特許第6674906号(P6674906)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6674906オーバ・ザ・ニードル式カテーテル用のニードルハブ
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6674906
(24)【登録日】2020年3月11日
(45)【発行日】2020年4月1日
(54)【発明の名称】オーバ・ザ・ニードル式カテーテル用のニードルハブ
(51)【国際特許分類】
   A61M 25/06 20060101AFI20200323BHJP
   A61M 31/00 20060101ALI20200323BHJP
【FI】
   A61M25/06 500
   A61M31/00
【請求項の数】20
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2016-570890(P2016-570890)
(86)(22)【出願日】2015年6月10日
(65)【公表番号】特表2017-518109(P2017-518109A)
(43)【公表日】2017年7月6日
(86)【国際出願番号】US2015035047
(87)【国際公開番号】WO2015195427
(87)【国際公開日】20151223
【審査請求日】2018年4月18日
(31)【優先権主張番号】14/306,605
(32)【優先日】2014年6月17日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】514300557
【氏名又は名称】アヴェント インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110001379
【氏名又は名称】特許業務法人 大島特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ハラジュ、スティーブ サイード
【審査官】 今関 雅子
(56)【参考文献】
【文献】 特公平03−070503(JP,B2)
【文献】 米国特許出願公開第2014/0025039(US,A1)
【文献】 特開2002−355291(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61M 25/06
A61M 31/00
A61M 5/158
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
オーバ・ザ・ニードル式カテーテルアセンブリであって、
近位端、遠位端、及び前記近位端と前記遠位端の間に延在するルーメンを有するカテーテルと、
近位端及び遠位端を有し、前記カテーテルの前記ルーメン内に挿入されるニードルと、
前記ニードルの前記近位端を受け入れるように構成され、近位端、遠位端、前記近位端と前記遠位端の間に延在し、前記ニードルを受容するボア孔、外面、及び前記ボア孔及び前記外面間に延在する少なくとも1つのキャビティを有するニードルハブとを含み、
前記ニードルは、該ニードルが前記キャビティを介して前記ニードルハブの前記外面から露出するように、その少なくとも一部が前記ボア孔内に延在するように配置されており、
電流を供給するべく、前記キャビティを介して前記ニードルに電気的に接続される刺激ワイヤをさらに有し、
前記ニードルハブは、前記ニードルハブにヒンジ結合されたキャップを有し、前記キャップは、開位置と前記キャビティを覆う閉位置とを有し、かつ前記キャップは、前記閉位置において、前記ニードルハブの前記キャビティを介して前記ニードルに接続された前記刺激ワイヤとニードルとの電気的接続を維持させるように、前記刺激ワイヤをキャビティの内部に固定するように構成されることを特徴とするカテーテルアセンブリ。
【請求項2】
前記ニードルハブの前記遠位端は、前記ニードルの前記近位端を受け入れるように構成され、
前記ニードルハブの前記近位端は、ルアー型連結機構を有することを特徴とする請求項1に記載のカテーテルアセンブリ。
【請求項3】
近位端及び遠位端を有するカテーテルハブをさらに含み、
前記カテーテルハブの前記遠位端は、前記カテーテルの前記近位端に設けられていることを特徴とする請求項1または2に記載のカテーテルアセンブリ。
【請求項4】
前記カテーテルハブの前記近位端は、雌型係合要素をさらに有し、
前記ニードルハブの前記遠位端は、雄型係合要素をさらに有し、
前記雌型係合要素は、前記雄型係合要素と係合可能に構成されていることを特徴とする請求項3に記載のカテーテルアセンブリ。
