【文献】
DOW CORNING VM−2270 Aerogel Fine Particles,Dow Corning Corporation,2007年 7月12日
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
疎水性シリカエアロゲル粒子が、トリメチルシリル基で表面改質された疎水性シリカエアロゲル粒子であることを特徴とする、請求項1から4のいずれか一項に記載の組成物。
疎水性エアロゲル粒子が、組成物の総質量に対して0.2質量%〜4質量%の範囲の活性物質含量で存在することを特徴とする、請求項1から5のいずれか一項に記載の組成物。
融点が60℃以上である少なくとも1種のワックスを、組成物の総質量に対して0.1質量%〜15質量%の範囲のワックスの総含量で含むことを特徴とする、請求項1から8のいずれか一項に記載の組成物。
【発明を実施するための形態】
【0018】
それ以上に、本発明の組成物は、均質であり、室温で安定である。用語「安定な」組成物は、特に、組成物が42℃で、特に72時間後に又は1か月後にさえ、相分離又は浸出を一切しないことを意味する。更に、用語「安定な」は、具体的には、本発明の組成物が、こうした化合物を含むとき、組成物が、42℃で、72時間後に又は1か月後にさえ、存在する粒子、例えば顔料及び/又は真珠層の粒子の沈降を一切示すべきでないことを意味する。
【0019】
好ましくは、顔料及び/又は真珠層の沈降が起きないことが、顔料及び/又は真珠層の総含量を、組成物の総質量に対して1質量%以上、好ましくは2質量%以上含む組成物中で、25℃又は42℃で72時間後に、好ましくは42℃で1か月後に、観察されるべきである。
【0020】
更に、用語「安定な」はまた、本発明の組成物を遠心分離に450rpmで10分間かけた後で、顔料及び/又は真珠層の沈降が起きないことが観察されるべきであることも好ましくは意味する。
【0021】
特に、この実施形態によれば、本発明の組成物は、皮膚及び/又は唇へ適用しやすい。この適用しやすさは、特に、すべり及び/又は延ばしやすさの点に反映されている。
【0022】
本発明の組成物は、室温(20〜25℃)で液体形態にある。本発明の目的では、用語「液体」及び「流体」は、室温(20℃から25℃の間)及び大気圧(760mmHg)での組成物の状態を特徴づける。用語「液体」は、固体組成物とは逆である液体組成物を特に意味する。
【0023】
特に好ましくは、本発明の組成物は、好ましくは唇のための、メイクアップ組成物であり、例えばリップグロスである。
【0024】
別の態様によれば、本発明は、唇をメイクアップする及び/又はケアする化粧方法であって、該方法は、先に定義した組成物を唇及び/又は皮膚へ適用することを含む方法に関する。特に好ましくは、本発明は、好ましくは唇をメイクアップする方法であって、該方法は、先に定義した組成物を唇へ適用することを含む方法に関する。
【0025】
以下で、「少なくとも1つ」という表現は、「1つ又は複数」と同等であり、別段の指定がない限り、値の範囲の上下値は、この範囲内に含まれる。
【0026】
生理学的に許容される媒体
用語「生理学的に許容される媒体」は、本発明の組成物を皮膚又は唇へ適用するのにとりわけ好適な媒体を示すことが企図される。
【0027】
生理学的に許容される媒体は、その上に組成物が適用されなければならない支持体の性質に、且つ更にそのもとで組成物がパッケージされなければならない外形にも、一般に適合される。
【0028】
本発明の組成物は、水を、組成物の総質量に対して5質量%未満含む。好ましくは、本発明の組成物は、水を、組成物の総質量に対して2質量%未満含む。特に好ましくは、本発明の組成物は、無水物である。用語「無水物」は、水が好ましくは組成物へ意図的に添加されないが、組成物中に用いられる種々の化合物中に微量で存在することもあることを特に意味する。
【0029】
疎水性シリカエアロゲル
本発明の組成物は、少なくとも1種のシリカエアロゲル粒子を含む。
【0030】
シリカエアロゲルは、シリカゲルの液状構成成分を空気と置き換えることによって(乾燥することによって)得られる多孔質材料である。
【0031】
それらは、液体媒体中でゾル-ゲル法を介して一般に合成され、次いで通常は超臨界流体(最もよく使われるのは超臨界CO
2)で抽出することによって乾燥される。このタイプの乾燥は、孔及び材料の収縮を回避させることができる。ゾル-ゲル法及び種々の乾燥操作は、Brinker C.J.及びScherer G.W.、Sol-Gel Science、New York、Academic Press、1990年に詳細に記載されている。
【0032】
本発明で使用される疎水性シリカエアロゲル粒子は、1質量単位当たりの比表面積(S
M)を、500〜1500m
2/g、好ましくは600〜1200m
2/g、更に良好には600〜800m
2/gを範囲として呈し、体積平均径(D[0.5])として表されるサイズを、1〜1500μm、更に良好には1〜1000μm、好ましくは1〜100μm、特定すると1〜30μm、より好ましくは5〜25μm、更に良好には5〜20μm、更により良好には5〜15μmを範囲として呈する。
【0033】
一実施形態によれば、本発明で使用される疎水性シリカエアロゲル粒子は、体積平均径(D[0.5])で表されるサイズが、1〜30μm、好ましくは5〜25μm、更に良好には5〜20μm、更により良好には5〜15μmを範囲とする。
【0034】
1質量単位当たりの比表面積は、BET(Brunauer-Emmett-Teller)法として知られる窒素吸収法によって測定することができ、The Journal of the American Chemical Society、第60巻、309頁、1938年2月に記載されており、国際規格ISO 5794/1(appendix D)に対応している。BET比表面積は、検討中の粒子の総比表面積に相当する。
【0035】
シリカエアロゲル粒子のサイズは、静的光散乱により、Malvern社製のMasterSizer 2000型の市販の粒径アナライザを用いて測定することができる。データは、ミー散乱理論に基づいて処理される。等方性粒子に厳密であるこの理論は、非球形粒子の場合、「有効な」粒径を求めることを可能にする。この理論は、詳細には、Van de Hulst, H.C.、「Light Scattering by Small Particles」、第9章及び第10章、Wiley、New York、1957年の刊行物に記載されている。
【0036】
有利な一実施形態によれば、本発明で使用される疎水性シリカエアロゲル粒子は、1質量単位当たりの比表面積(S
M)が、600〜800m
2/gを範囲とし、体積平均径(D[0.5])として表されるサイズが、5〜20μm、更により良好には5〜15μmを範囲とする。
【0037】
本発明で使用される疎水性エアロゲル粒子は、有利には、タップ密度ρが、0.02g/cm
3〜0.10g/cm
3、好ましくは0.03g/cm
3〜0.08g/cm
3、好ましくは0.05g/cm
3〜0.08g/cm
3を範囲とすることができる。
【0038】
本発明の関連では、タップ密度として知られるこの密度ρは、以下のプロトコルに従って評価することができる:
粉末40gをメスシリンダーに注入し、次いでメスシリンダーをStampf Volumeter社製のStav 2003装置の上に置き、次いでメスシリンダーを2500回の連続充填動作にかけ(この操作は2つの連続した試験間の体積差が2%未満になるまで繰り返す)、次いで充填した粉末の最終体積Vfを直接メスシリンダー上で測定する。タップ密度は、w/Vf比によって求められ、この場合、40/Vfである(Vfはcm
3で表され、wはgで表される)。
【0039】
好ましい一実施形態によれば、本発明で使用される疎水性シリカエアロゲル粒子は、1単位体積当たりの比表面積S
Vが、5〜60m
2/cm
3、好ましくは10〜50m
2/cm
3、更に良好には15〜40m
2/cm
3を範囲とする。
【0040】
1単位体積当たりの比表面積は、関係式S
V=S
M×ρ(式中、上で定義した通り、ρは、g/cm
3で表されるタップ密度であり、S
Mは、m
2/gで表される1単位質量当たりの比表面積である)によって得られる。
【0041】
好ましくは、本発明の疎水性シリカエアロゲル粒子は、湿潤点で測定される吸油能が、5〜18ml/g、好ましくは6〜15ml/g、更に良好には8〜12ml/gを範囲とする。
【0042】
湿潤点で測定される吸収能は、Wpと記され、均質なペーストを得るために粒子100gへ加える必要がある油の量に相当する。
【0043】
これは、「湿潤点」法、又はNF T 30-022規格に記載されている、粉末の油取込み量を求める方法に従って測定される。これは、粉末の利用可能な表面上に吸着される油の量、及び/又は粉末によって吸収される油の量に相当し、以下に説明する湿潤点の測定による:
m=2gの量の粉末をガラスプレート上に置き、次いで油(イソノナン酸イソノニル)を滴下で加える。4〜5滴の油を粉末へ加えた後、へらを用いて混合し、油と粉末との集成体が形成されるまで油の添加を続ける。形成された時点から、油を1回に1滴の割合で加え、続いて該混合物をへらで磨りつぶす。硬く滑らかなペーストが得られたら、油の添加を中止する。このペーストは、ひび割れることなしに又は塊を形成することなしに、ガラスプレート上に広がらなければならない。次いで、使用した油の体積Vs(mlで表される)を書き留める。
【0044】
油取込み量は、Vs/m比に相当する。
【0045】
本発明で使用されるエアロゲルは、好ましくはシリル化シリカの、疎水性シリカエアロゲル(INCI名:シリル化シリカ)である。
【0046】
用語「疎水性シリカ」は、OH基がシリル基Si-Rn、例えばトリメチルシリル基で官能化されるように、その表面が、シリル化剤、例えばハロゲン化シラン、例えばアルキルクロロシラン、シロキサン、詳細にはジメチルシロキサン、例えばヘキサメチルジシロキサン、又はシラザンで処理された、任意のシリカを意味する。
【0047】
表面がシリル化によって改質された疎水性シリカエアロゲル粒子の調製に関しては、米国特許第7470725号を参照されたい。
【0048】
好ましくはトリメチルシリル基で表面改質された疎水性シリカエアロゲル粒子が使用されることになる。
【0049】
本発明で使用できる疎水性シリカエアロゲルとして、例えばDow Corning社により名称VM-2260 (INCI名:シリル化シリカ)で販売されているエアロゲルを挙げることができ、その粒子は、平均サイズがおよそ1000ミクロンであり、1質量単位当たりの比表面積が600〜800m
2/gを範囲とする。
【0050】
Cabot社により参照名Aerogel TLD 201、Aerogel OGD 201、Aerogel TLD 203、Enova(登録商標)Aerogel MT 1100及びEnova Aerogel MT 1200で販売されているエアロゲルもまた挙げることができる。
【0051】
より特に、Dow Corning社により名称VM-2270(INCI名:シリル化シリカ)で販売されているエアロゲルが使用されることになり、その粒子は、平均サイズが5〜15ミクロンを範囲とし、1質量単位当たりの比表面積が600〜800m
2/gを範囲とする。
【0052】
好ましくは、疎水性シリカエアロゲル粒子は、本発明による組成物中に、組成物の総質量に対して0.1質量%〜15質量%、好ましくは0.1質量%〜10質量%を範囲とする活性物質含量で存在する。
【0053】
好ましくは、疎水性シリカエアロゲル粒子は、本発明による組成物中に、組成物の総質量に対して0.1質量%〜6質量%、より好ましくは0.2質量%〜4質量%を範囲とする活性物質含量で存在する。
【0054】
疎水性シリカエアロゲル粒子は、特に本発明の組成物の関連では、特にリップグロス組成物中で、例えばナノシリカ粒子[例えばそのINCI名がジメチルシリル化シリカであり、特にEvonik Degussa社により参照名Aerosil(登録商標)R 972で販売されている化合物]等の従来技術で使用される充填剤について用いられる含量よりも少ない含量範囲で使用できる。具体的には、ナノシリカ粒子は、従来技術では、組成物の総質量に対して2質量%から7質量%の間の質量含量で使用される。
【0055】
このことは、特にグロスのある堆積物を得られることが重要である組成物の場合において、具体的にはリップグロス(又は固体組成物のスティック)等のリップ組成物の場合において有利であると判明されうる。具体的には、充填剤が、組成物で得られた堆積物の上にマット効果を有するため、得られた堆積物のグロスのある性質がそれによって影響されることなく、又はできるだけ影響が少なく、配合物を十分に増粘化する及び/又はゲル化することができると有利である。
【0056】
半結晶性ポリマー
本発明の組成物は、少なくとも1種の半結晶性ポリマーを含む。好ましくは、半結晶性ポリマーは、有機構造を有し、融点が30℃以上である。
【0057】
好ましくは、半結晶性ポリマーの総量は、組成物の総質量に対して0.1質量%〜30質量%、更に良好には0.1質量%〜20質量%を占める。好ましくは、半結晶性ポリマーの総量は、組成物の総質量に対して0.3質量%〜10質量%を占める。
【0058】
本発明の目的では、用語「ポリマー」は、少なくとも2つの繰り返し単位、好ましくは少なくとも3つの繰り返し単位、より特定すると少なくとも10の繰り返し単位を含む化合物を意味する。
【0059】
本発明の目的では、用語「半結晶性ポリマー」は、結晶性部分及び非晶質部分を含み、相の温度の、特に、溶融(固体-液体の転移)の、一次の可逆的変化を有するポリマーを意味する。結晶性部分は、主鎖中の側鎖(若しくはペンダント鎖)又はブロックである。
【0060】
半結晶性ポリマーの結晶性部分がポリマー主鎖のブロックであるとき、この結晶化性ブロックは、非晶質ブロックの化学的性質とは異なる化学的性質を有し、この場合、半結晶性ポリマーは、例えば、ジブロック、トリブロック又はマルチブロックタイプのブロックコポリマーである。結晶性部分が主鎖上でペンダントである鎖であるとき、半結晶性ポリマーは、ホモポリマー又はコポリマーであることができる。
【0061】
用語「有機化合物」及び「有機構造を有する」は、単独で又は組み合わせで、炭素原子及び水素原子、且つ任意選択でS、O、N又はP等のヘテロ原子を含有する化合物を意味する。
【0062】
半結晶性ポリマーの融点は、好ましくは150℃未満である。
【0063】
半結晶性ポリマーの融点は、好ましくは30℃以上で100℃未満である。より好ましくは、半結晶性ポリマーの融点は、好ましくは30℃以上で70℃未満である。
【0064】
本発明の半結晶性ポリマーは、室温(25℃)及び大気圧(760mmHg)で固体であり、融点が30℃以上である。融点の値は、Mettler社により名称DSC 30で販売されている熱量計等の示差走査熱量計(DSC)を用いて、1分当たり5℃又は10℃の温度上昇で測定された融点に相当する(検討される融点は、サーモグラムの最大の吸熱ピークの温度に相当する融点である)。
【0065】
本発明の半結晶性ポリマーは、前記組成物を受け取ることを企図されたケラチン支持体の、詳細には皮膚又は唇の温度よりも高い融点を好ましくは有する。
【0066】
本発明によれば、半結晶性ポリマーは、有利には、それらの融点よりも高い温度で、特に少なくとも1質量%まで、脂肪相に溶解性である。結晶性の鎖又はブロックとは別に、ポリマーのブロックは、非晶質である。
【0067】
本発明の意味において、表現「結晶性の鎖又はブロック」は、単独である場合には、温度が融点を超えるか下回るかに応じて非晶質状態から結晶状態へ可逆的に変化する鎖又はブロックを意味すると理解される。本発明の意味において、「鎖」は、ポリマー主鎖に対してペンダントである又は側面にある原子の群である。ブロックは、主鎖に属する原子の群であり、この群は、ポリマーの繰り返し単位のうちの1つを構成する。
【0068】
好ましくは、半結晶性ポリマーのポリマー主鎖は、それらの融点を超える温度で、脂肪相に溶解性である。
【0069】
好ましくは、半結晶性ポリマーの結晶性のブロック又は鎖は、各ポリマーの総質量の少なくとも30%、更に良好には少なくとも40%を占める。結晶性側鎖を含有する半結晶性ポリマーは、ホモポリマー又はコポリマーである。結晶性ブロックを含有する本発明の半結晶性ポリマーは、ブロック又はマルチブロックコポリマーである。それらは、反応性二重結合(又はエチレン結合)を含有するモノマーの重合を介して、又は重縮合を介して得ることができる。本発明のポリマーが結晶性側鎖を含有するポリマーであるとき、これらの側鎖は、有利にはランダム形態又は統計形態にある。
【0070】
好ましくは、本発明の半結晶性ポリマーは、合成起源のものである。
【0071】
好ましい一実施形態によれば、半結晶性ポリマーは、以下から選択される:
- 結晶性疎水性側鎖を保持する1種又は複数のモノマーの重合から生じる単位を含む、ホモポリマー及びコポリマー
- 主鎖中に少なくとも1つの結晶性ブロックを保持するポリマー
- 脂肪族若しくは芳香族の、又は脂肪族/芳香族ポリエステルタイプの重縮合物
- メタロセン触媒作用を介して調製されるエチレンとプロピレンとのコポリマー。
【0072】
本発明で使用できる半結晶性ポリマーは、特に以下から選択される:
- そのモノマーがEP-A-0951897に記載されている、制御された結晶化のポリオレフィンのブロックコポリマー
- 特に脂肪族若しくは芳香族の、又は脂肪族/芳香族ポリエステルタイプの重縮合物
- メタロセン触媒作用を介して調製されるエチレンとプロピレンとのコポリマー
- 少なくとも1つの結晶性側鎖を保持するホモポリマー又はコポリマー、及び主鎖内に少なくとも1つの結晶性ブロックを保持するホモポリマー又はコポリマー、例えば米国特許第A-5156911号に記載のもの
- 少なくとも1つの結晶性側鎖を保持するホモポリマー又はコポリマー、具体的には特許文献WO-A-01/19333に記載のもの等のフルオロ基を保持するホモポリマー又はコポリマー
- 並びにそれらの混合物。
【0073】
最後の2つの場合、結晶性の側鎖又はブロックは、疎水性である。
【0074】
A)結晶性側鎖を含有する半結晶性ポリマー
ポリマー及びコポリマーは、特に好ましくは結晶性側鎖を保持する半結晶性ポリマーから選択される。
【0075】
特に、米国特許第A-5156911号及びWO-A-01/19333に定義されているものを挙げることができる。
【0076】
それらは、結晶性疎水性側鎖を保持する1種又は複数のモノマーの重合から得られる単位を50質量%〜100質量%含む、ホモポリマー又はコポリマーである。
【0077】
これらのホモポリマー又はコポリマーは、それらが本明細書で以下に挙げる条件(具体的には、それらの融点mpを超えて加熱すると脂肪相に溶解性又は分散性であるという特性)に合うならば、任意の性質のものである。それらは、以下から得られる:
- 重合に関連する反応性若しくはエチレン性の二重結合、即ちビニル、(メタ)アクリル若しくはアリル基を有する1種又は複数のモノマーの重合から、特にラジカル重合から、及び/又は
- 共反応基(カルボン酸、スルホン酸、アルコール、アミン又はイソシアネート)を保持する1種又は複数のモノマー、例えばポリエステル、ポリウレタン、ポリエーテル又はポリ尿素の重縮合から。
【0078】
a)一般に、本発明の半結晶性ポリマーの結晶性単位(鎖又はブロック)は、半結晶性ポリマーを製造するために使用される、結晶性のブロック又は鎖を含有するモノマーから誘導される。これらのポリマーは、好ましくは、特に、式Xにより表すことができる結晶性鎖を含有する少なくとも1種のモノマーの重合により得られるホモポリマー及びコポリマーから選択される。
【0080】
(式中、Mは、ポリマー主鎖の原子を表し、Cは結晶性基を表し、且つSはスペーサを表す)「-S-C」結晶性鎖は、任意選択でフッ素化された又はペルフルオロ化された、炭化水素系の脂肪族又は芳香族の鎖であり、飽和又は不飽和のC
12〜C
40、好ましくはC
12〜C
28、及び好ましくはC
14〜C
24炭化水素系アルキル鎖を含む。
【0081】
「C」は、特に(CH
2)
n基を表し、これは直鎖状又は分枝状又は環式であってもよく、nは12〜40を範囲とする整数である。好ましくは、「C」は直鎖状の基である。好ましくは、「S」及び「C」は、異なっている。
【0082】
結晶性鎖が炭化水素系脂肪族鎖であるとき、それらは、少なくとも12個の炭素原子、40個未満の炭素原子、更に良好には24個未満の炭素原子を含有する炭化水素系アルキル鎖を含む。それらは、特に、少なくとも12個の炭素原子を含有する脂肪族鎖又はアルキル鎖であり、且つそれらは、好ましくはC
12〜C
40、好ましくはC
12〜C
28、好ましくはC
14〜C
24、及び好ましくはC
16〜C
22アルキル鎖である。
【0083】
好ましくは、結晶性鎖は、C
16〜C
22炭化水素系脂肪族鎖である。
【0084】
それらがフルオロアルキル又はペルフルオロアルキル鎖である場合、それらは、少なくとも11個の炭素原子を含み、それらのうちの少なくとも6個の炭素原子はフッ素化されている。
【0085】
結晶性鎖を保持する半結晶性ホモポリマー又はコポリマーの例として、以下のモノマーのうちの1つ又は複数の重合から得られるものを挙げることができる:アルキル基がC
14〜C
24である飽和アルキルの(メタ)アクリレート、C
11〜C
15ペルフルオロアルキル基を有するペルフルオロアルキル(メタ)アクリレート、アルキル基がフッ素原子を有している又は有していないC
14〜C
24であるN-アルキル(メタ)アクリルアミド、アルキル基がC
14〜C
24であるアルキル又はペルフルオロ(アルキル)鎖を含有するビニルエステル(ペルフルオロアルキル鎖1個当たり少なくとも6個のフッ素原子を有する)、アルキル基がC
14〜C
24であり、ペルフルオロアルキル鎖1つ当たり少なくとも6個のフッ素原子を有するアルキル又はペルフルオロ(アルキル)鎖を含有するビニルエーテル、C
14〜C
24α-オレフィン、例えばオクタデセン、12〜24個の炭素原子を含有するアルキル基を有するパラ-アルキルスチレン、並びにそれらの混合物。
【0086】
ポリマーが重縮合から得られる場合、上に定義した結晶性炭化水素系の鎖及び/又はフッ素化された鎖は、二酸、ジオール、ジアミン又はジイソシアネートでありうるモノマーによって担持される。
【0087】
本発明の対象であるポリマーがコポリマーであるとき、それらは、極性モノマー若しくは非極性モノマー又はその2種の混合物であるY基を0〜50%、追加で含有する。
【0088】
Yが極性モノマーであるとき、Yは、ポリオキシアルキレン化基(特にオキシエチレン化された及び/又はオキシプロピレン化された基)、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート、例えばヒドロキシエチルアクリレート、(メタ)アクリルアミド、N-アルキル(メタ)アクリルアミド、N,N-ジアルキル(メタ)アクリルアミド、例えば、N,N-ジイソプロピルアクリルアミド又はN-ビニルピロリドン(NVP)、N-ビニルカプロラクタムを保持するモノマー;少なくとも1つのカルボン酸基、例えば(メタ)アクリル酸、クロトン酸、イタコン酸、マレイン酸若しくはフマル酸を保持するモノマーであるか;又はカルボン酸無水物基、例えば無水マレイン酸を保持するモノマーのいずれか、及びそれらの混合物である。
【0089】
Yが非極性モノマーであるとき、それは、直鎖状、分枝状又は環状のアルキル(メタ)アクリレートタイプのエステル、ビニルエステル、アルキルビニルエーテル、α-オレフィン、スチレン、又はC
1〜C
10アルキル基で置換されたスチレン、例えばα-メチルスチレン、又はビニル不飽和を含有するポリオルガノシロキサンタイプのマクロモノマーとすることができる。
【0090】
本発明の目的では、用語「アルキル」は、別段の指定がある場合を除き、特にC
8〜C
24の、飽和基を意味する。
【0091】
好ましくは、結晶性側鎖を有する半結晶性ポリマーは、上に定義したアルキル基、特にC
14〜C
24アルキル基を有するアルキル(メタ)アクリレート又はアルキル(メタ)アクリルアミドホモポリマー、これらのモノマーと、好ましくは(メタ)アクリル酸とは性質が異なる親水性モノマーとのコポリマー、例えばN-ビニルピロリドン又はヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、及びそれらの混合物である。
【0092】
