特許第6675415号(P6675415)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6675415ムスカリンM1受容体及び/またはM4受容体のアゴニストとしてのスピロ環状化合物
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6675415
(24)【登録日】2020年3月12日
(45)【発行日】2020年4月1日
(54)【発明の名称】ムスカリンM1受容体及び/またはM4受容体のアゴニストとしてのスピロ環状化合物
(51)【国際特許分類】
   C07D 471/10 20060101AFI20200323BHJP
   C07D 498/10 20060101ALI20200323BHJP
   C07D 498/20 20060101ALI20200323BHJP
   A61K 31/438 20060101ALI20200323BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20200323BHJP
   A61P 25/28 20060101ALI20200323BHJP
   A61P 25/18 20060101ALI20200323BHJP
   A61P 25/04 20060101ALI20200323BHJP
   A61P 25/00 20060101ALI20200323BHJP
【FI】
   C07D471/10 101
   C07D498/10 ACSP
   C07D498/20
   A61K31/438
   A61P43/00 111
   A61P25/28
   A61P25/18
   A61P25/04
   A61P25/00
【請求項の数】22
【全頁数】100
(21)【出願番号】特願2017-549261(P2017-549261)
(86)(22)【出願日】2016年3月21日
(65)【公表番号】特表2018-508562(P2018-508562A)
(43)【公表日】2018年3月29日
(86)【国際出願番号】GB2016050771
(87)【国際公開番号】WO2016147011
(87)【国際公開日】20160922
【審査請求日】2019年1月31日
(31)【優先権主張番号】1504675.8
(32)【優先日】2015年3月19日
(33)【優先権主張国】GB
(73)【特許権者】
【識別番号】514120896
【氏名又は名称】ヘプタレス セラピューティクス リミテッド
【氏名又は名称原語表記】Heptares Therapeutics Limited
(74)【代理人】
【識別番号】100140109
【弁理士】
【氏名又は名称】小野 新次郎
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【弁理士】
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100120112
【弁理士】
【氏名又は名称】中西 基晴
(74)【代理人】
【識別番号】100133765
【弁理士】
【氏名又は名称】中田 尚志
(72)【発明者】
【氏名】コングリーヴ,マイルズ・スチュアート
(72)【発明者】
【氏名】ブラウン,ジャイルズ・アルバート
(72)【発明者】
【氏名】テハン,ベンジャミン・ジェラルド
(72)【発明者】
【氏名】ピックワース,マーク
(72)【発明者】
【氏名】キャンズフィールド,ジュリー・エレイン
【審査官】 水島 英一郎
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2014/045031(WO,A1)
【文献】 国際公開第99/032489(WO,A1)
【文献】 特表2015−501799(JP,A)
【文献】 特表2009−521483(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07D
CAplus(STN)
REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(1)の化合物
【化1】
またはその塩
(式中、
pは、0、1または2であり;
qは、1または2であり;
rは、1または2であり;
sは、1または2であり(r及びsの合計は、2または3である);
Xは、CまたはNであり;
Zは、CHNH、OまたはSであり;
Yは、NH、O、SまたはCHであり;
は、H、ハロ、CN、OH、C1〜3アルコキシ、NH、任意選択により置換されたC1〜6アルキル、任意選択により置換されたC2〜6アルケニル、任意選択により置換されたC2〜6アルキニル、任意選択により置換されたC3〜6シクロアルキル、任意選択により置換されたC3〜6シクロアルケニル、WまたはCH−Wとすることができ、Wは、任意選択により置換された5員または6員のシクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリールまたはヘテロアリール環、NR、COOR、CONR、NRCONR、NRCOOR、OCONR、SR、SOR、SO;SOであり;
は、独立して、H、ハロ、CN、OH、C1〜3アルコキシ、NH、任意選択により置換されたC1〜6アルキル、任意選択により置換されたC2〜6アルケニル、任意選択により置換されたC2〜6アルキニル、任意選択により置換されたC3〜6シクロアルキル、任意選択により置換されたC3〜6シクロアルケニル、WまたはCH−Wとすることができ、Wは、任意選択により置換された5員または6員のシクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリールまたはヘテロアリール環、NR、COOR、CONR、NRCONR、NRCOOR、OCONR、SR、SOR、SOであり;あるいは、R及びRは共に、任意選択により置換されたシクロアルキルまたはヘテロシクロアルキル環を形成し;
は、独立して、H、任意選択により置換されたC1〜6アルキル、任意選択により置換されたC2〜6アルケニル、任意選択により置換されたC2〜6アルキニル、任意選択により置換されたC3〜6シクロアルキル、任意選択により置換されたC3〜6シクロアルケニル、WまたはCH−Wとすることができ、Wは、任意選択により置換された5員または6員のシクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリールまたはヘテロアリール環であり;あるいは、R及びRは共に、任意選択により置換されたシクロアルキルまたはヘテロシクロアルキル環を形成し;
は、H、任意選択により置換されたC1〜5アルキル、任意選択により置換されたC1〜5アルケニル、任意選択により置換されたC1〜5アルキニル、任意選択により置換されたC2〜6シクロアルキル、任意選択により置換されたC2〜6シクロアルケニルとすることができ;
、R及びRは、独立して、H、C1〜6アルキルとすることができる)。
【請求項2】
が、H、ハロ、CN、OH、C1〜3アルコキシ、NH、任意選択により置換されたC3〜6シクロアルキル、任意選択により置換されたC1〜6アルキルまたはCH−Wから選択され、Wは、任意選択により置換された6員のアリールまたはヘテロアリール環である、請求項1に記載の化合物またはその塩
【請求項3】
が、H、ハロ、CN、OH、C1〜3アルコキシ、NH、C3〜6シクロアルキル、またはC1〜6アルキルから選択される、請求項1に記載の化合物またはその塩
【請求項4】
が、H、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、シクロブチルまたはベンジルから選択され、あるいは、R及びRが共にシクロアルキル環を形成する、請求項1から3のいずれか1項に記載の化合物またはその塩
【請求項5】
が、HまたはC1〜5アルキルである、請求項1から4のいずれか1項に記載の化合物またはその塩
【請求項6】
が、H、メチル、フルオロメチル、エチル、エチニル及び1−プロピニルから選択される、請求項1から5のいずれか1項に記載の化合物またはその塩
【請求項7】
pが、0である、請求項1から6のいずれか1項に記載の化合物またはその塩
【請求項8】
qが、1である、請求項1から7のいずれか1項に記載の化合物またはその塩
【請求項9】
Zが、CHNHまたはOである、請求項1から8のいずれか1項に記載の化合物またはその塩
【請求項10】
Xが、Cである、請求項1から9のいずれか1項に記載の化合物またはその塩
【請求項11】
rが1であり、sが1である、請求項1から10のいずれか1項に記載の化合物またはその塩
【請求項12】
rが1であり、sが2である、請求項1から10のいずれか1項に記載の化合物またはその塩。
【請求項13】
rが2であり、sが1である、請求項1から10のいずれか1項に記載の化合物またはその塩
【請求項14】
請求項1に記載の化合物であって、
エチル 6−(3−オキソ−2,8−ジアザスピロ[4.5]デカ−8−イル)−2−アザスピロ[3.3]ヘプタン−2−カルボキシレート、
エチル 6−(4−エチル−2−オキソ−1−オキサ−3,8−ジアザスピロ[4.5]デカ−8−イル)−2−アザスピロ[3.3]ヘプタン−2−カルボキシレート、
エチル 6−(3,4−ジエチル−2−オキソ−1−オキサ−3,8−ジアザスピロ[4.5]デカ−8−イル)−2−アザスピロ[3.3]ヘプタン−2−カルボキシレート、
エチル 6−(4,4−ジメチル−2−オキソ−1−オキサ−3,8−ジアザスピロ[4.5]デカン−8−イル)−2−アザスピロ[3.3]ヘプタン−2−カルボキシレート、
エチル 6−(3−エチル−4,4−ジメチル−2−オキソ−1−オキサ−3,8−ジアザスピロ[4.5]デカ−8−イル)−2−アザスピロ[3.3]ヘプタン−2−カルボキシレート、
エチル 6−(3’−オキソテトラヒドロ−1H −スピロ[ピペリジン−4,1’−ピロロ[1,2−c][1,3]オキサゾール]−1−イル)−2−アザスピロ[3.3]ヘプタン−2−カルボキシレート、
メチル 2−(3−オキソ−2,8−ジアザスピロ[4.5]デカ−8−イル)−6−アザスピロ[3.4]オクタン−6−カルボキシレート、
エチル 2−(3−オキソ−2,8−ジアザスピロ[4.5]デカ−8−イル)−6−アザスピロ[3.4]オクタン−6−カルボキシレート、
エチル 2−(1−メチル−3−オキソ−2,8−ジアザスピロ[4.5]デカ−8−イル)−6−アザスピロ[3.4]オクタン−6−カルボキシレート、
メチル 2−(1−エチル−3−オキソ−2,8−ジアザスピロ[4.5]デカ−8−イル)−6−アザスピロ[3.4]オクタン−6−カルボキシレート、
エチル 2−(1−エチル−3−オキソ−2,8−ジアザスピロ[4.5]デカ−8−イル)−6−アザスピロ[3.4]オクタン−6−カルボキシレート、
エチル 2−(3−オキソ−1−プロピル−2,8−ジアザスピロ[4.5]デカ−8−イル)−6−アザスピロ[3.4]オクタン−6−カルボキシレート、
メチル 2−(1−ベンジル−3−オキソ−2,8−ジアザスピロ[4.5]デカ−8−イル)−6−アザスピロ[3.4]オクタン−6−カルボキシレート、
エチル 2−(1−ベンジル−3−オキソ−2,8−ジアザスピロ[4.5]デカ−8−イル)−6−アザスピロ[3.4]オクタン−6−カルボキシレート、
エチル 2−(6−フルオロ−3−オキソ−2,8−ジアザスピロ[4.5]デカ−8−イル)−6−アザスピロ[3.4]オクタン−6−カルボキシレート、
メチル 2−(2−オキソ−1−オキサ−3,8−ジアザスピロ[4.5]デカ−8−イル)−6−アザスピロ[3.4]オクタン−6−カルボキシレート、
)メチル 2−(2−オキソ−1−オキサ−3,8−ジアザスピロ[4.5]デカ−8−イル)−6−アザスピロ[3.4]オクタン−6−カルボキシレート、
エチル 2−(2−オキソ−1−オキサ−3,8−ジアザスピロ[4.5]デカ−8−イル)−6−アザスピロ[3.4]オクタン−6−カルボキシレート、
プロパン−2−イル 2−(2−オキソ−1−オキサ−3,8−ジアザスピロ[4.5]デカ−8−イル)−6−アザスピロ[3.4]オクタン−6−カルボキシレート、
2−フルオロエチル 2−(2−オキソ−1−オキサ−3,8−ジアザスピロ[4.5]デカ−8−イル)−6−アザスピロ[3.4]オクタン−6−カルボキシレート、
8−(6−ブタノイル−6−アザスピロ[3.4]オクタ−2−イル)−1−オキサ−3,8−ジアザスピロ[4.5]デカン−2−オン、
エチル 2−(2−オキソ−3−プロピル−1−オキサ−3,8−ジアザスピロ[4.5]デカ−8−イル)−6−アザスピロ[3.4]オクタン−6−カルボキシレート、
エチル 2−[2−オキソ−3−(プロパン−2−イル)−1−オキサ−3,8−ジアザスピロ[4.5]デカ−8−イル]−6−アザスピロ[3.4]オクタン−6−カルボキシレート、
エチル 2−[3−(2−メチルプロピル)−2−オキソ−1−オキサ−3,8−ジアザスピロ[4.5]デカ−8−イル]−6−アザスピロ[3.4]オクタン−6−カルボキシレート、
エチル 2−[3−(シクロプロピルメチル)−2−オキソ−1−オキサ−3,8−ジアザスピロ[4.5]デカ−8−イル]−6−アザスピロ[3.4]オクタン−6−カルボキシレート、
エチル 2−(4−メチル−2−オキソ−1−オキサ−3,8−ジアザスピロ[4.5]デカ−8−イル)−6−アザスピロ[3.4]オクタン−6−カルボキシレート、
エチル 2−(4−エチル−2−オキソ−1−オキサ−3,8−ジアザスピロ[4.5]デカ−8−イル)−6−アザスピロ[3.4]オクタン−6−カルボキシレート、
エチル 2−[2−オキソ−4−(プロパン−2−イル)−1−オキサ−3,8−ジアザスピロ[4.5]デカ−8−イル]−6−アザスピロ[3.4]オクタン−6−カルボキシレート、
エチル 2−(4−シクロプロピル−2−オキソ−1−オキサ−3,8−ジアザスピロ[4.5]デカ−8−イル)−6−アザスピロ[3.4]オクタン−6−カルボキシレート、
エチル 2−(4−シクロブチル−2−オキソ−1−オキサ−3,8−ジアザスピロ[4.5]デカ−8−イル)−6−アザスピロ[3.4]オクタン−6−カルボキシレート、
メチル 2−[2−オキソ−4−(2,2,2−トリフルオロエチル)−1−オキサ−3,8−ジアザスピロ[4.5]デカ−8−イル]−6−アザスピロ[3.4]オクタン−6−カルボキシレート、
エチル 2−[2−オキソ−4−(2,2,2−トリフルオロエチル)−1−オキサ−3,8−ジアザスピロ[4.5]デカ−8−イル]−6−アザスピロ[3.4]オクタン−6−カルボキシレート、
エチル 2−(4−ベンジル−2−オキソ−1−オキサ−3,8−ジアザスピロ[4.5]デカ−8−イル)−6−アザスピロ[3.4]オクタン−6−カルボキシレート、
エチル 2−[2−オキソ−4−(ピリジン−2−イルメチル)−1−オキサ−3,8−ジアザスピロ[4.5]デカ−8−イル]−6−アザスピロ[3.4]オクタン−6−カルボキシレート、
エチル 2−(4−エチル−3−メチル−2−オキソ−1−オキサ−3,8−ジアザスピロ[4.5]デカ−8−イル)−6−アザスピロ[3.4]オクタン−6−カルボキシレート、
メチル 2−(3,4−ジエチル−2−オキソ−1−オキサ−3,8−ジアザスピロ[4.5]デカ−8−イル)−6−アザスピロ[3.4]オクタン−6−カルボキシレート、
エチル 2−(3,4−ジエチル−2−オキソ−1−オキサ−3,8−ジアザスピロ[4.5]デカ−8−イル)−6−アザスピロ[3.4]オクタン−6−カルボキシレート、
エチル 2−(4−エチル−2−オキソ−3−プロピル−1−オキサ−3,8−ジアザスピロ[4.5]デカ−8−イル)−6−アザスピロ[3.4]オクタン−6−カルボキシレート、
エチル 2−[4−エチル−3−(2−メチルプロピル)−2−オキソ−1−オキサ−3,8−ジアザスピロ[4.5]デカ−8−イル]−6−アザスピロ[3.4]オクタン−6−カルボキシレート、
エチル 2−[3−(シクロプロピルメチル)−4−エチル−2−オキソ−1−オキサ−3,8−ジアザスピロ[4.5]デカ−8−イル]−6−アザスピロ[3.4]オクタン−6−カルボキシレート、
メチル 2−(4,4−ジメチル−2−オキソ−1−オキサ−3,8−ジアザスピロ[4.5]デカ−8−イル)−6−アザスピロ[3.4]オクタン−6−カルボキシレート、
エチル 2−(4,4−ジメチル−2−オキソ−1−オキサ−3,8−ジアザスピロ[4.5]デカ−8−イル)−6−アザスピロ[3.4]オクタン−6−カルボキシレート、
メチル 2−(12−オキソ−11−オキサ−8,13−ジアザジスピロ[3.0.5.3]トリデカ−8−イル)−6−アザスピロ[3.4]オクタン−6−カルボキシレート、
エチル 2−(12−オキソ−11−オキサ−8,13−ジアザジスピロ[3.0.5.3]トリデカ−8−イル)−6−アザスピロ[3.4]オクタン−6−カルボキシレート、
エチル 2−(2,2−ジフルオロ−12−オキソ−11−オキサ−8,13−ジアザジスピロ[3.0.5.3]トリデカ−8−イル)−6−アザスピロ[3.4]オクタン−6−カルボキシレート、
エチル 2−(13−オキソ−12−オキサ−9,14−ジアザジスピロ[4.0.5.3]テトラデカ−9−イル)−6−アザスピロ[3.4]オクタン−6−カルボキシレート、
エチル 2−(3,4,4−トリメチル−2−オキソ−1−オキサ−3,8−ジアザスピロ[4.5]デカ−8−イル)−6−アザスピロ[3.4]オクタン−6−カルボキシレート、
エチル 2−[4,4−ジメチル−3−()メチル−2−オキソ−1−オキサ−3,8−ジアザスピロ[4.5]デカ−8−イル]−6−アザスピロ[3.4]オクタン−6−カルボキシレート、
メチル 2−(3−エチル−4,4−ジメチル−2−オキソ−1−オキサ−3,8−ジアザスピロ[4.5]デカ−8−イル)−6−アザスピロ[3.4]オクタン−6−カルボキシレート、
エチル 2−(3−エチル−4,4−ジメチル−2−オキソ−1−オキサ−3,8−ジアザスピロ[4.5]デカ−8−イル)−6−アザスピロ[3.4]オクタン−6−カルボキシレート、
メチル 2−(4,4−ジメチル−2−オキソ−3−プロピル−1−オキサ−3,8−ジアザスピロ[4.5]デカ−8−イル)−6−アザスピロ[3.4]オクタン−6−カルボキシレート、
エチル 2−(4,4−ジメチル−2−オキソ−3−プロピル−1−オキサ−3,8−ジアザスピロ[4.5]デカ−8−イル)−6−アザスピロ[3.4]オクタン−6−カルボキシレート、
エチル 2−[4,4−ジメチル−3−(2−メチルプロピル)−2−オキソ−1−オキサ−3,8−ジアザスピロ[4.5]デカ−8−イル]−6−アザスピロ[3.4]オクタン−6−カルボキシレート、
エチル 2−[3−(シクロプロピルメチル)−4,4−ジメチル−2−オキソ−1−オキサ−3,8−ジアザスピロ[4.5]デカ−8−イル]−6−アザスピロ[3.4]オクタン−6−カルボキシレート、
エチル 2−[3−(2−フルオロエチル)−4,4−ジメチル−2−オキソ−1−オキサ−3,8−ジアザスピロ[4.5]デカ−8−イル]−6−アザスピロ[3.4]オクタン−6−カルボキシレート、
エチル 2−[3−(2−メトキシエチル)−4,4−ジメチル−2−オキソ−1−オキサ−3,8−ジアザスピロ[4.5]デカ−8−イル]−6−アザスピロ[3.4]オクタン−6−カルボキシレート、
エチル 2−[3−(シアノメチル)−4,4−ジメチル−2−オキソ−1−オキサ−3,8−ジアザスピロ[4.5]デカ−8−イル]−6−アザスピロ[3.4]オクタン−6−カルボキシレート、
エチル 2−[4,4−ジメチル−2−オキソ−3−(2,2,2−トリフルオロエチル)−1−オキサ−3,8−ジアザスピロ[4.5]デカ−8−イル]−6−アザスピロ[3.4]オクタン−6−カルボキシレート、
エチル 2−(3’−オキソテトラヒドロ−1H−スピロ[ピペリジン−4,1’−ピロロ[1,2−c][1,3]オキサゾール]−1−イル)−6−アザスピロ[3.4]オクタン−6−カルボキシレート、
メチル 2−(3’−オキソテトラヒドロ−1H−スピロ[ピペリジン−4,1’−ピロロ[1,2−c][1,3]オキサゾール]−1−イル)−6−アザスピロ[3.4]オクタン−6−カルボキシレート、
エチル 2−[4−エチル−3−()メチル−2−オキソ−1−オキサ−3,8−ジアザスピロ[4.5]デカ−8−イル]−6−アザスピロ[3.4]オクタン−6−カルボキシレート、
エチル 2−(3−シクロプロピル−4−エチル−2−オキソ−1−オキサ−3,8−ジアザスピロ[4.5]デカ−8−イル)−6−アザスピロ[3.4]オクタン−6−カルボキシレート、
エチル 2−(4−エチル−3−メトキシ−2−オキソ−1−オキサ−3,8−ジアザスピロ[4.5]デカ−8−イル)−6−アザスピロ[3.4]オクタン−6−カルボキシレート、
メチル 2−(2−オキソ−1,3,8−トリアザスピロ[4.5]デカ−8−イル)−6−アザスピロ[3.4]オクタン−6−カルボキシレート、
エチル 2−(2−オキソ−1,3,8−トリアザスピロ[4.5]デカ−8−イル)−6−アザスピロ[3.4]オクタン−6−カルボキシレート、
メチル 2−(1−エチル−3−オキソ−1,2,8−トリアザスピロ[4.5]デカ−8−イル)−6−アザスピロ[3.4]オクタン−6−カルボキシレート、
エチル 2−(1−エチル−3−オキソ−1,2,8−トリアザスピロ[4.5]デカ−8−イル)−6−アザスピロ[3.4]オクタン−6−カルボキシレート、
メチル 2−(3−オキソ−1−プロピル−1,2,8−トリアザスピロ[4.5]デカ−8−イル)−6−アザスピロ[3.4]オクタン−6−カルボキシレート、
エチル 2−(3−オキソ−1−プロピル−1,2,8−トリアザスピロ[4.5]デカ−8−イル)−6−アザスピロ[3.4]オクタン−6−カルボキシレート、
エチル 2−[3−オキソ−1−(プロパン−2−イル)−1,2,8−トリアザスピロ[4.5]デカ−8−イル]−6−アザスピロ[3.4]オクタン−6−カルボキシレート、
エチル 2−(1−ベンジル−3−オキソ−1,2,8−トリアザスピロ[4.5]デカ−8−イル)−6−アザスピロ[3.4]オクタン−6−カルボキシレート、
エチル 2−(1−エチル−2−メチル−3−オキソ−1,2,8−トリアザスピロ[4.5]デカ−8−イル)−6−アザスピロ[3.4]オクタン−6−カルボキシレート、
エチル 2−(1,2−ジエチル−3−オキソ−1,2,8−トリアザスピロ[4.5]デカ−8−イル)−6−アザスピロ[3.4]オクタン−6−カルボキシレート、
エチル 2−(1−エチル−3−オキソ−2−プロピル−1,2,8−トリアザスピロ[4.5]デカ−8−イル)−6−アザスピロ[3.4]オクタン−6−カルボキシレート、
