特許第6674927号(P6674927)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6674927
(24)【登録日】2020年3月11日
(45)【発行日】2020年4月1日
(54)【発明の名称】発泡成形品及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
   B29C 44/58 20060101AFI20200323BHJP
   B29C 39/10 20060101ALI20200323BHJP
   B29C 39/26 20060101ALI20200323BHJP
   B29C 44/00 20060101ALI20200323BHJP
   B29C 44/12 20060101ALI20200323BHJP
   B29C 44/40 20060101ALI20200323BHJP
   B29K 105/04 20060101ALN20200323BHJP
   B29L 9/00 20060101ALN20200323BHJP
   B29L 31/58 20060101ALN20200323BHJP
【FI】
   B29C44/58
   B29C39/10
   B29C39/26
   B29C44/00 A
   B29C44/12
   B29C44/40
   B29K105:04
   B29L9:00
   B29L31:58
【請求項の数】3
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2017-113388(P2017-113388)
(22)【出願日】2017年6月8日
(65)【公開番号】特開2018-202795(P2018-202795A)
(43)【公開日】2018年12月27日
【審査請求日】2019年3月28日
(73)【特許権者】
【識別番号】000004765
【氏名又は名称】マレリ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】240000327
【弁護士】
【氏名又は名称】弁護士法人クレオ国際法律特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】井上 麻衣
(72)【発明者】
【氏名】長塚 将治
(72)【発明者】
【氏名】斎藤 憲
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 久嗣
(72)【発明者】
【氏名】江森 則夫
(72)【発明者】
【氏名】五十嵐 雄太
(72)【発明者】
【氏名】曾川 亮
(72)【発明者】
【氏名】福田 隆志
【審査官】 大村 博一
(56)【参考文献】
【文献】 特開平10−067022(JP,A)
【文献】 特開2003−170763(JP,A)
【文献】 特開2012−030714(JP,A)
【文献】 特開平08−127033(JP,A)
【文献】 特開2005−342916(JP,A)
【文献】 特開平10−225941(JP,A)
【文献】 特開平07−329077(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B29C 44/00−44/60;67/20
B29C 33/00−33/76
B29C 39/00−39/44
B32B 1/00−43/00
B60K 35/00−37/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
表皮が配置された一方の成形型と、芯材が配置された他方の成形型とを型締めする型締工程と、
前記成形型に注入された発泡剤により、前記表皮と前記芯材との間に、発泡層を発泡形成する発泡工程と、
を含む発泡成形品の製造方法において、
前記型締工程において、前記表皮の端末部分を、前記芯材の意匠面側から凹む凹溝に挿入し、
前記発泡工程において、前記発泡剤による発泡圧によって、前記端末部分を前記凹溝の内壁に圧接して、発泡成形空間をシールし、
前記芯材は、該芯材の裏面側に突出するリブを備え、
前記リブを前記他方の成形型に近づく方向に引っ張りながら、前記端末部分を、前記凹溝に挿入する工程を含む
ことを特徴とする発泡成形品の製造方法。
【請求項2】
請求項1に記載された発泡成形品の製造方法において、
前記リブを、前記芯材の長手方向における中央領域に設ける
ことを特徴とする発泡成形品の製造方法。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載された発泡成形品の製造方法において、
前記リブは、前記凹溝の底部から前記芯材の裏面側に突出する
ことを特徴とする発泡成形品の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、発泡成形品及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
