(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0008】
−第1の実施の形態−
以下、
図1〜
図8を参照して、本発明に係るナビゲーションシステム1の第1の実施の形態を説明する。
【0009】
(構成)
図1はナビゲーションシステム1の構成を示す図である。ナビゲーションシステム1は、End−to−Endナビゲーションを提供するシステムであって、車載装置10と携帯端末20とから構成される。本実施の形態におけるEnd−to−Endナビゲーションは、車両の移動に関する道案内や誘導である車両ナビゲーションと、徒歩による移動に関する道案内や誘導である徒歩ナビゲーションとから構成される。車両ナビゲーションにおける出発地を「車両ナビ開始地点」と呼び、車両ナビゲーションにおける目的地を「車両ナビ目的地」または「車両目的地」と呼ぶ。また、徒歩ナビゲーションにおける出発地を「徒歩ナビ開始地点」と呼び、徒歩ナビゲーションにおける目的地を「徒歩ナビ目的地」と呼ぶ。すなわち本実施の形態におけるEnd−to−Endナビゲーションの出発地は車両ナビ開始地点であり、End−to−Endナビゲーションの目的地は徒歩ナビ目的地である。
【0010】
車載装置10と携帯端末20は、USB(Universal Serial Bus)やBluetooth(登録商標)、無線LAN(Local Area Network)等の端末間の接続に利用可能な通信機能を使用して接続される。ただし車載装置10および携帯端末20がそれぞれ共通するネットワーク、たとえばインターネットに接続され、インターネットを経由して直接、またはインターネットに接続された他の装置を介して間接的に接続されてもよい。
【0011】
(ハードウエア構成)
図2は車両50のハードウェア構成図である。車両50は、車載装置10と、車両信号線51と、車載ネットワーク52と、カメラ53とを備える。車載装置10は、車両信号線51および車載ネットワーク52と接続されることにより、車両50が備える様々な装置の出力を参照する。車載装置10はたとえば、車両50の速度やハンドルの操舵角度、シフトレバーの位置やパーキングブレーキの状態を参照できる。車載装置10はさらに、カメラ53が撮影して得られた画像(以下、「撮影画像」と呼ぶ)を取得する。
カメラ53は、車両50の所定の位置、たとえば車両50の前方に光軸を向けて取り付けられ、前方や周辺を撮影して撮影画像を出力する光学装置である。なおカメラ53は、機器間通信装置130を介してUSBや無線LAN等を用いて車載装置10と接続される構成であってもよい。
車載装置10は、CPU100、ROM101、RAM102、車載表示部110、車載操作部111、補助記憶装置112、センサ113、および機器間通信装置130を備える。
【0012】
CPU100は、車載装置10の各部を制御し、RAM102に読み込まれるカーナビゲーションプログラム等を実行する。ROM101は、制御プログラムやカーナビゲーションプログラムなどが書き込まれた読み出し専用の記憶装置である。RAM102は、補助記憶装置112に記憶されているプログラムを読み込んで一時的に保管したり、CPU100がプログラムの実行時に生成するワークデータ等を記憶する装置である。車載表示部110は、液晶ディスプレイや有機EL(Electro−Luminescence)ディスプレイ等、ユーザに画像情報を表示する装置である。
【0013】
車載操作部111は、ユーザが車載装置10を指で操作するボタン、スイッチ、キーボード、タッチパネル等の装置である。
補助記憶装置112は、カーナビゲーション等のプログラムが使用する地図データベースや設定ファイル等の各種データ等を記憶する大容量の記憶装置であり、例えば、HDD(Hard Disk Drive)やSSD(Solid State Drive)である。
【0014】
センサ113は、地球上での緯度および経度で示される位置を出力するGPS受信機、および車両50の姿勢角を算出可能な姿勢センサを含む。
機器間通信装置130は、携帯端末20と接続して、データをやり取りするためのインタフェース装置である。接続方式は、USBやHDMI(登録商標)(High−Definition Multimedia Interface)等の規格に準拠した有線接続でもよいし、無線LANのIEEE 802.11a/b/g/nやBluetooth等の規格に準拠した無線接続でもよい。
【0015】
図3は携帯端末20のハードウェア構成を示す図である。
携帯端末20は、CPU200、ROM201、RAM202、携帯表示部210、携帯操作部211、補助記憶装置212、センサ213、および機器間通信装置231を備える。
CPU200は、携帯端末20の各部を制御し、RAM202に読み込まれる徒歩ナビゲーションプログラム等を実行する装置である。ROM201には、制御プログラムや徒歩ナビゲーションプログラムなどが書き込まれる。RAM202は、補助記憶装置212に記憶されているプログラムを読み込んで一時的に保管したり、CPU200がプログラムの実行時に生成するワークデータ等を記憶する装置である。携帯表示部210は、液晶ディスプレイや有機ELディスプレイ等、ユーザに画像情報を表示する装置である。
【0016】
携帯操作部211は、ユーザが携帯端末20を指で操作するボタン、スイッチ、キーボード、タッチパネル等の装置である。補助記憶装置212は、カーナビゲーション等のプログラムが使用する地図データベースや設定ファイル等の各種データ等を記憶する大容量の記憶装置であり、例えば、SSDである。
センサ213は、緯度および経度で示される位置を出力するGPS受信機、および携帯端末20の姿勢角を算出可能な姿勢センサを含む。
機器間通信装置231は、車載装置10と接続して、データをやり取りするためのインタフェース装置である。接続方式は、USBやHDMI等の規格に準拠した有線接続でもよいし、無線LANのIEEE 802.11a/b/g/nやBluetooth等の規格に準拠した無線接続でもよい。
【0017】
(機能構成)
図4は、車載装置10が備える機能を機能ブロックとして表した機能ブロック図である。車載装置10はその機能として、車載装置情報生成部400、車載通信部480、位置特定部482、車両ナビゲーション部484、地図データベース486、およびカメラ制御部490を備える。これらの機能はOS上で動作するプログラムとして実装される。そのプログラムは、ROM101または補助記憶装置112に記憶され、RAM102にロードされてCPU100によって実行される。
【0018】
車載通信部480は、携帯端末20との間でのデータ通信を提供する機能であり、機器間通信装置130により実現される。位置特定部482は、センサ113から取得した情報から現在位置、すなわち緯度および経度や、車両50の進行方向の方位を算出する機能である。本実施の形態では、方位は所定の方角、たとえば北を基準、すなわちゼロ度とし、時計回りに東を90度、西を270度として0度〜360度の角度で表されることとする。
【0019】
