(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6675166
(24)【登録日】2020年3月12日
(45)【発行日】2020年4月1日
(54)【発明の名称】下水道管の洗浄方法及びそれに用いる連通管
(51)【国際特許分類】
E03F 9/00 20060101AFI20200323BHJP
B08B 9/055 20060101ALI20200323BHJP
B08B 9/035 20060101ALI20200323BHJP
B08B 9/032 20060101ALI20200323BHJP
F16L 27/10 20060101ALI20200323BHJP
F16L 27/12 20060101ALI20200323BHJP
【FI】
E03F9/00
B08B9/055 556
B08B9/035
B08B9/032 322
F16L27/10 Z
F16L27/12 A
【請求項の数】6
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2015-168837(P2015-168837)
(22)【出願日】2015年8月28日
(65)【公開番号】特開2017-44017(P2017-44017A)
(43)【公開日】2017年3月2日
【審査請求日】2018年8月24日
(73)【特許権者】
【識別番号】598143550
【氏名又は名称】鈴木 宏
(73)【特許権者】
【識別番号】513141441
【氏名又は名称】大岡 伸吉
(74)【代理人】
【識別番号】100100354
【弁理士】
【氏名又は名称】江藤 聡明
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 宏
(72)【発明者】
【氏名】大岡 伸吉
【審査官】
亀谷 英樹
(56)【参考文献】
【文献】
特開2014−087764(JP,A)
【文献】
特開2006−046592(JP,A)
【文献】
特開昭63−166478(JP,A)
【文献】
特開2000−096590(JP,A)
【文献】
特開2015−013282(JP,A)
【文献】
特開2007−283541(JP,A)
【文献】
特開2002−106051(JP,A)
【文献】
特開2013−040477(JP,A)
【文献】
米国特許第04827553(US,A)
【文献】
特開2005−180569(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E03F 3/00−5/26
E03F 9/00
B08B 9/027
B08B 9/032
B08B 9/035
B08B 9/04
B08B 9/055
F16L 27/00
F16L 27/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
マンホールが複数配置された下水道管の洗浄方法において、
前記下水道管の洗浄を行う際に、洗浄対象区間に存在する全ての前記マンホールの上流側と下流側の前記下水道管に繋がる開口部を前記マンホール内で連通管を用いて連通接続する連通接続工程と、
該連通接続工程の後、前記洗浄対象区間の上流側から氷粒子と洗浄用水を含むシャーベット状の洗浄媒体を加圧導入し前記下水道管及び前記連通管を通して下流側から排出する洗浄媒体導入排出工程と、
前記洗浄対象区間から前記洗浄媒体が排出された後、前記マンホール内の前記連通管を撤去する連通管撤去工程と、
を含むことを特徴とする下水道管の洗浄方法。
【請求項2】
前記洗浄媒体導入排出工程は、
前記洗浄対象区間の上流側の端部を閉塞具を用いて閉塞し、
前記上流側では前記閉塞具に設けられた開口を介して前記洗浄媒体を加圧導入し、前記下流側では前記マンホール内に流出した前記洗浄媒体を吸引排出することにより行われることを特徴とする請求項1に記載の下水道管の洗浄方法。
【請求項3】
請求項1又は2に記載のマンホールが複数配置された下水道管の洗浄方法の前記連通接続工程において使用する連通管であって、
前記マンホールの上流側及び下流側の前記開口部から下水道管内にそれぞれ挿入固定される上流側接続部材及び下流側接続部材と、
