【文献】
Cheng Li et al.,Correction of Excitation Profile in Zero Echo Time (ZTE) Imaging Using Quadratic Phase-Modulated RF Pulse Excitation and Iterative Reconstruction,IEEE TRANSACTIONS ON MEDICAL IMAGING,2014年 4月,VOL. 33, NO. 4,pages 961-969
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記少なくとも一つのコントローラはさらに、前記パルス・シーケンスを使って得られたデータに基づいて、主磁場の不均一性の画像を生成するよう構成されている、請求項1記載の低磁場MRIシステム。
前記少なくとも一つのコントローラはさらに、前記パルス・シーケンスの間に得られたデータおよび前記主磁場の不均一性の画像に基づいて、撮像される被験体の画像を生成するよう構成されている、請求項10記載の低磁場MRIシステム。
【発明を実施するための形態】
【0016】
MRIスキャナ市場では圧倒的に、高磁場システムが主流であり、医療用または臨床用MRI用途については完全にそうである。本稿での用法では、「高磁場」は一般には現在臨床場面で使われているMRIシステムを、より具体的には1.5T以上の主磁場(すなわちB0場)で動作するMRIシステムを指す。ただし、0.5Tから1.5Tの間で動作する臨床システムも典型的には「高磁場」と考えられる。対照的に、「低磁場」は約0.2T以下のB0場で動作するMRIシステムを指す。
【0017】
高磁場MRIシステムの魅力は、より低磁場のシステムに対して改善された解像度および/または短縮されたスキャン時間を含む。このことは、臨床用および医療用のMRI応用で使うためのますます高い磁場強度に押し進む動機となる。しかしながら、上記で論じたように、MRIシステムの磁場強度を増すことは、MRIスキャナのコストおよび複雑さを増すことになり、その利用可能性を制限し、汎用および/または一般に利用可能な撮像ソリューションとしての使用を妨げる。
【0018】
低磁場MRは、撮像以外の研究目的および狭くて特定的な造影撮像用途について限られたコンテキストにおいて探求されてきたが、従来は臨床上有用な画像を生成するには不適と見なされていた。たとえば、解像度、コントラストおよび/または画像取得時間は一般に、組織区別、血流もしくは灌流画像化、拡散強調(DW: diffusion-weighted)もしくは拡散テンソル(DT: diffusion tensor)撮像、機能的MRI(fMRI)を含むがそれに限られない臨床目的のために好適であるとは見なされない。低磁場MRIを使って臨床上有用な画像を得ることにおける困難の少なくとも一部は、一般的に言って、高磁場MRIのために設計されたパルス・シーケンスは下記でより詳細に論じる理由により、低磁場環境では好適でないという事実に関係している。
【0019】
手短かに言うと、MRIは撮像されるべき被験体(たとえば患者の全体または一部)を静的で均質な磁場B
0の中に配置し、被験体の原子の正味の磁化(しばしば正味の磁化ベクトルによって表現される)をB
0場の方向に揃えることに関わる。次いで、一つまたは複数の送信コイルが使われて、磁場B
0における原子の原子スピンの歳差のレートに関係した周波数をもつパルス磁場B
1を生成し、それにより原子の正味磁化がB
0場の方向に対して横方向の成分を発達させる。B
1場がオフにされた後、正味磁化ベクトルの横成分が歳差運動し、その大きさが時間とともに減衰し、しまいには正味磁化はB
0場の方向と再び整列する。この過程がMR信号を生じさせ、それがMRIシステムの一つまたは複数の受信コイルに誘起される電圧によって検出できる。
【0020】
さらに、MRIは、主磁場B
0に傾斜を誘起する傾斜コイルを使うことに関わる。それにより、被験体内の特定の空間位置から発するMR信号が識別されうる(すなわち、傾斜コイルは検出されるMR信号を空間的にエンコードするために使われる)。部分的には送信コイル(単数または複数)および/または傾斜コイルを「パルス・シーケンス」と称される特定のシーケンスにおいてパルス作動させ、パルス・シーケンスによって誘起されたMR信号を受信コイル(単数または複数)を使って感知することにおいて、MR画像が形成される。検出されたMR信号は次いで、画像を形成するために処理され(たとえば「再構成され」)てもよい。パルス・シーケンスは一般に、被験体の磁化を準備し、結果として生じるMRデータを収集するために送信/受信コイルおよび傾斜コイルが動作する順序およびタイミングを記述する。たとえば、パルス・シーケンスは、送信パルス、傾斜パルスおよび受信コイルがMRデータを収集する収集時間の順を示してもよい。
【0021】
高磁場MRIについては多数のパルス・シーケンスが開発されているが、高磁場MRIのために定義されたパルス・シーケンスは低磁場環境での適用には不適である。高磁場および低磁場MRIの動作パラメータにおける有意な差、特に信号対雑音比(SNR)における実質的な低下のため、低磁場MRIに好適なパルス・シーケンスの設計への異なるアプローチを必要とする。発明者らは、低磁場環境のさまざまな欠点に対処するとともに、低磁場MRIの収集時間を短縮し品質を改善するために他のものを利用する、低磁場MRIについて特に設計されたパルス・シーケンスを開発した。通常の高磁場MRIパルス・シーケンスおよび発明者らによって開発された低磁場MRIパルス・シーケンスの動作パラメータにおける有意な違いは後述する表1および表2に示されている。さらに、発明者らは、それぞれ低磁場コンテキストでは固有の一組の事情があるT
1強調およびT
2強調撮像、拡散強調撮像、動脈スピン標識付け(arterial spin labeling)(灌流画像化)、オーヴァーハウザー撮像などといった種々のコントラスト型についての低磁場MRIのためのパルス・シーケンスを開発した。
【0022】
MR信号の信号対雑音比は主磁場B
0の強さに関係しており、これが、臨床システムを高磁場領域での動作に駆り立てる主要な要因の一つとなっている。よって、低磁場でのMR信号強度は相対的に言って小さく、パルス・シーケンスの設計を枢要にしている。発明者らは、SNRを高めるおよび/またはMRデータ収集のための時間を短縮することで、(たとえば解像度を改善すること、満足のいく収集時間を可能にすることなどにより)改善された低磁場MRIを容易にするパルス・シーケンスを開発した。これについてはのちにより詳細に論じる。
【0023】
上記で論じたように、低磁場MRIの小さなSNRは、低磁場MRIを実行する際のかなりの困難となる。低いSNRに対処するための技法は、特定の空間エンコードについてのMRデータ収集を複数回繰り返し(たとえば同じまたは同様の動作パラメータを用いてパルス・シーケンスを反復することによって)、結果として得られたMR信号を平均することである。しかしながら、平均はSNRを改善するが、反復収集は合計収集時間を伸ばす。この問題に対処するため、発明者らは、収集されたMR信号の信号対雑音比を高めるために平均を用いるが、そのような平均処理が高速に実行されることを許容し、それにより画像を取得するための全体的な時間の長さを短縮するいくつかの「高速平均」パルス・シーケンスを開発した。そのような高速平均パルス・シーケンスは、結果として、低SNR(たとえば低磁場)環境における改善されたMR撮像につながる。本稿では、用語「平均」は、絶対平均(たとえば普通の平均)、重み付けされた平均または複数の収集からのMRデータを組み合わせることによってSNRを高めるために使用できる他の任意の技法を含む、信号を組み合わせるための任意の型の方式を記述するために使われる。
【0024】
発明者らは、高速平均パルス・シーケンスの好適なクラスがゼロ・エコー時間パルス・シーケンスを含むことを認識した。発明者らは、低磁場コンテキストにおける使用および/または最適性能のために特に設計された、本稿で低磁場ゼロ・エコー時間(LF-ZTE)パルス・シーケンスと称されるパルス・シーケンスを開発した。LF-ZTEパルス・シーケンスは、比較的小さなフリップ角(たとえば15度から50度までの間のフリップ角)を誘起するRFパルスを含んでいてもよい。これは、対応する、より短い緩和時間のおかげで、複数の収集の、より速い平均処理を許容し、よって、相続く収集の間の時間が短くなる。より迅速な個々の収集は、複数の収集が速く平均されることを許容する。さらに、下記でより詳細に述べるように、LF-ZTEパルス・シーケンスでは、受信コイル(単数または複数)はパルス・シーケンス内でより長い期間にわたって動作し、MR信号を受信することができ、得られる信号の量が増し、収集のSNRが高まる。その結果、所望されるSNRを達成するために必要とされる、MR信号を平均する反復の数がより少なくなる。よって、いくつかの実施形態では、低磁場MRIシステムは、一つまたは複数のLF-ZTEパルス・シーケンスに従って動作するよう構成された一つまたは複数のコンポーネント(たとえば一つまたは複数の送信コイル、一つまたは複数の受信コイル、一つまたは複数の傾斜コイルなど)を含んでいてもよい。これについてはのちにさらに詳細に論じる。
【0025】
低磁場コンテキストにおける使用および/または最適性能のために特に設計された、発明者らによって開発されたもう一つの型の高速平均パルス・シーケンスは、低磁場再集束(LFR)パルス・シーケンスである。再集束パルス・シーケンスは、磁化を既知の状態に再集束させるよう構成されたパルス・シーケンス部分をもつことによって特徴付けられる。たとえば、LFRパルス・シーケンスは、正味磁化ベクトルの大きなフリップ角(たとえば30度より大きな、より好ましくは約70度以上のフリップ角)を誘起する少なくとも一つのRFパルスと、緩和の期間後に正味磁化ベクトルを同じ大きなフリップ角に向けて駆動する再集束フェーズとを含んでいてもよい。該緩和期間中に収集が行なわれる。再集束段は、パルス反復期間の継続期間を通じた各傾斜場の強さの和が実質的にゼロである(またはほぼゼロであることが意図される)ような強さおよび極性をもつ傾斜場を加えることを含んでいてもよい。たとえば、再集束フェーズの間に加えられる傾斜場は、パルス反復期間のエンコード・フェーズの間に加えられる傾斜場と等しく、逆向きであってもよい。そのようなシーケンスは「均衡」している(balanced)と称される。
【0026】
LFRパルス・シーケンスは、相続くMRデータ収集の間で正味磁化がB0場と整列するのを待つことを要求しない(すなわち、相続く収集を得るために、横磁化ベクトルが減少して0になるのを待つ必要がない)。このように、相続く収集がより素速く実行でき、このことは複数の収集の迅速な平均処理を(かかる平均処理が実行される限りにおいて)許容する。いくつかの実施形態は、本稿で低磁場均衡定常状態自由歳差(LF-bSSFP)パルス・シーケンスと称される低磁場コンテキストにおいて使うための、発明者らによって開発された均衡パルス・シーケンスを含む。該パルス・シーケンスのいくつかの例はのちにより詳細に述べる。よって、いくつかの実施形態では、低磁場MRIシステムは、一つまたは複数のLFR(たとえばLF-bSFFP)パルス・シーケンスに従って動作するよう構成された一つまたは複数のコンポーネント(たとえば一つまたは複数の送信コイル、一つまたは複数の受信コイル、一つまたは複数の傾斜コイルなどを駆動するよう構成された制御コンポーネント)を含んでいてもよい。これについてはのちにさらに詳細に論じる。
【0027】
一般に、パルス・シーケンスの適用において、送信コイル(単数または複数)がRF励起パルスを送信するのを止める時刻と受信コイル(単数または複数)が被験体からのMR信号を正確に検出できる時間との間には時間遅延がある。この遅延は、多分にいわゆる送信コイルの「リンギング(ringing)」に起因する。それによりコイルは送信されるRFパルスからエネルギーを吸収し、その後、コイル結合のため「鳴動する」(ring)(たとえば、吸収されたエネルギーがコイルの共鳴周波数で散逸される)。コイル・リンギングが十分に減衰するまで(この期間は「リング・ダウン」期間と称されてもよい)、受信コイル(これはいくつかの実施形態では受信コイルと同じコイルであってもよい)はMR信号を検出するために使用できない。
【0028】
発明者らは、送信コイルによって放出されるRFパルスが、リング・ダウン期間を短縮することによってコイル・リンギング効果を低減するよう設計されうることを認識した。これにより使用されるパルス・シーケンス(たとえばLF-ZTEパルス・シーケンス)における収集時間を増大させ、ひいてはMR信号のSNRを向上させる。よって、いくつかの実施形態では、低磁場MRIシステムは、リング・ダウン期間の長さを短縮するよう設計されたRFパルスを使って動作するよう構成されてもよい。たとえば、RFパルスは、送信コイルの伝達関数の逆に比例してRFパルスにプリエンファシスを加えることによって、送信コイルによってRFパルスに誘起される減衰を打ち消すよう整形されてもよい。このことは
図7〜
図11を参照してのちにより詳細に述べる。
【0029】
追加的または代替的に、リング・ダウン期間は、送信されるRFパルスから送信コイルによって吸収されるエネルギーをダンプさせる(dampen)よう設計されたダンプ回路を、送信コイルと直列または並列に導入することによって短縮されてもよい。ダンプ回路は、送信コイルが送信を終えた後、ある時間期間にわたって、ダンプを実行するためにスイッチ・オンされてもよく、その後、送信コイルが再び送信を開始する前にスイッチ・オフされてもよい。ダンプ回路は多様な仕方で設計されうる。いくつかの実施形態では、たとえば、ダンプ回路はnチャネル型金属酸化物半導体電界効果トランジスタ(nMOSFET)のソース端子をgnd端子に結びつけ、ドレイン端子を送信コイルからのチューナー後の信号に結びつけ、ゲート端子を高速デジタル入出力線に結びつけたものを含んでいてもよい。いくつかの事例では、ダンプ回路は、ドレインおよび信号線と直列に値の小さな抵抗器をも含んでいてもよい。そのようなダンプ回路は、リング・ダウンのエネルギーを素速くnMOSFETおよび/または抵抗器の中に捨てることによって、リング・ダウンをショートさせるために使用できる。
【0030】
通常の高磁場MRIシステムは、RFパルスを使って振動するB
1場を生成する。ここで、各RFパルスの搬送波周波数はその継続期間にわたって一定であるよう設計される。発明者らは、各RFパルスの搬送波周波数がその継続期間にわたって時間的に変化する、周波数変調されたRFパルスを使って振動B
1場を生成することによって、改善された低磁場MRIシステムが得られうることを認識した。周波数変調されたRFパルスの例は、線形の周波数変調されたパルスおよび断熱RFパルスを含む。断熱パルスの搬送波周波数は、二次あるいは幾何関数に従って(たとえばそれに従って変調されることに応答して)変わりうる。B
1場を生成するために周波数変調されたRFパルスを使うMRIシステムは、主磁場B
0およびB
1場の不均一性に対して、一定の搬送波周波数をもつRFパルスを使うMRIシステムほど敏感ではない。しかしながら、周波数変調されたRFパルスは通常の高磁場臨床MRIシステムでは使われない。一定周波数パルスよりも継続時間が長くなり、より高電力になるからである。そのため、周波数変調されたパルスの使用は、被験体の組織の許容できない加熱につながる(すなわち、典型的には規制によって許容される比吸収率(SAR: specific absorption rate)を超えることにつながる)。