有利には、結晶性側鎖を含有する半結晶性ポリマーは、質量平均分子量Mpが、5000〜1000000、好ましくは10000〜800000、優先的には15000〜500000、より好ましくは100000〜200000を範囲とする。
【0093】
具体的には、結晶性側鎖を保持する半結晶性ポリマーは、上に定義したアルキル基を有するアルキル(メタ)アクリレートのホモポリマー又はコポリマー、並びにそれらの混合物である。
【0094】
本発明の特定の一実施形態によれば、ポリマーは、飽和のC
10〜C
30アルキル(メタ)アクリレートから選択される結晶性側鎖を有する少なくとも1種のモノマーの重合から得られるホモポリマー及びコポリマーから選択することができ、前記少なくとも1種のモノマーは、次式で表すことができる:
【0096】
(式中、R
1は、H又はCH
3であり、RはC
10〜C
30アルキル基を表し、且つXはOを表す)
【0097】
本発明の、より特定の一実施形態によれば、ポリマーは、飽和のC
10〜C
30アルキル(メタ)アクリレートから選択される、結晶性鎖を保持するモノマーの重合から誘導される。
【0098】
本発明の組成物中で使用できる半結晶性ポリマーの特定の例として、小冊子「Intelimer(登録商標)polymers」、Landec IP22(4〜97頁を参照のこと)に記載されている、Landec社からのIntelimer(登録商標)製品を挙げることができる。これらのポリマーは、室温(25℃)で固体形態にある。それらは、結晶性側鎖を保持し、上記の式Xのものである。それらは、本発明の組成物中に包含されうる半結晶性ポリマーとしてとりわけ好適であるポリ(C
10〜C
30)アルキルアクリレートである。
【0099】
本発明で使用できる半結晶性ポリマーは、詳細には、少なくとも1つの結晶性側鎖を保持するホモポリマー又はコポリマー、例えば米国特許第A-5156911号に記載のもの、及びそれらの混合物である。
【0100】
これらのポリマーは、詳細には、分子量が約15000〜500000、好ましくは約100000〜200000を範囲とする。
【0101】
例えば、Landec社からの製品Intelimer(登録商標)IPA 13-1が選択され、これは、分子量が145000であって融点が49℃であるポリステアリルアクリレートである。
【0102】
それらは、結晶性疎水性側鎖を担持する1種又は複数のモノマーの重合から得られる単位を50質量%〜100質量%含む、ホモポリマー又はコポリマーである。
【0103】
これらのホモポリマー又はコポリマーは、それらが本明細書で以下に挙げる条件(具体的には、それらの融点を超えて加熱すると脂肪相に溶解性又は分散性であるという特性)に合うならば、任意の性質のものである。それらは、重合に関して反応性又はエチレン性の二重結合を含有する1種又は複数のモノマー、即ちビニル、(メタ)アクリル又はアリル基の重合、特にフリーラジカル重合から得られる。
【0104】
結晶性側鎖を保持する半結晶性ポリマーは、アクリル酸と、C
10〜C
16アルキル(メタ)アクリレートとの共重合から得られるコポリマーから選択することができ、特に例えば米国特許第A-5156911号の実施例3、4及び9に記載のものである。
【0105】
半結晶性ポリマーは、特に米国特許第A-5156911号の実施例3、4、5、7及び9に記載のものであってもよく、より具体的には以下の共重合からのものである:
- アクリル酸と、アクリル酸ヘキサデシルと、アクリル酸イソデシルとの、比1/16/3の共重合
- アクリル酸と、アクリル酸ペンタデシルとの、比1/19の共重合
- アクリル酸と、アクリル酸ヘキサデシルと、アクリル酸エチルとの、比2.5/76.5/20の共重合
- アクリル酸と、アクリル酸ヘキサデシルと、アクリル酸メチルとの、比5/85/10の共重合
- アクリル酸と、(メタ)アクリル酸ポリオクタデシルとの、比2.5/97.5の共重合。
【0106】
例えば米国特許第A-5736125号に記載の、融点が44℃である、National Starch社からのポリマーStructure “O”を使用することもまた可能である。
【0107】
半結晶性ポリマーは、具体的には、特許文献WO-A-01/19333の実施例1、4、6、7及び8に記載の、フルオロ基を含む結晶性ペンダント鎖を有する半結晶性ポリマーとすることができる。
【0108】
アクリル酸ステアリルとアクリル酸又はNVPとの共重合によって得られる半結晶性ポリマーを使用することもまた可能であり、それは例えば米国特許第A-5519063号に記載されており、より具体的には、特許出願EP1262163の実施例1に記載の製品であり、それぞれ融点が40℃である。
【0109】
アクリル酸ベヘニルとアクリル酸又はNVPとの共重合によって得られる半結晶性ポリマーを使用することも可能であり、それは米国特許第A-5519063号及びEP-A-0550745に記載されており、より具体的には、以下のポリマー調製についての実施例3及び4に記載されているものである。
【0110】
本発明中での使用に好適である半結晶性ポリマーは、特に、文献Intelimers(登録商標)polymers, LadecIP22(4〜97頁を参照のこと)に記載されているIntelimerとすることができ、融点が56℃であり、不浸透性で、室温で粘着性のある非粘着製品である。
【0111】
詳細には、本発明の組成物を調製するのに好適である半結晶性ポリマーは、アクリル酸ポリステアリルであり、例えばAir Products & Chemicals社若しくはLandec社からの名称Intelimer(登録商標)IPA 13-1、又はAir Products & Chemicals社若しくはLandec社からの名称Intelimer(登録商標)IPA 13-6で販売されている製品であるアクリル酸ポリベヘニルである。
【0112】
好ましくは、結晶性側鎖を保持する半結晶性ポリマーから好ましくは選択される、半結晶性ポリマーの量は、組成物の総質量に対して0.1質量%〜30質量%、更に良好には0.1質量%〜20質量%を占める。それは、好ましくは、組成物の総質量に対して0.3質量%〜10質量%を占める。
【0113】
脂肪相の構造化又は増粘化は、ポリマーの性質及びそれらのそれぞれの濃度の作用として、有利には調節されうる。
【0114】
特に、半結晶性ポリマーの量は、検討中の組成物に期待される粘度を付与するように(液体組成物の場合)、且つ想定される特定の適用の機能として、調節される。
【0115】
B)骨格内に少なくとも1つの結晶性ブロックを保持するポリマー
これもまた、融点mpを超えて加熱することにより脂肪相に溶解性又は分散性であるポリマーの場合である。それらのポリマーは、特に、少なくとも2つの異なる化学的性質のブロックから成り、そのうちの1つが結晶性であるブロックコポリマーである。
【0116】
主鎖中に少なくとも1つの結晶性ブロックを保持するポリマーは、結晶性鎖を含有するオレフィン又はシクロオレフィンのブロックコポリマーから選択することができ、例えば以下のブロック重合から誘導されるものである:
- シクロブテン、シクロヘキセン、シクロオクテン、ノルボルネン[即ち、ビシクロ(2,2,1)-2-ヘプテン]、5-メチルノルボルネン、5-エチルノルボルネン、5,6-ジメチルノルボルネン、5,5,6-トリメチルノルボルネン、5-エチリデンノルボルネン、5-フェニルノルボルネン、5-ベンジルノルボルネン、5-ビニルノルボルネン、1,4,5,8-ジメタノ-1,2,3,4,4a,5,8a-オクタヒドロナフタレン、ジシクロペンタジエン又はそれらの混合物と、
- エチレン、プロピレン、1-ブテン、3-メチル-1-ブテン、1-ヘキセン、4-メチル-1-ペンテン、1-オクテン、1-デセン若しくは1-エイコセン、又はそれらの混合物。
且つ特にコポリ(エチレン/ノルボルネン)ブロック及び(エチレン/プロピレン/エチリデン-ノルボルネン)ブロックターポリマー。上に挙げたもの等の少なくとも2つのC
2〜C
16、更に良好にはC
2〜C
12α-オレフィンのブロック共重合から得られるもの、特にエチレンと1-オクテンとのブロックビポリマーもまた使用できる。
【0117】
主鎖中に少なくとも1つの結晶性ブロックを保持するポリマーは、少なくとも1つの結晶性ブロックを含有するコポリマーから選択することができ、そのコポリマーの残りは非晶質である(室温で)。これらのコポリマーは、化学的性質の異なる2つの結晶性ブロックを更に示すことができる。
【0118】
好ましいコポリマーは、室温で、順次分布した結晶性ブロック及び親油性非晶質ブロックとを同時に含有しているものである。例えば、以下の、結晶性ブロックの1つと、非晶質ブロックの1つとを含有するポリマーを挙げることができる:
- ポリエステルタイプの、本来、結晶性であるブロック、例えばポリ(アルキレンテレフタレート)、又はポリオレフィンタイプの、本来、結晶性であるブロック、例えばポリエチレン又はポリプロピレン、
- 非晶質で親油性のブロック、例えば非晶質ポリオレフィン又はコポリ(オレフィン)、例えばポリ(イソブチレン)、水素化ポリブタジエン又は水素化ポリ(イソプレン)。
【0119】
結晶性ブロック及び非晶質ブロックを含有するこうしたコポリマーの例として、以下を挙げることができる:
α)好ましくは水素化して使用されるポリ(ε-カプロラクトン)-b-ポリ(ブタジエン)ブロックコポリマー、例えば、S. Nojimaによる論文D6「Melting behavior of poly(caprolactone)-block-polybutadiene copolymers」、Macromolecules、第32巻、3727〜3734頁(1999年)に記載のもの
β)水素化ブロック又はマルチブロックであるポリ(ブチレンテレフタレート)-b-ポリ(イソプレン)ブロックコポリマーで、B. Boutevinらによる論文D7「Study of morphological and mechanical properties of PP/PBT」、Polymer Bulletin、第34巻、117〜123頁(1995年)に引用されているもの
γ)ポリ(エチレン)-b-コポリ(エチレン/プロピレン)ブロックコポリマーで、P. Rangarajanらによる論文D8「Morphology of semi-crystalline block copolymers of ethylene-(ethylene-alt-propylene)」、Macromolecules、第26巻、4640〜4645頁(1993年)、及びP. Richterらによる論文D9「Polymer aggregates with crystalline cores: the system poly(ethylene)-poly(ethylene-propylene)」、Macromolecules、第30巻、1053〜1068頁(1997年)に引用されているもの
δ)ポリ(エチレン)-b-ポリ(エチルエチレン)ブロックコポリマーで、I.W.Hamleyによる一般記事D10「Crystallization in block copolymers」、Advances in Polymer Science、第148巻、113〜137頁(1999年)で挙げられているもの
【0120】
C)脂肪族若しくは芳香族の、又は脂肪族/芳香族ポリエステルタイプの重縮合物
ポリエステル重縮合物は、脂肪族ポリエステルから選択することができる。それらの分子量は、好ましくは200g/mol以上で10000g/mol以下であり、より好ましくは300g/mol以上で5000g/mol以下であり、好ましくは500g/mol以上で2000g/mol以下である。
【0121】
ポリエステル重縮合物は、特にポリカプロラクトンから選択することができる。詳細には、ポリカプロラクトンは、ε-カプロラクトンホモポリマーから選択することができる。単独重合は、ジオールで、特に2〜10個の炭素原子を含有するジオールで、例えばジエチレングリコール、1,4-ブタンジオール又はネオペンチルグリコールで、開始することができる。
【0122】
ポリカプロラクトンは、例えば特にSolvay社により名称CAPA(登録商標)240(融点68℃、分子量4000)、223 (融点48℃、分子量2000)、222(融点48℃、分子量2000)、217(融点44℃、分子量1250)、2125(融点45℃、分子量1250)、212(融点45℃、分子量1000)、210(融点38℃、分子量1000)、205(融点39℃、分子量830)で販売されているもの、又はUnion Carbide社により名称PCL-300及びPCL-700で販売されているものが使用できる。
【0123】
その融点が35℃から45℃の間であり、その分子質量が1250に等しいCAPA(登録商標)2125が、特に使用できる。
【0124】
本発明の組成物中の半結晶性ポリマーは、ポリマーの融点を超えて加熱することによって、脂肪相にポリマーが溶解又は分散するのを架橋度が干渉しないことを条件として、部分的に架橋されていても架橋されていなくてもよい。したがって、架橋は、重合中に多官能性モノマーと反応することによって生じる化学的架橋の場合もありうる。架橋はまた、物理的架橋の場合であってもよく、その場合、この架橋は、ポリマーに担持される基の間の水素結合若しくは双極子型の結合、例えばカルボキシレートイオノマー間の双極子相互作用(これらの相互作用は少量であり、ポリマー主鎖によって担持される)の確立、又はポリマーに担持される結晶性ブロックと非晶質ブロックとの間の相分離とのいずれかに起因しうる。
【0125】
好ましくは、本発明の組成物の半結晶性ポリマーは、架橋されていない。
【0126】
D)メタロセン触媒作用を介して調製されるエチレンとプロピレンとのコポリマー
本発明の組成物の半結晶性ポリマーはまた、メタロセン触媒作用を介して得られるポリマーであってもよく、例えば米国特許第2007/0031361号に記載のものである。
【0127】
これらのポリマーは、メタロセン触媒作用を介して、即ち低圧でメタロセン触媒の存在下で重合することによって調製される、エチレンとプロピレンとのコポリマーである。
【0128】
この特許文書に記載されているメタロセン触媒作用を介して得られるこれらのコポリマーの質量平均分子量(Mw)は、25000g/mol以下であり、例えば2000〜22000g/mol、更に良好には4000〜20000g/molを範囲とする。
【0129】
この特許文書に記載されているメタロセン触媒作用を介して得られるこれらのコポリマーの数平均分子量(Mn)は、好ましくは15000g/mol以下であり、例えば1000〜12000g/mol、更に良好には2000〜10000g/molを範囲とする。
【0130】
ポリマーの多分散度指数Iは、質量平均分子量Mwの、数平均分子量Mnに対する比に等しい。
【0131】
好ましくは、コポリマーの多分散指数は、1.5から10の間、好ましくは1.5から5の間、好ましくは1.5から3の間、更に良好には2から2.5の間である。
【0132】
コポリマーは、既知の様式で、エチレン及び/又はプロピレンモノマーから得ることができ、例えば特許文書EP571882に記載の方法に従ってメタロセン触媒作用を介して得る。
【0133】
メタロセン触媒作用を介して調製されたエチレンとプロピレンとのコポリマーは、非修飾であってよく、又は「極性」修飾されて(即ちそれらが極性基を含有するように修飾された)いてもよい。極性修飾コポリマーは、既知の様式で、非修飾ホモポリマー及びコポリマーから調製することができ、例えば前述のもの等の、空気等の酸素を含有するガスによる酸化により、又はマレイン酸若しくはアクリル酸、又は代わりにこれらの酸の誘導体等の極性モノマーによるグラフトによる。メタロセン触媒作用を介して得られたポリオレフィンを極性修飾することができるこれらの2つの経路は、それぞれ、例えば特許文書EP890583及び米国特許第5998547号に記載されている。
【0134】
本発明によれば、特に好ましいメタロセン触媒作用を介して調製された、エチレン及び/又はプロピレンの極性修飾コポリマーは、それらが親水性の特性を有するように修飾されたポリマーである。挙げることができる例には、無水マレイン酸、アクリレート、メタクリレート、ポリビニルピロリドン(PVP)等の親水性基の存在によって修飾された、エチレン及び/又はプロピレンのホモポリマー又はコポリマーがある。
【0135】
無水マレイン酸又はアクリレート等の親水性基の存在によって修飾されたエチレン及び/又はプロピレンのホモポリマー又はコポリマーが、特に好ましい。
【0136】
例として以下を挙げることができる:
- Clariant社により販売されている無水マレイン酸(PPMA)で修飾されたポリプロピレンポリマー、若しくはClariant社から名称LicoCareで販売されているもの等のポリプロピレン-エチレン-無水マレイン酸コポリマー、例えばLicoCare PP207 LP3349、LicoCare CM401 LP3345、LicoCare CA301 LP3346及びLicoCare CA302 LP3347。
【0137】
唇用の組成物の関連では、結晶化度が低い、好ましくは結晶化度が40%未満である極性修飾ポリマーが、好ましいことになる。
【0138】
液体脂肪相
本発明の組成物は、少なくとも1種の油、詳細には、好ましくは少なくとも1種の不揮発性油を含む。
【0139】
用語「油」は、室温(25℃)及び大気圧(760mmHg)で液体である、水に不混和性の非水性化合物を意味する。
【0140】
詳細には、油(好ましくは不揮発性油)は、炭化水素系油、シリコーン油及び/又はフルオロ油、並びにそれらの混合物から選択することができる。
【0141】
優先的には、油は、炭化水素系油及び/又はシリコーン油から選択することができる。
【0142】
不揮発性油
好ましくは、本発明の組成物は、少なくとも1種の不揮発性油を含む。
【0143】
用語「不揮発性」油は、室温及び大気圧での蒸気圧が、非ゼロ及び0.02mmHg(2.66Pa)未満、更に良好には10
-3mmHg(0.13Pa)未満である油を指す。
【0144】
不揮発性油は、特に植物起源の、炭化水素油、合成又は鉱物起源の油、シリコーン油、フルオロ油、又はそれらの混合物とすることができる。
【0145】
非極性油
第1の実施形態によれば、前記不揮発性油は、非極性油、好ましくは非極性炭化水素系油であってもよい。
【0146】
これらの油は、植物、鉱物、又は合成起源とすることができる。
【0147】
本発明の目的では、用語「非極性油」は、25℃でのその溶解度パラメータδ
aが0(J/cm
3)
1/2に等しい油を意味する。
【0148】
ハンセンの3次元溶解度空間における溶解度パラメータの定義及び計算は、C.M. Hansenによる論文、「The three dimensional solubility parameters」、J. Paint Technol.、第39巻、105頁(1967年)に記載されている。
【0149】
このハンセン空間によれば、
- δ
Dは、分子の衝突中に誘起される双極子の形成から生じるロンドン分散力を特徴とし、
- δ
pは、永久双極子間のデバイ相互作用力、及び更に誘起双極子と永久双極子との間のケーソム相互作用力を特徴とし、
- δ
hは、特定の相互作用力(例えば水素結合、酸/塩基、ドナー/アクセプター等)を特徴とし、且つ
- δ
aは、方程式δ
a=(δ
p2+δ
h2)
1/2によって求められる。
【0150】
パラメータδ
p、δ
h、δ
D及びδ
aは、(J/cm
3)
1/2で表される。
【0151】
用語「炭化水素系油」は、炭素原子及び水素原子、並びに任意選択で酸素原子及び窒素原子から本質的に形成され、又はこれらによって構成されさえする、ケイ素原子又はフッ素原子を一切含有しない油を意味する。それは、アルコール、エステル、エーテル、カルボン酸、アミン及び/又はアミド基を含有してもよい。
【0152】
好ましくは、不揮発性非極性炭化水素系油は、鉱物又は合成起源の、直鎖状又は分枝状の炭化水素から選択されることが可能であり、例えば以下のものである:
- 液体パラフィン又はその誘導体
- スクワラン
- イソエイコサン
- ナフタレン油
- ポリブチレン、例えばAmoco社により販売又は製造されているIndopol H-100(モル質量又はMW=965g/mol)、Indopol H-300(MW=1340g/mol)及びIndopol H-1500(MW=2160g/mol)
- ポリイソブテン
- 水素化ポリイソブチレン、例えば日油株式会社により販売されているParleam(登録商標)、Amoco社により販売又は製造されているPanalane H-300 E(MW=1340g/mol)、Synteal社により販売又は製造されているViseal 20000(MW=6000g/mol)及びWitco社により販売又は製造されているRewopal PIB 1000(MW=1000g/mol)、又は代わりにNOF Corporation社により販売されているParleam Lite
- デセン/ブテンコポリマー、ポリブテン/ポリイソブテンコポリマー、特にIndopol L-14
- ポリデセン及び水添ポリデセン、例えばMobil Chemicals社により販売又は製造されているPuresyn 10(MW=723g/mol)及びPuresyn 150(MW=9200g/mol)、又は代わりにExxonMobil Chemical社により販売されているPuresyn 6
- 並びにそれらの混合物。
【0153】
好ましくは、本発明の組成物は、ポリブテン、ポリイソブテン、水添ポリイソブテン、ポリデセン及び/又は水添ポリデセン、並びにそれらの混合物から好ましくは選択される少なくとも1種の非極性油を含む。
【0154】
本発明による組成物は、好ましくは不揮発性である、非極性油の含量を、組成物の総質量に対して5質量%〜60質量%、例えば10質量%〜45質量%、好ましくは15質量%〜40質量%を範囲として含むことができる。
【0155】
好ましい一実施形態によれば、本発明の組成物は、水添ポリイソブテン及び水添ポリデセンから好ましくは選択される少なくとも1種の非極性炭化水素系油を含む。
【0156】
極性油
特定の一実施形態によれば、組成物は、少なくとも1種の不揮発性極性油を含む。前記油は、炭化水素系油、シリコーン油又はフルオロ油とすることができる。
【0157】
優先的には、前記不揮発性油は、極性炭化水素系油である。
【0158】
用語「シリコーン油」は、少なくとも1個のケイ素原子を含有し、特にSi-O基を含有する油を意味する。
【0159】
用語「フルオロ油」は、少なくとも1個のフッ素原子を含有する油を意味する。
【0160】
これらの油は、植物、鉱物、又は合成起源とすることができる。
【0161】
用語「炭化水素系油」は、炭素原子及び水素原子、並びにおそらく酸素原子及び窒素原子から本質的に形成され、又はこれらによって構成されさえする、ケイ素原子又はフッ素原子を一切含有しない油を意味する。それは、アルコール、エステル、エーテル、カルボン酸、アミン及び/又はアミド基を含有することができる。
【0162】
本発明の意味では、用語「極性油」は、25℃でのその溶解性パラメータδ
aが0(J/cm
3)
1/2以外である油を意味する。
【0163】
具体的には、炭化水素系不揮発性極性油は、以下の油の列挙、及びそれらの混合物から選択することができる:
- 炭化水素植物油、例えば、4〜10個の炭素原子を含有する脂肪酸の液状トリグリセリド、例えば、ヘプタン酸若しくはオクタン酸トリグリセリド、又はホホバオイル
- 好ましくは以下から選択される、エステル油:
- 脂肪酸エステル、特に4〜22個の炭素原子のもの、特にオクタン酸の、ヘプタン酸の、ラノリン酸の、オレイン酸の、ラウリン酸の又はステアリン酸のもの、例えばジオクタン酸プロピレングリコール、モノイソステアリン酸プロピレングリコール又はジヘプタノン酸ネオペンチルグリコール
- 合成エステル、例えば式R
1COOR
2(式中、R
1は、4〜40個の炭素原子を含む直鎖状又は分枝状の脂肪酸残基を表し、且つR
2は、4〜40個の炭素原子を含有する特に分枝状である炭化水素系鎖を表し、但し、R
1+R
2≧16という条件がある)の油、例えばパーセリン油(オクタン酸セトステアリル)、イソノナン酸イソノニル、C
12〜C
15安息香酸アルキル、パルミチン酸2-エチルヘキシル、ネオペンタン酸オクチルドデシル、ステアリン酸2-オクチルドデシル、エルカ酸2-オクチルドデシル、エルカ酸オレイル、イソステアリン酸イソステアリル、安息香酸2-オクチルドデシル、オクタン酸アルコール又はポリアルコール、デカン酸エステル又はリシノール酸エステル、ミリスチン酸イソプロピル、パルミチン酸イソプロピル、ステアリン酸ブチル、ラウリン酸ヘキシル、パルミチン酸2-エチルヘキシル、ラウリン酸2-ヘキシルデシル、パルミチン酸2-オクチルデシル、ミリスチン酸2-オクチルドデシル又はコハク酸2-ジエチルヘキシル;好ましくは、好ましい合成エステルR
