特許第6674892号(P6674892)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6674892有機エレクトロルミネッセンス素子
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6674892
(24)【登録日】2020年3月11日
(45)【発行日】2020年4月1日
(54)【発明の名称】有機エレクトロルミネッセンス素子
(51)【国際特許分類】
   H01L 51/50 20060101AFI20200323BHJP
   C07C 211/61 20060101ALI20200323BHJP
   C07D 471/04 20060101ALI20200323BHJP
   C07D 235/08 20060101ALI20200323BHJP
   C07D 401/04 20060101ALI20200323BHJP
   C07D 239/26 20060101ALI20200323BHJP
   C07D 401/14 20060101ALI20200323BHJP
   C07C 211/54 20060101ALN20200323BHJP
【FI】
   H05B33/22 D
   H05B33/14 A
   H05B33/22 B
   C07C211/61
   C07D471/04 103Z
   C07D235/08
   C07D401/04
   C07D239/26
   C07D401/14
   !C07C211/54CSP
【請求項の数】10
【全頁数】103
(21)【出願番号】特願2016-532954(P2016-532954)
(86)(22)【出願日】2015年7月8日
(86)【国際出願番号】JP2015069641
(87)【国際公開番号】WO2016006629
(87)【国際公開日】20160114
【審査請求日】2018年5月16日
(31)【優先権主張番号】特願2014-141152(P2014-141152)
(32)【優先日】2014年7月9日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000005315
【氏名又は名称】保土谷化学工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100075177
【弁理士】
【氏名又は名称】小野 尚純
(74)【代理人】
【識別番号】100113217
【弁理士】
【氏名又は名称】奥貫 佐知子
(74)【代理人】
【識別番号】100186897
【弁理士】
【氏名又は名称】平川 さやか
(72)【発明者】
【氏名】横山 紀昌
(72)【発明者】
【氏名】山本 剛史
(72)【発明者】
【氏名】林 秀一
(72)【発明者】
【氏名】北原 秀良
【審査官】 中山 佳美
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許出願公開第2005/0236976(US,A1)
【文献】 特開2003−201472(JP,A)
【文献】 特開2009−299049(JP,A)
【文献】 特表2009−535815(JP,A)
【文献】 韓国登録特許第10−1216004(KR,B1)
【文献】 特開2013−258269(JP,A)
【文献】 特開2010−202633(JP,A)
【文献】 国際公開第2010/035723(WO,A1)
【文献】 特表2015−502960(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 51/50
C07C 211/61
C07D 471/04
C07D 235/08
C07D 401/04
C07D 239/26
C07D 401/14
C07C 211/54
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
陽極、正孔輸送層、発光層、電子輸送層及び陰極をこの順に有する有機エレクトロルミネッセンス素子において、前記正孔輸送層が下記一般式(1);
【化1】
[この文献は図面を表示できません]
式中、
Arは、無置換もしくはナフチル基を置換基として有するフェニル基、無置換の
ビフェニリル基、または無置換のターフェニリル基であり、
Arは、無置換のフェニル基、または無置換のビフェニリル基であり、
Ar及びArは、無置換のビフェニリル基、無置換のターフェニリル基、ナフチル基もしくはフルオレニル基を置換基として有するフェニル基、またはメチル基もしくはフェニル基を置換基として有するフルオレニル基である、
で表されるアリールアミン化合物を含有することを特徴とする有機エレクトロルミネッセンス素子。
【請求項2】
前記電子輸送層が下記一般式(2)で表されるアントラセン誘導体を含有している請求項1記載の有機エレクトロルミネッセンス素子;
【化4】
[この文献は図面を表示できません]
式中、
Aは、2価の芳香族炭化水素基、2価の芳香族複素環基または単結合を示し、
Bは、1価の芳香族複素環基を示し、
Cは、1価の芳香族炭化水素基または1価の芳香族複素環基を示し、
B及びCは、置換又は無置換であり、
Dは、水素原子、重水素原子、フッ素原子、塩素原子、シアノ基、または炭素数1ないし6のアルキル基であり、
p及びqは、両者の合計が9であることを条件として、pが7または8の整数であり、qが1または2の整数である。
【請求項3】
前記アントラセン誘導体が、下記一般式(2a)で表される請求項記載の有機エレクトロルミネッセンス素子;
【化5】
[この文献は図面を表示できません]
式中、
Aは、前記式(2)に示すとおりであり、
Ar、Ar10及びAr11は、それぞれ、1価の芳香族炭化水素基または1価の芳香族複素環基を示し、
Ar、Ar10及びAr11は、置換又は無置換であり、
〜Rは、それぞれ、水素原子、重水素原子、フッ素原子、塩素原子、シアノ基、ニトロ基、炭素数1ないし6のアルキル基、炭素数5ないし10のシクロアルキル基、炭素数2ないし6のアルケニル基、炭素数1ないし6のアルキルオキシ基、炭素数5ないし10のシクロアルキルオキシ基、1価の芳香族炭化水素基、1価の芳香族複素環基またはアリールオキシ基であって、これらの基は、単結合、置換基を有していてもよいメチレン基、酸素原子または硫黄原子を介して互いに結合して環を形成してもよく、
、X、X及びXは、これらのいずれか1つのみが窒素原子であることを条件として、それぞれ、炭素原子または窒素原子を示し、該窒素原子には、水素原子を含めてR〜Rの何れも結合していないものとする。
【請求項4】
前記アントラセン誘導体が、下記一般式(2b)で表される請求項記載の有機エレク
トロルミネッセンス素子;
【化6】
[この文献は図面を表示できません]
式中、
Aは、前記式(2)に示すとおりであり、
Ar12、Ar13及びAr14は、それぞれ、1価の芳香族炭化水素基または1価の芳香族複素環基を示し、
Ar12、Ar13及びAr14は、置換又は無置換である。
【請求項5】
前記アントラセン誘導体が、下記一般式(2c)で表される請求項記載の有機エレクトロルミネッセンス素子;
【化7】
[この文献は図面を表示できません]
式中、
Aは、前記式(2)に示すとおりであり、
Ar15、Ar16及びAr17は、それぞれ、1価の芳香族炭化水素基または1価の芳香族複素環基を示し、
Ar15、Ar16及びAr17は、置換又は無置換であり、
は、水素原子、重水素原子、フッ素原子、塩素原子、シアノ基、ニトロ基、炭素数1ないし6のアルキル基、炭素数5ないし10のシクロアルキル基、炭素数2ないし6のアルケニル基、炭素数1ないし6のアルキルオキシ基、炭素数5ないし10のシクロアルキルオキシ基、1価の芳香族炭化水素基、1価の芳香族複素環基またはアリールオキシ基を示す。
【請求項6】
前記正孔輸送層が、第一正孔輸送層および第二正孔輸送層の2層構造を有しており、該第二正孔輸送層が前記発光層側に位置しており且つ前記アリールアミン化合物を含有している請求項1記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
【請求項7】
前記第一正孔輸送層が、前記第二正孔輸送層に含まれているアリールアミン化合物とは異なるトリアリールアミン誘導体を含有しており、該トリアリールアミン誘導体は、2つのトリアリールアミン骨格が単結合または2価の炭化水素基で連結された分子構造を有しており且つ分子全体としてトリアリールアミン骨格を2個〜6個有している化合物である請求項記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
【請求項8】
前記第一正孔輸送層に含まれているトリアリールアミン誘導体が、下記一般式(3);
【化8】
[この文献は図面を表示できません]
前記式中、
、r10、r13及びr14は、それぞれ、0〜5の整数であり、
11及びr12は、それぞれ、0〜4の整数であり、
〜R14は、それぞれ、重水素原子、フッ素原子、塩素原子、シアノ基、ニトロ基、炭素数1ないし6のアルキル基、炭素数5ないし10のシクロアルキル基、炭素数2ないし6のアルケニル基、炭素数1ないし6のアルキルオキシ基、炭素数5ないし10のシクロアルキルオキシ基、1価の芳香族炭化水素基、1価の芳香族複素環基またはアリールオキシ基を示し、これらの基が同一のベンゼン環に複数存在している場合には、これらの基は、単結合、置換基を有していてもよいメチレン基、酸素原子または硫黄原子を介して互いに結合して環を形成してもよく、
は、単結合、または下記構造式(B)、(C)、(D)、(E)、(F)もしくは(G)で示される2価基を示す、
【化9】
[この文献は図面を表示できません]
(B)
式中、n1は1〜4の整数である、
【化10】
[この文献は図面を表示できません]
【化11】
[この文献は図面を表示できません]
【化12】
[この文献は図面を表示できません]
【化13】
[この文献は図面を表示できません]

【化14】
[この文献は図面を表示できません]
で表される請求項記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
【請求項9】
前記第一正孔輸送層に含まれているトリアリールアミン誘導体が、下記一般式(4);
【化15】
[この文献は図面を表示できません]
式中、
15、r16、r19、r22、r25及びr26は、それぞれ、0〜5の整数であり、
17、r18、r20、r21、r23及びr24は、それぞれ、0〜4の整数であり、
15〜R26は、それぞれ、重水素原子、フッ素原子、塩素原子、シアノ基、ニトロ基、炭素数1ないし6のアルキル基、炭素数5ないし10のシクロアルキル基、炭素数2ないし6のアルケニル基、炭素数1ないし6のアルキルオキシ基、炭素数5ないし10のシクロアルキルオキシ基、1価の芳香族炭化水素基、1価の芳香族複素環基またはアリールオキシ基を示し、これらの基が同一のベンゼン環に複数存在している場合には、これらの基は、単結合、置換基を有していてもよいメチレン基、酸素原子または硫黄原子を介して互いに結合して環を形成してもよく、
、L及びLは、単結合、または下記構造式(B’)、(C)、(D)、(E)、(F)もしくは(G)で示される2価基を示す、
【化16】
[この文献は図面を表示できません]
(B’)
式中、n2は1〜3の整数である、
【化17】
[この文献は図面を表示できません]

【化18】
[この文献は図面を表示できません]
【化19】
[この文献は図面を表示できません]
【化20】
[この文献は図面を表示できません]
【化21】
[この文献は図面を表示できません]
で表される請求項記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
【請求項10】
下記一般式(1);
【化22】
[この文献は図面を表示できません]
式中、
Arは、無置換もしくはナフチル基を置換基として有するフェニル基、無置換のビフェニリル基、または無置換のターフェニリル基であり、
Arは、無置換のフェニル基、または無置換のビフェニリル基であり、
Ar及びArは、無置換のビフェニリル基、無置換のターフェニリル基、ナフチル基もしくはフルオレニル基を置換基として有するフェニル基、またはメチル基もしくはフェニル基を置換基として有するフルオレニル基である、
で表されるアリールアミン化合物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、各種の表示装置に好適な自発光素子である有機エレクトロルミネッセンス素子(有機EL素子)に関するものであリ、さらには、該有機EL素子の正孔輸送層に好適に使用される新規なアリールアミン化合物にも関する。
【背景技術】
【0002】
有機EL素子は自己発光性素子であるため、液晶素子にくらべて明るく視認性に優れ、鮮明な表示が可能であることから、有機EL素子については多くの研究がなされてきた。
【0003】
1987年にイーストマン・コダック社のC.W.Tangらは、発光のための各種の役割を各材料に分担した積層構造とすることにより、実用的な有機EL素子の開発に成功した。かかる有機EL素子は、電子を輸送することのできる蛍光体と正孔を輸送することのできる有機物とを積層することにより構成されるものであり、正電荷と負電荷とを蛍光体の層の中に注入して発光させることにより、10V以下の電圧で1000cd/m以上の高輝度が得られるというものである(例えば、特許文献1および特許文献2参照)。
【0004】
現在まで、有機EL素子の実用化のために多くの改良がなされており、例えば、積層構造の各種の役割をさらに細分化し、基板上に、陽極、正孔注入層、正孔輸送層、発光層、電子輸送層、電子注入層及び陰極を設けた積層構造とすることにより、高効率と耐久性が達成されることが一般に知られている。
【0005】
また、発光効率の更なる向上を目的として三重項励起子の利用が試みられ、燐光発光性化合物の利用が検討されている。
さらに、熱活性化遅延蛍光(TADF)による発光を利用する素子も開発されている。例えば、2011年に九州大学の安達らは、熱活性化遅延蛍光材料を用いた素子によって5.3%の外部量子効率を実現させている。
【0006】
発光層は、一般的にホスト材料と称される電荷輸送性の化合物に、蛍光性化合物や燐光発光性化合物または遅延蛍光を放射する材料をドープして作製することもできる。有機EL素子における有機材料の選択は、その素子の効率や耐久性など諸特性に大きな影響を与える。
【0007】
有機EL素子においては、両電極から注入された電荷が発光層で再結合して発光が得られるが、正孔、電子の両電荷を如何に効率良く発光層に受け渡すかが重要であり、キャリアバランスに優れた素子とする必要がある。また、正孔注入性を高め、陰極から注入された電子をブロックする電子阻止性を高めることによって、正孔と電子が再結合する確率を向上させ、更には発光層内で生成した励起子を閉じ込めることによって、高発光効率を得ることができる。そのため、正孔輸送材料の果たす役割は重要であり、正孔注入性が高く、正孔の移動度が大きく、電子阻止性が高く、さらには電子に対する耐久性が高い正孔輸送材料が求められている。
【0008】
また、素子の寿命に関しては材料の耐熱性やアモルファス性も重要である。耐熱性が低い材料では、素子駆動時に生じる熱により、低い温度でも熱分解が起こり、材料が劣化する。アモルファス性が低い材料では、短い時間でも薄膜の結晶化が起こり、素子が劣化してしまう。そのため使用する材料には耐熱性が高く、アモルファス性が良好な性質が求められる。
【0009】
これまで有機EL素子に用いられてきた正孔輸送材料としては、N,N’−ジフェニル−N,N’−ジ(α−ナフチル)ベンジジン(NPD)や種々の芳香族アミン誘導体が知られていた(例えば、特許文献1および特許文献2参照)。NPDは良好な正孔輸送能力を持っているが、耐熱性の指標となるガラス転移点(Tg)が96℃と低く、高温条件下では結晶化による素子特性の低下が起こってしまう。
また、特許文献1,2に記載の芳香族アミン誘導体の中には、正孔の移動度が10−3cm/Vs以上と優れた移動度を有する化合物もあるが、電子阻止性が不十分であるため、電子の一部が発光層を通り抜けてしまい、発光効率の向上が期待できないなど、更なる高効率化のため、より電子阻止性が高く、薄膜がより安定で耐熱性の高い材料が求められていた。
さらに、耐久性の高い芳香族アミン誘導体も報告されているが(例えば、特許文献3参照)、電子写真感光体に用いられる電荷輸送材料として用いたもので、有機EL素子として用いた例はなかった。
【0010】
耐熱性や正孔注入性などの特性を改良した化合物として、置換カルバゾール構造を有するアリールアミン化合物が提案されているが(例えば、特許文献4および特許文献5参照)、これらの化合物を正孔注入層または正孔輸送層に用いた素子では、耐熱性や発光効率などの改良はされているものの、未だ十分とはいえず、さらなる低駆動電圧化や、さらなる高発光効率化が求められている。
【0011】
有機EL素子の素子特性の改善や素子作製の歩留まり向上のために、正孔および電子の注入・輸送性能、薄膜の安定性や耐久性に優れた材料を組み合わせることで、正孔および電子が高効率で再結合できる、発光効率が高く、駆動電圧が低く、長寿命な素子が求められている。
【0012】
また、有機EL素子の素子特性を改善させるために、正孔および電子の注入・輸送性能、薄膜の安定性や耐久性に優れた材料を組み合わせることで、キャリアバランスのとれた高効率、低駆動電圧、長寿命な素子が求められている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0013】
【特許文献1】特開平8−048656号公報
【特許文献2】特許第3194657号公報
【特許文献3】特許第4943840号公報
【特許文献4】特開2006−151979号公報
【特許文献5】国際公開第2008/62636号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
本発明の目的は、高効率、高耐久性の有機EL素子用の材料として、正孔および電子の注入・輸送性能、電子阻止能力、薄膜状態での安定性、や耐久性に優れた有機EL素子用の各種材料を、それぞれの材料が有する特性が効果的に発現できるように組み合わせることで、高効率、低駆動電圧、長寿命の有機EL素子を提供することにある。
本発明のさらに他の目的は、上記有機EL素子の正孔輸送層の形成に好適に使用される新規なアリールアミン化合物を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明者らは、特定の構造を有するアリールアミン化合物が、正孔注入および輸送能力、薄膜の安定性や耐久性に優れていること、さらには電子阻止性にも優れているという知見を見出し、本発明を完成させるに至った。
【0016】
本発明によれば、陽極、正孔輸送層、発光層、電子輸送層及び陰極をこの順に有する有機エレクトロルミネッセンス素子において、前記正孔輸送層が下記一般式(1);
【化1】
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(1)
式中、
Ar〜Arは、それぞれ、1価の芳香族炭化水素基または1価の芳香族複素環基を示す、
で表されるアリールアミン化合物を含有することを特徴とする有機エレクトロルミネッセンス素子が提供される。
【0017】
本発明の有機エレクトロルミネッセンス素子(有機EL素子)においては、前記アリールアミン化合物が、下記一般式(1a)または(1b)で表されることが好適である。
【化2】
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(1a)
【化3】
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(1b)
前記式(1a)及び(1b)においては、
Ar〜Arは、前記のとおりの基を示し、
Ar、Ar、Ar及びArも、Ar〜Arと同様、それぞれ、1価の芳香族炭化水素基または1価の芳香族複素環基を示す。
【0018】
また、本発明の誘起EL素子においては、前記電子輸送層が下記一般式(2)で表されるアントラセン誘導体を含有していることが好ましい。
【化4】
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(2)
式中、
Aは、2価の芳香族炭化水素基、2価の芳香族複素環基または単結合を示し、
Bは、1価の芳香族複素環基を示し、
Cは、1価の芳香族炭化水素基または1価の芳香族複素環基を示し、
Dは、水素原子、重水素原子、フッ素原子、塩素原子、シアノ基、炭素数1ないし6のアルキル基または炭素数1ないし6のアルキル基であり、
p及びqは、両者の合計が9であることを条件として、pが7または8の整数であり、qが1または2の整数である。
【0019】
上記のアントラセン誘導体は、特に、下記一般式(2a)、(2b)または(2c)で表されることが好適である。
【0020】
一般式(2a)で表されるアントラセン誘導体;
【化5】
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式中、
Aは、前記式(2)に示すとおりであり、
Ar、Ar10及びAr11は、それぞれ、1価の芳香族炭化水素基または1価の芳香族複素環基を示し、
〜Rは、それぞれ、水素原子、重水素原子、フッ素原子、塩素原子、シアノ基、ニトロ基、炭素数1ないし6のアルキル基、炭素数5ないし10のシクロアルキル基、炭素数2ないし6のアルケニル基、炭素数1ないし6のアルキルオキシ基、炭素数5ないし10のシクロアルキルオキシ基、1価の芳香族炭化水素基、1価の芳香族複素環基またはアリールオキシ基であって、これらの基は、単結合、置換基を有していてもよいメチレン基、酸素原子または硫黄原子を介して互いに結合して環を形成してもよく、
、X、X及びXは、これらのいずれか1つのみが窒素原子であることを条件として、それぞれ、炭素原子または窒素原子を示し、該窒素原子には、水素原子を含めてR〜Rの何れも結合していないものとする。
【0021】