車両ナビゲーション部484は、位置特定部482、地図データベース486、車両信号線51および車載ネットワーク52等から取得したデータを使用して、車両ナビゲーション機能を提供する。車両ナビゲーション機能とは、車両ナビ開始地点から車両ナビ目的地へ誘導する機能である。この車両ナビゲーション機能には、設定された車両ナビ目的地へ車両50が到着したことの通知を含む。地図データベース486は、車両ナビゲーション部484で使用する地図情報を格納する。カメラ制御部490は、所定時間ごとにカメラ53に撮影指令を出力しカメラ53が撮影した画像を取得する。
【0020】
車載装置情報生成部400は、車両情報取得部420および画像取得部430から構成される。車両情報取得部420は、位置特定部482および車両ナビゲーション部484と接続され、車両50の現在位置座標、および車両50の進行方向の方位を取得する。車両情報取得部420は、後述する条件下で車両50の駐車、および車両ナビ目的地への到着を検出すると、駐車または到着を示す駐車到着通知を車載通信部480を介して携帯端末20に送信する。画像取得部430はカメラ制御部490と接続され、カメラ制御部490から車両50の前方の画像およびその画像の撮影画角を取得する。画像取得部430が取得した撮影画像と撮影画角は、車載通信部480を介して携帯端末20に送信される。なお、カメラ53の撮影画像を取得するカメラ制御部490および画像取得部430は、カメラ53との接続インタフェースとしても機能する。
【0021】
図5は、携帯端末20が備える機能を機能ブロックとして表した機能ブロック図である。携帯端末20はその機能として、携帯端末情報生成部500、携帯通信部580、位置特定部582、徒歩ナビゲーション部584、および地図データベース586を備える。これらの機能はOS上で動作するプログラムとして実装される。そのプログラムは、ROM201または補助記憶装置212に記憶され、RAM202にロードされてCPU200によって実行される。
【0022】
携帯通信部580は、車載装置10との間でデータ通信を提供する機能であり、機器間通信装置231により実現される。位置特定部582は、センサ213から取得した情報から現在位置、すなわち緯度および経度や、携帯端末20が向いている方位を算出する機能である。徒歩ナビゲーション部584は、位置特定部582や地図データベース586等から取得したデータを使用して、徒歩ナビゲーション機能を提供する。徒歩ナビゲーション機能は、徒歩ナビ開始地点から徒歩ナビ目的地への経路(以下、「徒歩ナビ経路」と呼ぶ)を算出し、徒歩ナビ目的地へユーザを誘導する機能である。徒歩ナビゲーション機能には、地図上に徒歩ナビ経路を描画する機能が含まれる。地図データベース586は、徒歩ナビゲーション部584へ地図情報を提供する。
【0023】
携帯端末情報生成部500は、車両状態監視部510、位置関係計算部520および補助情報作成部530から構成される。
車両状態監視部510は、車載装置10より受信する車両ナビ目的地への到着通知や駐車通知等により、車両の状態を監視する。
位置関係計算部520は、撮影画像に撮影されている範囲と徒歩ナビ開始地点との位置関係を計算する。この計算は、車両50の現在位置座標、カメラ53の光軸が向いている方位(以下、「撮影方位」と呼ぶ)、カメラ53の画角、および徒歩ナビ開始地点に基づいて行われる。この計算により、たとえば徒歩ナビ開始地点は撮影画像の中央に位置することや、徒歩ナビ開始地点は撮影画像の範囲外にあり撮影画像の右側に位置することなどがわかる。
補助情報作成部530は、位置関係計算部520の計算結果などを用いて、後述する補助情報を生成する。この補助情報は、車載装置10から受信した撮影画像とともに携帯表示部210に表示される。
【0024】
(補助情報)
本実施の形態における補助情報とは、ユーザを徒歩ナビ開始地点へ誘導するための情報であり、撮影画像とともに携帯表示部210に表示される。補助情報のみでは徒歩ナビ開始地点を表すことができないが、撮影画像とともに表示されることにより徒歩ナビ開始地点をわかりやすく示すことができる。
【0025】
図6は、携帯表示部210に表示される補助情報の一例を示す図である。
図6に示す例では携帯表示部210には、徒歩ナビ情報660と徒歩ナビ開始地点情報670とが表示される。徒歩ナビ情報660には、地
図600、徒歩ナビ経路610、駐車車両640、および徒歩ナビ開始地点650が含まれる。徒歩ナビ開始地点情報670には、撮影画像620と補助情報630が含まれる。撮影画像620は、携帯端末20が車載装置10から受信した最新の撮影画像である。補助情報630は、「矢印の方向に向かってください」という文字列であるメッセージ631と徒歩ナビ開始地点を示す矢印632とから構成される。なお駐車車両640の内部に示す矢印は、車両の前方すなわちカメラ53が撮影する方向を示す。
【0026】
図6に示す例では、撮影画像620に撮影されている「A銀行B支店」と徒歩ナビ開始地点の位置関係に基づき、矢印632が「A銀行B支店」の前を指しメッセージ631が矢印632の方向への移動を促している。なおメッセージ631は矢印632を利用せずに徒歩ナビ開始地点650を示すメッセージ、たとえば「写真の中央部にむかってください」でもよい。また矢印632はマーカーの一例であり、他の形状を有するマーカー、たとえば丸や四角のマーカーを用いてもよい。
【0027】
図7は、携帯表示部210に表示される補助情報の異なる例を示す図である。
図7を
図6と比較すると、徒歩ナビ開始地点650が「スーパーマーケットF」の前方に移動している点が異なる。
図7に示す例では、撮影画像620に撮影されている「A銀行B支店」と徒歩ナビ開始地点の位置関係に基づき、矢印632が「スーパーマーケットF」の方向、すなわち図示右下を指しメッセージ631が矢印632と同じく右斜め後方への移動を促している。なおメッセージ631は、
図6と同様に矢印632が指す方向への移動を促すものでもよい。
【0028】
ユーザは、
図6や
図7に示した徒歩ナビ開始地点情報670に基づき、ユーザ自身の視界と撮影画像620、矢印632およびメッセージ631による表示内容が一致する方向を探して向かえばよい。ユーザは徒歩ナビ情報660の地図に表示された徒歩ナビ開始地点650と駐車車両640の位置から向かう方向を考える必要がなくなり、直感的に向かうべき方向を認識することができる。
【0029】
(フロー図)
図8は、第1の実施の形態におけるナビゲーションシステム1の動作を示すフロー図である。
まずユーザが携帯操作部211を操作して携帯端末20に目的地、すなわち徒歩ナビ目的地を入力する(S750)。すると携帯端末20は、地
図DB586を用いて入力された徒歩ナビ目的地の付近に存在する駐車場を検索し、車両50を駐車する駐車場、および歩行開始地点、すなわち徒歩ナビ開始地点を決定する(S751)。ただし、ユーザが目的地および駐車位置を入力してもよいし、携帯端末20が駐車位置の候補をいくつか提示し、ユーザにより選択された候補を駐車位置としてもよい。徒歩ナビ開始地点はたとえば、決定された駐車場に接する道路であって、決定された駐車場の中心領域から徒歩ナビ目的地を結んだ直線とその道路の交点として設定される。また、徒歩ナビ開始地点の決定に、駐車場の出入り口の位置情報を加味してもよい。
