(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明に係る実施形態について図面を参照しながら説明するが、本発明はこれに限定されない。以下で説明する実施形態の構成要素は、適宜組み合わせることができる。また、一部の構成要素を用いない場合もある。
【0010】
<第1実施形態>
第1実施形態について説明する。
図1は、本実施形態に係る作業車両1Aの一例を示す斜視図である。
図2は、本実施形態に係る作業車両1Aの一例を示す側面図である。
図3は、本実施形態に係る作業車両1Aの一例を示す正面図である。本実施形態においては、作業車両1Aが油圧ショベル1Aである例について説明する。
【0011】
図1、
図2、及び
図3に示すように、油圧ショベル1Aは、油圧により作動する作業機10と、運転席21を有する車両本体20と、車両本体20を支持する走行装置30と、ブレード40とを備える。
【0012】
作業機10は、車両本体20に支持される。本実施形態において、作業機10は、所謂、オフセット式ブームを有するオフセット式作業機である。作業機10は、車両本体20に連結されるメインブーム11と、メインブーム11に連結されるオフセットブーム12と、オフセットブーム12に連結されるアーム13と、アーム13に連結されるバケット14とを有する。バケット14は、凸形状の複数の刃を有する。刃の先端部である刃先14Bは複数設けられる。なお、バケット14の刃先14Bは、バケット14に設けられたストレート形状の刃の先端部でもよい。
【0013】
車両本体20とメインブーム11とはブームピンを介して連結される。メインブーム11は、回転軸AX1を中心に回転可能に車両本体20に支持される。メインブーム11とオフセットブーム12とは第1オフセットピンを介して連結される。オフセットブーム12は、オフセット軸BX1を中心に回転可能にメインブーム11に支持される。オフセットブーム12とアーム13とはアームピンを介して連結される。アーム13は、回転軸AX2を中心に回転可能にオフセットブーム12に支持される。また、オフセットブーム12とアーム13とは第2オフセットピンを介して連結される。アーム13は、オフセット軸BX2を中心に回転可能にオフセットブーム12に支持される。アーム13とバケット14とはバケットピンを介して連結される。バケット14は、回転軸AX3を中心に回転可能にアーム13に支持される。
【0014】
車両本体20は、走行装置30の上方に配置され、走行装置30に支持された状態で旋回軸RXを中心に旋回可能である。以下の説明においては、車両本体20を適宜、上部旋回体20、と称し、走行装置30を適宜、下部走行体30、と称する。
【0015】
回転軸AX1と、回転軸AX2と、回転軸AX3とは、平行である。回転軸AX1,AX2,AX3と、旋回軸RXと平行な軸とは、直交する。以下の説明においては、回転軸AX1,AX2,AX3と平行な方向を適宜、上部旋回体20の車幅方向、と称し、旋回軸RXと平行な方向を適宜、上部旋回体20の上下方向、と称し、回転軸AX1,AX2,AX3及び旋回軸RXの両方と直交する方向を適宜、上部旋回体20の前後方向、と称する。
【0016】
本実施形態においては、運転席21に着座した運転者を基準としてバケット14が存在する方向が前方であり、前方の逆方向が後方である。車幅方向の一方が右方であり、右方の逆方向が左方である。バケット14は、上部旋回体20よりも前方に配置される。バケット14の複数の刃先14Bは、車幅方向に配置される。ブレード40は、下部走行体30よりも前方に配置される。
【0017】
作業機10は、油圧シリンダによって作動する。油圧ショベル1Aは、メインブーム11を駆動するブームシリンダ15と、オフセットブーム12を駆動するオフセットシリンダ16と、アーム13を駆動するアームシリンダ17と、バケット14を駆動するバケットシリンダ18とを有する。ブームシリンダ15が作動すると、メインブーム11の基端部が回転軸AX1を中心に回転して、メインブーム11の先端部が上下方向に移動する。アームシリンダ17が作動すると、アーム13の基端部が回転軸AX2を中心に回転して、アーム13の先端部が上下方向に移動する。バケットシリンダ18が作動すると、バケット14の基端部が回転軸AX3を中心に回転して、バケット14の刃先14Bが上下方向に移動する。
