(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面を参照しつつ、本発明の好適な実施形態について説明する。なお、図面は理解を容易にするため一部を誇張して描いており、寸法比率等は図面に記載のものに限定されるものではない。
【0013】
図1は、本実施形態に係る搬送用ローラを示す概略図である。本実施形態に係る搬送用ローラ1は、軸体2と、軸体2の外周面上に設けられた弾性層3と、を備えている。
【0014】
軸体2は、公知のローラに用いられる軸体であってよい。軸体2は、例えば、鉄、アルミニウム、ステンレス鋼、真鍮等の金属で構成されていてよい。このような軸体2は芯金と言い換えることができる。また、軸体2は、必ずしも金属製である必要は無く、例えば、樹脂材料で構成されていてもよい。樹脂材料は、例えば、熱可塑性樹脂又は熱硬化性樹脂であってよく、熱可塑性樹脂又は熱硬化性樹脂に導電性付与剤を配合した導電性樹脂であってもよい。
【0015】
軸体2は一つの材質で構成されていてよく、2以上の材質から構成されていてもよい。軸体2は、例えば、芯材と、芯材を覆う外覆層と、から構成されていてよい。具体的には、例えば、軸体2は、金属製の芯材にメッキ処理が施されたものであってよい。
【0016】
軸体2の外周面には、弾性層3との接着性を向上させるため、又は後述のプライマー処理の効果を向上させるため、粗面化処理が施されていてよい。粗面化処理の方法は特に限定されず、軸体2の材質等に応じて、公知の方法から適宜選択してよい。粗面化処理の方法の具体例としては、サンドブラスト、研磨加工等が挙げられる。
【0017】
軸体2の外周面には、弾性層3との接着性を向上させるためのプライマー処理が施されていてよい。プライマー処理の方法は特に限定されず、軸体2の材質及び弾性層3の組成等に応じて、公知の方法から適宜選択してよい。例えば、ディップ法、スプレー法等の方法で軸体2の外周面にプライマーを塗布して、プライマー処理を実施してよい。
【0018】
軸体2の外径は、画像形成装置の形態に応じて適宜変更してよい。軸体2の外径は、例えば8〜30mmであってよく、好ましくは12〜25mmである。軸体2の長さは、画像形成装置の形態に応じて適宜変更してよい。軸体2の長さは、例えば50〜250mmであってよく、好ましくは100〜200mmである。
【0019】
弾性層3は、軸体2の胴体部の外周面上に設けられている。弾性層3は、シリコーンゴム及び球状フィラーを含有する弾性体から構成されている。また、弾性層3の外周面は、球状フィラーが露出したフィラー露出部と球状フィラーが脱落した脱落痕である凹部とを有している。
【0020】
弾性層3は、シリコーンゴム及び球状フィラーを含有する弾性体を円筒状に研削加工して形成されたものであってよい。研削加工により、弾性層3の外周面にフィラー露出部と凹部とを容易に形成できる。
【0021】
シリコーンゴムは、オルガノポリシロキサンと硬化剤とを含むシリコーン組成物の硬化物であってよい。オルガノポリシロキサンとしては、例えば、下記平均組成式(I)で示されるオルガノポリシロキサンが挙げられる。
R
aSiO
(4−a)/2 …(I)
【0022】
式(I)中、aは1.8〜2.3の正数を示し、Rは置換又は非置換の一価の炭化水素基を示す。a個のRは互いに同一又は異なっていてよい。炭化水素基の炭素原子数は、好ましくは1〜10であり、より好ましくは1〜8である。
【0023】
Rの炭化水素基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、ネオペンチル基、へキシル基、シクロヘキシル基、オクチル基、ノニル基及びデシル基等のアルキル基、フェニル基、トリル基、キシリル基及びナフチル基等のアリール基、ベンジル基、フェニルエチル基及びフェニルプロピル基等のアラルキル基、ビニル基、アリル基、プロペニル基、イソプロペニル基、ブテニル基、ヘキセニル基、シクロヘキセニル基及びオクテニル基等のアルケニル基などが挙げられる。また、Rは、これらの炭化水素基が有する水素原子の一部又は全部が置換基で置換された基であってもよい。置換基は、例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子等のハロゲン原子、シアノ基等であってよい。置換基を有する炭化水素基としては、例えば、クロロメチル基、クロロプロピル基、ブロモエチル基、トリフルオロプロピル基、シアノエチル基等が挙げられる。Rとしては、上記のうち、メチル基、ビニル基、フェニル基及びトリフルオロプロピル基が好ましい。
