(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
カメラと照明とを有し、前記照明から光を照射しつつ前記カメラにより撮像を行う撮像装置の前記カメラとは異なる他のカメラにより前記撮像装置を撮像した撮像画像を取得する画像取得部と、
前記撮像装置に生じうる互いに異なる複数の不良モードのそれぞれについて、当該不良モードが生じた際に前記画像取得部が取得した撮像画像に現れる特徴を示す参照情報を記憶する記憶部と、
前記画像取得部に撮像画像を取得させ、当該撮像画像に現れた前記特徴と前記参照情報とを対比することで前記撮像装置に生じた前記不良モードを前記複数の不良モードのうちから特定する不良モード特定処理を実行する制御部と
を備える不良モード特定装置。
前記撮像装置の前記照明は、それぞれ駆動信号の印加を受けて光を照射する複数の光源と、前記画像取得部からの駆動指令を受けると前記駆動信号を前記複数の光源のそれぞれに印加する照明基板とを有し、
前記画像取得部は、前記照明基板が前記画像取得部から前記駆動指令を受けている状態で前記複数の光源を撮像し、
前記複数の不良モードは、前記照明基板の故障を含み、
前記参照情報は、前記複数の光源それぞれの配置エリアのうち前記光源の像が存在しない配置エリアが前記特徴として現れた場合には、前記照明基板の故障が生じていることを示す請求項6に記載の不良モード特定装置。
前記制御部は、前回の前記不良モード特定処理を実行してから所定時間が経過すると新たに前記不良モード特定処理を実行する請求項1ないし11のいずれか一項に記載の不良モード特定装置。
カメラと照明とを有し、前記照明から光を照射しつつ前記カメラにより撮像を行う撮像装置の前記カメラとは異なる他のカメラにより前記撮像装置を撮像した撮像画像を取得する工程と、
前記撮像装置に生じうる互いに異なる複数の不良モードのそれぞれについて、当該不良モードが生じた際に前記撮像画像に現れる特徴を示す参照情報と、取得された前記撮像画像に現れた前記特徴とを対比することで前記撮像装置に生じた前記不良モードを前記複数の不良モードのうちから特定する工程と
を備える不良モード特定方法。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、撮像装置に生じる不良モードは照明の経年劣化に限られず、互いに異なる複数の不良モードが生じうる。この際、不良モードが異なれば、取るべき対応策も異なりうる。そのため、撮像装置に生じた不良モードが複数の不良モードのうちのいずれであるかを特定できる技術が望まれていた。しかしながら、特許文献1、2に記載の技術はこれに応えられるものではなかった。
【0005】
この発明は上記課題に鑑みなされたものであり、撮像装置に生じた不良モードを複数の不良モードのうちから特定することを可能とする技術の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る不良モード特定装置は、上記目的を達成するために、カメラと照明とを有し、照明から光を照射しつつカメラにより撮像を行う撮像装置により所定の対象物を撮像した撮像画像、あるいは撮像装置のカメラとは異なる他のカメラにより撮像装置を撮像した撮像画像を取得する画像取得部と、撮像装置に生じうる互いに異なる複数の不良モードのそれぞれについて、当該不良モードが生じた際に画像取得部が取得した撮像画像に現れる特徴を示す参照情報を記憶する記憶部と、画像取得部に撮像画像を取得させ、当該撮像画像に現れた特徴と参照情報とを対比することで撮像装置に生じた不良モードを複数の不良モードのうちから特定する不良モード特定処理を実行する制御部とを備える。
【0007】
本発明に係る不良モード特定方法は、上記目的を達成するために、カメラと照明とを有し、照明から光を照射しつつカメラにより撮像を行う撮像装置により所定の対象物を撮像した撮像画像、あるいは撮像装置のカメラとは異なる他のカメラにより撮像装置を撮像した撮像画像を取得する工程と、撮像装置に生じうる互いに異なる複数の不良モードのそれぞれについて、当該不良モードが生じた際に画像取得部が取得した撮像画像に現れる特徴を示す参照情報と、取得された撮像画像に現れた特徴とを対比することで撮像装置に生じた不良モードを複数の不良モードのうちから特定する工程とを備える。
【0008】
このように構成された本発明(不良モード特定装置、不良モード特定方法)では、撮像装置により所定の対象物を撮像した撮像画像、あるいは撮像装置のカメラとは異なる他のカメラにより撮像装置を撮像した撮像画像が取得される。そして、撮像装置に生じうる互いに異なる複数の不良モードのそれぞれについて、当該不良モードが生じた際に撮像画像に現れる特徴を示す参照情報と、取得された撮像画像に現れた特徴とを対比することで、撮像装置に生じた不良モードが複数の不良モードのうちから特定される。
【0009】
また、画像取得部は、撮像装置により所定の対象物を撮像することで撮像画像を取得するように、不良モード特定装置を構成しても良い。かかる構成では、対象物を撮像した撮像画像に現れた特徴に基づいて、撮像装置に生じた不良モードを複数の不良モードのうちから特定することができる。
【0010】
また、対象物は、第1対象部と、第1対象部よりも明度が低い第2対象部とを有するように、不良モード特定装置を構成しても良い。かかる構成では、明度の異なる第1対象部および第2対象部を撮像した撮像画像に現れた特徴に基づき、撮像装置に生じた不良モードをより的確に特定することが可能となる。
【0011】
また、複数の不良モードは、照明の光量低下を含み、参照情報は、第2対象部の輝度が上昇せずに第1対象部の輝度の低下が特徴として現れた場合には、照明の光量低下が生じていることを示すように、不良モード特定装置を構成しても良い。これによって、照明の光量低下が生じた場合、これを特定することが可能となる。
【0012】
また、複数の不良モードは、カメラのレンズへの埃の堆積を含み、参照情報は、第1対象部の輝度の低下および第2対象部の輝度の上昇が特徴として現れた場合には、カメラのレンズへの埃の堆積が生じていることを示すように、不良モード特定装置を構成しても良い。これによって、カメラのレンズへの埃の堆積が生じた場合、これを特定することが可能となる。
【0013】
