(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
一対の前記第1回避クランプの間隔及び一対の前記第2回避クランプの間隔は、前記最小ピッチの1.5倍以下にそれぞれ設定されている請求項1に記載のパンチプレス。
前記キャリッジにおける前記第1回避クランプと前記第2回避クランプとの間に設けられ、ワークのY軸方向の端部におけるX軸方向の中央側を把持し、少なくとも把持部分が前記オーバライド領域に対する侵入を回避できるように構成された補助回避クランプを具備したことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のパンチプレス。
X軸方向の一端側の前記第1回避クランプは、ワークのY軸方向の端部におけるX軸方向の一端面の近傍を把持するようになっており、X軸方向の他端側の前記第2回避クランプは、ワークのY軸方向の端部におけるX軸方向の他端面の近傍を把持するようになっていることを特徴とする請求項1から請求項3のうちのいずれか1項に記載のパンチプレス。
パンチプレスの加工位置に対してX軸方向及びY軸方向へ移動可能なキャリッジと、前記キャリッジに設けられかつ少なくとも把持部分が前記加工位置周辺のオーバライド領域に対する侵入を回避できるように構成された一対の第1回避クランプと、前記キャリッジにおける前記第1回避クランプにX軸方向に離隔した位置に設けられかつ少なくとも把持部分が前記オーバライド領域に対する侵入を回避できるように構成された一対の第2回避クランプとを具備した回避型のワーク位置決め装置の段取りを行うための段取り方法であって、
一対の前記第1回避クランプをワークのY軸方向の端部におけるX軸方向の一端側を把持するための前記キャリッジ上における配置位置に配置すると共に、一対の前記第2回避クランプをワークのY軸方向の端部におけるX軸方向の他端側を把持するための前記キャリッジ上における配置位置に配置し、
一対の前記第1回避クランプの間隔及び一対の前記第2回避クランプの間隔を、前記オーバライド領域に対して一対の前記第1回避クランプの把持部分又は一対の前記第2回避クランプの把持部分を同時に回避させないための最小ピッチ以上であって、かつ一対の前記第1回避クランプ及び一対の前記第2回避クランプを含む複数のクランプを前記キャリッジにX軸方向に等間隔に配置した場合における配置ピッチ未満にそれぞれ設定することを特徴とする段取り方法。
一対の前記第1回避クランプの間隔及び一対の前記第2回避クランプの間隔を、前記最小ピッチの1.5倍以下にそれぞれ設定することを特徴とする請求項5に記載の段取り方法。
前記ワーク位置決め装置は、前記キャリッジにおける前記第1回避クランプと前記第2回避クランプの間に設けられかつ少なくとも把持部分が前記オーバライド領域に対する侵入を回避できるように構成された補助回避クランプを具備し、
前記補助回避クランプをワークのY軸方向の端部におけるX軸方向の中央側を把持するための前記キャリッジ上における配置位置に配置することを特徴とする請求項5又は請求項6に記載の段取り方法。
X軸方向の一端側の前記第1回避クランプをワークのY軸方向の端部におけるX軸方向の一端面の近傍を把持するための前記キャリッジ上における配置位置に配置すると共に、X軸方向の他端側の前記第2回避クランプをワークのY軸方向の端部におけるX軸方向の他端面の近傍を把持するための前記キャリッジ上における配置位置に配置することを特徴とする請求項5から請求項7のうちのいずれか1項に記載の段取り方法。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明の実施形態について図面を参照して説明する。なお、本願の明細書及び特許請求の範囲において、「設けられる」とは、直接的に設けられることの他に、別部材を介して間接的に設けられることを含む意であって、「備えられる」と同義である。「備える」とは、直接的に備えることの他に、別部材を介して間接的に備えることを含む意であって、「設ける」と同義である。「X軸方向」とは、水平方向の1つであり、本発明の実施形態にあっては、左右方向のことである。「Y軸方向」とは、X軸方向に直交する水平方向の1つであり、本発明の実施形態にあっては、前後方向のことである。また、図面中、「FF」は、前方向、「FR」は、後方向、「L」は、左方向、「R」は、右方向、「U」は、上方向、「D」は、下方向をそれぞれ指している。
【0018】
(本発明の第1実施形態)
図1から
図3に示すように、本発明の第1実施形態に係るタレットパンチプレス1は、パンチ金型3とダイ金型5との協働により加工位置Pにて板状のワークWのパンチ加工(打ち抜き加工及び成形加工を含む)を行うパンチプレスの1つである。また、タレットパンチプレス1は、加工機本体(加工機ベース)7を具備しており、加工機本体7は、上下に対向した上部フレーム9と下部フレーム11を有したブリッジ型の本体フレーム13と、下部フレーム11の左右両側にそれぞれ設けられた支持フレーム15とを有している。
【0019】
タレットパンチプレス1は、加工機本体7の適宜位置に、ワークWをX軸方向及びY軸方向へ移動可能に支持するテーブルユニット17を具備している。そして、テーブルユニット17の具体的な構成は、次の通りである。
【0020】
