特許第6675334号(P6675334)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6675334脊髄性筋萎縮症を処置するためのイミダゾ[1,2−a]ピラジン−1−イルベンズアミド化合物
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6675334
(24)【登録日】2020年3月12日
(45)【発行日】2020年4月1日
(54)【発明の名称】脊髄性筋萎縮症を処置するためのイミダゾ[1,2−a]ピラジン−1−イルベンズアミド化合物
(51)【国際特許分類】
   C07D 487/04 20060101AFI20200323BHJP
   A61K 31/4985 20060101ALI20200323BHJP
   C07D 519/00 20060101ALI20200323BHJP
   A61K 31/551 20060101ALI20200323BHJP
   A61P 21/00 20060101ALI20200323BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20200323BHJP
   C07B 61/00 20060101ALN20200323BHJP
【FI】
   C07D487/04 144
   C07D487/04CSP
   A61K31/4985
   C07D519/00 311
   A61K31/551
   A61P21/00
   A61P43/00 111
   !C07B61/00 300
【請求項の数】54
【全頁数】79
(21)【出願番号】特願2016-575151(P2016-575151)
(86)(22)【出願日】2015年6月22日
(65)【公表番号】特表2017-520570(P2017-520570A)
(43)【公表日】2017年7月27日
(86)【国際出願番号】EP2015063894
(87)【国際公開番号】WO2015197503
(87)【国際公開日】20151230
【審査請求日】2018年6月15日
(31)【優先権主張番号】14173935.9
(32)【優先日】2014年6月25日
(33)【優先権主張国】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】591003013
【氏名又は名称】エフ.ホフマン−ラ ロシュ アーゲー
【氏名又は名称原語表記】F. HOFFMANN−LA ROCHE AKTIENGESELLSCHAFT
(74)【代理人】
【識別番号】110001508
【氏名又は名称】特許業務法人 津国
(72)【発明者】
【氏名】グリーン,ルーク
(72)【発明者】
【氏名】ピナール,エマニュエル
(72)【発明者】
【氏名】ラトニ,アサヌ
(72)【発明者】
【氏名】ウィリアムソン,パトリック
【審査官】 薄井 慎矢
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2014/209841(WO,A1)
【文献】 国際公開第2013/170112(WO,A1)
【文献】 国際公開第2013/101974(WO,A1)
【文献】 国際公開第2014/078813(WO,A1)
【文献】 国際公開第2014/009296(WO,A1)
【文献】 国際公開第2014/012050(WO,A1)
【文献】 Human Genetics,2006年,120,p.101-110
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07D
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I):
【化1】

(式中、
は、CR又はNであり;
は、CR又はNであり;
ただし、X及びXの両方がNであることはなく;
は、水素又はC1−7アルキルであり;
は、水素、シアノ、C1−7アルキル、C1−7ハロアルキル又はC3−8シクロアルキルであり;
は、水素、ハロ、C1−7アルキル、又はC1−7アルコキシであり;
は、水素、ハロ、C1−7アルキル、又はC1−7アルコキシであり;
は、独立して、水素、ハロ、C1−7アルキル、又はC1−7アルコキシより選択され;
Aは、N−ヘテロシクロアルキル又はNRであり、ここで、N−ヘテロシクロアルキルは、1又は2個の窒素環原子を含み、そしてRより選択される1、2、3又は4個の置換基で場合により置換されており;
は、独立して、水素、C1−7アルキル、アミノ、アミノ−C1−7アルキル、C3−8シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル及びC1−7アルコキシ−ヘテロシクロアルキルより選択されるか、又は2個のRが一緒になってC1−7アルキレンを形成し;
は、1個の窒素環原子を含むヘテロシクロアルキルであり、ここで、ヘテロシクロアルキルは、Rより選択される1、2、3又は4個の置換基で場合により置換されており;
は、水素、C1−7アルキル又はC3−8シクロアルキルであり;
ただし、Aが1個の窒素環原子のみを含むN−ヘテロシクロアルキルである場合、少なくとも1つのR置換基は、アミノ又はアミノ−C1−7アルキルである)
の化合物、又はその薬学的に許容し得る塩。
【請求項2】
が、CH又はNであり;
が、CRであり;
が、C1−7アルキルであり;
が、水素、C1−7アルキル、C1−7ハロアルキル又はC3−8シクロアルキルであり;
が、水素、ハロ、C1−7アルキル、又はC1−7アルコキシであり;
が、水素、ハロ、C1−7アルキル、又はC1−7アルコキシであり;
が、水素、ハロ、C1−7アルキル、又はC1−7アルコキシであり;
Aが、N−ヘテロシクロアルキルであり、ここで、N−ヘテロシクロアルキルが、1又は2個の窒素環原子を含み、そしてRより選択される1、2、3又は4個の置換基で場合により置換されており;
が、独立して、水素、C1−7アルキル、アミノ、アミノ−C1−7アルキル、C3−8シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル及びC1−7アルコキシ−ヘテロシクロアルキルより選択されるか、又は2個のRが一緒になってC1−7アルキレンを形成し;
ただし、Aが1個の窒素環原子のみを含むN−ヘテロシクロアルキルである場合、少なくとも1つのR置換基は、アミノ又はアミノ−C1−7アルキルである、
請求項1記載の化合物、又はその薬学的に許容し得る塩。
【請求項3】
がCHである、請求項1又は2記載の化合物、或いはその薬学的に許容し得る塩
【請求項4】
がCHである、請求項1〜3のいずれか一項記載の化合物、又はその薬学的に許容し得る塩
【請求項5】
がC1−7アルキルである、請求項1〜4のいずれか一項記載の化合物、又はその薬学的に許容し得る塩
【請求項6】
がメチルである、請求項1〜5のいずれか一項記載の化合物、又はその薬学的に許容し得る塩
【請求項7】
が水素、C1−7アルキル、C1−7ハロアルキル又はC3−8シクロアルキルである、請求項1〜6のいずれか一項記載の化合物、又はその薬学的に許容し得る塩
【請求項8】
が水素、メチル、エチル、ジフルオロメチル、トリフルオロメチル又はシクロプロピルである、請求項1〜7のいずれか一項記載の化合物、又はその薬学的に許容し得る塩
【請求項9】
が水素、ハロ、又はC1−7アルコキシである、請求項1〜8のいずれか一項記載の化合物、又はその薬学的に許容し得る塩
【請求項10】
が水素、フルオロ、メトキシ又はエトキシである、請求項1〜9のいずれか一項記載の化合物、又はその薬学的に許容し得る塩
【請求項11】
が水素又はハロである、請求項1〜10のいずれか一項記載の化合物、又はその薬学的に許容し得る塩
【請求項12】
が水素又はフルオロである、請求項1〜11のいずれか一項記載の化合物、又はその薬学的に許容し得る塩
【請求項13】
が水素である、請求項1〜12のいずれか一項記載の化合物、又はその薬学的に許容し得る塩
【請求項14】
が水素、ハロ、又はC1−7アルコキシである、請求項1〜13のいずれか一項記載の化合物、又はその薬学的に許容し得る塩
【請求項15】
が水素、フルオロ、クロロ又はメトキシである、請求項1〜14のいずれか一項記載の化合物、又はその薬学的に許容し得る塩
【請求項16】
が水素である、請求項1〜15のいずれか一項記載の化合物、又はその薬学的に許容し得る塩
【請求項17】
が、独立して、1−7アルキル、ヘテロシクロアルキル及びC1−7アルコキシ−ヘテロシクロアルキルより選択されるか、又は2個のRが一緒になってC1−7アルキレンを形成する、請求項1〜16のいずれか一項記載の化合物、又はその薬学的に許容し得る塩
【請求項18】
が、独立して、メチル、エチル、イソプロピル、メトキシ−アゼチジニル及びピロリジニルより選択されるか、又は2個のRが一緒になってエチレン又はプロピレンを形成する、請求項1〜17のいずれか一項記載の化合物、又はその薬学的に許容し得る塩
【請求項19】
が、Rより選択される1、2、3又は4個の置換基で場合により置換されているピペラジニルである、請求項1〜18のいずれか一項記載の化合物、又はその薬学的に許容し得る塩
【請求項20】
が水素又はC1−7アルキルである、請求項1〜19のいずれか一項記載の化合物、又はその薬学的に許容し得る塩
【請求項21】
Aが、
【化2】

(式中、
Yは、N又はCHであり;
は、水素、C1−7アルキル又はC3−8シクロアルキルであり;
は、水素、C1−7アルキル、又は−(CH−NR1415であり;
10は、水素又はC1−7アルキルであり;
11は、水素又はC1−7アルキルであり;
12は、水素又はC1−7アルキルであり;
13は、水素又はC1−7アルキルであり;
14及びR15は、独立して、水素、C1−7アルキル及びC3−8シクロアルキルより選択され;
nは、0、1又は2であり;
mは、0、1、2又は3であり;
又は、RとR10が一緒になってC1−7アルキレンを形成し;
又は、RとR12が一緒になってC1−7アルキレンを形成し;
又は、R10とR11が一緒になってC2−7アルキレンを形成し;
又は、R10とR12が一緒になってC1−7アルキレンを形成し;
又は、R10とR14が一緒になってC1−7アルキレンを形成し;
又は、R12とR13が一緒になってC2−7アルキレンを形成し;
又は、R12とR14が一緒になってC1−7アルキレンを形成し;
又は、R14とR15が一緒になって、アルコキシで場合により置換されているC2−7アルキレンを形成し;
ただし、YがCHである場合、Rは−(CH−NR1415であり;そして
ただし、YがNであり、そしてRが−(CH−NR1415である場合、mは、2又は3である)
である、請求項1〜20のいずれか一項記載の化合物、又はその薬学的に許容し得る塩
【請求項22】
YがNである、請求項21記載の化合物、又はその薬学的に許容し得る塩
【請求項23】
YがCHであり、そしてRが−(CH−NR1415である、請求項21記載の化合物、又はその薬学的に許容し得る塩
【請求項24】
nが1である、請求項21〜23のいずれか一項記載の化合物、又はその薬学的に許容し得る塩
【請求項25】
が水素、ピロリジニル、又はメトキシ−アゼチジニルである、請求項21、22、及び24のいずれか一項記載の化合物、又はその薬学的に許容し得る塩
【請求項26】
10が水素、メチル、エチル又はイソプロピルである、請求項21〜25のいずれか一項記載の化合物、又はその薬学的に許容し得る塩
【請求項27】
11が水素又はメチルである、請求項21〜26のいずれか一項記載の化合物、又はその薬学的に許容し得る塩
【請求項28】
12が水素又はメチルである、請求項21〜27のいずれか一項記載の化合物、又はその薬学的に許容し得る塩
【請求項29】
13が水素である、請求項21〜28のいずれか一項記載の化合物、又はその薬学的に許容し得る塩
【請求項30】
とR10が一緒になってプロピレンを形成している、請求項21記載の化合物、又はその薬学的に許容し得る塩
【請求項31】
10とR11が一緒になってエチレンを形成している、請求項21記載の化合物、又はその薬学的に許容し得る塩
【請求項32】
14とR15が一緒になってプロピレン又はブチレンを形成している、請求項21記載の化合物、又はその薬学的に許容し得る塩
【請求項33】
Aが、
【化3】

(式中、R、R、R10、R11、R12、及びR13は、請求項21において定義されるとおりであり、R16は、水素又はC1−7アルキルであり、そしてR17は、C1−7アルコキシである)
の群より選択される、請求項記載の化合物、又はその薬学的に許容し得る塩
【請求項34】
Aが、
【化4】

(式中、R、R、R10、R11、R12、及びR13は、請求項21において定義されるとおりであり、そしてR17は、C1−7アルコキシである)
の群より選択される、請求項記載の化合物、又はその薬学的に許容し得る塩
【請求項35】
Aが、Rより選択される1、2、3又は4個の置換基で各々場合により置換されている、ピペラジニル、ジアゼパニル、ピロリジニル及びヘキサヒドロピロロ[1,2−a]ピラジニルの群より選択される、請求項1〜21のいずれか一項記載の化合物、又はその薬学的に許容し得る塩
【請求項36】
AがNRある、請求項1〜20のいずれか一項記載の化合物、又はその薬学的に許容し得る塩
【請求項37】
Aが、
【化5】