また、複数の不良モードは、カメラのレンズへの流動体の付着を含み、参照情報は、第1対象部の輝度の低下および第1対象部の像のぼやけが特徴として現れた場合には、カメラのレンズへの流動体の付着が生じていることを示すように、不良モード特定装置を構成しても良い。これによって、カメラのレンズへの流動体の付着が生じた場合、これを特定することが可能となる。
【0014】
また、複数の不良モードは、カメラから画像取得部へ撮像画像を伝送する伝送経路の異常を含み、参照情報は、ノイズが特徴として現れた場合には、伝送経路の異常が生じていることを示すように、不良モード特定装置を構成しても良い。これによって、伝送経路の異常が生じた場合、これを特定することが可能となる。
【0015】
また、複数の不良モードは、カメラからの撮像画像の出力異常を含み、参照情報は、第1対象部の像の形状異常が特徴として現れた場合には、カメラからの撮像画像の出力異常が生じていることを示すように、不良モード特定装置を構成しても良い。これによって、カメラからの撮像画像の出力異常が生じた場合、これを特定することが可能となる。
【0016】
また、画像取得部は、他のカメラにより撮像装置を撮像することで撮像画像を取得するように、不良モード特定装置を構成しても良い。かかる構成では、他のカメラにより撮像装置を撮像した撮像画像に現れた特徴に基づいて、撮像装置に生じた不良モードを複数の不良モードのうちから特定することができる。
【0017】
また、撮像装置の照明は、それぞれ駆動信号の印加を受けて光を照射する複数の光源と、画像取得部からの駆動指令を受けると駆動信号を複数の光源のそれぞれに印加する照明基板とを有し、画像取得部は、照明基板が画像取得部から駆動指令を受けている状態で複数の光源を撮像し、複数の不良モードは、照明基板の故障を含み、参照情報は、複数の光源それぞれの配置エリアのうち光源の像が存在しない配置エリアが特徴として現れた場合には、照明基板の故障が生じていることを示すように、不良モード特定装置を構成しても良い。これによって、光源の照明基板の故障が生じた場合、これを特定することが可能となる。
【0018】
この際、制御部は、輝度が所定値未満である配置エリアの存在を確認することで、光源の像が存在しない配置エリアを確認するように、不良モード特定装置を構成しても良い。かかる構成では、他のカメラに至るまでに光が拡散されるような場合であっても、光源の像の有無を的確に確認することが可能となる。
【0019】
また、複数の不良モードは、光源の経年劣化を含み、参照情報は、光を照射する光源の像の輝度の低下が特徴として現れた場合には、光源の経年劣化が生じていることを示すように、不良モード特定装置を構成しても良い。かかる構成では、光源の経年劣化が生じた場合、これを特定することが可能となる。
【0020】
また、複数の不良モードは、撮像装置への異物の付着を含み、参照情報は、異物の像が特徴として現れた場合には、撮像装置への異物の付着が生じていることを示すように、不良モード特定装置を構成しても良い。これによって、撮像装置への異物の付着が生じた場合、これを特定することが可能となる。
【0021】
また、他のカメラは、ミラーを介して撮像装置を撮像するように、不良モード特定装置を構成しても良い。これによって、他のカメラを撮像装置に対向して配置できない場合であっても、他のカメラにより撮像装置を撮像することができる。
【0022】
また、制御部は、前回の不良モード特定処理を実行してから所定時間が経過すると新たに不良モード特定処理を実行するように、不良モード特定装置を構成しても良い。かかる構成では、不良モード特定処理が定期的にされるため、不良が生じた状態で撮像装置が放置されるのを抑制できる。
【0023】
また、作業者による入力操作を受け付ける入力操作部をさらに備え、制御部は、入力操作部への入力操作に応じて不良モード特定処理を実行するように、不良モード特定装置を構成しても良い。かかる構成では、作業者のニーズに応じたタイミングで不良モード特定処理を実行することができる。
【0024】
また、制御部が特定した不良モードの内容を作業者に報知する報知部をさらに備えるように、不良モード特定装置を構成しても良い。これによって、作業者は撮像装置に生じた不良モードに応じて適切な対応策を取ることができる。
【0025】
本発明に係る部品実装機は、部品を基板に実装する部品実装機であって、上記目的を達成するために、カメラと照明とを有して照明から光を照射しつつカメラにより撮像を行う撮像装置と、上記の不良モード特定装置とを備え、不良モード特定装置によって撮像装置の不良モードを特定する。このように構成された本発明(部品実装機)では、上記の不良モード特定装置が具備されているため、撮像装置に生じた不良モードを複数の不良モードのうちから特定することが可能となっている。
【発明の効果】
【0026】
本発明によれば、撮像装置に生じた不良モードを複数の不良モードのうちから特定することが可能となる。
【発明を実施するための形態】
【0028】
図1は本発明に係る部品実装機の一例を模式的に示す部分平面図である。
図1では、鉛直方向に平行なZ方向、それぞれ水平方向に平行なX方向およびY方向からなるXYZ直交座標を示す。この部品実装機1は、基台11の上に設けられた一対のコンベア12、12を備える。そして、部品実装機1は、コンベア12によりX方向(基板搬送方向)の上流側から作業位置(
図1の基板Bの位置)に搬入した基板Bに対して部品Pを実装し、部品実装を完了した基板Bをコンベア12により作業位置からX方向の下流側へ搬出する。
【0029】
部品実装機1では、Y方向に延びる一対のY軸レール21、21と、Y方向に延びるY軸ボールネジ22と、Y軸ボールネジ22を回転駆動するY軸モーターMyとが設けられ、ヘッド支持部材23が一対のY軸レール21、21にY方向に移動可能に支持された状態でY軸ボールネジ22のナットに固定されている。ヘッド支持部材23には、X方向に延びるX軸ボールネジ24と、X軸ボールネジ24を回転駆動するX軸モーターMxとが取り付けられており、ヘッドユニット3がヘッド支持部材23にX方向に移動可能に支持された状態でX軸ボールネジ24のナットに固定されている。したがって、Y軸モーターMyによりY軸ボールネジ22を回転させてヘッドユニット3をY方向に移動させ、あるいはX軸モーターMxによりX軸ボールネジ24を回転させてヘッドユニット3をX方向に移動させることができる。
【0030】
