特許第6675345号(P6675345)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6675345
(24)【登録日】2020年3月12日
(45)【発行日】2020年4月1日
(54)【発明の名称】液体噴射装置及び耐候性試験装置
(51)【国際特許分類】
   G01N 17/00 20060101AFI20200323BHJP
【FI】
   G01N17/00
【請求項の数】11
【全頁数】18
(21)【出願番号】特願2017-45345(P2017-45345)
(22)【出願日】2017年3月9日
(65)【公開番号】特開2018-151166(P2018-151166A)
(43)【公開日】2018年9月27日
【審査請求日】2018年12月17日
(73)【特許権者】
【識別番号】000108797
【氏名又は名称】エスペック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100067828
【弁理士】
【氏名又は名称】小谷 悦司
(74)【代理人】
【識別番号】100115381
【弁理士】
【氏名又は名称】小谷 昌崇
(74)【代理人】
【識別番号】100137143
【弁理士】
【氏名又は名称】玉串 幸久
(72)【発明者】
【氏名】田中 秀樹
【審査官】 川瀬 正巳
(56)【参考文献】
【文献】 特開2000−274747(JP,A)
【文献】 特開2015−141112(JP,A)
【文献】 特開昭59−066672(JP,A)
【文献】 特開平08−150354(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 17/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
温調された液体を噴射する液体噴射装置であって、
温度調節部と、
前記温度調節部によって温調された液体を循環させる循環回路と、
前記循環回路から分岐し、前記循環回路から前記液体が導入される分岐経路と、
前記分岐経路に導入された前記液体を噴射する噴射部と、
前記噴射部からの前記液体の噴射及びその停止を切り替える開閉弁と、を備え、
前記循環回路は、前記液体が流通し、前記分岐経路の少なくとも一部を覆うように設けられたジャケット部を有する、液体噴射装置。
【請求項2】
前記液体の温度を検知する温度検知部をさらに備え、
前記温度調節部は、前記温度検知部による検知結果に基づいて前記液体の温度を調節するように構成されていることを特徴とする、請求項1に記載の液体噴射装置。
【請求項3】
温調された液体を噴射する液体噴射装置であって、
温度調節部と、
前記温度調節部によって温調された液体を循環させる循環回路と、
前記循環回路から分岐した分岐経路と、
前記分岐経路に導入された前記液体を噴射する噴射部と、
前記噴射部からの前記液体の噴射及びその停止を切り替える開閉弁と、を備え、
前記循環回路は、前記液体が流通し、前記分岐経路の少なくとも一部を覆うように設けられたジャケット部を有し、
前記液体の温度を検知する温度検知部をさらに備え、
前記温度調節部は、前記温度検知部による検知結果に基づいて前記液体の温度を調節するように構成されており、
前記ジャケット部は、前記分岐経路が延びる方向に沿って延在する形状を有し、
前記温度検知部は、前記ジャケット部内における延在方向の中央よりも前記噴射部側の領域を流通する前記液体の温度を検知可能なように配置されていることを特徴とする、液体噴射装置。
【請求項4】
温調された液体を噴射する液体噴射装置であって、
温度調節部と、
前記温度調節部によって温調された液体を循環させる循環回路と、
前記循環回路から分岐した分岐経路と、
前記分岐経路に導入された前記液体を噴射する噴射部と、
前記噴射部からの前記液体の噴射及びその停止を切り替える開閉弁と、を備え、
前記循環回路は、前記液体が流通し、前記分岐経路の少なくとも一部を覆うように設けられたジャケット部を有し、
前記ジャケット部は、前記分岐経路が延びる方向に沿って延在する形状を有し、
前記ジャケット部は、
前記温度調節部によって温調された前記液体を流入させる流入口と、
前記ジャケット部の外に前記液体を流出させる流出口と、を有し、
前記流入口は、前記ジャケット部における前記延在方向の中央よりも前記噴射部側又はその逆側に位置し、
前記流出口は、前記ジャケット部における前記延在方向の中央よりも前記流入口が位置する側と反対側に位置することを特徴とする、液体噴射装置。
【請求項5】
前記流入口から前記ジャケット部内に流入した前記液体が、前記流出口に向かい前記延在方向に沿って螺旋状に流通するように構成されていることを特徴とする、請求項4に記載の液体噴射装置。
【請求項6】
前記分岐経路は、配管により構成され、
前記噴射部は、前記配管に対して着脱可能な噴射ノズルにより構成されていることを特徴とする、請求項1〜5の何れか1項に記載の液体噴射装置。
【請求項7】
前記噴射部は、前記ジャケット部の外側に位置するように配置されていることを特徴とする、請求項1〜6の何れか1項に記載の液体噴射装置。
【請求項8】
前記噴射部は、前記ジャケット部により覆われるように配置されていることを特徴とする、請求項1〜7の何れか1項に記載の液体噴射装置。
【請求項9】
前記ジャケット部を覆う断熱部材をさらに備えることを特徴とする、請求項1〜8の何れか1項に記載の液体噴射装置。
【請求項10】
温調された液体を噴射する液体噴射装置であって、
温度調節部と、
前記温度調節部によって温調された液体を循環させる循環回路と、
前記循環回路から分岐した分岐経路と、
前記分岐経路に導入された前記液体を噴射する噴射部と、
前記噴射部からの前記液体の噴射及びその停止を切り替える開閉弁と、を備え、
前記循環回路は、前記液体が流通し、前記分岐経路の少なくとも一部を覆うように設けられたジャケット部を有し、