【0031】
発明者らは、周波数変調された低磁場パルスが低磁場MRIのために使用されうることを認識した。低磁場ではそのようなパルスの電力レベルは、受け入れ可能なまたは要求されるSAR限界より低いままとなるよう、低減できるからである。よって、いくつかの実施形態では、低磁場MRIシステムは、周波数変調されたRFパルスを使って振動するB
1場を生成するよう構成されてもよい。これは、主磁場B
0およびB
1場の不均一性に対する低磁場MRIシステムの敏感さを低減しうる。このようにして、B
0場不均一性に対する不感性が増すために、低磁場MRIシステムによって得られる画像の品質が改善されうる。
【0032】
発明者らはさらに、LF-ZTEシーケンスがオーヴァーハウザー向上MRI(OMRI: Overhauser-enhanced MRI)のコンテキストにおいて好適でありうることを認識した。いくつかの実施形態によれば、低磁場MRIシステムは、一つまたは複数のコントラスト準備部分を有するLF-ZTEパルス・シーケンスを使って動作するよう構成されてもよい。たとえば、いくつかの実施形態では、低磁場MRIシステムは、OMRI画像を生成するために一つまたは複数の電子常磁性共鳴(EPR)パルスを含むLF-ZTEパルス・シーケンスを使ってもよい。これは、たとえば脳外傷の検出を提供するためのフリーラジカルの画像化のための機構を提供する。もう一つの例として、いくつかの実施形態では、低磁場MRIシステムは、水/脂肪コントラスト撮像のために被験体を準備するための一つまたは複数の部分を含みうるLF-ZTEパルス・シーケンスを使ってもよい。さらに他の実施形態では、低磁場MRIシステムは、一つまたは複数のT1コントラスト準備部分、一つまたは複数のT2コントラスト準備部分、一つまたは複数の動脈スピン標識付けコントラスト準備部分および/または一つまたは複数の拡散強調コントラスト準備部分を含むLF-ZTEパルス・シーケンスを使ってもよい。
【0033】
上記で論じたように、低磁場MRIの利点は、費用およびアクセス性の両方の観点から、事実上いかなる位置にも設置して維持することができる、および/またはシステムの利用可能性を高めるようポータブル/可搬であるよう設計されうる、比較的低コストのMRIシステムの展開を容易にするということである。結果として、そのような低磁場MRIシステムは、ノイズの観点からそれほど管理されていない環境において動作でき、および/またはポータブル/可搬システムについての変化する環境において動作できる。発明者らは、所与の低磁場MRIシステムが動作している環境に基づいて動的に変化するよう構成された「環境を知っている(environmentally-informed)」あるいは適応的な、パルス・シーケンスの利点を認識した。たとえば、パルス・シーケンスの一つまたは複数のパラメータは、環境から得られる一つまたは複数の測定(たとえば一つまたは複数の場センサーによる測定)、MRIシステムの測定(たとえば生成される磁場の測定、温度測定など)および/またはスキャンされる被験体の測定(たとえば患者動きなど)に基づいて動的に変えられてもよい。本稿に記載される低磁場パルス・シーケンスのどれでも、そのパルス・シーケンスの一つまたは複数のパラメータが環境および/またはシステムの一つまたは複数の測定に基づいて変化することを許容することによって、環境を知っているよう構成されうることを理解しておくべきである。
【0034】
いくつかの実施形態によれば、低磁場MRIシステム(たとえばポータブル低磁場MRIシステム)が「ノイズのある」環境において(たとえば、少なくとも部分的に低磁場MRIシステムの動作に干渉する電磁干渉のような干渉のある環境において)用いられてもよく、パルス・シーケンスは環境中のノイズの性質に基づいて選択および/または適応されてもよい(たとえば、パルス・シーケンスのパラメータが修正されてもよい)。もう一つの例として、低磁場MRIシステムは、画像取得の過程の間に動いている被験体を撮像するために用いられてもよく、パルス・シーケンスは、(たとえばできるだけ短い収集期間をもつパルス・シーケンスを使うことによって)取得の間の被験体の動きの効果を低減するよう選択および/または適応されてもよい。もう一つの例として、低磁場MRIシステムの一つまたは複数のコンポーネントは、取得の間、被験体に対して動いてもよく、パルス・シーケンスはMRIシステム・コンポーネント(単数または複数)の動きの効果を低減するよう選択および/または適応されてもよい。
【0035】
本稿に記載される実施形態は数多くの仕方のいずれで実装されてもよいことは理解しておくべきである。個別的な実装の例を、以下で単に例示の目的のために与える。与えられるこれらの実施形態および特徴/機能は、個別に、みな一緒に、あるいは二つ以上の任意の組み合わせにおいて使われうることは理解しておくべきである。本稿に記載される技術の側面はこの点で限定されない。
【0036】
図1は、MRIシステム100の例示的コンポーネントのブロック図である。
図1の例解用の例では、MRIシステム100は、コンピューティング装置104、コントローラ106、パルス・シーケンス記憶部108、電力管理システム110および磁気系コンポーネント120を有する。システム100が例示的であり、低磁場MRIシステムは、
図1に示したコンポーネントに加えて、またはその代わりに、任意の好適な型の一つまたは複数の他のコンポーネントを有していてもよいことは理解しておくべきである。
【0037】
図1に示されるように、磁気系コンポーネント120はB
0磁石122、シム・コイル124、RF送信および受信コイル126および傾斜コイル128を有する。B
0磁石122は、少なくとも部分的には主磁場B
0を生成するために使用されうる。B
0磁石122は、主磁場(たとえば約0.2T以下の低磁場強度)を生成できるいかなる好適な型の磁石であってもよく、一つまたは複数のB
0コイル、補正コイルなどを含んでいてもよい。シム・コイル124は、磁石122によって生成されるB
0場の均一性を改善するための磁場(単数または複数)を寄与するために使われてもよい。傾斜コイル128は、傾斜場を提供するよう構成されてもよく、たとえば、MR信号が誘起されるところを局在化するために三つの実質的に直交する方向(X,Y,Z)における磁場の勾配を生成するよう構成されてもよい。
【0038】
RF送受信コイル126は、磁場B
1を誘起するためのRFパルスを生成するために使用されうる一つまたは複数の送信コイルを有していてもよい。送/受コイル(単数または複数)は、被験体におけるMR応答を励起するよう構成された任意の好適な型のRFパルスを生成し、放出される結果的なMR信号を検出するよう構成されていてもよい。RF送受信コイル126は、一つまたは複数の送信コイルおよび一つまたは複数の受信コイルを含んでいてもよい。送/受コイルの構成は実装によって変わり、送信および受信両用の単一のコイル、送信および受信のための別個のコイル、送信および/または受信のための複数のコイル、あるいは単一チャネルもしくは並列型のMRIシステムを達成するための任意の組み合わせを含んでいてもよい。このように、MRIシステムの送信および受信コンポーネントについてのさまざまな構成を一般的に指すために、送/受磁気系コンポーネントはしばしばTx/RxまたはTx/Rxコイルと称される。磁気系コンポーネント120のそれぞれは、いかなる好適な仕方で構築されてもよい。たとえば、いくつかの実施形態では、磁気系コンポーネント120の一つまたは複数は、2015年9月4日に出願された、「低磁場磁気共鳴撮像の方法および装置」という名称の米国特許出願第14/845652号('652出願)において記載されているコンポーネントのいずれであってもよい。同出願はここに参照によってその全体において組み込まれる。
【0039】
送信コイル(単数または複数)は、いかなる好適な型のRFパルスを生成するよう構成されてもよい。たとえば、送信コイルは、それぞれがその継続時間にわたって一定の搬送波周波数をもつ一つまたは複数のRFパルスを生成するよう構成されてもよい。もう一つの例として、送信コイルは、一つまたは複数の周波数変調されたRFパルス(たとえば線形の周波数変調されたRFパルス、断熱RFパルスなど)を生成するよう構成されていてもよい。ここで、周波数変調されたパルスの搬送波周波数はその継続時間の過程にわたって変化する。さらにもう一つの例として、送信コイルは、一つまたは複数の電子常磁性共鳴パルスを生成するよう構成されてもよい。さらにもう一つの例として、送信コイルは、コイル・リンギングの効果を低減するよう設計されたRFパルスを生成するために使われてもよい。
【0040】
電力管理システム110は、低磁場MRIシステム100の一つまたは複数のコンポーネントに動作電力を提供するための電子回路を含む。たとえば、下記でより詳細に論じるように、電力管理システム110は一つまたは複数の電源、傾斜電力増幅器、送信コイル増幅器および/または低磁場MRIシステム100のコンポーネントにエネルギーを与え動作させるために好適な動作電力を提供するために必要とされる他の任意の好適な電力電子系統を含みうる。
【0041】
図1に示されるように、電力管理システム110は、電源112、増幅器(単数または複数)114、送受切り換えスイッチ116および熱管理コンポーネント118を有する。電源112は、低磁場MRIシステム100の磁気系コンポーネント120に動作電力を提供するための電子回路を含む。たとえば、電源112は一つまたは複数のB
0コイル(たとえばB
0磁石122)に、低磁場MRIシステムのための主磁場を生成するよう動作電力を提供するための電子回路を含んでいてもよい。いくつかの実施形態では、電源112は単極の(unipolar)連続波(CW)電源であるが、いかなる好適な電源が使われてもよい。送受切り換えスイッチ116は、RF送信コイルまたはRF受信コイルのどちらが動作させられるかを選択するために使われてもよい。
【0042】
増幅器(単数または複数)114は、一つまたは複数のRF受信コイル(たとえばコイル124)によって検出されるMR信号を増幅する一つまたは複数のRF受信(Rx)前置増幅器、一つまたは複数のRF送信コイル(たとえばコイル126)に電力を提供するよう構成されたRF送信(Tx)増幅器、一つまたは複数の傾斜コイル(たとえば傾斜コイル128)に電力を提供するよう構成された一つまたは複数の傾斜電力増幅器、一つまたは複数のシム・コイル(たとえばシム・コイル124)に電力を提供するよう構成されたシム増幅器を含んでいてもよい。
【0043】
熱管理コンポーネント118は、低磁場MRIシステム100のコンポーネントについての冷却を提供する。これは、低磁場MRIシステム100の一つまたは複数のコンポーネントによって生成される熱エネルギーをそれらのコンポーネントから去らせる伝達を容易にすることによって行なってもよい。熱管理コンポーネント118は、限定なしに、B
0コイル、傾斜コイル、シム・コイルおよび/または送/受コイルを含むがそれに限定されない熱を生成するMRIコンポーネントに統合されるまたは近接して配置されるのでもよい、水冷式または空冷式の冷却を実行するためのコンポーネントを含んでいてもよい。熱管理コンポーネント118は、低磁場MRIシステムのコンポーネントから去るよう熱を伝達するために、空気および水を含むがそれに限定されないいかなる好適な熱伝達媒体を含んでいてもよい。
【0044】
図1に示されるように、低磁場MRIシステム100は、電力管理システム110に命令を送り、これから情報を受け取るよう構成されたコントローラ106(時にMRIのコンテキストではコンソールと称される)を含んでいる。コントローラ106は一つまたは複数のパルス・シーケンスを実装するよう構成されてもよい。パルス・シーケンスは、たとえばパルス・シーケンスによって定義される特定のシーケンスで送信コイルおよび/または傾斜コイルを動作させることによって磁気系コンポーネント120を所望されるシーケンスで動作させるために電力管理システム110に送られる命令を決定するために使われる。パルス・シーケンスは一般に、送/受コイルおよび傾斜コイルが被験体の磁化を準備し、結果として生じるMRデータを収集するよう動作する順序およびタイミングを記述する。たとえば、パルス・シーケンスは、送信パルス、傾斜パルスの順序、受信コイルがMRデータを収集する収集時間を示してもよい。これについては下記でより詳細に論じる。
【0045】
コントローラ106は、LF-ZTEパルス・シーケンス、低磁場均衡定常状態自由歳差(LF-bSSFP)パルス・シーケンス、低磁場グラジエントエコー・パルス・シーケンス、低磁場スピンエコー・パルス・シーケンス、低磁場反転回復パルス・シーケンス、動脈スピン標識付け、拡散強調撮像(DWI)および/または他の任意の好適なパルス・シーケンスに従って磁気系コンポーネント120を動作させるよう電力管理システム110を制御するよう構成されてもよい。低磁場MRIのためのパルス・シーケンスは、低磁場コンテキストにおいてそれぞれ特有の一組の事情がある、T1強調およびT2強調撮像、拡散強調撮像、動脈スピン標識付け(灌流画像化)、オーヴァーハウザー撮像などといった種々のコントラスト型について適用されうる。コントローラ106は、ハードウェア、ソフトウェアまたはハードウェアとソフトウェアの任意の好適な組み合わせとして実装されうる。本稿で与えられる開示の側面はこれに関して限定されない。
【0046】
いくつかの実施形態では、コントローラ106は、一つまたは複数のパルス・シーケンスのそれぞれについての情報を記憶しているパルス・シーケンス貯蔵部108からパルス・シーケンスについての情報を得ることによって、パルス・シーケンスを実装するよう構成されてもよい。特定のパルス・シーケンスについてパルス・シーケンス貯蔵部108に記憶されている情報は、コントローラ106がその特定のパルス・シーケンスを実装できるようにするいかなる好適な情報であってもよい。たとえば、パルス・シーケンスについてパルス・シーケンス貯蔵部108に記憶されている情報は、そのパルス・シーケンスに従って磁気系コンポーネント120を動作させるための一つまたは複数のパラメータ(たとえば、RF送信および受信コイル126を動作させるためのパラメータ、傾斜コイル128を動作させるためのパラメータなど)、そのパルス・シーケンスに従って電力管理システム110を動作させるための一つまたは複数のパラメータ、コントローラ106によって実行されたときにコントローラ106がシステム100を制御してそのパルス・シーケンスに従って動作するようにする命令を含む一つまたは複数のプログラムおよび/または他の任意の好適な情報を含んでいてもよい。パルス・シーケンス貯蔵部108に記憶されている情報は、一つまたは複数の非一時的な記憶媒体に記憶されていてもよい。
【0047】
図1に示されるように、コントローラ106は、受信されたMRデータを処理するようプログラムされたコンピューティング装置104と対話してもよい。たとえば、コンピューティング装置104は、任意の好適な画像再構成プロセスを使って、受信されたMRデータを処理して一つまたは複数のMR画像を生成してもよい。コントローラ106は、一つまたは複数のパルス・シーケンスについての情報を、コンピューティング装置によるデータの該処理のために、コンピューティング装置104に提供してもよい。たとえば、コントローラ106は、一つまたは複数のパルス・シーケンスについての情報をコンピューティング装置104に提供してもよく、コンピューティング装置は少なくとも部分的には該提供された情報に基づいて画像再構成プロセスを実行してもよい。
【0048】
