(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記第1の収音手段と前記第2の収音手段とは、前記開口部が形成する平面に対して前記第1の収音手段及び前記第2の収音手段を投影した場合に、互いに異なる位置に位置するように配置されていることを特徴とする請求項1または2に記載の収音装置。
前記第1の収音手段及び前記第2の収音手段の一方は、前記一方側凹部に設けられ、前記第1の収音手段及び前記第2の収音手段の他方は、前記シートバック及び前記ヘッドレストの前記他方に設けられることを特徴とする請求項6記載の収音装置。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施の形態について図を参照しながら説明する。
[第1の実施の形態]
図1は、本発明の第1の実施の形態に係る収音装置1を示す斜視図である。
図1では、後述するクッション部材16の図示が省略されているとともに、表皮17の半分が仮想線で図示されている。
収音装置1は、車室内に配置される乗員(着座者)用のシート5に設けられている。上記車室としては、例えば、自動車、電車、飛行機及び船舶等の車室が挙げられるが、本第1の実施の形態では、自動車の前部座席であって運転者が着座するシート5に設けられる収音装置1を例に挙げて説明する。
なお、この収音装置1は、車両に採用する場合に限らず、オフィスチェアやソファーなどのオフィスや住宅で使用される家具にも利用可能である。
【0012】
シート5は、着座者が座る座部(不図示)と、この座部の後端から上方に延びる背もたれ部としてのシートバック10と、シートバック10の上端に取り付けられる収音装置1とを備える。
シートバック10は、着座者の背中に面して着座者が背中を当てることが可能なシートバック着座面10aを有する。シートバック着座面10aは、シートバック10の前面である。
【0013】
収音装置1は、着座者が頭部の後面を当てることが可能なヘッドレスト11を備える。ヘッドレスト11は、着座者の後頭部に面するヘッドレスト着座面11a(着座面)を有する。ヘッドレスト着座面11aは、収音装置1の前面である。
以下の説明では、シートバック着座面10a及びヘッドレスト着座面11aから見て着座者側の方向をシートバック10及び収音装置1の前方方向とし、前方を向く着座者から見て左右方向を、シートバック10及び収音装置1の幅方向(左右方向)として説明する。
また、以下の説明では、図中の符号UPは上方を示し、符号FRは前方を示し、符号LHは左方を示している。
【0014】
図2は、収音装置1を前方側から見た正面図である。
図3は、
図2のIII−III断面図である。
図2では、後述する表皮17の外形が仮想線で図示されている。
図1〜
図3を参照し、収音装置1は、上記ヘッドレスト11と、音声を収音する収音手段としてのマイクアレイ12(
図3)と、左右一対のスピーカー13,13と、マイクアレイ12及びスピーカー13,13に電気的に接続され、マイクアレイ12及びスピーカー13,13の動作を制御する制御部14(
図3)とを備える。
ヘッドレスト11は、収音装置1の骨格としての芯材15と、芯材15を周囲から覆うクッション部材16(
図3)と、クッション部材16を周囲から覆う表皮17と、芯材15から下方に延出する左右一対のヘッドレストステー18,18とを備える。
【0015】
収音装置1は、近距離無線通信により携帯端末等の他の機器(不図示)と連携可能とする通信部(不図示)を備える。上記他の機器としては、例えば、携帯電話、スマートフォン及びタブレット端末等が挙げられる。上記近距離無線通信としては、例えば、Bluetooth(近距離無線通信規格:登録商標)が挙げられる。なお、収音装置1と上記他の機器とは、近距離無線通信に限らず、例えば有線によって接続することも可能である。
収音装置1は、上記他の機器と連携した状態では、他の機器から読み出されたコンテンツの音声データや、車両を目的地まで誘導するための誘導音声データなどを、スピーカー13,13から音声出力する。また、着座者は、収音装置1が上記他の機器と連携した状態では、マイクアレイ12で収音された音声をボイスコマンドとして他の機器を操作したり、マイクアレイ12を介してハンズフリーで通話したりすることができる。
【0016】