下部フレーム11は、その適宜位置に、ワークWをX軸方向及びY軸方向へ移動可能に支持するセンタ固定テーブル19を備えている。また、各支持フレーム15は、センタ固定テーブル19にX軸方向に隣接する位置に、ワークWをX軸方向へ移動可能に支持する可動テーブル21を備えており、各可動テーブル21は、Y軸方向へ移動可能である。更に、各支持フレーム15は、可動テーブル21にX軸方向に隣接する位置に、ワークWをX軸方向及びY軸方向へ移動可能に支持するサイド固定テーブル23を備えている。なお、センタ固定テーブル19、各可動テーブル21、及び各サイド固定テーブル23は、それらの上面に、ワークWを支持するための多数のブラシ(図示省略)及び複数のフリーボールベアリング(図示省略)をそれぞれ有している。
【0021】
タレットパンチプレス1は、テーブルユニット17上においてワークWを加工位置Pに対してX軸方向及びY軸方向へ位置決めする回避型のワーク位置決め装置(ワーク位置決めユニット)25を具備している。なお、回避型のワーク位置決め装置25の具体的な構成の詳細については、後述する。
【0022】
タレットパンチプレス1は、加工機本体7の適宜位置に、ワークWのパンチ加工を行うためのパンチ加工部(パンチ加工ユニット)27を具備している。そして、パンチ加工部27の具体的な構成は、次の通りである。
【0023】
上部フレーム9は、その後部に、パンチ径の異なるパンチ金型3を含む複数のパンチ金型3を保持する円形状の上部タレット29を回転可能に備えている。上部タレット29は、その回転によって任意のパンチ金型3を加工位置Pに割り出し可能に構成されている。また、下部フレーム11は、上部タレット29に上下に対向する位置に、ダイ径の異なるダイ金型5を含む複数のダイ金型5を保持する円形状の下部タレット31を回転可能に備えている。下部タレット31は、その回転によって任意のダイ金型5を加工位置Pに割り出し可能に構成されている。そして、本体フレーム13は、その適宜位置に、上部タレット29及び下部タレット31を同期して回転させるためのタレット用回転モータ(図示省略)を備えている。
【0024】
上部フレーム9は、上部タレット29の上方に、ラム33を昇降可能(上下方向へ移動可能)に備えている。また、上部フレーム9は、その内部の適宜位置に、ラム33を昇降させるための油圧式のラム用昇降シリンダ(図示省略)又はラム用昇降モータ(図示省略)を備えている。そして、ラム33は、その下側に、加工位置Pに割り出した任意のパンチ金型3を上方向から打圧するストライカ35を備えている。ストライカ35は、上部タレット29の径方向へ位置調節可能に構成されている。
【0025】
前述の構成により、回避型のワーク位置決め装置25によってワークWを加工位置Pに対してX軸方向及びY軸方向へ位置決めする。また、タレット用回転モータの駆動により上部タレット29及び下部タレット31を同期して回転させることにより、所定のパンチ金型3及び所定のダイ金型5を加工位置Pに割り出す。そして、油圧式のラム用昇降シリンダ等の駆動によりラム33を下降させることにより、ストライカ35によって所定のパンチ金型3を上方向から打圧する。これにより、所定のパンチ金型3と所定のダイ金型5の協働により加工位置PにてワークWのパンチ加工を行うことができる。
【0026】
続いて、本発明の第1実施形態に係る回避型のワーク位置決め装置25の構成の詳細について説明する。
【0027】
一対の可動テーブル21は、それらの後部に亘って、X軸方向へ延びたキャリッジベース37を備えており、キャリッジベース37は、加工位置Pに対して一対の可動テーブル21と一体的にY軸方向へ移動可能である。また、上部フレーム9は、その後部に、キャリッジベース37を一対の可動テーブル21と一体的にY軸方向へ移動させるためのY軸サーボモータ39を備えている。上部フレーム9は、その適宜位置に、Y軸方向へ延びたY軸ボールネジ41を回転可能に備えており、Y軸ボールネジ41は、Y軸サーボモータ39の出力軸に連動連結されている。キャリッジベース37は、その上部に、Y軸ボールネジ41に螺合したナット部材43を備えている。
【0028】
キャリッジベース37は、その前側(正面側)に、X軸方向へ延びた一対のキャリッジガイド45(
図7参照)を備えている。一対のキャリッジガイド45は、それらの間に、キャリッジ47をX軸方向へ移動可能に備えている。換言すれば、キャリッジ47は、キャリッジベース37の前側に一対のキャリッジガイド45を介してX軸方向へ移動可能に設けられている。キャリッジ47は、加工位置Pに対してキャリッジベース37等を介してX軸方向及びY軸方向へ移動可能である。また、キャリッジベース37は、その適宜位置に、キャリッジ47をX軸方向へ移動させるためのX軸サーボモータ49を備えている。キャリッジベース37は、その内部に、X軸方向へ延びたX軸ボールネジ51を回転可能に備えており、X軸ボールネジ51は、X軸サーボモータ49の出力軸に連動連結されている。キャリッジ47は、その適宜位置に、X軸ボールネジ51に螺合したナット部材53を備えている。
【0029】
図3から
