(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
コアと、該コアを被覆する包囲層と、該包囲層を被覆する中間層と、該中間層を被覆する最外層とを有するマルチピースソリッドゴルフボールにおいて、上記コア、該コアの周囲に包囲層が被覆された球体(包囲層被覆球体)、該包囲層の周囲に中間層が被覆された球体(中間層被覆球体)、及びボールの表面硬度がショアD硬度で、
ボール表面硬度<中間層被覆球体の表面硬度>包囲層被覆球体の表面硬度
の関係を満たし、ボール表面硬度から中間層被覆球体の表面硬度を引いた値がショアD硬度で−15〜−5であり、中間層被覆球体の表面硬度から包囲層被覆球体の表面硬度を引いた値がショアD硬度で10〜15であり、中間層の厚さ及びカバーの厚さが、
カバー厚さ<中間層厚さ
の関係を満たし、カバー厚さから中間層厚さを引いた値が−0.2〜−0.1mmであり、上記コア、包囲層被覆球体、中間層被覆球体、及びボールの初速(m/s)が、
ボール初速<中間層被覆球体の初速>包囲層被覆球体の初速>コア初速
の関係を満たし、ボールの初速から中間層被覆球体の初速を引いた値が−1.0〜−0.6m/sであり、中間層被覆球体の初速から包囲層被覆球体の初速を引いた値が0〜0.4m/sであり、包囲層被覆球体の初速からコア初速を引いた値が0.1〜0.4m/sであり、且つ、コア硬度分布において、JIS−C硬度で、
27.9≦コア表面硬度(Cs)−コア中心硬度(Cc)≦29.5
3.6≦[コア中心から5mmの位置の硬度(C5)−コア中心硬度(Cc)]≦4.2
4.3≦[コア表面硬度(Cs)−コア中心硬度(Cc)]/[コアの表面と中心の中間位置の硬度(Cm)−コア中心硬度(Cc)]≦5.2
の関係を満たすことを特徴とするマルチピースソリッドゴルフボール。
コアの初期荷重98N(10kgf)から終荷重1275N(130kgf)まで負荷したときのたわみ量(mm)をE、包囲層被覆球体の初期荷重98N(10kgf)から終荷重1275N(130kgf)まで負荷したときのたわみ量(mm)をTとするとき、0.4≦E−T≦0.5の関係を満たす請求項1〜7のいずれか1項記載のマルチピースソリッドゴルフボール。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明につき、更に詳しく説明する。
本発明のマルチピースソリッドゴルフボールは、内側からコア、包囲層、中間層及びカバー(最外層)を有するものである。
図1に本発明のゴルフボールの一例を示す内部構造を示した。
図1に示したゴルフボールGは、コア1と、該コア1を被覆する包囲層2と、該包囲層を被覆する中間層3と、該中間層を被覆するカバー(最外層)4とを有している。コア以外の包囲層、中間層及びカバー(最外層)は、少なくとも1層を有するものであり、単層には限られず2層以上の複数層に形成することができる。また、上記カバー4の表面には、通常、空力特性の向上のためにディンプルDが多数形成される。以下、上記の各層について詳述する。
【0012】
コアは公知のゴム組成物を用いて形成することができ、特に制限されるものではないが、好適なものとして以下に示す配合のゴム組成物を例示することができる。
【0013】
上記コアを形成する材料としては、ゴム材を主材として用いることができる。例えば、基材ゴムに、共架橋剤、有機過酸化物、不活性充填剤、硫黄、老化防止剤、有機硫黄化合物等を含有するゴム組成物を用いて形成することができる。
【0014】
本発明では、特に以下に示す配合成分(I)〜(III)を含有するゴム組成物を採用することが好ましい。
(I)基材ゴム
(II)有機過酸化物
(III)水及び/又はモノカルボン酸金属塩
【0015】
上記(I)成分の基材ゴムについては、特に制限されるものではないが、特にポリブタジエンを用いることが好適である。
【0016】
上記のポリブタジエンは、そのポリマー鎖中に、シス−1,4−結合を60%以上、好ましくは80%以上、より好ましくは90%以上、最も好ましくは95%以上有することが好適である。ポリブタジエン分子中の結合に占めるシス−1,4−結合が少なすぎると、反発性が低下する場合がある。
【0017】
なお、基材ゴム中には、上記ランタン系列希土類元素化合物とは異なる触媒にて合成されたポリブタジエンゴムを配合してもよい。また、スチレンブタジエンゴム(SBR)、天然ゴム、ポリイソプレンゴム、エチレンプロピレンジエンゴム(EPDM)等を配合してもよく、これら1種を単独で、又は2種以上を併用してもよい。
【0018】
次に、上記の(II)有機過酸化物としては、特に制限されるものではないが、1分間半減期温度が110〜185℃である有機過酸化物を用いることが好適であり、1種または2種以上の有機過酸化物を使用することができる。有機過酸化物の配合量としては、基材ゴム100質量部に対して、好ましくは0.1質量部以上、より好ましくは0.3質量部以上であり、上限値としては、好ましくは5質量部以下、より好ましくは4質量部以下、さらに好ましくは3質量部以下である。上記の有機過酸化物は、市販品を用いることができ、具体的には、商品名「パークミルD」、「パーヘキサC−40」、「ナイパーBW」、「パーロイルL」等(いずれも日油社製)、または、Luperco 231XL(アトケム社製)などを例示することができる。
【0019】
次に、上記の(III)成分の水については、特に制限はなく、蒸留水であっても水道水であってもよいが、特には、不純物を含まない蒸留水を使用することが好適に採用される。水の配合量は、基材ゴム100質量部に対して、0.1質量部以上配合することが好ましく、より好ましくは0.3質量部以上であり、上限としては、好ましくは5質量部以下であり、より好ましくは4質量部以下、さらに好ましくは3質量部以下である。
【0020】
また、上記の水を適量配合することにより、加硫前のゴム組成物における水分含有率が1000ppm以上となることが好ましく、より好ましくは1500ppm以上である。上限としては、好ましくは8500ppm以下であり、より好ましくは8000ppm以下である。上記ゴム組成物の水分含有率が小さすぎると、適切な架橋密度・Tan δを得ることが困難となり、エネルギーロスが少なく低スピン化を図ったゴルフボールを成形することが困難となる場合がある。上記ゴム組成物の水分含有率が大きすぎると、コアが軟らかくなりすぎてしまい、適切なコア初速を得ることが困難となる場合がある。
【0021】
上記ゴム組成物に水を直接配合することも可能ではあるが、下記の(i)〜(iii)の方法を採用することができる。
(i)スチームや超音波によりミスト状の水をゴム組成物(配合材料)の全部または一部にあてる方法
(ii)ゴム組成物の全部または一部を水に浸漬させる方法
(iii)ゴム組成物の全部または一部を恒湿槽等の湿度管理可能な場所において高湿度環境下に一定時間放置する方法
なお、高湿度環境とはゴム組成物等を湿らせることができる環境であれば特に制限されるものではないが湿度40〜100%であることが好ましい。
【0022】