【請求項5】
前記ニードルハブの前記遠位端は、フランジをさらに有し、
前記カテーテルハブは、前記ニードルハブの前記雄型係合要素と前記カテーテルハブの前記雌型係合要素とが互いに係合したときに、前記フランジに当接するように構成されていることを特徴とする請求項4に記載のカテーテルアセンブリ。
【請求項6】
刺激ワイヤを有する神経刺激装置をさらに含み、
前記刺激ワイヤは、前記ニードルハブの前記キャビティを介して、前記ニードルに接続されるように構成されており、
前記神経刺激装置は、前記ニードルを介して、患者の目標神経部位に刺激を提供するように構成されていることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載のカテーテルアセンブリ。
【請求項7】
前記キャビティは、前記カテーテルと前記ニードルとの間の電気的接続を維持するために該キャビティ内に配された導電性接着剤をさらに有し、前記キャップは、前記閉位置において前記キャビティから前記導電性接着剤が漏出することを防止することを特徴とする請求項6に記載のカテーテルアセンブリ。
【請求項8】
前記キャップは、該キャップを閉位置に固定することができるように構成された固定要素を含むことを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載のアセンブリ。
【請求項9】
前記ニードルハブは、該ニードルハブの前記外面に設けられた1または複数のウイング状ハンドルをさらに有し、
前記ウイング状ハンドルは、ユーザが前記ニードルハブを把持するのを助けるように構成されていることを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載のアセンブリ。
【請求項10】
前記ニードルハブの長手方向に対して垂直な断面の形状が、円形状または四角形状であることを特徴とする請求項1〜9のいずれかに記載のカテーテルアセンブリ。
【請求項11】
オーバ・ザ・ニードル式カテーテル用のニードルアセンブリであって、
近位端及び遠位端を有し、カテーテルのルーメン内の少なくとも一部に挿入されるニードルと、
前記ニードルの前記近位端を受け入れるように構成され、近位端、遠位端、前記近位端と前記遠位端の間に延在し、前記ニードルを受容するボア孔、外面、及び前記ボア孔及び前記外面間に延在する少なくとも1つのキャビティを有するニードルハブとを含み、
前記ニードルは、該ニードルが前記キャビティを介して前記ニードルハブの前記外面から露出するように、その少なくとも一部が前記ボア孔内に延在するように配置されており、
電流を供給するべく、前記キャビティを介して前記ニードルに電気的に接続される刺激ワイヤをさらに有し、
前記ニードルハブは、前記ニードルハブにヒンジ結合されたキャップを有し、前記キャップは、開位置と前記キャビティを覆う閉位置とを有し、かつ前記キャップは、前記閉位置において、前記ニードルハブの前記キャビティを介して前記ニードルに接続された前記刺激ワイヤとニードルとの電気的接続を維持させるように、前記刺激ワイヤをキャビティの内部に固定するように構成されることを特徴とするニードルアセンブリ。
【請求項12】
前記ニードルハブの前記遠位端は、前記ニードルの前記近位端を受け入れるように構成され、
前記ニードルハブの前記近位端は、ルアー型連結機構を有することを特徴とする請求項11に記載のニードルアセンブリ。
【請求項13】
前記カテーテルは、カテーテルハブを有するカテーテルであり、前記カテーテルハブは前記カテーテルの近位端に設けられ、前記カテーテルハブの近位端には雌型係合要素が設けられ、
前記ニードルハブの前記遠位端は、前記カテーテルハブの雌型係合要素と係合する雄型係合要素を有することを特徴とする請求項11または12に記載のニードルアセンブリ。
【請求項14】
前記ニードルハブの前記遠位端に設けられたフランジをさらに有し、
前記フランジは、前記ニードルハブの前記雄型係合要素とカテーテルハブの前記雌型係合要素とが互いに係合したときに、前記カテーテルハブに当接するように構成されていることを特徴とする請求項13に記載のニードルアセンブリ。
【請求項15】
前記刺激ワイヤに接続された神経刺激装置をさらに含み、

前記神経刺激装置は、前記刺激ワイヤ及び前記ニードルを介して、患者の目標神経部位に刺激を提供するように構成されていることを特徴とする請求項11〜14のいずれかに記載のニードルアセンブリ。
【請求項16】
前記キャビティは、前記刺激ワイヤと前記ニードルとの間の電気的接続を維持するために該キャビティ内に配された導電性接着剤をさらに有し、前記キャップは、前記閉位置において前記キャビティから前記導電性接着剤が漏出することを防止することを特徴とする請求項15に記載のニードルアセンブリ。