【0018】
オフセット式作業機である作業機10は、上部旋回体20の車幅方向にバケット14を移動可能である。オフセット軸BX1,BX2は、回転軸AX1,AX2,AX3と直交する。オフセットシリンダ16が作動し、オフセットブーム12がオフセット軸BX1を中心に回転することにより、アーム13及びバケット14が車幅方向に移動する。オフセット軸BX1を中心とするオフセットブーム12の回転と同期して、アーム13がオフセット軸BX2を中心に回転する。これにより、複数の刃先14Bが車幅方向に配置された状態が維持されたまま、アーム13及びバケット14が車幅方向に平行移動する。
【0019】
バケット14は、上部旋回体20よりも前方に配置される。
図3に示すように、オフセットシリンダ16の作動により、バケット14は、運転席21の正面に移動可能である。
【0020】
上部旋回体20は、運転者が着座する運転席21と、運転席21よりも上方に配置され、天窓22を支持する屋根部材であるキャノピー23と、キャノピー23を支持する支柱24と、運転者に操作される操作レバー25とを有する。
【0021】
車幅方向において、運転席21の位置と天窓22の位置とは一致する。天窓22は、運転席21の直上又は運転席21の上方且つ前方に配置される。
【0022】
操作レバー25は、作業機10を操作するための作業機レバー25Aと、下部走行体30を操作するための走行レバー25Bとを含む。作業機レバー25Aは、運転席21の右方及び左方のそれぞれに配置される。走行レバー25Bは、運転席21の前方に配置される。
【0023】
下部走行体30は、一対のクローラ31を有する。クローラ31の回転により、油圧ショベル1Aが走行する。なお、下部走行体30がタイヤを有してもよい。
【0024】
図3に示すように、油圧ショベル1Aは、前照灯2を有する。前照灯2は、メインブーム11に支持される。前照灯2は、上下方向においてキャノピー23よりも下方に配置される。前照灯2は、その前照灯2が設けられている位置よりも前方且つ下方に照明光を射出する。前照灯2は、照明光を射出して、バケット14及びバケット14による掘削部位を照明する。
【0025】
夜間においては、前照灯2で作業機10のバケット14を照明しながら掘削作業が実施される。バケット14は、キャノピー23を含む上部旋回体20よりも前方において、キャノピー23よりも下方の掘削部位を掘削する。前照灯2は、キャノピー23よりも前方且つ下方に存在するバケット14を照明する。
【0026】
図4は、本実施形態に係るキャノピー23を下方から見た斜視図である。
図5は、本実施形態に係るキャノピー23を後方から見た図である。
図6は、本実施形態に係るキャノピー23を上方から見た平面図である。
図7は、本実施形態に係るキャノピー23を示す側面図である。
図8は、本実施形態に係るキャノピー23の一部断面を拡大した図である。
【0027】
図4から
図8に示すように、油圧ショベル1Aは、上部旋回体20よりも前方からの天窓22に対する光の入射を遮る遮光面51を有する庇部材50を備える。庇部材50は、キャノピー23に支持される。
【0028】
キャノピー23は、天窓22が配置される開口23Kを有する。天窓22は、キャノピー23の開口23Kに配置される。
【0029】
天窓22は、透明部材である。天窓22は、上方を向く上面22Aと、下方を向く下面22Bとを有する。天窓22の上面22Aは、平坦面である。天窓22の下面22Bは、平坦面である。上面22Aと下面22Bとは、実質的に平行である。本実施形態において、天窓22は、平行平板である。
【0030】
キャノピー23は、上方を向く上面23Aと、下方を向く下面23Bとを有する。キャノピー23の上面23Aは、平坦面である。キャノピー23の下面23Bは、平坦面である。上面23Aと下面23Bとは、実質的に平行である。
【0031】
上部旋回体20よりも前方且つキャノピー23よりも下方に配置されているバケット14を前照灯2で照明するために、前照灯2から照明光が射出されると、バケット14に照射された照明光の少なくとも一部はバケット14で反射して、天窓22の下面22Bから天窓22に入射する。バケット14で反射した照明光の少なくとも一部が天窓22に入射すると、その天窓22にバケット14の虚像が形成される可能性がある。すなわち、バケット14の虚像が天窓22に映り込む映り込み現象が発生する可能性がある。