該上流側と下流側の接続部材間を前記マンホール内で連通接続する管状中間部と、
前記上流側接続部材及び下流側接続部材をそれぞれ前記マンホールの開口部に押し付けて装着状態を維持するように付勢する付勢手段と、
を有することを特徴とする連通管。
【請求項4】
前記上流側と下流側の接続部材は、
管状の本体部と、該本体部の途中位置に前記下水道管よりも半径方向外方に突出して形成されたフランジと、を有し、
前記本体部は、一方の端部が前記下水道管内に挿入される挿入端部とされ、他方の端部が前記管状中間部を取り付ける取付端部とされ、
前記付勢手段は、
前記上流側と下流側の接続部材間に介在し、これら両接続部材を下水道伸長方向で離反させる方向に付勢する構成を有することを特徴とする請求項3に記載の連通管。
【請求項5】
前記管状中間部は、伸縮可能に形成され、伸長状態で前記上流側と下流側の接続部材を連通接続可能な長さを有し、かつ柔軟性を有することを特徴とする請求項3又は4に記載の連通管。
【請求項6】
請求項1又は2に記載のマンホールで中継接続された下水道管の洗浄方法の前記連通接続工程において使用する連通管であって、
常態で長さが前記上流側と下流側の下水道管の開口部間の間隔よりも長い蛇腹管又はベローズ管で構成され、
前記マンホール内に設置された状態で、前記蛇腹管又はベローズ管の両端部は前記上流側と下流側の下水道管の開口部側にそれぞれ付勢されていることを特徴とする連通管。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、下水道管の洗浄方法及びそれに用いる連通管に関し、特にマンホールが複数配置された下水道管の洗浄方法及びそれに用いる連通管に関する。
【背景技術】
【0002】
下水道管は、地面から所定の深さ位置に埋設され、伸長方向の途中位置にはマンホールが複数配置されている。下水道管内では、雨水や生活排水、産業排水等の汚水が流れている。したがって、下水道管の内部は、堆積物(スケール)が多量に付着し、夾雑物等が残留し易い状態になっている。そのために、下水道管は、詰まり等の不具合が発生して流下能力が低下しないように、定期的に点検、洗浄することが必要になっている。
【0003】
マンホールは、上流側の下水道管(以下、上流管と略す)と下流側の下水道管(以下、下流管と略す)とを中継接続すると共に、埋設された下水道管を定期的に点検、洗浄する目的のために設けられている。マンホール内では、上流管と下流管が開口しており、マンホールの底部には、上流管から下流管への下水等の流れを円滑にするために溝部であるインバートが形成されている(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
一方、下水道管等の管路を洗浄する方法として、アイスピグ管内洗浄工法が知られている(非特許文献1)。これは、管路内に洗浄媒体として、氷粒子と水とを有するシャーベット状の洗浄媒体(流動体)を加圧導入して管内で洗浄媒体の一塊、いわゆるアイスピグを形成し、形成したアイスピグを管路内で移動させる方法である。アイスピグが管路内を移動することで管路内の堆積物等が削り取られ、また夾雑物が取り込まれて、管路内の洗浄が行われる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2013−40477号公報
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】「アイスピグ管内洗浄工法」、アイスピグ研究会(http://www.icepig.org/)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上記のアイスピグ管内洗浄工法を、下水道管に適用した場合、1つのマンホールとこれに隣接する他のマンホールとの間の下水道管、すなわち1スパンの下水道管に対しては的確に洗浄を行うことができる。しかし、マンホールを途中に介し上流管と下流管を一括して洗浄することはできなかった。すなわち、マンホール内で上流管と下流管とは直接に連通接続されていないので、上流管を流れてきた氷粒子と水とを有するシャーベット状の洗浄媒体がマンホール内に溢れ、下流管には洗浄媒体が的確に導入できないためである。マンホールとマンホールとの間の1区間(1スパン)の下水道管ごと洗浄するのでは作業時間が長く掛かり、作業コストも高く付くという問題があった。