【0030】
その後、ユーザが携帯端末20を所持して車両50に乗車するために接近し、車載装置10と携帯端末20とが通信可能な距離まで近づくと両者の接続が確立する。携帯端末20は、接続が確立されると(S752)、駐車場情報、すなわち車両ナビ目的地の情報を車載装置10に送信する(S753)。その後携帯端末20は、徒歩ナビゲーション部584が徒歩ナビ開始地点から徒歩ナビ目的地までの徒歩ナビ経路を計算し(S754)、車載装置10からの通信を待機する。
【0031】
車載装置10は車両ナビ目的地の情報を受信すると、車載装置情報生成部400が起動され、車両ナビゲーション部484が現在地から車両ナビ目的地までの経路を検索し、車両ナビ目的地までの車両50の案内を開始する(S702)。次に車載装置10の画像取得部430は、カメラ制御部490から撮影画像および画角の情報を取得する(S704)。そして車両情報取得部420は、位置特定部482および車両ナビゲーション部484から車両情報、すなわち車両50の現在位置座標および車両50の進行方向の方位を取得する(S706)。なお前述のとおり本実施の形態ではカメラ53は車両50の前方を向いているので、車両50の進行方向とカメラ53の光軸の方向は一致する。
【0032】
その後、車載装置10は、撮影画像、画角、および車両情報を携帯端末20に送信する(S708)。次に車載装置10は、車両50が車両ナビ目的地に到着したか否か(S710)、および車両50の駐車が完了したか否か(S712)を判断する。S710およびS712のいずれか片方でも肯定判定されると、車載装置10は携帯端末20に駐車到着通知を送信する(S714)。S710およびS712のいずれも否定判定された場合は、S704に戻る。これにより、車載装置10は、車両50が車両ナビ目的地に到着して駐車が完了するまでは、所定時間ごとにステップS704〜S708を実行して、撮影画像、画角、および車両情報を携帯端末20に送信する。
【0033】
携帯端末20は、車載装置10から駐車到着通知を受信すると、位置関係計算部520は、車載装置10が最後に送信した直近の撮影画像、すなわち車両50が車両ナビ目的地に到着する直前や直後(または駐車が完了した直前や直後)にカメラ53が車両ナビ目的地の周囲を撮影して得られた撮影画像における徒歩ナビ開始地点との位置関係を算出する(S758)。この算出は、車載装置10から受信した最新の車両50の現在位置座標、カメラ53の撮影方位、およびステップS751で決定した徒歩ナビ開始地点に基づいて行われる。次に補助情報作成部530は、位置関係計算部520の算出結果に基づき補助情報を生成(S762)して徒歩ナビゲーション部584に出力する。補助情報はたとえば、撮影画像に表示させる徒歩ナビ開始地点を示す矢印とメッセージとの組み合わせである。
【0034】
徒歩ナビゲーション部584は、携帯表示部210に
図6に示したように徒歩ナビ開始地点情報670、および徒歩ナビ情報660を表示する(S766)。続いて徒歩ナビゲーション部584は、位置特定部582から携帯端末20の位置を取得し、徒歩ナビ開始地点に到達したか否かを判断する(S770)。徒歩ナビゲーション部584は、徒歩ナビ開始地点に到達したと判断する場合はステップS772に進み、徒歩ナビ開始地点に到達していないと判断する場合はステップS770に留まる。ステップS772では徒歩ナビゲーション部584は、携帯表示部210から徒歩ナビ開始地点情報670を消去し、徒歩ナビ情報660のみを携帯表示部210に表示させる。
【0035】
以上説明したように、車両ナビゲーションと徒歩ナビゲーションの組み合わせであるEnd−to−Endナビゲーションシステムにおいて、車両ナビゲーションから徒歩ナビゲーションに経路誘導を引き継いだタイミングで、ユーザが降車後にどちらに向かえばよいかを示す補助情報を生成し表示することで、ユーザに対して向かうべき方向を直感的に認識させることができる。
【0036】
上述した第1の実施の形態によれば、次の作用効果が得られる。
(1)ナビゲーションシステム1は、携帯端末20、および車両50に搭載される車載装置10を備える。車載装置10は、車両50を車両ナビ開始地点から車両ナビ目的地まで誘導する車両ナビゲーション部484を備える。携帯端末20は、画像情報を提示する携帯表示部210と、徒歩ナビ開始地点から徒歩ナビ目的地まで徒歩で移動する経路を案内する徒歩ナビゲーション部584と、車両ナビ目的地の周囲の撮影画像、および撮影画像と組み合わせることにより徒歩ナビ開始地点を示す補助情報を携帯表示部210に出力する開始地点出力部、たとえば徒歩ナビゲーション部584とを備える。
ナビゲーションシステム1は、撮影画像と補助情報とを組み合わせることにより徒歩ナビ開始地点を示すので、徒歩ナビ開始地点をわかりやすく示すことができる。
図6に示した徒歩ナビ情報660を用いて徒歩ナビ開始地点を示すこともできるが、ユーザは地
図600に描かれた建物などの地物と目に映る物体との対比が困難な場合がある。一方、カメラ53が撮影して得られた撮影画像は、地
図600と比較するとユーザの視点に非常に近いので、撮影画像における地物と目に映る物体との対比は容易である。そのため徒歩ナビ開始地点を示すために撮影画像を用いることが効果的である。この構成による効果は、特に初めて訪れた場所において顕著である。
【0037】
(2)車載装置10は、車両50に搭載されているカメラ53が車両ナビ目的地の周囲を撮影して得られた撮影画像が入力される画像取得部430と、画像取得部430に入力された撮影画像を携帯端末20に送信する車載通信部480とを備える。徒歩ナビゲーション部584は、車載装置10から受信した撮影画像を携帯表示部210に出力する。
そのため、携帯端末20に表示される撮影画像は、車載装置10と同一の車両50に搭載されていたカメラ53により撮影された画像である。したがって、撮影画像に撮影された風景をユーザが車両50内からすでに目にしている可能性が高く、ユーザは容易に徒歩ナビ開始地点を判断することができる。
【0038】
(3)車載装置10は、車両50が駐車したことを検知し携帯端末20に車両50の駐車を示す通知を送信する通知部、すなわち車両情報取得部420を備える。そのため、車両50の駐車をトリガーとした適切なタイミングで携帯表示部210に徒歩ナビ開始地点情報670を表示することができる。
【0039】
(4)車載通信部480は、車両情報取得部420が駐車を検知するまで所定時間ごとに、画像取得部430に入力された撮影画像を携帯端末20に送信する。
【0040】
(5)携帯端末20は、徒歩ナビ開始地点、撮影画像が撮影された位置、および撮影画像が撮影された際のカメラ53の光軸方向に基づき補助情報を作成する補助情報作成部530を備える。そのため携帯端末20は、撮影画像と徒歩ナビ開始地点の関係を算出することができる。