1COOR
2(式中、R
1は、4〜40個の炭素原子を含む直鎖状又は分枝状の脂肪酸残基を表し、且つR
2は、4〜40個の炭素原子を含有する特に分枝状である炭化水素系鎖を表し、但し、R
1、R
2≧20という条件がある)
- 総炭素数が35〜70を範囲とする直鎖状脂肪酸エステル、例えばテトラペラルゴン酸ペンタエリスリチル(MW=697g/mol)
- グリセリルエステル、例えばAbitec社により参照名Capmul MCMで販売されているカプリル酸/カプリン酸グリセリド
- ヒドロキシル化エステル、好ましくは総炭素数が35〜70を範囲とするもの、例えばトリイソステアリン酸ポリグリセリル-2(MW=965g/mol)、乳酸イソステアリル、ヒドロキシステアリン酸オクチル、ヒドロキシステアリン酸オクチルドデシル、リンゴ酸ジイソステアリル、ステアリン酸グリセリル;ジイソノナン酸ジエチレングリコール
- 4〜22個の炭素原子を含む、芳香族の酸と、アルコールとのエステル、例えばトリデシルトリメリテート(MW=757g/mol)
- 分枝状脂肪アルコール又は脂肪酸のC
24〜C
28エステル、例えば特許出願EP-A-0955039に記載のもの、特にクエン酸トリイソアラキジル(MW=1033.76g/mol)、テトライソノナン酸ペンタエリスリチル(MW=697g/mol)、トリイソステアリン酸グリセリル(MM=891g/mol)、トリス(2-デシル)テトラデカン酸グリセリル(MW=1143g/mol)、テトライソステアリン酸ペンタエリスリチル(MW=1202g/mol)、テトライソステアリン酸ポリグリセリル-2(MW=1232g/mol)、又はテトラキス(2-デシル)テトラデカン酸ペンタエリスリチル(MW=1538g/mol)
- 少なくとも1つのヒドロキシル化カルボン酸トリグリセリドを、脂肪族モノカルボン酸及び脂肪族ジカルボン酸でエステル化することによって得られる、任意選択で不飽和のポリエステル、例えばZenitech社により参照名Zeniglossで販売されているコハク酸及びイソステアリン酸ヒマシ油
- ジオールダイマーと二酸ダイマーとのエステルで、一般式HO-R
1-(-OCO-R
2-COO-R
1-)
h-OH
(式中、
R
1は、ジリノレン二酸の水素化によって得られるジオールダイマー残基を表し、
R
2は、水素化されたジリノレン二酸残基を表し、且つ
hは、1〜9を範囲とする整数を表す)
のもの、
特に、日本精化株式会社により商品名Lusplan DD-DA5(登録商標)及びDD-DA7(登録商標)で販売されているジリノール酸二酸とジリノレイルジオールダイマーとのエステル
- 不飽和脂肪酸ダイマー及び/又はトリマーと、ジオールとの縮合によって得られるポリエステル、例えば特許出願FR-0853634に記載のもの、特に例えばジリノール酸と、1,4-ブタンジオールの縮合によって得られるポリエステル。この点に関して、Biosynthis社により名称Viscoplast 14436Hで販売されているポリマー(INCI名:ジリノール酸/ブタンジオールコポリマー)、又はポリオールと二酸ダイマーとのコポリマー、及びそれらのエステル、例えばHailuscent ISDAを特に挙げることができる
- 12〜26個の炭素原子を含有し、好ましくは分枝状である脂肪アルコール、例えばオクチルドデカノール、2-ブチルオクタノール、2-ヘキシルデカノール、2-ウンデシルペンタデカノール及びオレイルアルコール
- C
12〜C
22高級脂肪酸、例えばオレイン酸、リノール酸及びリノレン酸、並びにそれらの混合物
- 植物起源の油、例えばゴマ油(820.6g/mol);及びトリ脂肪酸(C18-36)グリセリル(Stearineries Dubois社からのDub TGI 24)
- 12〜26個の炭素原子を含有する脂肪酸、例えばオレイン酸
- 2つのアルキル鎖がおそらくは同一であり又は異なる、炭酸ジアルキル、例えばCognis社により名称Cetiol CC(登録商標)で販売されている炭酸ジカプリリル、及び
- ビニルピロリドン/1-ヘキサデセンコポリマー等のビニルピロリドンコポリマー、ISP社から販売又は製造されているAntaron V-216(MW=7300g/mol)。
【0164】
特定の一実施形態によれば、本発明の組成物は、少なくとも1種のビニルピロリドン/1-ヘキサデセンコポリマー及び/又は少なくともミリスチン酸イソプロピルを含む。
【0165】
好ましくは、極性不揮発性炭化水素系油は、植物からの又は植物起源の炭化水素系油、エステル油、12〜26個の炭素原子を含有する脂肪アルコール、12〜26個の炭素原子を含有する脂肪酸、及びビニルピロリドンコポリマー、並びにそれらの混合物から選択することができる。
【0166】
好ましくは、本発明の組成物は、式R
1COOR
2(式中、R
1は、4〜40個の炭素原子を含有する直鎖状又は分枝状の脂肪酸残基を表し、R
2は、4〜40個の炭素原子を含有する特に分枝状である炭化水素系鎖を表し、但し、R
1+R
2≧16である)の合成エステルから選択される少なくとも1種の不揮発性油を含む。
【0167】
好ましくは、本発明の組成物は、パーセリン油(オクタン酸セトステアリル)、イソノナン酸イソノニル、C
12〜C
15安息香酸アルキル、パルミチン酸2-エチルヘキシル、ネオピペンタン酸オクチルドデシル、ステアリン酸2-オクチルドデシル、エルカ酸2-オクチルドデシル、エルカ酸オレイル、イソステアリン酸イソステアリル、安息香酸2-オクチルドデシル、オクタン酸アルコール又はポリアルコール、デカノン酸エステル又はリシノール酸エステル、ミリスチン酸イソプロピル、パルミチン酸イソプロピル、ステアリン酸ブチル、ラウリン酸ヘキシル、パルミチン酸2-エチルヘキシル、ラウリン酸2-ヘキシルデシル、パルミチン酸2-オクチルデシル、ミリスチン酸2-オクチルドデシル、及びコハク酸2-ジエチルヘキシルから選択される少なくとも1種の不揮発性エステル油を含む。
【0168】
好ましくは、本発明の組成物は、ネオペンタン酸エステル、好ましくはネオペンタン酸オクチルドデシルから選択される少なくとも1種の不揮発性油を含む。
【0169】
好ましくは、組成物は、不揮発性エステル油の含量を、組成物の総質量に対して、5質量%〜40質量%、好ましくは10質量%〜30質量%を範囲として含む。
【0170】
別の実施形態によれば、極性不揮発性油は、フルオロ油であってもよい。
【0171】
用語「フルオロ油」は、少なくとも1個のフッ素原子を含む油を意味する。
【0172】
本発明で使用できるフルオロ油は、フルオロシリコーン油、フルオロポリエーテル、及びEP-A-847752の特許文献中に記載のフルオロシリコーン、及びペルフルオロ化合物から選択することができる。
【0173】
本発明によれば、用語「ペルフルオロ化合物」は、そこで全ての水素原子がフッ素原子で置換されている化合物を意味する。
【0174】
好ましい一実施形態によれば、本発明のフルオロ油は、ペルフルオロ油から選択される。
【0175】
本発明で使用できるペルフルオロ油の例として、ペルフルオロデカリン及びペルフルオロペルヒドロフェナントレンを挙げることができる。
【0176】
好ましい一実施形態によれば、フルオロ油は、ペルフルオロペルヒドロフェナントレン、特にCreations Couleurs社により販売されているFiflow(登録商標)製品から選択される。特に、INCI名がペルフルオロペルヒドロフェナントレンであり、F2 Chemicals社により参照名Fiflow 220で販売されているフルオロ油を使用することができる。
【0177】
別の実施形態によれば、極性不揮発性油は、シリコーン油であってもよい。
【0178】
本発明で使用できる不揮発性シリコーン油は、特に粘度が25℃で9センチストーク(cSt)(9×10
-6m
2/s)以上で800000cSt未満、好ましくは50cStから600000cStの間、好ましくは100cStから500000cStの間であるシリコーン油から特に選択することができる。このシリコーンの粘度は、ASTM D-445規格に従って測定することができる。
【0179】
具体的には、不揮発性シリコーン油は、以下から選択することができる:
- 直鎖状又は分枝状の、不揮発性ポリジメチルシロキサン(PDMS)
- ペンダントであり又はシリコーン鎖の末端にあり、2〜24個の炭素原子を含有する、アルキル、アルコキシ又はフェニル基を含むポリジメチルシロキサン、例えばEvonik Goldschmidt社により参照名Abil Wax 9801で販売されているセチルジメチコン
- フェニルシリコーン油、具体的には以下から選択されるもの:
- フェニルトリメチコン、特に例えば、特に参照名Dow Corning 556 Cosmetic Grade Fluidで販売されているフェニルトリメチルシロキシトリシロキサン
- フェニルジメチコン
- フェニルトリメチルシロキシジフェニルシロキサン
- ジフェニルジメチコン
- ジフェニルメチルジフェニルトリシロキサン
- 2-フェニルエチルトリメチルシロキシシリケート、及び
- トリメチルペンタフェニルトリシロキサン、特に例えばDow Corning社により参照名PH-1555 HRI又はDow Corning 555 Cosmetic Fluid (化学名:1,3,5-トリメチル-1,1,3,5,5-ペンタフェニルトリシロキサン、INCI名:トリメチルペンタフェニルトリシロキサン)で販売されているシリコーン油、及び
- トリメチルシロキシフェニルジメチコン、特に例えばWacker社により参照名Belsil PDM 1000で販売されている製品。
【0180】
好ましくは、組成物中に存在する前記不揮発性油は、以下から選択される:
- 炭化水素系油、好ましくは、ポリブテン、ポリイソブテン、水添ポリイソブテン、ポリデセン及び/又は水添ポリデセン、並びにそれらの混合物等の非極性炭化水素系油から、及び植物からの又は植物起源の炭化水素系油、エステル油、12〜26個の炭素原子を含有する脂肪アルコール、12〜26個の炭素原子を含有する脂肪酸及びビニルピロリドンコポリマー、並びにそれらの混合物から好ましくは選択される極性炭化水素系油から選択されるもの、
- 直鎖状又は分枝状の、不揮発性ポリジメチルシロキサン、及び/又はペンダントであり又はシリコーン鎖の末端にあり、2〜24個の炭素原子を含有する、アルキル、アルコキシ又はフェニル基を含むポリジメチルシロキサンから好ましくは選択されるシリコーン油、例えば好ましくは不揮発性である、セチルジメチコン油及び/又はフェニルシリコーン油、フルオロ油、
- 並びにそれらの混合物。
【0181】
本発明の組成物は、好ましくは炭化水素系である、不揮発性極性油の総含量を、組成物の総質量に対して、5質量%〜60質量%、例えば10質量%〜45質量%、好ましくは15質量%〜40質量%を範囲として含むことができる。
【0182】
好ましい一実施形態によれば、好ましくは炭化水素系である、不揮発性油は、組成物の総質量に対して、15質量%〜90質量%、特定すると25質量%〜80質量%、好ましくは35質量%〜70質量%を範囲とする総含量で存在する。
【0183】
分子量が400g/mol超である不揮発性油
好ましい一実施形態によれば、本発明の組成物は、好ましくは上で定義した、分子量が400g/mol超である、少なくとも1種の不揮発性油を含む。
【0184】
好ましくは、本発明の組成物は、分子量が400g/mol超である油の総含有量を、コア組成物の総質量に対して、5質量%〜80質量%、例えば5質量%〜60質量%、好ましくは5質量%〜50質量%を範囲として含むことができる。
【0185】
より正確には、こうした油は、分子量が400g/mol超、又は更に500g/mol超、特に650g/mol超である、炭化水素系油又はシリコーン油とすることができる。詳細には、このグロスのある油は、分子量が、400〜10000g/mol、特定すると650〜10000g/molを範囲とすることができる。
【0186】
好ましくは、本発明の組成物は、分子量が650〜5000g/molを範囲とする、少なくとも1種の炭化水素系油又はシリコーン油を含む。
【0187】
分子量が400g/mol超であるこの油は、極性又は非極性とすることができる。
【0188】
分子量が400g/mol超であるこの油は、有利には、高分子量の油、具体的には分子量が500〜10000g/mol、特定すると500〜8000g/mol、より特定すると550〜7500g/molを範囲とする油から選択される油である。
【0189】
好ましくは、分子量が400g/mol超である油は、屈折率が1.45以上であり、特に1.45〜1.6を範囲とする。
【0190】
分子量が400g/mol超である油は、好ましくは不揮発性油である。
【0191】
有利には、本発明で使用できる、分子量が400g/mol超である炭化水素系油は、以下から選択することができる:
- 好ましくは以下から選択される、非極性ポリマー油:
- ポリブチレン、例えばAmoco社により販売又は製造されているIndopol H-100(モル質量又はMW=965g/mol)、Indopol H-300(MW=1340g/mol)及びIndopol H-1500(MW=2160g/mol)、及び/又は
- 水素化ポリイソブチレン、例えばAmoco社から販売又は製造されているPanalane H300 E(MM=1340g/mol)、Synteal社から販売又は製造されているViseal 20000(MM=6000g/mol)、及びWitco社から販売又は製造されているRewopal PIB 1000(MM=1000g/mol)、及び/又は
- ポリデセン及び水添ポリデセン、例えばMobil Chemicals社により販売又は製造されているPuresyn 10(MW=723g/mol)及びPuresyn 150(MW=9200g/mol)
- 並びにそれらの混合物
- 好ましくは以下から選択される、エステル油:
- 総炭素数が35〜70を範囲とする直鎖状脂肪酸エステル、例えばテトラペラルゴン酸ペンタエリスリチル(MW=697g/mol)
- ヒドロキシル化エステル、例えばトリイソステアリン酸ポリグリセリル-2(MW=965g/mol)、クエン酸トリイソセチル(MW=864g/mol)、リンゴ酸ジイソステアリル(MW=639g/mol)
- 芳香族エステル、例えばトリデシルトリメリテート、例えばLipo Chemicals社により名称Liponate TDTM(MW=757g/mol)で販売されている製品
- 特許出願EP-A-0955039に記載のもの等のC
24〜C
28分枝状脂肪アルコール又は脂肪酸エステル、特にクエン酸トリイソアラキジル(MW=1033.76g/mol)、テトライソノナン酸ペンタエリスリチル(MW=697g/mol)、トリイソステアリン酸グリセリル(MM=891g/mol)、トリス(2-デシル)テトラデカン酸グリセリル(MW=1143g/mol)、テトライソステアリン酸ペンタエリスリチル(MW=1202g/mol)、テトライソステアリン酸ポリグリセリル-2(MW=1232g/mol)、又はテトラキス(2-デシル)テトラデカン酸ペンタエリスリチル(MW=1538g/mol)
- ヒドロキシル化カルボン酸の少なくとも1つのトリグリセリドを脂肪族モノカルボン酸及び脂肪族ジカルボン酸でエステル化することから得られる、任意選択により不飽和のポリエステル、例えばZenitech社により参照名Zeniglossで販売されているコハク酸及びイソステアリン酸ヒマシ油
- ジオールダイマーと二酸ダイマーとのエステルで、一般式HO-R
1-(-OCO-R
2-COO-R
1-)
h-OH(式中、R
1は、ジリノール二酸の水素化によって得られたジオールダイマー残基を表し、R
2は、水素化ジリノール二酸残基を表し、且つhは、1〜9を範囲とする整数を表す)のもの、特に日本精化株式会社から商品名Lusplan DD-DA5(登録商標)及びDD-DA7(登録商標)で販売されている、ジリノールジオールダイマーのジリノール二酸エステル
- 植物起源の油、例えばゴマ油(MW=820g/mol)
- ビニルピロリドンコポリマー、例えばビニルピロリドン/1-ヘキサデセンコポリマー、ISP社から販売又は製造されているAntaron V-216(MW=7300g/mol)
- 並びにこれらの混合物。
【0192】
分子量が400g/mol超である油はまた、シリコーン油から、詳細にはポリジメチルシロキサン(PDMS);フェニルトリメチコン等のフェニルシリコーン油(例えばDow Corning社により商品名DC 556で販売されているフェニルトリメチコン)、フェニルジメチコン、フェニルトリメチルシロキシジフェニルシロキサン、ジフェニルジメチコン、ジフェニルメチルジフェニルトリシロキサン、トリメチルペンタフェニルトリシロキサン(特にDow Corning社により名称PH-1555 HRI Cosmetic Fluidで販売されている1,3,5-トリメチル-1,1,3,5,5-ペンタフェニルトリシロキサン)、並びにそれらの混合物から選択される油とすることができる。
【0193】
分子量が400g/mol未満である不揮発性油
本発明の組成物は、分子量が400g/mol未満である少なくとも1種の不揮発性油を含んでもよい。この油は、炭化水素系油又はシリコーン油とすることができる。
【0194】
好ましくは、分子量が400g/mol未満である不揮発性油は、以下から選択される:
- 特に脂肪酸の、合成エステル、例えば式R
1COOR
2(式中、R
1は、1〜30個の炭素原子を含有する直鎖状若しくは分枝状の高級脂肪酸残基を表し、R
2は、炭化水素系鎖を表し、この鎖は、特に分枝状であり、1〜30個の炭素原子を含有し、但し、13<R
1+R
2<30である)の油、例えば、パーセリン油(オクタン酸セトステアリル)、イソノナン酸イソノニル、ミリスチン酸イソプロピル、パルミチン酸イソプロピル、C
12〜C
15安息香酸アルキル、ラウリン酸ヘキシル、アジピン酸ジイソプロピル、パルミチン酸2-エチルヘキシル、イソステアリン酸イソステアリル;オクタン酸アルコール若しくはポリアルコール、デカン酸エステル若しくはリシノール酸エステル、例えば、ジオクタン酸プロピレングリコール;ヒドロキシル化エステル、例えば、乳酸イソステアリル若しくはヒドロキシステアリン酸オクチル;ポリオールエステル、例えばジオクタン酸プロピレングリコール、ジヘプタン酸ネオペンチルグリコール、又はジイソノナン酸ジエチレングリコール、及び/又は
- 8〜26個の炭素原子を含有する分枝状の及び/又は不飽和の炭素系鎖を有する、室温で液体である脂肪アルコール、例えばオレイルアルコール、リノレイルアルコール、リノレニルアルコール、イソステアリルアルコール又はオクチルドデカノール、例えばCognis社により商標参照名Eutanol G(登録商標)で販売されているもの、及び/又は
- オレイン酸又はリノール酸の脂肪酸、例えばオレイン酸、リノール酸又はリノレン酸、及び/又は
- シリコーン油、例えばポリジメチルシロキサン(PDMS)
- 並びにこれらの混合物。
【0195】
揮発性油
第1の実施形態によれば、本発明の組成物は、少なくとも1種の揮発性油を含んでもよい。
【0196】
本発明の目的では、用語「揮発性油」は、室温及び大気圧(760mmHg)でケラチン物質と接触させると1時間未満の内に蒸発することができる油を意味する。本発明の揮発性有機溶媒及び揮発性油は、室温で液体である揮発性有機溶媒及び化粧用油であり、蒸気圧が、室温及び大気圧で非ゼロであり、特に0.13Pa〜40000Pa(10
-3〜300mmHg)、特定すると1.3Pa〜13000Pa(0.01〜100mmHg)、より特定すると1.3Pa〜1300Pa(0.01〜10mmHg)を範囲とする。
【0197】
これらの油は、炭化水素系油、シリコーン油若しくはフルオロ油、又はこれらの混合物とすることができる。
【0198】
特に、挙げることができる揮発性油には、揮発性炭化水素系油、とりわけ引火点(引火点は、具体的にはISO規格3679に従って測定される)が80℃以下である揮発性炭化水素系油、例えば8〜14個の炭素原子を含有する炭化水素系油であり、具体的には以下のものがある:
- 分枝状C
8〜C
14アルカン、例えば石油起源のC
8〜C
14イソアルカン(イソパラフィンとしても知られる)、例えばイソドデカン(2,2,4,4,6-ペンタメチルヘプタンとしても知られる)、イソデカン、及び例えば商品名Isopar又はPermethylで販売されている油
- 直鎖状のアルカン、例えば、Sasol社によりそれぞれが参照名Parafol 12-97及びParafol 14-97で販売されているn-ドデカン(C12)及びn-テトラデカン(C14)、及び更にそれらの混合物、特許出願WO2008/155059の実施例1及び2において得られるCognis社からのn-ウンデカン(C11)とn-トリデカン(C13)との混合物、並びにそれらの混合物。
【0199】
揮発性溶媒は、8〜14個の炭素原子を含有する揮発性炭化水素系油、及びそれらの混合物から好ましくは選択される。
【0200】
他の揮発性炭化水素系油として、とりわけ引火点が80℃以下である揮発性炭化水素系油として、室温で液体であるケトン、例えばメチルエチルケトン又はアセトン;短鎖エステル(合計で3〜8個の炭素原子を含有する)、例えば酢酸エチル、酢酸メチル、酢酸プロピル又は酢酸n-ブチル;室温で液体であるエーテル、例えばジエチルエーテル、ジメチルエーテル又はジクロロジエチルエーテル;アルコール、特に2〜5個の炭素原子を含有する直鎖状又は分枝状の低級モノアルコール、例えばエタノール、イソプロパノール又はn-プロパノールも挙げることができる。
【0201】
引火点が80℃超の揮発性炭化水素系油として、イソヘキサデカンを挙げることができる。
【0202】
第2の実施形態によれば、本発明の組成物は、揮発性油を含まない。
【0203】
固体の脂肪物質
本発明の組成物はまた、ワックス及びペースト状脂肪物質、又はそれらの混合物から選択される、少なくとも1種の固体の脂肪物質も含んでよい。
【0204】
ワックス
本発明の組成物は、更に、融点が60℃以上、好ましくは65℃以上である少なくとも1種のワックスを好ましくは含む。
【0205】
好ましい一実施形態によれば、本発明の組成物は、融点が60℃以上、好ましくは65℃以上であるワックスの総含量が、組成物の総質量に対して、0.1〜15質量%、更に良好には0.5質量%〜10質量%を範囲とする。
【0206】
好ましい一実施形態によれば、本発明の組成物は、融点が60℃以上、好ましくは65℃以上であるワックスの総含量が、組成物の総質量に対して、1〜10質量%、更に良好には1質量%〜7質量%を範囲とする。
【0207】
本発明の関連で検討される「ワックス」という用語は、室温(25℃)で固体であり、可逆的な固体/液体の状態変化を伴い、融点が30℃以上であり、融点が200℃まで、特定すると120℃までであってもよい、親油性化合物を一般に意味する。
【0208】
本発明の目的では、融点は、ISO規格11357-3、1999年に記載されている熱分析(DSC)において観察された最も高い吸熱ピークの温度に相当する。ワックスの融点は、示差走査熱量計(DSC)、例えばTA Instruments社により名称MDSC 2920で販売されている熱量計を用いて測定することができる。
【0209】
測定プロトコルは、以下の通りである:
るつぼに入れたワックスの試料5mgに、-20℃〜100℃を範囲とする第1の温度上昇を加熱速度10℃/分で施し、次いで、100℃〜-20℃に冷却速度10℃/分で冷却し、最後に、-20℃〜100℃を範囲とする第2の温度上昇を加熱速度5℃/分で施す。第2の温度上昇中に、空のるつぼが吸収する力と、ワックスの試料を含有するるつぼが吸収する力との差の変化を、温度の関数として測定する。化合物の融点は、吸収された力の差の変化を温度の関数として示す曲線のピークの先端に相当する温度値である。
【0210】
本発明の組成物中で使用できるワックスは、動物、植物、鉱物又は合成起源の、室温で固体であるワックス、及びそれらの混合物から選択される。
【0211】