図7に示すように、キャリッジ47は、その前側に、X軸方向へ延びたクランプガイド55を備えている。クランプガイド55は、その前側に、ワークのY軸方向の端部(後端部)におけるX軸方向の一端側(右端側)を把持する一対の第1回避クランプ57をX軸方向へ移動可能に備えている。換言すれば、一対の第1回避クランプ57は、キャリッジ47の前側にクランプガイド55を介してX軸方向へ移動可能に設けられている。X軸方向の一端側(右端側)の第1回避クランプ57は、ワークWのY軸方向の端部におけるX軸方向の一端面(右端面)の近傍を把持するようになっている。この場合、ワークWのオーバーハング量を小さくするためには、ワークWのY軸方向の端部におけるX軸方向の一端面のより近い位置を把持することが好ましい。また、各第1回避クランプ57の把持部分57gは、そのY軸方向(後方向)のキャリッジ47に対する移動によって、加工位置P周辺のオーバライド領域OA(
図3参照)に対する侵入を回避できるように構成されている。
【0030】
クランプガイド55は、その前側におけるX軸方向に離隔した位置に、ワークのY軸方向の端部(後端部)におけるX軸方向の他端側(左端側)を把持する一対の第2回避クランプ59をX軸方向へ移動可能に備えている。換言すれば、一対の第2回避クランプ59は、キャリッジ47の前側における第1回避クランプ57にX軸方向に離隔した位置にクランプガイド55を介してX軸方向へ移動可能に設けられている。X軸方向の他端側(左端側)の第2回避クランプ59は、ワークWのY軸方向の端部におけるX軸方向の他端面(左端面)の近傍を把持するようになっている。この場合、ワークWのオーバーハング量を小さくするためには、ワークWのY軸方向の端部におけるX軸方向の他端面のより近い位置を把持することが好ましい。また、各第2回避クランプ59の把持部分59gは、そのY軸方向のキャリッジ47に対する移動によって、オーバライド領域OAに対する侵入を回避できるように構成されている。
【0031】
ここで、例えば第1回避クランプ57等の回避クランプが4つの場合は、ワークWのY軸方向の端部におけるX軸方向の一端側及び他端側とは、ワークWのX軸方向の一端面及び他端面からワークのX軸方向の全長(全幅)のそれぞれ35%の範囲のことをいう。
【0032】
オーバライド領域OAとは、打ち抜き時等のパンチ金型3(
図1参照)の下降時又はワークWの位置決め時に第1回避クランプ57等と加工位置Pに割り出したパンチ金型3との干渉を招く干渉領域と、パンチ加工時に加工位置P周辺のダイ金型5によってワークWの腰折れを招く腰折れ領域を含む意である。なお、オーバライド領域OAは、デッドゾーン領域と称される場合もある。干渉領域は、第1回避クランプ57の把持部分57g等にパンチ金型3による打ち抜き穴等の損傷を招く危険領域を含んでおり、パンチ金型3のパンチ径等によって可変し、腰折れ領域よりも小さくなっている。本発明の実施形態のように、タレットパンチプレス1の稼動時に干渉領域と腰折れ領域が存在する場合には、腰折れ領域がオーバライド領域になる。なお、オーバライド領域OAに対する第1回避クランプ57の把持部分57g等の近接の有無は、例えば、特許第4521095号公報、特許第3462913号公報、特開2002−172436号公報、特開2000−167733号公報、特開平11−319996号公報等に記載の公知技術を用いて判定する。
【0033】
一対の第1回避クランプ57の間隔T及び一対の第2回避クランプ59の間隔Sは、所定の最小ピッチ以上にそれぞれ設定されている。また、一対の第1回避クランプ57の間隔T及び一対の第2回避クランプ59の間隔Sは、所定の配置ピッチ未満でかつ所定の最小ピッチの1.5倍以下にそれぞれ設定されている。
【0034】
ここで、一対の第1回避クランプ57の間隔Tとは、一対の第1回避クランプ57の把持部分57gの中心間距離のことをいう。一対の第2回避クランプ59の間隔Sとは、一対の第2回避クランプ59の把持部分59gの中心間距離のことをいう。なお、本発明の実施形態にあっては、一対の第1回避クランプ57の間隔Tと一対の第2回避クランプ59の間隔Sは、同じ間隔である。
【0035】
所定の最小ピッチとは、オーバライド領域OAに対して一対の第1回避クランプ57の把持部分57g又は一対の第2回避クランプ59の把持部分59gを同時に回避させないための最小ピッチのことである。具体的には、所定の最小ピッチとは、パンチ加工中における最大のオーバライド領域OAのX軸方向の長さに第1回避クランプ57の把持部分57g又は第2回避クランプ59の把持部分59gのX軸方向の幅を加えた長さのことである。所定の配置ピッチとは、一対の第1回避クランプ57及び一対の第2回避クランプ59を含む複数のクランプをキャリッジ47にX軸方向に等間隔に配置すると仮定した場合における配置ピッチのことをいう。
【0036】
なお、X軸方向に等間隔に配置とは、具体的には、第1回避クランプ57等の回避クランプが4つの場合には、ワークWのX軸方向の両端側(一端側及び他端側)に回避クランプをそれぞれ配置し、ワークWのX軸方向の両端側の2つの回避クランプ間を3等分する位置に残りの2つの回避クランプをそれぞれ配置することを示す。また、回避クランプが5つの場合には、ワークWのX軸方向の両端側の2つの回避クランプ間を4等分する位置に残りの3つの回避クランプをそれぞれ配置することを示す。更に、回避クランプが増えた場合も、同様である。
【0037】
