特許第6675219号(P6675219)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6675219
(24)【登録日】2020年3月12日
(45)【発行日】2020年4月1日
(54)【発明の名称】養生シート
(51)【国際特許分類】
   E04G 21/30 20060101AFI20200323BHJP
   E04G 21/24 20060101ALI20200323BHJP
【FI】
   E04G21/30 A
   E04G21/24 A
【請求項の数】7
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2016-31197(P2016-31197)
(22)【出願日】2016年2月22日
(65)【公開番号】特開2017-150155(P2017-150155A)
(43)【公開日】2017年8月31日
【審査請求日】2018年11月1日
(73)【特許権者】
【識別番号】000010065
【氏名又は名称】フクビ化学工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100161207
【弁理士】
【氏名又は名称】西澤 和純
(74)【代理人】
【識別番号】100140774
【弁理士】
【氏名又は名称】大浪 一徳
(74)【代理人】
【識別番号】100196058
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 彰雄
(74)【代理人】
【識別番号】100064908
【弁理士】
【氏名又は名称】志賀 正武
(74)【代理人】
【識別番号】100108578
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 詔男
(74)【代理人】
【識別番号】100094400
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 三義
(72)【発明者】
【氏名】藤田 剛志
(72)【発明者】
【氏名】長谷川 意法
(72)【発明者】
【氏名】田中 俊也
【審査官】 西村 隆
(56)【参考文献】
【文献】 実開平01−168756(JP,U)
【文献】 特開平09−109308(JP,A)
【文献】 実開平04−109138(JP,U)
【文献】 特開2014−227718(JP,A)
【文献】 特開2001−303769(JP,A)
【文献】 特開2012−122214(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04G 21/24
E04G 21/30
E04B 1/98
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
表面に同じ柄の繰り返しによるエンボスパターンが形成されると共に、折り曲げ罫線に沿って折り曲げ自在とされたシート基材を備え、
前記シート基材は、前記折り曲げ罫線に沿って形成された複数の折り目パターンを有し、
前記複数の折り目パターンは、前記エンボスパターンを分断する方向に断続的に並んで設けられており、
前記エンボスパターンは、第1の凹部の周囲を第1の凸部が囲む柄の繰り返しによって形成されており、
前記複数の折り目パターンは、第2の凹部によって形成されていることを特徴とする養生シート。
【請求項2】
前記第2の凹部を挟んだ両側には、第2の凸部が前記折り曲げ罫線に沿って形成されていることを特徴とする請求項に記載の養生シート。
【請求項3】
前記第2の凸部は、前記第2の凹部の周囲を囲んだ状態で、前記エンボスパターンを分断する方向に連続して設けられていることを特徴とする請求項に記載の養生シート。
【請求項4】
前記第1の凸部は、前記シート基材の短手方向及び長手方向に対して斜めに配置されていることを特徴とする請求項の何れか一項に記載の養生シート。
【請求項5】
前記折り曲げ罫線は、前記シート基材の短手方向に平行に配置されると共に、前記シート基材の長手方向に所定の間隔で並んで設けられていることを特徴とする請求項1〜の何れか一項に記載の養生シート。
【請求項6】
前記折り曲げ罫線は、前記シート基材の長手方向に平行に配置されると共に、前記シート基材の短手方向に所定の間隔で並んで設けられていることを特徴とする請求項1〜の何れか一項に記載の養生シート。
【請求項7】
前記シート基材は、厚紙と、前記厚紙の一面に貼り付けられると共にエンボス加工が施された樹脂フィルムと、前記厚紙の他面に貼り付けられた発泡樹脂シートとを含み、
