特許第6675246号(P6675246)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6675246
(24)【登録日】2020年3月12日
(45)【発行日】2020年4月1日
(54)【発明の名称】バタフライバルブ構造
(51)【国際特許分類】
   F01N 13/08 20100101AFI20200323BHJP
   F01N 1/08 20060101ALI20200323BHJP
   F16K 15/03 20060101ALI20200323BHJP
   F16K 47/02 20060101ALI20200323BHJP
【FI】
   F01N13/08 B
   F01N1/08 A
   F16K15/03 D
   F16K47/02 E
   F01N1/08 J
【請求項の数】3
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2016-60640(P2016-60640)
(22)【出願日】2016年3月24日
(65)【公開番号】特開2017-172510(P2017-172510A)
(43)【公開日】2017年9月28日
【審査請求日】2018年10月2日
(73)【特許権者】
【識別番号】390010227
【氏名又は名称】株式会社三五
(74)【代理人】
【識別番号】100101535
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 好道
(74)【代理人】
【識別番号】100161104
【弁理士】
【氏名又は名称】杉山 浩康
(72)【発明者】
【氏名】江崎 孝志
(72)【発明者】
【氏名】滝本 柱
【審査官】 稲村 正義
(56)【参考文献】
【文献】 特開平10−339128(JP,A)
【文献】 特開平11−294136(JP,A)
【文献】 特開平09−303131(JP,A)
【文献】 特開平09−195749(JP,A)
【文献】 登録実用新案第3028410(JP,U)
【文献】 特開2002−303120(JP,A)
【文献】 特開2012−180805(JP,A)
【文献】 特開昭61−096117(JP,A)
【文献】 特開2014−190476(JP,A)
【文献】 実開平06−073329(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F01N 1/00−1/24,5/00−5/04,
13/00−99/00,
F16K 15/00−15/20,39/00−51/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
消音器内に内蔵されるパイプの開口部と、該開口部に設けられて、該開口部を開閉する弁体を有するバタフライバルブ構造であって、
前記弁体の少なくとも一部は、閉状態から前記パイプの内側で、かつ、下流側方向に回動するようにし、
前記開口部が、前記パイプの中心軸に対して傾斜し、かつ、前記弁体が閉じた状態において、前記弁体における弁体の回転軸と直交する方向の下流側方向に開く側の端部が、その反対側よりパイプの下流側に位置するように、前記弁体における弁座と当接する部分が、前記パイプの中心軸に対して傾斜していることを特徴とするバタフライバルブ構造。
【請求項2】
少なくとも前記弁体の回転軸に対して直交する方向における弁体の中央部が、屈曲又は湾曲していることと特徴とする請求項1記載のバタフライバルブ構造。
【請求項3】
前記開口部は、前記パイプの本体部とは別体で構成された部材に設けられていることを特徴とする請求項1又は2記載のバタフライバルブ構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バタフライバルブ構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、消音器において、図9に示すように、そのアウトレットパイプ101の上流側開口101a端部に、排気ガスの流量に応じて開閉する弁体102を有するバルブ103を設けたバタフライバルブ構造104を有し、弁体102が開くと、図示しない消音室内とアウトレットパイプ101内とを連通し、閉じると遮蔽するようにした消音器が知られており、この消音器においては、内燃機関の低回転時においては、弁体102を閉じて消音効果を高め、高回転時においては、弁体102を開くことにより背圧低減を図るようにしている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第4451728号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記従来の消音器に用いられるバタフライバルブ構造104においては、図9に示すように、バルブ103の弁体102が、その閉状態において、アウトレットパイプ101の中心軸Y−Yに対して直交するように設けられている。