一対のコンベア12、12のY方向の両側それぞれでは2つの部品供給部25がX方向に並んでおり、各部品供給部25に対しては、X方向に並ぶ複数のテープフィーダー26が着脱可能に装着されている。そして、各テープフィーダー26が、コンベア12側のそれぞれの先端に設けられた部品取出位置に部品Pを供給する。
【0031】
ヘッドユニット3は、X方向に並ぶ複数(4本)の実装ヘッド31を有する。各実装ヘッド31はZ方向(鉛直方向)に延びた長尺形状を有し、その下端に係脱可能に取り付けられたノズルによって部品を吸着・保持することができる。つまり、実装ヘッド31は部品取出位置の上方へ移動して、テープフィーダー26により部品取出位置に供給された部品Pを吸着する。続いて、実装ヘッド31は作業位置の基板Bの上方に移動して部品Pの吸着を解除することで、基板Bに部品Pを実装する。こうして、実装ヘッド31は、テープフィーダー26により部品取出位置に供給された部品Pを取り出して基板Bに実装する部品実装を実行する。
【0032】
また、ヘッドユニット3のX方向の両側には、Z方向に平行に延びる矩形状のマーク部材33が取り付けられており、各マーク部材33がX方向への互いの距離を保ちつつヘッドユニット3に伴って移動可能となっている。このマーク部材33は、例えば特開2006−024957号公報に記載のように、X軸ボールネジ24の熱膨張による実装ヘッド31の位置ずれを補正するために用いられる他、後述する撮像装置の不良モード特定処理にも用いられる。
【0033】
また、部品実装機1は、3台の撮像装置5A、5B、5Cを備える。これらのうち、撮像装置5Aは、Y方向の一方側(
図1の上側)でX方向に並ぶ2個の部品供給部25の間で上方を向いて基台11に固定され、撮像装置5BはY方向の他方側(
図2の下側)でX方向に並ぶ2個の部品供給部25の間で上方を向いて基台11に固定され、撮像装置5Cはヘッドユニット3に下方を向いて取り付けられている。したがって、撮像装置5A、5Bの位置は固定されている一方、撮像装置5Cはヘッドユニット3に伴ってX方向およびY方向へ移動可能である。撮像装置5A、5B、5Cのうち、撮像装置5A、5Bは実装ヘッド31が吸着する部品Pを認識するために用いられ、撮像装置5Cは基板Bを認識するために用いられる。なお、以下では、撮像装置5A、5B、5Cを特に区別しない場合は、これらを撮像装置5と総称する。
【0034】
図2は
図1の部品実装機が備える撮像装置の一例を示す斜視図である。特に
図2では、上方を向いて配置された撮像装置5A、5Bが示されている。この撮像装置5は、特開2013−143419号公報に記載の部品撮像装置と同様の構成を具備する。つまり、撮像装置5はX方向に長尺な直方体形状を有するハウジング51と、ハウジング51の内部に取り付けられたカメラ6と、ハウジング51の上端に取り付けられた照明7とを有する。カメラ6はそのレンズ61が上方を向くように配置されており、照明7に設けられたスリット70を介してハウジング51内に進入した光がカメラ6のレンズ61に導かれる。
【0035】
照明7は下方に凹んだクレーター形状を有し、照明7の底部にスリット70が開口する。この照明7は、スリット70を挟むように水平に配置されたボトム照明基板71と、ボトム照明基板71の端から上方へ傾いて延設されたメイン照明基板72と、メイン照明基板72の端から上方へ垂直に延設されたサイド照明基板73とを有する。ボトム照明基板71、メイン照明基板72およびサイド照明基板73それぞれには光源Lの配置エリアが設けられ、複数の光源Lがそれぞれの配置エリアに配置されている。こうして配列された各光源Lは、LED(Light Emitting Diode)であり、それぞれが属する照明基板71、72、73から印加される駆動信号Sd(電気信号)の大きさに応じた光量で発光する。なお、照明7内部への異物の落下を防ぐ等の目的で、例えばガラスカバー等の光透過性のカバー部材で照明7の開口を塞いでも構わない。
【0036】
照明7から照射された光は対象物で反射された後にスリット70を介してカメラ6のレンズ61に入射する。そして、レンズ61に入射した光がカメラ6内に設けられた固体撮像素子に結像される。こうして、撮像装置5は、照明7からカメラ6の視野に光を照射しつつカメラ6により撮像を行うことで、カメラ6の視野内の対象物を撮像する。なお、下向きに配置される点を除いては、撮像装置5Cも
図2に示す撮像装置5と同様の構成を具備する。
【0037】
図3は
図1の部品実装機が備える電気的構成の一例を示すブロック図である。部品実装機1は、装置全体の構成を統括的に制御する主制御部100を備え、主制御部100は、演算処理部110、記憶部120、撮像制御部130および駆動制御部140を有する。演算処理部110はCPU(Central Processing Unit)およびRAM(Random Access Memory)等で構成されたコンピューターである。また、記憶部120はHDD(Hard Disk Drive)等で構成されており、後述する撮像装置5の不良モード特定処理で用いられる参照情報Rや撮像画像I等を記憶する。
【0038】
撮像制御部130は、撮像装置5A、5B、5Cを制御する。つまり、撮像制御部130は撮像装置5の照明7に駆動指令Scを送信し、照明7の各照明基板71、72、73は受信した駆動指令Scに応じた駆動信号Sdを各光源Lに印加する。これによって、各光源Lから射出された光がカメラ6の視野を照らす。また、撮像制御部130は撮像装置5のカメラ6に撮像制御信号を送信し、カメラ6は受信した撮像制御信号に応じたタイミングでその視野を撮像する。そして、カメラ6は、当該カメラ6と撮像制御部130とを接続する伝送経路Tを介してその撮像画像Iを撮像制御部130に出力する。こうして、撮像制御部130は、照明7に光を照射させつつカメラ6に撮像させることで撮像画像Iを取得して、この撮像画像Iを記憶部120に保存する。なお、以下では、撮像装置5A、5B、5Cそれぞれのカメラ6を区別する際には、例えば
図3の括弧内に示すようにカメラ6A、6B、6Cと別の符号を参照する。
【0039】
上述のとおり、撮像装置5Aおよび撮像装置5Bは、実装ヘッド31が吸着する部品Pを認識するために用いられる。つまり、実装ヘッド31はテープフィーダー26から部品Pを吸着すると基板Bの上方へ移動する前に撮像装置5Aあるいは撮像装置5Bの上方を経由する。そして、撮像装置5Aあるいは撮像装置5Bは、上方を通過する部品Pを撮像した撮像画像Iを撮像制御部130に出力し、演算処理部110は撮像制御部130が取得した撮像画像Iに基づき部品Pの吸着状態を認識し、その結果に基づき当該部品Pの実装の可否を判断する。