また、水をゼリー状に加工して上記ゴム組成物に配合することができる。或いは、予め水を、充填剤,未加硫ゴム,ゴム粉等に担持した材料を用い、これを上記ゴム組成物に配合することができる。このような態様は、直接水を配合するよりも作業性に優れるため、ゴルフボールの生産効率を向上させることができる。水を所定量含有させた材料の種類については特に制限はないが、十分に水を含有させた充填剤,未加硫ゴム,ゴム粉等が挙げられ、特に、耐久性や反発性を損なうことがない材料を使用することが好適である。上記の材料の水分含有率としては、好ましくは5質量%以上、より好ましくは10質量%以上であり、上限として、好ましくは99質量%以下、より好ましくは95質量%以下である。
【0023】
また、上記の水の代わりに、モノカルボン酸金属塩を採用することができる。モノカルボン酸金属塩は、カルボン酸が金属に対して配位結合していると推定され、例えば〔CH
2=CHCOO〕
2Znで表わされるジアクリル酸亜鉛のようなジカルボン酸金属塩とは区別される。モノカルボン酸金属塩は、脱水縮合反応をすることによりゴム組成物中に水をもたらすため、上記水と同様の効果を得ることができる。また、モノカルボン酸金属塩は、粉体としてゴム組成物に配合することができるため、作業工程を簡略化することができると共に、ゴム組成物中に均一に分散させることが容易である。なお、上記の反応を効果的に行うためには、モノ塩であることが必要である。モノカルボン酸金属塩の配合量は、基材ゴム100質量部に対して1質量部以上配合することが好ましく、より好ましくは3質量部以上である。上限としては、モノカルボン酸金属塩の配合量は、60質量部以下配合することが好ましく、より好ましくは50質量部以下である。上記モノカルボン酸金属塩の配合量が少なすぎると、適切な架橋密度・Tan δを得ることが困難となり、十分にゴルフボールの低スピン効果を得ることができないことがある。また、配合量が多すぎる場合には、コアが硬くなりすぎるため、適切な打感を保つことが困難になる場合がある。
【0024】
上記のカルボン酸は、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、フマル酸、ステアリン酸等を使用することができる。置換金属としては、Na、K、Li、Zn、Cu、Mg、Ca、Co、Ni、Pb等が挙げられるが、好ましくはZnが好適に用いられる。具体例としては、モノアクリル酸亜鉛、モノメタクリル酸亜鉛等が挙げられ、特に、モノアクリル酸亜鉛を用いることが好ましい。
【0025】
上記の各成分を含有するゴム組成物は、通常の混練機、例えばバンバリーミキサーやロール等を用いて混練することにより調製される。また、該ゴム組成物を用いてコアを成形する場合、所定のコア成形用金型を用いて圧縮成形又は射出成形等により成形すればよい。得られた成形体については、ゴム組成物に配合された有機過酸化物や共架橋剤が作用するのに十分な温度条件で加熱硬化し、所定の硬度分布を有するコアとする。この場合、加硫条件は特に限定されるものではないが、通常、約100〜200℃、特に130〜170℃で10〜40分、特に12〜20分の条件とされる。
【0026】
上記コアの直径は、特に制限されるものでないが、35〜39mmに設定することができる。この場合、好ましい下限値は36.0mm以上であり、より好ましくは36.5mm以上、更に好ましくは36.7mm以上である。また、好ましい上限値は38.0mm以下とすることができ、より好ましくは37.5mm以下、更に好ましくは37.3mm以下とすることができる。
【0027】
上記コアの中心硬度(Cc)は、特に制限されるものではないが、JIS−C硬度で好ましくは51以上、より好ましくは54以上、更に好ましくは57以上とすることができる。また、その上限も特に制限されるものではないが、JIS−C硬度で好ましくは67以下、より好ましくは64以下、更に好ましくは61以下とすることができる。この値が大き過ぎると、スピンが増え過ぎて飛ばなくなることがあり、または打感が硬くなりすぎることがある。逆に、上記の値が小さすぎると、反発性が低くなりすぎて飛ばなくなり、または打感が軟らかくなりすぎ、更には、繰り返し打撃した時の割れ耐久性が悪くなることがある。
【0028】
上記コアの表面硬度(Cs)は、特に制限されるものではないが、JIS−C硬度で好ましくは75以上、より好ましくは80以上、更に好ましくは85以上とすることができる。また、その上限も特に制限されるものではないが、JIS−C硬度で好ましくは100以下、より好ましくは95以下、更に好ましくは92以下とすることができる。また、上記コアの表面硬度(Cs)は、ショアD硬度で表すと、好ましくは49以上、より好ましくは53以上、更に好ましくは57以上とすることができ、上限値としては、好ましくは68以下、より好ましくは64以下、更に好ましくは62以下とすることができる。この値が大き過ぎると、スピンが増えすぎて飛ばなくなり、または打感が硬くなりすぎることがある。逆に、上記の値が小さすぎると、反発性が低くなりすぎて飛ばなくなり、または打感が軟らかくなりすぎ、繰り返し打撃した時の割れ耐久性が悪くなることがある。
【0029】
なお、上記の中心硬度(Cc)とは、コアを半分に(中心を通るように)切断して得た断面の中心において測定される硬度を意味し、表面硬度(Cs)は上記コアの表面(球面)において測定される硬度を意味する。
【0030】
コアの内外の硬度差を大きくすべく、コアの中心と表面の硬度差を適正化する。即ち、コア表面硬度(Cs)−コア中心C硬度(Cc)の値は、JIS−C硬度で20以上であり、好ましくは23以上、より好ましくは26以上とすることができる。また、その上限も特に制限されるものではないが、JIS−C硬度で好ましくは36以下、より好ましくは33以下、更に好ましくは30以下とすることができる。上記硬度差が大きすぎると、繰り返し打撃した時の割れ耐久性が悪くなり、またはフルショット時の打感が軟らかくなる場合がある。逆に、上記の値が小さすぎると、フルショット時のスピンが増えすぎて飛ばなくなり、または打感が硬くなりすぎる場合がある。
【0031】
また、コアの中心と表面の中間の位置における断面硬度(Cm)は、特に制限されるものではないが、JIS−C硬度で好ましくは57以上、より好ましくは60以上、更に好ましくは63以上とすることができる。また、その上限も特に制限されるものではないが、JIS−C硬度で好ましくは74以下、より好ましくは71以下、更に好ましくは68以下とすることができる。この値が大き過ぎると、スピンが増え過ぎて飛ばなくなることがあり、または打感が硬くなりすぎることがある。逆に、上記の値が小さすぎると、反発性が低くなりすぎて飛ばなくなり、打感が軟らかくなりすぎ、または繰り返し打撃した時の割れ耐久性が悪くなることがある。
【0032】
コア中心から5mmの位置の硬度(C5)は、特に制限されるものではないが、JIS−C硬度で好ましくは55以上、より好ましくは58以上、更に好ましくは61以上とすることができる。また、その上限も特に制限されるものではないが、JIS−C硬度で好ましくは71以下、より好ましくは68以下、更に好ましくは65以下とすることができる。この値が大き過ぎると、スピンが増え過ぎて飛ばなくなることがあり、または打感が硬くなりすぎることがある。逆に、上記の値が小さすぎると、反発性が低くなりすぎて飛ばなくなり、または打感が軟らかくなりすぎてしまい、更には繰り返し打撃した時の割れ耐久性が悪くなることがある。