一般式(2b)で表されるアントラセン誘導体;
【化6】
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(2b)
式中、
Aは、前記式(2)に示すとおりであり、
Ar12、Ar13及びAr14は、それぞれ、1価の芳香族炭化水素基または1価の芳香族複素環基を示す。
【0022】
一般式(2c)で表されるアントラセン誘導体;
【化7】
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(2c)
式中、
Aは、前記式(2)に示すとおりであり、
Ar15、Ar16及びAr17は、それぞれ、1価の芳香族炭化水素基または1価の芳香族複素環基を示し、
は、水素原子、重水素原子、フッ素原子、塩素原子、シアノ基、ニトロ基、炭素数1ないし6のアルキル基、炭素数5ないし10のシクロアルキル基、炭素数2ないし6のアルケニル基、炭素数1ないし6のアルキルオキシ基、炭素数5ないし10のシクロアルキルオキシ基、1価の芳香族炭化水素基、1価の芳香族複素環基またはアリールオキシ基を示す。
【0023】
さらに本発明の有機EL素子においては、前記正孔輸送層が、第一正孔輸送層および第二正孔輸送層の2層構造を有しており、該第二正孔輸送層が前記発光層側に位置しており且つ前記アリールアミン化合物を含有していることが好適である。
このように正孔輸送層が2層構造を有している有機EL素子においては、前記第一正孔輸送層が、前記第二正孔輸送層に含まれているアリールアミン化合物とは異なるトリアリールアミン誘導体を含有しており、該トリアリールアミン誘導体は、2つのトリアリールアミン骨格が単結合または2価の炭化水素基で連結された分子構造を有しており且つ分子全体としてトリアリールアミン骨格を2個〜6個有している化合物であることが望ましい。
【0024】
さらに、上記のような第一正孔輸送層に含まれているトリアリールアミン誘導体としては、下記一般式(3)または(4)で表される化合物が好適に使用される。
【0025】
一般式(3)で表されるトリアリールアミン誘導体;
【化8】
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前記式中、
、r10、r13及びr14は、それぞれ、0〜5の整数であり、
11及びr12は、それぞれ、0〜4の整数であり、
〜R14は、それぞれ、重水素原子、フッ素原子、塩素原子、シアノ基、ニトロ基、炭素数1ないし6のアルキル基、炭素数5ないし10のシクロアルキル基、炭素数2ないし6のアルケニル基、炭素数1ないし6のアルキルオキシ基、炭素数5ないし10のシクロアルキルオキシ基、1価の芳香族炭化水素基、1価の芳香族複素環基またはアリールオキシ基を示し、これらの基が同一のベンゼン環に複数存在している場合には、これらの基は、単結合、置換基を有していてもよいメチレン基、酸素原子または硫黄原子を介して互いに結合して環を形成してもよく、
は、単結合、または下記構造式(B)、(C)、(D)、(E)、(F)もしくは(G)で示される2価基を示す。
【化9】
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(B)
式中、n1は1〜4の整数である、
【化10】
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(C)
【化11】
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(D)
【化12】
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(E)
【化13】
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(F)
【化14】
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(G)
【0026】
一般式(4)で表されるトリアリールアミン誘導体;
【化15】
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式中、
15、r16、r19、r22、r25及びr26は、それぞれ、0〜5の整数であり、
17、r18、r20、r21、r23及びr24は、それぞれ、0〜4の整数であり、
15〜R26は、それぞれ、重水素原子、フッ素原子、塩素原子、シアノ基、ニトロ基、炭素数1ないし6のアルキル基、炭素数5ないし10のシクロアルキル基、炭素数2ないし6のアルケニル基、炭素数1ないし6のアルキルオキシ基、炭素数5ないし10のシクロアルキルオキシ基、1価の芳香族炭化水素基、1価の芳香族複素環基またはアリールオキシ基を示し、これらの基が同一のベンゼン環に複数存在している場合には、これらの基は、単結合、置換基を有していてもよいメチレン基、酸素原子または硫黄原子を介して互いに結合して環を形成してもよく、
、L及びLは、単結合、または下記構造式(B’)もしくは前記一般式(3)における構造式(C)、(D)、(E)、(F)或いは(G)で示される2価基を示す。
【化16】
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(B’)
式中、n2は1〜3の整数である。
【0027】
本発明によれば、また、前記一般式(1)で表されるアリールアミン化合物が提供される。
【発明の効果】
【0028】
本発明の有機EL素子において、正孔輸送層に含まれる一般式(1)で表されるアリールアミン化合物は、窒素原子に結合しているベンゼン環には、2つの1価の芳香族炭化水素基または1価の芳香族複素環基が置換基として結合しており、これらの置換基は、窒素原子に対してベンゼン環のp位とm位に結合しているという構造上の特徴を有している。かかるアリールアミン化合物は、新規化合物であり、(1)正孔の注入特性が良い、(2)正孔の移動度が大きい、(3)電子阻止能力に優れている、(4)薄膜状態が安定であり、(5)耐熱性に優れている、という特性を有している。
即ち、本発明の有機EL素子は、このような特性を有するアリールアミン化合物が正孔輸送層に含まれているため、発光層に正孔を効率良く注入・輸送でき、高効率、低駆動電圧での発光を実現でき、さらには、素子の長寿命化も実現できる。
【0029】
また、本発明においては、上記のアリールアミン化合物を含有する正孔輸送層と共に、前述した一般式(2)で表されるアントラセン誘導体により形成された電子輸送層を設けることにより、発光層へ正孔と電子をより効率良く注入・輸送でき、高いキャリアバランスを確保することができ、より高い特性向上を実現できる。
【0030】
さらに、本発明においては、正孔輸送層を第一正孔輸送層と第二正孔輸送層の2層構造とし、発光層に隣接する側に位置する第二正孔輸送層を、前述した一般式(1)のアリールアミン化合物により形成することにより、該アリールアミン化合物が有する電子阻止性能を最大限に活用することができ、より高効率で長寿命の有機EL素子を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
図1】本発明の有機EL素子において、実施例で採用されている好適な層構造を示す図。
図2】実施例1の化合物(1−1)のH−NMRチャート図。
図3】実施例2の化合物(1−2)のH−NMRチャート図。
図4】実施例3の化合物(1−3)のH−NMRチャート図。
図5】実施例4の化合物(1−94)のH−NMRチャート図。
図6】実施例5の化合物(1−129)のH−NMRチャート図。
図7】実施例6の化合物(1−4)のH−NMRチャート図。
図8】実施例7の化合物(1−9)のH−NMRチャート図。
図9】実施例8の化合物(1−56)のH−NMRチャート図。
図10】実施例9の化合物(1−68)のH−NMRチャート図。
図11】実施例10の化合物(1−90)のH−NMRチャート図。
図12】実施例11の化合物(1−92)のH−NMRチャート図。
図13】実施例12の化合物(1−134)のH−NMRチャート図。
図14】実施例13の化合物(1−135)のH−NMRチャート図。
図15】実施例14の化合物(1−136)のH−NMRチャート図。
図16】実施例15の化合物(1−137)のH−NMRチャート図。
図17】実施例16の化合物(1−138)のH−NMRチャート図。
図18】実施例17の化合物(1−139)のH−NMRチャート図。
図19】実施例18の化合物(1−140)のH−NMRチャート図。
図20】実施例19の化合物(1−141)のH−NMRチャート図。
図21】実施例20の化合物(1−142)のH−NMRチャート図。
図22】実施例21の化合物(1−143)のH−NMRチャート図。
図23】実施例22の化合物(1−144)のH−NMRチャート図。
図24】実施例23の化合物(1−145)のH−NMRチャート図。
図25】実施例24の化合物(1−146)のH−NMRチャート図。
図26】実施例25の化合物(1−147)のH−NMRチャート図。
図27】実施例26の化合物(1−148)のH−NMRチャート図。
図28】実施例27の化合物(1−149)のH−NMRチャート図。
図29】実施例28の化合物(1−150)のH−NMRチャート図。
図30】実施例29の化合物(1−151)のH−NMRチャート図。
図31】実施例30の化合物(1−152)のH−NMRチャート図。
図32】実施例31の化合物(1−153)のH−NMRチャート図。
図33】実施例32の化合物(1−154)のH−NMRチャート図。
図34】実施例33の化合物(1−155)のH−NMRチャート図。
図35】実施例34の化合物(1−156)のH−NMRチャート図。
図36】実施例35の化合物(1−157)のH−NMRチャート図。
図37】実施例36の化合物(1−158)のH−NMRチャート図。
図38】実施例37の化合物(1−159)のH−NMRチャート図。
図39】一般式(1)のアリールアミン化合物における化合物No.(1−1)〜(1−5)の構造式を示す図。
図40】一般式(1)のアリールアミン化合物における化合物No.(1−6)〜(1−9)の構造式を示す図。
図41】一般式(1)のアリールアミン化合物における化合物No.(1−10)〜(1−13)の構造式を示す図。
図42】一般式(1)のアリールアミン化合物における化合物No.(1−14)〜(1−17)の構造式を示す図。
図43】一般式(1)のアリールアミン化合物における化合物No.(1−18)〜(1−21)の構造式を示す図。
図44】一般式(1)のアリールアミン化合物における化合物No.(1−22)〜(1−26)の構造式を示す図。
図45】一般式(1)のアリールアミン化合物における化合物No.(1−27)〜(1−31)の構造式を示す図。
図46】一般式(1)のアリールアミン化合物における化合物No.(1−32)〜(1−36)の構造式を示す図。
図47】一般式(1)のアリールアミン化合物における化合物No.(1〜37)〜(1−41)の構造式を示す図。
図48】一般式(1)のアリールアミン化合物における化合物No.(1−42)〜(1−46)の構造式を示す図。
図49】一般式(1)のアリールアミン化合物における化合物No.(1−47)〜(1−51)の構造式を示す図。
図50】一般式(1)のアリールアミン化合物における化合物No.(1−52)〜(1−55)の構造式を示す図。
図51】一般式(1)のアリールアミン化合物における化合物No.(1−56)〜(1−59)の構造式を示す図。
図52】一般式(1)のアリールアミン化合物における化合物No.(1−60)〜(1−64)の構造式を示す図。
図53】一般式(1)のアリールアミン化合物における化合物No.(1−65)〜(1−69)の構造式を示す図。
図54】一般式(1)のアリールアミン化合物における化合物No.(1−70)〜(1−74)の構造式を示す図。
図55】一般式(1)のアリールアミン化合物における化合物No.(1−75)〜(1−78)の構造式を示す図。
図56】一般式(1)のアリールアミン化合物における化合物No.(1−79)〜(1−82)の構造式を示す図。
図57】一般式(1)のアリールアミン化合物における化合物No.(1−83)〜(1−86)の構造式を示す図。
図58】一般式(1)のアリールアミン化合物における化合物No.(1−87)〜(1−90)の構造式を示す図。
図59】一般式(1)のアリールアミン化合物における化合物No.(1−91)〜(1−94)の構造式を示す図。
図60】一般式(1)のアリールアミン化合物における化合物No.(1−95)〜(1−98)の構造式を示す図。
図61】一般式(1)のアリールアミン化合物における化合物No.(1−99)〜(1−103)の構造式を示す図。
図62】一般式(1)のアリールアミン化合物における化合物No.(1−104)〜(1−108)の構造式を示す図。
図63】一般式(1)のアリールアミン化合物における化合物No.(1−109)〜(1−112)の構造式を示す図。
図64】一般式(1)のアリールアミン化合物における化合物No.(1−113)〜(1−116)の構造式を示す図。
図65】一般式(1)のアリールアミン化合物における化合物No.(1−117)〜(1−120)の構造式を示す図。
図66】一般式(1)のアリールアミン化合物における化合物No.(1−121)〜(1−124)の構造式を示す図。
図67】一般式(1)のアリールアミン化合物における化合物No.(1−125)〜(1−126)の構造式を示す図。
図68】一般式(1)のアリールアミン化合物における化合物No.(1−127)〜(1−130)の構造式を示す図。
図69】一般式(1)のアリールアミン化合物における化合物No.(1−131)〜(1−133)の構造式を示す図。
図70】一般式(1)のアリールアミン化合物における化合物No.(1−134)〜(1−138)の構造式を示す図。
図71】一般式(1)のアリールアミン化合物における化合物No.(1−139)〜(1−142)の構造式を示す図。
図72】一般式(1)のアリールアミン化合物における化合物No.(1−143)〜(1−146)の構造式を示す図。
図73】一般式(1)のアリールアミン化合物における化合物No.(1−147)〜(1−150)の構造式を示す図。
図74】一般式(1)のアリールアミン化合物における化合物No.(1−151)〜(1−155)の構造式を示す図。
図75】一般式(1)のアリールアミン化合物における化合物No.(1−156)〜(1−159)の構造式を示す図。
図76】一般式(2a)のアントラセン誘導体における化合物No.(2a−1)〜(2a−5)の構造式を示す図。
図77】一般式(2a)のアントラセン誘導体における化合物No.(2a−6)〜(2a−10)の構造式を示す図。
図78】一般式(2a)のアントラセン誘導体における化合物No.(2a−11)〜(2a−15)の構造式を示す図。
図79】一般式(2a)のアントラセン誘導体における化合物No.(2a−16)〜(2a−20)の構造式を示す図。
図80】一般式(2b)のアントラセン誘導体における化合物No.(2b−1)〜(2b−5)の構造式を示す図。
図81】一般式(2b)のアントラセン誘導体における化合物No.(2b−6)〜(2b−10)の構造式を示す図。
図82】一般式(2b)のアントラセン誘導体における化合物No.(2b−11)〜(2b−15)の構造式を示す図。
図83】一般式(2b)のアントラセン誘導体における化合物No.(2b−16)の構造式を示す図。
図84】一般式(2c)のアントラセン誘導体における化合物No.(2c−1)〜(2c−4)の構造式を示す図。
図85】一般式(2c)のアントラセン誘導体における化合物No.(2c−5)〜(2c−8)の構造式を示す図。
図86】一般式(2c)のアントラセン誘導体における化合物No.(2c−9)〜(2c−12)の構造式を示す図。
図87】一般式(2c)のアントラセン誘導体における化合物No.(2c−13)〜(2c−16)の構造式を示す図。
図88】一般式(2c)のアントラセン誘導体における化合物No.(2c−17)〜(2c−20)の構造式を示す図。
図89】一般式(2c)のアントラセン誘導体における化合物No.(2c−21)〜(2c−24)の構造式を示す図。
図90】一般式(2c)のアントラセン誘導体における化合物No.(2c−25)〜(2c−28)の構造式を示す図。
図91】一般式(2c)のアントラセン誘導体における化合物No.(2c−29)〜(2c−30)の構造式を示す図。
図92】一般式(3)のトリアリールアミン誘導体における化合物No.(3−1)〜(3−5)の構造式を示す図。
図93】一般式(3)のトリアリールアミン誘導体における化合物No.(3−6)〜(3−10)の構造式を示す図。
図94】一般式(3)のトリアリールアミン誘導体における化合物No.(3−11)〜(3−15)の構造式を示す図。
図95】一般式(3)のトリアリールアミン誘導体における化合物No.(3−16)〜(3−20)の構造式を示す図。
図96】一般式(3)のトリアリールアミン誘導体における化合物No.(3−21)〜(3−25)の構造式を示す図。
図97】一般式(3)のトリアリールアミン誘導体における化合物No.(3−26)〜(3−31)の構造式を示す図。
図98】一般式(3)のトリアリールアミン誘導体における化合物No.(3−32)〜(3−37)の構造式を示す図。
図99】一般式(3)のトリアリールアミン誘導体における化合物No.(3−38)〜(3−41)の構造式を示す図。
図100】一般式(4)のトリアリールアミン誘導体における化合物No.(4−1)〜(4−5)の構造式を示す図。
図101】一般式(4)のトリアリールアミン誘導体における化合物No.(4−6)〜(4−10)の構造式を示す図。
図102】一般式(4)のトリアリールアミン誘導体における化合物No.(4−11)〜(4−15)の構造式を示す図。
図103】一般式(4)のトリアリールアミン誘導体における化合物No.(4−16)〜(4−17)の構造式を示す図。
【発明が実施しようとする形態】
【0032】
本発明の有機EL素子は、ガラス基板や透明プラスチック基板(例えばポリエチレンテレフタレート基板)などの透明基板上に、陽極、正孔輸送層、発光層、電子輸送層及び陰極が、この順に形成された基本構造を有している。このような基本構造を有している限り、その層構造は種々の態様を採ることができ、例えば、正孔輸送層を、陽極側に位置する第一正孔輸送層と発光層に隣接する第二正孔輸送層との2層構造とすることもできるし、透明電極と正孔輸送層との間に正孔注入層を設けることもでき、さらには、電子輸送層と陰極との間に電子注入層を設けることもできる。例えば、図1には、後述する実施例で採用された層構造が示されており、この例では、透明基板1上に、陽極2、正孔注入層3、第一正孔輸送層4、第二正孔輸送層5、発光層6、電子輸送層7、電子注入層8及び陰極9が、この順に形成されている。
以下、本発明の有機EL素子を構成する各層について説明する。
【0033】
<陽極>
陽極2は、ITOや金のような仕事関数の大きな電極材料の蒸着により、透明基板1上に形成されるものである。
【0034】
<正孔輸送層>
正孔輸送層は、上記の陽極2と発光層6との間に設けられるものであり、本発明においては、この正孔輸送層は、下記の一般式(1)で表されるアリールアミン化合物を含んでいる。
【化17】
[この文献は図面を表示できません]
(1)
式中、
Ar〜Arは、それぞれ、1価の芳香族炭化水素基または1価の芳香族複素環基を示す。
【0035】
かかるアリールアミン化合物は、3つの水素原子が全て芳香族基で置換されているトリアリールアミンであり、特に、アミノ基の窒素原子に対してp位及びm位のそれぞれに1価の芳香族炭化水素基または1価の芳香族複素環基が置換基(例えば式(1)中のAr及びAr)として結合しているベンゼン環(以下、pm−置換ベンゼン環と略すことがある)を少なくとも一つ有しているという新規な構造を有している。
このような構造のアリールアミン化合物は、後述する実施例からも理解されるようにガラス転移点Tgが高く(例えば100℃以上)、従って、薄膜状態が安定であり、耐熱性も優れている。また、一般的な正孔輸送材料が有する仕事関数(約5.4eV)と比較して、高い仕事関数を有しており、従って、正孔輸送性に優れており、正孔の移動度が大きく且つ正孔の注入特性もよい。さらには、電子阻止性にも優れている。
【0036】
上記の一般式(1)において、Ar〜Arは、互いに同一でも異なっていてもよく、これらの基Ar〜Arが示す1価の芳香族炭化水素基または1価の芳香族複素環基としては、以下のものを挙げることができる。
【0037】
1価の芳香族炭化水素基;
フェニル基、ビフェニリル基、ターフェニリル基、ナフチル基、アントラセニル基、フェナントレニル基、フルオレニル基、インデニル基、ピレニル基、ペリレニル基、フルオランテニル基、トリフェニレニル基等。
1価の芳香族複素環基;
ピリジル基、ピリミジニル基、トリアジニル基、フリル基、ピロリル基、チエニル基、キノリル基、イソキノリル基、ベンゾフラニル基、ベンゾチエニル基、インドリル基、カルバゾリル基、ベンゾオキサゾリル基、ベンゾチアゾリル基、キノキサリニル基、ベンゾイミダゾリル基、ピラゾリル基、ジベンゾフラニル基、ジベンゾチエニル基、ナフチリジニル基、フェナントロリニル基、アクリジニル基、カルボリニル基等。
【0038】
また、上記の1価の芳香族炭化水素基及び1価の芳香族複素環基は、置換基を有していてもよい。
このような置換基としては、重水素原子、シアノ基、ニトロ基に加え、以下のものを例示することができる。
ハロゲン原子、例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子;
炭素数1ないし6のアルキル基、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、n−ヘキシル基;
炭素数1ないし6のアルキルオキシ基、例えば、メチルオキシ基、エチルオキシ基、プロピルオキシ基;
アルケニル基、例えば、ビニル基、アリル基;
