特許第6674844号(P6674844)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6674844
(24)【登録日】2020年3月11日
(45)【発行日】2020年4月1日
(54)【発明の名称】足裏パッド
(51)【国際特許分類】
   A61F 5/14 20060101AFI20200323BHJP
【FI】
   A61F5/14
【請求項の数】3
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2016-106397(P2016-106397)
(22)【出願日】2016年5月27日
(65)【公開番号】特開2017-209423(P2017-209423A)
(43)【公開日】2017年11月30日
【審査請求日】2019年3月6日
(73)【特許権者】
【識別番号】000112266
【氏名又は名称】ピアス株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】512287001
【氏名又は名称】山道 いずみ
(74)【代理人】
【識別番号】100074332
【弁理士】
【氏名又は名称】藤本 昇
(74)【代理人】
【識別番号】100114432
【弁理士】
【氏名又は名称】中谷 寛昭
(72)【発明者】
【氏名】山道 いずみ
【審査官】 須賀 仁美
(56)【参考文献】
【文献】 登録実用新案第3136586(JP,U)
【文献】 特開2003−093523(JP,A)
【文献】 登録実用新案第3106728(JP,U)
【文献】 特開平08−257057(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61F5/10
A61F5/14
A61F13/06
A43B7/14
A43B7/22
A43B17/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
足裏に設置されるパッド本体(1)と、
該パッド本体(1)を足裏に固定すべく、該パッド本体(1)を覆うようにして足裏に貼着される貼着用シート(2)と、
前記パッド本体(1)が、第1中足骨頭(15)が存在する足裏部分(11)と第5中足骨頭(19)が存在する足裏部分(13)とを結ぶライン(14a)よりも足指側にはみ出ることがないように、該パッド本体(1)の足裏に設置される位置を位置決めすべく、該パッド本体(1)を横断しないように前記貼着用シート(2)に取り付けられたラインテープ(5)と、
を備えている足裏パッド。
【請求項2】
前記貼着用シート(2)の貼着面には、該貼着面が外側に裸出しないように、前記パッド本体(1)を挟むようにして、2枚の離型用シート(3)、(4)が設けられている請求項1記載の足裏パッド。
【請求項3】
前記ラインテープ(5)は、 前記貼着用シート(2)の側方にはみ出るように、接着剤(8)を介して該貼着用シート(2)の貼着面と反対側の面に取り付けられ、前記ラインテープ(5)の貼着用シート(2)の側方にはみ出た部分には、接着剤(8)を介して離型テープ(6)が設けられている請求項1又は2記載の足裏パッド。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、靴を履いて歩くときの痛み、特に女性用の靴を履いたときに生じやすい痛みを解消するための足裏パッドに関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、靴を履いて歩くときに痛みを伴うことがある。この痛みには、地面に接触する足底の痛み、靴の側部側からの締め付けによる指やつめの痛みなどがあるが、たとえばハイヒール等、一般に女性が着用することが多い足底部分が傾斜している靴の場合には、歩行中に足が前側に滑り、歩行を続けていくとそのことに起因してつま先の部分に痛みが生じることが知られている。また、このような痛みの一つに、足の親指が人指し指側に曲がる外反母趾と称される症状による痛みがあり、これらの痛みは足底部分が傾斜している靴を着用するときの特有の問題として、解決することが望まれている。
