(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。なお、以下の説明は本発明の一具体例であって、本発明は以下の態様に限定されるものではない。また、本発明は、各図に示す各構成要素の配置や寸法、寸法比などについても、それらに限定されるものではない。説明は以下の順序で行う。
1.一実施の形態
ロール紙を供給するための媒体供給ユニットを備えた画像形成装置。
2.その他の変形例
【0012】
<1.一実施の形態>
[概略構成]
図1は、本発明の一実施の形態に係る画像形成装置の全体構成例を表す模式図である。この画像形成装置は、例えば媒体(用紙、記録媒体、印刷媒体、転写材ともいう。)PMに対して画像(例えばカラー画像)を形成する、電子写真方式のプリンタである。
【0013】
この画像形成装置は、
図1に示したように、例えば媒体供給ユニットD1と画像形成ユニットD2とを備えている。媒体供給ユニットD1は、画像形成の対象物である上記の媒体PMが巻回されてなるロール(巻回構造体)MRを回転自在に保持し、印刷動作を行う際に下流の画像形成ユニットD2へ向けて媒体PMを送り出す機構である。この媒体供給ユニットD1は、本発明の「媒体供給ユニット」の一具体例に対応している。また、画像形成ユニットD2は、媒体供給ユニットD1から供給される媒体PM上に現像剤像(トナー像)を転写し、定着させるものである。この画像形成ユニットD2は、本発明の「画像形成ユニット」の一具体例に対応している。
【0014】
媒体供給ユニットD1は、例えば媒体供給部1と媒体導入部2と媒体搬送部3と媒体切断部4とを上流から下流へ向けて順に有している。画像形成ユニットD2は、書込みタイミング調整搬送部5と、画像形成部6および中間転写ユニット7と、定着部8と、排出搬送部9とを上流から下流へ向けて順に有している。
【0015】
媒体供給部1から供給される媒体PMは、媒体導入部2、媒体搬送部3、媒体切断部4、書込みタイミング調整搬送部5、画像形成部6および中間転写ユニット7、定着部8、排出搬送部9の順に搬送される。なお、本明細書では、媒体PMが進行する方向において、任意の位置から見て媒体PMの供給源となる媒体供給部1に近い位置を上流といい、媒体供給部1から遠い位置を下流という。また、本明細書では、媒体PMの進行方向と直交する方向(
図1の紙面に垂直な方向)を幅方向という。
【0016】
媒体供給部1は、ロールMRを保持すると共に媒体導入部2へ媒体PMを供給するものであり、媒体導入部2は、媒体供給部1のロールRMから繰り出された媒体PMを画像形成ユニットD2へ導入するものである。なお、媒体供給部1および媒体導入部2における各々の詳細の構成については後述する。
【0017】
媒体搬送部3には、上流から下流へ向けて例えば先端検出センサ301と繰り出しローラ対302と先端検出センサ303とが順に設けられている。先端検出センサ301,303は、媒体PMの先端を検出する位置検出用センサである。繰り出しローラ対302は、先端検出センサ301により媒体PMを検出すると駆動を開始し媒体Mを下流へ繰り出すものである。
【0018】
媒体切断部4は、固定刃401と回転刃402とローラ対403とを有している。媒体切断部4では、固定刃401に対し回転刃402が所定の方向へ回転することにより媒体PMが所定の長さで切断されるようになっている。ローラ対403は、回転により媒体PMを下流に位置する書込みタイミング調整搬送部5へ搬送するものである。
【0019】
媒体切断部4の下流に位置する書込みタイミング調整搬送部5は、中間転写ユニット7における2次転写ローラ707(後出)へタイミングを調整しつつ媒体PMを送り込むものである。書込みタイミング調整搬送部5は、例えばタイミング調整ローラ対501〜503と、先端検出センサ504とを上流から順に有している。タイミング調整ローラ対501〜503は、搬送速度およびタイミングを調整しつつ媒体PMを搬送する部材である。先端検出センサ504は、搬送される媒体PMの先端位置を検出するセンサである。
【0020】
画像形成部6は、中間転写ユニット7の上方に配置され、各色のトナー像を各々に形成する現像装置を有している。画像形成部6は、電子写真方式により、各色のトナー像を中間転写ユニット7の中間転写ベルト701(後出)の表面に形成する。
【0021】