前記エンボスパターン及び前記複数の折り目パターンは、前記エンボス加工によって前記樹脂フィルムに一体に形成されていることを特徴とする請求項1〜の何れか一項に記載の養生シート。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、養生シートに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、建物内で荷物や資材等を搬送する際に、養生シートを建物の床面や壁面に設置し、床面や壁面を一時的に保護することが行われている(例えば、特許文献1〜4を参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実公平7−23487号公報
【特許文献2】実開平4−109138号公報
【特許文献3】特開平9−317190号公報
【特許文献4】特開2011−769号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、床面及び壁面を養生シートで保護する場合、従来は床面用の養生シートと壁面用の養生シートとを別々に用意し、それぞれの養生シートを床面と壁面とに別々に設置している。このため、従来は施工の際に非常に手間がかかっていた。
【0005】
そこで、1枚の養生シートを床面と壁面との間で折り曲げて設置することができれば、施工の手間を省くことができる。しかしながら、従来の養生シートは、表面全体に補強用のエンボス加工が施されている。このため、養生シートは一般的に折り曲げづらく、床面と壁面との間で養生シートを綺麗に折り曲げることが難しかった。
【0006】
本発明は、このような従来の事情に鑑みて提案されたものであり、エンボス加工による強度を保ちつつ、折り罫線に沿って容易に折り曲げることを可能とした養生シートを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の目的を達成するために、本発明は以下の手段を提供する。
(1) 表面に同じ柄の繰り返しによるエンボスパターンが形成されると共に、折り曲げ罫線に沿って折り曲げ自在とされたシート基材を備え、
前記シート基材は、前記折り曲げ罫線に沿って形成された複数の折り目パターンを有し、
前記複数の折り目パターンは、前記エンボスパターンを分断する方向に断続的に並んで設けられており、
前記エンボスパターンは、第1の凹部の周囲を第1の凸部が囲む柄の繰り返しによって形成されており、
前記複数の折り目パターンは、第2の凹部によって形成されていることを特徴とする養生シート。
) 前記第2の凹部を挟んだ両側には、第2の凸部が前記折り曲げ罫線に沿って形成されていることを特徴とする前記()に記載の養生シート。
) 前記第2の凸部は、前記第2の凹部の周囲を囲んだ状態で、前記エンボスパターンを分断する方向に連続して設けられていることを特徴とする前記()に記載の養生シート。
) 前記第1の凸部は、前記シート基材の短手方向及び長手方向に対して斜めに配置されていることを特徴とする前記()〜()の何れか一項に記載の養生シート。
) 前記折り曲げ罫線は、前記シート基材の短手方向に平行に配置されると共に、前記シート基材の長手方向に所定の間隔で並んで設けられていることを特徴とする前記(1)〜()の何れか一項に記載の養生シート。
) 前記折り曲げ罫線は、前記シート基材の長手方向に平行に配置されると共に、前記シート基材の短手方向に所定の間隔で並んで設けられていることを特徴とする前記(1)〜()の何れか一項に記載の養生シート。
) 前記シート基材は、厚紙と、前記厚紙の一面に貼り付けられると共にエンボス加工が施された樹脂フィルムと、前記厚紙の他面に貼り付けられた発泡樹脂シートとを含み、
前記エンボスパターン及び前記複数の折り目パターンは、前記エンボス加工によって前記樹脂フィルムに一体に形成されていることを特徴とする前記(1)〜()の何れか一項に記載の養生シート。
【発明の効果】
【0008】
以上のように、本発明によれば、エンボス加工による強度を保ちつつ、折り罫線に沿って容易に折り曲げることを可能とした養生シートを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の一実施形態として示す養生シートの平面図である。
図2図1に示す養生シートの断面図である。
図3図1に示す養生シートの使用形態の一例を示す側面図である。
図4】変形例として示す養生シートの平面図である。