また、ワークWのオーバーハング量を小さくして、ワークWの振れを抑えて加工精度を高めるには、一対の第1回避クランプ57の間隔T等を所定の最小ピッチに設定することが理想的である。一方、加工するワークWのX軸方向の寸法は様々であり、一対の第1回避クランプ57の間隔T等を所定の配置ピッチに設定すると、X軸方向の寸法の小さいワークWではオーバーハング量が大きくならないが、X軸方向の寸法の大きいワークWとして一般的によく使用されるは定尺材(3フィート×6フィート、4フィート×8フィート、5フィート×10フィート)ではオーバーハング量が大きくなり、加工精度を維持できない場合がある。そこで、ワークWとしての定尺材を加工する際に、ある程度の加工精度を維持するために、一対の第1回避クランプ57の間隔T等を所定の最小ピッチ以上であってかつ所定の最小ピッチの1.5倍以下に設定することが望ましい。
【0038】
前述のように、一対の第1回避クランプ57は、キャリッジ47の前側にクランプガイド55を介してX軸方向へ移動可能に設けられている。そして、各第1回避クランプ57における複数の構成要素の具体的な内容は、次の通りである。
【0039】
図7から
図9に示すように、クランプガイド55は、その前側に、クランプベース61を備えており、クランプベース61は、その上部に、X軸方向に対向した一対の支持ブロック部61aを有している。また、クランプベース61は、一対の支持ブロック部61aの間に、クランプシリンダ63を備えており、クランプシリンダ63は、クランプベース61に対して僅かに昇降可能である。
【0040】
クランプシリンダ63は、クランプベース61に設けられたクランプシリンダ本体65を具備しており、クランプシリンダ本体65は、その内部に、シリンダ室67を有している。また、クランプシリンダ本体65は、シリンダ室67に、ピストン69を昇降可能(上下方向へ移動可能)に備えている。ピストン69は、シリンダ室67を上部シリンダ室67aと下部シリンダ室67bに上下に区画している。下部シリンダ室67bは、エア等の流体によって加圧された加圧状態と、外部に開放した開放状態とに切り替え可能である。
【0041】
クランプシリンダ本体65は、下部シリンダ室67bに、ピストン69を下方向へ付勢するコイルスプリング71を備えている。また、ピストン69は、その下面に、ピストンロッド73を一体的に備えており、ピストンロッド73は、クランプシリンダ本体65から下方向へ突出している。ピストンロッド73は、その先端部に、T字形状のガイド溝73gを有している。
【0042】
クランプシリンダ本体65は、その下側に、クランププレート75を備えており、クランププレート75は、U字形状(U字環)に形成されている。クランププレート75は、クランプシリンダ本体65に対して離脱不能でかつY軸方向へ移動可能である。また、クランププレート75は、その先端側の下部に、下部クランプジョー77を備えている。クランププレート75は、その内側に、下部クランプジョー77と協働してワークWのY軸方向の端部を把持する上部クランプジョー79を備えており、上部クランプジョー79は、揺動軸81を介して開閉方向へ揺動可能である。
【0043】
ピストンロッド73は、そのガイド溝73gに、断面T字形状の接続ロッド83を備えており、接続ロッド83の基端部(上端部)は、ピストンロッド73のガイド溝73gに対してY軸方向へ移動可能かつ着脱可能である。また、接続ロッド83の先端部(下端部)は、上部クランプジョー79の基端部に長穴(図示省略)等を介して相対的に移動可能に連結されている。
【0044】
前述の構成により、下部シリンダ室67bを加圧状態に切り替えることにより、上部クランプジョー79と下部クランプジョー77との協働によりワークWのY軸方向の端部を把持することができる。また、下部シリンダ室67bを開放状態に切り替えることにより、上部クランプジョー79と下部クランプジョー77による把持状態を解除することができる。ここで、下部クランプジョー77と上部クランプジョー79は、第1回避クランプ57の把持部分57gに相当する。
【0045】
クランプシリンダ本体65は、その側部に、L字形状のブラケット85を備えている。ブラケット85は、その適宜位置に、第1回避クランプ57の把持部分57gをオーバライド領域OA(
図3参照)に対する侵入を回避させるための回避モータ87を備えている。回避モータ87は、その出力軸に、ピニオン89を一体的に備えており、クランププレート75は、その側部に、Y軸方向(前後方向)へ延びかつピニオン89に噛合したラック部材91を備えている。
【0046】
前述の構成により、上部クランプジョー79を
図7において二点鎖線の状態から実線の状態になるように開方向へ揺動させ、回避モータ87の駆動によりピニオン89を一方向へ回転させる。すると、クランププレート75がピニオン89とラック部材91の噛合作用によって
図7において実線の状態から二点鎖線の状態になるように後方向へ移動する。これにより、
図8において二点鎖線で示すように、第1回避クランプ57の把持部分57gが後方向へクランププレート75と一体的に移動して、オーバライド領域OAへの侵入を回避することができる。なお、回避モータ87の駆動によりピニオン89を他方向へ回転させると、第1回避クランプ57の把持部分57gが元の位置に復帰する。
【0047】
図6から