収音装置1は、棒状のヘッドレストステー18,18がシートバック10の上面の孔部に挿入されることでシートバック10に固定される。収音装置1は、上記孔部へのヘッドレストステー18,18の挿入深さを調節することで、着座者の体格等による頭部の位置に合わせて取り付けの高さ位置を変更可能に構成されている。すなわち、収音装置1の高さ位置を着座者に合わせて調整することで、マイクアレイ12で音声を収音し易くできるとともに、スピーカー13,13の音声を着座者が聴き易くできる。
【0017】
芯材15は、前面が開口した箱状のケース20と、ケース20の前面を塞ぐ前面カバー21とを備える。収音装置1がシートバック10に取り付けられた状態では、芯材15は、
図3に示すように、前面を構成する前面カバー21が前傾した姿勢となる。ケース20及び前面カバー21は樹脂成型品である。
図4は、前面カバー21を取り外した状態でケース20を前方から見た図である。
図1〜
図4を参照し、ケース20は、略矩形の後壁20aと、後壁20aの周縁部から前方に延びる周壁部20bと、周壁部20bの上面から上方に延びる板状の上方延出部20cとを備える。上方延出部20cは、周壁部20bの上面における幅方向の略全体に亘って形成されている。
【0018】
正面視で枠状の周壁部20bの前縁には、前面カバー21が合わさる合わせ部20dが全周に形成されている。
周壁部20b内の上下及び左右の内面部には、筒状のボス部22がそれぞれ形成されている。各ボス部22には、前面カバー21をケース20に固定するカバー固定ボルト23が締結される。
ケース20の後壁20aの内面部において幅方向の両端部には、ヘッドレストステー18,18の上端部が挿通されて固定されるステー連結部24,24が形成されている。
【0019】
図5は、前面カバー21を後方側から見た図である。なお、
図5では、スピーカー13,13は、取付構造を示すために右側のものだけが図示されている。
図1〜
図5を参照し、前面カバー21は、ケース20の後壁20aに略対向する前壁21aと、前壁21aの周縁部から後方に延びるカバー周壁部21bとを備える。
前面カバー21は、前面カバー21の幅方向の中央部に設けられる凹部25と、凹部25の左右にそれぞれ設けられる左右一対のスピーカー設置部26,26とを備える。
【0020】
また、前面カバー21は、ケース20の各ボス部22に対応する位置に、前方側からカバー固定ボルト23が挿通される固定孔27を備える。
前面カバー21は、枠状のカバー周壁部21bの後縁部がケース20の合わせ部20dに嵌められた状態で、各カバー固定ボルト23が締結されることで、ケース20に固定される。これにより、芯材15の内側には、スピーカー13,13や制御部14等が配置される空間部R(
図3)が形成される。
【0021】
各スピーカー設置部26は、前壁21a上の複数の孔によって略矩形の網状に形成された通音部26aと、通音部26aの周囲に複数配置されるスピーカー固定ボス26bとを備える。
スピーカー13,13は、幅方向よりも上下方向に長い長方形状に形成された板状のスピーカーであり、上下に長い長方形状の音声出力部13a,13aを前面に備える。
スピーカー13,13は、前面が通音部26a,26aに対し芯材15の内部から対向するように配置されており、スピーカー13,13の四隅に後方からそれぞれ挿通されるスピーカー固定ボルト28によって、スピーカー固定ボス26bに固定される。
スピーカー13,13の音声は、通音部26a,26aを通って前方に出力される。
【0022】
前面カバー21の凹部25は、前壁21aの中央部を空間部R内へ後方側に凹ますようにして形成されている。凹部25は、左右の通音部26a,26aの間に配置されている。
凹部25は、その凹形状の底部を構成する後壁部25aと、後壁部25aの上縁から前方に延びる上壁部25b(上面部)と、後壁部25aの下縁から前方に延びる下壁部25cと、後壁部25aの左右の側縁からそれぞれ前方に延びる側壁部25d,25dとを備える。
凹部25が設けられることで、前壁21aの前面には、凹部25の内部空間を前方に連通させる開口部29が形成されている。すなわち、凹部25は、開口部29の中に形成されている。凹部25の開口部29は、前方のヘッドレスト着座面11a側に開口している。
【0023】
図3に示すように、側面視では、凹部25は略水平に前後方向に延びている。詳細には、凹部25は、やや後上がりの姿勢で設けられており、後壁部25aは鉛直よりも前方に傾斜している。また、上壁部25b及び下壁部25cは、開口部29の周縁部から後上がりに傾斜して後方に延びる。開口部29は、前壁21aの前面に面一に形成されており、鉛直よりも前方に傾斜している。