である、請求項21記載の化合物、又はその薬学的に許容し得る塩
【請求項38】
Aが、
【化6】

の群より選択される、請求項1〜21のいずれか一項記載の化合物、又はその薬学的に許容し得る塩
【請求項39】
2−フルオロ−N−(2−メチルイミダゾ[1,2−a]ピラジン−6−イル)−4−ピペラジン−1−イルベンズアミド;
N−(2−メチルイミダゾ[1,2−a]ピラジン−6−イル)−4−ピペラジン−1−イルベンズアミド;
4−[(8aS)−3,4,6,7,8,8a−ヘキサヒドロ−1H−ピロロ[1,2−a]ピラジン−2−イル]−2−エトキシ−N−(2−メチルイミダゾ[1,2−a]ピラジン−6−イル)ベンズアミド;
2−エトキシ−N−(2−メチルイミダゾ[1,2−a]ピラジン−6−イル)−4−[(3S)−3−メチルピペラジン−1−イル]ベンズアミド;
2−エトキシ−N−(2−メチルイミダゾ[1,2−a]ピラジン−6−イル)−4−[(3R)−3−メチルピペラジン−1−イル]ベンズアミド;
4−[(8aR)−3,4,6,7,8,8a−ヘキサヒドロ−1H−ピロロ[1,2−a]ピラジン−2−イル]−2−エトキシ−N−(2−メチルイミダゾ[1,2−a]ピラジン−6−イル)ベンズアミド;
4−[(8aR)−3,4,6,7,8,8a−ヘキサヒドロ−1H−ピロロ[1,2−a]ピラジン−2−イル]−2−フルオロ−N−(2−メチルイミダゾ[1,2−a]ピラジン−6−イル)ベンズアミド;
4−[(8aS)−3,4,6,7,8,8a−ヘキサヒドロ−1H−ピロロ[1,2−a]ピラジン−2−イル]−2−フルオロ−N−(2−メチルイミダゾ[1,2−a]ピラジン−6−イル)ベンズアミド;
4−(1,4−ジアゼパン−1−イル)−2−エトキシ−N−(2−メチルイミダゾ[1,2−a]ピラジン−6−イル)ベンズアミド;
4−[(3S,5R)−3,5−ジメチルピペラジン−1−イル]−2−エトキシ−N−(2−メチルイミダゾ[1,2−a]ピラジン−6−イル)ベンズアミド;
N−(2,8−ジメチルイミダゾ[1,2−a]ピラジン−6−イル)−2−フルオロ−4−[(3R)−3−メチルピペラジン−1−イル]ベンズアミド;
4−[(8aS)−3,4,6,7,8,8a−ヘキサヒドロ−1H−ピロロ[1,2−a]ピラジン−2−イル]−N−(2,8−ジメチルイミダゾ[1,2−a]ピラジン−6−イル)−2−エトキシベンズアミド;
4−[(8aS)−3,4,6,7,8,8a−ヘキサヒドロ−1H−ピロロ[1,2−a]ピラジン−2−イル]−N−(2,8−ジメチルイミダゾ[1,2−a]ピラジン−6−イル)−2−フルオロベンズアミド;
N−(2,8−ジメチルイミダゾ[1,2−a]ピラジン−6−イル)−2,6−ジフルオロ−4−[(3R)−3−メチルピペラジン−1−イル]ベンズアミド;
N−(2,8−ジメチルイミダゾ[1,2−a]ピラジン−6−イル)−2−エトキシ−4−[(3R)−3−メチルピペラジン−1−イル]ベンズアミド;
4−[(8aS)−3,4,6,7,8,8a−ヘキサヒドロ−1H−ピロロ[1,2−a]ピラジン−2−イル]−N−(8−エチル−2−メチルイミダゾ[1,2−a]ピラジン−6−イル)−2−フルオロベンズアミド;
4−[(8aS)−3,4,6,7,8,8a−ヘキサヒドロ−1H−ピロロ[1,2−a]ピラジン−2−イル]−N−(8−シクロプロピル−2−メチルイミダゾ[1,2−a]ピラジン−6−イル)−2−フルオロベンズアミド;
4−[(8aS)−3,4,6,7,8,8a−ヘキサヒドロ−1H−ピロロ[1,2−a]ピラジン−2−イル]−N−(2,8−ジメチルイミダゾ[1,2−a]ピラジン−6−イル)−2,6−ジフルオロベンズアミド;
N−(2,8−ジメチルイミダゾ[1,2−a]ピラジン−6−イル)−4−[(3R,5S)−3,5−ジメチルピペラジン−1−イル]−2−フルオロベンズアミド;
N−(2,8−ジメチルイミダゾ[1,2−a]ピラジン−6−イル)−2−フルオロ−4−[(3S)−3−ピロリジン−1−イルピロリジン−1−イル]ベンズアミド;
N−(8−エチル−2−メチルイミダゾ[1,2−a]ピラジン−6−イル)−2−フルオロ−4−[(3R)−3−メチルピペラジン−1−イル]ベンズアミド;
4−[(8aR)−3,4,6,7,8,8a−ヘキサヒドロ−1H−ピロロ[1,2−a]ピラジン−2−イル]−N−(8−シクロプロピル−2−メチルイミダゾ[1,2−a]ピラジン−6−イル)−2−フルオロベンズアミド;
N−(8−シクロプロピル−2−メチルイミダゾ[1,2−a]ピラジン−6−イル)−2−フルオロ−4−[(3R)−3−メチルピペラジン−1−イル]ベンズアミド;
2−フルオロ−N−(2−メチルイミダゾ[1,2−a]ピラジン−6−イル)−4−[(3S)−3−ピロリジン−1−イルピロリジン−1−イル]ベンズアミド;
2−フルオロ−N−(2−メチルイミダゾ[1,2−a]ピラジン−6−イル)−4−[(3R)−3−メチルピペラジン−1−イル]ベンズアミド;
4−(4,7−ジアザスピロ[2.5]オクタン−7−イル)−2−フルオロ−N−(2−メチルイミダゾ[1,2−a]ピラジン−6−イル)ベンズアミド;
4−[(3S,5R)−3,5−ジメチルピペラジン−1−イル]−2−フルオロ−N−(2−メチルイミダゾ[1,2−a]ピラジン−6−イル)ベンズアミド;
2−クロロ−6−フルオロ−N−(2−メチルイミダゾ[1,2−a]ピラジン−6−イル)−4−ピペラジン−1−イルベンズアミド;
2,5−ジフルオロ−N−(2−メチルイミダゾ[1,2−a]ピラジン−6−イル)−4−(3−メチルピペラジン−1−イル)ベンズアミド;
2,3−ジフルオロ−N−(2−メチルイミダゾ[1,2−a]ピラジン−6−イル)−4−(3−メチルピペラジン−1−イル)ベンズアミド;
4−[(3R,5S)−3,5−ジメチルピペラジン−1−イル]−2−メトキシ−N−(2−メチルイミダゾ[1,2−a]ピラジン−6−イル)ベンズアミド;
4−[(3R)−3−エチルピペラジン−1−イル]−2−フルオロ−N−(2−メチルイミダゾ[1,2−a]ピラジン−6−イル)ベンズアミド;
2−フルオロ−N−(2−メチルイミダゾ[1,2−a]ピラジン−6−イル)−4−[(3R)−3−ピロリジン−1−イルピロリジン−1−イル]ベンズアミド;
4−(4,7−ジアザスピロ[2.5]オクタン−7−イル)−2−メトキシ−N−(2−メチルイミダゾ[1,2−a]ピラジン−6−イル)ベンズアミド;
4−(3,3−ジメチルピペラジン−1−イル)−2−フルオロ−N−(2−メチルイミダゾ[1,2−a]ピラジン−6−イル)ベンズアミド;
N−(8−シクロプロピル−2−メチルイミダゾ[1,2−a]ピラジン−6−イル)−4−[(3R)−3−エチルピペラジン−1−イル]−2−フルオロベンズアミド;
N−(8−シクロプロピル−2−メチルイミダゾ[1,2−a]ピラジン−6−イル)−4−(3,3−ジメチルピペラジン−1−イル)−2−フルオロベンズアミド;
2−メトキシ−N−(2−メチルイミダゾ[1,2−a]ピラジン−6−イル)−4−[(3R)−3−メチルピペラジン−1−イル]ベンズアミド;
2−メトキシ−N−(2−メチルイミダゾ[1,2−a]ピラジン−6−イル)−4−[(3R)−3−ピロリジン−1−イルピロリジン−1−イル]ベンズアミド;
4−[(3R)−3−エチルピペラジン−1−イル]−2−メトキシ−N−(2−メチルイミダゾ[1,2−a]ピラジン−6−イル)ベンズアミド;
4−(3,3−ジメチルピペラジン−1−イル)−2−メトキシ−N−(2−メチルイミダゾ[1,2−a]ピラジン−6−イル)ベンズアミド;
4−[(3S)−3−エチルピペラジン−1−イル]−2−フルオロ−N−(2−メチルイミダゾ[1,2−a]ピラジン−6−イル)ベンズアミド;
2−フルオロ−4−[(3R)−3−メチルピペラジン−1−イル]−N−[2−メチル−8−(トリフルオロメチル)イミダゾ[1,2−a]ピラジン−6−イル]ベンズアミド;
N−[8−(ジフルオロメチル)−2−メチルイミダゾ[1,2−a]ピラジン−6−イル]−2−フルオロ−4−[(3R)−3−メチルピペラジン−1−イル]ベンズアミド;
2−フルオロ−N−(2−メチルイミダゾ[1,2−a]ピラジン−6−イル)−4−(3−プロパン−2−イルピペラジン−1−イル)ベンズアミド;
6−[(3R)−3−エチルピペラジン−1−イル]−2−メトキシ−N−(2−メチルイミダゾ[1,2−a]ピラジン−6−イル)ピリジン−3−カルボキサミド;
2−メトキシ−N−(2−メチルイミダゾ[1,2−a]ピラジン−6−イル)−6−ピペラジン−1−イルピリジン−3−カルボキサミド;
N−(2,8−ジメチルイミダゾ[1,2−a]ピラジン−6−イル)−2−フルオロ−4−(4−ピロリジン−1−イルピペリジン−1−イル)ベンズアミド;及び
N−(2,8−ジメチルイミダゾ[1,2−a]ピラジン−6−イル)−2−エトキシ−4−[4−(3−メトキシアゼチジン−1−イル)ピペリジン−1−イル]ベンズアミ
らなる群より選択される、請求項1〜38のいずれか一項記載の化合物、又はその薬学的に許容し得る塩
【請求項40】
4−(4,7−ジアザスピロ[2.5]オクタン−7−イル)−2−フルオロ−N−(2−メチルイミダゾ[1,2−a]ピラジン−6−イル)ベンズアミド;
4−[(3S,5R)−3,5−ジメチルピペラジン−1−イル]−2−フルオロ−N−(2−メチルイミダゾ[1,2−a]ピラジン−6−イル)ベンズアミド;
4−[(3R)−3−エチルピペラジン−1−イル]−2−フルオロ−N−(2−メチルイミダゾ[1,2−a]ピラジン−6−イル)ベンズアミド;
2−フルオロ−N−(2−メチルイミダゾ[1,2−a]ピラジン−6−イル)−4−[(3R)−3−ピロリジン−1−イルピロリジン−1−イル]ベンズアミド;
4−[(3S)−3−エチルピペラジン−1−イル]−2−フルオロ−N−(2−メチルイミダゾ[1,2−a]ピラジン−6−イル)ベンズアミド;
2−フルオロ−4−[(3R)−3−メチルピペラジン−1−イル]−N−[2−メチル−8−(トリフルオロメチル)イミダゾ[1,2−a]ピラジン−6−イル]ベンズアミド;
2−フルオロ−N−(2−メチルイミダゾ[1,2−a]ピラジン−6−イル)−4−ピペラジン−1−イルベンズアミド;
4−[(8aS)−3,4,6,7,8,8a−ヘキサヒドロ−1H−ピロロ[1,2−a]ピラジン−2−イル]−2−エトキシ−N−(2−メチルイミダゾ[1,2−a]ピラジン−6−イル)ベンズアミド;
2−エトキシ−N−(2−メチルイミダゾ[1,2−a]ピラジン−6−イル)−4−[(3S)−3−メチルピペラジン−1−イル]ベンズアミド;
2−エトキシ−N−(2−メチルイミダゾ[1,2−a]ピラジン−6−イル)−4−[(3R)−3−メチルピペラジン−1−イル]ベンズアミド;
4−[(8aR)−3,4,6,7,8,8a−ヘキサヒドロ−1H−ピロロ[1,2−a]ピラジン−2−イル]−2−エトキシ−N−(2−メチルイミダゾ[1,2−a]ピラジン−6−イル)ベンズアミド;
4−[(8aR)−3,4,6,7,8,8a−ヘキサヒドロ−1H−ピロロ[1,2−a]ピラジン−2−イル]−2−フルオロ−N−(2−メチルイミダゾ[1,2−a]ピラジン−6−イル)ベンズアミド;
4−[(8aS)−3,4,6,7,8,8a−ヘキサヒドロ−1H−ピロロ[1,2−a]ピラジン−2−イル]−2−フルオロ−N−(2−メチルイミダゾ[1,2−a]ピラジン−6−イル)ベンズアミド;
4−(1,4−ジアゼパン−1−イル)−2−エトキシ−N−(2−メチルイミダゾ[1,2−a]ピラジン−6−イル)ベンズアミド;
4−[(3S,5R)−3,5−ジメチルピペラジン−1−イル]−2−エトキシ−N−(2−メチルイミダゾ[1,2−a]ピラジン−6−イル)ベンズアミド;
2−フルオロ−N−(2−メチルイミダゾ[1,2−a]ピラジン−6−イル)−4−[(3S)−3−ピロリジン−1−イルピロリジン−1−イル]ベンズアミド;
2−フルオロ−N−(2−メチルイミダゾ[1,2−a]ピラジン−6−イル)−4−[(3R)−3−メチルピペラジン−1−イル]ベンズアミド;
2−クロロ−6−フルオロ−N−(2−メチルイミダゾ[1,2−a]ピラジン−6−イル)−4−ピペラジン−1−イルベンズアミド;
2,5−ジフルオロ−N−(2−メチルイミダゾ[1,2−a]ピラジン−6−イル)−4−(3−メチルピペラジン−1−イル)ベンズアミド;
2,3−ジフルオロ−N−(2−メチルイミダゾ[1,2−a]ピラジン−6−イル)−4−(3−メチルピペラジン−1−イル)ベンズアミド;
4−[(3R,5S)−3,5−ジメチルピペラジン−1−イル]−2−メトキシ−N−(2−メチルイミダゾ[1,2−a]ピラジン−6−イル)ベンズアミド;
4−(4,7−ジアザスピロ[2.5]オクタン−7−イル)−2−メトキシ−N−(2−メチルイミダゾ[1,2−a]ピラジン−6−イル)ベンズアミド;
4−(3,3−ジメチルピペラジン−1−イル)−2−フルオロ−N−(2−メチルイミダゾ[1,2−a]ピラジン−6−イル)ベンズアミド;
2−メトキシ−N−(2−メチルイミダゾ[1,2−a]ピラジン−6−イル)−4−[(3R)−3−メチルピペラジン−1−イル]ベンズアミド;
2−メトキシ−N−(2−メチルイミダゾ[1,2−a]ピラジン−6−イル)−4−[(3R)−3−ピロリジン−1−イルピロリジン−1−イル]ベンズアミド;
4−[(3R)−3−エチルピペラジン−1−イル]−2−メトキシ−N−(2−メチルイミダゾ[1,2−a]ピラジン−6−イル)ベンズアミド;
4−(3,3−ジメチルピペラジン−1−イル)−2−メトキシ−N−(2−メチルイミダゾ[1,2−a]ピラジン−6−イル)ベンズアミド;
N−[8−(ジフルオロメチル)−2−メチルイミダゾ[1,2−a]ピラジン−6−イル]−2−フルオロ−4−[(3R)−3−メチルピペラジン−1−イル]ベンズアミド;
2−フルオロ−N−(2−メチルイミダゾ[1,2−a]ピラジン−6−イル)−4−(3−プロパン−2−イルピペラジン−1−イル)ベンズアミド;
6−[(3R)−3−エチルピペラジン−1−イル]−2−メトキシ−N−(2−メチルイミダゾ[1,2−a]ピラジン−6−イル)ピリジン−3−カルボキサミド;及び
2−メトキシ−N−(2−メチルイミダゾ[1,2−a]ピラジン−6−イル)−6−ピペラジン−1−イルピリジン−3−カルボキサミ
らなる群より選択される、請求項1〜39のいずれか一項記載の化合物、又はその薬学的に許容し得る塩
【請求項41】
4−(4,7−ジアザスピロ[2.5]オクタン−7−イル)−2−フルオロ−N−(2−メチルイミダゾ[1,2−a]ピラジン−6−イル)ベンズアミド;
4−[(3S,5R)−3,5−ジメチルピペラジン−1−イル]−2−フルオロ−N−(2−メチルイミダゾ[1,2−a]ピラジン−6−イル)ベンズアミド;
4−[(3R)−3−エチルピペラジン−1−イル]−2−フルオロ−N−(2−メチルイミダゾ[1,2−a]ピラジン−6−イル)ベンズアミド;
2−フルオロ−N−(2−メチルイミダゾ[1,2−a]ピラジン−6−イル)−4−[(3R)−3−ピロリジン−1−イルピロリジン−1−イル]ベンズアミド;
4−[(3S)−3−エチルピペラジン−1−イル]−2−フルオロ−N−(2−メチルイミダゾ[1,2−a]ピラジン−6−イル)ベンズアミド;及び
2−フルオロ−4−[(3R)−3−メチルピペラジン−1−イル]−N−[2−メチル−8−(トリフルオロメチル)イミダゾ[1,2−a]ピラジン−6−イル]ベンズアミ
らなる群より選択される、請求項1〜40のいずれか一項記載の化合物、又はその薬学的に許容し得る塩
【請求項42】
式(VIII):
【化7】

(式中、
、X、R、R、R及びRは、請求項1〜16のいずれか一項において定義されるとおりであり;
Yは、ハロゲン又はトリフルオロメタンスルホナートである)
の化合物、又はその塩。
【請求項43】
Yがブロモである、請求項42記載の化合物、又はその塩
【請求項44】
4−ブロモ−2−フルオロ−N−(2−メチルイミダゾ[1,2−a]ピラジン−6−イル)ベンズアミド;
4−ブロモ−N−(2−メチルイミダゾ[1,2−a]ピラジン−6−イル)ベンズアミド;及び
4−ブロモ−2−エトキシ−N−(2−メチルイミダゾ[1,2−a]ピラジン−6−イル)ベンズアミド
からなる群より選択される、請求項42記載の化合物、又はその塩
【請求項45】
請求項1〜41のいずれか一項記載の式(I)の化合物又はその薬学的に許容し得る塩を調製するための方法であって、式(V)の化合物の、触媒、配位子、塩基及び溶媒の存在下における、式(VI)の化合物との高温での反応:
【化8】

(式中、A、X、X、R、R、R及びRは、請求項1〜38のいずれか一項において定義されるとおりである)を含む方法。
【請求項46】
請求項1〜41のいずれか一項記載の式(I)の化合物又はその薬学的に許容し得る塩を調製するための方法であって、
a)溶媒中、温度80℃〜200℃で加熱することによる芳香族求核置換反応;又は
b)溶媒中、温度20℃〜100℃で加熱することによる触媒、配位子、塩基の存在下でのBuchwald-Hartwigアミノ化反
いずれかでの、式(VIII)の化合物の、化合物M−Aとの反応:
【化9】

(式中、
A、X、X、R、R、R及びRは、請求項1〜38のいずれか一項において定義されるとおりであり、
Yは、ハロゲン又はトリフルオロメタンスルホナートであり、
Mは、水素、ナトリウム又はカリウムであり、Mは、Aの窒素原子を通じてAと結合している)
を含む方法
【請求項47】
求項1〜41のいずれか一項記載の式(I)の化合物又はその薬学的に許容し得る塩を含む医薬組成物。
【請求項48】
治療活性物質として使用するための、請求項1〜41のいずれか一項記載の式(I)の化合物又はその薬学的に許容し得る塩。
【請求項49】
SMN欠失関連状態治療又は予防に使用するための、請求項1〜41のいずれか一項記載の式(I)の化合物又はその薬学的に許容し得る塩。
【請求項50】
脊髄性筋萎縮症(SMA)の治療又は予防に使用するための、請求項1〜41のいずれか一項記載の式(I)の化合物又はその薬学的に許容し得る塩。
【請求項51】
SMN欠失関連状態治療又は予防するための請求項47記載の医薬組成物
【請求項52】
脊髄性筋萎縮症(SMA)を治療又は予防するための請求項47記載の医薬組成物。
【請求項53】
MN欠失関連状態の治療又は予防用の医薬の調製のための、請求項1〜41のいずれか一項記載の式(I)の化合物又はその薬学的に許容し得る塩の使用。
【請求項54】
脊髄性筋萎縮症(SMA)の治療又は予防用の医薬の調製のための、請求項1〜41のいずれか一項記載の式(I)の化合物又はその薬学的に許容し得る塩の使用
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
序論
本発明は、SMN2遺伝子スプライシング調節薬である化合物、それらの製造、それらを含む医薬組成物及びSMN欠失関連疾患の処置のための、特に、脊髄性筋萎縮症(SMA)の処置のための医薬としてのそれらの使用を提供する。
【0002】
特に、本発明は、式(I):
【化1】