図9に示すように、前述のように、クランプガイド55の前側におけるX軸方向に離隔した位置には、一対の第2回避クランプ59をX軸方向へ移動可能に設けられている。各第2回避クランプ59は、第1回避クランプ57と同様の構成を有している。また、各第2回避クランプ59における複数の構成要素のうち、第1回避クランプ57における構成要素と対応するものについては、図面中に同一の符号を付して、各第2回避クランプ59の構成の詳細については省略する。
【0048】
前述の構成より、第2回避クランプ59においても、クランプシリンダ63の駆動によりワークWのY軸方向の端部を把持し又は把持状態を解除することができる。ここで、第2回避クランプ59における下部クランプジョー77と上部クランプジョー79は、第2回避クランプ59の把持部分59gに相当する。
【0049】
また、第2回避クランプ59においても、回避モータ87の駆動によりピニオン89を一方向へ回転させることにより、第2回避クランプ59の把持部分59gが後方向へクランププレート75と一体的に移動して、オーバライド領域OAへの侵入を回避することができる。
【0050】
回避型のワーク位置決め装置25は、キャリッジ47上における一対の第1回避クランプ57の配置位置(X軸方向の配置位置)を自動的に変更する第1ポジショナ93を具備している。そして、第1ポジショナ93の具体的な構成は、次の通りである。
【0051】
図5、
図7、及び
図8に示すように、各第1回避クランプ57におけるクランプベース61は、その上側に、支持壁95を備えており、各支持壁95は、その上部に、X軸方向に離隔した一対の支持アーム部95aを有している。各支持壁95は、一対の支持アーム部95aの間に、第1回避クランプ57をキャリッジ47及びキャリッジベース37のいずれかに対して選択して固定する両ロッド型の第1ロックシリンダ97を備えている。
【0052】
各第1ロックシリンダ97は、一対の支持アーム部95aの間に設けられたロックシリンダ本体99を具備している。各ロックシリンダ本体99は、その内部に、シリンダ室101を有し、ピストン103をY軸方向(前後方向)へ移動可能に備えている。各ピストン103は、シリンダ室101を前部シリンダ室101aと後部シリンダ室101bを前後に区画している。前部シリンダ室101a及び後部シリンダ室101bは、エア等の流体によって加圧された加圧状態と、減圧状態(外部に開放した開放状態を含む)とにそれぞれ切り替え可能になっている。
【0053】
各ピストン103は、その前面(正面)に、ピストンロッド105を一体的に備えており、各ピストンロッド105は、ロックシリンダ本体99から前方向へ突出している。各ピストンロッド105は、その先端部(前端部)に、連結シャフト107及び一対のトグルリンク109等を介してクランプガイド55の上部を下方向へ押圧する押圧部材111を備えている。
【0054】
各ピストン103は、その後面(背面)に、他のピストンロッド113を一体的に備えている。各他のピストンロッド113の先端部(後端部)は、キャリッジベース37に固定した係止プレート115の端面を後方向へ押圧可能になっている。また、各ロックシリンダ本体99の後部に設けた係止爪117は、係止プレート115の端面側に係止可能になっている。
【0055】
第1ポジショナ93は、一対の第1ロックシリンダ97を同期駆動させるように連結するための第1連結配管119と他の第1連結配管121を有している。第1連結配管119の一端部は、一方の第1ロックシリンダ97における後部シリンダ室101bに接続されており、第1連結配管119の他端部は、他方の第1ロックシリンダ97における後部シリンダ室101bに接続されている。また、他の第1連結配管121の一端部は、一方の第1ロックシリンダ97における前部シリンダ室101aに接続されており、他の第1連結配管121の他端部は、他方の第1ロックシリンダ97における前部シリンダ室101aに接続されている。そして、いずれかの第1ロックシリンダ97、又は第1連結配管119と他の第1連結配管121との間には、前部シリンダ室101a及び後部シリンダ室101bを加圧状態と減圧状態とにそれぞれ切り替えるための第1バルブ等の第1切替部材(図示省略)が接続されている。
【0056】
前述の構成により、第1切替部材によって各後部シリンダ室101bを加圧状態にかつ各前部シリンダ室101aを減圧状態にそれぞれ同時に切り替えることにより、各第1回避クランプ57をキャリッジ47に対して同時に固定する。また、キャリッジベース37に対する各第1回避クランプ57の固定状態の解除も同時に行われる。
【0057】
一方、第1切替部材によって各前部シリンダ室101aを加圧状態にかつ各後部シリンダ室101bを減圧状態にそれぞれ同時に切り替えることにより、各第1回避クランプ57をキャリッジベース37に対して同時に固定する。また、キャリッジ47に対する各第1回避クランプ57の固定状態の解除も同時に行われる。
【0058】
従って、第1ロックシリンダ97の駆動により第1回避クランプ57をキャリッジベース37に対して固定した状態で、キャリッジ47をX軸方向に移動位置決めし、その後に、第1ロックシリンダ97の駆動により第1回避クランプ57をキャリッジ47に対して固定した状態に切り替えると、キャリッジ47に対する第1回避クランプ57のX軸方向の位置を変更することができる。
【0059】