【0032】
本実施形態においては、作業機10は、オフセット式作業機であり、運転席21の正面にバケット14が配置される可能性がある。運転席21の正面に配置されたバケット14が前照灯2で照明された場合、映り込み現象が発生する可能性が高くなる。
【0033】
作業機10を用いる掘削作業においては、作業機10の少なくとも一部がキャノピー23よりも上方に移動される場合がある。例えば、掘削作業において、アームシリンダ17がキャノピー23よりも上方に移動される場合がある。運転者は、アームシリンダ17のような最も上方に移動された作業機10の部位(最高到達部位)を、天窓22を介して目視して、作業機10の状態を確認する場合がある。天窓22にバケット14の虚像が形成される映り込み現象が発生すると、運転者は、天窓22を介して、作業機10の最高到達部位の実像を目視することが困難となる。
【0034】
庇部材50は、上部旋回体20よりも前方に配置されているバケット14で反射した照明光が天窓22の下面22Bに入射することを遮る。天窓22に対する照明光の入射が遮られることにより、バケット14の虚像が天窓22に形成される映り込み現象の発生が抑制される。
【0035】
庇部材50は、光の透過が抑制された遮光部材である。庇部材50は、ステンレス鋼のような金属で形成される。なお、庇部材50は、合成樹脂で形成されてもよい。
【0036】
庇部材50は、キャノピー23の下面23Bに配置される。庇部材50の少なくとも一部は、天窓22の前端部22Fから後方に配置される。キャノピー23の前端部23Fとは、キャノピー23の下面23Bのうち最も前方の部位をいう。天窓22の前端部22Fとは、天窓22の下面22Bのうち最も前方の部位をいう。天窓22の前端部22Fは、キャノピー23の下面23Bと天窓22の下面22Bとの境界を含む。
【0037】
遮光面51は、下方を向く庇部材50の下面であり、天窓22に対する光の入射を遮る。遮光面51の少なくとも一部は、天窓22の前端部22Fから後方においてキャノピー23の下面23Bよりも下方に配置される。
【0038】
本実施形態において、庇部材50の前端部50Fは、キャノピー23の前端部23Fと接続される。庇部材50の後端部50Rは、キャノピー23及び天窓22から離れている。庇部材50の前端部50Fとは、庇部材50のうち最も前方の部位をいう。庇部材50の後端部50Rとは、庇部材50のうち最も後方の部位をいう。
【0039】
庇部材50の後端部50Rは、天窓22の前端部22Fよりも後方に配置される。すなわち、庇部材50と天窓22とは下面22Bと実質的に平行な平面視において僅かに重複する。前後方向の庇部材50と天窓22との重複領域Daの寸法は、庇部材50と天窓22との非重複領域Dbの寸法よりも小さい。重複領域Daは、天窓22の下面22Bが庇部材50と対向する領域を含む。非重複領域Dbは、天窓22の下面22Bが庇部材50と対向しない領域を含む。
【0040】
本実施形態において、前後方向の天窓22の寸法は、500[mm]以上600[mm]以下である。前後方向の重複領域Daの寸法は、10[mm]以上100[mm]以下である。
【0041】
車幅方向における庇部材50の寸法は、天窓22の寸法よりも大きい。本実施形態において、車幅方向の天窓22の寸法は、300[mm]以上500[mm]以下である。
【0042】
図9は、本実施形態に係る庇部材50を上方から見た平面図である。
図10は、本実施形態に係る庇部材50を後方から見た図である。
図11は、本実施形態に係る庇部材50を示す側面図である。
図12は、本実施形態に係る庇部材50の側断面図である。
【0043】
本実施形態において、庇部材50は、板部材によって形成される。庇部材50は、平板状の板部材を折り曲げることによって形成されてもよいし、複数の板部材を組み合わせることによって形成されてもよい。本実施形態において、庇部材50は、遮光板部501と、遮光板部501の車幅方向の両側に配置される一対の側板部502,503とを含む。
【0044】
