特許第6675223号(P6675223)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6675223
(24)【登録日】2020年3月12日
(45)【発行日】2020年4月1日
(54)【発明の名称】ロボットアームおよびロボット
(51)【国際特許分類】
   B25J 18/00 20060101AFI20200323BHJP
   B25J 19/06 20060101ALI20200323BHJP
【FI】
   B25J18/00
   B25J19/06
【請求項の数】5
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2016-33378(P2016-33378)
(22)【出願日】2016年2月24日
(65)【公開番号】特開2017-148896(P2017-148896A)
(43)【公開日】2017年8月31日
【審査請求日】2018年11月30日
(73)【特許権者】
【識別番号】592152266
【氏名又は名称】株式会社KEC
(74)【代理人】
【識別番号】100125690
【弁理士】
【氏名又は名称】小平 晋
(72)【発明者】
【氏名】中村 勝年
【審査官】 貞光 大樹
(56)【参考文献】
【文献】 特開平5−318345(JP,A)
【文献】 実開昭61−85731(JP,U)
【文献】 特開2011−125982(JP,A)
【文献】 特開平9−254078(JP,A)
【文献】 特開2009−107110(JP,A)
【文献】 特開2005−103751(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B25J 1/00 − 21/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基端側が回転可能に支持されるロボットアームにおいて、
前記ロボットアームの長手方向と上下方向とに直交する方向を第1方向とすると、
前記ロボットアームの基端側部分を構成する基端部と、前記ロボットアームの先端側部分を構成する先端部と、前記ロボットアームの上面を構成するとともに前記基端部の上端側と前記先端部の上端側とを繋ぐ平板状の第1の板バネと、前記ロボットアームの下面を構成するとともに前記第1の板バネと平行に配置され前記基端部の下端側と前記先端部の下端側とを繋ぐ平板状の第2の板バネと、前記第1方向における前記ロボットアームの両側面のそれぞれを構成する平板状の2枚の板状部材と、前記板状部材を前記第1方向へ移動させる駆動機構とを備え、
前記基端部は、前記基端部に対する前記板状部材の上側への相対移動を規制するための上側規制部を備え、
前記先端部は、前記先端部に対する前記板状部材の下側への相対移動を規制するための下側規制部を備え、
前記駆動機構は、前記上側規制部と前記板状部材とが上下方向で重なるとともに前記下側規制部と前記板状部材とが上下方向で重なって前記先端部が持ち上がる方向への前記第1の板バネおよび前記第2の板バネの弾性変形を規制する変形規制位置と、前記上側規制部および前記下側規制部の少なくともいずれか一方の少なくとも一部と前記板状部材の少なくとも一部とが前記第1方向でずれて前記先端部が持ち上がる方向への前記第1の板バネおよび前記第2の板バネの弾性変形が可能となる変形可能位置との間で前記板状部材を移動させることを特徴とするロボットアーム。
【請求項2】
前記駆動機構は、前記基端部に取り付けられ、
前記板状部材の一端側は、前記先端部に回動可能に保持され、
前記板状部材の他端側に、前記駆動機構が連結され、
前記変形可能位置では、前記下側規制部と前記板状部材とが上下方向で重なるとともに前記第1方向において前記上側規制部の少なくとも一部と前記板状部材の少なくとも一部とがずれていることを特徴とする請求項1記載のロボットアーム。
【請求項3】
前記駆動機構は、エアシリンダを備え、
前記板状部材の他端側に、前記エアシリンダのロッドが連結されていることを特徴とする請求項2記載のロボットアーム。
【請求項4】
前記基端部は、前記基端部に対する前記板状部材の下側への相対移動を規制するための第2下側規制部を備え、
前記先端部は、前記先端部に対する前記板状部材の上側への相対移動を規制するための第2上側規制部を備え、
前記変形規制位置および前記変形可能位置において、前記第2下側規制部と前記板状部材とが上下方向で重なるとともに前記第2上側規制部と前記板状部材とが上下方向で重なって前記先端部が下がる方向への前記第1の板バネおよび前記第2の板バネの弾性変形が規制されていることを特徴とする請求項2または3記載のロボットアーム。
【請求項5】
請求項1から4のいずれかに記載のロボットアームと、前記ロボットアームの基端側を回転可能に支持する支持部とを備えることを特徴とするロボット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ロボットアームに関する。また、本発明は、かかるロボットアームを備えるロボットに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、第1アームと、第1アームの先端部に基端部が連結される第2アームと、第2アームの先端部に取り付けられるチャックとを備えるロボットアームが知られている(たとえば、特許文献1参照)。特許文献1に記載のロボットアームでは、第1アームの基端部が縦シャフトに固定されており、ロボットアームは、θ回転手段に回転可能に支持されている。また、このロボットアームでは、第1アームの先端部の下側に第2アームの基端部が重なるように配置されており、第1アームの先端部と第2アームの基端部とは関節部によって連結されている。関節部は、縦横のヒンジ機構と緩衝手段とを備えている。緩衝手段では、第2アームを第1アームの延長線上で維持するための姿勢維持手段と、第2アームの基端部を支点にして第2アームの先端部が左右方向および上方向へ移動するように第1アームの延長線上から第2アームを退避させる退避手段とが一体化されている。
