【課題を解決するための手段】
【0008】
これに関して、本発明は、地盤を掘削方向に掘削する方法であって、
第一端と
前記第一端と反対側の第二端とをそれぞれ有する第一、第二掘削チューブ
であって、前記第一掘削チューブの前記第一端が前記第二掘削チューブの前記第二端に固定可能である第一、第二掘削チューブを少なくとも
準備するステップと、
関節を有するモータ駆動のアームであって、少なくとも三つの関節点を有し、スライド部を有さず、グリッパ部材を有する、マニピュレータアームを設けるステップと、
前記グリッパ部材を移動させることで前記第一掘削チューブを取り出し、前記グリッパ部材
により前記第一掘削チューブ
の前記第一端
を保持するステップと、
前記グリッパ部材を移動させることで、
前記第一掘削チューブを
前記掘削方向に合わせるステップと、
前記グリッパ部材を
前記掘削方向に移動させることで、
前記第一掘削チューブ
を地盤内へと駆
動させるステップと、
前記第一掘削チューブが
地盤内へと駆動された後、
前記グリッパ部材から
前記第一掘削チューブを離すステップと、
前記グリッパ部材を移動させることで前記第二掘削チューブを取り出し、前記グリッパ部材
により前記第二掘削チューブ
の前記第一端
を保持するステップと、
前記グリッパ部材を移動させて、
前記第二掘削チューブの
前記第二端を
前記第一掘削チューブの
前記第一端と対向する位置に移動させるステップと、
前記第二掘削チューブの
前記第二端を
前記第一掘削チューブの
前記第一端に締結するステップと、
前記グリッパ部材を
前記掘削方向に移動させることで、
前記第一掘削チューブに締結された
前記第二掘削チューブを地盤内へと駆動
させるステップと、を有する
掘削方法を提供する。
【0009】
本発明において、「掘削チューブ」は掘削パイプを包含する。掘削パイプの直径は掘削チューブの直径より小さくてもよい。
【0010】
マニピュレータアームを動作させることで、第一、第二掘削チューブを保持して、掘削方向に合わせ、互いに対して固定して、管状の長大な掘削機構を形成し、この機構を地盤に挿入する。
【0011】
好ましくは、関節を有するマニピュレータアームを動作させてグリッパ部材を移動させる動作は、マニピュレータアームを少なくとも一箇所で変形させることを含む。換言すると、グリッパ部材はマニピュレータアームが変形することで、掘削方向に移動する。
【0012】
さらに、アラインメントを行うステップは、掘削チューブの長軸を掘削方向に合わせることを含む。
【0013】
グリッパ部材により、例えば、挟み込むようにグリッパ部材を移動させる、またはネジ止めするようにグリッパ部材を回転させることで、第二掘削チューブを第一掘削チューブに締結する。
【0014】
好ましくは、第一掘削チューブとの締結以前に、第二掘削チューブも掘削方向に合わせられる。
【0015】
好ましくは、マニピュレータアームは、グリッパ部材を掘削方向と一致した直線経路に沿って配置し移動させるだけの自由度を持った、関節を有するロボットであり、マニピュレータアームはアームを変形、移動させるように動作する。
【0016】
本発明では、掘削チューブはスライド部を必要とすることなく地盤に挿入可能であり、マニピュレータアームが掘削チューブを掘削方向に合わせる。
【0017】
掘削方向に沿って押し出す力は、グリッパ部材を掘削方向に沿って移動させることによって得られる。より正確には、マニピュレータアームを変形により動作させ、グリッパ部材を掘削方向に移動させることで、第一掘削チューブを掘削方向に押し出す。
【0018】
第一掘削チューブを地盤内へと駆動
させるために、グリッパ部材は第一掘削チューブを掘削方向に沿って押し出す。
【0019】
本発明では、地盤の掘削方向は、水平、垂直、または斜めでもよい。本発明の方法は、略垂直な壁の掘削に特に用いられる。
【0020】