【請求項17】
前記キャップは、該キャップを閉位置に固定することができるように構成された固定要素を含むことを特徴とする請求項15に記載のアセンブリ。
【請求項18】
前記ニードルハブは、該ニードルハブの前記外面に設けられた1または複数のウイング状ハンドルをさらに有し、
前記ウイング状ハンドルは、ユーザが前記ニードルハブを把持するのを助けるように構成されていることを特徴とする請求項11〜16のいずれかに記載のニードルアセンブリ。
【請求項19】
前記ニードルハブの長手方向に対して垂直な断面の形状が、円形状または四角形状であることを特徴とする請求項11〜18のいずれかに記載のニードルアセンブリ。
【請求項20】
オーバ・ザ・ニードル式カテーテルアセンブリであって、
近位端、遠位端、及び前記近位端と前記遠位端の間に延在するするルーメンを有するカテーテルと、
近位端及び遠位端を有し、前記カテーテルの前記ルーメン内に挿入されるニードルと、
前記カテーテルの前記近位端に設けられたカテーテルハブ及び前記ニードルの前記近位端に設けられたニードルハブを有するハブアセンブリとを含み、
前記ニードルハブは、
該ハブアセンブリを貫通して延在するするボア孔と、
該ボア孔及び該ニードルハブの外面間に延在する少なくとも1つのキャビティとを有し、
電流を供給するべく、前記キャビティを介して前記ニードルに電気的に接続される刺激ワイヤをさらに有し、
前記ニードルハブは、前記ニードルハブにヒンジ結合されたキャップを有し、前記キャップは、開位置と前記キャビティを覆う閉位置とを有し、かつ前記キャップは、前記閉位置において、前記ニードルハブの前記キャビティを介して前記ニードルに接続された前記刺激ワイヤとニードルとの接続を維持させるように、前記刺激ワイヤをキャビティの内部に固定するように構成されることを特徴とするカテーテルアセンブリ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願)
本出願は、2014年6月17日出願の米国特許出願第14/306,605号に基づく優先権を主張するものである。上記出願は、その全文を引用することを以って本明細書の一部となす。
【0002】
(技術分野)
本発明は、概して、医療カテーテルの分野に関し、より詳細には、オーバ・ザ・ニードル(OTN)式カテーテル用のニードルハブに関する。
【背景技術】
【0003】
患者の体内に流体を投与するのに使用されるデバイス(機器)は公知である。例えば、皮下注射ニードルやカテーテルなどが、薬剤や他の流体を患者体内の目標部位に送達するのによく使用されている。多くの場合、流体を特定の部位に所定期間にわたって送達することができるカテーテルを使用することが好ましい。カテーテルは一般的に、柔軟なプラスチック材料から作製されるため、カテーテルは通常は、ニードルを使用して患者の体内に挿入される。例えば、「スルー・ザ・ニードル(through-the-needle)」式カテーテルと一般的に呼ばれるカテーテルは、多くの場合、該カテーテルを患者体内に挿入する際に、硬い中空のイントロデューサニードルを必要とする。カテーテルは、ニードルを目標部位まで挿入した後に、ニードルに沿わせて挿入される。このようなイントロデューサニードルは通常は、該ニードルを患者体内に挿入する際に患者の組織及び/または神経を傷つける恐れがある鋭利な先端を有するため、患者に不快感を与える場合がある。
【0004】
「オーバ・ザ・ニードル(over-the-needle:OTN)」式カテーテルと一般的に呼ばれる別のタイプのカテーテルは、ニードルを取り囲むようにして該ニードルと同軸的に配置されたカテーテルを含む。このタイプのカテーテルでは、カテーテル及びニードルは、互いに一体的に結合させた状態で、患者の体内に同時に挿入される。カテーテル及びニードルが目標部位に到達したら、カテーテルをその位置に残し、ニードルは抜去される。このようにして、OTN式カテーテルは、カテーテルをニードルに沿わせて患者体内に挿入することを必要とすることなく、カテーテルを正確な位置に挿入することができる。したがって、例えば神経ブロックの目的での麻酔薬の送達に関して、OTN式カテーテルに対する関心が高まっている。
【0005】