エチル 2−(2−メチル−3−オキソ−1−プロピル−1,2,8−トリアザスピロ[4.5]デカ−8−イル)−6−アザスピロ[3.4]オクタン−6−カルボキシレート、
エチル 2−[2−()メチル−3−オキソ−1−プロピル−1,2,8−トリアザスピロ[4.5]デカ−8−イル]−6−アザスピロ[3.4]オクタン−6−カルボキシレート、
エチル 2−[1−エチル−2−()メチル−3−オキソ−1,2,8−トリアザスピロ[4.5]デカ−8−イル]−6−アザスピロ[3.4]オクタン−6−カルボキシレート、
エチル 6−(3−オキソ−2,8−ジアザスピロ[4.5]デカ−8−イル)−2−アザスピロ[3.4]オクタン−2−カルボキシレート、
エチル 6−(4−エチル−2−オキソ−1−オキサ−3,8−ジアザスピロ[4.5]デカ−8−イル)−2−アザスピロ[3.4]オクタン−2−カルボキシレート、
エチル 6−(3,4−ジエチル−2−オキソ−1−オキサ−3,8−ジアザスピロ[4.5]デカ−8−イル)−2−アザスピロ[3.4]オクタン−2−カルボキシレート、
エチル 6−(4,4−ジメチル−2−オキソ−1−オキサ−3,8−ジアザスピロ[4.5]デカ−8−イル)−2−アザスピロ[3.4]オクタン−2−カルボキシレート、
エチル 6−(3−エチル−4,4−ジメチル−2−オキソ−1−オキサ−3,8−ジアザスピロ[4.5]デカ−8−イル)−2−アザスピロ[3.4]オクタン−2−カルボキシレート
である、前記化合物またはその塩
【請求項15】
請求項1に記載の化合物であって、
エチル 6−(3−オキソ−2,8−ジアザスピロ[4.5]デカ−8−イル)−2−アザスピロ[3.3]ヘプタン−2−カルボキシレート、
エチル 6−(4−エチル−2−オキソ−1−オキサ−3,8−ジアザスピロ[4.5]デカ−8−イル)−2−アザスピロ[3.3]ヘプタン−2−カルボキシレート、
メチル 2−(3−オキソ−2,8−ジアザスピロ[4.5]デカ−8−イル)−6−アザスピロ[3.4]オクタン−6−カルボキシレート、
メチル 2−(2−オキソ−1−オキサ−3,8−ジアザスピロ[4.5]デカ−8−イル)−6−アザスピロ[3.4]オクタン−6−カルボキシレート、
エチル 2−(2−オキソ−3−プロピル−1−オキサ−3,8−ジアザスピロ[4.5]デカ−8−イル)−6−アザスピロ[3.4]オクタン−6−カルボキシレート、
エチル 2−[3−(シクロプロピルメチル)−2−オキソ−1−オキサ−3,8−ジアザスピロ[4.5]デカ−8−イル]−6−アザスピロ[3.4]オクタン−6−カルボキシレート、
エチル 6−(4−エチル−2−オキソ−1−オキサ−3,8−ジアザスピロ[4.5]デカ−8−イル)−2−アザスピロ[3.4]オクタン−2−カルボキシレート、
エチル 6−(3−エチル−4,4−ジメチル−2−オキソ−1−オキサ−3,8−ジアザスピロ[4.5]デカ−8−イル)−2−アザスピロ[3.4]オクタン−2−カルボキシレート
である、前記化合物またはその塩
【請求項16】
請求項14または15に記載の化合物の薬学的に許容される塩
【請求項17】
請求項1から15のいずれか1項に記載の化合物またはその塩を含む医薬。
【請求項18】
請求項1から15のいずれか1項で定義される化合物またはその塩及び薬学的に許容される添加剤を含む、医薬組成物。
【請求項19】
ムスカリンM及び/またはM受容体アゴニスト活性を有する、請求項1から15のいずれか1項に記載の化合物またはその塩
【請求項20】
請求項1から15のいずれか1項に記載の化合物またはその塩を含む医薬であって、アルツハイマー病、レビー小体型認知症などの認知障害、または統合失調症などの精神障害の治療ための、または急性、慢性、神経障害性、もしくは炎症性の疼痛の治療もしくは重症度緩和のための、前記医薬
【請求項21】
請求項1から15のいずれか1項に記載の化合物またはその塩を含む医薬であって、アルツハイマー病、レビー小体型認知症及び他の認知障害の治療のための、または急性、慢性、神経障害性、もしくは炎症性の疼痛の治療もしくは重症度緩和のための、または嗜癖の治療のための、または運動障害の治療のための、前記医薬
【請求項22】
請求項1から15のいずれか1項に記載の化合物またはその塩を含む医薬であって、統合失調症もしくは他の精神障害の治療ための、または急性、慢性、神経障害性、もしくは炎症性の疼痛の治療もしくは重症度緩和のための、または嗜癖の治療のための、または運動障害の治療のための、前記医薬
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、新規のスピロ環状化合物のクラス、その塩、その化合物を含有する医薬組成物、及び人体の治療におけるその使用に関する。詳細には、本発明は、ムスカリンM受容体及び/またはM受容体のアゴニストであり、したがってアルツハイマー病、統合失調症、認知障害及びムスカリンM/M受容体によって媒介される他の疾患の治療、ならびに疼痛の治療または軽減に有用である、化合物のクラスを対象とする。
【背景技術】
【0002】
ムスカリンアセチルコリン受容体(mAChR)は、中枢神経系及び末梢神経系の両方における神経伝達物質アセチルコリンの作用を媒介する、Gタンパク質共役受容体スーパーファミリーのメンバーである。5つのmAChRサブタイプ、M〜Mがクローニングされている。M mAChRは、主に大脳皮質、海馬、線条体及び視床においてシナプス後に発現し、M mAChRは、主に脳幹及び視床に位置するが、大脳皮質、海馬及び線条体にもあり、そこではコリン作用性シナプス終末上に存在する(Langmead et al.,2008 Br J Pharmacol)。しかし、M mAChRは、心臓組織(そこでは心臓の迷走神経支配を媒介する)ならびに平滑筋及び外分泌腺にも末梢に発現する。M mAChRは、CNSに比較的低いレベルで発現するが、平滑筋ならびに汗腺及び唾液腺などの腺組織において広範に発現する(Langmead et al.,2008 Br J Pharmacol)。
【0003】
中枢神経系におけるムスカリン受容体、特にM mAChRは、高度な認知処理の媒介に重大な役割を果たしている。アルツハイマー病などの認知欠陥に付随する疾患は、前脳基底核におけるコリン作用性ニューロンの喪失に伴うものである(Whitehouse et al.,1982 Science)。認知欠陥も特徴とする統合失調症においては、統合失調症の対象の前頭前皮質、海馬及び尾状核被殻におけるmAChR密度が減少している(Dean et al.,2002 Mol Psychiatry)。さらに、動物モデルにおいては、中枢のコリン作用性経路の遮断または病変は深刻な認知欠損をもたらし、また、非選択性mAChRアンタゴニストは、精神科患者において精神異常作用性効果を誘発することが示されている。コリン作用性補充療法は、主として、内在性アセチルコリンの分解を防止するためのアセチルコリンエステラーゼ抑制剤の使用に基づくものである。これらの化合物は、臨床において症候性認知低下に対する有効性を示しているが、末梢のM及びM mAChRを刺激することに起因する、胃腸運動障害、徐脈、吐き気及び嘔吐を含めた、用量を限定するような副作用を引き起こす(http://www.drugs.com/pro/donepezil.html;http://www.drugs.com/pro/rivastigmine.html)。
【0004】
発見へのさらなる努力は、認知機能の増加を標的にする直接的なM mAChRアゴニストを同定することに向けられてきた。このような努力によって、AF267B、サブコメリン、ミラメリン及びセビメリンなどの化合物によって例示される様々なアゴニストの同定がもたらされた。これらの化合物の多くが、げっ歯類及び/または非ヒト霊長類の両方における認知の前臨床モデルで非常に有効であることが示されている。ミラメリンは、スコポラミンによって誘導された作業記憶及び空間記憶の低下に対して有効性を示し、サブコメリンは、マーモセットにおける視覚対象識別タスクにおいて有効性を示し、キサノメリンは、mAChRアンタゴニストによって誘導された受動的回避パラダイムにおける認知性能低下を反転させた。
【0005】
アルツハイマー病(AD)は、最も一般的な神経変性障害(2006年には全世界で2,660万人の患者)であり、高齢者に影響を及ぼし、深刻な記憶喪失及び認知機能不全をもたらす。この疾患の原因論は複雑であるが、主としてアミロイド−βペプチド(Aβ)から構成されるアミロイドプラークの凝集物、及び高リン酸化タウタンパク質によって形成された神経原線維のもつれという、2つの特徴的な脳の続発症によって特徴づけられる。Aβの蓄積は、ADの進行における中心的な特色と考えられ、そのためADを治療するための多くの療法が、現状はAβ生成の抑制を対象にしていると推定される。Aβは、膜結合型アミロイド前駆体タンパク質(APP)のタンパク分解性切断に由来する。APPは、2つの経路、非アミロイド形成経路及びアミロイド形成経路によって処理される。γ−セクレターゼによるAPP切断は両方の経路に共通しているが、前者のAPPはα−セクレターゼによって切断されて可溶性のAPPαを産生する。切断部位はAβ配列内にあり、これによってAβの形成が妨げられる。しかし、アミロイド形成経路においては、APPはβ−セクレターゼによって切断されて可溶性のAPPβ、そしてAβも産生する。インビトロ研究によって、mAChRアゴニストは可溶性の非アミロイド形成経路に向けてAPP処理を促進し得ることが示された。インビボ研究によって、mAChRアゴニストのAF267Bは、アルツハイマー病の異なる構成要素のモデルである3xTgAD遺伝子導入マウスにおいて、疾患様病態を変化させることが示された(Caccamo et al.,2006 Neuron)。最後に、mAChRアゴニストのセビメリンは、アルツハイマー病患者におけるAβの脳脊髄液レベルに軽微ながらも有意な低減をもたらすことが示され、したがって疾患修飾有効性の可能性を示している(Nitsch et al., 2000 Neurol)。
【0006】
さらに、前臨床研究によって、mAChRアゴニストが様々な前臨床パラダイムにおいて非定型の抗精神病薬様プロファイルを示すことが示唆された。mAChRアゴニストのキサノメリンは、ラットにおけるアンフェタミン誘発運動、マウスにおけるアポモルフィン誘発登はん、片側6−OH−DA破壊ラットにおけるドーパミン誘導回転運動、及びサルにおけるアンフェタミン誘発運動過多(EPS傾向なし)を含めた、多くのドーパミン誘導行動を反転させる。キサノメリンがA10を抑制し、ただしA9、ドーパミン細胞発火及び条件回避を抑制しないことも示されており、また、ラットにおいて前頭前皮質及び側坐核でc−fos発現を誘発するが、線条体では誘発しない。これらのデータは全て、非定型抗精神病薬様プロファイルを連想させる(Mirza et al.,1999 CNS Drug Rev)。ムスカリン受容体は、嗜癖の神経生物学にも関連付けられてきた。コカイン及び他の中毒性物質の強化効果は中脳辺縁系ドーパミン系によって媒介され、行動学及び神経化学の研究で、コリン作動性ムスカリン受容体サブタイプはドーパミン作動性神経伝達の調節に重要な役割を果たすことが示されている。例えば、M(4)(−/−)マウスは、コカインへの曝露の結果として、報酬誘導行動の顕著な亢進を示した(Schmidt et al Psychopharmacology(2011) Aug;216(3):367−78)。さらに、キサノメリンは、これらのモデルにおけるコカインの影響を遮断することが示されている。
【0007】
キサノメリン、サブコメリン、ミラメリン及びセビメリンは全て、アルツハイマー病及び/または統合失調症の治療における様々な段階の臨床開発へと進められてきた。キサノメリンのフェーズII臨床研究では、アルツハイマー病に付随する行動障害及び幻覚を含めた、様々な認知症状領域に対する有効性が示された(Bodick et al.,1997 Arch Neurol)。この化合物は、統合失調症患者に対する小規模なフェーズII研究においても評価され、プラセボ対照と比べると陽性症状及び陰性症状を有意に低減した(Shekhar et al.,2008 Am J Psych)。しかし、全ての臨床研究において、キサノメリン及び他の関連するmAChRアゴニストは、吐き気、胃腸痛、下痢、多汗(過剰な発汗)、過流延(過剰な唾液分泌)、失神及び徐脈を含めた、コリン作用性副作用に関して許容できない安全域を示している。
【0008】
ムスカリン受容体は、中枢性及び末梢性の疼痛に関係している。疼痛は、急性、炎症性、及び神経障害性の3つの異なるタイプに分類することができる。急性の疼痛は、組織損傷をもたらす恐れがある刺激から生物を安全に守る上で重要な防御機能を果たしているが、手術後疼痛の管理が必要とされる。炎症性疼痛は、組織損傷、自己免疫応答及び病原体侵入を含めた多くの理由で発生する可能性があり、ニューロンの炎症及び疼痛をもたらすニューロペプチド及びプロスタグランジンなどの炎症性メディエーターの作用がトリガーとなる。神経障害性疼痛は、無痛性の刺激に対する異常な有痛性感覚に付随するものである。神経障害性疼痛は、脊髄損傷、多発性硬化症、糖尿病(糖尿病性神経障害)、ウイルス感染(例えば、HIVまたはヘルペス)などの、多くの異なる疾患/外傷に付随するものである。これは、がんにおいても、疾患の結果及び化学療法の副作用の両方として一般的に見られる。ムスカリン受容体の活性化は、脊髄の受容体及び脳の高次痛覚中枢の活性化を通じて、多くの疼痛状態に対し鎮痛性を有することが示されている。アセチルコリンエステラーゼ抑制剤を通じたアセチルコリンの内在性レベル増加、アゴニストまたはアロステリック調節剤によるムスカリン受容体の直接的活性化は、鎮痛性活性を有することが示されている。対照的に、アンタゴニストまたはノックアウトマウス使用によるムスカリン受容体の遮断は、疼痛の感受性を増加させる。疼痛におけるM受容体の役割のエビデンスは、D.F.Fiorino and M.Garcia−Guzman,2012によって検討されている。
【0009】
最近になり、末梢に発現されたAChRサブタイプについてM mAChRサブタイプに対する選択性向上を示す少数の化合物が同定された(Bridges et al.,2008 Bioorg Med Chem Lett;Johnson et al.,2010 Bioorg Med Chem Lett;Budzik et al.,2010 ACS Med Chem Lett)。M mAChRサブタイプに比べて選択性のレベルが増加したにもかかわらず、これらの化合物の一部は、このサブタイプ及びM mAChRサブタイプの両方において顕著なアゴニスト活性を保持している。本明細書において、発明者らは、M及びM受容体サブタイプに比べてM及び/またはM mAChRに対する高レベルの選択性を予想外に示す一連の化合物を記載する。
【発明の概要】
【0010】
本発明
本発明は、ムスカリンM及び/またはM受容体アゴニストとしての活性を有する化合物を提供する。より詳細には、本発明は、M及びM受容体サブタイプに比べてMまたはMに対する選択性を示す化合物を提供する。
【0011】
従って、第1の実施形態(実施形態1.1)では、本発明は、式(1)の化合物:
【化1】
またはその塩を提供する
(式中、
pは、0または1であり;
qは、1または2であり;
rは、1または2であり;
sは、1または2であり(r及びsの合計は2または3である);
Xは、CまたはNであり;
Zは、CH、N、OまたはSであり;
Yは、N、O、SまたはCHであり;
は、H、ハロ、CN、OH、C1〜3アルコキシ、NH、任意選択により置換されたC1〜6アルキル、任意選択により置換されたC2〜6アルケニル、任意選択により置換されたC2〜6アルキニル、任意選択により置換されたC3〜6シクロアルキル、任意選択により置換されたC3〜6シクロアルケニル、WまたはCH−Wとすることができ、Wは、任意選択により置換された5員または6員のシクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリールまたはヘテロアリール環、NR、COOR、CONR、NRCONR、NRCOOR、OCONR、SR、SOR、SO;SOであり;
は、h独立して、H、ハロ、CN、OH、C1〜3アルコキシ、NH、任意選択により置換されたC1〜6アルキル、任意選択により置換されたC2〜6アルケニル、任意選択により置換されたC2〜6アルキニル、任意選択により置換されたC3〜6シクロアルキル、任意選択により置換されたC3〜6シクロアルケニル、WまたはCH−Wとすることができ、Wは、任意選択により置換された5員または6員のシクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリールまたはヘテロアリール環、NR、COOR、CONR、NRCONR、NRCOOR、OCONR、SR、SOR、SOであり;あるいは、R及びRは共に、任意選択により置換されたシクロアルキルまたはヘテロシクロアルキル環を形成し;
は、独立して、H、任意選択により置換されたC1〜6アルキル、任意選択により置換されたC2〜6アルケニル、任意選択により置換されたC2〜6アルキニル、任意選択により置換されたC3〜6シクロアルキル、任意選択により置換されたC3〜6シクロアルケニル、WまたはCH−Wとすることができ、Wは、任意選択により置換された5員または6員のシクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリールまたはヘテロアリール環であり;あるいは、R及びRは共に、任意選択により置換されたシクロアルキルまたはヘテロシクロアルキル環を形成し;
は、H、任意選択により置換されたC1〜5アルキル、任意選択により置換されたC1〜5アルケニル、任意選択により置換されたC1〜5アルキニル、任意選択により置換されたC2〜6シクロアルキル、任意選択により置換されたC2〜6シクロアルケニルとすることができ;
、R及びRは、独立して、H、C1〜6アルキルとすることができる)。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1図1は、実施例3−2の異性体2、同4−3の異性体2、同4−12の異性体3及び同4−27の異性体2のデータを示す。
図2図2は、実施例4−12の異性体3及び同4−27の異性体2のデータを示す。
【発明を実施するための形態】
【0013】
特定の好ましい式(1)の化合物は、以下の実施形態1.2〜1.67で定義される通りである。
【0014】
1.2 Rが、Hまたは、0、1もしくは2個の炭素間多重結合を含有するC1〜6非芳香族炭化水素基であり、前記炭化水素基が、任意選択により1〜6個のフッ素原子で置換され、前記炭化水素基の1個または2個の、ただし全てではない炭素原子が、任意選択により、O、N及びSならびにこれらの酸化形態から選択されるヘテロ原子によって置き換えられ得る、実施形態1.1に記載の化合物。
【0015】
1.3 Rが、H、C1〜6アルキル、C2〜5アルケニル、C2〜6アルキニル及び、C3〜6シクロアルキルまたはC5〜6シクロアルケニル基からなるまたはそれを含有するC1〜6非芳香族炭化水素基から選択され、前記アルキル、アルケニル、アルキニル及び非芳香族炭化水素基の各々が、任意選択により1〜6個のフッ素原子で置換され、前記アルキル、アルケニル、アルキニル及び非芳香族炭化水素基の各々の1個または2個の、ただし全てではない炭素原子が、任意選択により、O、N及びSならびにこれらの酸化形態から選択されるヘテロ原子によって置き換えられ得る、実施形態1.1及び1.2のいずれかに記載の化合物。
【0016】
1.4 Rが、基WまたはCH−Wであり(Wは、任意選択により置換された5員または6員のシクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリールまたはヘテロアリール環である)、あるいはR及びRが、共に連結して縮合またはスピロ環状であり得る環を形成する、実施形態1.1に記載の化合物。
【0017】
1.5 Rが、NR、COOR、CONR、NRCONR、NRCOOR、OCONR、SR、SOR、SOであり、式中、R、R及びRは、独立して、H、C1〜6アルキルであり得る、実施形態1.1に記載の化合物。
【0018】
1.6 Rが以下から選択される、実施形態1.1から1.5のいずれか1つに記載の化合物:
・ H;
・ ハロゲン;
・ シアノ;
・ OH;
・ C1〜3アルコキシ;
・ NH
・ 任意選択により1〜6個のフッ素原子で置換されたC1〜6アルキル;
・ C2〜6アルケニル:
・ C2〜6アルキニル;
・ C3〜6シクロアルキル;
・ C5〜6シクロアルケニル:
・ アリール;
・ ヘテロアリール;
・ CH−アリール;
・ CH−ヘテロアリール;
・ NR(R及びRは、独立して、H、C1〜6アルキルである);
・ COOR(Rは、H、C1〜6アルキルである);
・ CONR(R及びRは、独立して、H、C1〜6アルキルである);
・ NRCONR(R、R及びRは、独立して、H、C1〜6アルキルである);
・ NRCOOR(R及びRは、独立して、H、C1〜6アルキルである);
・ OCONR(R及びRは、独立して、H、C1〜6アルキルである);
・ SR(Rは、H、C1〜6アルキルである);
・ SOR(Rは、H、C1〜6アルキルである);
・ SO(Rは、H、C1〜6アルキルである);
・ SO(Rは、H、C1〜6アルキルである);
式(CH)nのスピロ環(nは、2、3、4、5または6である)。
【0019】
1.7 Rが、Hまたは、任意選択により1〜6個のフッ素原子で置換されたC1〜6アルキルである、実施形態1.6に記載の化合物。
【0020】
1.8 Rが、HまたはC1〜5アルキルである、実施形態1.6に記載の化合物。
【0021】
1.9 Rが、Hまたは、0、1もしくは2個の炭素間多重結合を含有するC1〜6非芳香族炭化水素基であり、前記炭化水素基が、任意選択により1〜6個のフッ素原子で置換され、前記炭化水素基の1個または2個の、ただし全てではない炭素原子が、任意選択により、O、N及びSならびにこれらの酸化形態から選択されるヘテロ原子によって置き換えられ得る、実施形態1.1から1.8のいずれか1つに記載の化合物。
【0022】
1.10 Rが、H、C1〜6アルキル、C2〜6アルケニル、C2〜6アルキニル及び、C3〜6シクロアルキルまたはC5〜6シクロアルケニル基からなるまたはそれを含有するC1〜6非芳香族炭化水素基から選択され、前記アルキル、アルケニル、アルキニル及び非芳香族炭化水素基の各々が、任意選択により1〜6個のフッ素原子で置換され、前記アルキル、アルケニル、アルキニル及び非芳香族炭化水素基の各々の1個または2個の、ただし全てではない炭素原子が、任意選択により、O、N及びSならびにこれらの酸化形態から選択されるヘテロ原子によって置き換えられ得る、実施形態1.1から1.9のいずれか1つに記載の化合物。
