(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
対向する一対の第1平面部及び第2平面部と、前記第1平面部及び第2平面部のそれぞれの側縁から内部側に折り込まれるように配置された一対の第1側面部及び第2側面部とを備え、
前記第1側面部、前記第1平面部及び前記第2側面部が一体に形成され、前記第1側面部及び前記第2側面部のそれぞれの前記第2平面部側の側縁部と、前記第2平面部の両方の側縁部とで側縁シール部が2つ形成されたガゼット袋を連続的に製造する方法であって、
下記工程(1)〜(4)を有するガゼット袋の製造方法。
工程(1):長尺の一対の第1フィルム材及び第2フィルム材を、それらフィルム材が下記条件(i)を満たすように折り畳んだ状態で重ね合せて搬送する。
<条件(i)>
前記第1平面部、前記第1側面部及び前記第2側面部を形成する折り曲げ部分が前記第1フィルム材及び前記第2フィルム材の両方に含まれ、かつそれら折り曲げ部分がフィルム材の短手方向において位置がずれるように複数並列に形成されている。
工程(2):前記第1フィルム材及び前記第2フィルム材における前記側縁シール部に相当する部分を長手方向に接合した接合部を形成し、前記第1平面部、前記第2平面部、前記第1側面部及び前記第2側面部を有する筒状体が短手方向に複数連なった多列筒状体を得る。
工程(3):前記多列筒状体における接合部を長手方向に切断して、前記側縁シール部が2つ形成され、前記第1平面部、前記第2平面部、前記第1側面部及び前記第2側面部を有する筒状体を得る工程。
工程(4):前記筒状体に対して、短手方向に沿った接合及び切断を行って複数のガゼット袋を得る工程。
対向する一対の第1平面部及び第2平面部と、前記第1平面部及び第2平面部のそれぞれの側縁から内部側に折り込まれるように配置された一対の第1側面部及び第2側面部とを備え、
前記第1側面部、前記第1平面部及び前記第2側面部が一体に形成され、前記第1側面部及び前記第2側面部のそれぞれの前記第2平面部側の側縁部と、前記第2平面部の両方の側縁部とで側縁シール部が2つ形成されたガゼット袋製造用の多列筒状体であって、
長尺の一対の第1フィルム材及び第2フィルム材で形成され、
前記第1平面部、前記第1側面部及び前記第2側面部となる折り曲げ部分と、前記第2平面部を形成する平面部分とからなる筒状体が短手方向に複数並列して形成されており、
前記折り曲げ部分が第1フィルム材及び第2フィルム材の両方に含まれている、多列筒状体。
【背景技術】
【0002】
ゼリー飲料等の液体状又は半液体状の内容物の包装袋としては、側部にまちを有するガゼット袋、底部にまちを有するスタンディング袋が用いられている。これらの包装袋は、自立性を確保するための工夫が施されている。特に、ゼリー飲料等の包装袋の場合には、内容物の自重で容易に自立でき、また手で握りつぶすようにして内容物を容易に押し出せるガゼット袋が広く用いられている。
【0003】
ガゼット袋とは、対向する一対の第1平面部及び第2平面部と、それらの側縁から内部側に折り込まれるように配置された一対の第1側面部及び第2側面部とを備えている。一方、ガゼット袋のような袋を製造するために製袋機によりフィルム材をヒートシールして製造する方法が用いられ、高い生産性が求められる。このようなガゼット袋を長尺のフィルム材から製袋機を用いて安価に製造するために、生産性を高める目的でフィルム材の搬送速度を高めると、ヒートシール時間が短くなってしまい、シール不良等が生じやすくなるため搬送速度には限界がある。従って長尺のフィルム材の短手方向において複数列製造する方法が採用されている。例えば、長尺フィルム材の短手方向に3列のガゼット袋を製造する場合、以下の方法が挙げられる。