中間転写ユニット7は、例えば中間転写ベルト701と、ドライブローラ702と、テンションローラ703と、2次転写バックアップローラ704と、1次転写ローラ705と、2次転写ローラ707とを有している。中間転写ベルト701は、例えばポリイミド樹脂などの樹脂材料からなる無端の弾性ベルトである。この中間転写ベルト701は、ドライブローラ702、テンションローラ703および2次転写バックアップローラ704などによって張設(張架)されている。ドライブローラ702は、駆動モータにより駆動され、中間転写ベルト701を所定の搬送方向Fへ回転させる部材である。テンションローラ703は中間転写ベルト701の回転に従動する従動ローラであり、コイルスプリングなどの付勢部材からの付勢力により中間転写ベルト701に対し張力を付与するように機能する。1次転写ローラ705は、中間転写ベルト701を挟んで画像形成部6と対向するように配置され、現像装置が形成するトナー像を中間転写ベルト701の表面に転写する際、所定の電圧を印加するものである。また、2次転写バックアップローラ704と2次転写ローラ707とは、画像形成部6と反対側(中間転写ユニット7の下部)において中間転写ベルト701を挟んで互いに対向するように配置され、2次転写部を形成する。2次転写バックアップローラ704および2次転写ローラ707は、中間転写ベルト701の表面に1次転写されたトナー像を、媒体PMに2次転写する。なお、中間転写ユニット7は、媒体PMへトナー像を2次転写する際、書込みタイミング調整搬送部5の機能を用い、画像形成部6が中間転写ベルト701上にトナー像を形成するタイミングとの同期を図るようにする。
【0022】
定着部8は、中間転写ユニット7の下流に設けられている。定着部8は、2次転写バックアップローラ704および2次転写ローラ707により構成される2次転写部から搬送される媒体PMに転写されたトナー像に対し、熱および圧力を印加し、そのトナー像を融解して媒体PMに定着されるものである。定着部8は、所定の圧力で圧接された一対のローラ801,802と、ローラ801に内蔵されてローラ801を加熱する熱源803と、ローラ802に内蔵されてローラ802を加熱する熱源804とを有している。熱源803,804は、例えばハロゲンランプである。
【0023】
排出搬送部9は、定着部8の下流に設けられ、搬送ローラ対901,902を有している。搬送ローラ対901,902は、定着部8から搬送された媒体PMを画像形成ユニットD2の外部へ排出するものである。
【0024】
[媒体供給部1および媒体導入部2の構成]
次に、
図2〜
図7Dを参照して、媒体供給部1および媒体導入部2の構成について詳細に説明する。
図2〜
図4は、それぞれ媒体供給ユニットD1の要部外観を表した正面図、斜視図および背面図であり、ロールMRが装着された状態を示している。
図5Aは、ロールMRが装着されていない状態の媒体供給ユニットD1の要部外観を表した斜視図である。
図5Bは、
図5Aに示したVB−VB線に沿った断面を表し、
図5Cは、
図5Aに示したVC−VC線に沿った断面を表している。
図6Aは、媒体導入部2の要部を表す正面図である。
図6Bは、媒体導入部2の要部をさらに拡大して表す正面図である。
図7Aは、媒体導入部2の他の要部における第1の状態を表す断面図であり、
図7Bは、媒体導入部2の他の要部における第2の状態を表す断面図である。
図7Cは、画像形成装置の運転時における媒体導入部2の態様を示す説明図であり、
図7Dは、画像形成装置の運転時における媒体導入部2の態様を示す説明図である。
【0025】
媒体供給部1は、ロールMRを保持すると共に媒体導入部2へ媒体PMを供給するものであり、シャフト11、ホルダ12、ガイド板13A,13B、ロック14、ベアリング15を有している。シャフト11は幅方向に延在し、固定部30(
図2〜
図4)に固定されたベアリング15によって軸J11を中心として回転可能に保持されている。ベアリング15により支持されたシャフト11は、ベアリング15の近傍を支点15Sとして、軸J11の水平方向に対する傾きが変化するようになっている。ロールMRは、例えばその回転中心となる紙管(コア)に、シャフト11に設けられたホルダ12(
図5A参照)が挿入されて保持されるようになっている。その際、ロールMRは、媒体PMにおけるトナー像が形成される被印刷面を例えば矢印Bの方向に向けるようにホルダ12にセットされる。一対のガイド板13A,13Bは、幅方向においてロールMRを挟んで対向するようにホルダ12の幅方向の両端に配置され、ロールMRから繰り出される媒体PMの端縁をガイドするように機能する。ロック14は、画像形成装置の運転時においてロールMRをホルダ12から外れないように固定する機構である。なお、シャフト11は、本発明の「第2のシャフト」に対応する一具体例である。ベアリング15は、本発明の「第2の保持部」に対応する一具体例である。