(式中、X、X、A、R、R、R及びRは、本明細書に記載されるとおりである)
の化合物、又はその薬学的に許容し得る塩に関する。
【0003】
背景技術
脊髄性筋萎縮症(SMA)は、最も広い意味では、脊髄及び脳幹における進行性の運動ニューロン減少(筋力低下及び筋委縮をもたらす)を特徴とする、遺伝性及び後天性中枢神経系(CNS)疾患の集積(collection)を表す。最も一般的な形態のSMAは、運動ニューロン生存(SMN)遺伝子における突然変異により引き起こされ、乳幼児から成人に至るまで影響を及ぼす、広範囲にわたる重症度を示す(Crawford and Pardo, Neurobiol. Dis., 1996, 3:97)。
【0004】
小児SMAは、この神経変性疾患の最も重篤な形態である。症状には、筋力低下、筋肉の緊張低下、弱い泣き声、弱々しさ(limpness)又はばったり倒れ込む(flop)傾向、哺乳(sucking)又は嚥下困難、肺又は喉における分泌物の蓄積、摂食困難、及び気道感染に対する感受性増加が含まれる。足が腕よりも弱くなる傾向にあり、頭を上げる、上半身を起こす(sitting up)といった、発達の審査事項に達することができない。一般に、症状が早く現れるほど、寿命が短い。運動神経細胞が悪化するので、症状は程なく現れる。重篤な形態の疾患は致命的で、いずれの形態も治療方法は知られていない。重篤な形態のSMAである乳幼児は、呼吸を支援する筋肉が弱いために、呼吸器疾患で死亡することが多い。軽度な形態のSMAである個体は、広範な医療支援が必要な場合もある(特に、スペクトルのより重篤な側にいる(at the more severe end)者では)が、ずっと長く生きる。SMA障害の臨床スペクトルは、次の5つに分けられている。
【0005】
(a)0型SMA(子宮内SMA)は、疾患の最も重篤な形態であり、出生前に始まる。通常、0型SMAの最初の症状は、妊娠30週と36週の間で最初に観測され得る胎児の運動減少である。出生後、これらの新生児は動きがほとんどなく、嚥下及び呼吸について困難を有する。
【0006】
(b)1型SMA(小児SMA又はWerdnig-Hoffmann病)は、0ヶ月と6ヶ月の間で症状を示す。SMAの形態は、やはり極めて重篤である。患者は座る能力を獲得することがなく、通常、換気補助なしでは最初の2年以内で死に至る。
【0007】
(c)2型SMA(中間型SMA)は、発症年齢が7〜18ヶ月である。患者は補助なしで座る能力を獲得するが、自力で立つ、又は歩く能力を獲得することはない。このグループにおける予後は、呼吸器障害の程度に大きく依存する。
【0008】
(d)3型SMA(若年性SMA又はKugelberg-Welander病)は、一般に18ヶ月より後に診断される。3型SMAの個体は、その疾病経過の間のある時点では自力で歩くことができるが、青年期又は成人期に車いすに束縛されるようになりことが多い。
【0009】
(e)4型SMA(成人発症SMA)。通常、青年期後期に舌、手、又は足が弱まり始め、体の他の領域に進行する。成人SMAの疾病経過はずっと遅く、平均余命にほとんど又は全く影響しない。
【0010】
SMN遺伝子は、連鎖解析により染色体5q内の複合体領域(complex region)にマッピングされている(Lefebvre S. et al., Cell (1995) 80:155)。ヒトでは、この領域には約500000塩基対(kb)の逆位重複が含まれ、ほぼ同じ2コピーのSMN遺伝子をもたらしている。SMAは、両染色体上の、遺伝子のテロメア側(telomeric)コピー(SMN1)の失活変異又は欠失(SMN1遺伝子機能の低下をもたらす)によって引き起こされる。しかし、すべての患者は、遺伝子のセントロメア側(centromeric)コピー(SMN2)を維持しており、SMA患者におけるSMN2遺伝子のコピー数は、一般に疾患の重篤度と逆の相関がある;即ち、重篤度の低いSMAの患者では、SMN2のコピーが多い。SMN2プレ−mRNAは、エキソン7における、翻訳上影響のないCからTへの変異によって引き起こされる、エキソン7の選択的スプライシングを起こす。その結果、SMN2から生成する転写産物の大半は、エキソン7を欠き(Δ7SMN2)、不完全なSMNタンパク(機能障害を有し、速やかに分解される)をコードしている。
【0011】
SMNタンパクは、RNAのプロセシング及び代謝において役割を果たしており、snRNPと称される特定のクラスのRNA−タンパク質複合体の組み立てを仲介するという、よく特徴付けられた機能を有する。SMNは、運動ニューロンにおいて他の機能を有する可能性があるが、運動ニューロンの選択的変性を阻止する上でのその役割は、十分立証されていない。
【0012】
多くの場合、SMAは、臨床症状に基づき、またSMN1遺伝子のエキソン7の完全な欠失によって診断される。しかし、症例の約5%において、SMAは、SMN1の失活以外の、遺伝子内の変異により引き起こされており、そのうちのいくつかはわかっているが、その他のものはまだ明らかにされていない。場合によっては、SMN1遺伝子試験が実行可能でないか、何の異常も示さない時に、筋電図検査(EMG)又は筋生検といった他の試験が示されることがある。
【0013】
SMA患者のための医療的ケアは、現時点では呼吸、栄養及びリハビリテーションケアをはじめとする支持療法に限られており、疾患の根本的な原因に対処するための薬物は知られていない。SMAに対する現状の処置は、慢性的な運動単位の減少の二次的な影響の予防及び管理からなる。1型SMAにおける主要な管理問題は、呼吸器系疾患(これは症例の大半における死因である)の予防及び初期処置である。SMAに苦しむ幼児の中には成人まで成長する者もいるが、1型SMAである者の平均余命は2年未満である。
【0014】
SMAのマウスモデルがいくつか開発されている。特に、SMNデルタエキソン7(Δ7SMN)モデル(Le et al., Hum. Mol. Genet., 2005, 14:845)は、SMN2遺伝子と、数コピーのΔ7SMN2 cDNAの両者を保有し、1型SMAの表現型における特徴の多くを概括している。Δ7SMNモデルは、SMN2発現研究と、運動機能及び生存の評価の両方に用いることができる。C/C−アレルマウスモデル(Jackson Laboratory strain #008714, The Jackson Laboratory, Bar Harbor, ME)は、低重篤度SMA疾患のモデルを提供するが、明らかな筋力低下を有していない。このマウスモデルは、マウスSmn1遺伝子が失活しており、完全なSMN2遺伝子と、選択的スプライシングを起こすハイブリッドmSmn1−SMN2遺伝子の両者を保有している。C/C−アレルマウスでは、SMN2全長(FL SMN2)mRNAと、SMNタンパクの両者のレベルが低下している。C/C−アレルマウスモデルは、SMN2発現研究に用いられる。
【0015】
SMAの遺伝的基盤及び病態生理の理解が進んだ結果、処置のためのいくつかの戦略が検討されたが、臨床において成功を示したものはまだない。
【0016】
ウィルス送達ベクターを用いるSMN1の遺伝子置換及び分化したSMN1+/+幹細胞を用いる細胞置換は、SMAの動物モデルにおいて有効性を示した。これらのアプローチがヒトに適用できるまでには、安全性及び免疫応答を測定し、また新生児期に処置を開始するための要件に対処するため、更なる研究が必要である。
【0017】
SMN2の選択的スプライシングの修正も、合成核酸(i)及び(ii):(i)SMN2プレ−mRNA中の配列要素を標的とし、全長SMN2 mRNAの生成に向かってスプライシング反応の結果を変えるアンチセンスオリゴヌクレオチド(Passini et al., Sci. Transl. Med., 2011, 3:72ra18; and, Hua et al., Nature, 2011, 478:123)、(ii)スプライシング中に変異断片を置換して、全長SMN1 mRNAを生成し、完全に機能するRNA配列を提供するトランス−スプライシングRNA分子(Coady and Lorson, J Neurosci., 2010, 30:126)を用いて、培養細胞において達成されている。
【0018】
検討中の他のアプローチには、SMNレベルを高める、残存SMN機能を増進する、又は低下したそのレベルを補う薬物を探索することが含まれる。アミノグリコシドは、異常な停止コドンの翻訳上の読み飛ばし(translational read-through)を促進することにより、Δ7SMN2 mRNAから生成する、安定化された延長Δ7SMNタンパクの発現を増進することが示されているが、中枢神経系への浸透が少なく、また反復投与後には毒性がある。アクラルビシン等の化学療法剤は、培養細胞においてSMNタンパクを増加させることが示されているが、これらの薬物の毒性プロファイルは、SMA患者における長期使用を禁じるものである。臨床試験中のある種のSMA処置用薬物には、ヒストンデアセチラーゼ(HDAC)阻害剤(例えば、酪酸塩、バルプロ酸及びヒドロキシ尿素)及びmRNA安定化剤(mRNAデキャッピング阻害剤RG3039(Pfizer社))といった転写活性化剤が含まれ、目標は、SMN2遺伝子から転写された総RNA量を増加させることである。しかし、HDAC阻害剤又はmRNA安定化剤の使用は、SMAの根本的な原因に対処するものではなく、またヒトにおいて、安全上の問題となりうる事項を伴う、転写及び遺伝子発現の全体的な増加をもたらす恐れがある。
【0019】
別のアプローチでは、オレソキシムのような神経保護剤が研究のために選択されてきた。そのような戦略は、SMAの処置のために、SMNを対象としたものではなく、SMN欠損運動ニューロンを神経変性から保護することを目的として検討されている。
【0020】
SMN2遺伝子から転写されたRNAへの、SMNのエキソン7の組み入れを増加させる化合物を同定するために設計された系、及びそのようにして同定されたある種のベンゾオキサゾール及びベンゾイソキサゾール化合物が、国際出願公開公報第WO2009/151546A1号に記載されている。Δ7SMN2 mRNAから安定化されたSMNタンパクを生成するようなリボゾームのフレームシフティングを引き起こす化合物を同定するために設計された系、及びそのようにして同定されたある種のイソインドリン化合物が、国際出願公開公報第WO2010/019236A1号及び第WO2013/119916A2号に記載されている。
【0021】
SMAの遺伝的基盤及び病態生理の理解においてなされた進歩にもかかわらず、最も壊滅的な小児神経疾患の一つである脊髄性筋萎縮症の経過を変える化合物を同定することに対する必要性が依然として存在する。
【0022】
発明の詳細な説明
別途定義しない限り、本明細書において用いられる専門用語及び科学用語はいずれも、本発明が属する分野における当業者によって理解されるものと同じ意味を有する。本明細書に記載のものと類似又は等価の方法及び物質を、本発明の実施又は試験において使用することができるが、適切な方法及び物質を以下に記載する。
【0023】
本明細書において言及される刊行物、特許出願、特許その他の参考文献はいずれも、その全体が参照により組み入れられる。
【0024】
別に示さない限り、本明細書において用いられる命名法は、IUPAC系統的命名法に基づくものである。
【0025】
別に示さない限り、本明細書において、構造中の炭素、酸素、硫黄又は窒素原子上に見られる空の電子価(open valency)はいずれも、水素の存在を示す。
【0026】
本明細書に記載の定義は、問題とされる用語が単独で現れているか、組み合わせで現れているかに関わらず適用される。本明細書に記載の定義は、付け足して、例えば「ヘテロシクロアルキルアリール」、「ハロアルキルヘテロアリール」、「アリールアルキルヘテロシクロアルキル」、又は「アルコキシアルキル」のような、化学的に関連する組み合わせを形成することができることが意図される。その組み合わせの最後の成員(member)は、分子の残りの部分と結合している基である。その組み合わせの他の成員は、その結合している基と、文字の列に関して逆順で結合し、例えば、C1−7アルコキシ−ヘテロシクロアルキルという組み合わせは、C1−7アルコキシで置換されたヘテロシクロアルキルを指す。
【0027】
用語「部」は、1つ以上の化学結合により他の原子又は分子と結合して、分子の一部を形成している原子又は化学的に結合した一群の原子を指す。例えば、式(I)の変数A、R、R及びRは、式(I)の中核構造と共有結合により結合している部を指す。
【0028】
用語「1つ以上の」は、置換基の数を表している場合、1個の置換基から、可能な最大数の置換までの範囲、即ち、置換基による、1個の水素の置換からすべての水素の置換までを指す。
【0029】
用語「場合による」又は「場合により」は、その後に記載された事象又は状況が発生し得るが、発生する必要はないこと、及びその記載には、その事象又は状況が発生している例及び発生していない例が含まれることを指す。
【0030】
用語「置換基」は、親分子上の水素原子を置換している原子又は一群の原子を指す。
【0031】
用語「置換されている」は、特定された基が1つ以上の置換基を有することを指す。任意の基が複数の置換基を有することができ、種々の置換基が与えられている場合、その置換基は独立に選択され、同一である必要はない。用語「非置換の」は、特定された基が置換基を有していないことを意味する。用語「場合により置換されている」は、特定された基が非置換であるか、又は、可能な置換基の群から独立に選択される1つ以上の置換基で置換されていることを意味する。置換基の数を表している場合、用語「1つ以上の」は、1個の置換基から、可能な最大数の置換まで、即ち、置換基による、1個の水素の置換からすべての水素の置換までを意味する。
【0032】
用語「この発明の化合物」及び「本発明の化合物」は、本明細書において開示される化合物及びその立体異性体、互変異性体、溶媒和物、及び塩(例えば、薬学的に許容し得る塩)を指す。
【0033】
本発明の化合物が固体である場合、これらの化合物ならびにその溶媒和物及び塩は、種々の固体型、特に種々の結晶型で存在する場合があり、それらのすべてが本発明及び特定された式の範囲内であると意図されると当業者には理解される。
【0034】
用語「薬学的に許容し得る塩」は、生物学的にもその他の面でも好ましからざるものでない塩を指す。薬学的に許容し得る塩には、酸付加塩及び塩基付加塩の両方が含まれる。
【0035】
用語「薬学的に許容し得る酸付加塩」は、塩酸、臭化水素酸、硫酸、硝酸、炭酸、リン酸といった無機酸、及び、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、グリコール酸、グルコン酸、乳酸、ピルビン酸、シュウ酸、リンゴ酸、マレイン酸、マロン酸(maloneic acid)、コハク酸、フマル酸、酒石酸、クエン酸、アスパラギン酸、アスコルビン酸、グルタミン酸、アントラニル酸、安息香酸、ケイ皮酸、マンデル酸、エンボン酸、フェニル酢酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、及びサリチル酸といった、有機酸の脂肪族、脂環式(cycloaliphatic)、芳香族、アリール脂肪族(araliphatic)、ヘテロ環式、カルボキシル、及びスルホンの部類より選択される有機酸と共に形成された、薬学的に許容し得る塩を指す。具体的には、本発明の薬学的に許容し得る塩は、塩酸塩、二塩酸塩、又は三塩酸塩、を生成する、塩酸と共に形成された塩であり、より具体的には、塩酸塩である。
【0036】
用語「薬学的に許容し得る塩基付加塩」は、有機又は無機塩基と共に形成された薬学的に許容し得る塩を指す。許容し得る無機塩基の例には、ナトリウム、カリウム、アンモニウム、カルシウム、マグネシウム、鉄、亜鉛、銅、マンガン、及びアルミニウム塩が含まれる。無毒な有機塩基由来の薬学的に許容し得る塩には、イソプロピルアミン、トリメチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、トリプロピルアミン、エタノールアミン、2−ジエチルアミノエタノール、トリメタミン、ジシクロヘキシルアミン、リジン、アルギニン、ヒスチジン、カフェイン、プロカイン、ヒドラバミン、コリン、ベタイン、エチレンジアミン、グルコサミン、メチルグルカミン、テオブロミン、プリン類、ピペリジン、ピペリジン、N−エチルピペリジン、及びポリアミン樹脂といった、1級、2級、及び3級アミン、天然の置換されているアミンを含む置換されているアミン、環状アミン及び塩基性イオン交換樹脂の塩が含まれる。
【0037】
本明細書において用いられる立体化学の定義及び慣習は一般に、S. P. Parker, Ed., McGraw-Hill Dictionary of Chemical Terms (1984) McGraw-Hill Book Company, New York及びEliel, E. and Wilen, S., “Stereochemistry of Organic Compounds”, John Wiley & Sons, Inc., New York, 1994に従う。光学活性化合物を記載するに際し、接頭辞D及びL、又はR及びSは、分子の絶対配置(その分子のキラル中心についての)を指すものとして用いられる。考慮されるキラル中心に結合した置換基を、Cahn、Ingold及びPrelogの順位規則(Cahn et al. Angew. Chem. Inter. Edit. 1966, 5, 385; errata 511)に従って順位付けする。接頭辞D及びL又は(+)及び(−)は、化合物による平面偏光の回転の記号を指定するのに用いられ、(−)又はLは、その化合物が左旋性であることを指定する。(+)又はDの接頭辞が付いた化合物は、右旋性である。
【0038】
用語「キラル中心」は、4個の同じでない置換基と結合した炭素原子を指す。用語「キラルな」は、鏡像との重ね合わせができないことを指すが、用語「アキラルな」は、その鏡像との重ね合わせができる実施形態を指す。キラルな分子は光学活性である、即ち、それらは平面偏光の面を回転させる能力を有する。
【0039】
本発明の化合物は、1個以上のキラル中心を有していてよく、光学的に純粋なエナンチオマー、エナンチオマーの混合物(例えばラセミ体のような)、光学的に純粋なジアステレオアイソマー、ジアステレオアイソマーの混合物、ジアステレオアイソメリックなラセミ体又はジアステレオアイソメリックなラセミ体の混合物の形態で存在し得る。化学構造中にキラル中心が存在するときには常に、そのキラル中心に関連するすべての立体異性体が本発明に包含されることが意図される。
【0040】
用語「ハロ」、「ハロゲン」、及び「ハロゲン化物」は、本明細書においては交換可能なものとして用いられ、フルオロ、クロロ、ブロモ、又はヨードを指す。ハロゲンの具体的な例は、フルオロ及びクロロである。
【0041】
用語「アルキル」は、炭素原子1〜12個の1価の直鎖状又は分岐鎖状飽和炭化水素基を指す。具体的な実施形態では、アルキルは、1〜7個の炭素原子、より具体的な実施形態では、1〜4個の炭素原子を有する。アルキルの例には、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、sec−ブチル、又はtert−ブチルが含まれる。アルキルの具体的な例は、メチル、エチル及びイソプロピルである。
【0042】
用語「ハロアルキル」は、アルキル基であって、そのアルキル基の水素原子のうち少なくとも1個が、同一又は異なるハロゲン原子、特にフルオロ原子で置換されているものを指す。ハロアルキルの例には、モノフルオロ−、ジフルオロ−又はトリフルオロ−メチル、−エチル又は−プロピル、例えば、3,3,3−トリフルオロプロピル、2−フルオロエチル、2,2,2−トリフルオロエチル、フルオロメチル、又はトリフルオロメチル等が含まれる。用語「ペルハロアルキル」は、アルキル基であって、そのアルキル基のすべての水素原子が、同一又は異なるハロゲン原子で置換されているものを指す。ハロアルキルの具体的な例は、トリフルオロメチル及びジフルオロメチルである。
【0043】
用語「アルコキシ」は、式−O−R’(式中、R’はアルキル基である)の基を指す。アルコキシ部の例には、メトキシ、エトキシ、イソプロポキシ、及びtert−ブトキシが含まれる。アルコキシの具体的な例は、メトキシ及びエトキシである。
【0044】
用語「2環系」は、共通の単結合又は2重結合を介して(縮環2環系)、一連の3個以上の共通の原子を介して(橋架け2環系)又は共通の1個の原子を介して(スピロ2環系)互いに縮合した2個の環を指す。2環系は、飽和、部分不飽和、不飽和又は芳香族であり得る。2環系は、N、O及びSより選択されるヘテロ原子を含んでいてよい。同様に、用語「3環系」は、2環系について記載したようにして互いに縮合した3個の環を指す。
【0045】
用語「シクロアルキル」は、環炭素原子3〜10個の飽和単環式又は2環式炭化水素基を指す。具体的な実施形態では、シクロアルキルは、環炭素原子3〜8個の1価の飽和単環式炭化水素基を指す。2環式は、1個以上の炭素原子を共有する2個の飽和炭素環からなることを意味する。具体的なシクロアルキル基は、単環式である。単環式シクロアルキルの例は、シクロプロピル、シクロブタニル、シクロペンチル、シクロヘキシル又はシクロヘプチルである。2環式シクロアルキルの例は、ビシクロ[2.2.1]ヘプタニル、又はビシクロ[2.2.2]オクタニルである。シクロアルキルの1つの具体的な例は、シクロプロピルである。
【0046】
用語「ヘテロシクロアルキル」は、環原子3〜9個で、N、O及びSより選択される1、2、又は3個の環ヘテロ原子を含み、残りの環原子は炭素である、飽和又は部分不飽和単、2又は3環系を指す。具体的な実施形態では、ヘテロシクロアルキルは、環原子4〜7個で、N、O及びSより選択される1、2、又は3個の環ヘテロ原子を含み、残りの環原子は炭素である、1価の飽和単環系である。単環式飽和ヘテロシクロアルキルの例は、アゼチジニル、オキシラニル、アゼチジニル、オキセタニル、ピロリジニル、テトラヒドロフラニル、テトラヒドロ−チエニル、ピラゾリジニル、イミダゾリジニル、オキサゾリジニル、イソキサゾリジニル、チアゾリジニル、ピペリジニル、テトラヒドロピラニル、テトラヒドロチオピラニル、ピペラジニル、モルホリニル、チオモルホリニル、1,1−ジオキソ−チオモルホリン−4−イル、アゼパニル、ジアゼパニル、ホモピペラジニル、又はオキサゼパニルである。2環式飽和ヘテロシクロアルキルの例は、8−アザ−ビシクロ[3.2.1]オクチル、キヌクリジニル、8−オキサ−3−アザ−ビシクロ[3.2.1]オクチル、9−アザ−ビシクロ[3.3.1]ノニル、3−オキサ−9−アザ−ビシクロ[3.3.1]ノニル、又は3−チア−9−アザ−ビシクロ[3.3.1]ノニルである。部分不飽和ヘテロシクロアルキルの例は、ジヒドロフリル、イミダゾリニル、ジヒドロ−オキサゾリル、テトラヒドロ−ピリジニル、又はジヒドロピラニルである。ヘテロシクロアルキルの具体的な例は、1,4−ジアゼパニル、ヘキサヒドロピロロ[1,2−a]ピラジニル、ピペリジニル、ピペラジニル及びピロリジニルである。ヘテロシクロアルキルのより具体的な例は、ピペラジニル及びピロリジニルである。
【0047】
用語「N−ヘテロシクロアルキル」は、少なくとも1個の窒素環原子を含むヘテロシクロアルキル基であって、そのヘテロシクロアルキル基の、分子の残りの部分との結合点が、窒素環原子を介しているものを指す。N−ヘテロシクロアルキルの具体的な例は、1,4−ジアゼパニル、ヘキサヒドロピロロ[1,2−a]ピラジニル、ピペリジニル、ピペラジニル及びピロリジニルである。N−ヘテロシクロアルキルのより具体的な例は、ピペラジニル及びピロリジニルである。
【0048】
化合物に関しての用語「塩基性度」は、本明細書においては、共役酸の酸性度定数の、10を底とする負の対数(pKa=−logKa)で表わされる。共役酸のpKaが大きいほど、塩基はより強い(pKa+pKb=14)。本願においては、ある原子又は官能基がプロトンを受容するのに適しており、またその共役酸の計算されたpKaが少なくとも7である場合、より好ましくは、その共役酸の計算されたpKaが少なくとも7.8である場合、最も好ましくは、その共役酸の計算されたpKaが少なくとも8である場合に、それを「塩基性である」と称する。pKa値は、F. Milletti et al., J. Chem. Inf. Model (2007) 47:2172-2181に記載されているようにしてコンピュータ計算されたものである。
【0049】
用語「アルキレン」は、炭素原子1〜7個の2価直鎖状飽和炭化水素基又は炭素原子3〜7個の2価分岐鎖状飽和炭化水素基を指す。アルキレン基の例には、メチレン、エチレン、プロピレン、2−メチルプロピレン、ブチレン、2−エチルブチレン、ペンチレン、ヘキシレンが含まれる。アルキレンの具体的な例は、エチレン、プロピレン、及びブチレンである。
【0050】
用語「アミノ」は、式−NR’R”(式中、R’及びR”は、独立に水素、アルキル、アルコキシ、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリール、ヘテロアリール又は本明細書において記載されるものである)の基を指す。或いは、R’とR”が、それらが結合する窒素と共に、ヘテロシクロアルキルを形成してもよい。用語「1級アミノ」は、R’とR”の両方が水素である基を指す。用語「2級アミノ」は、R’が水素であり、R”が水素以外の基である基を指す。用語「3級アミノ」は、R’とR”の両方が水素以外である基を指す。具体的な2級及び3級アミンは、メチルアミン、エチルアミン、プロピルアミン、イソプロピルアミン、フェニルアミン、ベンジルアミンジメチルアミン、ジエチルアミン、ジプロピルアミン及びジイソプロピルアミンである。
【0051】
用語「保護基」は、合成化学において従来それに関連付けられていた意味において、多官能性化合物中のある反応性部位を選択的にブロックして、別の保護されていない反応性部位において選択的に化学反応を行いうるようにする基を指す。保護基は、適切な点で除去することができる。例示的な保護基は、アミノ−保護基、カルボキシ−保護基又はヒドロキシ−保護基である。
【0052】
用語「アミノ−保護基」は、アミノ基を保護することを意図される基を指し、これには、ベンジル、ベンジルオキシカルボニル(カルボベンジルオキシ、CBZ)、Fmoc(9−フルオレニルメチルオキシカルボニル)、p−メトキシベンジルオキシカルボニル、p−ニトロベンジルオキシカルボニル、tert−ブトキシカルボニル(BOC)、及びトリフルオロアセチルが含まれる。これらの基の更なる例は、T. W. Greene and P. G. M. Wuts, "Protective Groups in Organic Synthesis", 2nd ed., John Wiley & Sons, Inc., New York, NY, 1991, chapter 7;E. Haslam, "Protective Groups in Organic Chemistry", J. G. W. McOmie, Ed., Plenum Press, New York, NY, 1973, Chapter 5、及びT.W. Greene, "Protective Groups in Organic Synthesis", John Wiley及びSons, New York, NY, 1981に見出される。用語「保護アミノ基」は、アミノ−保護基で置換されているアミノ基を指す。
【0053】
用語「脱保護」又は「脱保護する」は、工程であって、それによって、選択的な反応が完結した後に保護基が除去される工程を指す。脱保護剤には、酸、塩基又は水素、特に、炭酸カリウム又はナトリウム、アルコール性溶液中の水酸化リチウム、メタノール中の亜鉛、酢酸、トリフルオロ酢酸、パラジウム触媒、又は三臭化ホウ素が含まれる。
【0054】
用語「医薬活性成分」(又は「API」)は、医薬組成物中の、特定の生物活性を有する化合物又は分子を指す。
【0055】
用語「医薬組成物」及び「医薬処方物」(又は「処方物」)は、交換可能なものとして用いられ、それを必要とする哺乳類、例えばヒトに投与される、薬学的に許容し得る賦形剤と共に、治療有効量の医薬活性成分を含む混合物又は溶液を指す。
【0056】
用語「薬学的に許容し得る」は、医薬組成物を調製するのに有用な、一般に安全であり、無毒で、生物学的にもその他の面でも好ましからざるものでなく、獣医学用、またヒト用の薬学的使用に許容し得る物質の特性を指す。
【0057】
用語「薬学的に許容し得る賦形剤」、「薬学的に許容し得る担体」及び「治療上不活性な賦形剤」は、交換可能なものとして用いることができ、薬学的製品を処方するのに用いられる崩壊剤、結合剤、増量剤、溶媒、緩衝剤、等張化剤、安定剤、酸化防止剤、界面活性剤、担体、希釈剤又は滑沢剤といった、治療活性を有しておらず、投与を受ける被験体に対して無毒である、医薬組成物中の任意の薬学的に許容し得る成分を指す。
【0058】
用語「個体」又は「被験体」は、哺乳類を指す。哺乳類には、家畜(例えば、牝ウシ、ヒツジ、ネコ、イヌ、及びウマ)、霊長類(例えば、ヒト及びサルなどのヒト以外の霊長類)、ウサギ、及びげっ歯類(例えば、マウス及びラット)が含まれるが、これらに限定されない。ある実施形態では、個体又は被験体はヒトである。
【0059】
用語「治療有効量」は、被験体に投与されたとき、(i)特定の疾患、病状又は異常を処置し又は予防する、(ii)特定の疾患の1つ以上の症状、病状又は異常を減じ、改善し、又は排除する、又は(iii)本明細書に記載の特定の疾患の1つ以上の症状、病状又は異常の発症を予防し又は遅延させる、本発明の化合物又は分子の量を指す。治療有効量は、化合物、処置される疾患状態、処置される疾患の重症度、被験体の年齢及び相対的な健康状態、投与の経路及び形態、担当の医師又は獣医師の判断、及びその他の因子によって変動する。
【0060】
疾患状態を「処置すること」又はその「処置」という用語には、疾患状態を抑制すること、即ち、疾患状態又はその臨床症状の進行を停止させること、又は疾患状態を緩和すること、即ち、疾患状態又はその臨床症状の一時的又は恒久的な軽減を起こさせることが含まれる。
【0061】
用語「SMN欠失関連疾患」には、脊髄性筋萎縮症(SMA)、神経性(neutogenic)先天性多発性関節拘縮症(AMC)、筋委縮性側索硬化症(ALS)が含まれる。用語「脊髄性筋萎縮症」(又はSMA)は、SMN1遺伝子機能の損失をもたらす、両方の染色体上のSMN1遺伝子における不活化変異又は欠失によって引き起こされる疾患に関するものである。
【0062】
SMAの症状には、筋力低下、筋肉の緊張低下、弱い鳴き声、弱い咳、弱々しさ又はばったり倒れ込む傾向、哺乳又は嚥下困難、呼吸困難、肺又は喉における分泌物の蓄積、握り拳が汗ばんでいること、舌がぴくぴくする/振動すること、横になっているときでも頭がしばしば片方に傾くこと、腕よりも弱い傾向にある足、しばしば「カエルの脚」の位置を取る足、摂食困難、気道感染に対する感受性増加、腸/膀胱虚弱、通常よりも軽い体重、補助なしで座れないこと、歩行障害、這って歩くことができない、また低血圧、反射消失、及び前角(anterior hom)細胞の損失に関連する多発性先天性拘縮(関節拘縮症)が含まれる。
【0063】
用語「脊髄性筋萎縮症(SMA)を処置すること」又は「脊髄性筋萎縮症(SMA)の処置」には、以下の作用:(i)SMAの重症度の減少又は改善;(ii)SMAの発症の遅延;(iii)SMAの進行の抑制;(iv)被験体の入院の減少;(v)被験体についての入院期間の長さの減少;(vi)被験体の生存の増加;(vii)被験体の生活の質の向上;(viii)SMAに関連する症状の数の減少;(ix)SMAに関連する1つ以上の症状の重症度の減少の又は改善;(x)SMAに関連する症状の継続期間の減少;(xi)SMAに関連する症状の再発の予防;(xii)SMAの症状の進行又は発症の抑制;及び/又は(xiii)SMAに関連する症状の進行の抑制のうちの1つ以上が含まれる。
【0064】
より具体的には、用語「SMAを処置すること」は、以下の有益な効果のうちの1つ以上を指す:(i)筋力低下の減少;(ii)筋力の増加;(iii)筋委縮の減少;(iv)運動機能低下の減少;(v)運動ニューロンの増加;(vii)運動ニューロン損失の減少;(viii)SMN欠損運動ニューロンの変性からの保護;(ix)運動機能の増加;(x)肺機能の増進;及び/又は(xi)肺機能低下の減少。
【0065】
更に詳細には、用語「SMAを処置すること」は、ヒト乳児又はヒト幼児が自力で上半身を起こす、或いはヒト乳児、ヒト幼児、ヒト小児又はヒト成人が、自力で起立する、自力で歩行する、自力で走る、自力で呼吸する、自力で寝返りを打つ(to turn during sleep)、又は自力で嚥下する機能的能力又は機能的能力の保持を指す。
【0066】
疾患状態を「予防すること」又はその「予防」という用語は、その疾患状態を呈する、又はそのようになりやすい可能性があるが、その疾患状態の症状をまだ経験したり、示したりしていない被験体において、その疾患状態の臨床症状を発症させないことを指す。
【0067】
用語「全長SMN2ミニ遺伝子mRNAの産生についてのEC1.5x濃度」(又は「EC1.5xミニ遺伝子」)は、全長SMN2ミニ遺伝子mRNAの量を、ビヒクルで処理した細胞におけるそれに比して1.5倍多いレベルまで増加させるのに有効な試験化合物の濃度と定義される。
【0068】
用語「SMNタンパク質発現についてのEC1.5x濃度」(又は「EC1.5xSMNタンパク質」)は、SMA患者の線維芽細胞におけるSMNタンパク質を、ビヒクルの対照から産生される量に比して1.5倍の量産生するのに有効な試験化合物の濃度と定義される。
【0069】
詳細には、本発明は、式(I):
【化2】

