特許第6675352号(P6675352)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6675352
(24)【登録日】2020年3月12日
(45)【発行日】2020年4月1日
(54)【発明の名称】バスバモジュール及び電源装置
(51)【国際特許分類】
   H01M 2/20 20060101AFI20200323BHJP
   H02G 3/04 20060101ALI20200323BHJP
   H01M 2/10 20060101ALI20200323BHJP
【FI】
   H01M2/20 A
   H02G3/04 018
   H01M2/10 S
   H01M2/20 Z
【請求項の数】2
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2017-104654(P2017-104654)
(22)【出願日】2017年5月26日
(65)【公開番号】特開2018-200790(P2018-200790A)
(43)【公開日】2018年12月20日
【審査請求日】2018年8月10日
(73)【特許権者】
【識別番号】000006895
【氏名又は名称】矢崎総業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002000
【氏名又は名称】特許業務法人栄光特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】庄子 隆雄
(72)【発明者】
【氏名】柳原 真一
(72)【発明者】
【氏名】野島 元
【審査官】 高木 康晴
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2013/002328(WO,A1)
【文献】 特開2016−006722(JP,A)
【文献】 特開2011−233333(JP,A)
【文献】 特開2014−233160(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 2/20−2/34
H01M 2/10
H02G 3/04
B60R 16/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の単電池で構成された電池集合体の各単電池を互いに電気的に接続する複数のバスバと、前記複数のバスバに電気的に接続される複数の電線と、前記複数の電線を収容する電線配索体と、を備えるバスバモジュールであって、
前記電線配索体が、
上方に開口する樋状に形成されて前記複数の単電池の重なり方向に沿って並べられた複数の電線配索溝部と、
前記電線配索溝部の一方の側壁にヒンジを介して回動可能に連設され、前記電線配索溝部の溝開口を塞ぐように前記電線配索溝部にそれぞれ被せられる複数の蓋部と、を備え、
並設された複数の前記電線配索溝部の間を連結し、連結された前記電線配索溝部同士を可動とする溝部側ヒンジと、並設された複数の前記蓋部の間を連結し、連結された前記蓋部同士を可動とする蓋部側ヒンジとが、単電池の重なり方向に互いにずれて交互に設定され、
前記ヒンジを介して連設された前記電線配索溝部及び前記蓋部とそれに隣接する前記ヒンジを介して連設された前記電線配索溝部及び前記蓋部との間には、前記溝部側ヒンジ又は前記蓋部側ヒンジの何れか一方のみが配置されることを特徴とするバスバモジュール。
【請求項2】
複数の単電池で構成された電池集合体と、前記電池集合体に重ねて取り付けられるとともに前記各単電池を互いに電気的に接続するバスバモジュールとを備える電源装置であって、
前記バスバモジュールとして、請求項1に記載のバスバモジュールを有していることを特徴とする電源装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ハイブリッド自動車や電気自動車などに用いられる電源装置を構成するバスバモジュール及びそれを備えた電源装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、電動モータを用いて走行する電気自動車や、エンジンと電動モータとを併用して走行するハイブリッド自動車等の各種車両に搭載される電源装置は、電池集合体を構成する複数の電池(単電池)の電極に接続されるバスバと、バスバから延びる電線の配索経路を規制する電線配策体とを有するバスバモジュールを備えている。
【0003】