【0026】
媒体導入部2は、媒体供給部1のロールRMから繰り出された媒体PMを画像形成ユニットD2の媒体搬送部3へ導入するものであり、シャフト21、テンションローラ22、フィードローラ23、シャフト24、アーム25A,25B、ブラケット26、ベアリング28を有している。シャフト21は幅方向に延在し、固定部30に固定されたベアリング28によって軸J21を中心として回転可能に保持されている。なお、シャフト21は、ベアリング28の位置において分離可能に連結された2つの部分(先端部211および基部212)を有している。先端部211および基部212は、軸J21の方向において分離し、または連結するように構成されている。先端部211は、ベアリング28によって軸J21を中心として回転可能に保持されている。基部212は、固定部30に固定されたブラケット26、および後述のリンク板31により保持されている。ここで、画像形成装置の運転時においては、
図7Aに示したように、基部212の、先端部211と反対側の端部(シャフト21の基端21B)が、スプリング29により先端部211へ近づく方向(
図7Aにおいて矢印で示した左方向)へ付勢されるようになっている。スプリング29は、リンク板31の外面(テンションローラ22と反対側の面)31Sに固定されたキャップ36に取り付けられており、軸J21に沿って伸縮可能に設けられている。但し、画像形成装置の停止時(例えばロールMR交換時)においては、例えば
図7Bに示したように、
図7Aと逆方向(
図7Bにおいて矢印で示した右方向)へスプリング29の付勢力を上回る力を基部212に対し印加することにより、先端部211と基部212とを分離することができるようになっている。媒体導入部2は、このような機構を有することにより、例えば
図7Cに示した運転時においては先端部211と基部212とを連結(
図7A)してアーム25A,25Bおよびテンションローラ22を下方へ下げた状態とする一方、例えばロールMR交換時においては先端部211と基部212とを分離(
図7B)したのち、
図7Dに示したように、アーム25A,25Bおよびテンションローラ22を上方へ跳ね上げた状態とすることができる。
【0027】
ベアリング28により支持されたシャフト21は、ベアリング28の近傍を支点26Sとして、軸J21の水平方向に対する傾きが変化するようになっている。なお、シャフト21は、本発明の「第1のシャフト」に対応する一具体例である。ベアリング28は、本発明の「第1の保持部」に対応する一具体例である。また、シャフト24は、本発明の「第4のシャフト」に対応する一具体例である。
【0028】
テンションローラ22は、シャフト21の幅方向の一部の周囲を取り囲むように設けられ、媒体供給部1から送られてくる媒体PMと当接し、例えば鉛直方向下方に向けて媒体PMに対して所定の付勢力を付与する部材である。テンションローラ22には、例えばシャフト24を中心としたアーム25Aおよびアーム25Bの回転力により負荷が印加されるようになっている。テンションローラ22は、媒体供給部1とフィードローラ23との間において媒体PMに張力を与えることにより、媒体PMの弛みの発生を回避するように機能する。さらに、テンションローラ22は、媒体供給部1とフィードローラ23との間に介在することにより、フィードローラ23に対する媒体PMの姿勢を安定化するように機能する。すなわち、テンションローラ22が存在しないとすれば、媒体供給部1とフィードローラ23との間における媒体PMの張力やフィードローラ23に対する媒体PMの進入角度が逐次変化することとなる。媒体供給部1におけるロールMRの径は、その使用量に応じて逐次減少するためである。そこでテンションローラ22を用いて媒体PMにほぼ一定の張力を与えることにより、フィードローラ23に対する媒体PMの進入角度をほぼ一定に保つことができる。このような理由により、テンションローラ22は媒体PMの安定走行に寄与している。なお、テンションローラ22は、本発明の「第1の付勢部材」に対応する一具体例である。
【0029】
フィードローラ23は、一端が固定部30に回転可能に保持されたシャフト24を中心として回転する回転体であり、媒体供給部1からテンションローラ22を経て到達した媒体PMを媒体搬送部3へ供給する部材である。
【0030】
シャフト24は、固定部30に保持されている。アーム25Aおよびアーム25Bは、テンションローラ22を挟んで対向配置され、シャフト24に回転可能に保持された一端と、シャフト21を回転可能に保持する他端とをそれぞれ含んでいる(例えば