(式中、
は、CR又はNであり;
は、CR又はNであり;ただし、X及びXの両方がNであることはなく;
は、水素又はC1−7アルキルであり;
は、水素、シアノ、C1−7アルキル、C1−7ハロアルキル又はC3−8シクロアルキルであり;
は、水素、ハロ、C1−7アルキル、又はC1−7アルコキシであり;
は、水素、ハロ、C1−7アルキル、又はC1−7アルコキシであり;
は、独立に水素、ハロ、C1−7アルキル、又はC1−7アルコキシより選択され;
Aは、N−ヘテロシクロアルキル又はNRであり、ここで、N−ヘテロシクロアルキルは、1又は2個の窒素環原子を含み、そしてRより選択される1、2、3又は4個の置換基で場合により置換されており;
は、独立に水素、C1−7アルキル、アミノ、アミノ−C1−7アルキル、C3−8シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル及びC1−7アルコキシ−ヘテロシクロアルキルより選択されるか、又は2個のRが一緒になってC1−7アルキレンを形成し;
は、1個の窒素環原子を含むヘテロシクロアルキルであり、ここで、ヘテロシクロアルキルは、Rより選択される1、2、3又は4個の置換基で場合により置換されており;
は、水素、C1−7アルキル又はC3−8シクロアルキルであり;
ただし、Aが1個の窒素環原子のみを含むN−ヘテロシクロアルキルである場合、少なくとも1つのR置換基は、アミノ又はアミノ−C1−7アルキルである)
の化合物、又はその薬学的に許容し得る塩に関する。
【0070】
本発明の特定の実施形態は、式(I)の化合物又はその薬学的に許容し得る塩である。
【0071】
更に、本明細書において開示される特定のX、X、A、R、R、R又はRに関するすべての実施形態は、本明細書において開示される別のX、X、A、R、R、R又はRに関する任意の他の実施形態と組み合わされていてもよいと理解される。
【0072】
本発明の特定の一実施形態は、式(I)の化合物であって、
は、CH又はNであり;
は、CRであり;
は、C1−7アルキルであり;
は、水素、C1−7アルキル、C1−7ハロアルキル又はC3−8シクロアルキルであり;
は、水素、ハロ、C1−7アルキル、又はC1−7アルコキシであり;
は、水素、ハロ、C1−7アルキル、又はC1−7アルコキシであり;
は、水素、ハロ、C1−7アルキル、又はC1−7アルコキシであり;
Aは、N−ヘテロシクロアルキルであり、ここで、N−ヘテロシクロアルキルは、1又は2個の窒素環原子を含み、そしてRより選択される1、2、3又は4個の置換基で場合により置換されており;
は、独立に水素、C1−7アルキル、アミノ、アミノ−C1−7アルキル、C3−8シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル及びC1−7アルコキシ−ヘテロシクロアルキルより選択されるか、又は2個のRが一緒になってC1−7アルキレンを形成し;
ただし、Aが1個の窒素環原子のみを含むN−ヘテロシクロアルキルである場合、少なくとも1つのR置換基は、アミノ又はアミノ−C1−7アルキルである式(I)の化合物、又はその薬学的に許容し得る塩に関する。
【0073】
本発明の特定の一実施形態は、XがNであり;ただし、X及びXの両方がNであることはない、式(I)の化合物に関する。
【0074】
本発明の特定の一実施形態は、XがCRである、式(I)の化合物に関する。
【0075】
本発明の特定の一実施形態は、XがCHである、式(I)の化合物に関する。
【0076】
本発明の特定の一実施形態は、XがNであり;ただし、X及びXの両方がNであることはない、式(I)の化合物に関する。
【0077】
本発明の特定の一実施形態は、XがCRである、式(I)の化合物に関する。
【0078】
本発明の特定の一実施形態は、XがCHである、式(I)の化合物に関する。
【0079】
本発明の特定の一実施形態は、RがC1−7アルキル、特にメチルである、式(I)の化合物に関する。
【0080】
本発明の特定の一実施形態は、Rが水素、C1−7アルキル、C1−7ハロアルキル又はC3−8シクロアルキル;具体的には水素又はC1−7ハロアルキル;より具体的にはC1−7ハロアルキルである、式(I)の化合物に関する。
【0081】
本発明の更により具体的な一実施形態は、Rが水素、メチル、エチル、ジフルオロメチル、トリフルオロメチル又はシクロプロピル;具体的には水素、ジフルオロメチル又はトリフルオロメチル;最も具体的にはトリフルオロメチルである、式(I)の化合物に関する。
【0082】
本発明の特定の一実施形態は、Rが水素、ハロ又はC1−7アルコキシ、特にハロである、式(I)の化合物に関する。
【0083】
本発明の更により具体的な一実施形態は、Rが水素、フルオロ、メトキシ又はエトキシ、特にフルオロである、式(I)の化合物に関する。
【0084】
本発明の特定の一実施形態は、Rが水素又はハロ、特に水素である、式(I)の化合物に関する。
【0085】
本発明の更により具体的な一実施形態は、Rが水素又はフルオロ、特に水素である、式(I)の化合物に関する。
【0086】
本発明の特定の一実施形態は、Rが水素、ハロ又はC1−7アルコキシ、特に水素である、式(I)の化合物に関する。
【0087】
本発明の更により具体的な一実施形態は、Rが水素、フルオロ、クロロ又はメトキシ、特に水素である、式(I)の化合物に関する。
【0088】
本発明の特定の一実施形態は、Rが、独立にC1−7アルキル、ヘテロシクロアルキル及びC1−7アルコキシ−ヘテロシクロアルキルより選択されるか、又は2個のRが一緒になってC1−7アルキレンを形成している、式(I)の化合物に関する。
【0089】
本発明の特定の一実施形態は、Rが、独立にメチル、エチル、イソプロピル、メトキシ−アゼチジニル及びピロリジニルより選択されるか、又は2個のRが一緒になってエチレン又はプロピレンを形成している、式(I)の化合物に関する。
【0090】
本発明の特定の一実施形態は、Rが、Rより選択される1、2、3又は4個の置換基で場合により置換されているピペラジニルである、式(I)の化合物に関する。
【0091】
本発明の特定の一実施形態は、Rが水素又はC1−7アルキル、特に水素又はメチルである、式(I)の化合物に関する。
【0092】
本発明の特定の一実施形態は、式(I’):
【化3】

(式中、A、R、R、R及びRは、本明細書に記載されるとおりである)
の化合物、又はその薬学的に許容し得る塩に関する。
【0093】
本発明の特定の一実施形態は、Aが、1又は2個の窒素環原子を含み、そしてRより選択される1、2、3又は4個の置換基で場合により置換される飽和単環又は二環式N−ヘテロシクロアルキルである、式(I)の化合物に関する。
【0094】
本発明の特定の一実施形態は、本明細書において定義されるA中の前記N−ヘテロシクロアルキル又はR中の前記ヘテロシクロアルキルが、Rより選択される1又は2個の置換基で置換されている、式(I)の化合物に関する。
【0095】
本発明の特定の一実施形態は、本明細書において定義されるA中の前記N−ヘテロシクロアルキルが更に、1個の環窒素原子が塩基性であることを特徴とする、式(I)の化合物に関する。
【0096】
本発明の特定の一実施形態は、Aが、
【化4】

(式中、
Yは、N又はCHであり;
は、水素、C1−7アルキル又はC3−8シクロアルキルであり;
は、水素、C1−7アルキル、又は−(CH−NR1415であり;
10は、水素又はC1−7アルキルであり;
11は、水素又はC1−7アルキルであり;
12は、水素又はC1−7アルキルであり;
13は、水素又はC1−7アルキルであり;
14及びR15は、独立に水素、C1−7アルキル及びC3−8シクロアルキルより選択され;
nは、0、1又は2であり;
mは、0、1、2又は3であり;
又は、RとR10が一緒になってC1−7アルキレンを形成し;
又は、RとR12が一緒になってC1−7アルキレンを形成し;
又は、R10とR11が一緒になってC2−7アルキレンを形成し;
又は、R10とR12が一緒になってC1−7アルキレンを形成し;
又は、R10とR14が一緒になってC1−7アルキレンを形成し;
又は、R12とR13が一緒になってC2−7アルキレンを形成し;
又は、R12とR14が一緒になってC1−7アルキレンを形成し;
又は、R14とR15が一緒になって、アルコキシで場合により置換されているC2−7アルキレンを形成し;
ただし、YがCHである場合、Rは−(CH−NR1415であり;そして
ただし、YがNであり、そしてRが−(CH−NR1415である場合、mは、2又は3である)
である、式(I)の化合物に関する。
【0097】
本発明の特定の一実施形態は、Aが、
【化5】

(式中、Y、n、R、R10、R11、R12及びR13は、先に定義されたとおりである)
である、式(I)の化合物に関する。
【0098】
、R10、R11、R12及びR13のうちの少なくとも1つが水素でないとき、脳への浸透が改善されることが見出された。本発明の特定の一実施形態において、R、R10、R11、R12及びR13のうちの少なくとも1つは、水素以外のものである。
【0099】
本発明の特定の一実施形態は、YがNである、式(I)の化合物に関する。
【0100】
本発明の特定の一実施形態は、YがCHであり、そしてRが−(CH−NR1415である、式(I)の化合物に関する。
【0101】
本発明の特定の一実施形態は、YがCHであり、そしてRが−(CH−NR1415であり、mが0である、式(I)の化合物に関する。
【0102】
本発明の特定の一実施形態は、nが1である、式(I)の化合物に関する。
【0103】
本発明の特定の一実施形態は、Rが水素、ピロリジニル、又はメトキシ−アゼチジニル、より具体的には水素である、式(I)の化合物に関する。
【0104】
本発明の特定の一実施形態は、R10が水素、メチル、エチル又はイソプロピル、より具体的にはメチルである、式(I)の化合物に関する。
【0105】
本発明の特定の一実施形態は、R11が水素又はメチル、より具体的には水素である、式(I)の化合物に関する。
【0106】
本発明の特定の一実施形態は、R12が水素又はメチル、より具体的には水素である、式(I)の化合物に関する。
【0107】
本発明の特定の一実施形態は、R13が水素である、式(I)の化合物に関する。
【0108】
本発明の特定の一実施形態は、RとR10が一緒になってプロピレンを形成している、式(I)の化合物に関する。
【0109】
本発明の特定の一実施形態は、R10とR11が一緒になってエチレンを形成している、式(I)の化合物に関する。
【0110】
本発明の特定の一実施形態は、R14とR15が一緒になってプロピレン又はブチレンを形成している、式(I)の化合物に関する。
【0111】
本発明の特定の一実施形態は、R14とR15が一緒になってプロピレンを形成している、式(I)の化合物に関する。
【0112】
本発明の特定の一実施形態は、R14とR15が一緒になってブチレンを形成している、式(I)の化合物に関する。
【0113】
本発明の特定の一実施形態は、Aが、
【化6】

(式中、R、R、R10、R11、R12、及びR13は、本明細書において定義されるとおりであり、R16は、水素又はC1−7アルキルであり、R17は、C1−7アルコキシである)
の群より選択される、式(I)の化合物に関する。
【0114】
本発明の特定の一実施形態は、Aが、
【化7】

(式中、R、R、R10、R11、R12、及びR13は、本明細書において定義されるとおりであり、R17は、C1−7アルコキシである)
の群より選択される、式(I)の化合物に関する。
【0115】
本発明の特定の一実施形態は、Aが、ピペラジニル、ジアゼパニル、ピロリジニル及びヘキサヒドロピロロ[1,2−a]ピラジニル(各々、本明細書において定義されるRより選択される1、2、3又は4個の置換基で場合により置換されている)の群より選択される、式(I)の化合物に関する。
【0116】
本発明の特定の一実施形態は、Aが、ピペラジン−1−イル、1,4−ジアゼパン−1−イル、ピロリジン−1−イル及びヘキサヒドロピロロ[1,2−a]ピラジン−2(1H)−イル(各々、本明細書において定義されるRより選択される1又は2個の置換基で場合により置換されている)の群より選択される、式(I)の化合物に関する。
【0117】
本発明の特定の一実施形態は、AがNR(式中、R及びRは、本明細書において定義されるとおりである)である、式(I)の化合物に関する。
【0118】
本発明の特定の一実施形態は、Aが、
【化8】

(式中、R、R、R10、R11、R12、及びR13は、本明細書に記載されるとおりである)
である、式(I)の化合物に関する。
【0119】
本発明の特定の一実施形態は、Aが、
【化9】

