(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6674847
(24)【登録日】2020年3月11日
(45)【発行日】2020年4月1日
(54)【発明の名称】モータのステータ組立方法およびモータのステータ構造
(51)【国際特許分類】
H02K 3/50 20060101AFI20200323BHJP
【FI】
H02K3/50 A
【請求項の数】3
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2016-110730(P2016-110730)
(22)【出願日】2016年6月2日
(65)【公開番号】特開2017-216851(P2017-216851A)
(43)【公開日】2017年12月7日
【審査請求日】2019年2月7日
(73)【特許権者】
【識別番号】000227995
【氏名又は名称】タイコエレクトロニクスジャパン合同会社
(74)【代理人】
【識別番号】100094330
【弁理士】
【氏名又は名称】山田 正紀
(74)【代理人】
【識別番号】100109689
【弁理士】
【氏名又は名称】三上 結
(72)【発明者】
【氏名】沈 中桓
(72)【発明者】
【氏名】寺島 桂太
(72)【発明者】
【氏名】長▲崎▼ 泰介
【審査官】
津久井 道夫
(56)【参考文献】
【文献】
特開2016−001551(JP,A)
【文献】
実開昭63−079058(JP,U)
【文献】
特開2015−104284(JP,A)
【文献】
特開昭62−201032(JP,A)
【文献】
特開2003−023759(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02K 3/50
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
外部とのコネクタ接続を担うコネクタ部を有するとともに、該コネクタ部とステータコイルのワイヤの端部とを電気的に繋ぐ、圧着により該ワイヤの端部の絶縁被覆を貫通して該ワイヤと導通するオープンバレル型の圧着部と、該端部の、該圧着部に配置される部分よりもさらに先端の部分が配置されて該先端の部分を仮保持する仮保持部とが設けられた導体を有するステータ枠をステータコイルに隣接した位置に配置し、
前記ワイヤの端部を圧着前の前記圧着部に配置するとともに、該端部の、該圧着部に配置される部分よりもさらに先端の部分を前記仮保持部に配置して該仮保持部に仮保持させ、
前記ワイヤを、前記圧着部が該ワイヤの端部の絶縁被覆を貫通して該ワイヤと導通するように、前記圧着部に圧着することを特徴とするモータのステータ組立方法。
【請求項2】
前記ワイヤを前記圧着部に圧着した後、前記圧着部と前記仮保持部との間で前記導体を切断することにより、該導体に、前記ワイヤの端縁と面一で終端した終端部を形成することを特徴とする請求項1 に記載のモータのステータ組立方法。
【請求項3】
巻回されたワイヤを有するステータコイルと、
外部とのコネクタ接続を担うコネクタ部を有するとともに、該コネクタ部と前記ワイヤの端部とを電気的に繋ぐ導体を有するステータ枠とを備え、
前記導体が、
前記ワイヤの端部の絶縁被覆を貫通して該ワイヤと導通した圧着部と、
前記端部の、前記圧着部に配置される部分よりもさらに先端の部分が配置されて該先端の部分を仮保持する仮保持部とを備えたことを特徴とするモータのステータ構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、サーボモータ等のステータの組立方法およびステータ構
造に関する。
【背景技術】
【0002】
モータのステータを組み立てるにあたっては、ステータコイルを、外部との電気的な接続を担うコネクタに接続する必要がある。これを実現するため、ステータ枠を用意する。このステータ枠には、外部との電気的な接続を担うコネクタ部と、ステータコイルを構成するワイヤの端部とコネクタ部とを繋ぐ導体とを備える。そして、そのステータ枠をステータコイルに隣接した位置に配置して、ステータコイルのワイヤの端部をステータ枠の導体に接続する。
【0003】
従来は、ステータコイルのワイヤの端部の絶縁被覆を除去してステータ枠の導体に半田付けすることで、ステータコイルとステータ枠とを接続している。しかしながら、この工程では組立効率が悪く、改善が望まれている。
【0004】
ここで、特許文献1には、ステータ枠の導体に圧着部を設け、圧着によりステータコイルとステータ枠とを接続することが提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2015−104284号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上掲の特許文献1に提案された圧着接続構造を採用すると、確実な圧着が可能であれば、上記の半田付け接続を比べ、ステータの組立効率が格段に向上すると考えられる。
【0007】
この圧着接続を確実に行なうには、圧着前のワイヤの端部を圧着前の圧着部のバレル内に確実に配置する必要がある。しかしながら、ワイヤの剛性が低いこと等のためにワイヤ端部の姿勢安定性が悪く、ワイヤ端部を圧着部のバレル内に安定的に配置することが難しい。このため、圧着の歩留まりを上げるのが困難であり、このままでは、ステータの組立効率を向上させることができない。