図3,5A,5C参照)。アーム25Aの他端において、シャフト21は、テンションローラ22が媒体PMを付勢する方向(例えば鉛直方向)に沿って移動可能に保持されている。すなわち、
図6Aおよび
図6Bに示したように、アーム25Aの他端において鉛直方向に伸びる長孔25AKが設けられており、その長孔25AKに略円形の断面を有するシャフト21の先端が挿通されている。これにより、長孔25AKの長手方向である鉛直方向上下にシャフト21の先端21Aが移動可能となっている。
【0031】
媒体供給ユニットD1には、リンク板31、シャフト32、スプリング34、ブラケット35がさらに設けられている。
【0032】
リンク板31は、シャフト11とシャフト21とを繋ぐ部材である。リンク板31は、固定部30に対するシャフト11の傾斜角の変化に応じて固定部30に対するシャフト21の傾斜角が変化するように、固定部30に対して変位可能に設けられた板状部材である。リンク板31は、例えば
図3および
図4に示したように、固定部30を挟んで媒体供給部1および媒体導入部2の双方と反対側に位置し、シャフト11の基端11Bおよびシャフト21の基端21Bをそれぞれ保持している。なお、リンク板31は、本発明の「リンク部材」に対応する一具体例である。
【0033】
シャフト32は、固定部30とリンク板31とを繋ぎ、固定部30に対しリンク板31を回動可能に保持する部材である。ここで、後出の
図9に示したように、リンク板31において、シャフト21とシャフト32との水平距離L21は、シャフト11とシャフト32との水平距離L11よりも大きいことが望ましい。また、シャフト11は、水平方向において、シャフト21シャフト32との間に位置することが望ましい。
図9は、リンク板31およびその近傍の外観および動作を表す背面図である。
【0034】
スプリング34は、水平方向においてシャフト32から離れた位置においてリンク板31の一部を例えば下方へ付勢する部材である。スプリング34は、例えば固定部30に固定された一端と、リンク板31の一部と当接する他端とを含む。スプリング34は、リンク板31を介してシャフト11の基端11Bおよびシャフト21の基端21Bを下方に付勢する。なお、スプリング34は、本発明の「第2の付勢部材」に対応する一具体例である。
【0035】
ブラケット35は、固定部30に固定され、シャフト32を回転可能に保持する部材である。
【0036】
[作用・効果]
(A.印刷動作)
この画像形成装置では、以下のようにして媒体PMへの印刷(トナー像の形成)を行う。
【0037】
具体的には、
図1に示したように、まず、ホルダ12に保持されたロールRMから引き出した媒体PMの先端を、テンションローラ22を経由して媒体投入口3Kに差し込むと、先端検出センサ301が媒体PMの先端を検出する。これにより繰り出しローラ対302が回転駆動を開始し、ロールMRから媒体PMが供給方向Aへ繰り出され、媒体PMが下流の媒体切断部4へ搬送される。なお、媒体PMの供給方向Aは、例えばテンションローラ22との接点において水平方向に対して所定の進入角度θ(
図1参照)をなすように設定されている。繰り出しローラ対302から繰り出された媒体PMの先端位置が先端検出センサ303により検出されると、ローラ対403が駆動する。媒体切断部4に搬送された媒体PMは任意の長さとなるように切断されたのち、ローラ対403の回転動作により、下流に位置する書込みタイミング調整搬送部5へさらに搬送される。書込みタイミング調整搬送部5に搬送された媒体PMは、適切なタイミングで2次転写バックアップローラ704と2次転写ローラ707とが対向する2次転写部へ搬送される。
【0038】
画像形成部6および中間転写ユニット7では、以下の電子写真プロセスによって、各色のトナー像が形成される。すなわち、例えば所定の印加電圧が供給される帯電ローラにより、感光ドラムの表面が一様に帯電させられる。次いで、感光ドラムの表面に向けてLEDヘッドから照射光が照射されて露光されることで、印刷パターンに応じた静電潜像が感光ドラム上に形成される。さらに、感光ドラム上の静電潜像に対して、現像ローラからトナーが付着される。感光ドラム上のトナー(トナー像)は、対向配置された1次転写ローラ705との間の電界によって中間転写ベルト701の表面へ転写される。さらに、2次転写部において、中間転写ベルト701の表面上のトナー像が媒体PMに転写される。
【0039】
そののち、媒体PM上のトナー(トナー像)は、定着部8において熱および圧力が付与されることで定着させられる。そして、トナーが定着された媒体PMは排出搬送部9を経由して画像形成ユニットD2の外部へ排出される。