(式中、Rは、水素又はメチルである)
である、式(I)の化合物に関する。
【0120】
本発明の特定の一実施形態は、Aが、
【化10】

の群より選択される、式(I)の化合物に関する。
【0121】
本発明の特定の一実施形態は、Aが、
【化11】

の群より選択される、式(I)の化合物に関する。
【0122】
具体的な本発明の式(I)の化合物は、
2−フルオロ−N−(2−メチルイミダゾ[1,2−a]ピラジン−6−イル)−4−ピペラジン−1−イルベンズアミド;
N−(2−メチルイミダゾ[1,2−a]ピラジン−6−イル)−4−ピペラジン−1−イルベンズアミド;
4−[(8aS)−3,4,6,7,8,8a−ヘキサヒドロ−1H−ピロロ[1,2−a]ピラジン−2−イル]−2−エトキシ−N−(2−メチルイミダゾ[1,2−a]ピラジン−6−イル)ベンズアミド;
2−エトキシ−N−(2−メチルイミダゾ[1,2−a]ピラジン−6−イル)−4−[(3S)−3−メチルピペラジン−1−イル]ベンズアミド;
2−エトキシ−N−(2−メチルイミダゾ[1,2−a]ピラジン−6−イル)−4−[(3R)−3−メチルピペラジン−1−イル]ベンズアミド;
4−[(8aR)−3,4,6,7,8,8a−ヘキサヒドロ−1H−ピロロ[1,2−a]ピラジン−2−イル]−2−エトキシ−N−(2−メチルイミダゾ[1,2−a]ピラジン−6−イル)ベンズアミド;
4−[(8aR)−3,4,6,7,8,8a−ヘキサヒドロ−1H−ピロロ[1,2−a]ピラジン−2−イル]−2−フルオロ−N−(2−メチルイミダゾ[1,2−a]ピラジン−6−イル)ベンズアミド;
4−[(8aS)−3,4,6,7,8,8a−ヘキサヒドロ−1H−ピロロ[1,2−a]ピラジン−2−イル]−2−フルオロ−N−(2−メチルイミダゾ[1,2−a]ピラジン−6−イル)ベンズアミド;
4−(1,4−ジアゼパン−1−イル)−2−エトキシ−N−(2−メチルイミダゾ[1,2−a]ピラジン−6−イル)ベンズアミド;
4−[(3S,5R)−3,5−ジメチルピペラジン−1−イル]−2−エトキシ−N−(2−メチルイミダゾ[1,2−a]ピラジン−6−イル)ベンズアミド;
N−(2,8−ジメチルイミダゾ[1,2−a]ピラジン−6−イル)−2−フルオロ−4−[(3R)−3−メチルピペラジン−1−イル]ベンズアミド;
4−[(8aS)−3,4,6,7,8,8a−ヘキサヒドロ−1H−ピロロ[1,2−a]ピラジン−2−イル]−N−(2,8−ジメチルイミダゾ[1,2−a]ピラジン−6−イル)−2−エトキシベンズアミド;
4−[(8aS)−3,4,6,7,8,8a−ヘキサヒドロ−1H−ピロロ[1,2−a]ピラジン−2−イル]−N−(2,8−ジメチルイミダゾ[1,2−a]ピラジン−6−イル)−2−フルオロベンズアミド;
N−(2,8−ジメチルイミダゾ[1,2−a]ピラジン−6−イル)−2,6−ジフルオロ−4−[(3R)−3−メチルピペラジン−1−イル]ベンズアミド;
N−(2,8−ジメチルイミダゾ[1,2−a]ピラジン−6−イル)−2−エトキシ−4−[(3R)−3−メチルピペラジン−1−イル]ベンズアミド;
4−[(8aS)−3,4,6,7,8,8a−ヘキサヒドロ−1H−ピロロ[1,2−a]ピラジン−2−イル]−N−(8−エチル−2−メチルイミダゾ[1,2−a]ピラジン−6−イル)−2−フルオロベンズアミド;
4−[(8aS)−3,4,6,7,8,8a−ヘキサヒドロ−1H−ピロロ[1,2−a]ピラジン−2−イル]−N−(8−シクロプロピル−2−メチルイミダゾ[1,2−a]ピラジン−6−イル)−2−フルオロベンズアミド;
4−[(8aS)−3,4,6,7,8,8a−ヘキサヒドロ−1H−ピロロ[1,2−a]ピラジン−2−イル]−N−(2,8−ジメチルイミダゾ[1,2−a]ピラジン−6−イル)−2,6−ジフルオロベンズアミド;
N−(2,8−ジメチルイミダゾ[1,2−a]ピラジン−6−イル)−4−[(3R,5S)−3,5−ジメチルピペラジン−1−イル]−2−フルオロベンズアミド;
N−(2,8−ジメチルイミダゾ[1,2−a]ピラジン−6−イル)−2−フルオロ−4−[(3S)−3−ピロリジン−1−イルピロリジン−1−イル]ベンズアミド;
N−(8−エチル−2−メチルイミダゾ[1,2−a]ピラジン−6−イル)−2−フルオロ−4−[(3R)−3−メチルピペラジン−1−イル]ベンズアミド;
4−[(8aR)−3,4,6,7,8,8a−ヘキサヒドロ−1H−ピロロ[1,2−a]ピラジン−2−イル]−N−(8−シクロプロピル−2−メチルイミダゾ[1,2−a]ピラジン−6−イル)−2−フルオロベンズアミド;
N−(8−シクロプロピル−2−メチルイミダゾ[1,2−a]ピラジン−6−イル)−2−フルオロ−4−[(3R)−3−メチルピペラジン−1−イル]ベンズアミド;
2−フルオロ−N−(2−メチルイミダゾ[1,2−a]ピラジン−6−イル)−4−[(3S)−3−ピロリジン−1−イルピロリジン−1−イル]ベンズアミド;
2−フルオロ−N−(2−メチルイミダゾ[1,2−a]ピラジン−6−イル)−4−[(3R)−3−メチルピペラジン−1−イル]ベンズアミド;
4−(4,7−ジアザスピロ[2.5]オクタン−7−イル)−2−フルオロ−N−(2−メチルイミダゾ[1,2−a]ピラジン−6−イル)ベンズアミド;
4−[(3S,5R)−3,5−ジメチルピペラジン−1−イル]−2−フルオロ−N−(2−メチルイミダゾ[1,2−a]ピラジン−6−イル)ベンズアミド;
2−クロロ−6−フルオロ−N−(2−メチルイミダゾ[1,2−a]ピラジン−6−イル)−4−ピペラジン−1−イルベンズアミド;
2,5−ジフルオロ−N−(2−メチルイミダゾ[1,2−a]ピラジン−6−イル)−4−(3−メチルピペラジン−1−イル)ベンズアミド;
2,3−ジフルオロ−N−(2−メチルイミダゾ[1,2−a]ピラジン−6−イル)−4−(3−メチルピペラジン−1−イル)ベンズアミド;
4−[(3R,5S)−3,5−ジメチルピペラジン−1−イル]−2−メトキシ−N−(2−メチルイミダゾ[1,2−a]ピラジン−6−イル)ベンズアミド;
4−[(3R)−3−エチルピペラジン−1−イル]−2−フルオロ−N−(2−メチルイミダゾ[1,2−a]ピラジン−6−イル)ベンズアミド;
2−フルオロ−N−(2−メチルイミダゾ[1,2−a]ピラジン−6−イル)−4−[(3R)−3−ピロリジン−1−イルピロリジン−1−イル]ベンズアミド;
4−(4,7−ジアザスピロ[2.5]オクタン−7−イル)−2−メトキシ−N−(2−メチルイミダゾ[1,2−a]ピラジン−6−イル)ベンズアミド;
4−(3,3−ジメチルピペラジン−1−イル)−2−フルオロ−N−(2−メチルイミダゾ[1,2−a]ピラジン−6−イル)ベンズアミド;
N−(8−シクロプロピル−2−メチルイミダゾ[1,2−a]ピラジン−6−イル)−4−[(3R)−3−エチルピペラジン−1−イル]−2−フルオロベンズアミド;
N−(8−シクロプロピル−2−メチルイミダゾ[1,2−a]ピラジン−6−イル)−4−(3,3−ジメチルピペラジン−1−イル)−2−フルオロベンズアミド;
2−メトキシ−N−(2−メチルイミダゾ[1,2−a]ピラジン−6−イル)−4−[(3R)−3−メチルピペラジン−1−イル]ベンズアミド;
2−メトキシ−N−(2−メチルイミダゾ[1,2−a]ピラジン−6−イル)−4−[(3R)−3−ピロリジン−1−イルピロリジン−1−イル]ベンズアミド;
4−[(3R)−3−エチルピペラジン−1−イル]−2−メトキシ−N−(2−メチルイミダゾ[1,2−a]ピラジン−6−イル)ベンズアミド;
4−(3,3−ジメチルピペラジン−1−イル)−2−メトキシ−N−(2−メチルイミダゾ[1,2−a]ピラジン−6−イル)ベンズアミド;
4−[(3S)−3−エチルピペラジン−1−イル]−2−フルオロ−N−(2−メチルイミダゾ[1,2−a]ピラジン−6−イル)ベンズアミド;
2−フルオロ−4−[(3R)−3−メチルピペラジン−1−イル]−N−[2−メチル−8−(トリフルオロメチル)イミダゾ[1,2−a]ピラジン−6−イル]ベンズアミド;
N−[8−(ジフルオロメチル)−2−メチルイミダゾ[1,2−a]ピラジン−6−イル]−2−フルオロ−4−[(3R)−3−メチルピペラジン−1−イル]ベンズアミド;
2−フルオロ−N−(2−メチルイミダゾ[1,2−a]ピラジン−6−イル)−4−(3−プロパン−2−イルピペラジン−1−イル)ベンズアミド;
6−[(3R)−3−エチルピペラジン−1−イル]−2−メトキシ−N−(2−メチルイミダゾ[1,2−a]ピラジン−6−イル)ピリジン−3−カルボキサミド;
2−メトキシ−N−(2−メチルイミダゾ[1,2−a]ピラジン−6−イル)−6−ピペラジン−1−イルピリジン−3−カルボキサミド;
N−(2,8−ジメチルイミダゾ[1,2−a]ピラジン−6−イル)−2−フルオロ−4−(4−ピロリジン−1−イルピペリジン−1−イル)ベンズアミド;
N−(2,8−ジメチルイミダゾ[1,2−a]ピラジン−6−イル)−2−エトキシ−4−[4−(3−メトキシアゼチジン−1−イル)ピペリジン−1−イル]ベンズアミド;
及びその薬学的に許容し得る塩からなる群より選択されるものである。
【0123】
具体的な本発明の式(I)の化合物は、
4−(4,7−ジアザスピロ[2.5]オクタン−7−イル)−2−フルオロ−N−(2−メチルイミダゾ[1,2−a]ピラジン−6−イル)ベンズアミド;
4−[(3S,5R)−3,5−ジメチルピペラジン−1−イル]−2−フルオロ−N−(2−メチルイミダゾ[1,2−a]ピラジン−6−イル)ベンズアミド;
4−[(3R)−3−エチルピペラジン−1−イル]−2−フルオロ−N−(2−メチルイミダゾ[1,2−a]ピラジン−6−イル)ベンズアミド;
2−フルオロ−N−(2−メチルイミダゾ[1,2−a]ピラジン−6−イル)−4−[(3R)−3−ピロリジン−1−イルピロリジン−1−イル]ベンズアミド;
4−[(3S)−3−エチルピペラジン−1−イル]−2−フルオロ−N−(2−メチルイミダゾ[1,2−a]ピラジン−6−イル)ベンズアミド;
2−フルオロ−4−[(3R)−3−メチルピペラジン−1−イル]−N−[2−メチル−8−(トリフルオロメチル)イミダゾ[1,2−a]ピラジン−6−イル]ベンズアミド;
2−フルオロ−N−(2−メチルイミダゾ[1,2−a]ピラジン−6−イル)−4−ピペラジン−1−イルベンズアミド;
4−[(8aS)−3,4,6,7,8,8a−ヘキサヒドロ−1H−ピロロ[1,2−a]ピラジン−2−イル]−2−エトキシ−N−(2−メチルイミダゾ[1,2−a]ピラジン−6−イル)ベンズアミド;
2−エトキシ−N−(2−メチルイミダゾ[1,2−a]ピラジン−6−イル)−4−[(3S)−3−メチルピペラジン−1−イル]ベンズアミド;
2−エトキシ−N−(2−メチルイミダゾ[1,2−a]ピラジン−6−イル)−4−[(3R)−3−メチルピペラジン−1−イル]ベンズアミド;
4−[(8aR)−3,4,6,7,8,8a−ヘキサヒドロ−1H−ピロロ[1,2−a]ピラジン−2−イル]−2−エトキシ−N−(2−メチルイミダゾ[1,2−a]ピラジン−6−イル)ベンズアミド;
4−[(8aR)−3,4,6,7,8,8a−ヘキサヒドロ−1H−ピロロ[1,2−a]ピラジン−2−イル]−2−フルオロ−N−(2−メチルイミダゾ[1,2−a]ピラジン−6−イル)ベンズアミド;
4−[(8aS)−3,4,6,7,8,8a−ヘキサヒドロ−1H−ピロロ[1,2−a]ピラジン−2−イル]−2−フルオロ−N−(2−メチルイミダゾ[1,2−a]ピラジン−6−イル)ベンズアミド;
4−(1,4−ジアゼパン−1−イル)−2−エトキシ−N−(2−メチルイミダゾ[1,2−a]ピラジン−6−イル)ベンズアミド;
4−[(3S,5R)−3,5−ジメチルピペラジン−1−イル]−2−エトキシ−N−(2−メチルイミダゾ[1,2−a]ピラジン−6−イル)ベンズアミド;
2−フルオロ−N−(2−メチルイミダゾ[1,2−a]ピラジン−6−イル)−4−[(3S)−3−ピロリジン−1−イルピロリジン−1−イル]ベンズアミド;
2−フルオロ−N−(2−メチルイミダゾ[1,2−a]ピラジン−6−イル)−4−[(3R)−3−メチルピペラジン−1−イル]ベンズアミド;
2−クロロ−6−フルオロ−N−(2−メチルイミダゾ[1,2−a]ピラジン−6−イル)−4−ピペラジン−1−イルベンズアミド;
2,5−ジフルオロ−N−(2−メチルイミダゾ[1,2−a]ピラジン−6−イル)−4−(3−メチルピペラジン−1−イル)ベンズアミド;
2,3−ジフルオロ−N−(2−メチルイミダゾ[1,2−a]ピラジン−6−イル)−4−(3−メチルピペラジン−1−イル)ベンズアミド;
4−[(3R,5S)−3,5−ジメチルピペラジン−1−イル]−2−メトキシ−N−(2−メチルイミダゾ[1,2−a]ピラジン−6−イル)ベンズアミド;
4−(4,7−ジアザスピロ[2.5]オクタン−7−イル)−2−メトキシ−N−(2−メチルイミダゾ[1,2−a]ピラジン−6−イル)ベンズアミド;
4−(3,3−ジメチルピペラジン−1−イル)−2−フルオロ−N−(2−メチルイミダゾ[1,2−a]ピラジン−6−イル)ベンズアミド;
2−メトキシ−N−(2−メチルイミダゾ[1,2−a]ピラジン−6−イル)−4−[(3R)−3−メチルピペラジン−1−イル]ベンズアミド;
2−メトキシ−N−(2−メチルイミダゾ[1,2−a]ピラジン−6−イル)−4−[(3R)−3−ピロリジン−1−イルピロリジン−1−イル]ベンズアミド;
4−[(3R)−3−エチルピペラジン−1−イル]−2−メトキシ−N−(2−メチルイミダゾ[1,2−a]ピラジン−6−イル)ベンズアミド;
4−(3,3−ジメチルピペラジン−1−イル)−2−メトキシ−N−(2−メチルイミダゾ[1,2−a]ピラジン−6−イル)ベンズアミド;
N−[8−(ジフルオロメチル)−2−メチルイミダゾ[1,2−a]ピラジン−6−イル]−2−フルオロ−4−[(3R)−3−メチルピペラジン−1−イル]ベンズアミド;
2−フルオロ−N−(2−メチルイミダゾ[1,2−a]ピラジン−6−イル)−4−(3−プロパン−2−イルピペラジン−1−イル)ベンズアミド;
6−[(3R)−3−エチルピペラジン−1−イル]−2−メトキシ−N−(2−メチルイミダゾ[1,2−a]ピラジン−6−イル)ピリジン−3−カルボキサミド;
2−メトキシ−N−(2−メチルイミダゾ[1,2−a]ピラジン−6−イル)−6−ピペラジン−1−イルピリジン−3−カルボキサミド;
及びその薬学的に許容し得る塩からなる群より選択されるものである。
【0124】
具体的な本発明の式(I)の化合物は、
4−(4,7−ジアザスピロ[2.5]オクタン−7−イル)−2−フルオロ−N−(2−メチルイミダゾ[1,2−a]ピラジン−6−イル)ベンズアミド;
4−[(3S,5R)−3,5−ジメチルピペラジン−1−イル]−2−フルオロ−N−(2−メチルイミダゾ[1,2−a]ピラジン−6−イル)ベンズアミド;
4−[(3R)−3−エチルピペラジン−1−イル]−2−フルオロ−N−(2−メチルイミダゾ[1,2−a]ピラジン−6−イル)ベンズアミド;
2−フルオロ−N−(2−メチルイミダゾ[1,2−a]ピラジン−6−イル)−4−[(3R)−3−ピロリジン−1−イルピロリジン−1−イル]ベンズアミド;
4−[(3S)−3−エチルピペラジン−1−イル]−2−フルオロ−N−(2−メチルイミダゾ[1,2−a]ピラジン−6−イル)ベンズアミド;
2−フルオロ−4−[(3R)−3−メチルピペラジン−1−イル]−N−[2−メチル−8−(トリフルオロメチル)イミダゾ[1,2−a]ピラジン−6−イル]ベンズアミド;
及びその薬学的に許容し得る塩からなる群より選択されるものである。
【0125】
式(VIII)の化合物は、式(I)の化合物の製造における中間体として適切である。
【0126】
本発明の他の1つの実施形態は、式(VIII):
【化12】