凹部25は、内部空間の上下及び左右のサイズが後方側に行くほど小さくなるように先細り形状に形成されている。
【0024】
凹部25の内面、すなわち後壁部25a、上壁部25b、下壁部25c及び側壁部25d,25dの内面には、凹部25を構成する材料よりも吸音性が高い吸音部材33が取り付けられている。吸音部材33は、例えば不織布である。
【0025】
クッション部材16は、芯材15を前後左右及び上下方向から覆うように芯材15の周囲に設けられている。クッション部材16は、収音装置1に作用する衝撃を緩和する部材であり、例えばウレタンによって構成される。
クッション部材16は、前面カバー21の前壁21aを前方から覆うクッション前面部16aに、クッション前面部16aを前後方向に貫通するクッション開口30(開口)を有する。
クッション開口30は、前面視で凹部25の開口部29に重なる位置に形成されており、凹部25の内部空間は、クッション開口30に連続している。
【0026】
表皮17は、クッション部材16を前後左右及び上下方向から覆うようにクッション部材16の周囲に設けられている。表皮17は、クッション部材16よりも厚さが薄く形成されている。
表皮17は、クッション前面部16aを前方から覆う表皮前面部17aを有し、表皮前面部17aの中央部は、クッション部材16のクッション開口30を前方から覆う。すなわち、クッション開口30は、表皮前面部17aによって塞がれ、クッション開口30及び凹部25は、収音装置1の外側から視認されない。
クッション開口30は、凹部25を表皮前面部17aの裏面側に連通させている。
【0027】
マイクアレイ12は、凹部25内において前後方向に互いに異なる位置に並べて配置される第1の収音手段31及び第2の収音手段32を備える。第1の収音手段31及び第2の収音手段32は、それぞれ、空気中を伝搬する音を収音するマイクロフォン(マイク)である。また、第1の収音手段31及び第2の収音手段32は、それぞれ無指向性のマイクである。
【0028】
詳細には、
図3に示すように、第1の収音手段31及び第2の収音手段32は、凹部25内で上壁部25bから下向きに延びるように配置されており、その下端部に音を検出する検出部を備える。第1の収音手段31及び第2の収音手段32は、同一のマイクであるとともに、上壁部25bからの突出量が互いに等しい。
第1の収音手段31は、上壁部25bにおいて開口部29寄りの位置に配置されている。第2の収音手段32は、上壁部25bにおいて第1の収音手段31の後方に配置されている。すなわち、第1の収音手段31と第2の収音手段32とは、開口部29のうち、最もヘッドレスト着座面11aに近い部位から第1の収音手段31及び第2の収音手段32までの距離L1及び距離L2が互いに異なるように配置されている。
また、第1の収音手段31及び第2の収音手段32は、凹部25内の幅方向の中央部に配置されており、幅方向(左右方向)では同一の位置に位置している。すなわち、第1の収音手段31及び第2の収音手段32は、開口部29が形成する平面に対して第1の収音手段31及び第2の収音手段32を垂直に投影した場合に、互いに重なるように配置されている。
【0029】
マイクアレイ12及び制御部14は、信号処理技術において公知のビームフォーミング処理によって、収音の指向性(方向に関する選択性)を形成するビームフォーマを構成する。
ビームフォーミング処理では、指向軸の方向に並べて配置された複数の各収音手段に音源から到達する音の到達時間の差異(位相差)から、指向軸の方向から来る音の収音の感度を強調する。
マイクアレイ12は、第1の収音手段31及び第2の収音手段32が前後方向に配列されており、前方の着座者側に向けて延びる指向軸を有する。このため、マイクアレイ12は、着座者側から来る音声を選択的に収音できる。なお、マイクアレイ12は、前後に並べて配置される少なくとも2個以上の収音手段を備えていれば良く、例えば、第2の収音手段32の後方に配置される他の収音手段を備えても良い。
【0030】
着座者の発話による音声が前方で後方側に反射した音声や、着座者の発話に伴って着座者の頭部H側から後方に出射される音声は、
図3中に矢印Sで示すように、表皮前面部17aを透過して、クッション開口30を通り、凹部25内の第1の収音手段31及び第2の収音手段32に収音される。