また、第1連結配管119と他の第1連結配管121によって一対の第1ロックシリンダ97を同期駆動させるように連結しているため、各第1ロックシリンダ97の駆動によりキャリッジベース37又はキャリッジ47に対する各第1回避クランプ57の固定の切り替えを同時に行うことができる。つまり、キャリッジ47に対する各第1回避クランプ57のX軸方向の位置を変更は、第1連結配管119と他の第1連結配管121を設けるだけで、複雑な配管を用いることなく実現することができる。
【0060】
図6、
図7、及び
図8に示すように、回避型のワーク位置決め装置25は、キャリッジ47上における一対の第2回避クランプ59の配置位置(X軸方向の配置位置)を自動的に変更する第2ポジショナ123を具備している。第2ポジショナ123は、第2回避クランプ59をキャリッジ47及びキャリッジベース37のいずれかに対して選択して固定する一対の両ロッド型の第2ロックシリンダ125を有している。第2ロックシリンダ125が第1ロックシリンダ97と同様の構成を有する他、第2ポジショナ123は、第1ポジショナ93と同様の構成を有している。また、第2ポジショナ123における複数の構成要素のうち、第1ポジショナ93における構成要素と対応するものについては、図面中に同一の符号を付して、第2ポジショナ123の構成の詳細については省略する。
【0061】
第2ポジショナ123は、一対の第2ロックシリンダ125を同期駆動させるように連結するための第2連結配管127と他の第2連結配管129を有している。第2連結配管127の一端部は、一方の第2ロックシリンダ125における後部シリンダ室101bに接続されており、第2連結配管127の他端部は、他方の第2ロックシリンダ125における後部シリンダ室101bに接続されている。また、他の第2連結配管129の一端部は、一方の第2ロックシリンダ125における前部シリンダ室101aに接続されており、他の第2連結配管129の他端部は、他方の第2ロックシリンダ125における前部シリンダ室101aに接続されている。そして、いずれかの第2ロックシリンダ125、又は第2連結配管127と他の第2連結配管129との間には、前部シリンダ室101a及び後部シリンダ室101bを加圧状態と減圧状態とにそれぞれ切り替えるための第2バルブ等の第2切替部材(図示省略)が接続されている。
【0062】
前述の構成により、第2切替部材によって各後部シリンダ室101bを加圧状態にかつ各前部シリンダ室101aを減圧状態にそれぞれ同時に切り替えることにより、各第2回避クランプ59をキャリッジ47に対して同時に固定する。また、キャリッジベース37に対する各第2回避クランプ59の固定状態の解除も同時に行われる。
【0063】
一方、第2切替部材によって各前部シリンダ室101aを加圧状態にかつ各後部シリンダ室101bを減圧状態にそれぞれ同時に切り替えることにより、各第2回避クランプ59をキャリッジベース37に対して同時に固定する。また、キャリッジ47に対する各第2回避クランプ59の固定状態の解除も同時に行われる。
【0064】
従って、第1ロックシリンダ125の駆動により第2回避クランプ59をキャリッジベース37に対して固定した状態で、キャリッジ47をX軸方向に移動位置決めし、その後に、第2ロックシリンダ125の駆動により第2回避クランプ59をキャリッジ47に対して固定した状態に切り替えると、キャリッジ47に対する第2回避クランプ59のX軸方向の位置を変更することができる。
【0065】
また、第2連結配管127と他の第2連結配管129によって一対の第2ロックシリンダ125を同期駆動させるように連結しているため、各第2ロックシリンダ125の駆動によりキャリッジベース37又はキャリッジ47に対する各第2回避クランプ57の固定の切り替えを同時に行うことができる。つまり、キャリッジ47に対する各第2回避クランプ59のX軸方向の位置を変更は、第2連結配管127と他の第2連結配管129を設けるだけで、複雑な配管を用いることなく実現することができる。
【0066】
続いて、本発明の第1実施形態の作用及び効果について説明する。
【0067】
前述のように、各第1回避クランプ57をキャリッジ47に対して固定すると共に、キャリッジベース37に対する各第1回避クランプ57の固定状態を解除しておく。同様に、各第2回避クランプ59をキャリッジ47に対して固定すると共に、キャリッジベース37に対する各第2回避クランプ59の固定状態を解除しておく。そして、テーブルユニット17にワークWを搬入する。
【0068】
その後、一対の第1回避クランプ57によってワークWのY軸方向の端部におけるX軸方向の一端側をそれぞれ把持する。また、一対の第2回避クランプ59によってワークWのY軸方向の端部におけるX軸方向の他端側をそれぞれ把持する。そして、X軸サーボモータ49の駆動によりキャリッジ47をX軸方向へ移動させる。また、Y軸サーボモータ39の駆動によりキャリッジベース37をY軸方向へ移動させて、キャリッジ47をキャリッジベース37と一体的にY軸方向へ移動させる。これにより、ワークWをX軸方向及びY軸方向へキャリッジ47と一体的に移動させて、加工位置Pに対してX軸方向及びY軸方向へ位置決めすることができる。なお、ワークWをX軸方向及びY軸方向へ移動させる代わりに、X軸方向のみ又はY軸方向のみ移動させてもよい。