【0008】
本発明は、上記事情に鑑み、圧着の歩留まりを向上させたステータ組立方法、
および、その組立
方法により組み立てられたステータ構
造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成する本発明のモータのステータ組立方法は、
外部とのコネクタ接続を担うコネクタ部を有するとともに、コネクタ部とステータコイルのワイヤの端部とを電気的に繋ぐ、圧着によりワイヤの端部の絶縁被覆を貫通してワイヤと導通するオープンバレル型の圧着部と、ワイヤの端部の、圧着部に配置される部分よりもさらに先端の部分が配置されてその先端の部分を仮保持する仮保持部とが設けられた導体を有するステータ枠をステータコイルに隣接した位置に配置し、
ワイヤの端部を圧着前の圧着部に配置するとともに、ワイヤの端部の、圧着部に配置される部分よりもさらに先端の部分を仮保持部に配置して仮保持部に仮保持させ、
上記ワイヤを、圧着部がワイヤの端部の絶縁被覆を貫通してワイヤと導通するように、圧着部に圧着することを特徴とする。
【0010】
本発明のステータ組立方法では、圧着部に加え、さらに上記の仮保持部を備えた導体を有するステータ枠が用意される。そして、この仮保持部にワイヤの先端を仮保持させることで、ワイヤの端部を圧着部に安定的に配置することができる。これにより、圧着の歩留まりが向上する。
ここで、本発明のモータのステータ組立方法において、上記ワイヤを圧着部に圧着した後、圧着部と仮保持部との間で上記導体を切断することにより、その導体に、ワイヤの端縁と面一で終端した終端部を形成することが好ましい。
【0011】
圧着後は仮保持部は不要となるため、切断することが好ましい。
【0012】
また、上記目的を達成する本発明のモータのステータ構
造は、
巻回されたワイヤを有するステータコイルと、
外部とのコネクタ接続を担うコネクタ部を有するとともに、コネクタ部とワイヤの端部
とを電気的に繋ぐ導体を有するステータ枠とを備え、
上記導体が、
ワイヤの端部の絶縁被覆を貫通してワイヤと導通した圧着部と、
上記端部の、圧着部に配置される部分よりもさらに先端の部分が配置されてその先端の
部分を仮保持する仮保持部とを備えたことを特徴とする。
【0013】
本発明
のステータ構造は、圧着部に加え、さらに上記の仮保持部を備えている。
このため、ワイヤの圧着にあたり、この仮保持部にワイヤの先端を仮保持させることで、
ワイヤを圧着部に安定的に配置することができる。仮保持部にワイヤの先端を仮保持させ
ることでワイヤを圧着部に安定的に配置してそのワイヤを圧着することにより、圧着の歩
留まりが向上する。
【0021】
仮保持部に仮保持溝を形成しておくと、その仮保持溝にワイヤを挟むことでワイヤを容易の仮保持させることができ、作業性が向上する。
【発明の効果】
【0024】
以上の本発明によれば、圧着の歩留まりが向上し、モータの信頼性の向上およびコストの低減に寄与する。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【
図1】ステータの組立の途中状態のモータを示した斜視図である。
【
図2】ステータコイルの上にステータ枠を配置した状態を示した斜視図である。
【
図3】外周側圧着端子の圧着部によるワイヤの端部の圧着接続の様子を示した斜視図である。
【
図4】内周側圧着端子の圧着部によるワイヤの端部の圧着接続の様子を示した斜視図である。
【
図6】仮保持部の切断後の状態を示した斜視図である。
【
図7】折れ曲がり部を形成した後の状態を示した斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、本発明の実施の形態について説明する。なお、以下の説明では、モータあるいはステータの組立途中状態のものも、モータあるいはステータと称する。
【0027】
図1は、ステータの組立の途中状態のモータを示した斜視図である。
【0028】
この
図1には、モータ10の外観の一部を構成する筐体11内にステータコイル20を収容した状態が示されている。このステータコイル20は、巻回されたワイヤを有し、そのワイヤの端部211が筐体11からはみ出して上方に延びている。この
図1では、ワイヤの端部211は上方に垂直に延びている。ただし、実際は、ワイヤの剛性が低いこと等のためにワイヤの端部211の姿勢が安定せず、ワイヤごとに様々な向きに曲がりながら全体として上方に延びている。
【0029】
図2は、ステータコイルの上にステータ枠を配置した状態を示した斜視図である。ここで、
図2(A)は全体図であり、
図2(B)はステータ枠の一部分の拡大図である。
【0030】
ステータ枠30は、コネクタ部31と板部32を有する。コネクタ部31は、このモータ10とモータ10の外部の回路との間のコネクタ接続を担っている。板部32は、絶縁樹脂からなり、全体として略板形状かつ略円環形状を有する。このステータ枠30は、板部32の第1面をステータコイル20に向けて、そのステータコイル20に隣接した位置に配置されている。
【0031】
また、このステータ枠は、ステータコイル20を構成するワイヤの端部211とコネクタ部31とを電気的に接続する導体を備えている。この導体は、板部32にインサート成形されていて、その両端部が現れている。この導体の、コネクタ部31側の端部は、そのコネクタ部31のコンタクト41(