図7に示すように、一対の第1平面部及び第2平面部を形成する2枚の長尺のフィルム材201,202の間に、一対の第1側面部及び第2側面部を形成する、長尺で長手方向に沿って半折した6枚のフィルム材203,203・・・を配置して搬送する。このとき、6枚のフィルム材203,203・・・は、2枚一組で折り返し部203aを突き合わせるように配置する。フィルム材203,203・・・の両方の側端部をフィルム材201,202のそれぞれにヒートシールして3列の筒状体とする。長手方向に切断してそれぞれの筒状体を分断し、さらに長手方向に間隔を開けて短手方向に沿って切断して、それらの切断物の下部と上部をヒートシールしてガゼット袋とする(例えば、特許文献1)。
【0004】
しかし、このような製造方法では、第1平面部、第2平面部、第1側面部及び第2側面部のそれぞれを形成するための多数のフィルム材の搬送を制御する必要がある。使用するフィルム材の数が多いほど、それぞれのフィルム材の制御が煩雑となる。また、それぞれのフィルム材においてフィルムロールの交換が発生するが、交換位置は必ずしも一致せず、ズレが生じることでロスが多くなる。さらに、前段階において、それぞれのフィルム材を必要幅にスリットする工程も多くなる。
【0005】
また、フィルムロールの交換回数を少なくする目的で、1枚のフィルム材を複数の筒状体が並列して形成されるように折り畳んで搬送し、複数のガゼット袋を製造する方法も提案されている(特許文献2)。しかし、1枚のフィルム材では1枚のフィルム材の幅が限度となり、一度に形成できる筒状体の列数をそれほど多くできないため、生産性が低い。
【0006】
ガゼット袋としては、例えば、第1側面部、第1平面部及び第2側面部を1枚のフィルム材で形成し、第2平面部を別の1枚のフィルム材で形成することで、合計2枚のフィルム材で形成されているものも知られている(特許文献3)。
このようなガゼット袋の製造方法としては、例えば、以下の方法が挙げられる。
図8に示すように、長尺の第1フィルム材301を、第1平面部、第1側面部及び第2側面部を形成する折り曲げ部303が複数並行して長手方向に沿って形成されるように折り畳んだ状態で、第2平面部を形成する長尺の第2フィルム材302と共に搬送する。次いで、第1フィルム材301における隣り合う折り曲げ部303の間の部分と第2フィルム材302とを、長手方向に沿ってヒートシールする。さらに、第1フィルム材301の両方の側端部分も第2フィルム材と長手方向に沿ってヒートシールして3列の筒状体を並列に形成させる。これを長手方向に切断してそれぞれの筒状体を分断し、さらに長手方向に間隔を開けて短手方向に沿って切断して、それらの切断物の下部と上部をヒートシールしてガゼット袋とする。
【0007】
このような製造方法において、使用できるフィルム材の折り畳まれる前の幅である最大幅は通常、製袋機の幅に依存するため、第1側面部、第1平面部及び第2側面部を形成するためのフィルム材の幅には限度がある。そのため、特許文献3の方法では一度に形成する筒状体の列数にも限度がある。生産性を高めるためにフィルム材の搬送速度を高めると、シール不良等が生じやすくなる。これらのことから、特許文献3の方法では生産性を高めることが難しい。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、搬送するフィルム材の制御が容易で、高い生産性でガゼット袋を製造することができるガゼット袋の製造方法、及びガゼット袋製造用の多列筒状体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、以下の構成を有するガゼット袋の製造方法を提供する。
[1]対向する一対の第1平面部及び第2平面部と、前記第1平面部及び第2平面部のそれぞれの側縁から内部側に折り込まれるように配置された一対の第1側面部及び第2側面部とを備え、
前記第1側面部、前記第1平面部及び前記第2側面部が一体に形成され、前記第1側面部及び前記第2側面部のそれぞれの前記第2平面部側の側縁部と、前記第2平面部の両方の側縁部とで側縁シール部が2つ形成されたガゼット袋を連続的に製造する方法であって、
下記工程(1)〜(4)を有するガゼット袋の製造方法。
工程(1):長尺の一対の第1フィルム材及び第2フィルム材を、それらフィルム材が下記条件(i)を満たすように折り畳んだ状態で重ね合せて搬送する。
<条件(i)>