(式中、
、X、R、R、R及びRは、本明細書に記載されるとおりであり;
Yは、ハロゲン又はトリフルオロメタンスルホナートである)
の化合物、又はその塩に関する。
【0127】
本発明の特定の一実施形態は、Yがフルオロ、クロロ、ブロモ、ヨード又はトリフルオロメタンスルホナート、特にブロモである、式(VIII)の化合物に関する。
【0128】
具体的な本発明の式(VIII)の化合物は、
4−ブロモ−2−フルオロ−N−(2−メチルイミダゾ[1,2−a]ピラジン−6−イル)ベンズアミド;
4−ブロモ−N−(2−メチルイミダゾ[1,2−a]ピラジン−6−イル)ベンズアミド;及び
4−ブロモ−2−エトキシ−N−(2−メチルイミダゾ[1,2−a]ピラジン−6−イル)ベンズアミド
からなる群より選択されるものである。
【0129】
製造方法
先に定義された式(I)の化合物又はその薬学的に許容し得る塩は、当該分野において公知の標準的な方法に従って調製することができる。
【0130】
スキーム1に示すように、式(III)の化合物は、触媒(例えば、トリス(ジベンジリデン−アセトン)ジパラジウム(0)(Pd2(dba)3))及び配位子(例えば、2,2’−ビス(ジフェニルホスフィノ)−1,1’−ビナフチル)及び塩基(例えば、炭酸セシウム)及び溶媒(例えば、トルエン)の存在下における、式(II)の化合物と、式A−Hの2級アミンの間でのBuchwald-Hartwigアミノ化反応により得ることができる(式中、A、X、X、R及びRは、本明細書に記載されるとおりであり、R18は、C1−7アルキルである)。酸誘導体(IV)を形成する水性塩基(例えば、LiOH、NaOH等)の存在下でのエステル加水分解の後、1級アミドへの変換(例えば、CDI及び水性水酸化アンモニウムを用いる)が、式(V)の化合物を与える。最後に、触媒(例えば、トリス(ジベンジリデン−アセトン)ジパラジウム(0)(Pd2(dba)3))、配位子(例えば、(ジフェニルホスフィノ)−9,9−ジメチルキサンテン)、塩基(例えば、炭酸セシウム)及び溶媒(例えば、ジオキサン)の存在下での、高温(例えば、100℃)における式(VI)の化合物での式(V)の化合物のBuchwald-Hartwigアミド化反応が、最終的な式(I)の化合物(式中、R及びRは、本明細書に記載されるとおりである)を与える。
【0131】
式A−HのN−ヘテロシクロアルキルAが付加的な1級又は2級アミノ基を含む場合、そのような付加的な1級又は2級アミノ基を、適切なアミノ保護基(Boc又はCBZのような)を用いて保護し、式(VI)の化合物での式(V)の化合物のBuchwald-Hartwigアミド化反応の後で、最終生成物である式(I)の化合物を得るために、付加的な脱保護工程(例えば、ジオキサン中のHClを用いる)が必要である。
【化13】
【0132】
一実施形態において、本発明は、先に定義された式(I)の化合物又はその薬学的に許容し得る塩の製造方法であって、触媒(例えば、トリス(ジベンジリデン−アセトン)ジパラジウム(0)(Pd2(dba)3))、配位子(例えば、(ジフェニルホスフィノ)−9、9−ジメチルキサンテン)、塩基(例えば、炭酸セシウム)及び溶媒(例えば、ジオキサン)の存在下での、高温(例えば、100℃)における、式(V)の化合物の式(VI)の化合物との反応を含む製造方法に関する(式中、A、X、X、R、R、R及びRは、本明細書に記載されるとおりである)。
【化14】
【0133】
或いは、式(I)の化合物は、スキーム2に示すようにして、触媒(例えば、ヨウ化銅(I))、配位子(例えば、(1,10−フェナントロリン)、塩基(例えば、KPO)及び溶媒(例えば、ジオキサン)の存在下での、高温(例えば、120℃)における、式(VII)の化合物の、式(VI)の誘導体との式(VIII)の化合物を与えるカップリング反応を通じて調製することができる(式中、X、X、Y、R、R、R及びRは、本明細書に記載されるとおりである)。
【0134】
最後に、式(VIII)の化合物を、化合物M−Aと、以下:
a)溶媒(例えば、ジメチルスルホキシド(DMSO)、N−メチルピロリドン(NMP)、又はジメチルホルムアミド(DMF))中、80℃〜200℃の温度で加熱することによる芳香族求核置換反応(特に、Yがフルオロであるか、又はYがクロロであり、Xが窒素である場合);又は
b)溶媒(例えば、トルエン)中、触媒(例えば、トリス(ジベンジリデン−アセトン)ジパラジウム(0)(Pd2(dba)3))、配位子(例えば、2,2’−ビス(ジフェニルホスフィノ)−1,1’−ビナフチル)、塩基(例えば、炭酸セシウム)の存在下に、20℃〜100℃の温度で加熱することによるBuchwald-Hartwigアミノ化反応;
のいずれかで反応させて、式(I)の化合物を与える(式中、Aは、本明細書において定義されるとおりであり、Mは、水素、ナトリウム又はカリウム、特に水素であり、Mは、Aの窒素原子を通じてAと結合している)。
【化15】
【0135】
一実施形態において、本発明は、先に定義された式(I)の化合物又はその薬学的に許容し得る塩の製造方法であって、以下:
a)溶媒(特にジメチルスルホキシド(DMSO)、N−メチルピロリドン(NMP)、又はジメチルホルムアミド(DMF))中、80℃〜200℃の温度で加熱することによる芳香族求核置換反応(特に、Yがフルオロであるか、又はYがクロロであり、Xが窒素である場合);又は
b)溶媒(特にトルエン)中、触媒(特にトリス(ジベンジリデン−アセトン)ジパラジウム(0)(Pd2(dba)3))、配位子(特に2,2’−ビス(ジフェニルホスフィノ)−1,1’−ビナフチル)、塩基(特に炭酸セシウム)の存在下に、20℃〜100℃の温度で加熱することによるBuchwald-Hartwigアミノ化反応;
のいずれかでの、式(VIII)の化合物の化合物M−Aとの反応を含む製造方法に関する(式中、A、X、X、Y、R、R、R及びRは、本明細書において定義されるとおりであり、Mは、水素、ナトリウム又はカリウム、特に水素であり、Mは、Aの窒素原子を通じてAと結合している)。
【化16】
【0136】
特に、式(I)の化合物又はその薬学的に許容し得る塩は、本明細書中の実施例に記載された方法に従って調製することができる。
【0137】
医薬組成物
他の1つの実施形態は、本発明の化合物及び治療上不活性な担体、希釈剤又は薬学的に許容し得る賦形剤を含む医薬組成物又は医薬、また、そのような組成物及び医薬を調製するための本発明の化合物の使用方法を提供する。
【0138】
組成物は、良質の医療のための原則(good medical practice)と整合する様式で処方され、投薬され(dosed)、投与される(administered)。この文脈における考慮のための要素には、処置される具体的な疾患、処置される具体的な哺乳類、個々の患者の臨床状態、疾患の原因、物質の送達部位、投与の方法、投与の計画、及びその他の医師にとって公知の要素が含まれる。
【0139】
本発明の化合物は、経口、局所(バッカル及び舌下を含む)、直腸、経膣、経皮、非経口、皮下、腹腔内、肺内、皮内、髄腔内及び硬膜外及び経鼻、ならびに、局所処置のために必要であれば、病巣内投与を含む、任意の適切な手段により投与してよい。非経口注入には、筋肉内、静脈内、動脈内、腹腔内、又は皮下投与が含まれる。
【0140】
本発明の化合物は、任意の簡便な投与形態、例えば錠剤、散剤、カプセル剤、液剤、分散剤、懸濁剤、シロップ剤、スプレー剤、坐剤、ゲル剤、乳剤、パッチ剤等で投与してよい。そのような組成物は、薬剤調合における従来の成分、例えば、希釈剤、担体、pH調製剤、保存剤、可溶化剤、安定剤、湿潤剤、乳化剤、甘味料、着色剤、香味剤、浸透圧を変えるための塩、緩衝剤、マスキング剤、酸化防止剤、及び更なる活性物質を含んでいてよい。それらはまた、更に他の治療上有益な物質を含んでいてよい。
【0141】
典型的な処方物は、本発明の化合物と、担体又は賦形剤を混合することにより調製される。適切な担体及び賦形剤は、当業者によく知られており、例えば、Ansel H.C. et al., Ansel’s Pharmaceutical Dosage Forms and Drug Delivery Systems (2004) Lippincott, Williams & Wilkins, Philadelphia;Gennaro A.R. et al., Remington: The Science and Practice of Pharmacy (2000) Lippincott, Williams & Wilkins, Philadelphia;及びRowe R.C, Handbook of Pharmaceutical Excipients (2005) Pharmaceutical Press, Chicagoに詳細に記載されている。処方物 にはまた、薬物(即ち、本発明の化合物又はその医薬組成物)の的確な提供をもたらす、又は製剤製品(即ち、医薬)の製造を支援するための、1種以上の緩衝剤、安定化剤、界面活性剤、湿潤剤、滑沢剤、乳化剤、懸濁化剤、保存剤、酸化防止剤、不透明化剤(opaquing agents)、滑剤、加工助剤、着色剤、甘味料、芳香剤、香味剤、希釈剤及びその他公知の添加剤が含まれていてよい。
【0142】
本発明の化合物を投与し得る投与量は、広い範囲で変動し得るものであり、当然ながら、各々の具体的な症例において、個々の要求に適合されよう。一般に、経口投与の場合、一般式(I)の化合物を1人あたり1日約0.01〜1000mgという投与量が適切であるはずだが、必要であれば上記の上限を超えることもあり得る。
【0143】
適切な経口投与形態の一例は、無水乳糖約30〜90mg、クロスカルメロースナトリウム約5〜40mg、ポリビニルピロリドン(PVP)K30約5〜30mg、及びステアリン酸マグネシウム約1〜10mgを配合した、本発明の化合物約100mg〜500mgを含む錠剤である。まず、粉末にした成分を共に混合し、次いでPVPの溶液と混合する。得られた組成物を乾燥し、造粒し、ステアリン酸マグネシウムと混合し、従来の装置を用いて圧縮して、錠剤の形態とすることができる。
【0144】
エアロゾル処方物の一例は、例えば10〜100mgの本発明の化合物を、適切な緩衝溶液、例えばリン酸緩衝液に溶解し、必要であれば、等張化剤(tonicifier)、例えば塩化ナトリウムのような塩を添加することにより、調製することができる。溶液を、例えば0.2μmフィルターを用いて濾過し、不純物及び混入物を除去してもよい。
【0145】
使用
上記したように、式(I)の化合物及びその薬学的に許容し得る塩は、有用な薬理学的特性を有し、SMN1及び/又はSMN2遺伝子から転写されたmRNAへの、SMN1及び/又はSMN2のエキソン7の組み入れを促進して、SMNタンパク質の発現増加を、それを必要とするヒト被験体において起こさせることが見出された。
【0146】
本発明の化合物は、単独又は他の薬物との組み合わせのいずれかで、SMN1遺伝子における不活化変異又は欠失により引き起こされる、及び/又はSMN1遺伝子機能の損失又は欠陥に関連する疾患の処置又は予防に用いることができる。これらの疾患には脊髄性筋萎縮症(SMA)が含まれるが、これに限定されない。
【0147】
本発明の特定の一実施形態は、先に定義された式(I)の化合物又は先に定義されたその薬学的に許容し得る塩及び1種以上の薬学的に許容し得る賦形剤を含む医薬組成物に関する。
【0148】
本発明の特定の一実施形態は、SMN1遺伝子における不活化変異又は欠失により引き起こされる、及び/又はSMN1遺伝子機能の損失又は欠陥に関連する疾患の処置又は予防のための、特に、SMAの処置又は予防のための、先に定義された式(I)の化合物又はその薬学的に許容し得る塩及び1種以上の薬学的に許容し得る賦形剤を含む医薬組成物に関する。
【0149】
本発明の特定の一実施形態は、治療上有効な物質として使用するための、特に、SMN1遺伝子における不活化変異又は欠失により引き起こされる、及び/又はSMN1遺伝子機能の損失又は欠陥に関連する疾患の処置又は予防のための、特に、脊髄性筋萎縮症(SMA)の処置又は予防のための、治療上有効な物質として使用するための、先に定義された式(I)の化合物又はその薬学的に許容し得る塩に関する。
【0150】
本発明の特定の一実施形態は、SMN1遺伝子における不活化変異又は欠失により引き起こされる、及び/又はSMN1遺伝子機能の損失又は欠陥に関連する疾患の処置又は予防に使用するための、特に、脊髄性筋萎縮症(SMA)の処置又は予防に使用するための、先に定義された式(I)の化合物又はその薬学的に許容し得る塩に関する。
【0151】
本発明の特定の一実施形態は、SMN1遺伝子における不活化変異又は欠失により引き起こされる、及び/又はSMN1遺伝子機能の損失又は欠陥に関連する疾患の処置又は予防、特に、脊髄性筋萎縮症(SMA)の処置又は予防の方法であって、先に定義された式(I)の化合物又はその薬学的に許容し得る塩を被験体に投与することを含む方法に関する。
【0152】
本発明の特定の一実施形態は、SMN1遺伝子における不活化変異又は欠失により引き起こされる、及び/又はSMN1遺伝子機能の損失又は欠陥に関連する疾患の処置又は予防のための、特に、脊髄性筋萎縮症(SMA)の処置又は予防のための、先に定義された式(I)の化合物又はその薬学的に許容し得る塩の使用に関する。
【0153】
本発明の特定の一実施形態は、SMN1遺伝子における不活化変異又は欠失により引き起こされる、及び/又はSMN1遺伝子機能の損失又は欠陥に関連する疾患の処置又は予防用の、特に、脊髄性筋萎縮症(SMA)の処置又は予防用の、医薬の調製のための、先に定義された式(I)の化合物又はその薬学的に許容し得る塩の使用に関する。そのような医薬は、先に定義された式(I)の化合物又はその薬学的に許容し得る塩を含む。
【0154】
実施例
本発明は、以下の実施例を参照してより十分に理解されよう。ただし、それらが本発明の範囲を限定していると解すべきではない。
【0155】
使用される略語
ACN:アセトニトリル;Boc:tert−ブチルオキシカルボニル;B(pin):ビス(ピナコラト)ジボロン;CBZ:ベンジルオキシカルボニル;CDI:1,1’−カルボニルジイミダゾール;CHCl:ジクロロメタン;dba:ジベンジリデンアセトン;DIPEA:ジイソプロピルエチルアミン;DMA:ジメチルアセトアミド;DMF:ジメチルホルムアミド;DMSO:ジメチルスルホキシド;NMP:N−メチルピロリドン;Pd(dba):トリス(ジベンジリデン−アセトン)ジパラジウム(0);Pd(dppf)Cl:(1,1’−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン)パラジウム(II)ジクロリド;PPTS:ピリジニウムp−トルエンスルホナート;TEA:トリエチルアミン;RT:室温;Xantphos:ジフェニルホスフィノ)−9,9−ジメチルキサンテン
【0156】
中間体A.1
tert−ブチル (2R)−4−(3−フルオロ−4−メトキシカルボニルフェニル)−2−メチルピペラジン−1−カルボキシラートの調製
【化17】

トルエン(11ml)中のメチル 4−ブロモ−2−フルオロベンゾアート(1.10g、4.7mmol)、(R)−tert−ブチル 2−メチルピペラジン−1−カルボキシラート(1.04g、5.2mmol)、炭酸セシウム(2.31g、7.1mmol)の混合物に、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(0)(0.13g、0.1mmol)及び(rac)−2,2’−ビス(ジフェニルホスフィノ)−1,1’−ビナフタレン(0.27g、0.4mmol)をアルゴン下で加え、混合物を密閉したチューブ内で100℃に20時間加熱した。次に、反応物をEtOAcで希釈し、水、ブラインで洗浄し、乾燥させて(NaSO)、濃縮した。シリカゲル上のフラッシュカラムクロマトグラフィー(EtOAc:Hept 0:1〜4:6)による精製が、標記生成物を黄色の固体として与えた(0.99g、60%)。MS (m/e):352.0 (M+H+)
【0157】
中間体A.1と同様に、下記表の中間体A.2〜A.23を、対応するアミン及び臭化アリールから調製した。
【表1】



【0158】
中間体A.24
tert−ブチル 4−(2,5−ジフルオロ−4−メトキシカルボニルフェニル)−2−メチルピペラジン−1−カルボキシラートの調製
【化18】
【0159】
工程A:
DMA(5ml)中のメチル 2,4,5−トリフルオロベンゾアート(1.393g、7.33mmol、当量:1.00)及び2−メチルピペラジン(2.23g、21.8mmol、当量:2.98)の撹拌した溶液を、マイクロ波反応器中、100℃で15分間加熱した。溶媒を真空下で蒸発させ、残留物をCHClに溶解して、HOで洗浄した。有機相をNaSOで乾燥させ、真空下で濃縮した。
【0160】
工程B:
粗混合物をCHCl(10mL)に溶解し、トリエチルアミン(1.23mL、8.79mmol、当量:1.2)を加えた。溶液を0℃に冷却して、CHCl(3.75ml)中のジ−tert−ブチル ジカルボナート(2.41g、10.9mmol、当量:1.49)の溶液を滴下した。反応混合物を室温で18時間撹拌した。水を反応物に加え、層を分離した。有機相をNaSOで乾燥させて、カラムクロマトグラフィー(SiO、ヘプタン/EtOAc)による精製が、標記化合物を白色の固体として与えた(1.77g、65%)。MS (m/e):371.1 (M+H+)。
【0161】
中間体A.25
tert−ブチル 4−(4−エトキシカルボニル−2,3−ジフルオロフェニル)−2−メチルピペラジン−1−カルボキシラートの調製
【化19】
【0162】
工程A:
DMA(5ml)中のエチル 2,3,4−トリフルオロベンゾアート(1.51g、7.4mmol、当量:1.00)及び2−メチルピペラジン(2.27g、22.2mmol、当量:3)の溶液を、マイクロ波反応器中、100℃で15分間加熱した。溶媒を真空下で蒸発させた。EtOAc及びNaHCO水溶液を残留物に加えた。層を分離し、水層をCHClで2回逆抽出した。合わせた有機相をNaSOで乾燥させ、濾過し、真空下で濃縮して、黄色の油状物2.15gを与えた。
【0163】
工程B:
この粗油状物をCHCl(10ml)に溶解して、トリエチルアミン(1.24ml、8.88mmol、当量:1.2)を加えた。溶液を0℃に冷却して、CHCl(3.75ml)中のジ−tert−ブチル ジカルボナート(2.45g、11.1mmol、当量:1.5)の溶液を滴下した。反応混合物を室温で18時間撹拌した。水を反応物に加え、層を分離した。水層をCHClで2回逆抽出した。合わせた有機層をNaSOで乾燥させ、濾過して、真空下で濃縮した。生成物をフラッシュカラムクロマトグラフィー(SiO、ヘプタン/EtOAc)により精製して、これを2つの位置異性体に分離させ、第二番目の溶離化合物が所望の標記誘導体であり、明黄色の油状物として得た(1.54g、54%)。MS (m/e):385.3 (M+H+)。
【0164】
中間体B.1
tert−ブチル (2R)−4−(4−カルバモイル−3−フルオロフェニル)−2−メチルピペラジン−1−カルボキシラートの調製
【化20】

MeOH(6ml)中のtert−ブチル (2R)−4−(3−フルオロ−4−メトキシカルボニルフェニル)−2−メチルピペラジン−1−カルボキシラート(0.95g、2.7mmol、中間体A.1)の溶液に、水酸化ナトリウム(1.4ml、水中6M、6.1mmol)を加え、反応物を55℃に7時間加熱した。次に、反応物をIR120樹脂を加えて酸性化し、濾過し、濃縮して、粗(R)−4−(4−(tert−ブトキシカルボニル)−3−メチルピペラジン−1−イル)−2−フルオロ安息香酸(0.82g、90%)を白色の粉末として与えた。次に、粗酸をDMF(6ml)に再溶解し、1,1’−カルボニルジイミダゾール(0.51g、3.2mmol)を加え、混合物を1時間撹拌して、その後水酸化アンモニウム(1.3ml、25%水性、8.4mmol)を加えた。0.5時間後、反応物を水に注ぎ、EtOAcで抽出し、合わせた有機層をブラインで洗浄し、乾燥させ(NaSO)、濃縮して、標記化合物を白色の固体として与えた(0.74g、90%)。MS (m/e):282.1 (M-tBu+H+)。
【0165】
中間体B.1と同様に、下記表の中間体B.2〜B.17を、対応するエステルから調製した。
【表2】


【0166】
中間体B.18
4−[(8aR)−3,4,6,7,8,8a−ヘキサヒドロ−1H−ピロロ[1,2−a]ピラジン−2−イル]−2−フルオロベンズアミドの調製
【化21】

MeOH(2ml)中の(R)−メチル 2−フルオロ−4−(ヘキサヒドロピロロ[1,2−a]ピラジン−2(1H)−イル)ベンゾアート(0.12g、0.4mmol、中間体A.5)の溶液に、水酸化ナトリウム(0.1ml、水中6M、0.6mmol)を加え、反応物を55℃で4時間加熱した。次に、反応物を濃縮して、粗(ナトリウム(R)−2−フルオロ−4−(ヘキサヒドロピロロ[1,2−a]ピラジン−2(1H)−イル)ベンゾアートを与え、次にこれをDMF(2ml)に再溶解し、N,N,N’,N’−テトラメチル−O−(ベンゾトリアゾール−1−イル)ウロニウム テトラフルオロボラート(0.17g、0.5mmol)を加え、混合物を1時間撹拌して、その後水酸化アンモニウム(0.9ml、25%水性、22.5mmol)を加えた。0.5時間後、反応物を水に注ぎ、EtOAcで抽出し、合わせた有機層をブラインで洗浄し、乾燥させて(NaSO)、濃縮した。シリカゲル上のフラッシュカラムクロマトグラフィー(DCM:MeOH 95:5〜9:1)による精製が、標記生成物を白色の粉末として与えた(0.2g、定量)。MS (m/e):264.2 (M+H+)
【0167】
中間体B.18と同様に、下記表の中間体B.19〜B.24を、対応するエステルから調製した。
【表3】