【0069】
前述のように、ワークWを加工位置Pに対してX軸方向及びY軸方向へ位置決めしながら、所定のパンチ金型3と所定のダイ金型5との協働により加工位置PにてワークWのパンチ加工を行う。パンチ加工の途中に、いずれかの第1回避クランプ57の把持部分57g又はいずれかの第2回避クランプ59の把持部分59gがオーバライド領域OAに近接すると、その把持状態を一旦解除して、後方向へ移動してオーバライド領域OAの侵入を回避する。なお、いずれかの第1回避クランプ57の把持部分57g又はいずれかの第2回避クランプ59の把持部分59gがオーバライド領域OAから離反すると、前方向へ移動して元の把持状態に復帰する。
【0070】
ここで、前述のように、各第1回避クランプ57の把持部分57g及び各第2回避クランプ59の把持部分59gがオーバライド領域OAに対する侵入を回避できるようにそれぞれ構成されている。これにより、クランプ代(把持代)を考慮することなく、ワークW内に製品(ワークWから取り出す製品)を配置する(割り付ける)ことができ、ワークWの歩留まりの向上を図ることができる。また、パンチ加工の途中に、ワークWの把持位置の変更(把持換え)をしなくても、パンチ金型3と第1回避クランプ57の把持部分57g又は第2回避クランプ59の把持部分59gとの干渉を回避することができ、パンチ加工の加工時間の短縮化を図ることができる。
【0071】
また、前述のように、一対の第1回避クランプ57の間隔T及び一対の第2回避クランプ59の間隔Sが所定の最小ピッチ以上にそれぞれ設定されている。これにより、パンチ加工の途中に、一対の第1回避クランプ57のうちの両方の把持部分57g又は一対の第2回避クランプ59のうちの両方の把持部分59gがオーバライド領域OAに対して同時に回避することがなくなる。換言すれば、パンチ加工中、一対の第1回避クランプ57のうちのいずれかの把持部分57g又は一対の第2回避クランプ59のうちのいずれかの把持部分59gの把持状態を維持することができる。
【0072】
更に、前述のように、一対の第1回避クランプ57の間隔T及び一対の第2回避クランプ59の間隔Sは、所定の配置ピッチ未満でかつ所定の最小ピッチの1.5倍以下にそれぞれ設定されている。これにより、パンチ加工中に、X軸方向の一端側の第1回避クランプ57の把持部分57g又はX軸方向の他端側の第2回避クランプ59の把持部分59gがオーバライド領域OAに対して回避した際における、ワークWのオーバーハング量M(
図4参照)を小さくできる。
【0073】
従って、本発明の第1実施形態によれば、前述のように、ワークWの歩留まりの向上及びパンチ加工の加工時間の短縮化を図ることができる。そして、パンチ加工中、いずれかの第1回避クランプ57の把持部分57g又はいずれかの第2回避クランプ59の把持部分59gの把持状態を維持することができる。また、パンチ加工中に、X軸方向の一端側の第1回避クランプ57の把持部分57g又はX軸方向の他端側の第2回避クランプ59の把持部分59gがオーバライド領域OAに対して回避した際における、ワークWのオーバーハング量Mを小さくできる。よって、本発明の第1実施形態によれば、ワークWの歩留まりの向上及びパンチ加工の加工時間の短縮化を図った上で、パンチ加工中におけるワークWの振れを抑えて、パンチ加工の加工精度を高めることができる。
【0074】
(第1実施形態の変形例)
本発明の第1実施形態に係る回避型のワーク位置決め装置25の構成の一部について、回避型のワーク位置決め装置25の段取りを行うための段取り方法として捉えることができる。
【0075】
具体的には、本発明の第1実施形態の変形例に係る段取り方法においては、一対の第1回避クランプ57を、X軸方向の一端側(右端側)の第1回避クランプ57がワークWのY軸方向の端部(一端部)におけるX軸方向の一端側(右端側)の近傍を把持するためのキャリッジ47上における配置位置(X軸方向の配置位置)に配置する。
【0076】
また、本発明の第1実施形態の変形例に係る段取り方法においては、一対の第2回避クランプ59を、X軸方向の他端側(左端側)の第2回避クランプ59がワークWのY軸方向の端部におけるX軸方向の他端側(左端側)の近傍を把持するためのキャリッジ47上における配置位置に配置する。
【0077】
ここで、一対の第1回避クランプ57の間隔T及び一対の第2回避クランプ59の間隔Sを所定の最小ピッチ以上にそれぞれ設定する。また、一対の第1回避クランプ57の間隔T及び一対の第2回避クランプ59の間隔Sを所定の配置ピッチ未満でかつ所定の最小ピッチの1.5倍以下の間隔にそれぞれ設定する。
【0078】
そして、本発明の第1実施形態の変形例においても、本発明の第1実施形態と同様の作用及び効果を奏する。
【0079】
(第2実施形態)
図7、
図10、及び
図11に示すように、本発明の第2実施形態に係る回避型のワーク位置決め装置131は、本発明の第1実施形態に係る回避型のワーク位置決め装置25と同様の構成を有している。以下、回避型のワーク位置決め装置131の構成のうち、回避型のワーク位置決め装置25と異なる構成について説明する。なお、回避型のワーク位置決め装置131における複数の構成要素のうち、回避型のワーク位置決め装置25における構成要素と対応するものについては、図面中に同一符号を付してある。
【0080】
