(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記プラットフォームは、前記乳児の腕が拘束を受けないままにしておくように、前記乳児が前記プラットフォームに乗っている場合に前記乳児の肩の両側に配置された2つの切込みを含む、請求項1乃至8のいずれか一項に記載の装置。
前記プラットフォームは、前記乳児を前記プラットフォーム上に固定するため、及び、前記プラットフォーム上の前記乳児を包むためのハーネスコートを含む、請求項1乃至9のいずれか一項に記載の装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の1つの目的は、乳児が四つん這いの推進に対する自身の最大の腕及び脚の筋活動を表す及び発達させるのを可能にする、乳児の腹這いを支援する装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この問題は、本発明に従い、トレーニング表面の上で乳児の腹這いを支援する装置のおかげで解消され、当該装置は:
− 乳児の胸部を支持する胸部支持表面を含むプラットフォームであり、乳児が腹臥位で乗っているプラットフォームと、
− プラットフォームに回転可能に取り付けられ、さらに、プラットフォームとトレーニング表面との間に位置する回転要素と、
を含み、
乳児の骨盤及び脚がトレーニング表面と接触するように、プラットフォームは、回転要素がトレーニング表面と接触している場合に、プラットフォームの胸部支持表面がトレーニング表面に対して傾斜させられるように形作られている。
【0007】
提案される装置は、胸部を起こし且つ乳児がその前腕を表面上に置くのを可能にしながら、乳児の骨盤及び脚がトレーニング表面と接触したままでいるのを可能にする。結果として、乳児は、その体の上部を重力から解放させながら、その腕及び脚の筋肉の最大の力を使用することによって、トレーニング表面に対して動くことができる。
【0008】
加えて、当該装置は以下の特徴を有してもよい。
− 胸部支持表面は、15°から30°の角度βまで、トレーニング表面に対して傾斜させられる。
− プラットフォームは、
− 回転要素がトレーニング表面と接触している場合にトレーニング表面に対して平行な堅い板と、
− 第1の剛性、並びに、堅い板と接触している下面、及び、下面に対して傾斜させられている上面を有する発泡材料の内部構造と、
− 第1の剛性よりも大きい第2の剛性、並びに、堅い板と接触している下面、及び、下面に対して平行な上面を有する気泡構造と、
− 内部構造の上面を覆う気泡外層と、
を含む。
− プラットフォームは、乳児の頭部を支持するための気泡構造によって形成された頭部支持表面を含み、頭部支持表面は、回転要素がトレーニング表面と接触して当該装置が置かれた場合にトレーニング表面に対して平行である。
− 発泡材料の内部構造は、
− 上面及び下面を含む胸部支持要素と、
− 胸部支持要素と頭部支持要素とをつなぎ、さらに、上面及び下面を含む接合要素と
を含み、
胸部支持要素の上面及び接合要素の上面は気泡外層によって覆われ、胸部支持要素の上面を覆う気泡外層の上面、及び、接合要素の上面を覆う気泡外層の上面は、35°から55°で設定された角度γで傾斜させられている。
− プラットフォームは、当該装置の横転を防ぐための安定化システムを含む。
− 安定化システムは、頭部支持表面の両側から延びる2つの釣合いアームを含む。
− 少なくとも1つの回転要素が、それぞれの釣合いアームに回転可能に取り付けられる。
− それぞれの釣合いアームは、乳児が腹這いを行っている場合に、乳児の腕の動きを妨げないように曲げられる。
− プラットフォームは、乳児の腕が自由なまま且つ拘束を受けないままにしておくように乳児の肩の両側に配置された2つの切込みを含む。