【0008】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、途中位置にマンホールが複数配置されている下水道管の洗浄を可能とする下水道管の洗浄方法及びそれに用いる連通管を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の目的を達成するため、請求項1に記載の下水道管の洗浄方法は、マンホールが複数配置された下水道管の洗浄方法において、
前記下水道管の洗浄を行う際に、洗浄対象区間に存在する全ての前記マンホールの上流側と下流側の前記下水道管に繋がる開口部を前記マンホール内で連通管を用いて連通接続する連通接続工程と、該連通接続工程の後、前記洗浄対象区間の上流側から氷粒子と洗浄用水を含むシャーベット状の洗浄媒体を加圧導入し前記下水道管及び前記連通管を通して下流側から排出する洗浄媒体導入排出工程と、
前記洗浄対象区間から前記洗浄媒体が排出された後、前記マンホール内の前記連通管を撤去する連通管撤去工程と、を含むことを特徴とする。
【0010】
この方法によれば、洗浄対象区間の全てのマンホール内で上流管と下流管は連通管を用いて確実に連通接続される。したがって、連通接続工程の終了後に、上流側から氷粒子と洗浄用水を含むシャーベット状の洗浄媒体を加圧導入すると、上流管を通ってきた氷粒子と洗浄用水を含むシャーベット状の洗浄媒体は、マンホール内に溢れ出ることはなく、連通管を介して下流管に的確に導入される。したがって、途中位置にマンホールが複数配置された下水道管の一括洗浄が可能となった。
【0011】
請求項2に記載の下水道管の洗浄方法は、請求項1に記載の下水道管の洗浄方法において、前記洗浄媒体導入排出工程は、前記洗浄対象区間の上流側の端部を閉塞具を用いて閉塞し、前記上流側では前記閉塞具に設けられた開口を介して前記洗浄媒体を加圧導入し、前記下流側では前記マンホール内に流出した前記洗浄媒体を吸引排出することにより行われることを特徴とする。
【0012】
この方法によれば、洗浄対象区間の上流側は閉塞具により閉塞され、閉塞具に形成された開口を介して氷粒子と洗浄用水を含むシャーベット状の洗浄媒体の加圧導入が行われる。したがって、上流側から氷粒子と洗浄用水を含むシャーベット状の洗浄媒体を下水道管に効率良く加圧導入することが可能となる。また、下流側ではマンホール内に流出した洗浄媒体を吸引排出することにより行われ、洗浄作業の容易化が図られる。
【0013】
上記の目的を達成するため、請求項3に記載の連通管は、請求項1又は2に記載のマンホールが複数配置された下水道管の洗浄方法の前記連通接続工程において使用する連通管であって、
前記マンホールの上流側及び下流側の前記開口部から下水道管内にそれぞれ挿入固定される上流側接続部材及び下流側接続部材と、該上流側と下流側の接続部材間を前記マンホール内で連通接続する管状中間部と、前記上流側接続部材及び下流側接続部材をそれぞれ前記マンホールの開口部に押し付けて装着状態を維持するように付勢する付勢手段と、を有することを特徴とする。
【0014】
この構成によれば、連通管は、下水道管に挿入固定された上流側接続部材と下流側接続部材とを、管状中間部で連通接続することにより、マンホール内で簡単に構成することができる。また、2つの接続部材を付勢手段により下水道管の伸長方向で互いに離反する方向に付勢しているので、上流管からの洗浄媒体が連通管を通って下流管に導入される際に、連通管が外れることを的確に防止する。
【0015】
請求項4に記載の連通管は、請求項3に記載の連通管において、前記上流側と下流側の接続部材は、管状の本体部と、該本体部の途中位置に前記下水道管よりも半径方向外方に突出して形成されたフランジと、を有し、前記本体部は、一方の端部が前記下水道管内に挿入される挿入端部とされ、他方の端部が前記管状中間部を取り付ける取付端部とされ、前記付勢手段は、前記上流側と下流側の接続部材間に介在し、これら両接続部材を下水道伸長方向で離反させる方向に付勢する構成を有することを特徴とする。