発泡成形品は、例えば自動車の内装部品(例えば、インストルメントパネル)に適用される。このような発泡成形品は、従来、芯材及び表皮を夫々セットした発泡成形型を型締めし、表皮の外縁輪郭部に沿設した表皮シール部(表皮の端末部分)を、芯材に設けた芯材シール部(芯材の溝部)に挿入して密着させ、芯材と表皮との間に画成された発泡空間内で発泡原料を発泡させて発泡体を成形することで製造される(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005−342916号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来の製造方法にあっては、芯材を発泡成形型にセットした状態で、芯材が発泡成形型から浮いてしまう虞がある。そうすると、発泡成形型の型締め時に、表皮の端末部分が、芯材の溝部に適切に挿入されず、波打ち等の表皮の変形を招く問題がある。
【0005】
本開示は、上記問題に着目してなされたもので、発泡成形時の表皮の変形を抑制した発泡成形品及びその製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、本開示の発泡成形品の製造方法は、表皮が配置された一方の成形型と、芯材が配置された他方の成形型とを型締めする型締工程と、成形型に注入された発泡剤により、表皮と芯材との間に、発泡層を発泡形成する発泡工程と、を含む。この発泡成形品の製造方法において、型締工程において、表皮の端末部分を、芯材の意匠面側から凹む凹溝に挿入し、発泡工程において、発泡剤による発泡圧によって、端末部分を凹溝の内壁に圧接して、発泡成形空間をシールし、芯材は、芯材の裏面側に突出するリブを備え、リブを他方の成形型に近づく方向に引っ張りながら、端末部分を、凹溝に挿入する工程を含むこととする。
【0007】
上記目的を達成するため、本開示の発泡成形品は、芯材と表皮とが発泡層によって一体化された発泡成形品において、芯材の意匠面側から凹む凹溝であって、表皮の端末部分が挿入される凹溝と、凹溝の底部から芯材の裏面側に突出するリブと、を備えることとする。
【発明の効果】
【0008】
発泡成形品の製造方法において、上記のように、芯材は、芯材の裏面側に突出するリブを備え、リブを他方の成形型に近づく方向に引っ張りながら、端末部分を、凹溝に挿入する工程を含むこととすることで、発泡成形時の表皮の変形を抑制した発泡成形品を製造できる。
【0009】
発泡成形品において、上記のように、凹溝の底部から芯材の裏面側に突出するリブを備えることで、発泡成形時の表皮の変形を抑制した発泡成形品を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】実施例1のインストルメントパネルの構成を示す斜視図である。
図2】実施例1のインストルメントパネルの構成を示す断面図である。
図3】実施例1のインストアッパのリブを示す拡大図である。
図4】実施例1のインストアッパのリブ部の断面を示す断面図である。
図5】実施例1の発泡成形型の全体構成を説明する説明図である。
図6】実施例1の芯材の引き込み工程を説明する説明図である。
図7】実施例1の芯材の引き込み工程を説明する説明図である。
図8】実施例1の型締工程を説明する説明図である。
図9】実施例1の発泡成形の型開工程を説明する説明図である。
図10】比較例の発泡成形型を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本開示による発泡成形品及びその製造方法を実現する最良の実施形態を、図面に示す実施例1に基づいて説明する。
【実施例1】
【0012】
まず、構成を説明する。
実施例1における発泡成形品は、例えば、自動車等の車両の車室内の前部に配置されるインストルメントパネルのインストアッパに適用される。以下、実施例1の構成を、「インストルメントパネルの全体構成」、「インストアッパの詳細構成」、[インストアッパの製造方法]に分けて説明する。
【0013】
[インストルメントパネルの全体構成]
図1は、実施例1のインストルメントパネルの構成を示す斜視図である。図2は、実施例1のインストルメントパネルの構成を示す断面図である。以下、図1図2に基づき、全体構成を説明する。
【0014】
インストルメントパネル1は、図1に示すように、インストアッパ10と、インストロア50と、で構成される。
【0015】
インストアッパ10は、図2に示すように、芯材11と、表皮20と、発泡層30と、を備える。
【0016】
芯材11は、インジェクション成形された合成樹脂製で、全体としてほぼ均一の肉厚となるように形成される。
【0017】
表皮20は、塩化ビニル製で、全体としてほぼ均一の肉厚となるように形成される。
【0018】
発泡層30は、後述する発泡成形型60内で、発泡剤Sを発泡させることで形成される。発泡剤Sは、液状の樹脂原料に発泡薬を混合した、例えば液状ウレタンなどが使用される。