【0024】
オルガノポリシロキサンは、分子中に2つ以上のアルケニル基を有することが好ましい。オルガノポリシロキサンは、Rのうち0.0001〜20モル%がアルケニル基であることが好ましく、0.001〜10モル%がアルケニル基であることがより好ましい。アルケニル基は、分子鎖末端のケイ素原子に結合していてよく、分子鎖途中のケイ素原子に結合していてもよく、両者に結合していてもよい。
【0025】
オルガノポリシロキサンは、Rのうち50モル%以上がアルキル基(より好ましくはメチル基)であることが好ましく、80モル%以上がアルキル基であることがより好ましい。
【0026】
式(I)中のaは1.8〜2.3の正数であり、1.9〜2.1の正数であることが好ましい。
【0027】
オルガノポリシロキサンは、基本的には直鎖状であるが、ゴム弾性を損なわない範囲において部分的に分岐していてもよい。オルガノポリシロキサンの分子量は特に限定されず、粘度の低い液状のものであっても、粘度の高い生ゴム状のものであってもよい。オルガノポリシロキサンの重合度は、100〜100000であることが好ましく、150〜20000であることがより好ましい。
【0028】
オルガノポリシロキサンは、1種を単独で用いてよく、分子構造、重合度等の異なる2種以上を併用してもよい。オルガノポリシロキサンは、公知の方法(例えばオルガノハロゲノシランの1種又は2種以上を加水分解縮合すること、環状ポリシロキサンを開環重合すること等)によって得ることができる。
【0029】
硬化剤は、オルガノポリシロキサンを架橋してシリコーン組成物を硬化できる硬化剤であればよい。硬化剤としては、例えば、過酸化物硬化剤等が挙げられる。
【0030】
過酸化物硬化剤としては、例えば、ベンゾイルパーオキサイド、2,4−ジクロロベンゾイルパーオキサイド、p−メチルベンゾイルパーオキサイド、o−メチルベンゾイルパーオキサイド、2,4−ジクミルパーオキサイド、2,5−ジメチル−ビス(2,5−t−ブチルパーオキシ)ヘキサン、ジ−t−ブチルパーオキサイド、t−ブチルパーベンゾエート、1,6−ヘキサンジオール−ビス−t−ブチルパーオキシカーボネート等が挙げられる。
【0031】
球状フィラーの平均粒径は10μm以上であり、15μm以上であることが好ましい。球状フィラーの平均粒径が10μm未満であると、球状フィラーの脱落による脱落痕が小さすぎて発明の効果が十分に得られない場合がある。また、球状フィラーの平均粒径は100μm以下であり、好ましくは80μm以下であり、より好ましくは60μm以下である。球状フィラーの平均粒径が100μmを超えると、研削加工で脱落しなかった球状フィラーによって摩擦係数が低くなりすぎて、一部の記録紙に対する搬送性が悪化する場合がある。
【0032】
なお、本明細書中、球状フィラーの平均粒径は、音波振動式ふるい分け測定器(株式会社セイシン企業社製 商品名:ロボットシフターRPS−105N)で測定した50%径の値を示す。
【0033】
球状フィラーとしては、例えば、ガラスビーズ、シリコーンゴムボール、金属系フィラー等を用いてよく、このうちガラスビーズを特に好適に用いることができる。
【0034】
球状フィラーは、表面処理剤で表面処理されていてよい。表面処理剤としては、例えば、シランカップリング剤等が挙げられる。球状フィラーは、必ずしも表面処理されている必要はなく、弾性層3の外周面で脱落痕を形成しやすい観点からは、表面処理されていない球状フィラーを好適に用いることができる。
【0035】
弾性層3中の球状フィラーの含有量は、シリコーンゴム100質量部に対して10質量部以上であり、好ましくは20質量部以上である。また、弾性層3中の球状フィラーの含有量は、シリコーンゴム100質量部に対して80質量部以下であり、好ましくは50質量部以下である。球状フィラーの含有量を上記範囲とすることで、様々な種類の記録紙に対する優れた搬送性が得られる。
【0036】