アリール基、例えば、フェニル基、ビフェニリル基、ターフェニリル基、ナフチル基、アントラセニル基、フェナントレニル基、フルオレニル基、インデニル基、ピレニル基、ペリレニル基、フルオランテニル基、トリフェニレニル基;
アリールオキシ基、例えば、フェニルオキシ基、トリルオキシ基;
アリールアルキルオキシ基、例えば、ベンジルオキシ基、フェネチルオキシ基;
芳香族複素環基、例えば、ピリジル基、ピリミジニル基、トリアジニル基、チエニル基、フリル基、ピロリル基、キノリル基、イソキノリル基、ベンゾフラニル基、ベンゾチエニル基、インドリル基、カルバゾリル基、ベンゾオキサゾリル基、ベンゾチアゾリル基、キノキサリニル基、ベンゾイミダゾリル基、ピラゾリル基、ジベンゾフラニル基、ジベンゾチエニル基、カルボリニル基;
アリールビニル基、例えば、スチリル基、ナフチルビニル基;
アシル基、例えば、アセチル基、ベンゾイル基;
これらの置換基は、さらに、上記で例示している置換基を有していてもよい。
【0039】
上述した一般式(1)において、基Arとしては、フェニル基、ビフェニリル基、ターフェニリル基、ナフチル基、フェナントレニル基、アントラセニル基、フルオレニル基、カルバゾリル基、インドリル基、ジベンゾフラニル基、ジベンゾチエニル基が好ましく、これらの中でも芳香族炭化水素基、例えば、フェニル基、ビフェニリル基、ターフェニリル基、ナフチル基、フェナントレニル基、フルオレニル基が特に好ましい。勿論、これらの基は、置換基を有していてもよい。
【0040】
また、基Arとしては、芳香族炭化水素基が好ましく、芳香族炭化水素基の中でも、フェニル基、ビフェニリル基、ターフェニリル基、ナフチル基、フェナントレニル基、アントラセニル基、フルオレニル基がより好ましく、さらには、フェニル基、ビフェニリル基が好ましい。また、これらの基は、置換基を有していてもよいが、最も好ましいものは、無置換のフェニル基、無置換のビフェニリル基である。
【0041】
さらに、基Ar及びArとしては、芳香族炭化水素基が好ましく、これらの中でもフェニル基、ビフェニリル基、ターフェニリル基、フルオレニル基がより好ましく、これらの基は、置換基を有していてもよい。特に好適な基Ar及びArは、無置換のビフェニリル基、無置換のターフェニリル基、置換基を有するフェニル基、置換基を有するフルオレニル基であり、フェニル基の置換基としては、ナフチル基もしくはフルオレニル基が好ましく、フルオレニル基の置換基としては、メチル基、フェニル基が好ましい。
【0042】
本発明において、上述した一般式(1)で表されるアリールアミン化合物は、前述したように、pm−置換ベンゼン環を少なくとも一つ有している点に構造上の特徴を有している。
例えば、下記一般式(1a)で表されるアリールアミン化合物は、上記のpm−置換ベンゼン環を少なくとも二つ有しており、下記一般式(1b)で表されるアリールアミン化合物は、pm−置換ベンゼン環を三つ有している。
【0043】
【化18】
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(1a)
【化19】
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(1b)
前記式(1a)及び(1b)においては、
Ar〜Arは、前記のとおりの基を示し、
Ar、Ar、Ar及びArも、Ar〜Arと同様、それぞれ、1価の芳香族炭化水素基または1価の芳香族複素環基を示す。
即ち、上記のAr〜Arについても、上記のAr〜Arについて例示したものと同様の基を例示することができる。
【0044】
上記の一般式(1a)の化合物は、一般式(1)中の基Arが、前述したpm−置換ベンゼン環を有する基であり、式(1a)中のAr及びArが、pm−置換ベンゼン環が有する2つの置換基に相当する。
かかる一般式(1a)においては、基ArとAr(窒素原子に対して、ベンゼン環のp位に結合している基同士)が同一の基であり、かつ、基ArとAr(窒素原子に対して、ベンゼン環のp位に結合している基同士)が同一の基であることが、合成上の観点から好ましい。
【0045】
上記の一般式(1b)の化合物は、一般式(1)中の基Ar及びArが、前述したpm−置換ベンゼン環を有する基であり、式(1b)におけるAr及びAr、並びにAr及びArが、それぞれ、pm−置換ベンゼン環が有する2つの置換基に相当する。
このような一般式(1b)においては、上記の一般式(1a)と同様、基Ar、ArおよびArが同一の基であり、かつ、基Ar、ArおよびArが同一の基であることが、合成上の観点から好ましい。
【0046】
上述した一般式(1)(或いは一般式(1a)もしくは一般式(1b))で表されるアリールアミン化合物の具体例としては、図39図75で示されている構造式を有する化合物(1−1)〜(1−159)を挙げることができる。
尚、これらの図には、各化合物が有しているpm−置換芳香族環の数を併せて示した。
【0047】
尚、一般式(1)で表される化合物は新規化合物であり、後述する実施例に示されているようにSuzukiカップリングなどの公知の方法を利用して合成することができ、合成された化合物の精製は、カラムクロマトグラフによる精製、シリカゲル、活性炭、活性白土等による吸着精製や、溶媒による再結晶や晶析法、昇華精製法などによっても行うことができる。
また、本発明の有機EL素子に用いられる化合物は、最後に昇華精製法によって精製したものを用いた。
【0048】
例えば、pm−置換ベンゼン環を一つ有するアリールアミン化合物は、以下のようにして製造することができる。
即ち、2つの水素原子が芳香族基で置換されているN,N−ビスアリールアミン(ジ置換芳香族アミン)を出発原料として使用し、m位に臭素原子などのハロゲン原子を有するm−置換ハロゲン化芳香族化合物を反応させることにより、該ジ置換芳香族アミンの窒素原子にm−置換ベンゼン環基を導入する。次いで、N−ブロモスクシンイミドなどの臭素化剤を反応させて、m−置換ベンゼン環基のp位にハロゲン基を導入し、相当するボロン酸とテトラキストリフェニルホスフィンパラジウムなどのカップリング化剤を反応させて、m−置換ベンゼン環基のp位に芳香族基を導入することにより、目的とするpm−置換ベンゼン環を一つ有するアリールアミン化合物を製造することができる。
【0049】
また、pm−置換ベンゼン環を二つ有するアリールアミン化合物は、以下のようにして製造することができる。
即ち、m位が芳香族基で置換されているm置換芳香族基を有するN,N−ビス(m置換芳香族)アミンを合成し、合成されたジ置換アミンに、N−ブロモスクシンイミドなどの臭素化剤を反応させて、m−置換ベンゼン環基のp位にハロゲン基を導入し、相当するボロン酸とテトラキストリフェニルホスフィンパラジウムなどのフェニルカップリング化剤を反応させて、m−置換ベンゼン環基のp位に芳香族基を導入することにより、目的とするpm−置換ベンゼン環を二つ有するアリールアミン化合物を製造することができる。
【0050】
さらに、pm−置換ベンゼン環を三つ有するアリールアミン化合物は、以下のようにして製造することができる。
即ち、m位が芳香族基で置換されているm置換芳香族基を有するトリス(m置換芳香族)アミンを使用し、このトリアリールアミンが有する3つのm置換芳香族基のp位に、上記と同様に芳香族基を導入することにより、目的とするpm−置換ベンゼン環を三つ有するアリールアミン化合物を製造することができる。
【0051】
本発明において、上述した一般式(1)で表されるアリールアミン化合物は、それぞれ1種単独で使用することもできるし、2種以上を混合して使用することもでき、さらには、かかるアリールアミン化合物が有する優れた特性が損なわれない範囲において、公知の正孔輸送剤と併用して正孔輸送層を形成することもできる。
【0052】
このような公知の正孔輸送剤としては、N,N’−ジフェニル−N,N’−ジ(m−トリル)ベンジジン(TPD)、N,N’−ジフェニル−N,N’−ジ(α−ナフチル)ベンジジン(NPD)、N,N,N’,N’−テトラビフェニリルベンジジンなどのベンジジン誘導体;1,1−ビス[4−(ジ−4−トリルアミノ)フェニル]シクロヘキサン(TAPC);後述する一般式(3)または一般式(4)で表されるアリールアミン化合物;その他、種々のトリフェニルアミン3量体などをあげることができる。
【0053】
また、かかる正孔輸送層においては、さらにトリスブロモフェニルアミンヘキサクロルアンチモン、ラジアレン誘導体(例えば、国際公開2014/009310号参照)などをPドーピングしたものや、TPDなどのベンジジン誘導体の分子構造を含む高分子化合物などを併用することもできる。
【0054】
上述した正孔輸送層は、一般式(1)のアリールアミン化合物を含むガスの蒸着もしくは共蒸着により形成することが好適であるが、スピンコート法やインクジェット法などの公知の方法によっても形成することができる。
このような正孔輸送層の厚みは、通常25〜60nm程度であるが、低い駆動電圧で発光させることができるため、その厚みを例えば100nm以上に厚くした場合にも駆動電圧の上昇を抑えることができる。即ち、正孔輸送層の厚みの自由度が高く、例えば、20〜300nm、特に20〜200nmの厚みで実用駆動電圧を維持できる。
【0055】
また、本発明では、上記のアリールアミン化合物を含む正孔輸送層は、例えば図1に示されているように、陽極側に位置する第一正孔輸送層4と発光層6側に位置する第二正孔輸送層5との二層構造を有していることが好適である。
このような二層構造の正孔輸送層については、後述する。
【0056】
<発光層>
発光層は、従来公知の有機EL素子に使用されているものと同じであり、用いる材料の種類に応じて、蒸着法、スピンコート法、インクジェット法等の公知の方法によって形成される。
【0057】
例えば、Alq等のキノリノール誘導体の金属錯体のほか、亜鉛、ベリリウム、アルミニウムなどの各種金属の錯体、アントラセン誘導体、ビススチリルベンゼン誘導体、ピレン誘導体、オキサゾール誘導体、ポリパラフェニレンビニレン誘導体などの発光材料を用いて発光層を形成することができる。
また、発光材料としてPIC−TRZ、CC2TA、PXZ−TRZ、4CzIPNなどのCDCB誘導体などの遅延蛍光を放射する材料を使用することも可能である(例えば、Appl.Phys.Let.,98,0833302参照)。
【0058】
また、ホスト材料及びドーパント材料(ゲスト材料)を用いて発光層を形成することもできる。
この場合、ホスト材料としては、アントラセン誘導体が好適に使用されるが、これ以外にも、上記の発光材料や、インドール環を縮合環の部分構造として有する複素環化合物、カルバゾール環を縮合環の部分構造として有する複素環化合物、カルバゾール誘導体、チアゾール誘導体、ベンズイミダゾール誘導体、ポリジアルキルフルオレン誘導体なども用いることができる。
ドーパント材料としては、青色発光性のもの、例えば分子中にピレン骨格を有するピレン誘導体が好適に使用されるが、これ以外にも、フルオレン環を縮合環の部分構造として有するアミン誘導体、キナクリドン、クマリン、ルブレン、ペリレンおよびそれらの誘導体、ピレン、ベンゾピラン誘導体、インデノフェナントレン誘導体、ローダミン誘導体、アミノスチリル誘導体なども用いることができる。
【0059】
更に、ゲスト材料として燐光発光体を使用することも可能である。燐光発光体としては、イリジウムや白金などの金属錯体の燐光発光体を使用することができる。例えば、Ir(ppy)などの緑色の燐光発光体、FIrpic、FIr6などの青色の燐光発光体、BtpIr(acac)などの赤色の燐光発光体などが用いられる。
このときのホスト材料としては、4,4’−ジ(N−カルバゾリル)ビフェニル(CBP)、TCTA、mCPなどのカルバゾール誘導体などの正孔注入・輸送性のホスト材料を用いることができ、p−ビス(トリフェニルシリル)ベンゼン(UGH2)、2,2’,2’’−(1,3,5−フェニレン)−トリス(1−フェニル−1H−ベンズイミダゾール)(TPBI)などの電子輸送性のホスト材料も使用することができる。このようなホスト材料を使用することにより高性能の有機EL素子を作製することができる。
【0060】
尚、燐光発光体のホスト材料へのドープは濃度消光を避けるため、発光層全体に対して1〜30重量パーセントの範囲で、共蒸着によってドープすることが好ましい。
【0061】
尚、かかる発光層は、単層構造に限定されるものではなく、上述した各種の化合物を用いて形成された層が積層された積層構造を有するものであってもよい。また、各種の化合物を混合して発光層を形成することも可能である。
【0062】
<電子輸送層>
本発明において、上述した発光層の上に設けられる電子輸送層(例えば図1において7で示されている層)は、公知の電子輸送性材料を用いての蒸着法、スピンコート法、インクジェット法などの公知の方法によって形成することができる。
【0063】
電子輸送層は、それ自体公知の電子輸送材料から形成されていてよく、Alq等のキノリノール誘導体の金属錯体のほか、亜鉛、ベリリウム、アルミニウムなどの各種の金属錯体、トリアゾール誘導体、トリアジン誘導体、オキサジアゾール誘導体、チアジアゾール誘導体、カルボジイミド誘導体、キノキサリン誘導体、フェナントロリン誘導体、シロール誘導体などを用いることができる。
【0064】
また、本発明においては、下記一般式(2)で表されるアントラセン誘導体を電子輸送材料として使用して電子輸送層を形成することが好ましい。かかるアントラセン誘導体は、電子注入および輸送能力、薄膜の安定性や耐久性に優れており、このようなアントラセン誘導体により形成された電子輸送層を、前述した一般式(1)のアリールアミン化合物を含む正孔輸送層と組み合わせることにより、正孔と電子とを発光層に効率よく注入することができ、これにより、最適なキャリアバランスを確保することができ、有機EL素子の特性を大きく向上させることが可能となる。
【0065】
【化20】
[この文献は図面を表示できません]
(2)
式中、
Aは、2価の芳香族炭化水素基、2価の芳香族複素環基または単結合を示し、
Bは、1価の芳香族複素環基を示し、
Cは、1価の芳香族炭化水素基または1価の芳香族複素環基を示し、
Dは、水素原子、重水素原子、フッ素原子、塩素原子、シアノ基または炭素数1ないし6のアルキル基であり、
p及びqは、両者の合計が9であることを条件として、pが7または8の数であり、qが1または2の数である。
【0066】
上記の一般式(2)から理解されるように、このアントラセン誘導体は、2価の基或いは単結合により、アントラセン環と基Bとが連結された分子構造を有しており、基Bが連結されているアントラセン環には、1または2個の1価芳香族炭化水素基または1価芳香族複素環基(基C)が置換基として結合している。
【0067】
かかる一般式(2)において、Aは、単結合或いは2価の基を示すものであるが、かかる2価の基は、2価の芳香族炭化水素基または2価の芳香族複素環基であり、その具体例は、以下のとおりである。
2価の芳香族炭化水素基は、2つの結合手を有する芳香族炭化水素環から形成されているものであり、このような芳香族炭化水素環としては、ベンゼン、ビフェニル、ターフェニル、テトラキスフェニル、スチレン、ナフタレン、アントラセン、アセナフタレン、フルオレン、フェナントレン、インダン、ピレン、トリフェニレンをあげることができる。
また、2価の芳香族複素環基は、2つの結合手を有する芳香族複素環から形成されているものであり、このような芳香族複素環としては、ピリジン、ピリミジン、トリアジン、ピロール、フラン、チオフェン、キノリン、イソキノリン、ベンゾフラン、ベンゾチオフェン、インドリン、カルバゾール、カルボリン、ベンゾオキサゾール、ベンゾチアゾール、キノキサリン、ベンゾイミダゾール、ピラゾール、ジベンゾフラン、ジベンゾチオフェン、ナフチリジン、フェナントロリン、アクリジニンなどをあげることができる。
【0068】
上記の芳香族炭化水素環及び芳香族複素環は、置換基を有していてもよく、このアントラセン誘導体の優れた特性を損なわない限りにおいて、導入可能な置換基を有していてもよい。
このような置換基は、前述した一般式(1)中の基Ar〜Arが示す1価の芳香族炭化水素基或いは1価の芳香族複素環基が有していてよい置換基と同様のものである。
本発明において、特に好適なAは、置換または未置換のベンゼン環、ビフェニル環、ナフタレン環及びフェナントレン環に由来するものである。
【0069】
また、一般式(2)の基Bは、1価の芳香族複素環基であり、かかる複素環基としては、トリアジニル基、ピリジル基、ピリミジニル基、フリル基、ピロリル基、チエニル基、キノリル基、イソキノリル基、ベンゾフラニル基、ベンゾチエニル基、インドリル基、カルバゾリル基、ベンゾオキサゾリル基、ベンゾチアゾリル基、キノキサリニル基、ベンゾイミダゾリル基、ピラゾリル基、ジベンゾフラニル基、ジベンゾチエニル基、ナフチリジニル基、フェナントロリニル基、アクリジニル基、およびカルボリニル基などをあげることができる。
【0070】
上記の基Bにおける1価の芳香族複素環基も、このアントラセン誘導体の優れた特性を損なわないような置換基を有していてもよく、このような置換基としては、重水素原子、シアノ基、ニトロ基に加え、以下のものを例示することができる。
ハロゲン原子、例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子などのハロゲン原子;
炭素数1ないし6のアルキル基、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、n−ヘキシル基;
炭素数5ないし10のシクロアルキル基、例えば、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、1−アダマンチル基、2−アダマンチル基;
炭素数1ないし6のアルキルオキシ基、例えば、メチルオキシ基、エチルオキシ基、プロピルオキシ基;
炭素数5ないし10のシクロアルキルオキシ基、例えば、シクロペンチルオキシ基、シクロヘキシルオキシ基、1−アダマンチルオキシ基、2−アダマンチルオキシ基;
アルケニル基、例えば、ビニル基、アリル基;
アリールオキシ基、例えば、フェニルオキシ基、トリルオキシ基、ビフェニリルオキシ基、ナフチルオキシ基、アントラセニルオキシ基、フェナントレニルオキシ基;
アリールアルキルオキシ基、例えば、ベンジルオキシ基、フェネチルオキシ基;
芳香族炭化水素基、例えば、フェニル基、ビフェニリル基、ターフェニリル基、ナフチル基、アントラセニル基、フェナントレニル基、フルオレニル基、インデニル基、ピレニル基、ペリレニル基、フルオランテニル基、トリフェニレニル基;
芳香族複素環基、例えば、ピリジル基、ピリミジニル基、トリアジニル基、チエニル基、フリル基、ピロリル基、キノリル基、イソキノリル基、ベンゾフラニル基、ベンゾチエニル基、インドリル基、カルバゾリル基、ベンゾオキサゾリル基、ベンゾチアゾリル基、キノキサリニル基、ベンゾイミダゾリル基、ピラゾリル基、ジベンゾフラニル基、ジベンゾチエニル基、カルボリニル基;
アリールビニル基、例えば、スチリル基、ナフチルビニル基;
アシル基、例えば、アセチル基、ベンゾイル基;
上記で例示した置換基は、それぞれ、独立して存在していてもよいし、これらの置換基同士が、単結合、置換基を有していてもよいメチレン基、酸素原子または硫黄原子を介して互いに結合して環を形成していてもよい。
【0071】
本発明において、上記の基Bとして好適な1価の芳香族複素環基としては、含窒素芳香族複素環基、例えば、ピリジル基、ピリミジニル基、ピロリル基、キノリル基、イソキノリル基、インドリル基、カルバゾリル基、ベンゾオキサゾリル基、ベンゾチアゾリル基、キノキサリニル基、ベンゾイミダゾリル基、ピラゾリル基、およびカルボリニル基などが好ましく、これらの中でもピリジル基、ピリミジニル基、キノリル基、イソキノリル基、インドリル基、ピラゾリル基、ベンゾイミダゾリル基、およびカルボリニル基がより好ましい。
【0072】
また、一般式(2)中のCは、1価の芳香族炭化水素基または1価の芳香族複素環基を示すが、これらの基としては、一般式(1)中のAr〜Arについて例示したものと同様の基をあげることができる。また、これらの1価の芳香族炭化水素基及び1価の芳香族複素環基も、前述したAr〜Arと同様、置換基を有していてよい。
尚、かかる基Cが分子中に2個存在する場合(式(2)中のq=2)、二つの基Cは、同一でも異なっていてもよい。
【0073】
さらに、一般式(2)中のDは、水素原子、重水素原子、フッ素原子、塩素原子、シアノ基または炭素数1ないし6のアルキル基であり、これらの内の炭素数1ないし6のアルキル基の例としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、n−ヘキシル基などをあげることができる。
これらのアルキル基も、例えば、重水素原子、フッ素原子、塩素原子、シアノ基等の置換基を有していてもよい。
また、複数個存在するDは、互いに同一でも異なってもよい。
本発明において、最も好適なDは、水素原子である。
【0074】
上述した一般式(2)のアントラセン誘導体において、Bは含窒素複素環であり且つDが水素原子であることが好ましいが、このような好適なアントラセン誘導体は、特に、下記一般式(2a)、(2b)または(2c)で表される。
【0075】
一般式(2a)で表されるアントラセン誘導体;
【化21】
[この文献は図面を表示できません]
【0076】
前記、一般式(2a)において、Aは、前記式(2)に示すとおりであり、2価の芳香族炭化水素基、2価の芳香族複素環基または単結合である。
【0077】
また、上記Aが結合している3環構造の含窒素複素環は、一般式(2)における基Bに相当する。
上記式(2a)中のX、X、X及びXは、上記の含窒素複素環の一部を構成する環内元素であり、これらのいずれか1つのみが窒素原子であることを条件として、それぞれ、炭素原子または窒素原子を示す。また、R〜R及びArは、この含窒素複素環に結合している基を示している。
即ち、X、X、X及びXが形成している環には、置換基としてR〜Rが示されているが、この環内元素が窒素原子であるときには、この窒素原子には、R〜Rの何れも(水素原子を含めて)結合していないものとする。例えば、Xが窒素原子である場合はRが存在せず、Xが窒素原子である場合は、Rが存在せず、Xが窒素原子である場合はRが存在せず、Xが窒素原子である場合は、Rが存在しないことを意味する。