【0040】
また、撮像装置5Cは基板Bを認識するために用いられる。つまり、部品実装機1内に基板Bが搬入されると、撮像装置5Cは基板Bに付されたフィデューシャルマークを撮像した撮像画像Iを撮像制御部130に出力する。そして、演算処理部110は撮像制御部130が取得した撮像画像Iに基づき基板Bの位置を認識し、その結果に基づき部品Pを実装する実装ヘッド31と基板Bとの位置関係を調整する。
【0041】
駆動制御部140は、X軸モーターMxおよびY軸モーターMyを制御することで、ヘッドユニット3をX方向およびY方向へ移動させる。具体的には、部品実装の際には、駆動制御部140は、ヘッドユニット3に搭載された実装ヘッド31を部品供給部25と基板Bとの間で移動させる。また、後述する撮像装置の不良モード特定処理では、駆動制御部140は、ヘッドユニット3に取り付けられたマーク部材33を撮像装置5Aあるいは撮像装置5Bの上方へ移動させる。
【0042】
さらに、部品実装機1は、例えば液晶ディスプレイで構成された表示部150と、例えばマウスやキーボードで構成された入力操作部160とを備える。したがって、作業者は表示部150の表示を確認することで部品実装機1の状態を確認できるとともに、入力操作部160へ入力操作を行うことで部品実装機1に指令を入力できる。ちなみに、表示部150と入力操作部160とを別体で構成する必要は無く、例えばタッチパネルディスプレイによりこれらを一体的に構成しても良い。
【0043】
そして、
図1に示す部品実装機1では、演算処理部110、記憶部120、撮像制御部130、表示部150および入力操作部160が協働して、撮像装置5の不良モードを特定する不良モード特定装置9を実現する。続いては、不良モード特定装置9が実行する不良モード特定処理について詳述する。
【0044】
<不良モード特定処理の第1例>
図4は不良モード特定処理の第1例で用いられるマークの構成を示す図である。このマークMは、マーク部材33の底面に設けられており、矩形状の外形を有する第1マーク部Maと、第1マーク部Maを取り囲むように設けられて矩形状の外形を有する第2マーク部Mbとを有する。第1マーク部Maの色の明度と比較して、第2マーク部Mbの色の明度は低く、ここの例では、第1マーク部Maの色は白であり、第2マーク部Mbの色は黒である。そして、不良モード特定処理では、撮像装置5Aおよび撮像装置5Bのうちの対象となる撮像装置5にマークMを撮像させることで取得した撮像画像Iに含まれる特徴に基づき、当該撮像装置5に生じた不良モードが特定される。
【0045】
図5は撮像装置の不良モードと撮像画像に現れる特徴との関係の一例を示す図である。
図5において、モードEiは撮像装置5が正常な状態、すなわち撮像装置5に不良が生じていない状態に相当し、モードE1は照明7の光量が低下するといった不良が撮像装置5に生じた状態に対応し、モードE2はカメラ6のレンズ61に埃が堆積するといった不良が撮像装置5に生じた状態に対応し、モードE3はカメラ6のレンズ61に油やグリスといった流動体が付着するといった不良が撮像装置5に生じた状態に対応する。
図5に示す例では、撮像装置のモードが異なると、撮像画像Iに含まれる第1マーク部Maの像の輝度、第2マーク部Mbの像の輝度および第1マーク部Maの像の輪郭といった各特徴量のいずれかに違いが生じる。なお、撮像画像Iに含まれる第1マーク部Maおよび第2マーク部Mbそれぞれの像を、単に第1マーク部Maおよび第2マーク部Mbと適宜称する。
【0046】
正常モードEiでは、第1マーク部Maの輝度が高い一方、第2マーク部Mbの輝度が低く、第1マーク部Maと第2マーク部Mbとのコントラストがはっきりしており、第1マーク部Maの輪郭もはっきりしている。
【0047】
不良モードE1(照明7の光量低下)では、第1マーク部Maの輝度が正常モードEiでのそれと比較して低下する。一方、正常モードEiと同様に不良モードE1においても、第2マーク部Mbの輝度は低く、第1マーク部Maの輪郭ははっきりしている。
【0048】
不良モードE2(レンズ61への埃の堆積)では、第1マーク部Maの輝度が正常モードEiでのそれと比較して低下するとともに、第2マーク部Mbの輝度が正常モードEiでのそれと比較して上昇する。第2マーク部Mbの輝度が上昇するのは、レンズ61に堆積した埃により光が拡散されることによる。一方、正常モードEiと同様に不良モードE2においても、第1マーク部Maの輪郭ははっきりしている。
【0049】
不良モードE3(レンズ61への流動体の付着)では第1マーク部Maの輝度が正常モードEiでのそれと比較して低下するとともに、第1マーク部Maの輪郭が正常モードEiのそれと比較してぼやける。一方、正常モードEiと同様に不良モードE3においても、第2マーク部Mbの輝度は低い。
【0050】
図5に示すように、撮像装置5には、互いに異なる複数の不良モードE1、E2、E3が生じうるのに対して、撮像装置5による撮像画像Iに生じる特徴は不良モードE1、E2、E3によって異なる。そこで、部品実装機1が装備する不良モード特定装置9は、撮像装置5の不良モードと撮像画像Iの特徴との関係を利用して、撮像装置5に生じた不良モードを特定する。
【0051】
具体的には、撮像装置5に生じうる複数の不良モードE1、E2、E3のそれぞれについて、当該不良モードが生じた撮像装置5が撮像した撮像画像Iに現れる特徴を示す参照情報Rが記憶部120に予め記憶されている。つまり、参照情報Rは、
図5を用いて上述した撮像装置5の不良モードと撮像画像Iの特徴との関係を示す。そして、参照情報Rに規定される特徴が撮像画像Iに現れたかを確認することで不良モードが特定される。また、不良モードの特定を行うに際しては、判断基準となる正常モードEiでの各特徴量が予め取得されて、各特徴量について基準範囲が設定される。
【0052】
図6は撮像画像の特徴量の基準範囲を設定する手順を示すフローチャートである。