前記第1平面部、前記第1側面部及び前記第2側面部を形成する折り曲げ部分が前記第1フィルム材及び前記第2フィルム材の両方に含まれ、かつそれら折り曲げ部分がフィルム材の短手方向において位置がずれるように複数並列に形成されている。
工程(2):前記第1フィルム材及び前記第2フィルム材における前記側縁シール部に相当する部分を長手方向に接合した接合部を形成し、前記第1平面部、前記第2平面部、前記第1側面部及び前記第2側面部を有する筒状体が短手方向に複数連なった多列筒状体を得る。
工程(3):前記多列筒状体における接合部を長手方向に切断して、前記側縁シール部が2つ形成され、前記第1平面部、前記第2平面部、前記第1側面部及び前記第2側面部を有する筒状体を得る工程。
工程(4):前記筒状体に対して、短手方向に沿った接合及び切断を行って複数のガゼット袋を得る工程。
[2]前記多列筒状体が、短手方向の中央に対して左右対称になっている、[1]に記載のガゼット袋の製造方法。
[3]前記第1フィルム材と前記第2フィルム材の各折り曲げ部分が、短手方向に互い違いに並列に形成されている、[1]又は[2]に記載のガゼット袋の製造方法。
[4]対向する一対の第1平面部及び第2平面部と、前記第1平面部及び第2平面部のそれぞれの側縁から内部側に折り込まれるように配置された一対の第1側面部及び第2側面部とを備え、
前記第1側面部、前記第1平面部及び前記第2側面部が一体に形成され、前記第1側面部及び前記第2側面部のそれぞれの前記第2平面部側の側縁部と、前記第2平面部の両方の側縁部とで側縁シール部が2つ形成されたガゼット袋製造用の多列筒状体であって、
長尺の一対の第1フィルム材及び第2フィルム材で形成され、
前記第1平面部、前記第1側面部及び前記第2側面部となる折り曲げ部分と、前記第2平面部を形成する平面部分とからなる筒状体が短手方向に複数並列して形成されており、
前記折り曲げ部分が第1フィルム材及び第2フィルム材の両方に含まれている、多列筒状体。
【発明の効果】
【0011】
本発明のガゼット袋の製造方法によれば、搬送するフィルム材の制御が容易で、高い生産性でガゼット袋を製造することができる。
本発明の多列筒状体を用いれば、製造時におけるフィルム材の制御が容易であるうえ、高い生産性でガゼット袋を製造することができる。
【発明を実施するための形態】
【0013】
[ガゼット袋の製造方法]
本発明の製造方法で製造するガゼット袋は、対向する一対の第1平面部及び第2平面部と、前記第1平面部及び第2平面部のそれぞれの側縁から内部側に折り込まれるように配置された一対の第1側面部及び第2側面部とを備えている。また、該ガゼット袋においては、第1側面部、第1平面部及び第2側面部が一体に形成され、第1側面部及び第2側面部のそれぞれの第2平面部側の側縁部と、第2平面部の両方の側縁部とが接合された側縁シール部が2つ形成されている。
【0014】
本発明の製造方法で製造するガゼット袋は、内容物を注出するための口部材を備えるものであってもよく、該口部材を備えないものであってもよい。以下、本発明の製造方法で製造するガゼット袋の一例を示して説明する。
【0015】
(ガゼット袋)
本実施形態の口部材付ガゼット袋1は、
図1に示すように、ガゼット袋10と、ガゼット袋10の上部に液密に取り付けられた口部材20と、を備える。ガゼット袋10は、
図1〜3に示すように、対向する一対の第1平面部11及び第2平面部12と、第1平面部11及び第2平面部12の側縁同士を接続する、対向する一対の第1側面部13及び第2側面部14とからなる。
【0016】
第1平面部11と、一対の第1側面部13及び第2側面部14とは、1枚の第1フィルム材2で一体に形成されている。つまり、この例のガゼット袋10は、第1平面部11、第1側面部13及び第2側面部14を形成する第1フィルム材2と、第2平面部12を形成する第2フィルム材3との2枚のフィルム材で形成されている。
【0017】
第1側面部13は、折込線13aが内側となるように、すなわち第1平面部11及び第2平面部12の一方の側縁から内部側に折り込まれるように設けられている。同様に、第2側面部14は、折込線14aが内側となるように、すなわち第1平面部11及び第2平面部12の他方の側縁から内部側に折り込まれるように設けられている。