前記分岐経路は、
前記循環回路からの分岐部分から前記ジャケット部に至るまでの第1の経路部分と、
前記液体の流れ方向において前記第1の経路部分の下流側に位置し、前記ジャケット部により覆われる第2の経路部分と、を有し、
前記ジャケット部は、前記第1の経路部分における熱容量の10倍以上の熱容量を有することを特徴とする、液体噴射装置。
【請求項11】
試験体を収容する試験槽と、
前記試験体に温調された液体を噴射する請求項1〜10の何れか1項に記載の液体噴射装置と、を備えることを特徴とする、耐候性試験装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液体噴射装置及びこれを備えた耐候性試験装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、車載機器の水はね試験(スプラッシュウォーター試験)などにおいて、試験体に水などの液体を噴射するために用いられる液体噴射装置が知られている。このような液体噴射装置の例が下記特許文献1に開示されている。この公報に開示される液体噴射装置は、泥水を貯留するタンクと、試験体である車両が収容された試験室内に向けて泥水を噴射するノズルと、タンクからノズルに泥水を供給するパイプと、を備えている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開昭57−191534号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献1に開示される液体噴射装置は、タンクに貯留された液体(泥水)がパイプを介してノズルに供給される構成となっている。この装置では、タンクにおいて液体の温度を調節し、温調された液体をノズルから噴射しようとすると、液体がパイプ内を流れる際にパイプ温度などの影響によって液体の温度変動が起こる可能性がある。したがって、ノズルから試験室内へ噴射される液体の温度を安定させるのが困難となる場合がある。
【0005】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、温度が安定した液体を噴射することが可能な液体噴射装置及びこれを備えた耐候性試験装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に従った液体噴射装置は、温調された液体を噴射する装置である。上記液体噴射装置は、温度調節部と、前記温度調節部によって温調された液体を循環させる循環回路と、前記循環回路から分岐し、前記循環回路から前記液体が導入される分岐経路と、前記分岐経路に導入された前記液体を噴射する噴射部と、前記噴射部からの前記液体の噴射及びその停止を切り替える開閉弁と、を備えている。前記循環回路は、前記液体が流通し、前記分岐経路の少なくとも一部を覆うように設けられたジャケット部を有している。
【0007】
上記液体噴射装置では、温度調節部によって温調されると共に循環回路において循環する液体を分岐経路に分流させる。ここで、分岐経路の少なくとも一部がジャケット部により覆われているため、分岐経路におけるジャケット部により覆われる経路部分が、ジャケット部内を流通する温調された液体にさらされる。このため、開閉弁を閉じて液体の噴射を停止している間に当該経路部分の温度が変動したとしても、ジャケット部内の液体によって当該経路部分が加熱又は冷却される。このため、噴射部から噴射される液体の温度を安定させることができる。すなわち、従来の液体噴射装置では、タンクからパイプに流れる液体の温度が当該パイプの温度の影響によって変動し得るのに対し、本発明の液体噴射装置によれば、液体の噴射を停止している間にも、分岐経路の温度を実際に噴射される温調液体により予め調節することができる。したがって、本発明の液体噴射装置によれば、温度が安定した液体を噴射することができる。
【0008】
上記液体噴射装置は、前記液体の温度を検知する温度検知部をさらに備えていてもよい。前記温度調節部は、前記温度検知部による検知結果に基づいて前記液体の温度を調節するように構成されていてもよい。
【0009】
この構成によれば、温度検知部による検知結果を温度調節部の動作にフィードバックすることにより、循環回路において循環する液体の温度を精密に調節することができる。
【0010】
本発明の他の局面に従った液体噴射装置は、温調された液体を噴射する装置である。上記液体噴射装置は、温度調節部と、前記温度調節部によって温調された液体を循環させる循環回路と、前記循環回路から分岐した分岐経路と、前記分岐経路に導入された前記液体を噴射する噴射部と、前記噴射部からの前記液体の噴射及びその停止を切り替える開閉弁と、を備えている。前記循環回路は、前記液体が流通し、前記分岐経路の少なくとも一部を覆うように設けられたジャケット部を有している。上記液体噴射装置は、前記液体の温度を検知する温度検知部をさらに備えている。前記温度調節部は、前記温度検知部による検知結果に基づいて前記液体の温度を調節するように構成されている。前記ジャケット部は、前記分岐経路が延びる方向に沿って延在する形状を有してい。前記温度検知部は、前記ジャケット部内における延在方向の中央よりも前記噴射部側の領域を流通する前記液体の温度を検知可能なように配置されてい
【0011】
この構成によれば、ジャケット部内における噴射部に近い領域を流通する液体の温度を所望の温度に調節することができる。これにより、精密に温調された液体を噴射することができる。
【0012】