図6のフローチャートは、例えば作業者が撮像装置5を清掃・修理するメンテナンスを行った直後等のタイミングで演算処理部110により実行される。ステップS101では、対象となる撮像装置5の上方にマーク部材33が移動し、当該撮像装置5がマーク部材33のマークMを撮像して、マークMの撮像画像Iを撮像制御部130に出力する。ステップS102では、演算処理部110が撮像制御部130により取得された撮像画像Iに対して画像処理を実行して、撮像画像I内のマークMを検出する。
【0053】
さらに、演算処理部110は、マークMに含まれる各特徴量の値を検出する(ステップS103)。なお、第1マーク部Maの輪郭については、輪郭のぼやけの程度を示すぼやけ尺度、具体的にはエッジ検出により検出された輪郭の広がりを示す値が特徴量として検出される。続いて、この検出値に基づき各特徴量の基準範囲が設定されて記憶部120に記憶される(ステップS104)。具体的には、演算処理部110は、ステップS103で検出された検出値を含んで所定幅を有する基準範囲を各特徴量について求めて、記憶部120に記憶する。その結果、記憶部120には、第1マーク部Maの輝度の基準範囲、第2マーク部Mbの輝度の基準範囲および第1マーク部Maの輪郭のぼやけ尺度の基準範囲がそれぞれ記憶される。
【0054】
図7は撮像装置の不良モード特定処理の第1例を実行するフローチャートの一例を示す図である。
図7のフローチャートは、演算処理部110により実行される。ステップS201では、部品実装機1の電源が投入されたかが判断される。電源投入から所定時間が経過する前であり電源投入直後であれば(ステップS201で「YES」)、ステップS204〜S211の不良モード特定処理に進む一方、電源投入から所定時間が経過しており電源投入直後でなければ(ステップS201で「NO」)、ステップS202に進む。ステップS202では、不良モード特定処理の実行指令が作業者によって入力操作部160に入力されたかが判断される。そして、実行指令の入力があれば(ステップS202で「YES」)、ステップS204〜S211の不良モード特定処理に進む一方、実行指令の入力がなければ(ステップS202で「NO」)、ステップS203に進む。ステップS203では、前回に実行した不良モード特定処理から所定時間が経過したかが判断される。そして、所定時間が経過していれば(ステップS203で「YES」)、ステップS204〜S211の不良モード特定処理に進む一方、所定時間が経過していなければ(ステップS203で「NO」)、ステップS201に戻る。
【0055】
このように、部品実装機1の電源投入、実行指令の入力、あるいは前回実行からの所定時間の経過が、ステップS204〜S211の不良モード特定処理を開始するための条件となる。そして、これらの条件のうち1つが満たされると、不良モード特定処理が開始される。
【0056】
ステップS204では、不良モード特定処理の対象となる撮像装置5の上方にマーク部材33が移動し、当該撮像装置5がマーク部材33のマークMを撮像して、マークMの撮像画像Iを撮像制御部130に出力する。なお、ステップS204で撮像されるマークMは、2個のマーク部材33それぞれのマークMのうち
図6のフローチャートの実行対象となったマークMである。ステップS205では、演算処理部110が撮像制御部130により取得された撮像画像Iに対して画像処理を実行して、撮像画像I内のマークMを検出する。
【0057】
ステップS206では、第1マーク部Maの輝度、第2マーク部Mbの輝度および第1マーク部Maの輪郭のぼやけ尺度といった各特徴量の全てについて確認が完了したかが判断される。未確認の特徴量が存在する場合(ステップS206で「NO」の場合)、演算処理部110は、撮像画像Iに含まれる対象の特徴量の値を検出し(ステップS207)、この検出値が対象の特徴量に対して設定された基準範囲内かが判断される(ステップS208)。
【0058】
具体的には、対象の特徴量が第1マーク部Maの輝度である場合には、ステップS207で検出された第1マーク部Maの輝度の値が、第1マーク部Maの輝度に対して設定された基準範囲内であるかが判断される。対象の特徴量が第2マーク部Mbの輝度である場合には、ステップS207で検出された第2マーク部Mbの輝度の値が、第2マーク部Mbの輝度に対して設定された基準範囲内であるかが判断される。また、対象の特徴量が第1マーク部Maの輪郭のぼやけ尺度である場合には、ステップS207で検出された第1マーク部Maの輪郭のぼやけ尺度の値が、第1マーク部Maの輪郭のぼやけ尺度に対して設定された基準範囲内であるかが判断される。
【0059】
このようにステップS208では、ステップS207で検出された特徴量の値が、当該特徴量に対して設定された基準範囲内であるかが判断される。そして、特徴量の値が基準範囲内であれば、この特徴量には正常モードEiからの変化が無かったと判断されてステップS206に戻る。一方、特徴量の値が基準範囲内でなければ、正常モードEiからの当該特徴量の変化が記憶部120に記憶される(ステップS209)。
【0060】
具体的には、対象の特徴量が第1マーク部Maの輝度である場合には、第1マーク部Maの輝度の値が基準範囲より低ければ第1マーク部Maの輝度が正常モードEiでのそれと比較して低下したことが記憶部120に記憶される。対象の特徴量が第2マーク部Mbの輝度である場合には、第2マーク部Mbの輝度の値が基準範囲より高ければ第2マーク部Mbの輝度が正常モードEiでのそれと比較して上昇したと記憶部120に記憶され、第2マーク部Mbの輝度の値が基準範囲より低ければ第2マーク部Mbの輝度が正常モードEiでのそれと比較して低下したことが記憶部120に記憶される。また、対象の特徴量が第1マーク部Maの輪郭のぼやけ尺度である場合には、第1マーク部Maの輪郭のぼやけ尺度の値が基準範囲より大きければ第1マーク部Maの輪郭が正常モードEiでのそれと比較してぼやけたことが記憶部120に記憶される。
【0061】
ステップS206で各特徴量の全てについて確認が完了した(YES)と判断されると、ステップS210に進む。このステップS210では、記憶部120に記憶された特徴量の変化と参照情報R、すなわち
図5に示した関係とを対比することで、撮像装置5に生じた不良モードが複数の不良モードE1、E2、E3のうちから特定される。具体的には、各特徴量の変化として、第1マーク部Maの輝度の低下が記憶されている場合には、照明7の光量低下(不良モードE1)が生じたと特定され、第1マーク部Maの輝度の低下と第2マーク部Mbの輝度の上昇とが記憶されている場合には、レンズ61への埃の堆積(不良モードE2)が生じたと特定され、第1マーク部Maの輝度の低下と第1マーク部Maの輪郭のぼやけが記憶されている場合には、レンズ61の流動体の付着(不良モードE3)が生じたと特定される。そして、ステップS210で特定された不良モードが生じたことが表示部150への表示により作業者に報知され(ステップS211)、ステップS201に戻る。