好適な実施形態において、第一、第二掘削チューブは、マニピュレータアームの近辺に設けられた少なくとも一つの保管ゾーンに保管される。グリッパ部材は、保管ゾーンから第一、第二掘削チューブを連続して取り出す。本発明では、掘削チューブを整列させて保管する必要がなく、マニピュレータアームは、掘削チューブを配置する前に、向きに関係なく掘削チューブをその一端で保持するように構成されている。
【0021】
本発明の範囲内において、本発明の方法は、二つ以上の掘削チューブからなる管状掘削機構が地盤を掘削するように繰り返し実行されてもよい。
【0022】
好ましくは、掘削作業の後、グリッパ部材を管状の掘削機構を引き抜くのに用いて、掘削チューブを切り離して地盤から抜き出し、最終的には保管ゾーンに戻す。
【0023】
よって、本発明の掘削方法は、付加的かつ専用のツールが掘削チューブを取り出してスライド部に配置することを一般的に必要とする従来の方法より、早くかつ簡単に実施可能である。
【0024】
好ましくは、第一掘削チューブは、掘削方向に沿った方向に押し出されつつ回転させられることにより、地盤内へと駆動される。
【0025】
好ましくは、第一掘削チューブは、掘削方向に沿った方向に押し出されつつ振動させられることにより、地盤内へと駆動される。
【0026】
必須ではないが好ましくは、第一掘削チューブを振動させることと回転させることを組み合わせる。
【0027】
好適な実施形態において、掘削方向と略平行な軸を有する維持部材を設け、維持部材を掘削される地盤と面するように配置し、第一掘削チューブの第二端を維持部材に挿入した後に第一掘削チューブが地盤内へと駆動される。
【0028】
維持部材の機能は、例えば第一掘削チューブが第二掘削チューブに締結される際に第一掘削チューブを地盤内に保持するために、第一掘削チューブの移動を阻止することである。
【0029】
好適には、維持部材は事前に地盤に固定される。一実施形態において、維持部材は掘削される壁に固定される。
【0030】
必須ではないが好ましくは、維持部材は第一掘削チューブのガイドを容易にするガイド手段を有する。
【0031】
一変形例において、維持部材は掘削される壁に面するが固定されないように構成される。
【0032】
好ましくは、第一掘削チューブが地盤内へと駆動されるとき、必要であれば維持部材の位置および/または方向を調節することで、第一掘削チューブを掘削方向に合った状態に維持する。
【0033】
第一掘削チューブの整合状態をモニタリングすることにより、掘削経路を修正することができる。グリッパ部材の位置および/または方向を定期的に、好ましくはリアルタイムで修正することで、掘削中に掘削経路を定期的に修正する。
【0034】
本発明は、さらに、前記掘削方法によって掘削方向に沿って地盤を掘削する装置であって、
第一端と
前記第一端と反対側の第二端とをそれぞれ有
する第一、第二掘削チューブであって、
前記第一掘削チューブの前記第一端が前記第二掘削チューブの
前記第二端
に固定可能である、少なくとも第一、第二掘削チューブと、
少なくとも三つの関節点を有し、スライド部を有さない、関節を有するマニピュレータアームであって、
前記第一、第二掘削チューブの一つをその第一端で保持するように構成されたグリッパ部材
と、前記第一掘削チューブを
前記掘削方向に合わせるアラインメント手段と、
前記グリッパ部材を前記掘削方向(D)に移動させることで、前記第一掘削チューブ
が地盤内へと駆動
されるように前記マニピュレータアームを動作させる、アクチュエータ手段と、
前記第二掘削チューブの
前記第二端を
前記第一掘削チューブの
前記第一端に締結する、締結手段と、
前記グリッパ部材を
前記掘削方向に移動させることで、
前記第一掘削チューブに締結された
前記第二掘
削チューブを
地盤内へと駆動
させる掘削手段と、を備えたマニピュレータアームと
、
前記掘削方向と略平行な軸を有する維持部材であって、前記第一、第二掘削チューブの一つが貫通可能に構成された維持部材と、を有する
掘削装置を開示する。
【0035】
上記のように、マニピュレータアームは変形可能であり、グリッパ部材を特に直線方向に沿って操縦し移動させるだけの複数段階の自由度を持っている。マニピュレータアームは、よって、変形および/または移動するように動作され、この動作は回転動作であってもよい。
