(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
パイロット孔を掘削した後、前記パイロット孔をリーミングビットにより拡径するリーミング掘削方法において、前記リーミングビットを支持する支持部材内に設置されたひずみ計測手段で計測されたひずみ値と予め決められたひずみの管理値との関係に基づいて、前記リーミングビットの掘削条件を前記支持部材が損傷しないように制御することを特徴とするリーミング掘削方法。
前記ひずみ計測手段で計測されたひずみ値が前記管理値より大きい場合、前記ひずみ計測手段で計測されるひずみ値が前記管理値以下になるように、前記掘削条件としてのスラスト、トルクまたはその両方を制御することを特徴とする請求項1記載のリーミング掘削方法。
前記第1の判定ステップにおいて前記ひずみ計測手段で計測されたひずみ値が前記管理値より小さい場合は、前記リーミングビットに対するトルク値が所定範囲内にあるか否かを判定する第2の判定ステップと、
前記第2の判定ステップにおいて、前記リーミングビットのトルク値が、前記所定範囲内にある場合は、前記リーミングビットに対するスラストを維持するステップと、
前記第2の判定ステップにおいて、前記リーミングビットのトルク値が、前記所定範囲よりも小さい場合は、前記リーミングビットに対するスラストを上げるステップと、
前記第2の判定ステップにおいて、前記リーミングビットのトルク値が、前記所定範囲よりも大きい場合は、前記リーミングビットに対するスラストを下げるステップと、
を有することを特徴とする請求項3記載のリーミング掘削方法。
前記リーミングビットに対するスラストを下げた後、前記リーミングビットのスラストが予め決められた下限の管理値よりも小さく、かつ、前記リーミングビットのトルク値が予め決められた上限の管理値よりも大きいか否かを判定する第3の判定ステップと、
前記第3の判定ステップにおいて、前記リーミングビットのスラストが予め決められた下限の管理値よりも小さく、かつ、前記リーミングビットのトルク値が予め決められた上限の管理値よりも大きい場合は、前記前記リーミングビットの回転数を予め決められた回転数の管理値よりも下げるステップと、
を有することを特徴とする請求項3または4記載のリーミング掘削方法。
前記判断手段は、前記ひずみ計測手段で得られたひずみ値が前記管理値より大きい場合に前記支持部材に損傷が生じると判断し、それを知らせるように前記警告手段に指示することを特徴とする請求項6記載のリーミング掘削装置。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の一例としての実施の形態について、図面に基づいて詳細に説明する。なお、実施の形態を説明するための図面において、同一の構成要素には原則として同一の符号を付し、その繰り返しの説明は省略する。
【0019】
まず、本実施の形態に係るリーミングマシンの構成例について
図1〜
図4を参照して説明する。なお、
図1は本実施の形態に係るリーミングマシンの一例の概略構成図、
図2は
図1のリーミングマシンのドリルユニットの一例の正面図、
図3は
図1のリーミングマシンのリーミングビットの一例の側面図、
図4は
図3のリーミングビットの上面(掘削面)の平面図である。
【0020】
図1に示す本実施の形態のリーミングマシン1は、例えば、地盤Gに形成された下部横坑道LHと地表Sとを繋ぐリーミング坑Hの掘削に用いるリーミング掘削装置であり、ドリルユニット(駆動本体)2と、リーミングビット3と、支持部材4とを備えている。なお、ここでは説明を簡単にするため坑Hとして立坑を例示しているが、これに限定されるものではなく、斜坑の掘削に適用することもできる。また、
図1の矢印A1はリーミングビット3による掘削方向を示している。
【0021】
リーミングマシン1のドリルユニット2は、リーミングビット3を上下方向(軸方向)および回転方向に駆動する駆動本体である。