【0041】
(6)補助情報作成部530は、さらに撮影画像の画角情報を用いて補助情報を作成する。そのため携帯端末20は、徒歩ナビ開始地点が撮影画像内に含まれるか否かを的確に判断し、補助情報として作成してユーザに提示することができる。
【0042】
(7)携帯表示部210を備える携帯端末20において実行されるプログラムは、携帯端末20に、徒歩ナビ開始地点から徒歩ナビ目的地まで徒歩で移動する経路を案内する徒歩ナビ機能と、外部から受信した撮影画像620、および撮影画像と組み合わせることにより徒歩ナビ開始地点を示す補助情報630を携帯表示部210に出力する開始地点出力機能と、を実現させる。
【0043】
(変形例1)
車載装置10は、撮影画像の取得や撮影画像の携帯端末20への送信を常時行わなくてもよい。
図9は、変形例1におけるナビゲーションシステム1の動作を示すフロー図である。第1の実施の形態における
図8との違いは、車載装置10が実行する処理の順番である。変形例1では、車両ナビ目的地までの案内が開始されると(S702)、車両情報取得部420は、車両情報、すなわち車両50の現在位置座標および車両50の進行方向の方位を取得する(S706)。そして次に車載装置10は、車両50が車両ナビ目的地に到着したか否か(S710)、および車両50の駐車が完了したか否か(S712)を判断する。S710およびS712のいずれか片方でも肯定判定されると、車載装置10は撮影画像および画角の情報を取得し(S704)、取得した撮影画像および画角の情報と、直近のステップS706で取得した車両情報とを、携帯端末20に送信する(S708)。続いて車載装置10は、携帯端末20に駐車到着通知を送信する(S714)。S710およびS712のいずれも否定判定された場合は、S706に戻る。
【0044】
この変形例1によれば、第1の実施の形態における作用効果に加えて、以下の作用効果が得られる。
(8)車載通信部480は、車両情報取得部420が駐車を検知すると、画像取得部430に入力された撮影画像を携帯端末20に送信する。そのため、ユーザに徒歩ナビ開始地点情報670を提示する直前の適切なタイミングで携帯端末20が撮影画像を得るので、車載装置10が撮影画像を取得する回数、および車載装置10が撮影画像を携帯端末20に送信する回数を減らすことができる。
【0045】
(変形例2)
車載装置10の補助記憶装置112に保存されている各種データは、他の装置から更新可能であってもよい。この他の装置とは、ノート型パソコンや記憶媒体など車内に持ち込まれた、または車内に設置された装置であってもよい。また他の装置とは、無線通信を介して接続される車両50の外部に存在する装置、たとえばデータセンターに設置されたサーバであってもよい。さらに、車両ナビゲーション部484を構成するプログラムも更新可能であってよい。
【0046】
(変形例3)
上述した第1の実施の形態では、補助情報630はメッセージ631と徒歩ナビ開始地点を示す矢印632とから構成された。しかし、補助情報630はメッセージ631のみから構成されてもよいし、補助情報630は矢印632のみから構成されてもよい。補助情報630はメッセージ631のみから構成される場合のメッセージ631とはたとえば、「写真の中央部に向かってください」である。
【0047】
(変形例4)
徒歩ナビゲーション部584は、携帯表示部210への表示を行わずに徒歩ナビゲーションを実現してもよい。この場合徒歩ナビゲーション部584は、たとえば不図示のスピーカを用いた音声によるナビゲーションや、不図示の振動子を用いて進行方向や右左折位置を知らせるナビゲーションを行う。またこの場合は、携帯表示部210には徒歩ナビ開始地点情報670のみが表示され、徒歩ナビ情報660は表示されない。
【0048】
(変形例5)
携帯表示部210には、徒歩ナビ開始地点情報670とともに徒歩ナビ情報660が表示されなくてもよい。すなわち、徒歩ナビ開始地点に到着するまでは携帯表示部210には徒歩ナビ開始地点情報670のみが表示され、徒歩ナビ開始地点に到着すると徒歩ナビ開始地点情報670に代わって徒歩ナビ情報660が表示されてもよい。
【0049】
(変形例6)
第1の実施の形態において車載装置10が備える機能を、複数の装置により分担して実現してもよい。たとえば、車両が車載装置とカメラとカーナビゲーション装置とを備え、カメラ53が携帯端末20への撮影画像の送信機能を備え、カーナビゲーション装置が車両ナビゲーション部484の機能を備えてもよい。この場合、車載装置は第1の実施の形態における車載装置10の構成から車両ナビゲーション部484、地
図DB486、画像取得部430、およびカメラ制御部490を除いた構成を有する。
【0050】
(変形例7)
カメラ53の画角が固定ならば、たとえばカメラ53に備えられたレンズの焦点が固定ならば、画像取得部430は画角を取得しなくてよいし、携帯端末20に送信しなくてよい。この場合は、携帯端末20の補助情報作成部530は既知であるカメラ53の画角を用いて補助情報を生成する。
【0051】
(変形例8)
第1の実施の形態では携帯端末20に備えられる徒歩ナビゲーション機能、および車載装置10に備えられる車両ナビゲーション機能は、無線通信により接続される不図示のサーバにより実現されてもよい。たとえば、ユーザにより携帯端末20に徒歩ナビ目的地が入力されると、携帯端末20は徒歩ナビ目的地を示す情報を不図示のサーバに送信し、サーバから駐車位置、徒歩ナビ開始、および徒歩ナビ経路を受信してもよい。
【0052】
(変形例9)
ユーザが車載装置10に徒歩ナビ目的地を入力し、車載装置10から携帯端末20に徒歩ナビ目的地が通知されてもよい。この場合は、携帯端末20により車両ナビ目的地が設定されてもよいし、車載装置10により車両ナビ目的地が設定され徒歩ナビ目的地とともに車両ナビ目的地が携帯端末20に通知されてもよい。
【0053】
(変形例10)
車載装置10は、カメラ53の撮影画像を加工して携帯端末20に送信してもよい。この加工とは、撮影画像に一部を切り抜くクロップ加工、レンズの歪みに基づく撮影画像の歪みを補正する歪み除去加工、異なる視点から撮影されたように加工する視点変換加工である。
【0054】
(変形例11)
上述した第1の実施の形態では、車両50が車両ナビ目的地に到着したか否か(S710)、および車両50の駐車が完了したか否か(S712)を判断し、いずれか片方でも肯定判定されると、車載装置10は携帯端末20に駐車到着通知を送信した(S714)。しかし、車両50が車両ナビ目的地に到着し、かつ車両50の駐車が完了したと判断する場合に、車載装置10が携帯端末20に駐車到着通知を送信してもよい。換言すると、S710およびS712をOR条件として評価するのではなく、AND条件として評価してもよい。
【0055】
―第2の実施の形態―
図10を参照して、本発明に係るナビゲーションシステム1の第2の実施の形態を説明する。以下の説明では、第1の実施の形態と同じ構成要素には同じ符号を付して相違点を主に説明する。特に説明しない点については、第1の実施の形態と同じである。本実施の形態では、主に、携帯端末20が車載装置10から明示の通知を受信しなくても徒歩ナビゲーションを開始する点で、第1の実施の形態と異なる。