【0003】
特許文献1に記載のロボットアームでは、たとえば、動作時のロボットアームが周辺の構造物等に衝突して、第2アームに側方から衝撃が加わると、第2アームの先端部が右上方あるいは左上方へ移動するように第1アームの延長線上から第2アームが退避する。また、このロボットアームでは、たとえば、動作時のロボットアームが周辺の構造物等に衝突して、第2アームに下方から衝撃が加わると、第2アームの先端部が上方へ移動するように第1アームの延長線上から第2アームが退避する。そのため、このロボットアームでは、ロボットアームに予期せぬ衝撃が加わったときのロボットアームの損傷を防止することが可能になっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2011−240450号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載のロボットアームは、先端部にチャックを備えており、チャックで部品を把持して所定の位置へ搬送する。このロボットアームを有するロボットは、所定の組立システムに設置されて使用されることがあり、この組立システムの市場では、たとえば、チャックで把持して所定位置へ搬送した後の部品をそのまま、他の部品に軽圧入したいとのニーズがある。すなわち、この組立システムの市場では、所定位置へ部品を搬送した後のロボットアームをそのまま用いて、ロボットアームの先端部に下側からの負荷がかかる軽圧入等の作業を行いたいとのニーズがある。
【0006】
しかしながら、特許文献1に記載のロボットアームを用いてロボットアームの先端部に下側からの負荷がかかる軽圧入等の作業を行うと、第2アームが退避して、軽圧入等の作業を行うことができないといった状況が生じうる。
【0007】
そこで、本発明の課題は、予期せぬ衝撃がロボットアームの下側から加わったときのロボットアームの損傷を防止することが可能であっても、ロボットアームに下側からの負荷がかかる軽圧入等の作業を行うことが可能なロボットアームを提供することにある。また、本発明の課題は、かかるロボットアームを備えるロボットを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の課題を解決するため、本発明のロボットアームは、基端側が回転可能に支持されるロボットアームにおいて、ロボットアームの長手方向と上下方向とに直交する方向を第1方向とすると、ロボットアームの基端側部分を構成する基端部と、ロボットアームの先端側部分を構成する先端部と、ロボットアームの上面を構成するとともに基端部の上端側と先端部の上端側とを繋ぐ平板状の第1の板バネと、ロボットアームの下面を構成するとともに第1の板バネと平行に配置され基端部の下端側と先端部の下端側とを繋ぐ平板状の第2の板バネと、第1方向におけるロボットアームの両側面のそれぞれを構成する平板状の2枚の板状部材と、板状部材を第1方向へ移動させる駆動機構とを備え、基端部は、基端部に対する板状部材の上側への相対移動を規制するための上側規制部を備え、先端部は、先端部に対する板状部材の下側への相対移動を規制するための下側規制部を備え、駆動機構は、上側規制部と板状部材とが上下方向で重なるとともに下側規制部と板状部材とが上下方向で重なって先端部が持ち上がる方向への第1の板バネおよび第2の板バネの弾性変形を規制する変形規制位置と、上側規制部および下側規制部の少なくともいずれか一方の少なくとも一部と板状部材の少なくとも一部とが第1方向でずれて先端部が持ち上がる方向への第1の板バネおよび第2の板バネの弾性変形が可能となる変形可能位置との間で板状部材を移動させることを特徴とする。
【0009】
本発明のロボットアームでは、ロボットアームの基端側部分を構成する基端部と、ロボットアームの先端側部分を構成する先端部とが、ロボットアームの上面を構成する第1の板バネと、ロボットアームの下面を構成するとともに第1の板バネと平行に配置される第2の板バネとによって繋がれている。また、本発明では、第1方向におけるロボットアームの両側面のそれぞれを構成する板状部材は、上側規制部と板状部材とが上下方向で重なるとともに下側規制部と板状部材とが上下方向で重なって先端部が持ち上がる方向への第1の板バネおよび第2の板バネの弾性変形を規制する変形規制位置と、上側規制部および下側規制部の少なくともいずれか一方の少なくとも一部と板状部材の少なくとも一部とが第1方向でずれて先端部が持ち上がる方向への第1の板バネおよび第2の板バネの弾性変形が可能となる変形可能位置との間で移動可能となっている。
【0010】
そのため、本発明では、板状部材が変形可能位置にあれば、ロボットアームに下側から衝撃が加わったときに、第1の板バネおよび第2の板バネの弾性変形を利用して、基端部に対して先端部が持ち上がるようにロボットアームを変形させることが可能になる。したがって、本発明では、板状部材が変形可能位置にあれば、予期せぬ衝撃がロボットアームの下側から加わったときのロボットアームの損傷を防止することが可能になる。また、本発明では、板状部材が変形規制位置にあれば、板状部材の剛性を利用して、ロボットアームに下側からの負荷が加わったときのロボットアームの変形を防止することが可能になる。以上から、本発明では、ロボットアームに下側からの負荷がかかる軽圧入等の作業を行わないときに、板状部材を変形可能位置に配置し、ロボットアームに下側からの負荷がかかる作業を行うときに、板状部材を変形規制位置に移動させることで、予期せぬ衝撃がロボットアームの下側から加わったときのロボットアームの損傷を防止することが可能であっても、ロボットアームに下側からの負荷がかかる軽圧入等の作業をロボットアームで行うことが可能になる。