融点が60℃以上であるワックスの例証として、特に、炭化水素系ワックス、例えば、ミツロウ、ラノリンワックス、シナロウ、米ぬかワックス、カルナウバワックス、キャンデリラワックス、オーリクリーワックス、エスパルトグラスワックス、ベリーワックス、シェラックワックス、はぜろう及び木ろう;モンタンワックス、オレンジワックス、レモンワックス、微結晶ワックス、オゾケライト、ポリエチレンワックス、12-ヒドロキシステアリン酸、トリヒドロキシステアリン酸グリセリル、フィッシャー-トロプシュ合成により得られるワックス、及びワックス性コポリマー及びそれらのエステル、並びにそれらの混合物を挙げることができる。
【0212】
直鎖状若しくは分枝状のC
8〜C
32脂肪鎖を含有する動物油又は植物油の触媒水素化によって得られたワックスもまた挙げることができる。これらのワックスの中で、異性化ホホバオイル、例えばDesert Whale社により市販参照名Iso-Jojoba-50(登録商標)で製造又は販売されているトランス異性化部分水添ホホバオイル、水添ヒマワリ油、水添ヒマシ油、水添ココナツオイル、水添ラノリンオイル、及びHeterene社により名称Hest 2T-4S(登録商標)で販売されているビス(1,1,1-トリメチロールプロパン)テトラステアレートを特に挙げることができる。
【0213】
シリコーンワックス(C
30〜45アルキルジメチコン)及びフルオロワックスもまた挙げることができる。
【0214】
セチルアルコールでエステル化されたヒマシ油の水添によって得られるワックス、Sophim社により名称Phytowax ricin 16L64(登録商標)及び22L73(登録商標)で販売されているものもまた使用することができる。こうしたワックスは、特許出願FR-A-2792190に記載されている。
【0215】
使用できるワックスは、C
20〜C
40アルキル(ヒドロキシステアリルオキシ)ステアレート(20〜40個の炭素原子を含有するアルキル基)であり、単独で又は混合物としての使用である。
【0216】
こうしたワックスは、特にKoster Keunen社により名称Kester Wax K82P(登録商標)、Hydorxypolyester K82P(登録商標)及びKester Wax K80P(登録商標)で販売されている。
【0217】
更に使用できるワックスは、直鎖状のヒドロキシル化C18〜C24脂肪酸、例えば特にタイ川研により参照名12-Hydroxystearic Acid Premium Grade 12H-Pで販売されている12-ヒドロキシステアリン酸である。
【0218】
好ましくは、融点が60℃以上である前記ワックスは、カルナウバワックス、オゾケライト、微結晶ワックス、12-ヒドロキシステアリン酸、ポリエチレンワックス(例えばNew Phase Technologies社により名称Performalene 500 L Polyethylene又はPerformalene 400 L Polyethyleneで販売されているもの、又はHoneywell社からのAsensa SC 211)、ポリメチレンワックス(例えばCirebelle社により参照名Cirebelle 108で販売されている製品)、ビーズワックス、キャンデリラワックス、ヒドロキシステアリン酸ヒドロキシオクタコサニル、水添ヒマシ油、水添ホホバオイル、米ぬかワックス、ポリグリセロール化ビーズワックス、ステアリン酸オクタコサニル、セレシンワックス、C
20〜C
40アルキル(ヒドロキシステアリルオキシ)ステアレートワックス、12-ヒドロキシステアリン酸、ポリエチレンアルコールワックス、フィッシャー-トロプシュワックス、セチルアルコールでエステル化されたヒマシ油の水添により得られるワックス、オーリクリーワックス、モンタンワックス、INCI名がトリヒドロキシステアリンであるトリヒドロキシステアリン酸グリセリル(例えばElementis社により名称Thixcin Rで販売されているもの)、並びにそれらの混合物から選択される。
【0219】
好ましくは、融点が60℃以上であるワックスは、カルナウバワックス、オゾケライト、微結晶ワックス、ポリエチレンワックス、ビーズワックス、キャンデリラワックス、水添ホホバオイル、12-ヒドロキシステアリン酸及びトリヒドロキシステアリン酸グリセリル、並びにそれらの混合物から選択される。
【0220】
好ましくは、本発明の組成物は、融点が65℃以上である少なくとも1種のワックスを含み、カルナウバワックス、オゾケライト、微結晶ワックス、12-ヒドロキシステアリン酸、ポリエチレンワックス(例えばNew Phase Technologies社により名称Performalene 500 L Polyethylene又はPerformalene 400 L Polyethyleneで販売されているもの)、キャンデリラワックス、ヒドロキシステアリン酸ヒドロキシオクタコサニル、水添ヒマシ油、水添ホホバオイル、米ぬかワックス、ポリグリセロール化ビーズワックス、ステアリン酸オクタコサニル、セレシンワックス、C
20〜C
40アルキル(ヒドロキシステアリルオキシ)ステアレートワックス、ポリエチレンアルコールワックス、フィッシャー-トロプシュワックス、セチルアルコールでエステル化されたヒマシ油の水添により得られるワックス、オーリクリーワックス、モンタンワックス、INCI名がトリヒドロキシステアリンであるトリヒドロキシステアリン酸グリセリル(例えばElementis社により名称Thixcin Rで販売されているもの)、並びにそれらの混合物から好ましくは選択される。
【0221】
好ましくは、本発明の組成物は、融点が65℃以上である少なくとも1種のワックスを含み、カルナウバワックス、オゾケライト、微結晶ワックス、ポリエチレンワックス、12-ヒドロキシステアリン酸、キャンデリラワックス、水添ホホバオイル及びトリヒドロキシステアリン酸グリセリル、並びにそれらの混合物から選択される。
【0222】
融点が60℃未満のワックス
本発明の組成物はまた、融点が60℃未満である少なくとも1種のワックスも含むことができる。こうしたワックスは、パラフィンワックス、ステアリルアルコール、水添ココグリセリド、合成ビーズワックス(特にEvonik Goldschmidt社により参照名Cyclochem 326 Aで販売されている製品)、パームバター状のもの、スマクワックス、シリコーンビーズワックス、ステアリン酸ステアリル、アルキルジメチコンワックス、特定のポリメチレンワックス(例えばCirebelle社により販売されているCirebelle 303)、ベリーワックス、オリーブワックス及びレモンワックス、並びにそれらの混合物から特に選択することができる。
【0223】
詳細には、第1の実施形態によれば、本発明の組成物は、融点が60℃未満であるワックスの総含量を、組成物の総質量に対して、0.1質量%〜10質量%、更に良好には0.5質量%〜5質量%を範囲として含むことができる。
【0224】
詳細には、第2の実施形態によれば、本発明の組成物は、融点が60℃未満であるワックスを含まなくてもよい。
【0225】
ペースト状脂肪物質
好ましくは、本発明の組成物は、少なくとも1種のペースト状脂肪物質を含む。
【0226】
本発明の目的では、用語「ペースト状脂肪物質」は、可逆的な固体/液体の状態変化を受け、固体状態で異方性の結晶組織を示し、温度23℃で液体画分及び固体画分を含む、親油性脂肪化合物を示すと企図される。
【0227】
換言すれば、ペースト状脂肪物質の出発融点は、23℃未満とすることができる。23℃で測定したペースト状脂肪物質の液体画分は、ペースト状脂肪物質の9質量%〜97質量%を占めることができる。この液体画分は、23℃で、好ましくは15質量%から85質量%の間、より好ましくは40質量%から85質量%の間を占める。
【0228】
本発明の目的では、融点は、ISO規格11357-3、1999年に記載されている通り、熱分析(DSC)において観察された最も高い吸熱ピークの温度に相当する。ペースト状脂肪物質の融点は、示差走査熱量計(DSC)、例えばTA Instruments社により名称MDSC 2920で販売されている熱量計を用いて測定することができる。
【0229】
測定プロトコルは、以下の通りである:
るつぼに入れたペースト状脂肪物質の試料5mgに、-20℃〜100℃を範囲とする第1の温度上昇を加熱速度10℃/分で施し、次いで、100℃〜-20℃に冷却速度10℃/分で冷却し、最後に、-20℃〜100℃を範囲とする第2の温度上昇を加熱速度5℃/分で施す。第2の温度上昇中に、空のるつぼが吸収する力と、ペースト状脂肪物質の試料を含有するるつぼが吸収する力との差の変化を、温度の関数として測定する。ペースト状脂肪物質の融点は、吸収された力の差の変化を温度の関数として表す曲線のピークの頂点に相当する温度値である。
【0230】
23℃でのペースト状脂肪物質の質量による液体画分は、23℃で消費される融解熱の、ペースト状脂肪物質の融解熱に対する比に等しい。
【0231】
ペースト状脂肪物質の融解熱は、固体状態から液体状態へ転移するためにペースト状脂肪物質によって消費される熱である。ペースト状脂肪物質は、その質量の全てが結晶性固体形態であるときに、固体状態であると言われる。ペースト状脂肪物質は、その質量の全てが液体形態であるときに、液体状態であると言われる。
【0232】
ペースト状脂肪物質の融解エンタルピーは、TA Instruments社により名称MDSC 2920で販売されている熱量計等の示差走査熱量計(DSC)を用いて、ISO規格11357-3、1999年に従って、1分当たり5℃又は10℃の温度上昇をして得られたサーモグラムの曲線下面積に等しい。
【0233】
ペースト状脂肪物質の融解熱は、ペースト状脂肪物質を固体状態から液体状態へ変化させるために必要とされるエネルギーの量である。それは、J/gで表される。
【0234】
23℃で消費される融解熱は、固体状態から、23℃で試料が示す、液体画分及び固体画分からなる状態へ変化するために試料が吸収するエネルギーの量である。
【0235】
32℃で測定されるペースト状脂肪物質の液体画分は、ペースト状脂肪物質の30質量%〜100質量%を好ましくは占め、好ましくはペースト状脂肪物質の50質量%〜100質量%、より好ましくは60質量%〜100質量%を占める。32℃で測定されるペースト状脂肪物質の液体画分が100%に等しいとき、ペースト状脂肪物質の融解範囲の終点温度は、32℃以下である。
【0236】
32℃で測定されるペースト状脂肪物質の液体画分は、32℃で消費される融解熱の、ペースト状脂肪物質の融解熱に対する比に等しい。32℃で消費される融解熱は、23℃で消費される融解熱と同じ方法で算出される。
【0237】
ペースト状脂肪物質は、詳細には、合成脂肪物質、及び植物起源の脂肪物質から選択することができる。ペースト状脂肪物質は、植物起源の出発物質からの合成によって得ることができる。
【0238】
ペースト状脂肪物質は、以下から選択することができる:
- ラノリン及びその誘導体
- ワセリン(petroleum jelly)[ワセリン(petrolatum)としても知られる]
- ポリアルキレングリコールペンタエリスリチルエーテル、糖の脂肪アルコールエーテル及びそれらの混合物から選択されるポリオールエーテルで、5つのオキシエチレン(5OE)単位を含むポリエチレングリコールペンタエリスリチルエーテル(CTFA名:PEG-5ペンタエリスリチルエーテル)、5つのオキシプロピレン(5OP)単位を含むプロピレングリコールペンタエリスリチルエーテル(CTFA名:PPG-5ペンタエリスリチルエーテル)及びそれらの混合物、より特にPEG-5ペンタエリスリチルエーテル、Vevy社により名称Lanolideで販売されているPPG-5ペンタエリスリチルエーテルとダイズ油との混合物であり、質量構成比は46/46/8であり、46%のPEG-5ペンタエリスリチルエーテル、46%のPPG-5ペンタエリスリチルエーテル、及び8%のダイズ油である
- ポリマー若しくは非ポリマーのシリコーン化合物
- ポリマー又は非ポリマーのフッ素化化合物
- ビニルポリマー、具体的には:
・オレフィンホモポリマー及びコポリマー
・水素化ジエンホモポリマー及びコポリマー
・好ましくはC
8〜C
30アルキル基を含有する、アルキル(メタ)アクリレートのホモポリマー又はコポリマーである、直鎖状又は分枝状のオリゴマー
・C
8〜C
30アルキル基を含有するビニルエステルのホモポリマー及びコポリマーであるオリゴマー
・C
8〜C
30アルキル基を含有するビニルエーテルのホモポリマー及びコポリマーであるオリゴマー
- 1種又は複数のC
2〜C
100及び好ましくはC
2〜C
50ジオール間のポリエーテル化から得られる脂溶性ポリエーテル
- エステル
- 並びに/又はこれらの混合物。
【0239】
脂溶性ポリエーテルの中で特に検討されるのは、エチレンオキシド及び/又はプロピレンオキシドとC
6〜C
30長鎖アルキレンオキシドとのコポリマーであり、より好ましくは、コポリマー中で、エチレンオキシド及び/又はプロピレンオキシドの、アルキレンオキシドに対する質量比が5:95〜70:30であるものである。このファミリーにおいて、特に、長鎖アルキレンオキシドが、平均分子量1000〜10000を有するブロック状に配列されるようなコポリマー、例えばAkzo Nobel社により商品名Elfacos ST9で販売されているドデカンジオール(22mol)とポリエチレングリコール(45OE)とのエーテル等のポリオキシエチレン/ポリドデシルグリコールブロックコポリマーを挙げることができる。
【0240】
エステルの中で、以下が特に検討される:
- グリセロールオリゴマーのエステル、とりわけジグリセロールエステル、具体的にはアジピン酸とグリセロールとの縮合物であって、グリセロールのヒドロキシル基の一部が、ステアリン酸、カプリン酸及びイソステアリン酸、並びに12-ヒドロキシステアリン酸等の脂肪酸の混合物と反応しているもの、例えばSasol社により参照名Softisan(登録商標)649で販売されているビスジグリセリルポリアシルアジペート-2)
- C
8〜C
30アルキル基を含有するビニルエステルホモポリマー、例えばラウリン酸ポリビニル(特にChimex社により参照名Mexomer PPで販売されている)
- プロピオン酸アラキジル、Alzo社により商品名Waxenol 801で販売されているもの
- フィトステロールエステル
- 脂肪酸トリグリセリド及びそれらの誘導体
- ペンタエリスリトールエステル
- ジオールダイマーと二酸ダイマーとのエステルで、適切な場合に遊離アルコール又は酸官能基において、酸基若しくはアルコール基でエステル化されたもの、特にダイマージリノール酸エステルであり、こうしたエステルは、以下のINCI名であるエステルから特に選択することができる: ダイマージリノール酸ダイマージリノレイルビス(ベヘニル/イソステアリル/フィトステリル)(Plandool G)、ダイマージリノール酸(フィトステリル/イソステアリル/セチル/ステアリル/ベヘニル)(Plandool H又はPlandool S)、及びそれらの混合物
- マンゴーバター状のもの、例えば、AarhusKarlshamn社により参照名Lipex 203で販売されている製品、
- 水添ダイズ油、水添ココナツオイル、水添アブラナ種子油、又は水添植物油の混合物、例えば、ダイズ、ココナツ、パーム及びアブラナの水添植物油混合物、例えばAarhusKarlshamn社により参照名Akogel(登録商標)で販売されている混合物(INCI名:水添植物油)
- シアバター状のもの、特にINCI名がブチロスパーマム・パーキーバター(Butyrospermum Parkii Butter)であるもの、例えばAarhusKarlshamn社により参照名Sheasoft(登録商標)で販売されているもの
- 並びにそれらの混合物。
【0241】
好ましい一実施形態によれば、ペースト状脂肪物質は、エステル、特にジグリセロールエステル、及びそれらの混合物から選択される。
【0242】
ペースト状化合物の中で、ビス-ベヘニル/イソステアリル/ダイマージノレイルフィトステアリル、ビスジグリセリルポリアシルアジペート-2、ダイマージリノール酸水添ヒマシ油、例えば高級アルコール工業株式会社により販売されているRisocast DA-L、及びイソステアリン酸水添ヒマシ油、例えば日清オイリオグループ株式会社により販売されているSalacos HCIS (V-L)、ラウリン酸ポリビニル、マンゴーバター状のもの、シアバター状のもの、水添ダイズ油、水添ココナツオイル、水添菜種油及びビニルピロリドン/エイコセンコポリマー、又はそれらの混合物が、好ましくは選択されることになる。
【0243】
好ましくは、本発明の組成物は、ペースト状脂肪物質の総含量を、組成物の総質量に対して、0.1質量%〜50質量%を範囲とし、特に1質量%〜45質量%を範囲とし、特定すると5質量%〜40質量%を範囲として含む。
【0244】
別の実施形態によれば、組成物は、ペースト状脂肪性物質を含まない。
【0245】
デキストリンエステル
本発明の組成物は、更に、少なくとも1種の、デキストリンの、好ましくはC
12〜C
24及び特にC
14〜C
18脂肪酸エステルを含む。
【0246】
好ましくは、デキストリンエステルは、デキストリンと、C
12〜C
18及び特にC
14〜C
18脂肪酸とのエステルである。
【0247】
好ましくは、デキストリンエステルは、ミリスチン酸デキストリン及び/又はパルミチン酸デキストリン、並びにそれらの混合物から選択される。
【0248】
特定の一実施形態によれば、デキストリンエステルは、ミリスチン酸デキストリンであり、特に千葉製粉株式会社により名称Rheopearl MKL-2で販売されている製品である。
【0249】
好ましい一実施形態によれば、デキストリンエステルは、パルミチン酸デキストリンである。この製品は、例えば千葉製粉株式会社により名称Rheopearl TL(登録商標)及びRheopearl KL(登録商標)で販売されているものから選択することができる。
【0250】
本発明の組成物は、特に好ましくは、デキストリンエステルを、組成物の総質量に対して0.1質量%から10質量%の間、好ましくは0.5質量%から5質量%の間の総質量で含むことができる。
【0251】
本発明の組成物は、特に好ましくは、パルミチン酸デキストリンを、組成物の総質量に対して0.1質量%から10質量%の間、好ましくは0.5質量%から5質量%の間の総質量で含むことができ、特に例えば千葉製粉株式会社により名称Rheopearl TL及びRheopearl KLで販売されている製品がある。
【0252】
スクロースのC
2〜C
6カルボン酸エステル
本発明の組成物はまた、少なくとも1種のスクロースのC
2〜C
6カルボン酸エステルも含んでよい。
【0253】
より詳細には、この、スクロースのC
2〜C
6カルボン酸エステルは、酢酸、イソブチル酸及びスクロースの混合エステルから選択され、例えばEastman Chemical社により名称Sustane SAIB Food Grade Kosher(INCI名:イソ酪酸酢酸スクロース)で販売されている製品などの二酢酸ヘキサキス(2-メチルプロパン酸)スクロースがある。
【0254】
有利には、本発明の組成物は、スクロースのC
2〜C
6カルボン酸エステルを、前記組成物の総質量に対して1質量%〜15質量%、好ましくは3質量%〜10質量%含むことができる。
【0255】
親水性活性剤
好ましくは、本発明の組成物は、好ましくは保湿剤から選択される、少なくとも1種の親水性活性剤を含む。
【0256】
保湿剤
本発明の組成物は、少なくとも1種の保湿剤を含んでもよい。好ましくは、保湿剤は、以下から選択される:好ましくはC
2〜C
8の、より好ましくはC
3〜C
6の、ソルビトール、多価アルコール、好ましくは例えばグリセロール、プロピレングリコール、1,3-ブチレングリコール、ジプロピレングリコール及びジグリセロール、並びにそれらの混合物。
【0257】
特定の一実施形態によれば、保湿剤は、グリセロールである。
【0258】
保湿剤は、好ましくは、脂肪相中に、組成物の総質量に対して0.1質量%から10質量%の間の総含量で存在する。
【0259】
炭化水素系樹脂
好ましくは、本発明の組成物は、少なくとも1種の炭化水素系樹脂を含む。
【0260】
好ましくは、炭化水素系樹脂(粘着化樹脂としても知られる)は、数平均分子量が、10000g/mol以下であり、特に250〜5000g/molを範囲とし、更に良好には2000g/mol以下であり、特に250〜2000g/molを範囲とする。
【0261】
数平均分子量(Mn)は、ゲル透過液体クロマトグラフィー(THF溶媒、直鎖状ポリスチレン標準液によって作成された検量線、屈折率検出器)によって求められる。
【0262】
本発明の組成物の樹脂は、有利には、粘着化樹脂である。こうした樹脂は、特に、Handbook of Pressure Sensitive Adhesive Technology、Donatas Satas編、第3版、1989年、頁に記載されている。
【0263】
好ましくは、炭化水素系樹脂は、それらが含んでいるモノマーのタイプに応じて以下のように分類できる低分子量のポリマーから選択される:
- インデン炭化水素系樹脂、好ましくは例えば、主な比率のインデンモノマーと、少ない比率の、スチレン、メチルインデン及びメチルスチレン並びにそれらの混合物から選択されるモノマーとの重合から誘導される樹脂。これらの樹脂は、任意選択で水素化されてもよい。これらの樹脂は、分子量が、290〜1150g/molを範囲とすることができる。
挙げることができるインデン樹脂の例には、Exxon Chem.社により参照名Escorez 7105で、Neville Chem.社によりNevchem 100及びNevex 100で、Sartomer社によりNorsolene S105で、Hercules社によりPicco 6100で、並びにResinall Corp.社によりResinallで販売されているもの、又はEastman Chemical社により名称「Regalite」で販売されている水素化インデン/メチルスチレン/スチレンコポリマー、具体的にはRegalite R1100、Regalite R1090、Regalite R7100、Regalite R1010 Hydrocarbon Resin及びRegalite R1125 Hydrocarbon Resinがある。
- 脂肪族ペンタジエン樹脂、例えば、1,3-ペンタンジエン(トランス-又はシス-ピペリレン)の主なモノマーと、イソプレン、ブテン、2-メチル-2-ブテン、ペンテン及び1,4-ペンタンジエン、並びにそれらの混合物から選択される少ないモノマーとの重合から誘導されるもの。これらの樹脂は、分子量が、1000〜2500g/molを範囲とすることができる。
こうした1,3-ペンタンジエン樹脂は、例えばEastman Chemical社により参照名Piccotac 95で、Exxon Chemicals社によりEscorez 1304で、Neville Chem.社によりNevtac 100で、又はGoodyear社によりWingtack 95で販売されている。
- ペンタンジエンとインデンとの混合樹脂、これは、上記のもの等のペンタンジエンモノマーとインデンモノマーとの混合物の重合から誘導され、例えばExxon Chemicals社により参照名Escorez 2101で、Neville Chem.社によりNevpene 9500で、Hercules社によりHercotac 1148で、Sartomer社によりNorsolene A 100で、並びにGoodyear社によりWingtack 86、Wingtack Extra及びWingtack Plusで販売されている樹脂
- シクロペンタンジエンダイマーのジエン樹脂、例えば、インデン及びスチレンから選択される第1のモノマーと、ジシクロペンタンジエン、メチルジシクロペンタンジエン及び他のペンタジエンダイマー等のシクロペンタンジエンダイマー、並びにそれらの混合物から選択される第2のモノマーとの重合から誘導されるもの。これらの樹脂は、一般に、分子量が500〜800g/molを範囲とし、例えば、Arizona Chemical Co.社により参照名Betaprene BR 100で、Neville Chem.社によりNeville LX-685-125及びNeville LX-1000で、Hercules社によりPiccodiene 2215で、Lawter社によりPetro-Rez 200で、又はResinall Corp.社によりResinall 760で販売されている
