(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献1に記載の装置によれば、ハウジングを電線接続装置へ受け渡すアクチュエータを備えることで、作業者の負担を軽減することが可能である。
しかし、この装置では、パレットのコネクタ収容凹部に、それぞれ対応したハウジングを作業者が人手で嵌め込んで収容しなければならず、依然として作業者の負担が大きく、このため、生産性の向上に限度があった。
【0005】
本発明は、上述した事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、作業者の負担を極力抑えて生産性の向上を図ることが可能な部品受け渡し装置及びそれを備えるワイヤハーネスの製造装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前述した目的を達成するために、本発明に係る部品受け渡し装置及びそれを備えるワイヤハーネスの製造装置は、下記(1)〜(4)を特徴としている。
(1) ワイヤハーネスを構成する一組分の電線を各種の部品に装着する電線装着部から前記部品を部品パレットに移送させる部品受け渡し装置であって、
先端に設けられた部品移送用ハンドで前記部品を把持して移送する部品移送マニピュレータと、
前記電線の装着前の前記部品を種類別にそれぞれ複数収容する複数のマガジンと、
を備え、
前記部品移送マニピュレータは、
前記電線が装着された前記電線装着部の前記部品を前記部品移送用ハンドで把持して前記部品パレットへ移送して保持させる電線装着済部品移送動作と、
前記マガジンに収容された前記部品を前記部品移送用ハンドで把持して前記電線装着部へ移送して受け渡す電線未装着部品移送動作と、
を行う
ことを特徴とする部品受け渡し装置。
(2) 先端に設けられたパレット移送用ハンドで前記部品パレットを把持して移送するパレット搬送マニピュレータを備え、
前記パレット搬送マニピュレータは、
前記部品移送マニピュレータで前記部品が保持された前記部品パレットを前記パレット移送用ハンドで把持して前記ワイヤハーネスの製造ライン側へ受け渡すパレット払い出し動作と、
前記部品が装着されていない前記部品パレットを前記パレット移送用ハンドで把持して前記部品移送マニピュレータ側へ受け渡すパレット受け渡し動作と、
を行う
ことを特徴とする(1)に記載の部品受け渡し装置。
(3) 前記部品移送マニピュレータの前記部品移送用ハンドは、前記部品を挟持する一対の挟持具を備え、前記挟持具は、互いの間隔が異なる複数の挟持部を有する
ことを特徴とする(1)または(2)に記載の部品受け渡し装置。
(4) (1)から(3)のいずれかの部品受け渡し装置と、
前記部品受け渡し装置から前記部品パレットが移載される搬送装置を備え、前記搬送装置によって搬送される前記部品パレット上の前記電線に対して、前記部品の装着作業が行われる組付けラインと、
前記組付けラインで前記部品が装着された前記電線を束ねて前記ワイヤハーネスとする配索作業が行われる配索ラインと、を備える
ことを特徴とするワイヤハーネスの製造装置。
【0007】
上記(1)の構成の部品受け渡し装置では、電線装着部から部品パレットへ電線装着済の部品を移送する電線装着済部品移送動作だけでなく、マガジンから電線装着部へ部品を移送する電線未装着部品移送動作を行う部品移送マニピュレータを備えるので、部品の受け渡し工程における人手による作業を省くことができる。これにより、作業者の負担を極力抑えて生産性を向上させることができる。また、部品移送マニピュレータの動作を変更することで、製造するワイヤハーネスの変更に対応可能であるので、製造するワイヤハーネスの変更時の段取り替えの時間を削減できる。しかも、電線装着部へ部品を受け渡す別個のマニピュレータを用いる場合と比較し、設備費を抑えることができる。