【0003】
最近では、このような外反母趾等の痛みは、内側縦アーチ(足裏の親指の根元付近とかかと付近とを結ぶラインに沿って形成されるアーチ)、外側縦アーチ(足裏の小指の根元付近とかかと付近とを結ぶラインに沿って形成されるアーチ)、横アーチ(足裏の親指の根元付近と小指の根元付近とを結ぶラインに沿って形成されるアーチ)と称される足の3本のアーチが落ち込んだり上がったりすることによるアーチの崩れによって生じることが研究されている。そのため、足のアーチを好適にサポートすることによって、足のアーチが崩れることによる疾患である上記外反母趾等の足の痛みを解消することが試みられており、そのようなことに着目した発明として、たとえば特許文献1乃至特許文献4のような特許出願がなされている。
【0004】
特許文献1及び特許文献2に記載された発明は、靴の中敷きに関するもので、特許文献1に係る発明は、上記のようなアーチに関連する足裏の所定位置に対応して中敷本体に隆起部を設けた構成からなり(特許文献1の請求項1等)、特許文献2に係る発明は、足の骨格形状やアーチの位置等に対応して部分的に隆起するような弾性体からなる緩衝材で中敷を構成したものであり(特許文献2の請求項1等)、いずれも足のアーチをサポートすることで、上記外反母趾等の足の痛みを解消しようとするものである。
【0005】
しかし、上記特許文献1及び特許文献2に記載された中敷においては、隆起部の位置が固定されており、靴の着用者の個々の足の形状や状態に合わせて隆起部を設けるためには、中敷の製作段階で隆起部の位置を調製しなければならず、中敷を製品化した後に足の形状や状態に合わせて隆起部の位置を変更することはできないものであった。そして、足のアーチの位置は、靴の着用者によって個々に異なるため、上記のように隆起部の位置を変更できない中敷では、着用者の足のアーチが好適にサポートされるとは限らない。
【0006】
そこで、このような問題点を解決するために、隆起部の位置や厚みを調整することができるように構成された中敷、中底に係る特許文献3に記載された発明もなされている(特許文献3の請求項1)。しかし、特許文献3に記載された発明もあくまで中敷に関するものであり、中敷は靴が足に着用される前に、予め靴の中に挿入されるものであるので、靴を足に着用した状態で中敷の隆起部によって足のアーチが好適にサポートされるように、中敷を靴の中に挿入する前に、予め隆起部の位置を調整することは容易ではない。
【0007】
また、特許文献3に記載された発明では、上記のような隆起部の位置を調整する手段として、表面側に隆起部が設けられているとともに裏面側に突条が設けられた基体と、当該突条に嵌合可能な複数の透孔又は溝が形成された基体との2つの基体が中敷に具備され、一方の基体の突条を他方の基体の複数の透孔又は溝に嵌合させつつ隆起部の位置を調整しうるように構成されているので、このような一方の基体の突条を他方の基体の複数の透孔又は溝に嵌合させるのでは、大雑把な調整しか行うことができず、隆起部によって足のアーチを好適にサポートするには至らないものであった。
【0008】
一方、靴の中敷以外に関する発明として、たとえば特許文献4に記載の発明がある。この特許文献4に記載された発明は、中足骨部分に対応した位置にある中足骨下のクッション部と、親指と人差し指の間に対応したクッション部とを備える足カバーに係るものである(特許文献4の請求項1)。足カバーは、上記特許文献1乃至3の中敷のように靴の着用前に靴に挿入されるものではなく、靴の着用前に予め足に着用されるものである。
【0009】
しかし、特許文献4の発明においては、中足骨下のクッション部と、親指と人差し指の間のクッション部は足カバーの定まった位置に設けられており、その足カバーを足に着用した上で靴が足に着用されることになるので、それらのクッション部の靴内での位置も定まってしまうこととなる。その一方で、上記のように足のアーチの位置は、靴の着用者によって個々に異なるため、上記のように位置が固定された足カバーの中足骨下のクッション部等で着用者の足のアーチが好適にサポートされるとは限らない。