弾性層3は、シリコーンゴム及び球状フィラー以外の他の成分を更に含有していてよい。他の成分としては、例えば、助剤(鎖延長剤、架橋剤等)、触媒、分散剤、発泡剤、老化防止剤、酸化防止剤、充填材、顔料、着色剤、加工助剤、軟化剤、可塑剤、乳化剤、耐熱性向上剤、難燃性向上剤、受酸剤、熱伝導性向上剤、離型剤、溶剤等が挙げられる。
【0037】
弾性層3の外径は、画像形成装置の形態に応じて適宜変更してよい。弾性層3の外径は、例えば8〜30mmであってよく、好ましくは15〜20mmである。弾性層3の厚さ(軸方向に垂直な方向の厚さ)及び長さ(軸方向の長さ)は、画像形成装置の形態に応じて適宜変更してよい。弾性層3の厚さは、例えば1〜10mmであってよく、好ましくは2〜5mmである。弾性層3の長さは、例えば5〜150mmであってよく、好ましくは10〜50mmである。
【0038】
弾性層3のJIS A硬度(すなわち、弾性層3を構成する弾性体のJIS A硬度)は、好ましくは40以上であり、より好ましくは50以上である。また、弾性層3のJIS A硬度は、好ましくは95以下であり、より好ましくは85以下である。このような硬度であると、多様な記録紙に対する搬送性が一層向上する傾向がある。なお、本明細書中、JIS A硬度は、JIS K6253に準拠してタイプAの方法で測定される値を示す。
【0039】
弾性層3の外周面には、球状フィラーが脱落した脱落痕である凹部が形成されている。弾性層3の外周面における凹部の割合は、例えば、マイクロ顕微鏡で5mm×5mmの弾性層3の外周面を観察し、25mm
2中の凹部が占める割合で表すことができる。当該割合は、例えば3〜40%であってよく、好ましくは7.5〜25%である。
【0040】
弾性層3の外周面におけるフィラー露出部及び凹部は、研削加工により形成されたものであってよい。軸体の外周面上に配置された弾性体を円筒上に研削加工することで、上述のフィラー露出部及び凹部を外周面に有した弾性層3を容易に形成することができる。
【0041】
弾性層3の外周面は、研削加工による研削痕を有していてよい。研削痕は、搬送用ローラ1の回転方向に沿って形成されていてよく、回転方向の一方に順目、他方に逆目を成すように形成されていてもよい。
【0042】
以下に、搬送用ローラ1の製造方法の好適な一態様について説明する。
【0043】
本態様に係る製造方法は、軸体2の外周面上に配置された弾性体を円筒状に研削加工して、弾性層3を得る工程を備える。研削加工は、例えば、軸体2を軸として回転させながら、弾性体を研削工具に接触させて行ってよい。研削工具は特に限定されないが、例えば、円筒研削盤がよい。また、研削加工の条件は、例えば、ゴムの硬度により、砥石の種類を変更したり、砥石の回転数(速度)を調整すると好ましい。
【0044】
本態様に係る製造方法は、軸体2の外周面上に弾性体を配置して、軸体2及び弾性体を備える搬送用ローラ原体を得る工程を更に備えていてよい。この工程では、例えば、軸体2の外周面上に、シリコーン組成物及び球状フィラーを含有する弾性体原料を配置した後、弾性体原料を加熱硬化することで、搬送用ローラ原体を形成してよい。また、例えば、筒状に成形した弾性体に軸体2を差し込むことで、搬送用ローラ原体を得てもよい。搬送用ローラ原体は、上述の研削加工によって、搬送用ローラ1に成形される。
【0045】
本実施形態に係る搬送用ローラ1は、様々な種類の記録紙に対して優れた搬送性を有する。また、本実施形態に係る搬送用ローラ1は、剥離紙、剥離フィルム等に対しても優れた搬送性を有する。このため、搬送用ローラ1は、複数種の記録紙が適用される画像形成装置における搬送用ローラとして、好適に用いることができる。また、搬送用ローラ1は、例えば、パルプ系用紙が適用される複写機、ラベル用剥離フィルムの搬送が必要なラベルプリンタなど、様々な画像形成装置の搬送用ローラとして用いることができる。
【0046】
本実施形態に係る搬送用ローラ1は、記録紙、剥離紙及び剥離フィルムからなる群より選択される2種以上の搬送対象に対する静摩擦係数が、0.7以上であることが好ましく、0.9以上であることがより好ましい。静摩擦係数がこの範囲であると、各記録紙に対して優れた搬送性を発揮できる。
【0047】
本実施形態に係る搬送用ローラ1による搬送対象の種類としては、例えば、コピー用紙、青セパ紙、OPP(2軸延伸ポリプロピレン)等の樹脂フィルムなどが挙げられる。搬送用ローラ1は、これらのうち、少なくともコピー用紙及びOPP樹脂フィルムに対して、上述の好適な静摩擦係数を示すことが好ましい。なお、本明細書中、静摩擦係数は、実施例に記載の方法で測定される値を示す。