【0168】
中間体B.25
tert−ブチル 4−(4−カルバモイル−3−クロロ−5−フルオロフェニル)ピペラジン−1−カルボキシラートの調製
【化22】
【0169】
工程A:
ジオキサン(15ml)中の4−ブロモ−2−クロロ−6−フルオロ安息香酸(1.00g、3.95mmol、当量:1.00)、tert−ブチル ピペラジン−1−カルボキシラート(882mg、4.73mmol、当量:1.2)、BINAP(491mg、0.789mmol、当量:0.2)及び炭酸セシウム(3.86g、11.8mmol、当量:3)、Pd(OAc)(177mg、0.789mmol、当量:0.2)の溶液を、100℃で加熱し、一晩撹拌した。反応混合物を真空下で濃縮した。残留物をEtOAcに溶解し、クエン酸水溶液で洗浄した。粗生成物をカラムクロマトグラフィー(SiO、CHCl/MeOH 95/5〜8/2)により精製して、4−(4−tert−ブトキシカルボニルピペラジン−1−イル)−2−クロロ−6−フルオロ−安息香酸0.308g(22%)を明褐色の固体として与えた。
【0170】
工程B:
4−(4−(tert−ブトキシカルボニル)ピペラジン−1−イル)−2−クロロ−6−フルオロ安息香酸(190mg、530mmol、当量:1.00)及びCDI(0.112g、0.688mmol、当量:1.3)を、DMF(2.5ml)中で合わせて、明黄色の溶液を与えた。反応混合物を1.5時間撹拌した。更なるCDI(85.9mg、0.530mmol、当量:1.00)を加え、反応混合物を更に1.5時間撹拌した。水酸化アンモニウム(1.03ml、26.5mmol、当量:50)を加え、反応混合物を1時間撹拌した。反応混合物をCHClで抽出し、NaSOで乾燥させて、真空下で濃縮した。カラムクロマトグラフィー(SiO、CHCl/MeOH 98/2)が、標記化合物(0.12g、62%)を明黄色の固体として与えた。MS (m/e):302.1 (M-tBu+H+)。
【0171】
中間体B.26
tert−ブチル (2R)−4−(5−カルバモイル−6−メトキシピリジン−2−イル)−2−エチルピペラジン−1−カルボキシラートの調製
【化23】
【0172】
工程A:
DMF(2ml)中の(R)−tert−ブチル 2−エチルピペラジン−1−カルボキシラート(0.208g、0.971mmol、当量:1.00)及びトリエチルアミン(0.135ml、0.971mmol、当量:1.00)の溶液に、メチル 2,6−ジクロロニコチナート(0.200g、0.971mmol、当量:1.00)を加え、反応混合物を30℃で4.5時間撹拌した。反応混合物をEtOAcで希釈し、水及びブラインで洗浄し、有機相をNaSOで乾燥させて、溶媒を蒸発させた。粗生成物をカラムクロマトグラフィー(SiO、EtOAc/ヘプタン、1/4)により精製して、tert−ブチル (2R)−4−(6−クロロ−5−メトキシカルボニル−2−ピリジル)−2−エチル−ピペラジン−1−カルボキシラート160mg(43%)を白色の固体として与えた。MS (m/e): 384.2 (M+H+)。
【0173】
工程B:
密閉したチューブ内で、tert−ブチル (2R)−4−(6−クロロ−5−メトキシカルボニル−2−ピリジル)−2−エチル−ピペラジン−1−カルボキシラート(161mg、0.419mmol、当量:1.00)をMeOH(2ml)に溶解し、ナトリウムメトキシド(0.388ml、2.1mmol、当量:5)を加え、混合物を90℃に加熱して、4.5時間撹拌した。反応混合物をクエン酸水溶液で酸性化し、CHClで抽出し、水で洗浄し、NaSOで乾燥させて、6−[(3R)−4−tert−ブトキシカルボニル−3−エチル−ピペラジン−1−イル]−2−メトキシ−ピリジン−3−カルボン酸を与えた。MS (m/e):366.2 (M+H+)。粗生成物を、更なる精製することなく、次の工程においてそのまま用いた。
【0174】
工程C:
DMF(3ml)中の6−[(3R)−4−tert−ブトキシカルボニル−3−エチル−ピペラジン−1−イル]−2−メトキシ−ピリジン−3−カルボン酸(135mg、0.369mmol、当量:1.00)及びCDI(71.9mg、0.443mmol、当量:1.2)の溶液を、室温で1時間撹拌した。水酸化アンモニウム(0.719ml、18.5mmol、当量:50)を加え、2時間以上撹拌した。反応混合物を水で希釈し、EtOAcで抽出し、NaSOで乾燥させて、溶媒を蒸発させた。粗生成物をカラムクロマトグラフィーにより精製して、標記生成物をtert−ブチル (2R)−4−(5−カルバモイル−6−メトキシピリジン−2−イル)−2−エチルピペラジン−1−カルボキシラートを白色の固体として与えた(20mg、15%)。MS (m/e):365.2(M+H+)。
【0175】
中間体B.27
tert−ブチル 4−(5−カルバモイル−6−メトキシピリジン−2−イル)ピペラジン−1−カルボキシラートの調製
【化24】

中間体B.26と同様に、tert−ブチル 4−(5−カルバモイル−6−メトキシピリジン−2−イル)ピペラジン−1−カルボキシラートを、メチル 2,6−ジクロロニコチナート及びtert−ブチル ピペラジン−1−カルボキシラートから調製した。MS (m/e):337.2 (M+H+)。
【0176】
中間体C.1
6−ブロモ−2,8−ジメチルイミダゾ[1,2−a]ピラジンの調製
【化25】

iPrOH(30ml)中の5−ブロモ−3−メチルピラジン−2−アミン(4.63g、24.6mmol)の懸濁液に、1−ブロモ−2,2−ジメトキシプロパン(3.66ml、27.1mmol)、ピリジニウムパラ−トルエンスルホン酸(0.62g、2.5mmol)を加え、混合物を密閉したチューブ内で65℃に36時間加熱した。反応物をDCMで希釈し、飽和炭酸水素ナトリウム溶液で洗浄し、乾燥させて(NaSO)、濃縮した。シリカゲル上のフラッシュカラムクロマトグラフィー(EtOAc:Hept 1:4〜1:1)による精製が、標記生成物を明黄色の結晶質固体として与えた(3.96g、71%)。MS (m/e):226.1 (M+H+, Br)
【0177】
中間体C.2
6−ブロモ−8−エチル−2−メチルイミダゾ[1,2−a]ピラジンの調製
【化26】

iPrOH(10ml)中の5−ブロモ−3−エチルピラジン−2−アミン(0.68、3.37mmol)の懸濁液に、1−ブロモ−2,2−ジメトキシプロパン(0.54ml、4.04mmol)、ピリジニウムパラ−トルエンスルホン酸(0.084g、0.337mmol)を加え、混合物を90℃に4時間加熱した。反応物をDCMで希釈し、飽和炭酸水素ナトリウム溶液で洗浄し、乾燥させて(NaSO)、濃縮した。シリカゲル上のフラッシュカラムクロマトグラフィー(EtOAc:Hept 1:4〜1:1)による精製が、標記生成物を明褐色の固体として与えた(0.51g、63%)。MS (m/e):240.1 (M+H+, Br)。
【0178】
中間体C.3
6−ブロモ−8−シクロプロピル−2−メチルイミダゾ[1,2−a]ピラジンの調製
【化27】
【0179】
工程A:
氷浴中で冷却したアセトニトリル(10ml)中の3−シクロプロピルピラジン−2−アミン(275mg、2.03mmol、当量:1.00)の溶液に、N−ブロモスクシンイミド(362mg、2.03mmol、当量:1.00)を少量ずつ加えた。20分後、溶媒を蒸発させて、カラムクロマトグラフィー(SiO、ヘプタン/EtOAc 2/1)による精製が、5−ブロモ−3−シクロプロピル−ピラジン−2−アミン(279mg、64%)を明黄色の固体として与えた。MS (m/e):214.1 (M+H+, Br)。
【0180】
工程B:
iPrOH(5ml)中の5−ブロモ−3−シクロプロピルピラジン−2−アミン(0.274、1.28mmol)の懸濁液に、1−ブロモ−2,2−ジメトキシプロパン(0.207ml、1.54mmol)、ピリジニウムパラ−トルエンスルホン酸(0.032g、0.128mmol)を加え、混合物を90℃に3時間加熱した。反応物をDCMで希釈し、飽和炭酸水素ナトリウム溶液で洗浄し、乾燥させて(NaSO)、濃縮した。シリカゲル上のフラッシュカラムクロマトグラフィー(EtOAc:Hept 1:4〜1:1)による精製が、標記生成物の6−ブロモ−8−シクロプロピル−2−メチルイミダゾ[1,2−a]ピラジンを明褐色の固体として与えた(0.158g、48%)。MS (m/e):252.1 (M+H+, Br)。
【0181】
中間体C.4
6−クロロ−8−トリフルオロメチル−2−メチルイミダゾ[1,2−a]ピラジンの調製
【化28】
【0182】
工程A:
水(12ml)中のナトリウム トリフルオロメタンスルフィナート(1.2g、7.7mmol)の溶液に、DCM(30ml)中の5−クロロピラジン−2−アミン(1.0g、7.7mmol)の溶液を加えた。tert−ブチルヒドロペルオキシド(1.0ml、ノナン中5.5M、5.5mmol)を2時間かけて滴下した。次に、ナトリウム トリフルオロメタンスルフィナート(1.2g、7.7mmol)の2番目の部分を加え、次いでtert−ブチルヒドロペルオキシド(1.0ml、ノナン中5.5M、5.5mmol)の2番目の部分を6時間かけて滴下した。反応物をDCMで繰り返し抽出し、合わせた有機抽出物をブラインで洗浄し、乾燥させ(NaSO)、濃縮した。シリカゲル上のフラッシュカラムクロマトグラフィー(DCM)による精製が、5−クロロ−3−(トリフルオロメチル)ピラジン−2−アミンを黄色の結晶として与えた(0.9g、57%)。MS (m/e):198.0. (M+H+, Cl)
【0183】
工程B:
iPrOH(6ml)中の5−クロロ−3−(トリフルオロメチル)ピラジン−2−アミン(0.77g、3.8mmol)の懸濁液に、1−ブロモ−2,2−ジメトキシプロパン(0.57ml、4.2mmol)、ピリジニウムパラ−トルエンスルホン酸(0.1g、0.4mmol)を加え、混合物を密閉したチューブ内で100℃に96時間加熱した。反応物をDCMで希釈し、飽和炭酸水素ナトリウム溶液で洗浄し、乾燥させて(NaSO)、濃縮した。シリカゲル上のフラッシュカラムクロマトグラフィー(EtOAc:Hept 3:7〜1:0)による精製が、標記生成物を褐色の粉末として与えた(0.15g、17%)。MS (m/e):236.1. (M+H+, Cl)
【0184】
中間体C.5
6−クロロ−8−ジフルオロメチル−2−メチルイミダゾ[1,2−a]ピラジンの調製
【化29】
【0185】
工程A:
DCM(60ml)中の5−クロロピラジン−2−アミン(1.0g、7.7mmol)の溶液に、水(24ml)中のビス(ジフルオロメチルスルフィニルオキシ)亜鉛(2.3g、7.7mmol)及びFe(NO3).9HO(0.3g、0.8mmol)の懸濁液を加え、混合物を撹拌した。tert−ブチルヒドロペルオキシド(2.2ml、ノナン中5.5M、12.1mmol)を、総反応時間8時間に対して、45分毎に0.2mlずつ加えた。反応物をDCMで希釈し、水で洗浄し、乾燥させて(NaSO)、濃縮した。シリカゲル上のフラッシュカラムクロマトグラフィー(DCM:MeOH 1:0〜4:1)による精製が、5−クロロ−3−(ジフルオロメチル)ピラジン−2−アミンを黄色の結晶として与えた(0.6g、40%)。MS (m/e):180.0. (M+H+, Cl)。
【0186】
工程B:
iPrOH(10ml)中の5−クロロ−3−(ジフルオロメチル)ピラジン−2−アミン(0.5g、2.8mmol)の懸濁液に、1−ブロモ−2,2−ジメトキシプロパン(1.1ml、8.4mmol)、ピリジニウムパラ−トルエンスルホン酸(0.1g、0.3mmol)を加え、混合物を密閉したチューブ内で65℃に18時間加熱した。反応物をDCMで希釈し、飽和炭酸水素ナトリウム溶液で洗浄し、乾燥させて(NaSO)、濃縮した。シリカゲル上のフラッシュカラムクロマトグラフィー(EtOAc:Hept 1:4〜1:0)による精製が、標記生成物を褐色の粉末(0.20g、40%)として与えた。MS (m/e):218.1. (M+H+, Cl)
【0187】
中間体D.1
4−ブロモ−2−フルオロ−N−(2−メチルイミダゾ[1,2−a]ピラジン−6−イル)ベンズアミド
【化30】

密閉したチューブ内で、ジオキサン(5mL)中の4−ブロモ−2−フルオロベンズアミド(150mg、0.688mmol)、6−ブロモ−2−メチルイミダゾ[1,2−a]ピラジン(146mg、0.688mmol)、ヨウ化銅(I)(13.1mg、0.068mmol、0.1当量)、KPO(307mg、1.44mmol、2.1当量)及び1,10−フェナントロリン(14.9mg、0.138mmol、0.2当量)を、120℃で一晩加熱した。反応混合物をセライト濾過し、真空下で濃縮して、カラムクロマトグラフィー(SiO、CHCl/MeOH 99/1〜98/2)での精製が、4−ブロモ−2−フルオロ−N−(2−メチルイミダゾ[1,2−a]ピラジン−6−イル)ベンズアミド24mg(10%)を与えた。MS (m/e): 349.1 (M+H+, Br)。
【0188】
中間体D.2
4−ブロモ−N−(2−メチルイミダゾ[1,2−a]ピラジン−6−イル)ベンズアミド
【化31】

密閉したチューブ内で、ジオキサン(5mL)中の4−ブロモベンズアミド(94.3mg、0.472mmol)、6−ブロモ−2−メチルイミダゾ[1,2−a]ピラジン(100mg、0.472mmol)、ヨウ化銅(I)(8.9mg、0.047mmol、0.1当量)、KPO(210mg、0.99mmol、2.1当量)及び1,10−フェナントロリン(17mg、0.094mmol、0.2当量)を、120℃で一晩加熱した。反応混合物をセライトで濾過し、真空下で濃縮し、カラムクロマトグラフィー(SiO、CHCl/MeOH 99/1〜98/2)での精製が、4−ブロモ−N−(2−メチルイミダゾ[1,2−a]ピラジン−6−イル)ベンズアミド42mg(18%)を白色の固体として与えた。MS (m/e): 331.1 (M+H+, Br)。
【0189】
中間体D.3
4−ブロモ−2−エトキシ−N−(2−メチルイミダゾ[1,2−a]ピラジン−6−イル)ベンズアミド
【化32】

密閉したチューブ内で、ジオキサン(5mL)中の4−ブロモ−2−エトキシベンズアミド(288mg、0.1.18mmol)、6−ブロモ−2−メチルイミダゾ[1,2−a]ピラジン(275mg、1.30mmol)、ヨウ化銅(I)(22.5mg、0.118mmol、0.1当量)、KPO(526mg、2.48mmol、2.1当量)及び1,10−フェナントロリン(42.5mg、0.236mmol、0.2当量)を、120℃で一晩加熱した。反応混合物をセライト濾過し、真空下で濃縮し、カラムクロマトグラフィー(SiO、CHCl/MeOH 99/1〜98/2)での精製が、標記生成物159mg(36%)を白色の固体として与えた。MS (m/e): 375.2 (M+H+, Br)。
【0190】
一般手順1
Buchwaldアミノ化反応
トルエン中の臭化アリール誘導体(1当量)、第二級アミン(2当量)、トリス(ジベンジリデン−アセトン)ジパラジウム(0)(Pd(dba))(0.08当量)、ナトリウムtert−ブトキシド(1.5当量)及びジフェニルホスフィノ)−9,9−ジメチルキサンテン(キサントホス)(0.12当量)の溶液を、80〜130℃で一晩加熱した。溶媒を蒸発させて、生成物をシリカゲル上のカラムクロマトグラフィーによりそのまま精製した。
【0191】
一般手順2
Boc脱保護
Boc保護アミンを、MeOH−ジオキサンの混合物中の溶液に入れた。ジオキサン中のHCl溶液(4M、10当量)を加え、撹拌を完了するまで続けた(0.2時間〜4時間)。所望する生成物を濾過により集め、真空下で乾燥させた。
【0192】
実施例1
2−フルオロ−N−(2−メチルイミダゾ[1,2−a]ピラジン−6−イル)−4−ピペラジン−1−イルベンズアミド塩酸塩の調製
【化33】

一般手順1(Buchwaldアミノ化)、次いで一般手順2(Boc脱保護)に従って、2−フルオロ−N−(2−メチルイミダゾ[1,2−a]ピラジン−6−イル)−4−ピペラジン−1−イルベンズアミド塩酸塩を、4−ブロモ−2−フルオロ−N−(2−メチルイミダゾ[1,2−a]ピラジン−6−イル)ベンズアミド(実施例D.1)及びtert−ブチル ピペラジン−1−カルボキシラートから調製した。MS (m/e):391.8 (M+H+)。
【0193】
実施例2
N−(2−メチルイミダゾ[1,2−a]ピラジン−6−イル)−4−ピペラジン−1−イルベンズアミド塩酸塩の調製
【化34】

一般手順1(Buchwaldアミノ化)、次いで一般手順2(Boc脱保護)に従って、N−(2−メチルイミダゾ[1,2−a]ピラジン−6−イル)−4−ピペラジン−1−イルベンズアミド塩酸塩を、4−ブロモ−N−(2−メチルイミダゾ[1,2−a]ピラジン−6−イル)ベンズアミド(実施例D.2)及びtert−ブチル ピペラジン−1−カルボキシラートから調製した。MS (m/e):337.1 (M+H+)。
【0194】
実施例3
4−[(8aS)−3,4,6,7,8,8a−ヘキサヒドロ−1H−ピロロ[1,2−a]ピラジン−2−イル]−2−エトキシ−N−(2−メチルイミダゾ[1,2−a]ピラジン−6−イル)ベンズアミドの調製
【化35】

一般手順1(Buchwaldアミノ化)に従って、4−[(8aS)−3,4,6,7,8,8a−ヘキサヒドロ−1H−ピロロ[1,2−a]ピラジン−2−イル]−2−エトキシ−N−(2−メチルイミダゾ[1,2−a]ピラジン−6−イル)ベンズアミドを、4−ブロモ−2−エトキシ−N−(2−メチルイミダゾ[1,2−a]ピラジン−6−イル)ベンズアミド(実施例D.3)及び(8aS)−1,2,3,4,6,7,8,8a−オクタヒドロピロロ[1,2−a]ピラジンから調製した。MS (m/e): 421.4(M+H+)。
【0195】
実施例4
2−エトキシ−N−(2−メチルイミダゾ[1,2−a]ピラジン−6−イル)−4−[(3S)−3−メチルピペラジン−1−イル]ベンズアミドの調製
【化36】

一般手順1(Buchwaldアミノ化)、次いで一般手順2(Boc脱保護)に従って、2−エトキシ−N−(2−メチルイミダゾ[1,2−a]ピラジン−6−イル)−4−[(3S)−3−メチルピペラジン−1−イル]ベンズアミドを、4−ブロモ−2−エトキシ−N−(2−メチルイミダゾ[1,2−a]ピラジン−6−イル)ベンズアミド(実施例D.3)及びtert−ブチル (2S)−2−メチルピペラジン−1−カルボキシラートから調製した。MS (m/e): 395.3(M+H+)。
【0196】
実施例5
2−エトキシ−N−(2−メチルイミダゾ[1,2−a]ピラジン−6−イル)−4−[(3R)−3−メチルピペラジン−1−イル]ベンズアミドの調製
【化37】

一般手順1(Buchwaldアミノ化)、次いで一般手順2(Boc脱保護)に従って、2−エトキシ−N−(2−メチルイミダゾ[1,2−a]ピラジン−6−イル)−4−[(3R)−3−メチルピペラジン−1−イル]ベンズアミドを、4−ブロモ−2−エトキシ−N−(2−メチルイミダゾ[1,2−a]ピラジン−6−イル)ベンズアミド(実施例D.3)及びtert−ブチル (2R)−2−メチルピペラジン−1−カルボキシラートから調製した。MS (m/e): 395.3(M+H+)。
【0197】
実施例6
4−[(8aR)−3,4,6,7,8,8a−ヘキサヒドロ−1H−ピロロ[1,2−a]ピラジン−2−イル]−2−エトキシ−N−(2−メチルイミダゾ[1,2−a]ピラジン−6−イル)ベンズアミドの調製
【化38】