また、この弁体102は、図示しないスプリングの付勢力により閉方向に付勢されているため、内燃機関が2500rpm以上の高回転時においても、アウトレットパイプ101の中心軸Y−Yと平行になるまで全開にすることはできないため、その弁体102の弁体開度αは40°程度である。そのため、図9の点線で示す弁体102を全開にした開状態における弁体102とアウトレットパイプ101の中心軸Y−Yとの角度βは約50°となり、排気ガスが開口101aより流入すると、この排気ガスは、弁体102に沿ってアウトレットパイプ101の内壁面に高速で衝突し、気流騒音を発生する恐れがある。
【0005】
そこで、本発明は、上記気流騒音の発生を低減したバタフライバルブ構造を提案することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記の課題を解決するために、消音器内に内蔵されるパイプの開口部と、該開口部に設けられて、該開口部を開閉する弁体を有するバタフライバルブ構造であって、
前記弁体の少なくとも一部は、閉状態から前記パイプの内側で、かつ、下流側方向に回動するようにし、
前記開口部が、前記パイプの中心軸に対して傾斜し、かつ、前記弁体が閉じた状態において、前記弁体における弁体の回転軸と直交する方向の下流側方向に開く側の端部が、その反対側よりパイプの下流側に位置するように、前記弁体における弁座と当接する部分が、前記パイプの中心軸に対して傾斜していることを特徴とするバものである。
【0007】
また、少なくとも前記弁体の回転軸に対して直交する方向における弁体の中央部を、屈曲又は湾曲してもよい。
【0008】
また、前記開口部を、前記パイプの本体部とは別体で構成された部材に設けてもよい。
【発明の効果】
【0009】
本発明のバタフライバルブ構造は、開口部が、パイプの中心軸に対して傾斜しているとともに、弁体が閉じた状態において、弁体における弁座と当接する部分が、パイプの中心軸に対して傾斜していることにより、弁体の開状態において、従来技術の弁体開度αと同じ弁体開度とした場合に、弁体をパイプの中心軸と平行な状態に、より近づけることができ、開口部から内部に流入する流体が、パイプの内周壁へ衝突する速度が抑制され、気流騒音の発生を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の実施例1に係るバタフライバルブ構造を示すもので、弁体を閉じた状態の縦断面図。
図2図1の状態から弁体を開いた状態の縦断面図。
図3】本発明の実施例1に係るバタフライバルブ構造の他例の縦断面図。
図4】本発明の実施例1に係るバタフライバルブ構造の他例の縦断面図。
図5】本願と対比するための仮のバタフライ構造における流体の流れ特性図。
図6図1に示すバタフライバルブ構造における流体の流れ特性図。
図7】本発明の実施例2に係るバタフライバルブ構造の縦断面図。
図8】本発明の実施例3に係るバタフライバルブ構造の縦断面図。
図9】従来技術のバタフライバルブ構造の縦断面図。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明を実施するための形態を図に示す実施例に基づいて説明する。
【0012】
[実施例1]
図1は、本発明の実施例1に係るバタフライバルブ構造1の縦断面図を示し、バタフライバルブ構造1は、図示しない消音器内に上流側A部が内蔵される排気管であるパイプ2と、バタフライバルブ(以下、バルブともいう)3で構成されている。なお、図1において、左側が上流側A、右側が下流側Bである。
【0013】
パイプ2の消音器内に開口する開口2a端部には、図1に示すように、バルブ3が設けられている。パイプ2の開口2aは、パイプ2を、その中心軸X−Xに対して斜めに切断して形成され、パイプ2の中心軸X−Xに対して、所定角度θ傾斜して形成されている。この所定角度θは、搭載する車両の内燃機関の種類等に応じて任意に設定し、好ましくは、60度〜80度に設定し、本実施例においては70度に設定した。以下、開口2aにおいて、最も上流側Aに位置する側を上側として説明する。
【0014】