本実施形態において、庇部材50は、キャノピー23の下面23Bと間隙を介して対向する上面52を有する。遮光面51及び上面52は、遮光板部501に配置される。
【0045】
図4及び
図5等に示すように、庇部材50の前端部50Fと、車幅方向の庇部材50の一方の端部50Ea及び他方の端部50Ebとが、キャノピー23と接続される。キャノピー23の下面23Bと庇部材50の上面52の後端部50Rとの間には開口部53が設けられる。端部50Eaは、側板部502に配置される。端部50Ebは、側板部503に配置される。
【0046】
本実施形態において、庇部材50の遮光面51の少なくとも一部は、上部旋回体20の後方に向かって下方に傾斜する。
図12に示すように、本実施形態において、遮光面51は、庇部材50の前端部50Fから後方に向かって下方に傾斜する傾斜領域51Aと、傾斜領域51Aよりも後方に設けられる平坦領域51Bと、平坦領域51Bよりも後方に設けられ後方に向かって上方に傾斜する傾斜領域51Cとを含む。
【0047】
また、庇部材50の上面52の少なくとも一部は、上部旋回体20の後方に向かって下方に傾斜する。
図12に示すように、本実施形態において、上面52は、庇部材50の前端部50Fから後方に向かって下方に傾斜する傾斜領域52Aと、傾斜領域52Aよりも後方に設けられる平坦領域52Bと、平坦領域52Bよりも後方に設けられ後方に向かって上方に傾斜する傾斜領域52Cとを含む。
【0048】
油圧ショベル1Aの下部走行体30が水平面と平行な地面に設置された場合、庇部材50は、平坦領域51B及び平坦領域52Bと水平面とが平行となるように形成される。
【0049】
図13は、本実施形態に係る庇部材50の作用を説明するための模式図である。
図13に示すように、庇部材50が設けられることにより、天窓22には、前照灯2から射出された照明光、及び前照灯2から射出されバケット14で反射した照明光の反射光の両方が入射されない非入射領域Aが形成される。非入射領域Aは、天窓22の前端部22Fを含むように、天窓22の前方の一部の領域に設けられる。非入射領域Aは、バケット14の虚像が映り込まない非映り込み範囲Aである。非映り込み範囲Aが形成されることにより、運転席21に着座している運転者は、天窓22の非映り込み範囲Aを介して、作業機10の最高到達部位の実像を目視することができる。
【0050】
天窓22のうち、非映り込み範囲Aよりも後方には、前照灯2から射出された照明光、及び前照灯2から射出されバケット14で反射した照明光の反射光の少なくとも一方が入射される入射領域Bが形成される。入射領域Bは、バケット14の虚像が映り込む可能性がある映り込み範囲Bである。
【0051】
庇部材50と天窓22との重複領域Daを大きくすることによって、非映り込み範囲Aを大きくすることができる。一方、重複領域Daが大き過ぎると、運転席21に着座している運転者が天窓22を介して作業機10の最高到達部位を目視する場合、庇部材50が邪魔になる。例えば昼間の掘削作業においては、前照灯2は使用されず、映り込み現象は発生しないので、重複領域Daは過度に大きくないことが好ましい。
【0052】
本実施形態においては、夜間の掘削作業において、映り込み範囲Bが形成される可能性があるものの、天窓22を介して作業機10の最高到達部位の実像を目視するために必要十分な大きさの非映り込み範囲Aが形成される。そのため、昼間の掘削作業における作業機10の最高到達部位の確認作業が妨げられることなく、夜間の掘削作業においても作業機10の最高到達部位の確認作業が円滑に実施される。
【0053】
本実施形態において、運転席21に着座する運転者の標準アイポイントEPが天窓22の前端部22Fよりも後方に規定される。標準アイポイントEPとは、標準的な体格の運転者が運転席21に着座したときに想定される運転者の眼の位置である。標準アイポイントEPは、例えば運転席21に着座した複数の運転者の眼の位置から統計的に求められてもよい。
【0054】
本実施形態において、庇部材50の後端部50Rは、標準アイポイントEPと天窓22の前端部22Fとを結ぶ仮想線VLよりも前方に配置される。これにより、夜間の掘削作業においては非映り込み範囲Aを形成しつつ、昼間の掘削作業においては作業機10の最高到達部位の確認作業が円滑に実施される。
【0055】
