【実施例】
【0020】
表1に、実施例1〜4、比較例1〜3の各試料の成分組成を示す。
表1の実施例1〜4、比較例1〜3に示す各成分組成のIr合金を、アーク溶解にてインゴットを作製後、熱間鍛造にて成形、熱間圧延にてt1.0mmの板を作製した。
【0021】
【表1】
【0022】
表1の結果から分かるように、実施例1〜4は比較例1と比べて高温0.2%耐力が20%以上大きくなった。
【0023】
高温下での各サンプルの強度を調べるため高温引張試験を行った。試験片は、作製した板から平行部が20mm、幅が1mmになるようワイヤー放電にて切出した。
0.2%耐力は、クロスヘッドの移動距離から算出した。
試験条件は、
試験温度:1400℃、
試験雰囲気:大気、
クロスヘッドスピード:5mm/min、
とした。
【0024】
高温引張試験の結果を表1に示す。また、
図1にPt濃度、W濃度と高温0.2%耐力との関係を示す。
図1に示す結果は表1に対応している。
【0025】
比較例1は、Irであり、その高温0.2%耐力は40(MPa)である。
【0026】
図1に示す結果から分かるように、IrにPtを添加すると、Pt添加量に比例して高温0.2%耐力が大きくなる。IrにPtを3.0mass%添加した比較例2の高温0.2%耐力は63(MPa)、IrにPtを5.0mass%添加した比較例3の高温0.2%耐力は87(MPa)である。
【0027】
Ir−Pt合金にWを0.03〜0.04mass%添加したものが実施例1、2、3、4である。
図1より、Ir−Pt合金にWを添加すると、高温0.2%耐力がさらに大きくなることがわかる。すなわち、Ptに加えてWを添加すると、Pt単独添加の場合に比べて、同一Pt濃度における高温の0.2%耐力がより大きくなる。具体的には、
図1において、Pt濃度を横軸に採った場合に、Ptに加えてWを添加すると、高温0.2%耐力の増加率が大きくなる。
【0028】
次に、各サンプルの加工性を調べるため、曲げ試験を行った。試験片は、作製した板からt1.0×w10×L100になるようワイヤー放電にて切出した。試験片は、1000℃以上で熱処理し歪みを除去したものを使用した。試験は、室温で行った。試験条件は、直径100mmの金型に試験片を沿わせる形の曲げを行い、曲げ加工のしやすさを評価した。実施例1〜実施例4、比較例2では、純Ir(比較例1)と同等の加工性を示した。一方、Pt濃度が5.0%である比較例3では、実施例1〜実施例4、比較例2に比べて加工しにくかった。
【0029】
次に、各サンプルの溶接性を調べるため、溶接試験を行った。具体的には、同じ組成の板同士を突合せ溶接して結果を評価した。
【0030】
その結果、実施例1〜4、比較例1〜3は溶接後のクラックは無く特に問題はなかった。すなわち、問題なく溶接できた。
【0031】
次に、実施例1〜4よりもIrへのWの添加濃度を増したサンプルの溶接性を評価した。サンプルは、組成Ir−0.1W(mass%)のサンプル(参考例1)、およびIr−0.3W(mass%)のサンプル(参考例2)を用いた。
【0032】
参考例1の試験片同士を突合せ溶接した結果、問題なく溶接できた。一方、参考例2の試験片同士を突合せ溶接した結果、溶接後の凝固時にビード近傍にクラックが発生し、溶接性が悪化していることが分かった。
【0033】
次にルツボに加工できるかを確認した。具体的には、Ir−1.0Pt−0.035W(mass%)の組成のIr合金を用いて、t2.5mm×φ150mm×L150mmの円筒形ルツボを作製した。作製方法としては、先ず、厚さ2.5mmのIr合金板を、φ150mm×L147.5mmの円筒状に曲げ加工した。次に、曲げ加工されたIr合金板の端部同士を溶接して円筒を作製して胴部とした。次に底部用に、Ir合金板をφ150mmに切出した。次に、胴部と底部を溶接してルツボを完成させた。
【0034】
曲げ加工時にクラックの発生はなく問題なく円筒形への加工ができた。円筒の突合せ部を溶接した際も溶接後に外観観察した結果、クラック等の欠陥は見られなかった。また円筒部と底部を溶接したが溶接部にクラック等の欠陥は見られず、Irで作製した場合と差はなくルツボが作製できた。このようにして、高温下での塑性変形がしにくく、かつ、Ptの使用量を抑えて安価に製造できるIr合金を有するルツボを作製することができた。