例えば、或る局所麻酔薬の送達技術は、神経刺激ニードルを有するOTN式カテーテルを患者のブロックすべき神経の近傍に配置するステップと、前記ニードルを目標神経に到達するまで前進させるステップとを含む。前記ニードルが目標神経に到達したことは、神経刺激ニードルに流した電流に応答した筋収縮を観察することにより判断することができる。このような神経刺激アセンブリは、刺激ワイヤに接続された特別な神経刺激ニードルを必要とするが、このような神経刺激ニードルの製造コストは高価である。加えて、多くの医療処置は、刺激を与えながらまたは刺激を与えずにOTN式カテーテルを使用する必要があるので、医師は、単一の医療処置のために複数のOTN式カテーテルを購入しなければならず、これによりコストがさらに増加する。
【0006】
そのため、医療分野では、上述した問題点を解決することができる新規かつ改良されたOTN式カテーテルが依然として求められている。そこで、本発明は、刺激機能を依然として提供することができ、かつ製造コストを減少させた、改良されたニードルハブを有するOTN式カテーテルアセンブリを提供することを目的とする。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の目的および利点は、その一部が以下の説明に記載されており、あるいは以下の説明から明らかであり、あるいは本発明の実施により学ぶことができるであろう。
【0008】
いくつかの態様では、本発明は、改良されたニードルハブを有するオーバ・ザ・ニードル(OTN)式カテーテルアセンブリに関する。本発明に係るオーバ・ザ・ニードル(OTN)式カテーテルアセンブリは、一般的に、ニードルを取り囲むようにして該ニードルと同軸的に配置されたカテーテルを含む。さらに、カテーテルは、その近位端及び遠位端間に延在するルーメンを有する。ニードルは、近位端及び遠位端を有し、カテーテルのルーメン内に挿入される。ニードルハブは、ニードルの近位端に設けられている。また、ニードルハブは、その近位端及び遠位端間に延在するボア孔(bore)を有する。ニードルハブは、様々な方法を用いて、ニードルに取り付けられる。例えば、一実施形態では、ニードルは、接着剤を用いてニードルハブのボア孔内に接着結合される。別の実施形態では、ニードルハブは、ニードルの製造過程中に、ニードルと一体に成形される。ニードルハブはまた、ボア孔及び該ニードルハブの外面間に延在する少なくとも1つのキャビティを有する。ニードルは、該ニードルがキャビティを介して外面から露出するように、その少なくとも一部がボア孔内に延在するように配置されている。したがって、ニードルハブは、キャビティを介して、神経刺激装置をニードルに接続することができるように構成されている。
【0009】
一実施形態では、ニードルハブの遠位端は、ニードルの近位端に設けられており、ニードルハブの近位端は、流体送達装置に連結可能に構成されたルアー型連結機構(Luer connection)を有する。別の実施形態では、本カテーテルアセンブリは、近位端及び遠位端を有するカテーテルハブをさらに含む。この場合、カテーテルハブの遠位端は、カテーテルの近位端に設けられる。
【0010】
加えて、カテーテルハブは、ニードルハブと係合可能に構成される。例えば、いくつかの実施形態では、カテーテルハブの近位端が雌型係合要素を有し、ニードルハブの遠位端が雄型係合要素を有し、カテーテルハブの雌型係合要素は、ニードルハブの雄型係合要素を受容して係合することができるように構成されている。あるいは、カテーテルハブの近位端が雄型係合要素を有し、ニードルハブの遠位端が雌型係合要素を有し、ニードルハブの雌型係合要素は、カテーテルハブの雄型係合要素を受容して係合することができるように構成されている。また、いくつかの実施形態では、カテーテルハブは、上記の雄型係合要素及び雌型係合要素が互いに係合したときに、ニードルハブのフランジに対して当接するように構成されている。
【0011】
別の実施形態では、カテーテルアセンブリはまた、刺激ワイヤを有する神経刺激装置を含む。様々な実施形態では、刺激ワイヤは、ニードルを介して患者の目標神経部位(例えば神経束)に刺激を提供するために、ニードルハブのキャビティを介してニードルに接続されるように構成されている。当業者には理解できるであろうが、キャビティは、ニードルハブの長さ方向に沿った任意の位置に設けることができる。例えば、キャビティは、ニードルハブの遠位端またはその近傍に設けることができる。あるいは、キャビティは、ニードルハブの近位端またはその近傍に設けることができる。特定の実施形態では、キャビティはまた、医療処置中に刺激ワイヤとニードルとの接続を維持するために、その内部に配された接着剤またはエポキシ樹脂を有する。
【0012】