【0023】
1.11 Rが、基WまたはCH−Wであり(Wは、任意選択により置換された5員または6員のシクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリールまたはヘテロアリール環である)、あるいはR及びRが、共に連結して縮合またはスピロ環状であり得る環を形成する、実施形態1.1から1.8のいずれか1つに記載の化合物。
【0024】
1.12 Rが、NR、COOR、CONR、NRCONR、NRCOOR、OCONR、SR、SOR、SOであり、式中、R、R及びRは、独立して、H、C1〜6アルキルであり得る、実施形態1.1から1.8のいずれか1つに記載の化合物。
【0025】
1.13 Rが以下から選択される、実施形態1.1から1.12のいずれか1つに記載の化合物:
・ H;
・ ハロゲン;
・ シアノ;
・ OH;
・ C1〜3アルコキシ;
・ NH
・ 任意選択により1〜6個のフッ素原子で置換されたC1〜6アルキル;
・ C2〜6アルケニル:
・ C2〜6アルキニル;
・ C3〜6シクロアルキル;
・ C5〜6シクロアルケニル:
・ アリール;
・ ヘテロアリール;
・ CH−アリール;
・ CH−ヘテロアリール;
・ NR(R及びRは、独立して、H、C1〜6アルキルである);
・ COOR(Rは、H、C1〜6アルキルである);
・ CONR(R及びRは、独立して、H、C1〜6アルキルである);
・ NRCONR(R、R及びRは、独立して、H、C1〜6アルキルである);
・ NRCOOR(R及びRは、独立して、H、C1〜6アルキルである);
・ OCONR(R及びRは、独立して、H、C1〜6アルキルである);
・ SR(Rは、H、C1〜6アルキルである);
・ SOR(Rは、H、C1〜6アルキルである);
・ SO(Rは、H、C1〜6アルキルである);
・ SO(Rは、H、C1〜6アルキルである)。
【0026】
1.13a Rが、Hまたは、任意選択により1〜6個のフッ素原子で置換されたC1〜6アルキルである、実施形態1.13に記載の化合物。
【0027】
1.14 Rが、HまたはC1〜6アルキルである、実施形態1.13に記載の化合物。
【0028】
1.15 R及びRが、ハロゲン及びC1〜6アルキルから選択される、実施形態1.1から1.14のいずれか1つに記載の化合物。
【0029】
1.16 R及びRが独立して、H、メチル、エチル、プロピル、イソプロピルまたはベンジルである、実施形態1.15に記載の化合物。
【0030】
1.17 R及びRが共に、またはがR及びRが共に、任意選択により置換されたシクロアルキルまたはヘテロシクロアルキル環を形成する、実施形態1.1に記載の化合物。この環は、窒素上のR基を置き換えることができる。この環は、縮合であってもスピロ環状であってもよい。
【0031】
1.18 R及びRが共に、O、SまたはNから選択される最大2個のヘテロ原子を組み込み、任意選択により、最大6個のF原子によって置換されたシクロアルキル環を形成する、実施形態1.17に記載の化合物。
【0032】
1.19 Rが、Hまたは、0、1もしくは2個の炭素間多重結合を含有するC1〜6非芳香族炭化水素基であり、前記炭化水素基が、任意選択により1〜6個のフッ素原子で置換され、前記炭化水素基の1個または2個の、ただし全てではない炭素原子が、任意選択により、O、N及びSならびにこれらの酸化形態から選択されるヘテロ原子によって置き換えられ得る、実施形態1.1に記載の化合物。
【0033】
1.20 Rが、H、C1〜6アルキル、C2〜5アルケニル、C2〜6アルキニル及び、C3〜6シクロアルキルまたはC5〜6シクロアルケニル基からなるまたはそれを含有するC1〜6非芳香族炭化水素基から選択され、前記アルキル、アルケニル、アルキニル及び非芳香族炭化水素基の各々が、任意選択により1〜6個のフッ素原子で置換され、前記アルキル、アルケニル、アルキニル及び非芳香族炭化水素基の各々の1個または2個の、ただし全てではない炭素原子が、任意選択により、O、N及びSならびにこれらの酸化形態から選択されるヘテロ原子によって置き換えられ得る、実施形態1、19のいずれかに記載の化合物。
【0034】
1.21 Rが、基WまたはCH−Wであり(Wは、任意選択により置換された5員または6員のシクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリールまたはヘテロアリール環である)、あるいはR及びRが、共に連結して縮合またはスピロ環状であり得る環を形成する、実施形態1.19に記載の化合物。
【0035】
1.22 Rが以下から選択される、実施形態1.19から1.21のいずれか1つに記載の化合物:
・ H;
・ 任意選択により1〜6個のフッ素原子で置換されたC1〜6アルキル;
・ C2〜6アルケニル:
・ C2〜6アルキニル;
・ C3〜6シクロアルキル;
・ C5〜6シクロアルケニル:
・ アリール;
・ ヘテロアリール;
・ CH−アリール;
・ CH−ヘテロアリール。
【0036】
1.23 Rが、Hまたは、任意選択により1〜6個のフッ素原子で置換されたC1〜6アルキルである、実施形態1.22に記載の化合物。
【0037】
1.24 Rが、HまたはC1〜5アルキルである、実施形態1.5に記載の化合物。
【0038】
1.25 Zが、CH、N、OまたはSである、実施形態1.1から1.24のいずれか1つに記載の化合物。
【0039】
1.26 Zが、CHNまたはOである、実施形態1.25に記載の化合物。
【0040】
1.27 Zが、CHである、実施形態1.25に記載の化合物。
【0041】
1.28 Zが、Nである、実施形態1.25に記載の化合物。
【0042】
1.29 Zが、Oである、実施形態1.25に記載の化合物。
【0043】
1.30 Rが、Hまたは、任意選択により1個または複数個のフッ素原子で置換された非環状C1〜4炭化水素基である、実施形態1.1から1.29のいずれか1つに記載の化合物。
【0044】
1.31 Rが、Hまたは、任意選択により1個または複数個のフッ素原子で置換された非環状C1〜3炭化水素基である、実施形態1.30に記載の化合物。
【0045】
1.32 Rが、HまたはC1〜3アルキル基またはC1〜2アルキニル基である、実施形態1.31に記載の化合物。
【0046】
1.33 Rが、H、メチル、フルオロメチル、エチル、エチニル及び1−プロピニルから選択される、実施形態1.32に記載の化合物。
【0047】
1.34 Rが、メチルである、実施形態1.33に記載の化合物。
【0048】
1.35 pが、0または1である、実施形態1.1から1.34のいずれか1つに記載の化合物。
【0049】
1.36 pが、0である、実施形態1.35に記載の化合物。
【0050】
1.37 pが、1である、実施形態1.35に記載の化合物。
【0051】
1.38 Yが、N、OまたはCHである、実施形態1.1から1.37のいずれか1つに記載の化合物。
【0052】
1.39 Yが、Nである、実施形態1.38に記載の化合物。
【0053】
1.40 Yが、Oである、実施形態1.38に記載の化合物。
【0054】
1.41 Yが、Sである、実施形態1.38に記載の化合物。
【0055】
1.42 Rが、HまたはC1〜6アルキルである、実施形態1.1から1.41のいずれか1つに記載の化合物。
【0056】
1.43 Rが、Hである、実施形態1.42に記載の化合物。
【0057】
1.44 Rが、C1〜3アルキルである、実施形態1.42に記載の化合物。
【0058】
1.45 Rが、HまたはC1〜5アルキルである、実施形態1.1から1.44のいずれか1つに記載の化合物。
【0059】
1.46 Rが、Hである、実施形態1.45に記載の化合物。
【0060】
1.47 Rが、C1〜3アルキルである、実施形態1.45に記載の化合物。
【0061】
1.48 Rが、HまたはC1〜5アルキルである、実施形態1.1から1.47のいずれか1つに記載の化合物。
【0062】
1.49 Rが、Hである、実施形態1.48に記載の化合物。
【0063】
1.50 Rが、C1〜3アルキルである、実施形態1.48に記載の化合物。
【0064】
1.51 XがCである、実施形態1.1から1.50のいずれか1つに記載の化合物。
【0065】
1.52 rが、1である、実施形態1.1から1.51のいずれか1つに記載の化合物。
【0066】
1.53 rが、2である、実施形態1.1から1.51のいずれか1つに記載の化合物。
【0067】
1.54 式(2):
【化2】
を有する、実施形態1.1に記載の化合物
(式中、
pは、0、1または2であり;
qは、1または2であり;
Xは、CまたはNであり;
Zは、CH、N、OまたはSであり;
Yは、N、O、SまたはCHであり;
は、H、ハロ、CN、OH、C1〜3アルコキシ、NH、任意選択により置換されたC1〜6アルキル、任意選択により置換されたC2〜6アルケニル、任意選択により置換されたC2〜6アルキニル、任意選択により置換されたC3〜6シクロアルキル、任意選択により置換されたC3〜6シクロアルケニル、WまたはCH−Wとすることができ、Wは、任意選択により置換された5員または6員のシクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリールまたはヘテロアリール環、NR、COOR、CONR、NRCONR、NRCOOR、OCONR、SR、SOR、SO;SOであり;
は、独立して、H、ハロ、CN、OH、C1〜3アルコキシ、NH、任意選択により置換されたC1〜6アルキル、任意選択により置換されたC2〜6アルケニル、任意選択により置換されたC2〜6アルキニル、任意選択により置換されたC3〜6シクロアルキル、任意選択により置換されたC3〜6シクロアルケニル、WまたはCH−Wとすることができ、Wは、任意選択により置換された5員または6員のシクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリールまたはヘテロアリール環、NR、COOR、CONR、NRCONR、NRCOOR、OCONR、SR、SOR、SOであり;
は、独立して、H、任意選択により置換されたC1〜6アルキル、任意選択により置換されたC2〜6アルケニル、任意選択により置換されたC2〜6アルキニル、任意選択により置換されたC3〜6シクロアルキル、任意選択により置換されたC3〜6シクロアルケニル、WまたはCH−Wとすることができ、Wは、任意選択により置換された5員または6員のシクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリールまたはヘテロアリール環であり;あるいは、R及びRは共に、任意選択により置換されたシクロアルキルまたはヘテロシクロアルキル環を形成し;
は、H、任意選択により置換されたC1〜5アルキル、任意選択により置換されたC1〜5アルケニル、任意選択により置換されたC1〜5アルキニル、任意選択により置換されたC2〜6シクロアルキル、任意選択により置換されたC2〜6シクロアルケニルとすることができ;
、R及びRは、独立して、H、C1〜6アルキルとすることができる)。
【0068】
1.55 式(3):
【化3】
を有する、実施形態1.1に記載の化合物
(式中、
pは、0、1または2であり;
qは、1または2であり;
Xは、CまたはNであり;
Zは、CH、N、またはOであり;
は、H、ハロ、CN、OH、C1〜3アルコキシ、NH、任意選択により置換されたC1〜6アルキル、任意選択により置換されたC2〜6アルケニル、任意選択により置換されたC2〜6アルキニル、任意選択により置換されたC3〜6シクロアルキル、任意選択により置換されたC3〜6シクロアルケニル、WまたはCH−Wとすることができ、Wは、任意選択により置換された5員または6員のシクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリールまたはヘテロアリール環、NR、COOR、CONR、NRCONR、NRCOOR、OCONR、SR、SOR、SO;SOであり;
は、独立して、H、ハロ、CN、OH、C1〜3アルコキシ、NH、任意選択により置換されたC1〜6アルキル、任意選択により置換されたC2〜6アルケニル、任意選択により置換されたC2〜6アルキニル、任意選択により置換されたC3〜6シクロアルキル、任意選択により置換されたC3〜6シクロアルケニル、WまたはCH−Wとすることができ、Wは、任意選択により置換された5員または6員のシクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリールまたはヘテロアリール環、NR、COOR、CONR、NRCONR、NRCOOR、OCONR、SR、SOR、SOであり;
は、H、任意選択により置換されたC1〜5アルキル、任意選択により置換されたC1〜5アルケニル、任意選択により置換されたC1〜5アルキニル、任意選択により置換されたC2〜6シクロアルキル、任意選択により置換されたC2〜6シクロアルケニルとすることができ;
、R及びRは、独立して、H、C1〜6アルキルとすることができる)。
【0069】
1.56 p、q、X、Z、Y、R、R、R、及びRが、実施形態1.1から1.53のいずれか1つで定義される通りである、実施形態1.54または1.55に記載の化合物。1.57 式(4):
【化4】
を有する、実施形態1.1に記載の化合物
(式中、
pは、0、1または2であり;
qは、1または2であり;
Xは、CまたはNであり;
Zは、CH、N、OまたはSであり;
Yは、N、O、SまたはCHであり;
は、H、ハロ、CN、OH、C1〜3アルコキシ、NH、任意選択により置換されたC1〜6アルキル、任意選択により置換されたC2〜6アルケニル、任意選択により置換されたC2〜6アルキニル、任意選択により置換されたC3〜6シクロアルキル、任意選択により置換されたC3〜6シクロアルケニル、WまたはCH−Wとすることができ、Wは、任意選択により置換された5員または6員のシクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリールまたはヘテロアリール環、NR、COOR、CONR、NRCONR、NRCOOR、OCONR、SR、SOR、SO;SOであり;
は、独立して、H、ハロ、CN、OH、C1〜3アルコキシ、NH、任意選択により置換されたC1〜6アルキル、任意選択により置換されたC2〜6アルケニル、任意選択により置換されたC2〜6アルキニル、任意選択により置換されたC3〜6シクロアルキル、任意選択により置換されたC3〜6シクロアルケニル、WまたはCH−Wとすることができ、Wは、任意選択により置換された5員または6員のシクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリールまたはヘテロアリール環、NR、COOR、CONR、NRCONR、NRCOOR、OCONR、SR、SOR、SOであり;
は、独立して、H、任意選択により置換されたC1〜6アルキル、任意選択により置換されたC2〜6アルケニル、任意選択により置換されたC2〜6アルキニル、任意選択により置換されたC3〜6シクロアルキル、任意選択により置換されたC3〜6シクロアルケニル、WまたはCH−Wとすることができ、Wは、任意選択により置換された5員または6員のシクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリールまたはヘテロアリール環であり;あるいは、R及びRは共に、任意選択により置換されたシクロアルキルまたはヘテロシクロアルキル環を形成し;
は、H、任意選択により置換されたC1〜5アルキル、任意選択により置換されたC1〜5アルケニル、任意選択により置換されたC1〜5アルキニル、任意選択により置換されたC2〜6シクロアルキル、任意選択により置換されたC2〜6シクロアルケニルとすることができ;
、R及びRは、独立して、H、C1〜6アルキルとすることができる)。
【0070】
1.58 式(5):
【化5】
を有する、実施形態1.1に記載の化合物
(式中、
pは、0、1または2であり;
qは、1または2であり;
Xは、CまたはNであり;
Zは、CH、N、またはOであり;
は、H、ハロ、CN、OH、C1〜3アルコキシ、NH、任意選択により置換されたC1〜6アルキル、任意選択により置換されたC2〜6アルケニル、任意選択により置換されたC2〜6アルキニル、任意選択により置換されたC3〜6シクロアルキル、任意選択により置換されたC3〜6シクロアルケニル、WまたはCH−Wとすることができ、Wは、任意選択により置換された5員または6員のシクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリールまたはヘテロアリール環、NR、COOR、CONR、NRCONR、NRCOOR、OCONR、SR、SOR、SO;SOであり;
は、独立して、H、ハロ、CN、OH、C1〜3アルコキシ、NH、任意選択により置換されたC1〜6アルキル、任意選択により置換されたC2〜6アルケニル、任意選択により置換されたC2〜6アルキニル、任意選択により置換されたC3〜6シクロアルキル、任意選択により置換されたC3〜6シクロアルケニル、WまたはCH−Wとすることができ、Wは、任意選択により置換された5員または6員のシクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリールまたはヘテロアリール環、NR、COOR、CONR、NRCONR、NRCOOR、OCONR、SR、SOR、SOであり;
は、H、任意選択により置換されたC1〜5アルキル、任意選択により置換されたC1〜5アルケニル、任意選択により置換されたC1〜5アルキニル、任意選択により置換されたC2〜6シクロアルキル、任意選択により置換されたC2〜6シクロアルケニルとすることができ;
、R及びRは、独立して、H、C1〜6アルキルとすることができる)。
【0071】
1.59 p、q、X、Z、Y、R、R、R、及びRが、実施形態1.1から1.53のいずれか1つで定義される通りである、実施形態1.54または1.55に記載の化合物。
【0072】
1.60 式(6):
【化6】
を有する、実施形態1.1に記載の化合物
(式中、
pは、0、1または2であり;
qは、1または2であり;
Xは、CまたはNであり;
Zは、CH、N、OまたはSであり;
Yは、N、O、SまたはCHであり;
は、H、ハロ、CN、OH、C1〜3アルコキシ、NH、任意選択により置換されたC1〜6アルキル、任意選択により置換されたC2〜6アルケニル、任意選択により置換されたC2〜6アルキニル、任意選択により置換されたC3〜6シクロアルキル、任意選択により置換されたC3〜6シクロアルケニル、WまたはCH−Wとすることができ、Wは、任意選択により置換された5員または6員のシクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリールまたはヘテロアリール環、NR、COOR、CONR、NRCONR、NRCOOR、OCONR、SR、SOR、SO;SOであり;
は、独立して、H、ハロ、CN、OH、C1〜3アルコキシ、NH、任意選択により置換されたC1〜6アルキル、任意選択により置換されたC2〜6アルケニル、任意選択により置換されたC2〜6アルキニル、任意選択により置換されたC3〜6シクロアルキル、任意選択により置換されたC3〜6シクロアルケニル、WまたはCH−Wとすることができ、Wは、任意選択により置換された5員または6員のシクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリールまたはヘテロアリール環、NR、COOR、CONR、NRCONR、NRCOOR、OCONR、SR、SOR、SOであり;
は、独立して、H、任意選択により置換されたC1〜6アルキル、任意選択により置換されたC2〜6アルケニル、任意選択により置換されたC2〜6アルキニル、任意選択により置換されたC3〜6シクロアルキル、任意選択により置換されたC3〜6シクロアルケニル、WまたはCH−Wとすることができ、Wは、任意選択により置換された5員または6員のシクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリールまたはヘテロアリール環であり;あるいは、R及びRは共に、任意選択により置換されたシクロアルキルまたはヘテロシクロアルキル環を形成し;
は、H、任意選択により置換されたC1〜5アルキル、任意選択により置換されたC1〜5アルケニル、任意選択により置換されたC1〜5アルキニル、任意選択により置換されたC2〜6シクロアルキル、任意選択により置換されたC2〜6シクロアルケニルとすることができ;
、R及びRは、独立して、H、C1〜6アルキルとすることができる)。
【0073】
1.61 式(7):
【化7】
を有する、実施形態1.1に記載の化合物
(式中、
pは、0、1または2であり;
qは、1または2であり;
Xは、CまたはNであり;
Zは、CH、N、またはOであり;
は、H、ハロ、CN、OH、C1〜3アルコキシ、NH、任意選択により置換されたC1〜6アルキル、任意選択により置換されたC2〜6アルケニル、任意選択により置換されたC2〜6アルキニル、任意選択により置換されたC3〜6シクロアルキル、任意選択により置換されたC3〜6シクロアルケニル、WまたはCH−Wとすることができ、Wは、任意選択により置換された5員または6員のシクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリールまたはヘテロアリール環、NR、COOR、CONR、NRCONR、NRCOOR、OCONR、SR、SOR、SO;SOであり;
は、独立して、H、ハロ、CN、OH、C1〜3アルコキシ、NH、任意選択により置換されたC1〜6アルキル、任意選択により置換されたC2〜6アルケニル、任意選択により置換されたC2〜6アルキニル、任意選択により置換されたC3〜6シクロアルキル、任意選択により置換されたC3〜6シクロアルケニル、WまたはCH−Wとすることができ、Wは、任意選択により置換された5員または6員のシクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリールまたはヘテロアリール環、NR、COOR、CONR、NRCONR、NRCOOR、OCONR、SR、SOR、SOであり;
は、H、任意選択により置換されたC1〜5アルキル、任意選択により置換されたC1〜5アルケニル、任意選択により置換されたC1〜5アルキニル、任意選択により置換されたC2〜6シクロアルキル、任意選択により置換されたC2〜6シクロアルケニルとすることができ;