【0018】
ガゼット袋10においては、第2フィルム材3により形成される第2平面部12の両方の側縁部と、第1フィルム材2により形成される第1側面部13及び第2側面部14のそれぞれの側縁部とが例えばヒートシールにより接合された接合部としての側縁シール部15が2本形成されている。また、第1平面部11、第2平面部12、第1側面部13及び第2側面部14における上部の接触する内面同士がヒートシールにより接合されて上部シール部16が形成されている。さらに、第1平面部11、第2平面部12、第1側面部13及び第2側面部14における下部の接触する内面同士もヒートシールにより接合されて下部シール部17が形成されている。これにより、口部材付ガゼット袋1は、ガゼット袋10内に内容物を収容できるようになっている。
なお、側縁シール部、上部シール部及び下部シール部の接合は、ヒートシールによるものには限定されず、例えば、インパルスシール、高周波シール、超音波シール、接着剤による接合等の公知の接合も含まれる。
【0019】
ガゼット袋10における側縁シール部15の数は2本である。側縁シール部が4本あるガゼット袋に比べて、ガゼット袋10を手で握った際に手に当たる側縁シール部15が少ないことで、痛みを感じにくい。また、側縁シール部が2本あることで、自立性も確保できる。
口部材付ガゼット袋1は、第1平面部11を前面、第2平面部12を背面として使用してもよく、第2平面部12を前面、第1平面部11を背面として使用してもよい。
【0020】
第1フィルム材及び第2フィルム材としては、単層フィルム、又は多層構造を有する積層フィルムが挙げられる。第1フィルム材及び第2フィルム材としては、様々な機能を付与できる点から、積層フィルムが好ましく、ヒートシールが可能な最内層と、種々の機能性が付与された中間層と、最外層とを有する積層フィルムがより好ましい。
【0021】
最内層として用いるフィルムとしては、例えば、低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、ポリプロピレン、線状低密度ポリエチレン等のポリオレフィン樹脂、又はこれらの混合樹脂、アイオノマー樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−アクリル酸共重合体、エチレン−アクリル酸メチル共重合体、及びエチレン−メタクリル酸共重合体からなる群から選ばれる1種以上からなる未延伸フィルムが挙げられる。または、これらからなる樹脂が挙げられる。最内層の厚さは、30〜200μmが好ましい。
【0022】
最外層として用いるフィルムとしては、機械適性、印刷適性が高いフィルムが好ましい。例えば、ポリエステル系、ポリアミド系、ポリプロピレン系、ポリカーボネート系、ポリアセタール系等の合成樹脂からなるフィルムが挙げられる。これらのフィルムは、未延伸フィルムであってもよく、一軸方向又は二軸方向に延伸した延伸フィルムであってもよい。最外層として用いるフィルムは、印刷適性の点から、一軸方向又は二軸方向に延伸した延伸フィルムを用いることが好ましい。具体的には、二軸延伸ポリエチレンテレフタレート、二軸延伸ポリアミド、二軸延伸ポリプロピレン等の延伸プラスチックフィルム等が挙げられる。また、必要に応じて合成紙、セロハン、紙、不織布等を使用することもできる。最外層の厚さは、12〜25μmが好ましい。
【0023】
中間層は、気体遮断性、機械的強靱性、耐屈曲性、耐突き刺し性、耐衝撃性、耐磨耗性、耐寒性、耐熱性、耐薬品性等、要求される機能に応じて適宜選択できる。中間層に用いるフィルムとしては、例えば、アルミニウム、鉄、銅、錫等の金属箔、ポリエチレンテレフタレート、ポリアミド、ポリ塩化ビニル、ポリカーボネート、ポリビニルアルコール、エチレン−酢酸ビニル共重合体ケン化物等のフィルム、又はこれらにポリ塩化ビニリデンを塗工したフィルム若しくはアルミニウム、酸化珪素、酸化アルミニウム、酸化インジウム、酸化錫、酸化ジルコニウム、酸化マグネシウム等の無機物を蒸着したフィルム、ポリ塩化ビニリデン等のフィルムや、断熱性を有する不織布や発泡フィルムが挙げられる。中間層は、1層であってもよく、2層以上であってもよい。中間層の厚さは、ガゼット袋10に要求される機能を満たすことができる厚さであればよく、6〜20μmが好ましい。