【0062】
以上に説明したように不良モード特定処理の第1例では、撮像装置5によりマークMを撮像した撮像画像Iが取得される。そして、撮像装置5に生じうる互いに異なる複数の不良モードE1、E2、E3のそれぞれについて、当該不良モードが生じた際に撮像画像Iに現れる特徴を示す参照情報Rと、取得された撮像画像Iに現れた特徴とを対比することで、撮像装置5に生じた不良モードが複数の不良モードE1、E2、E3のうちから特定される。
【0063】
また、撮像装置5が撮像するマークMは、第1マーク部Maと、第1マーク部Maよりも明度が低い第2マーク部Mbとを有する。かかる構成では、明度の異なる第1マーク部Maおよび第2マーク部Mbを撮像した撮像画像Iに現れた特徴に基づき、撮像装置5に生じた不良モードをより的確に特定することが可能となる。
【0064】
また、複数の不良モードE1、E2、E3には、照明7の光量低下(E1)が含まれる。そして、参照情報Rは、第2マーク部Mbの輝度が上昇せずに第1マーク部Maの輝度の低下が特徴として現れた場合には、照明7の光量低下が生じていることを示す。かかる構成では、照明7の光量低下が生じた場合、これを特定することが可能となっている。
【0065】
また、複数の不良モードE1、E2、E3には、カメラ6のレンズ61への埃の堆積(E2)が含まれる。そして、参照情報Rは、第1マーク部Maの輝度の低下および第2マーク部Mbの輝度の上昇が特徴として現れた場合には、カメラ6のレンズ61への埃の堆積が生じていることを示す。かかる構成では、カメラ6のレンズ61への埃の堆積が生じた場合、これを特定することが可能となっている。
【0066】
また、複数のE1、E2、E3には、カメラ6のレンズ61への流動体の付着が含まれる。そして、参照情報Rは、第1マーク部Maの輝度の低下および第1マーク部Maの像のぼやけが特徴として現れた場合には、カメラ6のレンズ61への流動体の付着が生じていることを示す。かかる構成では、カメラ6のレンズ61への流動体の付着が生じた場合、これを特定することが可能となっている。
【0067】
また、演算処理部110は、前回の不良モード特定処理を実行してから所定時間が経過すると新たに不良モード特定処理を実行する。かかる構成では、不良モード特定処理が定期的にされるため、不良が生じた状態で撮像装置5が放置されるのを抑制できる。
【0068】
また、作業者による入力操作を受け付ける入力操作部160が設けられており、演算処理部110は、入力操作部160への入力操作に応じて不良モード特定処理を実行する。かかる構成では、作業者のニーズに応じたタイミングで不良モード特定処理を実行することができる。
【0069】
また、演算処理部110が特定した不良モードの内容を作業者に報知する表示部150が設けられている。これによって、作業者は撮像装置5に生じた不良モードに応じて適切な対応策を取ることができる。
【0070】
このように不良モード特定処理の第1例では、部品実装機1が本発明の「部品実装機」の一例に相当し、不良モード特定装置9が本発明の「不良モード特定装置」の一例に相当し、ステップS204〜S211が本発明の「不良モード特定処理」の一例に相当し、撮像制御部130が本発明の「画像取得部」の一例に相当し、記憶部120が本発明の「記憶部」の一例に相当し、演算処理部110が本発明の「制御部」の一例に相当し、撮像装置5Aあるいは撮像装置5Bが本発明の「撮像装置」の一例に相当し、カメラ6が本発明の「カメラ」の一例に相当し、レンズ61が本発明の「レンズ」の一例に相当し、照明7が本発明の「照明」の一例に相当し、撮像画像Iが本発明の「撮像画像」の一例に相当し、マークMが本発明の「対象物」の一例に相当し、第1マーク部Maが本発明の「第1対象部」の一例に相当し、第2マーク部Mbが本発明の「第2対象部」の一例に相当し、参照情報Rが本発明の「参照情報」の一例に相当し、不良モードE1〜E3のそれぞれが本発明の「不良モード」の一例に相当し、入力操作部160が本発明の「入力操作部」の一例に相当し、「表示部150」が本発明の「報知部」の一例に相当する。
【0071】
<不良モード特定処理の第2例>
図8は撮像装置の不良モード特定処理の第2例を実行するフローチャートの一例を示す図である。
図9は不良モード特定処理の第2例で撮像される撮像画像の一例を示す図である。
図8のフローチャートは、演算処理部110により実行される。第2例が第1例と異なるのは、不良モード特定処理の対象となる撮像装置5A、5Bを、撮像装置5Cで撮像した撮像画像Iに基づき不良モードを特定する点である。なお、以下では、撮像装置5A、5Bのうち撮像装置5Aに生じた不良モードを特定する場合を例に挙げて説明する。また、不良モード特定処理の第1例との差異点を中心に説明することとし、共通点については相当符号を付して適宜説明を省略する。ただし、不良モード特定処理の第2例においても不良モード特定処理との第1例と共通する構成を備えることで同様の効果が奏されることは言うまでもない。
【0072】
不良モード特定処理の第2例においても、上述のステップS201、S202、S203と同様にして、ステップS301、S302、S303が実行される。つまり、部品実装機1の電源投入、実行指令の入力、あるいは前回実行からの所定時間の経過が、ステップS304〜S313の不良モード特定処理を開始するための条件となる。そして、これらの条件のうち1つが満たされると、不良モード特定処理が開始される。
【0073】
この際、撮像装置5Aのうちの撮像対象範囲、具体的には平面視において撮像装置5Aの照明7が占める範囲は、撮像装置5Cのカメラ6Cの視野に比べて広いため、撮像対象範囲を分割した対象箇所毎に撮像が実行される。つまり、ステップS304では、全ての対象箇所の撮像を完了したかが判断される。そして、未撮像の対象箇所が存在する場合(ステップS304で「NO」の場合)には、撮像装置5Cが未撮像の対象箇所の上方へ移動する(ステップS305)。
【0074】