、R及びRは、独立して、H、C1〜6アルキルとすることができる)。
【0074】
1.62 p、q、X、Z、Y、R、R、R、及びRが、実施形態1.1から1.53のいずれか1つで定義される通りである、実施形態1.54または1.55に記載の化合物。
【0075】
1.63 実施例1−1から8−4のいずれか1つで定義される通りである、実施形態1.1に記載の化合物。
【0076】
1.64 550未満、例えば500未満、または450未満、の分子量を有する、実施形態1.1から1.62のいずれか1つに記載の化合物。
【0077】
1.65 塩の形態をとる、実施形態1.1から1.64のいずれか1つに記載の化合物。
【0078】
1.66 前記塩が、酸付加塩である、実施形態1.65に記載の化合物。
【0079】
1.67 前記塩が、薬学的に許容される塩である、実施形態1.65または実施形態1.66に記載の化合物。
【0080】
定義
本出願では、別段の指示がない限り、以下の定義を適用する。
【0081】
用語「治療」は式(1)〜(7)の化合物の使用に関連し、問題の疾患もしくは障害にかかっている、またはかかるリスクがある、または潜在的にかかるリスクがある対象に化合物を投与する場合における任意の形態の介入を説明するために、使用される。したがって、「治療」という用語は、予防的な(preventative)(予防の(prophylactic))治療と、疾患または障害の測定可能または検出可能な症状を示している場合の治療との、両方を網羅する。
【0082】
本明細書で使用される場合、用語「治療有効量」は(例えば、疾患または状態の治療方法に関連し)、所望の治療効果の生成に有効である化合物の量を指す。例えば、状態が疼痛である場合、治療有効量は、所望のレベルの疼痛緩和を提供するのに十分な量である。疼痛緩和の所望のレベルとは、例えば、疼痛の完全な除去、または疼痛の重症度の低減であり得る。
【0083】
用語「非芳香族炭化水素基」(「C1〜5非芳香族炭化水素基」または「非環状C1〜5非芳香族炭化水素基」におけるような)は、炭素原子及び水素原子からなり、芳香環を含有しない基を指す。炭化水素基は完全に飽和されていてもよく、あるいは1つまたは複数の炭素間二重結合または炭素間三重結合を含有しても、二重結合及び三重結合の混合物を含有してもよい。炭化水素基は、直鎖基であっても分岐鎖基であってもよく、あるいは環状基からなってもそれを含有してもよい。したがって、非芳香族炭化水素という用語には、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、シクロアルケニル、シクロアルキルアルキル、シクロアルケニルアルキルなどが含まれる。
【0084】
用語「アルキル」、「アルケニル」、「シクロアルキル」及び「シクロアルケニル」は、別段の指示がない限り、従来的な意味で(例えば、IUPAC Gold Bookで定義される通りに)使用される。
【0085】
本明細書で使用する場合、用語「シクロアルキル」には、指定の数の炭素原子が許容される場合、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル及びシクロヘプチルなどの単環式シクロアルキル基、ならびに二環式及び三環式の基の全てが含まれる。二環式シクロアルキル基には、ビシクロヘプタン、ビシクロオクタン及びアダマンタンなどの橋かけ環系が含まれる。
【0086】
上のR、R、R及びRの定義において、記述されている場合、非芳香族炭化水素基の1個または2個の、ただし全てではない炭素原子は、任意選択により、O、N及びSならびにこれらの酸化形態から選択されるヘテロ原子によって置き換えられてもよい。炭素原子がヘテロ原子によって置き換えられる場合、ヘテロ原子の原子価が炭素より低いことは、ヘテロ原子に結合する原子の数が、置き換えられた炭素原子の場合に結合する原子の数よりも少なくなることを意味する、ということが理解されるであろう。したがって、例えば、CH基において炭素原子(原子価4)が酸素(原子価2)によって置き換えられることは、得られる分子が2個少ない水素原子を含有することになることを意味し、CH基において炭素原子(原子価4)が窒素(原子価3)によって置き換えられることは、得られる分子が1個少ない水素原子を含有することになることを意味する。
【0087】
炭素原子に対するヘテロ原子の置き換えの例としては、−CH−CH−CH−鎖の炭素原子が酸素または硫黄で置き換えられてエーテル−CH−O−CH−またはチオエーテル−CH−S−CH−を得る例、CH−C≡C−H基の炭素原子が窒素で置き換えられてニトリル(シアノ)基CH−C≡Nを得る例、−CH−CH−CH−基の炭素原子がC=Oで置き換えられてケトン−CH−C(O)−CH−を得る例、−CH−CH−CH−基の炭素原子がS=OまたはSOで置き換えられてスルホキシド−CH−S(O)−CH−またはスルホン−CH−S(O)−CH−を得る例、−CH−CH−CH−鎖の炭素原子がC(O)NHで置き換えられてアミド−CH−CH−C(O)−NH−を得る例、−CH−CH−CH−鎖の炭素原子が窒素で置き換えられてアミン−CH−NH−CH−を得る例、及び−CH−CH−CH−鎖の炭素原子がC(O)Oで置き換えられてエステル(またはカルボン酸)−CH−CH−C(O)−O−を得る例、が挙げられる。このような置き換えにおいては、炭化水素基の少なくとも1個の炭素原子がとどまらなければならない。
【0088】

式(1)〜(7)の化合物の多くは、塩の形態、例えば酸付加塩、またはあるいくつかの場合には有機及び無機塩基の塩、例えばカルボン酸塩、スルホン酸塩及びリン酸塩、として存在し得る。このような塩は全て、本発明の範囲内にあり、式(1)〜(7)の化合物について言及するときには、実施形態1.70から1.72に定義された化合物の塩形態が含まれる。
【0089】
典型的には、塩は、酸付加塩である。
【0090】
本発明の塩は、塩基性部分または酸性部分を含有する親化合物から、従来的な化学方法によって、例えば、Pharmaceutical Salts:Properties,Selection,and Use,P.Heinrich Stahl(Editor),Camille G.Wermuth(Editor),ISBN:3−90639−026−8,Hardcover,388pages,August 2002に記載の方法によって、合成することができる。概して、このような塩は、これらの化合物の遊離酸または塩基形態を、適切な塩基または酸と、水または有機溶媒中で、またはこの2つの混合物中で反応させることによって調製することができ、概して、エーテル、酢酸エチル、エタノール、イソプロパノールまたはアセトニトリルなどの非水性媒体が使用される。
【0091】
(実施形態1.70に定義される)酸付加塩は、多種多様な酸、無機酸及び有機酸両方を用いて形成することができる。実施形態1.71の範囲内に入る酸付加塩の例としては、以下からなる群から選択される酸を用いて形成されるモノ塩またはジ塩が挙げられる:酢酸、2,2−ジクロロ酢酸、アジピン酸、アルギン酸、アスコルビン酸(例えば、L−アスコルビン酸)、L−アスパラギン酸、ベンゼンスルホン酸、安息香酸、4−アセトアミド安息香酸、ブタン酸、(+)ショウノウ酸、カンファー−スルホン酸、(+)−(1S)−カンファー−10−スルホン酸、カプリン酸、カプロン酸、カプリル酸、桂皮酸、クエン酸、シクラミン酸、ドデシル硫酸、エタン−1,2−ジスルホン酸、エタンスルホン酸、2−ヒドロキシエタンスルホン酸、ギ酸、フマル酸、ガラクタル酸、ゲンチシン酸、グルコヘプトン酸、D−グルコン酸、グルクロン酸(例えば、D−グルクロン酸)、グルタミン酸(例えば、L−グルタミン酸)、α−オキソグルタル酸、グリコール酸、馬尿酸、ハロゲン化水素酸(例えば、臭化水素酸、塩酸、ヨウ化水素酸)、イセチオン酸、乳酸(例えば、(+)−L−乳酸、(±)−DL−乳酸)、ラクトビオン酸、マレイン酸、リンゴ酸、(−)−L−リンゴ酸、マロン酸、(±)−DL−マンデル酸、メタンスルホン酸、ナフタレン−2−スルホン酸、ナフタレン−1,5−ジスルホン酸、1−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸、ニコチン酸、硝酸、オレイン酸、オルチン酸、シュウ酸、パルミチン酸、パモ酸、リン酸、プロピオン酸、ピルビン酸、L−ピログルタミン酸、サリチル酸、4−アミノ−サリチル酸、セバシン酸、ステアリン酸、コハク酸、硫酸、タンニン酸、(+)−L−酒石酸、チオシアン酸、p−トルエンスルホン酸、ウンデシレン酸及び吉草酸、ならびにアシル化アミノ酸及びカチオン交換樹脂。
【0092】
式(1)の化合物がアミン官能基を含有する場合、これらは、例えば、アルキル化剤との反応によって、当業者に周知の方法に従って、第四級アンモニウム塩(実施形態1.72)を形成することができる。このような第四級アンモニウム化合物は、式(1)の範囲内である。
【0093】
本発明の化合物は、塩が形成される元の酸のpKaに応じて、モノ塩またはジ塩として存在してもよい。
【0094】
典型的には、本発明の化合物の塩形態は薬学的に許容される塩であり、薬学的に許容される塩の例は、Berge et al.,1977,”Pharmaceutically Acceptable Salts”,J.Pharm.Sci.,Vol.66,pp.1−19で論じられている。ただし、薬学的に許容されない塩も中間生成物形態として調製してもよく、これは次に薬学的に許容される塩に変換され得る。このような薬学的に許容されない塩形態は、例えば本発明の化合物の精製または分離において有用である可能性があり、これらも本発明の一部を形成する。
【0095】
立体異性体
立体異性体は、同じ分子式及び同じ結合原子の配列を有し、ただし空間における原子の三次元的方向性のみが異なる、異性体分子である。立体異性体は、例えば、幾何異性体であっても光学異性体であってもよい。
【0096】
幾何異性体
幾何異性体における異性は、炭素間二重結合に関するcis及びtrans(Z及びE)異性、またはアミド結合に関するcis及びtrans異性、または(例えば、オキシムにおける)炭素窒素二重結合に関するsyn及びanti異性、または、回転の制約が存在する場合における結合に関する回転異性、またはシクロアルカン環などの環に関するcis及びtrans異性におけるような、原子または基の二重結合に関する方向性が異なることによるものである。
【0097】
したがって、別の実施形態(実施形態1.73)では、本発明は、実施形態1.1から1.72のいずれか1つに記載の化合物の幾何異性体を提供する。
【0098】
光学的異性体
式の化合物が1つまたは複数のキラル中心を含み、2つ以上の光学異性体の形態で存在し得る場合、この化合物について言及するときには、文脈上他の意味が要求されない限り、全ての光学異性体形態(例えば、エナンチオマー、エピマー及びジアステレオ異性体)が、個々の光学異性体、または混合物(例えばラセミ混合物)または2つ以上の光学異性体のいずれかとして、含まれる。
【0099】
したがって、別の実施形態(実施形態1.74)では、本発明は、キラル中心を含有する、実施形態1.1から1.73のいずれかに記載の化合物を提供する。
【0100】
光学異性体は、その光学活性(すなわち、+及び−異性体、またはd及びl異性体のように)によって特徴づけられかつ識別され得、あるいは、Cahn、Ingold及びPrelogによって開発された「RS」命名法を用いてその絶対的立体化学によって特徴づけられ得る(Advanced Organic Chemistry by Jerry March,4th Edition,John Wiley&Sons,New York,1992,pages 109−114を参照。また、Cahn,Ingold&Prelog,Angew.Chem.Int.Ed.Engl.,1966,5,385−415も参照)。光学異性体は、キラルクロマトグラフィー(キラル支持体上でのクロマトグラフィー)を含めた多くの手法により分離することができ、このような手法は当業者に周知のものである。キラルクロマトグラフィーに代わるものとして、光学異性体は、キラル酸(例えば、(+)−酒石酸、(−)−ピログルタミン酸、(−)−ジ−トルオイル−L−酒石酸、(+)−マンデル酸、(−)−リンゴ酸、及び(−)−カンファースルホン酸)を用いてジアステレオ異性体の塩を形成し、次にこの塩を解離して、遊離塩基の個別のエナンチオマーを得ることによって、分離することができる。
【0101】
本発明の化合物が2つ以上の光学異性体形態として存在する場合、一対のエナンチオマーにおける一方のエナンチオマーが、例えば生物活性に関して、他方のエナンチオマーにまさる利点を示すことがある。したがって、あるいくつかの状況では、一対のエナンチオマーのうちの一方のみを、または複数のジアステレオ異性体のうちの1つのみを、治療剤として使用することが望ましい場合がある。
【0102】
したがって、別の実施形態(実施形態1.75)では、本発明は、1つまたは複数のキラル中心を有する実施形態1.74に記載の化合物であって、実施形態1.73の化合物の少なくとも55%(例えば少なくとも60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、または95%)が単一の光学異性体(例えば、エナンチオマーまたはジアステレオ異性体)として存在する、化合物、を含有する組成物を提供する。
【0103】
一般的な一実施形態(実施形態1.76)では、実施形態1.74の化合物(または使用のための化合物)の総量の99%以上(例えば、実質的に全て)が、単一の光学異性体として存在する。
【0104】
例えば、一実施形態(実施形態1.77)では、化合物は、単一のエナンチオマーとして存在する。
【0105】
別の実施形態(実施形態1.78)において、化合物は、単一のジアステレオ異性体として存在する。
【0106】
本発明は、光学異性体の混合物も提供し、これはラセミであっても非ラセミであってもよい。したがって、本発明は、以下のものを提供する。
【0107】
1.79 光学異性体のラセミ混合物の形態をとる、実施形態1.74に記載の化合物。
【0108】
1.80 光学異性体の非ラセミ混合物の形態をとる、実施形態1.74に記載の化合物。
【0109】
同位体
実施形態1.1から1.80のいずれか1つで定義される本発明の化合物は、1つまたは複数の同位体置換を含有し、特定の元素について言及するときには、この元素の全ての同位体がその範囲内に含まれる。例えば、水素について言及するときには、H、H(D)、及びH(T)がその範囲内に含まれる。同様に、炭素及び酸素について言及するときには、それぞれ12C、13C及び14Cならびに16O及び18Oがその範囲内に含まれる。
【0110】
同じように、文脈上別段の指示がない限り、特定の官能基について言及するときにも、同位体のバリエーションがその範囲内に含まれる。例えば、エチル基などのアルキル基について言及するときには、その基における1個または複数個の水素原子が、重水素または三重水素の形態をとるようなバリエーション、例えば、エチル基において5個全ての水素原子が重水素同位体形態をとるような場合(過重水素化エチル)、も網羅する。
【0111】
同位体は、放射性であっても非放射性であってもよい。本発明の一実施形態(実施形態1.81)では、実施形態1.1から1.80のいずれか1つに記載の化合物は、放射性同位体を含有しない。このような化合物は、治療用に好ましい。ただし、別の実施形態(実施形態1.82)では、実施形態1.1から1.80のいずれか1つに記載の化合物は、1つまたは複数の放射性同位体を含有してもよい。このような放射性同位体を含有する化合物は、診断的文脈において有用であり得る。
【0112】
溶媒和化合物
実施形態1.1から1.82のいずれか1つに記載の式(1)の化合物は、溶媒和化合物を形成してもよい。好ましい溶媒和化合物は、無毒性の薬学的に許容される溶媒(以下、溶媒和化溶媒と称する)の分子を本発明の化合物の固体構造(例えば、結晶構造)に組み込むことによって形成される溶媒和化合物である。このような溶媒の例としては、水、アルコール(例えば、エタノール、イソプロパノール及びブタノール)及びジメチルスルホキシドが挙げられる。溶媒和化合物は、溶媒和化溶媒を含有する溶媒または溶媒の混合物を用いて本発明の化合物を再結晶することによって、調製することができる。何らかの所与の場合において溶媒和化合物が形成されたかどうかの判定は、熱重量分析(TGE)、示差走査熱量測定(DSC)及びX線結晶解析などの周知かつ標準的な手法を用いて、化合物の結晶を分析にかけることによって行うことができる。溶媒和化合物は、化学量論的溶媒和化合物でも非化学量論的溶媒和化合物でもあり得る。特に好ましい溶媒和化合物は水和物であり、水和物の例としては、半水和物、一水和物及び二水和物が挙げられる。
【0113】
したがって、実施形態1.83及び1.84では、本発明は以下のものを提供する。
【0114】
1.83 溶媒和化合物の形態をとる、実施形態1.1から1.82のいずれか1つに記載の化合物。
【0115】
1.84 前記溶媒和化合物が水和物である、実施形態1.83に記載の化合物。
【0116】
溶媒和化合物のより詳細な議論ならびに、溶媒和化合物の作製及び特性決定に使用する方法については、Bryn et al.,Solid−State Chemistry of Drugs,Second Edition,published by SSCI,Inc of West Lafayette,IN,USA,1999,ISBN 0−967−06710−3を参照。
【0117】
代替的に、本発明の化合物は、水和物として存在するのではなく、無水であってもよい。そのため、別の実施形態(実施形態1.85)では、本発明は、無水形態(例えば、無水結晶質形態)をとる、実施形態1.1から1.83のいずれか1つで定義される化合物を提供する。
【0118】
結晶質及び無定形形態
実施形態1.1から1.83のいずれか1つに記載の化合物は、結晶質状態または非結晶質(例えば、無定形)状態で存在することができる。結晶質状態において化合物が存在するかどうかの判定は、X線粉末回折(XRPD)などの標準的な手法によって、容易に行うことができる。結晶及びその結晶構造は、単結晶X線結晶解析、X線粉末回折(XRPD)、示差走査熱量測定(DSC)及び赤外分光法、例えばフーリエ変換赤外分光法(FTIR)を含めた多くの手法を用いて、特性決定することができる。変動する湿度状態下での結晶の挙動は、重量分析による蒸気収着の研究によって、またXRPDによっても、分析することができる。化合物における結晶構造の決定は、X線結晶解析によって実施することができ、これは従来的な方法、例えば、本明細書に記載の方法及び、Fundamentals of Crystallography,C.Giacovazzo,H.L.Monaco,D.Viterbo,F.Scordari,G.Gilli,G.Zanotti and M.Catti,(International Union of Crystallography/Oxford University Press,1992 ISBN 0−19−855578−4(p/b),0−19−85579−2(h/b))に記載の方法に従って行われ得る。この手法は、単結晶のX線回折の分析及び解釈を伴う。無定形固体においては、結晶質形態に通常存在する三次元構造が存在せず、無定形形態における分子の互いに対する位置は、本質的にランダムである(例えば、Hancock et al.J.Pharm.Sci.(1997),86,1を参照)。
【0119】
したがって、さらなる実施形態では、本発明は以下のものを提供する。
【0120】
1.86 結晶質形態をとる、実施形態1.1から1.85のいずれか1つに記載の化合物。
【0121】
1.80 実施形態1.1から1.85に記載の化合物であって、
(a)50%〜100結晶質の、より詳細には、少なくとも50%結晶質の、または少なくとも60%結晶質の、または少なくとも70%結晶質の、または少なくとも80%結晶質の、または少なくとも90%結晶質の、または少なくとも95%結晶質の、または少なくとも98%結晶質の、または少なくとも99%結晶質の、または少なくとも99.5%結晶質の、または少なくとも99.9%結晶質の、例えば100%結晶質の、前記化合物。
【0122】
1.88 無定形形態である、実施形態1.1から1.85のいずれか1つに記載の化合物。
【0123】
プロドラッグ
実施形態1.1から1.82のいずれか1つで定義される式(1)の化合物は、プロドラッグの形態で提示され得る。「プロドラッグ」は、例えば、実施形態1.1から1.82のいずれか1つで定義される式(1)の生物活性化合物にインビボで変換された、任意の化合物を意味する。
【0124】
例えば、一部のプロドラッグは、活性化合物のエステル(例えば、生理学的に許容される代謝的に不安定なエステル)である。代謝中にエステル基(−C(=O)OR)が切断されて、活性薬物を産生する。このようなエステルは、例えば、親化合物中に存在するヒドロキシル基のエステル化によって形成することができ、適切な場合には、親化合物に存在する任意の他の反応基を事前に保護し、必要な場合にはその後に脱保護することを伴う。
【0125】
また、一部のプロドラッグは酵素的に活性化されて活性化合物を産生するか、またはある化合物を産生し、この化合物がさらなる化学反応によって活性化合物を産生する(例えば、ADEPT、GDEPT、LIDEPTの場合のように)。例えば、プロドラッグは、糖誘導体であっても他のグリコシド結合体であってもよく、またはアミノ酸エステル誘導体であってもよい。
【0126】
したがって、別の実施形態(実施形態1.89)では、本発明は、化合物が生理的条件下でヒドロキシル基またはアミノ基を形成するように変換可能な官能基を含有する、実施形態1.1から1.82のいずれか1つで定義される化合物のプロドラッグを提供する。
【0127】
錯体及びクラスレート
また、実施形態1.1から1.89における式(1)によって、実施形態1.1から1.89の化合物の錯体(例えば、シクロデキストリンなどの化合物による包接錯体もしくはクラスレート、または金属との錯体)も包含される。
【0128】
したがって、別の実施形態(実施形態1.90)では、本発明は、錯体またはクラスレートの形態をとる、実施形態1.1から1.89のいずれか1つに記載の化合物を提供する。
【0129】
生物活性及び治療的用法
本発明の化合物は、ムスカリンM及び/またはM受容体アゴニストとしての活性を有する。化合物のムスカリン活性は、下の実施例Aに記載されているホスホ−ERK1/2アッセイを用いて決定することができる。
【0130】