このように、第1の収音手段31及び第2の収音手段32が凹部25内に設けられるため、収音装置1の後方、左右側方及び上下方向から収音装置1に届く音が第1の収音手段31及び第2の収音手段32に収音されることを低減できる。このため、収音装置1の前方の着座者側以外から来る音を遮断するようにして、着座者の音声を良好にマイクアレイ12で収音できる。
【0031】
また、着座者の音声は、クッション開口30を通るため、着座者の音声の音声がクッション部材16によって減衰されることを防止でき、着座者の音声を良好にマイクアレイ12で収音できる。クッション開口30は表皮前面部17aで塞がれるため、外観性を確保しながら良好に収音できる。表皮前面部17aはクッション部材16よりも薄いため、着座者側からマイクアレイ12に届く音声を減衰させ難い。
さらに、マイクアレイ12は、スピーカー13,13の前面よりも後方に配置されている。このため、スピーカー13,13の音声がマイクアレイ12に収音されてしまうことを抑制できる。
また、凹部25に吸音部材33が設けられているため、凹部25内で音声が反射することを抑制でき、着座者から直接的に届く音声をマイクアレイ12で収音できる。このため、着座者の音声を良好にマイクアレイ12で収音できる。
【0032】
開口部29の形状及び大きさは、ヘッドレストの安全性試験に使用される頭部を模した試験用の球体T(ヘッドフォーム)を開口部29に当接させた際に、球体Tがマイクアレイ12に接触しないように設定されている。このため、安全性を満たし、且つ、着座者の音声をマイクアレイ12で良好に収音できる。ここで、球体Tの直径は160(mm)である。
開口部29の周縁部29aは、所定の大きさ以上の曲率半径となるように形成されており、周縁部29aに鋭いエッジは存在しない。
【0033】
以上説明したように、本発明を適用した第1の実施の形態によれば、収音装置1は、ヘッドレスト着座面11a側に開口部29を備え、開口部29の中に凹部25が形成されたヘッドレスト11と、2個以上の収音手段とを有し、第1の収音手段31及び第2の収音手段32は、ヘッドレスト11の凹部25に配置され、第1の収音手段31及び第2の収音手段32とは、前後方向に互いに位置が異なるように、すなわち、開口部29のうち最もヘッドレスト着座面11aに近い部位からの距離L1,L2が互いに異なるように配置されている。これにより、第1の収音手段31と第2の収音手段32とが、音源である着座者からヘッドレスト着座面11aに向かう方向において、音源との距離L1,L2が互いに異なるため、音源からの音声を位相差がある状態で第1の収音手段31と第2の収音手段32とによって検出できる。このため、位相差を利用した音声の指向性制御(ビームフォーミング処理)により、着座者側からの音声に対する収音手段の感度を上げることができ、着座者側からの音声を良好に収音可能できる。さらに、第1の収音手段31と第2の収音手段32とが凹部25に配置されるため、着座者側とは異なる方向から来る音声が第1の収音手段31及び第2の収音手段32に届くことを防止でき、着座者側からの音声を良好に収音できる。
【0034】
また、位相差を利用した音声の指向性制御により、着座者側からの音声に対する第1の収音手段31と第2の収音手段32の感度を上げることができるため、無指向性のマイクを使用した構成であっても、着座者側からの音声を良好に収音できる。
また、第1の収音手段31及び第2の収音手段32は、凹部25の上壁部25bから下向きに配置されているため、第1の収音手段31及び第2の収音手段32に埃等が付着することを抑制できる。
また、ヘッドレスト11は、芯材15と、芯材15を覆うクッション部材16と、クッション部材16を覆う表皮17とを備え、凹部25は芯材15に形成され、クッション部材16は、凹部25を表皮17の裏面側に連通させるクッション開口30を備える。これにより、クッション開口30を通って凹部25に入る音声を第1の収音手段31及び第2の収音手段32とで収音できるため、クッション部材16を備えた構成であっても、着座者側からの音声を良好に収音できる。また、クッション開口30及び凹部25を表皮17で隠すことができ、外観性が良い。
【0035】
図6は、第1の収音手段31及び第2の収音手段32の配置のバリエーションの一例を示す断面図である。ここで、
図6は、
図3の凹部25の部分を拡大したものである。
図6(A)に示すように、第1の収音手段31を上壁部25bに設け、第2の収音手段32を第1の収音手段31の後方で後壁部25aに設けた構成としても良い。