図2に示すように、ドリルユニット2のベース2a上には、一対のスラストシリンダ2b,2bが設置されている。この一対のスラストシリンダ2b,2bの各々のピストンロッド2c,2cにはドリルヘッド2dがガイドロッド(図示せず)を介して機械的に接続されており、スラストシリンダ2b,2bの作動のよりピストンロッド2c,2cが上下動すると、ドリルヘッド2dも昇降するようになっている。また、ドリルヘッド2dの上部には、油圧モータ2eが設置されている。この油圧モータ2eには、スピンドル2fを介して支持部材4を構成するドリルロッド4rが軸を中心に正逆方向に回転可能な状態で接続されている。
【0022】
リーミングマシン1のリーミングビット3は、地盤Gを掘削するための掘削部材であり、
図3および
図4に示すように、下部横坑道LH内で組立可能なように複数の部分(ボトムセグメント3a、ベースヘッド3b、複数のサイドセグメント3cおよび複数のサポート部材3d等)が分解可能な状態で接続されることで構成されている。なお、特に限定されるものではないが、リーミングビット3の直径R(
図4参照)は、例えば、4750mm、総重量は、例えば、35トンである。
【0023】
リーミングビット3のボトムセグメント3aの上面には、ベースヘッド3bが着脱可能な状態で設置されている。このベースヘッド3bの上面(地盤Gに対向する面、掘削面)には、例えば、チップインサート型の複数のローラカッタ3eが回転可能な状態で設置されている。また、ベースヘッド3bの上面中心位置には、支持部材4を構成するメインステム4mがベースヘッド3bの上面から上方に向かって突出した状態で固定されている。特に限定されるものではないが、メインステム4mの直径は、例えば、360mm、メインステム4mの突出長さは、例えば、2800mm、メインステム4mの雄ねじ部4mnの直径は、例えば、300mmである。
【0024】
また、ボトムセグメント3aの側面には、複数個のサイドセグメント3cが着脱可能な状態で設置されている。各サイドセグメント3cは、
図4に示すように、ベースヘッド3bの外周から外方に向かって突出した状態で設置されており、各サイドセグメント3cの隣接間に設置されたサポート部材3dによって補強されている。この各サイドセグメント3cの上面(地盤Gに対向する面、掘削面)にも、複数のローラカッタ3eが回転可能な状態で設置されている。さらに、サイドセグメント3cの先端側面には、補強板3fが設置されている。この補強板3fを設けることにより、ローラカッタ3eと坑壁との接触抵抗を低減することができる。
【0025】
リーミングマシン1の支持部材4は、ドリルユニット2とリーミングビット3とを接続しリーミングビット3を回転可能な状態で支持する部材であり、
図1に示すように、ドリルユニット2から下方に向かって順に、複数のドリルロッド4rと、複数のスタビライザ4sと、メインステム4mとを備えている。
【0026】
ドリルロッド4rは、例えば、円筒形状の特殊鋼材により形成されている。各ドリルロッド4rは、下側のドリルロッド4rの上端一部が、上側のドリルロッド4rの下端面の凹部に嵌め込まれた状態で互いに機械的に直列に接続されている。特に限定されるものではないが、ドリルロッド4rの直径は、例えば、350mm、長さは、例えば、1500mm、重さは、例えば、635kgである。
【0027】
スタビライザ4sは、例えば、掘削時の孔の直進性を向上させる(孔曲がりを抑制または防止する)とともに、泥水の循環を促進させる部材であり、例えば、円筒形状の特殊鋼材により形成されている。スタビライザ4sとしては、例えば、スパイラルスタビライザが使用されている。すなわち、スタビライザ4sの外周にはその周方向に沿って所定の間隔毎に、スタビライザ4sの長手方向に向かって若干傾斜した状態で延びる最小限の溝が彫り込まれている。なお、スパイラルスタビライザに代えてストレートスタビライザ(すなわち、スタビライザ4sの外周に沿って所定間隔毎にスタビライザ4sの長手方向に直線上に延びる複数の凸部を持つスタビライザ)を使用しても良い。