さらに別の実施形態では、ニードルハブはまた、刺激ワイヤとニードルとの接続を維持するために刺激ワイヤをキャビティ内に固定するように構成されたキャップをさらに有する。加えて、キャップは、キャビティ内からの漏出を防止するためにキャビティを覆うことができるように構成される。この場合、キャップは、開位置とキャビティを覆う閉位置とを有し、かつキャップは、閉位置において、ニードルハブのキャビティを介してニードルに接続された刺激ワイヤとニードルとの電気的接続を維持させるように、刺激ワイヤをキャビティの内部に固定するように構成され得る。いくつかの実施形態では、キャップは、ニードルハブと別体に成形されたキャップであり、ニードルハブに取り付けられるかまたはスナップ結合される。あるいは、キャップは、ヒンジ結合により、ニードルハブと一体化される。さらなる実施形態では、ニードルハブはまた、その外面に設けられた1または複数のウイング状のハンドルを有する。ウイング状ハンドルは、例えば医療処置中に、ユーザがニードルハブを把持するのを助けるように構成されている。ニードルハブは、任意の適切な形状を有し得ることを理解されたい。例えば、様々な実施形態では、ニードルハブは、実質的に円筒状の形状または実質的に四角形の形状を有し得る。
【0013】
別の態様では、本発明は、オーバ・ザ・ニードル(OTN)式カテーテル用の改良されたニードルアセンブリに関する。このニードルアセンブリは、近位端及び遠位端を有するニードルと、ニードルの近位端に設けられたニードルハブとを含む。さらに、ニードルは、カテーテルのルーメン内の少なくとも一部に挿入されるように構成されている。ニードルハブは、その近位端及び遠位端間に延在するボア孔と、ボア孔及び該ニードルハブの外面間に延在する少なくとも1つのキャビティとを有する。ニードルは、該ニードルがキャビティを介してニードルハブの外面から露出するように、その少なくとも一部がボア孔内に延在するように配置されている。したがって、ニードルハブは、キャビティを介して、神経刺激装置をニードルに接続することができるように構成されている。当業者には理解できるであろうが、ニードルアセンブリは、本明細書中で説明された追加的な要素のいずれかをさらに含み得る。
【0014】
さらなる態様では、本発明は、オーバ・ザ・ニードル(OTN)式カテーテルアセンブリに関する。このOTN式カテーテルアセンブリは、ニードルを取り囲むようにして該ニードルと同軸的に配置されるカテーテルを含む。さらに、カテーテルは、その近位端及び遠位端間に延在するルーメンを有する。ニードルは、近位端及び遠位端を有し、カテーテルのルーメン内に挿入される。カテーテルアセンブリは、カテーテルハブ及びニードルハブを有するハブアセンブリを含む。カテーテルハブは、カテーテルの近位端に設けられ、ニードルハブはニードルの近位端に設けられる。さらに、ハブアセンブリは、該ハブアセンブリを貫通して形成され、ニードルの少なくとも一部が挿入されるボア孔を有する。また、ハブアセンブリは、ボア孔から該ハブアセンブリの外面まで延在する少なくとも1つのキャビティをさらに有する。
【0015】
本発明の上記及び他の特徴、態様及び利点は、以下の説明及び添付された特許請求の範囲を参照することにより、より良く理解できるであろう。添付図面は、本明細書に組み込まれてその一部を構成し、本発明の実施形態を図示し、本明細書とともに本発明の原理を説明する役割を果たす。
【図面の簡単な説明】
【0016】
当業者を対象にした本開示の完全かつ実現可能な開示(ベストモードを含む)が、添付図面を参照して、本明細書の残りの部分により詳細に説明される。
【0017】
図1】本発明の態様によるOTN式カテーテルアセンブリの一実施形態の斜視図である。
図2】本発明の態様によるOTN式カテーテルアセンブリの一実施形態の断面図である。
図3】本発明の態様によるOTN式カテーテルアセンブリの一実施形態の側面図であり、カテーテルハブをニードルハブから部分的に分離させた状態を示している。
図4】本発明の態様によるニードルハブの一実施形態の側面図である。
図5】本発明の態様によるカテーテルハブの一実施形態の側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、図面に示された本発明の1つまたは複数の実施形態および実施例を詳細に説明する。実施例および実施形態の各々は、本発明を説明するために提示されたものであり、本発明を限定することを意図したものではない。例えば、一実施形態の一部として例示または説明された特徴を、別の実施形態と組み合わせて、さらなる実施形態を創出することもできる。本発明は、本発明の範囲および精神を逸脱しない限り、これらのおよび他の改変形態および変更形態を包含するものとする。
【0019】