【0010】
従って、上記特許文献1乃至4に記載された発明では、上記のような外反母趾等の足の痛みを好適に解消することはできなかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】特開2001−353005号公報
【特許文献2】特開2003−210206号公報
【特許文献3】特開2006−403号公報
【特許文献4】特開2012−110486号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明は、以上のような点に鑑みてなされたもので、足裏に簡単に設置することができ、しかも、足のアーチを適切にサポートすることによって、アーチの落ち込み等によって生じる疾患、たとえば外反母趾等の足の痛みを好適に緩和することができる足裏パッドを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明者等は、上記のような課題を解決するために鋭意研究した結果、上記外反母趾等の足のアーチが落ち込むこと等によって生じる疾患は、上記のような3本の足のアーチのうち、特に横アーチを好適にサポートすることによって緩和することができ、またサポートする部材が横アーチよりも足指側にはみ出る位置に存在すると、かえって足に痛みを生じさせることを見出して本発明を完成するに至った。すなわち、本発明は、足裏に設置されるパッド本体と、該パッド本体を足裏に固定すべく、該パッド本体を覆うようにして足裏に貼着される貼着用シートと、前記パッド本体が、第1中足骨頭が存在する足裏部分と第5中足骨頭が存在する足裏部分とを結ぶラインよりも足指側にはみ出ることがないように、該パッド本体の足裏に設置される位置を位置決めすべく、該パッド本体を横断しないように前記貼着用シートに取り付けられたラインテープとを備えている足裏パッドを提供するものである。
【0014】
かかる構成からなる足裏パッドを使用する場合には、パッド本体を覆うようにして貼着用シートを足裏に貼着することで、パッド本体が足裏に設置されることとなる。従って、貼着用シートを足裏に貼着するだけの簡単な作業でパッド本体が足裏に設置することができる。
【0015】
また、パッド本体が、前記第1中足骨頭が存在する足裏部分と第5中足骨頭が存在する足裏部分とを結ぶラインよりも足指側にはみ出ることがないように、該パッド本体の足裏に設置される位置を位置決めするラインテープが、該パッド本体を横断しないように前記貼着用シートに取り付けられているので、パッド本体がラインテープよりも足のかかと側に位置するように貼着用シートの向きを定めた上で、ラインテープが前記第1中足骨頭が存在する足裏部分と第5中足骨頭が存在する足裏部分とを結ぶラインに沿うように、或いは前記第1中足骨頭が存在する足裏部分と第5中足骨頭が存在する足裏部分とを結ぶラインよりもラインテープが足のかかと側に位置するように、貼着用シートを足裏に貼着することで、パッド本体は、前記第1中足骨頭が存在する足裏部分と第5中足骨頭が存在する足裏部分とを結ぶラインよりも足指側にはみ出ることがないように足裏に設置されることとなる。
【0016】
ここで、横アーチは第1乃至第5の中足骨頭に沿って形成されるアーチであるので、上記のようにラインテープを利用して、パッド本体が、前記第1中足骨頭が存在する足裏部分と第5中足骨頭が存在する足裏部分とを結ぶラインよりも足指側にはみ出ることがないような足裏の位置に設置されることで、パッド本体は、横アーチの部分よりも足指側にはみ出ることがないような位置に設置されることとなる。この場合、パッド本体が横アーチの部分よりも足指側にはみ出ると、かえって足に痛みを生じさせることとなる。従って、上記のようにラインテープを利用することで、パッド本体は、足の痛みを伴うことがないような足裏の適切な位置に設置されることとなるのである。そして、横アーチの位置が個々に異なる靴の着用者が上記足裏パッドを使用する場合において、着用者の足の横アーチの位置に応じて該横アーチを好適にサポートすべく足裏の適切な位置にパッド本体が設置されることとなり、このような足裏パッドを足裏に設置して靴を着用して歩行した場合に、横アーチが落ち込むことによって生じる疾患、たとえば外反母趾等の足の痛みが、従来に比べて緩和されることとなる。