【0048】
また、本実施形態に係る搬送用ローラ1は、2種以上の搬送対象に対する静摩擦係数の差が0.4以下であることが好ましく、0.25以下であることがより好ましい。このような搬送用ローラ1は、異なる搬送対象に対して同等の搬送性を発揮することができ、複数種の搬送対象が適用される画像形成装置における搬送用ローラとして、特に好適に用いることができる。
【0049】
本実施形態に係る画像形成装置は、搬送用ローラ1を備えている。本実施形態において、画像形成装置における搬送用ローラ1以外の構成は特に限定されない。例えば、本実施形態に係る画像形成装置は、公知の画像形成装置における搬送用ローラを、搬送用ローラ1に置き換えたものであってよい。
【0050】
以上、本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではない。
【実施例】
【0051】
以下、実施例により本発明をより具体的に説明するが、本発明は実施例に限定されるものではない。
【0052】
(実施例1)
無電解ニッケルメッキ処理が施された軸体(直径10mm、長さ50mm、SUM22)をトルエンで洗浄し、軸体の外周面にプライマー「No.31A/B」(信越化学工業株式会社製、商品名)を塗布した。プライマーを塗布した軸体を、ギアーオーブンを用いて180℃の温度で30分焼成処理した後、常温で30分以上冷却した。
【0053】
次いで、オルガノポリシロキサン「KE−78VBS」(信越化学工業株式会社製、商品名)100質量部、過酸化物硬化剤「C−8」(信越化学工業株式会社製、商品名)2.0質量部、顔料「カラーCB」(信越化学工業株式会社製、商品名)0.1質量、及び、球状ガラスビーズ(平均粒径50μm、ポッターズ・バロティーニ社製、商品名「GB301S」)50質量部、シリカ微粒子「AEROSIL 200」(日本アエロジル株式会社製、商品名)をミキシングローラにて混練して、弾性体原料を得た。なお、シリカ微粒子の配合量は、得られる搬送用ローラのJIS A硬度が約70となるように調整した。
【0054】
軸体の外周面上にφ22mmの筒状の金型を設置し、金型内に弾性体原料を充填した。充填された弾性体原料を175℃、15分のプレス成形によって成形し、その後200℃、7時間の条件でギアーオーブンで二次加熱することで、搬送用ローラ原体を作製した。この搬送用ローラ原体を、円筒研削盤にてφ20mmに研削し、実施例1の搬送用ローラを得た。
【0055】
得られた搬送用ローラの弾性層外周面を顕微鏡で観察したところ、球状ガラスビーズが露出したフィラー露出部と、球状ガラスビーズが脱落した脱落痕である凹部とが確認された。
図2は、実施例1で得られた搬送用ローラの弾性層外周面の顕微鏡写真を示す図である。また、得られた搬送用ローラは、弾性層の外周面における凹部の割合が19.63%であった。
【0056】
また、得られた搬送用ローラについて、JIS A硬度及び静摩擦係数の測定を行った。その結果、JIS A硬度は71であり、静摩擦係数はコピー紙に対して1.01、青セパ紙に対して1.03、OPP剥離フィルムに対して1.05であった。静摩擦係数の測定は以下の方法で行った。
【0057】
[静摩擦係数の測定]
HEIDON TYPE14(新東科学株式会社製、表面性測定機)に、搬送用ローラと測定対象物を装填した。RANGE25%100g荷重の設定で、測定対象物を600mm/minの速さで70mm移動させ、摩擦係数を測定した。この時、移動開始地点から10mm〜60mmまでの領域の平均値を静摩擦係数値とした。また、測定対象物の移動方向は、搬送ローラの研削目に対して順目方向とした。測定対象物としては、コピー紙、青セパ紙及びOPP剥離フィルムを用いた。なお、
図4は、静摩擦係数の測定について説明するための模式図である。表面性測定機は、ロードセル及び荷重を備えており、搬送用ローラ1及び測定対象物21がそれぞれ装填され、測定対象物21を矢印方向に移動させて摩擦係数を測定する。
【0058】
(実施例2)