【0040】
(B.媒体供給ユニットD1の動作・作用)
ホルダ12にロールRMを装着しない初期状態では、
図8Aに示したように、シャフト11が水平方向に維持された均衡状態となっている。一方、ホルダ12にロールRMを装着した状態では、
図8Bに示したように、シャフト11はベアリング15(支点15S)を起点としてリンク板31から遠ざかるほど、すなわち先端11Aに向かうほど下方へ向かうように傾斜している。一方、基端11Bは、ベアリング15(支点15S)を起点としてリンク板31へ近づくほど上方へ向かうように傾斜している。したがって、先端11Aの高さ位置よりも基端11Bの高さ位置のほうが高くなるように、シャフト11が水平方向11SSに対して傾斜角θ1だけ傾いている。このようにシャフト11が傾斜するのは、以下の理由による。支点15Sと先端11Aとの間にロールMRの重量Wが加わるので、シャフト11の基端11Bに下方から上方へ向かう力P11Aが加わる。その結果、シャフト11の先端11Aに加わる力P11とシャフト11の基端11Bに加わる力P34とのバランスが崩れた不均衡状態となり、基端11Bが変位量H11だけ変位するためである。
図8Aおよび
図8Bは、いずれも媒体供給部1の作用を説明するための概念図である。但し、
図8Aは均衡状態のシャフト11を表し、
図8Bは不均衡状態のシャフト11を表している。
【0041】
ホルダ12にロールRMを装着しない初期状態では、
図10Aに示したように、シャフト21およびテンションローラ22が水平方向に維持された水平状態となっている。なお
図10Aは、媒体導入部2の作用を説明するための概念図であって、初期状態のシャフト21を表している。
【0042】
ここで、媒体供給部1が不均衡状態、すなわちシャフト11が傾斜した状態にあるにも関わらず、媒体導入部2のテンションローラ22のシャフト21を水平方向とした状態のまま、媒体供給部1から繰り出した媒体PMをフィードローラ23へ搬送すると、媒体PMの斜行が発生してしまう。シャフト11とシャフト21とが幾何学的にねじれの関係となるので、媒体PMの幅方向における一端に印加される張力と、他端に印加される張力との差異が発生するからである。例えば、
図8Bに示したようにシャフト11において基端11Bよりも先端11Aが下がった状態のまま繰り出された媒体PMが、水平状態のテンションローラ22へ供給されると、ロールMRの先端11A側の位置からテンションローラ22に至るまでの媒体PM上の経路長が、ロールMRの基端11B側の位置からテンションローラ22に至るまでの媒体PM上の経路長よりも長くなる。したがって、ロールMRから繰り出された媒体PMのうち、より経路長の長い先端11A側に位置する部分において強い張力が生じる。このため、媒体PMは、テンションローラ22へ向かう際にシャフト11の先端11A側へ片寄るように斜行することとなる。
【0043】
そこで、シャフト11の傾斜角θ1に応じてテンションローラ22(シャフト21)も予め傾斜させておくことで、そのような媒体PMの斜行を回避するという方法も考えられる。しかしながらロールMRは、その媒体PMの使用量に応じて徐々に重量が減少することとなる。すなわち、
図2に示したように巻量の多いロールMR1と、巻量の少なくなったロールMR2とでは重量が異なる。したがって、傾斜角θ1(
図8B)は、ロールMRの巻量の変化(減少)に応じて変化(減少)することとなる。このため、傾斜角θ1とテンションローラ22(シャフト21)の傾き角との大小関係も変化するので、斜行の程度や向きも徐々に変化することとなってしまい、斜行を十分に抑制することが難しい場合がある。
【0044】
そこで本実施の形態の媒体供給ユニットD1では、リンク板31を採用している。ホルダ12にロールRMを装着しない初期状態では、上述したように、シャフト21およびテンションローラ22が水平方向に維持された水平状態となっている(
図10A)。このとき、テンションローラ22の自重などによって先端21Aに印加される荷重(力P21)と基端21Bに印加されるスプリング34による荷重(力P34)とが、支点26Sに対して釣り合った状態となっている。本実施の形態の媒体供給ユニットD1では、不均衡状態となると、リンク板31は、