ステップS306では、撮像制御部130が撮像装置5Aの各照明基板71、72、73に駆動指令Scを送信し、撮像装置5Aの各照明基板71、72、73は光源Lに駆動信号Sdを印加する。ステップS307では、撮像制御部130は、撮像装置5Aの各照明基板71、72、73が撮像制御部130から駆動信号Sdを受信した状態で、撮像装置5Cに撮像装置5Aの光源Lを撮像させて、その撮像画像Iを取得する。続くステップS308、S309では、不良モードに応じた特徴が撮像画像Iに現れているかを演算処理部110が判断する。
【0075】
つまり、ステップS308では、駆動指令Scに応じて点灯している光源Lの像うち、その輝度が低下している光源Lの像が存在するかが、撮像画像Iに基づき判断される。具体的には、輝度の値が所定の第1閾値未満である光源Lの像が撮像画像Iのうちから探索される。そして、演算処理部110は、該当する光源Lの像が存在する場合(ステップS308で「YES」の場合)には、ステップS310で輝度が低下した光源Lの像の存在(異常)を記憶部120に記憶してから、ステップS309に進む一方、該当する光源Lの像が存在しない場合(ステップS308で「NO」の場合)には、そのままステップS309に進む。
【0076】
ステップS309では、光源Lの配置エリアAのうち、光源Lの像が存在しない配置エリアAnが存在するかが確認される。つまり、
図9に示すように、「正常」の欄に示す撮像画像Iでは、各配置エリアAにおいて光源Lの像が存在するのに対して、「異常」の欄に示す撮像画像Iでは、一部の配置エリアAnにおいて光源Lの像が存在しない。これは、照明基板71、72、73の故障によって光源Lが点灯しないことに起因する。そして、演算処理部110は、該当する配置エリアAnが存在する場合(ステップS309で「YES」の場合)には、ステップS311で光源Lの像が確認できない配置エリアAnの存在(異常)を記憶部120に記憶してからステップS304に戻る一方、該当する配置エリアAnが存在しない場合(ステップS309で「NO」の場合)には、そのままステップS304に戻る。
【0077】
そして、全ての対象箇所の撮像を完了するまでステップS305〜S311が繰り返し実行され、全ての対象箇所の撮像が完了すると(ステップS304で「YES」)、記憶部120に記憶された異常と参照情報Rとを対比することで、撮像装置5に生じた不良モードが特定される(ステップS312)。つまり、不良モード特定処理の第2例では、複数の不良モードE6、E7として、光源Lの経年劣化(不良モードE6)と、照明基板71、72、73の故障(不良モードE7)とがある。そして、これら不良モードE6、E7のそれぞれについて、当該不良モードが生じた撮像装置5が撮像した撮像画像Iに現れる特徴を示す参照情報Rが記憶部120に予め記憶されている。具体的には、参照情報Rは、輝度が低下した光源Lの像が存在するという特徴が撮像画像Iに現れると、光源Lの経年劣化が撮像装置5に生じたことを示し、光源Lの像が存在しない配置エリアAnという特徴が撮像画像Iに現れると、照明基板71、72、73の故障が撮像装置5に生じたことを示す。
【0078】
このようにしてステップS312では、記憶部120に記憶された異常と参照情報Rとを対比することで、複数の不良モードE6、E7のうち撮像装置5に生じた不良モードが特定される。そして、ステップS312で特定された不良モードが生じたことが表示部150への表示により作業者に報知され(ステップS313)、ステップS301に戻る。
【0079】
以上に説明したように不良モード特定処理の第2例では、対象となる撮像装置5Aのカメラ6Aとは異なる撮像装置5Cのカメラ6Cにより撮像装置5Aを撮像した撮像画像Iが取得される。そして、撮像装置5Aに生じうる互いに異なる複数の不良モードE6、E7のそれぞれについて、当該不良モードが生じた際に撮像画像Iに現れる特徴を示す参照情報Rと、取得された撮像画像Iに現れた特徴とを対比することで、撮像装置5Aに生じた不良モードが複数の不良モードE6、E7のうちから特定される。
【0080】
また、撮像装置5Aの照明7は、それぞれ駆動信号Sdの印加を受けて光を照射する複数の光源Lと、撮像制御部130からの駆動指令Scを受けると駆動信号Sdを複数の光源Lのそれぞれに印加する照明基板71、72、73とを有する。そして、撮像制御部130は、照明基板71、72、73が撮像制御部130から駆動指令Scを受けている状態で複数の光源Lを撮像する。これに対して、参照情報Rは、複数の光源Lの配置エリアAのうち光源Lの像が存在しない配置エリアAnが特徴として現れた場合には、照明基板71、72、73の故障が生じていることを示す。これによって、光源Lの照明基板71、72、73の故障が生じた場合、これを特定することが可能となっている。
【0081】
また、参照情報Rは、光を照射する光源L(すなわち点灯中の光源L)の像の輝度の低下が特徴として現れた場合には、光源Lの経年劣化が生じていることを示す。これによって、光源Lの経年劣化が生じた場合、これを特定することが可能となっている。
【0082】
このように不良モード特定処理の第2例では、部品実装機1が本発明の「部品実装機」の一例に相当し、不良モード特定装置9が本発明の「不良モード特定装置」の一例に相当し、ステップS304〜S313が本発明の「不良モード特定処理」の一例に相当し、撮像制御部130が本発明の「画像取得部」の一例に相当し、記憶部120が本発明の「記憶部」の一例に相当し、演算処理部110が本発明の「制御部」の一例に相当し、撮像装置5Aが本発明の「撮像装置」の一例に相当し、カメラ6Aが本発明の「カメラ」の一例に相当し、レンズ61が本発明の「レンズ」の一例に相当し、撮像装置5Cのカメラ6Cが本発明の「他のカメラ」の一例に相当し、照明7が本発明の「照明」の一例に相当し、光源Lが本発明の「光源」の一例に相当し、駆動信号Sdが本発明の「駆動信号」の一例に相当し、照明基板71、72、73が本発明の「照明基板」の一例に相当し、駆動指令Scが本発明の「駆動指令」の一例に相当し、配置エリアAが本発明の「配置エリア」の一例に相当し、配置エリアAnが本発明の「光源の像が存在しない配置エリア」の一例に相当し、撮像画像Iが本発明の「撮像画像」の一例に相当し、参照情報Rが本発明の「参照情報」の一例に相当し、不良モードE6、E7のそれぞれが本発明の「不良モード」の一例に相当し、入力操作部160が本発明の「入力操作部」の一例に相当し、表示部150が本発明の「報知部」の一例に相当する。