上記(2)の構成の部品受け渡し装置では、部品装着済みの部品パレットを製造ライン側へ受け渡すとともに、部品が装着されていない部品パレットを部品移送マニピュレータ側へ受け渡すパレット搬送マニピュレータを備えるので、部品パレットの受け渡し工程における人手による作業を省くことができる。これにより、作業者の負担をさらに抑えて生産性を向上させることができる。また、このパレット搬送マニピュレータによるパレット払い出し動作及びパレット受け渡し動作を、部品移送マニピュレータによる電線未装着部品移送動作中に並行して行わせることで、互いのマニピュレータの待機時間を削減し、作業効率を高めて生産性をより向上させることができる。
上記(3)の構成の部品受け渡し装置によれば、ハンドの挟持具の互いの間隔が異なる複数の挟持部を使い分けることにより、大きさや形の異なる各種の部品を容易に把持することができる。また、引き出された電線の向きなどの状況に応じて挟持方向を変えて部品を把持することができ、汎用性を高めることができる。
上記(4)の構成のワイヤハーネスの製造装置では、設備費を抑えつつ、人手による作業を省いて作業者の負担を極力抑え、ワイヤハーネスの生産性を向上させることができる。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、作業者の負担を極力抑えて生産性の向上を図ることが可能な部品受け渡し装置及びそれを備えるワイヤハーネスの製造装置を提供できる。
【0009】
以上、本発明について簡潔に説明した。更に、以下に説明される発明を実施するための形態(以下、「実施形態」という。)を添付の図面を参照して通読することにより、本発明の詳細は更に明確化されるであろう。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明に係る実施の形態の例を、図面を参照して説明する。
図1は、本発明の実施形態に係る部品受け渡し装置を備えるワイヤハーネスの製造装置の全体構成図である。
図1に示すように、本実施形態に係る部品受け渡し装置10は、ワイヤハーネスの製造装置1に設けられている。ワイヤハーネスの製造装置1は、主に、電線供給ライン2と、組付けライン3と、配索ライン4とを備えており、部品受け渡し装置10は、電線供給ライン2と組付けライン3との間に設けられている。
【0012】
電線供給ライン2は、ワイヤハーネスWを構成する電線Cを供給するラインである。電線供給ライン2は、リールに巻かれた長尺の各種の電線を所定長さに切断して送り出す電線供給部2aと、電線Cの端末に端子を圧着等によって接続する端子圧着部2bと、電線Cの端子をコネクタのハウジングに挿し込んで接続する接続作業及び電線Cを電線把持具に保持させる保持作業を行う電線装着部2cとを備えている。
【0013】
組付けライン3では、コンベア等の搬送装置3aによって搬送される搬送パレット5および搬送パレット5に支持された後述する部品パレット81に保持された電線Cに対する自動機による装着作業等が行われる。具体的には、複数本の電線Cを撚り合わせるツイスト機による撚り合わせ作業、電線Cの端末同士の溶着作業、電線Cへのテープ巻き作業、電線Cへのコルゲートチューブ等の外装部材の装着作業、電線Cへのグロメットやキャップ等の部品の装着作業などが行われる。この組付けライン3では、作業者Sは、各種作業、自動機の監視及び操作等を行う。
【0014】
配索ライン4では、搬送パレット5から治具板6上に移載された電線Cを束ねてワイヤハーネスWとする配索作業等が行われる。具体的には、コンベア等の搬送装置4aによって搬送される治具板6上で複数本の電線Cを束ねてワイヤハーネスWとし、ワイヤハーネスWへのテープ巻き作業、コルゲートチューブ等の外装部材の装着作業、クランプ等の部品の組付け作業、外観や導通の検査などが行われ、その後、搬出される。
【0015】
電線供給ライン2と組付けライン3との間に設けられた部品受け渡し装置10は、電線供給ライン2から送り込まれる電線付きの部品を搬送パレット5へ移載させる。
【0016】
図2は、本発明の実施形態に係る部品受け渡し装置及び電線装着部の斜視図である。