このバスバモジュールとしては、電線配索体が、電線を収容する樋状の電線配索溝部と、電線配索溝部の一方の側壁にヒンジを介して回動可能に連設され、電線配索溝部の溝開口を塞ぐように電線配索溝部に被せられる蓋部とを有するものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2014−233160号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、上記のバスバモジュールにおいて、隣接した蓋部の間は、一部に蓋部側ヒンジが設定されているが、隣接した電線配索溝部の間は、全てに溝部側ヒンジが設定されている。このため、バスバモジュールの電池集合体への搭載時に、過剰なヒンジのために電線配索体を伸縮させて電池スタック公差を吸収させて組み付ける為に必要な力が大きくなり、作業者の負担が大きい。
【0006】
本発明は、上述した事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、電線配索体の強度を維持しつつ、組付け作業性を向上させることが可能なバスバモジュール及びそれを備えた電源装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る上記目的は、下記構成により達成される。
(1) 複数の単電池で構成された電池集合体の各単電池を互いに電気的に接続する複数のバスバと、前記複数のバスバに電気的に接続される複数の電線と、前記複数の電線を収容する電線配索体と、を備えるバスバモジュールであって、
前記電線配索体が、
上方に開口する樋状に形成されて前記複数の単電池の重なり方向に沿って並べられた複数の電線配索溝部と、
前記電線配索溝部の一方の側壁にヒンジを介して回動可能に連設され、前記電線配索溝部の溝開口を塞ぐように前記電線配索溝部にそれぞれ被せられる複数の蓋部と、を備え、
並設された複数の前記電線配索溝部の間を連結し、連結された前記電線配索溝部同士を可動とする溝部側ヒンジと、並設された複数の前記蓋部の間を連結し、連結された前記蓋部同士を可動とする蓋部側ヒンジとが、単電池の重なり方向に互いにずれて交互に設定され、
前記ヒンジを介して連設された前記電線配索溝部及び前記蓋部とそれに隣接する前記ヒンジを介して連設された前記電線配索溝部及び前記蓋部との間には、前記溝部側ヒンジ又は前記蓋部側ヒンジの何れか一方のみが配置されることを特徴とするバスバモジュール。
【0008】
上記(1)の構成のバスバモジュールによれば、溝部側ヒンジ及び蓋部側ヒンジの数が従来よりも減ることによって、電線配索体が伸縮し易くなる。
そこで、バスバモジュールは、電線配索体の強度を維持しつつ、電線配索体を伸縮させて電池集合体の公差を吸収しながら電池集合体へ組み付ける際の組付け作業性を向上させることができる。
【0009】
(2) 複数の単電池で構成された電池集合体と、前記電池集合体に重ねて取り付けられるとともに前記各単電池を互いに電気的に接続するバスバモジュールとを備える電源装置であって、
前記バスバモジュールとして、上記(1)に記載のバスバモジュールを有していることを特徴とする電源装置。
【0010】
上記(2)の構成の電源装置によれば、バスバモジュールを取り付ける際の作業性が向上した電源装置を提供できる。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、電線配索体の強度を維持しつつ、組付け作業性を向上させることが可能なバスバモジュール及びそれを備えた電源装置を提供できる。
【0012】
以上、本発明について簡潔に説明した。更に、以下に説明される発明を実施するための形態(以下、「実施形態」という。)を添付の図面を参照して通読することにより、本発明の詳細は更に明確化されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1図1は、本発明の一実施形態に係るバスバモジュールを備えた電源装置を示す斜視図である。
図2図2は、図1に示すバスバモジュールのバスバ収容部側から視た一部の拡大斜視図である。
図3図3は、図1に示すバスバモジュールの電線配索溝部側から視た一部の拡大斜視図である。
図4図4は、参考例に係るバスバモジュールの電線配索溝部側から視た一部の拡大斜視図である。
図5図5は、検査線配索体のサーミスタ収容部を示す図であって、図5の(a)は蓋部を装着した状態の検査線配索体の要部斜視図、図5の(b)は蓋部を省略した状態の検査線配索体の斜視図である。
図6図6は、検査線配索体のサーミスタ収容部の平面図である。
図7図7は、図6におけるA−A断面図である。
図8図8は、図6におけるB−B断面図である。