図6(B)に示すように、第1の収音手段31を上壁部25bに設け、第2の収音手段32を第1の収音手段31の後方で下壁部25cに設けた構成としても良い。
図6(C)に示すように、第1の収音手段31を下壁部25cに設け、第2の収音手段32を第1の収音手段31の後方で下壁部25cに設けた構成としても良い。
図6(D)に示すように、第1の収音手段31を下壁部25cに設け、第2の収音手段32を第1の収音手段31の後方で後壁部25aに設けた構成としても良い。
【0036】
図7は、第1の収音手段31及び第2の収音手段32において、幅方向の配置のバリエーションの一例を示す断面図である。
図7は凹部25を上方側から見た場合の断面図である。
図3及び
図6(A)〜
図6(D)の構成では、
図7(A)に示すように、第1の収音手段31及び第2の収音手段32は、凹部25内で幅方向(左右方向)において同一の位置に設けられている。
図3及び
図6(A)〜
図6(D)の構成において、
図7(B)に示すように、第1の収音手段31及び第2の収音手段32は、凹部25内で幅方向(左右方向)に互いに異なる位置に配置されても良い。すなわち、第1の収音手段31と第2の収音手段32とを、開口部29が形成する平面に対して垂直に投影した場合に、投影したものが互いに異なる位置に位置するように配置した構成としても良い。この構成では、第1の収音手段31と第2の収音手段32との間の距離を確保し易いため、配置スペースの制約を受け難く、第1の収音手段31及び第2の収音手段32の配置の自由度を高めることができる。
また、第1の収音手段31及び第2の収音手段32の少なくともいずれかを、側壁部25dに設けた構成としても良い。
【0037】
[第2の実施の形態]
以下、
図8及び
図9を参照して、本発明を適用した第2の実施の形態について説明する。この第2の実施の形態において、上記第1の実施の形態と同様に構成される部分については、同符号を付して説明を省略する。
本第2の実施の形態は、凹部125がヘッドレスト11の下端部に設けられる点等が、上記第1の実施の形態と異なる。
【0038】
図8は、第2の実施の形態における収音装置101の断面図である。
シート105は、収音装置101、シートバック10及び座部を備える。
収音装置101は、上記第1の実施の形態の凹部25に替えて、前方及び下方に開口する凹部125を、ヘッドレスト11の下端部に備える。
凹部125は、後壁部125aと、上壁部125b(上面部)と、下側に開口する下面開口部125cと、左右の側壁部125d,125dとを備える。
凹部125が設けられることで、収音装置101の前面の下部には、凹部125の内部空間を前方に連通させる開口部129が形成されている。すなわち、凹部125は、開口部129の中に形成されている。凹部125の開口部129は、ヘッドレスト着座面11a側に開口している。
【0039】
凹部125内には、マイクアレイ12が設けられる。詳細には、第1の収音手段31及び第2の収音手段32は、上壁部125bに設けられ、前後方向に互いに位置が異なるように配列されている。
なお、凹部125は、ヘッドレスト11のクッション部材を貫通して設けられるとともに、クッション部材を覆う表皮17によって覆われていても良い。
【0040】
収音装置101は、ヘッドレストステー18,18を介し、シートバック10の上端に取り付けられる。凹部125の下面開口部125cは、シートバック10の上面10bによって下方から覆われて塞がれる。
このように、第1の収音手段31及び第2の収音手段32が凹部125内に設けられるため、収音装置101の後方、左右側方及び上方向から収音装置101に届く音が第1の収音手段31及び第2の収音手段32に収音されることを低減できる。さらに、下面開口部125cがシートバック10の上面によって覆われるため、下方から収音装置101に届く音が第1の収音手段31及び第2の収音手段32に収音されることを低減できる。このため、収音装置101の前方の着座者側以外から来る音を遮断するようにして、着座者の音声を良好にマイクアレイ12で収音できる。
【0041】
図9は、第2の実施の形態における第1の収音手段31及び第2の収音手段32の配置のバリエーションの一例を示す断面図である。
図9に示すように、第1の収音手段31の後方に配置される第2の収音手段32を後壁部125aに配置しても良い。
また、第1の収音手段31及び第2の収音手段32の少なくともいずれかを、側壁部125dに設けた構成としても良い。
【0042】
[第3の実施の形態]
以下、