【0078】
また、上記の含窒素複素環に結合しているR〜Rは、それぞれ、水素原子、重水素原子、フッ素原子、塩素原子、シアノ基、ニトロ基、炭素数1ないし6のアルキル基、炭素数5ないし10のシクロアルキル基、炭素数2ないし6のアルケニル基、炭素数1ないし6のアルキルオキシ基、炭素数5ないし10のシクロアルキルオキシ基、1価の芳香族炭化水素基、1価の芳香族複素環基またはアリールオキシ基である。
上記の炭素数1ないし6のアルキル基としては、前記一般式(2)のDについて、例示したものと同じものをあげることができる。
上記の炭素数5ないし10のシクロアルキル基としては、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、1−アダマンチル基、2−アダマンチル基を例示することができる。
上記の炭素数2ないし6のアルケニル基としては、ビニル基、アリル基、イソプロペニル基、2−ブテニル基などをあげることができる。
炭素数1ないし6のアルキルオキシ基としては、メチルオキシ基、エチルオキシ基、n−プロピルオキシ基、イソプロピルオキシ基、n−ブチルオキシ基、tert−ブチルオキシ基、n−ペンチルオキシ基、n−ヘキシルオキシ基をあげることができる。
上記の炭素数5ないし10のシクロアルキルオキシ基としては、シクロペンチルオキシ基、シクロヘキシルオキシ基、シクロヘプチルオキシ基、シクロオクチルオキシ基、1−アダマンチルオキシ基、2−アダマンチルオキシ基をあげることができる。
さらに、1価の芳香族炭化水素基及び1価の芳香族複素環基としては、一般式(1)における基Ar〜Arに関して例示したものと同じ基をあげることができる。
アリールオキシ基としては、フェニルオキシ基、ビフェニリルオキシ基、ターフェニリルオキシ基、ナフチルオキシ基、アントラセニルオキシ基、フェナントレニルオキシ基、フルオレニルオキシ基、インデニルオキシ基、ピレニルオキシ基、ペリレニルオキシ基などをあげることができる。
【0079】
上述したR〜Rが示す各基は、置換基を有していてもよく、このような置換基としては、炭素数に関する条件を満足する範囲において、一般式(1)における基Ar〜Arが有する置換基として例示したものと同じ基をあげることができる。
また、これらの置換基は、それぞれ、独立して存在していてもよいし、これらの置換基同士が、単結合、置換基を有していてもよいメチレン基、酸素原子または硫黄原子を介して互いに結合して環を形成していてもよい。
【0080】
さらに、上記一般式(2a)中のArは、前記含窒素芳香族環に結合している置換基であり、Ar10及びAr11は、一般式(2)中のCに相当する(即ち、q=2)。
このようなAr〜Ar11は、1価の芳香族炭化水素基または1価の芳香族複素環基を示すが、これらの基としては、一般式(1)中のAr〜Arについて例示したものと同様の基をあげることができる。また、これらの1価の芳香族炭化水素基及び1価の芳香族複素環基も、前述したAr〜Arと同様、置換基を有していてよい。
【0081】
上述した一般式(2a)で表されるアントラセン誘導体の具体例としては、図76図79で示されている構造式を有する化合物(2a−1)〜(2a−20)を挙げることができる。
【0082】
一般式(2b)で表されるアントラセン誘導体;
【化22】
[この文献は図面を表示できません]
(2b)
【0083】
一般式(2b)において、Aは、前記式(2)に示すとおりであり、2価の芳香族炭化水素基、2価の芳香族複素環基または単結合である。
【0084】
また、上記Aが結合している含窒素複素環は、一般式(2)における基Bに相当する。
【0085】
さらに、上記一般式(2b)中のAr12及びAr13は、一般式(2)中のCに相当し(即ち、q=2)、Ar14は、前記含窒素芳香族環に結合している置換基である。
このようなAr12〜Ar14は、1価の芳香族炭化水素基または1価の芳香族複素環基を示すが、これらの基としては、一般式(1)中のAr〜Arについて例示したものと同様の基をあげることができる。また、これらの1価の芳香族炭化水素基及び1価の芳香族複素環基も、前述したAr〜Arと同様、置換基を有していてよい。
【0086】
上述した一般式(2b)で表されるアントラセン誘導体の具体例としては、図80図83で示されている構造式を有する化合物(2b−1)〜(2b−16)を挙げることができる。
【0087】
一般式(2c)で表されるアントラセン誘導体;
【化23】
[この文献は図面を表示できません]
(2c)
【0088】
一般式(2c)において、Aは、前記式(2)に示すとおりであり、2価の芳香族炭化水素基、2価の芳香族複素環基または単結合である。
【0089】
また、上記Aが結合している含窒素複素環は、一般式(2)における基Bに相当する。
【0090】
さらに、上記一般式(2c)中のAr15は、一般式(2)中のCに相当し(即ち、q=1)、Ar16、Ar17及びRは、前記含窒素芳香族環に結合している置換基である。
【0091】
上記のAr15〜Ar18は、1価の芳香族炭化水素基または1価の芳香族複素環基を示すが、これらの基としては、一般式(1)中のAr〜Arについて例示したものと同様の基をあげることができる。また、これらの1価の芳香族炭化水素基及び1価の芳香族複素環基も、前述したAr〜Arと同様、置換基を有していてよい。
【0092】
また、上記の含窒素複素環に結合しているRは、前述した一般式(2a)中のR〜Rと同じであり、水素原子、重水素原子、フッ素原子、塩素原子、シアノ基、ニトロ基、炭素数1ないし6のアルキル基、炭素数5ないし10のシクロアルキル基、炭素数2ないし6のアルケニル基、炭素数1ないし6のアルキルオキシ基、炭素数5ないし10のシクロアルキルオキシ基、1価の芳香族炭化水素基、1価の芳香族複素環基またはアリールオキシ基である。
が示す上記各基も、R〜Rと同様の置換基を有していてもよく、この置換基が複数存在している場合、複数の置換基は、独立して存在していることが好ましいが、複数の置換基同士が、単結合、置換基を有していてもよいメチレン基、酸素原子または硫黄原子を介して互いに結合して環を形成していてもよい。
【0093】
上述した一般式(2c)で表されるアントラセン誘導体の具体例としては、図84図91で示されている構造式を有する化合物(2c−1)〜(2c−30)を挙げることができる。
【0094】
本発明においては、上述したアントラセン誘導体により電子輸送層が形成されていることが望ましく、上記で例示した種々のアントラセン誘導体は、それ自体公知の方法によって合成することができる(例えば、WO2011/0593000、WO2003/060956、韓国特許公開2013−060956参照)。
これらのアントラセン誘導体は、それぞれ、単独で電子輸送層を形成していてもよいし、複数種が混合されて電子輸送層を形成していてもよい。
【0095】
<陰極>
本発明の有機EL素子の陰極としては、アルミニウムのような仕事関数の低い金属や、マグネシウム銀合金、マグネシウムインジウム合金、アルミニウムマグネシウム合金のような、より仕事関数の低い合金が電極材料として用いられる。
【0096】
<その他の層>
本発明の有機EL素子は、必要に応じてその他の層を有していてもよい。例えば、図1に示されている例では、陽極と正孔輸送層との間に正孔注入層3が設けられており、陰極と電子輸送層との間には、電子注入層7が設けられている。さらに、正孔輸送層と発光層との間には電子阻止層を設けることができるし、発光層と電子輸送層との間に正孔阻止層を設けることもできる。
適宜設けられる各層は、それ自体公知の材料から形成されていてよく、何れも用いる材料の種類に応じて、蒸着法、スピンコート法、インクジェット法等の公知の方法によって形成される。
【0097】
正孔注入層;
陽極と正孔輸送層との間に適宜形成される正孔注入層3は、それ自体公知の材料、例えば、スターバースト型のトリフェニルアミン誘導体、種々のトリフェニルアミン4量体などの材料;銅フタロシアニンに代表されるポルフィリン化合物;ヘキサシアノアザトリフェニレンのようなアクセプター性の複素環化合物や塗布型の高分子材料;などを用いて形成することができる。
また、前述した一般式(1)で表されるアリールアミン化合物は、大きな正孔移動度を示すため、かかるアリールアミン化合物を用いて正孔注入層を形成することもできる。
【0098】
電子注入層;
陰極と電子輸送層との間に適宜設けられる電子注入層8は、フッ化リチウム、フッ化セシウムなどのアルカリ金属塩、フッ化マグネシウムなどのアルカリ土類金属塩、酸化アルミニウムなどの金属酸化物などを用いて形成することができる。
【0099】
電子阻止層;
電子阻止層は、図1では示されていないが、正孔輸送層と発光層との間に設けられるものであり、発光層からの電子の透過を阻止し、発光効率を高めるために形成される。電子阻止層を形成するための材料としては、電子阻止性を有する種々の化合物を使用することができ、下記のカルバゾール誘導体が代表的である。
4,4’,4’’−トリ(N−カルバゾリル)トリフェニルアミン
(TCTA);
9,9−ビス[4−(カルバゾール−9−イル)フェニル]フルオレン;
1,3−ビス(カルバゾール−9−イル)ベンゼン(mCP);
2,2−ビス(4−カルバゾール−9−イルフェニル)アダマンタン
(Ad−Cz);
【0100】
また、上記のカルバゾール誘導体以外にも、9−[4−(カルバゾール−9−イル)フェニル]−9−[4−(トリフェニルシリル)フェニル]−9H−フルオレンに代表されるトリフェニルシリル基を有しており且つトリアリールアミン骨格を分子中に有している化合物なども、電子阻止層形成用の材料として使用することができる。
【0101】
正孔阻止層;
正孔阻止層も、図1には示されていないが、電子輸送層と発光層との間に適宜設けられるものであり、発光層からの正孔の透過を阻止し、発光効率を高めるために形成される。正孔阻止層を形成するための材料としては、バソクプロイン(BCP)などのフェナントロリン誘導体、アルミニウム(III)ビス(2−メチル−8−キノリナート)−4−フェニルフェノレート(BAlq)などのキノリノール誘導体の金属錯体の他、各種の希土類錯体、トリアゾール誘導体、トリアジン誘導体、オキサジアゾール誘導体など、正孔阻止作用を有する化合物により形成される。
【0102】
<2層構造の正孔輸送層>
本発明の有機EL素子は、前述した一般式(1)で表されるアリールアミン化合物は、正孔輸送剤として使用されているが、先に述べたように、このようなアリールアミン化合物を含む正孔輸送層を2層構造とすることができる。
即ち、図1に示されているように、正孔輸送層を、陽極2側に位置している第一正孔輸送層4と発光層6側に位置している第二正孔輸送層5とに分割した2層構造とし、前記一般式(1)で表されるアリールアミンを第二正孔輸送層5に含有させることが好適である。この場合、第一正孔輸送層4には、第二正孔輸送層5に用いたものとは異なるアリールアミンが使用される。
【0103】
上記のように正孔輸送層が2層に分割されている場合、発光層6側の第二正孔輸送層5は、正孔輸送性と共に、極めて高い電子阻止性を示す。前述した一般式(1)で表されるアリールアミン化合物は、正孔輸送性に加え、高い電子阻止性を示すからである。従って、特に、図1のように、第二正孔輸送層5を発光層6に隣接することにより、発光層6でのキャリアバランスをより高く保持することができ、この有機EL素子の特性向上に極めて有利となる。
【0104】
このような2層構造において、第二正孔輸送層5は、一般式(1)で表されるアリールアミン化合物により形成されるが、第一正孔輸送層4は、第二正孔輸送層5の形成に使用されるアリールアミン化合物とは異なるトリアリールアミン誘導体を用いて形成される。トリアリールアミン誘導体は、優れた正孔輸送性を示すからである。
【0105】
第一正孔輸送層4の形成に使用されるトリアリールミン誘導体は、第二正孔輸送層5に形成されているものと異なっているのであれば、前述した一般式(1)で表されるアリールアミン化合物であってもよいが、かかる第一正孔輸送層4には、電子阻止性はあまり要求されないことから、正孔輸送剤として使用される公知のトリアリールアミン誘導体を用いて第一正孔輸送層4を形成することが望ましい。
【0106】
このような公知のトリアリールアミン誘導体は、2つのトリアリールアミン骨格が単結合または2価の炭化水素基で結合された分子構造を有するものであり、分子中にトリアリールアミン骨格を2個〜6個有している。
本発明においては、正孔輸送性に加え、薄膜安定性や耐熱性に優れていること及び合成が容易であるという観点から、下記一般式(3)または(4)で表されるトリアリールアミン誘導体を用いて第一正孔輸送層4を形成することができる。かかるトリアリールアミン誘導体は、1種単独で使用することもできるし、2種以上を混合して使用することもできる。
【0107】
一般式(3)で表されるトリアリールアミン誘導体;
【化24】
[この文献は図面を表示できません]
【0108】
かかる一般式(3)で表されるトリアリールアミン誘導体は、トリアリールアミン骨格を2個有している。
【0109】
一般式(3)において、r〜r14は、それぞれ、芳香族環に結合している置換基R〜R14の数を示す整数であり、r、r10、r13及びr14は、それぞれ、0〜5の整数であり、r11及びr12は、それぞれ、0〜4の整数である。
【0110】
また、芳香族環に結合している置換基R〜R14は、それぞれ、重水素原子、フッ素原子、塩素原子、シアノ基、ニトロ基、炭素数1ないし6のアルキル基、炭素数5ないし10のシクロアルキル基、炭素数2ないし6のアルケニル基、炭素数1ないし6のアルキルオキシ基、炭素数5ないし10のシクロアルキルオキシ基、1価の芳香族炭化水素基、1価の芳香族複素環基またはアリールオキシ基を示す。
これらの置換基が同一のベンゼン環に複数存在している場合、複数存在している置換基は、互いに独立して存在していることが好ましいが、単結合、置換基を有していてもよいメチレン基、酸素原子または硫黄原子を介して互いに結合して環を形成してもよい。例えば、複数の置換基が結合してナフタレン環を形成していてもよい。
【0111】
上述した置換基R〜R14が示すアルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基、アルキルオキシ基、シクロアルキルオキシ基或いはアリールオキシ基の具体例としては、一般式(2a)の基R〜Rについて例示したものと同様の基をあげることができ、1価の芳香族炭化水素基或いは1価の芳香族複素環基の具体例としては、一般式(1)の基Ar〜Arについて例示したものと同様の基をあげることができる。
また、置換基R〜R14は、基R〜R或いは基Ar〜Arと同様、さらに置換基を有していてもよく、このような置換基は、互いに独立して存在していることが好ましいが、単結合、置換基を有していてもよいメチレン基、酸素原子または硫黄原子を介して互いに結合して環を形成してもよい。
【0112】
また、一般式(3)において、Lは、2つのアリールアミン骨格を結合する橋絡基であり、単結合、または下記構造式(B)、(C)、(D)、(E)、(F)もしくは(G)で示される2価基を示す。
【化25】
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(B)
式中、n1は1〜4の整数である。
【化26】
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(C)
【化27】
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(D)
【化28】
[この文献は図面を表示できません]
(E)
【化29】
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(F)
【化30】
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(G)
【0113】
上述した一般式(3)で表されるトリアリールアミン誘導体の具体例としては、図92図99で示されている構造式を有する化合物(3−1)〜(3−41)を挙げることができる。
【0114】
一般式(4)で表されるトリフェニルアミン誘導体;
【化31】
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【0115】
かかる一般式(4)で表されるトリアリールアミン誘導体は、トリアリールアミン骨格を4個有している。
【0116】
一般式(4)において、r15〜r26は、それぞれ、芳香族環に結合している置換基R15〜R26の数を示す整数であり、r15、r16、r19、r22、r25及びr26は、それぞれ、0〜5の整数であり、r17、r18、r20、r21、r23及びr24は、それぞれ、0〜4の整数である。
【0117】
また、芳香族環に結合している置換基R15〜R26は、それぞれ、重水素原子、フッ素原子、塩素原子、シアノ基、ニトロ基、炭素数1ないし6のアルキル基、炭素数5ないし10のシクロアルキル基、炭素数2ないし6のアルケニル基、炭素数1ないし6のアルキルオキシ基、炭素数5ないし10のシクロアルキルオキシ基、1価の芳香族炭化水素基、1価の芳香族複素環基またはアリールオキシ基を示す。
これらの置換基が同一のベンゼン環に複数存在している場合、複数存在している置換基は、互いに独立して存在していることが好ましいが、単結合、置換基を有していてもよいメチレン基、酸素原子または硫黄原子を介して互いに結合して環を形成してもよい。例えば、複数の置換基が結合してナフタレン環を形成していてもよい。
【0118】
上述した置換基R15〜R26が示すアルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基、アルキルオキシ基、シクロアルキルオキシ基或いはアリールオキシ基の具体例としては、一般式(2a)の基R〜Rについて例示したものと同様の基をあげることができ、1価の芳香族炭化水素基或いは1価の芳香族複素環基の具体例としては、一般式(1)の基Ar〜Arについて例示したものと同様の基をあげることができる。
また、置換基R15〜R26は、基R〜R或いは基Ar〜Arと同様、さらに置換基を有していてもよく、このような置換基は、互いに独立して存在していることが好ましいが、単結合、置換基を有していてもよいメチレン基、酸素原子または硫黄原子を介して互いに結合して環を形成してもよい。
【0119】
また、一般式(4)において、L〜Lは、2つのとアリールアミン骨格を結合する橋絡基であり、単結合、または下記構造式(B’)で示される2価基、或いは一般式(3)における式(C)、(D)、(E)、(F)もしくは(G)で示される2価基と同様の基である。
【0120】
【化32】
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(B’)
式中、n2は1〜3の整数である。
【0121】
上述した一般式(4)で表されるトリアリールアミン誘導体の具体例としては、図100図103で示されている構造式を有する化合物(4−1)〜(4−17)を挙げることができる。
【0122】
本発明において、上記で例示した種々のトリアリールアミン誘導体は、それ自体公知の方法によって合成することができる(例えば、特開平7−126615号、特開平08−048656号、特開2005−108804号参照)。
【0123】
上記のようなトリアリールアミン誘導体を用いて形成される第一正孔輸送層4の厚みt1と一般式(1)のアリールアミン化合物を用いて形成される第二正孔輸送層5の厚みt2とのトータル厚み(t1+t2)は、そのトータル厚みが20〜300nmの範囲、さらには50〜200nmの範囲、特に50〜150nmの範囲にあることが好適である。
【0124】
上述した構造を有する本発明の有機EL素子では、正孔および電子の注入・輸送性能、薄膜の安定性や耐久性に優れた有機EL素子用の材料を、キャリアバランスを考慮しながら組み合わせているため、従来の有機EL素子に比べて、正孔輸送層から発光層への正孔輸送効率が向上しており、電子輸送層から発光層への電子輸送効率も向上している。さらに、正孔輸送層を第一正孔輸送層と第二正孔輸送層の2層構造とした場合においては、キャリアバランスがより向上しており、発光効率のさらなる向上、駆動電圧のさらなる低下がもたされ、この有機EL素子の耐久性がより向上している。
このように本発明によれば、高効率、低駆動電圧、長寿命の有機EL素子を実現することが可能となった。
【実施例】
【0125】
本発明を、次の実験例により説明する。
【0126】
<実施例1>
<N,N−ビス(ビフェニル−4−イル)−N−(6−フェニルビフェニル−3−イル)アミン(化合物1−1)の合成>
(第1工程)
窒素置換した反応容器に
N,N−ビス(ビフェニル−4−イル)アミン 40.5g
3−ブロモビフェニル 28.0g
t−ブトキシナトリウム 13.7g
トルエン 400mL
を加え、30分間超音波を照射しながら窒素ガスを通気した。
次いで、
酢酸パラジウム 0.54g、
t−ブチルホスフィンの50%(w/v)トルエン溶液 1.46g
を加えて加熱し、95℃で4時間撹拌した。
ろ過により不溶物を除いた後加熱し、100℃でシリカゲルを用いた吸着精製を行い、熱時ろ過を行った。ろ液を撹拌しながら室温まで冷却し、析出する固体をろ過によって採取することによって、
N,N−ビス(ビフェニル−4−イル)−N−(ビフェニル−3−イル)アミンの緑白色固体 50.2g(収率88%)
を得た。
【0127】
(第2工程)
窒素置換した反応容器に
上記で得られたトリアリールアミン 50.0g
ジメチルホルムアミド 500mL
を加え、氷浴にて冷却した。
次いで、
N−ブロモスクシンイミド 22.1g
をゆっくり加え、4時間撹拌した。この後、メタノールを加え、析出する粗製物をろ過によって採取した。
続いて、酢酸エチルを用いた還流洗浄を行い、
N,N−ビス(ビフェニル−4−イル)−N−(6−ブロモビフェニル−3−イル)アミンの桃色粉体40.2g(収率69%)