【0036】
第一、第二掘削チューブの一つを地盤内へと駆動する
アクチュエータ手段は、掘削チューブをその第一端で保持したグリッパ部材を掘削方向に沿って移動させるように構成されている。このために、グリッパ部材は掘削方向に沿って掘削チューブを押し出す。マニピュレータアームは、好ましくは、掘削方向に沿った押し出す力をグリッパ部材に付与するアームを有する。
【0037】
本発明の好適な実施形態において、マニピュレータアームは掘削チューブをガイドする長いスライド部を有さない。換言すると、マニピュレータアームは、掘削チューブと略同じ長さか掘削チューブより長い、
図12に示すようなスライド部を有さない。
【0038】
好ましくは、グリッパ部材による第一掘削チューブの押し出しは、掘削の実行中に決定、好ましくは修正される。
【0039】
さらに好ましくは、第一掘削チューブが貫入する速度は、掘削の実行中に決定、好ましくは修正される。
【0040】
このために、マニピュレータアームは、掘削チューブの貫入速度と掘削チューブに掛ける力を決定するための変位センサと力センサとを有する。これらの値は定期的に、好ましくはリアルタイムで目標値と比較される。これらの値を修正すべく、オペレータは押出力またはグリッパ部材の移動速度を変更することができる。好ましい変形例において、修正は自動的に行われる。
【0041】
アラインメント手段は、掘削チューブの長軸を掘削方向に合わせる。
【0042】
好ましくは、装置は、グリッパ部材の位置と方向を三次元的に決定する測定手段をさらに有し、前記アラインメント手段が測定手段からの測定データを利用する。
【0043】
アラインメント手段はまた、掘削中に掘削チューブの経路を修正して、掘削経路が掘削中に直線を保つようにすることができる。
【0044】
測定手段は、定期的に、好ましくはリアルタイムでグリッパ部材の位置と方向を決定して、グリッパ部材によって保持される掘削チューブの位置と方向を決定する。
【0045】
さらに、好ましくは、マニピュレータアームの経路、速度、力がサーボ制御される。
【0046】
または、アラインメント手段は、好ましくは、掘削方向を規定するレーザー光線に追従するのに適したセンサを有する。
【0048】
好ましくは、維持部材が、地盤に対する第一掘削チューブの掘削方向に沿った移動を阻止する、制御可能な阻止装置をさらに有する。
【0049】
例えば、阻止装置は、グリッパ部材が例えばクランプやネジ止めで第二掘削チューブを第一掘削チューブに固定する際に、第一掘削チューブを地盤に固定するように動作される。
【0050】
阻止装置は、さらに、掘削チューブを抜き取る段階において、グリッパ部材が第二掘削チューブを第一掘削チューブから離す際に、第一掘削チューブを固定するように動作される。
【0051】
有利な実施形態において、維持部材が、第一掘削チューブが維持部材
に貫通しているときに、少なくとも第一掘削チューブを回転させる回転ヘッドをさらに有する。
【0052】
この実施形態では、グリッパ部材は掘削チューブの掘削方向にのみ押出力を掛け、また維持部材の回転ヘッドが第一掘削チューブを回転させる。
【0053】
好ましくは、マニピュレータアームが、少なくとも第一掘削チューブを回転および/または振動させるアクチュエータヘッドをさらに有する。
【0054】
一実施形態において、グリッパ部材は前記アクチュエータヘッドを有する。
【0055】
別の実施形態において、前記装置は少なくとも一つの掘削パイプをさらに有し、地盤に挿入された第一掘削チューブ内に掘削パイプが挿入されるようにグリッパ部材が掘削パイプを保持する。
【0056】
変形例において、掘削チューブを第一掘削チューブに挿入する前に、第一掘削チューブがまず地盤に挿入される。別の変形例において、機構を地盤に挿入する前に、掘削チューブが第一掘削チューブに挿入される。
【0057】
最後に、望ましい実施形態において、マニピュレータアームは、少なくとも三つの関節点を有する、関節付きのロボットである。