【0016】
この構成によれば、上流側と下流側の接続部材の本体部にはフランジが設けられており、それぞれの一方の端部が下水道管に挿入される。その状態で付勢手段がそれらを離反する方向に付勢するので、上流側と下流側の接続部材は、それぞれ上記フランジがマンホールの開口部に押し付けられた状態となり安定した装着状態となる。
【0017】
請求項5に記載の連通管は、請求項3又は4に記載の連通管において、前記管状中間部は、伸縮可能に形成され、伸長状態で前記上流側と下流側の接続部材を連通接続可能な長さを有し、かつ柔軟性を有することを特徴とする。この構成により、管状中間部は柔軟性を有し伸長させることができるので、接続部材に容易に取り付けることが可能である。
【0018】
請求項6に記載の連通管は、請求項1又は2に記載のマンホールで中継接続された下水道管の洗浄方法の前記連通接続工程において使用する連通管であって、常態で長さが前記上流側と下流側の下水道管の開口部間の間隔よりも長い蛇腹管又はベローズ管で構成され、前記マンホール内に設置された状態で、前記蛇腹管又はベローズ管の両端部は前記上流側と下流側の下水道管の開口部側にそれぞれ付勢されていることを特徴とする。
【0019】
この構成により、常態で上流管と下流管の開口部間の間隔よりも長い蛇腹管又はベローズ管で構成された連通管は、マンホール内に取り付ける際には縮めて搬入することができる。更に、伸長する方向へ端部が付勢されるので上流管及び下流管の開口部への連通管の取り付けは容易である。また、伸長する方向への付勢力があるので、上流管から流れてきた洗浄媒体が連通管を通って下流管に流れる際に、連通管が外れることが防止され、的確に洗浄を行うことができる。
【発明の効果】
【0020】
本発明の下水道管の清浄方法及びそれに用いる連通管によれば、マンホール内で上流管と下流管は、簡単な構成の連通管により確実に連通接続され、氷粒子と洗浄用水を含むシャーベット状の洗浄媒体が上流管から下流管へ的確に導入される。したがって、途中位置にマンホールが複数配置された下水道管をシャーベット状の洗浄媒体を用いて洗浄することが可能となった。すなわち、マンホールを途中位置に複数基含む複数スパンの下水道管の一括洗浄が可能となり、作業時間の大幅な短縮、コスト削減が図られる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】本発明の下水道管の洗浄方法に係る概略全体図である。
【
図2】本発明の連通管の第1の実施の形態に係り、連通接続工程終了後の連通管の概略断面図である。
【
図3】連通接続工程終了後に、マンホールの上部から連通管を見た場合の概略上面図である。
【
図4】
図2及び
図3に示す連通管の接続部材の概略斜視図である。
【
図5】
図4の接続部材を下水道管に挿入したときの概略正面図である。
【
図6】本発明の連通管の第2の実施の形態に係り、連通接続工程終了後の連通管の概略断面図である。
【
図7】
図6に示した連通管のマンホールへの取り付けの手順を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
本発明の実施の形態を、以下図面を参照しながら詳細に述べる。
図1は、本発明の下水道管の洗浄方法の実施の形態に係り、洗浄方法を説明する概略全体図である。ただし、下水道管14は、中心軸を含む面で縦割りした概略断面を示している。
【0023】
下水道管14は、地上から所定の深さに埋設されており、マンホール16が所定間隔ごとに設置されている。
図1では、例として4基のマンホール16−1から16−4が図示されている。本実施の形態において、洗浄対象区間は、マンホール16−1とマンホール16−4の間の3スパンである。
【0024】
マンホール16内では、上流側の下水道管(上流管)14−1の開口部と、下流側の下水道管(下流管)14−2の開口部が露出しており、マンホール16の底部には、上流管14−1から流入する下水等を下流管14−2に円滑に流出するためにインバート(溝部)36が形成されている(後述の
図5も参照)。
【0025】