【0033】
コア中心部分の硬度が比較的平坦であるか、または当該部分付近の硬度傾斜が比較的緩やかなものにするため、コア中心から5mmの位置の硬度(C5)とコア中心硬度(Cc)との関係を所定範囲に適正化する。即ち、C5−Ccの値は、特に制限されるものではないが、JIS−C硬度で好ましくは1以上、より好ましくは2以上、更に好ましくは3以上とすることができる。また、その上限も特に制限されるものではないが、JIS−C硬度で好ましくは7以下、より好ましくは6以下、更に好ましくは5以下とすることができる。上記の値が大き過ぎると、スピンが増えすぎて飛ばなくなり、または打感が硬くなりすぎることがある。逆に、上記の値が小さすぎると、反発性が低くなりすぎて飛ばなくなり、打感が軟らかくなりすぎてしまい、または繰り返し打撃した時の割れ耐久性が悪くなることがある。
【0034】
コア内部の硬度傾斜が比較的緩やかなものにすべく、コアの表面と中心の中間位置の硬度(Cm)からコア中心硬度(Cc)を引いた値を所定範囲に適正化する。即ち、Cm−Ccの値は、特に制限されるものではないが、JIS−C硬度で好ましくは1以上、より好ましくは3以上、さらに好ましくは5以上とすることができる。また、その上限も特に制限されるものではないが、JIS−C硬度で好ましくは10以下、より好ましくは8以下、さらに好ましくは7以下とすることができる。上記の値が大き過ぎると、スピンが増えすぎて飛ばなくなり、または打感が硬くなりすぎることがある。逆に、上記の値が小さすぎると、反発性が低くなりすぎて飛ばなくなり、打感が軟らかくなりすぎ、或いは繰り返し打撃した時の割れ耐久性が悪くなることがある。
【0035】
コアの表面硬度(Cs)からコアの表面と中心の中間位置の硬度(Cm)を引いた値、即ち、Cs−Cmの値は、特に制限されるものではないが、JIS−C硬度で好ましくは13以上、より好ましくは17以上、更に好ましくは20以上とすることができる。また、その上限も特に制限されるものではないが、JIS−C硬度で好ましくは32以下、より好ましくは29以下、更に好ましくは26以下とすることができる。上記の値が大き過ぎると、打感が硬くなりすぎてしまい、或いは繰り返し打撃した時の割れ耐久性が悪くなることがある。逆に、上記の値が小さすぎると、スピンが増えすぎて飛ばなくなり、または打感が軟らかくなりすぎたりすることがある。
【0036】
コア内部の傾斜の度合いは比較的緩やかであるが、全体の傾斜は大きいものとするため、[コア表面硬度(Cs)−コア中心硬度(Cc)]/[コアの表面と中心の中間位置の硬度(Cm)−コア中心硬度(Cc)]の値を所定範囲に適正化する。即ち、上記の値は、特に制限されるものではないが、JIS−C硬度で好ましくは2以上、より好ましくは3以上、更に好ましくは4以上とすることができる。また、その上限も特に制限されるものではないが、JIS−C硬度で好ましくは8以下、より好ましくは7以下、更に好ましくは6以下とすることができる。上記の値が大き過ぎると、繰り返し打撃した時の割れ耐久性が悪くなり、または反発性が低くなり飛ばなくなることがある。逆に、上記の値が小さすぎると、スピンが増えて飛ばなくなり、または打感が硬くなり過ぎることがある。
【0037】
コア内部の傾斜よりもコア外部の傾斜の度合いを大きいものとするため、[コア表面硬度(Cs)−コア中心硬度(Cc)]/[コア中心から5mmの位置の硬度(C5)−コア中心硬度(Cc)]を所定範囲に適正化する。即ち、上記の値は、特に制限されるものではないが、JIS−C硬度で好ましくは4以上、より好ましくは5以上、更に好ましくは6以上とすることができる。また、その上限も特に制限されるものではないが、JIS−C硬度で好ましくは10以下、より好ましくは9以下、更に好ましくは8以下とすることができる。上記の値が大き過ぎると、繰り返し打撃した時の割れ耐久性が悪くなり、または反発性が低くなり飛ばなくなることがある。逆に、上記の値が小さすぎると、スピンが増えて飛ばなくなり、或いは打感が硬くなり過ぎたりすることがある。
【0038】
上記コアのたわみ量、即ち、初期荷重98N(10kgf)から終荷重1275N(130kgf)まで負荷したときのたわみ量は、特に制限されるものではないが、好ましくは2.5mm以上、より好ましくは3.0mm以上、更に好ましくは3.2mm以上である。また、その上限値は、好ましくは7.0mm以下であり、より好ましくは6.0mm以下、更に好ましくは4.5mm以下とすることができる。上記範囲よりも硬すぎる(たわみ量が小さすぎる)と、スピン量が増えすぎて飛ばなくなり、または打感が硬くなりすぎることがある。逆に、上記範囲よりも軟らかすぎる(たわみ量が大きい)と、反発性が低くなりすぎて飛ばなくなり、または打感が軟らかくなりすぎ、繰り返し打撃による割れ耐久性が悪くなることがある。
【0039】
次に、包囲層について下記に説明する。
包囲層の材料については、特に制限はなく、各種の熱可塑性樹脂材料を好適に採用することができる。特には、本発明の所望の効果を十分に奏することができる点から、高反発な樹脂材料、特に高中和型の樹脂材料を包囲層の材料を採用することが好適である。高中和型の樹脂材料としては、下記(A)〜(D)成分、
(a−1)オレフィン−不飽和カルボン酸2元ランダム共重合体及び/又はオレフィン−不飽和カルボン酸2元ランダム共重合体の金属イオン中和物と、
(a−2)オレフィン−不飽和カルボン酸−不飽和カルボン酸エステル3元ランダム共重合体及び/又はオレフィン−不飽和カルボン酸−不飽和カルボン酸エステル3元ランダム共重合体の金属イオン中和物とを、
質量比で100:0〜0:100になるように配合した(A)ベース樹脂と、
(B)非アイオノマー熱可塑性エラストマーとを質量比で100:0〜50:50になるように配合した樹脂成分100質量部に対して、
(C)分子量が228〜1500の脂肪酸及び/又はその誘導体
5〜120質量部と、
(D)上記(A)成分及び(C)成分中の未中和の酸基を中和できる塩基性無機金属化合物 0.1〜17質量部
とを含有する樹脂組成物を主材として形成されたものを好適に用いることができる。
上記(A)〜(D)成分については、例えば、特開2011−120898号公報に記
載される中間層の樹脂材料(A)〜(D)成分を好適に採用することができる。
【0040】
なお、上記樹脂組成物は、上述した(A)〜(D)を加熱混合して得ることができ、例えば、混練型二軸押出機、バンバリーミキサー及びニーダー等の公知の混練機を用いて150〜250℃の加熱温度で混練することにより得ることができる。また、市販品のものを直接使用することができ、具体的には、Dupont社製の商品名「HPF 1000」「HPF 2000」、「HPF AD1027」、実験用「HPF SEP1264−3」などが挙げられる。
【0041】