位置に関する用語である「近位」および「遠位」は、本明細書において、種々の構成要素の相互のおよび患者に対する方向を示すために用いられる。「遠位」は、創傷部位に最も近い方向を指し(例えば、コネクタの遠位端部は、カテーテル挿入部位に向いた端部である)、「近位」はその反対方向を指す(例えば、カテーテルの近位端部は、通常は流体送達装置に接続されるカテーテルコネクタの遠位端部に挿入される)。
【0020】
概して、本開示は、オーバ・ザ・ニードル(OTN)式カテーテル用の改良されたニードルハブ及びそれを含むOTN式カテーテルアセンブリに関する。本開示のニードルハブは、医療処置中に神経ブロックを提供するために患者の神経束に麻酔薬を送達するのに特に有用である。例えば、様々な実施形態では、OTN式カテーテルアセンブリは、カテーテルの近位端及び遠位端間に延在するルーメンを有するカテーテルを含む。カテーテルの近位端には、カテーテルハブが取り付けられている。カテーテルハブは、ニードルがカテーテルのルーメン内に挿入されるようにして、ニードルハブと結合可能に構成されている。さらに、ニードルハブは、その近位端及び遠位端間に延在するボア孔を有している。また、ニードルハブは、ボア孔からニードルハブの外面まで延在する少なくとも1つのキャビティを有している。ニードルは、該ニードルがキャビティを介してニードルハブの外面から露出するように、その少なくとも一部がボア孔内に延在するように配置されている。ニードルハブは、キャビティを介して、神経刺激装置に接続される。したがって、本明細書に開示されたOTN式カテーテルアセンブリは、刺激の提供の有無に関わらず使用可能であり、かつ経済的な、適応性のあるカテーテルを提供する。
【0021】
本開示のOTN式カテーテルアセンブリは、従来技術には存在しない様々な利点を提供する。例えば、ニードルハブは、複数の部品ではなく、単一の部品として製造(例えば成形)することができ、これにより、製造コストを減少させることができる。加えて、ニードルハブは、ニードルを露出させるように構成されたキャビティを有しているので、神経刺激装置をニードルハブに容易に接続することができる。これにより、OTN式カテーテルアセンブリは、刺激を提供する場合でも刺激を提供しない場合でも使用することができる、製造が簡単で安価なニードル及びニードルハブアセンブリを提供する。したがって、このOTN式カテーテルアセンブリは、コストを増加させることなく、複数の医療処置に使用することができる。
【0022】
図面を参照すると、図1−5は、本開示による改良されたニードルハブ16を含むオーバ・ザ・ニードル(OTN)式カテーテルアセンブリ10の様々な実施形態を示す。より具体的には、図1及び2は、OTN式カテーテルアセンブリ10の一実施形態の斜視図及び断面図であり、図3は、ニードルハブ16からカテーテルハブ40を部分的に分離させた状態のOTN式カテーテルアセンブリ10を示す図であり、図4及び5は、本発明の態様によるニードルアセンブリ30及びカテーテルハブ40を示す図である。
【0023】
図示のように、OTN式カテーテルアセンブリ10は、ニードル14と、ニードル14を取り囲むようにして該ニードル14と同軸的に配置されたカテーテル12とを含む。より具体的には、カテーテル12は、近位端20と、遠位端22と、これらの間に延在するルーメン18とを含む。加えて、カテーテル12の近位端20には、カテーテルハブ40(詳細については後述する)が設けられている。ニードル14は、近位端24及び遠位端26を有し、カテーテル12のルーメン18内に挿入される。ニードルハブ16が、ニードル14の近位端24に設けられている。ニードルハブ16は、近位端31と、遠位端32と、これらの間に延在するボア孔28とを有する。例えば、特に図2に示すように、ニードル14は、ボア孔28内に嵌合されており、これにより、ニードルハブ16に取り付けられている。いくつかの実施形態では、ニードル14及びボア孔28は、ニードル14がボア孔28内に摩擦嵌合することができるサイズに構成される。加えて、ニードル14は、接着剤により、ニードルハブ16のボア孔28内に固定される。さらなる実施形態では、ニードルハブ16は、ニードル14と一体的に成形される。ニードルハブ16は、任意の形状を有し得ることを理解されたい。例えば、図示した実施形態では、ニードルハブ16は、実質的に円筒状の形状を有する。さらなる実施形態では、ニードルハブ16は、任意の他の適切な形状を有し得、これに限定されないが、例えば長方形や正方形の形状を有し得る。
【0024】