【0011】
本発明において、駆動機構は、基端部に取り付けられ、板状部材の一端側は、先端部に回動可能に保持され、板状部材の他端側に、駆動機構が連結され、変形可能位置では、下側規制部と板状部材とが上下方向で重なるとともに第1方向において上側規制部の少なくとも一部と板状部材の少なくとも一部とがずれていることが好ましい。このように構成すると、先端部に駆動機構が取り付けられている場合と比較して、ロボットアームの先端側の重量を軽減することが可能になる。したがって、基端側を中心にして回転する際のロボットアームの回転モーメントを低減することが可能になる。
【0012】
本発明において、駆動機構は、エアシリンダを備え、板状部材の他端側に、エアシリンダのロッドが連結されていることが好ましい。このように構成すると、比較的簡易な構成によって、変形規制位置と変形可能位置との間で板状部材を動かすことが可能になる。
【0013】
本発明において、基端部は、基端部に対する板状部材の下側への相対移動を規制するための第2下側規制部を備え、先端部は、先端部に対する板状部材の上側への相対移動を規制するための第2上側規制部を備え、変形規制位置および変形可能位置において、第2下側規制部と板状部材とが上下方向で重なるとともに第2上側規制部と板状部材とが上下方向で重なって先端部が下がる方向への第1の板バネおよび第2の板バネの弾性変形が規制されていることが好ましい。このように構成すると、基端部に対して先端部が下降するロボットアームの変形を防止することが可能になる。したがって、たとえば、先端部に取り付けられるチャックによって重い部品を把持して持ち上げたときのロボットアームの変形を防止することが可能になる。
【0014】
本発明のロボットアームは、ロボットアームの基端側を回転可能に支持する支持部を備えるロボットに用いることができる。このロボットでは、予期せぬ衝撃がロボットアームの下側から加わったときのロボットアームの損傷を防止することが可能であっても、ロボットアームに下側からの負荷がかかる軽圧入等の作業を行うことが可能になる。
【発明の効果】
【0015】
以上のように、本発明では、予期せぬ衝撃がロボットアームの下側から加わったときのロボットアームの損傷を防止することが可能であっても、ロボットアームに下側からの負荷がかかる軽圧入等の作業をロボットアームで行うことが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明の実施の形態にかかるロボットの側面図である。
図2図1に示すロボットアームの斜視図である。
図3図2に示す板状部材が変形可能位置にあるときにロボットアームを示す図であり、(A)は上面図、(B)は底面図である。
図4図2に示す板状部材が変形規制位置にあるときにロボットアームを示す図であり、(A)は上面図、(B)は底面図である。
図5図3に示すロボットアームの先端側に下側から衝撃が加わったときのロボットアームの状態を示す図であり、(A)は側面図、(B)は斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施の形態を説明する。
【0018】
(ロボットの全体構成)
図1は、本発明の実施の形態にかかるロボット1の側面図である。
【0019】
本形態のロボット1は、たとえば、複数の部品を自動的に整列させて供給する部品供給システムで使用される。この部品供給システムは、複数の部品を自動的に整列させる複数の部品整列装置を備えており、ロボット1は、部品整列装置で整列させた整列後の部品を取り出して所定の位置へ搬送する。具体的には、ロボット1は、部品整列装置で整列させた部品を把持して部品整列装置の上側へ持ち上げた後に、所定の位置へ搬送する。
【0020】
ロボット1は、ロボットアーム2と、ロボットアーム2の先端側に取り付けられるチャック3と、ロボットアーム2の基端側を回転可能に支持する支持部4とを備えている。チャック3は、部品を把持するための複数の爪や吸着パッド等を備えている。支持部4は、部品供給システムのフレームに取り付けられている。また、支持部4は、部品供給システムのフレームに対して水平方向および上下方向へ移動可能となっている。支持部4は、減速機を介してロボットアーム2の基端側が連結されるモータを備えており、ロボットアーム2の基端側は、支持部4の上面側に回転可能に連結されている。
【0021】
(ロボットアームの構成)
図2は、図1に示すロボットアーム2の斜視図である。図3は、図2に示す板状部材11、12が変形可能位置11B、12Bにあるときにロボットアーム2を示す図であり、(A)は上面図、(B)は底面図である。図4は、図2に示す板状部材11、12が変形規制位置11A、12Aにあるときにロボットアーム2を示す図であり、(A)は上面図、(B)は底面図である。図5は、図3に示すロボットアーム2の先端側に下側から衝撃が加わったときのロボットアーム2の状態を示す図であり、(A)は側面図、(B)は斜視図である。
【0022】