図5】参考例として示す養生シートの平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。なお、以下の説明で用いる図面は、特徴をわかりやすくするために、便宜上特徴となる部分を拡大して示している場合があり、各構成要素の寸法比率などが実際と同じであるとは限らないものとする。
【0011】
本発明の一実施形態として、例えば図1及び図2に示すような養生シート1について説明する。なお、図1は、養生シート1の構成を示す平面図である。図2は、養生シート1の構成を示す断面図である。
【0012】
養生シート1は、図1及び図2に示すように、厚紙2と、厚紙2の一面に貼り付けられた樹脂フィルム3と、厚紙2の他面に貼り付けられた発泡樹脂シート4とを含むシート基材10を備えている。
【0013】
なお、厚紙2、樹脂フィルム3及び発泡樹脂シート4の材質については、特に限定されるものではなく、養生シート1として使用可能なものを適宜選択して用いればよい。例えば、本実施形態では、厚紙2に板紙、樹脂フィルム3にポリエチレンフィルム、発泡樹脂シート4に発泡ポリエチレンシートを用いている。
【0014】
樹脂フィルム3の表面には、エンボス加工が施されることによって、同じ柄の繰り返しによるエンボスパターン5が形成されている。エンボスパターン5は、第1の凹部5aの周囲を第1の凸部5bが囲む柄(本実施形態では菱形柄)の繰り返しによって形成されている。すなわち、このエンボスパターン5は、互いに平行に並ぶ帯状の第1の凸部5bが斜めに交差することによって、その間に菱形の第1の凹部5aがシート基材10の短手方向及び長手方向に等間隔に並んで形成された構成(柄)を有している。養生シート1では、このようなエンボスパターン5をシート基材10に設けることで、このシート基材10の曲げ強度(剛性)を高める(補強する)ことが可能である。
【0015】
シート基材10は、折り曲げ罫線Lに沿って折り曲げ自在とされている。折り曲げ罫線Lは、シート基材10の短手方向(幅方向)に平行に配置されると共に、シート基材10の長手方向(長さ方向)に所定の間隔で並んで設けられている。
【0016】
シート基材10は、これらの折り曲げ罫線Lに沿って形成された複数の折り目パターン6を有している。複数の折り目パターン6は、エンボスパターン5を分断する方向(短手方向)に断続的に並んで設けられている。すなわち、複数の折り目パターン6は、一定の間隔を空けながら折り曲げ罫線L上に並んで設けられている。
【0017】
複数の折り目パターン6は、上述したエンボスパターン5と共に、エンボス加工によって樹脂フィルム3に一体に形成されている。具体的に、複数の折り目パターン6は、帯状の第2の凹部6aによって形成されている。また、第2の凹部6aを挟んだ両側には、帯状の第2の凸部6bが折り曲げ罫線Lに沿って形成されている。すなわち、第2の凹部6aは、第2の凸部6bの間に位置している。
【0018】
折り目パターン6は、互いに交差する第1の凸部5bの各交点を結ぶラインを避けた位置において、第1の凹部5aを分断するように設けられている。仮に、折り目パターン6が第1の凸部5bの各交点を結ぶライン上に位置した場合には、シート基材10の面上において第1の凸部5bが占める割合(面積)が減少することによって、シート基材10の曲げ強度(剛性)が低下するため、好ましくない。
【0019】
また、上記養生シート1では、各折り曲げ罫線Lに沿った折り曲げ位置を表示するため、シート基材10の一面(樹脂フィルム3)に印刷等が施されている。
【0020】
以上のような構成を有する養生シート1の使用形態の一例を図3に示す。なお、図3は、養生シート1の使用形態の一例を示す断面図である。
【0021】
養生シート1は、ロール状に巻かれた原反から巻き出されて、所望の長さで切断して使用される。切り出された1枚の養生シート1は、図3に示すように、床面Fと壁面Wとの間で折り曲げて設置される。なお、養生シート1は、発泡樹脂シート4側を床面Fに向けて設置される。
【0022】
養生シート1を折り曲げる際は、上述した折り曲げ罫線Lに沿ってシート基材10を略直角に折り曲げる。このとき、複数の折り目パターン6(凹部6a)を起点にして、シート基材10を折り曲げ罫線Lに沿って容易に折り曲げることが可能である。
【0023】
以上のように、本実施形態では、エンボス加工により補強された養生シート1であっても、この養生シート1を折り罫線Lに沿って容易に折り曲げることが可能である。また、本実施形態では、この養生シート1を床面Fと壁面Wとの間で折り曲げて設置することで、従来のような養生シートを床面Fと壁面Wとに別々に設置するといった施工の手間を省くことが可能である。また、本実施形態では、床面Fと壁面Wとの間で折り曲げられた養生シート1の反発力を利用して、養生シート1を壁面Wに押し当てることができる。