本発明のさらに他の局面に従った液体噴射装置は、温調された液体を噴射する装置である。上記液体噴射装置は、温度調節部と、前記温度調節部によって温調された液体を循環させる循環回路と、前記循環回路から分岐した分岐経路と、前記分岐経路に導入された前記液体を噴射する噴射部と、前記噴射部からの前記液体の噴射及びその停止を切り替える開閉弁と、を備えている。前記循環回路は、前記液体が流通し、前記分岐経路の少なくとも一部を覆うように設けられたジャケット部を有している。前記ジャケット部は、前記分岐経路が延びる方向に沿って延在する形状を有してい。前記ジャケット部は、前記温度調節部によって温調された前記液体を流入させる流入口と、前記ジャケット部の外に前記液体を流出させる流出口と、を有してい。前記流入口は、前記ジャケット部における前記延在方向の中央よりも前記噴射部側又はその逆側に位置してい。前記流出口は、前記ジャケット部における前記延在方向の中央よりも前記流入口が位置する側と反対側に位置してい
【0013】
この構成によれば、ジャケット部内の延在方向における広い範囲に亘って温調液体を流通させることができるため、分岐経路を広い範囲に亘って温度調節することができる。しかも、流入口を噴射部側に位置させる場合には、温度調節部によって温調された直後の液体をジャケット部内における噴射部の近くの領域に流通させることができる。これにより、精密に温調された液体を噴射することができる。
【0014】
上記液体噴射装置は、前記流入口から前記ジャケット部内に流入した前記液体が、前記流出口に向かい前記延在方向に沿って螺旋状に流通するように構成されていてもよい。
【0015】
この構成によれば、ジャケット部内において分岐経路の周囲に満遍なく温調液体を流通させることができるため、分岐経路の温度を確実に調節することができる。
【0016】
上記液体噴射装置において、前記分岐経路は、配管により構成されていてもよい。前記噴射部は、前記配管に対して着脱可能な噴射ノズルにより構成されていてもよい。
【0017】
この構成によれば、液体噴射装置から液体を噴射する対象物の種類に応じて、異なるタイプの噴射ノズルに交換することができる。
【0018】
上記液体噴射装置において、前記噴射部は、前記ジャケット部の外側に位置するように配置されていてもよい。この構成によれば、噴射部が交換可能である場合には、その交換作業を容易に行うことができる。また噴射部が角度調整可能なものである場合には、その調整も容易になる。
【0019】
上記液体噴射装置において、前記噴射部は、前記ジャケット部により覆われるように配置されていてもよい。この構成によれば、ジャケット部内を流通する温調液体により噴射部の温度も所望の温度に調節することができる。
【0020】
上記液体噴射装置は、前記ジャケット部を覆う断熱部材をさらに備えていてもよい。この構成によれば、外部の熱によるジャケット部の温度変動を抑制することにより、ジャケット部内を流通する液体の温度を安定させることができる。
【0021】
本発明のさらに他の局面に従った液体噴射装置は、温調された液体を噴射する装置である。上記液体噴射装置は、温度調節部と、前記温度調節部によって温調された液体を循環させる循環回路と、前記循環回路から分岐した分岐経路と、前記分岐経路に導入された前記液体を噴射する噴射部と、前記噴射部からの前記液体の噴射及びその停止を切り替える開閉弁と、を備えている。前記循環回路は、前記液体が流通し、前記分岐経路の少なくとも一部を覆うように設けられたジャケット部を有している。前記分岐経路は、前記循環回路からの分岐部分から前記ジャケット部に至るまでの第1の経路部分と、前記液体の流れ方向において前記第1の経路部分の下流側に位置し、前記ジャケット部により覆われる第2の経路部分と、を有してい。前記ジャケット部は、前記第1の経路部分における熱容量の10倍以上の熱容量を有してい
【0022】
この構成によれば、ジャケット部の熱容量を上記範囲とすることにより、ジャケット部内を流通する液体の温度を安定させることができる。
【0023】
本発明に従った耐候性試験装置は、試験体を収容する試験槽と、前記試験体に温調された液体を噴射する上記本発明に従った液体噴射装置と、を備えている。
【0024】
上記耐候性試験装置は、温度が安定した液体を噴射可能な上記本発明に従った液体噴射装置を備えている。このため、温度が安定した液体を試験体に対して噴射することにより、耐候性試験を正確な温度条件で円滑に行うことが可能になる。
【発明の効果】
【0025】
以上の説明から明らかなように、本発明によれば、温度が安定した液体を噴射することが可能な液体噴射装置及びこれを備えた耐候性試験装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
図1】本発明の実施形態1に係る液体噴射装置及び耐候性試験装置の構成を概略的に示す図である。
図2】上記液体噴射装置における噴射ノズル及びジャケット部の構成を詳細に示す図である。
図3】上記ジャケット部を軸方向の一方から見た図である。
図4】本発明の実施形態2に係る液体噴射装置及び耐候性試験装置の構成を概略的に示す図である。
図5】本発明のその他実施形態に係る液体噴射装置及び耐候性試験装置の構成を概略的に示す図である。
図6】本発明のその他実施形態に係る液体噴射装置及び耐候性試験装置の構成を概略的に示す図である。
図7】本発明のその他実施形態に係る液体噴射装置及び耐候性試験装置の構成を概略的に示す図である。
図8】本発明のその他実施形態に係る液体噴射装置及び耐候性試験装置の構成を概略的に示す図である。
図9】本発明のその他実施形態に係る液体噴射装置及び耐候性試験装置の構成を概略的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、図面に基づいて、本発明の実施形態につき詳細に説明する。
【0028】
(実施形態1)
はじめに、本発明の実施形態1に係る液体噴射装置2及びこれを備えた耐候性試験装置1について、図1及び図2を参照して説明する。図1は、本実施形態に係る液体噴射装置2及び耐候性試験装置1の構成を概略的に示している。図2は、液体噴射装置2に設けられた噴射ノズル33及びジャケット部40の構成を詳細に示している。なお、図1は、液体噴射装置2及び耐候性試験装置1の主要な構成のみを示しており、本実施形態に係る液体噴射装置2及び耐候性試験装置1は図示されない他の任意の構成を備え得る。