コンピューティング装置104はいかなる電子装置であってもよく、典型的には、収集されたMRデータを処理して撮像される被験体の一つまたは複数の画像を生成するよう構成された(たとえばプログラムされた)一つまたは複数のプロセッサを含む。いくつかの実施形態では、コンピューティング装置104は、デスクトップ・コンピュータ、サーバー、ラックマウント・コンピュータまたは他の任意の好適な固定電子装置でMRデータを処理して撮像される被験体の一つまたは複数の画像を生成するよう構成されうるものといった固定電子装置であってもよい。あるいはまた、コンピューティング装置104は、スマートフォン、携帯情報端末、ラップトップ・コンピュータ、タブレット・コンピュータまたはMRデータを処理して撮像される被験体の一つまたは複数の画像を生成するよう構成されうる他の任意のポータブル装置といったポータブル装置であってもよい。
【0049】
コントローラ106は、単一の統合されたコントローラであってもよく、あるいはシステム100の機能を実行するための複数の別個のコントローラを含んでいてもよいことは理解しておくべきである。いくつかの実施形態では、コンピューティング装置104は、いかなる好適な型の複数のコンピューティング装置を含んでいてもよい。諸側面はこれに関して限定されない。ユーザー102がコンピューティング装置104(ワークステーション)と対話して、低磁場MRシステム100の諸側面を制御したり(たとえば、特定のパルス・シーケンスに従って動作するようシステム100をプログラムする、システム100の一つまたは複数のパラメータを調整する、など)、および/または低磁場MRシステム100によって得られた画像を閲覧したりしてもよい。いくつかの実施形態によれば、コンピューティング装置104およびコントローラ106は単一のコントローラを形成し、他の実施形態ではコンピューティング装置104およびコントローラ106はそれぞれ一つまたは複数のコントローラを有する。コンピューティング装置104およびコントローラ106によって実行される機能は一つまたは複数のコントローラの任意の組み合わせにわたって任意の仕方で分散されうることは理解しておくべきである。諸側面はいかなる特定の実装やアーキテクチャーと一緒に使うためにも限定されない。コントローラ106およびコンピューティング装置104は典型的には、システム100の動作と関連した一つまたは複数の機能を実行するために、ソフトウェア・プログラム、ファームウェア命令などといったコンピュータ・コードにおいて具現されている命令を実行できる一つまたは複数のプロセッサを有する。
【0050】
上記のように、発明者らは、上記の低磁場MRIシステム100のような低磁場MRIシステムを、LF-ZTEパルス・シーケンスに従って動作させることが有利でありうることを認識した。いくつかの実施形態に基づくLF-ZTEパルス・シーケンスの諸側面について、下記で
図2A〜
図2Gおよび
図3を参照してより詳細に述べる。
【0051】
図2Aは、本稿に記載される技術のいくつかの実施形態に基づく、LF-ZTEパルス・シーケンスの、継続時間T
Rをもつ一つのパルス反復期間200を示す図である。最初、継続時間T
FのRFパルス202が、傾斜コイルがそれぞれ動作強さ204a、204b、204cで傾斜磁場G
x、G
y、G
zを生成しているのと同時に加えられる。傾斜磁場G
x、G
y、G
zは実質的に直交する方向に加えられる。次に、システムが送信モードから受信モードに切り換わることを許容する継続時間Δ
T/Rの遅延206後、継続時間T
ACQUIREの収集区間208の間にMRデータを収集するよう、受信コイルが動作させられる。継続時間T
Gのその後の区間210の間に(たとえば区間210の末尾付近または末尾において)、一つまたは複数の傾斜磁場の強さが一つまたは複数の他の値に変更される。
図2Aに示されるように、場G
x、G
yの強さは区間210において変更されるが、場G
zの強さは区間210の間に変化しない。LF-ZTEパルス反復の継続時間はいくつかの実施形態では1〜25ミリ秒であってもよい。
【0052】
図2Aに示される実施形態では、傾斜場の強さ204a、204b、204cはパルス反復期間200を通じて一定である(強さが別の一定値に変化することが示されている区間210の末尾を除く)ものとして示されているが、他の実施形態では、傾斜場G
x、G
y、G
zの強さがこのパルス反復期間の間に変わってもよい。たとえば、傾斜場のうち一つまたは複数の傾斜場の強さが、時間変化する渦電流場の存在を補償するためにパルス反復期間内において変調されてもよい。もう一つの例として、傾斜場のうち一つまたは複数の傾斜場の強さは、空間エンコード効率を改善するために、パルス反復期間内において変調されてもよい。さらにもう一つの例として、RFパルスの送信の間傾斜場のうち一つまたは複数の傾斜場の強さを下げることは、標的の同じエリア(たとえばスライス)でMR信号を励起するために、より低い帯域幅のパルスが使用されることを許容する。よって、いくつかの実施形態では、傾斜場のうち一つまたは複数の傾斜場の強さがRFパルス202の送信の間、低下させられてもよい。
【0053】
図2Aから見て取れるように、傾斜コイルは、パルス反復期間200の継続時間全体を通じて、他のシーケンスでのようにオン・オフされることなく、動作している。傾斜コイルによって生成される傾斜場の強さを増分的に(incrementally)変更することは、MRIシステム(たとえば低磁場MRIシステム)のさまざまなコンポーネント、たとえば急速で大きな電流変化を駆動する必要のない電力増幅器に対してそれほど負担ではないことがある。パルス反復時間TRは、RFパルスの継続時間T
F、送/受切り換え遅延206の継続時間Δ
T/R、収集期間208の継続時間T
ACQUIREおよび傾斜切り換え区間の継続時間T
Gの和であることも観察できる。すなわち、
T
R=T
F+Δ
T/R+T
ACQUIRE+T
G
となる。
【0054】
RFパルス202は、いかなる好適な度合いのフリップ角を誘起してもよい。たとえば、RFパルス202は、15度から50度までの間のフリップ角を、いくつかの事例では90度以下のフリップ角を誘起してもよい。いくつかの実施形態において、RFパルス202は、次のパルス反復期間において別のRFパルスが加えられうる前の緩和に要する時間を最小にするよう、小さなフリップ角を誘起してもよい。たとえば、RFパルスは60度より小さなフリップ角を誘起するために使われてもよい。別の例では、RFパルスは40度より小さなフリップ角を誘起するために使われてもよい。さらに別の例では、RFパルスは20度より小さなフリップ角を誘起するために使われてもよい。さらに別の例では、RFパルスは15度より小さなフリップ角を誘起するために使われてもよい。上記で論じたように、低いフリップ角を使うことは、複数の収集の効率的な平均処理を許容するので、低SNR環境において有利でありうる。より低いフリップ角は、より速い緩和時間につながり、その結果、複数の収集を平均するのも速くなるのである。
【0055】
RFパルス202は、いかなる好適な型のRFパルスであってもよい。たとえば、RFパルス202は、その継続時間にわたって一定の搬送波周波数をもつパルスであってもよい。もう一つの例として、RFパルス202は、その継続時間にわたって変化する搬送波周波数をもっていてもよい。さらにもう一つの例として、RFパルス202は、上記で論じたように多分にコイル・リンギング効果に起因する遅延区間206の継続期間長さを短縮するよう、設計されてもよい。たとえば、パルス202は、コイル・リンギングを抑制するまたは減衰させるよう、整形されてもよい。一つの限定しない例として、パルス202は、周波数領域または時間領域で、送信コイルの伝達関数および/またはどのように送信コイルが入力信号の周波数および位相を減衰させるかの他の任意の好適なモデルに基づいて、プリエンファシスを受けてもよい。RFパルスにプリエンファシスを加えることは、
図7〜
図11を参照して下記でより詳細に述べる。これらの例は例解するものであり、RFパルス202がいかなる好適な型のRFパルスであってもよいことは理解しておくべきである。本稿に記載される技術の諸側面はこれに関して限定されない。
【0056】
図2Bは、
図2Aに示したパルス反復期間200およびその後のパルス反復期間220を含む例示的なLF-ZTEシーケンスの二つの期間を示している。
図2Bに示されるように、傾斜場の強さがそれぞれの次の値に変化したときに、傾斜切り換え区間210が終わって反復期間220が始まる。この例では、傾斜切り換え区間210の終わりに、場G
xが224aの強さ(その前の強さ204aとは異なる)を達成し、場G
yが224bの強さ(その前の強さ204bとは異なる)を達成し、場G
zは同じ強さ(204c)に留まった。三つの傾斜場コイルG
x、G
y、G
zがそれぞれ224a、224b、224cにおいて適用される間、継続時間T
Fの別のRFパルス222が生成される。RFパルス222は、本稿で例が与えられるいかなる好適な型のパルスであってもよく、RFパルス202と同じ型のパルスであってもよく、あるいは異なる型のパルスであってもよい。次に、システムが送信モードから受信モードに切り換わることを許容する継続時間Δ
T/Rの遅延226後、継続時間T
ACQの収集区間228の間にMRデータを収集するよう、受信コイルが動作させられる。継続時間T
Gのその後の区間230の間に、一つまたは複数の傾斜磁場の強さが一つまたは複数の他の値に変更される。
【0057】
図2Aおよび
図2Bから理解されうるように、LF-ZTEパルス・シーケンスの各期間は、RFパルスの送信、受信コイルがデータを収集できるまでの遅延期間、および傾斜場が強さの値の特定の組み合わせ(これらの値はいくつかの実施形態では時間変化してもよい)に設定されている間のMR信号の収集を含む。被験体の画像が再構成されうるもとになるデータを得るために、LF-ZTEシーケンスは複数のそのような期間を含んでいてもよい。傾斜場強さのそれぞれの特定の組み合わせについて一つである。傾斜場強さの特定の組み合わせについてデータを収集することは、被験体の画像の3Dフーリエ変換における軌跡を測定することに対応する。このように、LF-ZTEシーケンスにおける反復期間の数は、被験体の画像を生成するために得られるべき3Dフーリエ「測定」の数に依存する。
【0058】
いくつかの実施形態では、LF-ZTEパルス・シーケンスは一つまたは複数のコントラスト準備シーケンスを含んでいてもよい。たとえば、
図2Cに示されるように、LF-ZTEシーケンスは、コントラスト準備パルス・シーケンス240と、それに続く一つまたは複数のLF-ZTEパルス反復期間242(たとえば、
図2Aに示される一つまたは複数のLF-ZTEパルス反復期間)と、それに続くもう一つのコントラスト準備パルス・シーケンス244と、それに続く一つまたは複数のLF-ZTEパルス反復期間(たとえば、
図2Aに示される前記LF-ZTEパルス反復期間の一つまたは複数)などを含んでいてもよい。それぞれのコントラスト・パルス準備シーケンスは、一つまたは複数のRFパルスおよび/または一つまたは複数の傾斜場パルスを含んでいてもよい。コントラスト準備シーケンスの例は以下に与えるが、コントラスト準備パルス・シーケンス(たとえばシーケンス240および244)はいかなる好適な型であってもよく、対応するコントラスト強調画像を得るためにいかなる好適な型のコントラスト準備がLF-ZTEシーケンスの一部として使われてもよいことは理解しておくべきである。
【0059】
たとえば、T1コントラスト準備は、一つまたは複数のT1コントラスト準備シーケンスをLF-ZTEシーケンスの一つまたは複数のパルス反復期間(たとえば、
図2Aを参照して述べた一つまたは複数のパルス反復期間200)とインターリーブすることによって、LF-ZTEシーケンスと一緒に使われてもよい。
図2Dに示されるように、T1コントラスト準備シーケンスを適用することは、180度のフリップ角に関連するRFパルスを加えて該RFパルスが撮像される原子の正味磁化を180度回転させ、継続時間T
DELAYの遅延区間252だけ待ってからLF-ZTEパルス反復期間254(たとえば、
図2Aを参照して述べたパルス反復期間200)を適用することを含んでいてもよい。もう一つの例として、動脈スピン標識付けコントラスト準備が、一つまたは複数の動脈スピン標識付けコントラスト準備シーケンスをLF-ZTEシーケンスとインターリーブすることによって、LF-ZTEシーケンスと一緒に使われてもよい。それぞれの動脈スピン標識付け準備シーケンスは、180度のフリップ角に関連するRFパルスを含み、送信パルスと収集期間は、血流および/または灌流の関数としてMR信号を検出するようなタイミングにされる。
【0060】
もう一つの例として、オーヴァーハウザー向上MR画像を生成するために使われるデータの収集を許容するために、LF-ZTEパルス・シーケンスが修正されてもよい。この目的に向けて、LF-ZTEパルス・シーケンスは一つまたは複数のEPRパルス・シーケンスとインターリーブされてもよい。
図2Eに示されるように、EPRパルス・シーケンスを適用することは、EPRパルス260を加えて、継続時間T
DELAYの遅延区間262だけ待ってからLF-ZTEパルス反復期間264(たとえば、
図2Aを参照して述べたパルス反復期間200)を適用することを含んでいてもよい。
【0061】
さらにもう一つの例として、撮像中の被験体の動きを補償するために使用できるデータの収集を許容するために、LF-ZTEパルス・シーケンスが修正されてもよい。この目的に向けて、LF-ZTEパルス・シーケンスは、撮像される被験体における動きを識別して画像生成プロセスの間のその動きを補正するために時間を追って比較されることのできるデータを収集するために使用されうる一つまたは複数の「ナビゲーション」パルス・シーケンスとインターリーブされてもよい。
図2Fに示されるように、ナビゲーション・パルス・シーケンスを適用することは、低フリップ角パルス270を加えて、継続時間T
DELAYの遅延区間272だけ待ってから特定の一組の傾斜場の値を用いてLF-ZTEパルス反復期間を適用することを含んでいてもよい。同じ低フリップ角パルスとそれに続く同じ一組の傾斜場の値を用いたLF-ZTEパルス反復期間を加えた後に得られるMR信号のシーケンスは、被験体の動きを検出および/または追跡するために使用されることができ、および/または画像再構成の間にそのような動きを補償するために使用されてもよい。
【0062】
さらにもう一つの例として、LF-ZTEパルス・シーケンスは主磁場B
0をマッピングするためのパルス・シーケンスとインターリーブされてもよい。たとえば、LF-ZTEパルス・シーケンスは、B
0場における不均一性をマッピングするために使用される収集のシーケンスとインターリーブされてもよい。B
0場の不均一性をマッピングするために、共鳴外れのB
0場の強さを測定するよう設計された多様な収集、たとえば複数エコー時間グラジエントエコー収集などのいずれが使われてもよい。そのような収集のシーケンスはB
0共鳴外れ場マッピング・シーケンス(B
0 off-resonance field mapping sequence)と称されてもよい。B
0場における不均一性の結果として得られるマップは、その後、B
0不均一性から帰結するアーチファクトがあればそれを補償して改善されたMR画像を与えるために画像再構成の間に使われてもよい。
【0063】
さらにもう一つの例として、水/脂肪分離コントラスト準備が、一つまたは複数の水/脂肪分離コントラスト準備シーケンスをLF-ZTEシーケンスの一つまたは複数のパルス反復期間(たとえば、