以上説明したように、本実施形態によれば、少なくとも一部がキャノピー23の前端部23Fと天窓22の前端部22Fとの間においてキャノピー23の下面23Bよりも下方に配置され、上部旋回体20よりも前方からの天窓22に対する光の入射を遮る遮光面51を有する庇部材50が設けられるので、天窓22におけるバケット14の映り込み現象の発生を抑制することができる。したがって、運転席21に着座している運転者は、天窓22を介して作業機10の最高到達部位の実像を目視することができ、作業機10の状態を円滑に確認することができる。
【0056】
また、本実施形態においては、庇部材50の後端部50Rは、天窓22の前端部22Fよりも後方に配置される。前後方向の庇部材50と天窓22との重複領域Daの寸法は、庇部材50と天窓22との非重複領域Dbの寸法よりも小さい。これにより、夜間においては映り込み現象の発生が抑制され、昼間においては天窓22を介して作業機10の実像の確認作業が円滑に実施される。
【0057】
また、本実施形態においては、運転席21に着座する運転者の標準アイポイントEPが天窓22の前端部22Fよりも後方に規定され、庇部材50の後端部50Rは、標準アイポイントEPと天窓22の前端部22Fとを結ぶ仮想線VLよりも前方に配置される。これにより、夜間の掘削作業において非映り込み範囲Aを形成しつつ、昼間の掘削作業においては作業機10の最高到達部位の確認作業が円滑に実施される。
【0058】
また、本実施形態においては、作業機10は、上部旋回体20の車幅方向にバケット14を移動可能なオフセット式作業機である。バケット14の映り込み現象は、運転席21及び天窓22の正面にバケット14が配置され、そのバケット14が前照灯2で照明されたときに発生する可能性が高い。そのため、作業機10を有する油圧ショベル1Aに庇部材50が設けられることにより、映り込み現象の発生を効果的に抑制することができる。
【0059】
また、本実施形態において、キャノピー23の下面23Bは平坦面である。キャノピー23の下面23Bを平坦面にすることにより、キャノピー23の下面23Bを曲面にしたり複雑な形状にしたりすることに比べて、キャノピー23の製造コストを抑制することができる。一方、本発明者の知見によると、キャノピー23の下面23Bが平坦面である場合、映り込み現象が発生する可能性が高くなる。そのようなキャノピー23に庇部材50が設けられることにより、映り込み現象の発生を効果的に抑制することができる。
【0060】
また、本実施形態においては、遮光面51の少なくとも一部は、後方に向かって下方に傾斜する。そのため、運転席21に着座している運転者が前方を目視するときの視線が妨げられず、運転者は前方を円滑に確認することができる。
【0061】
また、本実施形態においては、車幅方向における庇部材50の寸法は、天窓22の寸法よりも大きい。そのため、映り込み現象の発生は効果的に抑制される。
【0062】
また、本実施形態においては、庇部材50の前端部50F及び庇部材50の両端部50E(50Ea,50Eb)がキャノピー23と接続される。庇部材50の上面52とキャノピー23の下面23Bとは間隙を介して対向する。キャノピー23の下面23Bと庇部材50の上面52の後端部50Rとの間には開口部53が設けられる。庇部材50とキャノピー23との間に空間が設けられるので、その空間を例えば物品収納部として使用することができる。開口部53は後方に開口しているので、運転者は、運転席21に着座したまま、開口部53を介して、庇部材50とキャノピー23との間の空間に物品を入れたり、庇部材50とキャノピー23との間の空間から物品を出したりすることができる。
【0063】
また、本実施形態においては、庇部材50の上面52は、庇部材50の前端部50Fから後方に向かって下方に傾斜する傾斜領域52Aと、傾斜領域52Aよりも後方に設けられる平坦領域52Bと、を含む。平坦領域52Bが設けられることにより、物品は平坦領域52Bに安定して配置される。また、傾斜領域52Aが設けられているので、庇部材50とキャノピー23との間の空間から物品が前方に落下してしまうことが抑制される。また、本実施形態においては、庇部材50の上面52には、平坦領域52Bよりも後方に配置され後方に向かって上方に傾斜する傾斜領域52Cが設けられる。そのため、庇部材50とキャノピー23との間の空間から物品が後方に落下してしまうことも抑制される。なお、