− プラットフォームは、乳児をプラットフォーム上に固定するため、及び、プラットフォーム上の乳児を包むためのハーネスコートを含む。
− ハーネスコートは、重なるように適応するいくつかの可撓性の布材料、及び、重なっている部分を共に接続させる接続要素を含む。
【0009】
本発明は、上記の装置を使用する方法にも関し、当該方法は:
− 乳児の胸部が胸部支持表面の上に乗るように、装置の上に乳児を置くステップ;
− 乳児の腹這いパターンを分析することによって、乳児の腹這いを分析するステップ;
を含む。
【0010】
本発明は、上記の装置を使用する方法にも関し、当該方法は:
− 乳児の胸部が胸部支持表面の上に乗るように、装置の上に乳児を置くステップ;
− 乳児に腹這いを行わせるように乳児を刺激するステップ;
− 刺激に対する乳児の感度及び反応性を測定することによって、乳児の腹這いを分析するステップと、
を含む。
【0011】
本発明は、可動性試験を含む、上記の装置を使用する方法にも関し、当該方法においては3つの以下のステップ、すなわち:
−乳児の胸部が胸部支持表面の上に乗るようにすることによって、装置の上に乳児を置くステップ;
−乳児が、1分から3分の間に含まれる期間の間に腹這いを行うことによって自由に動くままにするステップ;
−乳児の腹這いの特徴及び効率のパラメータを記録するステップ;
が繰り返され、
可動性試験は、上記3つのステップの一連のステップそれぞれの間に休止時間を含む。
【0012】
本発明のあり得る実施形態によると、可動性試験の間に乳児が腹這いを行わない場合に、当該方法は:
− プッシング支持を使用することにより、乳児が腹這いを行うのに受動的に寄与することによって、可動性試験を繰り返すステップであり、プッシング支持は、乳児がプッシング支持内を脚で押すのを可能にする、ステップ;
を含む。
【0013】
本発明のあり得る実施形態によると、プッシング支持を用いて可動性試験の間に乳児が腹這いを行わない場合に、当該方法は:
−乳児から腹這いの動きを開始させるために、乳児を押すことにより、乳児が腹這いを行うのに能動的に寄与する、及び、プッシング支持を維持することにより、乳児を受動的に援助することによって、可動性試験を繰り返すステップ;
を含む。
【0014】
加えて、上記2つの方法は以下のように、すなわち:
− 乳児に動きの幻影を与えるように、乳児の周りに視覚フローを投影する、
− 乳児にとって腹這いの難度を上げる又は下げるように、トレーニング表面の勾配を修正する、
− 乳児に腹這いを行う動機を与えるように、音楽、母親の声、移動物体及び/又は匂いとしての動機付け要因を使用する、
− トレーニング表面に対する乳児の足の粘着性を上げるように、乳児によって着用される粘着性靴下を使用する、
ように実行されてもよい。
【0015】
本発明は、以下の図面を参考にして記載される。
【発明を実施するための形態】
【0017】
装置の構造
図1、2及び3において例示されている第1の実施形態によると、当該装置は、トレーニング表面3の上に置かれるプラットフォーム1、及び、プラットフォーム1に回転可能に取り付けられる回転要素を含む。回転要素9は、プラットフォームとトレーニング表面との間に置かれている。使用中、乳児2は、プラットフォーム1の上に腹臥位で置かれる。
【0018】
第1の実施形態によると、当該装置は、軽くて堅い材料から作製された内面構造Sも含み、内面構造Sは、堅い板4、及び、軽くて堅い材料の内面構造を覆う低い剛性の気泡外層8と接触している。
【0019】
軽くて堅い材料は、剛性と重さとの最高の折衷を有するために、発泡ポリスチレンのような発泡材料である。
【0020】
内面構造Sは、剛性と重さとの最高の折衷を有するために、軽くて堅い材料から作製される。実際、内部構造は、可能な限り軽くありながら、乳児2の重さを支持するのに十分抵抗力がなければならない。
【0021】