図9図9は、検査線配索体のサーミスタ収容部の下方から視た斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本実施形態に係るバスバモジュール及び電源装置を、図面を参照して説明する。尚、説明の便宜上、図1において、矢印X、矢印Y、及び矢印Zを用いて、各部材の配設方向等を示す。これら矢印X、矢印Y、及び矢印Zは互いに直交している。
【0015】
図1は、本発明の一実施形態に係るバスバモジュール1を備えた電源装置10を示す斜視図である。
【0016】
図1に示す電源装置10は、電池集合体2と、この電池集合体2に重ねて取り付けられるバスバモジュール1と、を備えている。この電源装置10は、電動モータを用いて走行する電気自動車や、エンジンと電動モータを併用して走行するハイブリッド自動車等に搭載されて用いられ、電動モータに動力を供給するものである。
【0017】
上記電池集合体2は、一方向(矢印X方向)に沿って一列に配列された複数の電池(単電池)20と、これら複数の電池20を一体に固定する電池樹脂枠100とで構成されている。各電池20は、直方体状の電池本体21と、この電池本体21の1つの面の一端及び他端からそれぞれ突出して設けられた一対の電極22,23と、を備えている。一対の電極22,23のうち一方の電極22は正極22であり、他方の電極23は負極23である。一対の電極22,23は、それぞれ、導電性の金属により円柱状に形成されている。各電池20は、電池本体21における一対の電極22,23が設けられた面が同一方向(図1の上方)に向けられるとともに、1つの電池20の正極22と該1つの電池20に隣接する他の電池20の負極23とが交互に隣り合うように(即ち、矢印X方向に沿って、正極22、負極23、正極22、負極23、…、の順で)配列されている。
【0018】
上記バスバモジュール1は、前述した複数の電池20が直列に接続されている。バスバモジュール1は、複数のバスバ3と、複数の電圧検出端子4と、複数の電線5と、絶縁樹脂製の電線配索体6と、を備えている。
【0019】
バスバ3は、電池集合体2の互いに隣り合う電池20の正極22と負極23とに取り付けられることでこれら各電池20を直列に接続する。バスバ3は、導電性の金属板にプレス加工が施されるなどして得られるものであり、略長方形板状の金属板に、互いに隣り合う電池20の正極22及び負極23が通される一対の孔(図示略)が設けられている。これら一対の孔は、バスバ3の長手方向に沿って、互いに隣り合う電池20の正極22及び負極23と同じ間隔をあけて配置されている。また、バスバ3は、前記孔に通された正極22及び負極23にナット7が螺合されることで、電池20に取り付けられるとともに、隣接する正極22及び負極23に電気的に接続される。
【0020】
電圧検出端子4は、対応するバスバ3に重ねて配置されて、該バスバ3を介して互いに隣り合う電池20の正極22及び負極23に接続される。電圧検出端子4は、導電性の金属板にプレス加工が施されるなどして得られるものである。
【0021】
電圧検出端子4は、バスバ3に重ねられて該バスバ3と電気的に接続されるもので、その中央部には、1つの孔(図示略)が設けられている。孔は、バスバ3の一対の孔の一方と重ねられて、電池20の正極22又は負極23が通される。電圧検出端子4は、バスバ3に重ねられた状態で上記ナット7によって電池20に取り付けられる。
【0022】
電圧検出端子4には、電線5の端部が圧着されて電線5の芯線と電気的に接続されている。そして、電線5の芯線は、バスバ3を介して各電池20の正極22及び負極23に接続されている。
【0023】
また、電圧検出端子4は、当該電圧検出端子4に接続された電線5を介して、図示しないECU(Electronic Control Unit)が備える電圧検出回路に接続される。そして、該ECUが、電圧検出回路によって検出された各電池20における一対の電極22,23との電位差(電圧)に基づいて、各電池20の残量や充放電状態等を検出する。
【0024】
電線5は、導電性の芯線と該芯線を被覆した絶縁被覆とを有する周知の被覆電線である。電線5は、その一端において、絶縁被覆が皮剥きされて芯線が露出している。電線5の一端は、電圧検出端子4に電気的に接続され、電線5の他端は図示しないECUが備える電圧検出回路等に接続される。
【0025】
図2は、図1に示すバスバモジュール1のバスバ収容部60側から視た一部の拡大斜視図である。図3は、図1に示すバスバモジュール1の電線配索溝部64側から視た一部の拡大斜視図である。