図9に示したように、例えばシャフト32を中心として左回転することとなる。シャフト11の基端11Bが矢印Y11の方向へ例えば変位量H11だけ変位するからである。その結果、同じリンク板31に固定されたシャフト21の基端21Bも、リンク板31の回転動作により矢印Y21の方向へ変位量H21だけ変位する。ここで、シャフト21とシャフト32との水平距離L21は、シャフト11とシャフト32との水平距離L11よりも大きいので、変位量H21は変位量H11よりも大きい。
図10Bは、この不均衡状態のシャフト21を表している。リンク板31の回転動作により、基端21Bに対し下方から力P21Aが印加されるので、基端21Bが上方へ変位量H21だけ持ち上がる一方、先端21Aは下方へ変位する。したがって、シャフト21は水平方向21SSに対して傾斜角θ2だけ傾くこととなる。
【0045】
(C.効果)
このように本実施の形態の媒体供給ユニットD1では、リンク板31により媒体供給部1のシャフト11の傾斜と連動して媒体導入部2のシャフト21(テンションローラ22)の傾斜が生じるようになっている。したがって、ロールMRの先端11A側の位置からテンションローラ22に至るまでの媒体PM上の経路長と、ロールMRの基端11B側の位置からテンションローラ22に至るまでの媒体PM上の経路長との差を十分に低減することができる。その結果、媒体PMの幅方向における一端に印加される張力と、媒体PMの幅方向における他端に印加される張力との差を十分に低減することができる。その際、本実施の形態では、シャフト11の傾斜角θ1の変化に応じてシャフト21の傾斜角θ2も適切に変化するようになっている。このため、ロールMRの巻量(重量)の減少に応じて適切に幅方向の張力差を制御することができる。
【0046】
なお、例えば傾斜角θ2を傾斜角θ1よりも僅かに大きくすることにより、ガイド板13Bに近づくように媒体PMを片寄せすることができる。同様に、傾斜角θ2を傾斜角θ1よりも僅かに小さくすることにより、ガイド板13Aに近づくように媒体PMを片寄せすることができる。このように、傾斜角θ1と傾斜角θ2とを僅かに異ならせることで媒体PMを僅かに斜行させ、媒体PMの一端をガイド板13Aまたはガイド板13Bのいずれかと僅かに当接させつつより安定した媒体PMの走行を実現できる。その際、リンク板31により、傾斜角θ2と傾斜角θ1との差分を制御できるので、媒体PMの一端がガイド板13A,13Bに強くあたり過ぎて折れ曲がるなどの不具合は回避される。
【0047】
以上の理由により、本実施の形態の媒体供給ユニットD1によれば、媒体供給部1から繰り出される媒体PMの斜行が適切に制限され、より安定した媒体PMの供給を行うことができる。よって、この媒体供給ユニットD1を備えた画像形成装置によれば、媒体PMの所定の位置に、より良好な画像を形成することができる。
【0048】
<2.その他の変形例>
以上、いくつかの実施の形態を挙げて本発明を説明したが、本発明はこれらの実施の形態等に限定されず、種々の変形が可能である。
【0049】
例えば、上記実施の形態では、カラー画像を形成する画像形成装置について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば黒色のトナー像のみを転写し、モノクロ画像カラー画像を形成する画像形成装置であってもよい。
【0050】
また、上記実施の形態等では、光源として発光ダイオードを有するLEDヘッドを露光部として用いるようにしたが、例えばレーザ素子等を光源として用いてもよい。
【0051】
上記実施の形態では、ロールMRをホルダ12に装着しない状態、すなわち初期状態において、シャフト11の軸J11の方向およびシャフト21の軸J21の方向(テンションローラ22の外周面)をいずれも水平方向となるようにしたが、本願発明はこれに限定されない。すなわち初期状態において、シャフト11の軸J11の方向およびシャフト21の軸J21の方向は、水平方向に対して傾斜していてもよい。また、初期状態において、シャフト11の軸J11の方向とシャフト21の軸J21の方向とは実質的に平行であってもよいし、非平行であってもよい。
【0052】
また、上記実施の形態では、媒体導入部2がテンションローラ22を有し、媒体PMに対して所定の付勢力を付与するようにしたが、本発明では、テンションローラ22の代わりに、媒体PMの経路を案内するだけのガイドローラを用いるようにしてもよい。
【0053】
さらに、上記実施の形態等では、本発明における「画像形成ユニット」の一具体例として、印刷機能を有する画像形成装置について説明したが、これには限られない。すなわち、そのような印刷機能に加え、例えば、スキャン機能やファックス機能、あるいは画像表示機能を有する複合機として機能する画像形成ユニットにおいても、本発明を適用することが可能である。