【0028】
各スタビライザ4sは、下側のスタビライザ4sの上端一部が、上側のスタビライザ4sの下端面の凹部に嵌め込まれた状態で互いに機械的に直列に接続されている。また、スタビライザ4sとドリルロッド4rとの接続構成やスタビライザ4sとメインステム4msとの接続構成は、ドリルロッド4r同士の接続構成と同じである。特に限定されるものではないが、スタビライザ4sの個数は、例えば、10本、直径は、ドリルロッド4rより大きく、例えば、400mm、長さは、例えば、1500mm、重さは、ドリルロッド4rよりも重い。
【0029】
ところで、リーミング坑の掘削中にリーミングビット3が左右に振動して不安定な挙動をすると、それに応じてリーミングビット3に近い支持部材4(ドリルロッド4r、スタビライザ4s、メインステム4m)のひずみも変動する。そこで、本実施の形態においては、そのひずみに基づいてリーミングビット3の挙動を監視し、掘削中のリーミングマシン1の運転管理に反映させるようにした。
【0030】
以下、上記ひずみの監視およびリーミングマシン1の運転管理に関する構成について
図5〜
図7を参照して説明する。なお、
図5(a)はひずみゲージの配置位置の一例を示したリーミングビットおよび支持部材の側面図、
図5(b)はひずみゲージの設置位置の一例を透過して示した支持部材の拡大斜視図、
図6はひずみゲージの電気的な接続関係の一例の構成図、
図7はひずみ計測システムの一例の構成図である。
【0031】
本実施の形態のリーミングマシン1においては、
図5(a)に示すように、例えば、リーミングビット3に接続されたメインステム4mの雄ねじ部4mnの中空内壁面に、
図5(b)に示すように、複数個のひずみゲージSGが設置されている。各ひずみゲージSGは、リーミング坑の掘削中にメインステム4mで発生したひずみを検出(すなわち、ひずみゲージSGの変形による電気抵抗の変化をひずみ量として検出)するセンサであり、例えば、メインステム4mの雄ねじ部4mnの上面から軸方向に長さD1(100mm)だけ離れた位置であって、雄ねじ部4mnの内周に沿って90度ずつずれた位置に左右対称に配置されている。なお、ひずみゲージSGの配置数や配置位置は、上記したものに限定されるものではなく種々変更可能であり、例えば、ひずみゲージSGの配置数は、1個でも良いし、5個以上でも良い。
【0032】
各ひずみゲージSGは、
図6に示すように、計測ケーブルLAを通じてリーミングビット3の収納ボックス(図示せず)内に収容された計測機器10と電気的に接続されている。すなわち、ひずみゲージSGで検出された検出信号(電気信号)は、矢印A2で示すように計測ケーブルLAを通じてリーミングビット3に設置された計測機器10に伝送されるようになっている。
【0033】
計測機器10は、ひずみゲージSGで検出された微弱な検出信号(電気信号)をアンプで増幅したのち、通信プロトコルにより地表に伝送する機器であり、伝送ケーブルLBを通じて地表の電気回路と電気的に接続されている。すなわち、計測機器10は、伝送ケーブルLB中の信号伝送用ケーブルを通じて地表の情報処理回路11(
図7参照)と電気的に接続されている。また、計測機器10は、伝送ケーブルLB中の電源供給用ケーブルを通じて地表の電源回路12(
図7参照)と電気的に接続されている。なお、
図6の矢印A3は検出信号(電気信号)の伝送方向、矢印A4は電源の供給方向を示している。
【0034】
このような計測機器10は、
図7に示すように、例えば、増幅回路10a(アンプ)と、入力装置10bと、AC/DC電源回路10cと、加速度センサAMとを備えている。ひずみゲージSGで検出された検出信号(電気信号)は、計測ケーブルLAを通じて増幅回路10aに伝送され、ここで増幅されてから入力装置10bに入力される。加速度センサAMは、リーミング坑の掘削時にリーミングビット3の振動を計測するセンサであり、リーミングビット3の底部側に設置されている。加速度センサAMで検出された検出信号(電気信号)は、入力装置10bに入力される。