図12等に示したように、本実施形態においては、前後方向における傾斜領域52Cの寸法は、傾斜領域52Aの寸法よりも小さい。そのため、運転者53は、開口部53を介して庇部材50とキャノピー23との間の空間から物品を取り出すとき、円滑に取り出すことができる。
【0064】
<第2実施形態>
第2実施形態について説明する。以下の説明において、上述の実施形態と同一又は同等の構成要素については同一の符号を付し、その説明を簡略又は省略する。
【0065】
図14は、本実施形態に係るキャノピー23を下方から見た斜視図である。
図15は、本実施形態に係るキャノピー23を上方から見た平面図である。
図16は、第2実施形態に係るキャノピーの一部断面を拡大した図である。
【0066】
図14から
図16に示すように、油圧ショベル1Bは、上部旋回体20よりも前方からの天窓22に対する光の入射を遮る遮光面51を有する庇部材50を備える。本実施形態において、油圧ショベル1Bは、天窓22の上面22Aと対向するように配置されるプロテクトバー60を有する。プロテクトバー60は、車幅方向に複数配置される。複数のプロテクトバー60のそれぞれは、前後方向に延在するように配置される。
【0067】
図17は、本実施形態に係る庇部材50を示す斜視図である。
図18は、本実施形態に係る庇部材50を上方から見た平面図である。
図19は、本実施形態に係る庇部材50を後方から見た図である。
図20は、本実施形態に係る庇部材50の側断面図である。
【0068】
本実施形態においても、庇部材50は、板部材によって形成される。庇部材50は、遮光板部501と、遮光板部501の車幅方向の一方の端部に配置される側板部502とを含む。
【0069】
庇部材50は、キャノピー23の下面23Bと間隙を介して対向する上面52を有する。遮光面51及び上面52は、遮光板部501に配置される。
【0070】
庇部材50の前端部50Fと、車幅方向の庇部材50の一方の端部50Eaとが、キャノピー23と接続される。一方の端部50Eaは、側板部502に配置される。キャノピー23の下面23Bと庇部材50の上面52の後端部50Rとの間には開口部53が設けられる。本実施形態においては、キャノピー23の下面23Bと庇部材50の上面52の車幅方向の他方の端部との間にも開口部54が設けられる。なお、本実施形態においては、庇部材50の後端部50Rにカバー部材29が設けられる。
【0071】
図20に示すように、本実施形態において、遮光板部51は、庇部材50の前端部50Fを含み上下方向に延在する垂直面領域51AFと、垂直面領域51AFよりも後方に設けられる平坦領域51Bと、平坦領域51Bよりも後方に設けられ後方に向かって上方に傾斜する傾斜領域51Cとを含む。
【0072】
また、
図20に示すように、本実施形態において、上面52は、庇部材50の前端部50Fを含み上下方向に延在する垂直面領域52AFと、垂直面領域52AFよりも後方に設けられる平坦領域52Bと、平坦領域52Bよりも後方に設けられ後方に向かって上方に傾斜する傾斜領域52Cとを含む。
【0073】
油圧ショベル1Bの下部走行体30が水平面と平行な地面に設置された場合、平坦領域51B及び平坦領域52Bは、水平面と平行となるように設けられている。垂直面領域51AF及び垂直面領域52AFは、水平面と直交するように設けられている。
【0074】
以上説明したように、本実施形態においても、庇部材50が設けられるので、天窓22におけるバケット14の映り込み現象の発生を抑制することができる。
【0075】
また、本実施形態においても、庇部材50とキャノピー23との間に空間が設けられるので、その空間を物品収納部として使用することができる。本実施形態においては、後方に開口する開口部53と、右方に開口する開口部54とが設けられるので、運転者は、開口部53及び開口部54の一方又は両方を介して、庇部材50とキャノピー23との間の空間に物品を入れたり、庇部材50とキャノピー23との間の空間から物品を出したりすることができる。
【0076】