【0024】
第1フィルム材及び第2フィルム材においては、中間層を設ける代わりに、最外層に用いるフィルムとして、蒸着層を設けた蒸着フィルムを用いてもよい。蒸着層としては、例えば、アルミニウム、酸化珪素、酸化アルミニウム、酸化インジウム、酸化錫、酸化ジルコニウム、酸化マグネシウム等の無機物が挙げられる。これらの積層フィルムは、各層が公知の方法を用いて積層されることで製造される。
第1フィルム材と第2フィルム材は、同じであっても異なっていてもよく、同一であることが好ましい。
【0025】
口部材20は、
図1及び
図2に示すように、ガゼット袋10内に挿入され、内容物を注出する注出管21と、注出管21の上部に螺合せしめて、注出管21の注出口を密閉するキャップ22とを有する。口部材20は、注出管21が第1平面部11及び第2平面部12の上縁部同士で挟持された状態で、ヒートシールにより上部シール部16に液密に取り付けられている。
【0026】
口部材20の材質としては、少なくとも注出管21における第1平面部11の内面とシールされる部分は合成樹脂である。該合成樹脂としては、例えば、ポリオレフィン樹脂、ポリアミド樹脂、ポリエステル樹脂、(メタ)アクリル樹脂、塩化ビニル樹脂、塩化ビニリデン樹脂、ポリエーテルサルホン、エチレン−ビニルアルコール共重合体等が挙げられる。なかでも、加工性に優れ、低コストである点から、ポリオレフィン樹脂が好ましい。
【0027】
ポリオレフィン樹脂としては、例えば、高密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高圧法低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体等のポリエチレン系樹脂、エチレン−α−オレフィン共重合体等のオレフィン系エラストマー、ポリプロピレン、エチレン−プロピレンランダム共重合体、α−オレフィン−プロピレンランダム共重合体等のポリプロピレン系樹脂や、環状ポリオレフィン樹脂等が挙げられる。これらの樹脂は、性能向上のためにブレンドされていてもよく、耐熱性向上等を目的として一部架橋されていてもよい。
【0028】
口部材20は単一の材料から形成されていてもよく、あるいは種々の樹脂層からなる多層構造が形成されていてもよい。口部材20の注出管21のうち、少なくともガゼット袋10の第1平面部11と第2平面部12とのシール部分を形成する樹脂は、シール性の点から、第1平面部11の最内層及び第2平面部12の最内層を形成する樹脂と同種の樹脂で形成されていることが好ましい。
【0029】
(製造方法)
以下、本発明のガゼット袋の製造方法の一例として、前記した口部材付ガゼット袋1を連続的に製造する方法について説明する。本実施形態の口部材付ガゼット袋1の製造方法は、下記の工程(1)〜(4)を有する。
工程(1):
図4に示すように、長尺の一対の第1フィルム材2及び第2フィルム材3を、それらフィルム材が後述の条件(i)を満たすように折り畳まれた状態で重ね合せて搬送する。
工程(2):第1フィルム材2及び第2フィルム材3における側縁シール部15に相当する部分を長手方向にヒートシールし、
図5に示すように、第1平面部11、第2平面部12、第1側面部13及び第2側面部14を有する筒状体42が短手方向に複数連なった多列筒状体40を得る。
工程(3):多列筒状体40におけるヒートシール部を長手方向に切断して、
図6に示すように、側縁シール部15が2つ形成され、第1平面部11、第2平面部12、第1側面部13及び第2側面部14を有する筒状体42を得る工程。
工程(4):筒状体42に対して、短手方向に沿ったヒートシール及び切断を行って複数のガゼット袋10を得る工程。