【0029】
<耐候性試験装置>
まず、本実施形態に係る耐候性試験装置1の構成について、図1を参照して説明する。耐候性試験装置1は、車載機器の水はね試験(スプラッシュウォーター試験)に用いられるものである。スプラッシュウォーター試験は、ISO(国際標準化機構)の16750−4規格に定められるアイスウォーター衝撃試験の1種であり、冷水による熱衝撃に対する車載機器の耐性を試験するものである。図1に示すように、耐候性試験装置1は、試験槽3と、本実施形態に係る液体噴射装置2と、を主に備えている。
【0030】
試験槽3は、例えば自動車のエンジンルームなどに設置される車載機器である試験体100を収容するものであり、図1に示すように液体噴射装置2に隣接して配置されている。試験槽3は、筐体構造からなる槽本体3Aと、槽本体3Aの内部に配置された支持台3Bと、を主に有している。支持台3Bは、試験体100が載置される上面3BBを有している。
【0031】
槽本体3Aにおける液体噴射装置2に対向する壁部には、当該槽本体3Aの内外を連通させる開口部3AAが設けられている。支持台3Bは、上面3BBが当該開口部3AAと略同じ高さ位置となるように配置されている。また液体噴射装置2は、液体Lを噴射する噴射ノズル33を有し、当該噴射ノズル33が開口部3AAに臨むように配置されている。これにより、図1に示すように、液体噴射装置2(噴射ノズル33)から噴射される温調された液体Lを、開口部3AAを通じて槽本体3A内に供給し、試験体100に当てることができる。
【0032】
なお、試験槽3は、槽本体3A内を自動車のエンジンルームを想定した高温環境に調節するための温度調節機構(図示しない)を備えていてもよい。この場合、試験槽3は、開口部3AAを開閉するシャッター部(図示しない)を備えることが好ましい。このシャッター部は、断熱部材により構成されることが好ましい。これにより、液体噴射の停止中はシャッター部によって開口部3AAを閉じることが可能になるため、槽本体3A内の高温によって液体噴射装置2が損傷を受けるのを抑制することができる。
【0033】
<液体噴射装置>
次に、本実施形態に係る液体噴射装置2の構成について、図1及び図2を参照して説明する。液体噴射装置2は、温調された液体Lを試験体100に噴射する装置である。本実施形態に係る液体噴射装置2は、0℃以上4℃以下の範囲に温調された冷水である液体Lを噴射する。液体噴射装置2は、循環回路10と、温度調節部20と、噴射部32と、分岐経路31と、開閉弁61と、を主に備えている。
【0034】
循環回路10は、温度調節部20によって温調された液体Lを循環させる。循環回路10は、液体Lを貯留する蓄液タンク24と、液体Lが流通するジャケット部40と、蓄液タンク24とジャケット部40とを互いに接続する2本の接続配管(第1の接続配管13、第2の接続配管14)と、第1の接続配管13に設けられた送液ポンプ11と、を主に有している。蓄液タンク24には、当該蓄液タンク24内に貯留される液体Lの温度を調節する温度調節部20が配置されている。
【0035】
循環回路10においては、送液ポンプ11を作動させることにより、蓄液タンク24において温調された液体Lを第1の接続配管13を通じてジャケット部40内に流入させることができる。そして、ジャケット部40から流出した液体Lを第2の接続配管14を通じて蓄液タンク24に戻すことができる。つまり、第1及び第2の接続配管13,14を介して蓄液タンク24とジャケット部40との間において液体Lを循環させることができる。
【0036】
蓄液タンク24は、スプラッシュウォーター試験に必要な水量に応じた容積を有し、液体Lの入口24Aと、液体Lの出口24Bと、が設けられている。入口24Aには、第2の接続配管14の下流端が接続されている。また出口24Bには、第1の接続配管13の上流端が接続されている。また出口24Bから液体Lを流出し易くするため、入口24Aが蓄液タンク24の側部上側(出口24Bよりも上側)に設けられ、且つ出口24Bが蓄液タンク24の底部中央(入口24Aよりも下側)に設けられている。しかし、蓄液タンク24における入口24A及び出口24Bの位置は、これに限定されない。
【0037】
第1の接続配管13は、蓄液タンク24の出口24Bに接続される上流端と、ジャケット部40の流入口41に接続される下流端と、を有している。第2の接続配管14は、ジャケット部40の流出口42に接続される上流端と、蓄液タンク24の入口24Aに接続される下流端と、を有している。
【0038】
ジャケット部40は、液体Lが流通可能な内部空間40Aを有する円筒形状の部材であり、前端面40Cと、後端面40Bと、側周面40Dと、を有している。ジャケット部40は、蓄液タンク24の容量よりも小さい容量を有している。またジャケット部40の形状は円筒形状に限定されず、例えば角筒形状などの他の任意の形状を採用し得る。なお、ジャケット部40の詳細な構成については後述する。送液ポンプ11は、インバータモーターの回転数により循環回路10における液体Lの流量を調節可能なポンプである。
【0039】
温度調節部20は、蓄液タンク24に貯留された液体Lの温度を調節するものである。温度調節部20は、冷却部21と、加熱部22と、撹拌手段25と、コントロール部26と、を主に有している。
【0040】
冷却部21は、蓄液タンク24に貯留された液体Lを冷却するものである。冷却部21は、例えば冷凍機により構成されており、コントロール部26に設けられた動作制御部26Aによりその動作が制御される。
【0041】
加熱部22は、蓄液タンク24に貯留された液体Lを加熱するものである。加熱部22は、例えば伝熱ヒータにより構成されており、同様に動作制御部26Aによりその動作が制御される。
【0042】