第1の実施形態によると、当該装置は、堅い板4及び軽くて堅い材料の内部構造Sと接触した低い剛性の気泡構造6も含む。
【0022】
板4は、長方形の形状を有し、さらに、アルミニウム等の堅い材料から作製される。板4は、上面41及び底面42を含む。板4は、プラットフォーム1に対する土台を形成する。
【0023】
軽くて堅い材料の内面構造Sは、胸部支持要素5及び接合要素7を含む。
【0024】
胸部支持要素5は、乳児の胸部を支持するように配置される上面、及び、板4の上面41と接触する下面を含む。
【0025】
接合要素7は、胸部支持要素5と低い剛性の気泡構造6とをつなぐ。接合要素7は、外層8である、乳児の頭部も支持する上面、及び、板4の上面41と接触する下面を含む。より正確には、接合要素7の上面は、乳児の顎を支持する。
【0026】
外層8は、胸部支持要素5の上面及び接合要素7の上面の上に置かれる低い剛性の気泡から作製されたコンフォート層である。コンフォート層8は、非常に敏感である乳児の皮膚の刺激を最小限にする。
【0027】
低い剛性の気泡構造6は、乳児の頭部を支持する上面、及び、板4の上面41と接触する下面を含む頭部支持要素を形成する。より正確には、上面は、乳児の顔を支持するように配置される。
【0028】
回転要素9は、360度回転することができるように、板4の底面42の下に回転可能に取り付けられる。当該装置が使用中のときは、回転要素9は、板4とトレーニング表面3との間に位置している。回転要素9は、乳児2がその脚及び/又は腕を用いてトレーニング表面上を押した場合に、プラットフォーム1がトレーニング表面3の上でいかなる方向においても回転するのを可能にする。回転要素の高さは最小であり、乳児がその肘及び/又は手を表面3の上に不自由なく置く可能性と両立し得るように当該装置の全高さを維持している。従って、トレーニング表面3と堅いプラットフォームとの間の回転要素9の高さは、1cmよりも低くなければならない。第1の実施形態において、回転要素9の高さは9mmである。
【0029】
プラットフォーム1は、低い剛性の気泡構造6の両側から延びる2つの釣合いアーム10を含む安定化システムも含む。安定化システムは、プラットフォーム1が横転するのを防ぐ。
【0030】
第1の実施形態によると、プラットフォーム1は、胸部支持表面100、頭部支持表面101及び接合表面102を有する。
【0031】
胸部支持表面100は、プラットフォーム1の上に乗っている乳児2の胸部を支持する。胸部支持表面100は、胸部支持要素5の上面を覆うコンフォート層8の一部によって作製されている。
【0032】
頭部支持表面101は乳児の頭部を支持する。頭部支持表面101は、トレーニング表面に対して平行である。頭部支持表面101は、低い剛性の気泡構造6によって形成される頭部支持要素の上面によって形成されている。
【0033】
接合表面102は、胸部支持表面100と頭部支持表面101とをつなぐ。接合表面102は、接合要素7の上面を覆うコンフォート層8の一部によって作製されている。
【0034】
乳児2を支持することによって、当該装置は、自然な腹這いの主な阻害因子である、腕の動き及び前方への推進を阻止する頭部及び胸部に対する重力の作用を無効にする。実際、乳児2が腹臥位でプラットフォーム1の上に置かれている間、乳児は、骨盤及び脚をトレーニング表面と接触したまま維持して、推進のための脚の力を最大にしながら、動くために自身の頭部及び胸部の重さを支えることはない。
【0035】
回転要素9がトレーニング表面3と接触している場合、板4は、トレーニング表面3に対して平行に延びている。
【0036】