を得た。
【0128】
(第3工程)
次に、窒素置換した反応容器に、
上記で得られたN,N−ビス(ビフェニル−4−イル)−N−(6−ブロモビフェニル−3−イル)アミン 11.8g
トルエン 94mL
フェニルボロン酸 2.7g
予め炭酸カリウム5.9gを水36mLに溶解した水溶液
を加え、30分間超音波を照射しながら窒素ガスを通気した。
その後、
テトラキストリフェニルホスフィンパラジウム 0.74g
を加えて加熱し、72℃で18時間撹拌した。室温まで冷却し、分液操作によって有機層を採取した。水を用いた洗浄、飽和食塩水を用いた洗浄を順次行った後、無水硫酸マグネシウムを用いて乾燥し、濃縮することによって粗製物を得た。
【0129】
続いて、カラムクロマトグラフィーを用いた精製を行うことによって
N,N−ビス(ビフェニル−4−イル)−N−(6−フェニルビフェニル−3−イル)アミンの白色粉体8.4g(収率72%)
を得た。
【0130】
このアミン化合物は、下記式で表される化合物(1−1)である。
【化33】
[この文献は図面を表示できません]
(1−1)
pm−置換ベンゼン環:1
【0131】
上記で得られた白色粉体についてNMRを使用して構造を同定した。このNMRチャートを図2に示した。
H−NMR(CDCl)で以下の31個の水素のシグナルを検出した。
δ(ppm)=7.56−7.68(7H)
7.45−7.52(4H)
7.14−7.41(20H)
【0132】
<実施例2>
<N,N−ビス(ビフェニル−4−イル)−N−{6−(ナフチル−1−イル)ビフェニル−3−イル}アミン(化合物1−2)の合成>
実施例1の第3工程で使用されているフェニルボロン酸を、1−ナフチルボロン酸に代えた以外は、実施例1と同様の条件で反応を行うことによって、
N,N−ビス(ビフェニル−4−イル)−N−{6−(ナフチル−1−イル)ビフェニル−3−イル}アミンの白色粉体 9.2g
(収率61%)
を得た。
【0133】
このアミン化合物は、下記式で表される化合物(1−2)である。
【化34】
[この文献は図面を表示できません]
(1−2)
pm−置換ベンゼン環:1
【0134】
上記で得られた白色粉体についてNMRを使用して構造を同定した。このNMRチャートを図3に示した。
H−NMR(CDCl)で以下の33個の水素のシグナルを検出した。
δ(ppm)=7.84−7.87(3H)
7.67−83(6H)
7.26−7.64(18H)
7.02−7.04(6H)
【0135】
<実施例3>
<N,N−ビス(ビフェニル−4−イル)−N−{6−(9,9−ジメチルフルオレン−2−イル)ビフェニル−3−イル}アミン(化合物1−3)の合成>
実施例1の第3工程で使用されているフェニルボロン酸を、(9,9−ジメチルフルオレン−2−イル)ボロン酸に代えた以外は、実施例1と同様の条件で反応を行うことによって、
N,N−ビス(ビフェニル−4−イル)−N−{6−(9,9−ジメチルフルオレン−2−イル)ビフェニル−3−イル}アミンの白色粉体9.0g(収率57%)
を得た。
【0136】
このアミン化合物は、下記式で表される化合物(1−3)である。
【化35】
[この文献は図面を表示できません]
(1−3)
pm−置換ベンゼン環:1
【0137】
上記で得られた白色粉体についてNMRを使用して構造を同定した。このNMRチャートを図4に示した。
H−NMR(CDCl)で以下の39個の水素のシグナルを検出した。
δ(ppm)=7.56−7.64(10H)
7.26−50(18H)
7.02−7.16(5H)
1.26(6H)
【0138】
<実施例4>
<N,N−ビス(6−フェニルビフェニル−3−イル)−N−(ビフェニル−4−イル)アミン(化合物1−94)の合成>
(第1工程)
窒素置換した反応容器に、
ベンズアミド 13.0g
3−ブロモビフェニル 52.5g
炭酸カリウム 44.5g
亜硫酸水素ナトリウム 3.4g
フェナントロリン一水和物 2.2g
銅粉 0.68g
ドデシルベンゼン 13mL
トルエン 30mL
を加えて攪拌しながら加熱し、トルエンを除きながら、19時間還流した。冷却し、トルエンを加えた後、ろ過によって不溶物を除いた。水を用いた洗浄、飽和食塩水を用いた洗浄を順次行った後、無水硫酸マグネシウムを用いて乾燥し、濃縮することによって粗製物を得た。
続いて、カラムクロマトグラフィーを用いた精製を行うことによって、
N,N−ビス(ビフェニル−3−イル)ベンズアミドの黄色粘性物
41.7g(収率91%)
を得た。
【0139】
(第2工程)
反応容器に、
上記で得られたN,N−ビス(ビフェニル−3−イル)ベンズアミド
41.7g
イソアミルアルコール 36mL
水 12mL
水酸化カリウム 7.6g
を加えて攪拌しながら加熱し、48時間還流した。室温まで冷却し、水、トルエンを加えた後、分液操作によって有機層を採取した。水を用いた洗浄、飽和食塩水を用いた洗浄を順次行った後、無水硫酸マグネシウムを用いて乾燥し、濃縮することによって粗製物を得た。
続いて、カラムクロマトグラフィーを用いた精製を行うことによって、
N,N−ビス(ビフェニル−3−イル)アミンの褐色粘性物
25.3g(収率80%)
を得た。
【0140】
(第3工程)
窒素置換した反応容器に、
上記で得られたN,N−ビス(ビフェニル−3−イル)アミン
25.2g
トルエン 250mL
4−ブロモビフェニル 20.5g
t−ブトキシナトリウム 9.0g
を加え、30分間超音波を照射しながら窒素ガスを通気した。
次いで、
酢酸パラジウム 0.35g
t−ブチルホスフィンの50%(w/v)トルエン溶液0.95g
を加えて加熱し、95℃で14時間撹拌した。ろ過によって不溶物を除いた後、水を用いた洗浄、飽和食塩水を用いた洗浄を順次行った後、無水硫酸マグネシウムを用いて乾燥し、濃縮することによって粗製物を得た。
続いて、カラムクロマトグラフィーを用いた精製を行うことによって、
N,N−ビス(ビフェニル−3−イル)−N−(ビフェニル−4−イル)アミンの黄白色粉体31.6g(収率85%)
を得た。
【0141】
(第4工程)
窒素置換した反応容器に、
上記で得られたN,N−ビス(ビフェニル−3−イル)−N−(ビフェニル−4−イル)アミン 31.5g
ジメチルホルムアミド 320mL
を加え、氷浴にて冷却した。
続いて、
N−ブロモスクシンイミド 26.0g
をゆっくり加え、5時間撹拌した。水を加え、析出する粗製物をろ過によって採取した。メタノールを用いた洗浄を行った後、カラムクロマトグラフィーを用いた精製を行うことによって、
N,N−ビス(6−ブロモビフェニル−3−イル)−N−(ビフェニル−4−イル)アミンの白色粉体36.9g(収率88%)
を得た。
【0142】
(第5工程)
実施例1の第3工程で用いているビス(ビフェニル−4−イル)−(6−ブロモビフェニル−3−イル)アミンを、上記で得られたN,N−ビス(6−ブロモビフェニル−3−イル)−N−(ビフェニル−4−イル)アミンに代えた以外は、実施例1の第3工程と同様にして反応を行うことによって、
N,N−ビス(6−フェニルビフェニル−3−イル)−N−(ビフェニル−4−イル)アミンの白色粉体10.2g(収率73%)
を得た。
【0143】
このアミン化合物は、下記式で表される化合物(1−94)である。
【化36】
[この文献は図面を表示できません]
(1−94)
pm−置換ベンゼン環:2
【0144】
上記で得られた白色粉体についてNMRを使用して構造を同定した。このNMRチャートを図5に示した。
H−NMR(CDCl)で以下の35個の水素のシグナルを検出した。
δ(ppm)=7.57−7.66(4H)
7.10−7.49(31H)
【0145】
<実施例5>
<トリス(6−フェニルビフェニル−3−イル)アミン(化合物1−129)の合成>
(第1工程)
窒素置換した反応容器に、
3−アミノビフェニル 10.4g
トルエン 250mL
3−ブロモビフェニル 30.0g
t−ブトキシナトリウム 13.1g
を加え、30分間超音波を照射しながら窒素ガスを通気した。
続いて、
トリスジベンジリデンアセトンパラジウム 2.25g
t−ブチルホスフィンの50%(w/v)トルエン溶液1.50g
を加えて加熱し、95℃で3時間撹拌した。ろ過により不溶物を除き、続いて、水を用いた洗浄、飽和食塩水を用いた洗浄を順次行った後、無水硫酸マグネシウムを用いて乾燥し、濃縮することによって粗製物を得た。
さらに、カラムクロマトグラフィーを用いた精製を行うことによって、
トリス(ビフェニル−3−イル)アミンの白色粉体
24.6g(収率85%)
を得た。
【0146】
(第2工程)
窒素置換した反応容器に、
上記のトリス(ビフェニル−3−イル)アミン 24.5g
ジメチルホルムアミド 245mL
を加え、氷浴にて冷却した。
続いて、
N−ブロモスクシンイミド 30.4g
をゆっくり加え、7時間撹拌した。トルエンを加え、続いて、水を用いた洗浄、飽和食塩水を用いた洗浄を順次行った後、無水硫酸マグネシウムを用いて乾燥し、濃縮することによって粗製物を得た。
カラムクロマトグラフィーを用いた精製を行うことによって、
トリス(6−ブロモビフェニル−3−イル)アミンの白色粉体
33.6g(収率92%)
を得た。
【0147】
(第3工程)
実施例1の第3工程で用いているビス(ビフェニル−4−イル)−(6−ブロモビフェニル−3−イル)アミンを、上記で得られたトリス(6−ブロモビフェニル−3−イル)アミンに代えた以外は、実施例1の第3工程と同様にして反応を行うことによって、
トリス(6−フェニルビフェニル−3−イル)アミンの白色粉体
11.1g(収率75%)
を得た。
【0148】
このアミン化合物は、下記式で表される化合物(1−129)である。
【化37】
[この文献は図面を表示できません]
(1−129)
pm−置換ベンゼン環:3
【0149】
上記で得られた白色粉体についてNMRを使用して構造を同定した。このNMRチャートを図6に示した。
H−NMR(CDCl)で以下の39個の水素のシグナルを検出した。
δ(ppm)=7.35−7.42(6H)
7.15−7.35(33H)
【0150】
<実施例6>
<N,N−ビス(ビフェニル−4−イル)−N−(6−フェニル−1,1’:4’,1’’−ターフェニル−4−イル)アミン(化合物1−4)の合成>
実施例1の第3工程で使用されているフェニルボロン酸を、4−ビフェニルボロン酸に代えた以外は、実施例1と同様の条件で反応を行うことによって、
N,N−ビス(ビフェニル−4−イル)−N−(6−フェニル−1,1’:4’,1’’−ターフェニル−4−イル)アミンの白色粉体
8.4g(収率76%)
を得た。
【0151】
このアミン化合物は、下記式で表される化合物(1−4)である。
【化38】
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(1−4)
pm−置換ベンゼン環:1
【0152】
上記で得られた白色粉体についてNMRを使用して構造を同定した。このNMRチャートを図7に示した。
H−NMR(CDCl)で以下の35個の水素のシグナルを検出した。
δ(ppm)=7.60−7.68(10H)
7.45−50(9H)
7.30−7.39(8H)
7.22−7.28(8H)
【0153】
<実施例7>
<N,N−ビス(ビフェニル−4−イル)−N−(6−フェニル−1,1’:4’,1’’:4’’,1’’’−クォーターフェニル−4−イル)アミン(化合物1−9)の合成>
実施例1の第3工程で使用されているフェニルボロン酸を、p−ターフェニルボロン酸ピナコールエステルに代えた以外は、実施例1と同様の条件で反応を行うことによって、
N,N−ビス(ビフェニル−4−イル)−N−(6−フェニル−1,1’:4’,1’’:4’’,1’’’−クォーターフェニル−4−イル)アミンの白色粉体7.6g(収率75%)
を得た。
【0154】
このアミン化合物は、下記式で表される化合物(1−9)である。
【化39】
[この文献は図面を表示できません]
(1−9)
pm−置換ベンゼン環:1
【0155】
上記で得られた白色粉体についてNMRを使用して構造を同定した。このNMRチャートを図8に示した。
H−NMR(CDCl)で以下の39個の水素のシグナルを検出した。
δ(ppm)=7.40−7.55(20H)
7.30−39(7H)
7.19−7.29(12H)
【0156】
<実施例8>
<N−4−ビフェニル−N−(9,9−ジメチルフルオレン−2−イル)−N−(6−フェニル−1,1’:4’,1’’−ターフェニル−4−イル)アミン(化合物1−56)の合成>
実施例1の第3工程におけるN,N−ビス(ビフェニル−4−イル)−N−(6−ブロモビフェニル−3−イル)アミン及びフェニルボロン酸に代えて、
N−4−ビフェニル−N−(6−ブロモビフェニル−3−イル)−
N−(9,9−ジメチルフルオレン−2−イル)アミン
及び
4−ビフェニルボロン酸
を用いた以外は、実施例1の第3工程と同様の条件で反応を行うことによって、
N−4−ビフェニル−N−(9,9−ジメチルフルオレン−2−イル)−N−(6−フェニル−1,1’:4’,1’’−ターフェニル−4−イル)アミンの白色粉体17.8g(収率89%)
を得た。
【0157】
このアミン化合物は、下記式で表される化合物(1−56)である。
【化40】
[この文献は図面を表示できません]
(1−56)
pm−置換ベンゼン環:1
【0158】
上記で得られた白色粉体についてNMRを使用して構造を同定した。このNMRチャートを図9に示した。
H−NMR(CDCl)で以下の39個の水素のシグナルを検出した。
δ(ppm)=7.57−7.70(7H)
7.18−52(26H)
1.52(6H)
【0159】
<実施例9>
<N−4−ビフェニル−N−(1,1’:4’,1’’−ターフェニル−4−イル)−N−(6−フェニル−1,1’:4’,1’’−ターフェニル−4−イル)アミン(化合物1−68)の合成>
実施例1の第3工程におけるN,N−ビス(ビフェニル−4−イル)−N−(6−ブロモビフェニル−3−イル)アミン及びフェニルボロン酸に代えて、
N−4−ビフェニル−N−(6−ブロモビフェニル−3−イル)−
N−(4−ブロモフェニル)アミン
及び
4−ビフェニルボロン酸
を用いた以外は、実施例1の第3工程と同様の条件で反応を行うことによって、
N−4−ビフェニル−N−(1,1’:4’,1’’−ターフェニル−4−イル)−N−(6−フェニル−1,1’:4’,1’’−ターフェニル−4−イル)アミンの白色粉体6.4g(収率55%)
を得た。
【0160】
このアミン化合物は、下記式で表される化合物(1−68)である。
【化41】
[この文献は図面を表示できません]
(1−68)
pm−置換ベンゼン環:1
【0161】
上記で得られた白色粉体についてNMRを使用して構造を同定した。このNMRチャートを図10に示した。
H−NMR(CDCl)で以下の39個の水素のシグナルを検出した。
δ(ppm)=7.58−7.79(15H)
7.42−7.53(9H)
7.20−7.40(15H)
【0162】
<実施例10>
<N,N−ビス(ビフェニル−4−イル)−N−(6−フェニル−1,1’:4’,1’’−ターフェニル−3−イル)アミン(化合物1−90)の合成>
実施例1の第3工程におけるN,N−ビス(ビフェニル−4−イル)−N−(6−ブロモビフェニル−3−イル)アミンに代えて、
N,N−ビス(ビフェニル−4−イル)−N−(6−ブロモ−1,1’:4’,1’’−ターフェニル−3−イル)アミン
を用いた以外は、実施例1の第3工程と同様の条件で反応を行うことによって、
N,N−ビス(ビフェニル−4−イル)−N−(6−フェニル−1,1’:4’,1’’−ターフェニル−3−イル)アミンの白色粉体
6.8g(収率84%)
を得た。
【0163】
このアミン化合物は、下記式で表される化合物(1−90)である。
【化42】
[この文献は図面を表示できません]
(1−90)
pm−置換ベンゼン環:1
【0164】
上記で得られた白色粉体についてNMRを使用して構造を同定した。このNMRチャートを図11に示した。
H−NMR(CDCl)で以下の35個の水素のシグナルを検出した。
δ(ppm)=7.58−7.66(10H)
7.34−7.48(17H)
7.20−7.28(8H)
【0165】
<実施例11>
<N,N−ビス(ビフェニル−4−イル)−N−(6−フェニル−1,1’:2’,1’’−ターフェニル−3−イル)アミン(化合物1−92)の合成>
実施例1の第3工程におけるN,N−ビス(ビフェニル−4−イル)−N−(6−ブロモビフェニル−3−イル)アミンに代えて、
NN,N−ビス(ビフェニル−4−イル)−N−(6−ブロモ−
1,1‘:2’,1‘’−ターフェニル−3−イル)アミン
を用いた以外は、実施例1の第3工程と同様の条件で反応を行うことによって、
N,N−ビス(ビフェニル−4−イル)−N−(6−フェニル−1,
1‘:2’,1’’−ターフェニル−3−イル)アミンの白色粉体
4.8g(収率40%)
を得た。
【0166】
このアミン化合物は、下記式で表される化合物(1−92)である。
【化43】
[この文献は図面を表示できません]
(1−92)
pm−置換ベンゼン環:1
【0167】
上記で得られた白色粉体についてNMRを使用して構造を同定した。このNMRチャートを図12に示した。
H−NMR(CDCl)で以下の35個の水素のシグナルを検出した。
δ(ppm)=7.62−7.68(4H)
7.46−7.58(8H)
7.09−7.39(19H)
6.84−6.91(4H)
【0168】
<実施例12>
<N−4−ビフェニル−N−{4−(ナフタレン−1−イル)フェニル}−N−(6−フェニル−1,1’:4’,1’’−ターフェニル−4−イル)アミン(化合物1−134)の合成>
実施例1の第3工程におけるN,N−ビス(ビフェニル−4−イル)−N−(6−ブロモビフェニル−3−イル)アミン及びフェニルボロン酸に代えて、
N−4−ビフェニル−N−(6−ブロモビフェニル−3−イル)−
N−{4−(ナフタレン−1−イル)フェニル}アミン
及び
4−ビフェニルボロン酸
を用いた以外は、実施例1の第3工程と同様の条件で反応を行うことによって、
N−4−ビフェニル−N−{4−(ナフタレン−1−イル)フェニル}−N−(6−フェニル−1,1’:4’,1’’−ターフェニル−4−イル)アミンの白色粉体7.5g(収率60%)
を得た。
【0169】
このアミン化合物は、下記式で表される化合物(1−134)である。
【化44】
[この文献は図面を表示できません]
(1−134)
pm−置換ベンゼン環:1
【0170】
上記で得られた白色粉体についてNMRを使用して構造を同定した。このNMRチャートを図13に示した。
H−NMR(CDCl)で以下の37個の水素のシグナルを検出した。
δ(ppm)=8.08−8.12(1H)
7.86−7.98(2H)
7.21−7.64(34H)
【0171】
<実施例13>
<N−4−ビフェニル−N−{4−(ナフタレン−1−イル)フェニル}−N−(6−フェニル−1,1’:4’,1’’:4’’,1’’’−クォーターフェニル−4−イル)アミン(化合物1−135)の合成>
実施例1の第3工程におけるN,N−ビス(ビフェニル−4−イル)−N−(6−ブロモビフェニル−3−イル)アミン及びフェニルボロン酸に代えて、
N−4−ビフェニル−N−(6−ブロモビフェニル−3−イル)−
N−{4−(ナフタレン−1−イル)フェニル}アミン
及び
p−ターフェニルボロン酸ピナコールエステル
を用いた以外は、実施例1の第3工程と同様の条件で反応を行うことによって、
N−4−ビフェニル−N−{4−(ナフタレン−1−イル)フェニル}−N−(6−フェニル−1,1’:4’,1’’:4’’,1’’’−クォーターフェニル−4−イル)アミンの白色粉体9.0g(収率56%)
を得た。
【0172】
このアミン化合物は、下記式で表される化合物(1−135)である。
【化45】
[この文献は図面を表示できません]
(1−135)
pm−置換ベンゼン環:1
【0173】
上記で得られた白色粉体についてNMRを使用して構造を同定した。このNMRチャートを図14に示した。
H−NMR(CDCl)で以下の41個の水素のシグナルを検出した。
δ(ppm)=8.08−8.12(1H)
7.86−7.98(2H)
7.22−7.71(38H)
【0174】
<実施例14>
<N,N−ビス{4−(ナフタレン−1−イル)フェニル}−N−(6−フェニル−1,1’:4’,1’’−ターフェニル−4−イル)アミン(化合物1−136)の合成>
実施例1の第3工程におけるN,N−ビス(ビフェニル−4−イル)−N−(6−ブロモビフェニル−3−イル)アミン及びフェニルボロン酸に代えて、
N,N−ビス{4−(ナフタレン−1−イル)フェニル}−N−
(6−ブロモビフェニル−3−イル)アミン
及び
4−ビフェニルボロン酸
を用いた以外は、実施例1の第3工程と同様の条件で反応を行うことによって、
N,N−ビス{4−(ナフタレン−1−イル)フェニル}−N−
(6−フェニル−1,1’:4’,1’’−ターフェニル−4−イル)アミンの白色粉体10.6g(収率79%)
を得た。
このアミン化合物は、下記式で表される化合物(1−136)である。
【化46】
[この文献は図面を表示できません]
(1−136)
pm−置換ベンゼン環:1
【0175】
上記で得られた白色粉体についてNMRを使用して構造を同定した。このNMRチャートを図15に示した。
H−NMR(CDCl)で以下の39個の水素のシグナルを検出した。
δ(ppm)=8.08−8.14(2H)
7.88−7.96(4H)
7.24−7.64(33H)
【0176】
<実施例15>
<N,N−ビス{4−(ナフタレン−1−イル)フェニル}−N−{6−フェニル−4’’−(ナフタレン−1−イル)ビフェニル−4−イル}アミン(化合物1−137)の合成>
実施例1の第3工程におけるN,N−ビス(ビフェニル−4−イル)−N−(6−ブロモビフェニル−3−イル)アミン及びフェニルボロン酸に代えて、
N,N−ビス{4−(ナフタレン−1−イル)フェニル}−N−
(6−ブロモビフェニル−3−イル)アミン
及び
4−(ナフタレン−2−イル)フェニルボロン酸