温度調節部20によって冷却部21及び加熱部22を液体Lの温度に応じて適時作動させることにより、蓄液タンク24に貯留される液体Lの温度を所望の温度に調節することができる。そして、温調された液体Lを蓄液タンク24から第1の接続配管13を介してジャケット部40に供給することができる。なお、本発明における温度調節部は、本実施形態において説明した冷凍機及び伝熱ヒータを備えるものに限定されず、液体Lの温度を調節可能な任意の構成を採用し得る。
【0043】
撹拌手段25は、モーター25Aと、回転軸25Bと、撹拌翼25Cと、を有している。回転軸25Bは、先端部が蓄液タンク24内に位置するように、当該蓄液タンク24の上部から挿入されている。回転軸25Bの先端部には、撹拌翼25Cが取り付けられている。回転軸25Bの基端部(蓄液タンク24の上部からタンク外に突き出た部分)には、モーター25Aが取り付けられている。モーター25Aは、コントロール部26に設けられた動作制御部26Aによって回転駆動する。
【0044】
動作制御部26Aによってモーター25Aを回転駆動させることにより、回転軸25Bを軸周りに回転させることができる。これにより、撹拌翼25Cによって蓄液タンク24内の液体Lを撹拌することができる。この撹拌によって、蓄液タンク24内の液体Lの温度を均一化することができる。なお、温度調節部20は、撹拌手段25を備えていなくてもよい。
【0045】
上記液体噴射装置2は、試験槽3における槽本体3Aの底部と蓄液タンク24とを接続する配管3Cを備えている。これにより、液体噴射装置2(噴射ノズル33)から槽本体3A内に噴射され、当該槽本体3Aの底部に溜まった液体Lを配管3Cを介して蓄液タンク24に戻すことができる。すなわち、配管3Cは、試験体100に噴射された液体Lを循環回路10に戻すための戻し配管として機能する。なお、配管3Cは、本発明の液体噴射装置において必須の構成ではなく、省略されてもよい。その場合、液体Lは使い捨てになるため、槽本体3Aには排水用のドレン配管(図示しない)が設けられることになる。
【0046】
分岐経路31は、循環回路10から分岐した配管により構成されている。図1に示すように、分岐経路31は、第1の接続配管13における送液ポンプ11の設置箇所よりも液体の流れ方向の下流側の部分P1から分岐している。分岐経路31は、第1の接続配管13の部分P1に接続される上流端と、噴射部32が設けられる下流端と、を有している。これにより、温度調節部20により温調された液体Lを部分P1から分岐経路31内に導入し、当該分岐経路31を通じて温調された液体Lを噴射部32に導くことができる。そして、噴射部32から試験体100に向けて液体Lを噴射することができる。
【0047】
分岐経路31は、図1に示すようにジャケット部40の後端面40B側の底部中央を貫通するように配置されている。分岐経路31は、第1の接続配管13の部分P1(循環回路10からの分岐部分)からジャケット部40の後端面40Bに至るまでの第1の経路部分31Aと、ジャケット部40により覆われる第2の経路部分31Bと、を有している。第2の経路部分31Bは、液体の流れ方向において第1の経路部分31Aの下流側に位置している。
【0048】
第1の経路部分31Aにおけるジャケット部40の近傍の部分には、当該第1の経路部分31Aを流れる液体Lの流量を計測する流量計12が設けられている。この流量計12によって、液体Lの噴射時において第1の経路部分31Aを通過する液体Lの流量を監視することができる。なお、流量計12は、省略されてもよい。
【0049】
噴射部32は、分岐経路31に導入された液体Lを噴射するものである。噴射部32は、液体Lを試験体100に向けて噴射する噴射口32Aが設けられた噴射ノズル33により構成されている。
【0050】
開閉弁61は、第2の経路部分31Bの配管内における液体の流通及び遮断を切り替えることにより、噴射部32からの液体Lの噴射及びその停止を切り替えるものである。図1に示すように、開閉弁61は、第2の経路部分31Bにおける噴射部32の近傍の部分に設けられている。
【0051】
開閉弁61は、コントロール部26に設けられた開閉制御部26Dにより制御されるように構成されている。開閉制御部26Dは、所定の時間間隔で所定時間だけ開閉弁61を開くように制御する。本実施形態では、スプラッシュウォーター試験の規格を考慮し、開閉制御部26Dは、開閉弁61を30分毎に3秒間だけ開くように制御する。これにより、所定のインターバルで液体Lを間欠的に噴射することができる。なお、開閉弁61は、電動により制御されるものに限定されず、手動で制御するものであってもよい。
【0052】
ここで、ジャケット部40の構成について詳細に説明する。ジャケット部40は、本実施形態に係る液体噴射装置2における重要な構成であり、噴射部32からの液体Lの噴射が停止している間に分岐経路31の温度を所望の温度に維持するために設けられている。図1に示すように、ジャケット部40は、分岐経路31の少なくとも一部(本実施形態では第2の経路部分31B)を覆うように設けられている。ジャケット部40は、例えばステンレスなどの金属材料からなり、分岐経路31(第2の経路部分31B)が延びる方向に沿って延在する円筒形状を有している。またジャケット部40は、分岐経路31の第1の経路部分31Aにおける熱容量の10倍以上の熱容量を有している。
【0053】
ジャケット部40は、温度調節部20によって温調された液体Lを流入させる流入口41と、ジャケット部40の外に液体Lを流出させる流出口42と、を有している。これにより、第1の接続配管13から流入口41を介してジャケット部40の内部空間40Aに液体Lを流入させ、当該内部空間40Aにおいて液体Lを流通させた後、流出口42から第2の接続配管14に液体Lを流出させることができる。
【0054】
本実施形態に係る液体噴射装置2では、分岐経路31の少なくとも一部(第2の経路部分31B)がジャケット部40内の液体L中を貫通する構成を採用することにより、以下のような効果が得られる。
【0055】