図3は、本発明の実施形態に係る部品受け渡し装置の斜視図である。
図2及び
図3に示すように、部品受け渡し装置10は、部品移送マニピュレータ30と、パレット搬送マニピュレータ40とを有している。この部品受け渡し装置10は、電線供給ライン2の電線装着部2cに隣接して設けられている。部品移送マニピュレータ30及びパレット搬送マニピュレータ40は、いわゆる多関節ロボットである。
【0017】
電線供給ライン2の電線装着部2cは、整列盤入替装置50と、電線装着機構2dと、を備えている。整列盤入替装置50は、部品移送マニピュレータ30に隣接して配置されている。電線装着機構2dは、整列盤入替装置50における部品移送マニピュレータ30と反対側に隣接して配置されている。
【0018】
整列盤入替装置50は、二つの円盤状の整列盤51と、各整列盤51を支持する整列盤支持台52と、各整列盤支持台52を可動自在に支持する支持台搬送機構53と、を備える。整列盤支持台52は、整列盤51を、鉛直軸線を中心に回動させるとともに、整列盤51を昇降させる。それぞれの支持台搬送機構53は、整列盤51を支持する整列盤支持台52を、互いに反対方向へ水平移動させる。この整列盤入替装置50では、整列盤支持台52によって整列盤51が異なる高さ位置に配置された状態で、支持台搬送機構53によって整列盤支持台52が互いに逆方向へ移動される。これにより、各整列盤51は、電線供給ライン2の電線装着機構2d側の電線装着位置Aと、部品移送マニピュレータ30側の部品受渡位置Bとの間で交互に搬送される。
【0019】
整列盤51は、その周囲に、各種のハウジングHGを保持可能な複数のハウジング用保持部61と、各種の電線把持具CHを保持可能な複数の把持具用保持部65とを有している。ハウジング用保持部61及び把持具用保持部65は、整列盤51の縁部に周方向へ間隔をあけて配置されている。
【0020】
電線装着位置Aでは、電線装着機構2dによって、整列盤51のハウジング用保持部61に保持されたハウジングHG及び把持具用保持部65に保持された電線把持具CHに対する電線Cの装着作業が行われる。具体的には、電線装着機構2dによって、ハウジングHGへの端子の挿し込み作業及び電線把持具CHへの電線Cの係止作業が行われる。
【0021】
図4は、ハウジング用保持部におけるハウジングの保持状態を示す図であって、
図4(a)はハウジング用保持部の断面図、
図4(b)はハウジング用保持部の正面図である。
図4(a)及び
図4(b)に示すように、ハウジング用保持部61は、側方が開口された保持凹部62を有しており、この保持凹部62には、ハウジングHGが嵌合されて保持される。ハウジングHGは、複数の端子収容部63を有しており、これらの端子収容部63には、電線Cの端部に圧着されて接続された端子Tが挿し込まれて保持される。
【0022】
図5は、把持具用保持部における電線把持具の保持状態を示す図であって、
図5(a)は把持具用保持部の断面図、
図5(b)は把持具用保持部の正面図である。
図5(a)及び
図5(b)に示すように、把持具用保持部65は、上方が開口された保持凹部66を有しており、この保持凹部66には、電線把持具CHが嵌合されて保持される。電線把持具CHは、一列に配列された複数の把持溝67を有しており、これらの把持溝67には、端部に端子Tが圧着された電線Cが係止されて保持される。なお、この電線把持具CHの把持溝67には、端子Tが圧着されていない端末処理済みの電線Cも保持される。
【0023】
図2及び
図3に示すように、部品移送マニピュレータ30は、台座70上に固定されている。この部品移送マニピュレータ30は、多関節のアーム71と、アーム71の先端に設けられたハンド72とを有している。ハンド72は、空気圧によって開閉駆動し、ハウジングHGまたは電線把持具CHの把持及び把持の解除を行う。
【0024】
図6は、部品移送マニピュレータのハンドを説明する図であって、
図6(a)はハンドの大幅挟持部側から視た側面図、
図6(b)は
図6(a)におけるA−A断面図である。