【0024】
なお、本発明は、上記実施形態のものに必ずしも限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。
具体的に、上記養生シート1の変型例として、例えば図4に示すような養生シート1Aを挙げることができる。なお、図4は、養生シート1Aの構成を示す平面図である。また、以下の説明では、上記養生シート1と同等の部位については、説明を省略すると共に、図面において同じ符号を付すものとする。
【0025】
図4に示す養生シート1Aは、上記養生シート1とは異なる折り曲げパターン6Aを有している。すなわち、この折り曲げパターン6Aは、帯状の第2の凸部6bが第2の凹部6aの周囲を囲んだ状態で、エンボスパターン5を分断する方向(短手方向)に第2の凸部6bが連続して設けられた構成を有している。すなわち、この折り曲げパターン6Aでは、第2の凸部6bの内側に第2の凹部6aが位置している。
【0026】
以上のような構成を有する養生シート1Aを使用した場合でも、この養生シート1Aを折り罫線Lに沿って容易に折り曲げることが可能である。また、上記養生シート1と同様に、この養生シート1Aを床面Fと壁面Wとの間で折り曲げて設置することで、従来のような養生シートを床面Fと壁面Wとに別々に設置するといった施工の手間を省くことが可能である。また、床面Fと壁面Wとの間で折り曲げられた養生シート1Aの反発力を利用して、養生シート1Aを壁面Wに押し当てることができる。
【0027】
なお、上記養生シート1,1Aの使用形態については、上述した床面Fと壁面Wとの間で折り曲げて設置する場合に必ずしも限定されるものではなく、様々な使用形態を取ることが可能である。その場合、使用形態に合わせて、上記養生シート1,1Aを複数箇所(折り曲げ罫線L)で折り曲げて使用することも可能である。
【0028】
また、上記養生シート1,1Aについては、折り曲げずに使用することも可能である。このとき、上記折り曲げパターン6,6Aによってシート基材10の強度が特に弱くなることはない。
【0029】
一方、参考例として、図5に示すような養生シート100を例示する。なお、図5は、養生シート100の構成を示す平面図である。また、図5では、上記養生シート1と同等の部位については、同じ符号を付している。
【0030】
図5に示す養生シート100は、上記養生シート1,1Aとは異なる折り曲げパターン6Bを有している。すなわち、この折り曲げパターン6Bは、エンボスパターン5を分断する方向(短手方向)に第2の凹部6aが連続して設けられた構成を有している。また、第2の凹部6aを挟んだ両側に第2の凹部6aが連続して設けられている。
【0031】
この構成の場合、養生シート100を折り曲げ罫線Lに沿って折り曲げる前から、この折り曲げパターン6Bによって折り曲げ強度(剛性)が低下することになる。このため、養生シート100では、折り曲げ罫線Lに沿ってシート基材10が折り曲げ易くなるものの、シート基材10自体の強度が弱くなってしまう。
【0032】
なお、上記養生シート1,1Aでは、上述したエンボスパターン5が菱形柄を有する場合に限らず、例えば六角形柄や円形柄などであってもよい。この場合、各第1の凹部5aの間に形成される第1の凸部5bをシート基材10の短手方向及び長手方向に対して斜めに配置することが好ましい。これにより、シート基材10の曲げ強度(剛性)を高めることが可能である。
【0033】
また、折り曲げ罫線L(折り曲げパターン6,6A)については、シート基材1,1Aの短手方向(幅方向)に平行に配置された構成に限らず、シート基材1,1Aの長手方向(長さ方向)に平行に配置された構成としてもよい。また、折り曲げ罫線L(折り曲げパターン6,6A)は、シート基材10の短手方向に所定の間隔で並んで設けられていてもよい。
【0034】
なお、シート基材1,1Aの長手方向(長さ方向)に平行に配置される折り曲げ罫線Lについては、シート基材1,1Aの曲げ強度(剛性)に影響を与えない範囲で、上述した折り目パターン6,6Aを連続して設けた構成としてもよい。
【符号の説明】
【0035】
1,1A…養生シート 2…厚紙 3…樹脂フィルム 4…発泡樹脂シート 5…エンボスパターン 5a…第1の凹部 5b…第2の凹部 6,6A…折り目パターン 6a…第1の凹部 6b…第2の凸部 10…シート基材 L…折り曲げ罫線 W…壁面 F…床面
図1
図2
図3
図4
図5