本実施の形態では、下水道管14の内径は略300mmであり、埋設深さは略1500mmである。下水道管路の途中に設置されたマンホール16の間隔は、略30mである。
図1において、左側を上流側とし、右側を下流側とする。上流側の第1のマンホール16−1の地上口付近に、氷粒子と洗浄用水を含むシャーベット状の洗浄媒体(流動体)を下水道管14に加圧導入するデリバリユニット車18が配置されている。下流側の第4のマンホール16−4の地上口付近に、上流側から導入された洗浄媒体を吸引排出する回収車20が配置されている。
【0026】
デリバリユニット車18から下水道管14への洗浄媒体の加圧導入を効率良く行うためにホース22と閉塞具24が用いられる。閉塞具24は、洗浄対象区間の上流側の下水道管14を閉塞するものであり、閉塞具24には開口が形成されている。この開口にホース22を通して、洗浄媒体の加圧導入
が行われる。また、洗浄対象区間の下流側では、閉塞具は使用せず、マンホール16−4内に流れ出た洗浄媒体等を、ホース22を用いて回収車20が吸引排出するように構成されている。
【0027】
デリバリユニット車18及び回収車20を配置した後、連通接続工程が実行される。本実施の形態では、第2のマンホール16−2内及び第3のマンホール16−3内で連通接続工程が実施される。なお、一連の作業を行っている間、洗浄対象区間外の下水道管14からの下水等の流入を防止するため、又は洗浄対象区間外へ洗浄により生じた汚物等の流出を防止するために、下水道管14を閉塞するパッカ25を使用しているが、パッカ25を用いずに例えば排水ポンプ等を用いても良い。
【0028】
図2は、連通接続工程を終えマンホール内に設置された連通管の概略断面図である。
図3は、マンホールの上部から連通管を見た概略上面図である。連通管10は、上流側接続部材26−1及び下流側接続部材26−2と、接続部材間を連通接続する管状中間部34と、2台の付勢手段32を有する。
【0029】
図4は、上流側接続部材26−1の概略斜視図である。上流側接続部材26−1は、金属又は高強度の樹脂で構成された所定長さの管状の本体部27−1を有する。本体部27−1の外径は下水道管14の内径に略等しい。本体部27−1の一方の端部は下水道管14に挿入される挿入端部であり、他方の端部は管状中間部38を取り付け固定する取付端部である。取付端部には、2つの凸部38−1が半径方向外方に突出して形成されている。この2つの凸部38−1、38−1間で管状中間部34を固定する。更に、上流側接続部材26−1の中央部分には、下水道管14よりも半径方向外方に突出してフランジ30−1が形成されている。フランジ30−1は、本体部27−1の外周全部ではなく下部を切り欠いた状態で形成されており、またフランジ30−1はマンホール16−2の側壁に沿うように湾曲して形成されている。
【0030】
図5は、上流側接続部材26−1の一端側を下水道管14に挿入した場合の概略正面図である。上流側接続部材26−1のフランジ30−1は、前述のようにマンホール16−2の側壁に沿うように湾曲して形成されており、下部はインバート36が形成されたマンホール16−2の底部に合うように切り欠いている。したがって、上流側接続部材26−1は、上流側の開口部から下水道管14−1内に挿入された場合、安定性は良好である。
【0031】
なお、フランジ30−1の下部形状がマンホール16−2のインバート36が形成された底部と合わずに隙間が形成されている場合には、フランジ30−1と同じ材料で構成された平板等で隙間を埋めるようにしても良い。
【0032】
下流側接続部材26−2についても、上述した上流側接続部材26−1と同様である。すなわち、上流側接続部材26−1と下流側接続部材26−2とは同形のものである。
【0033】
管状中間部34は、本実施の形態では、厚手の布で構成されており、接続部材26に取付け固定する際に、伸長させることができる柔軟性と、内部に導入される洗浄媒体の圧力に耐える強度とを有している。管状中間部34を拡げた時の内径は、上流側接続部材26−1、下流側接続部材26−2の外径と略同一である。管状中間部34の長さは、上流側接続部材26−1と下流側接続部材26−2を下水道管14に挿入した時の、フランジ30−1、30−2の間隔と略同一である。
【0034】