図6(a)及び
図6(b)に示すように、ハンド72は、一対の挟持具73を有している。挟持具73は、互いに対向位置に配置されており、空気圧によって近接離間される。ハンド72は、挟持具73によってハウジングHGまたは電線把持具CHを挟んで把持する。ハンド72は、挟持具73同士の間隔が異なる、小幅挟持部74と、中幅挟持部75と、大幅挟持部76とを有している。中幅挟持部75は、小幅挟持部74よりも間隔が広く、大幅挟持部76は、中幅挟持部75よりも間隔が広くされている。ハンド72は、小幅挟持部74によってハウジングHGを幅方向から把持する。また、ハンド72は、中幅挟持部75または大幅挟持部76によって、幅寸法の異なる電線把持具CHをそれぞれ幅方向から挟持して把持する。さらに、ハンド72は、小幅挟持部74によって電線把持具CHを、その厚さ方向から挟持して把持する。
【0025】
図2及び
図3に示すように、部品移送マニピュレータ30が支持された台座70には、複数のハウジングマガジンHGM及び複数の把持具マガジンCHMが着脱可能とされている。これらのハウジングマガジンHGM及び把持具マガジンCHMは、台座70上において、部品移送マニピュレータ30を中心として略放射状に設置される。各ハウジングマガジンHGMには、それぞれ大きさやタイプの異なるハウジングHGが同一種類毎に収容されている。ハウジングHGは、部品移送マニピュレータ30側へ端子Tの差し込み側を向けた状態で整列された状態でハウジングマガジンHGMに収容されている。各把持具マガジンCHMには、それぞれ幅寸法の異なる電線把持具CHが同一種類毎に収容されている。電線把持具CHは、厚さ方向に重なるように整列された状態で把持具マガジンCHMに収容されている。ハウジングマガジンHGMは、収容されているハウジングHGを部品移送マニピュレータ30側の端部へ向かってバネの付勢力や空気圧で押圧することで送り込む送り込み機構を備えている。同様に、把持具マガジンCHMは、収容されている電線把持具CHを部品移送マニピュレータ30側の端部へ向かってバネの付勢力や空気圧で押圧することで送り込む送り込み機構を備えている。
【0026】
部品移送マニピュレータ30の側方には、パレット支持台80が設置されている。このパレット支持台80には、部品パレット81が支持される。パレット支持台80は、部品移送マニピュレータ30の側方の部品受取位置Eと、部品移送マニピュレータ30の側方から外れたパレット受渡位置Fとの間で部品パレット81を移動させる。また、パレット支持台80は、パレット受渡位置Fにおいて、約90°回動し、支持している部品パレット81の向きを変更する。なお、
図3では、説明上、部品パレット81を支持する二つのパレット支持台80を図示している。
【0027】
図7は、部品パレットを説明する図であって、
図7(a)は部品未装着状態の部品パレットの正面図、
図7(b)は部品装着状態の部品パレットの正面図である。
図7(a)に示すように、部品パレット81は、ハウジング保持ブロック85と、把持具保持ブロック87とを有している。ハウジング保持ブロック85は、複数の保持凹部86を有している。また、把持具保持ブロック87は、それぞれ保持凹部88を有している。
図7(b)に示すように、ハウジング保持ブロック85の保持凹部86には、それぞれ対応するハウジングHGが嵌合されて保持される。同様に、把持具保持ブロック87の保持凹部88には、電線把持具CHが嵌合されて保持される。この部品パレット81には、一つのワイヤハーネスWの製造に必要な1セットのハウジングHG及び電線Cが保持される。
【0028】
図8は、パレット搬送マニピュレータの斜視図である。
図8に示すように、パレット搬送マニピュレータ40は、台座90上に支持されている。このパレット搬送マニピュレータ40は、多関節のアーム91と、アーム91の先端に設けられたハンド92とを有している。ハンド92は、位置決め部92aと、二つの把持部92bとを有している。ハンド92は、位置決め部92aで部品パレット81を位置決めした状態で、把持部92bが空気圧によって開閉し、部品パレット81を把持する。