【0017】
貼着用シートの貼着面には、該貼着面が外側に裸出しないように、前記パッド本体を挟むようにして、2枚の離型用シートが設けられることが望ましい。かかる構成においては、貼着用シートを足裏に張り付けてパッド本体を足裏に設置する際に、貼着用シートの貼着面が手に接触するのが上記離型用シートによって防止され、従って、貼着用シートの貼着面における接着剤等が手に付着するのが好適に防止されることとなる。
【0018】
また、離型用シートはパッド本体を挟むようにして2枚具備されているので、先ず1枚目の離型用シートを剥離して貼着用シートの貼着面の一部を裸出させて足裏の所定位置に貼着用シートの一部を貼着して該貼着用シートの貼着位置を位置決めした上で、2枚目の離型用シートを剥離して貼着用シートの貼着面の残部を裸出させて貼着用シートの全体を足裏の所定位置に貼着することができるので、パッド本体を足裏の所定位置に位置決めして設置する作業を容易かつ確実に行うことができる。
【0019】
さらにラインテープは、貼着用シートの側方にはみ出るように、接着剤を介して貼着用シートの貼着面と反対側の面に取り付けられ、ラインテープの貼着用シートの側方にはみ出た部分に、接着剤を介して離型テープが設けられていることが望ましい。かかる構成においては、ラインテープの貼着用シートの側方にはみ出た部分の離型テープを剥離し、接着剤を介してラインテープを足裏に貼着することができ、ラインテープの位置決めをより確実に行うことができる。
【発明の効果】
【0020】
以上のように、本発明によって、足裏に簡単に設置することができ、しかも足のアーチを適切にサポートすることによって、アーチの落ち込みによって生じる疾患、たとえば外反母趾等の足の痛みを好適に緩和することができる足裏パッドを提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】一実施形態の足裏パッドの正面図。
図2】同実施形態の足裏パッドの背面図。
図3図1のI−I線断面図。
図4】貼着用シートの一方の離型材を剥離した状態を示す断面図。
図5】貼着用シートの一方の離型材及びラインテ−プの離型材を剥離した状態を示す断面図。
図6】横ア−チに沿った足裏のラインの位置を概略的に示す正面図。
図7】横ア−チと、横ア−チに沿った足裏のラインとを、足骨によって模式的に示す概略図。
図8】貼着用シートの一部を足裏に貼着した状態を示す断面図。
図9】横ア−チに沿った足裏のラインの位置にラインテ−プが沿うように貼着用シートの一部を足裏に貼着した状態を示す断面図。
図10】貼着用シートの他方の離型材を剥離した状態を示す断面図。
図11】パッド本体を介して貼着用シートを足裏に貼着した状態を示す断面図。
図12】パッド本体を介して貼着用シートを足裏に貼着した状態を示す正面図。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しつつ説明する。
【0023】
本実施形態の足裏パッドは、足裏に設置されるパッド本体1と、該パッド本体1を足裏に固定すべく、該パッド本体1を覆うようにして足裏に貼着される貼着用シート2と、前記パッド本体1が、第1中足骨頭15が存在する足裏部分11と第5中足骨頭19が存在する足裏部分13とを結ぶライン14aよりも足指側にはみ出ることがないように、該パッド本体1の足裏に設置される位置を位置決めすべく、該パッド本体を横断しないように前記貼着用シート2に取り付けられたラインテープ5とを備えているものである。第1中足骨頭15が存在する足裏部分11と第5中足骨頭19が存在する足裏部分13とを結ぶライン14aは、横アーチ14に沿った足裏における仮想直線状のラインである。