本発明の化合物の重要な利点は、M及びM受容体サブタイプに比べてM及び/またはM受容体に対する高い選択性を有することである。本発明の化合物は、M及びM受容体サブタイプのアゴニストでもアンタゴニストでもない。例えば、本発明の化合物が、典型的には、実施例Aに記載されている機能アッセイにおけるM及び/またはM受容体に対して、少なくとも6(好ましくは、少なくとも6.5)のpEC50値及び80超(好ましくは95超)のEmax値を有するのに対し、実施例の機能アッセイにおけるM及びM受容体サブタイプに対して試験する場合、化合物は5未満のpEC50値及び20%未満のEmax値を有し得る。
【0131】
本発明の一部の化合物は、M及びM受容体両方における活性を有し、一部の化合物はM受容体における活性を有する。
【0132】
したがって、実施形態2.1から2.15では、本発明は以下のものを提供する。
【0133】
本発明の化合物は、ムスカリンM及び/またはM受容体アゴニストとしての活性を有する。化合物のムスカリン活性は、下の実施例Aに記載されているホスホ−ERK1/2アッセイを用いて決定することができる。
【0134】
2.1 医薬で使用するための、実施形態1.1から1.90のいずれか1つに記載の化合物。
【0135】
2.2 ムスカリンM及び/またはM受容体アゴニストとして使用するための、実施形態1.1から1.90のいずれか1つに記載の化合物。
【0136】
2.3 本明細書に記載の実施例Aのアッセイまたは実質的にそれと同様であるアッセイにおけるM受容体に対して、6.9超のpEC50及び少なくとも80のEmaxを有するムスカリンM受容体アゴニストである、実施形態1.1から1.90のいずれか1つに記載の化合物。
【0137】
2.4 7.0超のpEC50を有するムスカリンM受容体アゴニストである、実施形態2.3に記載の化合物。
【0138】
2.5 前記M受容体に対する少なくとも90のEmaxを有する、実施形態2.3または実施形態2.4に記載の化合物。
【0139】
2.6 本明細書に記載の実施例Aのアッセイまたは実質的にそれと同様であるアッセイにおけるM受容体に対して、6.0〜8.8の範囲のpEC50及び少なくとも70のEmaxを有するムスカリンM及びM受容体アゴニストである、実施形態1.1から1.90のいずれか1つに記載の化合物。
【0140】
2.7 7.0超のpEC50を有するムスカリンM受容体アゴニストである、実施形態1.1から1.90のいずれか1つに記載の化合物。
【0141】
2.8 前記M受容体に対する少なくとも90のEmaxを有する、実施形態2.6または実施形態2.7に記載の化合物。
【0142】
2.9 ムスカリンM及びM受容体に比べて前記M及びM受容体に対する選択性を有する、実施形態2.3から2.8のいずれか1つに記載の化合物。
【0143】
2.10 前記ムスカリンM及びM受容体に比べて前記M受容体に対する選択性を有する、実施形態2.9に記載の化合物。
【0144】
2.11 前記ムスカリンM、M及びM受容体に比べて前記M受容体に対する選択性を有する、実施形態2.3から2.5のいずれか1つに記載の化合物。
【0145】
2.12 前記ムスカリンM、M及びM受容体に比べて前記M受容体に対する選択性を有する、実施形態2.3から2.8のいずれか1つに記載の化合物。
【0146】
2.13 前記ムスカリンM及びM受容体サブタイプに対する5未満のpEC50及び50未満のEmaxを有する、実施形態2.3から2.12のいずれか1つに記載の化合物。
【0147】
2.14 前記ムスカリンM及びM受容体サブタイプに対する4.5未満のpEC50及び/または30未満のEmaxを有する、実施形態2.13に記載の化合物。
【0148】
2.15 前記ムスカリンM及びM受容体によって媒介される疾患または状態の治療で使用するための、実施形態1.1から1.90及び実施形態2.3から2.14のいずれか1つに記載の化合物。
【0149】
本発明の化合物は、そのムスカリンM及びM受容体アゴニスト活性によって、アルツハイマー病、統合失調症及び他の精神障害、認知障害ならびにムスカリンM及びM受容体によって媒介される他の疾患の治療で使用することができ、また様々なタイプの疼痛の治療で使用することもできる。
【0150】
したがって、実施形態2.16から2.35では、本発明は以下のものを提供する。
【0151】
2.16 認知障害または精神障害の治療で使用するための、実施形態1.1から1.90のいずれか1つに記載の化合物。
【0152】
2.17 前記認知障害または精神障害が、以下から選択される状態を含むか、それから生じるか、またはそれに付随する、実施形態2.16に記載の使用のための化合物:認知欠陥、軽度認知欠陥、前頭側頭型認知症、血管性認知症、レビー小体型認知症、初老期認知症、老年認知症、フリーデリヒ運動失調症、ダウン症候群、ハンチントン舞踏病、運動過剰症、躁病、トゥレット症候群、アルツハイマー病、進行性球麻痺、認知機能の欠陥(注意、見当識、学習障害、記憶(すなわち、記憶障害、健忘症、健忘障害、一過性全健忘症候群及び加齢に付随する記憶欠陥)及び言語機能を含む);脳卒中の結果としての認知欠陥、ハンチントン病、ピック病、エイズ関連認知症、または他の認知症状態(例えば、多発梗塞性認知症、アルコール性認知症、甲状腺機能低下に関連する認知症、ならびに小脳萎縮及び筋萎縮性側索硬化症などの他の変性障害に関連する認知症);認知低下を引き起こす恐れがある他の急性または亜急性状態(例えば、せん妄または鬱(仮性認知症状態)外傷、頭部外傷、加齢に関連する認知低下、脳卒中、神経変性、薬物誘発状態、神経毒性薬剤、加齢に関連する認知欠陥、自閉症に関連する認知欠陥、ダウン症候群、精神障害に関連する認知欠損、及び電撃治療後に関連する認知障害);ニコチン、大麻、アンフェタミン、コカインなどの薬物乱用または薬物離脱による認知障害、注意欠陥多動性障害(ADHD)及び運動障害(例えば、パーキンソン病、神経遮断薬誘発パーキンソニズム及び遅発性ジスキネジア)、統合失調症、統合失調症様疾患、精神病性鬱病、躁病、急性躁病、妄想障害、幻覚障害及び妄想性障害、人格障害、強迫性障害、統合失調型障害、妄想性障害、悪性腫瘍による精神病、代謝障害、内分泌疾患またはナルコレプシー、薬物乱用または薬剤離脱による精神病、双極性障害及び統合失調感情障害。
【0153】
2.18 アルツハイマー病及び/またはレビー小体型認知症の治療で使用するための、実施形態1.1から1.90のいずれか1つに記載の化合物。
【0154】
2.19 統合失調症の治療で使用するための、実施形態1.1から1.90のいずれか1つに記載の化合物。
【0155】
2.20 対象(例えば、ヒト、例えばこのような治療を必要とするヒト、などの哺乳動物の患者)における認知障害の治療方法であって、実施形態1.1から1.90のいずれか1つに記載の化合物の治療有効用量を投与することを含む、前記方法。
【0156】
2.21 前記認知障害が、実施形態2.17で定義される状態を含むか、それから生じるか、またはそれに付随する、実施形態2.20に記載の方法。
【0157】
2.22 前記認知障害が、アルツハイマー病から生じるかまたはそれに付随する、実施形態2.21に記載の方法。
【0158】
2.23 前記認知障害が、統合失調症である、実施形態2.22に記載の方法。
【0159】
2.24 認知障害の治療のための薬剤製造のための、実施形態1.1から1.90のいずれか1つに記載の化合物の使用。
【0160】
2.25 前記認知障害が、実施形態2.17で定義される状態を含むか、それから生じるか、またはそれに付随する、実施形態2.24に記載の使用。
【0161】
2.26 前記認知障害が、アルツハイマー病から生じるか、またはそれに付随する、実施形態2.25に記載の使用。
【0162】
2.27 前記認知障害が、統合失調症である、実施形態2.26に記載の使用。
【0163】
2.28 急性、慢性、神経障害性、または炎症性の疼痛、関節炎、片頭痛、群発頭痛、三叉神経痛、ヘルペス性神経痛、一般的な神経痛、内臓痛、変形性関節炎疼痛、ヘルペス後神経痛、糖尿病性神経障害、根性痛、坐骨神経痛、背痛、頭痛もしくは頸痛、重症もしくは難治性の疼痛、侵害受容性疼痛、突発痛、手術後疼痛、またはがん疼痛、の治療または重症度緩和のための、実施形態1.1から1.90のいずれか1つに記載の化合物。
【0164】
2.29 急性、慢性、神経障害性、または炎症性の疼痛、関節炎、片頭痛、群発頭痛、三叉神経痛、ヘルペス性神経痛、一般的な神経痛、内臓痛、変形性関節炎疼痛、ヘルペス後神経痛、糖尿病性神経障害、根性痛、坐骨神経痛、背痛、頭痛もしくは頸痛、重症もしくは難治性の疼痛、侵害受容性疼痛、突発痛、手術後疼痛、またはがん疼痛、の治療または重症度緩和のための方法であって、治療有効用量の、実施形態1.1から1.90のいずれか1つに記載の化合物を投与することを含む、前記方法。
【0165】
2.30 末端障害の治療、例えば、緑内障における眼内圧の低減ならびにシェーグレン症候群を含めたドライアイ及びドライマウスの治療、のための、実施形態1.1から1.90のいずれか1つに記載の化合物。
【0166】
2.31 末端障害の治療、例えば、緑内障における眼内圧の低減ならびにシェーグレン症候群を含めたドライアイ及びドライマウスの治療、のための方法であって、治療有効用量の、実施形態1.1から1.90のいずれか1つに記載の化合物を投与することを含む、前記方法。
【0167】
2.32 急性、慢性、神経障害性、または炎症性の疼痛、関節炎、片頭痛、群発頭痛、三叉神経痛、ヘルペス性神経痛、一般的な神経痛、内臓痛、変形性関節炎疼痛、ヘルペス後神経痛、糖尿病性神経障害、根性痛、坐骨神経痛、背痛、頭痛もしくは頸痛、重度もしくは難治性の疼痛、侵害受容性疼痛、突発痛、手術後疼痛またはがん疼痛、の治療または重症度緩和のための、あるいは末端障害の治療、例えば、緑内障における眼内圧の低減ならびにシェーグレン症候群を含めたドライアイ及びドライマウスの治療、のための、薬剤製造のための、実施形態1.1から1.90のいずれか1つに記載の化合物の使用。
【0168】
2.33 皮膚病変、例えば、尋常性天疱瘡、ヘルペス状皮膚炎、類天疱瘡及び他の発疱皮膚状態による皮膚病変、の治療で使用するための、実施形態1.1から1.90のいずれか1つに記載の化合物。
【0169】
2.34 胃腸管の機能及び運動性の変性、例えば、機能性胃腸症、過敏性腸症候群、胃食道酸逆流(GER)及び食道蠕動低下、ならびに胃不全麻痺及び慢性下痢症、に付随する状態の治療、予防、回復または逆転で使用するための、実施形態1.1から1.90のいずれか1つに記載の化合物の使用。
【0170】
2.35 嗅覚機能不全、例えば、Bosma−Henkin−Christiansen症候群、化学物質中毒(例えば、セレン及び銀)、下垂体機能低下症、カルマン症候群、頭蓋骨骨折、腫瘍療法及び甲状腺機能低下の治療で使用するための、実施形態1.1から1.90のいずれか1つに記載の化合物の使用。
【0171】
2.36 嗜癖の治療のための、実施形態1.1から1.90のいずれか1つに記載の化合物の使用。
【0172】
2.37 運動障害、例えば、パーキンソン病、ADHD、ハンチントン病、トゥレット症候群及び、疾患を誘導する基礎的病因因子としてのドーパミン作動性機能不全に付随する他の症候群、の治療のための、実施形態1.1から1.90のいずれか1つに記載の化合物の使用。
【0173】
式(1)の化合物の調製方法
式(1)の化合物は、当業者に周知でありかつ本明細書に記載されている合成方法に従って、調製することができる。
【0174】
したがって、別の実施形態(実施形態3.1)では、本発明は、実施形態1.1〜1.90のうちの任意の1つで定義される化合物を調製するプロセスを記載し、このプロセスは、
(A)式(10)の化合物
【化8】
を、式(11)の化合物:
【化9】
と、還元的アミノ化条件下で反応させること(式中、R、R、R、R、Y、p、q、r及びsは、実施形態1.1〜1.90のうちのいずれか1つに定義されている);または
(B)式(12)の化合物
【化10】
を、塩基の存在下で、式Cl−C(=O)−CH−Rの化合物と反応させること;または
(C)式(10)の化合物
【化11】
を、式(13)の化合物:
【化12】
と、求核性置換条件下で反応させること(式中、R、R、R、R、Y、p、q、r及びsは、実施形態1.1〜1.90のうちのいずれか1つに定義されている);を含み、任意選択により
(D)式(1)の一化合物を式(1)の別の化合物に変換させることを含む。
【0175】
変形態のプロセス(A)では、ピペリジンヘテロ環(10)を、置換ケトン(11)と、還元的アミノ化条件下で反応させる。典型的には、還元的アミノ反応は、酢酸を含有するジクロロメタンまたはジクロロエタンなどの溶媒中のナトリウムトリアセトキシ−ボロヒドリドなどのボロヒドリド還元剤を用いて、周囲温度にて行われる。
【0176】
変形態(C)のプロセスでは、ピペリジンヘテロ環(10)を、スルホン酸エステル(13、R=メチルまたは4−メチルベンジル)と求核性置換反応において反応させ、これは、典型的には穏やかな加熱(例えば、約40℃〜約70℃の温度まで)によって、溶媒なしの未希釈か、またはテトラヒドロフラン、アセトニトリルまたはジメチルアセトアミドなどの好適な溶媒中で行う。
【0177】
式(12)の中間化合物は、下のスキーム1に示す一連の反応によって調製することができる。
【化13】
【0178】
反応スキーム1では、ピペリジンヘテロ環(10)を、Boc保護スピロケトン(14)と還元的アミノ化条件下で反応させる。典型的には、還元的アミノ化反応は、穏やかな加熱によって(例えば、約40℃〜約70℃の温度まで)、酢酸を含有するジクロロメタンまたはジクロロエタンなどの溶媒中の、塩化亜鉛と組み合わせたナトリウムシアノボロヒドリドまたはチタンイソプロポキシドと組み合わせたトリアセトキシボロヒドリドの存在下で行って中間ピペリジン化合物(15)を得、次にこれを酸(例えば、ジクロロメタン中のトリフルオロ酢酸)を用いた処理によるBoc基の除去によって脱保護して化合物(12)を得る。
【0179】
また、式(12)の化合物は、下のスキーム2に示す反応シーケンスによって調製することもできる。
【化14】
【0180】
スキーム2では、メタノール中のナトリウムボロヒドリドを用いて、Boc保護スピロケトン(14)をアルコール(16)に還元する。次にアルコール(16)を、トリエチルアミンまたはN,N−ジイソプロピルエチルアミンなどの三級アミンの存在下、ジクロロメタン中の対応する塩化スルホニルを用いて、スルホン酸エステル(17、R=メチルまたは4−メチルベンジル)として活性化させる。スルホン酸エステル(17)を、求核性置換反応においてピペリジンヘテロ環(10)と反応させ、これは典型的には、加熱によって(例えば、約40℃〜約110℃の温度まで)、溶媒なしの未希釈か、またはテトラヒドロフラン、アセトニトリルまたはジメチルアセトアミドなどの好適な溶媒中で行って化合物(15)を得、次にこれを酸(例えば、ジクロロメタン中のトリフルオロ酢酸)を用いた処理によるBoc基の除去によって脱保護して化合物(12)を得る。
【0181】
一旦形成されると、式(1)の一化合物、またはその保護誘導体は、当業者に周知の方法によって、式(1)の別の化合物に変換することができる。一官能基を別の官能基に変換する合成手順の例は、標準的な教科書、例えば、Advanced Organic Chemistry and Organic Syntheses(上の参考文献を参照)またはFiesers’ Reagents for Organic Synthesis,Volumes 1−17,John Wiley,edited by Mary Fieser(ISBN:0−471−58283−2)、に詳述されている。
【0182】
上述の反応の多くにおいて、分子上の所望でない位置で反応が起こるのを防止するために1つまたは複数の基を保護することが必要となり得る。基を保護する例ならびに官能基を保護及び脱保護する方法は、Protective Groups in Organic Synthesis(T.Greene and P. Wuts;3rd Edition;John Wiley and Sons,1999)に見出すことができる。
【0183】
先述の方法によって作製された化合物は、当業者に周知の様々な方法のいずれかによって単離及び精製することができ、このような方法の例としては、再結晶化ならびに、カラムクロマトグラフィー(例えば、フラッシュクロマトグラフィー)及びHPLCなどのクロマトグラフィー手法が挙げられる。
【0184】
医薬製剤
活性化合物を単独で投与することは可能だが、医薬組成物(例えば、製剤)として提示することが好ましい。
【0185】
したがって、本発明の別の実施形態(実施形態4.1)では、実施形態1.1〜1.82のいずれか1つで定義される少なくとも1つの式(1)の化合物を、薬学的に許容される少なくとも1つの添加剤と共に含む、医薬組成物が提供される。
【0186】
一実施形態(実施形態4.2)では、組成物は、錠剤組成物である。
【0187】
別の実施形態(実施形態4.3)では、組成物は、カプセル組成物である。
【0188】
薬学的に許容される添加剤(複数可)は、例えば、担体(例えば、固体、液体または半固体の担体)、アジュバント、希釈剤(例えば、充填剤または増量剤などの固体の希釈剤、ならびに溶媒及び共溶媒などの液体の希釈剤)、造粒剤、結着剤、流動助剤、コーティング剤、放出制御剤(例えば、放出を遅らせるまたは遅延させる、ポリマーまたはワックス)、結合剤、崩壊剤、緩衝剤、滑沢剤、保存剤、抗真菌及び抗細菌剤、抗酸化剤、張度調整剤、増粘剤、香味剤、甘味剤、色素、可塑剤、矯味剤、安定剤、または医薬組成物で従来から使用されている任意の他の添加剤から選択することができる。
【0189】
本明細書で使用される場合、用語「薬学的に許容される」は、妥当な医学的評価の範囲内で、過度な毒性、刺激、アレルギー反応、または他の問題もしくは合併症を伴うことなく、合理的な利益/リスクの比率に応じて、対象(例えば、ヒト対象)の組織に接触させて使用するのに好適な、化合物、物質、組成物、及び/または剤形を意味する。また、各添加剤は、製剤の他の成分に適合性であるという意味でも「許容される」ものでなければならない。
【0190】
式(1)の化合物を含有する医薬組成物は、公知の手法に従って製剤することができ、例えば、Remington’s Pharmaceutical Sciences,Mack Publishing Company,Easton,PA,USAを参照されたい。
【0191】
医薬組成物は、経口、非経口、局所、鼻腔内、気管支内、舌下、眼、耳、直腸、膣内、または経皮の投与に好適な任意の形態をとることができる。
【0192】
経口投与に好適な医薬剤形には、錠剤(コーティングまたは無コーティング)、カプセル(硬質または軟質シェル)、カプレット、ピル、ロゼンジ、シロップ、溶液、粉末、顆粒、エリキシル及び懸濁液、舌下錠、ウェハースまたは頬側パッチなどのパッチが含まれる。
【0193】
錠剤組成物は、単位投薬量の活性化合物と共に、不活性の希釈剤または担体、例えば、糖または糖アルコール(例えば、ラクトース、スクロース、ソルビトールまたはマンニトール)、及び/または糖由来ではない希釈剤、例えば炭酸ナトリウム、リン酸カルシウム、炭酸カルシウム、あるいはセルロースまたはその誘導体、例えば微結晶性セルロース(MCC)、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ならびにトウモロコシデンプンなどのデンプンを含有してもよい。また、錠剤は、結合剤及び造粒剤のような標準的な成分、例えば、ポリビニルピロリドン、崩壊剤(例えば、架橋カルボキシメチルセルロースなどの膨潤性の架橋ポリマー)、滑沢剤(例えば、ステアリン酸塩)、保存剤(例えば、パラベン)、抗酸化剤(例えばBHT)、緩衝剤(例えばリン酸塩またはクエン酸塩緩衝液)及び、クエン酸塩/重炭酸塩混合物などの発泡剤、を含有してもよい。このような添加剤は周知であり、ここで詳細に論じる必要はない。
【0194】
錠剤は、胃液との接触時(即時放出錠剤)に薬物を放出するように設計しても、制御された様式で(放出制御錠剤)長期間にわたってまたはGI管の特定領域で放出するように設計してもよい。
【0195】
典型的には、医薬組成物は約1%(w/w)〜約95%、好ましくは%(w/w)の活性成分及び、99%(w/w)〜5%(w/w)の薬学的に許容される添加剤(例えば、上で定義された添加剤)またはこのような添加剤の組み合わせを含む。好ましくは、この組成物は、約20%(w/w)〜約90%(w/w)の活性成分及び、80%(w/w)〜10%の薬学的に許容される添加剤または添加剤の組み合わせを含む。医薬組成物は、約1%〜約95%、好ましくは約20%〜約90%の活性成分を含む。本発明による医薬組成物は、例えば、アンプル、バイアル、坐剤、充填済みシリンジ、糖衣錠、粉末、錠剤またはカプセルの形態などの単位剤形とすることができる。
【0196】
錠剤及びカプセルは、例えば、0〜20%の崩壊剤、0〜5%の滑沢剤、0〜5%の流動助剤及び/または0〜99%(w/w)の充填剤/または増量剤(薬の用量によって)を含有することができる。また、錠剤及びカプセルは、0〜10%(w/w)のポリマー結着剤、0〜5%(w/w)の抗酸化剤、0〜5%(w/w)の色素を含有することもできる。加えて、徐放性錠剤は、典型的には、0〜99%(w/w)放出制御(例えば、遅延)ポリマー(用量によって)を含有することになると考えられる。錠剤またはカプセルのフィルムコートは、典型的には、0〜10%(w/w)のポリマー、0〜3%(w/w)の色素、及び/または0〜2%(w/w)の可塑剤を含有する。
【0197】
非経口製剤は、典型的には、0〜20%(w/w)の緩衝液、0〜50%(w/w)の共溶媒、及び/または0〜99%(w/w)の注射用蒸留水(WFI)(用量によって、及びフリーズドライの場合)を含有する。筋肉内デポー用製剤は、0〜99%(w/w)の油も含有し得る。
【0198】
医薬製剤は、単一の包装中に全治療過程が含まれる「患者用パック」(通常はブリスターパック)で患者に提示することができる。
【0199】
概して、式(1)の化合物は単位剤形において提示されることになり、そのため、典型的には、所望のレベルの生物活性を提供するのに十分な化合物を含有することになる。例えば、製剤は1ナノグラム〜2グラムの活性成分、例えば、1ナノグラム〜2ミリグラムの活性成分を含有し得る。この範囲内で、化合物の特定のサブ範囲は、0.1ミリグラム〜2グラムの活性成分(通常は、10ミリグラム〜1グラム、例えば、50ミリグラム〜500ミリグラム)、または1マイクログラム〜20ミリグラム(例えば、1マイクログラム〜10ミリグラム、例えば、0.1ミリグラム〜2ミリグラムの活性成分)である。