胸部支持要素5の傾斜させられた上面及び水平の下面は、15°から30°の角度βを形成する。有利に、βは約23°である。回転要素9がトレーニング表面3と接触している場合、胸部支持要素5の上面を覆うコンフォート層8は、角度βを有してトレーニング表面3に対して傾斜させられる。この角度βは、乳児2が、その骨盤及び脚をトレーニング表面3と接触させるのを可能にする。胸部支持要素5の上面の長さは、乳児2が胸部支持要素5の上面によって支持され、さらに、その骨盤及び脚をトレーニング表面3と接触させる場合に乳児の前腕がトレーニング表面3と接触するように、乳児2のサイズに適応する。乳児2が、自身の重さを支えずに、その骨盤、脚及び前腕をトレーニング表面3と接触させるという事実は、乳児2が、自身の力によって腹這いを行い且つ動くのを可能にし、従って、運動力及び運動協調性のようなその運動能力を発達させている。
【0037】
低い剛性の気泡構造6の上面は、回転要素9がトレーニング表面と接触して装置1が置かれる場合に、板4の上面41に対して平行であり、従って、トレーニング表面3に対しても平行である。
【0038】
接合要素7は、35°から55°の角度γを有して胸部支持要素5の上面に対して傾斜させられる。有利にγは約45°である。この角度γは、乳児が腹這いを行う場合にその首の筋肉に負担をかける必要がないように、頭部支持要素の上面が乳児の頭部を支持するのを可能にする。そのような接合要素7を有して、プラットフォーム1は、非常に弱い首の筋肉を有する新生児及び運動遅滞の乳児を支援するために使用することができる。別の実施形態において、接合要素7は、乳児の頭部の動きに従うために、胸部支持要素5に回転可能に取り付けることができる。
【0039】
接合7の上のコンフォート層8の圧縮性は、コンフォート層8の厚さが、層自体を乳児の首及び頭部に適応させて、装置1を使用することができる異なる乳児2のサイズに角度γを調整するような圧縮性である。実際、角度γの値は、乳児の首及び頭部に対して優れた支持を提供する。
【0040】
軽くて堅い材料は、20kg/m
3から35kg/m
3の間に含まれる密度を有し、さらに、低い剛性の気泡は、約40kg/m
3の密度を有する。
【0041】
軽くて堅い材料の密度は、有利に、乳児の重さ(従って月齢)に従い適応させることができる。例えば、軽くて堅い材料は、新生児に対して約28kg/m
3の密度、及び、より月齢が大きい乳児に対して約32kg/m
3の密度を有してもよい。
【0042】
回転要素9は、当該装置が、トレーニング表面に対して平行のいかなる方向においても動くのを可能にするように構築される。非限定的な例において、回転要素9はトラックボールである。
図1乃至3において例示されている例においては、装置1は、10のトラックボールを含む。回転要素は、装置1の安定性を最大にするように板4の底面の下に配置される。
【0043】
2つの釣合いアーム10は、装置が横転するのを防ぐために、頭部支持要素6の両側から対称的に置かれる。少なくとも1つの回転要素9が、それぞれの釣合いアーム10の下に取り付けられ、好ましくは、2つの回転要素9が、それぞれの釣合いアーム10の下に取り付けられる。釣合いアーム10は、乳児の頭部のレベルにて置かれ、さらに、釣合いアーム10は、乳児2が腹這いを行っているときに乳児の腕の動きを妨げないように曲げられている。
【0044】
乳児2をプラットフォーム1に固定するために、プラットフォーム1はハーネスコートを含む。ハーネスコートは、重なるように適応するいくつかの可撓性の材料、及び、重なっている部分を共に接続させる接続要素を含む。非限定的な例において、ハーネスコートは、3つの布切れ及び2つの弾性のサスペンダーを含む。ハーネスコートは、プラットフォームの上に置かれた場合に乳児2を覆い、さらに、板4の底面も覆う。ハーネスコートは、乳児の母親の腕の締付けを再現するために、乳児2の周りにしっかり張られる。これは、装置1を使用した場合に乳児2が確信し且つ快適に感じるのを可能にする。
【0045】