バルブ3は、回転軸4、弁体5、弁座6を有する。回転軸4は、パイプ2の中心軸X−Xと直交し、かつ、開口2aの上端部に設けられ、この回転軸4には、バタフライバルブ弁である弁体5が固設されている。弁体5は、回転軸4を中心として、図2に示すように所定角度αの範囲内で回動できるようになっており、弁体5は、回転軸4を中心として、上流側に回動することにより閉じ、下流側に回動することにより開くようになっている。
【0015】
弁座6は、パイプ2の内側面に設けられ、ワイヤメッシュ等からなる緩衝材6aを有している。弁体5は、図示しないコイルスプリング等の付勢手段により、弁座6に当接する方向、すなわち、弁体5の閉方向に付勢され、弁体5が閉じた際に、弁体5と弁座6の緩衝材6aが当接するようになっている。
【0016】
上記構造により、弁体5が閉じた際には、弁体5における弁座6と当接する部分が、パイプ2の中心軸X−Xに対して、所定角度θ傾斜するようになっている。また、弁体5は、閉じた状態から、回転軸4と反対側の下端部が、パイプ2の下流側方向に向かって開動するようになっている。
【0017】
なお、弁体5における弁座6と当接する部分以外は、任意の形状に形成することができる。例えば、開口2aを閉塞する本体部5aを、図1に示すように、全体を板状部材で平面状に形成してもよいし、図3に示すように、本体部5aにおける回転軸4に対して直交する方向における中央部を、上流側方向に突出するように曲折したクの字形状に形成してもよいし、図4に示すように、本体部5aを上流側方向に膨出するように弧状に湾曲して形成してもよいし、波状に形成してもよい。
【0018】
以上のように、弁体5が閉状態において、パイプ2の中心軸X−Xに対して、所定角度θ傾斜して、下端部が下流側に位置するようになっていることにより、図2に示すように、弁体5が従来技術の弁体開度αと同じ弁体開度αで開いたとしても、弁体5を、パイプ2の中心軸X−Xと平行に近づけることができ、開口流路面積を従来技術よりも大きくすることができる。
【0019】
図5に示すように、仮に、開口と、閉じた状態の弁体が、パイプ2の中心軸X−Xと直交するようにパイプに設け、弁体を開いた状態で排気ガスを流通させると、排気ガスがパイプの径方向に高速で流れ、パイプの内周壁に衝突し、気流騒音が発生する恐れがある。
【0020】
一方、本願のバタフライバルブ構造1においては、図6に示すように、弁体5を開いた状態において、排気ガスは、パイプ2の中心部では高速で流れ、パイプ2の内周壁付近では低速で流れるために、排気ガスが、パイプ2の内周壁へ衝突する速度が抑制され、気流騒音の発生を抑制することができる。
【0021】
また、少なくとも弁体5の回転軸4に対して直交する方向における弁体5の中央部が、屈曲又は湾曲するように形成したことにより、弁体5の剛性を高め、排気ガス等により生じる弁体5のびびり音を低減することができる。
【0022】
なお、上記実施例では、回転軸4を、開口2aの上端部に設けたが、回転軸4は、パイプ2の中心軸X−Xと直交すれば任意の位置に設けることができる。例えば、パイプ2の中心軸X−Xに位置する開口2aの中央部や、パイプ2の中心軸X−Xから上方にオフセットした位置に設けることができ、好ましくは、パイプ2の中心軸X−Xと同じ位置若しくは、それよりも上方の位置に設ける。すなわち、弁体5は、その閉状態から、その少なくとも一部がパイプ2の下流側方向に向かって回動するようになっている。
【0023】
[実施例2]
上記実施例1においては、パイプ2を、その中心軸X−Xに対して斜めに切断して開口2aを形成したが、図7に示すように、パイプ12の端部に、パイプ12の本体部12Aとは別体で構成したアダプタ11を設け、このアダプタ11の端部を、パイプ12の中心軸X−Xに対して斜めに切断して開口部11aを形成するとともに、上記実施例1と同様のバタフライバルブ3を設けてもよい。
【0024】
それ以外の構造は、前記実施例1と同様であるので説明を省略する。
【0025】
本実施例2においても前記実施例1と同様の効果を奏する。
【0026】
[実施例3]
上記実施例1においては、パイプ2を、その中心軸X−Xに対して斜めに切断して開口2aを形成したが、図8に示すように、パイプ2の端部を曲げ加工し、開口2aを、パイプ2の中心軸X−Xに対して、所定の角度θ傾斜するように形成してもよい。
【0027】
それ以外の構造は、前記実施例1と同様であるので説明を省略する。
【0028】
本実施例3においても前記実施例1と同様の効果を奏する。
【符号の説明】
【0029】
1 バタフライバルブ構造
2,12 パイプ
2a,11 開口部
5 弁体
6 弁座
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9