【0026】
図2及び図3に示すように、電線配索体6は、例えば、合成樹脂等を用いて互いに一体に成形されており、バスバ収容部60と、電線配索溝部64と、連結溝部68と、蓋部67とを備えている。また、電線配索体6には、検査線配索体80が連結されている。
【0027】
バスバ収容部60は、複数設けられ、複数の電池20の重なり方向に沿って並べられている。バスバ収容部60は、周壁部62で囲われて上記バスバ3と略同一形状に形成されている。バスバ収容部60には、バスバ3及び電圧検出端子4がそれぞれ収容される。そして、各電池20の正極22及び負極23は、バスバ収容部60内のバスバ3の孔に通され、さらに、正極22又は負極23のどちらか一方は、電圧検出端子4の孔に通される。複数のバスバ収容部60は、それらの長手方向が前記複数の電池20の配列方向(図1における矢印X方向)に沿うようにして一列に並べられている。
【0028】
電線配索溝部64は、複数設けられ、複数の電池20の重なり方向に沿って並べられている。電線配索溝部64は、各バスバ収容部60の一側に併設されている。電線配索溝部64は、底壁65と、該底壁65の幅方向に相対する両縁部から垂直に立設した一対の側壁66A,66Bとからなる断面略U字状とされ、上方に開口する樋状に形成されている。電線配索溝部64は、その内側に、複数の電線5を収容する。
【0029】
蓋部67は、矩形板状に形成されており、各電線配索溝部64の一側に並列に配置されている。蓋部67は、電線配索溝部64の溝開口を塞ぐように該電線配索溝部64に被せられる。蓋部67は、両縁部(長辺部)のうち一方の縁部の一部がヒンジ67Aを介して、電線配索溝部64の一方の側壁66Aに回動可能に連設されている。
【0030】
連結溝部68は、樋状に形成されており、バスバ収容部60と電線配索溝部64とを連通するように図1における矢印Y方向に沿って設けられている。連結溝部68内には、電圧検出端子4の電線5が圧着された電線圧着部9(図3参照)が配置される。
【0031】
検査線配索体80は、バスバ収容部60の配列に沿って並列に配置されている。検査線配索体80は、ブリッジ部81によってバスバ収容部60に間隔をあけて連結されている。
【0032】
上記の電線配索体6において、並設された複数のバスバ収容部60は、互いに隣接するもの同士が、電線配索溝部64と反対側でバスバ収容部側ヒンジ71によって連結されている。バスバ収容部側ヒンジ71は、断面C字形状に形成されて弾性変形可能なヒンジであり、その両端が、バスバ収容部60を構成する周壁部62に連設されている。そして、バスバ収容部側ヒンジ71で連結されたバスバ収容部60同士は、互いに可動とされている。
【0033】
また、並設された複数の電線配索溝部64は、互いに隣接するもの同士が、適宜一つ置き又は複数置きに、溝部側ヒンジ72によって連結されている。溝部側ヒンジ72は、断面C字形状に形成されて弾性変形可能なヒンジであり、その両端が、電線配索溝部64の他方の側壁66B側に連設されている。そして、溝部側ヒンジ72で連結された電線配索溝部64同士は、互いに可動とされている。
【0034】
さらに、並設された複数の蓋部67同士は、互いに隣接するもの同士が、適宜一つ置き又は複数置きに、蓋部側ヒンジ73によって連結されている。蓋部側ヒンジ73は、断面C字形状に形成されて弾性変形可能なヒンジであり、その両端が、蓋部67に連設されている。そして、蓋部側ヒンジ73で連結された蓋部67同士は、互いに可動とされている。
【0035】
また、電線配索溝部64の間を連結する溝部側ヒンジ72と、蓋部67の間を連結する蓋部側ヒンジ73とは、電池20の重なり方向に互いにずれて交互に設定され、隣接した電線配索溝部64及び蓋部67の間には、溝部側ヒンジ72又は蓋部側ヒンジ73の何れか一方のみが配置されている。
【0036】
上記のように構成された電線配索体6を備える本実施形態に係るバスバモジュール1では、バスバ収容部側ヒンジ71、溝部側ヒンジ72及び蓋部側ヒンジ73が弾性変形することにより、バスバ収容部60、電線配索溝部64及び蓋部67の電池20の重なり方向に隣接するもの同士の距離を近づけたり離したりして、各電池20や電線配索体6等の形状誤差を吸収し、これにより、電源装置10の組立性を向上させることができる。
【0037】
しかも、並設された複数のバスバ収容部60の間を連結するバスバ収容部側ヒンジ71が、溝部側ヒンジ72又は蓋部側ヒンジ73と協働することで、電線配索体6の全体の強度を維持することが出来る。
【0038】
図4は、参考例に係るバスバモジュール1Aの電線配索溝部64側から視た一部の拡大斜視図である。