図2Aを参照して述べた一つまたは複数のパルス反復期間200)とインターリーブすることによって、LF-ZTEシーケンスと一緒に使われてもよい。水/脂肪分離コントラスト準備シーケンスを適用することは、一つまたは複数のLF-ZTEパルス反復期間を適用する前に、異なるフリップ角および極性に関連する一連のRFパルスを適用することを含んでいてもよい。たとえば、
図2Gに示されるように、水/脂肪分離コントラスト準備シーケンスを適用することは、90度のフリップ角に関連するRFパルス280を加え、それぞれ180度のフリップ角に関連する四つのRFパルス282、284、286、288を逐次的に加え、90度のフリップ角に関連しRFパルス280とは逆の極性をもつRFパルス290を加えることを含む。これらのRFパルスが加えられたのち、LF-ZTEシーケンスの一つまたは複数のパルス反復期間が実行されてもよい――
図2Gに示されるように、パルス反復期間292がRFパルス290の後に適用される。種々の型の水/脂肪分離コントラスト準備がRFパルス280〜290の間の種々の遅延および種々の強さを介して達成されうる。
【0064】
上記のLF-ZTEパルス・シーケンスは単に例示的であり、パルス・シーケンスは異なる仕方で修正されてもよいことは理解しておくべきである。たとえば、いくつもある異なるプロトコルおよび/またはコントラスト型に従ったMRデータ収集を容易にするためのさらなる準備コンポーネントの追加を含む。LF-ZTEパルス・シーケンスは本稿に記載される例に限定されない。さらに、LF-ZTEシーケンスのそれぞれのパルス反復期間は、同じまたは同様のパラメータ(たとえば同じまたは同様のRFパルス、同じまたは同様の傾斜場強さなど)を用いて複数回繰り返されてもよいことをさらに理解しておくべきである(たとえば2回から10回の反復)。繰り返される収集期間を通じて収集された信号は平均されてもよい。MR信号が平均される反復の数は、所望される解像度および/または画像収集時間に依存して選択されてもよい。
【0065】
図3は、コントラスト準備をもつ低磁場ゼロ・エコー時間パルス・シーケンスを使って低磁場MR撮像を実行するための例示的なプロセス300のフローチャートである。プロセス300は、いかなる低磁場MRIシステムによって実行されてもよく、たとえば、
図1を参照して述べる低磁場MRIシステム100によって実行されてもよい。
【0066】
プロセス300は工程302で始まる。ここではコントラスト準備パルス・シーケンスが撮像される被験体に加えられる。コントラスト準備パルス・シーケンスは、一つまたは複数のRFパルスおよび/または一つまたは複数の傾斜場パルスを含んでいてもよい。コントラスト準備パルス・シーケンスが複数のパルスを含むとき、それらのパルスはいかなる好適なタイミング方式に従って適用されてもよい(たとえば同時に、少なくとも部分的に重なり合って、逐次的に、など)。多数の型のコントラスト準備パルス・シーケンスのいずれが適用されてもよい。それにはT1コントラスト準備パルス・シーケンス、動脈スピン標識付けコントラスト準備パルス・シーケンス、EPRパルス・シーケンス、ナビゲーション・パルス・シーケンスおよび水/脂肪コントラスト準備パルス・シーケンスといった上記したコントラスト準備パルス・シーケンスの例を含むがそれに限られない。
【0067】
次に、プロセス300は工程304に進む。ここでは、傾斜場G
x、G
y、G
zが所望される強さ(たとえば
図2Aに示される強さ204a、204b、204c)に設定される。ひとたび傾斜場が所望される強さに設定されたら、傾斜場が該所望される強さにある間に、RFパルスが工程306において放出される。工程306ではいかなる好適な型のRFパルスが放出されてもよく、その例は本稿で与えられる。RFパルスが工程306で放出された後、傾斜場はそれぞれの強さに設定されたままであり、プロセス300を実行する低磁場MRIシステムは、工程308において送信モードから受信モードに切り換わる。切り換えはいかなる好適な継続時間の期間にわたって行なわれてもよく、たとえば受信コイルがMR信号を収集するために十分にコイル・リンギング効果が静まるのに十分な期間にわたって行なわれてもよい。
【0068】
システムが工程308において受信モードに切り換わった後、受信コイルが工程310においてMR信号を収集するために使われる。傾斜コイルは、工程310の間、動作し続ける。それにより、傾斜場が工程304で設定された強さをもつ間に収集が行なわれる。工程310で得られたMR信号は、被験体のMR画像を生成することにおいてその後使用するために記憶されてもよい。
【0069】
工程310でMR信号が収集された後、プロセス300は判断ブロック312に進み、傾斜場の値の別の組み合わせについて別のMR信号が収集されるべきかどうかが判定される。この判定は、いかなる好適な仕方でなされてもよい。上記のように、傾斜場G
x、G
y、G
zの強さのある特定の組み合わせについてMR信号を収集することは、被験体の画像の3Dフーリエ変換における軌跡を測定することに対応する。このように、いくつかの実施形態では、傾斜場の値の別の組み合わせについて別のMR信号が収集されるべきかどうかの判定は、3Dフーリエ変換の少なくとも一つまたは複数の点が測定されるべきであるかどうかに基づいてなされてもよい。したがって、点の数(よってプロセス300の工程304〜310の逐次反復の数)は、所望されるMR画像解像度に依存してもよい。より高い解像度は一般により多くの反復工程を必要とする。
【0070】
判断ブロック312において傾斜場強さ値の別の組み合わせについて別のMR信号が収集されるべきであると判定されるとき、プロセス300はYES分枝を介して工程304に戻って、傾斜場強さ値が別の一組の値に設定される。傾斜場は、測定が所望される画像の3Dフーリエ変換における軌跡に依存する強さの組み合わせに設定されてもよく、該軌跡は少なくとも部分的には3Dフーリエ空間(時に「k空間」と称される)が探査されるパターンに依存してもよい。k空間のサンプリングのいかなる好適なパターン(すなわち、MR信号が収集されるk空間内の点の順序)が使われてもよい。本稿に記述される技術の諸側面はこの点で限定されない。傾斜場強さ値が工程304において設定された後、工程306〜310および判断ブロック312が繰り返される。
【0071】
他方、判断ブロック312において、別のMR信号が収集されるのでないと判定されるときは、プロセス300はNO分枝を介して工程314に進み、収集されたMR信号を使って(たとえば、プロセス300の工程310で得られたMR信号の一つまたは複数を使って)被験体のMR画像が生成される。これは、いかなる好適な仕方でなされてもよく、たとえば、(任意的に)収集された信号を前処理し、前処理された信号にフーリエ変換(たとえば3Dフーリエ変換)を適用して初期画像を取得し、(任意的に)初期画像を処理して最終画像を取得することによってなされてもよい。収集された信号の前処理は、収集された信号の復調、収集された信号のダウンサンプリング(たとえば収集された信号の復調後)、被験体の動きについての補正および/または他の任意の型のアーチファクトについての補正を含んでいてもよい。初期画像の処理は、グリッディング(gridding)効果についての補正、RF不均一性についての補正および他の任意の好適な画像処理の実行を含んでいてもよい。
【0072】
プロセス300は例示的であり、プロセス300の変形があることは理解しておくべきである。たとえば、
図3の実施形態では、コントラスト準備パルス・シーケンスは初期に加えられるだけだが、他の実施形態では、コントラスト準備パルス・シーケンスは複数回加えられてもよい。たとえば、いくつかの実施形態では、判断ブロック312において、傾斜場の値の別の組み合わせについて別のMR信号が収集されるべきであると判定されるとき、プロセス300はYES分枝を介して(
図3に示されるように工程304ではなく)工程302に戻り、コントラスト準備パルス・シーケンスが加えられてもよい。
【0073】
上記のように、発明者らは、低磁場再集束(LFR)パルス・シーケンスが、低磁場MRI場面に特に好適なもう一つのクラスのパルス・シーケンスであることを認識した。これは少なくとも部分的には、かかるシーケンスが実行できるスピードのためである。発明者らによって設計されたLFRパルス・シーケンスの一つの限定しない例は、低磁場均衡定常状態自由歳差(LF-bSSFP)パルス・シーケンスを含む。発明者らは、均衡した定常状態自由歳差パルス・シーケンスは、B
0場均一性および/または比吸収率に対する厳しい制約条件のために高磁場MRIには好適でないことがあるものの、下記でさらに述べるLF-bSSFPパルス・シーケンスは少なくとも部分的には低磁場強さで達成できる一般に優れた均一性のために魅力的な解決策を提供することをも認識した。
【0074】
上記のように、LF-bSSFPパルス・シーケンスは、他の低磁場再集束パルス・シーケンスを含むLFRパルス・シーケンスの、より一般的なクラスの、ほんの一例である。たとえば、LFRパルス・シーケンスの一般的なクラスは、低磁場パルス・シーケンス(たとえば低磁場グラジエントエコー・パルス・シーケンス、低磁場スピンエコー・パルス・シーケンスなど)を該低磁場パルス・シーケンスの一つまたは複数の(たとえば全部の)反復期間の末尾近くの(たとえば末尾の)再集束段の導入を通じて修正することによって得られるパルス・シーケンスを含む。反復期間に再集束段を導入することは、再集束段の適用に先立つ傾斜場の適用から帰結する磁気的位相分散を反転させるまたは取り消すはたらきをする。たとえば、パルス反復期間の継続時間を通じたそれぞれの傾斜場の場の強さの和が0になるよう、該パルス反復期間に再集束段が導入されてもよい。このことは、下記でLF-bSSFPパルス・シーケンスに関してより詳細に説明する。結果として、LFRパルス・シーケンスは、低磁場コンテキストにおいて他のパルス・シーケンス(たとえばスピンエコー、グラジエントエコー、エコープレーナーなど)の実装を容易にするために、かかる他のパルス・シーケンスをサポートするためのフレームワークとして使われてもよい。
【0075】
図4は、本稿に記述される技術のいくつかの実施形態に基づく、例示的なLF-bSSFPシーケンスの継続時間T
Rをもつ一つのパルス反復期間400を示す図である。初期には、フリップ角αに関連するRFパルス402が加えられる。いくつかの実施形態では、大きなフリップ角(たとえば50〜90度の間のフリップ角)が使われてもよい。他の実施形態ではいかなる好適なフリップ角(たとえば30〜150度の範囲のフリップ角)が使われてもよいが、本稿に記載される技術の諸側面はこれに関して限定されない。上記のパルス402に示されるフリップ角±αは、いくつかの実施形態では、RFパルスの極性が各パルス反復期間について反転されてもよいことを示す(すなわち、あるパルス反復期間ではフリップ角αに関連するRFパルスが加えられ、後続のパルス反復期間の間はフリップ角−αに関連するRFパルスが加えられ、後続のパルス反復期間の間はフリップ角αに関連するRFパルスが加えられ、などとなる)。いかなる好適な型のRFパルスが適用されてもよい。それは、周波数変調されたパルス、一定周波数パルス、コイル・リングダウン期間を低減するよう設計されたパルスおよび位相変調されたパルスを含むがそれに限られない。
【0076】
図4に示されるように、RFパルス402の適用の間には勾配場は適用されない。だが他の実施形態では、RFパルス402の適用の間に勾配場が適用され、それによりRFパルス402は撮像される被験体の所望される部分(たとえば所望されるスライスまたはスラブ)を励起するよう一つまたは複数の周波数の範囲を含むよう設計されうる。
【0077】
RFパルス402の適用後、LF-bSSFPシーケンスのいわゆる「プリ・フェーズ」段の間に、傾斜場G
x、G
y、G
zがそれぞれの動作強さ404a、404b、404cにおいて加えられる。次に、継続時間T
ACQUIREをもつ収集段407の間、傾斜場の二つがオフにされて傾斜場の一つの極性が反転されている間に受信コイルはMR信号を収集する。たとえば
図4に示されるように、傾斜場G
yおよびG
zがオフにされ(それらの強さが0に設定される)、傾斜場G
xの極性が反転され、傾斜場G
xの強さは406cに設定される。収集段407後、LF-bSSFPシーケンスのいわゆる「再集束」段の間に、傾斜場G
x、G
y、G
zがそれぞれの動作強さ408a、408b、408cにおいて加えられる。それにより、プリ・フェーズの間の傾斜場の適用から生じた位相分散が反転される、または打ち消される。傾斜場の強さおよび極性は、パルス反復期間400の継続時間T
Rを通じたそれぞれの場の場の強さの和が0になるよう、選ばれる(これがこのシーケンスが「均衡」と称されるゆえんである)。このように、いくつかの実施形態では、傾斜場の強さおよび極性は、次の条件が満たされるように選ばれる。
【0078】
【数1】
通常、b-SFFPシーケンスが加えられるときは、RFパルスに関連するフリップ角αは、正味の横磁化を最大にするよう選ばれる。特に、フリップ角αは次式に従ってT
1およびT
2緩和時間の関数として設定されてもよい。
【0079】
【数2】
低磁場では、T
1およびT
2緩和時間はほぼ等しく、よって上記の公式を使うと90度のフリップ角に関連するRFパルスとなる。しかしながら、発明者らは、低磁場のコンテキストにおいて、90度のフリップ角に関連するRFパルスは最適な選択ではないことがあることを認識した。この洞察に基づいて、発明者らは、B
0の均一性を想定して正味の横磁化を最大にするフリップ角を選択するのではなく、その代わり、正味の横磁化に対するB
0不均一性の効果を減らすよう選ばれてもよいことを認識した。
図5は、複数のフリップ角のそれぞれについて、正味の横磁化(M
T)と縦磁化(M
L)の比と、主磁場B
0の均一性からの逸脱(度単位)との間の関係を示している。この関係は、90度、70度、45度のフリップ角についてそれぞれ曲線502、504、506によって示されている。
図5から理解されうるように、90度未満のフリップ角(たとえば70度)は、より広い範囲のB
0不均一性にわたって、(平均して)より高い正味の磁化を与える。
【0080】
よって、いくつかの実施形態では、低磁場MRIシステムはLF-bSSFPシーケンスを使うよう構成されてもよい。ここで、LF-bSSFPシーケンスにおけるRF励起パルスは、正味の横磁化に対するB
0不均一性の効果を低減するフリップ角に関連している。たとえば、いくつかの実施形態では90度未満のフリップ角が使われてもよい。もう一つの例として、60〜80度の範囲のフリップ角が使われてもよい。さらにもう一つの例として、65〜75度の範囲のフリップ角が使われてもよく、さらにもう一つの例として、約70度のフリップ角が使われる。上記のLF-bSSFPパルス・シーケンスは単に例示的であり、いくつもの仕方で修正されうることは理解しておくべきである。たとえば、OMRI向上撮像、T1およびT2強調撮像、DW撮像、動脈スピン標識付けなどを含むがそれに限られないさまざまなコントラスト型のためのさまざまな準備コンポーネント(たとえば準備パルスまたはパルス・シーケンス)を含めるよう修正されてもよい。諸側面はこれに関して限定されない。
【0081】
図4に示される実施形態から理解されうるように、RFパルスによって誘起されるフリップ角はパルス・シーケンスの諸パルス反復期間を通じて変えられてもよい。諸パルス反復期間を通じてフリップ角を変え、そのようにして得られたMR信号を平均することは、MR信号から生成される画像に対してB