かかるライン14aよりも足指側にはみ出ることがないように、ラインテープ5によってパッド本体1の足裏に設置される位置が位置決めされることによって、結果的にパッド本体1は横アーチ14の部分よりも足指側にはみ出ないように足裏に設置されることとなるのである。横アーチ14は、図7に示すように、それぞれ足の親指、人差し指、中指、薬指、小指の付け根付近に存在する第1中足骨頭15、第2中足骨頭16、第3中足骨頭17、第4中足骨頭18、第5中足骨頭19に沿った、骨、筋肉、靭帯等に支えられるドーム状の部分である。上記第1中足骨頭15が存在する足裏部分11と第5中足骨頭19が存在する足裏部分13とを結ぶ横アーチ14に沿った足裏におけるライン14aは、以下にはMPラインと略す場合がある。MPとは、中足趾骨(Metatarsus Phalanx)の略称で、中足趾骨は、中足指関節(中足趾関節)とも称される。
【0024】
パッド本体1は、横アーチ14を好適にサポートすべく、足裏に設置されるものである。パッド本体1の正面視の形状は特に限定されるものではなく、たとえば円形状、楕円形状、正方形状、長方形状、三角形状等種々の形状に形成することができる。ただし、足裏の形状に極力合致させるように、上半部1aに比べて下半部1bが細く、全体が略逆三角形のような形状に形成されたものであることが望ましい。
【0025】
より具体的には、たとえば図1及び図2に示すように、上半部1aが略半円状に形成されているとともに、下半部1bは、上半部1aの周縁部1cよりも緩やかな円弧状の側縁部1dを有し且つ下端部1eが尖った状態とされて略三角形状に形成されたようなものが例示される。
【0026】
また、パッド本体1の縦断面形状も特に限定されるものではないが、極力足裏の形状に沿うようにしつつ、横アーチを好適にサポートする観点からは、中央に膨らみがあり、上部先端及び下部先端につれて先細となるような断面形状のものが望ましい。たとえば、図3に示すように、縦断面形状が中央側から上端部1f及び下端部1eにかけて先細となる緩やかな円弧面を描くような形状に形成されたものが例示される。
【0027】
また、パッド本体1の材質も特に限定されるものではないが、足の痛みを好適に緩和する観点からは、弾力性を有する材質のものであることが望ましい。たとえば、合成樹脂や合成ゴム製等を用いることができ、より具体的には、シリコーン樹脂等を用いることができる。
【0028】
貼着用シート2は、パッド本体1を介して足裏に貼着されるものである。パッド本体1が足裏に設置される位置を容易に確認することができるように、貼着用シート2は透明なものであることが望ましい。また、貼着用シート2が足裏に沿って好適に貼着されるように、足の形状に追随すべく塑性変形可能な柔軟な素材のものであることが望ましい。このような観点から、貼着用シート2は合成樹脂製のものであることが望ましい。柔軟さ、透明性、コスト等の観点からは、たとえばポリエチレン、ポリプロピレン等の汎用性の合成樹脂を用いることができる。ただし、貼着用シート2の材質は合成樹脂に限定されるものではない。
【0029】
貼着用シート2の形状も特に限定されるものではなく、たとえば略正方形状、略長方形状、円形状、楕円形状、三角形状等の形状に形成することができる。
【0030】
貼着用シート2は上記のように足裏に貼着されるものであり、足裏に貼着するために、貼着用シート2の貼着面に、好ましくは接着剤7が設けられる。貼着用シート2を足裏に着脱自在とするためには、たとえば感圧性の接着剤7を用いることが望ましい。ただし、接着剤7による接着手段以外の手段で貼着用シート2が足裏に貼着されてもよい。図3には、貼着用シート2の、パッド本体1と対面する裏面側の全体に接着剤7が設けられたものが示されている。
【0031】