図10及び
図11を参照して、本発明を適用した第3の実施の形態について説明する。この第3の実施の形態において、上記第1の実施の形態と同様に構成される部分については、同符号を付して説明を省略する。
本第3の実施の形態は、凹部225及びマイクアレイ12がシートバック210に設けられる点等が、上記第1の実施の形態と異なる。
【0043】
図10は、第3の実施の形態における収音装置201の正面図である。
図11は、
図10のXI−XI断面図である。
シート205は、収音装置201と、ヘッドレスト211と、座部とを備える。
収音装置201は、背もたれ部としてのシートバック210と、収音手段としてのマイクアレイ12とを備える。
ヘッドレスト211は、ヘッドレストステー18,18を介し、シートバック210の上端に取り付けられる。
シートバック210は、着座者の背中に面して着座者が背中を当てることが可能なシートバック着座面210aを有する。シートバック着座面210aは、シートバック210の前面である。
【0044】
シートバック210は、シートバック210の幅方向の中央部で後方側に凹む凹部225を、着座者の頭部に近い上部に備える。凹部225は、後壁部225aと、上壁部225bと、下壁部225cと、左右の側壁部225d,225dとを備える。
凹部225が設けられることで、シートバック210の前面には、凹部225の内部空間を前方に連通させる開口部229が形成されている。すなわち、凹部225は、開口部229の中に形成されている。開口部229は、前方のシートバック着座面210a側に開口している。
【0045】
凹部225は、シートバック210のクッション部材を貫通して前方に開口し、凹部225の開口部229は、上記クッション部材を覆うシートバック表皮217によって覆われている。
凹部225内には、マイクアレイ12が設けられる。詳細には、第1の収音手段31及び第2の収音手段32は、下壁部225cに設けられ、前後方向に互いに位置が異なるように配列されている。
着座者側からの音声は、シートバック表皮217を透過してマイクアレイ12に届く。
【0046】
第3の実施の形態では、収音装置201は、シートバック着座面210a側に開口部229を備え、開口部229の中に凹部225が形成されたシートバック210と、2個以上の収音手段とを有し、第1の収音手段31及び第2の収音手段32は、凹部225に配置され、第1の収音手段31と第2の収音手段32とは、前後方向に互いに位置が異なるように、すなわち、開口部229のうち最もシートバック着座面210aに近い部位からの距離が互いに異なるように配置されている。これにより、第1の収音手段31と第2の収音手段32とが、音源である着座者からシートバック着座面210aに向かう方向において、音源との距離が互いに異なるため、音源からの音声を位相差がある状態で第1の収音手段31と第2の収音手段32とによって検出できる。このため、位相差を利用した音声の指向性制御により、着座者側からの音声に対する収音手段の感度を上げることができ、着座者側からの音声を良好に収音可能できる。さらに、第1の収音手段31と第2の収音手段32とが凹部225に配置されるため、着座者側とは異なる方向から来る音声が第1の収音手段31と第2の収音手段32に届くことを防止でき、着座者側からの音声を良好に収音できる。
なお、第1の収音手段31及び第2の収音手段32は、前後に互いに異なる位置で凹部225内に配置されていれば良く、
図6及び
図7に示されるように、任意に取り付け位置を変更されることができる。
【0047】
[第4の実施の形態]
以下、
図12を参照して、本発明を適用した第4の実施の形態について説明する。この第4の実施の形態において、上記第1の実施の形態と同様に構成される部分については、同符号を付して説明を省略する。
本第4の実施の形態は、凹部325及びマイクアレイ12がシートバック310の上端部に設けられる点等が、上記第1の実施の形態と異なる。
【0048】
図12は、第4の実施の形態における収音装置301の断面図である。
図12は、
図10のXI−XI断面を第4の実施の形態に適用した図である。
シート305は、収音装置301と、ヘッドレスト311と、座部とを備える。
収音装置301は、背もたれ部としてのシートバック310と、収音手段としてのマイクアレイ12とを備える。
シートバック310は、着座者の背中に面して着座者が背中を当てることが可能なシートバック着座面310aを有する。シートバック着座面310aは、シートバック310の前面である。