以下の説明では、ロボットアーム2の長手方向(図2等のX方向)を前後方向とし、前後方向と上下方向とに直交する方向(図2等のY方向)を左右方向とする。また、前後方向のうちのロボットアーム2の先端側(図2等のX1方向側)を「前」側とし、その反対側であるロボットアーム2の基端側(図2等のX2方向側)を「後(後ろ)側」とし、左右方向のうちの一方側(図2等のY1方向側)を「右」側とし、その反対側(図2等のY2方向側)を「左」側とする。本形態の左右方向(Y方向)は、第1方向である。
【0023】
ロボットアーム2は、上下方向の厚さが薄い扁平な略直方体に形成されている。このロボットアーム2は、ロボットアーム2の基端側部分を構成する基端部7と、ロボットアーム2の先端側部分を構成する先端部8と、ロボットアーム2の上面を構成するとともに基端部7の上端側と先端部8の上端側とを繋ぐ第1の板バネとしての板バネ9と、ロボットアーム2の下面を構成するとともに基端部7の下端側と先端部8の下端側とを繋ぐ第2の板バネとしての板バネ10とを備えている。また、ロボットアーム2は、ロボットアーム2の右側面を構成する平板状の板状部材11と、ロボットアーム2の左側面を構成する平板状の板状部材12と、板状部材11、12を左右方向へ移動させる駆動機構13とを備えている。
【0024】
板バネ9、10は、前後方向に細長い長方形の平板状に形成されている。この板バネ9、10は、ロボットアーム2に外力が作用していないときに板バネ9、10の厚さ方向と上下方向とが一致するように配置されている。また、板バネ9と板バネ10とは、互いに平行になるように配置されている。板バネ9、10は、繊維強化プラスチックによって形成されている。具体的には、板バネ9、10は、炭素繊維が強化材として含まれる繊維強化プラスチックによって形成されている。ただし、板バネ9、10は、ガラス繊維等が強化材として含まれる繊維強化プラスチックによって形成されても良いし、ステンレス等の薄鋼板によって形成されても良い。また、板バネ9、10の厚さは、たとえば、0.1(mm)〜2(mm)程度となっている。
【0025】
なお、上下方向における板バネ9と板バネ10との間には、板バネ9と板バネ10との平行状態を維持するための円柱状のスペーサ(図示省略)が配置されている。このスペーサは、前後方向における板バネ9、10の中心位置に配置されている。また、たとえば、左右方向に間隔をあけた状態で2本のスペーサが配置されている。このスペーサは、スペーサの下端面が板バネ10の上面に当接するように板バネ10に固定されている。また、スペーサの上端面は、板バネ9の下面に当接している。
【0026】
板状部材11、12は、前後方向に細長い長方形の平板状に形成されている。この板状部材11、12は、板状部材11、12の厚さ方向と左右方向とが略一致するように配置されている。板状部材11、12の幅(上下方向の幅)は、板バネ9、10の幅(左右方向の幅)よりも狭くなっている。板状部材11、12は、板バネ9、10と同様に、繊維強化プラスチックによって形成されており、バネ性を備えている。具体的には、板状部材11、12は、炭素繊維が強化材として含まれる繊維強化プラスチックによって形成されている。ただし、板状部材11、12は、ガラス繊維等が強化材として含まれる繊維強化プラスチックによって形成されても良いし、ステンレス等の薄鋼板によって形成されても良い。板状部材11、12の厚さは、板バネ9、10の厚さよりも厚くなっている。
【0027】
基端部7は、ブロック状に形成される本体ブロック15と、基端部7に対する板状部材11、12の上側への相対移動を規制するための上側規制部としての規制板16と、基端部7に対する板状部材11、12の下側への相対移動を規制するための第2下側規制部としての規制板17とを備えている。規制板16、17は、平板状に形成されている。規制板16は、規制板16の厚さ方向と上下方向とが一致するように本体ブロック15の上面に固定されている。規制板17は、規制板17の厚さ方向と上下方向とが一致するように本体ブロック15の下面に固定されている。本体ブロック15の前端側部分の左右方向の幅は、本体ブロック15の後端側部分の左右方向の幅よりも狭くなっている。
【0028】
先端部8は、ブロック状に形成される本体ブロック18と、先端部8に対する板状部材11、12の上側への相対移動を規制するための第2上側規制部としての規制板19と、先端部8に対する板状部材11、12の下側への相対移動を規制するための下側規制部としての規制板20とを備えている。規制板19、20は、平板状に形成されている。規制板19は、規制板19の厚さ方向と上下方向とが一致するように本体ブロック18の上面に固定されている。規制板20は、規制板20の厚さ方向と上下方向とが一致するように本体ブロック18の下面に固定されている。
【0029】
本体ブロック18の厚さ(上下方向の厚さ)は、本体ブロック15の厚さと等しくなっており、上下方向における規制板16と規制板17との間隔と、上下方向における規制板19と規制板20との間隔とがほぼ等しくなっている。また、本体ブロック15、18の厚さは、板状部材11、12の幅(上下方向の幅)とほぼ等しくなっており、上下方向における規制板16と規制板17との間隔および規制板19と規制板20との間隔は、板状部材11、12の幅とほぼ等しくなっている。また、本体ブロック18の幅(左右方向の幅)は、本体ブロック15の前端側部分の幅とほぼ等しくなっている。
【0030】
駆動機構13は、板状部材11を左右方向へ移動させるエアシリンダ21と、板状部材12を左右方向へ移動させるエアシリンダ22とを備えている(図3(B)参照)。エアシリンダ21は、エアシリンダ21のロッド21aが右側へ突出するように基端部7の本体ブロック15の前端側部分に内蔵されている。エアシリンダ22は、エアシリンダ22のロッド22aが左側へ突出するように本体ブロック15の前端側部分に内蔵されている。すなわち、駆動機構13は、基端部7に取り付けられている。