【0035】
入力装置10bは、入力された検出信号を通信プロトコルにより地表の情報処理回路(判断手段)11に伝送する装置であり、入力装置10bの出力端子は、伝送ケーブルLB中の信号伝達用ケーブルおよび地表のスリップリングSRを順に介して地表の情報処理回路11のPLC(Programmable Logic Controller)インターフェイス回路11PAに電気的に接続されている。
【0036】
PLCインターフェイス回路11PAの出力端子は、PLC回路11CAの入力端子に電気的に接続されている。また、PLC回路11CAの出力端子は、計測用パーソナルコンピュータ(以下、単に計測用パソコンという)11PCの入力端子に電気的に接続されている。そして、PLCインターフェイス回路11PAに伝送されたひずみの検出信号は、PLC回路11CAに伝送され、ここで演算処理がなされた後、計測用パソコン11PCに伝送される。これにより、リーミングビット3のメインステム4mで発生したひずみをリアルタイム(例えば、サンプリング周波数を50Hz)で計測することが可能になっている。ひずみの計測データは、計測用パソコン11PCに電気的に接続されたメモリ11Mに記録される他、計測用パソコン11PCに電気的に接続されたディスプレイ11Dに、数値、グラフまたは画像等として表示される。
【0037】
そして、情報処理回路11は、ひずみゲージSGにより得られたひずみ値と、予め決められたひずみの標準の管理値との関係に基づいて、リーミング坑Hの掘削中に支持部材4が損傷すると判断した場合(すなわち、ひずみゲージSGにより得られたひずみ値が、ひずみの標準の管理値よりも大きい場合)は、それを地上の作業者に知らせるように警報器11Sおよびディスプレイ11D等のような警告手段に指示するようになっている。そこで、警報および警告画像を確認した作業者は、そのひずみ値が標準の管理値以下になるように、リーミングビット3の掘削条件であるスラスト、トルクまたはその両方をリーミングマシン1の操作で制御する。これにより、リーミング坑Hの掘削中にリーミングビット3を支持する支持部材4が損傷するのを防止することができる。特に、本実施の形態においては、損傷が生じ易い支持部材4にひずみゲージSGを配置し、そのひずみゲージSGから得られた情報に基づいてリーミングビット3の掘削条件を制御するので、支持部材4の損傷を防止する上で、より的確な制御を実施することができる。したがって、リーミングマシン1において安定した掘削性能を発揮させることができる。なお、ひずみの標準の管理値は、情報処理回路11のメモリ11Mに予め記録されている。
【0038】
また、ドリルユニット2には、各種のセンサ(図示せず)が設置されている。この各種のセンサには、例えば、スラストシリンダ2b(
図2参照)のスラスト圧力(押し込み圧力および引き抜き圧力)を検出するセンサ、ドリルヘッド2d(
図2参照)の変位を検出するセンサ、ドリルロッド4rの回転数(すなわち、リーミングビット3の回転数)を検出するセンサ、油圧モータ2e(
図2参照)の圧力(正転および逆転の圧力)を検出するセンサ等がある。この各種のセンサで検出された検出信号(電気信号)は、情報処理回路11のPLCインターフェイス回路11PBを介してPLC回路11CBに伝送され、演算処理がなされた後、共通の計測用パソコン11PCに伝送される。これにより、リーミングビット3の回転速度、回転数、トルク、スラスト、掘削深度、掘削速度およびビット荷重等のような各種の掘削データをリアルタイムで計測することが可能になっている。これらの掘削データも、計測用パソコン11PCを通じて上記メモリ11Mに記録される他、上記ディスプレイ11Dに、数値、グラフまたは画像等として表示される。