包囲層の材料硬度は、特に制限はないが、ショアD硬度で、好ましくは40以上、より好ましくは45以上、更に好ましくは47以上であり、上限として、好ましくは63以下、より好ましくは60以下、更に好ましくは58以下である。包囲層が上記範囲よりも軟らかすぎると、フルショット時にスピンが掛かりすぎ飛距離が出なくなることがある。逆に、上記範囲よりも硬すぎると、繰り返し打撃時の割れ耐久性が悪くなり、または、打感が硬くなりすぎることがある。
【0042】
コアに包囲層を被覆した球体(以下、「包囲層被覆球体」という。)の表面硬度については、特に制限はないが、ショアD硬度で、好ましくは46以上、より好ましくは51以上、更に好ましくは53以上であり、上限として、好ましくは69以下、より好ましくは66以下、更に好ましくは64以下である。上記の範囲よりも軟らかすぎると、フルショット時にスピンが掛かりすぎて飛距離が伸びなくなることがある。また、上記の範囲よりも硬すぎると、繰り返し打撃時の割れ耐久性が悪くなり、または、打感が硬くなりすぎることがある。
【0043】
包囲層の厚さは、特に制限はないが、好ましくは0.5mm以上、より好ましくは0.7mm以上、更に好ましくは0.9mm以上であり、上限として、好ましくは2.5mm以下、より好ましくは1.7mm以下、更に好ましくは1.2mm以下である。その範囲を外れると、ドライバー(W#1)打撃による低スピン効果が足りずに飛距離が伸びなくなることがある。
【0044】
次に、中間層の樹脂材料について説明する。
中間層の材料は、特に制限はなく、各種の熱可塑性樹脂材料を好適に採用することができる。特には、本発明の所望の効果を十分に奏することができる点から、高反発な樹脂材料を中間層の材料に採用することが好適であり、例えば、アイオノマー樹脂材料を採用することが好適である。アイオノマー樹脂材料としては、具体的には、(商品名)ハイミラン1605、同1601、サーリン8120等のナトリウム中和型アイオノマー樹脂やハイミラン1557、同1706等の亜鉛中和型アイオノマー樹脂などが挙げられ、これらの1種を単独で又は2種以上併用することができる。
【0045】
特に好ましいのは、亜鉛中和型アイオノマー樹脂とナトリウム中和型アイオノマー樹脂とを混合して主材として用いる態様が望ましい。その配合比率は、亜鉛中和型/ナトリウム中和型(質量比)で25/75〜75/25、好ましくは35/65〜65/35、更に好ましくは45/55〜55/45である。この比率内にZn中和アイオノマーとNa中和アイオノマーを含めないと反発が低くなりすぎて所望の飛びが得られなかったり、常温での繰り返し打撃時の割れ耐久性が悪くなったり、さらに低温(零下)での割れ耐久性が悪くなることがある。
【0046】
なお、上述した中間層の構造については1層に限られず、必要に応じて上記の範囲内において同種又は異種の中間層を2層以上形成してもよい。中間層を複数層形成することにより、ドライバー打撃時のスピン量をより低減させることができ、更なる飛距離増大を図ることができる。また、打撃時のスピン特性及びフィーリング特性を更に改良することもできる。
【0047】
中間層の材料硬度は、特に制限はないが、ショアD硬度で、好ましくは50以上、より好ましくは55以上、更に好ましくは60以上であり、上限として、好ましくは70以下、より好ましくは68以下、更に好ましくは65以下である。上記範囲よりも軟らかすぎると、フルショット時にスピンが掛かりすぎて飛距離が伸びなくなることがある。逆に、上記範囲よりも硬すぎると、繰り返し打撃時の割れ耐久性が悪くなり、またはパターやショートアプローチの実施時の打感が硬くなりすぎることがある。また、中間層の材料硬度は、後述するカバー(最外層)の材料硬度よりも硬い方が望ましい。
【0048】
中間層を被覆した球体の表面硬度(以下、「中間層被覆球体」と称す。)は、ショアD硬度で、好ましくは56以上、より好ましくは61以上、更に好ましくは66以上であり、上限として、好ましくは76以下、より好ましくは74以下、更に好ましくは71以下である。上記範囲よりも軟らかすぎると、フルショット時にスピンが掛かりすぎて飛距離が伸びなくなることがある。逆に、上記範囲よりも硬すぎると、繰り返し打撃時の割れ耐久性が悪くなり、またはパターやショートアプローチの実施時の打感が硬くなりすぎることがある。
【0049】
中間層の厚さは、特に制限はないが、好ましくは0.5mm以上、より好ましくは0.7mm以上、更に好ましくは0.9mm以上であり、上限として、好ましくは2.0mm以下、より好ましくは1.5mm以下、更に好ましくは1.2mm以下である。その範囲を逸脱すると、W#1打撃による低スピン効果が足りずに飛距離が伸びなくなることがある。また、上記範囲よりも小さすぎると、繰り返し打撃時の割れ耐久性や低温時の耐久性が悪くなることがある。
【0050】
中間層材料については、後述するように、カバー(最外層)として好適に用いられるポリウレタンとの密着度を高めるために中間層表面を研磨することが好適である。更に、その研磨処理の後にプライマー(接着剤)を中間層表面に塗布するか、もしくは材料中に密着強化材を添加することが好ましい。
【0051】
次に、ボールの最外層に相当するカバーについて説明する。
カバー(最外層)の材料については、特に制限はなく、各種の熱可塑性樹脂材料を好適に用いることができる。本発明のカバー材料としては、コントロール性と耐擦過傷性の観点から、ウレタン樹脂を使用することが好適である。特に、ボール製品の量産性の観点から、熱可塑性ポリウレタンを主体としたものを使用することが好適であり、より好ましくは、(P)熱可塑性ポリウレタン及び(Q)ポリイソシアネート化合物を主成分とする樹脂配合物により形成することができる。
【0052】
上記の(P)及び(Q)を含有する熱可塑性ポリウレタン組成物においては、ボール諸特性をより一層改善させるために、本必要十分量の未反応のイソシアネート基がカバー樹脂材料中に存在すればよい。具体的には、上記の(P)成分と(Q)成分とを合わせた合計質量が、カバー層全体の質量の60%以上であることが推奨されるものであり、より好ましくは、70%以上である。上記(P)成分及び(Q)成分については以下に詳述する。
【0053】
上記(P)熱可塑性ポリウレタンについて述べると、その熱可塑性ポリウレタンの構造は、長鎖ポリオールである高分子ポリオール(ポリメリックグリコール)からなるソフトセグメントと、鎖延長剤およびポリイソシアネート化合物からなるハードセグメントとを含む。ここで、原料となる長鎖ポリオールとしては、従来から熱可塑性ポリウレタンに関する技術において使用されるものはいずれも使用でき、特に制限されるものではないが、例えば、ポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオール、ポリカーボネートポリオール、ポリエステルポリカーボネートポリオール、ポリオレフィン系ポリオール、共役ジエン重合体系ポリオール、ひまし油系ポリオール、シリコーン系ポリオール、ビニル重合体系ポリオールなどを挙げることができる。これらの長鎖ポリオールは1種類のものを使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらのうちでも、反発弾性率が高く低温特性に優れた熱可塑性ポリウレタンを合成できる点で、ポリエーテルポリオールが好ましい。