1場の不均一性がもつ効果をなくすまたは減らすことがありうる。追加的または代替的に、諸パルス反復期間を通じてフリップ角を変えることは、異なるフリップ角に関連するRFパルスによる励起に応答して得られる、異なるフリップ角における異なるコントラストを有するMR信号から形成される単一の画像の収集を許容する。フリップ角のシーケンスは交互のフリップ角のシーケンス(たとえば
図4に示されるような±α)または他の任意の好適なフリップ角のシーケンス(たとえば30〜150度の範囲のフリップ角の任意の好適なシーケンス)でありうる。たとえば、いくつかの実施形態では、使用されるフリップ角のシーケンスは信号モデル(たとえばパラメトリックな信号モデル)に従って生成されてもよく、該信号モデルはその後、得られたMR信号からの画像再構成を実行する際に用いられてもよい。フリップ角のシーケンスは二つの異なるフリップ角の値(たとえば±α)をもつだけのものに限定されず、たとえば、2〜20個の異なるフリップ角の値を含んでいてもよい。パルス・シーケンスは、シーケンス内のRFパルスが生成するよう設計されているフリップ角の数によっては限定されない。
【0082】
発明者らはまた、パルス・シーケンスが主磁場B
0の不均一性を識別および/または補償して、結果として得られる画像に対する不均一性の効果を減らすまたはなくすよう設計されることができることも認識した。発明者らは、低磁場および高磁場の場面でB
0不均一性を識別および/または補償するために使用されうるパルス・シーケンスを開発した。そのようなパルス・シーケンスは、主磁場不均一性があるときに、通常のパルス・シーケンスを使うときに可能であろうよりも高い品質の画像を生成するために使用されうる。より均一なB
0場を生成することに向けた通常の手法は、追加的で高価なハードウェア・コンポーネント(たとえば追加的な磁気系コンポーネント)に頼る。他方、本稿で記載されるような主磁場不均一性を補償するためのパルス・シーケンスを使うことは、より低コストの解決策を提供する。そのようなパルス・シーケンスは、主磁場不均一性の比較的高いレベルにも関わらず医学的に有意なMR画像を生成するために使用できるからである。
【0083】
よって、いくつかの実施形態では、パルス・シーケンスの諸パルス反復期間を通じたRFパルスの一つまたは複数のパラメータが、B
0場の不均一性を識別するおよび/または補償するために変えられてもよい。それにより生成される画像に対する不均一性の効果が軽減または解消される。たとえば、諸パルス反復期間を通じたRFパルスの周波数および/または位相が、B
0不均一性を補償するために変えられてもよい。RFパルスのパラメータは、高磁場および低磁場のMRパルス・シーケンスを含む任意の型のMRパルス・シーケンス(たとえば、低磁場ゼロ・エコー時間(LF-ZTE)パルス・シーケンスおよび低磁場再集束(LFR)パルス・シーケンス、たとえば低磁場均衡定常状態自由歳差(LF-bSSFP)パルス・シーケンス)において変えられてもよい。
【0084】
いくつかの実施形態では、パルス・シーケンスにおいて使われるRFパルスの周波数が、小さな周波数範囲を通じて変えられてもよい。たとえば、当該パルス・シーケンスのそれぞれの一連のパルス反復期間に対応する一連のRFパルスにおけるRFパルスの中心周波数が、10〜25Hz、10〜100Hz、100〜200Hzまたは10〜200Hzの範囲で変えられてもよい。一連のRFパルスにおける任意の二つのRFパルスの中心周波数の間の最大差は、前記範囲内にはいるようにされる。それぞれの一連のパルス反復期間の間、一連のRFパルスにおけるRFパルスの中心周波数は線形に変わってもよい。たとえば、いくつかの実施形態では、一連のRFパルスにおけるRFパルスの中心周波数は、固定のステップ・サイズを使ってある周波数範囲を通じた段階的掃引に従って(たとえば範囲内の最低周波数から最高周波数まで)変化してもよい。それにより、RFパルスの中心周波数は、一連のRFパルスにおいて相続くパルスの各対の間のステップ・サイズに対応する固定量だけ変化してもよい。
【0085】
もう一つの例として、LF-bSSFPシーケンスにおいて、パルス・シーケンス内のRFパルスの中心周波数は、パルス・シーケンスの単一のパルス反復期間の継続時間に基づいて決定される周波数範囲にわたって変えられてもよい。たとえば、パルス・シーケンスにおけるRFパルスの中心周波数は、特定のフリップ角について選択された中心周波数の±1/T
R以内で変えられてもよい。ここで、T
Rはパルス・シーケンスのパルス反復期間の継続時間である。具体的な限定しない例として、パルス反復期間の継続時間が3ないし50ミリ秒の範囲内である諸パルス・シーケンスにおいて、RFパルスの周波数は数十ヘルツ変えられてもよく(たとえば、周波数は、特定のフリップ角について選択されうる中心周波数から±10Hz変化してもよい)、あるいは数百ヘルツ台前半変化してもよい(たとえば、周波数は、特定のフリップ角について選択されうる中心周波数から±100Hz変化してもよい)。このように周波数を変えることは、B
0不均一性から帰結する変動について、得られたMR信号を補償することを許容する。加えて、このようにしてRFパルス周波数を変えることは、B
0不均一性のマップの生成を許容する。そのようなマップはその後、不均一性がエンコード傾斜場の歪みを引き起こしている画像の歪みを取り除くために使われうる。画像の歪み除去(unwarping)はいかなる好適な仕方で実行されてもよく、たとえば、B
0不均一性のマップおよび傾斜場の値に基づいて計算された歪み補正の値を用いてピクセルごとに画像に歪み補正を適用することによって実行されてもよい。
【0086】
いくつかの実施形態では、パルス・シーケンスにおいて使われるRFパルスの周波数は、周波数のより広い範囲を通じて変えられてもよい。たとえば、当該パルス・シーケンスのそれぞれの一連のパルス反復期間に対応する一連のRFパルスにおけるRFパルスの中心周波数が、200Hz〜1kHz、500Hz〜10kHzまたは10kHz〜100kHzの範囲で変えられてもよい。一連のRFパルスにおける任意の二つのRFパルスの中心周波数の間の最大差は、前記範囲内にはいるようにされる。上記のように、中心周波数は線形に変えられてもよく、いくつかの実施形態では、固定のステップ・サイズを使って前記範囲を通じて掃引することによって変えられてもよい。このようにしてRFパルス周波数を変えることは、単一周波数でのRFパルスの帯域幅がB
0範囲全体をカバーするには小さすぎる状況において、複数の収集にわたって(B
0場に不均一性があるときの)B
0範囲全体をカバーするために使うことができる。小さな半を通じてRFパルス周波数を変える場合と同様に、より広い範囲にわたってRFパルス周波数を変えることはまた、受信されたMR信号における(一層大きな)不均一性の補償と、B
0不均一性マップの生成とを許容する。これは中でも、画像の歪み除去のために使用されうる。
【0087】
いくつかの実施形態では、B
0不均一性マップは、RFパルスの周波数が当該シーケンスの諸パルス反復期間を通じて変化するパルス・シーケンス(または複数のパルス・シーケンス)を使って得られた一組の画像から生成されてもよい。一組の画像はボクセルごとのB
0不均一性マップを推定するために使われてもよい。たとえば、いくつかの実施形態では、ある特定のボクセルの、前記一組の画像を通じた絶対値および位相が、その特定のボクセルにおけるB
0場の強さを推定するために使われてもよい。しかしながら、B
0不均一性マップは、変化するRFパルス周波数をもつパルス・シーケンスを使って得られたデータから他の任意の好適な仕方で推定されてもよい。本稿に記述される技術の諸側面はこれに関して限定されない。
【0088】
いくつかの実施形態では、RF送信パルスの位相は、パルス・シーケンスのパルス反復期間を通じて変えられてもよい。RFパルスの位相を変えることは、受領されたMR信号の信号/雑音比(SNR)を高める。変化する位相をもつ諸パルスを使って得られたMR信号が平均されると、変化させられた送信RF位相とコヒーレントでない感知された信号は打ち消されるからである。さらに、周波数における変化をシミュレートするためにRFパルスの位相を変えることは、いくつかの実施形態では、周波数シフトを実装するために使われてもよい。
【0089】
上記から理解されうるように、RFパルスのさまざまな特性が、パルス反復シーケンスの継続時間にわたって変えられてもよい。これらの特性は、RFパルスによって誘起されるフリップ角、パルスの周波数およびRFパルスの位相を含むがそれに限られない。これらの特性の一つまたは複数が同時に変えられてもよい。そのような変動は数多くの恩恵を提供するが、それは:B
0およびB
1場における不均一性を補償すること、B
0場における不均一性をマッピングして、生成されたマップを使って生成された画像におけるアーチファクトを除去すること(たとえば歪み除去)および得られたMR信号の信号対雑音比を増すことを含む。
【0090】
発明者らは、あるパルス反復シーケンスの継続時間にわたってRFパルスの特性を変えることが、MRシステムの動作の間に(たとえば動作中のMRシステムの加熱のために)起こりうる主磁場の周波数ドリフトについて、得られたMR信号を補正する助けとなりうることをも認識した。よって、いくつかの実施形態では、主磁場の周波数ドリフトがパルス・シーケンスの間に測定されてもよく、パルス・シーケンス中のRFパルスの中心周波数が測定された周波数ドリフトに基づいて調整されてもよい。このようにして、パルス・シーケンスは主磁場の周波数ドリフトに適応しうる。主磁場の周波数ドリフトは、温度プローブ、電圧センサーを使っておよび/または他の任意の好適な仕方で測定されうる。
【0091】
図6は、本稿に記述される技術のいくつかの実施形態に基づく、LF-bSSFPシーケンスを使って低磁場MRシステムにおいてMR撮像を実行する例示的なプロセス600のフローチャートである。プロセス600は、いかなる好適な低磁場MRIシステムによって実行されてもよく、たとえば
図1を参照して述べた低磁場MRIシステム100を使って実行されてもよい。
【0092】
プロセス600は工程602で始まる。ここで、RFパルスが放出される。使用されうるRFパルスの例は本稿で与えられている。いくつかの実施形態では、RFパルスは、正味の横磁化に対するB
0不均一性の効果を減らすよう選択されたフリップ角αに関連していてもよい。他の実施形態では、RFパルスは、均一なB
0場を想定して正味の横磁化を最大にするよう選択されたフリップ角に関連していてもよい。
【0093】
次に、プロセス600は工程604(「プリ・フェージング(pre-phasing)」段)に進み、それぞれの強さ(たとえば強さ404a、404b、404c)の第一の組み合わせをもつ傾斜場がMR信号をエンコードするために適用される。次に、プロセス600は工程606(「収集」段)に進み、三つの傾斜場のうちの二つ(たとえば位相および周波数エンコード場)がオフにされてそれらの磁場のうちの一つ(たとえばスライス選択場)の極性が反転されている間に、受信コイルがMR信号を収集する。傾斜場の一つは収集段の間、オンにされたままであることを注意しておくべきである。次に、プロセス600は工程608(「再集束」段)に進み、当該パルス・シーケンスのパルス反復期間の継続時間T
Rを通じて各磁場の平均強さが0になるように選択された強さおよび極性をもって傾斜場が加えられる。
【0094】
次に、プロセス600は判断ブロック610に進み、傾斜場の値の別の組み合わせについて別のMR信号が収集されるべきであるかどうかが判定される。この判定はいかなる好適な仕方でなされてもよい。上記したように、傾斜場G
x、G
y、G
zの強さのある特定の組み合わせについてMR信号を収集することは、被験体の画像の3Dフーリエ変換におけるある点を測定することに対応する。このように、いくつかの実施形態では、傾斜場の値の別の組み合わせについて別のMR信号が収集されるべきかどうかの判定は、3Dフーリエ変換の少なくとも一つのさらなる点が測定されるべきであるかどうかに基づいてなされてもよい。したがって、点の数(よってプロセス600の工程602〜608の逐次反復の数)は、所望されるMR画像解像度に依存してもよい。より高い解像度は一般により多くの反復工程を必要とする。
【0095】
判断ブロック610において傾斜場強さ値の別の組み合わせについて別のMR信号が収集されるべきであると判定されるとき、プロセス600はYES分枝を介して工程602に戻って、別のRFパルスが放出される。上記で論じたように、いくつかの実施形態では、放出されるRFパルスは、直前のパルス期間の間に放出されたRFパルスに関連するフリップ角(α)と逆符号をもつフリップ角(−α)に関連していてもよい。工程604〜608は次いで繰り返され、その反復の間に、MR信号の別の収集が実行され、傾斜場強さ値の一つまたは複数が異なる値(単数または複数)に設定される。
【0096】
他方、判断ブロック610において、別のMR信号が収集されるのでないと判定されるときは、プロセス600はNO分枝を介して工程612に進み、収集されたMR信号を使って(たとえば、プロセス600の工程606で得られたMR信号の一つまたは複数を使って)被験体のMR画像が生成される。これは、いかなる好適な仕方でなされてもよく、たとえば、プロセス300の工程314を参照して述べた方法のいずれでなされてもよい。
【0097】
プロセス600は例示的であり、プロセス600の変形があることは理解しておくべきである。たとえば、
図6に示したLF-bSSFPシーケンスはコントラスト準備パルス・シーケンスを含まないが、いくつかの実施形態では、LF-bSSFPシーケンスは一つまたは複数のコントラスト準備パルス・シーケンスとインターリーブされて、低磁場コンテキストにおいてそのようなパルス・シーケンスを実装するためのサポート・フレームワークを提供してもよい。
【0098】
上記のように、高磁場MRIのために開発された通常のパルス・シーケンスは一般には、少なくとも部分的には高磁場MRIと低磁場MRIの動作パラメータにおける有意な違いのために、低磁場環境での適用には不向きである。これらの違いのいくつかが下記の表1および表2に示されている。表1は、通常の高磁場ZTEパルス・シーケンスおよび発明者らによって開発された低磁場ZTE(LF-ZTE)パルス・シーケンスについての動作パラメータの対照比較を示している。表2は、通常の高磁場bSSFPパルス・シーケンスおよび発明者らによって開発された低磁場bSSFP(LF-bSSFP)パルス・シーケンスについての動作パラメータの対照比較を示している。
【0100】
【表2】
上記のように、いくつかの実施形態では、RFパルスは、RF送信コイル(これは受信コイルでもあることがある)によってRFパルスに誘起される減衰を打ち消すためにプリエンファシスを受けてもよい。これはひいては上記のコイル・リンギング効果を低減するはたらきをする。下記でより詳細に述べるように、RFパルスは、RF送信コイルの伝達関数に基づいて(たとえばコイル伝達関数の逆を用いてRFパルスを変調することによって)プリエンファシスを受けてもよい。このことは
図7〜
図11を参照して下記で説明する。プリエンファシスは、送信RFコイルからの理想的なまたはより広帯域幅の出力を合成するためにいかなる入力RF信号に適用されてもよい。
【0101】
図7、
図8、
図9は、コイルの伝達関数に基づいて、RF送信コイル(たとえば低磁場MRIシステムにおけるRFコイル)がどのように入力電流を修正するかを示している。
図7は、例示的な低磁場RF送信コイルの概略図である。
図8は、868kHzの中心周波数をもつ60マイクロ秒パルスのための入力電流(上の図)と、