- イソプレンダイマーのジエン樹脂、例えばα-ピネン、β-ピネン及びリモネン、並びにそれらの混合物から選択される少なくとも1種のモノマーの重合から誘導されるテルペン系樹脂。これらの樹脂は、分子量が、300〜2000g/molを範囲とすることができる。こうした樹脂は、Hercules社により名称Piccolyte A115及びS125で、又はArizona Chem.社により名称Zonarez 7100若しくはZonatac 105 Liteで販売されている。
【0264】
更に挙げることができるのは、修飾された特定の樹脂、例えば水素化された樹脂、例えばEastman Chemical Co.社により販売されている名称Eastotac C6-C20 Polyolefin、Exxon Chemicals社により販売されている参照名Escorez 5300、又はNeville Chem.社により販売されている樹脂Nevillac Hard若しくはNevroz、Hercules社により販売されている樹脂Piccofyn A-100、Piccotex 100若しくはPiccovar AP25、又はSchenectady Chemical Co.社により販売されている樹脂SP-553である。
【0265】
好ましい一実施形態によれば、炭化水素系樹脂は、インデン炭化水素系樹脂、脂肪族ペンタジエン樹脂、ペンタンジエンとインデンとの混合樹脂、シクロペンタンジエンダイマーのジエン樹脂、及びイソプレンダイマーのジエン樹脂、又はそれらの混合物から選択される。
【0266】
好ましくは、組成物は、前述した炭化水素系樹脂、特にインデン炭化水素系樹脂、及び脂肪族ペンタジエン樹脂、又はそれらの混合物から選択される少なくとも1種の化合物を含む。好ましい一実施形態によれば、炭化水素系樹脂は、インデン炭化水素系樹脂から選択される。
【0267】
好ましい一実施形態によれば、樹脂は、インデン/メチルスチレン/水素化スチレンコポリマーから選択される。
【0268】
具体的には、インデン/メチルスチレン/水素化スチレンコポリマー、例えば、Eastman Chemical社により名称Regaliteで販売されているもの、例えばRegalite R 1100、Regalite R 1090、Regalite R-7100、Regalite R 1010 Hydrocarbon Resin及びRegalite R 1125 Hydrocarbon Resinが使用できる。
【0269】
好ましくは、炭化水素系樹脂は、本発明の組成物中に、組成物の総質量に対して1質量%〜45質量%を範囲とする、好ましくは3質量%〜30質量%を範囲とする、より優先的には5質量%〜25質量%を範囲とする含量で存在する。
【0270】
好ましくは、炭化水素系樹脂は、本発明の組成物中に、組成物の総質量に対して5質量%〜25質量%を範囲とする、より優先的には8質量%〜20質量%を範囲とする含量で存在する。
【0271】
炭化水素系ブロックコポリマー
好ましくは、本発明の組成物は、炭化水素系ブロックコポリマーを含んでもよく、好ましくは先に定義した、液体脂肪相に溶解性又は分散性であるブロックコポリマーとしても知られるものを含んでもよい。
【0272】
こうした化合物は、組成物の有機相を増粘化する又はゲル化することが可能である。好ましくは、炭化水素系ブロックコポリマーは、非晶質コポリマーであり、これは、結晶形態をもたないポリマーを意味する。こうした化合物は、皮膜特性の性質を有し、即ちそれは、皮膚へ適用されるときに皮膜を形成することが可能である。
【0273】
好ましくは、炭化水素系ブロックコポリマーは、少なくとも1種のスチレンモノマーから得られる。
【0274】
炭化水素系ブロックコポリマーは、特に、ジブロック、トリブロック、マルチブロック、放射状若しくは星型のコポリマー、又はそれらの混合形とすることができる。
【0275】
こうした炭化水素系ブロックコポリマーは、米国特許第A-2002/005562号及び米国特許第A-5221534号に記載されている。
【0276】
該コポリマーは、そのガラス転移温度が好ましくは20℃未満、好ましくは0℃以下、好ましくは-20℃以下、より好ましくは-40℃以下である、少なくとも1つのブロックを含有することができる。前記ブロックのガラス転移温度は、-150℃から20℃の間、特に-100℃から0℃の間とすることができる。
【0277】
本発明の組成物中に存在する炭化水素系ブロックコポリマーは、オレフィンの重合により形成された非晶質コポリマーである。オレフィンは、特に、エラストマーのエチレン性不飽和モノマーであってもよい。
【0278】
挙げることができるオレフィンの例には、特に、1つ又は2つのエチレン性不飽和を含有し、2〜5個の炭素原子を含有するエチレン性カーバイドモノマーがあり、例えばエチレン、プロピレン、ブタジエン、イソプレン又はペンタジエンである。
【0279】
有利には、炭化水素系ブロックコポリマーは、スチレン及びオレフィンの、非晶質ブロックコポリマーである。
【0280】
少なくとも1つのスチレンブロック、並びにブタジエン、エチレン、プロピレン、ブチレン及びイソプレン又はそれらの混合物から選択される単位を含んだ少なくとも1つのブロックを含むブロックコポリマーが、特に好ましい。
【0281】
好ましい一実施形態によれば、炭化水素系ブロックコポリマーは、モノマーの重合後に残っているエチレン性不飽和を減らすために水素化される。
【0282】
詳細には、炭化水素系ブロックコポリマーは、任意選択で水素化された、スチレンブロック及びエチレン/C3〜C4アルキレンブロックを含有するコポリマーである。
【0283】
好ましい一実施形態によれば、本発明の組成物は、好ましくは水素化された、スチレン-エチレン/プロピレンコポリマー、スチレン-エチレン/ブタジエンコポリマー、及びスチレン-エチレン/ブチレンコポリマーから好ましくは選択される、少なくとも1種のジブロックコポリマーを含む。ジブロックポリマーは、特にKraton Polymers社により名称Kraton(登録商標)G1701Eで販売されている。
【0284】
別の好ましい実施形態によれば、本発明の組成物は、好ましくは水素化された、スチレン-エチレン/プロピレン-スチレンコポリマー、スチレン-エチレン/ブタジエン-スチレンコポリマー、スチレン-イソプレン-スチレンコポリマー、及びスチレン-ブタジエン-スチレンコポリマーから好ましくは選択される少なくとも1種のトリブロックコポリマーを含む。トリブロックポリマーは、特にKraton Polymers社により名称Kraton(登録商標)G1650、Kraton(登録商標)G1652、Kraton(登録商標)D1101、Kraton(登録商標)D1102及びKraton(登録商標)D1160で販売されている。
【0285】
本発明の一実施形態によれば、炭化水素系ブロックコポリマーは、スチレン-エチレン/ブチレン-スチレントリブロックコポリマーである。
【0286】
本発明の好ましい一実施形態によれば、スチレン-ブチレン/エチレン-スチレントリブロックコポリマーと、スチレン-エチレン/ブチレンジブロックコポリマーとの混合物、特にKraton Polymers社により名称Kraton(登録商標)G1657Mで販売されている製品を使用することが特に可能である。
【0287】
好ましい別の実施形態によれば、本発明の組成物は、スチレン-ブチレン/エチレン-スチレン水素化トリブロックコポリマーと、エチレン-プロピレン-スチレン水素化星型ポリマーとの混合物を含み、こうした混合物は、おそらくは特にイソデカンの中に、又は別の油の中にある。こうした混合物は、例えばPenreco社により商品名Versagel(登録商標)M5960及びVersagel(登録商標)M5670で販売されている。
【0288】
有利には、前述のもの等のジブロックコポリマーは、ポリマー性ゲル化剤として使用され、具体的には、前述したように、スチレン-エチレン/プロピレンジブロックコポリマー、又はジブロックコポリマーとトリブロックコポリマーとの混合物である。
【0289】
炭化水素系ブロックコポリマー(又は炭化水素系ブロックコポリマーの混合物)は、組成物の総質量に対して0.1質量%〜15質量%を範囲とする、好ましくは0.5質量%〜10質量%を範囲とする含量で存在することができる。
【0290】
好ましくは、組成物が液体形態にあるとき、炭化水素系ブロックコポリマーは、本発明の組成物中に、組成物の総質量に対して3質量%〜15質量%を範囲とする、より優先的には5質量%〜10質量%を範囲とする含量で存在する。
【0291】
好ましくは、炭化水素系樹脂の、炭化水素系ブロックコポリマーに対する質量比は、1から10の間である。
【0292】
より好ましくは、炭化水素系樹脂の、炭化水素系ブロックコポリマーに対する質量比は、1から8の間である。
【0293】
より好ましくは、組成物が液体形態にあるとき、炭化水素系樹脂の、炭化水素系ブロックコポリマーに対する質量比は、1から5の間、好ましくは1から3の間である。
【0294】
より好ましくは、組成物が固体形態にあるとき、炭化水素系樹脂の、炭化水素系ブロックコポリマーに対する質量比は、2から8の間、好ましくは3から5の間である。
【0295】
エチレン性ブロックコポリマー
一実施形態によれば、本発明の組成物は、少なくとも1種のエチレン性ブロックコポリマー(エチレン性ブロックポリマーとしても知られる)を含んでもよく、これは、ガラス転移温度(Tg)が40℃以上であって、これらのモノマーから調製されたホモポリマーのガラス転移温度が40℃以上であるように1種又は複数の第1のモノマーから全体的に又は部分的に誘導された少なくとも第1のブロックと、ガラス転移温度が20℃以下であって、これらのモノマーから調製されたホモポリマーのガラス転移温度が20℃以下であるように1種又は複数の第2のモノマーから全体的に又は部分的に誘導された少なくとも第2のブロックとを含有し、前記第1のブロックと前記第2のブロックとは、第1のブロックの前記第1の成分モノマーのうちの少なくとも1種と、第2のブロックの前記第2の成分モノマーのうちの少なくとも1種とを含む統計的中間セグメントを介して一緒に結合されており、且つ前記ブロックコポリマーは、多分散度指数Iが、2超である。
【0296】
したがって、本発明で使用されるブロックポリマーは、少なくとも第1のブロック及び少なくとも第2のブロックを含む。
【0297】
用語「少なくとも1つのブロック」は、1つ又は複数のブロックを意味する。
【0298】
用語「ブロックポリマー」は、少なくとも2つの異なるブロック、好ましくは少なくとも3つの異なるブロックを含むポリマーを意味する。
【0299】
用語「エチレン性」ポリマーは、エチレン性不飽和モノマーの重合によって得られるポリマーを意味する。
【0300】
本発明で使用されるエチレン性ブロックポリマーは、単官能モノマーから排他的に調製される。
【0301】
このことは、本発明で使用されるエチレン性ブロックポリマーが、多官能モノマーを一切含有しないことを意味し、このことで、多官能モノマーの含量の作用として、分枝状のポリマー又は架橋さえされたポリマーを得るためにポリマーの直鎖性を壊すことが可能になる。本発明で使用されるポリマーはまた、グラフト化ポリマーの調製で使用されるマクロモノマー[用語「マクロモノマー」は、ポリマーの性質のペンダント基を含有して好ましくは分子量が500g/mol超である単官能モノマーを意味し、又は代わりにその末端のうちの1つのみの上に重合性(若しくはエチレン性不飽和)末端基を含むポリマーを意味する]を一切含有しない。
【0302】
本明細書の上記及び以下の文章において、用語「第1の」及び「第2の」ブロックは、ポリマーの構造中で、いかなる方法においても、前記ブロックの順序を決定づけるものではないことが指摘される。
【0303】
本発明中で使用されるポリマーの第1のブロックと第2のブロックとは、有利には、互いに不適合とすることができる。
【0304】
用語「互いに不適合なブロック」は、第1のブロックに相当するポリマーと、第2のブロックに相当するポリマーとから形成された混合物が、室温(25℃)及び大気圧(10
5Pa)で、ブロックポリマーが主な質量である重合溶媒(前記ポリマーの混合物の含量が、前記ポリマーと前記重合溶媒との混合物の総質量に対して5質量%以上であるもの)に混和性がないことを意味し、以下であることが理解される:
i)前記ポリマーは、混合物中に、それぞれの質量比が10/90〜90/10を範囲とするような含量で存在する
ii)第1のブロックと第2のブロックとに相当する各ポリマーは、平均(質量平均又は数平均)分子量が、ブロックポリマーの分子量±15%に等しい
【0305】
重合溶媒の混合物の事例では、且つ2種以上の溶媒が同一の質量比で存在する場合には、前記ポリマー混合物は、それらのうちの少なくとも1種に非混和性である。
【0306】
言うまでもなく、単一の溶媒中で実施される重合の場合、この溶媒は、主要な量を占める溶媒である。
【0307】
本発明のブロックポリマーは、少なくとも第1のブロックと、少なくとも第2のブロックとを含み、これらは、第1のブロックの少なくとも1種の成分モノマーと、第2のブロックの少なくとも1種の成分モノマーとを含む中間セグメントを介して一緒に結合される。中間セグメント(中間ブロックとしても知られる)は、ガラス転移温度Tgが、第1のブロックのガラス転移温度と、第2のブロックのガラス転移温度との間である。
【0308】
中間セグメントは、ポリマーの、第1のブロックの少なくとも1種の成分モノマーと、第2のブロックの少なくとも1種の成分モノマーとを含んで、これらのブロックが「適合化されている」ことを可能にするブロックである。
【0309】
有利には、ポリマーの、第1のブロックの少なくとも1種の成分モノマーと、第2のブロックの少なくとも1種の成分モノマーとを含む中間セグメントは、統計ポリマーである。
【0310】
好ましくは、中間ブロックは、第1のブロックの成分モノマーと、第2のブロックの成分モノマーとから本質的に誘導される。
【0311】
用語「本質的に」は、少なくとも85%、好ましくは少なくとも90%、更に良好には95%、更により良好には100%を意味する。
【0312】
本発明のブロックポリマーは、有利には、皮膜形成性エチレン性ブロックポリマーである。
【0313】
用語「エチレン性」ポリマーは、エチレン性不飽和モノマーの重合によって得られるポリマーを意味する。
【0314】
用語「皮膜形成性ポリマー」は、それ自体で又は補助的な皮膜形成剤の存在下で、支持体上に、特にケラチン物質上に、連続的な堆積物を形成することができるポリマーを意味する。
【0315】
優先的には、本発明のポリマーは、その主鎖(backbone)中にケイ素原子を一切含まない。用語「主鎖(backbone)」は、ペンダント側鎖とは逆の、ポリマーの主鎖(main chain)を意味する。
【0316】
好ましくは、本発明のポリマーは、水溶解性ではなく、即ちポリマーは、水に、又は水と直鎖状若しくは分枝状の低級モノアルコール[2〜5個の炭素原子を含有し、例えば、pHを調整していない、エタノール、イソプロパノール又はn-プロパノールであり、活性物質含量が室温(25℃)で少なくとも1質量%である]との混合物に、溶解しない。
【0317】
好ましくは、本発明のポリマーは、エラストマーではない。
【0318】
用語「非エラストマー性ポリマー」は、それを拡張する(例えばその初期長に対して30%増)ことを企図して応力をかけたときに、その応力が終了してもそれが初期長と実質上同一な長さに戻らないポリマーを意味する。
【0319】
より具体的には、用語「非エラストマー性ポリマー」は、30%の伸びにかけた後に、瞬間回復率R
i<50%であり、遅延回復率R
2h<70%であるポリマーを示す。好ましくは、R
iは<30%であり、R
2hは<50%である。
【0320】
より具体的には、ポリマーの非エラストマーの性質は、以下のプロトコルに従って求められる:
ポリマーの溶液を、テフロン(登録商標)で被覆した鋳型へ注ぐ工程と、次いで23±5℃及び相対湿度50±10%に条件付けた環境で7日間乾燥させる工程とによって、ポリマー皮膜を調製する。
約100μm厚さの皮膜をこうして得て、そこから、幅15mmで長さ80mmの長方形の試験体を(例えばパンチを用いて)切り取る。
このサンプルを、参照名Zwickで販売されている機械を用いて、乾燥のときと同じ温度及び湿度の条件下で、引張応力にかける。
試験体を、速度50mm/分、クリップ(jaw)間の距離50mmで引っ張り、これは、試験体の初期長(I
0)に相当する。
【0321】
瞬間回復率R
iは、以下の様式で求められる:
- 試験体を30%(ε
max)まで、即ち初期長(I
0)の0.3倍まで引っ張る
- 引張速度に等しい戻し速度、即ち50mm/分をかけて応力を解放し、ゼロ負荷(εi)まで戻した後に、試験体の残留伸びを百分率で求める。
【0322】
百分率による瞬間回復率(R
i)は、次式により得られる:
R
i=(ε
max-ε
i)/ε
max)×100
【0323】
遅延回復率を求めるために、百分率による2時間後の試験体の残留伸び(ε
2h)を測定する(ゼロ応力負荷まで戻してから2時間後に)。
【0324】
百分率による遅延回復率(R
2h)は、次式により得られる:
R
2h=(ε
max-ε
2h)/ε
max)×100
【0325】
純粋に目安として、本発明の一実施形態によるポリマーは、瞬間回復率R
iが10%であり、遅延回復率R
2hが30%である。
【0326】
本発明のポリマーの多分散度指数は、2超である。
【0327】
有利には、本発明の組成物中で使用されるブロックポリマーは、多分散度指数Iが、2超であり、例えば2〜9を範囲とし、好ましくは2.5以上であり、例えば2.5〜8を範囲とし、更に良好には2.8以上であり、特に2.8〜6を範囲とする。
【0328】
ポリマーの多分散度指数Iは、質量平均分子量Mwの、数平均分子量Mnに対する比に等しい。
【0329】
質量平均モル質量(Mw)及び数平均モル質量(Mn)は、ゲル透過液体クロマトグラフィー(THF溶媒、直鎖状ポリスチレン標準液によって作成された検量線、屈折率検出器)によって求める。
【0330】
本発明のポリマーの質量平均分子量(Mw)は、好ましくは300000g/mol以下であり、それは例えば35000〜200000g/mol、更に良好には45000〜150000g/molを範囲とする。
【0331】
本発明のポリマーの数平均分子量(Mn)は、好ましくは70000g/mol以下であり、それは例えば10000〜60000g/mol、更に良好には12000〜50000g/molを範囲とする。
【0332】
好ましくは、本発明のポリマーの多分散度指数は、有利には2超であり、例えば2〜9を範囲とし、好ましくは2.5以上であり、例えば2.5〜8を範囲とし、更に良好には2.8以上であり、特に2.8〜6を範囲とする。
【0333】
Tgが40℃以上である第1のブロック
Tgが40℃以上であるブロックは、例えば、Tgが、40℃〜150℃を範囲とし、好ましくは50℃以上であり、例えば50℃〜120℃を範囲とし、更に良好には60℃以上であり、例えば60℃〜120℃を範囲とする。
【0334】
第1のブロック及び第2のブロックについて示されるガラス転移温度は、各ブロックの成分モノマーのTg理論値から求められるTg理論値とすることができ、これは、Polymer Handbook、第3版、1989年、John Wiley等の参照マニュアルに見出すことができ、Foxの法則として知られる関係式:
【0336】
に従い、
ω
iは、検討中のブロックにおけるモノマーiの質量分率であり、Tg
iは、モノマーiのホモポリマーのガラス転移温度である。
【0337】
逆の指定がない限り、本特許出願において第1のブロック及び第2のブロックについて示されるTg値は、Tg理論値である。
【0338】
第1のブロックのガラス転移温度と第2のブロックのガラス転移温度との差は、一般に10℃超、好ましくは20℃超、更に良好には30℃超である。
【0339】
本発明において、表現「・・・と・・・の間」は、挙げられた上下値が排除された値の範囲を示すと企図され、表現「・・・〜・・・」及び「・・・〜・・・を範囲とする」は、上下値が包含された値の範囲を示すと企図される。
【0340】
Tgが40℃以上であるブロックは、ホモポリマー又はコポリマーとすることができる。
【0341】
Tgが40℃以上であるブロックは、これらのモノマーから調製されたホモポリマーがガラス転移温度40℃以上であるような、1つ又は複数のモノマーから全体的に又は部分的に誘導されうる。このブロックはまた、「剛性ブロック」とも称される。
【0342】
このブロックがホモポリマーである場合では、それは、これらのモノマーから調製されたホモポリマーがガラス転移温度40℃以上であるようなモノマーから誘導される。この第1のブロックは、1つのタイプのみのモノマーから成るホモポリマーであってもよい(それに相当するホモポリマーのTgは、40℃以上である)。
【0343】
第1のブロックがコポリマーである場合では、それは全体的又は部分的に1つ又は複数のモノマーから誘導されてもよく、その性質及び濃度は、誘導されたコポリマーのTgが40℃以上であるように選択される。該コポリマーは、例えば以下を含むことができる:
- これらのモノマーから調製されたホモポリマーが、Tg値が40℃以上であり、例えばTgが40℃〜150℃を範囲とし、好ましくは50℃以上であり、例えば50℃〜120℃を範囲とし、更に良好には60℃以上であり、例えば60℃〜120℃を範囲とするようなモノマー、及び
- 後述するように、これらのモノマーから調製されたホモポリマーが、Tg値が40℃未満であって、Tgが20℃から40℃の間であるモノマー及び/又はTgが20℃以下であるモノマー、例えばTgが-100℃〜20℃を範囲とし、好ましくは15℃未満であり、特に-80℃〜15℃を範囲とし、更に良好には10℃未満であり、例えば-50℃〜0℃を範囲とするモノマーから選択されるモノマー。
【0344】
そのホモポリマーがガラス転移温度40℃以上である第1のモノマーは、好ましくは、主なモノマーとしても知られる以下のモノマーから選択される:
- 式CH
2=C(CH
3)-COOR
1のメタクリレート
(式中、R
1は、1〜4個の炭素原子を含有する直鎖状又は分枝状の非置換アルキル基、例えば、メチル、エチル、プロピル又はイソブチル基を表し、又はR
1は、C
4〜C
12シクロアルキル基、好ましくはC
8〜C
12シクロアルキル、例えばメタクリル酸イソボルニルを表す)
- 式CH
2=CH-COOR
2のアクリレート
(式中、R
2は、C
4〜C
12シクロアルキル基、例えばイソボルニル基又はtert-ブチル基を表す)
- 次式の(メタ)アクリルアミド:
【0346】
(式中、R
7及びR
8は、同一であっても異なっていてもよく、それぞれが水素原子、又は直鎖状若しくは分枝状のC
1〜C
12アルキル基、例えばn-ブチル、t-ブチル、イソプロピル、イソヘキシル、イソオクチル若しくはイソノニル基を表し、又はR
7はHを表し、且つR
8は1,1-ジメチル-3-オキソブチル基を表し、且つ
- R'は、H又はメチルを示す)。挙げることができるモノマーの例には、N-ブチルアクリルアミド、N-tert-ブチルアクリルアミド、N-イソプロピルアクリルアミド、N,N-ジメチルアクリルアミド及びN,N-ジブチルアクリルアミドがある
- 並びにそれらの混合物。
【0347】
第1のブロックは、有利には、少なくとも1種の式CH
2=CH-COOR
2のアクリレートモノマーから、且つ少なくとも1種の式CH
2=C(CH
3)-COOR
2のメタクリレートモノマーから得られ、式中、R
2は、C
4〜C
12シクロアルキル基、好ましくはC
8〜C
12シクロアルキル、例えばイソボルニルを表す。モノマー及びそれらの比率は、好ましくは、第1のブロックのガラス転移温度が40℃以上であるように選択される。
【0348】
一実施形態によれば、第1のブロックは、以下から得られる:
i)少なくとも1種の、式CH
2=CH-COOR
2(式中、R
2は、C
4〜C
12シクロアルキル基、好ましくはC
8〜C
12シクロアルキル基、例えばイソボルニルを表す)のアクリレートモノマー
ii)及び少なくとも1種の、式CH
2=C(CH
3)-COOR'
2(式中、R'
2は、C
4〜C
12シクロアルキル基、好ましくはC
8〜C
12シクロアルキル基、例えばイソボルニルを表す)のメタクリレートモノマー。
【0349】
一実施形態によれば、第1のブロックは、少なくとも1種の式CH
2=CH-COOR
2(式中、R
2は、C
8〜C
12シクロアルキル基、例えばイソボルニルを表す)のアクリレートモノマーから、且つ少なくとも1種の式CH
2=C(CH
3)-COOR'
2(式中、R'
2は、C
8〜C