連通接続工程の作業は以下の通りである。上流側接続部材26−1を、上流管14−1に挿入する。挿入は、上流側接続部材26−1のフランジ30−1が、緩衝部材29−1を挟んで上流管14−1の開口部に突き当たるまで行う。同様に、下流側接続部材26−2を下流管14−2に挿入する。下流側接続部材26−2を先に挿入しても構わない。なお、本実施の形態では、緩衝部材29−1、29−2はゴム部材で構成されている。
【0035】
上流側接続部材26−1、下流側接続部材26−2を下水道管14内に挿入した後、管状中間部34を、接続部材26に被せる。管状中間部34は、布製であるので接続部材26に容易に被せることができる。管状中間部34の接続部材26への固定は、上流側接続部材26−1の本体部27−1に形成された凸部38−1、38−1間、及び下流側接続部材26−2の本体部27−2に形成された凸部38−2、38−2間を、ゴムバンド40で結束して行った。
【0036】
その後、上流側接続部材26−1のフランジ30−1と、下流側接続部材26−2のフランジ30−2の間に、付勢手段32を取り付ける。付勢手段32は、バネ部材を用いて構成されたものであり、付勢力に抗して縮めた状態で取り付けることにより、上流側接続部材26−1と下流側接続部材26−2は、それぞれ上流管側と下流管側へ付勢される。上流側接続部材26−1のフランジ30−1と、下流側接続部材26−2のフランジ30−2は、それぞれマンホール16−2の開口部に押し付けられた状態となり安定した装着状態が得られる。付勢手段32は、本実施の形態では、
図3に示す様に2台用いられているが、使用する状況に応じて台数を適宜決めることができる。
【0037】
連通接続工程の終了後、洗浄媒体導入排出工程が行われる。第1のマンホール16−1上で、デリバリユニット車18から氷粒子と水とを有するシャーベット状の洗浄媒体(流動体)28を下水道管14に加圧導入した。本実施の形態では、下水道管14に導入した洗浄媒体28が略10mの一塊、すなわちアイスピグを形成した後、洗浄媒体28の加圧導入を停止し、デリバリユニット車18から水を加圧注入して、形成したアイスピグを下流側(
図1では矢印100で示している)へ移動させた。
【0038】
マンホール16内で上流管14−1と下流管14−2が上述した連通管10を用いて連通接続しており、洗浄媒体28は、マンホール内16に漏れ出ることなく確実に下流側の下水道管14へ移動することができる。洗浄媒体28の移動に伴って、管壁の堆積物52は削り取られ洗浄媒体28に取り込まれて下流側へ移動する。同時に、洗浄媒体28に取り込まれた夾雑物(図示していない)も、洗浄媒体28と共に下流側に移動する。削り取られた堆積物52や取り込まれた夾雑物を含む洗浄媒体28は、第4のマンホール16−4上に設置された回収車20により吸引排出される。
【0039】
洗浄作業終了後に連通管10を撤去する必要がある。その撤去作業は容易に行うことができる。連通管10をマンホール16内へ導入した手順とは逆の手順で行えば良い。すなわち、付勢手段32及びゴムバンド40−1、40−2を取り外し、管状中間部34を上流側接続部材26−1、下流側接続部材26−2から取り外す。その後、上流側接続部材26−1、下流側接続部材26−2を、上流管14−1、下流管14-2からそれぞれ抜き取り、各部材をマンホール16から搬出することにより撤去作業が終了する。
【0040】
本実施の形態によれば、上流管14−1に導入された洗浄媒体(流動体)28は、連通管10を介して下流管14−2へ確実に導かれる。また、連通管10には、付勢手段32が用いられているので洗浄作業中に外れる恐れはない。したがって、途中位置にマンホールが複数配置された下水道管の洗浄が可能になった。これにより、これまで一度にはマンホールとこれに隣接するマンホール間(1スパン)の下水道管しか洗浄できなかったが、複数のスパンに亘る下水道管の一括洗浄が可能となり、作業時間の大幅な短縮、作業コストの低減が図られる。
【0041】
図6は、本発明のマンホールで中継接続された下水道管の洗浄方法の連通接続工程で使用する連通管に係り、連通管の第2の実施の形態の概略全体図を示す。本実施の形態の特徴的なことは、連通管10は蛇腹管60で構成されていることである。