【0029】
台座90の下方には、パレット移送装置100が設けられている。パレット移送装置100には、組付けライン3と並列に配置されたパレット供給部101から搬送パレット5が供給される。パレット移送装置100は、パレット供給部101から供給された搬送パレット5を、台座90の下方を通過させて組付けライン3の搬送装置3aの上流端3bへ移送する。
【0030】
搬送パレット5には、部品パレット81が着脱可能とされている。パレット搬送マニピュレータ40は、搬送装置3aの上流端3bにおいて、搬送パレット5に対して部品パレット81の受け渡しを行う。また、パレット搬送マニピュレータ40は、パレット受渡位置Fにおいて、パレット支持台80に対して部品パレット81の受け渡しを行う。
【0031】
次に、部品受け渡し装置10による部品の受け渡し動作について説明する。
図9は、部品移送マニピュレータによるハウジングの移送について説明する図であって、
図9(a)はハウジング用保持部における斜視図、
図9(b)は部品パレットのハウジング保持ブロックにおける斜視図である。
図10は、部品移送マニピュレータによる電線把持具の移送について説明する図であって、
図10(a)は把持具用保持部における斜視図、
図10(b)は部品パレットの把持具保持ブロックにおける斜視図である。
図11は、部品移送マニピュレータによるハウジングマガジンからのハウジングの抜き取り方を示すハウジングマガジンの一部の斜視図である。
図12は、部品移送マニピュレータによる把持具マガジンからの電線把持具の抜き取り方を示す把持具マガジンの一部の斜視図である。
【0032】
(1)部品移送マニピュレータ30の動作
(電線装着済部品移送動作)
部品移送マニピュレータ30は、整列盤入替装置50の整列盤51のハウジング用保持部61及び把持具用保持部65に保持されているハウジングHG及び電線把持具CHを部品受取位置Eに配置された部品パレット81に移送する。
【0033】
ハウジングHGを受け渡す場合、部品移送マニピュレータ30は、
図9(a)に示すように、部品受渡位置Bにおいて、整列盤入替装置50の整列盤51のハウジング用保持部61の保持凹部62に保持されている電線装着済のハウジングHGを、ハンド72の小幅挟持部74で両側から把持して側方へ抜き取る。次いで、
図9(b)に示すように、部品移送マニピュレータ30は、ハウジングHGを把持したハンド72を部品受取位置Eへ移動させ、部品パレット81のハウジング保持ブロック85における把持しているハウジングHGに対応する保持凹部86に側方から挿し込んで保持させる。
【0034】
電線把持具CHを受け渡す場合、部品移送マニピュレータ30は、
図10(a)に示すように、部品受渡位置Bにおいて、整列盤入替装置50の整列盤51の把持具用保持部65の保持凹部66に保持されている電線装着済の電線把持具CHを、ハンド72の小幅挟持部74で上方から厚さ方向に把持して上方へ抜き取る。次いで、
図10(b)に示すように、部品移送マニピュレータ30は、電線把持具CHを把持したハンド72を部品受取位置Eへ移動させるとともに、把持している電線把持具CHを電線Cが下方へ吊り下がるように水平姿勢とし、部品パレット81の把持具保持ブロック87における把持している電線把持具CHに対応する保持凹部88に側方から挿し込んで保持させる。
【0035】
このように、部品移送マニピュレータ30によって整列盤51から部品パレット81へ部品を移送させる際に、整列盤入替装置50では、整列盤51が間欠的に回動し、部品移送マニピュレータ30のハンド72で把持するハウジングHGまたは電線把持具CHを保持したハウジング用保持部61または把持具用保持部65を部品受渡位置Bに配置させる。
【0036】
(電線未装着部品移送動作)