【0083】
<その他>
なお、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない限りにおいて上述したものに対して種々の変更を加えることが可能である。例えば不良モード特定処理の第1例で特定可能な不良モードは、上記のものに限られない。
図10は撮像装置の別の不良モードと撮像画像に現れる特徴との関係の一例を示す図である。
図10において、モードE4はカメラ6から撮像制御部130への伝送経路Tの異常という不良が撮像装置5に生じた状態に対応し、モードE5はカメラ6からの撮像画像Iの出力の異常という不良が撮像装置5に生じた状態に対応する。
図10に示す例では、不良モードE4が生じた場合には、正常モードEi(
図5)と比較して、ノイズといった特徴が撮像画像Iに現れる。また、不良モードE5が生じた場合には、正常モードEiと比較して、第1マーク部Maの像の形状の異常といった特徴が現れる。なお、この第1マーク部Maの形状異常は、カメラ6からの撮像画像Iの出力が途中で停止したことによる。
【0084】
そこで、この変形例では、ステップ207において撮像画像I中のノイズのレベルを示す値が特徴量として検出され、この特徴量が基準範囲から外れている場合には、ステップS209においてこの特徴量が記憶される。一方、参照情報Rは、ノイズが特徴として撮像画像Iに現れた場合には、伝送経路Tの異常が生じていることを示す。これによって、伝送経路の異常が生じた場合、ステップS210でこれを特定することが可能となっている。
【0085】
さらに、この変形例は、ステップS207において撮像画像Iにおける第1マーク部Maの像が有する形状と理想形状とのずれを示す値が特徴量として検出され、この特徴量が基準範囲から外れている場合には、ステップS209においてこの特徴量が記憶される。一方、参照情報Rは、第1マーク部Maの像の形状異常が特徴として現れた場合には、カメラ6からの撮像画像Iの出力異常が生じていることを示す。これによって、カメラ6からの撮像画像Iの出力異常が生じた場合、ステップS210でこれを特定することが可能となっている。
【0086】
なお、不良モード特定装置9は、ここで例示した不良モードE1〜E5の全てを特定可能である必要は無い。したがって、これらのうちの一部の不良モードが特定可能であるように不良モード特定装置9を構成しても良い。
【0087】
また、マークMの構成は上記の例に限られない。したがって、第1マーク部Maおよび第2マーク部Mbの形状や配置を適宜変更することができ、例えば正方形の第1マーク部Maと正方形の第2マーク部Mbとを互いに隣接させて配置しても良い。また、第1マーク部Maと第2マーク部Mbとの色の組み合わせは白と黒に限られず、例えば明るい灰色と暗い灰色とを組み合わせても良い。
【0088】
また、マークMの全面を白色に構成しても良い。この場合、マークMを上記の第1マーク部Maと同様に取り扱い、マークMの背景を第2マーク部Mbと同様に取り扱うことで、上記の不良モード特定処理の第1例と同様にして撮像装置5の不良モードを特定できる。
【0089】
また、不良モード特定処理の対象となる撮像装置5で撮像する対象物は、マークMに限られず、例えば実装ヘッド31のノズルの先端といった他の部材でも構わない。
【0090】
また、不良モード特定処理の第1例では、撮像装置5Aあるいは撮像装置5Bが不良モード特定処理の対象となっていた。しかしながら、撮像装置5Cに生じた不良モードを同様にして特定することもできる。
【0091】
さらに、不良モード特定処理の第2例で特定可能な不良モードは、上記のものに限られない。
図11は不良モード特定処理の第2例で撮像される撮像画像の他の例を示す図である。この例では、光透過性のカバー部材で照明7の開口が塞がれており、このカバー部材に部品P(異物)が落下・付着するという不良モードE8が撮像装置5A、5Bに発生しうる。そこで、ステップS307で撮像した撮像画像Iに、部品Pの像が特徴として存在するかが確認される。そして、部品Pの像が存在する場合は、これが記憶部120に記憶される。一方、参照情報Rは、部品Pの像が特徴として現れた場合には、撮像装置5への異物の付着が生じていることを示す。これによって、撮像装置5への部品Pの付着が生じた場合、これを特定することが可能となる。
【0092】
なお、不良モード特定装置9は、ここで例示した不良モードE6〜E8の全てを特定可能である必要は無い。したがって、これらのうちの一部の不良モードが特定可能であるように不良モード特定装置9を構成しても良い。
【0093】
ところで、照明7の開口を塞ぐカバー部材が光を拡散する性質を有する場合には、撮像画像Iにおいて、消灯している光源Lの配置エリアAが僅かに明るく写る場合がある。このような場合、演算処理部110は輝度が第2閾値(所定値)未満である配置エリアAの存在を確認することで、光源Lの像が存在しない配置エリアAを確認しても良い。ここで、第2閾値は、上記の第1閾値未満でありゼロより大きい。かかる構成では、カメラ6に至るまでに光が拡散されるような場合であっても、光源Lの像の有無を的確に確認することが可能となる。
【0094】
また、
図12に示す構成で不良モード特定処理の第2例を実行しても良い。
図12は不良モード特定処理を実行可能な構成の変形例を示す図である。この変形例に係る部品実装機1では、撮像装置5Aの上方から外れた位置にある撮像装置5Cへ、撮像装置5Aからの光を導くミラー55が設けられており、撮像装置5Cはミラー55を介して撮像装置5Aを撮像できる。したがって、撮像装置5Cのカメラ6Cを撮像装置5Aに対向して配置できない場合であっても、撮像装置5Cのカメラ6Cにより撮像装置5Aを撮像することができる。
【0095】
また、不良モード特定処理の第2例では、撮像装置5Aが不良モード特定処理の対象となっていた。しかしながら、撮像装置5Bあるいは撮像装置5Cに生じた不良モードを同様にして特定することもできる。なお、撮像装置5Cの不良モードの特定は、撮像装置5Aあるいは撮像装置5Bのカメラ6で撮像装置5Cを撮像した撮像画像Iに基づき行えば良い。
【0096】
また、上記の不良モード特定装置9を装備可能な装置は、部品実装機1に限られない。したがって、例えばスクリーン印刷によって基板Bに半田を印刷する印刷機に不良モード特定装置9を装備しても構わない。