【0200】
経口用組成物については、単位剤形は、1ミリグラム〜2グラム、より典型的には10ミリグラム〜1グラム、例えば、50ミリグラム〜1グラム、例えば、100ミリグラム〜1グラム、の活性成分を含有し得る。
【0201】
活性化合物は、それを必要とする患者(例えば、ヒトまたは動物患者)に、所望の治療効果を達成するのに十分な量(有効量)で投与することになる。投与する化合物の的確な量は、標準的な手順に従って担当医師が決定することができる。
【0202】
実施例
これより、限定するものではないが、以下の実施例で記載されている特定の実施形態を参照することによって、本発明を例示する。
【0203】
実施例1−1〜8−4
下の表1に示す実施例1−1〜8−4の化合物を調製した。これらのNMR及びLCMS特性ならびに調製に使用した方法を表3に詳述する。各実施例における出発材料を表2に収載する。
【0204】
【表1-1】
【表1-2】
【表1-3】
【表1-4】
【0205】
一般手順
調製経路が含まれていない場合、該当の中間生成物は市販されている。市販の試薬は、さらなる精製をせずに利用した。室温(rt)は、約20〜27℃を指す。H NMRスペクトラムを400MHzでBruker、VarianまたはJeolの装置に記録した。化学シフト値、すなわち(δ)値は、百万分率(ppm)で表現される。NMRシグナルの多重度には以下の略語が使用される:s=一重項、br=広幅、d=二重項、t=三重項、q=四重項、quint=五重項、td=二重項の三重項、tt=三重項の三重項、qd=二重項の四重項、ddd=二重項の二重項の二重項、ddt=三重項の二重項の二重項、m=多重項。結合定数はHz単位で測定し、J値として収載する。NMR及び質量分析の結果は、バックグラウンドピークに対処するように補正した。クロマトグラフィーは、60〜120メッシュのシリカゲルを用いて実施し、かつ窒素圧力(フラッシュクロマトグラフィー)条件下で実行する、カラムクロマトグラフィーを指す。反応をモニターするためのTLCは、特定の移動相及び固定相としてのシリカゲルF254(Merck)を用いて動作するTLCを指す。Biotage InitiatorまたはCEM Discoverマイクロ波反応器でマイクロ波媒介反応を実施した。
【0206】
LCMS実験は、典型的には、以下の条件下の各化合物について指定されているエレクトロスプレー条件を用いて行った。
【0207】
LCMS方法A及びB
装置:Waters Alliance2795、Waters2996 PDA検出器、Micromass ZQ;カラム: Waters X−Bridge C−18、2.5ミクロン、2.1x20mmまたはPhenomenex Gemini−NX C−18、3ミクロン、2.0x30mm;勾配[時間(分)/溶媒C中D(%)]: 方法A: 0.00/2、0.10/2、2.50/95、3.50/95、3.55/2、4.00/2または方法B: 0.00/2、0.10/2、8.40/95、9.40/95、9.50/2、10.00/2;溶媒:溶媒C=HO 2.5L+アンモニア溶液2.5mL;溶媒D=MeCN 2.5L+HO 135mL+アンモニア溶液2.5mL);注入体積3μL;UV検出230〜400nM;カラム温度45℃;流量1.5mL/分。
【0208】
LCMS方法C
装置:Agilent1260 Infinity LC(ダイオードアレイ検出器付)、Agilent6120Bシングル四重極MS(API−ESソース付);カラム: Phenomenex Gemini−NX C−18、3ミクロン、2.0x30mm;勾配[時間(分)/溶媒A中B(%)]:方法:0.00/5、2.00/95、2.50/95、2.60/5、3.00/5;溶媒:溶媒A=HO 2.5L+(HO中28%NH3)2.5mL;溶媒B=MeCN 2.5L+HO 129mL+(HO中28%NH)2.7mL;注入体積0.5μL;UV検出190〜400nM;カラム温度40℃;流量1.5mL/分。
【0209】
LCMS方法D及びE
装置:HP1100(G1315A DAD付)、Micromass ZQ;カラム:Waters X−Bridge C−18、2.5ミクロン、2.1x20mmまたはPhenomenex Gemini−NX C−18、3ミクロン、2.0x30mm;勾配[時間(分)/溶媒C中D(%)]:方法D:0.00/2、0.10/2、2.50/95、3.50/95、3.55/2、4.00/2または方法E:0.00/2、0.10/2、8.40/95、9.40/95、9.50/2、10.00/2;溶媒:溶媒C=HO 2.5L+HO中28%アンモニア溶液2.5mL;溶媒D=MeCN 2.5L+HO 135mL+HO中28%アンモニア溶液2.5mL);注入体積1μL;UV検出230〜400nM;質量検出130〜800AMU(+ve及び−veエレクトロスプレー);カラム温度45℃;流量1.5mL/分。
【0210】
LCMS方法F:
装置:Waters Acquity Hクラス、フォトダイオードアレイ、SQ検出器;カラム:BEH C18、1.7ミクロン、2.1x50mm;勾配[時間(分)/溶媒A中B(%)]:0.00/5、0.40/5、0.8/35、1.20/55、2.50/100、3.30/100 4.00/5;溶媒:溶媒A=酢酸アンモニウム5mM及びHO中0.1%ギ酸;溶媒B=MeCN中0.1%ギ酸;注入体積2μL;UV検出200〜400nM;質量検出100〜1200AMU(+veエレクトロスプレー);周囲温度のカラム;流量0.5mL/分。
【0211】
LCMS方法G:
装置:Waters2695、フォトダイオードアレイ、ZQ−2000検出器;カラム:X−Bridge C18、5ミクロン、150x4.6mm;勾配[時間(分)/溶媒A中B(%)]:0.00/10、5.00/90、7.00/100、11.00/100、11.01/10 12.00/10;溶媒:溶媒A=HO中0.1%アンモニア;溶媒B=MeCN中0.1%アンモニア;注入体積10μL;UV検出200〜400nM;質量検出60〜1000AMU(+veエレクトロスプレー);周囲温度のカラム;流量1.0mL/分。
【0212】
LCMS方法H:
装置:Waters2695、フォトダイオードアレイ、ZQ−2000検出器;カラム:X−Bridge C18、5ミクロン、150x4.6mm;勾配[時間(分)/溶媒A中B(%)]:0.00/100、7.00/50、9.00/0、11.00/0、11.01/100、12.00/100;溶媒:溶媒A=HO中0.1%アンモニア;溶媒B=MeCN中0.1%アンモニア;注入体積10μL;UV検出200〜400nM;質量検出60〜1000AMU(+veエレクトロスプレー);周囲温度のカラム;流量1.0mL/分。
【0213】
LCMS方法I:
装置:Waters2695、フォトダイオードアレイ、ZQ−2000検出器;カラム:X−Bridge C18、3.5ミクロン、150x4.6mm;勾配[時間(分)/溶媒A中B(%)]:0.00/5、5.00/90、5.80/95、10/95;溶媒:溶媒A=HO中0.1%アンモニア;溶媒B=MeCN中0.1%アンモニア;注入体積10μL;UV検出200〜400nM;質量検出60〜1000AMU(+veエレクトロスプレー);周囲温度のカラム;流量1.0mL/分。
【0214】
LCMS方法J:
装置:Agilent1260 InfinityシリーズUHPLC、ELSD:Agilent1260 infinity、カラム:XBridge Shield RP−18、5ミクロン、2.1x50mm;勾配[時間(分)/溶媒A中B(%)]:0.00/2、0.5/2、1.00/20、4.00/92、5.00/92、5.50/50、6.00/2;溶媒:A=水中5mM酢酸アンモニウム;溶媒B=アセトニトリル;注入体積1μL;ELSDによる検出、カラム温度35℃:流量0.6mL/分。
【0215】
LCMS方法K:
装置:Waters2695、フォトダイオードアレイ、ZQ−2000検出器;カラム:X−Bridge C18、3.5ミクロン、50x4.6mm;勾配[時間(分)/溶媒A中B(%)]:0.01/0、0.20/0、5.00/90、5.80/95、7.20/95、7.21/100、10.00/100;溶媒:溶媒A=HO中0.1%アンモニア;溶媒B=MeCN中0.1%アンモニア;注入体積10μL;UV検出200〜400nM;質量検出60〜1000AMU(+veエレクトロスプレー);周囲温度のカラム;流量1.0mL/分。
【0216】
LCMS方法L:
装置:Waters Acquity UPLC、Waters3100 PDA検出器、SQD;カラム:Acquity HSS−T3、1.8ミクロン、2.1x100mm;勾配[時間(分)/溶媒A中B(%)]:0.00/10、1.00/10、2.00/15、4.50/55、6.00/90、8.00/90、9.00/10、10.00/10;溶媒:溶媒A=水中0.1%トリフルオロ酢酸;溶媒B=アセトニトリル;注入体積1μL;検出波長214nm;カラム温度30℃;流量0.3mL毎分。
【0217】
LCMS方法P:
装置:Agilent1260 InfinityシリーズUHPLC、ELSD:Agilent1260 infinity、カラム:Xbridge Shield RP−18、5ミクロン、2.1x50mm;勾配[時間(分)/溶媒A中B(%)]:0.00/2、0.5/2、1.00/20、4.00/92、5.00/92、5.50/50、6.00/2;溶媒:A=水中5mM酢酸アンモニウム;溶媒B=アセトニトリル;注入体積1μL;ELSDによる検出、カラム温度35℃:流量0.6mL/分。
【0218】
実験セクション中のLCMSデータは、質量イオン、保持時間、UV活性、というフォーマットで示している。
【0219】
略語
d=日(複数可)
DCE=ジクロロエタン
DCM=ジクロロメタン
DEA=ジエチルアミン
DIPEA=ジイソピルエチルアミン
DMF=ジメチルホルムアミド
DMSO=ジメチルスルホキシド
DPPA=ジフェニルホスホリルアジド
ES=エレクトロスプレーイオン化
EtN=トリエチルアミン
EtOAc=酢酸エチル
h=時間(複数可)
HPLC=高速液体クロマトグラフィー
LC=液体クロマトグラフィー
LiHMDS=リチウムビス(トリメチルシリル)アミド
MeCN=アセトニトリル
MeOH=メタノール
min=分(複数可)
MS=質量分析
=窒素
NMR=核磁気共鳴
rt=室温
sat.=飽和
sol.=溶液
STAB=ナトリウムトリアセトキシボロヒドリド
TBAF=テトラブチルアンモニウムフルオリド
THF=テトラヒドロフラン
TLC=薄層クロマトグラフィー
【0220】
n−、s−、i−、t−及びtert−というプレフィックスは、ノルマル、第二級、イソ、及び第三級という通常の意味を有する。
【0221】
中間生成物の合成:
経路1
中間生成物3、1−エチル−2,8−ジアザスピロ[4.5]デカン−3−オン.HClの調製によって例示される、ピペリジン調製の典型的な手順
【化15】
鉱物油中の水素化ナトリウム(60%、11.9g、297mmol)をDMF(200mL)中に溶解し、メチル 2−(ジメトキシホスホリル)アセテート(52.0g、286mmol)を0℃で滴下添加した。反応混合物を0℃で20分間攪拌し、次にDMF(100mL)中tert−ブチル 4−オキソピペリジン−1−カルボキシレート(45.5g、228mmol)を0℃で滴下添加した。反応混合物を室温で2時間攪拌し、次に氷水(20mL)で希釈し、濾過し、溶媒を真空下で除去して、tert−ブチル 4−(2−メトキシ−2−オキソエチリデン)ピペリジン−1−カルボキシレート(42.5g、72.9%)を黄色の固体として得た。
LCMS(方法F):m/z 256(M+H) (ES),2.47分,UV活性
【0222】
tert−ブチル 4−(2−メトキシ−2−オキソエチリデン)ピペリジン−1−カルボキシレート(5.0g、19.60mmol)をTHF(50mL)中に溶解し、次にTHF(25.5mL、25.5mmol)中1.0MのTBAF、その後に1−ニトロプロパン(2.62g、29.4mmol)を反応混合物に滴下添加し、反応混合物を70℃に24時間加熱した。反応混合物を氷冷水(150mL)に注ぎ、EtOAc(500mL)によって抽出し、水層をEtOAc(2x250mL)でさらに抽出し、有機層を合わせ乾燥した(NaSO)。溶媒を真空下で除去し、残渣をカラムクロマトグラフィー(順相シリカ、ヘキサン中0〜6%EtOAc)によって精製して、tert−ブチル 4−(2−メトキシ−2−オキソエチル)−4−(1−ニトロプロピル)ピペリジン−1−カルボキシレート(1.1g、40.9%)を黄色の油として得た。
LCMS(方法F):m/z 345 (M+H) (ES),2.43分,UV不活性
【0223】
tert−ブチル 4−(2−メトキシ−2−オキソエチル)−4−(1−ニトロプロピル)ピペリジン−1−カルボキシレート(0.7g、2.03mmol)をMeOH(15mL)中に溶解し、Raney(登録商標)−Nickel(140.0mg、20%w/w)を添加した。反応混合物をHガスでパージし、次に室温で16時間攪拌した。反応混合物をセライトで濾過し、溶媒を真空下で除去して、tert−ブチル 1−エチル−3−オキソ−2,8−ジアザスピロ[4.5]デカン−8−カルボキシレート(0.28g、48.0%)を白色の固体として得た。
LCMS(方法F):m/z 283 (M+H) (ES),1.95分,UV不活性
【0224】
tert−ブチル 1−エチル−3−オキソ−2,8−ジアザスピロ[4.5]デカン−8−カルボキシレート(0.27g、0.96mmol)を1,4−ジオキサン(5.0mL)中4.0MのHClに室温で溶解した。反応混合物を室温で16時間攪拌し、次に溶媒を真空下で除去した。残渣をジエチルエーテルで粉砕して1−エチル−2,8−ジアザスピロ[4.5]デカン−3−オン.HCL、中間生成物3(0.15g、84.7%)を白色の固体として得た。
標題化合物のデータは、表2にある。
【0225】
経路2
中間生成物6,6−フルオロ−2,8−ジアザスピロ[4.5]デカン−3−オン.HClの調製によって例示される、ケトン調製の典型的な手順
【化16】
鉱物油中の水素化ナトリウム(60%、0.18g、4.6mmol)をTHF(12mL)中に懸濁し、メチル 2−(ジメトキシホスホリル)アセテート(0.84g、4.6mmol)を0℃で滴下添加した。反応混合物を0℃で1時間攪拌し、次にTHF(5mL)中tert−ブチル−3−フルオロ−4−オキソ−ピペリジン−1−カルボキシレート(1.0g、4.6mmol)を0℃で滴下添加した。反応混合物を室温で16時間攪拌し、次に水(10mL)でクエンチした。反応混合物をEtOAc(3x20mL)で抽出し、有機層を合わせて洗浄し、飽和NaHCO溶液(20mL)及びブライン(20mL)で洗浄し、次に乾燥した(NaSO)。溶媒を真空下で除去し、残渣をカラムクロマトグラフィー(順相、[Biotage SNAPカートリッジKP−sil25g、40〜63μm、60Å、25mL毎分、勾配イソヘキサン中0%〜35%EtOAc])によって精製して、tert−ブチル 3−フルオロ−4−(2−メトキシ−2−オキソエチリデン)ピペリジン−1−カルボキシレート(0.94g、75%)を得た。
H NMR: (400 MHz, DMSO−d) δ: 1.39 (d, J = 2.5 Hz, 9 H), 2.20 − 2.35 (m, 1 H), 2.74 − 2.96 (m, 2 H), 3.64 (d, J = 2.0 Hz, 3 H), 4.02 − 4.20 (m, 1 H), 4.22 − 4.43 (m, 1H), 5.05 (ddd, J = 47.5, 4.5, 3.5 Hz, 1 H), 5.98 (s, 1 H), 6.19 (s, 0.5H), 6.31 (s, 0.5H)
【0226】
tert−ブチル 3−フルオロ−4−(2−メトキシ−2−オキソエチリデン)ピペリジン−1−カルボキシレート(0.94g、3.5mmol)及びニトロメタン(0.32g、5.2mmol)をTHF(10mL)中1.0MのTBAF中に溶解し、N下で反応混合物を50℃で2日間加熱した。溶媒を真空下で除去し、残渣をカラムクロマトグラフィー(順相、[Biotage SNAPカートリッジKP−sil25g、40〜63μm、60Å、25mL毎分、勾配イソヘキサン中0%〜40%EtOAc])によって精製して、tert−ブチル 3−フルオロ−4−(2−メトキシ−2−オキソエチル)−4−(ニトロメチル)ピペリジン−1−カルボキシレート(0.47g、41%)を得た。
H NMR: (400 MHz, DMSO−d) δ: 1.37 (s, 9 H), 1.59 − 1.74 (m, 2 H), 2.62 − 2.71 (m, 1 H), 2.71 − 2.83 (m, 1 H), 2.94 − 3.08 (m, 1 H), 3.16 − 3.28 (m, 1 H), 3.60 (s, 3H), 3.66 − 3.84 (m, 1 H), 3.94 − 4.07 (m, 1 H), 4.64 − 4.71 (m, 1 H), 4.71 − 4.86 (m, 2 H)
【0227】
tert−ブチル 3−フルオロ−4−(2−メトキシ−2−オキソエチル)−4−(ニトロメチル)ピペリジン−1−カルボキシレート(0.47g、1.41mmol)をEtOH(50mL)中に溶解し、ThalesNano CatCart(登録商標)触媒カートリッジシステム、70mm Raneyニッケル(THS01132)を装備したH−cubeに40バール及び50℃で3回通した。溶媒を真空下で除去して、tert−ブチル 6−フルオロ−3−オキソ−2,8−ジアザスピロ[4.5]デカン−8−カルボキシレート(0.35g、85%)を白色の固体として得、これをさらなる精製をせずに使用した。
H NMR: (400 MHz, DMSO−d) δ: 1.37 (s, 9 H), 1.42 − 1.56 (m, 1 H), 1.56 − 1.74 (m, 1 H), 2.12 (s, 2 H), 2.84 − 2.92 (m, 1 H), 2.94 − 3.06 (m, 1 H), 3.06 − 3.21 (m, 1 H), 3.28 (d, J = 9.5 Hz, 1 H), 3.71 − 3.83 (m, 1 H), 3.83 − 4.02 (m, 1 H), 4.41 − 4.60 (m, 1H), 7.58 − 7.70 (m, 1 H)
【0228】
tert−ブチル 6−フルオロ−3−オキソ−2,8−ジアザスピロ[4.5]デカン−8−カルボキシレート(0.35g、1.27mmol)を1,4−ジオキサン(10mL)中4.0MのHCl中に懸濁させ、室温で16時間攪拌した。T 溶媒を真空下で除去して、6−フルオロ−2,8−ジアザスピロ[4.5]デカン−3−オン.HCl、中間生成物6(0.27g、推定100%)を白色の固体として得、これをさらなる精製をせずに使用した。
標題化合物のデータは、表2にある。
【0229】
経路3
中間生成物11、4,4−ジメチル−1−オキサ−3,8−ジアザスピロ[4.5]デカン−2−オンの調製によって例示される、ピペリジン調製の典型的な手順
【化17】
2−ブロモ−2−メチルプロピオン酸エチルエステル(15.4g、79.2mmol)をEtO(100mL)中に溶解し、N下で−78℃に冷却した。n−ブチルリチウム(99mL、158mmol)を滴下添加し、反応混合物を−78℃で1時間攪拌した。EtO(100mL)中N−ベンジル−4−ピペリドン(10g、52.8mmol)を滴下添加し、反応混合物を−60℃で2時間攪拌した。反応混合物を飽和NHCl溶液(200mL)でクエンチし、次に水(500mL)で希釈した。反応混合物をEtOAc(3x200mL)で抽出し、有機層を合わせ乾燥した(NaSO)。溶媒を真空下で除去し、残渣をカラムクロマトグラフィー(順相、中性シリカゲル、60〜120メッシュ、ヘキサン中0〜15%EtOAc)によって精製して、エチル 2−(1−ベンジル−4−ヒドロキシピペリジン−4−イル)−2−メチルプロパノエート(12.0g、74.3%)を黄色のガムとして得た。
LCMS(方法F):m/z 306(M+H) (ES),1.79分,UV活性
【0230】
エチル 2−(1−ベンジル−4−ヒドロキシピペリジン−4−イル)−2−メチルプロパノエート(12.0g、39.3mmol)及び85%のヒドラジン水和物(80mL)をEtOH(30mL)中に溶解した。反応混合物を100℃で120時間還流した。溶媒を真空下で除去して、2−(1−ベンジル−4−ヒドロキシピペリジン−4−イル)−2−メチルプロパンヒドラジド(15.0g、131%)を黄色のガムとして得、これを粗製のまま次のステップで使用した。
LCMS(方法F):m/z 292(M+H) (ES),1.37分,UV活性
【0231】
2−(1−ベンジル−4−ヒドロキシピペリジン−4−イル)−2−メチルプロパンヒドラジド(15g、推定39.3mmol)を水(60mL)中に溶解し、次に濃HCl(5mL)で酸性化し、反応混合物を5℃に冷却した。水(8mL)中NaNO(4.2g、61.8mmol)を0℃で添加し、反応混合物を60℃に1時間加温した。反応混合物を20%のNaOH溶液で塩基性化し、水(500mL)で希釈し、EtOAc(3x200mL)で抽出し、有機層を合わせ乾燥した(NaSO)。溶媒を真空下で除去し、残渣をカラムクロマトグラフィー(順相、中性シリカゲル、60〜120メッシュ、DCM中0〜2%MeOH)によって精製して、8−ベンジル−4,4−ジメチル−1−オキサ−3,8−ジアザスピロ[4.5]デカン−2−オン(5.0g、46.4%)を黄色の固体として得た。
LCMS(方法F):m/z 275(M+H) (ES),1.50分,UV活性
【0232】
8−ベンジル−4,4−ジメチル−1−オキサ−3,8−ジアザスピロ[4.5]デカン−2−オン(5.0g、18.2mmol)をMeOH(30mL)中に溶解した。10%のPd/C(0.5g)を添加し、反応混合物をH雰囲気(1atm)下、50℃で2時間攪拌した。反応混合物をセライトで濾過し、溶媒を真空下で除去した。残渣をEtOで粉砕して、4,4−ジメチル−1−オキサ−3,8−ジアザスピロ[4.5]デカン−2−オン、中間生成物12(1.5g、45.4%)を黄色の固体として得た。
標題化合物のデータは、表2にある。
【0233】
経路4
中間生成物13、1−エチル−1,2,8−トリアザスピロ[4.5]デカン−3−オン.HClの調製によって例示される、ピペリジン調製の典型的な手順
【化18】