球状ガラスビーズの配合量を12.5質量部に変更したこと以外は、実施例1と同様にして搬送用ローラを作製した。作製した搬送用ローラについて、JIS A硬度及び静摩擦係数の測定を行ったところ、JIS A硬度は61であり、静摩擦係数はコピー紙に対して1.47、青セパ紙に対して1.63、OPP剥離フィルムに対して1.82であった。また、得られた搬送用ローラは、弾性層の外周面における凹部の割合が3.49%であった。
【0059】
(実施例3)
球状ガラスビーズの配合量を75質量部に変更したこと以外は、実施例1と同様にして搬送用ローラを作製した。作製した搬送用ローラについて、JIS A硬度及び静摩擦係数の測定を行ったところ、JIS A硬度は73であり、静摩擦係数はコピー紙に対して0.75、青セパ紙に対して0.91、OPP剥離フィルムに対して0.93であった。
【0060】
(実施例4)
シリカ微粒子の配合量を調整したこと以外は、実施例1と同様にして搬送用ローラを作製した。作製した搬送用ローラについて、JIS A硬度及び静摩擦係数の測定を行ったところ、JIS A硬度は50であり、静摩擦係数はコピー紙に対して1.76、青セパ紙に対して2.00、OPP剥離フィルムに対して1.93であった。
【0061】
(実施例5)
シリカ微粒子の配合量を調整したこと以外は、実施例1と同様にして搬送用ローラを作製した。作製した搬送用ローラについて、JIS A硬度及び静摩擦係数の測定を行ったところ、JIS A硬度は75であり、静摩擦係数はコピー紙に対して0.99、青セパ紙に対して1.19、OPP剥離フィルムに対して1.32であった。
【0062】
(実施例6)
球状ガラスビーズとして平均粒径20μmの球状ガラスビーズ(ポッターズ・バロティーニ社製、商品名「GB210」)を用い、その配合量を25質量部に変更したこと以外は、実施例1と同様にして搬送用ローラを作製した。作製した搬送用ローラについて、JIS A硬度及び静摩擦係数の測定を行ったところ、JIS A硬度は70であり、静摩擦係数はコピー紙に対して1.10、青セパ紙に対して1.23、OPP剥離フィルムに対して1.26であった。
【0063】
(実施例7)
球状ガラスビーズとして、表面処理された球状ガラスビーズ(平均粒径50μm、ポッターズ・バロティーニ社製、商品名「GB301SC」)を用いたこと以外は、実施例1と同様にして搬送用ローラを作製した。作製した搬送用ローラについて、JIS A硬度及び静摩擦係数の測定を行ったところ、JIS A硬度は72であり、静摩擦係数はコピー紙に対して0.79、青セパ紙に対して0.88、OPP剥離フィルムに対して0.92であった。
【0064】
(比較例1)
球状ガラスビーズを配合しなかったこと以外は、実施例1と同様にして搬送用ローラを作製した。作製した搬送用ローラについて、JIS A硬度及び静摩擦係数の測定を行ったところ、JIS A硬度は58であり、静摩擦係数はコピー紙に対して1.48、青セパ紙に対して2.32、OPP剥離フィルムに対して2.28であった。
図3は、比較例1で得られた搬送用ローラの弾性層外周面の顕微鏡写真を示す図である。
【0065】
(比較例2)
球状ガラスビーズの配合量を100質量部に変更したこと以外は、実施例1と同様にして搬送用ローラを作製した。作製した搬送用ローラについて、JIS A硬度及び静摩擦係数の測定を行ったところ、JIS A硬度は76であり、静摩擦係数はコピー紙に対して0.72、青セパ紙に対して0.63、OPP剥離フィルムに対して0.51であった。
【0066】
(比較例3)
球状ガラスビーズとして、平均粒径120μmの球状ガラスビーズ(ポッターズ・バロティーニ社製、商品名「GB402T」)を用いたこと以外は、実施例1と同様にして搬送用ローラを作製した。作製した搬送用ローラについて、JIS A硬度及び静摩擦係数の測定を行ったところ、JIS A硬度は73であり、静摩擦係数はコピー紙に対して0.80、青セパ紙に対して0.65、OPP剥離フィルムに対して0.63であった。
【0067】
実施例1〜6の搬送用ローラでは、各測定対象に対する静摩擦係数の差が小さく、複数の種類の記録紙に対して優れた搬送性を発揮できることが確認された。一方、比較例1の搬送用ローラは、各測定対象に対する静摩擦係数の差が大きく、記録紙の種類によって搬送性に大きく差が生じることが確認された。また、比較例2及び3の搬送用ローラは、青セパ紙及びOPP剥離フィルムに対する静摩擦係数の値が小さく、十分な搬送性が発揮できなかった。