【0031】
板バネ9の後端側は、本体ブロック15の上面と規制板16との間に挟まれた状態で本体ブロック15の前端側部分の上面に固定されている。板バネ9の前端側は、本体ブロック18の上面と規制板19との間に挟まれた状態で本体ブロック18の上面に固定されている。本形態では、板バネ9は、ロボットアーム2の上面の一部を構成している。板バネ10の後端側は、本体ブロック15の下面と規制板17との間に挟まれた状態で本体ブロック15の前端側部分の下面に固定されている。板バネ10の前端側は、本体ブロック18の下面と規制板20との間に挟まれた状態で本体ブロック18の下面に固定されている。本形態では、板バネ10は、ロボットアーム2の下面の一部を構成している。
【0032】
左右方向における規制板16、17、19、20の幅は、板バネ9、10の幅(左右方向の幅)よりも広くなっている。板バネ9、10の後端側が固定される本体ブロック15の前端側部分の左右方向の幅は、板バネ9、10の幅とほぼ等しくなっている。本体ブロック18の左右方向の幅も板バネ9、10の幅とほぼ等しくなっている。すなわち、左右方向における規制板16、17、19、20の幅は、左右方向における本体ブロック15の前端側部分の幅および本体ブロック18の幅よりも広くなっている。規制板16の後端側には、左右方向の両外側に向かって突出する突出部16aが形成されている。規制板17の前端側には、左右方向の両外側に向かって突出する突出部17aが形成されている。
【0033】
板状部材11、12の前端側は、先端部8の本体ブロック18に回動可能に保持されている。具体的には、板状部材11の前端側は、本体ブロック18の右側面に固定されるネジ25に回動可能に保持され、板状部材12の前端側は、本体ブロック18の左側面に固定されるネジ25に回動可能に保持されている。また、板状部材11、12は、左右方向を回動の軸方向とする回動が可能となるように本体ブロック18に保持されている。板状部材11、12の前端側には、玉軸受等の転がり軸受26が取り付けられており、ネジ25の軸部は、転がり軸受26の内周側に挿通されている。板状部材11の前端側の左面は、本体ブロック18の右側面に接触し、板状部材12の前端側の右面は、本体ブロック18の左側面に接触している。
【0034】
上述のように、左右方向における規制板19、20の幅は、左右方向における板バネ9、10の幅および本体ブロック18の幅よりも広くなっている。本体ブロック18に回動可能に保持されている板状部材11、12の前端側は、規制板19の左右の両端部および規制板20の左右の両端部と上下方向で重なるように規制板19の左右の両端部と規制板20の左右の両端部との間に配置されており、規制板19によって先端部8に対する板状部材11、12の上側への相対移動が規制され、規制板20によって先端部8に対する板状部材11、12の下側への相対移動が規制されている。具体的には、規制板19によって先端部8に対する板状部材11、12の前端側部分の上側への相対移動が規制され、規制板20によって先端部8に対する板状部材11、12の前端側部分の下側への相対移動が規制されている。
【0035】
本形態では、板状部材11、12が後述の変形規制位置11A、12Aにある場合、および、板状部材11、12が後述の変形可能位置11B、12Bにある場合のいずれの場合であっても、板状部材11、12の前端側は、規制板19の左右の両端部および規制板20の左右の両端部と上下方向で重なるように規制板19の左右の両端部と規制板20の左右の両端部との間に配置されており、規制板19によって先端部8に対する板状部材11、12の上側への相対移動が規制され、規制板20によって先端部8に対する板状部材11、12の下側への相対移動が規制されている。
【0036】
板状部材11の後端側には、エアシリンダ21のロッド21aが連結され、板状部材12の後端側には、エアシリンダ22のロッド22aが連結されている。すなわち、板状部材11、12には、駆動機構13が連結されている。板状部材12の後端側には、ロッド22aの先端側が係合する係合溝12aが形成されている(図5参照)。係合溝12aは、板状部材12の後端から前側に向かって形成されるとともにU溝状に形成されている。板状部材11の後端側には、ロッド21aの先端側が係合する係合溝が形成されている。この係合溝は、係合溝12aと同様に形成されており、板状部材11の後端から前側に向かって形成されるとともにU溝状に形成されている。
【0037】
図3(B)に示すように、ロッド21a、22aの先端側は、鍔付きの円筒状に形成されるスリーブ27の内周側に挿通されている。ロッド21a、22aの先端側が挿通されたスリーブ27では、鍔部27aが左右方向の内側に配置されている。ロッド21a、22aの先端には、ナット28が取り付けられている。板状部材11の係合溝および板状部材12の係合溝12aには、スリーブ27の、鍔部27aとナット28との間の部分が係合しており、鍔部27aとナット28とによって、ロッド21a、22aに対する板状部材11の後端側の左右方向の動きが規制されている。なお、図5(B)では、ナット28の図示を省略している。
【0038】