図7に示されるコイル回路においてL1の両端で測定される対応する出力電流(下の図)とを示している。
図8に示されるように、L1の両端で測定される出力電流は、RFコイルへの入力電流とは著しく異なっている。特に、L1のまわりで測定される出力電流は、入力電流の遅延され、帯域制限されたバージョンである。
図9はさらに、
図7のRFコイルによる入力RFパルスに誘起される減衰を周波数領域で示している。特に、
図9は、入力電流のスペクトル(実線)、RFコイルの伝達関数(点線)および出力電流のスペクトル(一点鎖線)とを示している。RFコイルは入力電流の中心周波数を通過させるが、より高い周波数サイドバンドおよびより低い周波数サイドバンドを減衰させることが見て取れる。これらのサイドバンドは入力波形のパルス変調の急速な立ち上がりおよび立ち下がり端を与える。これらのサイドバンドの減衰は、時間領域における遅延またはラグを導入する。結果として、出力信号の継続時間は入力信号より長くなり、結果として得られるRFパルスは、入力電流が送信コイルによって減衰されなかったとした場合に比べて、送信するのにより長い時間がかかる。
【0102】
いくつかの実施形態では、RFコイルによって入力電流に誘起される減衰(たとえばサイドバンドまたは中心周波数の前または後の波形の他の周波数成分の減衰)は、適切なプリエンファシス関数によって入力電流をプリエンファシスすることによって打ち消されてもよい。たとえば、入力電流は、RFコイル伝達関数の逆をプリエンファシス関数として使ってプリエンファシスされてもよい。プリエンファシスは時間領域で(たとえば畳み込みを使って)、周波数領域で(たとえば離散フーリエ変換を使って)、あるいは他の任意の好適な仕方で実行されてもよい。
【0103】
例として、
図9は、RFコイルによって(
図8の上半分に示される)入力電流に誘起される減衰がプリエンファシスを通じて打ち消されうる様子を示している。
図9は、コイル伝達関数の逆を使って(位相および周波数の両方において)プリエンファシスされた入力波形のスペクトル(破線)を示している。
図10は、周波数領域におけるそのようなプリエンファシス関数の例を示している。
図10の上のグラフは、プリエンファシス関数の振幅が周波数に依存する様子を示しており、
図10の下のグラフはプリエンファシス関数の位相が周波数の関数である様子を示している。
図9において見て取れるように、入力信号のサイドローブが強調され、それにより、コイル伝達関数によるその後の減衰によって、
図11の上のグラフ(入力電流)と下のグラフ(出力電流)に示されるように入力電流が出力電流に実質的に一致するようになる。本質的には、
図10に示されるプリエンファシス関数を使ったプリエンファシスは、周波数領域においてサイドバンドの振幅を増大させて、必要とされる振幅でRFコイル回路後に通過するようにしたのである。
【0104】
発明者らは、本稿に記載されるパルス・シーケンス技法が低磁場MRIを実行するために使用できるいくつかのシステム構成を開発した。
図12のAおよびBは、本稿に記載されたパルス・シーケンス技法との関連で低磁場MRIシステムにおいて使用されうる二平面磁気構成(bi-planar magnetic configuration)を示している。
図12のAは低磁場MRIに好適なB
0場の一部を少なくとも部分的には生成するよう構成された二平面磁石を示している。二平面磁石1200は二つの外側コイル1210aおよび1210bと、二つの内側コイル1212aおよび1212bとを有する。適切な電流がコイルに加えられるとき、矢印によって示される方向に磁場が生成されて、コイルの間に視野をもつB
0場が生じる。適切に設計し、構築すれば、これは低磁場MRIに好適となりうる。用語「コイル」はここでは、電流を流して磁場を生成する少なくとも一つの「ターン」をもち、よって電磁石をなす、任意の幾何構成の任意の導体または導体の組み合わせを指すために使われている。
【0105】
図12のAに示される二平面幾何構成は一般には高磁場MRIのために好適でないことは理解しておくべきである。それは、高磁場強度では十分な均一性のB
0場を得ることが難しいためである。高磁場MRIシステムは、高磁場MRIのための十分な均一性の高磁場強度を達成するために、典型的にはソレノイド幾何構成(および超伝導ワイヤ)を利用する。
図12のAに示される二平面B
0磁石は、概してオープンな幾何構成を与え、高磁場MRIシステムではできない多くの状況における使用を容易にする。たとえば、概してオープンは幾何構成は、患者への改善されたアクセスを提供し、低磁場MRIを、通常の高磁場の閉鎖式ボア構成を使っては困難または不可能であるものも含め一つまたは複数の他のモダリティ、技法および/または外科手順と組み合わせることを容易にする。また、オープンな幾何構成は、閉所恐怖症を患うまたは通常の高磁場ソレノイド・コイル幾何構成での撮像を拒否することがある患者と一緒に使用されることができる。さらに、二平面デザインは、そのオープンなデザインの結果として、より大きな患者で使うことを、また場合によっては低磁場強度および均一性要件において可能な、概してより大きな視野を、容易にしうる。さらに、概してオープンなデザインは、撮像される患者へのアクセスを容易にし、視野内の患者、たとえば意識のない、鎮静薬を与えたまたは麻酔をかけられた患者を位置決めする能力を改善しうる。
【0106】
発明者らはさらに、オープン幾何構成は患者へのアクセスを許容し、他の臨床手順の間に、たとえば手術中または患者への何らかのアクセス手段が望まれるもしくは必要とされる他の手順の間に、MRIを使うことを容易にすることを認識した。一般に、MRIを他のモダリティおよび/または臨床手順と組み合わせることは、通常のMRIを使ってでは、閉鎖式の構成および/または関わってくる高磁場強度のために、可能ではない。
図12のAの二平面幾何構成は単に例示的であり、他の構成が使われてもよい。たとえば、いくつかの実施形態によれば、B
0磁石が、図示した二平面幾何構成における向かい合う一対の側とは対照的に本質的には一方の側からなる「片側」幾何構成が使われる。
【0107】
図12のBは、B
0磁石またはその一部を製作するまたは低磁場MRIにおいて使うための一つまたは複数の他の磁気系コンポーネントを製作するためにラミネート技法を使うハイブリッド二平面磁石を示している。たとえば、
図12のBに示される例示的な二平面磁石1200’では、ラミネート・パネル1220aおよび1220bが内側コイル1212aおよび1212bを置き換えてハイブリッド磁石を生じる。ラミネート・パネル1220aおよび1220bは、低磁場MRIにおいて使われる磁場の生成を容易にするために一つまたは複数のB
0コイル、傾斜コイル、補正コイルおよび/またはシム・コイルなどまたはその一部がその上に製作されているラミネート層をいくつ含んでいてもよい。ラミネート技法を使った好適なハイブリッド磁石は'652出願において記述されている。他の実施形態では、ラミネート技法はB
0磁石全体を実装するために使われることができる(たとえばコイル1210aおよび1210bを置き換える)。
【0108】
例示的なラミネート・パネル1220aおよび1220bは追加的または代替的に、その上に、周波数または位相の関数として受信されたMR信号の空間位置をエンコードするための一つまたは複数の傾斜コイルまたはその一部を製作されていてもよい。いくつかの実施形態によれば、ラミネート・パネルは、低磁場MRIシステムにおいて動作させられたときに検出されたMR信号の空間エンコードを提供するのに好適な磁場を生成するまたはそれに寄与することができる、一つまたは複数の傾斜コイルまたは一つまたは複数の傾斜コイルの一部を形成するようパターン化された少なくとも一つの伝導層を有する。たとえば、ラミネート・パネル1220aおよび/またはラミネート・パネル1220bは、第一(X)方向においてB
0場を選択的に変化させてその方向における周波数エンコードを実行するよう構成された第一の傾斜コイル、第一方向と実質的に直交する第二(Y)方向においてB
0場を選択的に変化させて位相エンコードを実行するよう構成された第二の傾斜コイルおよび/または第一および第二方向に実質的に直交する第三(Z)方向においてB
0場を選択的に変化させて体積撮像アプリケーションのためのスライス選択を可能にするよう構成された第三の傾斜コイルを有していてもよい。
【0109】
例示的なラミネート・パネル1220aおよび1220bは追加的または代替的に、システムをサポートする磁場を生成するよう構成された一つまたは複数の補正もしくはシム・コイルのような追加的な磁気系コンポーネントを含んでいてもよい。サポートとはたとえば、B
0場の強さを増すおよび/または均一性を改善すること、傾斜コイルの動作によって作り出されるような有害な場の効果、撮像されるオブジェクト、近くにあるまたは関連して使われている他の設備の負荷効果(loading effects)を打ち消すこと、あるいは低磁場MRIシステムの磁気系を他の仕方でサポートすることである。
図12のAおよびBに示される二平面磁石は、通常のコイル、ラミネート技法または両者の組み合わせを使って生産されてもよく、低磁場MRIシステムのための磁気系コンポーネントを提供するために使われてもよい。これについては下記でより詳細に論じる。
【0110】
図13は、外側被覆または筐体をもち低磁場MRIを実行するよう構成された磁気系コンポーネントを有する二平面磁石1315Aおよび1315Bの視野内に着席している患者1385を示しているシステム1300を示している。これは、内部遮蔽、電気接続、電源および制御電子回路などといった他のコンポーネントをさらに有していてもよく、一般には、低磁場磁気系コンポーネント(たとえばB0磁石、傾斜コイル、送/受コイルなど)についての環境保護の施策を提供してもよい。
【0111】
図14のAおよびBは、磁気系コンポーネント1410Aおよび1410Bが、着席部1435を有するフレーム内に配置されているリクライニング構成をもつシステム1400を示している。着席部は、リクライニングされたポジションで磁気系コンポーネントの間に配置されている患者を受け入れるような角度で調整可能に向き付けられている。システムのリクライニング部分は、患者の所望される部分が磁石の視野内に位置されるよう、磁気系コンポーネントの間の患者の所望される位置決めを容易にするよう調整可能であってもよい。追加的または代替的に、患者に対して磁気系を位置決めすることにおける追加的な柔軟性を与えるために、磁気系コンポーネントはエンクロージャー1415内で調整可能であってもよい。磁気系コンポーネント1410Aおよび1410Bは一つまたは複数の好適なケーブルを介して電力電子回路に接続されてもよい。電力電子回路は、MRIシステムのポータブル性を助けるために、ラックに取り付けられてもよく、あるいは別の好適な搬送可能な構造と一緒に収容されていてもよい。これらの例示的なシステムは一般にはオープンであり、上記で論じたような利点をもちうる。
【0112】
図15A〜15Bは、いくつかの実施形態に基づく、本稿に記載される技法を実行する際に使うのに好適なポータブルまたは可搬な低磁場MRIシステム1500を示している。システム1500は磁気および電力コンポーネントならびに潜在的には他のコンポーネント(たとえば熱管理、コンソールなど)を、単一の全般的に搬送可能で変形可能な構造上に配置されて、含んでいてもよい。システム1500は、搬送および保管のために適応された構成と動作のために適応された構成という少なくとも二つの構成を有するよう設計されてもよい。
図15Aは、搬送および/または保管のために安定化されたときのシステム1500を示しており、
図15Bは動作のために変形されたときのシステム1500を示している。システム1500は部分1590Aを有し、これは、
図15Bにおいて示される矢印によって示されるように、システムをその搬送構成からその動作構成に変形するときに部分1590Bにスライドして挿入され、部分1590Bから引っ込められることができる。部分1590Aは、電力電子回路、コンソール(これはタッチパネル・ディスプレイのようなインターフェース装置を有していてもよい)および熱管理を収容していてもよい。部分1590Aは、必要に応じてシステム1500を動作させるために使われる他のコンポーネントをも含んでいてもよい。搬送可能なシステムは、システムを所望される位置まで運ぶためのキャスターまたは車輪1572と、所望される位置に到達したときにシステムを固定するためのブレーキ1574(
図15B参照)とを含む。
【0113】
部分1590Bは、低磁場MRIシステム1500の磁気系コンポーネントを有する。(
図15Bに示されるように)MRIを実行するようシステムを動作させるために適応された構成に変形されるとき、部分1590Aおよび1590Bの支持表面は、患者が載ることのできる面を提供する。撮像されるべき患者の一部が低磁場MRI磁気系コンポーネントの視野内になるよう患者を所定の位置にスライドさせるのを容易にするために、スライド可能なベッドまたは面1584が設けられてもよい。システム1500は、装置へのアクセスを従来利用可能ではなかった状況において容易にする低磁場MRIシステムのポータブルでコンパクトな構成を提供する。
【0114】
図15A〜15Bは、筐体1586Aと1586Bの間に撮像領域を形成する二平面磁石を利用する転換可能な低磁場MRIシステムの例を示している。筐体1586Aおよび1586Bは、転換可能なシステム1500のための磁気系コンポーネントを収容する。いくつかの実施形態によれば、磁気系コンポーネントは、ラミネート技法のみを使って、伝統的な技法のみを使って、あるいは両者の組み合わせを使って(たとえばハイブリッド技法を使って)生産され、製造され、配置されてもよい。転換可能な低磁場MRIシステム1500は、幅広い多様な状況における動作を容易にするために患者のところまでシステムが運ばれることを許容する。
【0115】
このように本開示において記述された技術のいくつかの側面および実施形態を記述してきたが、さまざまな変更、修正および改善が当業者には容易に思いつくであろう。そのような変更、修正および改善は本稿に記載される技術の精神および範囲内であることが意図されている。たとえば、当業者は、本稿に記載される機能を実行するためおよび/または本稿に記載される結果および/または利点の一つまたは複数を得るための多様な他の手段および/または構造を容易に構想するであろう。そのような変形および/または修正の一つ一つが本稿に記載される実施形態の範囲内であると見なされる。当業者は、本稿に記載される個別的な実施形態の多くの等価物を認識する、あるいは高々日常的な試行を使って見きわめることができるであろう。したがって、上記の実施形態は単に例として呈示されており、付属の請求項およびその等価物の範囲内で、発明的な実施形態は具体的に記述されている以外の仕方で実施されてもよいことは理解しておくものとする。加えて、本稿に記載される二つ以上の特徴、システム、物品、材料、キットおよび/または方法の任意の組み合わせが、かかる特徴、システム、物品、材料、キットおよび/または方法が互いに整合しないものでない限り、本開示の範囲内に含まれる。
【0116】