整列盤51から部品パレット81へのハウジングHG及び電線把持具CHの移送が終了すると、部品移送マニピュレータ30は、ハウジングマガジンHGM及び把持具マガジンCHMに収容されている電線未装着のハウジングHG及び電線把持具CHを整列盤入替装置50の整列盤51のハウジング用保持部61及び把持具用保持部65へ移送する。
【0037】
ハウジングHGを受け渡す場合、部品移送マニピュレータ30は、
図11に示すように、ハウジングマガジンHGMに収容されているハウジングHGをハンド72の小幅挟持部74で両側から把持してハウジングマガジンHGMから上方へ抜き取る。次いで、部品移送マニピュレータ30は、ハウジングHGを把持したハンド72を部品受渡位置Bへ移動させ、整列盤入替装置50の整列盤51のハウジング用保持部61の保持凹部62に側方から挿し込んで保持させる。
【0038】
電線把持具CHを受け渡す場合、部品移送マニピュレータ30は、
図12に示すように、把持具マガジンCHMに収容されている電線把持具CHを把持して上方へ抜き取る。このとき、電線把持具CHは、把持具マガジンCHMに厚さ方向に重なるように収容されているので、隣接するもの同士の隙間にハンド72の挟持具73を入れることが困難である。このため、把持具マガジンCHMから電線把持具CHを上方へ抜き取る際には、ハンド72の大幅挟持部76または中幅挟持部75で幅方向の両側から把持して上方へ抜き取る。次いで、部品移送マニピュレータ30は、電線把持具CHを把持したハンド72を部品受渡位置Bへ移動させ、整列盤入替装置50の整列盤51の把持具用保持部65の保持凹部66に上方から挿し込んで保持させる。
【0039】
このように、部品移送マニピュレータ30によってハウジングマガジンHGM及び把持具マガジンCHMから整列盤51へハウジングHG及び電線把持具CHを移送させる際に、整列盤入替装置50では、整列盤51が間欠的に回動し、部品移送マニピュレータ30のハンド72で挿入するハウジングHGまたは電線把持具CHを保持するハウジング用保持部61または把持具用保持部65を部品受渡位置Bに配置させる。
【0040】
(2)パレット搬送マニピュレータ40の動作
(パレット払い出し動作)
部品移送マニピュレータ30による整列盤51から部品パレット81への電線装着済のハウジングHG及び電線把持具CHの移送が終了すると、パレット支持台80がパレット受渡位置Fへ移動して約90°回動し、部品パレット81をパレット搬送マニピュレータ40による把持可能体勢とする。
【0041】
パレット搬送マニピュレータ40は、パレット受渡位置Fで支持されている部品パレット81を、その上方からハンド92で把持する。次いで、パレット搬送マニピュレータ40は、部品パレット81を把持したハンド92を組付けライン3の搬送装置3aの上流端3bへ移動させ、部品パレット81を水平に配置させて搬送装置3aの上流端3bの搬送パレット5に装着する。
【0042】
その後、部品パレット81が装着された搬送パレット5は、搬送装置3aによって搬送されて組付けライン3以降の工程に移行される。
【0043】
(パレット受け渡し動作)
搬送装置3aによって上流端3bの搬送パレット5が搬送されると、パレット移送装置100によって搬送パレット5が搬送装置3aの上流端3bに送り込まれる。
【0044】
パレット搬送マニピュレータ40は、組付けライン3の搬送装置3aの上流端3bに配置された搬送パレット5の空の部品パレット81を、その側方からハンド92で把持する。次いで、パレット搬送マニピュレータ40は、部品パレット81を把持したハンド92をパレット受渡位置Fへ移動させ、パレット受渡位置Fに配置されたパレット支持台80に受け渡して支持させる。このとき、パレット搬送マニピュレータ40は、部品パレット81のハウジング保持ブロック85及び把持具保持ブロック87の保持凹部86,88の開口部が側方に向くように、部品パレット81を鉛直方向に立たててパレット支持台80に支持させる。
【0045】