左右方向における鍔部27aの内側では、ロッド21a、22aを左右方向の外側へ付勢する圧縮コイルバネ(図示省略)にロッド21a、22aが挿通されている。すなわち、ロッド21aは、圧縮コイルバネによって右側に付勢され、ロッド22aは、圧縮コイルバネによって左側に付勢されている。この圧縮コイルバネの一端は、左右方向における鍔部27aの内側面に接触している。エアシリンダ21では、エアシリンダ21に圧縮空気が供給されると、圧縮コイルバネによって右側に付勢されて右側へ突出していたロッド21aが左側へ移動する。エアシリンダ22では、エアシリンダ22に圧縮空気が供給されると、圧縮コイルバネによって左側に付勢されて左側へ突出していたロッド22aが右側へ移動する。すなわち、エアシリンダ21、22に圧縮空気が供給されると、左右方向の外側へ突出していたロッド21a、22aが左右方向の内側へ移動して引っ込む。
【0039】
このように、駆動機構13は、エアシリンダ21、22に圧縮空気が供給されて板状部材11、12の後端側が左右方向の内側へ閉じる変形規制位置11A、12A(図4に示す位置)と、エアシリンダ21、22への圧縮空気の供給が停止され圧縮コイルバネの付勢力によって板状部材11、12の後端側が左右方向の外側へ開く変形可能位置11B、12B(図3に示す位置)との間で、板状部材11、12を移動させる。なお、図2では、板状部材11が変形可能位置11Bに配置され、板状部材12が変形規制位置12Aに配置されているが、通常、板状部材11、12の両方が変形可能位置11B、12Bに配置されているか、あるいは、変形規制位置11A、12Aに配置されている。また、変形規制位置11A、12Aから変形可能位置11B、12Bへ板状部材11、12が動くときには、板状部材11、12は弾性変形する。
【0040】
板状部材11、12が変形規制位置11A、12Aにあるときには、図4に示すように、板状部材11の左面は、板バネ9、10の右端面、本体ブロック15の前端側部分の右側面および本体ブロック18の右側面に接触し、板状部材12の右面は、板バネ9、10の左端面、本体ブロック15の前端側部分の左側面および本体ブロック18の左側面に接触している。また、上述のように、左右方向における規制板16、17の幅は、左右方向における板バネ9、10の幅および本体ブロック15の前端側部分の幅よりも広くなっている。
【0041】
そのため、板状部材11、12が変形規制位置11A、12Aにあるときには、板状部材11、12の後端側は、規制板16の左右の両端部および規制板17の左右の両端部と上下方向で重なるように規制板16の左右の両端部と規制板17の左右の両端部との間に配置されており、規制板16によって基端部7に対する板状部材11、12の上側への相対移動が規制され、規制板17によって基端部7に対する板状部材11、12の下側への相対移動が規制されている。具体的には、規制板16によって基端部7に対する板状部材11、12の後端側部分の上側への相対移動が規制され、規制板17によって基端部7に対する板状部材11、12の後端側部分の下側への相対移動が規制されている。
【0042】
また、上述のように、規制板19によって先端部8に対する板状部材11、12の前端側部分の上側への相対移動が規制され、規制板20によって先端部8に対する板状部材11、12の前端側部分の下側への相対移動が規制されている。したがって、板状部材11、12が変形規制位置11A、12Aにあるときには、板状部材11、12によって、基端部7に対して先端部8が持ち上がる方向への板バネ9、10の弾性変形が規制されるとともに、基端部7に対して先端部8が下がる方向への板バネ9、10の弾性変形が規制されている。すなわち、板状部材11、12が変形規制位置11A、12Aにあるときには、ロボットアーム2が変形しないように、板バネ9、10の弾性変形が規制されている。
【0043】
板状部材11、12が変形可能位置11B、12Bにあるときには、図3に示すように、板状部材11、12の後端側は、規制板17の突出部17aの上側に配置されており、突出部17aと上下方向で重なっている。そのため、板状部材11、12が変形可能位置11B、12Bにあるときにも、規制板17によって基端部7に対する板状部材11、12の後端側部分の下側への相対移動が規制されている。また、上述のように、規制板19によって先端部8に対する板状部材11、12の前端側部分の上側への相対移動が規制されている。したがって、板状部材11、12が変形可能位置11B、12Bにあるときにも、基端部7に対して先端部8が下がる方向への板バネ9、10の弾性変形が規制されている。
【0044】
また、板状部材11、12が変形可能位置11B、12Bにあるときには、図3(A)に示すように、板状部材11の後端側は、規制板16の、突出部16a以外の部分よりも右側に配置され、板状部材12の後端側は、規制板16の、突出部16a以外の部分よりも左側に配置されている。ただし、板状部材11、12の後端は、突出部16aの前端よりも後ろ側に配置されており、板状部材11の後端部の一部分および板状部材12の後端部の一部分は、突出部16aと上下方向で重なっている。すなわち、板状部材11、12が変形可能位置11B、12Bにあるときには、板状部材11、12の後端側の一部と規制板16の一部とが左右方向でずれている。また、板状部材11の後端側は、規制板17の、突出部17a以外の部分よりも右側に配置され、板状部材12の後端側は、規制板17の、突出部17a以外の部分よりも左側に配置されている。
【0045】
このときには、ロボットアーム2の前端側に上方向の力が作用すると、板状部材11、12の後端側と規制板16、17とが干渉せずに板状部材11、12の前端側が持ち上がる。すなわち、板状部材11、12が変形可能位置11B、12Bにあるときには、図5に示すように、基端部7に対して先端部8が持ち上がる方向への板バネ9、10の弾性変形が可能となっている。本形態では、板バネ9と板バネ10とが平行になっているため、板バネ9、10が弾性変形して基端部7に対して持ち上がったときの先端部8の姿勢は、基端部7に対して持ち上がる前の先端部8の姿勢と同じになっている。すなわち、図5(A)に示すように、左右方向から見たときに、基端部7に対して持ち上がったときの先端部8は、前後方向に対して傾いておらず、基端部7と略平行になっている。