上記の実施形態は数多くの仕方のうち任意のもので実装されることができる。プロセスまたは方法の実行に関わる本開示の一つまたは複数の側面および実施形態は、プロセスまたは方法を実行するまたはその実行を制御するために装置(たとえばコンピュータ、プロセッサまたは他の装置)によって実行可能なプログラム命令を利用してもよい。これに関し、さまざまな発明概念が、一つまたは複数のコンピュータまたは他のプロセッサ上で実行されたときに上記のさまざまな実施形態の一つまたは複数を実装する方法を実装する方法を実行する一つまたは複数のプログラムをエンコードされた、非一時的なコンピュータ可読記憶媒体(または複数の非一時的なコンピュータ可読記憶媒体)(たとえば、コンピュータ・メモリ、一つまたは複数のフロッピーディスク、コンパクトディスク、光ディスク、磁気テープ、フラッシュメモリ、フィールドプログラマブルゲートアレイもしくは他の半導体デバイスにおける回路構成または他の有体なコンピュータ記憶媒体)として具現されてもよい。コンピュータ可読媒体またはメディアは可搬であってもよく、それに記憶されたプログラム(単数または複数)が一つまたは複数の異なるコンピュータまたは他のプロセッサにロードされて上記の諸側面のさまざまなものを実装することができる。いくつかの実施形態では、コンピュータ可読媒体は非一時的な媒体であってもよい。
【0117】
用語「プログラム」または「ソフトウェア」は本稿では、一般的な意味で、上記のさまざまな側面を実装するようコンピュータまたは他のプロセッサをプログラムするために用いることのできる任意の型のコンピュータ・コードまたはコンピュータ実行可能命令の組を指す。さらに、ある側面によれば、実行されたときに本開示の方法を実行する一つまたは複数のコンピュータ・プログラムが単一のコンピュータまたはプロセッサ上に存在する必要がなく、本開示のさまざまな側面を実装するためにモジュール式にいくつかの異なるコンピュータまたはプロセッサの間に分散されていてもよいことも理解しておくべきである。
【0118】
コンピュータ実行可能命令は、一つまたは複数のコンピュータまたは他のデバイスによって実行される、プログラム・モジュールのような多くの形であることができる。一般に、プログラム・モジュールは、特定のタスクを実行するまたは特定の抽象的データ型を実装するルーチン、プログラム、オブジェクト、コンポーネント、データ構造などを含む。典型的には、プログラム・モジュールの機能は、さまざまな実施形態において所望に応じて組み合わされたり分散されたりしてもよい。
【0119】
また、データ構造は任意の好適な形でコンピュータ可読媒体に記憶されてもよい。例示の簡単のため、データ構造は、該データ構造中の位置を通じて関係付けられるフィールドを有するよう示されることがある。そのような関係は、同様に、フィールド間の関係を伝達するコンピュータ可読媒体内の位置をもつフィールドのための記憶を割り当てることによって達成されてもよい。しかしながら、データ構造のフィールド中の情報間の関係を確立するためには、ポインタ、タグまたはデータ要素間の関係を確立する他の機構の使用を通じてを含め、いかなる好適な機構が使用されてもよい。
【0120】
ソフトウェアで実装されるとき、ソフトウェア・コードは、単一コンピュータにおいて提供されようと複数のコンピュータの間に分散されようと、いかなる好適なプロセッサまたはプロセッサの集合で実行されることもできる。
【0121】
さらに、コンピュータは、限定しない例として、ラックマウント・コンピュータ、デスクトップ・コンピュータ、ラップトップ・コンピュータまたはタブレット・コンピュータのようないくつもの形のいずれで具現されてもよい。さらに、コンピュータは、携帯情報端末(PDA: Personal Digital Assistant)、スマートフォンまたは他の任意の好適な可搬型もしくは固定型電子装置を含む、一般にコンピュータとは見なされていないが好適な処理機能をもつ装置において具現されてもよい。
【0122】
また、コンピュータは一つまたは複数の入力および出力装置を有していてもよい。これらの装置は、中でも、ユーザー・インターフェースを呈示するために使用されることができる。ユーザー・インターフェースを提供するために使用されることのできる出力装置の例は、出力の視覚的な呈示のためのプリンタまたはディスプレイ画面または出力の可聴呈示のためのスピーカーまたは他のサウンド生成装置を含む。ユーザー・インターフェースのために使用できる入力装置の例は、キーボードおよびマウス、タッチパッドおよびデジタイズ用タブレットのようなポインティングデバイスを含む。もう一つの例として、コンピュータは音声認識を通じて、または他の可聴フォーマットで、入力情報を受領してもよい。
【0123】
そのようなコンピュータは、企業ネットワークまたは知的なネットワーク(IN: intelligent network)またはインターネットのような、ローカル・エリア・ネットワークまたは広域ネットワークを含む任意の好適な形の一つまたは複数のネットワークによって相互接続されてもよい。そのようなネットワークはいかなる好適な技術に基づいていてもよく、いかなる好適なプロトコルに従って動作してもよく、無線ネットワーク、有線ネットワークまたは光ファイバー・ネットワークを含んでいてもよい。
【0124】
また、記載されるように、いくつかの側面は一つまたは複数の方法として具現されてもよい。該方法の一部として実行される工程は、任意の好適な仕方で順序付けられてもよい。よって、例示的な実施形態において逐次的な工程として示されていたとしても、いくつかの工程を同時に実行することを含んでいてもよいが例示したのとは異なる順序で工程が実行される実施形態も構築されうる。
【0125】
本稿で定義され、使用されるあらゆる定義は、辞書の定義、参照によって組み込まれた文書における定義および/または定義されている用語の通常の意味より優先して支配すると理解されるべきである。
【0126】
本稿で使われる単数形の表現は、そうでないことが明確に示されるのでない限り、「少なくとも一つ」を意味すると理解すべきである。
【0127】
明細書および請求項において本願で使用される句「および/または」は、結ばれている要素の「いずれかまたは両方」、すなわち、場合によっては両方ともが存在する要素を、場合によっては一方のみが存在する要素を意味すると理解されるべきである。「および/または」をもって挙げられる複数の要素も同じように、すなわち、そのように結ばれている要素の「一つまたは複数」として解釈されるべきである。任意的に、「および/または」節によって具体的に特定される要素以外の他の要素が、具体的に特定されたそのような要素に関係したものであろうと関係していないものであろうと、存在してもよい。よって、限定しない例として、「Aおよび/またはB」への言及は、「含む/有する」といった開放型の言辞と一緒に使われるとき、ある実施形態ではAのみ(任意的にはB以外の要素を含む)を;別の実施形態ではBのみ(任意的にはA以外の要素を含む)を;さらに別の実施形態ではAおよびBの両方(任意的には他の要素を含む)などを指すことができる。
【0128】
明細書および請求項において本願で使用されるところでは、一つまたは複数の要素のリストに言及しての「少なくとも一つの」という句は、該要素リストの要素の任意の一つまたは複数から選択される少なくとも一つの要素を意味するが、必ずしも該要素リスト内に個々に挙げられているすべての要素の少なくとも一つを含むとは限らず、要素リスト内の要素のいかなる組み合わせも排除しないと理解すべきである。この定義は、個々に特定されている要素に関係したものであろうと関係していないものであろうと、「少なくとも一つ」という句が指す要素リスト内で個々に特定されている要素以外の要素が任意的に存在してもよいことをも許容する。よって、限定しない例として、「AおよびBの少なくとも一つ」(または等価だが「AまたはBの少なくとも一つ」または等価だが「Aおよび/またはBの少なくとも一つ」)は、ある実施形態では、Bなしで少なくとも一つ、任意的には二つ以上のA(そして任意的にはB以外の要素を含む)を;別の実施形態では、Aなしで少なくとも一つ、任意的には二つ以上のB(そして任意的にはA以外の要素を含む)を;さらに別の実施形態では、少なくとも一つ、任意的には二つ以上のAおよび少なくとも一つ、任意的には二つ以上のB(そして任意的には他の要素を含む)などを指すことができる。
【0129】
また、本稿で使われる表現や用語は説明のためであって、限定するものと見なすべきではない。本稿における「含む」「有する」または「もつ」「包含する」「関わる」およびそれらの変形の使用は列挙された項目およびその等価物ならびに追加的な項目をカバーすることを意図している。
【0130】
請求項および上記の明細書において、「有する」「含む」「担持する」「もつ」「包含する」「関わる」「保持する」「構成される」などといったあらゆる移行句はオープンなものと理解される。すなわち、含むがそれに限定されないことを意味する。「…からなる」および「本質的には…からなる」という移行句のみが、それぞれクローズドまたは半クローズドの移行句である。
いくつかの態様を記載しておく。
〔態様1〕
低磁場の主磁場B0を生成するよう構成された少なくとも一つの第一の磁気系コンポーネントおよび動作させられたときに磁気共鳴データを収集するよう構成された少なくとも一つの第二の磁気系コンポーネントを有する複数の磁気系コンポーネントと;
少なくとも一つの低磁場ゼロ・エコー時間(LF-ZTE)パルス・シーケンスに従って前記複数の磁気系コンポーネントの一つまたは複数を動作させるよう構成された少なくとも一つのコントローラとを有する、
低磁場磁気共鳴撮像(MRI)システム。
〔態様2〕
前記少なくとも一つのコントローラに通信上結合されており、前記少なくとも一つのLF-ZTEパルス・シーケンスについての少なくとも一つのパラメータを記憶している少なくとも一つの非一時的なコンピュータ可読媒体をさらに有しており、
前記少なくとも一つのコントローラは、前記複数の磁気系コンポーネントの前記一つまたは複数を動作させることを、少なくとも部分的には:
前記少なくとも一つの非一時的なコンピュータ可読記憶媒体に記憶されている前記少なくとも一つのパラメータにアクセスし;
前記少なくとも一つのパラメータに従って前記複数の磁気系コンポーネントの前記一つまたは複数を動作させることによって行なうよう構成されている、
態様1記載の低磁場MRIシステム。
〔態様3〕
前記複数の磁気系コンポーネントが、少なくとも一つの磁石、少なくとも一つのシム・コイル、少なくとも一つのRF送信コイル、少なくとも一つのRF受信コイルおよび少なくとも一つの傾斜コイルからなる群から選択されたコンポーネントを有する、態様1または2記載の低磁場MRIシステム。
〔態様4〕
前記少なくとも一つの第一の磁気系コンポーネントが、約0.2T以下約0.1T以上の強さをもつB0場を生成するよう構成されている、態様1ないし3のうちいずれか一項記載の低磁場MRIシステム。
〔態様5〕
前記少なくとも一つの第一の磁気系コンポーネントが、約0.1T以下約50mT以上の強さをもつB0場を生成するよう構成されている、態様1ないし4のうちいずれか一項記載の低磁場MRIシステム。
〔態様6〕
前記少なくとも一つの第一の磁気系コンポーネントが、約50mT以下約20mT以上の強さをもつB0場を生成するよう構成されている、態様1ないし5のうちいずれか一項記載の低磁場MRIシステム。
〔態様7〕
前記少なくとも一つの第一の磁気系コンポーネントが、約20mT以下約10mT以上の強さをもつB0場を生成するよう構成されている、態様1ないし6のうちいずれか一項記載の低磁場MRIシステム。
〔態様8〕
前記少なくとも一つのコントローラは、前記LF-ZTEパルス・シーケンスに従って前記複数の磁気系コンポーネントの前記一つまたは複数を動作させることを、少なくとも部分的には:
(A)複数の傾斜場を加え;
(B)前記複数の傾斜場を加えている間に:
少なくとも一つのRFパルスを加え;
前記少なくとも一つのRFパルスを加えた後、ある閾値時間が経過した後に、磁気共鳴信号を収集し;
(C)前記複数の傾斜場のうち少なくとも一つの傾斜場の強さを少なくとも一つの他の値に調整することを含む一組の工程を実行することによって
行なうよう構成されている、態様1ないし7のうちいずれか一項記載の低磁場MRIシステム。
〔態様9〕
前記少なくとも一つのRFパルスを加えることが、少なくとも一つの周波数変調されたRFパルスを生成して該少なくとも一つの周波数変調されたRFパルスを送信することを含む、態様1ないし8のうちいずれか一項記載の低磁場MRIシステム。
〔態様10〕
前記少なくとも一つのRFパルスを加えることが、撮像される被験体の正味の磁化ベクトルを30度未満の角度だけ偏向させるような継続時間および振幅の少なくとも一つのRFパルスを生成することを含む、態様1ないし9のうちいずれか一項記載の低磁場MRIシステム。
〔態様11〕
前記少なくとも一つのRFパルスを加えることが、少なくとも当該低磁場MRIシステムの送信コイルの伝達関数に基づいて前記少なくとも一つのRFパルスにプリエンファシスを加えて、少なくとも一つのプリエンファシスされたRFパルスを得て、該少なくとも一つのプリエンファシスされたRFパルスを前記送信コイルを使って送信することを含む、態様1ないし10のうちいずれか一項記載の低磁場MRIシステム。
〔態様12〕
前記複数の傾斜場のうち少なくとも一つの傾斜場の強さを調整することは、前記複数の傾斜場のうちの前記少なくとも一つの傾斜場をオフにすることなく実行される、態様1ないし11のうちいずれか一項記載の低磁場MRIシステム。
〔態様13〕
前記一組の工程(A)、(B)および(C)が1〜25msで実行される、態様1ないし12のうちいずれか一項記載の低磁場MRIシステム。
〔態様14〕
前記一組の工程がさらに、(D)工程(A)を実行する前に少なくとも一つのコントラスト準備部分を適用することを含む、態様1ないし13のうちいずれか一項記載の低磁場MRIシステム。
〔態様15〕
前記少なくとも一つのコントラスト準備部分を適用することが、少なくとも一つの電子常磁性共鳴(EPR)パルスを加えることを含む、態様14記載の低磁場MRIシステム。
〔態様16〕
前記少なくとも一つのコントラスト準備部分を適用することが、少なくとも一つの水/脂肪コントラスト分離部分、少なくとも一つのT1コントラスト準備部分、少なくとも一つのT2コントラスト準備部分、少なくとも一つの動脈スピン標識付け準備部分および少なくとも一つの拡散強調コントラスト準備部分からなる群から選択されるコントラスト準備部分を適用することを含む、態様14記載の低磁場MRIシステム。
〔態様17〕
低磁場の主磁場B0を生成するよう構成された少なくとも一つの第一の磁気系コンポーネントおよび動作させられたときに磁気共鳴データを収集するよう構成された少なくとも一つの第二の磁気系コンポーネントを有する複数の磁気系コンポーネントを有する低磁場磁気共鳴撮像システムを動作させる方法であって:
前記少なくとも一つの第一の磁気系コンポーネントを使って前記低磁場の主磁場B0を生成する段階と;
少なくとも一つの低磁場ゼロ・エコー時間(LF-ZTE)パルス・シーケンスに従って前記複数の磁気系コンポーネントの一つまたは複数を制御する段階とを含む、
方法。
〔態様18〕
低磁場の主磁場B0を生成するよう構成された少なくとも一つの第一の磁気系コンポーネントおよび動作させられたときに磁気共鳴データを収集するよう構成された少なくとも一つの第二の磁気系コンポーネントを有する複数の磁気系コンポーネントを有する低磁場MRIシステムによって実行されたときに、前記低磁場MRIシステムに:
前記少なくとも一つの第一の磁気系コンポーネントを使って前記低磁場の主磁場B0を生成する段階と;
少なくとも一つの低磁場ゼロ・エコー時間(LF-ZTE)パルス・シーケンスに従って前記複数の磁気系コンポーネントの一つまたは複数を動作させる段階と
を実行させるプロセッサ実行可能命令を記憶している少なくとも一つの非一時的なコンピュータ可読記憶媒体。
〔態様19〕
低磁場の主磁場B0を生成するよう構成された少なくとも一つの第一の磁気系コンポーネントおよび動作させられたときに磁気共鳴データを収集するよう構成された少なくとも一つの第二の磁気系コンポーネントを有する複数の磁気系コンポーネントと;