【0019】
インストロア50は、インジェクション成形された合成樹脂製で、全体としてほぼ均一の肉厚となるように形成される。
【0020】
[インストアッパの詳細構成]
図3は、実施例1のインストアッパのリブを示す拡大図である。図4は、実施例1のインストアッパのリブ部の断面を示す断面図である。以下、図1図3図4に基づき、インストアッパの詳細構成を説明する。
【0021】
インストアッパ10の芯材11は、図1図3図4に示すように、凹溝12と、リブ13を有する。
【0022】
凹溝12は、車両幅方向で芯材11の全域に亘って、意匠面(芯材11の表面)から凹んで形成される。
【0023】
リブ13は、図1に示すように、車両幅方向において、インストアッパ10の中央領域に2つ設けられる。すなわち、リブ13は、インストアッパ10の長手方向中央領域に2つ設けられる。リブ13は、図4に示すように、凹溝12の底部12aから意匠面とは反対側(裏面側)に突出する。
【0024】
[インストアッパの製造方法]
図5は、実施例1の発泡成形型の全体構成を説明する説明図である。図6は、実施例1の芯材の引き込み工程を説明する説明図である。図7は、実施例1の芯材の引き込み工程を説明する説明図である。図8は、実施例1の型締工程を説明する説明図である。図9は、実施例1の発泡成形の型開工程を説明する説明図である。以下、図5図9に基づき、インストアッパの製造方法を説明する。
【0025】
インストアッパ10は、発泡成形型60によって製造される発泡成形品である。
先ず、発泡成形型60の概略構成を説明する。
【0026】
発泡成形型60は、図5に示すように、一方の成形型としての発泡雌型80と、他方の成形型としての発泡雄型70と、引き込み機構90と、クランプとを有している。
【0027】
発泡雄型70は、上型を構成する。発泡雄型70は、芯材11の裏面の形状に沿って形成される。発泡雄型70には、芯材11がセットされる。
【0028】
発泡雌型80は、下型を構成する。発泡雌型80には、インストルメントパネル1の意匠面の形状に沿って形成される。発泡雌型80には、表皮20がセットされる。なお、発泡雌型80は、吸引源に接続される吸引孔を有しても良い。
【0029】
引き込み機構90は、発泡雄型70に備わる。
【0030】
クランプは、発泡雄型70に配置された芯材11の車両幅方向端部をクランプする。
【0031】
次に、引き込み機構を説明する。
引き込み機構90は、図6に示すように、リブ13がセットされる発泡雄型70の位置に形成された溝部71に形成される。
【0032】
引き込み機構90は、スライドプレート91と、挟着プレート92a,92bと、を備える。
【0033】
溝部71は、円筒状の孔で形成される第1の溝(案内溝)72と、第1の溝72より径の大きい第2の溝73と、で構成される。
【0034】
スライドプレート91は、第1の溝72に設置され、油圧により、型締め方向(図6で上下方向)に移動可能とする。挟着プレート92a,92bは、スライドプレート91の先端に軸支される。
【0035】
図6に示すように、挟着プレート92a,92bは、第2の溝73に位置する場合、開状態となる。
【0036】
図7に示すように、スライドプレート91が、型締め方向で上方向(図7で上方向)に移動すると、挟着プレート92a,92bは、第1の溝(案内溝)72の縁により、閉じる方向に移動し、発泡雄型70にセットされた芯材11のリブ13を把持する。スライドプレート91が、型締め方向で上方向に、さらに移動すると、挟着プレート92a,92bがリブ13を把持した状態で、リブ13を発泡雄型70に近づく方向に引き込む。
【0037】
インストアッパ10は、発泡成形型60により、「芯材及び表皮のセット工程」、「芯材の引き込み工程」、「型締工程」、「発泡工程」、「型開工程」を経て製造される。以下、実施例1のインストアッパ10の製造方法を、「芯材及び表皮のセット工程」、「芯材の引き込み工程」、「型締工程」、「発泡工程」、「型開工程」に分けて説明する。
【0038】
(芯材及び表皮のセット工程)
図5に示すように、芯材11を発泡雄型70に配置する。次いで、クランプが芯材11の四隅をクランプする。これにより、芯材11が発泡雄型70にセットされる。この際、発泡雄型70の形状と芯材11の形状(例えば、ボスやリブ等)とによって、車両幅方向と車両前後方向の位置規制がされる。一方、表皮20を発泡雌型80に配置する。
【0039】
(芯材の引き込み工程)
引き込み機構90により、芯材11が発泡雄型70にセットされた状態(図6)から、リブ13を把持して、リブ13が発泡雄型70に近づく方向に引き込まれた状態(図7)になるように、芯材11が移動する。
【0040】
(型締工程)
発泡雄型70が、発泡雌型80に向かって可動し、図8に示すように、発泡雄型70と発泡雌型80を型締めする。この際、表皮20の端末部分21は、リブ13が発泡雄型70に近づく方向に引っ張られながら、芯材11の凹溝12に挿入される。