すなわち、ジャケット部40により覆われる第2の経路部分31Bは、当該ジャケット部40内を流通する液体Lにさらされる。循環回路10では温度調節部20によって温調された液体Lが常時循環するため、ジャケット部40内を流通する液体Lの温度は所定の範囲内に維持される。このため、開閉弁61が閉じられている間に第1の経路部分31Aの温度が変動したとしても、開閉弁61を開いた時に第1の経路部分31Aを流れる液体Lは、第2の経路部分31Bを流れる際にジャケット部40内の温調された液体L(試験中又は常時流通する液体L)によって加熱又は冷却される。また、上記液体噴射装置2では、ジャケット部40を採用することにより、開閉弁61を閉じて液体Lの噴射を停止している間にも分岐経路31(第2の経路部分31B)の配管温度を実際に噴射される液体Lの温度に予め調節することができる。よって、温度が安定した液体Lを噴射することが可能になる。
【0056】
図1に示すように、流入口41はジャケット部40における延在方向の中央よりも噴射部32側に位置しており、流出口42はジャケット部40における延在方向の中央よりも噴射部32と反対側に位置している。つまり、流入口41及び流出口42は、ジャケット部40において延在方向(軸方向)の中央を挟んで互いに反対側に設けられている。これにより、ジャケット部40内の延在方向における広い範囲に亘って温調された液体Lを流通させることができる。
【0057】
なお、流入口41及び流出口42の位置は、図1に示す位置と反対であってもよい。また流入口41及び流出口42がいずれもジャケット部40における延在方向の中央よりも噴射部32側に位置していてもよいし、ジャケット部40における延在方向の中央よりも噴射部32と反対側に位置していてもよいし、ジャケット部40における延在方向の中央に位置していてもよい。
【0058】
図2は、上記液体噴射装置2における噴射部32(噴射ノズル33)及びジャケット部40の構成を詳細に示している。図2に示すように、噴射ノズル33は、扁平な形状を有しており、横長のスリット状の噴射口32Aが設けられている。この噴射口32Aより、液体Lを扇形状に噴射することができる。
【0059】
噴射ノズル33は、分岐経路31(第2の経路部分31B)を構成する配管の下流端に対して着脱可能に構成されている。これにより、スプラッシュウォーター試験に用いられる試験体100の種類に応じて、異なるタイプの噴射ノズル33に交換することができる。なお、噴射ノズル33は、上記のような着脱式のものに限定されず、配管に対して固定式のものであってもよい。
【0060】
図2に示すように、噴射ノズル33は、噴射口32A及び当該噴射口32Aを規定する噴射端面32AAを除いた部分全体が、ジャケット部40により覆われるように配置されている。これにより、分岐経路31だけではなく、噴射ノズル33もジャケット部40内を流通する液体Lの温度に調節することができる。また図1に示すように、噴射ノズル33は、噴射口32Aがジャケット部40の前端面40Cと略面一となるように配置されている。
【0061】
図2中一点鎖線により示すように、上記液体噴射装置2は、流入口41からジャケット部40内に流入した液体が、流出口42に向かい延在方向(軸方向)に沿って螺旋状に流通するように構成されている。具体的には、ジャケット部40内において液体が螺旋状に流通するように、第1の接続配管13はジャケット部40を前端面40C側から軸方向に見た場合において前端面40Cの中心から径方向の一方にずれた位置(流入口41)に接続され、第2の接続配管14は当該中心から径方向の他方にずれた位置(流出口42)に接続されている(図3)。これにより、ジャケット部40内において第2の経路部分31Bの周囲に満遍なく温調液体を流通させることができる。なお、本発明は、ジャケット部40内において液体が螺旋状に流通する場合に限定されず、液体がジャケット部40の延在方向に流通してもよい。
【0062】
また図3に示すように、第1の接続配管13はジャケット部40の外周面における接線方向に沿って液体を流入させるように接続され、第2の接続配管14はジャケット部40の外周面における接線方向に沿って液体を流出させるように接続されている。これにより、ジャケット部40内において液体の流れが乱れるのを抑制することができる。
【0063】
上記液体噴射装置2は、温度調節部20によって温調された液体Lの温度を検知する温度検知部50をさらに備えている。温度検知部50は、例えばサーミスタなどの温度センサにより構成されている。本実施形態では、温度検知部50は、図1及び図2に示すようにジャケット部40に設けられており、当該ジャケット部40内を流通する液体Lの温度を検知する。具体的には、温度検知部50は、温度変化を検知するセンシング部がジャケット部40内の液体Lに接触するように、当該ジャケット部40の側周面40Dから挿し込まれている。
【0064】
温度調節部20は、温度検知部50による検知結果に基づいて、蓄液タンク24内の液体Lの温度を調節するように構成されている。具体的には、温度調節部20を構成するコントロール部26は、温度検知部50により検知された液体Lの温度情報を受け付ける受付部26Bを有している。そして、コントロール部26は、温度検知部50から受け付けた温度情報に基づいて、動作制御部26Aによって冷却部21又は加熱部22の動作を制御する。すなわち、温度検知部50により検知された液体Lの温度が設定値(又は設置範囲)よりも高い場合には、動作制御部26Aは、蓄液タンク24内の液体Lの温度を下げるように冷却部21を動作させる。一方、温度検知部50により検知された液体Lの温度が設定値(又は設置範囲)よりも低い場合には、動作制御部26Aは、蓄液タンク24内の液体Lの温度を上げるように加熱部22を動作させる。なお、ジャケット部40内の液体Lの温度が設定値又は設置範囲内である場合には、動作制御部26Aは冷却部21及び加熱部22のいずれも動作させない。これにより、ジャケット部40内の液体Lの温度が所望の温度となるように、蓄液タンク24内の液体Lの温度を調節することができる。
【0065】