図4a及び4bを参照すると、本発明の第2の実施形態によるプラットフォーム1は、2つの切込み11を形成する胸部支持要素5及びコンフォート層8を含む。切込み11は、乳児の肩のレベルにて、胸部支持要素5及びコンフォート層8の両側に位置している。切込み11は、乳児の動きを促進し且つ腹這いを乳児にとってより容易にするために、乳児の腕を拘束を受けないままにしている。
【0046】
腹這いの間に行われた乳児の動きを分析するために、(三次元に対する)3Dキャプター(captor)及びカメラが、乳児の動きを記録するように使用される。3Dキャプターは、(例えば、脚及び腕の関節、頭部及び胴等)乳児の腹這いを分析するのに興味深い乳児の体の一部の上に置かれる。乳児の記録された動きは、コンピュータ装置によって処理され、従って、3D又は2D分析を進めることができる。
【0047】
当該装置を使用する方法
どのようにして新生児及び乳児はその動作を異なる環境の刺激に適応させることができるのか、及び、相互に、どのようにして自身の動作がその環境の認知の発達を調査することができるのかを理解するために、当該装置を使用する第1の方法は、
図5aにおいて表されているように:
− 乳児2の胸部が胸部支持表面100の上に乗るように、乳児2が当該装置の上に置かれるステップA;
− 乳児の腹這いが、乳児の腹這いパターンを分析することによって分析されるステップC;
を含む。
【0048】
乳児の腹這いパターンの分析は、例えば、乳児2によって移動された距離を測定することによって、及び/又は、腹這いの動きの間の乳児2の脚及び腕の協調性を分析することによって達成することができる。
【0049】
当該装置の上に置かれた場合に、乳児2は、自由に動くことができ、従って、当該装置の上に置かれた場合の乳児の自発的な反応を分析することが可能である。さらに、刺激された場合の乳児に対する反応を分析することも可能である。
【0050】
図5bにおいて例示されている第1の方法の異形によると、当該方法は:
− 乳児2の胸部が胸部支持表面100の上に乗るように、乳児2が当該装置の上に置かれるステップA;
− 乳児2に腹這いを行わせるように、乳児2が刺激されるステップB;
− 乳児の腹這いパターンが、刺激に対する乳児2の感度及び反応性を測定することによって分析されるステップC´;
を含む。
【0051】
乳児2が腹這いを行うよう仕向けるために使用される刺激は、(例えば乳児の母親の顔等の)視覚、(例えば乳児の母親の声等の)聴覚、又は、(例えば乳児の母親の臭い等の)嗅覚の様式で与えることができる。刺激は、視覚、聴覚及び/又は嗅覚の刺激を組み合わせることによる多様式でもあり得る。
【0052】
この第1の方法の異形において、乳児の腹這いパターンの分析は、例えば、刺激に向かって乳児2によって移動された距離を測定することによって、腹這いの動きの間の乳児2の脚及び腕の協調性を分析することによって、並びに/又は、刺激に関する乳児2の方向付けを測定することによって達成することができる。
【0053】
当該装置の上に置かれた場合に、乳児2は、自由に動くことができ、従って、乳児2は、刺激に向かって動くことによって、並びに/又は、その推進のパターンを修正することによって、及び/若しくは、その推進の速度を上げることによって、乳児の前に与えられるいかなる刺激に対しても自由に反応することができる。これらの変化のうち全てが、乳児による環境における刺激の認知と、乳児の可動性との結合の統合性に対する情報を与えている。さらに、これらの変化の全てが、乳児2が、例えば母親の顔等、その環境を識別するだけでなく、母親の顔に向かった適切な目標指向の可動を行うかどうかを明らかにすることができる。
【0054】
そのような方法は(例えば、自身を前進させ且つその体を母親の顔に向かって方向づけることによって)、母親の顔に応答して、新生児が完全な新たな動作を開始させるかどうかを明らかにする。そのような情報は、母親の顔に対する新生児の反応を検出しようと試みる、心拍数、眼の動き、頭の動き、及び/又は、脳の活動に基づく顔の識別に対する研究によって得ることはできない。