【0039】
一方、地表の電源回路12は、例えば、交流の100Vの電源電圧を供給する回路であり、スリップリングSRおよび伝送ケーブルLB中の電源供給用ケーブルを順に介して、地中のリーミングビット3の計測機器10のAC/DC電源回路10cに電気的に接続されている。AC/DC電源回路10cは、地表から供給された交流電源を直流電源(例えば、24V)に変換して、増幅回路10a、入力装置10bおよび加速度センサAMに供給する電源回路である。
【0040】
なお、スリップリングSRは、回転体と静止体との間で電力や電気信号を伝送可能とする伝送経路形成用の回転電極である。また、信号伝送用および電源供給用の伝送ケーブルLBは、支持部材4の接続箇所(ドリルロッド4r同士の接続箇所、ドリルロッド4rとスタビライザ4sとの接続箇所、スタビライザ4s同士の接続箇所、スタビライザ4sとメインステム4mとの接続箇所)毎にコネクタCによって電気的に接続されている。
【0041】
次に、本実施の形態のリーミング掘削方法の一例について
図8のフロー図に沿って
図9〜
図12のリーミング掘削工程中のリーミングマシンを側面から見た説明図を参照して説明する。なお、実際の掘削作業は、例えば、石灰岩の採掘のために傾斜角75°の斜坑を掘削したが、
図9〜
図12では説明を簡単にするため立坑を例示している。また、掘削工法としては、無人化や遠隔操作が可能で安全性が高い上、他の掘削工法と比べて高速処理が可能であること等からリーミング掘削工法を代表するレイズボーリング工法を採用した。また、掘削距離が、例えば、470mと長距離であることから、リーミングマシン1としては、例えば、多くの実績があり、最大トルク538kN−m、最大スラスト5350kNの性能を持つBM−600(鉱研工業)を基本として用いた。
【0042】
まず、掘削位置から数m離れた位置において抗と平行にボーリング調査を行った(
図8の工程100)後、坑口に防護材を注入して地表部の改良を図る(
図8の工程101)。続いて、地表Sにピットを掘削し(
図8の工程102)、ピットコンクリート打設を行った(
図8の工程103)後、その上に、
図9(a)に示すように、ドリルユニット2を設置する(
図8の工程104)。
【0043】
次いで、
図9(b)に示すように、先端にパイロットビット15を取り付けたドリルロッド4rを回転させながら地表Sのドリルユニット2から下部横坑道LHに向かって(矢印A5の方向に)移動することでパイロット孔16aを掘削する(
図8の工程105)。ドリルロッド4rおよびパイロット孔16aの直径は、例えば、350mmである。
【0044】
続いて、
図10(a)に示すように、パイロットビット15が下部横坑道LHに達したらドリルロッド4rの回転を止めて、パイロットビット15を取り外し、代わりに
図10(b)に示すように、下部横坑道LH内においてスタビライザ4sの先端にパイロットビット15よりも大径の拡径ビット17を取り付ける。その後、ドリルロッド4rを回転させながら地表Sに向かって引き上げることでパイロット孔16aよりも大径の拡径孔16bを形成する(
図8の工程106)。拡径ビット17および拡径孔16bの直径は、例えば、400mmである。
【0045】
次いで、
図11(a)に示すように、拡径孔16bの形成後、ドリルロッド4rの先端にそれよりも大径のスタビライザ4sを接続し、下部横坑道LHまで挿入する(
図8の工程107)。このスタビライザ4sは、リーミング坑の掘削中に支持部材4が損傷するのを防止する観点からパイロット孔16aの形成時に用いたスタビライザ4sよりも大径のものを使用しており、その直径は、例えば、400mmである。続いて、
図11(b)に示すように、下部横坑道LH内において、リーミングビット3を組み立ててスタビライザ4sの先端に接続する(
図8の工程108)。
【0046】
続いて、
図12(a)に示すように。リーミングビット3を回転させながら矢印A1に示すように地表Sに向かって引き上げることにより、