図4に示すように、参考例に係るバスバモジュール1Aの電線配索体6Aでは、互いに隣接する電線配索溝部64同士が溝部側ヒンジ72で連結されると共に、互いに隣接する蓋部67同士が蓋部側ヒンジ73で連結されている。このような電線配索体6Aでは、溝部側ヒンジ72及び蓋部側ヒンジ73によって過剰に連結されているため、電線配索体6Aを伸縮させて電池集合体2の公差を吸収しながら電池集合体2へ組み付ける際に必要な力が大きくなり、作業者の負担が大きくなってしまう。
【0039】
これに対して、本実施形態に係るバスバモジュール1では、電線配索溝部64の間を連結する溝部側ヒンジ72と、蓋部67の間を連結する蓋部側ヒンジ73とが、電池20の重なり方向に互いにずれて交互に設定され、隣接した電線配索溝部64及び蓋部67の間に、溝部側ヒンジ72又は蓋部側ヒンジ73の何れか一方のみが配置されて過剰なヒンジが削減された為、電線配索体6の強度を維持しつつ、組付け作業性を向上させることができる。これにより、本実施形態では、バスバモジュール1を取り付ける際の作業性が向上した電源装置10を提供できる。
【0040】
なお、上記実施形態では、溝部側ヒンジ72による電線配索溝部64同士の連結箇所を一つの溝部側ヒンジ72で連結し、蓋部側ヒンジ73による蓋部67同士の連結箇所を一つの蓋部側ヒンジ73で連結したが、電線配索溝部64同士を二つ以上の溝部側ヒンジ72で連結し、蓋部側ヒンジ73による蓋部67同士を二つ以上の蓋部側ヒンジ73で連結しても良い。この場合も、溝部側ヒンジ72による電線配索溝部64同士の連結箇所及び蓋部側ヒンジ73による蓋部67同士の連結箇所を交互に設定する。
【0041】
次に、本実施形態に係るバスバモジュール1の検査線配索体80について説明する。
図5は、検査線配索体80のサーミスタ収容部85を示す図であって、図5の(a)は蓋部82を装着した状態の検査線配索体80の要部斜視図、図5の(b)は蓋部82を省略した状態の検査線配索体80の要部斜視図である。図6は、検査線配索体80のサーミスタ収容部85の平面図である。図7及び図8は、図6におけるA−A断面図及びB−B断面図である。図9は、検査線配索体80のサーミスタ収容部85の下方から視た斜視図である。
【0042】
図5の(a),(b)に示すように、ブリッジ部81によって電線配索体6に連結された検査線配索体80は、バスバ収容部60に対して間隔をあけて連結されている。検査線配索体80が装着される電池集合体2は、電池樹脂枠100を有している。電池樹脂枠100は、電池20の配列に沿う一対の縦梁部101を有しており、これらの縦梁部101は、互いに間隔をあけて配置されている。また、電池樹脂枠100は、縦梁部101に連結された複数の仕切壁102を有している。これらの仕切壁102は、互いに間隔をあけて隣接する電池本体21の間にそれぞれ配置されている。ブリッジ部81で電線配索体6に連結された検査線配索体80は、バスバ収容部60に対して電池樹脂枠100の一方の縦梁部101を挟んだ位置に配置されている。検査線配索体80は、上方が開口した桶状に形成されている。検査線配索体80は、蓋部82を有しており、蓋部82は、検査線配索体80の上部を塞ぐように、検査線配索体80に対して上方から装着される。
【0043】
図6から図8に示すように、検査線配索体80は、サーミスタ収容部85を有しており、このサーミスタ収容部85には、サーミスタ110が収容されている。サーミスタ収容部85は、サーミスタ110が上方から嵌合される角筒状の嵌合筒86を有している。サーミスタ収容部85の嵌合筒86は、電池集合体2の電池樹脂枠100の縦梁部101側に、枠状に形成されたロック部88を有している。縦梁部101には、その側面に係止突起105が形成されており、この係止突起105がロック部88を係止する。検査線配索体80は、ロック部88が係止突起105に係止されることで、電池集合体2の電池樹脂枠100に保持される。
【0044】
サーミスタ110は、先端が温度検出部111とされており、両側部には、弾性片112を有する係止部113を備えている。サーミスタ110は、その後端から検査線114が引き出されている。検査線114は、検査線配索体80に収容されて配索され、図示しないECUが備える温度検出回路に接続される。そして、このECUが、温度検出回路によって検出された電池集合体2の温度に基づいて、電池集合体2の状態等を検出する。
【0045】