【0046】
なお、板状部材11、12の前端側が持ち上がるときには、板状部材11、12の前端側は、先端部8に対してネジ25を回動の中心にして相対回動する。本形態では、板状部材11、12の前端側が先端部8に対して相対回動可能となるように、板状部材11、12の前端側に、規制板19、20との干渉を防止するための所定の切欠きが形成されている。
【0047】
先端部8は、チャック3の軸部が挿入される軸受30と、チャック3を保持するチャック保持機構31をと備えている。チャック保持機構31は、本体ブロック18に回動可能に保持されチャック3に係合する平板状の係合板32と、係合板32の回動方向の一方側へ係合板32を付勢するバネ部材(図示省略)と、係合板32の回動方向の他方側へ係合板32を移動させるエアシリンダ(図示省略)とを備えている。
【0048】
ロボットアーム2では、板バネ9、10と、板状部材11、12とに囲まれた部分が空間になっている。この空間の前端側には、チャック保持機構31のエアシリンダの後端側の一部が配置されている。また、この空間には、チャック保持機構31のエアシリンダに接続されるエア配管(図示省略)やチャック3に通じるエア配管(図示省略)が配置されている。さらに、この空間には、ロボットアーム2の基端側が連結されるモータの動力をロボットアーム2の先端側に伝達するための(具体的には、軸受30に伝達するための)ベルト(図示省略)が配置されている。
【0049】
以上のように構成されたロボットアーム2では、チャック3で把持している部品を他の部品に軽圧入する場合等の、ロボットアーム2の先端側に下側からの負荷がかかる作業をロボット1が行うときに、エアシリンダ21、22に圧縮空気が供給されて、板状部材11、12が変形規制位置11A、12Aに移動する。また、ロボットアーム2の先端側に下側からの負荷がかかる作業をロボット1が行わないときには、エアシリンダ21、22への圧縮空気の供給が停止されており、板状部材11、12は、変形可能位置11B、12Bに配置されている。
【0050】
(本形態の主な効果)
以上説明したように、本形態では、板状部材11、12が変形可能位置11B、12Bにあるときに、基端部7に対して先端部8が持ち上がる方向への板バネ9、10の変形が可能となっており、ロボットアーム2の前端側に下側から衝撃が加わったときに、板バネ9、10の弾性変形を利用して、基端部7に対して先端部8が持ち上がるようにロボットアーム2を変形させることが可能となっている。また、本形態では、チャック3で把持している部品を他の部品に軽圧入する場合等の、ロボットアーム2の先端側に下側からの負荷がかかる作業をロボット1が行わないときに、板状部材11、12は、変形可能位置11B、12Bに配置されている。したがって、本形態では、予期せぬ衝撃がロボットアーム2の前端側に下側から加わったときのロボットアーム2の損傷を防止することが可能になる。
【0051】
また、本形態では、板状部材11、12が変形規制位置11A、12Aにあるときに、基端部7に対して先端部8が持ち上がる方向への板バネ9、10の変形が規制されており、ロボットアーム2の先端側に下側からの負荷がかかっても、板状部材11、12の剛性によって、基端部7に対して先端部8が持ち上がるロボットアーム2の変形を防止することが可能となっている。また、本形態では、ロボットアーム2の先端側に下側からの負荷がかかる作業をロボット1が行うときに、板状部材11、12が変形規制位置11A、12Aに移動する。そのため、本形態では、ロボットアーム2の前端側に下側からの負荷がかかる軽圧入等の作業を行うことが可能になる。すなわち、本形態では、予期せぬ衝撃がロボットアーム2の前端側に下側から加わったときのロボットアーム2の損傷を防止することが可能であっても、ロボットアーム2の前端側に下側からの負荷がかかる軽圧入等の作業を行うことが可能になる。
【0052】
本形態では、板状部材11、12が変形規制位置11A、12Aにある場合、および、板状部材11、12が変形可能位置11B、12Bにある場合のいずれの場合でも、基端部7に対して先端部8が下がる方向への板バネ9、10の弾性変形が規制されており、基端部7に対して先端部8が下降するロボットアーム2の変形を防止することが可能となっている。そのため、本形態では、チャック3で重い部品を把持して持ち上げたときのロボットアーム2の変形を防止することが可能になる。
【0053】
本形態では、駆動機構13は、基端部7に取り付けられている。そのため、本形態では、先端部8に駆動機構13が取り付けられている場合と比較して、ロボットアーム2の先端側の重量を軽減することが可能になる。したがって、本形態では、ロボットアーム2の基端側を中心にして回転する際のロボットアーム2の回転モーメントを低減することが可能になる。また、本形態では、板バネ9、10と板状部材11、12とに囲まれた部分が空間になっているため、ロボットアーム2を軽量化することが可能になる。したがって、本形態では、ロボットアーム2の基端側を中心にして回転する際のロボットアーム2の回転モーメントをより低減することが可能になる。
【0054】
(他の実施の形態)