を用いた以外は、実施例1の第3工程と同様の条件で反応を行うことによって、
N,N−ビス{4−(ナフタレン−1−イル)フェニル}−N−
{6−フェニル−4’’−(ナフタレン−1−イル)ビフェニル−
4−イル}アミンの白色粉体9.7g(収率74%)
を得た。
【0177】
このアミン化合物は、下記式で表される化合物(1−137)である。
【化47】
[この文献は図面を表示できません]
(1−137)
pm−置換ベンゼン環:1
【0178】
上記で得られた白色粉体についてNMRを使用して構造を同定した。このNMRチャートを図16に示した。
H−NMR(CDCl)で以下の41個の水素のシグナルを検出した。
δ(ppm)=8.08−8.14(3H)
7.66−7.97(8H)
7.28−7.66(30H)
【0179】
<実施例16>
<N,N−ビス{4−(ナフタレン−1−イル)フェニル}−N−(6−フェニル−1,1’:4’,1’’:4’’,1’’’−クォーターフェニル−4−イル)アミン(化合物1−138)の合成>
実施例1の第3工程におけるN,N−ビス(ビフェニル−4−イル)−N−(6−ブロモビフェニル−3−イル)アミン及びフェニルボロン酸に代えて、
N,N−ビス{4−(ナフタレン−1−イル)フェニル}−N−
(6−ブロモビフェニル−3−イル)アミン
及び
p−ターフェニルボロン酸ピナコールエステル
を用いた以外は、実施例1の第3工程と同様の条件で反応を行うことによって、
N,N−ビス{4−(ナフタレン−1−イル)フェニル}−N−
(6−フェニル−1,1’:4’,1’’:4’’,1’’’−クォーターフェニル−4−イル)アミンの白色粉体
6.2g(収率63%)
を得た。
【0180】
このアミン化合物は、下記式で表される化合物(1−138)である。
【化48】
[この文献は図面を表示できません]
(1−138)
pm−置換ベンゼン環:1
【0181】
上記で得られた白色粉体についてNMRを使用して構造を同定した。このNMRチャートを図17に示した。
H−NMR(CDCl)で以下の43個の水素のシグナルを検出した。
δ(ppm)=8.08−8.14(3H)
7.89−7.95(4H)
7.25−7.71(36H)
【0182】
<実施例17>
<N,N−ビス{4−(ナフタレン−1−イル)フェニル}−N−(6−フェニル−1,1’:3’,1’’−ターフェニル−4−イル)アミン(化合物1−139)の合成>
実施例1の第3工程におけるN,N−ビス(ビフェニル−4−イル)−N−(6−ブロモビフェニル−3−イル)アミン及びフェニルボロン酸に代えて、
N,N−ビス{4−(ナフタレン−1−イル)フェニル}−N−
(6−ブロモビフェニル−3−イル)アミン
及び
3−ビフェニルボロン酸
を用いた以外は、実施例1の第3工程と同様の条件で反応を行うことによって、
N,N−ビス{4−(ナフタレン−1−イル)フェニル}−N−
(6−フェニル−1,1’:3’,1’’−ターフェニル−4−イル)
アミンの白色粉体4.9g(収率48%)
を得た。
【0183】
このアミン化合物は、下記式で表される化合物(1−139)である。
【化49】
[この文献は図面を表示できません]
(1−139)
pm−置換ベンゼン環:1
【0184】
上記で得られた白色粉体についてNMRを使用して構造を同定した。このNMRチャートを図18に示した。
H−NMR(CDCl)で以下の39個の水素のシグナルを検出した。
δ(ppm)=8.08−8.12(2H)
7.86−7.94(4H)
7.00−7.57(29H)
6.63−6.75(4H)
【0185】
<実施例18>
<N−4−ビフェニル−N−{4−(ナフタレン−2−イル)フェニル}−N−(6−フェニル−1,1’:4’,1’’−ターフェニル−4−イル)アミン(化合物1−140)の合成>
実施例1の第3工程におけるN,N−ビス(ビフェニル−4−イル)−N−(6−ブロモビフェニル−3−イル)アミン及びフェニルボロン酸に代えて、
N−4−ビフェニル−N−(6−ブロモビフェニル−3−イル)−
N−{4−(ナフタレン−2−イル)フェニル}アミン
及び
4−ビフェニルボロン酸
を用いた以外は、実施例1の第3工程と同様の条件で反応を行うことによって、
N−4−ビフェニル−N−{4−(ナフタレン−2−イル)フェニル}−N−(6−フェニル−1,1’:4’,1’’−ターフェニル−4−イル)アミンの白色粉体4.9g(収率44%)
を得た。
【0186】
このアミン化合物は、下記式で表される化合物(1−140)である。
【化50】
[この文献は図面を表示できません]
(1−140)
pm−置換ベンゼン環:1
【0187】
上記で得られた白色粉体についてNMRを使用して構造を同定した。このNMRチャートを図19に示した。
H−NMR(CDCl)で以下の37個の水素のシグナルを検出した。
δ(ppm)=7.73(1H)
7.61−7.70(3H)
7.54−7.58(1H)
7.19−7.52(32H)
【0188】
<実施例19>
<N−4−ビフェニル−N−{4−(ナフタレン−2−イル)フェニル}−N−(6−フェニル−1,1’:4’,1’’−ターフェニル−3−イル)アミン(化合物1−141)の合成>
実施例1の第3工程におけるN,N−ビス(ビフェニル−4−イル)−N−(6−ブロモビフェニル−3−イル)アミンに代えて、
N−4−ビフェニル−N−{4−(ナフタレン−2−イル)フェニル}−N−(6−ブロモ−1,1’:4’,1’’−ターフェニル−3−イル)アミン
を用いた以外は、実施例1の第3工程と同様の条件で反応を行うことによって、
N−4−ビフェニル−N−{4−(ナフタレン−2−イル)フェニル}−N−(6−フェニル−1,1’:4’,1’’−ターフェニル−3−イル)アミンの白色粉体5.8g(収率56%)
を得た。
【0189】
このアミン化合物は、下記式で表される化合物(1−141)である。
【化51】
[この文献は図面を表示できません]
(1−141)
pm−置換ベンゼン環:1
【0190】
上記で得られた白色粉体についてNMRを使用して構造を同定した。このNMRチャートを図20に示した。
H−NMR(CDCl)で以下の37個の水素のシグナルを検出した。
δ(ppm)=8.08(1H)
7.81−7.96(3H)
7.79−7.81(1H)
7.21−7.73(32H)
【0191】
<実施例20>
<N−4−ビフェニル−N−{4−(ナフタレン−2−イル)フェニル}−N−{6−フェニル−4’−(ナフタレン−2−イル)ビフェニル−3−イル}アミン(化合物1−142)の合成>
実施例1の第3工程におけるN,N−ビス(ビフェニル−4−イル)−N−(6−ブロモビフェニル−3−イル)アミンに代えて、
N−4−ビフェニル−N−{4−(ナフタレン−2−イル)フェニル}−N−{6−ブロモ−4’−(ナフタレン−2−イル)ビフェニル−3−イル}アミン
を用いた以外は、実施例1の第3工程と同様の条件で反応を行うことによって、
N−4−ビフェニル−N−{4−(ナフタレン−2−イル)フェニル}−N−{6−フェニル−4’−(ナフタレン−2−イル)ビフェニル−3−イル}アミンの白色粉体10.0g(収率81%)
を得た。
【0192】
このアミン化合物は、下記式で表される化合物(1−142)である。
【化52】
[この文献は図面を表示できません]
(1−142)
pm−置換ベンゼン環:1
【0193】
上記で得られた白色粉体についてNMRを使用して構造を同定した。このNMRチャートを図21に示した。
H−NMR(CDCl)で以下の39個の水素のシグナルを検出した。
δ(ppm)=8.04−8.10(2H)
7.78−7.96(8H)
7.24−7.65(29H)
【0194】
<実施例21>
<N−4−ビフェニル−N−(9,9−ジフェニルフルオレン−2−イル)−N−(6−フェニルビフェニル−3−イル}アミン(化合物1−143)の合成>
実施例1の第3工程におけるN,N−ビス(ビフェニル−4−イル)−N−(6−ブロモビフェニル−3−イル)アミンに代えて、
N−4−ビフェニル−N−(6−ブロモビフェニル−3−イル)−N−(9,9−ジフェニルフルオレン−2−イル)アミン
を用いた以外は、実施例1の第3工程と同様の条件で反応を行うことによって、
N−4−ビフェニル−N−(9,9−ジフェニルフルオレン−2−イル)−N−(6−フェニルビフェニル−3−イル}アミンの白色粉体
11.0g(収率61%)
を得た。
【0195】
このアミン化合物は、下記式で表される化合物(1−143)である。
【化53】
[この文献は図面を表示できません]
(1−143)
pm−置換ベンゼン環:1
【0196】
上記で得られた白色粉体についてNMRを使用して構造を同定した。このNMRチャートを図22に示した。
H−NMR(CDCl)で以下の39個の水素のシグナルを検出した。
δ(ppm)=7.60−7.74(4H)
7.14−7.52(33H)
7.00−7.03(2H)
【0197】
<実施例22>
<N−4−ビフェニル−N−(9,9−ジフェニルフルオレン−2−イル)−N−(6−フェニル−1,1’:4’,1’’−ターフェニル−4−イル}アミン(化合物1−144)の合成>
実施例1の第3工程におけるN,N−ビス(ビフェニル−4−イル)−N−(6−ブロモビフェニル−3−イル)アミン及びフェニルボロン酸に代えて、
N−4−ビフェニル−N−(6−ブロモビフェニル−3−イル)−
N−(9,9−ジフェニルフルオレン−2−イル)アミン
及び
4−ビフェニルボロン酸
を用いた以外は、実施例1の第3工程と同様の条件で反応を行うことによって、
N−4−ビフェニル−N−(9,9−ジフェニルフルオレン−2−イル)−N−(6−フェニル−1,1’:4’,1’’−ターフェニル−4−イル)アミンの白色粉体6.5g(収率71%)
を得た。
【0198】
このアミン化合物は、下記式で表される化合物(1−144)である。
【化54】
[この文献は図面を表示できません]
(1−144)
pm−置換ベンゼン環:1
【0199】
上記で得られた白色粉体についてNMRを使用して構造を同定した。このNMRチャートを図23に示した。
H−NMR(CDCl)で以下の43個の水素のシグナルを検出した。
δ(ppm)=7.61−7.77(6H)
7.20−7.51(34H)
7.06−7.11(3H)
【0200】
<実施例23>
<N−4−ビフェニル−N−(9,9−ジフェニルフルオレン−2−イル)−N−(6−フェニル−1,1’:3’,1’’−ターフェニル−4−イル)アミン(化合物1−145)の合成>
実施例1の第3工程におけるN,N−ビス(ビフェニル−4−イル)−N−(6−ブロモビフェニル−3−イル)アミン及びフェニルボロン酸に代えて、
N−4−ビフェニル−N−(6−ブロモビフェニル−3−イル)−
N−(9,9−ジフェニルフルオレン−2−イル)アミン
及び
3−ビフェニルボロン酸
を用いた以外は、実施例1の第3工程と同様の条件で反応を行うことによって、
N−4−ビフェニル−N−(9,9−ジフェニルフルオレン−2−イル)−N−(6−フェニル−1,1’:3’,1’’−ターフェニル−4−イル)アミンの白色粉体8.0g(収率87%)
を得た。
【0201】
このアミン化合物は、下記式で表される化合物(1−145)である。
【化55】
[この文献は図面を表示できません]
(1−145)
pm−置換ベンゼン環:1
【0202】
上記で得られた白色粉体についてNMRを使用して構造を同定した。このNMRチャートを図24に示した。
H−NMR(CDCl)で以下の43個の水素のシグナルを検出した。
δ(ppm)=7.70−7.76(2H)
7.63−7.65(2H)
7.18−7.54(36H)
7.08−7.12(3H)
【0203】
<実施例24>
<N−4−ビフェニル−N−(9,9−ジフェニルフルオレン−2−イル)−N−(6−フェニル−1,1’:2’,1’’−ターフェニル−4−イル)アミン(化合物1−146)の合成>
実施例1の第3工程におけるN,N−ビス(ビフェニル−4−イル)−N−(6−ブロモビフェニル−3−イル)アミン及びフェニルボロン酸に代えて、
N−4−ビフェニル−N−(6−ブロモビフェニル−3−イル)−
N−(9,9−ジフェニルフルオレン−2−イル)アミン
及び
2−ビフェニルボロン酸
を用いた以外は、実施例1の第3工程と同様の条件で反応を行うことによって、
N−4−ビフェニル−N−(9,9−ジフェニルフルオレン−2−イル)−N−(6−フェニル−1,1’:2’,1’’−ターフェニル−4−イル)アミンの白色粉体5.2g(収率57%)
を得た。
【0204】
このアミン化合物は、下記式で表される化合物(1−146)である。
【化56】
[この文献は図面を表示できません]
(1−146)
pm−置換ベンゼン環:1
【0205】
上記で得られた白色粉体についてNMRを使用して構造を同定した。このNMRチャートを図25に示した。
H−NMR(CDCl)で以下の43個の水素のシグナルを検出した。
δ(ppm)=7.60−7.74(4H)
6.95−7.49(35H)
6.68−6.71(2H)
6.54−6.57(2H)
【0206】
<実施例25>
<N,N−ビス(ビフェニル−4−イル)−N−{6−フェニル−4’−(ナフタレン−1−イル)ビフェニル−3−イル}アミン(化合物1−147)の合成>
実施例1の第3工程におけるN,N−ビス(ビフェニル−4−イル)−N−(6−ブロモビフェニル−3−イル)アミンに代えて、
N,N−ビス(ビフェニル−4−イル)−N−{6−ブロモ−4’−
(ナフタレン−1−イル)ビフェニル−3−イル}アミン
を用いた以外は、実施例1の第3工程と同様の条件で反応を行うことによって、
N,N−ビス(ビフェニル−4−イル)−N−{6−フェニル−
4’−(ナフタレン−1−イル)ビフェニル−3−イル}アミンの
白色粉体5.4g(収率33%)
を得た。
【0207】
このアミン化合物は、下記式で表される化合物(1−147)である。
【化57】
[この文献は図面を表示できません]
(1−147)
pm−置換ベンゼン環:1
【0208】
上記で得られた白色粉体についてNMRを使用して構造を同定した。このNMRチャートを図26に示した。
H−NMR(CDCl)で以下の37個の水素のシグナルを検出した。
δ(ppm)=7.84−7.95(3H)
7.24−7.67(34H)
【0209】
<実施例26>
<N,N−ビス(ビフェニル−4−イル)−N−{6−(ビフェニル−4−イル)−1,1’:4’,1’’−ターフェニル−3−イル}アミン(化合物1−148)の合成>
実施例1の第3工程におけるN,N−ビス(ビフェニル−4−イル)−N−(6−ブロモビフェニル−3−イル)アミン及びフェニルボロン酸に代えて、
N,N−ビス(ビフェニル−4−イル)−N−(6−ブロモ−1,1’:4’,1’’−ターフェニル−3−イル}アミン
及び
4−ビフェニルボロン酸
を用いた以外は、実施例1の第3工程と同様の条件で反応を行うことによって、
N,N−ビス(ビフェニル−4−イル)−N−{6−(ビフェニル−
4−イル)−1,1’:4’,1’’−ターフェニル−3−イル}アミンの
白色粉体9.4g(収率84%)
を得た。
【0210】
このアミン化合物は、下記式で表される化合物(1−148)である。
【化58】
[この文献は図面を表示できません]
(1−148)
pm−置換ベンゼン環:1
【0211】
上記で得られた白色粉体についてNMRを使用して構造を同定した。このNMRチャートを図27に示した。
H−NMR(CDCl)で以下の39個の水素のシグナルを検出した。
δ(ppm)=7.58−7.66(12H)
7.23−7.54(27H)
【0212】
<実施例27>
<N,N−ビス(ビフェニル−4−イル)−N−{6−(ビフェニル−3−イル)−1,1’:4’,1’’−ターフェニル−3−イル}アミン(化合物1−149)の合成>
実施例1の第3工程におけるN,N−ビス(ビフェニル−4−イル)−N−(6−ブロモビフェニル−3−イル)アミン及びフェニルボロン酸に代えて、
N,N−ビス(ビフェニル−4−イル)−N−(6−ブロモ−1,1’:4’,1’’−ターフェニル−3−イル}アミン
及び
3−ビフェニルボロン酸
を用いた以外は、実施例1の第3工程と同様の条件で反応を行うことによって、
N,N−ビス(ビフェニル−4−イル)−N−{6−(ビフェニル−3−イル)−1,1’:4’,1’’−ターフェニル−3−イル}アミンの白色粉体9.6g(収率86%)
を得た。
【0213】
このアミン化合物は、下記式で表される化合物(1−149)である。
【化59】
[この文献は図面を表示できません]
(1−149)
pm−置換ベンゼン環:1
【0214】
上記で得られた白色粉体についてNMRを使用して構造を同定した。このNMRチャートを図28に示した。
H−NMR(CDCl)で以下の39個の水素のシグナルを検出した。
δ(ppm)=7.58−7.66(10H)
7.26−7.52(29H)
【0215】
<実施例28>
<N,N−ビス(ビフェニル−4−イル)−N−{6−(ビフェニル−2−イル)−1,1’:4’,1’’−ターフェニル−3−イル}アミン(化合物1−150)の合成>
実施例1の第3工程におけるN,N−ビス(ビフェニル−4−イル)−N−(6−ブロモビフェニル−3−イル)アミン及びフェニルボロン酸に代えて、
N,N−ビス(ビフェニル−4−イル)−N−(6−ブロモ−1,1’:4’,1’’−ターフェニル−3−イル}アミン
及び
2−ビフェニルボロン酸
を用いた以外は、実施例1の第3工程と同様の条件で反応を行うことによって、
N,N−ビス(ビフェニル−4−イル)−N−{6−(ビフェニル−
2−イル)−1,1’:4’,1’’−ターフェニル−3−イル}アミンの
白色粉体9.6g(収率86%)
を得た。
【0216】
このアミン化合物は、下記式で表される化合物(1−150)である。
【化60】
[この文献は図面を表示できません]
(1−150)
pm−置換ベンゼン環:1
【0217】
上記で得られた白色粉体についてNMRを使用して構造を同定した。このNMRチャートを図29に示した。
H−NMR(CDCl)で以下の39個の水素のシグナルを検出した。
δ(ppm)=7.54−7.66(10H)
7.08−7.49(25H)
6.63−6.74(4H)
【0218】
<実施例29>
<N,N−ビス(9,9−ジメチルフルオレン−2−イル)−N−(6−フェニル−1,1’:4’,1’’−ターフェニル−4−イル)アミン(化合物1−151)の合成>
実施例1の第3工程におけるN,N−ビス(ビフェニル−4−イル)−N−(6−ブロモビフェニル−3−イル)アミン及びフェニルボロン酸に代えて、
N,N−ビス(9,9−ジメチルフルオレン−2−イル)−N−
(6−ブロモビフェニル−3−イル)アミン
及び
4−ビフェニルボロン酸
を用いた以外は、実施例1の第3工程と同様の条件で反応を行うことによって、
N,N−ビス(9,9−ジメチルフルオレン−2−イル)−N−
(6−フェニル−1,1’:4’,1’’−ターフェニル−4−イル)
アミンの白色粉体16.7g(収率92%)
を得た。
【0219】
このアミン化合物は、下記式で表される化合物(1−151)である。
【化61】
[この文献は図面を表示できません]
(1−151)
pm−置換ベンゼン環:1
【0220】
上記で得られた白色粉体についてNMRを使用して構造を同定した。このNMRチャートを図30に示した。
H−NMR(CDCl)で以下の43個の水素のシグナルを検出した。
δ(ppm)=7.62−7.70(6H)
7.19−7.52(25H)
1.50(12H)
【0221】
<実施例30>
<N−(9,9−ジメチルフルオレン−2−イル)−N−(6−フェニルビフェニル−3−イル)−N−(1,1’:4’,1’’−ターフェニル−4−イル)アミン(化合物1−152)の合成>
実施例1の第3工程におけるN,N−ビス(ビフェニル−4−イル)−N−(6−ブロモビフェニル−3−イル)アミンに代えて、
N−(6−ブロモビフェニル−3−イル)−N−(9,9−ジメチルフルオレン−2−イル)−N−(1,1’:4’,1’’−ターフェニル−4−イル)アミン
を用いた以外は、実施例1の第3工程と同様の条件で反応を行うことによって、
N−(9,9−ジメチルフルオレン−2−イル)−N−(6−フェニルビフェニル−3−イル)−N−(1,1’:4’,1’’−ターフェニル−4−イル)アミンの白色粉体18.3g(収率74%)
を得た。
【0222】
このアミン化合物は、下記式で表される化合物(1−152)である。
【化62】
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(1−152)
pm−置換ベンゼン環:1
【0223】
上記で得られた白色粉体についてNMRを使用して構造を同定した。このNMRチャートを図31に示した。
H−NMR(CDCl)で以下の39個の水素のシグナルを検出した。
δ(ppm)=7.61−7.69(10H)
7.12−7.52(23H)
1.51(6H)
【0224】
<実施例31>
<N−(9,9−ジメチルフルオレン−2−イル)−N−{4−(ナフタレン−2−イル)フェニル}−N−(6−フェニルビフェニル−3−イル)アミン(化合物1−153)の合成>
実施例1の第3工程におけるN,N−ビス(ビフェニル−4−イル)−N−(6−ブロモビフェニル−3−イル)アミンに代えて、
N−(6−ブロモビフェニル−3−イル)−N−(9,9−ジメチルフルオレン−2−イル)−N−{4−(ナフタレン−2−イル)フェニル}アミン
を用いた以外は、実施例1の第3工程と同様の条件で反応を行うことによって、
N−(9,9−ジメチルフルオレン−2−イル)−N−{4−(ナフタレン−2−イル)フェニル}−N−(6−フェニルビフェニル−3−イル)アミンの白色粉体8.8g(収率63%)
を得た。
【0225】
このアミン化合物は、下記式で表される化合物(1−153)である。
【化63】
[この文献は図面を表示できません]
(1−153)
pm−置換ベンゼン環:1
【0226】
上記で得られた白色粉体についてNMRを使用して構造を同定した。このNMRチャートを図32に示した。
H−NMR(CDCl)で以下の37個の水素のシグナルを検出した。
δ(ppm)=8.08(1H)
7.76−7.94(4H)