【0054】
鎖延長剤としては、従来の熱可塑性ポリウレタンに関する技術において使用されるものを好適に用いることができ、例えば、イソシアネート基と反応し得る活性水素原子を分子中に2個以上有する分子量400以下の低分子化合物であることが好ましい。鎖延長剤としては、1,4−ブチレングリコール、1,2−エチレングリコール、1,3−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、2,2−ジメチル−1,3−プロパンジオール等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。鎖延長剤としては、これらのうちでも、炭素数2〜12の脂肪族ジオールが好ましく、1,4−ブチレングリコールがより好ましい。
【0055】
ポリイソシアネート化合物としては、従来の熱可塑性ポリウレタンに関する技術において使用されるものを好適に用いることができ、特に制限はない。具体的には、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、2,4−(又は)2,6−トルエンジイソシアネート、p−フェニレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、ナフチレン1,5−ジイソシアネート、テトラメチルキシレンジイソシアネート、水添キシリレンジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、ノルボルネンジイソシアネート、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、ダイマー酸ジイソシアネートからなる群から選択された1種又は2種以上を用いることができる。ただし、イソシアネート種によっては射出成形中の架橋反応をコントロールすることが困難なものがある。本発明においては生産時の安定性と発現される物性とのバランスとの観点から、芳香族ジイソシアネートである4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネートが最も好ましい。
【0056】
具体的な(P)成分の熱可塑性ポリウレタンとしては、市販品を用いることもでき、例えば、パンデックスT8295,同T8290,同T8283,同T8260(いずれもディーアイシーバイエルポリマー社製)などが挙げられる。
【0057】
上記(P)及び(Q)成分の他成分としては、必須成分ではないが、上記熱可塑性ポリウレタン以外の熱可塑性エラストマーを配合することができる。この(R)成分を上記樹脂配合物に配合することにより、樹脂配合物の更なる流動性の向上や反発性、耐擦過傷性等、ゴルフボールカバー材として要求される諸物性を高めることができる。
【0058】
上記(P)、(Q)及び(R)成分の組成比については、特に制限はないが、本発明の効果を十分に有効に発揮させるためには、質量比で(P):(Q):(R)=100:2〜50:0〜50であることが好ましく、さらに好ましくは、(P):(Q):(R)=100:2〜30:8〜50(質量比)とすることである。
【0059】
さらに、上記の樹脂配合物には、必要に応じて、上記の熱可塑性ポリウレタンを構成する成分以外の種々の添加剤を配合することができ、例えば顔料、分散剤、酸化防止剤、耐光安定剤、紫外線吸収剤、離型剤等を適宜配合することができる。
【0060】
カバー(最外層)の材料硬度は、特に制限はないが、ショアD硬度で、好ましくは30以上、より好ましくは35以上、更に好ましくは40以上であり、上限として、好ましくは60以下、より好ましくは57以下、更に好ましくは54以下である。
【0061】
カバー(最外層)を被覆した球体、即ちボールの表面硬度は、ショアD硬度で、好ましくは37以上、より好ましくは46以上、更に好ましくは55以上であり、上限として、好ましくは65以下、より好ましくは62以下、更に好ましくは60以下である。上記範囲よりも軟らかすぎると、フルショット時にスピンが多くなり飛距離が出なくなることがある。逆に、上記範囲よりも硬すぎると、アプローチでスピンが掛かり難くなり、プロや上級者でもコントロール性を出すことが困難になる場合があり、或いは、耐擦過傷性が悪くなり過ぎる場合がある。
【0062】
カバー(最外層)の厚さは、特に制限はないが、好ましくは0.3mm以上、より好ましくは0.5mm以上、更に好ましくは0.7mm以上であり、上限として、好ましくは1.5mm以下、より好ましくは1.2mm以下、更に好ましくは1.0mm以下である。カバー(最外層)の厚さが上記より厚いと、ドライバー(W#1)打撃時に反発が足りなくなりスピンが多くなりすぎ、飛距離が出なくなることがある。逆に、カバー厚さが薄すぎると、耐擦過傷性が悪くなり、プロや上級者でもコントロール性が不足することがある。
【0063】
上述したコア,包囲層、中間層及びカバー(最外層)の各層を積層して形成されたマルチピースソリッドゴルフボールの製造方法については、公知の射出成形法等の常法により行なうことができる。例えば、ゴム材を主材とした加硫成形物をコアとして所定の射出成形用金型内に配備し、包囲層材料を射出して第1の中間球状体を得、次いで、該球状体を別の射出成形用金型内に配備して中間層材料を射出して第2の中間球状体を得、更に、該球状体を別の射出成形用金型内に配備してカバー(最外層)の材料を射出成形することによりマルチピースのゴルフボールを得ることができる。また、包囲層、中間層やカバー(最外層)をそれぞれ各中間球状体に被覆する方法により積層することもでき、例えば、予め半殻球状に成形した2枚のハーフカップで該中間球状体を包み加熱加圧成形することができる。
【0064】
次に、上記のゴルフボールについては、更に、以下の要件を満たすことが好適である。
【0065】
(1)
ボール表面硬度と中間層被覆球体の表面硬度との関係
ボール表面硬度と中間層被覆球体の表面硬度については、内硬外軟のカバー(即ち、カバーよりも中間層の方が硬い)、及び中間層が硬いボール構造にすべく、ボール表面硬度<中間層被覆球体の関係を満たすものである。即ち、ボール表面硬度から中間層被覆球体の表面硬度を引いた値は、ショアD硬度で、好ましくは−20以上、より好ましくは−15以上であり、上限としては、好ましくは0未満、より好ましくは−3以下、さらに好ましくは−5以下である。この値が大き過ぎると、アプローチ時に狙いのスピンが得られずコントロール性が不足することがある。逆に、上記の値が小さすぎると、フルショット時にスピンが掛かり過ぎてしまい、狙いの飛距離が得られなくなることがある。
【0066】
(2)
中間層とカバーの厚さ関係
中間層とカバーとの厚さの取り合いを所定範囲に特定するものである。即ち、カバー厚さから中間層厚さを引いた値は、好ましくは−1.0mm以上、より好ましくは−0.5mm以上、さらに好ましくは−0.2mm以上であり、上限として、好ましくは−0.05mm以下、より好ましくは−0.1mm以下である。上記の値が大き過ぎると、フルショット時にスピンが掛かり過ぎてしまい、狙いの飛距離が得られなくなることがある。逆に、上記の値が小さすぎると、アプローチ時に狙いのスピンが得られずコントロール性が不足することがある。