【0056】
(構成)
第2の実施の形態におけるナビゲーションシステム1のハードウエア構成、および機能構成は第1の実施の形態と同様である。ただし携帯端末20のROMに格納されるプログラムの動作が第1の実施の形態と異なる。また携帯端末20の車両状態監視部510は、携帯通信部580が車両50との通信が切断されたことを検出する。そして補助情報作成部530は車両状態監視部510が切断を検出すると補助情報を作成する。
【0057】
(フロー図)
図10は、第2の実施の形態におけるナビゲーションシステム1の動作を示すフロー図である。ただし
図10では携帯端末20のステップS754よりも先に実行する処理、およびステップS758よりも後に実行する処理は処理項目および処理の順番ともに第1の実施の形態と同様なので省略している。
携帯端末20は、徒歩ナビゲーション部584が徒歩ナビ開始地点から徒歩ナビ目的地までの徒歩ナビ経路を計算する(S754)。そして車両状態監視部510が、車載装置10との接続が切断されたか否か(S900)、および車載装置10から駐車到着通知を受信したか否か(S902)を判断する。携帯端末20は、S900およびS902のいずれか片方でも肯定判定されるとステップS758に進み、S900およびS902のいずれも否定判定された場合は、S900に戻る。ステップS758以降の処理は第1の実施の形態と同様なので説明を省略する。
【0058】
上述した第2の実施の形態によれば、次の作用効果が得られる。
(9)携帯端末20は、車載装置10との無線通信接続が切断されたことを検出する切断検出部、すなわち車両状態監視部510を備える。補助情報作成部530は車両状態監視部510が切断を検出すると補助情報を作成する。開始地点出力部、たとえば徒歩ナビゲーション部584は、補助情報作成部530が補助情報を作成すると撮影画像620および補助情報630を携帯表示部210に出力する。
そのため、ユーザが車両目的地の周辺に到着後、すぐに車載装置10の電源をオフにした場合など、車載装置10が駐車到着通知を送信できない場合であっても、携帯端末20に徒歩ナビ開始地点情報670を表示させることができる。
【0059】
―第3の実施の形態―
図11〜
図12を参照して、本発明に係るナビゲーションシステム1の第3の実施の形態を説明する。以下の説明では、第1の実施の形態と同じ構成要素には同じ符号を付して相違点を主に説明する。特に説明しない点については、第1の実施の形態と同じである。本実施の形態では、主に、携帯端末20が車載装置10から受信した撮影画像から好適な撮影画像を選択して徒歩ナビ開始地点への誘導に用いる点、および徒歩ナビ目的地への到着後に車両へ戻る際の案内も実行される点で、第1の実施の形態と異なる。
【0060】
(構成)
第3の実施の形態におけるナビゲーションシステム1のハードウエア構成、および機能構成は第1の実施の形態と同様である。ただし携帯端末20のROMに格納されるプログラムの動作が第1の実施の形態と異なる。また携帯端末20のRAM202または補助記憶装置212には、車載装置10から受信した撮影画像が蓄積される。この撮影画像は、所定数、たとえば100枚が蓄積されると、新たに撮影画像が保存されるたびに最も古い撮影画像が消去される。
【0061】
(フロー図)
図11は、第3の実施の形態におけるナビゲーションシステム1の動作を示すフロー図である。車載装置10の動作は第1の実施の形態と同一であり、
図11ではステップS714のみを記載する。携帯端末20の動作はステップS754までは第1の実施の形態と同一であり、車載装置10のステップS714による通知を受信する以後の動作のみ記載する。
携帯端末20は、車載装置10から駐車到着通知を受信すると、RAM202または補助記憶装置212に蓄積した撮影画像から好適な撮影画像を選択する(S1000)。好適な撮影画像の選択基準は1つに限定されないが、たとえば以下のとおりである。すなわち第1に、撮影画像が撮影された位置が、現在の携帯端末20の位置に近いほどよい。また第2に、徒歩ナビ開始地点が撮影画像の中央部に近いほどよい。なお本ステップは、位置関係計算部520が実行してもよいし、補助情報作成部530が実行してもよい。
次に携帯端末20の位置関係計算部520は、ステップS1000において選択された撮影画像における徒歩ナビ開始地点との位置関係を算出する(S758)。以下、携帯端末20は第1の実施の形態と同様にステップS762、S766、S770、S772を実行する。ただしこれらのステップでは車載装置10から受信した最新の撮影画像の代わりにステップS1000において選択された撮影画像を用いる。
【0062】
図12は、徒歩ナビ目的地への到着した後に、車両50へ戻るための情報を携帯端末20がユーザに提示する動作を示すフロー図である。まず携帯端末20の徒歩ナビゲーション部584は、徒歩ナビゲーションを実行する(S1104)。この徒歩ナビゲーションは、現在地、または前回設定された徒歩ナビ目的地が徒歩ナビ開始地点に設定される。また、車載装置10から最後に取得した自己位置(以下、「最終車両位置」と呼ぶ)、またステップS751において決定された駐車場の位置が徒歩ナビ目的地に設定される。
次に携帯端末20は、現在位置を取得し(S1106)、車両50の付近であるか否かを判断する(S1108)。車両50の付近とは、たとえばステップS1106において取得した現在位置が、最終車両位置から所定距離以内であることである。携帯端末20は、車両50の付近であると判断する場合はステップS1110に進み、車両50の付近ではないと判断する場合はステップS1106に戻る。
【0063】
以下のステップS1110〜S1116の処理は、
図10におけるS1000〜S766の処理に対応する。ステップS1110では、携帯端末20は、RAM202または補助記憶装置212に蓄積した撮影画像から好適な撮影画像を選択する。好適な撮影画像の選択基準は1つに限定されないが、たとえば以下のとおりである。すなわち第1に、最終車両位置が現在の携帯端末20の位置に近いほどよい。また第2に、最終車両位置が撮影画像の中央部に近いほどよい。次に携帯端末20の位置関係計算部520は、ステップS1110において選択された撮影画像における最終車両位置との位置関係を算出する(S1112)。そして補助情報作成部530が最終車両位置を示す補助情報を生成し(S1114)、徒歩ナビゲーション部584がステップS1110において選択された撮影画像とステップS1114において生成された補助情報を、車両50の駐車位置を示す駐車地点情報として携帯表示部210に表示する(S1116)。
ユーザが駐車地点情報を参考にして車両50に近づき、車載装置10と携帯端末20とが通信可能な距離まで近づくと両者の接続が確立する。すると携帯端末20は、携帯表示部210への駐車地点情報の表示を終了する(S1118)。
【0064】