貼着用シート2の貼着面に接着剤7が設けられる場合には、貼着面が外側に裸出して、接着剤7等が手に付着することがないように、貼着用シート2の貼着面に離型用シートが設けられることが望ましい。たとえば1枚の離型用シート3が貼着用シート2の貼着面に設けられていても差し支えないが、たとえばパッド本体1を挟むようにして2枚の離型用シート3、4が設けられることが望ましい。この場合には、先ず1枚目の離型用シート3を剥離して貼着用シート2の貼着面の一部を裸出させて足裏の所定位置に貼着用シート2の一部を貼着して該貼着用シート2の貼着位置を位置決めした上で、2枚目の離型用シート4を剥離して貼着用シート2の貼着面の残部を裸出させて貼着用シート2の全体を足裏の所定位置に貼着することができるので、パッド本体1を足裏の所定位置に位置決めして設置する作業を容易かつ確実に行うことができる。
【0032】
さらに、離型用シート3、4の形状も特に限定されるものではなく、たとえば略長方形状、略正方形状等の形状に形成することができる。また、離型用シート3、4の材質も特に限定されるものではなく、合成樹脂製のものや紙製のものを用いることができる。いずれの材質のものを用いる場合でも、たとえばシリコーン樹脂等が離型用シート3、4に塗布されて、貼着用シート2から剥離し易いように構成されていることが望ましい。たとえばシリコーン樹脂が塗布されたクラフト紙のようなものを用いることができる。
【0033】
離型用シート3、4のより具体的なものが図1乃至3に示されている。この具体的な例の離型用シート3、4は、図1及び図2に示すように、正面視及び背面視において略長方形状に形成されている。そして、一方の離型用シート3の上部が、接着剤7を介して前記貼着用シート2の上部に剥離可能に接着されている。また他方の離型用シート4は、接着剤7を介して該貼着用シート2の下半部に剥離可能に接着されている。そして、2枚の離型用シート3、4でパッド本体1を挟むようにして、一方の離型用シート3がパッド本体1の上部の背面側に設けられ、他方の離型用シート3がパッド本体1の下部の正面側に設けられている。
【0034】
ラインテープ5は、パッド本体1がMPライン14aよりも足指側にはみ出ることがないように、該パッド本体1の足裏に設置される位置を位置決めするためのものであり、該パッド本体1を横断しないように前記貼着用シート2に取り付けられている。ここで、「ラインテープ5がパッド本体1を横断する」とは、貼着用シート2を足裏部分に貼着した際に、パッド本体1がラインテープ5の位置から足指側と足のかかと側との双方にはみ出るように、ラインテープ5がパッド本体1を横切っているような状態を意味する。たとえば、ラインテープ5がパッド本体1の端部に重なっていたとしても、ラインテープ5の位置からパッド本体1がはみ出ていなければ、パッド本体1を横断しないようにラインテープ5が貼着用シート2に取り付けられていることになる。
MPライン14aは、横アーチ14に沿う足裏におけるライン、より具体的には第1中足骨頭15が存在する足裏部分11(足の親指の付け根付近の骨が外側に突出している部分)と、第5中足骨頭19が存在する足裏部分13(足の小指の付け根付近の骨が外側に突出している部分)とを結ぶラインであり、パッド本体1がラインテープ5よりも足のかかと側に位置するように貼着用シート2の向きを定めて、ラインテープ5がMPライン14aに沿うように貼着用シート2を足裏に貼着すると、或いはラインテープ5がMPライン14aよりも足のかかと側に位置するように貼着用シート2を足裏に貼着すると、パッド本体1は、MPライン14aよりも足指の先端側にはみ出ることがないように足裏に設置されることとなる。
【0035】
このようにMPライン14aよりも足指の先端側にはみ出ることがないようにパッド本体1が足裏に設置されることで、横アーチの位置が個々に異なる靴の着用者が上記足裏パッドを使用する場合において、着用者の足の横アーチの位置に応じて該横アーチを好適にサポートすべく足裏の適切な位置にパッド本体が設置されることとなり、このようなパッド本体1を足裏に設置した状態で靴を着用して歩行した場合に、横アーチが落ち込むことによって生じる疾患、たとえば外反母趾等の足の痛みが好適に緩和されることとなる。
【0036】