12シクロアルキル基、例えばイソボルニルを表す)のメタクリレートモノマーから得られる。
【0350】
好ましくは、R
2及びR'
2は、それぞれ独立に又は同時に、イソボルニル基を表す。
【0351】
好ましくは、ブロックコポリマーは、メタクリル酸/アクリル酸イソボルニルを50質量%〜80質量%、アクリル酸イソブチルを10質量%〜30質量%、及びアクリル酸を2質量%〜10質量%含む。
【0352】
第1のブロックは、前記アクリレートモノマーから、及び前記メタクリレートモノマーから排他的に得ることができる。
【0353】
アクリレートモノマー及びメタクリレートモノマーは、好ましくは、質量比率が、30/70から70/30の間、好ましくは40/60から60/40の間、特に約50/50のオーダーである。
【0354】
第1のブロックの比率は、有利には、ポリマーの、20質量%〜90質量%、更に良好には30質量%〜80質量%、更により良好には60質量%〜80質量%を範囲とする。
【0355】
一実施形態によれば、第1のブロックは、メタクリル酸イソブニルとアクリル酸イソボルニルとの重合によって得られる。
【0356】
ガラス転移温度が20℃未満である第2のブロック
第2のブロックは、有利には、ガラス転移温度Tgが20℃以下であり、例えばTgが、-100℃〜20℃を範囲とし、好ましくは15℃以下であり、特に-80℃〜15℃を範囲とし、更に良好には10℃以下であり、例えば-100℃〜10℃を範囲とし、特に-30℃〜10℃を範囲とする。
【0357】
第2のブロックは、これらのモノマーから調製されたホモポリマーが、ガラス転移温度が20℃以下であるように、全体的又は部分的に1種又は複数の第2のモノマーから誘導される。
【0358】
このブロックはまた、「フレキシブルブロック」とも称することができる。
【0359】
Tgが20℃以下であるモノマー(第2のモノマーとして知られる)は、以下のモノマーから好ましくは選択される:
- 式CH
2=CH-COOR
3のアクリレート
(R
3は、直鎖状又は分枝状のC
1〜C
12非置換アルキル基を表し、但しtert-ブチル基は例外であり、式中、O、N及びSから選択される1個又は複数のヘテロ原子は任意選択でインターカレートされる)、
- 式CH
2=C(CH
3)-COOR
4のメタクリレート
(R
4は、直鎖状又は分枝状のC
6〜C
12非置換アルキル基を表し、式中、O、N及びSから選択される1個又は複数のヘテロ原子は任意選択でインターカレートされる)、
- 式R
5-CO-O-CH=CH
2のビニルエステル
(式中、R
5は、直鎖状又は分枝状のC
4〜C
12アルキル基を表す)
- ビニルアルコールとC
4〜C
12アルコールとのエーテル
- N-(C
4〜C
12)アルキルアクリルアミド、例えばN-オクチルアクリルアミド
- 並びにそれらの混合物。
【0360】
Tgが20℃以下である好ましいモノマーは、アクリル酸イソブチル、アクリル酸2-エチルヘキシル、又は全ての比率でのそれらの混合物である。
【0361】
第1及び第2のブロックのそれぞれは、少なくとも1種の他のブロックの成分モノマーを、低率で含有してもよい。
【0362】
したがって、第1のブロックは、第2のブロックの少なくとも1種の成分モノマーを含有することができ、逆もまた然りである。
【0363】
第1及び/又は第2のブロックのそれぞれは、上に示したモノマーに加えて、上記の主なモノマーとは異なる、追加のモノマーとして知られる1種又は複数の他のモノマーを含むことができる。
【0364】
この追加のモノマーの性質及び量は、そこにそれらが存在するブロックが、所望のガラス転移温度を有するように選択される。
【0365】
追加のモノマーは、例えば以下から選択される:
- 少なくとも1つの第三級アミン官能基を含むエチレン性不飽和モノマー、例えば、2-ビニルピリジン、4-ビニルピリジン、メタクリル酸ジメチルアミノエチル、メタクリル酸ジエチルアミノエチル及びジメチルアミノプロピルメタクリルアミド、並びにそれらの塩
- 式CH
2=C(CH
3)-COOR
6のメタクリレート
[式中、R
6は、1〜4個の炭素原子を含有する直鎖状又は分枝状のアルキル基、例えばメチル、エチル、プロピル又はイソブチル基を表し、前記アルキル基は、ヒドロキシル基(例えばメタクリル酸2-ヒドロキシプロピル及びメタクリル酸2-ヒドロキシエチル)及びハロゲン原子(Cl、Br、I又はF)から選択される1つ又は複数の置換基で置換され、例えばメタクリル酸トリフルオロエチルである]
- 式CH
2=C(CH
3)-COOR
9のメタクリレート
[R
9は、直鎖状又は分枝状のC
6〜C
12アルキル基を表し、そこでO、N及びSから選択される1個又は複数のヘテロ原子は任意選択でインターカレートされ、前記アルキル基は、ヒドロキシル基及びハロゲン原子(Cl、Br、I又はF)から選択される1つ又は複数の置換基で置換される]
- 式CH
2=CHCOOR
10のアクリレート
[R
10は、ヒドロキシル基及びハロゲン原子(Cl、Br、I及びF)から選択される1つ又は複数の置換基で置換された直鎖状又は分枝状のC
1〜C
12アルキル基、例えばアクリル酸2-ヒドロキシプロピル及びアクリル酸2-ヒドロキシエチルを表し、又はR
10は、オキシエチレン単位5〜10回の繰り返しを伴うC
1〜C
12アルキル-O-POE(ポリオキシエチレン)、例えばメトキシ-POEを表し、又はR
10は、5〜10のエチレンオキシド単位を含むポリオキシエチレン化された基を表す]。
【0366】
詳細には、第1のブロックは、追加のモノマーとして以下を含むことができる:
- (メタ)アクリル酸、好ましくはアクリル酸
- アクリル酸tert-ブチル
- 式CH
2=C(CH
3)-COOR
1のメタクリレート
(式中、R
1は、1〜4個の炭素原子を含有する、直鎖状又は分枝状の非置換アルキル基、例えば、メチル、エチル、プロピル、又はイソブチル基を表す)
- 次式の(メタ)アクリルアミド
【0368】
(式中、R
7及びR
8は、同一であっても異なっていてもよく、それぞれが、水素原子、又は、n-ブチル、t-ブチル、イソプロピル、イソヘキシル、イソオクチル又はイソノニル基等の直鎖状若しくは分枝状のC
1〜C
12アルキル基を表し、又はR
7はHを表し、R
8は1,1-ジメチル-3-オキソブチル基を表し、
且つ
R'は、H又はメチルを示す)。挙げることができるモノマーの例には、N-ブチルアクリルアミド、N-tert-ブチルアクリルアミド、N-イソプロピルアクリルアミド、N,N-ジメチルアクリルアミド及びN,N-ジブチルアクリルアミドがある
- 並びにそれらの混合物。
【0369】
追加のモノマーは、ポリマーの質量に対して、0.5質量%〜30質量%を占めることができる。一実施形態によれば、本発明のポリマーは、追加のモノマーを一切含有しない。
【0370】
好ましくは、本発明のポリマーは、第1のブロック中に、少なくともアクリル酸イソボルニル及びメタクリル酸イソボルニルモノマーを含み、且つ第2のブロック中に、アクリル酸イソブチル及びアクリル酸モノマーを含む。
【0371】
好ましくは、該ポリマーは、第1のブロック中に、等しい質量比率で少なくともアクリル酸イソボルニル及びメタクリル酸イソボルニルモノマーを含み、且つ第2のブロック中に、アクリル酸イソブチル及びアクリル酸モノマーを含む。
【0372】
好ましくは、該ポリマーは、第1のブロック中に、等しい質量比率で少なくともアクリル酸イソボルニルとメタクリル酸イソボルニルモノマーとを含み、且つ第2のブロック中に、アクリル酸イソブチル及びアクリル酸モノマーとを含み、第1のブロックがポリマーの70質量%を占める。
【0373】
好ましくは、該ポリマーは、第1のブロック中に、等しい質量比率で少なくともアクリル酸イソボルニル及びメタクリル酸イソボルニルモノマーを含み、且つ第2のブロック中に、アクリル酸イソブチル及びアクリル酸モノマーを含む。好ましくは、Tgが40℃超であるブロックは、ポリマーの70質量%を占め、アクリル酸は、ポリマーの5質量%を占める。
【0374】
一実施形態によれば、第1のブロックは、追加のモノマーを一切含まない。
【0375】
好ましい一実施形態によれば、第2のブロックは、追加のモノマーとして、アクリル酸を含む。詳細には、第2のブロックは、アクリル酸モノマーから、且つTgが20℃以下である少なくとも1種の他のモノマーから有利には得られる。
【0376】
好ましい一実施形態によれば、本発明の組成物は、少なくとも1種の式CH
2=CH-COOR
2(式中、R
2は、C
8〜C
12シクロアルキル基を表す)のアクリレートモノマー、及び/又は少なくとも1種の式CH
2=C(CH
3)-COOR'
2(式中、R'
2は、C
8〜C
12シクロアルキル基を表す)のメタクリレートモノマー、少なくとも1種の式CH
2=CHCOOR
3(式中、R
3は、非置換の、直鎖状又は分枝状のC
1〜C
12アルキル基を表すが、tert-ブチル基は例外である)の第2のアクリレートモノマー、並びに少なくとも1種のアクリル酸モノマーを含む、少なくとも1種のコポリマーを含む。
【0377】
好ましくは、本発明の組成物中で使用されるコポリマーは、少なくとも1種のメタクリル酸イソボルニルモノマー、少なくとも1種のアクリル酸イソボルニルモノマー、少なくとも1種のアクリル酸イソブチルモノマー、及び少なくとも1種のアクリル酸モノマーから得られる。
【0378】
有利には、本発明中のコポリマーは、メタクリル酸/アクリル酸イソボルニル混合物を50質量%〜80質量%、アクリル酸イソブチルを10質量%〜30質量%、及びアクリル酸を2質量%〜10質量%含む。
【0379】
ブロックコポリマーは、有利には、アクリル酸モノマーを、前記コポリマーの総質量に対して2質量%超含むことができ、特に、アクリル酸モノマーを2質量%〜15質量%、例えば3質量%〜15質量%、特に4質量%〜15質量%、又は更に4質量%〜10質量%含むことができる。
【0380】
第2のブロックの成分モノマー及びその比率は、第2のブロックのガラス転移温度が20℃以下であるように選択される。
【0381】
中間セグメント
中間セグメント(中間ブロックとしても知られる)は、本発明で使用されるポリマーの、第1のブロックと第2のブロックとを結合する。中間セグメントは、以下の重合から得られる:
i)第1のモノマー、及び任意選択で追加のモノマー(第1のブロックを形成するのに最大転換度90%で重合した後に利用可能で残っている)と、
ii)第2のモノマー、及び任意選択で、反応混合物へ添加される追加のモノマー。
【0382】
第2のブロックの形成は、第1のモノマーがそれ以上反応しない、又はそれらが全て消費されたために若しくはそれらの反応性がそれ以上そうさせないために、もはやポリマー鎖中へ組み込まれないときに始まる。
【0383】
したがって、中間セグメントは、利用可能な第1のモノマーを含み、それは、ポリマー合成の間の第2のモノマーの導入の間に、これらの第1のモノマーが90%以下の転換度であることから得られる。
【0384】
ブロックポリマーの中間セグメントは、統計ポリマー(統計ブロックとも称することができる)である。このことは、それが、第1のモノマーと第2のモノマーと更に存在してもよい追加のモノマーとの統計的分布を成すことを意味する。
【0385】
したがって、中間セグメントは、第1のブロック及び第2のブロックがホモポリマーではない場合(即ちそれらが双方とも少なくとも2種の異なるモノマーから形成されている場合)、それらがそうであるように、統計ブロックである。
【0386】
コポリマーを調製する方法
本発明のエチレン性ブロックコポリマーは、フリーラジカル重合によって調製され、このタイプの重合で周知である技術に従って調製される。
【0387】
フリーラジカル重合は、開始剤の存在下で実施され、開始剤の性質は、既知の様式において、所望の重合温度及び重合溶媒の機能として適合される。詳細には、開始剤は、ペルオキシド官能性、酸化還元対、又は当業者に既知の他のラジカル重合開始剤を保持している開始剤から選択することができる。
【0388】
具体的には、ペルオキシド官能性を保持している開始剤の例として以下を挙げることができる:
a. ペルオキシエステル、例えば過酢酸tert-ブチル、過安息香酸tert-ブチル、ペルオキシ-2-エチルヘキサン酸tert-ブチル(Akzo Nobel社からのTrigonox 21S)、及び2,5-ビス(2-エチルヘキサノイルペルオキシ)-2,5-ジメチルヘキサン(Akzo Nobel社からのTrigonox 141)
b. ペルオキシジカルボネート、例えばジイソプロピルペルオキシジカルボネート
c. ペルオキシケトン、例えばメチルエチルケトンペルオキシド
d. ヒドロペルオキシド、例えば過酸化水素水溶液(H
2O
2)又はtert-ブチルヒドロペルオキシド
e. ジアシルペルオキシド、例えばアセチルペルオキシド又はベンゾイルペルオキシド
f. ジアルキルペルオキシド、例えばジ-tert-ブチルペルオキシド
g. 無機ペルオキシド、例えばペルオキソ二硫酸カリウム(K
2S
2O
8)。
【0389】
酸化還元対の形態にある開始剤として、例えばチオ硫酸カリウム+ペルオキソ二硫酸カリウムの対を挙げることができる。
【0390】
好ましい一実施形態によれば、開始剤は、8〜30個の炭素原子を含む有機ペルオキシドから選択される。好ましくは、使用される開始剤は、Akzo Nobel社により参照名Trigonox(登録商標)141で販売されている2,5-ビス(2-エチルヘキサノイルペルオキシ)-2,5-ジメチルヘキサンである。
【0391】
本発明で使用されるブロックコポリマーは、フリーラジカル重合によって調製され、制御重合又はリビング重合によってではない。詳細には、エチレン性ブロックコポリマーの重合は、制御剤の不在下で、特に、従来技術でリビング重合又は制御重合の方法で用いられる制御剤、例えば、窒素酸化物、アルコキシアミン、ジチオエステル、ジチオカルバメート、ジチオカルボネート又はキサンテート、トリチオカルボネート又は銅系触媒等の不在下で実施される。
【0392】
前述の通り、中間セグメントは、第1のブロック及び第2のブロックがホモポリマーでない場合(即ちそれらが双方とも少なくとも2種の異なるモノマーから形成されている場合)、それらがそうであるように、統計ブロックである。
【0393】
ブロックコポリマーは、フリーラジカル重合によって調製でき、詳細には、同じ反応器中で、重合溶媒、開始剤、ガラス転移温度が40℃以上である少なくとも1種のモノマー、ガラス転移温度が20℃以下である少なくとも1種のモノマーを混合する工程から成る方法を介して調製でき、以下の一連の工程に従う:
- 第1の添加のための、重合溶媒の一部、及び任意選択で開始剤の一部、及びモノマーの一部を反応器中へ注入し、該混合物を60℃から120℃の間の反応温度へ加熱する工程と、
- 次いで、第1の添加において、前記少なくとも1種のTgが40℃以上である第1のモノマー、及び任意選択で開始剤の一部を注入し、該混合物を、前記モノマーの最大転換度が90%に相当する時間Tの間、そのまま置いて反応させる工程と、
- 次いで、第2の添加において、更なる重合開始剤、及び前記ガラス転移温度が20℃以下である少なくとも1種の第2のモノマーを反応器中へ注入し、該混合物を、時間T'の間、そのまま置いて反応させてその後に前記モノマーの転換度がプラトーへ達する工程と、
- 該反応混合物を室温まで冷却する工程。
【0394】
好ましくは、コポリマーは、フリーラジカル重合によって調製でき、詳細には、同じ反応器中で、重合溶媒、開始剤、アクリル酸モノマー、ガラス転移温度が20℃以下である少なくとも1種のモノマー、少なくとも1種の式CH
2=CH-COOR
2(式中、R
2は、C
4〜C
12シクロアルキル基を表す)のアクリレートモノマー、及び少なくとも1種の式CH
2=C(CH
3)-COOR'
2(式中、R'
2は、C
4〜C
12シクロアルキル基を表す)のメタクリレートモノマーを混合する工程から成る方法を介して調製でき、以下の一連の工程に従う:
- 第1の添加のための、重合溶媒の一部、及び任意選択で開始剤の一部、及びモノマーの一部を反応器中へ注入し、該混合物を60℃から120℃の間の反応温度へ加熱する工程と、
- 次いで、第1の添加において、前記少なくとも1種の式CH
2=CH-COOR
2のアクリレートモノマー、及びTgが40℃以上であるモノマーとして前記少なくとも1種の式CH
2=C(CH
3)-COOR'
2のメタクリレートモノマー、及び任意選択で開始剤の一部を注入し、該混合物を、前記モノマーの最大転換度が90%に相当する時間Tの間、そのまま置いて反応させる工程と、
- 次いで、第2の添加において、更なる重合開始剤、アクリル酸モノマー、及び前記ガラス転移温度が20℃以下である少なくとも1種のモノマーを反応器中へ注入し、該混合物を、時間T'の間、そのまま置いて反応させてその後に前記モノマーの転換度がプラトーへ達する工程と、
- 該反応混合物を室温まで冷却する工程。
【0395】
用語「重合溶媒」は、溶媒、又は溶媒混合物を意味する。詳細には、使用できる重合溶媒として以下を挙げることができる:
- 室温で液体であるケトン、例えば、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、ジイソブチルケトン、イソホロン、シクロヘキサノン又はアセトン
- 室温で液体であるプロピレングリコールエーテル、例えばプロピレングリコールモノエチルエーテル、酢酸プロピレングリコールモノエチルエーテル又はジプロピレングリコールモノ-n-ブチルエーテル
- 短鎖エステル(総計で3〜8個の炭素原子を含有する)、例えば、酢酸エチル、酢酸メチル、酢酸プロピル、酢酸n-ブチル又は酢酸イソペンチル
- 室温で液体であるエーテル、例えば、ジエチルエーテル、ジメチルエーテル又はジクロロジエチルエーテル
- 室温で液体であるアルカン、例えば、デカン、ヘプタン、ドデカン、イソドデカン、シクロヘキサン及びイソヘキサデカン
- 室温で液体である環状の芳香族化合物、例えば、トルエン及びキシレン;室温で液体であるアルデヒド、例えばベンズアルデヒド及びアセトアルデヒド、並びにそれらの混合物。
【0396】
従来技術では、重合溶媒は、引火点が80℃未満である揮発性油である。引火点は、具体的にはISO 3679規格に従って測定される。
【0397】
重合溶媒は、具体的には、酢酸エチル、酢酸ブチル、イソプロパノール又はエタノール等のアルコール、及びイソドデカン等の脂肪族アルカン、並びにそれらの混合物から選択することができる。好ましくは、重合溶媒は、酢酸ブチルと、イソプロパノール又はイソドデカンとの混合物である。
【0398】
別の実施形態によれば、コポリマーは、フリーラジカル重合によって調製でき、同じ反応器中で、重合溶媒、開始剤、ガラス転移温度が20℃以下である少なくとも1種のモノマー、及びTgが40℃以上である少なくとも1種のモノマーを混合する工程から成る調製方法に従い、以下の一連の工程に従う:
- 第1の添加のための、重合溶媒の一部、及び任意選択で開始剤の一部、及びモノマーの一部を反応器中へ注入し、該混合物を60℃から120℃の間の反応温度へ加熱する工程と、
- 次いで、第1の添加において、前記ガラス転移温度が20℃以下である少なくとも1種のモノマー、及び任意選択で開始剤の一部を注入し、該混合物を、前記モノマーの最大転換度が90%に相当する時間Tの間、そのまま置いて反応させる工程と、
- 次いで、第2の添加において、更なる重合開始剤、及び前記Tgが40℃以上である少なくとも1種のモノマーを反応器中へ注入し、該混合物を、時間T'の間、そのまま置いて反応させてその後に前記モノマーの転換度がプラトーへ達する工程と、
- 該反応混合物を室温まで冷却する工程。
【0399】
好ましい一実施形態によれば、コポリマーは、フリーラジカル重合によって調製でき、同じ反応器中で、重合溶媒、開始剤、アクリル酸モノマー、ガラス転移温度が20℃以下である少なくとも1種のモノマー、Tgが40℃以上である少なくとも1種のモノマー、及び特にTgが40℃以上であるモノマーとして少なくとも1種の式CH
2=CH-COOR
2(式中、R
2は、C
4〜C
12シクロアルキル基を表す)のアクリレートモノマー、及び少なくとも1種の式CH
2=C(CH
3)-COOR'
2(式中、R'
2は、C
4〜C
12シクロアルキル基を表す)のメタクリレートモノマーを混合する工程から成る調製方法に従い、以下の一連の工程に従う:
- 第1の添加のための、重合溶媒の一部、及び任意選択で開始剤の一部、及びモノマーの一部を反応器中へ注入し、該混合物を60℃から120℃の間の反応温度へ加熱する工程と、
- 次いで、第1の添加において、アクリル酸モノマー、及び前記ガラス転移温度が20℃以下である少なくとも1種のモノマー、及び任意選択で開始剤の一部を注入し、該混合物を、前記モノマーの最大転換度が90%に相当する時間Tの間、そのまま置いて反応させる工程と、
- 次いで、第2の添加において、更なる重合開始剤、前記少なくとも1種の式CH
2=CH-COOR
2のアクリレートモノマー、及び前記Tgが40℃以上である少なくとも1種のモノマーとしての式CH
2=C(CH
3)-COOR'
2のメタクリレートモノマーを反応器中へ注入し、該混合物を、時間T'の間、そのまま置いて反応させてその後に前記モノマーの転換度がプラトーへ達する工程と、
- 該反応混合物を室温まで冷却する工程。
【0400】
重合温度は、好ましくは約90℃である。
【0401】
第2の添加後の反応時間は、好ましくは3時間から6時間の間である。
【0402】
前述のもの等のブロックコポリマーは、特に特許出願EP-A-1411069及びEP-A-1882709に記載されている。
【0403】
皮膜形成性コポリマーの重合のために使用される合成溶媒は、引火点が80℃未満である揮発性油、例えばイソドデカンから一般に選択される。
【0404】
本発明の特に好ましい実施形態によれば、組成物は、少なくとも16個の炭素原子を含んで分子量が650g/mol未満である不揮発性炭化水素系エステル油、好ましくはネオペンタン酸オクチルドデシルを含有する。
【0405】
詳細には、エチレン性ブロックコポリマーは、特にこのブロックコポリマーの合成の間に、このエステル油の存在下で組成物中で使用されることが可能であり、そのため、任意選択で真空下で、合成溶媒の蒸留によって、且つ不揮発性炭化水素系エステル油の添加によって、該方法を実施することが可能である。
【0406】
この蒸留の技術は、当業者には既知であり、且つ以下に記載する実施例2により、この技術が例示される。
【0407】
合成溶媒(従来技術ではイソドデカン)の蒸留は、蒸留する前に、少なくとも16個の炭素原子を含んで分子量が650g/mol未満である不揮発性炭化水素系エステル油を同時に加えるか又は混合物中に存在させるかで実施することができる。この工程は、イソドデカンが重合溶媒として使用される場合、最大量のイソドデカン(より一般には最大量の合成溶媒)を留去するように、又はより一般に引火点が80℃未満である最大量の揮発性を留去するように、昇温で、且つ任意選択で真空下で実施される。不揮発性エステル油はまた、蒸留の前に、揮発性溶媒中で、部分的に又は全体的にポリマーへ加えられることが可能である。
【0408】
本発明の組成物は、好ましくは、組成物の総質量に対して、エチレン性ブロックコポリマーを0.5質量%〜40質量%含み、有利には、活性物質を1質量%〜40質量%、特に2質量%〜30質量%、又は更に2質量%〜20質量%含む。
【0409】
好ましくは、本発明の組成物は、エチレン性ブロックポリマーの活性物質(即ち固体として)を、組成物の総質量に対して少なくとも2質量%含む。
【0410】
着色料
本発明の組成物は、少なくとも1種の着色料(着色剤としても知られる)を好ましくは含み、それは、水溶性又は脂溶性の色素、顔料及び真珠層、並びにそれらの混合物から選択することができる。
【0411】
本発明の組成物はまた、水溶性の色素及び粉体の色素から選択される1種又は複数の色素も含むことができ、例えば当業者に周知である、顔料、真珠層、及び輝くフレークである。
【0412】
特に好ましい様式では、本発明の組成物は、顔料及び/又は真珠層から選択される少なくとも1種の色素を含む。
【0413】
色素は、組成物中に、組成物の質量に対して0.01質量%〜20質量%、好ましくは0.1質量%〜15質量%を範囲とする含量で存在することができる。
【0414】
用語「顔料」は、生じる皮膜を着色する及び/又は不透明化することが企図された、水溶液に不溶性である、白色又は有色の、無機又は有機の粒子の意味であると理解されるべきである。
【0415】