一般手順1(Buchwaldアミノ化)に従って、4−[(8aR)−3,4,6,7,8,8a−ヘキサヒドロ−1H−ピロロ[1,2−a]ピラジン−2−イル]−2−エトキシ−N−(2−メチルイミダゾ[1,2−a]ピラジン−6−イル)ベンズアミドを、4−ブロモ−2−エトキシ−N−(2−メチルイミダゾ[1,2−a]ピラジン−6−イル)ベンズアミド(実施例D.3)及び(8aR)−1,2,3,4,6,7,8,8a−オクタヒドロピロロ[1,2−a]ピラジンから調製した。MS (m/e): 421.4(M+H+)。
【0198】
実施例7
4−[(8aR)−3,4,6,7,8,8a−ヘキサヒドロ−1H−ピロロ[1,2−a]ピラジン−2−イル]−2−フルオロ−N−(2−メチルイミダゾ[1,2−a]ピラジン−6−イル)ベンズアミドの調製
【化39】

一般手順1(Buchwaldアミノ化)に従って、4−[(8aR)−3,4,6,7,8,8a−ヘキサヒドロ−1H−ピロロ[1,2−a]ピラジン−2−イル]−2−フルオロ−N−(2−メチルイミダゾ[1,2−a]ピラジン−6−イル)ベンズアミドを、4−ブロモ−2−フルオロ−N−(2−メチルイミダゾ[1,2−a]ピラジン−6−イル)ベンズアミド(実施例D.1)及び(8aR)−1,2,3,4,6,7,8,8a−オクタヒドロピロロ[1,2−a]ピラジンから調製した。MS (m/e): 395.3(M+H+)。
【0199】
実施例8
4−[(8aS)−3,4,6,7,8,8a−ヘキサヒドロ−1H−ピロロ[1,2−a]ピラジン−2−イル]−2−フルオロ−N−(2−メチルイミダゾ[1,2−a]ピラジン−6−イル)ベンズアミドの調製
【化40】

一般手順1(Buchwaldアミノ化)に従って、4−[(8aS)−3,4,6,7,8,8a−ヘキサヒドロ−1H−ピロロ[1,2−a]ピラジン−2−イル]−2−フルオロ−N−(2−メチルイミダゾ[1,2−a]ピラジン−6−イル)ベンズアミドを、4−ブロモ−2−フルオロ−N−(2−メチルイミダゾ[1,2−a]ピラジン−6−イル)ベンズアミド(実施例D.1)及び(8aS)−1,2,3,4,6,7,8,8a−オクタヒドロピロロ[1,2−a]ピラジンから調製した。MS (m/e): 395.3(M+H+)。
【0200】
実施例9
4−(1,4−ジアゼパン−1−イル)−2−エトキシ−N−(2−メチルイミダゾ[1,2−a]ピラジン−6−イル)ベンズアミドの調製
【化41】

一般手順1(Buchwaldアミノ化)に従って、4−(1,4−ジアゼパン−1−イル)−2−エトキシ−N−(2−メチルイミダゾ[1,2−a]ピラジン−6−イル)ベンズアミドを、4−ブロモ−2−エトキシ−N−(2−メチルイミダゾ[1,2−a]ピラジン−6−イル)ベンズアミド(実施例D.3)及び1,4−ジアゼパンから調製した。MS (m/e): 395.3(M+H+)。
【0201】
実施例10
4−[(3S,5R)−3,5−ジメチルピペラジン−1−イル]−2−エトキシ−N−(2−メチルイミダゾ[1,2−a]ピラジン−6−イル)ベンズアミドの調製
【化42】

一般手順1(Buchwaldアミノ化)に従って、4−(1,4−ジアゼパン−1−イル)−2−エトキシ−N−(2−メチルイミダゾ[1,2−a]ピラジン−6−イル)ベンズアミドを、4−ブロモ−2−エトキシ−N−(2−メチルイミダゾ[1,2−a]ピラジン−6−イル)ベンズアミド(実施例D.3)及び(2R,6S)−2,6−ジメチルピペラジンから調製した。MS (m/e): 409.3(M+H+)。
【0202】
実施例11
N−(2,8−ジメチルイミダゾ[1,2−a]ピラジン−6−イル)−2−フルオロ−4−[(3R)−3−メチルピペラジン−1−イル]ベンズアミドの調製
【化43】
【0203】
工程A:
チューブ内で、ジオキサン(2ml)中の(R)−tert−ブチル 4−(4−カルバモイル−3−フルオロフェニル)−2−メチルピペラジン−1−カルボキシラート(0.10g、0.3mmol、中間体B.1)、6−ブロモ−2,8−ジメチルイミダゾ[1,2−a]ピラジン(0.08g、0.4mmol、中間体C.1)、(ジフェニルホスフィノ)−9,9−ジメチルキサンテン(0.03g、0.04mmol)、炭酸セシウム(0.14g、0.4mmol)の懸濁液を、アルゴンで泡立てた超音波処理により脱気した。次に、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(0)(0.01g、0.1mmol)を加え、チューブを密閉し、混合物を100℃に3時間加熱した。次に、反応物をDCMで希釈し、水で洗浄し、乾燥させて(NaSO)、濃縮した。シリカゲル上のフラッシュカラムクロマトグラフィー(EtOAc:Hept 1:1〜7:3)による精製が、(R)−tert−ブチル 4−(4−(2,8−ジメチルイミダゾ[1,2−a]ピラジン−6−イルカルバモイル)−3−フルオロフェニル)−2−メチルピペラジン−1−カルボキシラート(0.11g、77%)を明褐色の粉末として与えた。MS (m/e): 483.4(M+H+)。
【0204】
工程B:
(R)−tert−ブチル 4−(4−(2,8−ジメチルイミダゾ[1,2−a]ピラジン−6−イルカルバモイル)−3−フルオロフェニル)−2−メチルピペラジン−1−カルボキシラート(0.10g、0.2mmol)を、ジオキサン中の塩酸(4ml、4M)に懸濁し、20分間撹拌した。次に、反応物を蒸発乾固し、水に再溶解し、DCMで洗浄し、次に飽和炭酸水素ナトリウム溶液を加えて、水溶液を塩基性にし、DCM:MeOH(95:5)で再抽出し、濃縮して、標記生成物(0.08g、定量)を黄色の粉末として与えた。(m/e): 383.3 (M+H+)。
【0205】
実施例11と同様に、下記表の実施例12〜47を、対応するカルボキサミド及びヘテロアリールハライド、次いで必要に応じて脱保護から調製した。
【表4】

実施例48
N−(2,8−ジメチルイミダゾ[1,2−a]ピラジン−6−イル)−2−フルオロ−4−(4−ピロリジン−1−イルピペリジン−1−イル)ベンズアミドの調製
【化44】
【0206】
工程A:
2−フルオロ−4−(1,4−ジオキサ−8−アザスピロ[4.5]デカン−8−イル)ベンズアミド(A.22)を、実施例1と同様に、6−ブロモ−2,8−ジメチルイミダゾ[1,2−a]ピラジン(C.1)と反応させて、N−(2,8−ジメチルイミダゾ[1,2−a]ピラジン−6−イル)−2−フルオロ−4−(1,4−ジオキサ−8−アザスピロ[4.5]デカン−8−イル)ベンズアミドを与えた。MS (m/e): 426.3(M+H+)
【0207】
工程B:
N−(2,8−ジメチルイミダゾ[1,2−a]ピラジン−6−イル)−2−フルオロ−4−(1,4−ジオキサ−8−アザスピロ[4.5]デカン−8−イル)ベンズアミド(0.14g、0.3mmol)を、ジオキサン(2.5ml)に溶解して、6M HCl水溶液(2.3ml、13.8mmol)を加えた。混合物を2時間撹拌し、その後、飽和水性炭酸水素ナトリウムを加え中和して、EtOAcで抽出した。有機物をブラインで洗浄し、乾燥させ(NaSO)、濃縮して、N−(2,8−ジメチルイミダゾ[1,2−a]ピラジン−6−イル)−2−フルオロ−4−(4−オキソピペリジン−1−イル)ベンズアミド(0.13g、定量)を黄色の粉末として与えた。
【0208】
工程C:
DCM(2ml)中のN−(2,8−ジメチルイミダゾ[1,2−a]ピラジン−6−イル)−2−フルオロ−4−(4−オキソピペリジン−1−イル)ベンズアミド(0.12g、0.3mmol)の溶液に、ピロリジン(0.03ml、0.4mmol)、次いでトリアセトキシ水素化ホウ素ナトリウム(0.1g、0.5mmol)を加え、反応物を0.5時間撹拌した。次に、反応物をEtOAcで希釈し、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液、ブラインで洗浄し、乾燥させて(NaSO)、濃縮した。シリカゲル上のフラッシュカラムクロマトグラフィー(DCM:MeOH 9:1〜7:3+ NH4OH)による精製が、N−(2,8−ジメチルイミダゾ[1,2−a]ピラジン−6−イル)−2−フルオロ−4−(4−ピロリジン−1−イルピペリジン−1−イル)ベンズアミド(0.11g、82%)を白色の粉末として与えた。MS (m/e): 437.4(M+H+)
【0209】
実施例49
N−(2,8−ジメチルイミダゾ[1,2−a]ピラジン−6−イル)−2−エトキシ−4−[4−(3−メトキシアゼチジン−1−イル)ピペリジン−1−イル]ベンズアミド
【化45】

標記化合物を、N−(2,8−ジメチルイミダゾ[1,2−a]ピラジン−6−イル)−2−フルオロ−4−(4−オキソピペリジン−1−イル)ベンズアミド(実施例48、工程B)を3−メトキシアゼチジン塩酸塩と反応させて、実施例48(工程C)と同様に調製した。MS (m/e): 479.4(M+H+)
【0210】
生物学的アッセイ
本記載をより詳細に説明し、またその理解を支援すべく、以下の非限定的な生物学的実施例を提供するが、これは本記載の範囲をより十分に示すためのものであって、その範囲を具体的に限定していると解すべきものではない。現在知り得る、又は後で開発され得る(これは当業者の確認の範囲内であろう)ような本記載の変形は、本記載の範囲内であり、また本明細書において後でクレームされていると見なされる。これらの例は、本明細書に記載のある化合物のin vitro及び/又はin vivoの試験を示し、また、SMN2遺伝子から転写されたmRNAへのSMN2のエキソン7の組み入れを促進することによりSMAを処置する上での、その化合物の有用性を示している。式(I)の化合物は、SMN2遺伝子から転写されたmRNAへのSMN2のエキソン7の組み入れを促進し、またSMN2遺伝子から産生されるSMNタンパク質のレベルを増加させ、よって、SMAの処置を、それを必要とするヒト被験体において行うのに用いることができる。これらの例は更に、本明細書に記載のある化合物のin vitro及び/又はin vivoの試験を示し、また、SMN1遺伝子から転写されたmRNAへのSMNIのエキソン7の組み入れを促進する上での、その化合物の有用性を示している。従って、式(I)の化合物は、SMN1遺伝子から転写されたmRNAへのSMN1のエキソン7の組み入れをも促進し、またSMN1遺伝子から産生されるSMNタンパク質のレベルをも増加させる。
【0211】
アッセイ1
培養細胞におけるSMN2ミニ遺伝子プレ−mRNAスプライシングについてのRT−qPCRアッセイ
逆転写定量的PCR(RT−qPCR)に基づくアッセイを用いて、SMN2エキソン7を含む全長SMN2ミニ遺伝子(本明細書においては「FL SMN2ミニ」の用語で呼ぶ)mRNAのレベルを、前記ミニ遺伝子で安定的にトランスフェクションされ、試験化合物で処理されたHEK293H細胞株において定量する。用いた材料とそれぞれの供給元を下記表1に列挙する。
【表5】
【0212】
国際公開公報第WO2009/151546A1号第145頁、段落[00400]〜第147頁段落[00412](その中の図1及び図3を含む)に記載されているようにして、SMN2−Aミニ遺伝子構築物を調製した。
【0213】
SMN2−Aミニ遺伝子構築物で安定的にトランスフェクションされたHEK293H細胞(10,000細胞/ウェル)を、96穴平底プレート中の細胞培養培地(DMEM+10%FBS、200μg/mLハイグロマイシン含有)200μLにまき、細胞の適切な分散と細胞の均一な単層の形成を確実にするため、直ちにプレートを旋回させる。6時間かけて細胞を付着させる。7点の濃度曲線が生成するよう、試験化合物を100%DMSO中3.16倍で段階希釈した。試験化合物の溶液(1μL、200x DMSO中)を、細胞を含むウェルそれぞれに添加し、プレートを細胞培養インキュベーター(37℃、5%CO、相対湿度100%)内で24時間インキュベーションする。各々の試験化合物濃度について、2つ組で調製する。次いで、Cells-To-Ct lysis buffer中で細胞を溶解し、溶解物を−80℃で保存する。
【0214】
表2で参照するプライマー及びプローブを用いて、全長SMN2−Aミニ遺伝子及びGAPDH mRNAを定量する。プライマーSMN Forward A(SEQ ID NO.1)は、エキソン7内のヌクレオチド配列(ヌクレオチド22〜ヌクレオチド40)とハイブリダイズし、プライマーSMN Reverse A(SEQ ID NO.2)は、ホタルルシフェラーゼのコーディング配列内のヌクレオチド配列とハイブリダイズし、SMNプローブA(SEQ ID NO.3)は、エキソン7内(ヌクレオチド50〜ヌクレオチド54)及びエキソン8(ヌクレオチド1〜ヌクレオチド21)内のヌクレオチド配列とハイブリダイズする。これら3つのオリゴヌクレオチドの組み合わせは、SMN1又はSMN2ミニ遺伝子のみを検出し(RT−qPCR)、内因性SMN1又はSMN2遺伝子を検出しないであろう。
【表6】
【0215】
SMN forward及びreverseプライマーは、最終濃度0.4μMで用いる。SMNプローブは、最終濃度0.15μMで用いる。GAPDHプライマーは、最終濃度0.2μM、プローブは、0.15μMで用いる。
【0216】
2x RT−PCR buffer 7.5μL、25x RT−PCR enzyme mix 0.4μL、20x GAPDHプライマー−プローブ mix 0.75μL、水 4.0075μL、10倍希釈細胞溶解物 2μL、100μM SMN forwardプライマー 0.06μL、100μM SMN reverseプライマー 0.06μL、及び100μM SMNプローブ 0.225μLを合わせて、SMN2−ミニ遺伝子GAPDH mix(総体積15μL)を調製する。
【0217】
PCRを以下の温度で、示された時間行う:ステップ1:48℃(15分);ステップ2:95℃(10分);ステップ3:95℃(15秒);ステップ4:60℃(1分);その後、ステップ3と4を合計40サイクル繰り返す。
【0218】
各反応混合物は、SMN2−Aミニ遺伝子とGAPDHプライマー/プローブセットの両者を含み(多重設計)、2種の転写物のレベルの同時測定が可能である。
【0219】
FL SMN2ミニmRNAの存在量の、ビヒクル対照で処理した細胞におけるそれに対しての増加を、改変ΔΔCt法(Livak and Schmittgen, Methods, 2001, 25:402-8に記載)を用いてリアルタイムPCRデータから求める。FL SMN2ミニ及びGAPDHのそれぞれについて、増幅効率Eを、増幅曲線の傾きから計算する。次いで、FL SMN2ミニ及びGAPDH mRNAの存在量を、(1+E)−Ct(式中、Ctは、各アンプリコンについての閾値である)として計算する。FL SMN2ミニmRNAの存在量を、GAPDH mRNA存在量に対して標準化する。次いで、試験化合物で処理した試料からのFL SMN2ミニmRNA存在量(標準化したもの)を、ビヒクルで処理した細胞からのFL SMN2ミニmRNA存在量(標準化したもの)で除算して、ビヒクル対照に対してのFL SMN2ミニmRNAのレベルを求める。
【0220】
表3は、本発明の特定の化合物についての、上記の手順に従って生成させた7点の濃度データから得られた、全長SMN2ミニ遺伝子mRNAの産生についてのEC1.5x濃度を提供する。
【0221】
本発明の化合物の特別なものは、全長SMN2ミニ遺伝子mRNAの産生についてのEC1.5x濃度≦5μMを示す。
【0222】
本発明の化合物のより特別なものは、全長SMN2ミニ遺伝子mRNAの産生についてのEC1.5x濃度≦1μMを示す。
【0223】
本発明の化合物の最も特別なものは、全長SMN2ミニ遺伝子mRNAの産生についてのEC1.5x濃度≦0.1μMを示す。
【表7】
【0224】
アッセイ2
培養細胞におけるSMNタンパク質アッセイ
SMN HTRF(均一時間分解蛍光)アッセイを用いて、試験化合物で処理したSMA患者の繊維芽細胞におけるSMNタンパク質のレベルを定量する。用いた材料とそれぞれの供給元を下記表4に列挙する。
【表8】
【0225】
細胞を解凍し、DMEM−10%FBS中で72時間培養する。細胞をトリプシン処理し、計数し、濃度25,000細胞/mLとなるようにDMEM−10%FBSに再懸濁する。細胞懸濁液をウェルあたり5,000細胞で96穴マイクロタイタープレートに入れ(plated)、3〜5時間インキュベーションする。7点の濃度曲線が生成するよう、試験化合物を100%DMSO中3.16倍で段階希釈した。試験化合物溶液1μLを、細胞を含むウェルに移し、細胞を細胞培養インキュベーター(37℃、5%CO、相対湿度100%)内で48時間インキュベーションする。各々の試験化合物濃度について、3つ組の試料を作る。48時間後、ウェルから上清を除去し、プロテアーゼ阻害剤を含むRIPA lysis buffer 25μLをウェルに添加し、振とうしつつ室温で1時間インキュベーションする。希釈液25μLを添加し、次いで得られた溶解物35μLを384穴プレート(各ウェルが、抗体溶液 5μL(SMN reconstitution buffer中、anti-SMN d2 及び anti-SMN cryptate の1:100希釈)を含む)に移す。プレートを1分間遠心して溶液をウェルの底に追いやり、次いで室温で1晩インキュベーションする。プレートの各ウェルについて、EnVision multilabel plate reader(Perkin-Elmer)で665nm及び620nmでの蛍光を測定する。
【0226】
試料、ブランク及びビヒクル対照ウェルのそれぞれについて、665nmにおけるシグナルを、620nmにおけるシグナルで除算することにより、標準化蛍光シグナルを計算する。シグナルの標準化は、溶解物のマトリックス効果による、可能性のある蛍光消光を考慮したものである(accounts for)。各試料ウェルについての標準化した蛍光から、ブランク対照ウェルについての標準化した平均蛍光を減算し、次いでこの差をブランク対照ウェルについての標準化した平均蛍光で除算し、得られた数値に100を乗じることにより、各試料ウェルについてのΔF値(百分率の値でのSMNタンパク質存在量の測定値)を計算する。各試料ウェルについてのΔF値は、試験化合物で処理した試料からのSMNタンパク質存在量を表す。各試料ウェルについてのΔF値をビヒクル対照ウェルについてのΔF値で除算して、ビヒクル対照に対しての、SMNタンパク質存在量の増加の倍率(fold increase)を計算する。表5は、本発明の特定の化合物についての、上記の手順に従って生成させた7点の濃度データから得られた、SMNタンパク質発現についてのEC1.5x濃度を提供する。
【0227】
本発明の化合物の特別なものは、SMNタンパク質発現についてのEC1.5x濃度≦10μMを示す。
【0228】
本発明の化合物のより特別なものは、SMNタンパク質発現についてのEC1.5x濃度≦1000nMを示す。
【0229】
本発明の化合物の最も特別なものは、SMNタンパク質発現についてのEC1.5x濃度≦500nMを示す。
【0230】
表6は、本発明の特定の化合物についての、上記の手順に従って生成させた7点の濃度データから得られた、SMNタンパク質の最大の増加の倍率を提供する。
【0231】
本発明の化合物の特別なものは、最大の増加の倍率>1.5を示す。
【0232】
本発明の化合物のより特別なものは、最大の増加の倍率>1.7を示す。
【0233】
本発明の化合物の最も特別なものは、最大の増加の倍率>1.8を示す。
【表9】

【表10】