このようにMPライン14aに極力沿うようにラインテープ5を足裏に設置するためには、貼着用シート2の側方にはみ出るようにラインテープ5が設けられていることが望ましい。このように側方にはみ出たラインテープ5の部分には、接着剤8を介して離型テープ6を設けることができる。貼着用シート2の側方にはみ出たラインテープ5の部分に接着剤8を設けることで、接着剤8を介してラインテープ5を足裏の所定の位置に貼着することができるので、ラインテープ5の位置決めを容易に行うことができる。
【0037】
より具体的な構成が図1乃至図3に示されている。図1乃至図3に示すように、ラインテープ5は、貼着用シート2の貼着面と反対側である表面側の上部に、接着剤8を介して接着されている。またラインテープ5は、図1及び図2に示すように、貼着用シート2に接着された状態において、貼着用シート2の両側方にはみ出るような長さに形成されている。そして、貼着用シート2の両側方にはみ出たラインテープ5の裏面側には、接着剤8を介して離型テープ6、6が設けられている。
【0038】
さらに、ラインテープ5は、パッド本体1を横断しないように貼着用シート2に取り付けられている。具体的には、図1に示すようにパッド本体1の上端部1fが、ラインテープ5に沿うような位置、より具体的には、パッド本体1の上端部1fがラインテープ5の下端部5aに接するような位置に位置するように、パッド本体1が貼着用シート2の貼着面側に設けられる。或いは、図示しないが、パッド本体1の上端部1fがラインテープ5の下端部5aよりも足のかかと側に離間して位置するように、パッド本体1が貼着用シート2の貼着面側に設けられていてもよい。
【0039】
ただし、ラインテープ5からパッド本体1が遠い位置に設けらていると、パッド本体1が足裏に設置される位置がMPライン14aから遠くなり、その結果、パッド本体1によって横アーチ14を好適にサポートできなくなるおそれがあるので、パッド本体1はラインテープ5よりも足指側にはみ出ない範囲で、極力ラインテープ5に近い位置にパッド本体1が設けられていることが望ましい。この観点からは、パッド本体1の上端部1fがラインテープ5に沿うような位置にパッド本体1が設けられていることが望ましく、とりわけパッド本体1の上端部1fがラインテープ5の下端部5aに接するような位置にパッド本体1が設けられていることが望ましい。
【0040】
以下、足裏パッドを使用する場合の具体的な例について、図面に従って説明する。
【0041】
先ず、図4及び図5に示すように、背面側の離型用シート3を、貼着用シート2の上部から剥離する。これによって、貼着用シート2の上部背面側の接着剤7が外部に裸出することとなる。
【0042】
次に、図5に示すように、ラインテープ5の裏面側から離型テープ6、6を剥離する。これによって、ラインテープ5の裏面側の接着剤8が外部に裸出することとなる。
【0043】
このように接着剤7が外部に裸出した状態で、図8及び図9に示すように貼着用シート2の上半部を足裏9に貼着し、接着剤8が外部に裸出した状態で、ラインテープ5を足裏9に貼着する。この際に、ラインテープ5は、図6に示すような足裏9における親指10の付け根10aの付近の骨が外側に突出している部分11と、足の小指12の付け根12aの付近の骨が外側に突出している部分13とを結ぶライン(MPライン)14aに極力沿うように足裏9に貼着する。
【0044】
上記のようにラインテープ5を利用してパッド本体1が足裏9の所定の位置に設置された後は、図10に示すように、ラインテープ5を貼着用シート2から剥離し、さらに、上部が足裏9に貼着された貼着用シート2の下半部側を外側に捲り上げ、その状態で同図に示すように他方の離型用シート4を貼着用シート2の裏面側の貼着面から剥離する。これによって、貼着用シート2の下半部背面側の接着剤7が外部に裸出することとなる。
【0045】
このように接着剤7が外部に裸出した状態で、図11及び図12に示すように貼着用シート2の下半部を足裏9に貼着する。このようにして、貼着用シート2の全体が、図11及び図12に示すようにパッド本体1の全体をを覆うようにして足裏9に貼着され、それによってパッド本体1が足裏9に設置されることとなる。