図12(b)に示すように、拡径孔16bよりも大径のリーミング坑Hを形成する(
図8の工程109)。リーミングビット3およびリーミング坑Hの直径は、例えば、4750mmである。
【0047】
その後、ドリルユニット2を解体して搬出した(
図8の工程110)後、地表Sに門型クレーン(図示せず)等を組み立てて(
図8の工程111)、その門型クレーンによりリーミングビット3をリーミング坑Hから取り出し(
図8の工程112)、リーミングビット3を解体して搬出する(
図8の工程113)。
【0048】
次に、
図12(a),(b)に示したリーミング坑掘削時におけるリーミングビットの動作制御の一例について
図13のリーミング坑の掘削工法のフロー図に沿って説明する。
【0049】
まず、リーミング坑Hの掘削を開始する(
図13のステップ109a)。なお、掘削開始時においては、リーミングビット3の回転速度、回転数、トルク、スラスト、掘削深度、掘削速度およびビット荷重等の掘削条件をそれぞれの標準の管理値に設定する。なお、この各種の掘削条件の標準の管理値は、情報処理回路11のメモリ11M(
図7参照)に予め記録されている。
【0050】
続いて、ステップ109bでは、リーミング坑Hの掘削が終了か否かを判断する。終了の場合は、リーミングビット3を解体して搬出する(
図13の工程113)。一方、終了でない場合は、ステップ109cに進む。
【0051】
ステップ109cにおいては、リーミング坑Hの掘削中のリーミングビット3のメインステム4mに設置された複数のひずみゲージSGから伝送されたひずみ値が、ひずみの標準の管理値より大きいか否かを判断する。
【0052】
ここで、複数のひずみゲージSGのうちの1つでも管理値より大きい場合は、リーミングビット3の支持部材4(特に、メインステム4mの雄ねじ部4mn)で損傷が発生する虞があるので、それを警報器11Sおよびディスプレイ11D等によって地上の作業者に知らせる。そこで、作業者はリーミングマシン1の操作によりリーミングビット3に対するスラストを下げる(
図13のステップ109d)。これにより、リーミング坑Hの掘削中にリーミングビット3を支持する支持部材4が損傷するのを防止することができる。特に、本実施の形態においては、損傷が生じ易い支持部材4にひずみゲージSGを配置し、そのひずみゲージSGから得られた情報に基づいてリーミングビット3の掘削条件を制御するので、支持部材4の損傷を防止する上で、より的確な制御を実施することができる。したがって、リーミングマシン1において安定した掘削性能を発揮させることができる。特に限定されるものではないが、ひずみの標準の管理値は、例えば、100μである。
【0053】
一方、ステップ109cにおいて、複数のひずみゲージSGのいずれで検出されたひずみ値も標準の管理値以下である場合は、現状においてはリーミングビット3の支持部材4(特に、メインステム4mの雄ねじ部4mn)で損傷が発生しないと判断されるので、ステップ109eに進む。
【0054】
ステップ109eにおいては、ドリルユニット2のセンサで検出されたトルクの情報に基づいて、リーミング坑Hの掘削中におけるリーミングビット3のトルク値が、例えば、100kN・mより小さいか、100〜200kN・mの範囲か、または、200kN・mより大きいかを判断する。
【0055】
ここで、トルク値が、100kN・mより小さい場合は、トルクが小さ過ぎて充分な掘削ができないと判断されるので、それを警報器11Sおよびディスプレイ11D等によって地上の作業者に知らせる。そこで、作業者はリーミングマシン1の操作によりリーミングビット3に対するスラストを上げる(
図13のステップ109f)。
【0056】
また、トルク値が、100〜200kN・mの場合は、特に問題がないので、リーミングビット3に対するスラストを維持する(