【0041】
(発泡工程)
発泡雄型70と発泡雌型80が型締めされると、芯材11と表皮20との間に、発泡成形空間31が形成される。発泡剤Sは、発泡成形空間31の中心部へ注入される。発泡剤Sは、発泡薬から発生するガスによって、流動可能な発泡体となる。発泡体は、発泡成形空間31の中心部から周辺部へと広がる。この際、発泡剤Sによる発泡圧によって、表皮20の端末部分21を、芯材11の凹溝12の車両前方側の内壁に圧接させて、発泡成形空間31をシールする。これにより、芯材11と表皮20との間に発泡層30を形成する。
【0042】
(型開工程)
発泡雄型70が、発泡雌型80から離間する方向に可動し、図9に示すように、インストアッパ10を発泡成形型60から取り出し可能とする。
【0043】
次に、作用を説明する。
実施例1の発泡成形品及びその製造方法における作用を「比較作用」、「発泡成形品及びその製造方法の他の特徴的作用」に分けて説明する。
【0044】
[比較作用]
例えば、図10に示すように、芯材511に凹溝512の底部512aから意匠面とは反対側(裏面側)に突出するリブを有さないインストアッパを比較例とする。
【0045】
ここで、芯材は、インジェクション成形されているところ、芯材の変形は、発泡成形型の変形より大きくなる。そのため、芯材を発泡雄型にセットした状態では、図10に示すように、芯材511は、発泡雄型570に対して、浮いた状態(離間した状態)となる。
【0046】
そうすると、発泡雄型570が、発泡雌型580に向かって可動しても、表皮20の端末部分21は、芯材511の凹溝512に適切に挿入されない虞がある。その結果、波打ち等の表皮20の変形を招く。
【0047】
これに対し、実施例1では、表皮20が配置された発泡雌型80と、芯材11が配置された発泡雄型70とを型締めする型締工程と、成形型70,80に注入された発泡剤Sにより、表皮20と芯材11との間に、発泡層30を発泡形成する発泡工程と、を含む。このインストアッパ10の製造方法において、型締工程において、表皮20の端末部分21を、芯材11の意匠面側から凹む凹溝12に挿入し、発泡工程において、発泡剤Sによる発泡圧によって、端末部分21を凹溝12の内壁に圧接して、発泡成形空間31をシールし、芯材11は、該芯材11の裏面側に突出するリブ13を備え、リブ13を発泡雄型70に近づく方向に引っ張りながら、端末部分21を、凹溝12に挿入する工程を含む(図8)。
【0048】
これにより、芯材11を発泡雄型70に近づく方向に引き込むことができる。このため、芯材11の発泡雄型70に対する浮きを抑え、芯材11の発泡雄型70に対するセットばらつきを抑制できる。その結果、発砲成形時のインストアッパ10の表皮の変形を抑制する。
【0049】
[発泡成形品及びその製造方法の他の特徴的作用]
例えば、芯材の長手方向両端部が、クランプ機構により、発泡雄型70に対してクランプされ、芯材11の長手方向中央領域がクランプされていない場合、芯材11の発泡雄型70に対する浮きは、芯材11の長手方向中央領域が最も大きくなる。
【0050】
そのため、芯材11の長手方向中央領域では、表皮20の端末部分21が、芯材511の凹溝512に、適切に挿入されない虞が顕著となる。
【0051】
これに対し、実施例1では、リブ13を、芯材11の長手方向中央領域に設ける(図1)。
【0052】
これにより、芯材11の発泡雄型70に対する浮きが最も大きくなる芯材11の長手方向中央領域を、発泡雄型70に近づく方向に引き込むことができる。このため、芯材11の発泡雄型70に対する浮きを抑え、芯材11の発泡雄型70に対するセットばらつきを抑制できる。その結果、発砲成形時のインストアッパ10の表皮20の変形を抑制する。
【0053】
実施例1では、リブ13は、凹溝12の底部12aから芯材11の裏面側に突出する(図4)。
【0054】
これにより、表皮20の端末部分21が挿入される芯材11の凹溝12を、発泡雄型70に近づく方向に引き込むことができる。このため、凹溝12の発泡雄型70に対するセットばらつきを抑制でき、表皮20の端末部分21を芯材11の凹溝12に適切に挿入することができる。その結果、発砲成形時のインストアッパ10の表皮20の変形を抑制する。
【0055】
実施例1では、芯材11と表皮20とが発泡層30によって一体化されたインストアッパ10において、芯材11の意匠面側から凹む凹溝12であって、表皮20の端末部分21が挿入される凹溝12と、凹溝12の底部12aから芯材11の裏面側に突出するリブ13と、を備える(図4)。
【0056】
これにより、リブ13を発泡雄型70に近づく方向に引っ張り、表皮20の端末部分21が挿入される芯材11の凹溝12を、発泡雄型70に近づく方向に引き込むことができる。このため、凹溝12の発泡雄型70に対するセットばらつきを抑制でき、表皮20の端末部分21を芯材11の凹溝12に適切に挿入することができる。その結果、発砲成形時のインストアッパ10の表皮20の変形を抑制する。