また、本実施形態においても、庇部材50の上面52には、平坦領域52Bよりも後方に配置され後方に向かって上方に傾斜する傾斜領域52Cが設けられる。そのため、庇部材50とキャノピー23との間の空間から物品が後方に落下してしまうことも抑制される。また、本実施形態においては、庇部材50の上面52には、上下方向に延在する垂直面領域52AFが設けられるので、庇部材50とキャノピー23との間の空間から物品が前方に落下してしまうことが抑制される。
【0077】
<第3実施形態>
第3実施形態について説明する。以下の説明において、上述の実施形態と同一又は同等の構成要素については同一の符号を付し、その説明を簡略又は省略する。
【0078】
上述の実施形態においては、上部旋回体20が、実質的に開放された空間に運転席21が配置されるキャノピー仕様である例について説明した。本実施形態においては、上部旋回体20が、実質的に閉じられた空間に運転席21が配置されるキャブ仕様である例について説明する。
【0079】
図21は、本実施形態に係る油圧ショベル1Cのキャブ70の一部を破断して下方から見た斜視図である。
図22は、本実施形態に係るキャブ70を上方から見た平面図である。
【0080】
図21及び
図22に示すように、油圧ショベル1Cは、運転席が配置される内部空間を有するキャブ70を備える。キャブ70は、運転席よりも前方に配置される前面部材71と、運転席よりも後方に配置される後面部材72と、運転席よりも左方に配置される側面部材73と、運転席よりも右方に配置される側面部材74と、運転席よりも上方に配置され、天窓22を支持する屋根部材である天板部材230とを有する。天板部材230は、上方を向く上面230Aと、下方を向く下面230Bとを有する。上面230Aは平坦面である。下面230Bは平坦面である。
【0081】
油圧ショベル1Cは、上部旋回体20よりも前方からの天窓22に対する光の入射を遮る遮光面51を有する庇部材50を備える。庇部材50は、キャブ70の内部空間である運転室に配置される。
【0082】
図23は、本実施形態に係る庇部材50を示す斜視図である。
図24は、本実施形態に係る庇部材50を上方から見た平面図である。
図25は、本実施形態に係る庇部材50を後方から見た図である。
図26は、本実施形態に係る庇部材50の側断面図である。
【0083】
本実施形態においても、庇部材50は、板部材によって形成される。庇部材50は、遮光板部501と、遮光板部501の車幅方向の一方の端部に配置される側板部502と、他方の端部に配置される側板部503を含む。
【0084】
庇部材50は、天板部材230の下面230Bと間隙を介して対向する上面52を有する。遮光面51及び上面52は、遮光板部501に配置される。
【0085】
庇部材50の前端部50Fと、車幅方向の庇部材50の一方の端部50Ea及び他方の端部50Ebとが、天板部材230と接続される。一方の端部50Eaは、側板部502に配置される。他方の端部50Ebは、側板部503に配置される。天板部材230の下面230Bと庇部材50の上面52の後端部50Rとの間には開口部53が設けられる。
【0086】
図26に示すように、本実施形態において、遮光面51は、庇部材50の前端部50Fを含み上下方向に延在する垂直面領域51AFと、垂直面領域51AFよりも後方に設けられる平坦領域51Bと、平坦領域51Bよりも後方に設けられ後方に向かって上方に傾斜する傾斜領域51Cとを含む。
【0087】
また、
図26に示すように、本実施形態において、上面52は、庇部材50の前端部50Fを含み上下方向に延在する垂直面領域52AFと、垂直面領域52AFよりも後方に設けられる平坦領域52Bと、平坦領域52Bよりも後方に設けられ後方に向かって上方に傾斜する傾斜領域52Cとを含む。
【0088】
以上説明したように、本実施形態においても、庇部材50が設けられるので、天窓22におけるバケット14の映り込み現象の発生を抑制することができる。
【0089】
また、本実施形態においては、庇部材50と天板部材230との間に空間が設けられるので、その空間を物品収納部として使用することができる。
【0090】
なお、上述の各実施形態においては、作業車両が油圧ショベルであることとしたが、油圧ショベルには限定されない。運転席の上方に天窓を支持する屋根部材を備える作業車両全般に、上述の各実施形態で説明した庇部材50を適用することができる。