クランプガイド55は、その前側における第1回避クランプ57と第2回避クランプ59との間に、ワークのY軸方向の端部(一端部)におけるX軸方向の中央側を把持する補助回避クランプ133をX軸方向へ移動可能に備えている。また、補助回避クランプ133は、第1回避クランプ57等と同様の構成を有しており、補助回避クランプ133の把持部分133gは、そのY軸方向(後方向)のキャリッジ47に対する移動によって、オーバライド領域OA(
図3参照)に対する侵入を回避できるように構成されている。
【0081】
ここで、ワークWのY軸方向の端部におけるX軸方向の中央側とは、ワークWのX軸方向の中心位置の左右近傍のことをいう。ワークWを安定して加工するためには第1回避クランプ57等をワークW全体にバランスよく配置することが好ましく、その点を考慮すると、補助回避クランプ133の配置位置としてはワークWのX軸方向の中心位置からワークのX軸方向の全長(全幅)の±15%の範囲に設定することが望ましい。
【0082】
前述の構成により、補助回避クランプ133においても、クランプシリンダ63の駆動によりワークWのY軸方向の端部を把持し又は把持状態を解除することができる。ここで、補助回避クランプ133における下部クランプジョー77と上部クランプジョー79は、補助回避クランプ133の把持部分133gに相当する。
【0083】
また、補助回避クランプ133においても、回避モータ87の駆動によりピニオン89を一方向へ回転させることにより、補助回避クランプ133の把持部分133gが後方向へクランププレート75と一体的に移動して、オーバライド領域OAに対する侵入を回避することができる。
【0084】
回避型のワーク位置決め装置131は、キャリッジ47上における補助回避クランプ133の配置位置(X軸方向の配置位置)を自動的に変更する補助ポジショナ135を具備している。補助ポジショナ135は、補助回避クランプ133をキャリッジ47及びキャリッジベース37のいずれかに対して選択して固定する両ロッド型の補助ロックシリンダ137を有している。補助ロックシリンダ137が第1ロックシリンダ97等と同様の構成を有する他、補助ポジショナ135は、第1ポジショナ93等と同様の構成を有している。
【0085】
従って、補助ロックシリンダ137の駆動により補助回避クランプ133をキャリッジベース37に対して固定した状態で、キャリッジ47をX軸方向に移動位置決めし、その後に、補助ロックシリンダ137の駆動により補助回避クランプ133をキャリッジ47に対して固定した状態に切り替えると、キャリッジ47に対する補助回避クランプ133のX軸方向の位置を変更することができる。
【0086】
本発明の第2実施形態によれば、本発明の第1実施形態と同様の作用及び効果を奏する他に、次のような作用及び効果を奏する。
【0087】
前述のように、一対の第1回避クランプ57によってワークWのY軸方向の端部におけるX軸方向の一端側を把持しかつ一対の第2回避クランプ59によってワークWのY軸方向の端部におけるX軸方向の他端側を把持する。更に、補助回避クランプ133ワークのY軸方向の端部におけるX軸方向の中央側を把持する。これにより、回避型のワーク位置決め装置131によるワークWの保持状態をより安定させることができる。
【0088】
つまり、本発明の第2実施形態によれば、パンチ加工中におけるワークWの振れをより抑えて、パンチ加工の加工精度をより高めることができる。
【0089】
(本発明の第2実施形態の変形例)
本発明の第2実施実施形態に係る回避型のワーク位置決め装置131の構成の一部について、回避型のワーク位置決め装置131の段取りを行うための段取り方法として捉えることができる。本発明の第2実施形態の変形例に係る段取り方法は、本発明の第1実施形態の変形例に係る段取り方法と同様の構成を有しており、本発明の第1実施形態の変形例に係る段取り方法と異なる点についてのみ説明する。
【0090】
本発明の第2実施形態の変形例に係る段取り方法においては、補助回避クランプ133を、ワークWのY軸方向の端部におけるX軸方向の中央側を把持するためのキャリッジ47上における配置位置(X軸方向の配置位置)に配置する。
【0091】
そして、本発明の第2実施形態の変形例においても、本発明の第2実施形態と同様の作用及び効果を奏する。
【0092】
なお、本発明は、前述の実施形態の説明に限るものではなく、次のように種々の態様で実施可能である。
【0093】
即ち、例えば特開2014−128811号公報に示すように、稼動時に腰折れ領域が存在しないタレットパンチプレス(図示省略)においても、本発明の技術的思想を適用してもよく、この場合には、オーバライド領域OAが干渉領域になる。また、各第1回避クランプ57の把持部分57g等がそのY軸方向のキャリッジ47に対する移動の代わりに、例えば特許文献2、3等に示すように、その垂直な揺動軸心周りの揺動によってオーバライド領域OAに対する侵入を回避できるように構成されてもよい。更に、第1ポジショナ93等によってキャリッジ47上における一対の第1回避クランプ57等の配置位置を自動的に変更する代わりに、 キャリッジ47上における一対の第1回避クランプ57等の配置位置を手動的に変更してもよい。
【0094】
そして、本発明に包含される権利範囲は、前述の実施形態に限定されないものである。