さらに、ガゼット袋10の第1平面部11と第2平面部12の間に口部材20を挟んでヒートシールにより接合した上部シール部16を形成して、口部材付ガゼット袋1を得る。
【0030】
<工程(1)>
長尺の一対の第1フィルム材2及び第2フィルム材3を、それらフィルム材が条件(i)を満たすように折り畳まれた状態で重ね合せて搬送する。
条件(i):第1平面部、第1側面部及び第2側面部を形成する折り曲げ部分が第1フィルム材及び第2フィルム材の両方に含まれ、かつそれら折り曲げ部分がフィルム材の短手方向において位置がずれるように複数並列に形成されている。
【0031】
具体的には、
図4に示すように、第1フィルム材2及び第2フィルム材3をそれぞれ折り畳んで、それらの両方に、第1平面部11、第1側面部13及び第2側面部14を形成する折り曲げ部分31が長手方向に延在するように形成する。このとき、第1フィルム材2及び第2フィルム材3のそれぞれに形成された折り曲げ部分31をフィルム材の短手方向において位置がずれるように複数並列に形成する。この例では、第1フィルム材2及び第2フィルム材3の短手方向において7つの折り曲げ部分31を互い違いに形成している。7つの折り曲げ部分31のうちの3つを第1フィルム材2に形成し、4つを第2フィルム材3に形成している。
【0032】
第1フィルム材2における各折り曲げ部分31の間、及び折り曲げ部分31の側縁側には、第2平面部12と側縁シール部15を形成するための平面部分32が形成されている。第1フィルム材2の短手方向においては、平面部分32と折り曲げ部分31とが交互に形成されている。第2フィルム材3における各折り曲げ部分31の間にも、第2平面部12と側縁シール部15を形成するための平面部分32が形成されている。第2フィルム材3の短手方向においては、平面部分32と折り曲げ部分31とが交互に形成されている。
【0033】
第1フィルム材2におけるそれぞれの平面部分32の短手方向の位置は、第2フィルム材3における折り曲げ部分31の位置に対応している。同様に、第2フィルム材3におけるそれぞれの平面部分32の短手方向の位置は、第1フィルム材2における折り曲げ部分31の位置に対応している。
【0034】
この例の工程(1)においては、第1フィルム材2に形成された3つのうちの真ん中の折り曲げ部分31が、第1フィルム材2の短手方向の中央に位置し、残りの2つが短手方向の中央線aに対して左右対称な位置に配置されている。また、第2フィルム材3に形成された4つの折り曲げ部分31のうちの2つずつが、短手方向の中央線aに対して左右対称な位置に配置されている。すなわち、この例では、工程(1)の第1フィルム材2及び第2フィルム材3の長手方向に垂直な断面形状が、短手方向の中央に対して左右対称になっている。本発明では、このように、条件(i)を満たすように折り畳まれた第1フィルム材及び第2フィルム材の長手方向に垂直な断面形状が、短手方向の中央に対して左右対称になっていることが好ましい。これにより、第1フィルム材及び第2フィルム材を搬送する際にそれらにバランス良く張力がかかり、不具合が生じにくくなる。
【0035】
具体的には、製袋機において上下2つのロールからなるニップロール等を用いて長尺のフィルム材を搬送する際には、短手方向において厚みに違いがある場合、フィルム材の厚みが厚い部分ほどロールからの圧力がかかりやすい傾向がある。折り曲げ部分31における第1側面部13又は第2側面部14が位置する部分ではフィルム材が4枚重なっているのに対して、それ以外の部分ではフィルム材の重なりが2枚になっている。そのため、搬送時には折り曲げ部分31における第1側面部13又は第2側面部14が位置する部分にロールからの圧力がかかりやすい傾向がある。また、第1フィルム材2及び第2フィルム材3において、それぞれ平面部分32と比べて折り曲げ部分31の方が上のロール又は下のロールに接しやすいためにロールからの圧力がかかりやすい。そのため、折り曲げ部分31の第1側面部13又は第2側面部14の位置が最も圧力がかかりやすく、平面部分32のみの位置が最も圧力がかかりにくい。第1フィルム材2及び第2フィルム材3の長手方向に垂直な断面形状が、短手方向の中央に対して左右対称になっていることで、フィルム材における搬送時に圧力がかかりやすい部分も短手方向の中央に対して左右対称になる。これにより、搬送時の短手方向において第1フィルム材及び第2フィルム材にロールから圧力がバランス良くかかるため、第1フィルム材及び第2フィルム材がバランス良く引っ張られ、各フィルム材の搬送方向から、次第に右側又は左側にずれることがなく、よりスムーズに搬送されるようになる。