【0067】
(3)
ボールとコアの初速関係
ボールの内部を比較的高反発なものにするため、ボールとコアの初速関係を特定範囲に調整したものである。即ち、ボール初速からコア初速を引いた値は、好ましくは−1.0m/s以上、より好ましくは−0.7m/s以上、さらに好ましくは−0.5m/s以上であり、上限として、好ましくは0.2m/s以下、より好ましくは0以下、さらに好ましくは−0.2m/s以下である。この値が上記範囲を逸脱すると、フルショットした時の実打初速とスピンとが高次元で両立できず、狙いの飛距離が得られなくなることがある。なお、各球体の初速の測定については、実施例(段落[0100])に示した測定装置及び測定条件を用いる。
【0068】
(4)
コアとボールの所定荷重負荷のたわみ量の関係
コアの初期荷重98N(10kgf)から終荷重1275N(130kgf)まで負荷したときのたわみ量(mm)をE、ボールの初期荷重98N(10kgf)から終荷重1275N(130kgf)まで負荷したときのたわみ量(mm)をBとするとき、E−Bの値は、好ましくは0.5mm以上、より好ましくは0.7mm以上、さらに好ましくは0.9mm以上であり、上限としては、好ましくは1.5mm以下、より好ましくは1.3mm以下、さらに好ましくは1.0mm以下である。上記の値が大き過ぎると、繰り返し打撃した時の割れ耐久性が悪くなり、またはフルショットした時の実打初速が低くなり、狙いの飛距離が得られなくなることがある。逆に、上記の値が小さすぎると、フルショットした時のスピンが多くなり過ぎて、狙いの飛距離が得られなくなることがある。
【0069】
(5)
ボールと包囲層被覆球体の初速関係
ボールの内部を比較的高反発なものにするため、ボールと包囲層被覆球体の初速関係を特定範囲に調整したものである。即ち、ボール初速と包囲層被覆球体初速との関係について、ボール初速から包囲層被覆球体初速を引いた値は、好ましくは−1.0m/s以上、より好ましくは−0.7m/s以上、さらに好ましくは−0.5m/s以上であり、上限として、好ましくは0.2m/s以下、より好ましくは0以下、さらに好ましくは−0.2m/s以下である。この値が上記範囲を逸脱すると、フルショットした時の実打初速とスピンとが高次元で両立できず、狙いの飛距離が得られなくなることがある。なお、各球体の初速の測定については、実施例(段落[0100])に示した測定装置及び測定条件を用いる。
【0070】
(6)
ボールと中間層被覆球体の初速関係
ボールの内部を比較的高反発なものにするため、ボールと中間層被覆球体の初速関係を特定範囲に調整したものである。即ち、ボール初速と中間層被覆球体初速との関係について、ボール初速から中間層被覆球体初速を引いた値は、好ましくは−2.0m/s以上、より好ましくは−1.5m/s以上、さらに好ましくは−1.0m/s以上であり、上限として、好ましくは−0.2m/s以下、より好ましくは−0.4m/s以下、さらに好ましくは−0.6m/s以下である。この値が上記範囲を逸脱すると、ドライバー(W#1)打撃時の飛距離とアプローチ時のコントロール性とが高次元で両立できなくなることがある。なお、各球体の初速の測定については、実施例(段落[0100])に示した測定装置及び測定条件を用いる。
【0071】
(7)
中間層被覆球体と包囲層被覆球体の表面硬度関係
中間層を比較的硬くし、中間層被覆球体と包囲層被覆球体との表面硬度の関係を所定範囲に適正化する。即ち、中間層被覆球体の表面硬度から包囲層被覆球体の表面硬度を引いた値は、ショアD硬度で、好ましくは4以上、より好ましくは7以上、さらに好ましくは10以上であり、上限として、好ましくは21以下、より好ましくは18以下、さらに好ましくは15以下である。この値が大き過ぎると、繰り返し打撃した時の割れ耐久性が悪くなり、または打感が硬くなり過ぎたりすることがある。逆に、上記の値が小さすぎると、フルショットした時のスピンが多くなり、狙いの飛距離が得られなくなることがある。
【0072】
(8)
中間層被覆球体と包囲層被覆球体の初速関係
中間層樹脂材料の反発性を良くし、中間層被覆球体と包囲層被覆球体との初速関係を所定範囲に適正化する。即ち、中間層被覆球体の初速から包囲層被覆球体の初速を引いた値は、好ましくは−0.6m/s以上、より好ましくは−0.3m/s以上、さらに好ましくは0m/s以上であり、上限として、好ましくは1.0m/s以下、より好ましくは0.7m/s以下、さらに好ましくは0.4m/s以下である。この値が上記範囲を逸脱すると、フルショットした時の実打初速とスピンとが高次元で両立できず、狙いの飛距離が得られなくなることがある。なお、各球体の初速の測定については、実施例(段落[0100])に示した測定装置及び測定条件を用いる。
【0073】
(9)
包囲層被覆球体とコアの初速関係
包囲層樹脂材料の反発性を良くし、包囲層被覆球体とコアの初速関係を所定範囲に適正化する。即ち、包囲層被覆球体の初速からコア初速を引いた値は、好ましくは−0.5m/s以上、より好ましくは−0.2m/s以上、さらに好ましくは0.1m/s以上であり、上限として、好ましくは1.0m/s以下、より好ましくは0.7m/s以下、さらに好ましくは0.4m/s以下である。この値が上記範囲を逸脱すると、フルショットした時の実打初速とスピンとが高次元で両立できず、狙いの飛距離が得られなくなることがある。なお、各球体の初速の測定については、実施例(段落[0100])に示した測定装置及び測定条件を用いる。
【0074】
(10)
コアと包囲層被覆球体の所定荷重負荷のたわみ量の関係
コアと包囲層被覆球体の所定荷重負荷のたわみ量の関係を所定範囲に適正化する。即ち、コアの初期荷重98N(10kgf)から終荷重1275N(130kgf)まで負荷したときのたわみ量(mm)をE、包囲層被覆球体の初期荷重98N(10kgf)から終荷重1275N(130kgf)まで負荷したときのたわみ量(mm)をTとするとき、E−Tの値は、好ましくは0mm以上、より好ましくは0.2mm以上、さらに好ましくは0.4mm以上であり、上限としては、好ましくは1.0mm以下、より好ましくは0.7mm以下、さらに好ましくは0.5mm以下である。この値が大き過ぎると、打感が硬くなり過ぎ、またはフルショットした時の実打初速が低くなり、狙いの飛距離が得られなくなることがある。逆に、上記の値が小さすぎると、フルショットした時にスピンが多くなり、狙いの飛距離が得られなくなることがある。
【0075】
(11)
包囲層被覆球体とボールの表面硬度関係
包囲層を比較的硬くし、包囲層被覆球体とボールとの表面硬度の関係を所定範囲に適正化する。即ち、包囲層被覆球体の表面硬度からボールの表面硬度を引いた値は、ショアD硬度で、好ましくは−15以上、より好ましくは−10以上、さらに好ましくは−5以上であり、上限として、好ましくは10以下、より好ましくは5以下、さらに好ましくは−1以下である。この値が大き過ぎると、打感が硬くなり過ぎ、またはフルショットした時の実打初速が低くなり、狙いの飛距離が得られなくなることがある。逆に、上記の値が小さすぎると、フルショットした時にスピンが多くなり、狙いの飛距離が得られなくなることがある。