上述した第3の実施の形態によれば、次の作用効果が得られる。
(10)携帯端末20は、車載装置10から受信する複数の撮影画像から、車両50の停車位置、および徒歩ナビ開始地点に基づき1つの撮影画像を選択する画像選択部(
図11のステップS1000)を備える。補助情報作成部530は、画像選択部が選択した撮影画像を用いて動作する。そのため、車載装置10が最後に撮影した画像に限定されず、徒歩ナビ開始地点を示すために適した画像を用いて徒歩ナビ開始地点を示すことができる。
【0065】
(11)携帯端末20は、撮影画像、および撮影画像と組み合わせることにより車両の停車位置を示す停車補助情報を携帯表示部210に出力する停車地点出力部(
図12のステップS1116)を備える。そのため、ユーザが徒歩ナビ目的地に到着後、車両50まで戻る際に車両50の駐車位置を探すのを補助することが可能となる。
【0066】
―第4の実施の形態―
図13〜
図14を参照して、本発明に係るナビゲーションシステム1の第4の実施の形態を説明する。以下の説明では、第1の実施の形態と同じ構成要素には同じ符号を付して相違点を主に説明する。特に説明しない点については、第1の実施の形態と同じである。本実施の形態では、主に、携帯端末20がサーバから撮影画像を受信する点で、第1の実施の形態と異なる。
【0067】
(構成)
図13は、第4の実施の形態におけるナビゲーションシステム1の構成を示す図である。第4の実施の形態におけるナビゲーションシステム1は、車載装置10、携帯端末20、およびサーバ30から構成される。
携帯端末20のハードウエア構成は第1の実施の形態の構成に加えて、無線により車外のサーバ30と通信する無線通信部232をさらに備える。無線通信部232はたとえば、3GやLTE(Long Term Evolution)、無線LANのいずれか1つ、または複数の通信規格に対応する。車載装置10は、本実施の形態ではカメラ制御部490を備えなくてもよい。なお車両50は、カメラ53を備えなくてもよい。
【0068】
サーバ30は、撮影画像が蓄積された画像データベースと、携帯端末20との通信が可能なサーバ通信部とを備える。画像データベースに蓄積された撮影画像は、撮影された場所を示す位置情報、たとえば緯度と経度、および撮影された際のカメラの光軸の方位、換言すると撮影された方位の情報と関連付けられている。後述するように撮影画像が携帯端末20に送信される際には、この撮影画像だけでなく撮影画像が撮影された位置および撮影された方位の情報も併せて送信される。
【0069】
(サーバの動作)
サーバ30は、携帯端末20から位置情報および方位情報を受信すると、画像データベースに蓄積された複数の撮影画像から受信した条件に最も近い撮影画像を、車両ナビ目的地の周囲の撮影画像として抽出し、携帯端末20に送信する。すなわち、携帯端末20から受信した位置情報により示される位置に最も近い位置情報を有し、携帯端末20から受信した方位情報により示される方位に最も近い方位情報を有する撮影画像を携帯端末20に送信する。位置情報と方位情報の両方で最も条件の良い撮影画像が異なる場合は、位置情報を優先してもよいし方位情報を優先してもよい。また、位置情報と方位情報を所定の重みづけで評価してもよい。
【0070】
(フロー図)
図14は、第4の実施の形態におけるナビゲーションシステム1の動作を示すフロー図である。携帯端末20の動作は、徒歩ナビ経路の計算(S754)までは第1の実施の形態と同様である。
車載装置10は、携帯端末20から駐車場情報を受信すると第1の実施の形態と同様に車両目的地、すなわち車両ナビ目的地への案内を開始し(S702)、次に車両50の現在位置座標を取得する(S706A)。すなわち、第4の実施の形態では撮影画像および車両50の進行方向の方位を取得しない。次に車載装置10はステップS706Aにおいて取得した車両50の現在位置座標を携帯端末20に送信し(S708A)する。これ以降の車載装置10の動作は第1の実施の形態と同様なので説明を省略する。
【0071】
携帯端末20は、車載装置10から駐車到着通知(S714)を受信すると、現在位置、すなわち最後に車載装置10から受信した現在位置座標から徒歩ナビ開始地点への方位を算出する(S1301)。次に携帯端末20は、無線通信部232により、現在位置およびステップS1301において算出した方位をサーバ30に送信することで、車両ナビ目的地の周囲の撮影画像をサーバ30に要求する(S1302)。
【0072】
サーバ30は、受信した現在位置、および方位の条件に最も近い撮影画像を、車両ナビ目的地の周囲の撮影画像として画像データベースから抽出する。そしてサーバ30は、抽出した撮影画像、抽出した撮影画像が撮影された位置、および抽出した撮影画像の撮影方位を携帯端末20に送信する(S1303)。
携帯端末20は、サーバ30から撮影画像などを受信するとステップS758以降の処理を実行する。ステップS758以降の処理は、車載装置10から受信した撮影画像、撮影方位、および現在位置に代えて、サーバ30から受信した撮影画像、撮影方位、および撮影画像が撮影された位置を使用する点以外は第1の実施の形態と同様である。
【0073】
上述した第4の実施の形態によれば、次の作用効果が得られる。
(12)携帯端末20は、車両ナビ目的地の周囲の撮影画像を含む複数の撮影画像が予め蓄積されたサーバ30と無線通信を行う無線通信部232を備える。徒歩ナビゲーション部584は、サーバ30が複数の撮影画像から抽出して携帯端末20に送信し、無線通信部584が受信した車両ナビ目的地の周囲の撮影画像を、携帯表示部210に出力する。そのため、車両50がカメラを備えなくてもよい。
【0074】
(13)車載装置10は、車両50が駐車したことを検知する車両情報取得部420と、車両情報取得部420が駐車を検知すると携帯端末20に車両の駐車を示す通知を送信する車載通信部480を備える。携帯端末20の無線通信部232は、携帯端末20が通知を受信すると撮影画像をサーバ30に要求する。そのため車両50がカメラを備えない場合でも携帯端末20が撮影画像を取得できる。
【0075】
(第4の実施の形態の変形例1)
車載装置10は携帯端末20に車両50の現在位置座標を送信しなくてもよい。この場合は、携帯端末20はステップS1301において位置特定部582から現在位置を取得し、これを車両50の現在位置座標の代わりに使用する。また、この場合には、車載装置10は車両情報取得部420を備えなくてもよい。
【0076】
(第4の実施の形態の変形例2)
サーバは、あらかじめ得られた撮影画像を加工して携帯端末20に送信してもよい。この加工とは、撮影画像に一部を切り抜くクロップ加工、レンズの歪みに基づく撮影画像の歪みを補正する歪み除去加工、異なる視点から撮影されたように加工する視点変換加工である。
またサーバは、あらかじめ得られた測量データ、すなわち3次元形状データと色情報に基づき、特定の位置から特定の方向を撮影すると得られる撮影画像と同様の画像を作成して携帯端末20に送信してもよい。この場合の特定の位置とは車両50の位置であり、特定の方向とは車両50の位置から徒歩ナビ開始地点へ向く方向である。