図1及び4を特に参照して、ニードルハブ16の近位端31はまた、流体送達装置(図示せず)に係合連結させるためのルアー型連結機構(Luer connection)、例えばルアーロック型継手(Luer-lock fitting)を有する。流体送達装置は、例えばポンプ、貯蔵器、注射器などの、当分野で公知の任意の適切な装置であり得る。さらに、ニードルハブ16は、任意の他の従来の構造を有し得る。
【0025】
図1−4に特に参照して、ニードルハブ16は、ボア孔28から該ニードルハブ16の外面まで延在する少なくとも1つのキャビティ34を有する。ニードル14は、該ニードル14がキャビティ34を介してニードルハブ16の外面36から露出するように、その少なくとも一部がニードルハブ16のボア孔28内に延在するように配置される。当業者であれば理解できるであろうが、キャビティ34は、ニードルハブ16の長さ方向に沿った任意の適切な位置に設けることができる。例えば、図示のように、キャビティ34は、ニードルハブ16の長さ方向における中央部分またはその近傍に設けられる。さらなる実施形態では、キャビティ34は、ニードルハブ16の遠位端32またはその近傍、あるいはニードルハブ16の近位端31またはその近傍、あるいはニードルハブ16の長さ方向に沿った任意の他の位置またはその近傍に設けられる。
【0026】
いくつかの実施形態では、ニードル14は、ボア孔28のキャビティ34に対応する位置を越えて配置され、ニードルハブ16の長さ方向におけるキャビティ34の両端に対応する位置に接着結合され、これにより、キャビティ34は、ニードルハブ16内に入る液体、すなわちニードルハブ16のボア孔28を通じて送達される液体(例えば、流体送達装置から送達される麻酔薬)から隔離される。したがって、ニードルハブ16の外面36からキャビティ34内に入った流体または汚染物質が、OTN式カテーテルを通じて送達される流体、すなわちニードルハブ16のボア孔28及びカテーテル12のルーメン18を通じて送達される液体(例えば麻酔薬)と混合することはない。別の実施形態では、ニードル14をキャビティ34の両端に結合するのではなく、キャビティ34がニードルハブ16内に入る液体から隔離されるようにして、ニードルハブ16がニードル14と一体に成形される。
【0027】
別の実施形態では、ニードルハブ16は、該ニードルハブ16を1または複数の刺激ワイヤ54を介して神経刺激装置50に接続することができるように(または、該ニードルハブ16を神経刺激装置50の他の適切な位置に接続することができるように)、1つのキャビティ34(図示のように)、または複数のキャビティを有し得ることを理解されたい。加えて、キャビティ34は、様々なサイズの刺激ワイヤ54に適合するように任意の適切な形状及び/またはサイズを有し得る。例えば、図1の例では、キャビティ34は、実質的に長方形の形状を有する。
【0028】
図1及び2に示すように、神経刺激装置50は、刺激コネクタ52と、それに接続された刺激ワイヤ54とを有する。刺激コネクタ52は、刺激ワイヤ54を介して電流を提供する。刺激ワイヤ54は、ニードル14を介して患者の目標神経部位(例えば神経束)に刺激を提供するために、ニードルハブ16のキャビティ34を介してニードル14に接続されるように構成されている。神経刺激装置50は、当分野で公知の任意の適切な構成要素をさらに含むことができ、図示した実施形態は例示のみを目的として提供されていることを理解されたい。加えて、図示のように、キャビティ34はまた、医療処置中に刺激ワイヤ54とニードル14との間の接続を維持するために、該キャビティ内に導電性接着剤56またはエポキシ樹脂が配されている。
【0029】
再び図1を参照して、ニードルハブ16はまた、刺激ワイヤ54とニードル14との接続を維持するために刺激ワイヤ54をキャビティ34の内部に固定するように構成されたキャップ35を有する。別の実施形態では、キャップ35は、キャビティ34の内部からの漏出を防止するためにキャビティ34を覆うことができるように構成される。例えば、キャビティ34内に導電性接着剤56が配された実施形態では、キャップ35は、キャビティ34から導電性接着剤56が漏出することを防止する。加えて、図示のように、キャップ35は、キャビティ34の開口部に対応する形状に形成される。したがって、図示した実施形態では、キャップ35は、実質的に長方形の形状を有する。いくつかの実施形態では、キャップ35は、ニードルハブ16とは別体に成形されたキャップであり、例えば、成形スナップ(molded snap)及び/またはファスナ(fastener)により、ニードルハブ16に取り付けられる。別の実施形態では、キャップ35は、ニードルハブ16と一体化される。様々な実施形態では、キャップは、開位置及び閉位置間で回動することできるようにして、ニードルハブ16にヒンジ結合される。さらなる実施形態では、キャップ35は、該キャップ35を閉位置に固定することができるように構成された固定要素39(例えばラッチ)を含む。固定要素39は、キャップ35を閉位置に固定することができる当分野で公知の任意の適切な固定機構(例えば、成形スナップ、ファスナ、ベルクロ(登録商標)、接着剤など)であり得ることを理解されたい。ニードルハブ16はまた、キャップ35を閉じたときにニードル14に接続された刺激ワイヤ54を挿通させることができるサイズに形成された切欠き部37を有する。