7.60−7.71(4H)
7.13−7.54(22H)
1.52(6H)
【0227】
<実施例32>
<N−(9,9−ジメチルフルオレン−2−イル)−N−{4−(ナフタレン−2−イル)フェニル}−N−(6−フェニル−1,1’:4’,1’’−ターフェニル−4−イル)アミン(化合物1−154)の合成>
実施例1の第3工程におけるN,N−ビス(ビフェニル−4−イル)−N−(6−ブロモビフェニル−3−イル)アミン及びフェニルボロン酸に代えて、
N−(6−ブロモビフェニル−3−イル)−N−(9,9−ジメチルフルオレン−2−イル)−N−{4−(ナフタレン−2−イル)フェニル}アミン
及び
4−ビフェニルボロン酸
を用いた以外は、実施例1の第3工程と同様の条件で反応を行うことによって、
N−(9,9−ジメチルフルオレン−2−イル)−N−{4−(ナフタレン−2−イル)フェニル}−N−(6−フェニル−1,1’:4’,1’’−ターフェニル−4−イル)アミンの白色粉体
10.4g(収率67%)
を得た。
【0228】
このアミン化合物は、下記式で表される化合物(1−154)である。
【化64】
[この文献は図面を表示できません]
(1−154)
pm−置換ベンゼン環:1
【0229】
上記で得られた白色粉体についてNMRを使用して構造を同定した。このNMRチャートを図33に示した。
得られた白色粉体についてNMRを使用して構造を同定した。
H−NMR(CDCl)で以下の41個の水素のシグナルを検出した。
δ(ppm)=8.12(1H)
7.78−7.92(4H)
7.60−7.71(6H)
7.21−7.54(24H)
1.53(6H)
【0230】
<実施例33>
<N−4−ビフェニル−N−(9,9−ジメチルフルオレン−2−イル)−N−(6−フェニル−4’−(ナフタレン−1−イル)ビフェニル−4−イル)アミン(化合物1−155)の合成>
実施例1の第3工程におけるN,N−ビス(ビフェニル−4−イル)−N−(6−ブロモビフェニル−3−イル)アミン及びフェニルボロン酸に代えて、
N−4−ビフェニル−N−(6−ブロモビフェニル−3−イル)−
N−(9,9−ジメチルフルオレン−2−イル)アミン
及び
4−(ナフタレン−1−イル)フェニルボロン酸
を用いた以外は、実施例1の第3工程と同様の条件で反応を行うことによって、
N−4−ビフェニル−N−(9,9−ジメチルフルオレン−2−イル)−N−(6−フェニル−4’−(ナフタレン−1−イル)ビフェニル−4−イル)アミンの白色粉体17.8g(収率89%)
を得た。
【0231】
このアミン化合物は、下記式で表される化合物(1−155)である。
【化65】
[この文献は図面を表示できません]
(1−155)
pm−置換ベンゼン環:1
【0232】
上記で得られた白色粉体についてNMRを使用して構造を同定した。このNMRチャートを図34に示した。
H−NMR(CDCl)で以下の41個の水素のシグナルを検出した。
δ(ppm)=7.85−7.96(3H)
7.18−74(32H)
1.53(6H)
【0233】
<実施例34>
<N−(9,9−ジメチルフルオレン−2−イル)−N−{4−(ナフタレン−1−イル)フェニル}−N−(6−フェニルビフェニル−3−イル)アミン(化合物1−156)の合成>
実施例1の第3工程におけるN,N−ビス(ビフェニル−4−イル)−N−(6−ブロモビフェニル−3−イル)アミンに代えて、
N−(6−ブロモビフェニル−3−イル)−N−(9,9−ジメチルフルオレン−2−イル)−N−{4−(ナフタレン−1−イル)フェニル}アミン
を用いた以外は、実施例1の第3工程と同様の条件で反応を行うことによって、
N−(9,9−ジメチルフルオレン−2−イル)−N−{4−(ナフタレン−1−イル)フェニル}−N−(6−フェニルビフェニル−3−イル)アミンの白色粉体17.8g(収率89%)
を得た。
【0234】
このアミン化合物は、下記式で表される化合物(1−156)である。
【化66】
[この文献は図面を表示できません]
(1−156)
pm−置換ベンゼン環:1
【0235】
上記で得られた白色粉体についてNMRを使用して構造を同定した。このNMRチャートを図35に示した。
H−NMR(CDCl)で以下の37個の水素のシグナルを検出した。
δ(ppm)=8.10−8.13(1H)
7.86−7.94(2H)
7.72−7.75(2H)
7.14−7.58(26H)
1.54(6H)
【0236】
<実施例35>
<N−(9,9−ジメチルフルオレン−2−イル)−N−{4−(ナフタレン−1−イル)フェニル}−N−(6−フェニル−1,1’:4’,1’’−ターフェニル−4−イル)アミン(化合物1−157)の合成>
実施例1の第3工程におけるN,N−ビス(ビフェニル−4−イル)−N−(6−ブロモビフェニル−3−イル)アミン及びフェニルボロン酸に代えて、
N−(6−ブロモビフェニル−3−イル)−N−(9,9−ジメチルフルオレン−2−イル)−N−{4−(ナフタレン−1−イル)フェニル}アミン
及び
4−ビフェニルボロン酸
を用いた以外は、実施例1の第3工程と同様の条件で反応を行うことによって、
N−(9,9−ジメチルフルオレン−2−イル)−N−{4−(ナフタレン−1−イル)フェニル}−N−(6−フェニル−1,1’:4’,1’’−ターフェニル−4−イル)アミンの白色粉体
19.9g(収率89%)
を得た。
【0237】
このアミン化合物は、下記式で表される化合物(1−157)である。
【化67】
[この文献は図面を表示できません]
(1−157)
pm−置換ベンゼン環:1
【0238】
上記で得られた白色粉体についてNMRを使用して構造を同定した。このNMRチャートを図36に示した。
H−NMR(CDCl)で以下の41個の水素のシグナルを検出した。
δ(ppm)=8.07−8.13(1H)
7.88−7.96(2H)
7.16−7.72(32H)
1.54(6H)
【0239】
<実施例36>
<N−4−ビフェニル−N−{4−(9,9−ジメチルフルオレン−2−イル)フェニル}−N−{6−フェニル−1,1’:3’,1’’−ターフェニル−4−イル}アミン(化合物1−158)の合成>
実施例1の第3工程におけるN,N−ビス(ビフェニル−4−イル)−N−(6−ブロモビフェニル−3−イル)アミン及びフェニルボロン酸に代えて、
N−4−ビフェニル−N−(6−ブロモビフェニル−3−イル)−
N−{4−(9,9−ジメチルフルオレン−2−イル)フェニル}アミン
及び
3−ビフェニルボロン酸
を用いた以外は、実施例1の第3工程と同様の条件で反応を行うことによって、
N−4−ビフェニル−N−{4−(9,9−ジメチルフルオレン−2−イル)フェニル}−N−{6−フェニル−1,1’:3’,1’’−ターフェニル−4−イル}アミンの白色粉体8.7g(収率49%)
を得た。
【0240】
このアミン化合物は、下記式で表される化合物(1−158)である。
【化68】
[この文献は図面を表示できません]
(1−158)
pm−置換ベンゼン環:1
【0241】
上記で得られた白色粉体についてNMRを使用して構造を同定した。このNMRチャートを図37に示した。
H−NMR(CDCl)で以下の43個の水素のシグナルを検出した。
δ(ppm)=7.74−7.82(2H)
7.58−7.76(6H)
7.16−7.48(29H)
1.57(6H)
【0242】
<実施例37>
<N,N−ビス{4−(ナフタレン−2−イル)フェニル}−N−(6−フェニル−1,1’:4’,1’’−ターフェニル−3−イル)アミン(化合物1−159)の合成>
実施例1の第3工程におけるN,N−ビス(ビフェニル−4−イル)−N−(6−ブロモビフェニル−3−イル)アミンに代えて、
N,N−ビス{4−(ナフタレン−2−イル)フェニル}−N−
(6−ブロモ−1,1’:4’,1’’−ターフェニル−3−イル)アミン
を用いた以外は、実施例1の第3工程と同様の条件で反応を行うことによって、
N,N−ビス{4−(ナフタレン−2−イル)フェニル}−N−
(6−フェニル−1,1’:4’,1’’−ターフェニル−3−イル)
アミンの白色粉体5.1g(収率65%)を得た。
【0243】
このアミン化合物は、下記式で表される化合物(1−159)である。
【化69】
[この文献は図面を表示できません]
(1−159)
pm−置換ベンゼン環:1
【0244】
上記で得られた白色粉体についてNMRを使用して構造を同定した。このNMRチャートを図38に示した。
H−NMR(CDCl)で以下の39個の水素のシグナルを検出した。
δ(ppm)=8.10(1H)
7.87−7.96(6H)
7.71−7.84(6H)
7.22−7.60(26H)
【0245】
<実施例38>
実施例で合成された一般式(1)で表される各種のアリールアミン化合物について、高感度示差走査熱量計(ブルカー・エイエックスエス製、DSC3100S)によってガラス転移点を求め、その結果を以下に示した。
このガラス転移点は、薄膜状態の安定性や耐熱性の指標となるパラメータである。
【0246】
ガラス転移点
化合物(1−2):実施例2 103℃
化合物(1−3):実施例3 115℃
化合物(1−94):実施例4 101℃
化合物(1−129):実施例5 112℃
化合物(1−4):実施例6 104℃
化合物(1−9):実施例7 117℃
化合物(1−56):実施例8 116℃
化合物(1−68):実施例9 116℃
化合物(1−90):実施例10 106℃
化合物(1−134):実施例12 109℃
化合物(1−135):実施例13 121℃
化合物(1−136):実施例14 117℃
化合物(1−137):実施例15 120℃
化合物(1−138):実施例16 125℃
化合物(1−139):実施例17 107℃
化合物(1−140):実施例18 110℃
化合物(1−141):実施例19 112℃
化合物(1−142):実施例20 119℃
化合物(1−147):実施例25 111℃
化合物(1−148):実施例26 119℃
化合物(1−149):実施例27 107℃
化合物(1−150):実施例28 110℃
化合物(1−151):実施例29 114℃
化合物(1−153):実施例31 108℃
化合物(1−154):実施例32 122℃
化合物(1−155):実施例33 119℃
化合物(1−156):実施例34 109℃
化合物(1−157):実施例35 122℃
化合物(1−158):実施例36 112℃
化合物(1−159):実施例37 116℃
【0247】
上記の結果から、一般式(1)で表されるアリールアミン化合物は100℃以上のガラス転移点を有しており、薄膜状態が安定であることが判る。
【0248】
<実施例39>
実施例で合成された一般式(1)で表される各種のアリールアミン化合物について、ITO基板の上に膜厚100nmの蒸着膜を作製して、イオン化ポテンシャル測定装置(住友重機械工業株式会社製、PYS−202型)で仕事関数を測定し、その結果を以下に示した。
仕事関数は、正孔輸送性の指標となるパラメータである。
【0249】
仕事関数
化合物(1−1):実施例1 5.68eV
化合物(1−2):実施例2 5.72eV
化合物(1−3):実施例3 5.66eV
化合物(1−94):実施例4 5.72eV
化合物(1−129):実施例5 5.75eV
化合物(1−4):実施例6 5.67eV
化合物(1−9):実施例7 5.70eV
化合物(1−56):実施例8 5.62eV
化合物(1−68):実施例9 5.66eV
化合物(1−90):実施例10 5.71eV
化合物(1−92):実施例11 5.70eV
化合物(1−134):実施例12 5.71eV
化合物(1−135):実施例13 5.71eV
化合物(1−136):実施例14 5.72eV
化合物(1−137):実施例15 5.72eV
化合物(1−138):実施例16 5.73eV
化合物(1−139):実施例17 5.73eV
化合物(1−140):実施例18 5.69eV
化合物(1−141):実施例19 5.70eV
化合物(1−142):実施例20 5.71eV
化合物(1−143):実施例21 5.66eV
化合物(1−144):実施例22 5.67eV
化合物(1−145):実施例23 5.68eV
化合物(1−146):実施例24 5.67eV
化合物(1−147):実施例25 5.72eV
化合物(1−148):実施例26 5.70eV
化合物(1−149):実施例27 5.71eV
化合物(1−150):実施例28 5.72eV
化合物(1−151):実施例29 5.55eV
化合物(1−152):実施例30 5.61eV
化合物(1−153):実施例31 5.62eV
化合物(1−154):実施例32 5.62eV
化合物(1−155):実施例33 5.63eV
化合物(1−156):実施例34 5.62eV
化合物(1−157):実施例35 5.63eV
化合物(1−158):実施例36 5.64eV
化合物(1−159):実施例37 5.69eV
【0250】
上記の結果から、一般式(1)で表されるアリールアミン化合物は、NPD、TPDなどの一般的な正孔輸送材料がもつ仕事関数5.4eVと比較して、好適なエネルギー準位を示しており、良好な正孔輸送能力を有していることが分かる。
【0251】
<実施例40>
図1に示されている構造の有機EL素子、透明基板(ガラス基板)1上に透明陽極(ITO電極)2、正孔注入層3、第一正孔輸送層4、第二正孔輸送層5、発光層6、電子輸送層7、電子注入層8、陰極(アルミニウム電極)9が形成されている有機EL素子を、下記の手順にしたがい蒸着により作製した。
【0252】
先ず、ガラス基板(透明基板1)上に膜厚150nmのITO電極(透明陽極2)が形成されているITO付きガラス基板を用意した。
このガラス基板1をイソプロピルアルコール中にて20分間、超音波洗浄した後、200℃に加熱したホットプレート上にて10分間乾燥を行った。その後、UVオゾン処理を15分間行った後、このITO付きガラス基板を真空蒸着機内に取り付け、0.001Pa以下まで減圧した。
続いて、透明陽極2を覆うように正孔注入層3として、下記構造式の化合物(HIM−1)を膜厚5nmとなるように形成した。
【0253】
【化70】
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(HIM−1)
【0254】
この正孔注入層3の上に、第一正孔輸送層4として下記構造式の分子中にトリアリールアミン骨格を2個有するアリールアミン化合物(3−1)を膜厚60nmとなるように形成した。
【化71】
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(3−1)
【0255】
このようにして形成された第一正孔輸送層4の上に第二正孔輸送層5として実施例1で合成されたアリールアミン化合物(1−1)を膜厚5nmとなるように形成した。
この第二正孔輸送層5の上に、発光層6として下記構造式のピレン誘導体(EMD−1)と下記構造式のアントラセン誘導体(EMH−1)を、蒸着速度比がEMD−1:EMH−1=5:95となる蒸着速度で二元蒸着を行い、膜厚20nmとなるように形成した。
【0256】
【化72】
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(EMD−1)
【化73】
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(EMH−1)
【0257】
この発光層6の上に、下記構造式のアントラセン誘導体(2a−1)と下記構造式の化合物(ETM−1)を、蒸着速度比が化合物2a−1:ETM−1=50:50となる蒸着速度で二元蒸着を行い、膜厚30nmとの電子輸送層7を形成した。
【化74】
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(2a−1)
【化75】
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(ETM−1)
【0258】
この電子輸送層7の上に、電子注入層8としてフッ化リチウムを膜厚1nmとなるように形成した。
最後に、アルミニウムを100nm蒸着して陰極9を形成した。
【0259】
このようにして作製した有機EL素子について、大気中、常温で特性測定を行った。作製した有機EL素子の層構成を表1に示し、直流電圧を印加したときの発光特性の測定結果を、表4にまとめて示した。
尚、上記の特性測定において、素子寿命は、発光開始時の発光輝度(初期輝度)を2000cd/mとして定電流駆動を行った時、発光輝度が1900cd/m(初期輝度を100%とした時の95%に相当:95%減衰)に減衰するまでの時間として測定した。
【0260】
<実施例41>
化合物(1−1)の代わりに実施例6で合成された化合物(1−4)を使用し、膜厚5nmの第二正孔輸送層5を形成した以外は、実施例40と同様にして有機EL素子を作製した。
このようにして作製した有機EL素子について、大気中、常温で特性測定を行った。作製した有機EL素子の層構成を表1に示し、直流電圧を印加したときの発光特性の測定結果を、表4にまとめて示した。
【0261】
<実施例42>
化合物(1−1)の代わりに実施例7で合成された化合物(1−9)を使用し、膜厚5nmの第二正孔輸送層5を形成した以外は、実施例40と同様にして有機EL素子を作製した。
このようにして作製した有機EL素子について、大気中、常温で特性測定を行った。作製した有機EL素子の層構成を表1に示し、直流電圧を印加したときの発光特性の測定結果を、表4にまとめて示した。
【0262】
<実施例43>
化合物(1−1)の代わりに実施例8で合成された化合物(1−56)を使用し、膜厚5nmの第二正孔輸送層5を形成した以外は、実施例40と同様にして有機EL素子を作製した。
このようにして作製した有機EL素子について、大気中、常温で特性測定を行った。作製した有機EL素子の層構成を表1に示し、直流電圧を印加したときの発光特性の測定結果を、表4にまとめて示した。
【0263】
<実施例44>
化合物(1−1)の代わりに実施例9で合成された化合物(1−68)を使用し、膜厚5nmの第二正孔輸送層5を形成した以外は、実施例40と同様にして有機EL素子を作製した。
このようにして作製した有機EL素子について、大気中、常温で特性測定を行った。作製した有機EL素子の層構成を表1に示し、直流電圧を印加したときの発光特性の測定結果を、表4にまとめて示した。
【0264】
<実施例45>
化合物(1−1)の代わりに実施例10で合成された化合物(1−90)を使用し、膜厚5nmの第二正孔輸送層5を形成した以外は、実施例40と同様にして有機EL素子を作製した。
このようにして作製した有機EL素子について、大気中、常温で特性測定を行った。作製した有機EL素子の層構成を表1に示し、直流電圧を印加したときの発光特性の測定結果を、表4にまとめて示した。
【0265】
<実施例46>
化合物(1−1)の代わりに実施例11で合成された化合物(1−92)を使用し、膜厚5nmの第二正孔輸送層5を形成した以外は、実施例40と同様にして有機EL素子を作製した。
このようにして作製した有機EL素子について、大気中、常温で特性測定を行った。作製した有機EL素子の層構成を表1に示し、直流電圧を印加したときの発光特性の測定結果を、表4にまとめて示した。
【0266】
<実施例47>
化合物(1−1)の代わりに実施例12で合成された化合物(1−134)を使用し、膜厚5nmの第二正孔輸送層5を形成した以外は、実施例40と同様にして有機EL素子を作製した。
このようにして作製した有機EL素子について、大気中、常温で特性測定を行った。作製した有機EL素子の層構成を表1に示し、直流電圧を印加したときの発光特性の測定結果を、表4にまとめて示した。
【0267】
<実施例48>
化合物(1−1)の代わりに実施例13で合成された化合物(1−135)を使用し、膜厚5nmの第二正孔輸送層5を形成した以外は、実施例40と同様にして有機EL素子を作製した。
このようにして作製した有機EL素子について、大気中、常温で特性測定を行った。作製した有機EL素子の層構成を表1に示し、直流電圧を印加したときの発光特性の測定結果を、表4にまとめて示した。
【0268】
<実施例49>
化合物(1−1)の代わりに実施例14で合成された化合物(1−136)を使用し、膜厚5nmの第二正孔輸送層5を形成した以外は、実施例40と同様にして有機EL素子を作製した。
このようにして作製した有機EL素子について、大気中、常温で特性測定を行った。作製した有機EL素子の層構成を表1に示し、直流電圧を印加したときの発光特性の測定結果を、表4にまとめて示した。
【0269】
<実施例50>
化合物(1−1)の代わりに実施例15で合成された化合物(1−137)を使用し、膜厚5nmの第二正孔輸送層5を形成した以外は、実施例40と同様にして有機EL素子を作製した。
このようにして作製した有機EL素子について、大気中、常温で特性測定を行った。作製した有機EL素子の層構成を表1に示し、直流電圧を印加したときの発光特性の測定結果を、表4にまとめて示した。
【0270】
<実施例51>
化合物(1−1)の代わりに実施例16で合成された化合物(1−138)を使用し、膜厚5nmの第二正孔輸送層5を形成した以外は、実施例40と同様にして有機EL素子を作製した。
このようにして作製した有機EL素子について、大気中、常温で特性測定を行った。作製した有機EL素子の層構成を表1に示し、直流電圧を印加したときの発光特性の測定結果を、表4にまとめて示した。
【0271】
<実施例52>
化合物(1−1)の代わりに実施例17で合成された化合物(1−139)を使用し、膜厚5nmの第二正孔輸送層5を形成した以外は、実施例40と同様にして有機EL素子を作製した。
このようにして作製した有機EL素子について、大気中、常温で特性測定を行った。作製した有機EL素子の層構成を表1に示し、直流電圧を印加したときの発光特性の測定結果を、表4にまとめて示した。
【0272】
<実施例53>
化合物(1−1)の代わりに実施例18で合成された化合物(1−140)を使用し、膜厚5nmの第二正孔輸送層5を形成した以外は、実施例40と同様にして有機EL素子を作製した。