【0042】
蛇腹管60の両端には、上流管14−1と下流管14−2に連通接続可能な接続部60aがそれぞれ形成されている。接続部60aは、外径が下水道管14の内径と略同一であり、下水道管14に略隙間なく挿入される。また、接続部60aには下水道管14の開口部に係止するための係止部60bが設けられている。係止部60bは、接続部60aの外周面から外側に突出したフランジで構成されている。更に、接続部60aには、それぞれ把持部62が設けられており、この把持部62により伸縮管60を縮めること、搬送することができる。
【0043】
本実施の形態では、蛇腹管60が常態(伸びた状態)では、その長さがマンホール16−2における上流管14−1の開口部と下流管14−2の開口部の間隔よりも長く設定されている。したがって、マンホール16−2内に取り付けた場合に、両端の接続部60aは、蛇腹管60が伸びる方向に付勢され、係止部60bは下水道管14の開口端にそれぞれ押圧された状態で係止される。
【0044】
図7は、連通管10のマンホールへの取り付けの手順を示した説明図である。まず、地上において、例えば、蛇腹管60を縮めた状態で把持部62間にロープ66を渡して縛っておき、マンホール16−2内へ吊り下ろして搬入する(
図7(a)参照)。マンホール16−2内に搬入した後に、一方の接続部60aの端部を例えば下流管14−2に挿入する(
図7(b)参照)。そして、把持部62間を縛っていたロープ66を解くことで、蛇腹管60が伸長し、他方の接続部60aの端部を上流管14−1の開口部に合わせて取り付けることができる。
【0045】
蛇腹管60は、マンホール16−2内に取り付けられた状態では、下水道管14の伸長する方向でそれぞれ相反する方向へ係止部60bが付勢されるので、接続部60aの係止部60bは上流管14−1及び下流管14−2の開口部へ確実に係止される。また、伸長する方向で相反する方向への付勢力があるので、上流管14−1から流れてきた洗浄媒体が連通管10を通って下流管14−2に流れる際に、連通管10が外れることが防止され、的確に洗浄作業を行うことができる。
【0046】
洗浄作業後の連通管10の取り外しは、容易に行うことができる。例えば、把持部62を利用して蛇腹管60を縮め、接続部60aを下水道管14から外し、蛇腹管60が伸長しないように把持部62間をロープ66で縛る。その後、伸縮させた蛇腹管60を地上に吊り上げることにより容易に撤去することができる。
【0047】
なお、本発明は、本実施の形態に限定されることはない。本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。例えば、洗浄媒体28として、氷粒子と洗浄用水とを有するシャーベット状の流動体を用いたが、氷粒子と洗浄用水との比率は3:7程度とした。下水道管14の大きさや汚れの程度に応じて、その比率は自由に変えることができる。氷粒子の比率を大きくすれば洗浄能力は向上するが管路内を移動する際の流動抵抗が大きくなる。更に、上記の実施の形態では、アイスピグを形成して後方から水を注入して、アイスピグを移動させるようにしたが、洗浄媒体28のみを加圧注入し続けても良い。また、洗浄媒体28の流動速度等も洗浄する下水道管14の管径や汚れの程度に応じて任意に変えることができる。
【0048】
また、連通管10の第1の実施の形態では、管状中間部34は、布製のものを用いたが、接続部材間を連通接続する際に伸長させることができる柔軟性と、内部に導入される洗浄媒体の圧力に耐える強度とを有するものであれば何れでも構わない。例えば、ゴム製、プラスチック製、布とそれらの合成材製等を使用することができる。更に、連通管10の第2の実施の形態では蛇腹管60を用いたが、伸縮管を用いても良い。この場合、それらの菅材の内面は洗浄媒体の流動抵抗を少なくするために平坦にしたものが好ましい。
【符号の説明】
【0049】
10 連通管
14 下水管(上流管、下流管)
16 マンホール
18 デリバリユニット車
20 回収車
22 ホース
24 閉塞具
26 接続部材
28 洗浄媒体(流動体)
32 付勢手段
34 管状中間部
52 堆積物
60 蛇腹管
100 アイスピグの流れ