コントロール部26は、ユーザによって液体Lの温度の設定値(又は設置範囲)を入力可能な入力部26Cを有している。本実施形態では、0℃以上4℃以下の設定範囲が入力される。この入力部26Cは、例えばキーボードやタッチパネルなどの入力機器により構成される。
【0066】
図1に示すように、温度検知部50は、ジャケット部40における延在方向の中央よりも噴射部32側の部分(噴射部32の近傍)に配置されている。すなわち、温度検知部50は、ジャケット部40内における延在方向の中央よりも噴射部32側の領域を流通する液体Lの温度を検知可能なように配置されている。これにより、ジャケット部40内における噴射部32に近い領域を流通する液体Lの温度が設定範囲内となるように、温度調節部20を動作させることができる。
【0067】
上記液体噴射装置2は、ジャケット部40を覆う断熱部材60をさらに備えている。断熱部材60は、例えばウレタン樹脂などの材料からなるスポンジ状のものであり、ジャケット部40の外周部を覆うように設けられている。具体的には、断熱部材60は、噴射口32Aからの液体Lの噴射を遮らないように、ジャケット部40の前端面40C、後端面40B及び側周面40Dをそれぞれ覆うように設けられている。なお、図2では、断熱部材60の図示が説明の便宜上省略されている。また断熱部材60は、本発明の液体噴射装置において必須の構成ではなく、省略されてもよい。
【0068】
<実施形態1のまとめ>
ここで、上記のとおり説明した実施形態1に係る液体噴射装置2の主な特徴及び当該特徴による作用効果について列記する。
【0069】
上記液体噴射装置2は、温度調節部20と、温度調節部20によって温調された液体Lを循環させる循環回路10と、循環回路10から分岐した分岐経路31と、液体Lを噴射する噴射部32と、液体Lの噴射及びその停止を切り替える開閉弁61と、を備えている。循環回路10は、液体Lが流通し、分岐経路31の第2の経路部分31Bを覆うジャケット部40を有している。
【0070】
上記液体噴射装置2では、温度調節部20によって温調されると共に循環回路10において循環する液体Lを分岐経路31に分流させる。ここで、分岐経路31の第2の経路部分31Bがジャケット部40により覆われているため、当該第2の経路部分31Bがジャケット部40内を流通する温調された液体Lにさらされる。このため、開閉弁61を閉じて液体Lの噴射を停止している間に当該第2の経路部分31Bの温度が変動しないように、ジャケット部40内の液体Lによって当該第2の経路部分31Bが加熱又は冷却される。よって、ジャケット部40を有さない液体噴射装置では、循環回路10から分岐経路31に分流した液体Lの温度が分岐経路31の配管温度の影響によって変動し得るのに対し、上記液体噴射装置2によれば、液体Lの噴射を停止している間にも、分岐経路31(第2の経路部分31B)の温度を実際に噴射される温調液体により予め調節することができる。したがって、上記液体噴射装置2によれば、温度が安定した液体Lを噴射することができる。
【0071】
上記液体噴射装置2は、液体Lの温度を検知する温度検知部50を備えている。温度調節部20は、温度検知部50による検知結果に基づいて液体Lの温度を調節するように構成されている。これにより、温度検知部50による検知結果を温度調節部20の動作にフィードバックすることによって、循環回路10において循環する液体Lの温度を精密に調節することが可能になる。
【0072】
上記液体噴射装置2において、ジャケット部40は、分岐経路31(第2の経路部分31B)が延びる方向に沿って延在する形状を有している。温度検知部50は、ジャケット部40内における延在方向の中央よりも噴射部32側の領域を流通する液体Lの温度を検知可能なように配置されている。これにより、ジャケット部40内における噴射部32に近い領域を流通する液体Lの温度を所望の温度に調節することができる。これにより、精密に温調された液体Lを噴射することができる。
【0073】
上記液体噴射装置2において、ジャケット部40は、温度調節部20によって温調された液体Lを流入させる流入口41と、ジャケット部40の外に液体Lを流出させる流出口42と、を有している。流入口41は、ジャケット部40における延在方向の中央よりも噴射部32側に位置している。流出口42は、ジャケット部40における延在方向の中央よりも噴射部32と反対側に位置している。これにより、ジャケット部40内の延在方向における広い範囲に亘って温調液体を流通させることができるため、分岐経路31(第2の経路部分31B)を広い範囲に亘って温度調節することができる。しかも、温度調節部20によって温調された直後の液体Lをジャケット部40内における噴射部32の近くの領域に流通させることができる。これにより、精密に温度調節された液体Lを噴射することができる。
【0074】
上記液体噴射装置2は、流入口41からジャケット部40内に流入した液体Lが、流出口42に向かい延在方向に沿って螺旋状に流通するように構成されている。これにより、ジャケット部40内において分岐経路31(第2の経路部分31B)の周囲に満遍なく温調液体を流通させることができるため、第2の経路部分31Bの温度を確実に調節することができる。
【0075】
上記液体噴射装置2において、分岐経路31は、配管により構成されている。噴射部32は、分岐経路31を構成する配管に対して着脱可能な噴射ノズル33により構成されている。これにより、試験体100の種類に応じて異なるタイプの噴射ノズルに交換することができる。
【0076】
上記液体噴射装置2において、噴射ノズル33は、ジャケット部40により覆われるように配置されている。これにより、ジャケット部40内を流通する温調液体により噴射ノズル33の温度も所望の温度に調節することができる。
【0077】
上記液体噴射装置2は、ジャケット部40を覆う断熱部材60を備えている。これにより、外部の熱によるジャケット部40の温度変動を抑制し、ジャケット部40内を流通する液体Lの温度を安定させることができる。