このようにして作製した有機EL素子について、大気中、常温で特性測定を行った。作製した有機EL素子の層構成を表1に示し、直流電圧を印加したときの発光特性の測定結果を、表4にまとめて示した。
【0273】
<実施例54>
化合物(1−1)の代わりに実施例19で合成された化合物(1−141)を使用し、膜厚5nmの第二正孔輸送層5を形成した以外は、実施例40と同様にして有機EL素子を作製した。
このようにして作製した有機EL素子について、大気中、常温で特性測定を行った。作製した有機EL素子の層構成を表1に示し、直流電圧を印加したときの発光特性の測定結果を、表4にまとめて示した。
【0274】
<実施例55>
化合物(1−1)の代わりに実施例20で合成された化合物(1−142)を使用し、膜厚5nmの第二正孔輸送層5を形成した以外は、実施例40と同様にして有機EL素子を作製した。
このようにして作製した有機EL素子について、大気中、常温で特性測定を行った。作製した有機EL素子の層構成を表1に示し、直流電圧を印加したときの発光特性の測定結果を、表4にまとめて示した。
【0275】
<実施例56>
化合物(1−1)の代わりに実施例21で合成された化合物(1−143)を使用し、膜厚5nmの第二正孔輸送層5を形成した以外は、実施例40と同様にして有機EL素子を作製した。
このようにして作製した有機EL素子について、大気中、常温で特性測定を行った。作製した有機EL素子の層構成を表1に示し、直流電圧を印加したときの発光特性の測定結果を、表4にまとめて示した。
【0276】
<実施例57>
化合物(1−1)の代わりに実施例22で合成された化合物(1−144)を使用し、膜厚5nmの第二正孔輸送層5を形成した以外は、実施例40と同様にして有機EL素子を作製した。
このようにして作製した有機EL素子について、大気中、常温で特性測定を行った。作製した有機EL素子の層構成を表1に示し、直流電圧を印加したときの発光特性の測定結果を、表4にまとめて示した。
【0277】
<実施例58>
化合物(1−1)の代わりに実施例23で合成された化合物(1−145)を使用し、膜厚5nmの第二正孔輸送層5を形成した以外は、実施例40と同様にして有機EL素子を作製した。
このようにして作製した有機EL素子について、大気中、常温で特性測定を行った。作製した有機EL素子の層構成を表2に示し、直流電圧を印加したときの発光特性の測定結果を、表5にまとめて示した。
【0278】
<実施例59>
化合物(1−1)の代わりに実施例24で合成された化合物(1−146)を使用し、膜厚5nmの第二正孔輸送層5を形成した以外は、実施例40と同様にして有機EL素子を作製した。
このようにして作製した有機EL素子について、大気中、常温で特性測定を行った。作製した有機EL素子の層構成を表2に示し、直流電圧を印加したときの発光特性の測定結果を、表5にまとめて示した。
【0279】
<実施例60>
化合物(1−1)の代わりに実施例25で合成された化合物(1−147)を使用し、膜厚5nmの第二正孔輸送層5を形成した以外は、実施例40と同様にして有機EL素子を作製した。
このようにして作製した有機EL素子について、大気中、常温で特性測定を行った。作製した有機EL素子の層構成を表2に示し、直流電圧を印加したときの発光特性の測定結果を、表5にまとめて示した。
【0280】
<実施例61>
化合物(1−1)の代わりに実施例26で合成された化合物(1−148)を使用し、膜厚5nmの第二正孔輸送層5を形成した以外は、実施例40と同様にして有機EL素子を作製した。
このようにして作製した有機EL素子について、大気中、常温で特性測定を行った。作製した有機EL素子の層構成を表2に示し、直流電圧を印加したときの発光特性の測定結果を、表5にまとめて示した。
【0281】
<実施例62>
化合物(1−1)の代わりに実施例27で合成された化合物(1−149)を使用し、膜厚5nmの第二正孔輸送層5を形成した以外は、実施例40と同様にして有機EL素子を作製した。
このようにして作製した有機EL素子について、大気中、常温で特性測定を行った。作製した有機EL素子の層構成を表2に示し、直流電圧を印加したときの発光特性の測定結果を、表5にまとめて示した。
【0282】
<実施例63>
化合物(1−1)の代わりに実施例28で合成された化合物(1−150)を使用し、膜厚5nmの第二正孔輸送層5を形成した以外は、実施例40と同様にして有機EL素子を作製した。
このようにして作製した有機EL素子について、大気中、常温で特性測定を行った。作製した有機EL素子の層構成を表2に示し、直流電圧を印加したときの発光特性の測定結果を、表5にまとめて示した。
【0283】
<実施例64>
化合物(1−1)の代わりに実施例29で合成された化合物(1−151)を使用し、膜厚5nmの第二正孔輸送層5を形成した以外は、実施例40と同様にして有機EL素子を作製した。
このようにして作製した有機EL素子について、大気中、常温で特性測定を行った。作製した有機EL素子の層構成を表2に示し、直流電圧を印加したときの発光特性の測定結果を、表5にまとめて示した。
【0284】
<実施例65>
化合物(1−1)の代わりに実施例30で合成された化合物(1−152)を使用し、膜厚5nmの第二正孔輸送層5を形成した以外は、実施例40と同様にして有機EL素子を作製した。
このようにして作製した有機EL素子について、大気中、常温で特性測定を行った。作製した有機EL素子の層構成を表2に示し、直流電圧を印加したときの発光特性の測定結果を、表5にまとめて示した。
【0285】
<実施例66>
化合物(1−1)の代わりに実施例31で合成された化合物(1−153)を使用し、膜厚5nmの第二正孔輸送層5を形成した以外は、実施例40と同様にして有機EL素子を作製した。
このようにして作製した有機EL素子について、大気中、常温で特性測定を行った。作製した有機EL素子の層構成を表2に示し、直流電圧を印加したときの発光特性の測定結果を、表5にまとめて示した。
【0286】
<実施例67>
化合物(1−1)の代わりに実施例32で合成された化合物(1−154)を使用し、膜厚5nmの第二正孔輸送層5を形成した以外は、実施例40と同様にして有機EL素子を作製した。
このようにして作製した有機EL素子について、大気中、常温で特性測定を行った。作製した有機EL素子の層構成を表2に示し、直流電圧を印加したときの発光特性の測定結果を、表5にまとめて示した。
【0287】
<実施例68>
化合物(1−1)の代わりに実施例33で合成された化合物(1−155)を使用し、膜厚5nmの第二正孔輸送層5を形成した以外は、実施例40と同様にして有機EL素子を作製した。
このようにして作製した有機EL素子について、大気中、常温で特性測定を行った。作製した有機EL素子の層構成を表2に示し、直流電圧を印加したときの発光特性の測定結果を、表5にまとめて示した。
【0288】
<実施例69>
化合物(1−1)の代わりに実施例34で合成された化合物(1−156)を使用し、膜厚5nmの第二正孔輸送層5を形成した以外は、実施例40と同様にして有機EL素子を作製した。
このようにして作製した有機EL素子について、大気中、常温で特性測定を行った。作製した有機EL素子の層構成を表2に示し、直流電圧を印加したときの発光特性の測定結果を、表5にまとめて示した。
【0289】
<実施例70>
化合物(1−1)の代わりに実施例35で合成された化合物(1−157)を使用し、膜厚5nmの第二正孔輸送層5を形成した以外は、実施例40と同様にして有機EL素子を作製した。
このようにして作製した有機EL素子について、大気中、常温で特性測定を行った。作製した有機EL素子の層構成を表2に示し、直流電圧を印加したときの発光特性の測定結果を、表5にまとめて示した。
【0290】
<実施例71>
化合物(1−1)の代わりに実施例36で合成された化合物(1−158)を使用し、膜厚5nmの第二正孔輸送層5を形成した以外は、実施例40と同様にして有機EL素子を作製した。
このようにして作製した有機EL素子について、大気中、常温で特性測定を行った。作製した有機EL素子の層構成を表2に示し、直流電圧を印加したときの発光特性の測定結果を、表5にまとめて示した。
【0291】
<実施例72>
化合物(1−1)の代わりに実施例37で合成された化合物(1−159)を使用し、膜厚5nmの第二正孔輸送層5を形成した以外は、実施例40と同様にして有機EL素子を作製した。
このようにして作製した有機EL素子について、大気中、常温で特性測定を行った。作製した有機EL素子の層構成を表2に示し、直流電圧を印加したときの発光特性の測定結果を、表5にまとめて示した。
【0292】
<実施例73>
アントラセン誘導体(2a−1)に代えて下記構造式のアントラセン誘導体(2c−23)を用い、このアントラセン誘導体(2c−23)と化合物(ETM−1)を、(2c−23):(ETM−1)=50:50となる蒸着速度で二元蒸着を行い、膜厚30nmの電子輸送層7を形成した以外は、実施例40と同様にして有機EL素子を作製した。
【化76】
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(2c−23)
【0293】
このようにして作製した有機EL素子について、大気中、常温で特性測定を行った。作製した有機EL素子の層構成を表2に示し、直流電圧を印加したときの発光特性の測定結果を、表5にまとめて示した。
【0294】
<実施例74>
化合物(1−1)の代わりに実施例6で合成された化合物(1−4)を使用し、膜厚5nmの第二正孔輸送層5を形成した以外は、実施例73と同様にして有機EL素子を作製した。
このようにして作製した有機EL素子について、大気中、常温で特性測定を行った。作製した有機EL素子の層構成を表2に示し、直流電圧を印加したときの発光特性の測定結果を、表5にまとめて示した。
【0295】
<実施例75>
化合物(1−1)の代わりに実施例7で合成された化合物(1−9)を使用し、膜厚5nmの第二正孔輸送層5を形成した以外は、実施例73と同様にして有機EL素子を作製した。
このようにして作製した有機EL素子について、大気中、常温で特性測定を行った。作製した有機EL素子の層構成を表2に示し、直流電圧を印加したときの発光特性の測定結果を、表5にまとめて示した。
【0296】
<比較例1>
化合物(1−1)の代わりに、分子中にトリフェニルアミン構造を2個有するアリールアミン化合物(3−1)を使用し、膜厚5nmの第二正孔輸送層5を形成した以外は、実施例40と同様にして有機EL素子を作製した。
この場合、第一正孔輸送層4と第二正孔輸送層5とは一体の正孔輸送層(厚み65nm)として機能する。
このようにして作製した有機EL素子について、大気中、常温で特性測定を行った。作製した有機EL素子の層構成を表3に示し、直流電圧を印加したときの発光特性の測定結果を、表6にまとめて示した。
【0297】
<比較例2>
化合物(1−1)の代わりに、下記構造式の化合物(HTM−1)を使用し、膜厚5nmの第二正孔輸送層5を形成した以外は、実施例40と同様にして有機EL素子を作製した。
【化77】
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(HTM−1)
このようにして作製した有機EL素子について、大気中、常温で特性測定を行った。作製した有機EL素子の層構成を表3に示し、直流電圧を印加したときの発光特性の測定結果を、表6にまとめて示した。
【0298】
<比較例3>
前記アリールアミン化合物(3−1)に代えて下記構造式のアリールアミン化合物(HTM−2)を使用して膜厚60nmの第一正孔輸送層4を形成し且つ化合物(1−1)に代えて上記のアリールアミン化合物(HTM−2)を用いて膜厚5nmの第二正孔輸送層5を形成した以外は、実施例40と同様にして有機EL素子を作製した。
この場合、第一正孔輸送層4と第二正孔輸送層5とは一体の正孔輸送層(厚み65nm)として機能する。
【化78】
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(HTM−2)
このようにして作製した有機EL素子について、大気中、常温で特性測定を行った。作製した有機EL素子の層構成を表3に示し、直流電圧を印加したときの発光特性の測定結果を、表6にまとめて示した。
【0299】
<比較例4>
前記化合物(1−1)に代えて前記アリールアミン化合物(HTM−2)を使用して膜厚5nmの第二正孔輸送層4を形成した以外は、実施例73と同様にして有機EL素子を作製した。
この場合、第一正孔輸送層4と第二正孔輸送層5とは一体の正孔輸送層(厚み65nm)として機能する。
このようにして作製した有機EL素子について、大気中、常温で特性測定を行った。作製した有機EL素子の層構成を表3に示し、直流電圧を印加したときの発光特性の測定結果を、表6にまとめて示した。
【0300】
【表1】
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【0301】
【表2】
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【0302】
【表3】
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【0303】
【表4】
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【0304】
【表5】
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【0305】
【表6】
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【0306】
上記の実験結果から理解されるように、表1〜6に示すように、電流密度10mA/cmの電流を流したときの発光効率は、比較例1〜4の有機EL素子の6.51〜7.21cd/Aに対し、実施例40〜75では7.47〜8.83cd/Aといずれも高効率であった。
また、電力効率においても、比較例1〜4では5.37〜5.79lm/Wに対し、実施例40〜75では6.01〜7.04lm/Wといずれも高効率であった。
さらに、素子寿命(95%減衰)においては、比較例1〜4では54〜78時間に対し、実施40〜75では115〜229時間と、大きく長寿命化していることが分かる。
【産業上の利用可能性】
【0307】
一般式(1)で表される特定の構造を有するアリールアミン化合物を用いた本発明の有機EL素子は、発光効率が向上するとともに、有機EL素子の耐久性を改善させることができ、例えば、家庭電化製品や照明の用途への展開が可能となった。
【符号の説明】
【0308】
1:透明基板
2:透明電極(陽極)
3:正孔注入層
4:第一正孔輸送層
5:第二正孔輸送層
6:発光層
7:電子輸送層
8:電子注入層
9:陰極
図1
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図2
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図3
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図4
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図5
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図6
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図7
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図8
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図9
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図10
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図11
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図12
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図13
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図14
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図15
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図16
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図17
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図18
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図19
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図20
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図21
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図22
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図23
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図24
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図25
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図26
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図27
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図28
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図29
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図30
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図31
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図32
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図33
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図34
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図35
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図36
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図37
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図38
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図39
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図40
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図41
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図42
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図43
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図44
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図45
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図46
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図47
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図48
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図49
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図50
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図51
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図52
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図53
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図54
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図55
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図56
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