【0076】
(12)
コアとボールの表面硬度関係
フルショット時とショートゲーム時の打感を適正にする観点から、コアとボールとの表面硬度の関係を所定範囲に適正化する。即ち、コアの表面硬度からボールの表面硬度を引いた値は、ショアD硬度で、好ましくは−3以上、より好ましくは−2.5以上、さらに好ましくは−2以上であり、上限として、好ましくは3以下、より好ましくは2以下、さらに好ましくは1以下である。この値が大き過ぎると、フルショット時の打感が硬くなりすぎ、或いはスピンが増えて狙いの飛距離が得られなくなることがある。逆に、上記の値が小さすぎると、ショートゲームで狙いのスピンが得られずコントロール性が悪くなり、またはショートゲームでの打感が悪くなることがある。
【0077】
上記カバー(最外層)の表面には多数のディンプルを形成することができる。カバー表面に配置されるディンプルについては、特に制限はないが、好ましくは280個以上、より好ましくは300個以上、更に好ましくは320個以上であり、上限として、好ましくは360個以下、より好ましくは350個以下、更に好ましくは340個以下具備することができる。ディンプルの個数が上記範囲より多くなると、ボールの弾道が低くなり、飛距離が低下することがある。逆に、ディンプル個数が少なくなると、ボールの弾道が高くなり、飛距離が伸びなくなる場合がある。
【0078】
ディンプルの形状については、円形、各種多角形、デュードロップ形、その他楕円形など1種類又は2種類以上を組み合わせて適宜使用することができる。例えば、円形ディンプルを使用する場合には、直径は2.5mm以上6.5mm以下程度、深さは0.08mm以上0.30mm以下とすることができる。
【0079】
ディンプルがゴルフボールの球面に占めるディンプル占有率、具体的には、ディンプルの縁に囲まれた平面の面縁で定義されるディンプル面積の合計が、ディンプルが存在しないと仮定したボール球面積に占める比率(SR値)については、空気力学特性を十分に発揮し得る点から60%以上90%以下であることが望ましい。また、各々のディンプルの縁に囲まれた平面下のディンプルの空間体積を、前記平面を底面とし、かつこの底面からのディンプルの最大深さを高さとする円柱体積で除した値V
0は、ボールの弾道の適正化を図る点から0.35以上0.80以下とすることが好適である。更に、ディンプルの縁に囲まれた平面から下方に形成されるディンプル容積の合計がディンプルが存在しないと仮定したボール球容積に占めるVR値は、0.6%以上1.0%以下とすることが好ましい。上述した各数値の範囲を逸脱すると、良好な飛距離が得られない弾道となり、十分満足した飛距離を出せない場合がある。
【0080】
なお、本発明のマルチピースソリッドゴルフボールは、競技用としてゴルフ規則に従うものとすることができ、ボール外径としては42.672mm内径のリングを通過しない大きさで42.80mm以下、重さとしては好ましくは45.0〜45.93gに形成することができる。
【実施例】
【0081】
以下、実施例及び比較例を示し、本発明を具体的に説明するが、本発明は下記実施例に制限されるものではない。
【0082】
〔実施例1,2、比較例1〜7〕
コアの形成
表1に示したゴム組成物を調製した後、同表に示す加硫条件により加硫成形することにより、各実施例、比較例のソリッドコアを作製した。
【0083】
【表1】
【0084】
なお、表1に記載した各成分の詳細は以下の通りである。
・ポリブタジエンA:JSR社製、商品名「BR01」
・ポリブタジエンB:JSR社製、商品名「BR51」
・ポリブタジエンC:JSR社製、商品名「BR730」
・アクリル酸亜鉛:日本触媒社製
・過酸化物(1):ジクミルパーオキサイド、商品名「パークミルD」(日油社製)
・過酸化物(2):1,1ビス(t−ブチルパーキシ)3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、商品名「パーヘキサ3M−40」(日油社製)
・老化防止剤:2,2−メチレンビス(4−メチル−6−ブチルフェノール)商品名「ノクラックNS−6」(大内新興化学工業社製)
・硫酸バリウム:商品名「バリコ#300」(ハクスイテック社製)
・酸化亜鉛:商品名「酸化亜鉛3種」(堺化学工業社製)
・ステアリン酸亜鉛:商品名:ジンクステアレートG(日油社製)
・硫黄:商品名「サルファックス−5」(鶴見化学工業社製)
・ペンタクロロチオフェノール亜鉛塩:ZHEJIANG CHO & FU CHEMICAL社製
【0085】
包囲層、中間層及びカバー(最外層)の形成
上記で得たコアの周囲に、表2に示した配合の包囲層材料を用いて射出成形法により包囲層を形成し、包囲層被覆球体を得た。次に、上記で得た包囲層被覆球体の周囲に、表2に示した配合の中間層材料を用いて射出成形法により中間層を形成し、中間層被覆球体を得た。更に、上記で得た中間層被覆球体の周囲に、表2に示した配合のカバー(最外層)材料を用いて射出成形法によりカバーを形成し、コアの周囲に包囲層、中間層及びカバーを備えたマルチピースソリッドゴルフボールを作製した。この際、カバー表面には
図2に示したディンプルを形成した。このディンプルの詳細については表3に示した。
【0086】
【表2】
【0087】
なお、表2に記載した材料の詳細は下記の通りである。
・「T−8295、T−8290、T−8283」:DIC Bayer Polymer社製の「(商標)パンデックス」、MDI−PTMGタイプ熱可塑性ポリウレタン
・「HPF1000」:Dupont社製の「HPF(商標)1000」
・「ハイミラン」:三井・デュポンポリケミカル社製のアイオノマー
・「サーリン」:デュポン社製のアイオノマー
・「AN4319」「AN4221C」:三井・デュポンポリケミカル社製、ニュクレル
・「ダイナロン6100P」:JSR社製、熱可塑性ブロックコポリマー
・「ハイトレル4001」:東レデュポン社製のポリエステルエラストマー
・「酸化チタン」:石原産業社製「タイペークR550」
・「ポリエチレンワックス」:三洋化成社製、商品名「サンワックス161P」
・「イソシアネート化合物」:4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート
・「トリメチロールプロパン」:三菱ガス化学社製
・「ベヘニン酸」:日油社製「NAA−222S」
・「ステアリン酸マグネシウム」:日油社製「マグネシウムステアレートG」
・「ステアリン酸カルシウム」:日油社製「カルシウムステアレートG」
・「ステアリン酸亜鉛」:日油社製「ジンクステアレートG」
・「水酸化カルシウム」:白石カルシウム社製「CLS−B」
・「酸化マグネシウム」:協和化学工業社製「キョーワマグMF150」
・「ポリテールH」:三菱化学社製
【0088】
【表3】
【0089】
ディンプルの定義
直径:ディンプルの縁に囲まれた平面の直径
深さ:ディンプルの縁に囲まれた平面からのディンプルの最大深さ
V
0 :ディンプルの縁に囲まれた平面下のディンプルの空間体積を、前記平面を底面とし、かつこの底面からのディンプルの最大深さを高さとする円柱体積で除した値