【0049】
シートバック310は、シートバック310の幅方向の中央部で後方側に凹む凹部325を、着座者の頭部に近い上端部に備える。凹部325は、上方及び前方に開口している。
凹部325は、後壁部325aと、上側に開口する上面開口部325bと、下壁部325cと、左右の側壁部325d,325dとを備える。
凹部325が設けられることで、シートバック310の前面には、凹部325の内部空間を前方に連通させる開口部329が形成されている。すなわち、凹部325は、開口部329の中に形成されている。開口部329は、前方のシートバック着座面310a側に開口している。
なお、凹部325は、シートバック310のクッション部材を貫通して設けられるとともに、クッション部材を覆う表皮によって覆われていても良い。
【0050】
凹部325内には、マイクアレイ12が設けられる。詳細には、第1の収音手段31及び第2の収音手段32は、下壁部325cに設けられ、前後方向に互いに位置が異なるように配列されている。
ヘッドレスト311は、ヘッドレストステー18,18を介し、シートバック310の上端に取り付けられる。凹部325の上面開口部325bはヘッドレスト311の下面311bによって上方から覆われて塞がれる。
【0051】
このように、第1の収音手段31及び第2の収音手段32が凹部325内に設けられるため、収音装置301の後方、左右側方及び下方向から収音装置301に届く音が第1の収音手段31及び第2の収音手段32に収音されることを低減できる。さらに、上面開口部325bがヘッドレスト311の下面311bによって覆われるため、上方から収音装置301に届く音が第1の収音手段31及び第2の収音手段32に収音されることを低減できる。このため、収音装置301の前方の着座者側以外から来る音を遮断するようにして、着座者の音声を良好にマイクアレイ12で収音できる。
なお、第1の収音手段31の後方に配置される第2の収音手段32を後壁部325aに配置しても良い。また、第1の収音手段31及び第2の収音手段32の少なくともいずれかを、側壁部325dに設けた構成としても良い。
【0052】
[第5の実施の形態]
以下、
図13及び
図14を参照して、本発明を適用した第5の実施の形態について説明する。この第5の実施の形態において、上記第1の実施の形態と同様に構成される部分については、同符号を付して説明を省略する。
本第5の実施の形態は、ヘッドレスト411とシートバック410との間に設けられた凹部425にマイクアレイ12が設けられる点等が、上記第1の実施の形態と異なる。
【0053】
図13は、第5の実施の形態における収音装置401の断面図である。
図13は、
図10のXI−XI断面を第5の実施の形態に適用した図である。
シート405は、収音装置401と、着座者が座る座部(不図示)とを備える。
収音装置401は、座部の後端から上方に延びる背もたれ部としてのシートバック410(シートバック及びヘッドレストの一方)と、ヘッドレスト411(シートバック及びヘッドレストの他方)と、収音手段としてのマイクアレイ12とを備える。
ヘッドレスト411は、ヘッドレストステー18,18を介し、シートバック410の上端に取り付けられる。
ヘッドレスト411は、着座者の後頭部に面するヘッドレスト着座面411aを前面に有する。
シートバック410は、着座者の背中に面して着座者が背中を当てることが可能なシートバック着座面410aを前面に有する。
【0054】
ヘッドレスト411の下端部とシートバック410の上端部との間には、後方側に凹む凹部425が設けられている。凹部425は、シートバック410の幅方向の中央部に設けられている。
詳細には、凹部425は、シートバック410の上端部に設けられたシートバック側凹部460(一方側凹部)と、ヘッドレスト411の下面411bとによって形成されている。
シートバック側凹部460は、上方及び前方に開口している。シートバック側凹部460は、後壁部460aと、上側に開口する上面開口部460bと、下壁部460cと、左右の側壁部460d,460dとを備える。
シートバック側凹部460の上面開口部460bは、ヘッドレスト411の下面411bによって上方から覆われて塞がれる。下面411bは、凹部425の上面部を構成する。
【0055】
シート405の上部に凹部425が設けられることで、シート405の前面には、凹部425の内部空間を前方に連通させる開口部429が形成されている。すなわち、凹部425は、開口部429の中に形成されている。開口部429は、前方のシートバック着座面410a側に開口している。