パレット支持台80は、パレット搬送マニピュレータ40によって部品パレット81が受け渡されると、パレット受渡位置Fでパレット払い出し時と逆に約90°回動してハウジング保持ブロック85及び把持具保持ブロック87の保持凹部86,88の開口部を部品移送マニピュレータ30側に向けた後、部品受取位置Eへ移動する。
【0046】
なお、このパレット搬送マニピュレータ40によるパレット払い出し動作及びパレット受け渡し動作は、部品移送マニピュレータ30による電線未装着部品移送動作中に並行して行われる。
【0047】
(3)電線装着部2cの動作
(整列盤の入れ替え動作)
部品移送マニピュレータ30によるハウジングマガジンHGM及び把持具マガジンCHMから整列盤51への電線未装着のハウジングHG及び電線把持具CHの移送が終了すると、整列盤入替装置50の整列盤51が入れ替わる。これにより、電線装着済のハウジングHG及び電線把持具CHを保持した整列盤51が部品移送マニピュレータ30側に配置され、電線未装着のハウジングHG及び電線把持具CHを保持した整列盤51が電線装着機構2d側に配置される。
【0048】
(整列盤の部品への電線装着動作)
電線装着部2cの電線装着機構2dは、電線装着位置Aにおいて、整列盤51に保持されている電線未装着のハウジングHG及び電線把持具CHへの電線Cの装着作業を行う。具体的には、ハウジングHGの端子収容部63に電線Cの端子Tを挿し込んで接続し、電線把持具CHの把持溝67に電線Cを係止して保持させる。電線装着機構2dによる電線装着動作は、部品移送マニピュレータ30による電線装着済部品移送動作及び電線未装着部品移送動作の際に並行して行われる。
【0049】
以上、説明したように、本実施形態に係る部品受け渡し装置10及びそれを備えるワイヤハーネスの製造装置1によれば、部品移送マニピュレータ30が、電線装着部2cから部品パレット81へ電線装着済のハウジングHG及び電線把持具CHを移送する電線装着済部品移送動作と、ハウジングマガジンHGM及び把持具マガジンCHMから電線装着部2cへ電線未装着のハウジングHG及び電線把持具CHを移送する電線未装着部品移送動作とを行う。このように、電線装着済部品移送動作だけでなく、電線未装着部品移送動作を行う部品移送マニピュレータ30を備えるので、ハウジングHG及び電線把持具CHの受け渡し工程における人手による作業を省くことができる。これにより、作業者の負担を極力抑えて生産性を向上させることができる。また、部品移送マニピュレータ30の動作を変更することで、製造するワイヤハーネスWの変更に対応可能であるので、製造するワイヤハーネスWの変更時の段取り替えの時間を削減できる。しかも、電線装着部2cへハウジングHG及び電線把持具CHを受け渡す別個のマニピュレータを用いる場合と比較し、設備費を抑えることができる。
【0050】
また、電線装着済部品移送動作中及び電線未装着部品移送動作中に、部品移送マニピュレータ30によって把持しているハウジングHG及び電線把持具CHをカメラの画像によって検査する検査装置等で検査させることもできる。このようにすれば、ハウジングHG及び電線把持具CHの移送中に、ハウジングHG及び電線把持具CHにおける電線Cの装着状態を検査することができ、また、ハウジングHG及び電線把持具CH自体の品質の確認も行うことができる。
【0051】
さらに、ハウジングHG及び電線把持具CHを保持した部品パレット81をパレット支持台80から組付けライン3(製造ライン)へ受け渡すとともに、ハウジングHG及び電線把持具CHを保持していない部品パレット81をパレット支持台80に支持させて部品移送マニピュレータ30側へ受け渡すパレット搬送マニピュレータ40を備えるので、部品パレット81の受け渡し工程における人手による作業を省くことができる。これにより、作業者の負担をさらに抑えて生産性を向上させることができる。また、このパレット搬送マニピュレータ40によるパレット払い出し動作及びパレット受け渡し動作を、部品移送マニピュレータ30による電線未装着部品移送動作中に並行して行わせることで、互いのマニピュレータの待機時間を削減し、作業効率を高めて生産性をより向上させることができる。