【0078】
上記液体噴射装置2において、分岐経路31は、循環回路10からの分岐部分(部分P1)からジャケット部40に至るまでの第1の経路部分31Aと、液体Lの流れ方向において第1の経路部分31Aの下流側に位置し、ジャケット部40により覆われる第2の経路部分31Bと、を有している。ジャケット部40は、第1の経路部分31Aにおける熱容量の10倍以上の熱容量を有している。これにより、ジャケット部40内を流通する液体Lの温度を安定させることができる。
【0079】
(実施形態2)
次に、本発明の実施形態2に係る液体噴射装置2A及びこれを備えた耐候性試験装置1Aについて、図4を参照して説明する。実施形態2に係る液体噴射装置2Aは、基本的に上記実施形態1の場合と同様の構成を備えているが、噴射ノズル33がジャケット部40の外側に位置している点で異なっている。以下、上記実施形態1と異なる点についてのみ説明する。
【0080】
図4に示すように、噴射ノズル33は、ジャケット部40の外側に位置するように配置されている。具体的には、分岐経路31が第2の経路部分31Bの下流端から延びる第3の経路部分を有し、噴射ノズル33は当該第3の経路部分の下流端に取り付けられている。このため、噴射ノズル33は、ジャケット部40の前端面40Cよりも試験槽3側に突き出た状態となっている。これにより、上記実施形態1の場合と比べて噴射ノズル33の交換作業を容易に行うことができる。
【0081】
なお、図4に示すように、実施形態2では、噴射ノズル33の交換時の作業性を考慮し、噴射ノズル33が断熱部材60により覆われない場合について説明したが、これに限定されない。噴射ノズル33も断熱部材60により覆われる構成が採用されてもよい。
【0082】
(その他実施形態)
最後に、本発明のその他実施形態について説明する。
【0083】
上記実施形態1では、インバータモーターの回転数により液体Lの流量を調節可能な送液ポンプ11が用いられる場合について説明したが、これに限定されない。図5に示すように、定流量ポンプ11Aが第1の接続配管13に設けられ、且つ循環回路10における液体Lの流量を調節するための流量調節弁15が第1の接続配管13における部分P1の下流側に設けられてもよい。
【0084】
上記実施形態1では、温度検知部50がジャケット部40に取り付けられる場合について説明したが、これに限定されない。図6に示すように、温度検知部50は、蓄液タンク24に取り付けられ、当該蓄液タンク24内の液体Lの温度を検知するように構成されていてもよい。循環回路10における液体Lの流量が大きい場合には、蓄液タンク24とジャケット部40との間における液体Lの温度差が小さくなる。このため、蓄液タンク24内の液体Lの温度を基準として温度調節部20を動作させても、ジャケット部40内の液体Lの温度を所望の温度に調節することができる。この構成は、ジャケット部40に対して温度検知部50を取り付けにくい場合には特に有用である。
【0085】
また図7に示すように、温度検知部50は、第1の接続配管13におけるジャケット部40の流入口41の近傍の部位に取り付けられてもよい。また図示は省略するが、温度検知部50は、第2の接続配管14に取り付けられてもよい。
【0086】
上記実施形態1では、分岐経路31が第1の接続配管13から分岐する場合について説明したが、これに限定されない。図8に示すように、分岐経路31が第2の接続配管14から分岐していてもよい。
【0087】
上記実施形態1では、分岐経路31においてジャケット部40により覆われる部位(第2の経路部分31B)に開閉弁61が設けられる場合について説明したが、これに限定されない。図9に示すように、分岐経路31においてジャケット部40により覆われない部位(第1の経路部分31A)に開閉弁61が設けられていてもよい。
【0088】
なお、図5図9に示した実施形態において、噴射ノズル33がジャケット部40の外側に位置するように配置されていてもよい。
【0089】
上記実施形態1では、分岐経路31の一部のみがジャケット部40により覆われる場合について説明したが、これに限定されない。分岐経路31の全体がジャケット部40により覆われてもよい。
【0090】
上記実施形態1では、液体噴射装置2により噴射する液体の一例として水を説明したが、これに限定されない。本発明における液体噴射装置は、例えば砂と水の混合水を噴射してもよいし、エチレングリコールなどの不凍液を噴射してもよい。
【0091】
なお、砂と水の混合水を噴射する場合には、噴射ノズル33の噴射口32Aが狭いことから摩耗が問題となり易い。これに対して、上記のように分岐経路31を構成する配管に対して噴射ノズル33を着脱可能にすることにより、噴射ノズル33の摩耗に対しても容易に対応することができる。
【0092】
上記実施形態1では、液体噴射装置2により液体Lを間欠的に噴射する場合について説明したがこれに限定されず、液体Lを常時噴射する構成であってもよい。
【0093】
今回開示された実施形態は、全ての点で例示であって、制限的なものではないと解されるべきである。本発明の範囲は、上記した説明ではなくて特許請求の範囲により示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内での全ての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0094】
1,1A〜1F 耐候性試験装置
2,2A〜2F 液体噴射装置
3 試験槽
10 循環回路
20 温度調節部
31 分岐経路
31A 第1の経路部分
31B 第2の経路部分
32 噴射部
33 噴射ノズル
40 ジャケット部
41 流入口
42 流出口
50 温度検知部
60 断熱部材
61 開閉弁
100 試験体
L 液体
P1 分岐部分
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9