【0055】
さらに、そのような方法は、多数の領域、視覚、前庭、触覚等における認知の発達に対する、乳児2が当該装置の上で能動的に自身を動かすことに対して、その上で受動的に動かされることの異なる作用について調査するのを可能にする。この調査は、乳児2の発達における、特に、運動遅滞を生じるリスクを有する乳児2の発達における能動的な動き対受動的な動きの役割を探究するために重要である。
【0056】
図6において表わされている当該装置を使用する第2の方法によると、当該装置を使用する方法は可動性試験を含む。可動性試験は、繰り返される3つの以下のステップ、すなわち:
− 乳児(2)の胸部が胸部支持表面(100)の上に乗るようにすることによって、乳児(2)が当該装置の上に置かれるステップA;
− 乳児(2)が、1分から3分の間に含まれる期間、好ましくは2分の間に腹這いを行うことによって自由に動くままにするステップD;
− 乳児の腹這いの特徴及び効率のパラメータが記録されるステップE;
を含む。可動性試験は、3つのステップA、D及びEの一連のステップそれぞれの間に休止時間を含む。この休止時間は、好ましくは、4分から6分、より好ましくは5分を含む期間である。好ましい実施形態において、可動性試験は、ステップA、D及びEの一連のステップを3回含む。
【0057】
好ましい実施形態において、乳児の腹這いの特徴パラメータは、腹這いの間に移動した距離、体、頭部並びに脚及び腕の関節全ての動きの(3次元、x、y、zに対する)3Dスコア若しくは(2次元、x、yに対する)2Dスコア、腹這いの間に乳児2によって行われた脚及び腕のステップの数、並びに/又は、腹這いの間に乳児によって行われる各ステップでの脚(股及び膝)並びに腕(肩及び肘)の関節の屈曲及び伸びの振幅並びに角速度である。
【0058】
好ましい実施形態において、乳児の腹這いの効率パラメータは、ステップDでの乳児によって移動された距離、乳児の動きの対称性、及び/又は、脚、腕、頭及び胴の動きの協調性において評価される。
【0059】
特徴及び効率のパラメータは、3Dキャプター及びカメラを使用することによって得られ、キャプターは、腹這いの間の乳児2によって行われる動きを記録するように、乳児2の体の一部に置かれる。乳児の動きがコンピュータ装置に記録される場合、乳児の動きを、3D又は2Dで分析することができる。3D又は2Dのスコアは、乳児2の体の一部に配置されたそれぞれの3Dキャプターによる移動した距離の平均をとることによって得られる。
【0060】
当該装置を使用する第2の方法において、可動性試験の間に乳児2が腹這いを行わない場合に、当該方法は:
− プッシング支持を使用することにより、乳児2が腹這いを行うのに受動的に寄与することによって、可動性試験が繰り返されるステップFであり、プッシング支持は、上記の乳児2がプッシング支持内を脚で押すのを可能にする、ステップF、
を含む。プッシング支持は、上記の乳児2の足に対して垂直な、乳児2の親の手又は乳児2の足にて設置される小さい板であり得る。プッシング支持は、トレーニング表面3に対するより優れた掴みを、上記のトレーニング表面3上での推進を促進するように乳児2に提供するために使用される。ステップFにおいて与えられる援助は受動的であり:従って、乳児2の動きは、自身の力によってのみ達成される。
【0061】
当該装置を使用する第2の方法において、プッシング支持を用いてさえも可動性試験の間に乳児2が腹這いを行わない場合に、当該方法は:
− 乳児2から腹這いの動きを開始させるために、乳児2を押すことにより、乳児2が腹這いを行うのに能動的に寄与する、及び、プッシング支持を維持することにより、乳児2が腹這いを行うのに受動的に寄与することによって、可動性試験が繰り返されるステップGを含み得る。乳児に与えられる能動的な寄与は、乳児2及び当該装置を押し、従って、乳児の腹這いを開始させるように交互の様式で、プッシング支持を用いて乳児の足に与えられる動きの推進を含み得る。反対に、プッシング支持が乳児のそれぞれの足の後ろに置かれるだけであるステップFにおいて与えられる受動的な寄与は、ステップGにおいて与えられる能動的な寄与において、乳児のそれぞれの足の後ろに置かれたプッシング支持が使用されて、動きの推進が与えられる。さらに、推進が当該装置に与えられた後でも乳児2に腹這いを行わせておくために、プッシング支持は、上記の乳児2に対して、腹這いを促進するように受動的に使用される。
【0062】
乳児の腹這いの特徴及び効率のパラメータは、ステップE、F又はGの間に記録され、腹這いのパラメータ全てを分析することだけでなく、乳児2によって行われる体全ての動きの協調性を分析することも可能にしている。そのような協調性分析は、運動遅滞の発生のリスクを検出するために、特に、新生児のために重要である。腕、脚又は頭の動きが別々に分析される既知の方法は、乳児2の異なる手足の動きの協調性を分析することができない。
【0063】
第1及び第2の方法は複数の異形を有する。より正確には、第1及び第2の当該装置を使用する方法の効率を上げるために、上記の第1及び第2の方法は、以下のステップ、すなわち:
− 乳児2に動きの幻影を与えるように、乳児2の周りに視覚フローが投影されるステップ;
− 上記の乳児2にとって腹這いの難度を上げる又は下げるように、トレーニング表面3の勾配が修正されるステップ;
− 上記の乳児2に腹這いを行う動機を与えるように、音楽、母親の声、移動物体及び/又は匂いとしての動機付け要因が使用されるステップ;
− トレーニング表面3に対する上記の乳児2の足の粘着性を上げるように、上記の乳児2によって着用される粘着性靴下が使用されるステップ;
のうち少なくとも1つを含む。
【0064】
視覚フローの投影は、乳児2の環境認知を修正し、異なる方向において動く、及び/又は、異なる速度で動くという幻影を乳児に与える。
【0065】
トレーニング表面3の勾配の修正は、乳児の能力に腹這いの難度を適応させることを可能にする。
【0066】
音楽、母親の声、物体の動き及び/又は匂いとしての動機付け要因は、例えば乳児を呼ぶ母親に向かう腹這い等、乳児2に腹這いを行う動機を与えることを可能にする。
【0067】
粘着性靴下の使用は、トレーニング表面3に対する掴みを強化することによって、乳児2に対する腹這いを促進する。
【0068】
そのようなステップは乳児2の腹這いを促進し、さらに、そのようなステップは、腹這いを達成するために、少ない重さ、少ない筋緊張(muscular tone)を有する、又は、(例えば脳性麻痺等の)脳の問題を示す乳児にとって非常に重要であり得る。
【0069】
実験結果
乳児による当該装置の使用の効果を試験する実験を行った。
【0070】
この実験は、三人の典型的な乳児(1週間の週齢の三人の新生児)に対して行った。三人の乳児のそれぞれを出生時から1ヶ月間、1日あたり5分のトレーニングリズムで、小児科医のマットの上で回転する本発明による装置を用いて訓練させた。
【0071】
三人の乳児のそれぞれを、1ヶ月のトレーニングセッションの終わりにて、次に、3ヶ月の月齢にて、次に、5ヶ月の月齢にて、当該装置上のその腹這い能力、並びに、空中でのステップ及び触知できる直立のステップに対して試験した。
【0072】
そのような実験は、訓練した乳児と、訓練していない同じ月齢の乳児との間で技能を比較するのを可能にする。
【0073】
さらに、整骨医−理学療法士が、いかなる異常も検出するために、トレーニングの終わりにて三人の乳児のそれぞれを検査した。整骨医−理学療法士は、本発明による装置の上に置かれた三人の乳児も検査した。