【0056】
凹部425は、シートバック410のクッション部材を貫通して前方に開口し、凹部425の開口部429は、上記クッション部材を覆うシートバック表皮417によって覆われている。
凹部425内には、マイクアレイ12が設けられる。詳細には、第1の収音手段31は、開口部429の近傍でヘッドレスト411の下面411bに設けられる。第1の収音手段31は下面411bから下向きに下壁部460c側へ延びる。
第2の収音手段32は、第1の収音手段31の後方で、下壁部460cに設けられる。
すなわち、第1の収音手段31及び第2の収音手段32は、凹部425内で前後方向に互いに位置が異なるように配列されている。
着座者側からの音声は、シートバック表皮417を透過してマイクアレイ12に届く。
【0057】
第5の実施の形態によれば、収音装置401は、シートバック410と、シートバック410に接続されるヘッドレスト411とを備え、シートバック410とヘッドレスト411との間に、シートバック着座面410a側に開口部429を備えた凹部425が形成され、凹部425は、シートバック410及びヘッドレスト411の一方であるシートバック410に形成されたシートバック側凹部460と、シートバック410及びヘッドレスト411の他方のヘッドレスト411とが合わさることで区画されており、2個以上の収音手段を有し、第1の収音手段31及び第2の収音手段32は、凹部425に配置され、第1の収音手段31と第2の収音手段32とは、前後方向に互いに位置が異なるように、すなわち、開口部429のうち最もシートバック着座面410aに近い部位からの距離が互いに異なるように配置されている。
これにより、第1の収音手段31と第2の収音手段32とが、音源である着座者から着座面に向かう方向において、音源との距離が互いに異なるため、音源からの音声を位相差がある状態で第1の収音手段31と第2の収音手段32とによって検出できる。このため、位相差を利用した音声の指向性制御により、着座者側からの音声に対する収音手段の感度を上げることができ、着座者側からの音声を良好に収音可能できる。さらに、第1の収音手段31と第2の収音手段32とが凹部425に配置されるため、着座者側とは異なる方向から来る音声が第1の収音手段31と第2の収音手段32に届くことを防止でき、着座者側からの音声を良好に収音できる。
【0058】
また、シートバック側凹部460が上面開口部460bを有するため、第1の収音手段31をヘッドレスト411の下面411bに設けた場合であっても、第1の収音手段31がシートバック410の上面とヘッドレスト411との間に挟まれて圧縮されることを防止でき、配置の自由度が向上する。
さらに、第1の収音手段31及び第2の収音手段32の一方である第2の収音手段32は、シートバック側凹部460に設けられ、第1の収音手段31及び第2の収音手段32の他方である第1の収音手段31は、シートバック410及びヘッドレスト411の他方であるヘッドレスト411に設けられる。これにより、第1の収音手段31及び第2の収音手段32をシートバック410及びヘッドレスト411に分けて配置できるため、配置のためのスペースを大きく確保でき、収音手段のレイアウトの自由度が向上する。
【0059】
図14は、第5の実施の形態における第1の収音手段31及び第2の収音手段32の配置のバリエーションの一例を示す断面図である。
図14に示すように、第1の収音手段31の後方に配置される第2の収音手段32を、ヘッドレスト411の下面411bに配置し、第1の収音手段31及び第2の収音手段32の両方を下面411bに配置しても良い。
【0060】
なお、上記第5の実施の形態では、シートバック410に一方側凹部であるシートバック側凹部460が設けられる構成を例に挙げて説明したが、これに限らず、ヘッドレスト411の下端部に一方側凹部を形成する構成としても良い。また、シートバック410のシートバック側凹部460に加えて、ヘッドレスト411の下端部に、例えば
図8の凹部125のような他方側凹部を設け、この他方側凹部とシートバック側凹部460とで形成される凹部にマイクアレイ12を配置する構成としても良い。すなわち、凹部は、シートバック410及びヘッドレスト411の少なくとも一方に形成された一方側凹部と、シートバック410及びヘッドレスト411の他方とが合わさることで区画される。