鉱物油中の水素化ナトリウム(60%、11.9g、297mmol)をDMF(200mL)中に溶解し、メチル 2−(ジメトキシホスホリル)アセテート(52.0g、286mmol)を0℃で滴下添加した。反応混合物を0℃で20分間攪拌し、次にDMF(100mL)中tert−ブチル 4−オキソピペリジン−1−カルボキシレート(45.5g、228mmol)を0℃で滴下添加した。反応混合物を室温で2時間攪拌し、次に氷水(20mL)で希釈し、濾過し、溶媒を真空下で除去して、tert−ブチル 4−(2−メトキシ−2−オキソエチリデン)ピペリジン−1−カルボキシレート(42.5g、72.9%)を黄色の固体として得た。
LCMS(方法F):m/z 256(M+H) (ES),2.47分,UV活性
【0234】
tert−ブチル 4−(2−メトキシ−2−オキソエチリデン)ピペリジン−1−カルボキシレート(3.0g、11.8mmol)をEtOH(20mL)中に溶解し、ヒドラジン水和物(85%溶液、1.1mL、23.5mmol)を添加し、反応混合物を80℃で8時間攪拌した。反応混合物を水(150mL)とEtOAc(120mL)との間で分配し、水層をEtOAc(2x120mL)でさらに抽出し、有機層を合わせブライン(100mL)で洗浄し、乾燥した(NaSO)。溶媒を真空下で除去し、残渣をカラムクロマトグラフィー(順相シリカ、メッシュサイズ:60〜120、DCM中4.0%〜10.0%MeOH)によって精製して、tert−ブチル 3−オキソ−1,2,8−トリアザスピロ[4.5]デカン−8−カルボキシレート(1.78g、59.3%)を白色の固体として得た。
LCMS(方法F):m/z 256 (M+H) (ES),1.70分,UV不活性
【0235】
tert−ブチル 3−オキソ−1,2,8−トリアザスピロ[4.5]デカン−8−カルボキシレート(0.1g、0.39mmol)をMeOH(5mL)中に溶解し、アセトアルデヒド(0.03mL、0.59mmol)を添加し、反応混合物を0℃で2時間攪拌した。NaCNBH(18mg、0.48mmol)を少しずつ添加し、反応混合物を室温で7時間攪拌した。反応混合物を真空下で除去し、残渣をHO(40mL)とEtOAc(25mL)との間で分配し、水層をEtOAc(2x25mL)で抽出し、有機層を合わせブライン(100mL)で洗浄し、乾燥した(NaSO)。溶媒を真空下で除去し、残渣をヘキサン(3x3mL)で粉砕することによって精製して、tert−ブチル 1−エチル−3−オキソ−1,2,8−トリアザスピロ[4.5]デカン−8−カルボキシレート、中間生成物86(0.09g、80.9%)を無色のガムとして得た。
標題化合物のデータは、表2にある。
【0236】
tert−ブチル 1−エチル−3−オキソ−1,2,8−トリアザスピロ[4.5]デカン−8−カルボキシレート(0.2g、0.71mmol)を1,4−ジオキサン(3mL)中に溶解し、1,4−ジオキサン(10mL)中4.0MのHClを滴下添加し、反応混合物を30℃で16時間攪拌した。溶媒を真空下で除去し、残渣をEtO(3x3mL)で粉砕することによって精製して、1−エチル−1,2,8−トリアザスピロ[4.5]デカン−3−オン.HCl、中間生成物13(0.14g、90.3%)を黄色の固体として得た。
標題化合物のデータは、表2にある。
【0237】
経路5
中間生成物44、エチル 6−オキソ−2−ジアザスピロ[3.3]ヘプタン−2−カルボキシレートの調製によって例示される、ケトン調製の典型的な手順
【化19】
2−Boc−6−オキソ−2−アザスピロ[3.3]ヘプタン(0.65g、3.08mmol)を、1,4−ジオキサン(3.1ml、12mmol)中4.0MのHClに少しずつ添加した。24時間後、反応物を真空下で濃縮し、残渣固体をNEt(0.86ml、6.15mmol)及びDCM(13.5ml)の混合物中に溶解した。溶解が完了したら、溶液を直ちに0℃に冷却し、次にクロロギ酸エチル(0.32ml、3.38mmol)を添加した。18時間後、混合物をDCM(50ml)及びNaHCO溶液(50ml)中に注ぎ、抽出した(2x50ml)。有機層を合わせ、ブライン(10ml)で洗浄し、次にMgSOで乾燥した。溶媒を真空下で除去し、残渣をカラムクロマトグラフィー(順相、[Biotage SNAPカートリッジKP−sil25g、40〜63μm、60Å、50ml毎分、勾配DMC中1%〜10%MeOH])によって精製して、エチル 6−オキソ−2−アザスピロ[3.3]ヘプタン−2−カルボキシレート(0.17g、30%)を無色の油として得、これは放置すると針状に凝固した。
標題化合物のデータは、表2にある。
【0238】
経路6
中間生成物48、4−(ピリジン−2−イルメチル)−1−オキサ−3,8−ジアザスピロ[4.5]デカン−2−オンの調製によって例示される、ピペリジン調製の典型的な手順
【化20】
THF(160mL)中NaHの溶液(8.96g、鉱物油中50%、186.9mmol)に、トリエチルホスホノアセテート(20.5mL、102.7mmol)を0℃で添加した。1時間0℃で攪拌した後、ピコリンアルデヒド(10.00g、93.4mmol)を0℃でゆっくり添加し、反応混合物を室温で2時間攪拌した。反応混合物をHO(10mL)でクエンチし、水層をEtOAc(3x100mL)で抽出した。有機層を合わせ、乾燥し(NaSO)、溶媒を真空下で除去した。粗残渣をフラッシュカラムクロマトグラフィー[順相、シリカゲル(100〜200メッシュ、勾配ヘキサン中10%〜30%EtOAc)]によって精製して、エチル (E)−3(ピリジン−2−イル)アクリレート(7.90g、49%)を液体として得た。
m/z (ES): 178 (M+H)
【0239】
MeOH(100mL)中エチル (E)−3(ピリジン−2−イル)アクリレート(7.9g、23.0mmol)に10%のPd/C(0.80g、50%湿潤)を添加し、反応混合物をH下(1atm)、室温で16時間攪拌した。反応混合物をセライトパッドで濾過し、MeOHで徹底的に洗浄し、溶媒を真空下で除去して、エチル 3−(ピリジン−2−イル)プロパノエート(7.8g、98%)を液体として得た。
m/z (ES): 179 (M+H)
【0240】
THF(60mL)中エチル 3−(ピリジン−2−イル)プロパノエート(2.90g、16.2mmol)にLiHMDS(1M、48.6mL、48.6mmol)を−78℃でゆっくり添加し30分間攪拌し、それから1−ベンジルピペリジン−4−オン(3.10g、16.2mmol)を−78℃で添加し、反応混合物を−78℃で4時間攪拌した。完了後、反応混合物を飽和NHCl溶液(30mL)でクエンチし、水層をEtOAc(3x30mL)で抽出した。有機層を合わせ、乾燥し(NaSO)、溶媒を真空下で除去した。粗残渣をフラッシュカラムクロマトグラフィー[順相、シリカゲル(100〜200メッシュ、勾配ヘキサン中10%〜30%EtOAc)]によって精製して、エチル 2−(1−ベンジル−4−ヒドロキシピペリジン−4−イル)−3−(ピリジン−2−イル)プロパノエート(2.80g、50%)を液体として得た。
m/z (ES): 369 (M+H)
【0241】
MeOH:THF(1:1、30mL)中エチル 2−(1−ベンジル−4−ヒドロキシピペリジン−4−イル)−3−(ピリジン−2−イル)プロパノエート(2.80g、7.61mmol)に水(10mL)中LiOH.HO(1.28g、30.4mmol)を室温で添加し、16時間攪拌した。反応混合物を氷酢酸で酸性化し、EtOAc(3x20mL)で抽出した。有機層を合わせブラインで洗浄し、乾燥し(NaSO)、溶媒を真空下で除去して、2−(1−ベンジル−4−ヒドロキシピペリジン−4−イル)−3−(ピリジン−2−イル)プロパン酸(2.16g、84%)を淡黄色の固体として得た。
m/z (ES): 339 (M+H)
【0242】
トルエン(30mL)中2−(1−ベンジル−4−ヒドロキシピペリジン−4−イル)−3−(ピリジン−2−イル)プロパン酸(1.70g、5.11mmol)に、DPPA(1.32mL、6.13mmol)及びEtN(0.84mL、6.13mmol)を添加し、反応混合物を80℃で16時間加熱した。反応混合物を室温に冷却し、溶媒を真空下で除去した。残渣をフラッシュカラムクロマトグラフィー[順相、シリカゲル(100〜200メッシュ、勾配ヘキサン中1%〜30%EtOAc)]によって精製して、8−ベンジル−4−(ピリジン−2−イルメチル)−1−オキサ−3,8−ジアザスピロ[4.5]デカン−2−オン(1.25g、56%)を白色の固体として得た。
m/z (ES): 338 (M+H)
【0243】
MeOH(40mL)中8−ベンジル−4−(ピリジン−2−イルメチル)−1−オキサ−3,8−ジアザスピロ[4.5]デカン−2−オン(0.80g、2.37mmol)に、N下で脱気後、木炭上の10%のPd(OH)(0.15g、50%湿潤)を添加した。反応混合物をH下(1atm)、室温で16時間攪拌した。完了後、反応混合物をセライトパッドで濾過し、MeOHで徹底的に洗浄し、溶媒を真空下で除去して、4−(ピリジン−2−イルメチル)−1−オキサ−3,8−ジアザスピロ[4.5]デカン−2−オン、中間生成物48(0.58g、98%)を液体として得た。
標題化合物のデータは、表2にある。
【0244】
経路7
中間生成物60、4−(2,2,2−トリフルオロエチル)−1−オキサ−3,8−ジアザスピロ[4.5]デカン−2−オンの調製によって例示される、ピペリジン調製の典型的な手順
【化21】
ジイソプロピルアミン(12.8g、126.98mmol)をTHF(100mL)中に溶解し、窒素下で−78℃に冷却した。n−ブチルリチウム(79.3mL、126.98mmol、THF中1.6M)を滴下添加し、反応混合物を−78℃で1時間攪拌した。エチル 4,4,4−トリフルオロブタノエート(16.2g、95.23mmol)を30分かけて添加し、次に反応混合物を−78℃で1時間攪拌した。N−ベンジルピペリドン(15g、79.36mmol)を滴下添加し、反応混合物を−78℃で30分間攪拌した。反応物をNHCl(200mL)の飽和溶液でクエンチし、水(500mL)で希釈し、EtOAc(3x200mL)で抽出し、有機層を合わせ乾燥し(NaSO)、溶媒を真空下で除去した。残渣をカラムクロマトグラフィー(順相、中性シリカゲル、60〜120メッシュ、ヘキサン中0〜25%EtOAc)によって精製して、エチル 2−(1−ベンジル−4−ヒドロキシピペリジン−4−イル)−4,4,4−トリフルオロブタノエート(24.0g、84.2%)を黄色のガムとして得た。
LCMS(方法F):m/z 360(M+H) (ES),1.75分,UV活性
【0245】
エチル 2−(1−ベンジル−4−ヒドロキシピペリジン−4−イル)−4,4,4−トリフルオロブタノエート(24.0g、66.85mmol)及び85%のヒドラジン水和物(200mL)をエタノール(100mL)中に溶解した。反応混合物を還流し、100℃で72時間攪拌させた。反応混合物を真空下で濃縮して、2−(1−ベンジル−4−ヒドロキシピペリジン−4−イル)−4,4,4−トリフルオロブタンヒドラジド(28.0g)の粗生成物を黄色のガムとして得た。この粗生成物を、いかなる精製もせずに次のステップで使用した。
LCMS(方法F):m/z 346(M+H) (ES),1.41分,UV活性
【0246】
粗製の2−(1−ベンジル−4−ヒドロキシピペリジン−4−イル)−4,4,4−トリフルオロブタンヒドラジド(28g、81.1mmol)を水(200mL)中に溶解し、濃HClで酸性化し0℃に冷却した。水(50mL)中NaNO(16.7g、243.2mmol)を0℃で添加し、反応混合物を60℃で1時間攪拌させた。反応物を20%のNaOH溶液で塩基性化し、水(500mL)で希釈し、EtOAc(3x200mL)で抽出し、合わせた有機層を乾燥し(NaSO)、溶媒を真空下で除去した。残渣をカラムクロマトグラフィー(順相、中性シリカゲル、60〜120メッシュ、ジクロロメタン中0〜3.0%MeOH)によって精製して、8−ベンジル−4−(2,2,2−トリフルオロエチル)−1−オキサ−3,8−ジアザスピロ[4.5]デカン−2−オン(1.2g、4.5%)を黄色の固体として得た。
LCMS(方法F):m/z 329(M+H) (ES),1.48分,UV活性
【0247】
8−ベンジル−4−(2,2,2−トリフルオロエチル)−1−オキサ−3,8−ジアザスピロ[4.5]デカン−2−オン(1.2g、3.65mmol)をメタノール(30mL)中に溶解した。Pd/C(300mg、10%Pd/C 50%水分)を添加し、反応混合物を水素雰囲気下(1atm)、50℃で2時間攪拌した。反応混合物をセライトで濾過し、溶媒を真空下で除去した。粗残渣をジエチルエーテルで粉砕して、4−(2,2,2−トリフルオロエチル)−1−オキサ−3,8−ジアザスピロ[4.5]デカン−2−オン、中間生成物60(0.75g、88.2%)を黄色の固体として得た。
標題化合物のデータは、表2にある。
【0248】
経路8
中間生成物76、テトラヒドロスピロ[ピペリジン−4,1’−ピロロ[1,2−c][1,3]オキサゾール]−3’−オンの調製によって例示される、ピペリジン調製の典型的な手順
【化22】
tert−ブチル ピロリジン−1−カルボキシレート(2.91g、17.0mmol)をTHF(160mL)中に溶解し、−78℃に冷却した。シクロヘキサン(14.29mL、20.0mmol)中1.4Mのs−BuLiを滴下添加し、−78℃で3時間攪拌させた。THF(10mL)中ベンジル 4−オキソピペリジン−1−カルボキシレート(3.96g、17.0mmol)を30分かけて−78℃で添加し、次に−78℃で5時間攪拌した。反応物を冷水(500mL)で希釈し、EtOAc(3x150mL)で抽出し、合わせた有機層を乾燥し(NaSO)、溶媒を真空下で除去した。残渣をカラムクロマトグラフィー(順相、中性シリカゲル、60〜120メッシュ、ヘキサン中0〜15%EtOAc)によって精製して、ベンジル 4−(1−tert−ブトキシカルボニル)ピロリジン−2−イル)−4−ヒドロキシピペリジン−1−カルボキシレート(1.2g、23%)を黄色の液体として得た。
LCMS(方法F):m/z 406(M+H) (ES),2.41分,UV活性
【0249】
ベンジル 4−(1−tert−ブトキシカルボニル)ピロリジン−2−イル)−4−ヒドロキシピペリジン−1−カルボキシレート(1.2g、2.97mmol)を1,4−ジオキサン(10mL)中に溶解し、0℃に冷却した。1,4−ジオキサン(10mL)中4.0MのHClを添加し、反応混合物を室温で12時間攪拌した。溶媒を真空下で除去し、残渣をジエチルエーテル(10mL)で粉砕して、ベンジル 4−ヒドロキシ−4−(ピロリジン−2−イル)ピペリジン−1−カルボキシレート.HCl(178mg、17.6%)を黄色のガムとして得た。
LCMS(方法F):m/z 305(M+H) (ES),1.58分,UV活性
【0250】
ベンジル 4−ヒドロキシ−4−(ピロリジン−2−イル)ピペリジン−1−カルボキシレート.HCl(170mg、0.56mmol)及びDIPEA(0.3mL、0.22g、1.68mmol)をTHF(5mL)中に溶解し、0℃に冷却した。トリホスゲン(83.0mg、0.28mmol)を添加し、反応混合物を0℃で2時間攪拌した。反応混合物を水(150mL)で希釈し、EtOAc(3x60mL)で抽出した。合わせた有機層を乾燥し(NaSO)、溶媒を真空下で除去した。残渣をカラムクロマトグラフィー(順相、中性アルミナ、ヘキサン中0〜20%EtOAc)によって精製して、ベンジル 3’−オキソテトラヒドロ−3’H−スピロ[ピペリジン4,1’−ピロロ[1,2−c]オキサゾール]−1−カルボキシレート(175mg、94.5%)を黄色のガムとして得た。
LCMS(方法F):m/z 331(M+H) (ES),1.99分,UV活性
【0251】
ベンジル 3’−オキソテトラヒドロ−3’H−スピロ[ピペリジン4,1’−ピロロ[1,2−c]オキサゾール]−1−カルボキシレート(170mg、0.515mmol)をメタノール(5mL)中に溶解した。Pd/C(50%水分)(50mg)を添加し、反応混合物を50℃で1時間、1atmの水素下で攪拌した。反応混合物をセライトで濾過し、溶媒を真空下で除去して、粗製のテトラヒドロスピロ[ピペリジン−4,1’−ピロロ[1,2−c][1,3]オキサゾール]−3’−オン、中間生成物76(60mg、59.4%)を黄色のガムとして得た。この粗生成物を、精製することなく直接使用した。
標題化合物のデータは、表2にある。
【0252】
経路9
中間生成物62、4−ベンジル−1−オキサ−3,8−ジアザスピロ[4.5]デカン−2−オンの調製によって例示される、ピペリジン調製の典型的な手順
【化23】
エチル 3−フェニルプロピオネート(5.0g、28.0mmol)をジエチルエーテル(40mL)中に溶解し、窒素下で−78℃に冷却した。n−ブチルリチウム(26.3mL、42.0mmol)を滴下添加し、反応混合物を−78℃で1時間攪拌した。N−ベンジルピペリドン(3.5g、18.0mmol)を滴下添加し、反応混合物を−60℃で2時間攪拌した。反応混合物をNHCl(飽和水溶液)(200mL)でクエンチし水(150mL)で希釈し、EtOAc(3x120mL)で抽出した。合わせた有機層を乾燥し(NaSO)、溶媒を真空下で除去した。残渣をカラムクロマトグラフィー(順相、中性シリカゲル、60〜120メッシュ、ヘキサン中0〜15%EtoAc)によって精製して、エチル 2−(1−ベンジル−4−ヒドロキシピペリジン−4−イル)−3−フェニルプロパノエート(600mg、9.0%)を黄色のガムとして得た。
m/z (ES): 368 (M+H)
【0253】
エチル 2−(1−ベンジル−4−ヒドロキシピペリジン−4−イル)−3−フェニルプロパノエート(600mg、1.63mmol)及び85%のヒドラジン水和物(10mL)をエタノール(2mL)中に溶解した。反応混合物を100℃に120時間加熱した。反応混合物を室温に冷却し、溶媒を真空下で除去して、2−(1−ベンジル−4−ヒドロキシピペリジン−4−イル)−3−フェニルプロパンヒドラジド(350mg)を白色の固体として得た。この粗生成物を、次のステップで直接使用した。
LCMS(方法I):m/z 354(M+H) (ES),3.90分,UV活性。
【0254】
2−(1−ベンジル−4−ヒドロキシピペリジン−4−イル)−3−フェニルプロパンヒドラジド(350mg、1.0mmol)を水(5mL)に溶解し、反応混合物を0℃に冷却し、濃HClで酸性化した。水(2mL)中NaNO(103mg、1.50mmol)を添加し、反応物を60℃で1時間攪拌した。反応混合物を20%のNaOH溶液で塩基性化し、水(80mL)で希釈し、EtOAc(3x60mL)で抽出した。合わせた有機層を乾燥し(NaSO)、溶媒を真空下で除去した。残渣をヘキサンで粉砕することによって精製して、4,8−ジベンジル−1−オキサ−3,8−ジアザスピロ[4.5]デカン−2−オン(235mg、70.5%)を褐色の固体として得た。
LCMS(方法K):m/z 337(M+H) (ES),4.78分,UV活性。
【0255】
4,8−ジベンジル−1−オキサ−3,8−ジアザスピロ[4.5]デカン−2−オン(230mg、0.69mmol)をメタノール(15mL)中に溶解した。Pd/C(10mol%)を添加し、反応混合物を水素雰囲気(1atm)下、50℃で2時間攪拌した。反応混合物をセライトで濾過し、溶媒を真空下で除去した。残渣をジエチルエーテルで粉砕して、4−ベンジル−1−オキサ−3,8−ジアザスピロ[4.5]デカン−2−オン、中間生成物62(145mg、86.3%)を白色の固体として得た。
標題化合物のデータは、表2にある。
【0256】
経路10
中間生成物83、3−シクロプロピル−4−エチル−1−オキサ−3,8−ジアザスピロ[4.5]デカン−2−オンの調製によって例示される、ピペリジン調製の典型的な手順
【化24】
DMF(50mL)中tert−ブチル 4−オキソピペリジン−1−カルボキシレート(5.0g、25.1mmol)に、トリフェニル(プロピル)ホスホニウムブロミド(9.6g、25.1mmol)及びNaH(鉱物油中60%、7.5g、150.7mmol)を0℃で添加し、室温で16時間攪拌した。完了後、反応混合物を氷冷水(50mL)でクエンチし、ヘキサン(3x50mL)で抽出した。合わせた有機層をブライン(50mL)で洗浄し、乾燥し(NaSO)、溶媒を真空下で除去した。残渣をフラッシュカラムクロマトグラフィー(順相、シリカゲル、100〜200メッシュ、勾配ヘキサン中0%〜30%EtOAc)によって精製して、tert−ブチル 4−プロピリデンピペリジン−1−カルボキシレート(1.2g、21%)を無色の液体として得た。
m/z (ES): 226
【0257】
DCM(2mL)中tert−ブチル 4−プロピリデンピペリジン−1−カルボキシレート(2g、8.88mmol)にmCPBA(2.9g、13.3mmol)を0℃で少しずつ添加し、混合物を室温で3時間攪拌した。完了後、反応混合物を氷冷水(40mL)でクエンチし、DCM(3x20mL)で抽出した。合わせた有機層を10%のNaOH(20mL)で洗浄し、乾燥し(NaSO)、溶媒を真空下で除去して、tert−ブチル 2−エチル−1−オキサ−6−アザスピロ[2.5]オクタン−6−カルボキシレート(2g、93%)を無色の液体として得た。これを、さらに精製することなく次のステップに使用した。
m/z (ES): 242
【0258】
DCM(2mL)中シクロプロパンアミン(0.8mL、12.4mmol)にAlMe(トルエン6.2mL中2Mの溶液、12.4mmol)を0℃で滴下添加し、混合物を同じ温度で30分間攪拌した。tert−ブチル 2−エチル−1−オキサ−6−アザスピロ[2.5]オクタン−6−カルボキシレート(1g、4.14mmol)を0℃で滴下添加し、混合物を室温で16時間攪拌した。完了後、反応混合物を0℃に冷却し、水(20mL)でクエンチし、DCM(3x20mL)で抽出した。合わせた有機層をブライン(50mL)で洗浄し、乾燥し(NaSO)、溶媒を真空下で除去した。残渣をフラッシュカラムクロマトグラフィー(順相、シリカゲル、100〜200メッシュ、勾配DCM中2%〜5%メタノール)によって精製して、tert−ブチル 4−(1−(シクロプロピルアミノ)プロピル)−4−ヒドロキシピペリジン−1−カルボキシレート(510mg、63%)を淡黄色の液体として得た。
m/z (ES): 299
【0259】