顔料は、化粧用組成物の総質量に対して、0.01質量%〜20質量%、特に0.1質量%〜15質量%、特に0.2質量%〜10質量%の比率で存在することができる。
【0416】
本発明で使用できる無機顔料として、酸化チタン、酸化ジルコニウム又は酸化セリウム、更に酸化亜鉛、酸化鉄又は酸化クロム、フェリクブルー、マンガンバイオレット、ウルトラマリンブルー及びクロム水和物を挙げることができる。
【0417】
顔料はまた、例えば、セリサイト/茶色の酸化鉄/二酸化チタン/シリカのタイプであってもよい構造を有する顔料とすることもできる。こうした顔料は、例えば、Chemicals and Catalysts社により参照名Coverleaf NS又はJSで販売されており、30の領域にコントラスト比を有する。
【0418】
着色剤は、例えば酸化鉄を含有するシリカミクロスフェアのタイプのものであってもよい構造の顔料も含むことができる。この構造を有する顔料の例は、三好化成株式会社から参照名PC Ball PC-LL-100 Pで販売されている製品であり、この顔料は、黄色の酸化鉄を含有するシリカミクロスフェアから構成されている。
【0419】
本発明で使用できる有機顔料の中で、カーボンブラック、D&Cタイプの顔料、コチニールカーマイン系レーキ又はバリウム、ストロンチウム、カルシウム若しくはアルミニウムをベースとするレーキ、又は代わりに特許文書EP-A-542669、EP-A-787730、EP-A-787731及びWO-A-96/08537に記載のジケトピロロピロール(DPP)を挙げることができる。
【0420】
用語「真珠層」は、真珠光沢を有していてもいなくてよく、特にある種の軟体類によってその殻中で生成される、又は代わりに合成され、且つ光学干渉を介して色効果を有する、任意の形態の着色粒子の意味であると理解されるべきである。
【0421】
真珠層は、真珠光沢顔料、例えば、酸化鉄で被覆されたチタン雲母、オキシ塩化ビスマスで被覆されたチタン雲母、酸化クロムで被覆されたチタン雲母、有機色素で被覆されたチタン雲母、更にオキシ塩化ビスマスをベースとする真珠光沢顔料から選択することができる。それらはまた、その表面で、金属酸化物及び/又は有機色素の少なくとも2つの連続層が重ね合わされている雲母(「マイカ」ともいう)粒子であってもよい。
【0422】
更に挙げることができる真珠層の例には、酸化チタンで、酸化鉄で、天然顔料で又はオキシ塩化ビスマスで被覆された天然雲母がある。
【0423】
市販されている真珠層の中でも、Engelhard社により販売されている真珠層Timica、Flamenco及びDuochrome(雲母ベースである)、Merck社により販売されているTimiron真珠層、Eckart社により販売されているPrestige雲母ベースの真珠層、及びSun Chemical社により販売されているSunshine合成雲母ベースの真珠層を挙げることができる。
【0424】
真珠層は、より具体的には、黄、ピンク、赤、ブロンズ、オレンジ、茶、金及び/又は銅の、色又は輝きを有することができる。
【0425】
本発明の関連で使用できる真珠層の例証として、特にEngelhard社により名称Brilliant gold 212G(Timica)、Gold 222C(Cloisonne)、Sparkle gold(Timica)、Gold 4504(Chromalite)及びMonarch gold 233X(Cloisonne)で販売されている金色の真珠層;特にMerck社により名称Bronze fine(17384)(Colorona)及びBronze(17353)(Colorona)で、且つEngelhard社により名称Super bronze(Cloisonne)で販売されているブロンズ色の真珠層;特にEngelhard社により名称Orange 363C(Cloisonne)及びOrange MCR 101(Cosmica)で、且つMerck社により名称Passion orange(Colorona)及びMatte orange(17449)(Microna)で販売されているオレンジ色の真珠層;特にEngelhard社により名称Nu-antique copper 340XB(Cloisonne)及びBrown CL4509(Chromalite)で販売されている茶の色合いの真珠層;特にEngelhard社により名称Copper 340A(Timica)で販売されている銅の輝きを有する真珠層;特にMerck社により名称Sienna fine(17386)(Colorona)で販売されている赤の輝きを有する真珠層;特にEngelhard社により名称Yellow(4502)(Chromalite)で販売されている黄の輝きを有する真珠層;特にEngelhard社により名称Sunstone G012(Gemtone)で販売されている金の輝きを有する赤の色合いの真珠層;特にEngelhard社により名称Tan opale G005(Gemtone)で販売されているピンク色の真珠層;特にEngelhard社により名称Nu antique bronze 240 AB(Timica)で販売されている金の輝きを有する黒色の真珠層;特にMerck社により名称Matte blue(17433)(Microna)で販売されている青色の真珠層;特にMerck社により名称Xirona Silverで販売されている銀色がかった輝きを有する白色の真珠層;及び特にMerck社により名称Indian summer(Xirona)で販売されている金色-緑色でピンク色-オレンジ色の真珠層、並びにそれらの混合物を特に挙げることができる。
【0426】
好ましくは、顔料及び/又は真珠層は、組成物中に、組成物の総質量に対して0.01質量%〜20質量%、好ましくは0.1質量%〜15質量%を範囲とする総含量で存在することができる。
【0427】
用語「色素」は、油等の脂肪物質に、又は水性アルコール相に溶解性である、一般に有機である化合物の意味であると理解されるべきである。
【0428】
本発明の化粧用組成物はまた、水溶性又は脂溶性の色素も含んでよい。脂溶性の色素は、例えば、Sudan red、DC Red 17、DC Green 6、β-カロテン、Sudan brown、DC Yellow 11、DC Violet 2、DC Orange 5及びキノリンyellowである。水溶性色素は、例えば、ビーツの根の汁、又はメチレンブルーである。
【0429】
本発明の化粧品組成物はまた、色素として、特異な光学的効果を有する少なくとも1種の材料を含有してもよい。
【0430】
この効果は、従来技術の単純な色調効果、即ち、標準的な色素によりもたらされる統一され安定化された効果、例えば単色性顔料とは異なる。本発明の目的では、用語「安定化された」は、観測の角度に応じて、又は代わりに温度変化に応答して、色のばらつきの影響がないことを意味する。
【0431】
例えば、この材料は、金属チント、ゴニオクロマチック着色剤、回折顔料、サーモクロミック剤、蛍光増白剤、更に繊維、特に干渉繊維を有する粒子から選択することができる。言うまでもなく、これらの種々の材料を組み合わせて、2つの効果、又は本発明による新規な効果の発現さえ同時に得ることができる。
【0432】
粉体相
本発明の組成物は、少なくともシリカエアロゲル粒子を含んだ少なくとも1種の粉体相を含む。
【0433】
好ましくは、粉体相は、組成物の総質量に対して、0.1質量%から25質量%の間、好ましくは0.1質量%から20質量%の間、好ましくは0.5質量%から20質量%の間を占める。
【0434】
好ましくは、粉体相は、組成物の総質量に対して、1質量%から20質量%の間を占める。
【0435】
疎水性シリカエアロゲル粒子以外に、本発明の組成物の粉体相は、粒子の形態にある追加の化合物を好ましくは含む。
【0436】
好ましくは、本発明の粉体相はまた、前記疎水性シリカエアロゲル粒子以外に、少なくとも1種の追加の充填剤を含んでもよく、及び/又は真珠層及び/又は顔料、並びにそれらの混合物から選択される少なくとも1種の色素を含んでもよい。
【0437】
充填剤
本発明の組成物は、前記疎水性エアロゲル粒子以外に、前記疎水性エアロゲル粒子とは異なる少なくとも1種又は複数の追加の充填剤を含有することができる。
【0438】
用語「充填剤」は、組成物が製造される温度に関わりなく、組成物の媒体に不溶性である、無色又は白色の、無機又は合成の、任意の形の粒子の意味であると理解されるべきである。これらの充填剤は、組成物のレオロジー又はテクスチャを改変するために特に役立つ。
【0439】
充填剤は、無機又は有機であってよく、且つ結晶学的な形態(例えば層状、立方体、六角形、斜方晶等)に関係なく、小平板形、球状若しくは楕円形の、任意の形態のものであってよい。
【0440】
好ましくは、前記追加の充填剤は、タルク、雲母、シリカ、カオリン、ベントン、ヒュームドシリカ粒子、任意選択で親水性若しくは疎水性処理された、ポリアミド[Nylon(登録商標)]粉末[Atochem社からのOrgasol(登録商標)]、ポリ-β-アラニン粉末及びポリエチレン粉末、テトラフルオロエチレンポリマー[Teflon(登録商標)]粉末、ラウロイルリジン、デンプン、窒化ホウ素、ポリ塩化ビニリデン/アクリロニトリルミクロスフェア等の中空ポリマーミクロスフェア、例えば、Expancel(登録商標)(Nobel Industrie社)、アクリル酸コポリマーミクロスフェア[Dow Corning社からのPolytrap(登録商標)]、シリコーン樹脂ミクロビーズ[例えば、東芝株式会社からのTospearls(登録商標)]、沈降炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、炭酸水素マグネシウム、ヒドロキシアパタイト、中空シリカミクロスフェア[Maprecos社からのSilica Beads(登録商標)]、エラストマーのポリオルガノシロキサン粒子、ガラス若しくはセラミックのマイクロカプセル、及び8〜22個の炭素原子、好ましくは12〜18個の炭素原子を含有する有機カルボン酸に由来する金属石けん、例えばステアリン酸亜鉛、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸リチウム、ラウリン酸亜鉛又はミリスチン酸マグネシウムから選択される。
【0441】
好ましくは、前記追加の充填剤は、タルク、雲母、シリカ、カオリン、ベントン、ポリアミド[Nylon(登録商標)]粉末[Atochem社からのOrgasol(登録商標)]、ポリ-β-アラニン粉末及びポリエチレン粉末、テトラフルオロエチレンポリマー[Teflon(登録商標)]粉末、ラウロイルリシン、デンプン、窒化ホウ素、ポリ塩化ビニリデン/アクリロニトリルミクロスフェア等の中空ポリマーミクロスフェア、例えばExpancel(登録商標)(Nobel Industrie社)、アクリル酸コポリマーミクロスフェア[Dow Corning社からのPolytrap(登録商標)]、シリコーン樹脂ミクロビーズ[例えば、東芝株式会社からのTospearls(登録商標)]、沈降炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、炭酸水素マグネシウム、ヒドロキシアパタイト、中空シリカミクロスフェア[Maprecos社からのSilica Beads(登録商標)]、エラストマーのポリオルガノシロキサン粒子、ガラス若しくはセラミックのマイクロカプセル、及び8〜22個の炭素原子、好ましくは12〜18個の炭素原子を含有する有機カルボン酸に由来する金属石けん、例えば、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸リチウム、ラウリン酸亜鉛又はミリスチン酸マグネシウムから選択される。
【0442】
好ましい一実施形態によれば、本発明による組成物は、少なくとも1種の親油性粘土を含んでもよい。
【0443】
好ましくは使用される親油性粘土には、C
10〜C
22塩化アンモニウムで改質されたヘクトライト、例えばジステアリルジメチルアンモニウムクロリドで改質されたヘクトライト、例えばElementis社により名称Bentone 38V(登録商標)で販売されている製品が挙げられる。
【0444】
有利には、本発明の組成物は、追加の充填剤として、少なくとも1種の親油性粘土(例えばジステアリルジメチルアンモニウムクロリドで改質されたヘクトライト)を、特に、組成物の総質量に対して0.1質量%〜15質量%、特に0.5質量%〜10質量%、より特定すると1質量%〜10質量%を範囲とする総含量で含む。
【0445】
トリメチロールヘキシルラクトンを含んだコポリマーを含む粒子もまた、追加の充填剤として使用できる。詳細には、それは、ヘキサメチレンジイソシアネート/トリメチロールヘキシルラクトンのコポリマーであってもよい。こうした粒子は、特に、例えば東色ピグメント株式会社から名称Plastic Powder D-400(登録商標)又はPlastic Powder D-800(登録商標)で市販されている。
【0446】
特定の一実施形態によれば、本発明の組成物は、追加の充填剤として、任意選択で親水性又は疎水性処理されたヒュームドシリカ粒子を含んでもよい。好ましくは、組成物は、ジメチルシリル化シリカ(CTFAによる)として知られる少なくとも1種の充填剤を含む。
【0447】
疎水性基は、特に、ジメチルシリルオキシル基又はポリジメチルシロキサン基であってもよく、これらは、ポリジメチルシロキサン又はジメチルジクロロシランの存在下でヒュームドシリカを処理することによって特に得られる。こうして処理されたシリカは、CTFA(第6版、1995)に従ってジメチルシリル化シリカとして知られる。それらは、例えば、Degussa社により参照名Aerosil R972(登録商標)及びAerosil R974(登録商標)で、並びにCabot社によりCab-O-Sil TS-610(登録商標)及びCab-O-Sil TS-720(登録商標)で販売されている。
【0448】
これらの粒子は、従来技術ではナノメートルサイズのものであり、「ナノシリカ」と称することができる。
【0449】
特に好ましい一実施形態によれば、組成物は、特に疎水性処理された、ヒュームドシリカ粒子を含まない。詳細には、特定の一実施形態によれば、組成物は、そのINCI名がジメチルシリル化シリカであるヒュームドシリカ粒子を含まない。
【0450】
特に好ましい一実施形態によれば、本発明の組成物は、ナノメートルサイズのシリカを含まない。
【0451】
好ましくは、組成物は、充填剤の総質量(即ち疎水性シリカエアロゲル粒子+追加の充填剤)を、組成物の総質量に対して0.1質量%から20質量%の間、特に0.1質量%から15質量%の間、含有する。
【0452】
好ましくは、組成物が液体形態にあるとき、それは、カオリン、ベントン、ラウロイルリジン及びデンプンから好ましくは選択される少なくとも1種の追加の充填剤を含む。
【0453】
脂肪相を構造化するための作用剤
構造化剤は、構造化ポリマー、及び親油性ゲル化剤、即ち油ゲル化剤(「オルガノゲル化剤」又は「有機ゲル化剤」としても知られる)、並びにそれらの混合物から選択される。
【0454】
脂肪相はまた、構造化ポリマー及び親油性ゲル化剤から選択される幾つかの構造化剤を含むことができ、そうであれば、これは、「構造化系」と称されることになる。
【0455】
非ポリマー性オルガノゲル化剤
本発明の組成物は、少なくとも1種の非ポリマー性オルガノゲル化剤を含んでもよい。用語「オルガノゲル化剤」は、油をゲル化するための作用剤を意味する。
【0456】
本発明によれば、「オルガノゲル化剤」は、その分子が、それらの間で、少なくとも1種の、液体脂肪相のゲル化を左右することができる3次元のマクロ分子ネットワークの形成を伴う分子の自己集成へと導く物理的相互作用を確立することが可能でありうる有機化合物を含むものと定義される。ネットワークは、フィブリルのネットワークの形成(オルガノゲル化分子の堆積又は集成により生じる)からもたらされることが可能であり、これが液体脂肪相の分子を不動化する。オルガノゲル化剤の性質に応じて、相互結合されたフィブリルは、種々のサイズを有し、それは、数ナノメートルから1μmまでを、又は数マイクロメートルまでさえを範囲とすることができる。これらのフィブリルは、結合してストリップ状又は柱状を形成することが多い。
【0457】
用語「ゲル化」は、媒体を構造化して又はより一般には増粘化して、本発明に従って、流体へ、ペースト状へ、又は固体粘稠度へさえ導くことを意味する。
【0458】
このフィブリルのネットワークを形成してそのために組成物をゲル化する能力は、オルガノゲル化剤の性質(又は化学的クラス)に依り、付与された化合的クラスのためにその分子が保有する置換基の性質に、且つ液体脂肪相の性質に依る。
【0459】
例えば、このゲル化は、温度等の外的刺激の作用下で、可逆的である。
【0460】
物理的相互作用は、異質のものであるが、共結晶化を含むことができる。これらの物理的相互作用は、例えば、自己相補的水素相互作用、不飽和の核の間のπ相互作用、二極相互作用、及び有機金属系誘導体との配位結合から選択される相互作用である。これらの相互作用の確立は、分子の構造、例えば核、不飽和、及び不斉炭素の存在から促進されることが多い。一般に、オルガノゲル化剤の各分子は、隣り合った分子と一緒に数種の物理的相互作用を確立することができる。したがって、一実施形態では、本発明の有機ゲル化剤の分子は、水素結合を確立することができる少なくとも1つの基、例えば水素結合を確立することができる少なくとも2つの基;少なくとも1種の芳香族の核、例えば少なくとも2つの芳香族の核;エチレン性不飽和との少なくとも1つの結合;及び/又は少なくとも1個の不斉炭素を含むことができる。水素結合を形成することができる基は、例えばヒドロキシル、カルボニル、アミン、カルボン酸、アミド、ベンジル、スルホンアミド、カルバメート、チオカルバメート、尿素、チオ尿素、オキサミド、グアニジノ及びビグアニジノ基から選択することができる。
【0461】
本発明のオルガノゲル化剤は、室温(20℃)及び大気圧で、固体であっても液体であってもよい。
【0462】
好ましくは、非ポリマー性オルガノゲル化剤は、以下から選択される:
- ジ(C
2〜C
6)アルキルN-アシルグルタミド(そこでアシル基は直鎖状のC
8〜C
22アルキル鎖を含む)から特に選択される、直鎖状のアルキル鎖を保持する低分子量のジアルキルN-アシルグルタミド、好ましくは例えばラウロイルグルタミン酸ジブチルアミド(又はジブチルラウロイルグルタミド)、及び/又は
- ジ(C
2〜C
6)アルキルN-アシルグルタミド(そこでアシル基は分枝状のC
8〜C
22アルキル鎖を含む)から特に選択される、分枝状のアルキル鎖を保持する低分子量のジアルキルN-アシルグルタミド、好ましくは例えばN-2-エチルヘキサノイルグルタミン酸ジブチルアミド(又はジブチルエチルヘキサノイルグルタミド)
- 並びにそれらの混合物。
【0463】
好ましくは、非ポリマー性オルガノゲル化剤の中で使用することができるのは、少なくとも1種の低分子量の、直鎖状アルキル鎖を保持しているジアルキルN-アクリルグルタミド[(C
2〜C
6)ジアルキルN-アシルグルタミド、そこでアシル基は直鎖状のC
8〜C
22アルキル鎖を含み、例えばラウロイルグルタミン酸ジブチルアミド(又はジブチルラウロイルグルタミド)から特に選択される]と、少なくとも1種の低分子量の、分枝状アルキル鎖を保持しているジアルキルN-アクリルグルタミド[(C
2〜C
6)ジアルキルN-アシルグルタミド、そこでアシル基は分枝状のC
8〜C
22アルキル鎖を含み、例えばN-2-エチルヘキサノイルグルタミン酸ジブチルアミド(又はジブチルエチルヘキサノイルグルタミド)から特に選択される]と、好ましくはこれらの2種の低分子量の親油性ゲル化剤と水素結合を形成することができる溶媒との組み合わせである。
【0464】
好ましくは、直鎖状アルキル鎖を有するジアルキルN-アシルグルタミドは、脂肪相の総質量に対して0.1質量%〜20質量%、好ましくは0.1質量%〜10質量%、より好ましくは0.5質量%〜5質量%を範囲とする量で使用される。
【0465】
好ましくは、分枝状アルキル鎖を有するジアルキルN-アシルグルタミドは、脂肪相の総質量に対して0.1質量%〜20質量%、好ましくは0.1質量%〜10質量%、より好ましくは0.5質量%〜5質量%を範囲とする含量で使用される。
【0466】
より好ましくは、低分子量のN-アシルグルタミン酸ジアミドタイプの親油性ゲル化剤の総量は、脂肪相の総質量に対して好ましくは10質量%以下である。
【0467】
ラウロイルグルタミン酸ジブチルアミドは、味の素株式会社により名称GP-1、INCI名ジブチルラウロイルグルタミドで販売又は製造されており、N-2-エチルヘキサノイルグルタミン酸ジブチルアミドは、味の素株式会社により名称EB-21、INCI名ジブチルエチルヘキサノイルグルタミドで販売又は製造されている。こうした化合物は、特許出願JP2005-298635に記載されている。
【0468】
好ましい変形によれば、低分子量の直鎖状のN-アシルグルタミン酸ジアミド/低分子量の分枝鎖のN-アシルグルタミン酸ジアミドの比は、1/1から5/1の間、好ましくは1.5/1から3/1の間、好ましくは1.7/1から2/1の間である。
【0469】
親油性ゲル化剤で水素結合を形成することができる溶媒は、例えばアルコール、特に8個超の炭素原子を含むモノアルコール、ジアルコール、酸及びエステルから優先的には選択されるプロトン性溶媒である。
【0470】
好ましくは、親油性ゲル化剤の間に水素結合を形成することができる溶媒は、プロピレングリコール、ブチレングリコール及びペンテングリコール等のC
2〜C
5グリコールから選択される。この溶媒はまた、オクチルドデカノール及びイソステアリルアルコールからも選択することができる。水素結合を形成することができる溶媒の量は、基質の総質量に対して3質量%〜50質量%、好ましくは5質量%〜40質量%の間、より好ましくは7質量%〜20質量%を範囲とする。
【0471】
優先的には、溶媒は、脂肪鎖長が、12個から28個の間の炭素原子、優先的には14個から22個の間、更に良好には16個から20個の間の炭素原子である脂肪アルコールから特に選択される脂肪アルコールである。
【0472】
更により特定すると、溶媒は、分枝状の脂肪鎖アルコールである。
【0473】
構造化ポリマー
構造化ポリマーとして、インデン炭化水素系樹脂、及び少なくとも1種のスチレンモノマーを含むブロックコポリマー以外に、炭化水素系ポリアミド、シリコーンポリアミド、INCI名がジノレイルダイマージオール系ポリウレタンであるポリウレタン、並びにそれらの混合物を挙げることができる。
【0474】
ポリアミド
好ましい一実施形態によれば、本発明の組成物は、炭化水素系ポリアミド及びシリコーンポリアミド、並びにそれらの混合物から選ばれる少なくとも1種のポリアミドを含む。
【0475】
好ましくは、ポリアミドの総含量は、組成物の総質量に対して、0.1質量%から30質量%の間、好ましくは0.1質量%から20質量%の間、好ましくは0.5質量%から10質量%の間である。
【0476】
本発明の目的では、用語「ポリマー」は、少なくとも2つの繰り返し単位、好ましくは少なくとも3つの繰り返し単位、更に好ましくは10の繰り返し単位を含有する化合物を意味する。
【0477】
本発明の目的では、用語「ポリアミド」は、少なくとも2つの繰り返しのアミド単位、好ましくは少なくとも3つの繰り返しのアミド単位、更に好ましくは10の繰り返しのアミド単位を含有する化合物を意味する。
【0478】
炭化水素系ポリアミド
用語「炭化水素系ポリアミド」は、炭素原子及び水素原子、並びに任意選択で酸素原子及び窒素原子から本質的に形成され、又はこれらによって構成されさえする、ケイ素原子又はフッ素原子を一切含まないポリアミドを意味する。これは、アルコール、エステル、エーテル、カルボン酸、アミン及び/又はアミド基を含有することができる。
【0479】
本発明の目的では、用語「官能化された鎖」は、ヒドロキシル、エーテル、エステル、オキシアルキレン及びポリオキシアルキレン基から特に選択される1つ又は複数の官能基又は試薬を含むアルキル鎖を意味する。
【0480】
有利には、本発明の組成物のこのポリアミドは、質量平均分子量が、100000g/mol未満(特に1000〜100000g/molを範囲とする)、特に50000g/mol未満(特に1000〜50000g/molを範囲とする)、より特定すると1000〜30000g/mol、好ましくは2000〜20000g/mol、更に良好には2000〜10000/molを範囲とする。
【0481】
このポリアミドは、特に25℃で、水に不溶性である。