【0052】
さらに、部品移送マニピュレータ30のハンド72を構成する挟持具73が、互いの間隔が異なる小幅挟持部74、中幅挟持部75及び大幅挟持部76を有するので、これらの小幅挟持部74、中幅挟持部75及び大幅挟持部76を使い分けることにより、大きさや形の異なる各種のハウジングHG及び電線把持具CHを容易に把持することができる。また、引き出された電線Cの向きなどの状況に応じて挟持方向を変えてハウジングHG及び電線把持具CHを把持することができ、汎用性を高めることができる。
【0053】
尚、本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、適宜、変形、改良、等が可能である。その他、上述した実施形態における各構成要素の材質、形状、寸法、数、配置箇所、等は本発明を達成できるものであれば任意であり、限定されない。
【0054】
ここで、上述した本発明に係る部品受け渡し装置及びそれを備えるワイヤハーネスの製造装置の実施形態の特徴をそれぞれ以下[1]〜[4]に簡潔に纏めて列記する。
[1] ワイヤハーネス(W)を構成する一組分の電線(C)を各種の部品(ハウジングHG,電線把持具CH)に装着する電線装着部(2c)から前記部品(ハウジングHG,電線把持具CH)を部品パレット(81)に移送させる部品受け渡し装置(10)であって、
先端に設けられた部品移送用ハンド(72)で前記部品(ハウジングHG,電線把持具CH)を把持して移送する部品移送マニピュレータ(30)と、
前記電線(C)の装着前の前記部品(ハウジングHG,電線把持具CH)を種類別にそれぞれ複数収容する複数のマガジン(ハウジングマガジンHGM,把持具マガジンCHM)と、
を備え、
前記部品移送マニピュレータ(30)は、
前記電線(C)が装着された前記電線装着部(2c)の前記部品(ハウジングHG,電線把持具CH)を前記部品移送用ハンド(72)で把持して前記部品パレット(81)へ移送して保持させる電線装着済部品移送動作と、
前記マガジン(ハウジングマガジンHGM,把持具マガジンCHM)に収容された前記部品(ハウジングHG,電線把持具CH)を前記部品移送用ハンド(72)で把持して前記電線装着部2cへ移送して受け渡す電線未装着部品移送動作と、
を行う
ことを特徴とする部品受け渡し装置。
[2] 先端に設けられたパレット移送用ハンド(92)で前記部品パレット(81)を把持して移送するパレット搬送マニピュレータ(40)を備え、
前記パレット搬送マニピュレータ(40)は、
前記部品移送マニピュレータ(30)で前記部品(ハウジングHG,電線把持具CH)が保持された前記部品パレット(81)を前記パレット移送用ハンド(92)で把持して前記ワイヤハーネス(W)の製造ライン側へ受け渡すパレット払い出し動作と、
前記部品(ハウジングHG,電線把持具CH)が装着されていない前記部品パレット(81)を前記パレット移送用ハンド(92)で把持して前記部品移送マニピュレータ(30)側へ受け渡すパレット受け渡し動作と、
を行う
ことを特徴とする[1]に記載の部品受け渡し装置。
[3] 前記部品移送マニピュレータ(30)の前記部品移送用ハンド(72)は、前記部品(ハウジングHG,電線把持具CH)を挟持する一対の挟持具(73)を備え、前記挟持具(73)は、互いの間隔が異なる複数の挟持部(小幅挟持部74,中幅挟持部75、大幅挟持部76)を有する
ことを特徴とする[1]または[2]に記載の部品受け渡し装置。
[4] [1]から[3]のいずれかの部品受け渡し装置(10)と、
前記部品受け渡し装置(10)から前記部品パレット(81)が移載される搬送装置(3a)を備え、前記搬送装置(3a)によって搬送される前記部品パレット(81)上の前記電線(C)に対して、前記部品の装着作業が行われる組付けライン(3)と、
前記組付けライン(3)で前記部品が装着された前記電線(C)を束ねて前記ワイヤハーネス(W)とする配索作業が行われる配索ライン(4)と、を備える
ことを特徴とするワイヤハーネスの製造装置。