【0046】
この場合において、パッド本体1は、上記のようにラインテープ5よりも足指側にはみ出ることがないように貼着用シート2の貼着面に設けられているので、ラインテープ5が、上記のようなMPライン14aに極力沿うように足裏9に貼着されることで、パッド本体1は、上記のようなMPライン14aよりも、足指の先端側にはみ出ることがないように位置決めされて足裏9に設置されることとなる。
【0047】
そして、パッド本体1がMPライン14aよりも先端側にはみ出ないような位置とされることで、横アーチ14を好適にサポートすることができ、たとえばハイヒール等、一般に女性が着用することが多い足底部分が傾斜している靴の場合、歩行中に足が前側に滑り、歩行を続けていくと、そのことに起因して、横アーチが落ち込むことで生じる疾患、たとえば外反母趾等によって生じる足の痛みが好適に緩和されることとなる。
【0048】
さらに、パッド本体1を覆うようにして貼着用シート2を足裏9に貼着することで、パッド本体1が足裏9に設置されることとなるので、従来のような足カバーや中敷、中底のような用具を用いることなく、貼着用シート2を足裏9に貼着するだけの簡単な作業で、横アーチの位置が個々に異なる靴の着用者が上記足裏パッドを使用する場合において、着用者の足の横アーチの位置に応じて該横アーチを好適にサポートすべく足裏の適正な位置にパッド本体1が設置されることとなる。
【0049】
さらに、貼着用シート2の貼着面には、該貼着面が外側に裸出しないように、2枚の離型用シート3、4が設けられているので、貼着用シート2を足裏9に貼着してパッド本体1を足裏9に設置する際に、貼着用シートの貼着面が手に接触するのが離型用シート3、4によって防止され、従って、貼着用シート2の貼着面における接着剤7が手に付着するのが好適に防止されることとなる。
【0050】
以上のように、本実施形態においては、構造が簡易で足裏9に簡単に設置することができ、またパッド本体1を足裏9に設置する際に、接着剤7が手に付着するのが好適に防止される。
【0051】
しかも足裏9の横アーチ14の位置が個々に異なる着用者に応じて、当該MPライン14aの位置より足指の先端側にパッド本体1がはみ出ることがないように、適切な位置にパッド本体1を足裏に設置することができるので、横アーチが落ち込むことで生じる疾患、たとえば外反母趾等の足の痛みを好適に緩和することができる。
【0052】
尚、上記実施形態では、貼着用シート2の貼着面側に離型用シート3、4を設けたため、貼着面が外側に裸出して接着剤等が手に付着することがないという好ましい効果が得られたが、貼着用シート2の貼着面に離型用シート3、4を設けることは本発明に必須の条件ではない。
【0053】
また、上記実施形態では、ラインテープ5が貼着用シート2の貼着面と反対側の面に取り付けられていたので、貼着用シート2へのラインテープ5への設置位置を容易に設定できるという好ましい効果が得られたが、ラインテープ5は貼着面側に取り付けられていてもよい。
【0054】
さらに、上記実施形態では、パッド本体1の全体を覆うようにして貼着用シート2が足裏に貼着されていたが、パッド本体1の全体を覆う必要は必ずしもなく、パッド本体1の一部を覆うようにして貼着用シート2が足裏に貼着されてもよい。すなわち、本発明において「パッド本体1を覆うようにして」とは、パッド本体1の全体を覆う場合のみならず、一部を覆う場合も含むことを意味する。
【0055】
その他、本発明に係る足裏パッドは、上述した実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の変更が可能である。
【符号の説明】
【0056】
1 パッド本体
2 貼着用シート
3 離型用シート
4 離型用シート
5 ラインテープ
6 離型テープ
9 足裏
11 足裏部分
13 足裏部分
14 横アーチ
14a MPライン
15 第1中足骨頭
19 第5中足骨頭
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12