【0482】
本発明の第1の実施形態によれば、使用されるポリアミドは、式(I)のポリアミド:
【0484】
[式中、Xは、-N(R
1)
2基又は-OR
1基(式中、R
1は、同一であっても異なっていてもよい直鎖状又は分枝状のC
8〜C
22アルキル基である)を表し、R
2はC
28〜C
42二酸ダイマー残基であり、R
3はエチレンジアミン基であり、且つnは2から5の間である]
- 並びにそれらの混合物
である。
【0485】
特定の一形態によれば、使用されるポリアミドは、式(Ia)の、アミド処理されたポリアミド:
【0487】
[式中、Xは、-N(R
1)
2基(式中、R
1は、同一であっても異なっていてもよい直鎖状又は分枝状のC
8〜C
22アルキル基である)を表し、R
2はC
28〜C
42二酸ダイマー残基であり、R
3はエチレンジアミン基であり、且つnは2から5の間である]。
- 並びにそれらの混合物
である。
【0488】
組成物はまた、更にこの場合、少なくとも1種の式(Ib)のポリアミドも含むことができる:
【0490】
[式中、Xは、-OR
1基(式中、R
1は、同一であっても異なっていてもよい直鎖状又は分枝状のC
8〜C
22アルキル基、好ましくはC
10〜C
22アルキル基である)を表し、R
2はC
28〜C
42二酸ダイマー残基であり、R
3はエチレンジアミン基であり、且つnは2から5の間である]。
【0493】
[式中、Xは、-OR
1基(式中、R
1は、同一であっても異なっていてもよい直鎖状又は分枝状のC
8〜C
22及び好ましくはC
16〜C
22アルキル基である)を表し、R
2はC
28〜C
42二酸ダイマー残基であり、R
3はエチレンジアミン基であり、且つnは2から5の間である]挙げることができるのは、Arizona Chemical社により、名称Uniclear 80及びUniclear 100、又はUniclear 80 V、Uniclear 100 V及びUniclear 100 VGで販売されている、そのINCI名がエチレンジアミン/ダイマージリノール酸ステアリルコポリマーである市販製品である。それらは、それぞれが、無機油中に、80%の活性物質及び100%の活性物質を含有するゲルの形態で販売されている。それらは、軟化点が、88〜94℃である。これらの市販製品は、C
36二酸がエチレンジアミンとカップリングされたコポリマーの混合物であり、質量平均分子量が約6000g/molである。末端エステル基は、残った酸末端基を、セチルアルコール、ステアリルアルコール又はそれらの混合物(セチルステアリルアルコールとしても知られる)でエステル化することから得られる。
【0494】
米国特許第2009/0280076号に記載のもの等のアミド末端化ポリアミド化合物として、且つ特に次式(Ia)のアミド末端化ポリアミドとして
【0496】
[式中、Xは、-N(R
1)
2基(式中、R
1は、同一であっても異なっていてもよい直鎖状又は分枝状の、C
8〜C
22、好ましくはC
8〜C
20、好ましくはC
14〜C
20、より優先的にはC
14〜C
18、更に良好にはC
18アルキル基である)を表し、R
2は、C
28〜C
42二酸ダイマー残基、好ましくはジリノール酸ダイマー残基であり、R
3は、エチレンジアミン基であり、且つnは、2から5の間、好ましくは3から4の間である]挙げることができるのは、そのINCI名がビス-ジオクタデシルアミドダイマージリノール酸/エチレンジアミンコポリマーである式(Ia)の化合物である。
【0497】
使用できるアミド末端化ポリアミドの特異な例として、高級アルコール工業株式会社により販売されている化合物Haimalate PAMを挙げることができ、これはリンゴ酸ジイソステアリルとの組み合わせであり、そのINCI名はリンゴ酸ジイソステアリル(及び)ビス-ジオクタデシルアミドダイマージリノール酸/エチレンジアミンコポリマーである。
【0498】
本発明の別の実施形態によれば、ポリアミドは、シリコーンポリアミドである。
【0499】
シリコーンポリアミド
組成物のシリコーンポリアミドは、好ましくは、室温(25℃)及び大気圧(760mmHg)で固体である。
【0500】
シリコーンポリアミドは、より詳細には、式(III)又は(IV)の少なくとも1つの単位を含むポリマーとすることができる:
【0502】
(式中、
・R
4、R
5、R
6及びR
7は、同一であっても異なっていてもよく、以下から選択される基を表す:
- それらの鎖内に1個又は複数の酸素原子、硫黄原子及び/又は窒素原子をおそらくは含有し、且つ部分的に又は全体的にフッ素原子でおそらくは置換された、直鎖状、分枝状又は環状の、飽和又は不飽和のC
1〜C
40炭化水素系基
- 1個又は複数のC
1〜C
4アルキル基で任意選択で置換されたC
6〜C
10アリール基
- 1個又は複数の酸素原子、硫黄原子及び/又は窒素原子をおそらくは含有するポリオルガノシロキサン鎖
・X基は、同一であっても異なっていてもよく、その鎖内に1個又は複数の酸素原子及び/又は窒素原子をおそらくは含有する直鎖状又は分枝状のC
1〜C
30アルキレンジイル基を表し、
・Yは、飽和若しくは不飽和のC
1〜C
50直鎖状又は分枝状のアルキレン、アリーレン、シクロアルキレン、アルキルアリーレン又はアリールアルキレン二価基であり、これは、1個又は複数の酸素、硫黄及び/又は窒素原子を含むことができ、及び/又は置換基として、フッ素、ヒドロキシル、C
3〜C
8シクロアルキル、C
1〜C
40アルキル、C
5〜C
10アリール、1〜3個のC
1〜C
3アルキル、C
1〜C
3ヒドロキシアルキル及びC
1〜C
6アミノアルキル基で任意選択で置換されたフェニルの原子、又は原子の群のうちの1個を保持することができ、又は
・Yは、次式に相当する基を表す:
【0504】
(式中、
- Tは、ポリオルガノシロキサン鎖で任意選択で置換された、直鎖状又は分枝状の、飽和又は不飽和の、三価又は四価のC
3〜C
24炭化水素系基を表し、且つO、N及びSから選択される1個又は複数の原子をおそらくは含有し、又はTは、N、P及びAlから選択される三価原子を表し、
- R
8は、ポリマーの別の鎖とおそらくは連結している1種又は複数のエステル、アミド、ウレタン、チオカルバメート、尿素、チオ尿素及び/又はスルホンアミド基をおそらくは含む、直鎖状若しくは分枝状のC
1〜C
50アルキル基又はポリオルガノシロキサン鎖を表し、
・nは、2〜500、好ましくは2〜200を範囲とする整数であり、mは、1〜1000、好ましくは1〜700、更に良好には6〜200を範囲とする整数である)。
【0505】
本発明の一実施形態によれば、ポリマーのR
4、R
5、R
6及びR
7基のうちの80%は、メチル、エチル、フェニル及び3,3,3-トリフルオロプロピル基から好ましくは選択される。別の実施形態によれば、ポリマーのR
4、R
5、R
6及びR
7基のうちの80%は、メチル基である。
【0506】
本発明によれば、Yは、ポリマー又はコポリマーの他の単位との結合を確立する1又は2の遊離原子価を任意選択で更に含む種々の二価基を表すことができる。好ましくは、Yは、以下から選択される基を表す:
a) 直鎖状C
1〜C
20及び好ましくはC
1〜C
10アルキレン基
b) 環及び非共役の不飽和をおそらくは含む分枝状のC
30〜C
50アルキレン基
c) C
5〜C
6シクロアルキレン基
d) 1つ又は複数のC
1〜C
40アルキル基で任意選択で置換されたフェニレン基
e) 1〜5つのアミド基を含むC
1〜C
20アルキレン基
f) ヒドロキシル、C
3〜C
8シクロアルカン、C
1〜C
3ヒドロキシアルキル及びC
1〜C
6アミノアルキル基から選択される1つ又は複数の置換基を含むC
1〜C
20アルキレン基
g) 次式のポリオルガノシロキサン鎖:
【0508】
(式中、R
4、R
5、R
6、R
7、T及びmは、上で定義したものである)。
【0509】
こうした単位は、以下のいずれかから得ることができる:
- 以下の反応スキームのように、α,ω-カルボン酸末端を含有するシリコーンと、1種又は複数のジアミンとの間の縮合反応によって:
【0511】
- 又は以下の反応スキームのように、α-不飽和カルボン酸とジアミンとの2種の分子の反応によって:
【0513】
- 次いで以下の反応スキームのように、シロキサンをエチレン性不飽和に添加し:
【0515】
[式中、X
1-(CH
2)
2-は、上で定義したXに相当し、且つY、R
4、R
5、R
6、R
7及びmは、上に定義したものである]
- 又は、以下の反応スキームのように、α,ω-NH
2末端を含有するシリコーンと、式HOOC-Y-COOHの二酸との反応による。
【0517】
これらの式(III)又は(IV)のシリコーンポリアミドにおいて、mは、1〜700、特に15〜500、特に50〜200の範囲内にあり、nは、特に1〜500、好ましくは1〜100、更に良好には4〜25の範囲内にあり、
- Xは、好ましくは、1〜30個の炭素原子、特に1〜20個の炭素原子、特に5〜15個の炭素原子、より特定すると10個の炭素原子を含有する、直鎖状又は分枝状のアルキレン鎖であり、
- Yは、好ましくは、1〜40個の炭素原子、特に1〜20個の炭素原子、更に良好には2〜6個の炭素原子、特に6個の炭素原子を含有する、直鎖状若しくは分枝状の、又はそれが環及び/又は不飽和を含むことができるアルキレン鎖である。
【0518】
式(III)及び(IV)中、X又はYを表すアルキレン基は、そのアルキレン部分の中に、以下のメンバーのうちの少なくとも1種を任意選択で含有することができる:
・1〜5つの、アミド、尿素、ウレタン又はカルバメート基
・C
5又はC
6シクロアルキル基、及び
・1〜3個の、同一の又は異なるC
1〜C
3アルキル基で任意選択で置換されたフェニレン基。
【0519】
式(III)及び(IV)中、アルキレン基はまた、以下からなる群から選択される少なくとも1種の構成成分で置換されうる:
- ヒドロキシル基
- C
3〜C
8シクロアルキル基
- 1〜3つのC
1〜C
40アルキル基
- 1〜3つのC
1〜C
3アルキル基で任意選択で置換されたフェニル基
- C
1〜C
3ヒドロキシアルキル基、及び
- C
1〜C
6アミノアルキル基。
【0520】
これらの式(III)及び(IV)中、Yはまた以下を表す:
【0522】
(式中、R
8は、ポリオルガノシロキサン鎖を表し、Tは、次式の基を表す):
【0524】
(式中、a、b及びcは、それぞれ独立に、1〜10を範囲とする整数を表し、且つR
13は、水素原子、又はR
4、R
5、R
6及びR
7について定義したもの等の基である)
【0525】
式(III)及び(IV)中、R
4、R
5、R
6及びR
7は、好ましくは、それぞれ独立に、直鎖状又は分枝状のC
1〜C
40アルキル基、好ましくはCH
3、C
2H
5、n-C
3H
7又はイソプロピル基、ポリオルガノシロキサン鎖、又は1〜3つのメチル又はエチル基で任意選択で置換されたフェニル基を表す。
【0526】
先に見てきたように、ポリマーは、式(III)又は(IV)の、同一又は異なる単位を含むことができる。
【0527】
したがって、ポリマーは、長さの異なる式(III)又は(IV)の幾つかの単位を含有するポリアミド、即ち式(V)に相当するポリアミドとすることができる:
【0529】
(式中、X、Y、n、及びR
4からR
7は、上に付与した意味を有し、m
1及びm
2は、互いに異なり、1〜1000の範囲から選択され、且つpは、2〜300を範囲とする整数である)
【0530】
この式中、単位は、ブロックコポリマー、又はランダムコポリマー若しくは交互コポリマーのいずれかを形成するために構造化されうる。このコポリマー中で、単位は、異なる長さのものであるだけでなく、異なる化学構造のものであり、例えば異なるY基を含有する。この場合、ポリマーは、式VIに相当することができる:
【0532】
(式中、R
4からR
7、X、Y、m
1、m
2、n及びpは、上に付与した意味を有し、且つY
1は、Yとは異なるが、Yについて定義した基から選択される。前述したように、種々の単位が構造化されて、ブロックコポリマー、又はランダムコポリマー若しくは交互コポリマーを形成する)
【0533】
本発明のこの第1の実施形態では、シリコーンポリアミドはまた、グラフト化コポリマーから成っていてもよい。したがって、シリコーン単位を含有するポリアミドは、グラフト化されてもよく、且つアミド基を含有するシリコーン鎖で任意選択で架橋されてもよい。こうしたポリマーは、三官能アミンで合成することができる。
【0534】
この場合、ポリマーは、式(VII)の少なくとも1つの単位を含むことができる:
【0536】
[式中、X
1及びX
2は、同一であっても異なっていてもよく、式(III)のXについて付与した意味を有し、nは、(III)で定義したものであり、Y及びTは、式(III)で定義したものであり、R
14からR
21は、R
4からR
7と同じ基から選択され、m
1及びm
2は、1〜1000の範囲内の数であり、且つpは、2〜500を範囲とする整数である]
【0537】
式(VII)中、以下であることが好ましい:
- pは、1〜25、更に良好には1〜7の範囲内にあり、
- R
14〜R
21は、メチル基であり、
- Tは、次式のうちの1つに相当する:
【0539】
[式中、R
22は、水素原子、又はR
4からR
7について定義した基から選択される基であり、且つR
23、R
24及びR
25は、それぞれ独立に、直鎖状又は分枝状のアルキレン基であり、より好ましくは次式に相当する:
【0541】
詳細には、R
23、R
24及びR
25は、-CH
2-CH
2-を表し、
- m
1及びm
2は、15〜500、更に良好には15〜45の範囲内にあり、
- X1及びX2は、-(CH
2)
10-を表し、且つ
- Yは、-CH
2-を表す]。
【0542】
前に見てきた通り、シロキサン単位は、ポリマーの主鎖(main chain)又は主鎖(backbone)中にあってもよいが、それらはまた、グラフト鎖又はペンダント鎖の中にも存在することができる。主鎖(main chain)中で、シロキサン単位は、上記のセグメントの形態にあることができる。側鎖又はグラフト鎖の中で、シリコーン単位は、個々に見えることがあり、又はセグメントにあるように見えることがある。
【0543】
本発明の好ましい一実施形態の変形によれば、式(III)若しくは(IV)の単位、及び炭化水素系ポリアミド単位を含むコポリマーを使用することができる。この場合、ポリアミドシリコーン単位は、炭化水素系ポリアミドの末端に位置することができる。
【0544】
好ましい一実施形態によれば、シリコーンポリアミドは、式IIIの単位を含む。
【0545】
好ましくは、この実施形態によれば、R
4、R
5、R
6及びR
7基は、メチル基を表し、X及びYのうちの1つは、6個の炭素原子を含有するアルキレン基を表し、もう1つは、11個の炭素原子を含有するアルキレン基を表す。
【0546】
nは、2〜500を範囲とする整数であり、且つnは、ポリマーの重合度DPを表す。
【0547】
こうしたシリコーンポリアミドの例として、Dow Corning社により名称DC 2-8179(DP 100)及びDC 2-8178 (DP 15)で販売されていて、そのINCI名がナイロン-611/ジメチコンコポリマーである化合物を挙げることができる。
【0548】
有利には、本発明で使用される組成物は、一般式(I)(式中、m値は約100である)の少なくとも1種のポリジメチルシロキサンブロックポリマーを含む。
【0549】
「m」値は、ポリマーのシリコーン部の重合度に相当する。
【0550】
より好ましくは、本発明で使用される組成物は、式(III)(式中、mは、50〜200、特に75〜150を範囲とし、好ましくは約100である)の少なくとも1つの単位を含んだ少なくとも1種のポリマーを含む。
【0551】
より好ましくは、R
4、R
5、R
6及びR
7は、それぞれ独立に、直鎖状又は分枝状のC
1〜C
40アルキル基、好ましくはCH
3、C
2H
5、n-C
3H
7基、又は式(III)のイソプロピル基を表す。
【0552】
使用できるシリコーンポリマーの例として、米国特許第A-5981680号の実施例1〜3に従って得られるシリコーンポリアミドのうちの1種を挙げることができる。
【0553】
好ましい一形態によれば、Dow Corning社により名称DC 2-8179(DP 100)で販売されているシリコーンポリアミドが使用される。
【0554】
本発明の組成物中で使用されるシリコーンポリマー及び/又はコポリマーは、有利には、固体状態から液体状態への転移温度が、45℃〜190℃を範囲とする。好ましくは、それらは、固体状態から液体状態への転移温度が、70℃〜130℃、更に良好には80℃〜105℃を範囲とする。
【0555】
好ましくは、本発明で使用される組成物中に存在する先に定義した構造化ポリマーの総量は、活性物質が、組成物の総質量に対して0.1質量%から40質量%の間、又は0.2質量%から25質量%の間、更に良好には0.2質量%から20質量%の間である(上下値を含む)。
【0556】
有利には、本発明で使用される組成物中に存在する先に定義した構造化ポリマーの総量(構造化ポリマー及びオルガノゲル化剤)は、活性物質が、組成物の総質量に対して0.1質量%から40質量%の間、又は0.2質量%から25質量%の間、更に良好には0.2質量%から20質量%の間である(上下値を含む)。
【0557】
好ましい一実施形態によれば、本発明の組成物は、以下から選択されるポリアミドを含む:
(i)式(Ib)のポリアミド:
【0559】
[式中、Xは、-OR
1基(式中、R
1は、同一であっても異なっていてもよい直鎖状又は分枝状のC
8〜C
22及び好ましくはC
16〜C
22アルキル基である)を表し、R
2はC
28〜C
42二酸ダイマー残基であり、R
3はエチレンジアミン基であり、且つnは2から5の間である]、及び/又は
(ii)式(Ia)のアミド末端基を保持する炭化水素系ポリアミド、及び/又は
(iii)式(III)又は(IV)のシリコーンポリアミド、及び/又は
(iv)それらの混合物。
【0560】
一実施形態によれば、好ましくはポリアミドが炭化水素系ポリアミドであるとき、本発明の組成物はまた、
- (C
2〜C
6)ジアルキルN-アシルグルタミド(そこでアシル基は直鎖状のC
8〜C
22アルキル鎖を含む)、好ましくはN-ラウロイルグルタミン酸ジブチルアミドと、
- (C
2〜C
6)ジアルキルN-アシルグルタミド(そこでアシル基は分枝状のC
8〜C
22アルキル鎖を含む)、好ましくはN-2-エチルヘキサノイルグルタミン酸ジブチルアミドと
の混合物を含む。
【0561】
好ましい一実施形態によれば、構造化系は、エステル末端化ポリアミドを含み、好ましくはArizona Chemical社により名称Uniclear 100 VGで販売されているそのINCI名がエチレンジアミン/ダイマージリノール酸ステアリルコポリマーである化合物であり、且つ任意選択で、N-ラウロイルグルタミン酸ジブチルアミドと、N-2-エチルヘキサノイルグルタミン酸ジブチルアミドとの混合物である。
【0562】
添加剤
本発明の組成物は、化粧品及び皮膚科学において従来技術で添加剤として使用される任意の成分を更に含んでもよい。
【0563】
これらの添加剤は、有利には、抗酸化剤、増粘化剤、甘味剤、塩基性化剤、酸性化剤、及び保存剤、並びにそれらの混合物から選択される。
【0564】
好ましい一実施形態によれば、本発明の組成物は、色素、炭化水素系樹脂、デキストリンエステル、ワックス、ペースト状脂肪物質、皮膜形成性ポリマー、炭化水素系ブロックコポリマー、エチレン性ブロックコポリマー、オルガノゲル化剤、炭化水素系ポリアミド、シリコーンポリアミド、ポリウレタン、半結晶性ポリマー、追加の充填剤、活性剤、特にグリセロール等の保湿剤、抗酸化剤、甘味剤、塩基性化又は酸性化保存剤、並びにそれらの混合物から選択される少なくとも1種の追加の化合物を含む。
【0565】
言うまでもなく、当業者であれば、本発明の組成物の有利な特性が、想定される添加によって、全く又は実質的に悪影響を受けないように、これらの任意の追加の化合物及び/又はそれらの量を慎重に選択することになる。
【0566】
本発明の組成物は、液体形態にあり、例えばリップグロスの形態にある。
【0567】
用語「液体」は、流体のテクスチャ、即ち特にクリーミー又はペースト状の形態にあってもよいものを意味する。本発明の組成物は、特に、皮膚又は唇をメイクアップする及び/又はケアすることが企図されたグロス形態にあってもよい。用語「液体」は、特に、室温(20〜25℃)で固体でなく、その粘度を測定することが可能である組成物を意味する。
【0568】
粘度を測定するためのプロトコル:
粘度測定は、No.4スピンドルが備え付けられたRheomat RM180粘度計を用いて25℃で一般に実施し、測定は、組成物中でスピンドルが回転してから10分後に(この時間の後に粘度の安定及びスピンドルのスピン速度の安定が観察される)、せん断速度200rpmで実施する。
【0569】
好ましくは、組成物は、25℃で、粘度が1Pa.sから25Pa.sの間であり、好ましくは2Pa.sから20Pa.sの間である。
【0570】
好ましくは、本発明の組成物の25℃での粘度は、3Pa.sから17Pa.sの間である。
【0571】
用語「の間の」及び「を範囲とする」は、上下値を含むと理解されるべきである。
【0572】
以下の実施例は、例示として付与するものであり、限定する性質は一切ない。
【0573】
別段の指定がない限り、以下の実施例における値は、組成物の総質量に対する質量%として表す。
【実施例】
【0574】
<実施例1>
液体リップ組成物
本発明の、液体リップ組成物の形態にある以下の組成物1を調製した。組成物1は、リップグロスであり、油、疎水性エアロゲル粒子及び半結晶性ポリマーを含む。
【0575】
【表1】
【0576】
調製プロトコル
組成物1を、以下のプロトコルに従って得た:
第1の段階で、充填剤、顔料及び/又は相の活性剤を、油性相(ネオペンタン酸オクチルドデシル)の一部の中で3本ロール粉砕機で砕いた。
並行して、純粋なプレゲルを、炭化水素系樹脂及び炭化水素系コポリマーを油性相(ポリデセン、ポリブテン、ネオペンタン酸オクチルドデシル)の一部の中に分散させることによって調製した。プレゲルを、加熱パンの中に置いた。
【0577】
次いで、脂溶性成分の残りを、温度約100℃に加熱した加熱パンへ加え、均質な混合物が得られるまでライネリブレンディングした。次いで、砕いた顔料材料を混合物中へ組み入れ、混合物が均質になるまで撹拌を続けた。
最後に、組成物を小さなポットの中へ注入し、次いで、室温で24時間置いた。
【0578】
組成物の評価
粘度:組成物の25℃での粘度を、先に記載したプロトコルに従って評価した。
【0579】
安定性:組成物の安定性を、組成物を、室温及び42℃で、72時間貯蔵することによって、且つ油性相の分離、及び/又は顔料及び/又は真珠層の沈降が起きるかどうかを観察することによって、評価した。組成物の安定性はまた、450×gの速度で10分間の遠心分離にかけた後にも評価した。
【0580】
組成物の安定性はまた、室温及び42℃で、1か月後にも評価した。
【0581】
粘着(タック):組成物で得られた堆積物の粘着の性質(タック性)を、組成物を唇へ適用することによって評価した。粘着を、適用5分後に、上唇と下唇とを一緒に押し付けて唇の分離への抵抗性を評価することによって、評価する。
【0582】
グロス:組成物で得られた堆積物のグロスのある性質を、組成物を唇へ適用することによって、評価した。具体的には、グロスは、適用直後の時点で評価する。
【0583】
色移り耐性:堆積物の、特に堆積物の色の、移り耐性を、組成物を唇の上に適用して次いで適用5分後に白色の陶器のカップに、このカップから飲むかのように唇をつけることによって試験した。色移り耐性は、唇によってカップに残ったマークの色の強さが弱いほど、比例して大きい。
【0584】
適用特性:組成物の、唇への適用しやすさ、及び特に適用時のすべりを、特に評価する。
【0585】
結果は以下の通りである。
【0586】
【表2】
【0587】
組成物1は、均質で安定である。具体的には、室温又は42℃で72時間後に、真珠層及び/又は顔料の沈降は観察されない。安定性もまた、24℃で1か月後に、且つ42℃で1か月後に試験したところ、組成物は、遠心分離試験後でも、依然として均質であった。組成物は、適用しやすく、組成物は適用中に唇の上でよくすべる。更に、得られた堆積物は、快適で、グロスがあり、粘着性がわずかであり、移り耐性が良好なレベルである(良好な色移り耐性)。