【0057】
実施例1では、リブ13を、芯材11の長手方向における中央領域に設ける(図1)。
【0058】
これにより、芯材11の発泡雄型70に対する浮きが最も大きくなる芯材11の長手方向中央領域を、発泡雄型70に近づく方向に引き込むことができる。このため、芯材11の発泡雄型70に対する浮き確実に抑え、芯材11の発泡雄型70に対するセットばらつきを抑制できる。その結果、発砲成形時のインストアッパ10の表皮20の変形を抑制する。
【0059】
次に、効果を説明する。
実施例1における発泡成形品及びその製造方法にあっては、下記に列挙する効果が得られる。
【0060】
(1)表皮20が配置された一方の成形型(発泡雌型80)と、芯材11が配置された他方の成形型(発泡雄型70)とを型締めする型締工程と、成形型(発泡雄型70,発泡雌型80)に注入された発泡剤Sにより、表皮20と芯材11との間に、発泡層30を発泡形成する発泡工程と、を含む。この発泡成形品(インストアッパ10)の製造方法において、型締工程において、表皮20の端末部分21を、芯材11の意匠面側から凹む凹溝12に挿入し、発泡工程において、発泡剤Sによる発泡圧によって、端末部分21を凹溝12の内壁に圧接して、発泡成形空間31をシールし、芯材11は、該芯材11の裏面側に突出するリブ13を備え、リブ13を他方の成形型(発泡雄型70)に近づく方向に引っ張りながら、端末部分21を、凹溝12に挿入する工程を含む(図8)。
【0061】
このため、芯材11の他方の成形型(発泡雄型70)に対する浮きを抑え、芯材11の他方の成形型(発泡雄型70)に対するセットばらつきを抑制できる。その結果、発砲成形時の発泡成形品(インストアッパ10)の表皮の変形を抑制することができる。
【0062】
(2)リブ13を、芯材11の長手方向における中央領域に設ける(図1)。
このため、芯材11の他方の成形型(発泡雄型70)に対する浮き確実に抑え、芯材11の他方の成形型(発泡雄型70)に対するセットばらつきを抑制できる。その結果、発砲成形時の発泡成形品(インストアッパ10)の表皮20の変形を抑制することができる。
【0063】
(3)リブ13は、凹溝12の底部12aから芯材11の裏面側に突出する(図4)。
このため、凹溝12の他方の成形型(発泡雄型70)に対するセットばらつきを抑制でき、表皮20の端末部分21を芯材11の凹溝12に適切に挿入することができる。その結果、発砲成形時の発泡成形品(インストアッパ10)の表皮20の変形を抑制することができる。
【0064】
(4)芯材11と表皮20とが発泡層30によって一体化された発泡成形品(インストアッパ10)において、芯材11の意匠面側から凹む凹溝12であって、表皮20の端末部分21が挿入される凹溝12と、凹溝12の底部12aから芯材11の裏面側に突出するリブ13と、を備える(図4)。
【0065】
このため、凹溝12の他方の成形型(発泡雄型70)に対するセットばらつきを抑制でき、表皮20の端末部分21を芯材11の凹溝12に適切に挿入することができる。その結果、発砲成形時の発泡成形品(インストアッパ10)の表皮20の変形を抑制することができる。
【0066】
以上、本開示の発泡成形品及びその製造方法を実施例1に基づき説明してきた。しかし、具体的な構成については、これらの実施例に限られるものではなく、特許請求の範囲の各請求項に係る発明の要旨を逸脱しない限り、設計の変更や追加等は許容される。
【0067】
実施例1では、リブ13を2つ設ける例を示した。しかし、リブとしては、1つ設けても、3つ以上設けても良い。
【0068】
実施例1では、リブ13を凹溝12の底部12aに設ける例を示した。しかし、リブとしては、凹溝12に設ける例に限定されない。
【0069】
実施例1では、リブ13を把持して発泡雄型70に近づく方向に引き込む例を示した。しかし、把持される対象は、リブに限定されず、例えばボスであっても良い。
【0070】
実施例1では、芯材の引き込み工程の後に、型締工程を実施する例を示した。しかし、芯材の引き込み工程と型締工程を同時に実施することとしても良い。
【0071】
実施例1では、引き込み機構90をスライドプレート91と、挟着プレート92a,92bとを備える例を示した。しかし、引き込み機構としては、リブを把持して引き込む機構であれば良い。
【0072】
実施例1では、発泡成形品及びその製造方法を、インストルメントパネル1のインストアッパ10に適用する例を示した。しかし、本発明の発泡成形品及びその製造方法としては、ドアトリム、コンソール、ピラー等の様々な車両用内装部品等に適用しても良い。
【符号の説明】
【0073】
10 インストアッパ(発泡成形品の一例)
11 芯材
12 凹溝
12a 底部
13 リブ
20 表皮
21 端末部分
30 発泡層
70 発泡雄型(他方の成形型の一例)
80 発泡雌型(一方の成形型の一例)
S 発泡剤
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10