ジオキサン(10mL)中tert−ブチル 4−(1−(シクロプロピルアミノ)プロピル)−4−ヒドロキシピペリジン−1−カルボキシレート(500mg、1.67mmol)にDIPEA(0.9mL、5.03mmol)を0℃で滴下添加し、混合物を同じ温度で20分間攪拌した。トリホスゲン(248mg、0.83mmol)を0℃で少しずつ添加し、反応混合物を閉管中で、110℃で16時間攪拌した。完了後、反応混合物を水(10mL)でクエンチし、酢酸エチル(3x20mL)で抽出した。合わせた有機層をブライン(20mL)で洗浄し、乾燥し(NaSO)、溶媒を真空下で除去した。残渣をフラッシュカラムクロマトグラフィー(順相、シリカゲル、100〜200メッシュ、勾配DCM中2%〜5%メタノール)によって精製して、tert−ブチル 3−シクロプロピル−4−エチル−2−オキソ−1−オキサ−3,8−ジアザスピロ[4.5]デカン−8−カルボキシレート(450mg、82%)を淡黄色の液体として得た。
m/z (ES+): 325
【0260】
1,4−ジオキサン(2mL)中tert−ブチル 3−シクロプロピル−4−エチル−2−オキソ−1−オキサ−3,8−ジアザスピロ[4.5]デカン−8−カルボキシレート(450mg、1.38mmol)にジオキサン(4M、6mL)中HClを0℃で添加し、混合物を室温で5時間攪拌した。溶媒を真空下で蒸発させた。残渣をNaHCO飽和水溶液(10mL)で塩基性化し、溶媒を真空下で除去した。粗反応塊に5%のMeOH/DCM(30mL)を添加し、混合物を濾過した。溶媒を真空下で除去して、3−シクロプロピル−4−エチル−1−オキサ−3,8−ジアザスピロ[4.5]デカン−2−オン、中間生成物83(300mg、96%)を褐色の粘着性液体として得、これをさらなる精製をせずに使用した。
標題化合物のデータは、表2にある。
【0261】
経路11
中間生成物87、1−エチル−2−(メチル−d3)−1,2,8−トリアザスピロ[4.5]デカン−3−オン.HClの調製によって例示される、アルキル化を介したピペリジン調製の典型的な手順。
【化25】
アセトニトリル(10mL)中tert−ブチル 1−エチル−3−オキソ−1,2,8−トリアザスピロ[4.5]デカン−8−カルボキシレート(400mg、1.41mmol)に、CsCO(920mg、2.82mmol)及びメチル−dヨージド(204mg、1.41mmol)を添加した。反応混合物を30℃で8時間攪拌し、次にHO(120mL)とEtOAc(80mL)との間で分配し、水層をEtOAc(2x80mL)でさらに抽出し、有機層を合わせ、乾燥し(NaSO)、溶媒を真空下で除去した。残渣をカラムクロマトグラフィー(通常の塩基性活性化アルミナ、ヘキサン中15%〜20%EtOAc)によって精製して、tert−ブチル 1−エチル−2−(メチル−d3)−3−オキソ−1,2,8−トリアザスピロ[4.5]デカン−8−カルボキシレート(210mg、49.5%)を黄色のガムとして得た。
LCMS(方法I):m/z 302(M+H) (ES),3.70分,UV活性。
【0262】
1,4−ジオキサン(5mL)中tert−ブチル 1−エチル−2−(メチル−d3)−3−オキソ−1,2,8−トリアザスピロ[4.5]デカン−8−カルボキシレート(210mg、0.70mmol)に1,4−ジオキサン(2mL)中4.0MのHClを添加し、反応混合物を室温で16時間攪拌した。溶媒を真空下で除去し、残渣をジエチルエーテル(3x2mL)で粉砕することによって精製して、1−エチル−2−(メチル−d3)−1,2,8−トリアザスピロ[4.5]デカン−3−オン.HCl、中間生成物87(140mg、85.0%)を黄色の固体として得た。
標題化合物のデータは、表2にある。
【0263】
一般合成手順:
経路a
実施例3−2、エチル 2−(3−オキソ−2,8−ジアザスピロ[4.5]デカ−8−イル)−6−アザスピロ[3.4]オクタン−6−カルボキシレートの調製によって例示される、NaCNBH還元的アミノ化を介したピペリジン調製の典型的な手順
【化26】
2,8−ジアザスピロ[4.5]デカン−3−オン(0.51g、3.30mmol)及びエチル 2−オキソ−6−アザスピロ[3.4]オクタン−6−カルボキシレート(0.650g、3.30mmol)をMeOH(50mL)中に溶解し、塩化亜鉛(1.35g、9.90mmol)を添加した。反応混合物を窒素雰囲気下、50℃で2時間攪拌した。反応混合物を室温に冷却し、NaCNBH(0.42g、6.60mmol)を添加した。反応混合物を窒素下、50℃で16時間攪拌した。反応混合物を室温に冷却し、飽和NaHCO溶液で処理し、有機溶媒を真空下で除去し、水層をDCM(2x10mL)で抽出し、有機層を合わせブライン(10mL)で洗浄し、Biotage Phase Separatorカートリッジに通すことによって乾燥した。溶媒を真空下で除去し、残渣をカラムクロマトグラフィー(順相、[Biotage SNAPカートリッジKP−sil25g、40〜63μm、60Å、25mL毎分、勾配DCM中0%〜40%MeOH])によって精製して、分離不可能なジアステレオマーの混合物を得た。この混合物を、分取逆相HPLC(Phenomenex Gemini−NX 5μm C18 110A Axiaカラム、100x30mm、20〜50%MeCN/溶媒Bにより14.4分かけて30mL/分で溶出させ[溶媒Bは、HO中0.2%の(28%NH/HO)である]、205nmにてモニターすることによって画分を収集する)によって精製して、エチル 2−(3−オキソ−2,8−ジアザスピロ[4.5]デカ−8−イル)−6−アザスピロ[3.4]オクタン−6−カルボキシレート、実施例3−2の異性体1(0.101mg、9.0%)を白色の固体として、及びエチル 2−(3−オキソ−2,8−ジアザスピロ[4.5]デカ−8−イル)−6−アザスピロ[3.4]オクタン−6−カルボキシレート、実施例3−2の異性体2(0.099g、8.9%)を無色の固体として得た。
異性体2のデータは、表3にある。
【0264】
この反応シーケンスでピペリジンの塩酸塩を使用した場合には、還元的アミノ化を経る前にこれを水/メタノール中KCOで脱塩した。
【0265】
経路b
実施例4−7、エチル 2−(4−エチル−2−オキソ−1−オキサ−3,8−ジアザスピロ[4.5]デカ−8−イル)−6−アザスピロ[3.4]オクタン−6−カルボキシレートの調製によって例示される、NaCNBH還元的アミノ化を介したピペリジン調製の典型的な手順
【化27】
4−エチル−1−オキサ−3,8−ジアザスピロ[4.5]デカン−2−オン(0.50g、2.71mmol)、エチル 2−オキソ−6−アザスピロ[3.4]オクタン−6−カルボキシレート(0.54g、2.71mmol)、EtN(0.82g、8.15mmol)、ZnCl(0.06mg、0.41mmol)を、N下でMeOH(20mL)中に溶解し、60℃で16時間攪拌した。反応混合物を0℃に冷却し、NaCNBH(0.51g、8.15mmol)を少しずつ添加し、反応混合物をN下、60℃で16時間攪拌した。反応混合物を真空下で除去し、残渣を水(50mL)とEtOAc(60mL)との間で分配し、水層をEtOAc(2x60mL)でさらに抽出し、有機層を合わせブラインで洗浄し、次に乾燥した(NaSO)。溶媒を真空下で除去し、残渣を分取逆相HPLC(X−Bridge(250X19mm)5μ、C18、15mL毎分、勾配25%〜100%(25分かけて)、次に100%(5分) MeCN/水中0.1%NH3)で精製して、エチル 2−(4−エチル−2−オキソ−1−オキサ−3,8−ジアザスピロ[4.5]デカ−8−イル)−6−アザスピロ[3.4]オクタン−6−カルボキシレートを2つの別々の、異性体のジアステレオマーラセミ混合物として得た。各混合物をキラル分取逆相HPLC[CHIRAL PAK AD−H(250X20mm)5μ、C18、20mL毎分、勾配20%(20分かけて) n−ヘキサン/MeOH:IPA(50:50)中0.1%DEA]によってさらに精製して、エチル 2−(4−エチル−2−オキソ−1−オキサ−3,8−ジアザスピロ[4.5]デカ−8−イル)−6−アザスピロ[3.4]オクタン−6−カルボキシレート、実施例4−7の異性体1(0.091g、9.1%)を白色の固体として、エチル 2−(4−エチル−2−オキソ−1−オキサ−3,8−ジアザスピロ[4.5]デカ−8−イル)−6−アザスピロ[3.4]オクタン−6−カルボキシレート、実施例4−7の異性体2(0.088g、8.8%)を白色の固体として、エチル 2−(4−エチル−2−オキソ−1−オキサ−3,8−ジアザスピロ[4.5]デカ−8−イル)−6−アザスピロ[3.4]オクタン−6−カルボキシレート、実施例4−7の異性体3(0.085g、8.6%)を白色の固体として、及びエチル 2−(4−エチル−2−オキソ−1−オキサ−3,8−ジアザスピロ[4.5]デカ−8−イル)−6−アザスピロ[3.4]オクタン−6−カルボキシレート、実施例4−7の異性体4(0.087g、8.8%)を白色の固体として得た。
全ての異性体のデータは、表3にある。
【0266】
経路c
実施例4−10、エチル 2−(4,4−ジメチル−2−オキソ−1−オキサ−3,8−ジアザスピロ[4.5]デカ−8−イル)−6−アザスピロ[3.4]オクタン−6−カルボキシレートの調製によって例示される、ナトリウムトリアセトキシボロヒドリド還元的アミノ化を介したピペリジン調製の典型的な手順
【化28】
4,4−ジメチル−1−オキサ−3,8−ジアザスピロ[4.5]デカン−2−オン(3.60g、19.6mmol)及びエチル 2−オキソ−6−アザスピロ[3.4]オクタン−6−カルボキシレート(4.05g、20.5mmol)をDCM(196mL)中に室温で溶解し、AcOH(2.52mL、36.6mmol)を添加した。反応混合物をN下で16時間加熱還流し、次に室温に冷却した。STAB(8.48g、40.0mmol)を添加し、反応混合物を16時間、再び加熱還流し、次に室温に冷却した。反応混合物をNaHCO(飽和水溶液)(100mL)の添加によってクエンチし、水層が塩基性であることを確実にするために固体のNaCOを添加し、反応混合物をDCM(4x100mL)で抽出した。有機層を合わせブラインで洗浄し、次に乾燥した(MgSO)。溶媒を真空下で除去し、残渣をカラムクロマトグラフィー(順相、[Biotage SNAPカートリッジKP−sil50g、40〜63μm、60Å、27mL毎分、勾配DCM中0%〜10%MeOH])によって精製して、分離不可能なジアステレオマーの混合物を得た。この混合物を、分取逆相HPLC(Phenomenex Gemini−NX 5μm C18 110A Axiaカラム、100x30mm、10〜30%MeCN/溶媒Bにより14.4分かけて30mL/分で溶出させ[溶媒Bは、HO中0.2%の(28%NH/HO)である]、205nmにてモニターすることによって画分を収集する)によって精製して、エチル 2−(4,4−ジメチル−2−オキソ−1−オキサ−3,8−ジアザスピロ[4.5]デカ−8−イル]−6−アザスピロ[3.4]オクタン−6−カルボキシレート実施例4−10の異性体1 1.57g、22.0%)を無色の固体として、及びエチル 2−(4,4−ジメチル−2−オキソ−1−オキサ−3,8−ジアザスピロ[4.5]デカ−8−イル]−6−アザスピロ[3.4]オクタン−6−カルボキシレート実施例4−10の異性体2(1.50g、21.0%)を無色の固体として得た。
異性体2のデータは、表3にある。
【0267】
実施例3−4などのキラル異性体を含有する実施例については、キラル分取逆相HPLC[CHIRALPAK AD−H、250x20mm、5um、20mL毎分、勾配25.0%(28.0分かけて)、ヘキサン/MeOH:IPA(50:50)中0.1%DEA]によってさらに精製した。
【0268】
経路d
実施例4−2、トリジューテロメチル 2−(2−オキソ−1−オキサ−3,8−ジアザスピロ[4.5]デカ−8−イル)−6−アザスピロ[3.4]オクタン−6−カルボキシレートの調製によって例示される、カルバメート形成介したピペリジン調製の典型的な手順
【化29】
CDOD(0.067g、1.91mmol)をTHF(8mL)中に溶解し、溶液を窒素雰囲気下で0℃に冷却した。鉱物油中水素化ナトリウム(60%、0.078g、1.91mmol)を注意しながら添加し、混合物を0℃で1時間攪拌した。4−ニトロフェニル 2−(2−オキソ−1−オキサ−3,8−ジアザスピロ[4.5]デカ−8−イル)−6−アザスピロ[3.4]オクタン−6−カルボキシレート(0.205g、0.477mmol)をTHF(4mL)及びDMF(0.5mL)中の溶液として0℃で滴下添加し、反応混合物を室温で16時間攪拌した。
【0269】
反応混合物を水(8mL)の添加によってクエンチし、EtOAc(3x8mL)で抽出した。有機層を合わせ、次に乾燥した(MgSO)。溶媒を真空下で除去し、残渣をカラムクロマトグラフィー(順相、[Biotage SNAPカートリッジKP−sil10g、40〜63μm、60Å、12mL毎分、勾配DCM中2%〜10%MeOH])によって精製して、分離不可能なジアステレオマーの混合物を得た。この混合物を、分取逆相HPLC(Phenomenex Gemini−NX 5μm C18 110A Axiaカラム、100x30mm、20〜50%MeCN/溶媒Bにより14.4分かけて30mL/分で溶出させ[溶媒Bは、HO中0.2%の(28%NH/HO)である]、205nmにてモニターすることによって画分を収集する)によって精製して、トリジューテロメチル 2−(2−オキソ−1−オキサ−3,8−ジアザスピロ[4.5]デカ−8−イル]−6−アザスピロ[3.4]オクタン−6−カルボキシレート、実施例4−2の異性体1(0.07g、5%)を無色の油として、及びトリジューテロメチル 2−(2−オキソ−1−オキサ−3,8−ジアザスピロ[4.5]デカ−8−イル]−6−アザスピロ[3.4]オクタン−6−カルボキシレート、実施例4−2の異性体2(0.07g、5%)を無色の油として得た。
異性体2のデータは、表3にある。
【0270】
経路e
実施例8−2、エチル 6−(3,4−ジエチル−2−オキソ−1−オキサ−3,8−ジアザスピロ[4.5]デカ−8−イル)−2−アザスピロ[3.4]オクタン−2−カルボキシレートの調製によって例示される、N−アルキル化を介したピペリジン調製の典型的な手順
【化30】
エチル 6−(4−エチル−2−オキソ−1−オキサ−3,8−ジアザスピロ[4.5]デカ−8−イル)−2−アザスピロ[3.4]オクタン−2−カルボキシレート(0.10g、0.27mmol)をDMF(1.0mL)中に溶解した。NaH(60%)(0.023g、0.58mmol)を0℃で添加し、反応混合物を0℃で5分間攪拌した。ヨウ化エチル(0.07g、0.45mmol)を添加し、反応混合物を0℃で30分間攪拌した。反応混合物を水(25mL)の添加によってクエンチしEtOAc(25mL)で抽出し、水層をEtOAc(2x25mL)でさらに抽出し、有機層を合わせブラインで洗浄し、次に乾燥した(NaSO)。溶媒を真空下で除去し、残渣を分取逆相HPLC[X− SELECT PHENYL HEXYL (150X19mm)5μ、C18、20mL毎分、勾配30%〜100%(12分かけて)次に100%(3分)、水中0.02%NH3及びアセトニトリル中100%]で精製して、エチル 6−(3,4−ジエチル−2−オキソ−1−オキサ−3,8−ジアザスピロ[4.5]デカ−8−イル)−2−アザスピロ[3.4]オクタン−2−カルボキシレート、実施例8−2(0.04g、37.1%)を無色の固体として得た。
標題化合物のデータは、表3にある。
【0271】
経路g
実施例4−19、エチル 2−[2−オキソ−4−(ピリジン−2−イルメチル)−1−オキサ−3,8−ジアザスピロ[4.5]デカ−8−イル]−6−アザスピロ[3.4]オクタン−6−カルボキシレートの調製によって例示される、ナトリウムトリアセトキシボロヒドリド還元的アミノ化を介したピペリジン調製の典型的な手順
【化31】
DCM(10mL)中4−(ピリジン−2−イルメチル)−1−オキサ−3,8−ジアザスピロ[4.5]デカン−2−オン(250mg、1.01mmol)及びエチル 2−オキソ−6−アザスピロ[3.4]オクタン−6−カルボキシレート(185mg、1.01mmol)にTi(OPr)(0.9mL、3.03mmol)を添加し、反応混合物を0℃で40分間攪拌した。STAB(640mg、3.03mmol)を添加し、反応混合物を0℃で2時間攪拌した。反応混合物をNaHCO(飽和水溶液)(10mL)でクエンチした。水層をDCM(2x20mL)で抽出し、有機層を合わせ乾燥し(NaSO)、溶媒を真空下で除去した。残渣を分取逆相HPLC[Symmetry Shield RP、C−18、19x250mm、5μ、イソクラティック勾配22%〜78%(25分かけて)次に100%(5分)5mM重炭酸アンモニウム含有水中MeCN]で精製して、エチル 2−[2−オキソ−4−(ピリジン−2−イルメチル)−1−オキサ−3,8−ジアザスピロ[4.5]デカ−8−イル]−6−アザスピロ[3.4]オクタン−6−カルボキシレート、実施例4−19の異性体1(25mg、6%)を黄色の固体として、及びエチル 2−[2−オキソ−4−(ピリジン−2−イルメチル)−1−オキサ−3,8−ジアザスピロ[4.5]デカ−8−イル]−6−アザスピロ[3.4]オクタン−6−カルボキシレート、実施例4−19の異性体2(36mg、9%)を黄色の固体として得た。
標題化合物のデータは、表3にある。
【0272】
【表2-1】
【表2-2】
【表2-3】
【表2-4】
【表2-5】
【表2-6】
【0273】
【表3-1】
【表3-2】
【表3-3】
【表3-4】
【表3-5】
【表3-6】
【表3-7】
【表3-8】
【表3-9】
【表3-10】
【表3-11】
【表3-12】
【表3-13】
【表3-14】
【表3-15】
【表3-16】
【表3-17】
【表3-18】
【表3-19】
【表3-20】
【表3-21】
【表3-22】
【表3-23】
【表3-24】
【表3-25】
【表3-26】
【表3-27】
【0274】
生物活性
実施例A
ホスホ−ERK1/2アッセイ
Alphascreen Surefireホスホ−ERK1/2アッセイ(Crouch&Osmond,Comb.Chem.High Throughput Screen,2008)を用いて機能アッセイを行った。ERK1/2リン酸化は、Gq/11及びGi/oタンパク質共役受容体活性化の両方による下流事象であることから、M、M(Gq/11共役)及びM、M受容体(Gi/o共役)の評価をする上で、異なる受容体サブタイプ用の異なるアッセイ形式を使用するよりも、はるかに好適となる。ヒトムスカリンM、M、MまたはM受容体を安定して発現するCHO細胞を、96ウェル組織培養プレート上に蒔き(25K/ウェル)MEM−アルファ+10%透析FBSで培養した。細胞を接着させたら、終夜血清飢餓状態にした。5μLのアゴニストを細胞に5分間(37℃)添加することによってアゴニスト刺激を実施した。培地を除去し、50μLの溶解緩衝液を添加した。15分後、4μLの試料を384ウェルプレートに移し、7μLの検出混合物を添加した。プレートを暗中穏やかに攪拌しながら2時間インキュベートし、次にPHERAstarプレートリーダーで読み取った。
【0275】
各受容体サブタイプについて得られたデータから、pEC50及びEmaxの数値を算出した。
【0276】
一部の実施例については、分離され、別段の記載がない限り、LCMS分析トレース上の保持時間に基づいて割り当てられた、2つ以上のジアステレオマーが存在する。ほとんどの実施例では、異性体1は活性ではない。活性異性体の分析データを表3で報告する。絶対的立体化学の優先を協調するために、いくつかの活性の弱い化合物のデータが表3及び4に含まれている。
【0277】
結果を、下の表4で詳述する。
【表4-1】
【表4-2】
【表4-3】
【0278】
実施例B
受動的回避
研究は、Foley et al.,(2004) Neuropsychopharmacologyによって以前記載された通りに行われた。受動的回避課題では、訓練の6時間後にスコポラミンを投与(1mg/kg、腹腔内)することによって、動物のパラダイムの記憶を消失させた。経口胃管栄養を介して訓練期間の90分前に投与した、3mg/kg、10mg/kg及び30mg/kg(経口)の用量範囲の遊離塩基について検討した。
【0279】
実施例3−2の異性体2、同4−3の異性体2、同4−12の異性体3及び同4−27の異性体2のデータを図1に示す。
【0280】
実施例C
ラットのd−アンフェタミン誘発性運動亢進に及ぼす新規試験化合物及びキサノメリンの効果
本研究の目的は、ラットのd−アンフェタミン誘発性運動亢進に及ぼす新規化合物の効果を検討することである。統合失調症は、単一の実験手順によって説明することができない複雑な多因子性疾患である、ラットにおける抗精神病様行動を、d−アンフェタミンによって引き出される運動亢進(または過剰自発運動)の阻害によって評価した。この手順は、臨床的に関連性のあるドーパミン受容体アンタゴニストに感受性であり、そのためドーパミン作動性シグナル伝達に影響するムスカリンアゴニストの比較に好適であると考えられる。d−アンフェタミン誘発性運動亢進を有意に低減させることがあらかじめ観察された、ある用量のキサノメリンを陽性対照として用いた。典型的には、統計学的解析は3元配置共分散分析またはロバスト回帰を伴い、治療、日及びラックを因子として、処置の前30分間の活性を共変数とし、その後に適切な多重比較試験を行った。P値<0.05を統計学的に有意であるとみなし、それに応じて全てのその後の数値に印を付す。
【0281】
実施例4−12の異性体3及び同4−27の異性体2を図2に示す。
【0282】
実施例D
医薬製剤
(i)錠剤製剤
式(1)、(1a)または(1b)の化合物を含有する錠剤組成物は、化合物50mgを、希釈剤としてのラクトース(BP)197mg及び滑沢剤としてのステアリン酸マグネシウム3mgと混合し、公知の様式で圧縮して錠剤を形成することによって、調製する。
【0283】
(ii)カプセル製剤
カプセル製剤は、式(1)、(1a)または(1b)の化合物100mgを、ラクトース100mg及び、任意選択により1重量%のステアリン酸マグネシウムと混合し、得られた混合物を標準的な不透明硬質ゼラチンカプセルに充填することによって、調製する。
【0284】
等価物
先述の実施例は、本発明を例示する目的で示すものであり、本発明の範囲に何らかの限定を加えるものと解釈するべきではない。上述し、実施例で例示した本発明の特定の実施形態に対し、本発明の根底にある原理から逸脱することなく、多くの修正及び変更を施され得ることは、容易に明らかとなろう。このような修正及び変更の全ては本出願に包含されることが意図されている。
図1
図2