さらにサーバは、車両50の現在地周辺の建物の3次元モデルに基づき画像を作成し、これを撮影画像として携帯端末20に送信してもよい。
【0077】
―第5の実施の形態―
図15〜
図16を参照して、本発明に係るナビゲーションシステム1の第5の実施の形態を説明する。以下の説明では、第1の実施の形態と同じ構成要素には同じ符号を付して相違点を主に説明する。特に説明しない点については、第1の実施の形態と同じである。本実施の形態では、主に、携帯端末20が車両50の駐車後に改めて徒歩ナビ開始地点を決定する点で、第1の実施の形態と異なる。
【0078】
(構成)
第5の実施の形態におけるナビゲーションシステム1のハードウエア構成、および機能構成は第1の実施の形態と同様である。ただし携帯端末20のROMに格納されるプログラムの動作が第1の実施の形態と異なる。
【0079】
(フロー図)
図15は、第5の実施の形態におけるナビゲーションシステム1の動作を示すフロー図である。車載装置10の動作は第1の実施の形態と同一なので、
図15ではステップS714のみを記載する。携帯端末20の動作はステップS754までは第1の実施の形態と同一であり、車載装置10のステップS714による通知を受信した以後の動作のみ
図15に記載する。
【0080】
携帯端末20は、車載装置10から駐車到着通知を受信すると、車載装置10から受信した最新の車両位置、およびステップS750において入力された徒歩ナビ目的地に基づき、徒歩ナビ開始地点を改めて決定する(S1401)。なおステップS751においてすでに徒歩ナビ開始地点は決定されているが、ステップS751では駐車場の代表となる位置、たとえば駐車場の中心の位置や駐車予定の位置が用いられた。これに対して本ステップでは、車両50が実際に駐車された位置が算出に用いられる。
【0081】
次に携帯端末20は、ステップS1401において算出された徒歩ナビ開始地点からステップS750において入力された徒歩ナビ目的地までの徒歩ナビ経路を再度計算する(S754A)。ただし、ステップS1401において決定された徒歩ナビ開始地点がステップS751において決定された徒歩ナビ開始地点と同一の場合は、ステップS754Aを省略してもよい。携帯端末20は、ステップS1401において決定した徒歩ナビ開始地点、およびステップS754Aにおいて生成した徒歩ナビ経路を用いてステップS762以下の処理を実行する。
【0082】
(動作例)
図16は、第5の実施の形態において携帯表示部210に表示される徒歩ナビ情報660および徒歩ナビ開始地点情報670を示す図である。ただし徒歩ナビ情報660のうち実際に表示されるものは実線で示し、実際には表示されないものを破線で示している。
まず徒歩ナビ情報660を説明する。符号1550はステップS751、すなわち当初に決定された徒歩ナビ開始地点を示し、符号1560はステップS1401、すなわち車両50の駐車後に決定された徒歩ナビ開始地点を示す。符号1510はステップS754、すなわち当初に算出された徒歩ナビ経路を示し、符号1520はステップS754A、すなわち車両50の駐車後に算出された徒歩ナビ経路を示す。
【0083】
経路1510と徒歩ナビ開始地点1550は、破線で示していることからもわかるように、実際には携帯表示部210には表示されない。
図15のステップS1401およびステップS1402が実行されることにより、徒歩ナビ開始地点および徒歩ナビ経路が更新される。そのため実際には、符号1560および符号1520により表される、更新後の徒歩ナビ開始地点および徒歩ナビ経路が携帯表示部210に表示される。
【0084】
次に徒歩ナビ開始地点情報670を説明する。徒歩ナビ開始地点情報670を構成する撮影画像620と補助情報630のうち、撮影画像620は携帯端末20が車載装置10から受信した最新の撮影画像である点で第1の実施の形態と同様である。しかし補助情報630は、ステップS1401において決定された、換言すると更新された徒歩ナビ開始地点を用いて作成される点が第1の実施の形態と異なる。補助情報630は更新後の徒歩ナビ開始地点を用いて作成されるので、
図16に示すように、メッセージ631および矢印632は更新後の徒歩ナビ開始地点1560を示している。
【0085】
上述した第5の実施の形態によれば、次の作用効果が得られる。
(14)携帯端末20は、車両50の停車位置、および徒歩ナビ目的地に基づき徒歩ナビ開始地点を変更する変更部(
図15のS1401)を備える。補助情報作成部530は、変更部が変更した徒歩ナビ開始地点、撮影画像が撮影された位置、および撮影画像が撮影された際のカメラの光軸方向に基づき補助情報を作成する。そのため、車両50の停車位置に基づき徒歩ナビ開始地点を柔軟に変更しユーザの負担を軽減することができる。
【0086】
―第6の実施の形態―
図17〜
図19を参照して、本発明に係るナビゲーションシステム1の第6の実施の形態を説明する。以下の説明では、第1の実施の形態と同じ構成要素には同じ符号を付して相違点を主に説明する。特に説明しない点については、第1の実施の形態と同じである。本実施の形態では、主に、携帯端末20ではなく車載装置10が徒歩ナビ開始地点情報670および徒歩ナビ情報660を生成する点で、第1の実施の形態と異なる。
【0087】
(構成)
第6の実施の形態におけるナビゲーションシステム1のハードウエア構成は第1の実施の形態と同様である。ただし車載装置10および携帯端末20のROMに格納されるプログラムが第1の実施の形態と異なり、以下のように機能構成が第1の実施の形態と異なる。
【0088】
図17は、第6の実施の形態における車載装置10が備える機能を機能ブロックとして表した機能ブロック図である。車載装置10はその機能として、第1の実施の形態における機能に加えて位置関係計算部1610、および補助情報作成部1620をさらに備える。位置関係計算部1610の機能および動作は、第1の実施の形態における携帯端末20の位置関係計算部520に相当する。補助情報作成部1620の機能および動作は、第1の実施の形態における携帯端末20の補助情報作成部530に相当する。補助情報作成部1620は、生成した補助情報を携帯端末20に送信する。
【0089】
図18は、第6の実施の形態における携帯端末20が備える機能を機能ブロックとして表した機能ブロック図である。携帯端末20はその機能として、第1の実施の形態における機能から位置関係計算部520および補助情報作成部530が削除され、徒歩情報取得部1710をさらに備える。徒歩情報取得部1710は、車載装置10から受信する補助情報を徒歩ナビゲーション部584に出力する。
【0090】
(フロー図)
図19は、第6の実施の形態におけるナビゲーションシステム1の動作を示すフロー図である。携帯端末20のステップS750、およびステップS751の動作は第1の実施の形態と同様である。携帯端末20は車載装置10との接続が確立すると(S752)、駐車場情報に加えて徒歩ナビ開始地点の情報を車載装置10に送信する(S753A)。