嵌合筒86には、その内部における両端部分に、内方へ突出する固定凸部87が形成されている(図6,7参照)。これらの固定凸部87は、嵌合筒86に挿し込まれたサーミスタ110の弾性片112を係止する。サーミスタ110は、固定凸部87に弾性片112が係止されることで、サーミスタ収容部85に保持され、弾性片112の弾性力によって温度検出部111が電池集合体2の電池20の上面に付勢されて押し付けられる。
【0046】
図9に示すように、サーミスタ収容部85には、電池樹脂枠100の縦梁部101側へ突出する複数の横リブ91が形成されている。これらの横リブ91は、上方側に四つ配置され、下方側に二つ配置されている。上方側に配置された横リブ91は、内側の二つがロック部88に形成され、外側の二つが嵌合筒86の側面におけるロック部88を挟んだ位置に形成されている。下方側に配置された横リブ91は、ロック部88に形成されている。これらの横リブ91は、その先端が電池樹脂枠100における縦梁部101の側面に当接し、サーミスタ収容部85の短手方向の傾きを防止する。
【0047】
また、検査線配索体80の底部には、サーミスタ収容部85の嵌合筒86を挟んだ長手方向の両側に、二つの縦リブ92が形成されている。これらの縦リブ92は、その先端が電池樹脂枠100における仕切壁102の上面に当接し、サーミスタ収容部85の長手方向の傾きを防止する。
【0048】
上記構成により、サーミスタ収容部85は、嵌合筒86に形成されたロック部88の周囲で横リブ91及び縦リブ92が電池集合体2の電池樹脂枠100に当接して短手方向及び長手方向の傾きが防止される。したがって、このサーミスタ収容部85の嵌合筒86に収容したサーミスタ110の姿勢を安定させ、温度検出部111を電池集合体2の電池樹脂枠100に確実に当接させた状態に維持させて温度の検出精度を高めることができる。特に、サーミスタ収容部85の付近に、横リブ91及び縦リブ92からなる傾き防止構造を設けることで、バスバ収容部60に隣接した位置でなくても、サーミスタ収容部85の設定が可能となり、サーミスタ110による温度の検出位置を自由に設定できる。
【0049】
尚、本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、適宜、変形、改良、等が可能である。その他、上述した実施形態における各構成要素の材質、形状、寸法、数、配置箇所、等は本発明を達成できるものであれば任意であり、限定されない。
【0050】
ここで、上述した本発明に係るバスバモジュール及び電源装置の実施形態の特徴をそれぞれ以下[1]及び[2]に簡潔に纏めて列記する。
[1] 複数の単電池(電池20)で構成された電池集合体(2)の各単電池(電池20)を互いに電気的に接続する複数のバスバ(3)と、前記複数のバスバ(3)に電気的に接続される複数の電線(5)と、前記複数の電線(5)を収容する電線配索体(6)と、を備えるバスバモジュール(1)であって、
前記電線配索体(6)が、
上方に開口する樋状に形成されて前記複数の単電池(電池20)の重なり方向に沿って並べられた複数の電線配索溝部(64)と、
前記電線配索溝部(64)の一方の側壁(66A)にヒンジ(67A)を介して回動可能に連設され、前記電線配索溝部(64)の溝開口を塞ぐように前記電線配索溝部(64)にそれぞれ被せられる複数の蓋部(67)と、を備え、
並設された複数の前記電線配索溝部(64)の間を連結し、連結された前記電線配索溝部(64)同士を可動とする溝部側ヒンジ(72)と、並設された複数の前記蓋部(67)の間を連結し、連結された前記蓋部(67)同士を可動とする蓋部側ヒンジ(73)とが、単電池(電池20)の重なり方向に互いにずれて交互に設定され、
隣接した前記電線配索溝部(64)及び前記蓋部(67)の間には、前記溝部側ヒンジ(72)又は前記蓋部側ヒンジ(73)の何れか一方のみが配置されることを特徴とするバスバモジュール。
[2] 複数の単電池(電池20)で構成された電池集合体(2)と、前記電池集合体(2)に重ねて取り付けられるとともに前記各単電池(電池20)を互いに電気的に接続するバスバモジュール(1)とを備える電源装置(10)であって、
前記バスバモジュール(1)として、上記[1]に記載のバスバモジュール(1)を有していることを特徴とする電源装置。
【符号の説明】
【0051】
1:バスバモジュール
2:電池集合体
3:バスバ
5:電線
6:電線配索体
10:電源装置
20:電池(単電池)
64:電線配索溝部
66A,66B:側壁
67:蓋部
67A:ヒンジ
72:溝部側ヒンジ
73:蓋部側ヒンジ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9