SR:ディンプルの縁に囲まれた平面で定義されるディンプル面積の合計が、ボール表面にディンプルが存在しないと仮定した仮想球の表面積に占める比率
VR:ディンプルの縁に囲まれた平面から下方に形成されるディンプル空間体積の合計が、ボール表面にディンプルが存在しないと仮定した仮想球の体積に占める比率
【0090】
上記で得られたゴルフボールについて、以下の項目について測定及び評価を行った。結果を表4に示した。
【0091】
コア、包囲層被覆球体、中間層被覆球体の外径
23.9±1℃の温度で、任意の表面5箇所を測定し、その平均値を1個のコア、包囲層被覆球体、中間層被覆球体の測定値とし、測定個数5個のコア、包囲層被覆球体、中間層被覆球体の平均値を求めた。
【0092】
ボール(カバー被覆球体)の外径
23.9±1℃の温度で、任意のディンプルのない部分を5箇所測定し、その平均値を1個のボールの測定値とし、測定個数5個のボールの平均値を求めた。
【0093】
コア、包囲層被覆球体、中間層被覆球体、ボールのたわみ量
コア、包囲層被覆球体、中間層被覆球体又はボールを硬板の上に置き、初期荷重98N(10kgf)を負荷した状態から終荷重1275N(130kgf)に負荷したときまでのたわみ量をそれぞれ計測した。なお、上記のたわみ量はいずれも23.9℃に温度調整した後の測定値である。
【0094】
コアの中心硬度(Cc)(JIS−C硬度)
コアを半分に(中心を通るように)切断して得た断面の中心の硬度を計測した。JIS−C硬度は、JIS K 6301−1975に規定するスプリング式硬度計(JIS−C形)により計測した。
【0095】
コアの表面硬度(Cs)(JIS−C硬度)
球状のコアの表面に対して針を垂直になるように押し当てて計測した。JIS−C硬度は、JIS K 6301−1975に規定するスプリング式硬度計(JIS−C形)により計測した。また、ショアD硬度はASTM D2240−95規格に準拠したタイプDデュロメータによって計測した。
【0096】
コアの所定位置における断面硬度(JIS−C硬度)
(1)コア中心から5mmの位置の断面硬度(C5)については、コアを半分に(中心を通るように)切断して得た断面の中心から5mmの位置の硬度を、JIS K 6301−1975に規定するスプリング式硬度計(JIS−C形)により測定した。
(2)コアの表面と中心との中間位置の断面硬度(Cm)については、コアを半分に(中心を通るように)切断して得た断面の中心と表面の中間位置の硬度を、上記硬度計(JIS−C形)により測定した。
【0097】
包囲層被覆球体、中間層被覆球体、ボール(カバー)の表面硬度(ショアD硬度)
包囲層被覆球体、中間層被覆球体又はボール(カバー)の表面に対して針を垂直になるように押し当てて計測した。なお、ボール(カバー)の表面硬度は、ボール表面においてディンプルが形成されていない陸部における測定値である。ショアD硬度はASTM D2240−95規格に準拠したタイプDデュロメータによって計測した。
【0098】
包囲層、中間層及びカバーの材料硬度(ショアD硬度)
包囲層、中間層及びカバーの樹脂材料を厚さ2mmのシート状に成形し、2週間以上放置した。その後、ショアD硬度はASTM D2240−95規格に準拠して計測した。
【0099】
各層の被覆球体及びボールの初速
R&Aの承認する装置であるUSGAのドラム回転式の初速計と同方式の初速測定器を用いて測定した。コア、中間層被覆球体及びボール(カバー被覆球体)を23.9±1℃環境下で3時間以上温度調整した後、室温23.9±2℃の部屋でテストした。250ポンド(113.4kg)のヘッド(ストライキングマス)を用いて打撃速度143.8ft/s(43.83m/s)にてボールを打撃し、1ダースのボールを各々4回打撃して6.28ft(1.91m)の間を通過する時間を測定し、初速(m/s)を算出した。約15分間でこのサイクルを行なった。
【0100】
【表4】
【0101】
そして、各実施例、比較例のゴルフボールの飛び性能(W#1)、アプローチスピン性能、打感及び耐擦過傷性を下記の基準に従って評価した。その結果を表5に示す。
【0102】
飛び性能(W#1打撃)
ゴルフ打撃ロボットにドライバー(W#1)をつけてヘッドスピード(HS)50m/sにて打撃した時の飛距離を測定し、下記基準により評価した。クラブはブリヂストン社製「TourStage X−Drive709 D430ドライバー(2013年モデル)」(ロフト8.5°)を使用した。なお、上記のヘッドスピードはプロ・上級者の凡そ平均的なヘッドスピードに相当する。
〔判定基準〕
トータル飛距離265.0m以上 ・・・・ ○
トータル飛距離265.0m未満 ・・・・ ×
【0103】
アプローチスピン性能
ゴルフ打撃ロボットにサンドウエッジをつけてヘッドスピード(HS)35m/sにて打撃した時のスピンの量を下記の基準により判断した。
〔判定基準〕
スピン量6000rpm以上 ・・・・ ○
スピン量6000rpm未満 ・・・・ ×
【0104】
打感
ドライバー(W#1)のヘッドスピード(HS)が45〜55m/sのゴルファーによる実打における官能評価を行い、下記基準により評価した。
〔判定基準〕
良好な打感と評価した人が10人中6人以上 ・・・・ ○
良好な打感と評価した人が10人中5人以下 ・・・・ ×
なお、上記の「良好な打感」とは、適度な軟らかさが感じられるものをいう。
【0105】
耐擦過傷性
ノンメッキのピッチングサンドウエッジを打撃ロボットにセットし、ヘッドスピード(HS)40m/sにて一回打撃し、そのボール表面の状態を目視にて判断した。
まだ使えるボールと判断 ・・・・ ○
もう使用に耐えないボールと判断 ・・・・ ×
【0106】
【表5】
【0107】
比較例1は、ボール表面硬度が中間層表面硬度より硬くなり、その結果、アプローチで狙いのスピンが得られない。
比較例2は、カバー(最外層)が中間層よりも厚よりも薄くなり、その結果、フルショットでスピンが増えてしまい、狙いの飛距離が得られない。
比較例3は、包囲層被覆球体の初速がコアの初速よりも低く、その結果、フルショットのスピンが多くなり、狙いの飛距離が得られない。
比較例4は、中間層被覆球体の初速が包囲層被覆球体の初速よりも大きくなく、その結果、フルショットのスピンが多くなり、狙いの飛距離が得られない。
比較例5は、コアの表面硬度からコアの中心硬度を引いた値がJIS−C硬度で22未満となり、その結果、フルショットした時のスピンが多くなり、狙いの飛距離が得られない。
比較例6は、コア中心から5mm位置の硬度(C5)からコア中心硬度(Cc)を引いた値がJIS−C硬度で7より大きく、且つ、[(コア表面硬度(Cs)−コア中心硬度(Cc)]/[コアの表面と中心との中間位置の硬度(Cm)−コア中心硬度(Cc)]の値がJIS−C硬度で3より小さくなり、その結果として、フルショットした時のスピンが多くなり、狙いの飛距離が得られない。
比較例7は、コア中心から5mm位置の硬度(C5)がコア中心硬度よりも低くなり、その結果として、実打した時の初速とスピンとのバランスが悪くなり、狙いの飛距離が得られない。