図13のステップ109g)。この場合は、ディスプレイ11D等に問題ない旨を表示しても良いし、しなくても良い。
【0057】
さらに、トルク値が、200kN・mより大きい場合は、トルクが大き過ぎて油圧モータ2e(
図2参照)が故障する虞があるので、それを警報器11Sおよびディスプレイ11D等によって地上の作業者に知らせる。そこで、作業者はリーミングマシン1の操作によりリーミングビット3に対するスラストを下げる(
図13のステップ109d)。これにより、油圧モータ2eの故障を防止することができる。
【0058】
続いて、ステップ109hにおいては、ドリルユニット2のセンサで検出されたスラスト値が1000kNより小さく、かつ、ドリルユニット2のセンサで検出されたトルク値が200kN・mより大きいか否かを判断する。
【0059】
ここで、ステップ109fを経た場合は、トルクが200を越えないようにスラストを上げるので、リーミング坑の掘削のステップ109aに戻る。また、ステップ109gを経た場合も、スラストが維持され、トルクも200kN・mを越えないように制御されるので、リーミング坑Hの掘削のステップ109aに戻る。これらの場合は、ディスプレイ11D等に問題ない旨を表示しても良いし、しなくても良い。
【0060】
一方、ステップ109dを経た場合も、ステップ109hにおいて、スラスト値が1000kNより小さく、かつ、トルク値が200kN・mより大きくならない場合は、リーミング坑Hの掘削のステップ109aに戻る。上記と同様に、その場合はディスプレイ11D等に問題ない旨を表示しても良いし、しなくても良い。
【0061】
しかし、ステップ109dを経た場合で、ステップ109hに示した条件に合う場合は、トルクが大きすぎて油圧モータ2e(
図2参照)が故障する虞があるので、それを警報器11Sおよびディスプレイ11D等によって知らせる。そこで、作業者はリーミングマシン1の操作によりリーミングビット3の回転数を下げる(ステップ109i)。これにより、油圧モータ2eの故障を防止することができる。
【0062】
その後、ステップ109jにおいては、ドリルユニット2のセンサで検出されたリーミングビット3の回転数が1.5rpmよりも小さいか否かを判断する。ここで、リーミングビット3の回転数が1.5rmp以上の場合は、リーミング坑の掘削のステップ109aに戻る。上記と同様に、その場合はディスプレイ11D等に問題ない旨を表示しても良いし、しなくても良い。
【0063】
一方、ステップ109jにおいて、リーミングビット3の回転数が1.5rmpより小さい場合は、回転数が遅すぎるので、それを警報器11Sおよびディスプレイ11D等によって地上の作業者に知らせる。この場合、作業者はリーミングマシン1の操作により、リーミング坑Hの掘削作業を中断する(
図13のステップ109k)。
【0064】
以上、本発明者によってなされた発明を実施の形態に基づき具体的に説明したが、本明細書で開示された実施の形態はすべての点で例示であって、開示された技術に限定されるものではない。すなわち、本発明の技術的な範囲は、前記の実施の形態における説明に基づいて制限的に解釈されるものでなく、あくまでも特許請求の範囲の記載に従って解釈されるべきであり、特許請求の範囲の記載技術と均等な技術および特許請求の範囲の要旨を逸脱しない限りにおけるすべての変更が含まれる。
【0065】
例えば、前記実施の形態においては、ひずみゲージを通じて得られたひずみ値が管理値よりも大きい場合に、リーミングビットの掘削条件(スラスト、トルクまたはその両方)を手動で制御する場合について説明したが、これに限定されるものではなく、ひずみゲージを通じて得られたひずみ値が管理値よりも大きい場合に、情報処理回路11によってリーミングビットの掘削条件を自動で制御することもできる。また、リーミングビット3のトルクが大きすぎる場合や小さすぎる場合も、それらを回避するように情報処理回路11によってリーミングビット3の掘削条件を自動で制御することもできる。