少なくとも一つの低磁場再集束(LFR)パルス・シーケンスに従って前記複数の磁気系コンポーネントの一つまたは複数を動作させるよう構成された少なくとも一つのコントローラとを有する、低磁場磁気共鳴撮像(MRI)システムであって、
前記少なくとも一つのLFRパルス・シーケンスにおけるRF励起パルスは、正味の横磁化に対するB0不均一性の効果を軽減するフリップ角に関連付けられる、
低磁場MRIシステム。
〔態様20〕
前記少なくとも一つのコントローラが、前記複数の磁気系コンポーネントのうちの一つまたは複数を、少なくとも一つの低磁場均衡定常状態自由歳差(LF-bSSFP)パルス・シーケンスに従って動作させるよう構成されている、態様19記載の低磁場MRIシステム。
〔態様21〕
前記少なくとも一つのコントローラに通信上結合されており、前記少なくとも一つのLF-bSSFPパルス・シーケンスについての少なくとも一つのパラメータを記憶している少なくとも一つの非一時的なコンピュータ可読媒体をさらに有しており、
前記少なくとも一つのコントローラは、前記複数の磁気系コンポーネントの前記一つまたは複数を動作させることを、少なくとも部分的には:
前記少なくとも一つの非一時的なコンピュータ可読記憶媒体に記憶されている前記少なくとも一つのパラメータにアクセスし;
前記少なくとも一つのパラメータに従って前記複数の磁気系コンポーネントの前記一つまたは複数を動作させることによって行なうよう構成されている、
態様19記載の低磁場MRIシステム。
〔態様22〕
前記複数の磁気系コンポーネントが、少なくとも一つの磁石、少なくとも一つのシム・コイル、少なくとも一つのRF送信コイル、少なくとも一つのRF受信コイルおよび少なくとも一つの傾斜コイルからなる群から選択されたコンポーネントを有する、態様1ないし21のうちいずれか一項記載の低磁場MRIシステム。
〔態様23〕
前記少なくとも一つの第一の磁気系コンポーネントが、約0.2T以下約0.1T以上の強さをもつB0場を生成するよう構成されている、態様1ないし22のうちいずれか一項記載の低磁場MRIシステム。
〔態様24〕
前記少なくとも一つの第一の磁気系コンポーネントが、約0.1T以下約50mT以上の強さをもつB0場を生成するよう構成されている、態様1ないし23のうちいずれか一項記載の低磁場MRIシステム。
〔態様25〕
前記少なくとも一つの第一の磁気系コンポーネントが、約50mT以下約20mT以上の強さをもつB0場を生成するよう構成されている、態様1ないし24のうちいずれか一項記載の低磁場MRIシステム。
〔態様26〕
前記少なくとも一つの第一の磁気系コンポーネントが、約20mT以下約10mT以上の強さをもつB0場を生成するよう構成されている、態様1ないし25のうちいずれか一項記載の低磁場MRIシステム。
〔態様27〕
前記少なくとも一つのコントローラは、前記LF-bSSFPパルス・シーケンスに従って前記複数の磁気系コンポーネントの前記一つまたは複数を動作させることを、少なくとも部分的には:
(A)RFパルスを加え;
(B)前記RFパルスを加えた後、複数の傾斜場を加え;
(C)前記複数の傾斜場を加えた後、前記複数の傾斜場のうちの一つを加えている間に磁気共鳴信号を収集し;
(D)前記磁気共鳴信号を収集した後、撮像されている被験体の磁気モーメントを再集束させることを含む一組の工程を実行することによって行なうよう構成されており、前記再集束は、少なくとも部分的には、前記LF-bSSFPパルス・シーケンスのパルス反復期間の継続時間を通じたそれぞれの傾斜場の場の強さの和が0になるよう選択された強さおよびまたは極性をもつ傾斜場を加えることによる、
態様1ないし26のうちいずれか一項記載の低磁場MRIシステム。
〔態様28〕
前記少なくとも一つのRFパルスを加えることが、少なくとも一つの周波数変調されたRFパルスを生成して該少なくとも一つの周波数変調されたRFパルスを送信することを含む、態様1ないし27のうちいずれか一項記載の低磁場MRIシステム。
〔態様29〕
正味の横磁化に対するB0不均一性の効果を軽減する前記フリップ角は60〜80度の範囲内である、態様1ないし28のうちいずれか一項記載の低磁場MRIシステム。
〔態様30〕
正味の横磁化に対するB0不均一性の効果を軽減する前記フリップ角は65〜75度の範囲内である、態様1ないし29のうちいずれか一項記載の低磁場MRIシステム。
〔態様31〕
正味の横磁化に対するB0不均一性の効果を軽減する前記フリップ角は90度より小さい、態様1ないし30のうちいずれか一項記載の低磁場MRIシステム。
〔態様32〕
前記少なくとも一つのRFパルスを加えることが、少なくとも当該低磁場MRIシステムの送信コイルの伝達関数に基づいて前記少なくとも一つのRFパルスにプリエンファシスを加えて、少なくとも一つのプリエンファシスされたRFパルスを得て、該少なくとも一つのプリエンファシスされたRFパルスを前記送信コイルを使って送信することを含む、態様1ないし31のうちいずれか一項記載の低磁場MRIシステム。
〔態様33〕
前記一組の工程がさらに、(E)工程(A)を実行する前に少なくとも一つのコントラスト準備部分を適用することを含む、態様1ないし32のうちいずれか一項記載の低磁場MRIシステム。
〔態様34〕
前記少なくとも一つのコントラスト準備部分を適用することが、少なくとも一つの水/脂肪コントラスト分離部分、少なくとも一つのT1コントラスト準備部分、少なくとも一つのT2コントラスト準備部分、少なくとも一つの動脈スピン標識付け準備部分および少なくとも一つの拡散強調コントラスト準備部分からなる群から選択されるコントラスト準備部分を適用することを含む、態様1ないし33のうちいずれか一項記載の低磁場MRIシステム。
〔態様35〕
低磁場の主磁場B0を生成するよう構成された少なくとも一つの第一の磁気系コンポーネントおよび動作させられたときに磁気共鳴データを収集するよう構成された少なくとも一つの第二の磁気系コンポーネントを有する複数の磁気系コンポーネントを有する低磁場磁気共鳴撮像システムを動作させる方法であって:
前記少なくとも一つの第一の磁気系コンポーネントを動作させて前記低磁場の主磁場B0を生成する段階と;
少なくとも一つの低磁場再集束(LFR)パルス・シーケンスに従って前記複数の磁気系コンポーネントの一つまたは複数を制御する段階とを含み、
前記少なくとも一つのLFRパルス・シーケンスにおけるRF励起パルスは、正味の横磁化に対するB0不均一性の効果を軽減するフリップ角に関連付けられる、
方法。
〔態様36〕
低磁場の主磁場B0を生成するよう構成された少なくとも一つの第一の磁気系コンポーネントおよび動作させられたときに磁気共鳴データを収集するよう構成された少なくとも一つの第二の磁気系コンポーネントを有する複数の磁気系コンポーネントを有する低磁場MRIシステムによって実行されたときに、前記低磁場MRIシステムに:
前記少なくとも一つの第一の磁気系コンポーネントを動作させて前記低磁場の主磁場B0を生成する段階と;
少なくとも一つの低磁場再集束(LFR)パルス・シーケンスに従って前記複数の磁気系コンポーネントの一つまたは複数を動作させる段階とを実行させるプロセッサ実行可能命令を記憶している少なくとも一つの非一時的なコンピュータ可読記憶媒体であって、
前記少なくとも一つのLFRパルス・シーケンスにおけるRF励起パルスは、正味の横磁化に対するB0不均一性の効果を軽減するフリップ角に関連付けられる、
記憶媒体。
〔態様37〕
低磁場の主磁場B0を生成するよう構成された少なくとも一つの第一の磁気系コンポーネントおよび動作させられたときに磁気共鳴データを収集するよう構成された少なくとも一つの第二の磁気系コンポーネントを含む、低磁場の主磁場B0を含む複数の磁場を生成するよう構成された複数の磁気系コンポーネントと;
前記複数の磁場の一つまたは複数における不均一性を補償するよう設計されたパルス・シーケンスに従って前記複数の磁気系コンポーネントの一つまたは複数を動作させるよう構成された少なくとも一つのコントローラとを有する、低磁場磁気共鳴撮像(MRI)システムであって、
前記補償は、少なくとも部分的には、前記複数の磁気系コンポーネントの一つまたは複数に、前記パルス・シーケンスのそれぞれの一連のパルス反復期間の間に変化する少なくとも一つのパラメータをもつ一連のRFパルスを加えさせることによる、
低磁場MRIシステム。
〔態様38〕
前記パルス・シーケンスは、主磁場の不均一性を補償するよう設計される、態様37記載の低磁場MRIシステム。
〔態様39〕
前記複数の磁場がB1磁場を含み、前記パルス・シーケンスはB1磁場の不均一性を補償するよう設計される、態様1ないし38のうちいずれか一項記載の低磁場MRIシステム。
〔態様40〕
一連のRFパルスにおけるRFパルスによって誘起されるフリップ角が、それぞれの一連のパルス反復期間の間に変化する、態様1ないし39のうちいずれか一項記載の低磁場MRIシステム。
〔態様41〕
一連のRFパルスにおけるRFパルスの位相が、それぞれの一連のパルス反復期間の間に変化する、態様1ないし40のうちいずれか一項記載の低磁場MRIシステム。
〔態様42〕
一連のRFパルスにおけるRFパルスの中心周波数が、それぞれの一連のパルス反復期間の間に変化する、態様1ないし41のうちいずれか一項記載の低磁場MRIシステム。
〔態様43〕
一連のRFパルスにおけるRFパルスの中心周波数が、それぞれの一連のパルス反復期間の間に線形に変化する、態様1ないし42のうちいずれか一項記載の低磁場MRIシステム。
〔態様44〕
一連のRFパルスにおけるRFパルスの中心周波数が、該一連のRFパルスにおける相続くRFパルスの各対の間で固定量だけ変化する、態様1ないし43のうちいずれか一項記載の低磁場MRIシステム。
〔態様45〕
一連のRFパルスにおけるRFパルスの中心周波数の間の最大差が25Hz未満である、態様1ないし44のうちいずれか一項記載の低磁場MRIシステム。
〔態様46〕
一連のRFパルスにおけるRFパルスの中心周波数の間の最大差が10から200Hzまでの間である、態様1ないし45のうちいずれか一項記載の低磁場MRIシステム。
〔態様47〕
一連のRFパルスにおけるRFパルスの中心周波数の間の最大差が200Hzから1000Hzまでの間である、態様1ないし46のうちいずれか一項記載の低磁場MRIシステム。
〔態様48〕
一連のRFパルスにおけるRFパルスの中心周波数の間の最大差が500Hzから10kHzまでの間である、態様1ないし47のうちいずれか一項記載の低磁場MRIシステム。
〔態様49〕
一連のRFパルスにおけるRFパルスの中心周波数の間の最大差が10kHzから100kHzまでの間である、態様1ないし48のうちいずれか一項記載の低磁場MRIシステム。
〔態様50〕
一連のRFパルスにおけるRFパルスの中心周波数が、前記パルス・シーケンスの単一のパルス反復期間の継続時間に依存する周波数範囲内で変化する、態様1ないし50のうちいずれか一項記載の低磁場MRIシステム。
〔態様51〕
前記少なくとも一つのコントローラはさらに、前記パルス・シーケンスを使って得られたデータに基づいて、主磁場の不均一性の画像を生成するよう構成されている、態様1ないし50のうちいずれか一項記載の低磁場MRIシステム。
〔態様52〕
前記少なくとも一つのコントローラはさらに、前記パルス・シーケンスの間に得られたデータおよび前記主磁場の不均一性の画像に基づいて、撮像される被験体の画像を生成するよう構成されている、態様1ないし51のうちいずれか一項記載の低磁場MRIシステム。
〔態様53〕
前記少なくとも一つのコントローラはさらに、前記パルス・シーケンスの間に得られたデータに基づいて、被験体の歪められた画像を生成し、前記不均一性の画像を使うことによって前記被験体の歪められた画像の歪みを除去して前記被験体の画像を得ることによって、前記被験体の画像を生成するよう構成されている、態様1ないし52のうちいずれか一項記載の低磁場MRIシステム。
〔態様54〕
前記一連のRFパルスが周波数変調されたRFパルスを含む、態様1ないし53のうちいずれか一項記載の低磁場MRIシステム。
〔態様55〕
前記パルス・シーケンスが低磁場ゼロ・エコー時間パルス・シーケンスである、態様1ないし54のうちいずれか一項記載の低磁場MRIシステム。
〔態様56〕
前記パルス・シーケンスが低磁場再集束パルス・シーケンスである、態様1ないし55のうちいずれか一項記載の低磁場MRIシステム。
〔態様57〕
前記パルス・シーケンスが低磁場均衡定常状態自由歳差(LF-bSSFP)パルス・シーケンスである、態様37記載の低磁場MRIシステム。
〔態様58〕
前記少なくとも一つの第一の磁気系コンポーネントが、約0.2T以下約0.1T以上の強さをもつB0場を生成するよう構成されている、態様1ないし57のうちいずれか一項記載の低磁場MRIシステム。
〔態様59〕
前記少なくとも一つの第一の磁気系コンポーネントが、約0.1T以下約50mT以上の強さをもつB0場を生成するよう構成されている、態様1ないし58のうちいずれか一項記載の低磁場MRIシステム。
〔態様60〕
前記少なくとも一つの第一の磁気系コンポーネントが、約50mT以下約20mT以上の強さをもつB0場を生成するよう構成されている、態様1ないし59のうちいずれか一項記載の低磁場MRIシステム。
〔態様61〕
前記少なくとも一つの第一の磁気系コンポーネントが、約20mT以下約10mT以上の強さをもつB0場を生成するよう構成されている、態様1ないし60のうちいずれか一項記載の低磁場MRIシステム。
〔態様62〕
低磁場の主磁場B0を生成するよう構成された少なくとも一つの第一の磁気系コンポーネントおよび動作させられたときに磁気共鳴データを収集するよう構成された少なくとも一つの第二の磁気系コンポーネントを含む、低磁場の主磁場B0を含む複数の磁場を生成するよう構成された複数の磁気系コンポーネントを有する、低磁場磁気共鳴撮像システムを動作させる方法であって:
前記少なくとも一つの第一の磁気系コンポーネントを動作させて前記低磁場の主磁場B0を生成し;
前記複数の磁場の一つまたは複数における不均一性を補償するよう設計されたパルス・シーケンスに従って前記複数の磁気系コンポーネントの一つまたは複数を制御することを含み、
前記補償は、少なくとも部分的には、前記複数の磁気系コンポーネントに、前記パルス・シーケンスのそれぞれの一連のパルス反復期間の間に変化する少なくとも一つのパラメータをもつ一連のRFパルスを加えさせることによる、
方法。
〔態様63〕
低磁場の主磁場B0を生成するよう構成された少なくとも一つの第一の磁気系コンポーネントおよび動作させられたときに磁気共鳴データを収集するよう構成された少なくとも一つの第二の磁気系コンポーネントを含む、低磁場の主磁場B0を含む複数の磁場を生成するよう構成された複数の磁気系コンポーネントを有する、低磁場MRIシステムによって実行されたときに、少なくとも一つの磁場を生成し、前記低磁場MRIシステムが:
前記少なくとも一つの第一の磁気系コンポーネントを動作させて前記低磁場の主磁場B0を生成する段階と;
前記複数の磁場の一つまたは複数における不均一性を補償するよう設計されたパルス・シーケンスに従って前記複数の磁気系コンポーネントの一つまたは複数を動作させる段階とを実行させるプロセッサ実行可能命令を記憶している少なくとも一つの非一時的なコンピュータ可読記憶媒体であって、
前記補償は、少なくとも部分的には、前記複数の磁気系コンポーネントに、前記パルス・シーケンスのそれぞれの一連のパルス反復期間の間に変化する少なくとも一つのパラメータをもつ一連のRFパルスを加えさせることによる、
記憶媒体。