図3参照)を構成している。またこの導体の、他方のの端部には、ステータコイル20のワイヤの端部211を圧着する圧着端子42(42a,42b)を備えている。この圧着端子42は、板部32から立設した形状を有し、そこには、オープンバレル型の圧着部421と、仮保持部422が設けられている。圧着部421は、その内面に、ワイヤの被覆を突き破るセレーション421aが形成されており、ステータコイル20のワイヤの端部211の圧着接続を担っている。仮保持部422は、ワイヤの端部211が延びる向き(この
図2の上向き)に沿って、圧着部421よりも先端側に設けられている。この仮保持部422には、ワイヤの端部211の、圧着部421に配置される部分よりもさらに先端の部分212が配置され、その先端の部分212を仮保持する役割りを担っている。この仮保持部422は、ふた股に分かれている。そして、そのふた股の間に形成された仮保持溝422aにワイヤの先端の部分212を挟んで引っ掛けることにより、ワイヤの先端の部分212が、仮保持部422に仮保持される。これにより、ワイヤの端部211は、圧着部421のバレル内に安定的に配置される。この仮保持溝422aの幅はワイヤの径の1.1倍から5倍が望ましいが、ワイヤの径とほぼ同じにして仮保持溝422a内のワイヤを圧入してもよい。
【0032】
ここで、圧着部421と仮保持部422とが設けられた圧着端子42には、円環形状の板部32の外周に沿って配置された外周側圧着端子42aと、その円環の内周に沿って配置された内周側圧着端子42bとがある。そして、外周に沿って配置された外周側圧着端子42aの圧着部421は、そのバレルが外向きに開いた圧着部である。一方、内周に沿って配置された内周側圧着端子42bの圧着部421は、そのバレルが内向きに開いた圧着部である。
【0033】
図3は、外周側圧着端子の圧着部によるワイヤの端部の圧着接続の様子を示した斜視図である。
【0034】
圧着部421のバレルの背の部分にモータ10の中心側からアンビル51をあてがい、ふた股形状のクリンパ52を、モータ10の外側からバレルの開いた側に押し当てることにより、ワイヤの端部211が圧着接続される。
【0035】
図4は、内周側圧着端子の圧着部によるワイヤの端部の圧着接続の様子を示した斜視図である。
【0036】
この内周側圧着端子42bの圧着部421は、外周側圧着端子42aの圧着部421とは異なり、そのバレルが内向きに開いている。このため、モータ10の外側からバレルの背の部分にアンビル51をあてがい、クリンパ52をバレルの開いた側にモータ10の中心側から押し当てて、ワイヤの端部211を圧着接続する。
【0037】
これら
図3や
図4に示す圧着は、ワイヤの先端の部分212が仮保持部422に仮保持された状態で行われるため、ワイヤの端部211が圧着部421に確実に圧着される。
【0038】
図5は、圧着後の状態を示した斜視図である。ここで、
図5(A)は全体図、
図5(B),(C)は圧着部分の拡大図である。
【0039】
図5には、圧着後の圧着部421が示されている。この圧着接続では、外周側圧着端子42aと内周側圧着端子42bのいずれにおいても、圧着部421がワイヤの端部211の絶縁被覆を貫通して、ワイヤと導通している。
【0040】
図6は、仮保持部の切断後の状態を示した斜視図である。ここで、
図6(A)は全体図、
図6(B)は圧着部の部分を示した拡大図である。
【0041】
仮保持部422は、ワイヤの端部211の圧着時の姿勢を安定化させておくためのものであり、モータの小型化の観点から圧着が終わると不要となる。そこで、ここでは、仮保持部422が切断されて取り除かれる。この切断により、この圧着端子42には、ワイヤの端縁と面一で終端した終端部423が形成される。
【0042】
図7は、折れ曲がり部を形成した後の状態を示した斜視図である。ここで、
図7(A)は全体図、
図7(B)は折れ曲がり部を示した拡大図である。この折れ曲がり部424は、圧着部421を間に挟んだ、終端部423とは反対側の位置、すなわち、導体の、絶縁樹脂に埋め込まれた部分と圧着部421との間に形成されている。そして、この折れ曲がり部424は、圧着部421がステータ枠30の板部32の第2面(ステータコイル20側を向いた第1面に対する裏面であって
図7では上面)に沿うように折れ曲がっている。この折れ曲がり部424を形成したことにより、導体の、筐体11からの突出量を小さくし、モータ10の小型化に寄与している。
【0043】
なお、本実施形態は、ステータ枠30が、円環形状の板部32の外周に沿う外周側圧着端子42aと、内周に沿う内周側圧着端子42bとの双方を有する構造であるが、本発明は、圧着端子42の数や配置位置等を問うものではない。さらに、仮保持部の切断及び折り曲げは必ずしも必要ではない。
【0044】
また、本実施形態は、本発明の圧着端子をモータのステータ枠に適用したものであるが、本発明の圧着端子は、モータに限られず、圧着接続が適用される結線部を有する機器や装置等に広く適用することができる。
【符号の説明】
【0045】
10 モータ
11 筐体
20 ステータコイル
211 ワイヤの端部
212 ワイヤの先端の部分
30 ステータ枠
31 コネクタ部
32 板部
41 コンタクト
42 圧着端子
42a 外周側圧着端子
42b 内周側圧着端子
421 圧着部
422 仮保持部
423 終端部
424 折れ曲がり部