また、第1フィルム材2及び第2フィルム材3の短手方向において、折り曲げ部分31を互い違いに形成していることで、ロールからの圧力のかかりやすい部分とかかりにくい部分とが、搬送時の短手方向において交互に位置するようになる。これにより、第1フィルム材及び第2フィルム材にロールから圧力がバランス良くかかるため、第1フィルム材及び第2フィルム材がバランス良く引っ張られ、よりスムーズに搬送されるようになる。
【0036】
なお、第1フィルム材及び第2フィルム材を折り畳む形態は、条件(i)を満たしていれば前記した形態には限定されない。例えば、第1フィルム材及び第2フィルム材に形成される各折り曲げ部分は、左右対称又は互い違いに形成されていなくてもよい。第1フィルム材及び第2フィルム材にそれぞれ形成する折り曲げ部分の数は、特に限定されず、製袋される袋の寸法と製袋機の幅に合わせてフィルム材の使用効率を考慮して、適宜設定することができる。
【0037】
<工程(2)>
工程(1)のように搬送している第1フィルム材2及び第2フィルム材3における側縁シール部15に相当する部分を長手方向に接合して接合部を形成する。具体的には、第1フィルム材2及び第2フィルム材3における折り曲げ部分31の両側部分と平面部分32の対応する部分とを長手方向にヒートシールし、接合部としてのヒートシール部を形成する。これにより、
図5に示すように、第1平面部11、第2平面部12、第1側面部13及び第2側面部14を有する筒状体42が短手方向に複数連なった多列筒状体40を得る。なお、第1フィルム材2及び第2フィルム材3における側縁シール部15に相当する部分の接合は、ヒートシールには限定されず、例えば、インパルスシール、高周波シール、超音波シール、接着剤による接合等の公知の接合も含まれる。
【0038】
多列筒状体40においては、第1平面部11、第1側面部13及び第2側面部14となる折り曲げ部分31と、第2平面部12を形成する平面部分32とからなる筒状体42が短手方向に複数並列して形成されている。また、折り曲げ部分31が第1フィルム材2及び第2フィルム材3の両方に含まれている。この例の多列筒状体40では、第1フィルム材2及び第2フィルム材3において7つの筒状体42が短手方向に互い違いに並列に形成されている。工程(1)において、第1フィルム材2及び第2フィルム材3の長手方向に垂直な断面形状を短手方向の中央に対して左右対称にした場合、形成される多列筒状体も短手方向の中央に対して左右対称になる。
【0039】
<工程(3)>
多列筒状体40における接合部であるヒートシール部を、
図5に示す直線Xに沿って切断する。すなわち、多列筒状体40におけるヒートシール部の幅方向の中央付近部分を長手方向に切断する。これにより、
図6に示すように、側縁シール部15が2つ形成され、第1平面部11、第2平面部12、第1側面部13及び第2側面部14を有する筒状体42を複数切り出す。
【0040】
<工程(4)>
筒状体42に対して、直線Yに沿って、すなわち第1フィルム材2と第2フィルム材3の長手方向に一定の間隔を空けて、短手方向に沿って、下部シール部17となる部分の第1平面部11、第2平面部12、第1側面部13及び第2側面部14の内面同士をヒートシールして接合し、ヒートシール部を形成していく。次いで、第1フィルム材2と第2フィルム材3を直線Yに沿って、すなわち第1フィルム材2と第2フィルム材3の長手方向に一定の間隔を空けて短手方向に沿って切断し、長手方向に複数に分断する。このときにヒートシール部が袋の一端となるように切断する。これにより、第1平面部11、第2平面部12、第1側面部13及び第2側面部14の下部に下部シール部17が形成された袋状のフィルム材を得る。