【0030】
特に、図2−5を参照して、カテーテル12はまた、近位端42及び遠位端44を有するカテーテルハブ40を含む。カテーテルハブ40の遠位端44は、カテーテル12の近位端20に設けられている。加えて、図示のように、カテーテルハブ40は、カテーテル12がニードル14を取り囲むようにして該ニードル14と同軸的に配置されるようにして、ニードルハブ16に結合されている。より具体的には、図2及び5に特に示すように、カテーテルハブ40の近位端42が雌型係合要素48を有し、ニードルハブ16の遠位端32が雄型係合要素46を有し、雌型係合要素48は雄型係合要素46を受容して係合することができるように構成されている。あるいは、カテーテルハブ40の近位端42が雌型係合要素を有し、ニードルハブ16の遠位端32が雄型係合要素を有するように構成してもよい。加えて、いくつかの実施形態では、カテーテルハブ40は、上記の雄型係合要素及び雌型係合要素が互いに係合したときに、ニードルハブ16のフランジ45に対して当接するように構成される。
【0031】
さらなる別の実施形態では、カテーテルハブ40はまた、(ニードルハブ16のキャビティ34と同様に)カテーテルハブ40のボア孔からカテーテルハブ40の外面まで延在するキャビティを有する。カテーテルハブ40のキャビティはまた、該キャビティを介してニードル14が神経刺激装置50と接続することができるように、ニードル14を露出させるように構成される。カテーテルハブ40のキャビティはまた、本明細書で説明された追加的な要素のいずれかをさらに含み得る。
【0032】
上述したように、ユーザは、OTN式カテーテルアセンブリ10を、神経刺激装置50と共に使用するか否かを選択することができる。例えば、一実施形態では、OTN式カテーテルアセンブリ10は、単に、流体送達装置から患者の目標部位に治療流体を送達する標準的なOTN式カテーテルとして使用することができる。別の実施形態では、ユーザは、神経刺激装置50の刺激ワイヤ54をニードルハブ16のキャビティ34を介してニードル14に接続することにより、神経ブロック処置を行うことができる。いくつかの実施形態では、刺激ワイヤ54は、ニードルハブ16のキャップ35により、所定位置に固定される。神経刺激装置50はその後、ニードル14を介して、刺激コネクタ52から患者の目標部位に電流を流す。
【0033】
さらなる別の実施形態では、ニードルハブ16はまた、該ニードルハブ16の外面36に設けられた1または複数のハンドルを有する。例えば、図示した実施形態に示すように、ニードルハブ16は、該ニードルハブ16の外面36に設けられた2つのウイング状ハンドル25を有する。ウイング状ハンドル25は、ニードルハブ16の使用時に(例えば、ニードル14をカテーテル12内に挿入するときに)、ユーザがニードルハブ16を把持するのを助けるように構成される。さらなる実施形態では、ニードルハブ16は、任意の適切な形状(例えば、当分野で一般的に使用されるフィンガーウイング(finger wings)形状)を有する、任意の数のハンドルを含み得る。
【0034】
上述したニードルハブ16は、任意の適切な材料から作製され得ることを理解されたい。例えば、いくつかの実施形態では、ニードルハブ16は、プラスチック、ポリマー材料、または任意の他の適切な材料から作製され得る。より具体的には、様々な実施形態では、ニードルハブ16は、熱可塑性プラスチック、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリイソプレン、ポリウレタン、及び/または任意の他の適切な材料から作製され得る。
【0035】
以上、本発明をいくつかの好適な実施形態に関連して説明したが、本発明に包含される本発明の主題はこれらの特定の実施形態に限定されないことを理解されたい。それどころか、本発明の主題は、特許請求の範囲の精神及び範囲に含まれる限り、全ての代替形態、及び均等形態を含むことを意図している。
図1
図2
図3
図4
図5