【0074】
トレーニングは、それぞれの乳児の母親によって行い、母親は、それぞれの毎日のトレーニングセッションにて、乳児によって踏破された距離、乳児の気づき、乳児の泣き声及び乳児の行動を記録した。さらに、週に一度、母親はトレーニングのビデオを記録した。
【0075】
さらに、乳児及びその母親のそれぞれの訪問にて、乳児の感覚運動発達を分析し、さらに、母親は、質問事項に答えなければならなかった。
【0076】
実験によって、以下のことが示された。
− 本発明による装置は、乳児に対して使用し易い。
− 乳児は、哺乳の前に訓練したため、主に、トレーニングの初めに泣く。
− 母親の手は、乳児が脚を用いて押すのに寄与するために、乳児の足に対する優れたサポートであると思われる。最良の方法は、片方の足の後ろに片方の手を使用して、乳児が脚の交互の動きをするのに寄与することである。
− 乳児は、1ヶ月で約100メートル(毎日0.5メートルから6メートル)腹這いを行った。
− 整骨医−理学療法士が乳児を検査し、問題は検出されなかった。それとは反対に、整骨医−理学療法士は、乳児の筋肉の緊張及び対称性が増加したということがわかった。
− 訓練した乳児は、訓練していない乳児よりも優れた頭の運び及び優れた胴の緊張を有した。
− 種々の月齢にて試験した自発的な腹這いにおける脚及び腕の動きの数に対しては、訓練した乳児と訓練していない乳児との間には有意な差はない。しかし、移動した距離は、(母親の手のような)支持が乳児の足の後ろで使用された場合に、訓練していない乳児よりも訓練した乳児に対してはるかに長く、これは、トレーニングの終わりにて、さらに、乳児がそのトレーニングを止めた2ヶ月後でさえも明白である。
− さらに、トレーニングは、出生時、1ヶ月、3ヶ月及び5ヶ月の間で、乳児の脚及び腕の関節の動きの3Dスコアの進行に対して効果を有した。訓練していない乳児に比較すると、それぞれの訓練した乳児は、特に、出生時と、1.5ヶ月の月齢でのトレーニング直後の間、及び、3ヶ月と5ヶ月の月齢の間で、3Dスコアにおける能力のより高い増加曲線を有する。
− トレーニングは、空中歩行(水泳に近い活動)に対して効果を有した。この結果は、当該装置を用いたトレーニングが、脚の協調性を上げるということを示唆しているため、興味深い。
− トレーニングは、二足歩行に対して効果を有さず、訓練した乳児の結果は、訓練していない乳児の結果よりも優れてはいなかった。1ヶ月間の5分の毎日のトレーニングは、乳児の重さを支える脚の伸筋を訓練するには十分ではないと思われる。
【0077】
三人の訓練した乳児の3Dスコアの平均増倍率、及び、40人の訓練していない乳児の3Dスコアの平均増倍率を表す
図7a及び7bにおいて例示されているように、トレーニングは、乳児の腹這い能力を高める傾向がある。さらに、3Dスコアの増倍率は、3から5ヶ月間訓練した乳児に対して依然として優れている一方、トレーニングは、この月齢にて終了した。3Dスコアの増倍率は、ある日とそれより前の日との間の3Dスコアの増加を表している。例えば、1.5ヶ月での3Dスコアの増倍率は、出生時及び1.5ヶ月の3Dスコア間の増倍率であり、さらに、3ヶ月での3Dスコアの増倍率は、1.5ヶ月及び3ヶ月の3Dスコア間の増倍率である。
【0078】
図8a及び8bにおいて例示されているように、訓練した乳児は、明らかに、(トレーニングの終わりの)1.5ヶ月から3ヶ月まで、訓練していない乳児よりも長い距離、腹這いを行っている。有効な移動距離は、1つの方向だけに従い且つ1分の間の乳児によって移動された距離である。絶対的な移動距離は、方向は何であれ、1分の間に乳児によって移動された距離である。有効な移動距離に対して、
図8aにおいて例示されているように、5ヶ月後でさえも、訓練した乳児は、依然として、訓練していない乳児よりも長い距離、腹這いを行っている。