なお、下部シール部を形成するための接合は、ヒートシールには限定されず、例えば、インパルスシール、高周波シール、超音波シール、接着剤による接合等の公知の接合も含まれる。
【0041】
次いで、複数に分断した袋状のフィルム材の上部において、第1平面部11、第2平面部12の内面同士、第1平面部11と第1側面部13及び第2側面部14の接触する内面同士、並びに第2平面部12と第1側面部13及び第2側面部14の接触する内面同士をそれぞれヒートシールして接合し、上部シール部16を形成する。また、第1平面部11、第2平面部12の内面同士のヒートシールにおいては、口部材20の注出管21を第1平面部11と第2平面部12の上縁部同士で挟持した状態でヒートシールを行い、上部シール部16に口部材20を液密に取り付ける。これにより、複数の口部材付ガゼット袋1が得られる。
なお、上部シール部を形成するための接合は、ヒートシールには限定されず、例えば、インパルスシール、高周波シール、超音波シール、接着剤による接合等の公知の接合も含まれる。
【0042】
以上説明した本発明のガゼット袋の製造方法においては、第1フィルム材及び第2フィルム材の2枚のフィルム材によってガゼット袋を製造する。そのため、第1平面部、第2平面部、第1側面部及び第2側面部のそれぞれを形成するフィルム材を用いる場合に比べて、フィルム材の数が少なくて済み、搬送するフィルム材の制御が容易である。
また、本発明では、条件(i)を満たすように第1フィルム材及び第2フィルム材を折り畳まれた状態で重ね合せて搬送し、長手方向に沿って接合して、複数の筒状体が短手方向に並列して形成されたガゼット袋製造用の多列筒状体を得る。すなわち、第1フィルム材及び第2フィルム材の両方に、第1平面部、第1側面部及び第2側面部を形成するための折り曲げ部分を形成する。これにより、一方のフィルム材のみに折り曲げ部分を形成する場合に比べて、フィルム材の最大幅をさらに広くすることなく多列筒状体における筒状体の数を増やすことができ、フィルム材の搬送速度を高めることなく生産性を高めることができる。また、多数のフィルム材を用いてガゼット袋を製造する場合に比べて、製造の前段階におけるスリット回数も減らすことができる。このように、時間単位あたりにより多くのガゼット袋を製造できる。
【0043】
なお、本発明のガゼット袋の製造方法は、前記した方法には限定されない。例えば、本発明のガゼット袋の製造方法は、口部材を備えないガゼット袋を製造する方法であってもよい。また、工程(1)において、第1フィルム材と第2フィルム材の側縁同士が接続されて一体となっていてもよい。さらに、本発明のガゼット袋の製造方法により製造したガゼット袋の側縁シール部を第2平面部又は各側面部側に折り曲げてもよく、折り曲げた側縁シール部を各面部に貼りあわせて固定してもよい。
【実施例】
【0044】
以下、実施例によって本発明を具体的に説明するが、本発明は以下の記載によっては限定されない。
[実施例1]
1200mm幅の第1フィルム材及び第2フィルム材を用いて、
図4〜6に示す、本発明の工程(1)〜(4)によってガゼット袋を製造する。工程(1)において、第1平面部及び第2平面部の幅を80mm、第1側面部及び第側面部の側縁から折込部までの幅を27mmとし、第1フィルム材及び第2フィルム材に互い違いに折り曲げ部分を形成する。多列筒状体においては、筒状体を並列に8列形成することができ、短手方向に8つのガゼット袋が作製できる。ガゼット袋の生産性が高い。
【0045】
[比較例1]
1200mm幅の第1フィルム材のみに折り曲げ部分を形成し、第2フィルム材に折り曲げ部分を形成しない以外は、実施例1と同寸法のガゼット袋を製造する。短手方向には6つのガゼット袋を作製するのが限度であり、実施例1に比べて生産性が劣る。
【0046】
[比較例2]
1200mm幅のフィルム材1枚のみを折り畳んで実施例1と同寸法のガゼット袋を製造しようとすると、短手方向には4つのガゼット袋を作製するのが限度であり、実施例1に比べて生産性が劣る。