【0091】
車載装置10の動作は、ステップS712において肯定判断されるまでは第1の実施の形態と同様である。ただし車載装置10は、ステップS708における携帯端末20への情報の送信を行わない。車載装置10は、ステップS712において肯定判断されると、位置関係計算部1610が撮影画像における徒歩ナビ開始地点との位置関係を算出する(S1801)。この算出は、ステップS706において取得した最新の車両50の現在位置座標、車両50の進行方向、およびステップS753Aで受信した徒歩ナビ開始地点に基づいて行われる。
【0092】
次に車載装置10の補助情報作成部1620は、位置関係計算部1610の算出結果に基づき補助情報を生成(S1802)する。そして車載装置10の車載通信部480は、ステップS704において取得した最新の撮影画像、およびステップS1802において生成した補助情報を携帯端末20に送信する(S708B)。
これを受信した携帯端末20の徒歩情報取得部1710は補助情報を徒歩ナビゲーション部584に出力する。ステップS766以降の携帯端末20の動作は第1の実施の形態と同様なので説明を省略する。
【0093】
上述した第6の実施の形態によれば、次の作用効果が得られる。
(15)車載装置10は、徒歩ナビ開始地点、撮影画像が撮影された位置、および撮影画像が撮影された際のカメラ53の光軸方向に基づき補助情報を作成する補助情報作成部1620と、補助情報を携帯端末20に送信する補助情報送信部(
図19のS708B)とを備える。そのため補助情報を車載装置10が作成することにより、携帯端末20の処理負荷を軽減することができる。
【0094】
(16)カメラ53を搭載する車両50に備えられる車載装置10は、カメラ53が周囲を撮影して得られた撮影画像が入力される画像取得部430と、所定地点、撮影画像が撮影された位置、および撮影画像が撮影された際のカメラ53の光軸方向に基づき、撮影画像と組み合わせることにより所定地点を示す補助情報を作成する補助情報作成部1620と、撮影画像および補助情報を外部に送信する車載通信部480とを備える。
そのため車載装置10が補助情報も作成するので携帯端末20の処理負荷を軽減することができる。
【0095】
(第6の実施の形態の変形例1)
携帯端末20が位置関係計算部520および補助情報作成部530を備え、車載装置10は第1の実施の形態と同様にステップS708を実行してもよい。この場合に携帯端末20は、車載装置10との接続が切断されたこと、または車載装置10から所定の時間通信がないことを検出すると、第1の実施の形態におけるステップS758以下の処理を実行する。
【0096】
本変形例によれば、車両50が車両ナビ目的地に到達後、ユーザがすぐに車載装置10の電源をオフにする場合など、ステップS708Bが実行されない場合であっても、携帯端末20は徒歩ナビ開始地点情報670を表示することができる。またステップS708Bが実行された場合は、第6の実施の形態と同様に車載装置10が補助情報を作成することにより携帯端末20の処理負荷を軽減させることができる。
【0097】
(第6の実施の形態の変形例2)
車載装置10に備えられる地図データベース486に車道だけではなく歩道の情報も含まれており、車載装置10が徒歩ナビ経路を算出して携帯端末20に送信してもよい。この場合は、携帯端末20は
図19に示したステップS754を実行する代わりに、車載装置10から徒歩ナビ経路を受信する。そして携帯端末20は、受信した徒歩ナビ経路を用いて徒歩ナビ情報660の表示、およびナビゲーションを行う。
本変形例によれば、携帯端末20の処理負荷をさらに軽減させることができる。
【0098】
携帯端末20のプログラムはROM201に格納されるとしたが、プログラムは補助記憶装置212に格納されていてもよい。また、携帯端末20が不図示の入出力インタフェースを備え、必要なときに入出力インタフェースと携帯端末20が利用可能な媒体を介して、他の装置からプログラムが読み込まれてもよい。ここで媒体とは、例えば入出力インタフェースに着脱可能な記憶媒体、または通信媒体、すなわち有線、無線、光などのネットワーク、または当該ネットワークを伝搬する搬送波やディジタル信号、を指す。また、プログラムにより実現される機能の一部または全部がハードウエア回路やFPGAにより実現されてもよい。
【0099】
―第7の実施の形態―
図20を参照して、本発明に係るナビゲーションシステム1の第7の実施の形態を説明する。以下の説明では、第4の実施の形態と同じ構成要素には同じ符号を付して相違点を主に説明する。特に説明しない点については、第4の実施の形態と同じである。主に、携帯端末20が車両50の駐車後に、サーバ30から取得した撮影画像位置に基づき改めて徒歩ナビ開始地点を決定する点で、第4の実施の形態と異なる。
【0100】
(構成)
第7の実施の形態におけるナビゲーションシステム1のハードウエア構成、および機能構成は第4の実施の形態と同様である。ただし携帯端末20のROM201に格納されるプログラムの動作およびサーバ30の動作が第4の実施の形態と異なる。
【0101】
(フロー図)
図20は、第7の実施の形態におけるナビゲーションシステム1の動作を示すフロー図である。車載装置10の動作は第4の実施の形態と同一なので、
図20ではステップS714のみを記載する。携帯端末20の動作はステップS714までは第4の実施の形態と同一であり、車載装置10のステップS714による通知を受信した以後の動作のみ
図20に記載する。
【0102】
携帯端末20は、車載装置10から停車報告通知(S714)を受信すると、サーバ30に現在位置情報を送信する(S2001)。サーバ30は、携帯端末20から受信した現在位置情報により示される位置に最も近い位置情報を有する撮影画像を特定し、その撮影画像の撮影位置座標を携帯端末20へ送信する(S2002)。
【0103】
携帯端末20は、サーバ30より受信した撮影位置座標を徒歩ナビの開始地点に決定し(S2003)、徒歩ナビ経路を算出(S754A)する。現在位置から徒歩ナビの開始地点、すなわち、サーバ30に格納された撮影画像の撮影位置座標への方位を算出し(S1301)、サーバ30に撮影位置座標と方位を送信して(S2004)、サーバ30より徒歩ナビ開始地点の撮影画像を取得する(S1303)。
【0104】
上述した第7の実施の形態によれば、次の作用効果が得られる。
携帯端末20は、サーバ30に格納された撮影画像の撮影位置座標を徒歩ナビの開始位置として再設定する。これにより、第4の実施の形態のようなサーバ30に格納された撮影画像とは無関係に設定された徒歩ナビの開始位置を基準としてサーバ30の画像を検索することにより、条件に当てはまるような画像が存在しない状況の発生を防ぐことができる。
【0105】
上述した各実施の形態および変形例は、それぞれ組み合わせてもよい。
上記では、種々の実施の形態および変形例を説明したが、本発明はこれらの内容に限定されるものではない。本発明の技術的思想の範囲内で考えられるその他の態様も本発明の範囲内に含まれる。