上述した形態では、板状部材11、12が変形可能位置11B、12Bにあるときに、板状部材11、12の後端側は、規制板17の突出部17aの上側に配置されているが、板状部材11、12が変形可能位置11B、12Bにあるときに、板状部材11、12の後端側が規制板17の左右の両端部の全体の上側に配置されるように、規制板17が形成されても良い。この場合には、板状部材11、12の前端側が持ち上がって、基端部7に対して先端部8が持ち上がる方向へ板バネ9、10が弾性変形するときに、板状部材11、12の後端側と規制板17とが干渉しないように、板状部材11、12の後端側に切欠きが形成されれば良い。
【0055】
上述した形態では、板状部材11、12が変形可能位置11B、12Bにあるときに、基端部7に対して先端部8が下がる方向への板バネ9、10の弾性変形が規制されているが、チャック3で把持される部品が軽い場合には、板状部材11、12が変形可能位置11B、12Bにあるときに、基端部7に対して先端部8が下がる方向への板バネ9、10の弾性変形が可能となっていても良い。この場合には、たとえば、規制板17に突出部17aが形成されていない。また、板状部材11、12が変形可能位置11B、12Bにあるときに加えて、板状部材11、12が変形規制位置11A、12Aにあるときに、基端部7に対して先端部8が下がる方向への板バネ9、10の弾性変形が可能となっていても良い。この場合には、規制板17および規制板19の少なくともいずれか一方が不要になる。
【0056】
上述した形態では、板状部材11、12の前端側は、先端部8の本体ブロック18に回動可能に保持され、板状部材11、12の後端側に、基端部7の本体ブロック15に内蔵されるエアシリンダ21、22のロッド21a、22aが連結されている。この他にもたとえば、板状部材11、12の後端側が、本体ブロック15に回動可能に保持され、板状部材11、12の前端側に、本体ブロック18に内蔵されるエアシリンダ21、22のロッド21a、22aが連結されても良い。この場合には、板状部材11、12が変形規制位置にあるとき、および、板状部材11、12が変形可能位置にあるときのいずれにおいても、板状部材11、12の後端側は、規制板16の左右の両端部の下側に配置されており、規制板16によって基端部7に対する板状部材11、12の後端側の上側への相対移動が規制されている。また、この場合には、板状部材11、12が変形規制位置にあるときに、板状部材11、12の前端側は、規制板20の左右の両端部の上側に配置されており、規制板20によって先端部8に対する板状部材11、12の前端側部分の下側への相対移動が規制されている。さらに、この場合には、板状部材11、12が変形可能位置にあるときに、板状部材11、12の前端側と規制板20とが左右方向でずれており、基端部7に対して先端部8が持ち上がる方向への板バネ9、10の弾性変形が可能となっている。
【0057】
また、板状部材11、12の前端側に、本体ブロック18に内蔵されるエアシリンダ21、22のロッド21a、22aが連結されるとともに、板状部材11、12の後端側に、本体ブロック15に内蔵されるエアシリンダ21、22のロッド21a、22aが連結されても良い。また、板状部材11、12の前後方向の中間位置にエアシリンダ21、22のロッド21a、22aが連結されるとともに、板状部材11、12の前端側が本体ブロック18に保持され、板状部材11、12の後端側が本体ブロック15に保持されても良い。これらの場合には、板状部材11、12が変形規制位置にあるときに、板状部材11、12の後端側は、規制板16の左右の両端部の下側に配置され、板状部材11、12の前端側は、規制板20の左右の両端部の上側に配置されている。また、これらの場合には、板状部材11、12が変形可能位置にあるときに、基端部7に対して先端部8が持ち上がる方向への板バネ9、10の弾性変形が可能となるように、板状部材11、12の後端側の一部と規制板16の一部とが左右方向でずれているか、板状部材11、12の前端側と規制板20とが左右方向でずれている。あるいは、基端部7に対して先端部8が持ち上がる方向への板バネ9、10の弾性変形が可能となるように、板状部材11、12の後端側の一部と規制板16の一部とが左右方向でずれるとともに板状部材11、12の前端側と規制板20とが左右方向でずれている。
【0058】
上述した形態では、板状部材12の前端側に転がり軸受26が取り付けられる丸孔が形成され、板状部材12の後端側にロッド22aの先端側が係合するU溝状の係合溝12aが形成されているが、板状部材12の前端側に長孔が形成され、板状部材12の後端側に丸孔が形成されても良い。同様に、板状部材11の前端側に長孔が形成され、板状部材11の後端側に丸孔が形成されても良い。また、上述した形態では、駆動機構13は、エアシリンダ21、22と、エアシリンダ21、22のロッド21a、22aが挿通される圧縮コイルバネとを備えているが、駆動機構13は、エアシリンダ21、22および圧縮コイルバネに代えてモータを備えていても良い。また、上述した形態では、規制板16に突出部16aが形成されているが、規制板16に突出部16aが形成されていなくても良い。
【符号の説明】
【0059】
1 ロボット
2 ロボットアーム
4 支持部
7 基端部
8 先端部
9 板バネ(第1の板バネ)
10 板バネ(第2の板バネ)
11、12 板状部材
11A、12A 変形規制位置
11B、12B 変形可能位置
13 駆動機構
16 規制板(上側規制部)
17 規制板(第2下側規制部)
19 規制板(第2上側規制部)
20 規制板(下側規制部)
21、22 エアシリンダ
21a、22a ロッド
X ロボットアームの長手方向
Y 第1方向
図1
図2
図3
図4
図5