電池集電体用に用いられる。特に、リチウムイオンなどの二次電池に好適に用いることができる。電池用集電体としては、正極、負極のどちらにも用いることができるが、主として正極に用いられる。
電池集電体では、電極スラリーを集電体に塗布した後に、100〜200℃で30分〜10時間程度の熱乾燥を行うなどの熱履歴を受ける。この熱履歴の後においても、箔の厚さ12μmにおいて伸び3.5%以上の特性が維持される。
【実施例1】
【0026】
以下に、本発明の実施例を説明する。
表1に示す各組成(残部Alおよびその他の不可避不純物)からなるアルミニウム合金の鋳塊を、表1に示す条件で均質化処理した後に、仕上がり温度270℃での熱間圧延にて4.5mmの板材とした。その後、冷間圧延、中間焼鈍、最終冷間圧延を経て、厚み12μm、幅1200mmのアルミニウム合金箔の試料を作製した。供試材No.14の中間焼鈍は350℃で4時間のバッチ焼鈍、No.16の中間焼鈍は昇温・冷却:約100℃/秒、保持:420℃×20秒のCAL焼鈍を行った。
【0027】
【表1】
【0028】
(熱処理)
電極製造工程中では箔に対して100〜200℃の熱処理が行われる。この際に高い伸び特性を有するAl−Fe系合金の箔では伸び特性が急激に低下する恐れがある。実施例では熱処理前(圧延後)と100、150、200℃の各温度で10時間熱処理した際の機械的性質の変化を測定した。なお熱処理時間は、想定される範囲内において伸び低下の影響を最も大きく受ける長時間側(:10時間)とした。
【0029】
(引張り強度、伸び率)
引張り強度と伸び率は、JIS Z2241に準拠し、試料からJIS5号試験片を採取し、万能引張試験機(島津製作所製)で引張り速度2mm/sにて測定を行った。
【0030】
(圧延性)
圧延性は、幅1200mmを超える広幅の圧延において、最終パス(圧下率)で破断することなく圧延できたものを○、最終パスで1コイル(約10000m)につき3回以下の破断が生じた場合は△、3回を超える破断もしくは硬過ぎる等の理由で圧延継続が難しいと判断されたものについては×とした。○が好ましいが、△以上(約10000mの最終パスで破断が3回以内)であれば製造上は問題ない。
【0031】
【表2】
【0032】
上記試験結果を表2に示した。表から明らかなように、本発明の実施例では、100、150℃の低温熱処理の後でも、伸び特性に優れていた。比較例では、低温熱処理後において、伸びの両特性が優れているものはなかった。なお比較例21では、均質化温度が低すぎることから、中間焼鈍なしでの12μm箔厚までの圧延が不可能であったため、機械的性質の測定ができなかった。